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技術 含フッ素オレフィンの製造方法

出願人 ダイキン工業株式会社
発明者 茶木勇博加留部大輔西海雅巳
出願日 2013年7月10日 (7年4ヶ月経過) 出願番号 2014-558350
公開日 2015年9月3日 (5年2ヶ月経過) 公開番号 2015-525201
状態 特許登録済
技術分野 触媒 触媒を使用する低分子有機合成反応 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 気化領域 フルオロオレフィン化合物 予熱領域 分子状塩素 工程設備 エリア面積 Cu線 フッ素化酸
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重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種触媒の存在下で、含塩素アルケン又は含塩素アルカンフッ素化剤とを気相で反応させることを特徴とするフルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。本発明の方法によれば、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

概要

背景

一般式:CF3(CX2)nCF=CH2、一般式:CF3(CX2)nCH=CHF等で表されるフルオロオレフィンは、各種機能性材料溶媒冷媒発泡剤や、機能性重合体モノマーやそれらの原料などとして有用な構造の化合物であり、例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体改質用モノマーとして用いられている。また、上記したフルオロオレフィンの内で、CF3CF=CH2で表される化合物(HFO-1234yf)やCF3CH=CHFで表される化合物(HFO-1234ze)は、近年、地球温暖化係数の低い冷媒化合物として有望視されている。

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法の1つとして、目的とするフルオロオレフィンと同じ炭素数を持つ含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料として、触媒の存在下で無水フッ化水素等のフッ素化剤と反応させる方法が多数報告されている(特許文献1〜6)。これらの方法では、触媒としては、酸化クロム触媒アンチモン触媒等が用いられており、特に、非晶質の酸化クロム触媒が有効であると報告されている(特許文献6)。また、非晶質酸化クロム触媒を用いる場合には、活性維持のためにO2などを反応基質と同伴させる方法も報告されてきた。しかしながら、この場合、しばしば同伴O2と反応基質との副反応によりCO2が副生したり、目的物変換不可能なCO2以外の複数の副生成物が生成し、それにより目的とするフルオロオレフィンの収率の低下、精製工程の煩雑化や精製工程設備コストアップ等の問題が生じる。

概要

本発明は、少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の触媒の存在下で、含塩素アルケン又は含塩素アルカンとフッ素化剤とを気相で反応させることを特徴とするフルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。本発明の方法によれば、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

目的

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法の1つとして、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
2件

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請求項1

少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなる触媒の存在下で、含塩素化合物と、フッ素化剤とを、気相において反応させることを特徴とする、フルオロオレフィンの製造方法であって、含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合はZはCl又はFであり、YがFの場合はZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClである。ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表される化合物である、フルオロオレフィンの製造方法。

請求項2

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度30%以上である請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項3

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度60%以上である請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項4

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度70%以上である請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項5

結晶化した酸化クロムの平均結晶子径が50 nm以下である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。

請求項6

酸化クロムの比表面積が10m2/g以上である、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。

請求項7

担体担持された触媒を用いる請求項1〜6のいずれかに記載の方法。

請求項8

担体が、SiO2,Al2O3、ゼオライト活性炭、及び酸化ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも一種である請求項7に記載の方法。

請求項9

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムからなる触媒をフッ素化させた後、含塩素化合物とフッ素化剤とを反応させる、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。

請求項10

フッ素化剤が、無水フッ化水素である、請求項1〜9のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項11

原料とする含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2(式中、nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)で表される化合物である請求項1〜10のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項12

原料とする含塩素化合物が、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、CCl3CCl=CH2(HCO-1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)及びCH2ClCCl=CCl2(HCO-1230xa)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO-1234yf)である、請求項11に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項13

原料とする含塩素化合物が、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO-1234yf)である、請求項12に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項14

原料とする含塩素化合物が、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンである、請求項1〜10のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項15

原料とする含塩素化合物が、CCl3CH=CHCl(HCO-1230zd)及びCF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)である、請求項14に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項16

原料とする含塩素化合物が、CF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)である、請求項15に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

技術分野

0001

本発明は、含フッ素オレフィンの製造方法に関する。

背景技術

0002

一般式:CF3(CX2)nCF=CH2、一般式:CF3(CX2)nCH=CHF等で表されるフルオロオレフィンは、各種機能性材料溶媒冷媒発泡剤や、機能性重合体モノマーやそれらの原料などとして有用な構造の化合物であり、例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体改質用モノマーとして用いられている。また、上記したフルオロオレフィンの内で、CF3CF=CH2で表される化合物(HFO-1234yf)やCF3CH=CHFで表される化合物(HFO-1234ze)は、近年、地球温暖化係数の低い冷媒化合物として有望視されている。

0003

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法の1つとして、目的とするフルオロオレフィンと同じ炭素数を持つ含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料として、触媒の存在下で無水フッ化水素等のフッ素化剤と反応させる方法が多数報告されている(特許文献1〜6)。これらの方法では、触媒としては、酸化クロム触媒アンチモン触媒等が用いられており、特に、非晶質の酸化クロム触媒が有効であると報告されている(特許文献6)。また、非晶質酸化クロム触媒を用いる場合には、活性維持のためにO2などを反応基質と同伴させる方法も報告されてきた。しかしながら、この場合、しばしば同伴O2と反応基質との副反応によりCO2が副生したり、目的物変換不可能なCO2以外の複数の副生成物が生成し、それにより目的とするフルオロオレフィンの収率の低下、精製工程の煩雑化や精製工程設備コストアップ等の問題が生じる。

先行技術

0004

WO07/079435
WO07/079431
WO08/002500
WO08/060614
WO09/125199
WO10/013796

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料としてフッ素化剤と反応させてフルオロオレフィンを製造する方法であって、原料の転化率を向上させ、かつ分離、収率面で問題となる不純物の生成を抑制して、フルオロオレフィン類を効率よく製造できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0006

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、次の点を見出した。即ち、少なくとも一部が結晶化した酸化クロム触媒、又はこれをフッ素化した触媒を用いて、原料である特定の一般式で表される含塩素アルカン又は含塩素アルケンをフッ素化剤と反応させてフルオロオレフィン化合物を製造する場合に、原料の転化率が向上し、目的とするフルオロオレフィンの選択率も高くなり、効率よくフルオロオレフィンを製造することが可能となる。特に、該酸化クロム触媒の結晶子径を制御することや、反応の際に特定量酸素を存在させる等の工夫をすることによって、原料転化率や目的物の選択率をより向上できる。本発明は、これらの知見に基づいて完成されたものである。

0007

即ち、本発明は、下記のフルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。
項1. 少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなる触媒の存在下で、フッ素化剤と含塩素化合物とを気相において反応させることを特徴とする、フルオロオレフィンの製造方法であって、
含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合はZはCl又はFであり、YがFの場合はZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClである。ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物であり、
得られるフルオロオレフィンが、一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表される化合物である、
フルオロオレフィンの製造方法。
項2. 少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度30%以上である上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項3. 少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度60%以上である上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項4 少なくとも一部が結晶化した酸化クロムが、結晶化度70%以上である上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項5. 結晶化した酸化クロムの平均結晶子径が50 nm以下である、上記項1〜4のいずれかに記載の方法。
項6. 酸化クロムの比表面積が10m2/g以上である、上記項1〜5のいずれかに記載の方法。
項7.担体担持された触媒を用いる上記項1〜6のいずれかに記載の方法。
項8. 担体が、SiO2,Al2O3、ゼオライト活性炭、及び酸化ジルコニアからなる群から選ばれる少なくとも一種である上記項7に記載の方法。
項9. 少なくとも一部が結晶化した酸化クロムからなる触媒をフッ素化させた後、含塩素化合物とフッ素化剤とを反応させる、上記項1〜8のいずれかに記載の方法。
項10. フッ素化剤が、無水フッ化水素である、上記項1〜9のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項11. 原料とする含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2(式中、nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)で表される化合物である上記項1〜10のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項12. 原料とする含塩素化合物が、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、CCl3CCl=CH2(HCO-1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)及びCH2ClCCl=CCl2(HCO-1230xa)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO−1234yf)である、上記項11に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項13. 原料とする含塩素化合物が、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO-1234yf)である、上記項12に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項14. 原料とする含塩素化合物が、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンである、上記項1〜10のいずれかに記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項15. 原料とする含塩素化合物が、CCl3CH=CHCl (HCO-1230zd)及びCF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)である、上記項14に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項16. 原料とする含塩素化合物が、CF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)である、上記項15に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

0008

以下、本発明のフルオロオレフィンの製造方法について具体的に説明する。

0009

原料化合物
本発明では、原料としては、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合はZはCl又はFであり、YがFの場合はZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClである。ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、ただしXのうち少なくとも一つはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を用いる。

0010

これらの含塩素化合物を原料として、後述する条件に従って、特定の触媒の存在下に、フッ素化剤と反応させることによって、高い原料転化率で、選択性よく、一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0011

上記した一般式(1)〜(5)で表される含塩素化合物の内で、気相反応を行う上で適切な沸点を持つことから、n=0である炭素数3の化合物が好ましい。n=0の化合物の好ましい具体例を挙げると、一般式(1)で表される含塩素アルカンとしては、CCl3CHClCH2Cl(HCC-240db)、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)等を例示でき、一般式(2)で表される含塩素アルカンとしては、CCl3CH2CHCl2(HCC-240fa)、CF3CH2CHCl2(HCFC-243fa)等を例示でき、一般式(3)で表される含塩素アルケンとしては、CCl3CCl=CH2(HCO-1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)等を例示でき、一般式(4)で表される含塩素アルケンとしては、CCl3CH=CHCl (HCO-1230zd)、CF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)等を例示でき、一般式(5)で表される含塩素アルケンとしては、CH2ClCCl=CCl2(HCO-1230xa)等を例示できる。これらの化合物の内で、特に、CF3CCl=CH2 (HCFO-1233xf)及びCF3CH=CHCl (HCFO-1233zd)が好ましい。HCFO-1233xfは、公知化合物であり、例えば、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンに塩素を付加させてHCFC-243dbとした後、アルカリ等で脱塩化水素を行うことにより容易に得ることができる。

0012

本発明では、上記した原料化合物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。

0013

触 媒
本発明のフルオロアルケンの製造方法では、少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種を触媒として用いることができる。

0014

触媒として用いる酸化クロムは、少なくとも一部が結晶化していればよいが、特に、原料の転化率を向上させ、更に、目的とするフルオロオレフィンの選択率を高くするためには、結晶化度が30%程度以上であることが好ましく、40%程度以上であることがより好ましく、60%程度以上であることが更に好ましく、70%程度以上であることが特に好ましい。

0015

ここで、酸化クロムの結晶化度とは、触媒を構成する全酸化クロムのうち結晶化した酸化クロムの割合を表すものであり、結晶化度100%は実質全ての酸化クロムが結晶化していることを意味する。また、例えば結晶化度50%とは、触媒を構成する酸化クロムの50重量%が結晶化していることを意味する。

0016

尚、本願明細書における結晶化度は、XRD測定結果により決定したものであり、具体的には、実質結晶化度100%の酸化クロムを標準サンプルとしてXRD測定して得られた酸化クロム回折パターンの全結晶面の回折ピークエリア面積と、対象の酸化クロムを標準サンプルと同条件でXRD測定して得られた酸化クロム回折パターンの全結晶面の回折ピークエリア面積との相対比較により決定された比率を結晶化度とする。例えば、標準サンプルの全結晶面の回折ピークエリア面積を100とした場合、測定対象の酸化クロムの全結晶面の回折ピークエリア面積が50であれば、結晶化度は50%である。或いは、酸化クロムとは異なる回折パターンを持つ物質内部標準物質に用い、実質的に結晶化度100%の酸化クロム回折パターンの全結晶面の回折ピークエリア面積と内部標準物質の全結晶面の回折ピークエリア面積の相対値と、測定対象の酸化クロム全結晶面の回折ピークエリア面積と内部標準物質の全結晶面の回折パターンエリア面積の相対値を相対比較することでも、結晶化度を決定できる。実質的に非晶質の酸化クロムではXRD回折ピークは現れない。

0017

更に、本発明で触媒として用いる、少なくとも一部が結晶化した酸化クロムは、上記した結晶化度の範囲内において、結晶化した酸化クロムの平均結晶子径、比表面積等を制御することにより、高い原料転化率で、選択性よく目的とするフルオロオレフィンを製造することができる。

0018

結晶化した酸化クロムの結晶子径については、特に限定的ではなく、通常は、平均結晶子径が50 nm程度以下であればよいが、40 nm程度以下であることが好ましく、35 nm程度以下であることがより好ましい。また、平均結晶子径の下限値については、特に限定的ではないが、2 nm程度以上であればよく、 10 nm程度以上であることが好ましく、20 nm程度以上であることがより好ましい。

0019

尚、本願明細書では、平均結晶子径は酸化クロムのXRD回折パターン半値幅を用い、シェラーの式(D =/Bcosθ、ここでD;結晶子径,K;シェラー定数、λ;X線波長/Cu線源,B;半値幅,θ;回折角2θの半分)によって求めた各結晶面結晶子径の平均値である。

0020

更に、少なくとも一部が結晶化した酸化クロムのBET比表面積は、10m2 /g程度以上であることが好ましい。

0021

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムの組成は、結晶化した酸化クロム部分については、式:Cr2O3で表すことができる。非結晶の酸化クロム部分については、例えば、組成式CrOm(1.5≦m≦3)で表すことができる。この内で、mが1.5<m<3の範囲にあることが好ましく、1.8≦m≦2.5の範囲にあることがより好ましく、2.0≦m≦2.3の範囲にあることが更に好ましい。更に、上記したmの範囲において、異なるm値を有する酸化クロムの混合物であってもよい。

0022

少なくとも一部が結晶化した酸化クロムを製造する方法については、特に限定的ではないが、例えば、共沈法により得た水酸化クロム焼成することによって得ることができる。この際に、焼成条件を適切に設定することによって、酸化クロムの結晶化度や結晶化した酸化クロムの結晶子径を制御することが可能である。以下、触媒の製造方法の詳細例を挙げる。

0023

まず、共沈法として,クロム塩水溶液硝酸クロム塩化クロム、クロムみょうばん硫酸クロム酢酸クロム等)とアンモニア水を混合して水酸化クロムの沈殿を得る。例えば、硝酸クロムの5.7%水溶液に10%のアンモニア水を、硝酸クロム1当量に対して、約1〜1.2当量滴下することによって、水酸化クロムの沈殿を得ることができる。この水酸化クロムの沈殿を濾過し、蒸留水洗浄後、乾燥する。乾燥は、例えば、空気中、70〜200℃程度で1〜100時間程度行えばよい。この生成物解砕したのち、得られた粉体をそのまま、又は所望のサイズ、形に成型したのち焼成する。成型する場合は、例えば、必要に応じてグラファイトを3重量%程度以下混合し、打錠機によりペレットを形成すればよい。ペレットは、例えば、直径3.0mm程度、高さ3.0mm程度とすればよい。

0024

焼成は、例えば窒素ヘリウムアルゴンなどの不活性ガス気流、空気気流中、水蒸気気流中、酸素気流中、酸素と前述のような不活性ガスとを任意の組成になるよう調整した混合ガス気流中などで行うことが可能である。この際の雰囲気ガスを選択し、焼成温度を調節することによって、焼成後の酸化クロムの結晶化度、結晶の粒子径を制御することができる。

0025

例えば、酸化クロムの結晶化度や結晶子径と焼成条件との関係については、一般的な傾向としては、焼成温度が高く、焼成時間が長いほど結晶化度及び結晶子径が大きくなり、更に、雰囲気ガス中酸化能力のあるガス成分、例えば酸素の濃度が高いほど結晶化度及び結晶子径が大きくなる傾向がある。また、焼成時の昇温速度が遅いほど結晶の成長が緩やかになるため結晶子径も大きくなる傾向がある。従って、例えば、結晶化度を大きくし、結晶子径を小さくするには、雰囲気ガスをN2などの不活性ガスとして、焼成温度を高く設定し、昇温速度を速くして、焼成時間をごく短時間にするなどの方法を採用すればよい。これら諸条件は、焼成に用いる加熱装置焼成反応器、焼成する触媒量によっても異なるので、具体的な焼成方法に応じて、適宜焼成条件を定める必要がある。

0026

例えば、上述の共沈法より得た水酸化クロムを乾燥,破砕後に上述のようにペレットに成型したものを窒素等不活性ガス気流中で380〜460℃程度で1〜5時間程度焼成すれば非晶質の酸化クロムを得ることができる。また、上述の共沈法より得た水酸化クロムを乾燥,破砕して得られた生成物を粉体のまま坩堝耐熱容器に入れ加熱炉静置し,空気気流中、350℃で2時間焼成すれば結晶化度約40%、結晶化部分の結晶子径約34 nmの酸化クロムを得ることができる。また、同様に上述の共沈法より得た水酸化クロムを乾燥,破砕して得られた生成物を粉体のまま坩堝等耐熱容器に入れ加熱炉に静置し,空気気流中、700℃で2時間焼成すれば、実質結晶化度100%、平均結晶子径約35 nmの酸化クロムを得ることができる。

0027

これらの条件と結晶化度、結晶子径の組合せは一例であり、雰囲気ガスの種類、焼成温度、焼成時間、焼成温度までの昇温速度、酸化クロムの形状(例えば、粉体状、成型物等)、焼成に用いる炉や焼成に付する際に用いる容器、容器への充填状態等を適宜選択することによって、所望の結晶化度と結晶子径に制御することが可能である。

0028

また、上記方法などにより調製した異なる結晶化度、結晶径を有する2種以上の酸化クロムを混合することも可能である。

0029

触媒として用いるフッ素化酸化クロムについては、上記した条件を満足する、少なくとも一部が結晶化された酸化クロムをフッ素化したものである。このフッ素化酸化クロムは、原料とする含塩素化合物とフッ素化剤との反応の際に、該酸化クロムのフッ素化が徐々に進行して形成することができるが、該酸化クロム触媒が充分にフッ素化されるまでは,原料とする含塩素化合物や目的物、中間物が副反応を起こして目的物の収率が低下したり,触媒上に反応阻害物が蓄積触媒活性を低下させたりする場合がある。このため、反応に使用する前に予め該酸化クロムをフッ素化したものを用いることが好ましい。反応の前に該酸化クロムをフッ素化するには、例えば、反応容器に酸化クロムを充填し、含塩素化合物とフッ素化剤との反応の前に、酸化クロムをフッ素化剤と接触させればよい。この場合の具体的なフッ素化条件としては、無水フッ化水素気流中で該酸化クロムを100〜460℃程度に加熱すればよい。

0030

フッ素化酸化クロムのフッ素化の程度については特に限定はないが、例えば、フッ素含有量が10〜30重量%程度のものを好適に用いることができる。

0031

更に、少なくとも一部がフッ素化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸化クロムは、クロム以外の金属元素を含有してもよい。クロム以外の金属元素の含有量は、特に限定的ではないが、触媒全体を基準として、1 〜20重量%程度とすることができる。

0032

本発明の触媒は、担体に担持されていてもよい。担体としては、特に限定的ではないが、例えば、SiO2,Al2O3、ゼオライト、活性炭、酸化ジルコニウム等を例示できる。

0033

反応方法
本発明では、少なくとも一部が結晶化した酸化クロム、及び該酸化クロムをフッ素化したフッ素化酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種からなる触媒の存在下において、前述した原料化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させればよい。

0034

フッ素化剤としては、フッ素ガス、無水フッ化水素等を用いることができ、無水フッ化水素が好ましい。

0035

原料化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させる方法としては、原料化合物とフッ素化剤が触媒に接触する際に、原料化合物とフッ素化剤が気体状態であればよく、原料化合物及びフッ素化剤の供給時には、これらが液体状態であってもよい。例えば、原料化合物が常温、常圧で液状である場合には、原料化合物を気化器を用いて気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させ、触媒と接触させる混合領域に供給すればよい。これによって、気相状態で反応を行うことができる。また、原料化合物を液体状態で反応装置に供給し、反応器に充填した触媒層を原料化合物の気化温度以上に加熱しておいて、フッ素化剤との反応領域に達した時に原料化合物を気化させて反応させても良い。

0036

導入するフッ素化剤と原料化合物との比率については特に限定的ではないが、フッ素化剤の量が少なすぎると、原料化合物の転化率が低下する傾向がある。一方、フッ素化剤の比率が多すぎると、反応後にフッ素化剤の分離量が増加することによる生産性の低下がある。これらの点から、フッ素化剤として無水フッ化水素を用いる場合には、通常、原料化合物1当量に対して、無水フッ化水素を5当量以上用いることが好ましく、5〜20当量程度用いることがより好ましい。

0037

本発明方法の具体的な実施態様の一例としては、管型の流通型反応器を用い、該反応器に上記した触媒を充填し、原料として用いる含塩素化合物とフッ素化剤を反応器に導入する方法を挙げることができる。

0038

反応器としては、ハステロイ(HASTELLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。

0039

上記した原料は、反応器にそのまま供給してもよく、或いは、窒素、ヘリウム、アルゴン等の原料や触媒に対して不活性なガスを共存させてもよい。不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分、即ち、含塩素化合物及びフッ素化剤に、不活性ガスを加えた量の0〜80 mol%程度とすることができる。

0040

本発明方法では、特に、酸素の存在下で反応を行うことによって、触媒活性の低下を抑制して、長期間継続して高い選択率で目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。酸素の存在下に反応を行う方法については特に限定はないが、通常は、原料として用いる含塩素化合物と共に酸素を反応器に供給すればよい。

0041

酸素の供給量については特に限定的でないが、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001モル程度以上とすることが好ましく、0.001〜0.3モル程度とすることがより好ましい。

0042

特に、原料転化率向上の効果を発揮した上で、選択率を高い値に維持するためには、結晶化度30%以上で平均結晶子径が10〜40 nm程度の酸化クロム、又はこれをフッ素化したフッ素化酸化クロムを触媒として用い、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001〜0.3モル程度という比較的少量の酸素を供給することが好ましく、特に、結晶化度60%以上で平均結晶子径が20〜35 nm程度の酸化クロム、又はこれをフッ素化したフッ素化酸化クロムを触媒として用い、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001〜0.3モル程度という比較的少量の酸素を供給することが好ましい。この様な条件で酸素の存在下に反応を行うことによって、触媒の劣化を抑制する効果が効果的に発揮された上で、副生する二酸化炭素生成量をより効果的に抑制することが出来る。このため、酸素が過剰に存在する場合の弊害である、精製工程において非凝縮性ガスとなって精製効率を悪化させるという問題を解消でき、更に、原料や生成ガス可燃性の場合における爆発の危険性も回避できる。

0043

これに対し、非晶質の酸化クロム触媒を用いる場合には、同じ反応条件下で同じ酸素導入量で比較した場合、二酸化炭素等の副生成物が多く生成し、相対的に目的物の収率が低下する。

0044

更に、本発明方法では、必要に応じて、分子状塩素の存在下に反応を行うことによって、触媒活性の低下を抑制して、長期間継続して高い選択率で、目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。分子状塩素の存在下に反応を行う方法については特に限定はないが、通常は、原料として用いる含塩素化合物と共に分子状塩素を反応器に供給すればよい。

0045

分子状塩素の供給量は、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001~0.05モル程度とすることが好ましく、0.002〜0.03モル程度とすることがより好ましい。

0046

更に,本発明の方法では、原料として用いる含塩素化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させる際に、反応系に含まれる水分量を低濃度に制御して反応を行うことによって、触媒活性の低下を抑制して長期間連続して高収率で目的とするフルオロオレフィンを製造することが可能となる。この場合、反応系中に含まれる水分として、原料として用いる含塩素化合物に含まれる水分、フッ素化剤に含まれる水分、必要に応じて添加する成分である、分子状塩素、酸素、不活性ガス等に含まれる水分が考えられ,これら水分の合計量は原料として用いる含塩素化合物の重量を基準として300ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。

0047

反応系に含まれる水分量を低下させる方法については特に限定はなく、原料として用いる含塩素化合物、フッ化水素、その他の添加成分について、反応に使用する前に公知の方法で脱水処理を行えばよく、予め脱水処理をした後、これを反応に供給する方法や、脱水処理を施した後に引き続き反応系に供給する方法等を適宜適用できる。

0048

原料として用いる含塩素化合物を脱水処理する方法としては、例えば、蒸留による方法や脱水剤による方法が適用でき、効率の面から脱水剤による水分除去方法が好ましい。脱水剤による水分除去方法としては、例えば、ゼオライトを用いて水分を吸着処理する方法が好ましい。ゼオライトの形状としては、特に限定的でないが、粉状、顆粒状、造粒状等の物を使用することができる。ゼオライトの細孔系としては、2.0-6.0Å程度の物を使用することができる。含塩素化合物とゼオライトとの接触方法については特に限定的ではないが、通常はゼオライトを充填した容器に含塩素化合物をガス状または液状で流通させるのが効率的に好ましい。

0049

また、脱水剤を充填した容器を別個に設けることなく、反応装置(反応管)内の触媒充填層の前に脱水剤の充填層を設けて、反応装置(反応管)に供給した原料を、脱水剤の充填層を通過させた後、触媒層を通過させる方法によっても、反応系に含まれる水分量を低下させて反応を行うことができる。脱水剤の充填層の設置位置については特に限定的でないが、100℃を超えると脱水剤から吸着した水分の脱離が起こることから、触媒層前の100℃以下の部分に設置することが好ましい。

0050

また、フッ素化剤の脱水処理方法としては、例えば、蒸留法等を適用できる。

0051

具体的な脱水処理の処理条件については、例えば、使用する原料、添加成分等に含まれる水分量や使用する装置の種類、構成等に応じて、予備的に実験を行うことによって、反応系における水分含有量が所望する値となるように決めればよい。

0052

反応温度については、低すぎると原料転化率が大きく低下し、高すぎると、不純物の副生が増大して選択率が低下するおそれがある。これらの点から、反応温度は200℃〜550℃程度とすることが好ましく、250℃〜380℃程度とすることがより好ましい。

0053

反応時の圧力については、特に限定的ではないが、大気圧〜3MPaの範囲であることが好ましく、大気圧〜0.3MPa程度の範囲であることがより好ましい。反応時の圧力を高くすると原料の転化率が向上する場合があるが、圧力が高すぎると、安全上、経済上のリスクが高くなる他、生成した目的のフルオロオレフィンにフッ化水素が付加した含フッ素アルカンが多く得られ、結果的に目的物の選択率が低下する場合もあるので好ましくない。

0054

反応時間については特に限定的ではないが、例えば、反応系に流す原料ガス全流量F0 (0℃、0.1 MPaでの流量:mL/sec)に対する触媒の充填量W (g)の比率:W/F0で表される接触時間を0.1〜100 g・sec/Nmlの範囲とすることが好ましく、5〜50 g・sec/Nml程度の範囲とすることがより好ましい。尚、この場合の原料ガスの全流量とは、含塩素化合物、及びフッ素化剤の合計流量に、更に、不活性ガス、分子状塩素、酸素などを用いる場合には、これらの流量を加えた量である。

0055

反応生成物
上記した方法によれば、上記した原料化合物のフッ素化反応によって、高い原料転化率で、選択性良く一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0056

具体的には、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料とする場合には、一般式(6)において、AがFであり、BがHである化合物、即ち、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2(式中、nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。また、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料とする場合には、一般式(6)において、AがHであり、BがFである化合物、即ち、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0057

例えば、原料として、一般式(1)で表される含塩素アルカンであるCF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、一般式(3)で表される含塩素アルケンであるCCl3CCl=CH2(HCO-1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO-1233xf)、一般式(5)で表される含塩素アルケンであるCH2ClCCl=CCl2(HCO-1230xa)等を用いる場合には、一般式:CF3CF=CH2(HFO-1234yf)で表される2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることができ、生成物中には、HFO-1234yfと同時に一般式:CF3CH=CHF(HFO-1234ze)で表される1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが含まれることがある。また、一般式(4)で表される含塩素アルケンであるCCl3CH=CHCl (HCO-1230zd)、CF3CH=CHCl(HCFO-1233zd)等を原料とする場合には、一般式:CF3CH=CHF(HFO-1234ze)で表される1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることができる。

0058

また、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物と、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物との混合物を原料とする場合には、一般式(6−1)で表されるフルオロオレフィンと、一般式(6−2)で表されるフルオロオレフィンの混合物を得ることができる。

0059

反応生成物は、蒸留などによって精製して回収することが出来る。また、反応器の出口の未反応のフッ素化剤、未反応の原料、中間物等は分離・精製後に再び反応器に戻してリサイクルして用いることができる。この様に未反応の原料およびフッ素化剤をリサイクルできることによって、仮に原料転化率が高くない場合であっても、高い生産性を維持することができる。

0060

尚、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を製造する際に、生成物中に含まれる副生物の主要成分である1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)は、脱フッ化水素反応によって2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に容易に変換できるため、生成物中に含まれる1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)も、有用な化合物である。また、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)を製造する際に、生成物中に含まれる副生物の主要成分である1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)は、脱フッ化水素反応によって1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)に容易に変換できるため、生成物中に含まれる1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)も、有用な化合物である。

発明の効果

0061

本発明方法によれば、少なくとも一部が結晶化された酸化クロム又はこれをフッ素化したフッ素化酸化クロムを触媒として用いることによって、特定の一般式で表される含塩素化合物を原料として、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

0062

このため、本発明の方法は、含塩素化合物のフッ素化反応によってフルオロオレフィンを製造する方法として、工業的に有利な方法である。

図面の簡単な説明

0063

製造例2で得られた非晶質酸化クロムのXRDパターン,およびCr2O3結晶のXRDパターンIndexである。
製造例3〜7で得られた少なくとも一部が結晶化した酸化クロムのXRDパターン、及びCr2O3結晶のXRDパターンIndexである。

実施例

0064

以下、本発明で用いる触媒の製造例と、本発明の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0065

製造例1(酸化クロム触媒前駆体の調製)
硝酸クロム9水和物77gを溶解させた水溶液900gに10%アンモニア水118gを加え、水酸化クロムを中和沈殿させた。その水酸化クロム沈殿物を、ブフナー漏斗を用いてろ取し、3Lの水で洗浄,ろ過して水酸化クロムを得た。

0066

製造例2(非晶質酸化クロム触媒の調製)
上記製造例1にて得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型し、さらに窒素気流中400℃で2時間焼成し酸化クロムを得た。

0067

当該酸化物粉末のXRDパターンによると、この酸化物には結晶に由来する回折パターンは観測されず非晶質であった。なお、図1中,2θ=26.5°付近の回折ピークは添加したグラファイトである。

0068

製造例3(一部結晶化酸化クロム触媒の調製:結晶化度38%,平均結晶子径32.3 nm)
上記製造例1にて得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、空気気流中350℃で3時間焼成し酸化クロムを得た。

0069

当該酸化物粉末のXRDパターンによると、この酸化物にはα−Cr2O3に由来する回折パターンが認められ、パターンのエリア面積から結晶化度は38%であり、結晶と非晶質部が混合された酸化クロムであった。半値幅から結晶化した酸化クロムの平均結晶子径は32.3nmであった。

0070

製造例4(一部結晶化酸化クロム触媒の調製:結晶化度62%,平均結晶子径25.3 nm)
上記製造例1にて得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、空気気流中400℃で3時間焼成し酸化クロムを得た。

0071

当該酸化物粉末のXRDパターンによると、この酸化物にはα−Cr2O3に由来する回折パターンが認められ、パターンのエリア面積から結晶化度は62%であり、結晶と非晶質部が混合された酸化クロムであった。半値幅から結晶化した酸化クロムの平均結晶子径は25.3nmであった。

0072

製造例5(一部結晶化酸化クロム触媒の調製:結晶化度73%,平均結晶子径24.0 nm)
上記製造例1にて得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、空気気流中550℃で3時間焼成し酸化クロムを得た。

0073

当該酸化物粉末のXRDパターンによると、この酸化物にはα−Cr2O3に由来する回折パターンが認められ、パターンのエリア面積から結晶化度は73%であり、結晶と非晶質部が混合された酸化クロムであった。半値幅から結晶化した酸化クロムの平均結晶子径は24.0nmであった。

0074

製造例6(結晶化酸化クロム触媒の調製:結晶化度100%,平均結晶子径34.3 nm)
上記製造例1にて得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、空気気流中700℃で3時間焼成し酸化クロムを得た。

0075

当該酸化物粉末のXRDパターンによると、α−Cr2O3に由来する回折パターンが認められ、パターンのエリア面積から結晶化度は100%であり、結晶質の酸化クロムであった。半値幅から結晶化した酸化クロムの平均結晶子径は34.3nmであった。なお,図2中、2θ=26.5°付近の回折ピークは成型するために添加したグラファイトである。

0076

実施例1〜4
製造例3〜6で調製した酸化クロム触媒7.0gを長さ1mの管状ハステロイ製反応器に充填した。

0077

この反応管を加熱し、まず窒素ガスとフッ化水素ガスを導入して触媒をフッ素化した。触媒とフッ化水素の急激な反応による触媒の変質などを避けるため、加熱の温度と導入速度は下記の通り2ステップに分けて段階的に行った。
ステップ1:200℃で窒素ガス450Nml/分(0℃、0.1MPaでの流量、以下同じ)、フッ化水素ガス50Nml/分、1時間。
ステップ2:330℃で窒素ガス100Nml/分、フッ化水素ガス400Nml/分、1時間。

0078

ステップ1とステップ2の間では、1.5時間かけて窒素ガスとフッ化水素ガスの流速、および温度を変化させた。

0079

次に反応管の温度を350℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを42Nml/分の流速で、酸素ガスを0.42Nml/分の流速で反応器に供給して0.5時間維持した。その後、CF3CCl=CH2 (HCFC−1233xf) のガスを4.2Nml/分の流速で供給した。約30時間後、反応器からの流出ガスを、ガスクロマトグラフを使用して分析した。

0080

結果を表1に示す。尚、生成物中、HFC-245cbは、脱フッ化水素反応によってHFO-1234yfに変換できる有用化合物であることから、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率も表1に示す。また、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率に基づいて、原料を基準としたHFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率を算出した結果と原料転化率も表1に示す。

0081

表中に示す各記号は、次の化合物を示す。
1233xf CF3CCl=CH2
1234yf CF3CF=CH2
245cb CF3CF2CH3
1234ze CF3CH=CHF
1233zd CF3CH=CHCl
比較例1
製造例2で得られた非晶質酸化クロムを触媒として用いる他は、実施例1と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表1に示す。

0082

0083

表1から明らかなように、結晶化度60%以上、平均結晶子径24〜35 nm,比表面積10m2/g以上という条件を満足する、一部または全部が結晶化した酸化クロムを触媒として用いた実施例2〜4では、非晶質酸化クロムを触媒として用いた比較例1と比較すると、有用化合物であるHFO-1234yfと HFC-245cbの選択率及び合計収率がいずれも高い値となり、更に、HCFC−1233xf転化率も高い値となった。特に、結晶化度100%の酸化クロムを触媒として用いた実施例4については、1234yf+245cb選択率が91%と最も高く、良好な結果を示した。

0084

上記した実施例及び比較例1では、いずれの場合もHCFC−1233xfの転化率は最大で20%であり、実際のプロセスでは未反応の原料をリサイクルして再利用することになる。従って、1234yf+245cb選択率が大きいほど、実際のプロセスにおける目的物の収率が大きくなる。また、設備コストについては、同条件で比較した場合、1233xf転化率が大きいほうが未反応の原料のリサイクル量が低減されるため抑制されることになる。

0085

よって、結晶化度60%以上、平均結晶子径24〜35 nm,比表面積10m2/g以上の酸化クロムを触媒として用いた実施例2〜4の方法は、1233xf転化率が大きく、1234yf+245cb選択率も大きい点で工業的に有利な方法といえる。

0086

また、結晶化度38%の酸化クロムを触媒として用いた実施例1については、HCFC−1233xfの転化率と、HFO-1234yf及び HFC-245cbの合計収率は、比較例1と比べて低い値であったが、HFO-1234yf及び HFC-245cbの選択率が高いために、原料を再利用する実際のプロセスでは、非晶質酸化クロムを触媒とする場合と比較すると、HFO-1234yf及び HFC-245cbの合計収率が高い値となり、工業的に有利な方法といえる。

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