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技術 Th1細胞のKIF20Aエピトープペプチドおよびこれを含有するワクチン

出願人 オンコセラピー・サイエンス株式会社
発明者 西村泰治冨田雄介大沢龍司
出願日 2013年7月9日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2015-501980
公開日 2015年8月27日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-524788
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 定量的指標 シンチグラフィ画像 成分物質 生物学的媒質 乾燥重 MHS 検出部位 結合溝
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図面 (20)

課題・解決手段

Th1細胞誘導能を有する単離されたKIF20A由来エピトープペプチドが本明細書において開示される。そのようなペプチドは、MHCクラスII分子によって認識され、Th1細胞を誘導することができる。好ましい態様では、本発明のそのようなペプチドは、MHCクラスII分子にプロミスキャスに結合することができ、Th1細胞に加えてKIF20A特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導することができる。そのようなペプチドは、したがって、対象において免疫応答を増強するのに使用することに適しており、したがってがん免疫療法において、特にがんワクチンとして使用することができる。前記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド、そのようなペプチドによって誘導されるAPCおよびTh1細胞ならびにそれに関連する誘導の方法も本明細書で開示される。前記成分のいずれかを有効成分として含有する医薬組成物は、例えば膀胱がん乳がん胆管細胞がん食道がん非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん前立腺がん腎がん小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含むがんまたは腫瘍治療および/または予防において使用される。

概要

背景

CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、主要組織適合遺伝子複合体MHCクラスI分子上で見いだされる腫瘍関連抗原(TAA)に由来するエピトープペプチドを認識し、その後腫瘍細胞死滅させることが示されている。TAAの最初の例として黒色腫抗原(MAGE)ファミリー発見されて以来、多くの他のTAAが、主として免疫学的アプローチを通して、発見されてきた(非特許文献1、2)。これらのTAAのいくつかは、現在、免疫療法の標的として臨床開発が進められている。

がん細胞の増殖および生存に不可欠なTAAは、免疫療法のための標的として有用であり、というのは、そのようなTAAの使用は、治療的に行われる免疫選択の結果としてのTAAの欠失突然変異または下方制御に起因するがん細胞の免疫逃避の広く記述されている危険性を最小限に抑え得るからである。したがって、強力で特異的な抗腫瘍免疫応答誘導することができる新しいTAAの同定はさらなる発展保証される。そこで、様々なタイプのがんに対するペプチドワクチン戦略の臨床適用が進行中である(非特許文献3〜10)。現在までに、これらの腫瘍関連抗原由来ペプチドを使用した臨床試験のいくつかの報告がある。残念ながら、これまでのところ、これらのがんワクチン治験は、今までにこれらのがんワクチン治験で認められてきた低い客観的応答率しかもたらしていない(非特許文献11〜13)。したがって、免疫療法の標的としての使用に適する新しいTAAが当分野において依然として必要である。

KIF20A遺伝子(RAB6KIFL)は、Rab6低分子量GTPアーゼとの直接相互作用を通してゴルジ装置動態役割を果たすことが初めて同定された(非特許文献14)。KIF20Aは、分子と細胞小器官輸送において極めて重要な機能を有する、モータータンパク質キネシンスーパーファミリーに属する(非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。最近、Taniuchi K et al.は、KIF20Aが膵がん組織過剰発現されることを報告した(非特許文献18)。著者らは、膵臓がん発生におけるKIF20Aの重要な役割に関する証拠を見出した。

23,040遺伝子を含むゲノムワイドcDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロフィール解析を通して、KIF20Aは、膀胱がん(特許文献1)、小細胞肺がん(SCLC)(特許文献2)およびホルモン不応性前立腺がん(HRPC)(特許文献3)などのいくつかのがんにおいて上方制御されることが最近示され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、KIF20A遺伝子産物の一部のエピトープペプチドも同定された(特許文献4)。

合わせて考慮すると、このデータは、KIF20Aが新規の潜在的な普遍的がん抗原であることを示唆する。したがって、KIF20A由来のエピトープペプチドは幅広いがんの治療のためのがん免疫療法として適用可能であり得る。
最近、健常ボランティアのPBMCから腫瘍反応性かつHLA−A2(A*02:01)拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導することができる高度免疫原性のKIF20A由来のCTLエピトープ(非特許文献19、特許文献5)が同定された。さらに、KIF20A由来HLA−A24拘束性CTLエピトープも同定されている(特許文献6)。それゆえ、KIF20Aは、がん免疫療法に適用できる依然として魅力的標的分子である。

腫瘍特異的CD4+ヘルパーT(Th)細胞、特にTヘルパー1型(Th1)細胞は、CTL媒介性抗腫瘍免疫の効率的な誘導に重要な役割を果たす(非特許文献20)。Th1細胞によって主として産生されるIFN−γは、長く持続するCTL応答の誘導と維持のために必須であり、免疫記憶の維持において重要な多数の相互作用を通して支援を提供する(非特許文献21、22)。Th1細胞によって分泌されるIFN−γは、直接の抗腫瘍作用または抗血管新生作用も媒介する(非特許文献23)。さらに、Th細胞は、腫瘍部位におけるCTLの侵入のために道を開かなければならないことが示されている(非特許文献24)。それゆえ、特異的Th1細胞を活性化することができる腫瘍関連抗原(TAA)由来Th細胞エピトープの同定は、腫瘍担持宿主における有効な腫瘍免疫の誘導のために重要である;理想的には、有効なワクチンの設計は、CTLとTh1細胞の両方を刺激する複数のエピトープを含むべきである(非特許文献25)。しかしながら、KIF20Aに由来するそのようなエピトープは未だ同定されていない。

概要

Th1細胞誘導能を有する単離されたKIF20A由来のエピトープペプチドが本明細書において開示される。そのようなペプチドは、MHCクラスII分子によって認識され、Th1細胞を誘導することができる。好ましい態様では、本発明のそのようなペプチドは、MHCクラスII分子にプロミスキャスに結合することができ、Th1細胞に加えてKIF20A特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導することができる。そのようなペプチドは、したがって、対象において免疫応答を増強するのに使用することに適しており、したがってがん免疫療法において、特にがんワクチンとして使用することができる。前記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチド、そのようなペプチドによって誘導されるAPCおよびTh1細胞ならびにそれに関連する誘導の方法も本明細書で開示される。前記成分のいずれかを有効成分として含有する医薬組成物は、例えば膀胱がん、乳がん胆管細胞がん食道がん非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含むがんまたは腫瘍の治療および/または予防において使用される。

目的

Th1細胞によって主として産生されるIFN−γは、長く持続するCTL応答の誘導と維持のために必須であり、免疫記憶の維持において重要な多数の相互作用を通して支援を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
- 件
牽制数
- 件

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請求項1

10〜30アミノ酸長を有し、配列番号:11のアミノ酸配列の一部を含む単離されたペプチドであって、(a)配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列から選択される9を超えるアミノ酸長を有する連続するアミノ酸配列;および(b)(a)のアミノ酸配列において1、2または数個アミノ酸置換欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を含み、Tヘルパー1型(Th1)細胞誘導する能力を有する、ペプチド。

請求項2

前記ペプチドまたはその断片が少なくとも2種類のMHCクラスII分子に結合する能力を有する、請求項1に記載の単離されたペプチド。

請求項3

前記MHCクラスII分子が、HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2から成る群より選択される、請求項2に記載の単離されたペプチド。

請求項4

KIF20A特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL誘導能を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の単離されたペプチド。

請求項5

(a)配列番号:1、2、3および4から成る群より選択されるアミノ酸配列;および(b)(a)のアミノ酸配列において1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、請求項4に記載の単離されたペプチド。

請求項6

請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド

請求項7

(i)Th1細胞、(ii)CTL、(iii)Th1細胞を誘導する能力を有する抗原提示細胞APC)、および(iv)CTLを誘導する能力を有するAPCから成る群より選択される細胞の少なくとも1つを誘導するための組成物であって、請求項1から5のいずれか一項に記載の1つもしくは複数のペプチド、またはそれらをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む、組成物。

請求項8

(a)請求項1から5のいずれか一項に記載の1つまたは複数のペプチド;(b)請求項6に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;(c)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;(d)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および(e)前記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せから成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有し、ならびに(i)がん治療、(ii)がんの予防、(iii)がんにおける術後再発の予防、および(iv)前記(i)から(iii)の任意の2つまたはそれ以上の組合せから成る群より選択される目的のために製剤化されている、医薬組成物

請求項9

MHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2から成る群より選択される少なくとも1つを有する対象への投与用に製剤化されている、請求項8に記載の医薬組成物。

請求項10

CTL誘導能を有する1つまたは複数のペプチドをさらに含有する、請求項8または9に記載の医薬組成物。

請求項11

MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答を増強するための組成物であって、(a)請求項1から5のいずれか一項に記載の1つまたは複数のペプチド;(b)請求項6に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;(c)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;(d)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および(e)前記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せから成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有する、組成物。

請求項12

Th1細胞を誘導する能力を有するAPCを誘導するための方法であって、APCを請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドとインビトロエクスビボまたはインビボで接触させる段階を含む方法。

請求項13

CTLを誘導する能力を有するAPCを誘導するための方法であって、(a)APCを請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドとインビトロ、エクスビボまたはインビボで接触させる段階;および(b)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階から成る群より選択される段階を含む方法。

請求項14

Th1細胞を誘導するための方法であって、(a)CD4陽性T細胞を、MHCクラスII分子と請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示するAPCと共培養する段階;および(b)T細胞受容体(TCR)サブユニットの両方をコードするポリヌクレオチド、またはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドをCD4陽性T細胞に導入する段階であって、ここでTCRが、細胞表面に提示されるMHCクラスII分子と請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片との複合体に結合することができる、段階から成る群より選択される段階を含む方法。

請求項15

CTLを誘導するための方法であって、(a)CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の両方を、請求項4または5に記載のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階;ならびに(b)CD8陽性T細胞を、請求項4または5に記載のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階から成る群より選択される段階を含む方法。

請求項16

MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答を増強するための方法であって、(a)請求項1から5のいずれか一項に記載の1つまたは複数のペプチド;(b)請求項6に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;(c)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;(d)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および(e)前記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せから成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を対象に投与する段階を含む方法。

請求項17

MHCクラスII分子と請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示する、単離されたAPC。

請求項18

請求項12または13に記載の方法によって誘導されるAPC。

請求項19

APCの表面に提示された請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を認識する、単離されたTh1細胞。

請求項20

請求項14に記載の方法によって誘導されるTh1細胞。

請求項21

がんに対する免疫応答を、それを必要とする対象において誘導する方法であって、(a)請求項1から5のいずれか一項に記載の1つまたは複数のペプチド;(b)請求項6に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;(c)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;(d)請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および(e)前記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せから成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有する組成物を前記対象に投与する段階を含む方法。

請求項22

請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドに対する抗体またはその免疫学的活性な断片。

請求項23

請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター

請求項24

請求項23に記載の発現ベクター形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞

請求項25

請求項1から5のいずれか一項に記載のペプチド、請求項6に記載のポリヌクレオチドまたは請求項22に記載の抗体を含む、診断キット

技術分野

0001

本発明は生物科学の分野、より詳細にはがん療法の分野に関する。特に、本発明は、がんワクチンとして極めて有効な新規ペプチド、ならびに腫瘍治療および予防のいずれかまたは両方のための薬剤に関する。
優先権
本出願は、2012年7月10日出願の米国特許仮出願第61/669,999号の恩典を主張し、その全内容が参照により本明細書に組み込まれる。

背景技術

0002

CD8陽性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)は、主要組織適合遺伝子複合体MHCクラスI分子上で見いだされる腫瘍関連抗原(TAA)に由来するエピトープペプチドを認識し、その後腫瘍細胞死滅させることが示されている。TAAの最初の例として黒色腫抗原(MAGE)ファミリー発見されて以来、多くの他のTAAが、主として免疫学的アプローチを通して、発見されてきた(非特許文献1、2)。これらのTAAのいくつかは、現在、免疫療法の標的として臨床開発が進められている。

0003

がん細胞の増殖および生存に不可欠なTAAは、免疫療法のための標的として有用であり、というのは、そのようなTAAの使用は、治療的に行われる免疫選択の結果としてのTAAの欠失突然変異または下方制御に起因するがん細胞の免疫逃避の広く記述されている危険性を最小限に抑え得るからである。したがって、強力で特異的な抗腫瘍免疫応答誘導することができる新しいTAAの同定はさらなる発展保証される。そこで、様々なタイプのがんに対するペプチドワクチン戦略の臨床適用が進行中である(非特許文献3〜10)。現在までに、これらの腫瘍関連抗原由来ペプチドを使用した臨床試験のいくつかの報告がある。残念ながら、これまでのところ、これらのがんワクチンの治験は、今までにこれらのがんワクチン治験で認められてきた低い客観的応答率しかもたらしていない(非特許文献11〜13)。したがって、免疫療法の標的としての使用に適する新しいTAAが当分野において依然として必要である。

0004

KIF20A遺伝子(RAB6KIFL)は、Rab6低分子量GTPアーゼとの直接相互作用を通してゴルジ装置動態役割を果たすことが初めて同定された(非特許文献14)。KIF20Aは、分子と細胞小器官輸送において極めて重要な機能を有する、モータータンパク質キネシンスーパーファミリーに属する(非特許文献15、非特許文献16、非特許文献17)。最近、Taniuchi K et al.は、KIF20Aが膵がん組織過剰発現されることを報告した(非特許文献18)。著者らは、膵臓がん発生におけるKIF20Aの重要な役割に関する証拠を見出した。

0005

23,040遺伝子を含むゲノムワイドcDNAマイクロアレイを用いた遺伝子発現プロフィール解析を通して、KIF20Aは、膀胱がん(特許文献1)、小細胞肺がん(SCLC)(特許文献2)およびホルモン不応性前立腺がん(HRPC)(特許文献3)などのいくつかのがんにおいて上方制御されることが最近示され、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。さらに、KIF20A遺伝子産物の一部のエピトープペプチドも同定された(特許文献4)。

0006

合わせて考慮すると、このデータは、KIF20Aが新規の潜在的な普遍的がん抗原であることを示唆する。したがって、KIF20A由来のエピトープペプチドは幅広いがんの治療のためのがん免疫療法として適用可能であり得る。
最近、健常ボランティアのPBMCから腫瘍反応性かつHLA−A2(A*02:01)拘束性細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を誘導することができる高度免疫原性のKIF20A由来のCTLエピトープ(非特許文献19、特許文献5)が同定された。さらに、KIF20A由来HLA−A24拘束性CTLエピトープも同定されている(特許文献6)。それゆえ、KIF20Aは、がん免疫療法に適用できる依然として魅力的標的分子である。

0007

腫瘍特異的CD4+ヘルパーT(Th)細胞、特にTヘルパー1型(Th1)細胞は、CTL媒介性抗腫瘍免疫の効率的な誘導に重要な役割を果たす(非特許文献20)。Th1細胞によって主として産生されるIFN−γは、長く持続するCTL応答の誘導と維持のために必須であり、免疫記憶の維持において重要な多数の相互作用を通して支援を提供する(非特許文献21、22)。Th1細胞によって分泌されるIFN−γは、直接の抗腫瘍作用または抗血管新生作用も媒介する(非特許文献23)。さらに、Th細胞は、腫瘍部位におけるCTLの侵入のために道を開かなければならないことが示されている(非特許文献24)。それゆえ、特異的Th1細胞を活性化することができる腫瘍関連抗原(TAA)由来Th細胞エピトープの同定は、腫瘍担持宿主における有効な腫瘍免疫の誘導のために重要である;理想的には、有効なワクチンの設計は、CTLとTh1細胞の両方を刺激する複数のエピトープを含むべきである(非特許文献25)。しかしながら、KIF20Aに由来するそのようなエピトープは未だ同定されていない。

0008

国際公開第2006/085684号
国際公開第2007/013665号
国際公開第2008/102906号
国際公開第2008/102557号
国際公開第2010/047062号
国際公開第2008/102557号

先行技術

0009

Boon T,Int J Cancer 1993 May 8,54(2):177−80
Boon T and van der Bruggen P,J Exp Med 1996 Mar 1,183(3):725−9
Harris CC,J Natl Cancer Inst 1996 Oct 16,88(20):1442−55
ButterfieldLHet al.,Cancer Res 1999 Jul 1,59(13):3134−42
Vissers JL et al.,Cancer Res 1999 Nov 1,59(21):5554−9
van der Burg SH et al.,J Immunol 1996 May 1,156(9):3308−14
Tanaka F et al.,Cancer Res 1997 Oct 15,57(20):4465−8
Fujie T et al.,Int J Cancer 1999 Jan 18,80(2):169−72
Kikuchi M et al.,Int J Cancer 1999 May 5,81(3):459−66
Oiso M et al.,Int J Cancer 1999 May 5,81(3):387−94
Belli F et al.,J Clin Oncol 2002 Oct 15,20(20):4169−80
CouliePGet al.,Immunol Rev 2002 Oct,188:33−42
Rosenberg SA et al.,Nat Med 2004 Sep,10(9):909−15
Echard A,et al.Science 1998;279:580−5
Echard A,et al.Science 1998;279:580−5
Hirokawa N,et al.Curr Opin Cell Biol 1998;10:60−73
Allan VJ,and Schroer TA.Curr Opin Cell Biol 1999;11:476−82
Taniuchi K,et al.Cancer Res 2005;65:105−12
Imai K,et al.Br J Cancer;104:300−7
Chamoto K et al.Cancer Res 2004;64:386−90
Bevan MJ.Nat Rev Immunol 2004;4:595−602
Shedlock DJ and Shen H.Science 2003;300:337−9
Street SE et al.Blood 2001;97:192−7
Bos R,and Sherman LA.Cancer Res;70:8368−77
Melief CJ et al.Nat Rev Cancer 2008;8:351−60

発明が解決しようとする課題

0010

本発明に関連して、本発明者らは、がん免疫療法のための理想的なペプチドワクチンは、両者が互いに天然近位である、CTLとTh1細胞の両方のエピトープを含む単一ポリペプチドを含むものであると考えた(Kenter GG et al.N Engl J Med 2009;361:1838−47)。
そのために、本発明者らは、プロミスキャスな(promiscuous)HLAクラスII分子との関連で認識され、CTLエピトープを含む、新規KIF20A由来Th1細胞エピトープを同定する戦略を設計し、そのようにして特徴づけられたエピトープがより効率的なT細胞媒介性腫瘍免疫を誘導するという仮定の下で研究を進めた。HLAクラスII結合ペプチド予測するコンピュータアルゴリズムおよびHLA−A24(A*24:02)またはA2拘束性CTLによって認識される公知のCTLエピトープ配列を使用して、候補となる、CTLエピトープを含有するプロミスキャスなHLAクラスII拘束性Th1細胞エピトープを選択した。

0011

本発明は、少なくとも一部には、Th1細胞応答を誘導するための免疫療法の標的として役立つ適切なエピトープペプチドの発見に基づく。KIF20A遺伝子は、膀胱がん、乳がん胆管細胞がん食道がん非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含む多くのがん型で上方制御されることが認められているので、本発明は、キネシンファミリーメンバー20A(KIF20A)遺伝子の遺伝子産物、より詳細にはGenBankアクセッション番号NM_005733(配列番号:10)の遺伝子によってコードされる配列番号:11に示すポリペプチドをさらなる分析のための標的とする。対応する分子に特異的なTh1細胞を誘発するエピトープペプチドを含むKIF20A遺伝子産物をさらなる試験のために特に選択した。例えば、健常ドナーまたはHNMT患者から得られた末梢血単核細胞(PBMC)を、ヒトKIF20Aに由来するプロミスキャスなHLA−DRおよび/またはDP結合ペプチドを用いて刺激した。それぞれの候補ペプチドパルスしたHLA−DRまたはDP陽性標的細胞を認識するTh1細胞を樹立し、KIF20Aに対する強力で特異的な免疫応答を誘導することができるHLA−DRおよび/またはDP拘束性エピトープペプチドを同定した。これらの結果は、KIF20Aが強力な免疫原性をもち、そのエピトープはTh1細胞応答を通して媒介される腫瘍免疫療法のために有効であることを明らかにする。付加的な試験は、少なくとも1つのCTLエピトープを含むプロミスキャスなHLA−DRおよび/またはDP結合ペプチドが、同じドナーにおいてKIF20A特異的にCTL応答を刺激できることも明らかにした。これらの結果は、KIF20Aが強く免疫原性であること、ならびにTh1細胞およびCTLエピトープの両方を含むそのエピトープが、Th1細胞およびCTL応答の両方を通して媒介される腫瘍免疫療法のために有効であることを確認する。

課題を解決するための手段

0012

それゆえ、Th1細胞誘導能ならびに配列番号:1、2、3および4の中から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを提供することが本発明の1つの目的である。本発明は、改変されたペプチド、すなわち最大30アミノ酸までの長さであり、配列番号:11(KIF20A)のアミノ酸配列から選択される連続するアミノ酸配列を有する、Th1細胞誘導能を備えたペプチド、ならびにその機能的等価物企図する。あるいは、本発明はまた、Th1細胞およびCTL誘導能の両方を有するペプチドも提供する。いくつかの態様において、本発明のペプチドは、配列番号:1、2、3および4のアミノ酸配列または、Th1細胞を誘導する能力を維持しつつ、1、2もしくは数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/もしくは付加されている、その改変型に対応する。

0013

対象に投与された場合、本発明のペプチドは、好ましくは1つまたは複数の抗原提示細胞の表面に提示され、次にこれがTh1細胞を誘導する。本発明のペプチドが少なくとも1つのCTLエピトープをさらに含む場合、そのようなAPCはまた、本発明のペプチドから生成されるCTLエピトープを提示し、したがってそれぞれのペプチドを標的とするCTLを誘導するようにペプチドをプロセシングする。それゆえ、本発明のペプチドのいずれかまたはその断片を提示する抗原提示細胞、ならびに抗原提示細胞を誘導するための方法を提供することが本発明のさらなる目的である。

0014

本発明の1つまたは複数のペプチドもしくはそのようなペプチドをコードするポリヌクレオチド、またはそのようなペプチドもしくはその断片を提示する抗原提示細胞の投与は、強力な抗腫瘍免疫応答の誘導をもたらす。したがって、以下の1つまたは複数を有効成分として含有する薬剤または医薬組成物を提供することが本発明のさらにもう1つの目的である:(a)本発明の1つまたは複数のペプチド、(b)そのようなペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド、および(c)本発明の1つまたは複数の抗原提示細胞。そのような本発明の薬剤または医薬組成物は、ワクチンとして特に有用である。

0015

がん(すなわち腫瘍)の治療および/もしくは予防(すなわち防止)、ならびに/またはその術後再発の予防のための方法を提供することが本発明のなおさらなる目的である。本発明の1つまたは複数のペプチド、ポリヌクレオチド、抗原提示細胞または薬剤もしくは医薬組成物を投与する段階を含む、Th1細胞を誘導するまたは抗腫瘍免疫を誘導するための方法も企図される。さらに、本発明のTh1細胞はがんに対するワクチンとしても使用され、がんの例には、膀胱がん、乳がん、胆管細胞がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)が含まれるが、これらに限定されない。

0016

本発明の特に企図される目的の例には以下が含まれる:
[1]10〜30アミノ酸長を有し、配列番号:11のアミノ酸配列の一部を含む単離されたペプチドであって:
(a)配列番号:1、2、3、または4のアミノ酸配列から選択される9を超えるアミノ酸長を有する連続するアミノ酸配列;および
(b)(a)のアミノ酸配列において1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列
から成る群より選択されるアミノ酸配列を含み、Tヘルパー1型(Th1)細胞を誘導する能力を有するペプチド。
[2]前記ペプチドまたはその断片が少なくとも2種類のMHCクラスII分子に結合する能力を有する、[1]に記載の単離されたペプチド。
[3]前記MHCクラスII分子がHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2から成る群より選択される、[2]に記載の単離されたペプチド。
[4]前記ペプチドが、KIF20A特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、[1]から[3]のいずれか1つに記載の単離されたペプチド。
[5]前記ペプチドが、
(a)配列番号:1、2、3および4から成る群より選択されるアミノ酸配列;および
(b)(a)のアミノ酸配列において1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されているアミノ酸配列
から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、[4]に記載の単離されたペプチド。
[6][1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドをコードする単離されたポリヌクレオチド。
[7]
(i)Th1細胞、
(ii)CTL、
(iii)Th1細胞を誘導する能力を有する抗原提示細胞(APC)、および
(iv)CTLを誘導する能力を有するAPC
から成る群より選択される細胞の少なくとも1つを誘導するための組成物であって、[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つもしくは複数のペプチド、またはそれらをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む、組成物、または
(i)Th1細胞、
(ii)CTL、
(iii)Th1細胞を誘導する能力を有する抗原提示細胞(APC)、および
(iv)CTLを誘導する能力を有するAPC
から成る群より選択される少なくとも1種類の細胞を誘導するための組成物であって、[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つもしくは複数のペプチド、またはそれらをコードする1つもしくは複数のポリヌクレオチドを含む、組成物。
[8]
(a)[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つまたは複数のペプチド;
(b)[6]に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;
(c)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;
(d)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および
(e)上記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合
から成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有し、ならびに
(i)がんの治療、
(ii)がんの予防、
(iii)がんにおける術後再発の予防、および
(iv)上記(i)から(iii)の任意の2つまたはそれ以上の組合せ
から成る群より選択される目的のために製剤化されている、医薬組成物。
[9]前記組成物が、MHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2から成る群より選択される少なくとも1つを有する対象への投与のために製剤化されている[8]に記載の医薬組成物、または前記組成物が、HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2から成る群より選択される少なくとも1つのMHCクラスII分子を有する対象への投与用に製剤化されている[8]に記載の医薬組成物。
[10]前記組成物が、CTL誘導能を有する1つまたは複数のペプチドをさらに含有する、[8]または[9]に記載の医薬組成物。
[11]MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答を増強するための組成物であって、
(a)[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つまたは複数のペプチド;
(b)[6]に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;
(c)[1]から[5]のいずれか1つのペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;
(d)[1]から[5]のいずれか1つのペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および
(e)上記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せ
から成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有する組成物。
[12]Th1細胞を誘導する能力を有するAPCを誘導するための方法であって、APCを[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドとインビトロエクスビボまたはインビボで接触させる段階を含む方法。
[13]CTLを誘導する能力を有するAPCを誘導するための方法であって、
(a)APCを[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドとインビトロ、エクスビボまたはインビボで接触させる段階;および
(b)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階
から成る群より選択される段階を含む方法。
[14]Th1細胞を誘導するための方法であって、
(a)CD4陽性T細胞を、MHCクラスII分子と[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示するAPCと共培養する段階;および
(b)T細胞受容体(TCR)サブユニットの両方をコードするポリヌクレオチド、またはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドをCD4陽性T細胞に導入する段階であって、ここでTCRが、細胞表面に提示されるMHCクラスII分子と[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片との複合体に結合することができる、段階
から成る群より選択される段階を含む方法、またはTh1細胞を誘導するための方法であって、
(a)CD4陽性T細胞を、MHCクラスII分子と[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示するAPCと共培養する段階;および
(b)T細胞受容体(TCR)サブユニットの両方をコードする単一ポリヌクレオチド、または各々別々のTCRサブユニットをコードする複数のポリヌクレオチドをCD4陽性T細胞に導入する段階であって、ここでTCRが、APCの細胞表面に提示されるMHCクラスII分子と[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片との複合体に結合することができる、段階
から成る群より選択される段階を含む方法。
[15]CTLを誘導するための方法であって、
(a)CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の両方を、[4]または[5]に記載のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階;ならびに
(b)CD8陽性T細胞を、[4]または[5]に記載のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階
から成る群より選択される段階を含む方法。
[16]MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答を増強するための方法であって、
(a)[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つまたは複数のペプチド;
(b)[6]に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;
(c)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;
(d)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および
(e)上記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せ
から成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を対象に投与する段階を含む方法。
[17]MHCクラスII分子と[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示する、単離されたAPC。
[18][12]または[13]の方法によって誘導されるAPC。
[19]APCの表面に提示された[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を認識する、単離されたTh1細胞。
[20][14]に記載の方法によって誘導されるTh1細胞。
[21]がんに対する免疫応答を、それを必要とする対象において誘導する方法であって、
(a)[1]から[5]のいずれか1つに記載の1つまたは複数のペプチド;
(b)[6]に記載の1つまたは複数のポリヌクレオチド;
(c)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示する1つまたは複数のAPC;
(d)[1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPCを認識する1つまたは複数のTh1細胞;および
(e)上記(a)から(d)の任意の2つまたはそれ以上の組合せ
から成る群より選択される少なくとも1つの有効成分を含有する組成物を対象に投与する段階を含む方法。
[22][1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドに対する抗体またはその免疫学的に活性な断片。
[23][1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチドをコードするヌクレオチド配列を含むベクター
[24][23]に記載の発現ベクター形質転換またはトランスフェクトされた宿主細胞
[25][1]から[5]のいずれか1つに記載のペプチド、[6]に記載のポリヌクレオチドまたは[22]に記載の抗体を含む、診断キット

0017

上記に加えて、本発明の他の目的および特徴は、以下の詳細な説明を付属の図面および実施例と併せて読めばより十分に明らかになる。しかしながら、本発明の前記概要および以下の詳細な説明はどちらも例示的な態様であり、本発明または本発明のその他の代替的な態様を限定するものではないことが理解されるべきである。特に、ここでいくつかの特定の態様を参照して本発明を説明するが、説明は本発明を例証するものであり、本発明の限定とは解釈されないことが認識される。様々な変更および適用が、付属の特許請求の範囲に記載されている本発明の精神および範囲から逸脱することなく、当業者想起され得る。同様に、本発明の他の目的、特徴、利益および利点は、本概要および以下に記載する特定の態様から明らかであり、また当業者には容易に明白である。そのような目的、特徴、利益および利点は、単独でまたは本明細書に組み込まれる参考文献を考慮して、付属の実施例、データ、図面およびそれらから引き出されるすべての妥当推論と併せて上記から明らかとなるであろう。

図面の簡単な説明

0018

本発明の様々な局面および適用は、以下の図面の簡単な説明および本発明の詳細な説明とその好ましい態様を考慮した上で当業者に明らかになるであろう。

0019

図1は、コンピュータアルゴリズム(コンセンサス法)によって予測されるCTLエピトープを含むプロミスキャスなHLAクラスII結合KIF20A由来ペプチドを示す。パートAは、コンピュータアルゴリズム(IEDB解析リソース、コンセンサス法、http://tools.immuneepitope.org/analyze/html/mhc_II_binding.html)を用いたヒトKIF20Aタンパク質のアミノ酸配列の解析の結果を表示する。横軸数字は、KIF20A由来の15merペプチドのN末端アミノ酸残基位置を示す。小さな数のパーセンタイル順位は、HLAクラスII分子への高い親和性を示す。

0020

パートBは、複数のHLAクラスIIアリル産物(DRB1*04:05、DRB1*15:02およびDRB4*01:03)についてオーバーラップする高いコンセンサスパーセンタイル順位を有する4つの長鎖ペプチド(KIF20A(60−84)、25mer;KIF20A(494−517)、24mer;KIF20A(809−833)、25mer;KIF20A(843−863)、22mer)を選択した(A、1〜4の番号を付した黒いバー)ことを示す。KIF20A(60−84)およびKIF20A(809−833)は、CTLによってそれぞれHLA−A24またはA2に関連して認識される10merまたは9merペプチドを含む。

0021

図2は、長鎖ペプチドでの刺激によるKIF20A特異的CD4+T細胞の誘導および拘束HLAクラスII分子の同定を示す。CD4+T細胞株を、KIF20A(60−84)またはKIF20A(809−833)での少なくとも3回の刺激後に様々なHLAクラスII遺伝子型を有する2名の健常ドナーから生成し、IFNγ産生CD4+T細胞の数をELISPOTアッセイによって分析した。パートAでは、KIF20A(60−84)またはKIF20A(809−833)でパルスした自己PBMCに対する応答を3名の健常ドナーについて示す。CD4+T細胞を、PBMC単独(−)、KIF20A(60−84)もしくはKIF20A(809−833)(10μg/ml)でパルスしたPBMC、またはHLA−DR、HLA−DPもしくはHLA−DQに特異的な5μg/mlのmAbの存在下にKIF20A(60−84)もしくはKIF20A(809−833)でパルスしたPBMCで刺激した。

0022

KIF20A(809−833)でパルスした自己PBMCに対する応答を3名の健常ドナーについて示す。

0023

パートBでは、ドナーHDK1に由来するHLA−DP拘束性およびKIF20A(60−84)特異的CD4+T細胞クローンを、KIF20A(60−84)でパルスしたもしくはパルスしていない同種PBMC、またはHLA−DP2陽性もしくは陰性の4名のドナーから単離して、抗HLA−DRもしくは抗HLA−DPブロッキングmAbの存在下にKIF20A(60−84)でパルスした同種PBMCと共培養した(上のパネル)。HLA−DR15陽性健常ドナーHDK2から樹立したKIF20A(60−84)特異的バルクCD4+T細胞株を、KIF20A(60−84)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR15、または抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下にKIF20A(60−84)でパルスしたL−DR15、またはKIF20A(60−84)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR8と共培養した。IFNγ産生Th細胞の数をELISPOTアッセイによって分析した(下のパネル)。

0024

パートCでは、HLA−DR53陽性ドナーHDK1に由来するKIF20A(809−833)特異的CD4+T細胞株を、KIF20A(809−833)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR53、抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下にKIF20A(809−833)でパルスしたL−DR53、またはKIF20A(809−833)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR4と共培養した(左側のパネル)。HLA−DR15陽性ドナーHDK2に由来するKIF20A(809−833)特異的CD4+T株を、KIF20A(809−833)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR15、抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下にKIF20A(809−833)でパルスしたL−DR15、またはKIF20A(809−833)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR8と共培養した(右側のパネル)。ドナーのHLA型を各パネルの上部に示した。データは、2回または3回のアッセイの平均±SDとして提示している。同様の結果を得た少なくとも3つの独立した実験からの代表的なデータを示す。

0025

パートDでは、KIF20A(494−517)でパルスした自己PBMCに対する応答をHLA−DR4陽性の健常ドナーについて示す。CD4+T細胞を、PBMC単独(−)、KIF20A(494−517)(10μg/ml)でパルスしたPBMC、またはHLA−DRもしくはHLA−DPに特異的な5μg/mlのmAbの存在下にKIF20A(494−517)でパルスしたPBMCで刺激した(上のパネル)。HLA−DR4陽性健常ドナーHDK1から樹立したKIF20A(494−517)特異的CD4+T細胞株を、KIF20A(494−517)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR4、WT1ペプチドでパルスしたL−DR4、抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下にKIF20A(494−517)でパルスしたL−DR4、またはKIF20A(494−517)でパルスしたもしくはパルスしていないL−DR53と共培養した。IFNγ産生Th細胞の数をELISPOTアッセイによって分析した(下のパネル)。

0026

パートEでは、KIF20A(843−863)でパルスした自己PBMCに対する応答をHLA−DR4陽性およびDR53陽性の健常ドナーについて示す。CD4+T細胞を、PBMC単独(−)、KIF20A(843−863)(10μg/ml)でパルスしたPBMC、またはHLA−DRもしくはHLA−DPに特異的な5μg/mlのmAbの存在下にKIF20A(843−863)でパルスしたPBMCで刺激した。

0027

図3は、バルクKIF20A特異的CD4+Th細胞株の機能的特性を示す。パートAでは、KIF20A(60−84)でパルスした自己PBMC(3×104)またはKIF20A(809−833)でパルスしたL−DR53(5×104)と共培養したT細胞(1×104)の20時間のインキュベーション期間後、培地回収し、Bio−Plexアッセイシステムを用いてサイトカイン(IFN−γ、TNF−α、GMCSFMIP1β、IL−2、IL−4およびIL−7)の濃度を測定した。データは、3回のアッセイの平均±SDとして提示している。

0028

図3A2図3A1続きである。

0029

パートBでは、抗原刺激後にCD4+T細胞の表面に露出されたCD107aの検出を示す。細胞をKIF20A(60−84)、KIF20A(809−833)または無関係なペプチドで再刺激した。プロットの内部の数字は、象限の特徴を有する細胞集団(CD4+CD107a+T細胞)のパーセンテージを示す。

0030

図4は、KIF20Aタンパク質をロードした自己DCを認識するKIF20A(60−84)特異的およびKIF20A(809−833)特異的Thクローンを示す。パートAでは、ドナーHDK2から樹立したHLA−DR15拘束性KIF20A(60−84)特異的Thクローン(左側のパネル)またはドナーHDK1から樹立したHLA−DR53拘束性KIF20A(809−833)特異的Thクローン(2×104/ウェル)(右側のパネル)を、抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下に組換えKIF20Aタンパク質(50μg/ml)をロードした自己DC(5×103/ウェル)、対照タンパク質、またはロードしていないDCと共培養した。IFN−γ産生Thクローンの数をELISPOTアッセイによって分析した。データは2回のアッセイの平均±SDとして提示している。同様の結果を得た3つの独立した実験からの代表的なデータを示す。パートBでは、ドナーHDK1から樹立したHLA−DP2拘束性KIF20A(60−84)特異的Thクローン(2×104/ウェル)を、抗HLA−DPまたは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下に組換えKIF20Aタンパク質(50μg/ml)をロードした自己DC(5×103/ウェル)、対照タンパク質と共培養した。IFN−γ産生Thクローンの数をELISPOTアッセイによって分析した。データは2回のアッセイの平均±SDとして提示している。同様の結果を得た2つの独立した実験からの代表的なデータを示す。

0031

図5は、インビトロでKIF20A−A24(66−75)特異的CD8+T細胞の増殖を誘導するKIF20A(60−84)LPを示す。パートAでは、PBMC(2×106/ウェル)を、いずれのサイトカインも添加せずにKIF20A(60−84)LP(7μM)またはKIF20A−A24(66−75)SP(7μM)と共に2週間インキュベートした。0日目と7日目に、KIF20A由来のLPおよびSPを添加し、次にペプチドでのインビトロ刺激の14日目に、細胞を回収して、FITC標識抗ヒトCD8 mAbと組み合わせてHLA−A*24:02/KIF20A−A24(66−75)ペプチド複合体のPE標識テトラマーで染色し、フローサイトメトリによって分析した。右上象限のドットはCD8+テトラマー+T細胞を表す。示されている事象はCD8+T細胞にゲートをかけている。プロットの内部の数字は、右上象限の特徴を有する細胞集団(CD8+テトラマー+T細胞)のパーセンテージを示す。データは、2名のHLA−A24陽性健常ドナーからの同様の結果を得た多くの独立した実験を代表する。

0032

パートBでは、HLA−A24陽性健常ドナーHDK5(2名のHLA−A24陽性健常ドナーのうちの1名)からのPBMCにおける個々の培養ウェル中のCD8+テトラマー+細胞の絶対数を示す(各々のドットは培養ウェル中のKIF20A−A24(66−75)特異的CTLの絶対数を表す)。プロットの各群内の線は中央値を示し、「n.s.」は、ノンパラメトリックマンホイットニーU検定によって解析した統計的に「有意でない」結果を表す。
パートCでは、ペプチドでのインビトロ刺激の14日目に細胞を回収し、IFN−γ ELISPOTアッセイによって評価した。棒は、細胞(1×105/ウェル)を、KIF20A(66−75)または無関係なHIV−A24ペプチドをロードしたC1R2402細胞(2×104/ウェル)で再刺激した場合のIFN−γスポットの数を示す。同様の結果を得た4つの独立した実験からの代表的なデータを示す。データは2回のアッセイの平均±SDとして提示している。統計的に有意の差(p<0.05)を星印で示す。

0033

図6は、インビトロでKIF20A−A2(809−817)特異的CD8+T細胞を刺激するKIF20A(809−833)LPを示す。パートAでは、ドナーHDK6から生成したCTL株におけるKIF20A−A2(809−817)SPに特異的なCD8+T細胞の頻度をIFN−γ ELISPOTアッセイによって検査した。KIF20A−A2(809−817)SPまたは無関係なSPでパルスしたT2細胞での刺激後のIFN−γ産生KIF20A−A2(809−817)SP特異的バルクCTLの数を計数した。
パートBでは、KIF20A(809−833)LPをロードしたもしくはロードしていないDC、無関係なLPをロードしたDC、または抗HLA−DRもしくは抗HLAクラスIブロッキングmAbの存在下にKIF20A(809−833)LPをロードしたDCでの刺激後のIFN−γ産生KIF20A−A2(809−817)SP特異的バルクCTLの数をELISPOTアッセイによって計数した。データは2回のアッセイの平均±SDとして提示している。統計的に有意の差(p<0.05)を星印で示す。

0034

パートCでは、KIF20A(60−84)LPで免疫したマウスにおけるKIF20A−A24(66−75)SP特異的CTLの誘導を示す。HLA−A24 TgmをKIF20A(60−84)LPで免疫した。KIF20A(60−84)LPでの3回目ワクチン接種後鼠径リンパ節中のマウスCD8+T細胞を、KIF20A−A24(66−75)SPでパルスしたBM−DCで刺激した。IFN−γ産生マウスCD8+T細胞の数をエクスビボELISPOTアッセイによって分析した。同様の結果を得た5つの独立した実験からの代表的なデータを示す。

0035

図7は、KIF20A−LP特異的CD4+T細胞によるKIF20A−SP特異的CTLの誘導増強を示す。パートAでは、HLA−DR53拘束性KIF20A(809−833)LP特異的Thクローンを生成したHLA−A2+/DR53+健常ドナー(HDK1)からのPBMCを、KIF20A−A2(809−817)SP(SP)、KIF20A(809−833)LP(LP)、KIF20A−A2(809−817)SP+KIF20A(809−833)LP(SP+LP)、KIF20A(809−833)LP+KIF20A(809−833)LP特異的Thクローン(LP+Thクローン)またはSP+LP+KIF20A(809−833)LP特異的Thクローン(SP+LP+Thクローン)と共に11日間培養した。11日目に、細胞を抗ヒトCD8 mAbとKIF20A−A2(809−817)SP特異的テトラマーで染色し、フローサイトメトリによって分析した。

0036

パートBでは、同様の結果を有する3つの独立した実験から得た代表的なKIF20A−A2(809−817)SP特異的テトラマー染色(CD8+T細胞にゲートをかけている)を示す。

0037

パートCでは、活性化KIF20A(809−833)LP特異的Th細胞によって増殖させたKIF20A−A24(66−75)SP特異的CD8+T細胞のCD107a発現を示す。HLA−A24+/DR15+(HDK5)由来のKIF20A(809−833)LP特異的バルクCD4+T細胞およびKIF20A−A24(66−75)SP特異的バルクCD8+T細胞を、いずれのサイトカインも添加せずにKIF20A−A24(66−75)SP(SP単独)、KIF20A−A24(66−75)SP+対照LP(対照LP+SP)、またはKIF20A−A24(66−75)SP+KIF20A(809−833)LP(KIF20A(809−833)−LP+SP)の存在下で自己DCと共に培養した。ペプチドとの1週間のインビトロ培養後、培養した細胞をHLA−A*24:02/KIF20A−A24(67−75)複合体のPE標識テトラマーおよびPerCP標識抗ヒトCD8 mAbで染色した。データは3回のアッセイの平均±SDとして提示している。同様の結果を得た3つの独立した実験からの代表的なデータを示す。
パートDでは、ペプチドとの1週間のインビトロ培養後、培養した細胞をKIF20A−A24(66−75)SPで再刺激し、HLA−A*24:02/KIF20A−A24(67−75)複合体のPE標識テトラマー、FITC標識抗ヒトCD107a mAb、およびPerCP標識抗ヒトCD8 mAbで染色した。KIF20A−A24(66−75)SPでの再刺激後に細胞表面でCD107aを発現するKIF20A−A24(66−75)SP特異的CTLの絶対数を示した。データは3回のアッセイの平均±SDとして提示している。同様の結果を得た3つの独立した実験を代表するものを示す。

0038

図8は、TAA由来のCTLエピトープペプチドでの免疫療法を受けているHNMTを有する患者から単離したPBMCにおけるKIF20A−LP特異的Th細胞の存在を示す。パートAでは、KIF20A(60−84)LPとKIF20A(809−833)LPの混合物でのPBMCの1週間のインビトロ刺激後、個々のKIF20A−LP特異的T細胞の頻度をIFN−γ ELISPOTアッセイによって検出した。

0039

パートBでは、KIF20A−LP特異的Th1細胞応答を、免疫療法を受けているHNMTを有する16名の患者および9名の健常ドナーにおいて評価した。結果は、バックグラウンドを差し引いた後の特異的IFN−γスポットを表す。各々のドットは個々のドナーを表す。水平の線は中央値を示し、p値はノンパラメトリックのマン−ホイットニーU検定からの統計結果を表す。

0040

パートCでは、HNMT31およびHNMT43におけるIFN−γ産生KIF20A(809−833)LP特異的Th細胞のHLAクラスII拘束を示す。LPで1週間刺激した末梢血単核細胞を、HLA−DR、HLA−DP、HLA−DQまたはHLAクラスIに特異的なmAbの存在下にKIF20A(809−833)LPで再刺激した。
パートDでは、HNMTを有する患者におけるKIF20A−LP特異的Th1細胞応答を免疫療法の経過中に検出した。

0041

パートEでは、がん組織および骨肉腫におけるKIF20Aタンパク質の免疫組織化学分析を示す(原倍率400倍)。HNMT31における腺様嚢胞がんおよびHNMT108における骨肉腫の組織切片での陽性KIF20A免疫組織化学染色を示す。HNMT102における扁平上皮がんおよびHNMT107における骨肉腫の組織切片での陰性KIF20A免疫組織化学染色も示す。KIF20Aに関して陽性の悪性細胞は均一な細胞質染色を示した。HNMT組織におけるKIF20Aの発現は、HNMTを有する患者におけるKIF20A−LP特異的Th1細胞応答に結びついていた。

0042

パートFでは、HNMT患者の臨床的特徴を示す。「材料および方法」の章で詳述するIFN−γ ELISPOTアッセイによって測定したKIF20A特異的T細胞応答を示す。陽性および陰性応答をそれぞれ(+)および(−)によって表す。下線を付したHLAクラスIIアリルは、健常ドナーにおいてTh細胞にKIF20A−LPを提示するHLAクラスII分子をコードする(図2;HLA−DRB1*15:02、DR53およびDPB1*02:01)。IHC、免疫組織化学;CTR、臨床試験登録;HNMT、頭頸部悪性腫瘍;M/F、男性女性;LP、長鎖ペプチド;n.t.、試験せず;DR53、DRB4*01:03。

0043

態様の説明
本発明の態様を実施または試験するにあたって、本明細書に記載の方法および材料と類似または等価の任意の方法および材料を使用することができるが、好ましい方法、装置および材料をここに記載する。しかしながら、本発明の材料および方法について記載する前に、本発明が本明細書で述べる特定の大きさ、形状、寸法、材料、方法論プロトコル等は慣例的な実験法および最適化に応じて変更可能であるため、本発明がこれらに限定されないことが理解されるべきである。また、本記載で用いる用語は、特定のバージョンまたは態様を説明することだけを目的とし、本発明の範囲を限定することを意図されず、本発明の範囲は付属の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。

0044

本明細書で言及する各々の公報、特許または特許出願の開示は、その全体が参照により本明細書に明確に組み込まれる。しかしながら、本明細書のいかなる内容も、本発明が先行発明によるそのような開示に先行する権利がないことの承認と解釈されるべきではない。

0045

I.定義
特に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術用語および学術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。しかしながら、矛盾する場合は、定義を含む本明細書が支配する。
本明細書で使用する「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という語は、特に明確に示されない限り「少なくとも1つの」を意味する。

0046

ある物質(例えばペプチド、抗体、ポリヌクレオチド等)に関して使用する「単離された」および「精製された」という用語は、その物質が、さもなければ天然源中に含まれ得る少なくとも1つの物質を実質的に含まないことを指示する。したがって、単離されたまたは精製されたペプチドは、そのペプチドが由来する細胞もしくは組織源からの糖質、脂質もしくは他の混入タンパク質などの細胞材料を実質的に含まない、または化学合成される場合は化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まないペプチドを指す。「細胞物質を実質的に含まない」という用語は、ペプチドが、そのペプチドが単離されたまたは組換え生産された細胞の細胞成分から切り離されている、ペプチドの調製物包含する。したがって、細胞物質を実質的に含まないペプチドは、約30%、20%、10%または5%(乾燥重量)未満の異種タンパク質(本明細書では「混入タンパク質」とも称する)を有するポリペプチドの調製物を包含する。ペプチドが組換え生産される場合は、ペプチドは、好ましくは培地も実質的に含まず、ペプチド調製物の容積の約20%、10%または5%未満の培地を含むペプチドの調製物を包含する。ペプチドが化学合成によって生産される場合は、ペプチドは、好ましくは化学的前駆体または他の化学物質を実質的に含まず、そのペプチドの合成に関与する化学的前駆体または他の化学物質をペプチド調製物の容積の約30%、20%、10%または5%(乾燥重量)未満含むペプチドの調製物を包含する。特定のペプチド調製物が単離または精製されたペプチドを含むことは、例えばタンパク質調製物ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動後の単一バンド出現およびゲルクマシーブリリアンブルー染色等によって示され得る。好ましい態様では、本発明のペプチドおよびポリヌクレオチドは単離または精製されている。

0047

「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」という用語は、本明細書ではアミノ酸残基ポリマーを指すために互換的に使用される。本用語は、天然のアミノ酸ポリマーに加えて、1つもしくは複数のアミノ酸残基が修飾された残基であるアミノ酸ポリマー、または対応する天然のアミノ酸の人工的な化学的模倣体などの非天然残基にも適用される。

0048

本明細書で使用する「アミノ酸」という用語は、天然および合成アミノ酸、ならびに天然アミノ酸と同様に機能するアミノ酸類似体およびアミノ酸模倣体を指す。天然アミノ酸は、遺伝暗号によってコードされるもの、ならびに細胞内で翻訳後に修飾されたもの(例えばヒドロキシプロリン、γ−カルボキシグルタミン酸およびO−ホスホセリン)である。「アミノ酸類似体」という語句は、天然アミノ酸と同じ基本化学構造水素カルボキシ基アミノ基およびR基に結合したα炭素)を有するが、修飾されたR基または修飾された骨格(例えばホモセリンノルロイシンメチオニンスルホキシドメチルメチオニンスルホニウム)を有する化合物を指す。「アミノ酸模倣体」という語句は、一般的なアミノ酸とは異なる構造を有するが、同様に機能する化合物を指す。
アミノ酸は、本明細書ではIUPAC−IUB生化学命名法委員会によって推奨される、一般に公知の3文字表記、または1文字表記によって言及され得る。

0049

「遺伝子」、「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特に明確に示されない限り、一般に受け入れられている1文字コードによって言及される。
「剤」および「組成物」という用語は、本明細書では、特定量特定成分を含む生成物、ならびに特定量の特定成分の組合せから直接または間接的に生じる任意の生成物を指すために互換的に使用される。医薬組成物に関するそのような用語は、有効成分、および担体を構成する不活性成分を含む生成物、ならびに成分の任意の2つもしくはそれ以上の組合せ、錯体形成もしくは凝集から、または成分の1つもしくは複数の解離から、または成分の1つもしくは複数の他の種類の反応もしくは相互作用から直接または間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図されている。したがって、本発明の医薬組成物は、本発明の化合物と医薬的または生理学的に許容される担体とを混合することによって作製される任意の組成物を包含する。

0050

「有効成分」という用語は、本明細書では生物学的または生理学的に活性な組成物中の物質を指す。特に、医薬組成物に関連して、「有効成分」という用語は、目的の薬学的効果を示す成分物質を指す。例えば、がんの治療または予防における使用のための医薬組成物の場合、組成物中の有効成分は、直接または間接的にがん細胞および/または組織に対する少なくとも1つの生物学的または生理学的作用をもたらし得る。好ましくは、そのような作用は、がん細胞増殖を低減するまたは阻害すること、がん細胞および/または組織を損傷するまたは死滅させること等を含み得る。典型的には、有効成分の間接的効果は、MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答の誘導である。製剤化される前は、「有効成分」は「バルク」、「原薬」または「原体」とも称され得る。
本明細書で使用する「医薬的に許容される担体」または「生理学的に許容される担体」という語句は、液体もしくは固体増量剤希釈剤賦形剤溶媒または封入材料を含むがこれらに限定されない、医薬的または生理学的に許容される材料、組成物、物質またはビヒクルを意味する。

0051

特に定義されない限り、「がん」という用語は、例えば膀胱がん、乳がん、胆管細胞がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含む、KIF20A遺伝子を過剰発現するがんを指す。
特に定義されない限り、「Tリンパ球」および「T細胞」という用語は、本明細書では互換的に使用される。

0052

特に定義されない限り、「細胞傷害性Tリンパ球」、「細胞傷害性T細胞」および「CTL」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特に明確に示されない限り、非自己細胞(例えば腫瘍細胞、ウイルス感染細胞)を認識し、そのような細胞の死滅を誘導することができるTリンパ球のサブグループを指す。CTLは、CD8+Tリンパ球と区別され、MHCクラスI分子によって提示されるペプチドを認識することができる。
特に定義されない限り、「HLA−A24」という用語は、サブタイプを含むHLA−A24型を指し、その例には、HLA−A*2401、HLA−A*2402、HLA−A*2403、HLA−A*2404、HLA−A*2407、HLA−A*2408、HLA−A*2420、HLA−A*2425およびHLA−A*2488が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、本明細書で使用する「HLA−A2」という用語は、典型的にはサブタイプを指し、その例には、HLA−A*0201、HLA−A*0202、HLA−A*0203、HLA−A*0204、HLA−A*0205、HLA−A*0206、HLA−A*0207、HLA−A*0210、HLA−A*0211、HLA−A*0213、HLA−A*0216、HLA−A*0218、HLA−A*0219、HLA−A*0228およびHLA−A*0250が含まれるが、これらに限定されない。

0053

特に定義されない限り、「Tヘルパー1型細胞」および「Th1細胞」という用語は、本明細書では互換的に使用され、特に明確に示されない限り、MHCクラスII分子によって提示されるペプチドを認識することができ、細胞性免疫に関連するCD4+Tリンパ球のサブグループを指す。特に定義されない限り、「Th細胞」、「CD4+T細胞」および「CD4+ヘルパーT細胞」という用語も本明細書では互換的に使用される。Th1細胞は、細胞性免疫に関する他の免疫細胞(例えばCTL、マクロファージ)の活性化および/または刺激を助けるために様々なサイトカイン(例えばIFN−γ、IL−2、TNF−β、GM−CSF、TNF−α等)を分泌する。

0054

特に定義されない限り、「HLA−DR4」という用語はサブタイプを指し、その例には、HLA−DRB1*04:01、HLA−DRB1*04:02、HLA−DRB1*04:03、LA−DRB1*04:04、HLA−DRB1*04:05、HLA−DRB1*04:06、HLA−DRB1*04:07、HLA−DRB1*04:08、HLA−DRB1*04:09、HLA−DRB1*04:10およびHLA−DRB1*04:11が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、「HLA−DR9」という用語はサブタイプを指し、その例には、HLA−DRB1*09:01、HLA−DRB1*09:02、HLA−DRB1*09:03、LA−DRB1*09:04、HLA−DRB1*09:05、HLA−DRB1*09:06、HLA−DRB1*09:07、HLA−DRB1*09:08およびHLA−DRB1*09:09が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、「HLA−DR15」という用語はサブタイプを指し、その例には、HLA−DRB1*15:01、HLA−DRB1*15:02、HLA−DRB1*15:03、LA−DRB1*15:04、HLA−DRB1*15:05、HLA−DRB1*15:06、HLA−DRB1*15:07、HLA−DRB1*15:08、HLA−DRB1*15:09、HLA−DRB1*15:10およびHLA−DRB1*15:11が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、「HLA−DR53」という用語はサブタイプを指し、その例には、HLA−DRB4*01:01およびHLA−DRB4*01:03が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、「HLA−DP2」という用語はサブタイプを指し、その例には、HLA−DPB1*0201およびHLA−DPB1*02:02が含まれるが、これらに限定されない。

0055

特に定義されない限り、「MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答」という語句は、MHCクラスII分子によるペプチドの提示によって誘導される免疫応答を指す。本明細書では、「MHCクラスII抗原によって媒介される免疫応答」は、CD4+T細胞、特にTh1細胞によって誘導される免疫応答を含む。そのような免疫応答の例には、サイトカイン(例えばIFN−γ、IL−2、TNF−β、GM−CSF、TNF−α等)の産生ならびに他の免疫細胞(例えばCTL、マクロファージ等)の活性化および/または刺激が含まれるが、これらに限定されない。
特に定義されない限り、「KIF20Aに特異的なTh1細胞」という語句は、KIF20Aに由来するペプチドを提示する抗原提示細胞によって特異的に活性化されるが、他の抗原提示細胞では特異的に活性化されないTh1細胞を指す。

0056

特に定義されない限り、「KIF20A特異的CTL」という語句は、KIF20Aを発現する標的細胞に対して特異的に細胞傷害性を示すCTLを指す。
特に定義されない限り、ペプチドに関連して使用される場合、「CTL誘導能」という語句は、抗原提示細胞上に提示された場合CTLを誘導するペプチドの能力を指す。
特に定義されない限り、本明細書で使用する「キット」という用語は、試薬と他の材料の組合せに関して用いられる。キットは、マイクロアレイ、チップマーカー等を含み得ることが本明細書で企図される。「キット」という用語は、試薬および/または材料の特定の組合せに限定されることを意図しない。
本発明に関連して、「抗体」という用語は、指定されるタンパク質またはそのペプチドに特異的に反応性である免疫グロブリンおよびその断片を指す。抗体は、ヒト抗体霊長類化抗体、キメラ抗体二重特異性抗体ヒト化抗体、他のタンパク質または放射性標識に融合した抗体、および抗体断片を含み得る。さらに、本明細書における抗体はその最も広い意味で使用され、特に無傷モノクローナル抗体ポリクローナル抗体、少なくとも2つの無傷抗体から形成される多重特異性抗体(例えば二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片を包含する。「抗体]は、すべてのクラス(例えばIgAIgDIgEIgGおよびIgM)を示す。
特に定義されない限り、本明細書で使用するすべての技術および学術用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。

0057

II.ペプチド
以下で詳細に説明する本発明のペプチドは、「KIF20Aペプチド」または「KIF20Aポリペプチド」と称され得る。
KIF20Aに由来するペプチドがTヘルパー1型(Th1)細胞によって認識される抗原として機能することを明らかにするため、KIF20Aに由来するペプチド(配列番号:11)を、これらがMHCクラスII分子によってプロミスキャスに拘束される抗原エピトープであるかどうかを判定するために分析した。
KIF20Aに由来するプロミスキャスなMHCクラスII結合ペプチドの候補を、HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2への結合親和性に基づいて同定した。これらのペプチドをロードした樹状細胞(DC)によるCD4+T細胞のインビトロ刺激後、以下のペプチドの各々を用いてTh1細胞を成功裏に樹立した:
KIF20A(60−84)/DSMEKVKVYLRVPLLPSLERQED(配列番号:1)、
KIF20A(809−833)/CIAEQYHTVLKLQGQVSAKKRLGTN(配列番号:2)、
KIF20A(494−517)/TLHVAKFSAISQLHAPPMQLGF(配列番号:3)、および
KIF20A(843−863)/PPGKKPFLRNLLPRTPTCSS(配列番号:4)。

0058

上述したこれらの樹立されたTh1細胞は、それぞれのペプチドでパルスした抗原提示細胞の刺激に応答して強力な特異的Th1細胞活性を示した。さらに、前記ペプチドは、日本人において高頻度に認められるいくつかのHLA−DRおよびHLA−DP分子(例えばHLA−DR4、HL−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2)によって拘束されるTh1細胞を刺激することができた。これらの結果は、KIF20AがTh1細胞によって認識される抗原であること、およびペプチドが、いくつかのHLAクラスII分子(例えばHLA−DR4、HLA−DR53、HLA−DR15およびHLA−DP2など)によってプロミスキャスに拘束されるKIF20Aのエピトープペプチドであることを明らかにする;したがって、そのようなペプチドは、CTLによる細胞傷害作用標的抗原として有効であり得る。

0059

上記で同定されたペプチドは、KIF20Aに特異的なCTLを誘導する能力を有するCTLエピトープのアミノ酸配列を付加的に含み、本明細書で明らかにするように、そのようなペプチドは、Th1細胞に加えてKIF20Aに特異的なCTLも誘導することができる。したがって、これらのペプチドは、KIF20Aを発現するがんに対する免疫応答の誘導のための適切なペプチドであり得る。KIF20A遺伝子は、例えば膀胱がん、乳がん、胆管細胞がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含む大部分のがん組織で過剰発現されるので、免疫療法のための良好な標的である。

0060

したがって、本発明は、KIF20Aに特異的なTh1細胞を誘導する能力を有するペプチドを提供する。本発明のペプチドは、少なくとも1つのMHCクラスII分子に結合することができ、抗原提示細胞上に提示され得る。あるいは、本発明のペプチドの断片は、少なくとも1つのMHCクラスII分子に結合することができ、抗原提示細胞上に提示され得る。ペプチドのこれらの断片は、抗原提示細胞内でのプロセシングによって生成され得る。好ましい態様では、本発明のペプチドまたはその断片は、2またはそれ以上の種類のMHCクラスII分子(例えばHLA−DR4およびHLA−DR15、HLA−DR4とHLA−DP2、HLA−DR15とHLA−DP2、またはHLA−DR4、HLA−DR15およびHLA−DP2、HLA−DR15およびHLA−DR53、HLA−DP2およびHLA−DR53、またはHLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2)に結合する能力を有する。言い換えると、本発明のペプチドは、2またはそれ以上の種類のMHCクラスII分子によって拘束されるTh1細胞を誘導する能力を有し得る。別の態様では、本発明のペプチドは、KIF20A特異的CTL誘導能を有するペプチドのアミノ酸配列を含む。KIF20A特異的CTL誘導能を有するそのようなペプチドの典型的な例には、配列番号:5または6のアミノ酸配列を有するペプチドが含まれる。

0061

MHCクラスII分子における結合溝は両端で開いているので、MHCクラスII結合ペプチドはその長さに柔軟性を有し得る。MHCクラスII分子についてのコア結合モチーフは9個のアミノ酸残基から成り、MHCクラスII結合ペプチドは一般に、コア結合モチーフと隣接する他のアミノ酸残基を有する。隣接アミノ酸残基の数は限定されない。したがって、配列番号:1、2、3または4のすべてのアミノ酸残基がMHCクラスII分子に結合するために必ずしも必要ではない。したがって、本発明のペプチドは、Th1細胞を誘導する能力を有するペプチドであり得、そのようなペプチドは以下から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む:
(a)配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列からの9個より多い連続するアミノ酸を有するアミノ酸配列;および
(b)1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されている(a)のアミノ酸配列。

0062

MHCクラスII結合ペプチドの長さは一般に10〜30アミノ酸である。配列番号:1、2、3および4のアミノ酸配列はKIF20Aのアミノ酸配列(配列番号:11)の一部から成るので、本発明のペプチドは以下の[1]〜[5]に記載のペプチドであり得る:
[1]10〜30アミノ酸長を有し、配列番号:11のアミノ酸配列の一部を含む単離されたペプチドであって、
(a)配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列から選択される9を超えるアミノ酸長を有する連続するアミノ酸配列;および
(b)1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されている(a)のアミノ酸配列
から成る群より選択されるアミノ酸配列を含み、Th1細胞を誘導する能力を有するペプチド;
[2]前記ペプチドまたはその断片が少なくとも2種類のMHCクラスII分子に結合する能力を有する、[1]に記載の単離されたペプチド;
[3]前記MHCクラスII分子がHLA−DR4、DR15、DR53およびDP2から成る群より選択される、[2]に記載の単離されたペプチド;
[4]前記ペプチドが、KIF20A特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)誘導能を有するペプチドのアミノ酸配列を含む、[1]から[3]のいずれか1つに記載の単離されたペプチド;ならびに
[5]前記ペプチドが、
(a)配列番号:1、2、3および4から成る群より選択されるアミノ酸配列;ならびに
(b)1、2または数個のアミノ酸が置換、欠失、挿入および/または付加されている(a)のアミノ酸配列
から成る群より選択されるアミノ酸配列を含む、[4]に記載の単離されたペプチド。

0063

本発明のペプチドによって誘導されるTh1細胞はKIF20Aに特異的である。それゆえ、いくつかの態様において、本発明は、配列番号:11のアミノ酸配列の部分アミノ酸配列から成る30アミノ酸残基未満のペプチドであって、配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列を含むペプチドを提供する。

0064

一般に、インターネット上で現在利用可能なソフトウェアプログラム、例えばWang P et al.2008.PLoS Comput Biol.4(4):e1000048.11:568;およびWang P et al.2010.BMCBioinformatics.に記載されているソフトウェアプログラムを使用して、様々なペプチドとHLA抗原との間の結合親和性をインシリコで算出することができる。HLA抗原との結合親和性は、例えばNielsen M and Lund O.2009.BMC Bioinformatics.10:296.;Nielsen M et al.2007.BMC Bioinformatics.8:238.Bui HH,et al.2005.Immunogenetics.57:304−314.Sturniolo T et al.1999.Nat Biotechnol.17(6):555−561およびNielsen M et al.2008.PLoS Comput Biol.4(7)e1000107に記載されているように測定することができる。したがって、本発明は、そのような公知のプログラムを用いて同定されたHLA抗原と結合すると決定されたKIF20Aのペプチドを包含する。

0065

上述したように、MHCクラスII結合ペプチドはその長さに柔軟性があるので、配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列は、生じるペプチドが必須のTh1細胞誘導能を保持する限り、場合により付加的なアミノ酸残基と隣接していてもよい。Th1細胞誘導能を有するそのようなペプチドは、典型的には約30アミノ酸未満、しばしば約29アミノ酸未満、通常は約28または27アミノ酸未満である。配列番号:1、2、3および4の中から選択されるアミノ酸配列に隣接する特定のアミノ酸配列は、そのような隣接アミノ酸配列がもとのペプチドのTh1細胞誘導能を損なわない限り、限定されず、任意の種類のアミノ酸で構成され得る。典型的な態様では、そのような隣接アミノ酸配列は、配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列に隣接する配列番号:11のアミノ酸配列の中から選択され得る;しかし、本発明はそれに限定されない。そこで、本発明はまた、Th1細胞誘導能ならびに配列番号:1、2、3および4の中から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドを提供する。

0066

他方で、MHCクラスII分子についてのコア結合モチーフは9個のアミノ酸残基から成るので、配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列の全長がMHCクラスII分子に結合するためおよびTh1細胞の誘導のために必ずしも必要ではない。したがって、本発明のペプチドは、必須のTh1細胞誘導能を保持することを条件として、配列番号:1、2、3または4の9個より多い連続するアミノ酸を有するアミノ酸の形態をとることができる。Th1細胞誘導能を有するペプチドは、典型的には約10より多いアミノ酸、しばしば11または12より多いアミノ酸、通常は13または14より多いアミノ酸である。したがって、本発明のペプチドは、Th1細胞誘導能を有しかつ配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列からの9、10、11、12、13または14個より多い連続するアミノ酸を含むアミノ酸配列を有するペプチドであり得る。

0067

タンパク質中の1、2またはそれ以上のアミノ酸の改変はタンパク質の機能に影響を及ぼさず、一部の場合にはもとのタンパク質の所望の機能を増強することさえあることは一般に公知である。実際に、改変されたペプチド(すなわちもとの参照配列と比較して1、2または数個のアミノ酸残基が改変されている(すなわち置換、付加、欠失または挿入されている)アミノ酸配列から成るペプチド)が、もとのペプチドの生物学的活性を保持することは知られている(Mark et al.,Proc Natl Acad Sci USA 1984,81:5662−6;Zoller and Smith,Nucleic AcidsRes 1982,10:6487−500;Dalbadie−McFarland et al.,Proc Natl Acad Sci USA 1982,79:6409−13)。したがって、1つの態様では、本発明のペプチドは、Th1細胞誘導能ならびに配列番号:1、2、3および4の中から選択されるアミノ酸配列の両方を有し得、1、2またはさらにそれ以上のアミノ酸が付加、挿入、欠失および/または置換されている。あるいは、本発明のペプチドは、Th1細胞誘導能ならびに配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列において1、2または数個のアミノ酸が付加、挿入、欠失および/または置換されているアミノ酸配列の両方を有し得る。

0068

当業者は、単一アミノ酸または小さな割合のアミノ酸を改変するアミノ酸配列への個々の付加または置換は、もとのアミノ酸側鎖の特性の保存をもたらす傾向があることを認識する。そこで、それらはしばしば「保存的置換」または「保存的改変」と称され、タンパク質の改変は、もとのタンパク質と類似の機能を有する改変されたペプチドを生じさせる。機能的に類似のアミノ酸を提供する保存的置換表は当技術分野において周知である。アミノ酸側鎖の特性の例は、疎水性アミノ酸(A、I、L、M、F、P、W、Y、V)、親水性アミノ酸(R、D、N、C、E、Q、G、H、K、S、T)、および以下の共通する官能基または特徴を有する側鎖:脂肪族側鎖(G、A、V、L、I、P);ヒドロキシル基含有側鎖(S、T、Y);硫黄原子含有側鎖(C、M);カルボン酸およびアミド含有側鎖(D、N、E、Q);塩基含有側鎖(R、K、H);ならびに芳香族含有側鎖(H、F、Y、W)である。加えて、以下の8群は各々相互に保存的置換であるアミノ酸を含む:
1)アラニン(A)、グリシン(G);
2)アスパラギン酸(D)、グルタミン酸(E);
3)アスパラギン(N)、グルタミン(Q);
4)アルギニン(R)、リシン(K);
5)イソロイシン(I)、ロイシン(L)、メチオニン(M)、バリン(V);
6)フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、トリプトファン(W);
7)セリン(S)、トレオニン(T);および
8)システイン(C)、メチオニン(M)(例えばCreighton,Proteins 1984参照)。

0069

そのような保存的改変されたペプチドも本発明のペプチドとみなされる。しかし、本発明のペプチドはそれらに限定されず、改変されたペプチドがもとのペプチドのTh1細胞誘導能を保持する限り、非保存的改変も含み得る。さらに、改変されたペプチドは、KIF20Aの多型変異体、種間相同体およびアリルのTh1細胞誘導性ペプチドを除外すべきではない。

0070

必須のTh1細胞誘導能を保持するために、少数の(例えば1、2もしくは数個)または低い割合のアミノ酸を改変する(挿入、付加、欠失および/または置換する)ことができる。本明細書では、「数個」という用語は、5またはそれ以下のアミノ酸、例えば4または3またはそれ以下のアミノ酸を意味する。改変するアミノ酸の割合は、好ましくは20%もしくはそれ以下、より好ましくは15%もしくはそれ以下、さらに一層好ましくは10%もしくは8%もしくはそれ以下、または1〜5%である。

0071

本発明の好ましいペプチド、すなわち配列番号:1、2、3および4(KIF20A 60−84、809−833、494−517、843−863)のホモロジー解析は、これらのペプチドが他の公知のヒト遺伝子産物に由来するペプチドと有意の相同性を有さないことを確認する。したがって、免疫療法に使用した場合、これらのペプチドが未知のまたは望ましくない免疫応答を生じる可能性は有意に低い。したがって、これらのペプチドは、がん患者においてKIF20Aに対する免疫を誘発するために極めて有用であると期待される。

0072

免疫療法に関連して使用する場合、本発明のペプチドまたはその断片は、抗原提示細胞の表面に、好ましくはHLAクラスII抗原との複合体として、提示されなければならない。それゆえ、Th1細胞を誘導するだけでなく、HLAクラスII抗原に高い結合親和性も有するペプチドを選択することが好ましい。そのために、ペプチドをアミノ酸残基の置換、挿入、欠失および/または付加によって改変し、改善された結合親和性を有する改変されたペプチドを生成することができる。

0073

本発明はまた、上述したペプチドのN末端および/またはC末端への1〜2個のアミノ酸の付加を企図する。高いHLA抗原結合親和性を有し、Th1細胞誘導能を保持するそのような改変ペプチドも本発明に含まれる。
例えば、本発明は、HLAクラスII抗原に結合し、Th1細胞誘導能を有し、配列番号:1、2、3および4から成る群より選択されるアミノ酸配列において1、2または数個のアミノ酸が改変されているアミノ酸配列を含む、31、30、29、28、27または26未満のアミノ酸長の単離されたペプチドを提供する。
これらのペプチドはまた、APCと接触するかまたはAPCに導入された場合、APC中でプロセシングされて、プロセシングされた断片をその上に提示し得る。例えば、本発明のペプチドは、APCの表面に提示される通常11〜26(典型的には15〜25)アミノ酸残基から成る断片にプロセシングされ得る。

0074

しかしながら、ペプチド配列が、異なる機能を有する内因性または外因性タンパク質のアミノ酸配列の一部と同一である場合、自己免疫疾患および/または特定の物質に対するアレルギー症状などの負の副作用を誘導し得る。それゆえ、ペプチドの配列が別のタンパク質のアミノ酸配列とマッチする状況を回避するために、利用可能なデータベースを用いて最初にホモロジー検索を実施することが望ましいと考えられる。目的のペプチドと比較して同一のペプチドまたは1、2、3もしくは4個のアミノ酸相違を有するペプチドが自然界に存在しないことがホモロジー検索から明らかになった場合は、そのような副作用の危険性を伴わずにHLA抗原とのその結合親和性を高めるためならびに/またはそのTh1細胞および/もしくはCTL誘導能を高めるために目的のペプチドを改変することができる。

0075

上述したHLAクラスII抗原に高い結合親和性を有するペプチドは極めて有効であると期待されるが、指標として高い結合親和性の存在に従って選択した候補ペプチドを、Th1細胞誘導能の存在に関してさらに検討する。本明細書では、「Th1細胞誘導能」という語句は、APCと接触した場合、APC上でTh1細胞を誘導する能力を付与するペプチドの能力を示す。さらに、「Th1細胞誘導能」は、Th1細胞の活性化および/またはTh1細胞の増殖を誘導する、IFN−γ産生を含むTh1細胞媒介性サイトカイン産生を促進して他の細胞(例えばCTL、マクロファージ)を助けるおよび/または刺激する、ペプチドの能力を含む。

0076

Th1細胞誘導能の確認は、ヒトMHC抗原を担持する抗原提示細胞(例えばBリンパ球、マクロファージおよび樹状細胞(DC))、またはより詳細にはヒト末梢血単核白血球由来のDCを誘導し、ペプチドで刺激した後、CD4陽性T細胞(CD4+T細胞)と混合して、次にCD4+T細胞によって産生され、放出されたIFN−γを測定することによって達成できる。あるいは、ペプチドのTh1細胞誘導能は、Th1細胞によるCTL活性化に基づいて評価することができる。例えば、CD4+T細胞を試験ペプチドで刺激したDCと共培養し、次にCTLおよびCTLの標的細胞と混合する。標的細胞は、51Crなどで放射性標識することができ、Th1細胞から分泌されるサイトカインによって活性化されたCTLの細胞傷害活性を、標的細胞から放出された放射能から算出することができる。あるいは、Th1細胞誘導能は、試験ペプチドで刺激した抗原提示細胞(APC)の存在下でTh1細胞によって産生され、放出されたIFN−γを測定し、抗IFN−γモノクローナル抗体を用いて培地上の阻害領域可視化することによって評価できる。

0077

上述した改変に加えて、本発明のペプチドはまた、生じる結合ペプチドがもとのペプチドのTh1細胞誘導能を保持する限り、他の物質に結合することもできる。適切な物質の例には、例えばペプチド、脂質、糖および糖鎖アセチル基、天然および合成ポリマー等が含まれる。本発明のペプチドは、修飾がもとのペプチドの生物学的活性を損なわない限り、グリコシル化、側鎖酸化またはリン酸化等のような修飾を含み得る。これらの種類の修飾は、付加的な機能(例えば標的化機能および送達機能)を付与するまたはペプチドを安定化するために実施できる。

0078

例えば、ペプチドのインビボでの安定性を高めるために、D−アミノ酸、アミノ酸模倣体または非天然アミノ酸を導入することは当技術分野において公知である;この概念は本発明のペプチドにも適合させ得る。ペプチドの安定性は多くの方法で評価することができる。例えば、ペプチダーゼならびにヒト血漿および血清などの様々な生物学的媒質を用いて安定性を試験することができる(例えばVerhoef et al.,Eur J Drug Metab Pharmacokin 1986,11:291−302参照)。

0079

本発明のペプチドは、HLAクラスII抗原と組み合わせた複合体としてAPCの表面に提示され、その後Th1細胞を誘導し得る。それゆえ、APCの表面でHLAクラスII抗原と複合体を形成するペプチドも本発明に含まれる。本発明のペプチドを提示するAPCをワクチンとして接種することができる。

0080

上記複合体に含まれるHLA抗原の型は、治療および/または予防を必要とする対象の型とマッチしなければならない。例えば、日本人においては、HLA−DR4、DR53、DR15およびDP2が一般的であり、それゆえ日本人患者の治療に適する。典型的には、臨床において、治療を必要とする患者のHLA抗原の型を前もって検査し、これにより特定のHLAクラスII抗原への結合能力を有するペプチドの適切な選択が可能になる。好ましい態様では、本発明のペプチドはTh1細胞をプロミスキャスに誘導することができる。本明細書では、ペプチドが少なくとも2つの異なる種類のMHCクラスII分子によって拘束されるTh1細胞を誘導することができる場合、このペプチドのTh1細胞誘導能は「プロミスキャス」である。言い換えると、ペプチドが少なくとも2つの異なる種類のMHCクラスII分子によって認識される場合、そのような抗原認識は「プロミスキャス」とみなされる。ペプチドに関連して使用する場合、「少なくとも2つの異なる種類のMHCクラスII分子によって認識される」という語句は、ペプチドまたはその断片が少なくとも2つの異なる種類のMHCクラスII分子に結合できることを示す。例えば、KIF20A(60−84)(配列番号:1)は、HLA−DR15、DP2およびDR4またはDR53によって認識され、ならびにKIF20A(809−833)(配列番号:2)は、HLA−DR15およびDR53によって認識される。それゆえ、これらのペプチドは「プロミスキャス」なエピトープの典型的な例である。

0081

HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53またはHLA−DP2陽性APCを使用する場合は、配列番号:1のアミノ酸配列を有するペプチドが好ましく使用される。HLA−DR15またはHLA−DR53陽性APCを使用する場合は、配列番号:2のアミノ酸配列を有するペプチドが好ましく使用される。HLA−DR4陽性APCを使用する場合は、配列番号:3のアミノ酸配列を有するペプチドが好ましく使用される。他方で、HLA−DR4またはDR53陽性APCを使用する場合は、好ましいペプチドは配列番号:4のアミノ酸配列を有するペプチドである。
したがって、好ましい態様では、配列番号:1のアミノ酸配列を有するペプチドを、誘導の前にHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53またはHLA−DP2を有すると同定された対象においてTh1細胞の誘導のために使用し得る。同様に、配列番号:2のアミノ酸配列を有するペプチドを、誘導の前にHLA−DR15またはHLA−DR53を有すると同定された対象においてTh1細胞の誘導のために使用し得る。同様に、配列番号:3のアミノ酸配列を有するペプチドを、誘導の前にHLA−DR4を有すると同定された対象においてTh1細胞の誘導のために使用し得る。配列番号:4のアミノ酸配列を有するペプチドも、誘導の前にHLA−DR4またはHLA−DR53を有すると同定された対象においてTh1細胞の誘導のために使用し得る。

0082

III.KIF20Aペプチドの調製
本発明のペプチドは周知の技術を用いて調製することができる。例えば、本発明のペプチドは、組換えDNA技術または化学合成を用いて、合成によって調製することができる。本発明のペプチドは、個別にまたは2もしくはそれ以上のペプチドから成るより長いポリペプチドとして合成することができる。本発明のペプチドを、次に、他の天然の宿主細胞タンパク質およびその断片、または他の何らかの化学物質を実質的に含まないようにするために、単離する、すなわち精製することができる。
本発明のペプチドは、修飾がもとの参照ペプチドの生物学的活性を損なわない限り、グリコシル化、側鎖酸化またはリン酸化などの修飾を含み得る。他の例示的な修飾には、例えばペプチドの血清半減期延長させるために使用できる、D−アミノ酸または他のアミノ酸模倣体の組み込みが含まれる。

0083

本発明のペプチドは、選択したアミノ酸配列に基づく化学合成を通して得ることができる。この合成に適合させ得る従来のペプチド合成法の例には以下が含まれる:
(i)Peptide Synthesis,Interscience,New York,1966;
(ii)The Proteins,Vol.2,Academic Press,New York,1976;
(iii)「ペプチド合成」(日本語)、丸善、1975;
(iv)「ペプチド合成の基礎と実験」(日本語)、丸善、1985;
(v)「医薬品の開発」(日本語)、続第14巻(ペプチド合成)、広川書店1991;
(vi)国際公開第99/67288号;および
(vii)Barany G.& Merrifield R.B.,Peptides Vol.2,「Solid Phase Peptide Synthesis」,Academic Press,New York,1980,100−118。

0084

あるいは、本発明のペプチドは、ペプチドを作製するための任意の公知の遺伝子工学的方法を適合させて得ることができる(例えばMorrison J,J Bacteriology 1977,132:349−51;Clark−Curtiss & Curtiss,Methodsin Enzymology(eds.Wu et al)1983,101:347−62)。例えば、最初に、発現可能な形態で(例えばプロモーター配列に対応する調節配列の下流に)目的のペプチドをコードするポリヌクレオチドを保有する適切なベクターを調製し、適切な宿主細胞に形質転換する。次に宿主細胞を培養して関心対象のペプチドを生産させる。本発明のペプチドはまた、インビトロ翻訳系を採用してインビトロで作製することもできる。

0085

IV.ポリヌクレオチド
本発明はまた、本発明の前記ペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドも提供する。これらには、天然のKIF20A遺伝子(GenBankアクセッション番号NM_005733(配列番号:10))に由来するポリヌクレオチド、ならびにその保存的に改変されたヌクレオチド配列を有するポリヌクレオチドが含まれる。本明細書では、「保存的に修飾されたヌクレオチド配列」という語句は、同一または本質的に同一のアミノ酸配列をコードする配列を指す。遺伝暗号の縮重に起因して、数多くの機能的に同一の核酸が所与のタンパク質をコードする。例えば、コドンGCAGCC、GCGおよびGCUはすべて、アミノ酸アラニンをコードする。したがって、アラニンがコドンによって特定されるあらゆる位置で、コドンを、コードされるポリペプチドを変化させることなく前述した対応するコドンのいずれかに変化させることができる。そのような核酸変異は、保存的に改変された変異の一種である、「サイレント変異」である。ペプチドをコードする本明細書のあらゆる核酸配列は、核酸のあらゆる可能なサイレント変異も表す。当業者は、核酸中の各々のコドン(通常メチオニンの唯一のコドンであるAUG、および通常トリプトファンの唯一のコドンであるTGGを除く)を、機能的に同一の分子を生じるように改変できることを認識する。したがって、ペプチドをコードする核酸の各サイレント変異は、各々の開示される配列において暗黙のうちに表現される。

0086

本発明のポリヌクレオチドは、DNA、RNAおよびそれらの誘導体で構成され得る。当技術分野において周知のように、DNAはA、T、CおよびGなどの塩基で適切に構成され、Tは、RNAではUに置き換えられる。当業者は、非天然の塩基もポリヌクレオチドに含まれ得ることを認識する。

0087

本発明のポリヌクレオチドは、その間に介在アミノ酸配列を含んでまたは含まずに、本発明の複数のペプチドをコードし得る。例えば、介在アミノ酸配列は、ポリヌクレオチドまたは翻訳されたペプチドの切断部位(例えば酵素認識配列)を提供することができる。さらに、ポリヌクレオチドは、本発明のペプチドをコードするコード配列に加えて任意の付加的な配列を含み得る。例えば、ポリヌクレオチドは、ペプチドの発現に必要な調節配列を含む組換えポリヌクレオチドであり得るか、またはマーカー遺伝子などを含む発現ベクター(プラスミド)であり得る。一般に、そのような組換えポリヌクレオチドは、例えばポリメラーゼおよびエンドヌクレアーゼを使用する従来の組換え技術を通したポリヌクレオチドの操作によって調製することができる。

0088

組換えおよび化学合成の両方の技術が、本発明のポリヌクレオチドを作製するために使用できる。例えば、ポリヌクレオチドは適切なベクターへの挿入によって作製でき、これをコンピテント細胞にトランスフェクトした場合に発現させ得る。あるいは、PCR技術または適切な宿主における発現を用いてポリヌクレオチドを増幅することができる(例えばSambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1989参照)。あるいは、ポリヌクレオチドは、Beaucage SL & Iyer RP,Tetrahedron 1992,48:2223−311;Matthes et al.,EMBO J 1984,3:801−5に記載されているように、固相技術を用いて合成することができる。

0089

V.抗原提示細胞(APC)
本発明はまた、HLAクラスII抗原と本発明のペプチドまたはその断片との間で形成される複合体を自らの表面に提示する抗原提示細胞(APC)も提供する。本発明のペプチドと接触させることによって得られるAPCは、治療および/または予防の対象である患者に由来することができ、それだけでまたは本発明のペプチド、Th1細胞またはCTLを含む他の薬剤と組み合わせてワクチンとして投与することができる。

0090

APCは特定の種類の細胞に限定されず、樹状細胞(DC)、ランゲルハンス細胞、マクロファージ、B細胞および活性化T細胞を含み、これらは、リンパ球によって認識されるためにタンパク質性抗原をその細胞表面に提示することが公知である。DCはAPCの中で最も強力なTh1細胞誘導活性を有する代表的なAPCであるので、DCは本発明のAPCとして有用である。

0091

さらに、好ましい態様では、本発明のペプチドはまた、MHCクラスI抗原によって媒介されるCTL応答ならびにTh1(クラスII)を誘導することもできる。一般に、MHCクラスI抗原によって認識されるエピトープの長さは、MHCクラスII抗原のもの(15またはそれ以上のアミノ酸残基)より短い(例えば8〜10アミノ酸残基)ことが周知である。それゆえ、本発明のペプチドのプロセシングされた産物はCTLの誘導をもたらす。実際に、KIF20A(60−84;配列番号:1)から誘導されるCTLは、CTL認識エピトープとして既に同定されている断片(KVYLRVRPLL;配列番号:6)を認識する。同様に、KIF20A(809−833;配列番号:2)も、そのアミノ酸配列内にCTL認識エピトープ配列CIAEQYHTV(配列番号:5)を含む。したがって、本発明のペプチドは、Th1を誘導するだけでなく、APC内でのプロセシング後にCTLも誘導する。言い換えると、本発明のペプチドと接触したAPCは、本発明のペプチドをプロセシングして、MHCクラスI抗原と共にそれらの断片を提示し、ならびにMHCクラスII抗原と共にそれらの全体を提示する。その結果として、MHCクラスII抗原と共にAPCに提示される本発明のペプチドを認識するTh1、およびペプチドのプロセシングされた断片を介して誘導されるCTLの両方が、本発明のペプチドを使用して誘導され得る。

0092

例えば、APCは、末梢血単球からDCを誘導し、次にそれらをインビトロ、エクスビボまたはインビボで本発明のペプチドと接触させる(本発明のペプチドで刺激する)ことによって得られる。本発明のペプチドを対象に投与した場合、本発明のペプチドまたはその断片を提示するAPCが対象の体内で誘導される。本明細書では、「APCを誘導する」という語句は、APCを本発明のペプチドと接触させて(本発明のペプチドで刺激して)、HLAクラスII抗原と本発明のペプチドまたはその断片との間で形成される複合体をAPCの表面に提示させることを含む。あるいは、本発明のペプチドをAPCに導入して、本発明のペプチドまたはその断片をAPCに提示させた後、APCをワクチンとして対象に投与することができる。例えば、エクスビボ投与は、
a:最初の対象からAPCを回収する段階、
b:段階aのAPCを本発明のペプチドと接触させる段階、および
c:ペプチドをロードしたAPCを2番目の対象に投与する段階
を含み得る。

0093

最初の対象と2番目の対象は同じ個体であってもよく、または異なる個体でもよい。あるいは、本発明によれば、抗原提示細胞を誘導する医薬組成物を製造するための本発明のペプチドの使用が提供される。加えて、本発明は、抗原提示細胞を誘導する医薬組成物を製造するための方法または工程を提供し、前記方法は、本発明のペプチドを医薬的に許容される担体と混合するまたは製剤化するための段階を含む。さらに、本発明はまた、抗原提示細胞を誘導するための本発明のペプチドも提供する。段階(b)によって得たAPCをワクチンとして対象に投与することができる。

0094

本発明の1つの側面として、本発明のAPCは高レベルのTh1細胞誘導能を有する。本明細書では、「高レベルのTh1細胞誘導能」という語句において、高レベルとは、ペプチドと接触していないAPC、またはTh1細胞を誘導することができないペプチドと接触したAPCによるTh1細胞誘導能のレベルと比較したものである。本明細書では、APCに関連して使用する場合、「Th1細胞誘導能」という語句は、CD4+T細胞と接触した場合にTh1細胞を誘導するAPCの能力を示す。高レベルのTh1細胞誘導能を有するそのようなAPCは、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む遺伝子をインビトロでAPCに移入する段階を含む方法によって調製することができる。導入する遺伝子はDNAまたはRNAの形態であり得る。導入のための方法の例には、特に限定されることなく、この分野で従来実施されている様々な方法が含まれ、例えばリポフェクションエレクトロポレーションおよびリン酸カルシウム法などが使用できる。より詳細には、Cancer Res 1996,56:5672−7;J Immunol 1998,161:5607−13;J Exp Med 1996,184:465−72;公表特許公報第2000−509281号に記載されているように実施することができる。遺伝子をAPCに移入することにより、遺伝子は細胞内で転写、翻訳などを受け、その後得られたタンパク質はMHCクラスIまたはクラスIIによってプロセシングされて、提示経路を通してペプチドの提示へと進む。あるいは、本発明のAPCは、APCを本発明のペプチドと接触させる段階を誘導する方法によって調製することができる。

0095

好ましい態様では、本発明のAPCは、HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の群から選択されるMHCクラスII分子と本発明のペプチド(配列番号:1のアミノ酸配列を含む)の複合体を自らの表面に提示するAPCであり得る。別の態様では、本発明のAPCは、HLA−DR53およびHLA−DR15の群から選択されるMHCクラスII分子と本発明のペプチド(配列番号:2のアミノ酸配列を含む)の複合体を自らの表面に提示するAPCであり得る。別の態様では、本発明のAPCは、HLA−DR4と本発明のペプチド(配列番号:3のアミノ酸配列を含む)の複合体を自らの表面に提示するAPCであり得る。別の態様では、本発明のAPCは、HLA−DR4およびHLA−DR53の群から選択されるMHCクラスII分子と本発明のペプチド(配列番号:4のアミノ酸配列を含む)の複合体を自らの表面に提示するAPCであり得る。好ましくは、HLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2は、それぞれHLA−DRB1*04:05、HLA−DRB1*15:02、DRB4*01:03およびHLA−DPB1*02:01であり得る。

0096

VI.Tヘルパー1型細胞(Th1細胞)
本発明のペプチドのいずれかに対して誘導されるTh1細胞は、インビボでがん細胞を標的とするCTLを含むエフェクター細胞のいずれかの免疫応答を強化し、したがってペプチド自体と同様の方法で、ワクチンとして役立つ。そこで、本発明はまた、本発明のペプチドのいずれかによって特異的に誘導されるまたは活性化される単離されたTh1細胞も提供する。

0097

そのようなTh1細胞は、(1)1つまたは複数の本発明のペプチドを対象に投与し、対象からTh1細胞を回収すること、(2)APCおよびCD4+T細胞もしくは末梢血単核白血球をインビトロで本発明のペプチドと接触させ(で刺激し)、その後Th1細胞を単離すること、(3)CD4+T細胞もしくは末梢血単核白血球をインビトロで本発明のAPCと接触させること、または(4)T細胞受容体(TCR)サブユニットの両方をコードするポリヌクレオチドもしくはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドをCD4+T細胞に導入することによって得られ、ここで、TCRはMHCクラスII分子と本発明のペプチドの複合体に結合することができる。(3)の方法のためのそのようなAPCは上述した方法によって調製することができる。(4)の方法の詳細は、以下の「VII.T細胞受容体(TCR)」の章で述べる。

0098

本発明のAPCでの刺激によって誘導されたTh1細胞は、治療および/または予防の対象である患者に由来してもよく、作用を調節するために単独でまたは本発明のペプチドを含む他の薬剤と組み合わせて投与することができる。得られたTh1細胞は、細胞性免疫に関与する免疫細胞(例えばCTL、マクロファージ)を活性化するおよび/または刺激することができる。本発明のTh1細胞によって活性化され得るそのような免疫細胞には、がん細胞などの標的細胞に対して細胞傷害性を示すCTLが含まれる。例えば、そのようなCTLの標的細胞は、内因性にKIF20Aを発現する細胞(例えばがん細胞)、またはKIF20A遺伝子をトランスフェクトされた細胞であり得る。好ましい態様では、本発明のペプチドは、CTLエピトープペプチドの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むことができ、Th1細胞に加えて、がん細胞などのKIF20A発現細胞に対するCTLも誘導することができる。この場合、本発明のペプチドは、Th1細胞およびCTLをインビボで同時にまたは連続的に誘導することができ、誘導されたTh1細胞は、誘導されたCTLを有効に活性化することができる。したがって、CTLエピトープペプチドの少なくとも1つのアミノ酸配列を含むそのようなペプチドは、がん免疫療法のための適切なペプチドである。

0099

さらに、本発明のTh1細胞は、他の標的細胞に対する何らかのCTLを抗原非依存的に活性化するおよび/または刺激する様々なサイトカイン(例えばIFN−γ)を分泌する。したがって、本発明のTh1細胞は、KIF20A以外の腫瘍関連抗原(TAA)を発現する細胞を標的とするCTL活性を増強することにも寄与し得る。したがって、本発明のTh1細胞は、本発明のペプチドおよびAPCと同様に、KIF20Aを発現する腫瘍だけでなく、他のTAAを発現する腫瘍のための免疫療法にも有用である。

0100

いくつかの態様において、本発明のTh1細胞は、HLA−DRまたはHLA−DP抗原と本発明のペプチドの複合体を提示する細胞を認識するTh1細胞である。Th1細胞に関連して、「細胞を認識する」という語句は、そのTCRを介した細胞表面のMHCクラスII分子と本発明のペプチドの複合体の結合および抗原特異的に活性化されることを指す。本明細書では、「抗原特異的に活性化される」という語句は、特定のMHCクラスII分子とペプチドに応答して活性化されることを指し、活性化されたTh1細胞からのサイトカイン産生が誘導される。好ましい態様では、HLA−DRは、HLA−DR4、HLA−DR53およびHLA−DR15から成る群より選択され得る。好ましくは、HLA−DR4、HLA−DR53およびHLA−DR15は、それぞれHLA−DRB1*04:05、HLA−DRB4*0103、HLA−DRB1*15:02であり得る。他方で、HLA−DP2はHLA−DP抗原の好ましい例である。より好ましくは、HLA−DP2はHLA−DPB1*02:01であり得る。

0101

VII.T細胞受容体(TCR)
本発明はまた、T細胞受容体(TCR)のサブユニットを形成することができる1つまたは複数のポリペプチドをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチドを含有する組成物、およびこれを使用する方法を提供する。そのようなTCRサブユニットは、KIF20Aペプチドを提示するAPCに対する特異性をCD4+T細胞に付与するTCRを形成する能力を有する。当技術分野において公知の方法を用いることにより、本発明のペプチドによって誘導されるTh1細胞のTCRサブユニットとしてα鎖およびβ鎖の核酸を同定することができる(国際公開第2007/032255号およびMorgan et al.,J Immunol,171,3288(2003))。誘導体TCRは、KIF20Aペプチドを提示するAPCに高い結合力で結合することができ、場合により効率的なサイトカイン産生を媒介することができる。

0102

TCRサブユニットをコードする1つまたは複数のポリヌクレオチド(すなわちTCRサブユニットの両方をコードする単一ポリヌクレオチドまたは各々別々のTCRサブユニットをコードする複数のポリヌクレオチド)を適切なベクター、例えばレトロウイルスベクターに組み込むことができる。これらのベクターは当技術分野において周知である。ポリヌクレオチドまたはそれらを含むベクターは、CD4+T細胞、例えば患者由来のCD4+T細胞に有用に移入することができる。好都合には、本発明は、患者自身のT細胞(または別の哺乳動物のT細胞)の速やかな改変を可能にし、優れたがん細胞死滅特性を有する改変されたT細胞を迅速かつ容易に生産する、すぐに入手可能な組成物を提供する。

0103

本発明はさらに、TCRサブユニットの両方をコードするポリヌクレオチドまたはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドでの形質導入によって調製されるTh1細胞を提供し、ここで、TCRサブユニットはKIF20Aペプチド(例えばHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53またはHLA−DP2に関しては配列番号:1、HLA−DR53またはHLA−DR15に関しては配列番号:2、HLA−DR4に関しては配列番号:3、およびHLA−DR4またはHLA−DR53に関しては配列番号:4)に結合することができる。形質導入されたTh1細胞は、インビボでがん細胞にホーミングすることができ、インビトロで周知の培養方法によって増殖させることができる(例えばKawakami et al.,J Immunol.,142,3452−3461(1989))。上述したように調製したTh1細胞は、治療または保護を必要とする患者においてがんを治療するまたは予防する上で有用な免疫原性組成物を形成するために使用できる。

0104

VIII.薬剤または医薬組成物
本発明の方法および組成物ががんの「治療」に関連して有用性を有する限り、治療が臨床上の利益、例えばKIF20A遺伝子の発現の低下、または対象におけるがんの大きさ、有病率または転移能の低減を導く場合、治療は「有効」とみなされる。治療が予防的に適用される場合、「有効」は、がんの形成を遅延させるもしくは予防するまたはがんの臨床症状を予防するもしくは軽減することを意味する。有効性は、特定の腫瘍型診断するまたは治療するための任意の公知の方法に関連して決定される。

0105

本発明の方法および組成物ががんの「予防」(preventionおよびprophylaxis)に関連して有用性を有する限り、そのような用語は、本明細書では、疾患による死亡率または罹患率負荷を低減させる任意の行為を指すために互換的に使用される。予防(preventionおよびprophylaxis)は、「一次、二次および三次予防レベルで」行われ得る。一次予防(preventionおよびprophylaxis)は疾患の発生を回避し、一方二次および三次レベルの予防(preventionおよびprophylaxis)は、疾患の進行および症状の出現の予防(preventionおよびprophylaxis)、ならびに機能を回復させ、疾患に関連する合併症を減少させることによって既存の疾患の負の影響を低減することを目指す行為を包含する。あるいは、予防(preventionおよびprophylaxis)は、特定の障害重症度を軽減すること、例えば腫瘍の増殖および転移を低減すること、血管新生を減少させることを目指す広範囲予防的治療を含む。

0106

本発明に関連して、がんの治療および/もしくは予防、ならびに/またはその術後再発の防止は、以下の段階、例えばがん細胞の外科的除去、がん性細胞の成長の阻害、腫瘍の退縮または後退寛解の誘導およびがんの発生の抑制、腫瘍退行、ならびに転移の低減または阻害などの段階のいずれかを含む。がんの有効な治療および/または予防は、がんを有する個体の死亡率を低下させ、予後を改善し、血中の腫瘍マーカーのレベルを低下させ、がんに伴う検出可能な症状を軽減する。例えば、有効な治療および/または予防を構成する症状の低減または改善は、10%、20%、30%もしくはそれ以上の低減または安定な疾患を含む。

0107

上述したように、本発明のペプチドによって誘導されるTh1細胞は、細胞性免疫に関与する免疫細胞を助けることができる。Th1細胞によって分泌されるサイトカインは抗原非依存的にCTLに影響を及ぼし得るので、そのような免疫細胞には、KIF20Aを発現するがん細胞に対するCTLだけでなく、他のTAAを発現するがん細胞に対するCTLも含まれる。したがって、本発明は、少なくとも1つの本発明のペプチドを含有する薬剤または医薬組成物を提供する。薬剤または医薬組成物において、そのようなペプチドは治療的または医薬的に有効な量で存在する。本発明の薬剤または組成物によって誘導されるTh1細胞は、細胞性免疫に関与する任意の免疫細胞に影響を及ぼすサイトカインを分泌することができるので、本発明の薬剤または医薬組成物は、細胞性免疫に関与する任意の免疫細胞(例えばCTL、マクロファージ)を助ける、刺激するおよび/または増強するために有用である。それゆえ、本発明の薬剤または組成物は、CTLを含むそのような免疫細胞によって媒介される免疫応答を増強するまたは促進するあらゆる目的に有用である。例えば、本発明の薬剤または組成物は、そのような免疫細胞によって媒介されるがんまたは腫瘍に対する免疫応答を増強するまたは促進することができるので、本発明は、がんの治療および/または予防における使用のための、本発明のペプチドの少なくとも1つを含有する薬剤または組成物を提供する。そのような薬剤または組成物中のペプチドの量は、KIF20Aを発現するがんを担持する対象において免疫応答を有意に増強するまたは刺激するのに有効な量であり得る。
さらに、図5および6に示すように、本発明の過程で同定されたKIF20A由来ペプチドは、CTLエピトープ単独での刺激と比較してCTL誘導を増強することが確認されている。それゆえ、本発明はまた、HLA−A2およびHLA−A24などのMHCクラスI抗原によって媒介される免疫応答を増強するまたは刺激するための薬剤または組成物も提供する。別の態様では、本発明はさらに、MHCクラスI抗原によって媒介される免疫応答を増強するまたは刺激するための薬剤または組成物を製造するための本発明のペプチドの使用を提供する。

0108

好ましい態様において、本発明の過程で同定されたKIF20A由来ペプチドは、Th1細胞ならびにKIF20A発現細胞に対するCTLを含み得る。したがって、本発明はまた、KIF20Aを発現するがんまたは腫瘍に対するCTLの誘導における使用のための、本発明のペプチドの少なくとも1つを含有する薬剤または組成物も提供する。
さらに、本発明のペプチドの少なくとも1つを含有する薬剤または組成物は、MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答を増強するまたは促進するのに使用することができる。

0109

KIF20A発現は、正常組織と比較して膀胱がん、乳がん、胆管細胞がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がんおよび小細胞肺がん(SCLC)を含むいくつかのがん型において特異的に上昇するので(国際公開第2006/085684号、国際公開第2007/013665号、国際公開第2008/102906号、国際公開第2008/102557号、国際公開第2010/047062号、国際公開第2008/102557号)、本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドは、がんもしくは腫瘍の治療および/もしくは予防のため、ならびに/またはその術後再発の防止のために使用することができる。したがって、本発明は、本発明のペプチドの1つまたは複数または本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを有効成分として含有する、がんもしくは腫瘍の治療および/もしくは予防のため、ならびに/またはその術後再発の防止のための薬剤または医薬組成物を提供する。あるいは、本発明のペプチドを、薬剤または医薬組成物としての使用のために、APCなどの前記細胞のいずれかの表面で発現させることができる。加えて、前記Th1細胞も、本発明の薬剤または医薬組成物の有効成分として使用することができる。

0110

別の態様では、本発明はまた、がんまたは腫瘍を治療するための医薬組成物または薬剤の製造における、
(a)本発明のペプチド、
(b)本明細書で開示するようなペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド、
(c)本発明のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPC、および
(d)本発明のTh1細胞
の中から選択される有効成分の使用を提供する。

0111

あるいは、本発明はさらに、がんまたは腫瘍を治療するのに使用するための、
(a)本発明のペプチド、
(b)本明細書で開示するようなペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド、
(c)本発明のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPC、および
(d)本発明のTh1細胞
の中から選択される有効成分を提供する。

0112

あるいは、本発明はさらに、がんまたは腫瘍を治療するための医薬組成物または薬剤を製造するための方法または工程であって、有効成分として、
(a)本発明のペプチド、
(b)本明細書で開示するようなペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド、
(c)本発明のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPC、および
(d)本発明のTh1細胞
の中から選択される有効成分と医薬的または生理学的に許容される担体を製剤化する段階を含む方法または工程を提供する。

0113

別の態様において、本発明はまた、がんまたは腫瘍を治療するための医薬組成物または薬剤を製造するための方法または工程であって、
(a)本発明のペプチド、
(b)本明細書で開示するようなペプチドを発現可能な形態でコードするポリヌクレオチド、
(c)本発明のペプチドまたはその断片を自らの表面に提示するAPC、および
(d)本発明のTh1細胞
の中から選択される有効成分を医薬的または生理学的に許容される担体と混合する段階を含む方法または工程も提供する。

0114

あるいは、本発明の医薬組成物または薬剤は、がんまたは腫瘍の予防およびその術後再発の防止のいずれかまたは両方のために使用し得る。

0115

本発明の薬剤または医薬組成物はワクチンとして使用される。本発明に関連して、「ワクチン」(免疫原性組成物とも称される)という語句は、動物に接種した場合抗腫瘍免疫を誘導する機能を有する組成物を指す。

0116

本発明の薬剤または医薬組成物は、対象または患者においてがんもしくは腫瘍を治療するおよび/もしくは予防する、ならびに/またはその術後再発もしくは転移性再発を防止するために使用できる。そのような対象の例には、ヒトならびに、マウス、ラットモルモットウサギネコイヌヒツジヤギブタウシウマサルヒヒおよびチンパンジー、特に商業的に重要な動物または家畜を含むがこれらに限定されない他の哺乳動物が含まれる。

0117

本発明の過程で、配列番号:1、2、3および4の中から選択されるアミノ酸配列を有するペプチドは、いくつかのHLA−DRおよび/またはHLA−DP分子(すなわちHLA−DR4、HLA−DR53、HLA−DR15、HLA−DP2)によって拘束されるプロミスキャスなTh1細胞エピトープであることが見出され、これらは、MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答に起因する、がんに対する強力で特異的な免疫応答を誘導することができる候補であり得る。それゆえ、配列番号:1、2、3または4のアミノ酸配列を有するこれらのペプチドのいずれかを含む本発明の薬剤または医薬組成物は、MHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の中から選択される少なくとも1つを有する対象への投与に特に適する。同じことが、これらのペプチドのいずれかをコードするポリヌクレオチドを含む薬剤または医薬組成物にも当てはまる
あるいは、好ましい態様では、本発明の過程で同定されたペプチドは、HLA−A2またはHLA−A24を有する対象に適用された場合、KIF20Aに特異的なCTLを誘導することもできる。したがって、本発明のペプチドの投与を通して、Th1細胞の誘導に加えてKIF20Aを発現するがんに対するCTL応答が誘導され得ることがさらに期待される。さらに、本発明のペプチドは、KIF20A発現細胞に対するCTL応答を、そのプロセシングを介して誘導することができるだけでなく、それによって媒介されるTh1細胞誘導により、CTL応答を増強することもできる。したがって、同じ対象においてTh1細胞およびKIF20A特異的CTLの両方の誘導を達成するために、例えば、治療される対象は、配列番号:1のアミノ酸配列を有するペプチドを投与する場合は、好ましくはMHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の中から選択される少なくとも1つ、ならびにMHCクラスI分子としてHLA−A24を有する。同様に、MHCクラスII分子としてHLA−DR53および/またはDR15を、ならびにMHCクラスI分子としてHLA−A2を有する対象に配列番号:2のアミノ酸配列を有するペプチドを投与することにより、Th1細胞およびKIF20A特異的CTLの両方の誘導が対象において達成され得る。

0118

別の態様では、本発明は、Th1細胞誘導に依存するがん免疫療法を提供する。本発明によって提供される治療戦略は、Th1細胞から分泌されるサイトカインによって活性化される免疫細胞が目的のがん細胞を標的とする限り、KIF20A発現とは無関係に任意のがんに適用でき、有効である。
本発明の薬剤または医薬組成物によって治療されるべきがんまたは腫瘍には、限定されないが、そのようながんの好ましい例には、例えば膀胱がん、乳がん、胆管細胞がん、食道がん、非小細胞肺がん(NSCLC)、膵がん、前立腺がん、腎がん、小細胞肺がん(SCLC)および頭頸部悪性腫瘍(HNMT)を含む、KIF20Aを発現する任意の種類のがんまたは腫瘍が含まれる。

0119

本発明の薬剤または医薬組成物は、前記有効成分に加えて、Th1細胞またはCTLを誘導する能力を有する他のペプチド、前記他のペプチドをコードする他のポリヌクレオチド、前記他のペプチドまたはその断片を提示する他の細胞等を含有し得る。Th1細胞またはCTLを誘導する能力を有するそのような「他の」ペプチドの例には、がん特異抗原(例えば同定されたTAA)に由来するペプチドが含まれるが、これに限定されない。

0120

必要に応じて、本発明の薬剤または医薬組成物は、有効成分、例えば本発明のペプチドのいずれかの抗腫瘍作用を他の治療物質が阻害しない限り、場合により他の治療物質を付加的な有効成分として含んでもよい。例えば、製剤は、抗炎症薬鎮痛剤化学療法剤等を含み得る。医薬自体に他の治療物質を含めることに加えて、本発明の医薬を1つまたは複数の他の薬理的剤と連続的にまたは同時に投与することもできる。医薬および薬理的剤の量は、例えば、使用される薬理的剤の種類、治療される疾患、ならびに投与のスケジュールおよび投与経路に依存する。

0121

当業者は、本明細書で特に言及する成分に加えて、本発明の薬剤または医薬組成物が、対象となる製剤の種類を考慮して当技術分野において慣例的な他の剤(例えば増量剤、結合剤、希釈剤、賦形剤等)も含み得ることを認識する。

0122

本発明の1つの態様では、本発明の薬剤または医薬組成物を、治療する疾患、例えばがんの病的状態を治療するために有用な材料を含む製品およびキットに含めることができる。前記製品は、ラベルを付した本発明の薬剤または医薬組成物のいずれかの容器を含み得る。適切な容器には、ボトルバイアルおよび試験管が含まれる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。容器上のラベルは、剤が疾患の1つまたは複数の状態の治療または予防に使用されることが示されるべきである。ラベルはまた、投与等に関する指示も示し得る。

0123

上述した容器に加えて、本発明の薬剤または医薬組成物を含むキットは、場合により医薬的に許容される希釈剤を収容する第二の容器をさらに含んでもよい。第二の容器は、使用のための指示書と共に、他の緩衝液、希釈剤、フィルター注射針シリンジおよび添付文書を含む、商業的および使用者の観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。

0124

薬剤または医薬組成物は、所望する場合は、有効成分を含有する1つまたは複数の単位剤形を含み得るパックまたはディスペンサー装置中に包装することができる。パックは、例えば、ブリスターパックなどの金属またはプラスチックホイルを含み得る。パックまたはディスペンサー装置には、投与のための指示書が添付され得る。

0125

(1)ペプチドを有効成分として含有する薬剤または医薬組成物:
本発明のペプチドは、薬剤もしくは医薬組成物として直接投与することができるか、または必要な場合は、従来の製剤方法によって製剤化される。後者の場合、本発明のペプチドに加えて、薬剤に通常使用される担体、賦形剤などが、特に制限されることなく適宜含まれ得る。そのような担体の例には、滅菌水生理食塩水リン酸緩衝液培養液などが含まれるが、これらに限定されない。さらに、薬剤または医薬組成物は、必要に応じて、安定剤、懸濁液、防腐剤界面活性剤などを含有し得る。本発明の薬剤または医薬組成物は抗がん目的に用いることができる。

0126

本発明のペプチドは、インビボでTh1細胞を誘導する本発明のペプチドの2つまたはそれ以上で構成される、組合せとして調製することができる。ペプチドの組合せはカクテルの形態をとってもよく、または標準的な技術を用いて互いに複合化し得る。例えば、ペプチドを化学的に連結するかまたは単一融合ポリペプチド配列として発現させることができる。組合せ中のペプチドは、同じであってもよくまたは異なっていてもよい。

0127

本発明のペプチドを投与することにより、ペプチドまたはその断片がAPC上のHLAクラスII抗原によって高密度で提示され、次に提示されたペプチドとHLAクラスII抗原との間で形成された複合体に対して特異的に反応するTh1細胞が誘導される。あるいは、対象からAPC(例えばDC)を取り出し、次に本発明のペプチドによって刺激して、本発明のペプチドまたはその断片のいずれかを自らの表面に提示するAPCを得る。これらのAPCを対象に再投与して、対象においてTh1細胞を誘導することができ、結果として、腫瘍関連内皮に対する攻撃性を増大させることができる。

0128

本発明のペプチドを有効成分として含む、がんまたは腫瘍の治療および/または予防のための薬剤または医薬組成物は、細胞性免疫を有効に樹立することが公知のアジュバントも含み得る。あるいは、薬剤または医薬組成物は、他の有効成分と共に投与することができ、または顆粒に製剤化することによって投与できる。アジュバントとは、免疫学的活性を有するタンパク質と共に(または連続的に)投与した場合、タンパク質に対する免疫応答を増強する化合物を指す。本明細書で企図されるアジュバントには、文献(Clin Microbiol Rev 1994,7:277−89)に記載されているものが含まれる。適切なアジュバントの例には、リン酸アルミニウム水酸化アルミニウムミョウバンコレラ毒素サルモネラ毒素不完全フロイントアジュバント(IFA)、完全フロイントアジュバント(CFA)、ISCOMatrix、GM−CSF、CpG、水中油型エマルション等が含まれるが、これらに限定されない。

0129

さらに、リポソーム製剤、ペプチドが直径数マイクロメートルビーズに結合している顆粒製剤、および脂質がペプチドに結合している製剤を好都合に使用し得る。
本発明の別の態様では、本発明のペプチドはまた、医薬的に許容される塩の形態で投与し得る。好ましい塩の例には、アルカリ金属との塩、金属との塩、有機塩基との塩、有機酸(例えば酢酸ギ酸プロピオン酸フマル酸マレイン酸コハク酸酒石酸クエン酸リンゴ酸シュウ酸安息香酸メタンスルホン酸等)との塩、および無機酸(例えば塩酸リン酸臭化水素酸硫酸等)との塩が含まれる。本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される塩」という語句は、化合物の生物学的有効性および特性を保持し、無機酸または無機塩基、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸p−トルエンスルホン酸サリチル酸等との反応によって得られる塩を指す。

0130

いくつかの態様において、本発明の薬剤または医薬組成物は、Th1細胞および場合によりCTLをプライミングする成分をさらに含み得る。脂質は、ウイルス抗原に対してインビボでTh1細胞および場合によりCTLをプライミングすることができる剤として同定されている。例えば、パルミチン酸残基をリシン残基のε−アミノ基およびα−アミノ基に結合し、次に本発明のペプチドに連結することができる。その後、脂質付加したペプチドを、ミセルもしくは粒子中で直接投与する、リポソーム中に組み込む、またはアジュバント中に乳化することができる。Th1細胞および場合によりCTL応答の脂質プライミングの別の例として、トリパルミトイル−S−グリセリルシステイニルセリル−セリン(P3CSS)などの大腸菌(E.coli)リポタンパク質が、適切なペプチドに共有結合した場合、Th1細胞および場合によりCTLをプライミングするために使用できる(例えばDeres et al.,Nature 1989,342:561−4参照)。

0131

適切な投与方法の例には、経口、皮内、皮下、筋肉内、骨内腹腔内および静脈内注射など、ならびに全身投与または標的部位の近傍への局所投与(すなわち直接注入)が含まれるが、これらに限定されない。投与は、単回投与によって実施でき、または反復投与によって強化することもできる。医薬的または治療的に有効な量のペプチドを、KIF20Aを発現するがんの治療を必要とする対象に投与することができる。あるいは、Th1細胞によって媒介される免疫応答を増強もしくは刺激する、および/またはKIF20Aを発現するがんもしくは腫瘍に対するCTLを誘導するのに十分な量の本発明のペプチドを、KIF20Aを発現するがんを担持する対象に投与することができる。本発明のペプチドの用量は、治療する疾患、患者の年齢、体重、投与方法などに従って適切に調整することができ、通常は0.001mg〜1000mg、例えば0.01mg〜100mg、例えば0.1mg〜10mg、例えば0.5mg〜5mgであり、数日から数ヶ月に1回投与することができる。当業者は、適切で最適な用量を容易に決定することができる。

0132

(2)ポリヌクレオチドを有効成分として含有する薬剤または医薬組成物:
本発明の薬剤または医薬組成物はまた、本明細書で開示するペプチドをコードするポリヌクレオチドを発現可能な形態で含有し得る。本明細書では、「発現可能な形態で」という語句は、ポリヌクレオチドが、細胞内に導入された場合、抗腫瘍免疫を誘導するポリペプチドとしてインビボで発現されることを意味する。例示的な態様では、関心対象のポリヌクレオチドの核酸配列は、ポリヌクレオチドの発現に必要な調節エレメントを含む。ポリヌクレオチドは、標的細胞のゲノムへの安定な組み込みを達成するのに必要なものを備え得る(相同組換えカセットベクターの説明に関しては、例えばThomas KR & CapecchiMR,Cell 1987,51:503−12参照)。例えば、Wolff et al.,Science 1990,247:1465−8;米国特許第5,580,859号;同第5,589,466号;同第5,804,566号;同第5,739,118号;同第5,736,524号;同第5,679,647号;および国際公開第98/04720号参照。DNAに基づく送達技術の例には、「のDNA」、促進(ブピバカイン、ポリマー、ペプチド媒介性)送達、カチオン性脂質複合体、および粒子媒介性(「遺伝子銃」)または圧力媒介性送達が含まれる(例えば米国特許第5,922,687号参照)。

0133

本発明のペプチドは、ウイルスベクターまたは細菌ベクターによっても発現され得る。発現ベクターの例には、ワクシニアウイルスまたは鶏痘ウイルスなどの弱毒化ウイルス宿主が含まれる。このアプローチは、例えば本発明のペプチドをコードするヌクレオチド配列を発現するベクターとしての、ワクシニアウイルスの使用を含む。宿主への導入後、組換えワクシニアウイルス免疫原性ペプチドを発現し、それによって免疫応答を惹起する。免疫プロトコルに有用なワクシニアベクターおよび方法は、例えば米国特許第4,722,848号に記載されている。別のベクターはBCGカルメットゲラン桿菌)である。BCGベクターは、Stover et al.,Nature 1991,351:456−60に記載されている。治療的投与または免疫のために有用である多種多様な他のベクター、例えばアデノウイルスベクターおよびアデノ随伴ウイルスベクター、レトロウイルスベクター、チフス菌(Salmonella typhi)ベクター、無毒化炭疽毒素ベクター等が明らかである。例えばShata et al.,Mol Med Today 2000,6:66−71;Shedlock et al.,J Leukoc Biol 2000,68:793−806;Hipp et al.,In Vivo 2000,14:571−85参照。

0134

対象へのポリヌクレオチドの送達は、直接的であってもよく、この場合対象はポリヌクレオチドを担持するベクターに直接暴露され、または間接的であってもよく、この場合は最初にインビトロで細胞を関心対象のポリヌクレオチドで形質転換し、次に細胞を対象に移植する。これら2つのアプローチは、それぞれインビボおよびエクスビボ遺伝子治療として公知である。

0135

遺伝子治療の方法の一般的な総説に関しては、Goldspiel et al.,Clinical Pharmacy 1993,12:488−505;Wu and Wu,Biotherapy 1991,3:87−95;Tolstoshev,Ann Rev Pharmacol Toxicol 1993,33:573−96;Mulligan,Science 1993,260:926−32;Morgan & Anderson,Ann Rev Biochem 1993,62:191−217;Trends in Biotechnology 1993,11(5):155−215参照)。本発明にも使用できる、組換えDNA技術の分野で一般に公知の方法は、eds.Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,NY,1993;およびKrieger,Gene Transfer and Expression,A Laboratory Manual,Stockton Press,NY,1990に記載されている。

0136

ペプチドの投与と同様に、ポリヌクレオチドの投与は、経口、皮内、皮下、静脈内、筋肉内、骨内および/または腹腔内注射などによって実施してよく、全身投与もしくは標的部位の近傍への局所投与も使用される。投与は、単回投与によって実施でき、または複数回投与によって強化することもできる。医薬的または治療的に有効な量のポリヌクレオチドを、KIF20Aを発現するがんの治療を必要とする対象に投与することができる。あるいは、Th1細胞によって媒介される免疫応答を増強もしくは刺激する、および/またはKIF20Aを発現するがんもしくは腫瘍に対するCTLを誘導するのに十分な量の本発明のポリヌクレオチドを、KIF20Aを発現するがんを担持する対象に投与することができる。適切な担体または本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドで形質転換された細胞中のポリヌクレオチドの用量は、治療する疾患、患者の年齢、体重、投与方法などに従って適切に調整することができ、通常は0.001mg〜1000mg、例えば0.01mg〜100mg、例えば0.1mg〜10mg、例えば0.5mg〜5mgであり、数日ごとに1回から数ヶ月ごとに1回投与することができる。当業者は、適切で最適な投与量を容易に決定することができる。

0137

IX.ペプチド、APCまたはTh1細胞を使用する方法
本発明のペプチドおよびそのようなペプチドをコードするポリヌクレオチドは、本発明のAPCおよびTh1細胞を誘導するために使用できる。本発明のAPCはまた、本発明のTh1細胞を誘導するためにも使用できる。ペプチド、ポリヌクレオチドおよびAPCは、任意の他の化合物がこれらのTh1細胞誘導能を阻害しない限り、任意の他の化合物と組み合わせて使用することができる。したがって、本発明の前記薬剤または医薬組成物のいずれかを、Th1細胞を誘導するために使用でき、それに加えて、ペプチドおよびポリヌクレオチドを含むものも、以下で論じるようにAPCを誘導するために使用できる。

0138

(1)抗原提示細胞(APC)を誘導する方法:
本発明は、本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用してAPCを誘導する方法を提供する。APCの誘導は、「VI.抗原提示細胞」の章で上述したように実施することができる。本発明はまた、Th1細胞誘導能を有するAPCを誘導するための方法も提供し、前記APCの誘導は、「VI.抗原提示細胞」、前出の項目でも言及されている。

0139

あるいは、本発明は、Th1細胞を誘導する能力を有する抗原提示細胞(APC)を調製するための方法であって、以下の段階:
(a)APCを本発明のペプチドとインビトロ、エクスビボまたはインビボで接触させる段階;および
(b)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階
の1つを含み得る方法を提供する。
あるいは、本発明は、Th1細胞誘導能を有するAPCを誘導するための方法であって、
(a)APCを本発明のペプチドと接触させる段階;および
(b)本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをAPCに導入する段階
から成る群より選択される段階を含む方法を提供する。

0140

本発明の方法は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで実施することができる。好ましくは、本発明の方法はインビトロまたはエクスビボで実施できる。好ましい態様では、Th1細胞誘導能を有するAPCの誘導のために使用するAPCは、好ましくはMHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の中から選択される少なくとも1つを発現するAPCであり得る。そのようなAPCは、MHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の中から選択される少なくとも1つを有する対象から得た末梢血単核細胞(PBMC)から、当技術分野において周知の方法によって調製することができる。本発明の方法によって誘導されるAPCは、本発明のペプチドまたはその断片とHLAクラスII抗原(例えばHLA−DR4、HLA−DR9、HLA−DR15、HLA−DR53、HLA−DP2)の複合体を自らの表面に提示するAPCであり得る。対象においてがんに対する免疫応答を誘導するために、本発明の方法によって誘導されたAPCを対象に投与する場合、対象は、好ましくはAPCが由来するのと同じ対象である。しかし、対象がAPCドナーと同じHLA型を有する限り、対象はAPCドナーとは異なる対象であってもよい。

0141

別の態様では、本発明は、Th1細胞誘導能を有するAPCを誘導するのに使用するための剤または組成物を提供し、そのような剤または組成物は、本発明の1つまたは複数のペプチドまたはポリヌクレオチドを含む。
別の態様では、本発明は、APCを誘導するために製剤化される剤または組成物の製造における、本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドの使用を提供する。

0142

あるいは、本発明はさらに、Th1細胞誘導能を有するAPCを誘導するのに使用するための本発明のペプチドまたは本発明のペプチドをコードするポリペプチドを提供する。
好ましい態様では、本発明のペプチドは、Th1応答を誘導するだけでなく、それらをプロセシングした後にCTL応答も誘導する。したがって、好ましい態様では、本発明の方法によって調製されるAPCは、がん細胞を含む、KIF20A発現細胞に対するCTLを誘導するためにも有用であり得る。例えば、配列番号:5のアミノ酸配列を含むペプチドによって誘導する場合は、HLA−A2を発現するAPCがKIF20A特異的CTLを誘導するのに適する。あるいは、配列番号:6のアミノ酸配列を含むペプチドによって誘導する場合は、HLA−A24を発現するAPCがKIF20A特異的CTLを誘導するのに適する。

0143

(2)Th1細胞を誘導する方法:
さらに、本発明は、本発明のペプチド、本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドまたは本発明のペプチドもしくはその断片を提示するAPCを用いてTh1細胞を誘導するための方法を提供する。本発明はまた、本発明のペプチドとHLAクラスII抗原の複合体を認識するT細胞受容体(TCR)サブユニットを形成することができるポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを使用してTh1細胞を誘導するための方法も提供する。好ましくは、Th1細胞を誘導するための方法は、
a:CD4陽性T細胞を、HLAクラスII抗原と本発明のペプチドまたはその断片との複合体を自らの表面に提示する抗原提示細胞と接触させる段階、および
b:TCRが本発明のペプチドまたはその断片とHLAクラスII抗原の複合体を認識するまたは複合体に結合することができる、TCRサブユニットの両方をコードするポリヌクレオチドまたはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドをCD4陽性T細胞に導入する段階
から成る群より選択される少なくとも1つの段階を含む。

0144

本発明のペプチドを対象に投与した場合、対象の体内でTh1細胞が誘導され、MHCクラスII分子によって媒介される免疫応答(例えばがん細胞を標的とする免疫応答)が増強される。あるいは、本発明のペプチドおよび本発明のペプチドをコードするポリヌクレオチドをエクスビボ治療法に使用することができ、この治療法では、対象由来のAPCおよびCD4陽性細胞、または末梢血単核白血球をインビトロで本発明のペプチドと接触させ(で刺激し)、Th1細胞を誘導した後、活性化したTh1細胞を対象に戻す。例えば、前記方法は、
a:対象からAPCを回収する段階;
b:段階aのAPCを本発明のペプチドと接触させる段階;
c:段階bのAPCをCD4+T細胞と混合し、Th1細胞を誘導するために共培養する段階;および
d:段階cの共培養物からCD4+T細胞を回収する段階
を含み得る。
さらに、Th1細胞は、TCRが本発明のペプチドまたはその断片とHLAクラスII抗原の複合体に結合することができる、TCRサブユニットの両方をコードするポリヌクレオチドまたはTCRサブユニットの各々をコードするポリヌクレオチドをCD4陽性T細胞に導入することによって誘導できる。そのような形質導入は、「VII.T細胞受容体(TCR)」の章で上述したように実施することができる。

0145

本発明の方法は、インビトロ、エクスビボまたはインビボで実施することができる。好ましくは、本発明の方法はインビトロまたはエクスビボで実施できる。Th1細胞の誘導のために使用するCD4陽性T細胞は、対象から得たPBMCから当技術分野において周知の方法によって調製することができる。好ましい態様では、CD4陽性T細胞のドナーは、MHCクラスII分子としてHLA−DR4、HLA−DR15、HLA−DR53およびHLA−DP2の中から選択される少なくとも1つを有する対象であり得る。本発明の方法によって誘導されるTh1細胞は、本発明のペプチドまたはその断片とHLAクラスII抗原の複合体を自らの表面に提示するAPCを認識することができるTh1細胞であり得る。対象においてがんに対する免疫応答(またはMHCクラスI分子によって媒介される免疫応答)を誘導するために、本発明の方法によって誘導されたTh1細胞を対象に投与する場合、対象は、好ましくはCD4陽性T細胞が由来するのと同じ対象である。しかし、対象がCD4陽性T細胞ドナーと同じHLA型を有する限り、対象はCD4陽性T細胞ドナーとは異なる対象であってもよい。

0146

好ましい態様では、本発明のペプチドは、KIF20A発現細胞に対するCTLならびにTh1細胞を誘導することができる。それゆえ、本発明はさらに、CTLを誘導するための方法であって、
a:CD4陽性T細胞およびCD8陽性T細胞の両方を、本発明のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階;ならびに
b:CD8陽性T細胞を本発明のペプチドと接触させたAPCと共培養する段階
から成る群より選択される少なくとも1つの段階を含む方法を提供する。
CTLを誘導するそのような方法では、本発明のペプチドはAPC内でプロセシングされてCTLエピトープペプチドを生成し、生成されたCTLエピトープペプチドはAPCの表面に提示される。

0147

あるいは、本発明によれば、Th1細胞を誘導する薬剤または医薬組成物を製造するための本発明のペプチドの使用が提供される。加えて、本発明は、Th1細胞を誘導する薬剤または医薬組成物を製造するための方法または工程を提供し、方法は、本発明のペプチドを医薬的に許容される担体と混合するまたは製剤化するための段階を含む。さらに、本発明はまた、Th1細胞を誘導するための本発明のペプチドも提供する。

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