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技術 生体物質を石灰化するための改善された装置および方法

出願人 レミノヴァリミテッド
発明者 ナイジェルピッツクリストファーロングボトムジョゼフクレイストン
出願日 2013年7月9日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2015-521055
公開日 2015年8月3日 (4年3ヶ月経過) 公開番号 2015-521931
状態 特許登録済
技術分野 歯科用機器・補助機器 電気治療装置
主要キーワード 再調整ステップ 空間的不均一性 特性指標 電気信号発生器 電流断続 電流減衰 着目対象 減衰データ
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年8月3日)のものです。
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図面 (12)

課題・解決手段

本発明によれば、生体物質石灰化装置が提供される。この装置には、超音波信号を発生する超音波源と、超音波プローブと、石灰化剤を収容する1つまたは複数の石灰化プローブとが設けられ、石灰化剤は、少なくとも1つの石灰化プローブから生体物質へ、超音波信号を用いて搬送される。本発明によれば、石灰化剤および生体物質の石灰化方法が提供される。この方法は、超音波源を準備するステップと、石灰化剤を準備するステップと、超音波源から超音波信号を発生させるステップと、超音波信号と石灰化剤とを、別々にまたは順次にまたは同時に、生体物質へ印加するステップとを含んでいる。

概要

背景

カリエスは、歯または骨の腐蝕である。歯のカリエス(齲歯齲蝕または骨傷としても知られる)は、摂取された糖質に対する微生物酵素作用により生成された酸が原因となる。酸は、歯の無機部分から石灰消失させ(その部分を脱灰し)、これにより最初に表面下病変させ、ついで有機部分壊変して空洞の形成に至る。歯科学においては、齲蝕病変の進行による歯の脱灰を、齲蝕病変の深さで表すことができる。

齲歯の治療は一般的に、歯内部の齲蝕した物質を除去し、その結果生じた孔(空洞)に歯科用アマルガムまたは他の修復材充填することによって行われる。もっと重症ケースであれば、歯全体を抜いてしまう場合もある。病変による空洞が生じる前に、齲蝕病変を再石灰化することによって組織破壊修復または逆行させることができる。ただしこのプロセスは、外因性の(たとえば唾液または食物から導出される)タンパク質および脂質が齲蝕病変から取り除かれている場合に、いっそう良好に作用する。

齲歯のレベルによって歯の電気的特性が変化することが知られている。このような変化が起こる理由は、鉱物質が消失すると歯の空隙率が増大し、孔内部に発生するイオン数が結果として増加して導電率が上昇すること、すなわち歯内の電気的な輸送が増えることにある。したがって、ある歯が脱灰すると、その歯の電荷輸送特性が強まることになる。このことは、健康な歯である健常歯と比べると、脱灰した歯を通して同等の電流を得るためにその歯に加えなければならない電位差が減少する、ということから明確に表すことができる。同様にこのことは、同じ電位を加えた場合、脱灰した歯から測定可能な電流が健常歯に比べて増加する、ということからはっきりと示すことができる。このような作用は、定電流または一定の電位差をそれぞれ加えることによって検出することができる。別の選択肢として、交流信号を用いてインピーダンス直流抵抗も含む)をモニタリングすることもできる。

プローブまたは接触電極対向電極とを使用して歯に交流電流を加えることによって、齲歯検出用に特別に設計された多数の装置がある。上述のように、対向電極とプローブによって形成された回路の主要なインピーダンスの要因は歯であり、したがって回路のインピーダンスにもたらされる変化は、歯のインピーダンスの変化の目安となる。この技術については、国際公開WO97/42909で述べられている。

イオン導入法は、電流を用い帯電した物質一般には薬剤または生理活性物質推進させる非侵襲的方法である。イオン導入法を経皮吸収ドラッグデリバリーに利用することが知られている。さらにイオン導入法を、象牙質知覚過敏症の治療および非空洞化齲歯病変の再石灰化のために、フッ化物含有配合物と共に使用することができる。イオン導入装置には一般に、活性電極アセンブリ対向電極アセンブリが含まれており、これらの電極電圧源のそれぞれ逆の極または端子に接続されている。この場合、活性剤陽イオンまたは陰イオンとすることができ、活性剤の極性に基づき適正な電圧極性を加えるように電圧源を構成することができる。活性剤を、たとえば空洞などのような貯蔵場所または多孔質構造あるいはゲルなどに格納することができる。

音波縦波パルスである。超音波を、経皮吸収型ドラッグデリバリーすなわちソノフォレシスのために用いることが知られている。歯科学においては、超音波は一般にクリーニング用として知られており、たとえば歯の外表面から歯石を除去したり、あるいは根管治療中に歯内部の髄室および根管から残屑を除去するために用いられるものとして知られている。

エレクトロソノフォーレシス(electrosonophoresis)は、イオン導入法と超音波を組み合わせたものである。

概要

本発明によれば、生体物質石灰化装置が提供される。この装置には、超音波信号を発生する超音波源と、超音波プローブと、石灰化剤を収容する1つまたは複数の石灰化プローブとが設けられ、石灰化剤は、少なくとも1つの石灰化プローブから生体物質へ、超音波信号を用いて搬送される。本発明によれば、石灰化剤および生体物質の石灰化方法が提供される。この方法は、超音波源を準備するステップと、石灰化剤を準備するステップと、超音波源から超音波信号を発生させるステップと、超音波信号と石灰化剤とを、別々にまたは順次にまたは同時に、生体物質へ印加するステップとを含んでいる。

目的

本発明の課題は、生体物質を石灰化するための装置、システムおよび方法を改善することである

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
0件

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請求項1

生体物質石灰化装置において、超音波信号を発生する超音波源と、超音波プローブと、石灰化剤を収容する1つまたは複数の石灰化プローブとが設けられており、前記石灰化剤は、少なくとも1つの前記石灰化プローブから生体物質へ、前記超音波信号を用いて搬送されることを特徴とする、生体物質の石灰化装置。

請求項2

イオン導入プローブが設けられている、請求項1記載の装置。

請求項3

少なくとも1つの石灰化プローブは前記超音波プローブである、請求項1または2記載の装置。

請求項4

第1電極および第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に電気信号を発生させる電気信号発生器と、前記第1電極と前記第2電極との間の電気信号の電気的応答を検出する検出器と、検出された電気的応答を受信し、該電気的応答に関連させて前記超音波信号を制御する制御装置とがさらに設けられている、請求項1から3のいずれか1項記載の装置。

請求項5

石灰化プローブ電極変調器が設けられており、該変調器は、前記石灰化プローブ電極と前記第2電極との間の電気信号を変調し、該電気信号を用いて前記石灰化剤を前記生体物質へ搬送する、請求項4記載の装置。

請求項6

前記石灰化プローブ電極は前記第1電極である、請求項5記載の装置。

請求項7

前記制御装置は、検出された前記電気的応答に関連させて前記電気信号の変調を制御する、請求項4から6のいずれか1項記載の装置。

請求項8

さらに基準電極が設けられており、該基準電極により、前記電気信号と前記超音波信号の変調のうち少なくとも一方の変調が制御される、請求項5から7のいずれか1項記載の装置。

請求項9

前記制御装置は、第1ソフトフェアモジュールと第2ソフトウェアモジュールとを含み、前記第1ソフトフェアモジュールは、種々の石灰化段階におけるサンプル生体物質に特有の電気的応答を表すデータのセットを有しており、前記第2ソフトウェアモジュールは、前記データを検出された前記電気的応答と比較し、該比較によって、前記電気信号と前記超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定する、請求項4から8のいずれか1項記載の装置。

請求項10

前記データを検出された前記電気的応答と比較し、該比較により、前記電気信号と前記超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定するために、前記第2ソフトウェアモジュールは、前記石灰化と前記電気的応答との関係を定義した関数を適用する、請求項9記載の装置。

請求項11

前記データを検出された前記電気的応答と比較し、前記電気信号と前記超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定するために、前記第2ソフトウェアモジュールは、前記生体物質の前記電気的応答と前記生体物質の石灰化とに関する情報を含むルックアップテーブルを適用する、請求項9記載の装置。

請求項12

前記石灰化プローブ電極は、イオン導入法により前記石灰化剤を前記生体物質へ搬送する、請求項5から11のいずれか1項記載の装置。

請求項13

前記検出器は、前記電気的応答に基づき、前記生体物質上または前記生体物質中の外因性タンパク質と脂質のうち少なくとも一方の存在を検出する、請求項4から11のいずれか1項記載の装置。

請求項14

コンディショニング剤を塗布する手段がさらに設けられている、請求項1から13のいずれか1項記載の装置。

請求項15

前記コンディショニング剤は、酸化剤、脱タンパク剤および脱脂質剤のうち少なくとも1つを含む、請求項14記載の装置。

請求項16

前記超音波信号を印加し、かつ前記石灰化剤を別々にまたは順次にまたは同時に搬送する、請求項1から15のいずれか1項記載の装置。

請求項17

前記超音波信号と前記電気信号を別々にまたは順次にまたは同時に印加する、請求項5から16のいずれか1項記載の装置。

請求項18

変調された前記超音波信号を印加し、かつ前記石灰化剤を別々にまたは順次にまたは同時に搬送する、請求項5から16のいずれか1項記載の装置。

請求項19

歯および/または骨のような硬組織の生体物質と共に使用するために適合されている、請求項1から18のいずれか項記載の装置。

請求項20

生体物質を石灰化するために、請求項1から19のいずれか1項記載の装置と共に使用するための石灰化剤。

請求項21

カゼインホスホペプチドアモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)を含む、請求項20記載の石灰化剤。

請求項22

カルシウム、リン酸塩ヒドロキシルおよびフッ化物イオン供与源を含む、請求項20または21記載の石灰化剤。

請求項23

カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)を含む、請求項21または22記載の石灰化剤。

請求項24

1つまたは複数の石灰化促進剤を含む、請求項20から23のいずれか1項記載の装置。

請求項25

2つの石灰化促進剤を含み、一方の促進剤はカルシウムイオンの供与源であり、他方の促進剤はリン酸イオンの供与源である、請求項24記載の石灰化剤。

請求項26

カルシウム:リン酸塩の比率は1:1〜22:10である、請求項25記載の石灰化剤。

請求項27

カルシウム:リン酸塩の比率は3:2〜22:10である、請求項26記載の石灰化剤。

請求項28

カルシウム:リン酸塩の比率は約10:6である、請求項27記載の石灰化剤。

請求項29

前記促進剤の少なくとも1つはストロンチウムを含む、請求項24記載の石灰化剤。

請求項30

ナノ粒子を含む、請求項20から29のいずれか1項記載の石灰化剤。

請求項31

前記ナノ粒子は、カルシウム、リン酸塩、ヒドロキシルおよびフッ化物のうち少なくとも1つを含む、請求項30記載の石灰化剤。

請求項32

前記ナノ粒子は、カルシウムヒドロキシアパタイトを含む、請求項30記載の石灰化剤。

請求項33

請求項1から19のいずれか1項記載の装置と、請求項20〜32のいずれか1項記載の石灰化剤を含むキット

請求項34

コンディショニング剤が含まれている、請求項33記載のキット。

請求項35

生体物質の石灰化方法において、超音波源を準備するステップと、石灰化剤を準備するステップと、前記超音波源から超音波信号を発生させるステップと、前記超音波信号と前記石灰化剤とを、別々にまたは順次にまたは同時に、生体物質へ印加するステップとを含むことを特徴とする、生体物質の石灰化方法。

請求項36

前記生体物質のイオン導入法治療を含む、請求項35記載の方法。

請求項37

前記超音波信号と前記石灰化剤の少なくとも一方を前記生体物質へ印加する前に、前記生体物質を調整するステップをさらに含む、請求項35または36記載の方法。

請求項38

前記調整ステップは、タンパク質と脂質のうち少なくとも一方を生体物質から少なくとも実質的に除去するステップ、一般的にはタンパク質および脂質を生体物質から実質的に除去するステップを含む、請求項37記載の方法。

請求項39

前記調整ステップは、脱タンパク剤および/または脱脂質剤を塗布するステップを含む、請求項36から38のいずれか1項記載の方法。

請求項40

第1電極および第2電極と、電気信号発生器および制御装置を準備するステップと、前記第1電極と前記第2電極との間に電気信号を発生させるステップと、前記第1電極と前記第2電極との間の前記電気信号の電気的応答を検出するステップと、検出された前記電気的応答に関連させて前記超音波信号を制御するステップとをさらに含む、請求項36から39のいずれか1項記載の方法。

請求項41

石灰化プローブを準備するステップと、変調器を準備するステップと、前記石灰化プローブと前記第2電極との間の電気信号を変調し、該電気信号を用いて前記石灰化剤を前記生体物質へ搬送するステップとを含む、請求項36から40のいずれか1項記載の方法。

請求項42

前記石灰化プローブを前記第1電極によって準備する、請求項41記載の方法。

請求項43

検出された前記電気的応答に関連させて前記電気信号の変調を制御するステップをさらに含む、請求項40から42のいずれか1項記載の方法。

請求項44

基準電極を準備し、該基準電極から導出可能な情報に基づき、前記電気信号と前記超音波信号の変調のうち少なくとも一方の変調を制御するステップをさらに含む、請求項40から43のいずれか1項記載の方法。

請求項45

前記超音波信号と前記電気信号のうち少なくとも一方を、検出された前記電気的応答に関連させて制御する前記ステップは、種々の石灰化段階における生体物質サンプルのセットから導出された特有の電気的応答のデータのセットを、検出された前記電気的応答と比較するステップと、前記超音波信号または前記電気信号の少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定するステップとを含む、請求項40から44のいずれか1項記載の方法。

請求項46

前記データのセットを比較するステップは、前記データを検出された前記電気的応答と比較するために、前記石灰化と前記電気的応答との関係を定義した関数を適用するステップを含む、請求項45記載の方法。

請求項47

前記データのセットを比較するステップは、前記生体物質の電気的応答と前記生体物質の石灰化とに関連する情報を含むルックアップテーブルを適用するステップと、前記データを検出された前記電気的応答と比較するステップとを含む、請求項45記載の方法。

請求項48

検出された前記電気的応答に基づき、前記生体物質上または前記生体物質中の外因性タンパク質と脂質のうち少なくとも一方の存在を検出するステップをさらに含む、請求項40から47のいずれか1項記載の方法。

請求項49

前記石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)を含む、請求項35から48のいずれか1項記載の方法。

請求項50

前記石灰化剤は、カルシウム、リン酸塩、ヒドロキシルおよびフッ化物のイオンの供与源を含む、請求項35から49のいずれか1項記載の方法。

請求項51

前記石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)を含む、請求項50記載の方法。

請求項52

前記石灰化剤は1つまたは複数の石灰化促進剤を含む、請求項35から51のいずれか1項記載の方法。

請求項53

石灰化剤は2つの石灰化促進剤を含み、一方の促進剤はカルシウムイオンの供与源であり、他方の促進剤はリン酸イオンの供与源である、請求項52記載の方法。

請求項54

前記石灰化剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率は1:1〜22:10である、請求項53記載の方法。

請求項55

前記石灰化剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率は3:2〜22:10である、請求項54記載の方法。

請求項56

前記石灰化剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率は約10:6である、請求項55記載の方法。

請求項57

前記促進剤の少なくとも1つはストロンチウムを含む、請求項52記載の方法。

請求項58

前記石灰化剤はナノ粒子を含む、請求項35から57のいずれか1項記載の方法。

請求項59

前記ナノ粒子は、カルシウムおよびリン酸塩を含み、さらに任意選択的にヒドロキシルとフッ化物のうち少なくとも一方を含む、請求項58記載の方法。

請求項60

前記ナノ粒子は、カルシウムヒドロキシアパタイトを含む、請求項59記載の方法。

請求項61

前記生体物質は、歯および/または骨のような硬組織である、請求項35から48のいずれか1項記載の方法。

請求項62

実質的に添付の図面を参照しながら記載されている、生体物質の石灰化装置。

請求項63

実質的に添付の図面を参照しながら記載されている、生体物質の石灰化方法。

技術分野

0001

本発明は、生体物質石灰化装置および石灰化方法に関し、詳しくは、脱灰し石灰化不全となった組織たとえば歯または骨のための、石灰化装置および石灰化方法に関する。

背景技術

0002

カリエスは、歯または骨の腐蝕である。歯のカリエス(齲歯齲蝕または骨傷としても知られる)は、摂取された糖質に対する微生物酵素作用により生成された酸が原因となる。酸は、歯の無機部分から石灰消失させ(その部分を脱灰し)、これにより最初に表面下病変させ、ついで有機部分壊変して空洞の形成に至る。歯科学においては、齲蝕病変の進行による歯の脱灰を、齲蝕病変の深さで表すことができる。

0003

齲歯の治療は一般的に、歯内部の齲蝕した物質を除去し、その結果生じた孔(空洞)に歯科用アマルガムまたは他の修復材充填することによって行われる。もっと重症ケースであれば、歯全体を抜いてしまう場合もある。病変による空洞が生じる前に、齲蝕病変を再石灰化することによって組織破壊修復または逆行させることができる。ただしこのプロセスは、外因性の(たとえば唾液または食物から導出される)タンパク質および脂質が齲蝕病変から取り除かれている場合に、いっそう良好に作用する。

0004

齲歯のレベルによって歯の電気的特性が変化することが知られている。このような変化が起こる理由は、鉱物質が消失すると歯の空隙率が増大し、孔内部に発生するイオン数が結果として増加して導電率が上昇すること、すなわち歯内の電気的な輸送が増えることにある。したがって、ある歯が脱灰すると、その歯の電荷輸送特性が強まることになる。このことは、健康な歯である健常歯と比べると、脱灰した歯を通して同等の電流を得るためにその歯に加えなければならない電位差が減少する、ということから明確に表すことができる。同様にこのことは、同じ電位を加えた場合、脱灰した歯から測定可能な電流が健常歯に比べて増加する、ということからはっきりと示すことができる。このような作用は、定電流または一定の電位差をそれぞれ加えることによって検出することができる。別の選択肢として、交流信号を用いてインピーダンス直流抵抗も含む)をモニタリングすることもできる。

0005

プローブまたは接触電極対向電極とを使用して歯に交流電流を加えることによって、齲歯検出用に特別に設計された多数の装置がある。上述のように、対向電極とプローブによって形成された回路の主要なインピーダンスの要因は歯であり、したがって回路のインピーダンスにもたらされる変化は、歯のインピーダンスの変化の目安となる。この技術については、国際公開WO97/42909で述べられている。

0006

イオン導入法は、電流を用い帯電した物質一般には薬剤または生理活性物質推進させる非侵襲的方法である。イオン導入法を経皮吸収ドラッグデリバリーに利用することが知られている。さらにイオン導入法を、象牙質知覚過敏症の治療および非空洞化齲歯病変の再石灰化のために、フッ化物含有配合物と共に使用することができる。イオン導入装置には一般に、活性電極アセンブリ対向電極アセンブリが含まれており、これらの電極電圧源のそれぞれ逆の極または端子に接続されている。この場合、活性剤陽イオンまたは陰イオンとすることができ、活性剤の極性に基づき適正な電圧極性を加えるように電圧源を構成することができる。活性剤を、たとえば空洞などのような貯蔵場所または多孔質構造あるいはゲルなどに格納することができる。

0007

音波縦波パルスである。超音波を、経皮吸収型ドラッグデリバリーすなわちソノフォレシスのために用いることが知られている。歯科学においては、超音波は一般にクリーニング用として知られており、たとえば歯の外表面から歯石を除去したり、あるいは根管治療中に歯内部の髄室および根管から残屑を除去するために用いられるものとして知られている。

0008

エレクトロソノフォーレシス(electrosonophoresis)は、イオン導入法と超音波を組み合わせたものである。

発明が解決しようとする課題

0009

本発明の課題は、生体物質を石灰化するための装置、システムおよび方法を改善することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明の第1の観点によれば、生体物質の石灰化装置が提供される。この装置には、超音波信号を発生する超音波源と、超音波プローブと、石灰化剤を収容する1つまたは複数の石灰化プローブとが設けられている。この場合、石灰化剤は、少なくとも1つの石灰化プローブから生体物質へ、超音波信号を用いて搬送される。

0011

少なくとも1つの石灰化プローブを、超音波プローブとすることができる。

0012

1つの実施形態によれば、この装置はイオン導入プローブを含んでいる。

0013

本発明による装置は、エレクトロソノフォーレシスを利用することができる。

0014

有利には本発明による装置には、第1電極および第2電極と、第1電極と第2電極との間に電気信号を発生させる電気信号発生器と、第1電極と第2電極との間の電気信号の電気的応答を検出する検出器と、検出された電気的応答を受信し、この電気的応答に関連させて超音波信号を制御する制御装置とが、さらに設けられている。

0015

さらに有利にはこの装置には、石灰化プローブ電極変調器が設けられており、この場合、変調器は、石灰化プローブ電極と第2電極との間の電気信号を変調し、この電気信号を用いて石灰化剤を生体物質へ搬送する。

0016

有利には、石灰化プローブ電極は第1の電極である。

0017

制御装置は有利には、検出された電気的応答に関連させて電気信号の変調を制御する。

0018

さらにこの装置には基準電極が設けられており、この基準電極により、電気信号と超音波信号の変調のうち少なくとも一方の変調が制御される。

0019

有利には制御装置は、第1ソフトフェアモジュールと第2ソフトウェアモジュールとを含んでいる。その際、第1ソフトフェアモジュールは、種々の石灰化段階におけるサンプル生体物質に特有の電気的応答を表すデータのセットを有しており、第2ソフトウェアモジュールは、データを検出された電気的応答と比較し、これによって、電気信号と超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定する。

0020

データを検出された電気的応答と比較し、これによって、電気信号と超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定する目的で、第2ソフトウェアモジュールは、石灰化と電気的応答との関係を定義した関数を適用することができる。

0021

別の選択肢として、データを検出された電気的応答と比較し、電気信号と超音波信号のうち少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定する目的で、第2ソフトウェアモジュールは、生体物質の電気的応答と生体物質の石灰化に関する情報を含むルックアップテーブルを適用することができる。

0022

有利には石灰化プローブ電極は、イオン導入法により石灰化剤を生体物質へ搬送する。

0023

1つの実施形態によれば石灰化プローブ電極は、エレクトロソノフォーレシスにより石灰化剤を生体物質へ搬送する。

0024

本発明に従って超音波が利用される場合には通常、約20Hz〜200MHzの範囲が用いられ、典型的には約5MHz〜約200MHzの範囲が、好適には約10MHz〜約150MHzの範囲が、いっそう好適には約100MHz〜約150MHzの範囲が用いられる。

0025

本発明による装置および方法によって生体物質に適用可能な粒子サイズと、超音波の周波数との間には、逆比例の関係がある。超音波の周波数が高くなればなるほど、本発明による装置および方法により生体物質に適用可能な粒子サイズは小さくなる。いっそう高い超音波周波数を用いれば、いっそう広い範囲の粒子サイズを用いることができる。

0026

有利には検出器は、電気的応答に基づき、生体物質上または生体物質中の外因性タンパク質と脂質のうち少なくとも一方の存在を検出するように動作可能である。

0027

さらに本発明による装置に、コンディショニング剤を適用する手段を含めることができる。

0028

コンディショニング剤を、酸化剤と脱タンパク剤と脱脂質剤のうちの少なくとも1つとすることができる。一般にコンディショニング剤には、酸化剤と脱タンパク剤と脱脂質剤のうち2つ以上が含まれており、典型的にはコンディショニング剤には少なくとも、脱タンパク剤と脱脂剤が含まれている。

0029

本発明による装置は有利には、超音波信号を印加し、かつ石灰化剤を別々にまたは順次または同時に搬送するように動作可能である。

0030

本発明による装置は有利には、超音波信号と電気信号を別々にまたは順次または同時に印加するように動作可能である。

0031

本発明による装置は有利には、変調された電気信号を印加し、かつ石灰化剤を別々にまたは順次または同時に搬送するように動作可能である。

0032

1つの実施形態によれば本発明による装置は、超音波信号とイオン導入信号を別々にまたは同時にまたは順次、および/またはこれらの組み合わせで、印加するよう動作可能である。通常、超音波信号とイオン導入信号は同時に印加される。

0033

本発明による装置は有利には、歯および/または骨などのような硬組織の生体物質と共に使用するために適合されている。

0034

有利には、コンディショニング剤を再び塗布し、それにより外因性タンパク質および/または脂質を除去する目的で、本発明による装置の動作を中断させることができる。

0035

本発明の第2の観点によれば、生体物質を石灰化する目的で、上述の装置と共に使用するための石灰化剤が提供される。

0036

石灰化剤には、カルシウムイオン供与源と、リン酸イオンの供与源と、(水など)ヒドロキシルイオンの供与源のうち少なくとも1つを含めることができ、その際、任意選択的にフッ化物イオンの供与源を存在させることができる。一般に石灰化剤には、カルシウムイオンの供与源と、リン酸イオンの供与源と、(水など)ヒドロキシルイオンの供与源とが含まれている。典型的には石灰化剤には、カルシウムイオンの供与源と、リン酸イオンの供与源と、水と、フッ化物イオンの供与源とが含まれている。

0037

本発明による装置を動作させるために/本発明による方法を実施するために、一般的に用いられるコンディションのもとで、石灰化剤を水可溶性の形態としてもよいし、または水不溶性の形態(水性分散液)としてもよい。

0039

石灰化剤は、カルシウム、リン酸塩ヒドロキシル/水、およびフッ化物を含むことができる。

0040

石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)を含むことができる。

0041

好適であるのは、石灰化剤が1つまたは複数の石灰化促進剤を含むことである。さらに好適であるのは、石灰化剤が2つの石灰化促進剤を含むことであり、これら2つの促進剤のうち一方の促進剤はカルシウムイオンの供与源であり、他方の促進剤はリン酸イオンの供与源である。

0042

好ましいのは、石灰化剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、1:1〜22:10とすることである。いっそう好ましいのは、石灰剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、3:2〜22:10とすることである。さらに好ましいのは、石灰剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、約10:6とすることである。

0043

別の選択肢として、またはこれらに加えて、石灰剤促進剤のうち少なくとも1つの促進剤にストロンチウムが含まれていてもよい。

0044

石灰剤は有利にはナノ粒子を含んでいる。ナノ粒子の平均粒径は500nmよりも小さく、一般的には100nmよりも小さく、典型的には50nmよりも小さく、好適には10nmよりも小さく、いっそう好適には1〜10nmである。1つの実施形態によれば、石灰化剤はこれらのナノ粒子によって構成されている。

0045

1つの実施形態によれば、石灰化剤の平均粒径は1〜50nmである。

0046

ナノ粒子を含むまたはナノ粒子から成る石灰化剤を使用することによって、いっそう多くの割合の石灰化剤を生体組織へ押し込めるはずであり、これにより石灰化方法をいっそう効果的に進めることができ、および/または、いっそう多くの石灰化剤を生体組織中に保有させることができる。

0047

典型的にはナノ粒子には、カルシウムイオンの供与源と、リン酸イオンの供与源と、ヒドロキシルイオンの供与源と、フッ化物イオンの供与源のうち、少なくとも1つの供与源が含まれている。一般的にナノ粒子には、カルシウムヒドロキシアパタイトが含まれている。

0048

本発明の第3の観点によれば、生体物質を石灰化するための上述の方法と、上述の石灰化剤とを含むキットが提供される。さらにこのキットには、コンディショニング剤も含めることができる。

0049

本発明の第4の観点によれば、生体物質の石灰化方法が提供される。この方法は、超音波源を準備するステップと、石灰化剤を準備するステップと、超音波源から超音波信号を発生させるステップと、超音波信号と石灰化剤とを、別々にまたは順次にまたは同時に、生体物質へ印加するステップとを含む。

0050

本発明による方法によれば通常、上述の装置が用いられる。

0051

1つの実施例によれば、本発明による方法においてエレクトロソノフォーレシスを用いることができる。

0052

本願発明者は理論に束縛されることを望むものではないが、生体物質の石灰化方法においてエレクトロソノフォーレシス(超音波とイオン導入法の組み合わせ)を使用すれば、生体物質表面に残留させないで、いっそう多くの割合の石灰化剤を生体物質へ押し込むことができるはずである。これにより、いっそう効果的な石灰化方法が実現される。その際、イオン泳動法だけしか利用しない同等の方法よりも、いっそう短い期間にいっそう多くの石灰化剤が、生体物質中へ押し込まれる。しかもエレクトロソノフォーレシスを利用するにより助長されるのは、いっそう多くの石灰化剤を生体物質中に保持されるようになることであり、つまりこのことは、イオン導入法だけしか利用しない方法よりも、生体組織の石灰化が長い期間にわたり持続する、ということを意味する。

0053

本発明による方法はさらに、超音波信号と石灰化剤の少なくとも一方を生体物質へ印加する前に、生体物質を調整するステップを含んでいる。この調整ステップは、タンパク質と脂質のうち少なくとも一方を生体物質から少なくとも実質的に除去するステップ(一般的にはタンパク質と脂質の両方を生体物質から実質的に除去するステップ)を含んでいる。好ましくはこの調整ステップは、脱タンパク剤と脱脂質剤の少なくとも一方の適用を含んでいる。

0054

有利には本発明による方法はさらに、第1電極および第2電極と、電気信号発生器および制御装置を準備するステップと、第1電極と第2電極との間に電気信号を発生させるステップと、第1電極と第2電極との間の電気信号の電気的応答を検出するステップと、検出された電気的応答に関連させて超音波信号を制御するステップとを含んでいる。

0055

有利には本発明による方法はさらに、石灰化プローブを準備するステップと、変調器を準備するステップと、石灰化プローブと第2電極との間の電気信号を変調し、それにより電気信号を用いて石灰化剤を生体物質へ搬送するステップとを含んでいる。

0056

石灰化剤プローブを、第1電極によって準備することができる。

0057

有利には本発明による方法は、検出された電気的応答に関連させて電気信号の変調を制御するステップを含んでいる。

0058

有利には本発明による方法は、基準電極を準備し、この基準電極から導出可能な情報に基づき、電気信号と超音波信号の変調のうち少なくとも一方の変調を制御するステップをさらに含んでいる。

0059

超音波信号と電気信号のうち少なくとも一方を、検出された電気的応答に関連させて制御するステップは、種々の石灰化段階における生体物質サンプルのセットから導出された特有の電気的応答のデータのセットを、検出された電気的応答と比較するステップと、超音波信号または電気信号の少なくとも一方に要求される何らかの変更を決定するステップとを含むことができる。

0060

データのセットを比較するステップは、データを検出された電気的応答と比較するために、石灰化と電気的応答との関係を定義した関数を適用するステップを含むことができる。

0061

これに対する代案として、データのセットを比較するステップは、生体物質の電気的応答と生体物質の石灰化とに関連する情報を含むルックアップテーブルを適用するステップと、データを検出された電気的応答と比較するステップとを含むことができる。

0062

本発明による方法は、検出された電気的応答に基づき、生体物質上または生体物質中のタンパク質(たとえば外因性タンパク質など)と脂質のうち少なくとも一方の存在を検出するステップを、典型的には外因性タンパク質と脂質とを検出するステップを、さらに含むことができる。

0063

石灰化剤は、一般に上述のようなものである。

0064

石灰剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)を含むことができる。

0065

石灰化剤は、カルシウム、リン酸塩、ヒドロキシル/水、およびフッ化物を含むことができる。

0066

石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)を含むことができる。

0067

石灰化剤を、本発明による方法が用いられるコンディションのもとで、実質的に水不可溶性とすることができる。

0068

本発明の1つの実施形態によれば、石灰化剤が適用された骨/歯の組織の中または上に、そこに適用されてから少なくとも3ヶ月間、一般には少なくとも6ヶ月間、典型的には少なくとも1年間、石灰化剤が残存する。

0069

有利には石灰化剤は、1つまたは複数の石灰化促進剤を含んでいる。

0070

さらに有利であるのは、石灰化剤が2つの石灰化促進剤を含むことであり、これら2つの促進剤のうち一方の促進剤はカルシウムイオンの供与源であり、他方の促進剤はリン酸イオンの供与源である。

0071

石灰化剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、1:1〜22:10とすることができる。

0072

好ましいのは、石灰剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、3:2〜22:10とすることである。

0073

さらに好ましいのは、石灰剤に含まれるカルシウム:リン酸塩の比率を、約10:6とすることである。

0074

別の選択肢として、またはこれらに加えて、少なくとも1つの促進剤にストロンチウムが含まれていてもよい。

0075

有利には、石灰化剤はナノ粒子を含んでいる。有利にはナノ粒子は、カルシウム、リン酸塩、ヒドロキシル、およびフッ化物のうち少なくとも1つを含む。

0076

ナノ粒子には、カルシウムヒドロキシアパタイトを含むことができる。

0077

本発明による方法は有利には、歯および/または骨などのような硬組織の石灰化に使用するために適合されている。

0078

以下では本発明について、単なる例示として添付の図面を参照しながら説明する。

図面の簡単な説明

0079

健常歯と脱灰した歯に加えられた電圧減衰速度を示すグラフ
健常歯と脱灰した歯に加えられた電流の減衰速度を示すグラフ
本発明による方法の1つの実施形態を示すフローチャート
図2aによる方法を実現する装置を示すブロック図
超音波のみを利用した本発明による実施形態の概略図
超音波とイオン導入法とを組み合わせた本発明による実施形態の概略図
図3の実施形態による制御装置の詳細図
図3aに示した超音波プローブの詳細図
図3bに示したイオン導入プローブの詳細図
本発明による方法の第1実施形態を示すフローチャート
本発明による方法の別の実施形態を示すフローチャート

実施例

0080

本発明によれば、生体物質を石灰化するための装置および方法が提供される。本発明は、脱灰により齲蝕が発生した歯の再石灰化、象牙質知覚過敏治療のための象牙細管閉鎖、歯のホワイトニング、または歯牙酸蝕症の治療に殊に適している。なお、自明のとおり、ここで説明する装置および方法は、歯の再石灰化に限定されるものではなく、他の生体物質の石灰化にも使用することができ、特に硬組織の石灰化に特に適用可能であり、たとえば骨粗鬆症骨質減少または歯周疾患の治療のための骨の再石灰化などにも使用することができる。

0081

全般的にいえば、本発明による装置および方法は、エレクトロソノフォーレシスを用いている。

0082

本発明の有利な実施形態によれば、空間イメージングデータまたは三次元構造情報を利用して、種々の特性パラメータを発生させることができ、これには、異なる多数の平面のいずれか1つの平面における種々の平行ベクトルの(マイクロCTイメージ中の)グレースケール値の追跡変化(および/または相対変化)が含まれ、それらのベクトルの方向における鉱物質密度変化の平均が表される。平均値形成プロセスは、有利には病変のボリューム全体にわたって実施され、その結果として得られた情報が処理されて、いろいろなパラメータがある中で特に、歯髄方向における齲蝕病変の深さが計算される。病変の複雑な空間ジオメトリを考慮してイメージ分析技術により、歯科医が一般に利用可能な情報よりも著しく多くの情報が提供される。したがって、鉱物質密度損失を表す際に、従来用いられていた病変深さのパラメータよりもいっそう役に立つ可能性のある他の病変パラメータを求めることができる。

0083

上述のように、歯のインピーダンスおよび/または抵抗の変化を、交流信号または直流定電流または一定の電位差の印加に基づき、検出することができる。パルスまたは矩形波の電流または電位差を、健常歯または脱灰した歯に加えることによっても、電流(または電位)対時間のプロットから、ダイナミックな情報が得られる。

0084

図1aには、電圧対時間のグラフ1が示されており、これによれば実質的に一定の大きさのパルス電圧3が示されている。図1bには、電流対時間のグラフが示されており、これによれば健常歯と脱灰した歯とに加えられた電位差(電圧)パルスに応答した電流減衰速度が示されている。曲線7は健常歯の電流応答を示し、曲線9は脱灰した歯の応答を示す。

0085

歯を介した電荷輸送および歯のイオン伝導性に及ぼされる歯の脱灰作用のメカニズムの知識を利用して、上述のイメージ処理技術から導出された鉱物質密度プロフィルと、測定された電気的時間応答プロフィルとの関係を形成することができる。本発明によれば、多数の健常歯と齲蝕病変を伴う歯のイメージ分析と電気特性分析により、上述の関係が形成され、そのためにこの関係を表す数学的関数を生成する分析モデル確立される。

0086

別の選択肢として本発明は、測定された電気的応答データと、健常歯と疾患のある歯の検査から得られた(上述のイメージ分析技術から求められた)平均鉱物質密度値との間において、ルックアップテーブルを用いることができる。上述の関係および/またはルックアップテーブルの確立において、マイクロCT技術を使用することができ、これによれば、グレースケール値において測定された変化が、異常な作用(またはイメージングアーチファクト)ではなく、歯による鉱物質密度の変化を実際に表すことができるよう、複数のファントムに対してデータが較正される。これらのプロセスを以下で詳しく説明する。

0087

本発明による装置はフィードバックメカニズムを採用しており、この場合、(交流または直流に関連するものとすることができる)電気的な測定が行われる一方、イオン導入法によって歯が再石灰化される。電気的な測定は、(上述の関係および/またはオフラインプロセス中に形成されたルックアップテーブルにより)歯の齲蝕病変における鉱物質密度に関連づけられ、これによって、イオン導入プロセスを最適にチューニングする装置のために、適切な制御信号が形成される。

0088

図2aには、以下のステップを含む本発明による方法の実施形態が示されている。

0089

ステップ0:
プレステップにおいて、(上述の関係および/またはルックアップテーブルにおいて使われる鉱物質密度値の形成に用いられる)マイクロCT分析から得られたグレースケール値の較正が行われる。この場合、(歯の材質に実質的に相当する均質等方性の材料を含む)複数のファントムが、マイクロCTデバイスによってスキャニングされる。本実施例によればファントムは、特定の材料密度を表すヒドロキシアパタイトディスクから成る。

0090

ステップ1:
ファントム単独のマイクロCT分析に続いて、複数の健常歯と齲蝕病変を伴う歯に対し、ファントムと共に同様のスキャニングプロセスが実施される。スキャンされた歯の計算された鉱物質密度が、公知のセグメンテーション技術を用いて処理され、そこに含まれる何らかの病変の境界識別される。鉱物質密度のプロフィルがセグメンテーションプロセスにより判定された境界内で形成され、鉱物質密度プロフィルが、同じ歯から得られた定常状態のまたは一時的な電気測定に関連づけられる。

0091

ステップ2:
超音波信号および一般にイオン導入法の適用中、定電位差または定電流が齲蝕病変を含む歯に加えられる(13)。治療中の歯から電気的な応答関数が測定され(15)、ステップ1において形成された関係(および/またはルックアップテーブル)が用いられて、齲蝕病変の鉱物質密度が求められる(17)。

0092

ステップ3:
ステップ1中に形成された境界付近の健常歯の材質の鉱物質密度範囲が求められる(19)。これを用いて、超音波信号(および一般にイオン導入法)による治療に要求される再石灰化の望ましい度合いを確定する。

0093

ステップ4:
超音波(および一般にイオン導入法)信号のレベル変更が計算される(21)。計算された変更は、鉱物質を病変に送り込んで、病変の鉱物質密度を健常歯の材質にいっそう密にマッチさせるのに十分なものである。

0094

図2aによる方法の実現形態として、図2bの装置に含まれているロジックブロック23は、(ステップ4による)超音波(および一般にイオン導入法)信号の望ましいレベルの変更指示を受け取ることに加え、イオン導入治療を作動させた時間25に関する情報を受け取る。(たとえば電気プローブをクリーニングできるようにするため、およびプローブにコンディショニング剤29を供給できるようにするため)、ロジックブロック23は、たとえば超音波(および一般にイオン導入法)を開始または終了させるべき時間に関する付加的なプロトコル情報27も受け取る。本発明による装置は、石灰化剤を生体物質へ送り込むために超音波を単独で用いて、または超音波とイオン導入法を組み合わせて、生体物質を石灰化する機能を果たすことができる。

0095

図3aには、生体物質を石灰化するための本発明による装置31の第1実施形態が示されており、この装置には、取っ手35とネック37とヘッド39を備えた超音波プローブ33が含まれている。超音波プローブ33は、ケーブル45を介して超音波源40および制御装置41と接続されており、さらに制御装置41は、ケーブル47を介して第2の対向電極43と接続されている。電極43を、手持ち式電極としてもよいし、あるいは口またはの「ループ」電極としてもよい。

0096

図3bには、生体物質を石灰化するための本発明による装置131の第2実施形態が示されており、この装置には、取っ手135aとネック137aとヘッド139aを備えた超音波プローブ133aが含まれている。この装置にはさらにイオン導入プローブ133bも含まれており、このプローブは第1の電極として動作し、取っ手135bとネック137bとヘッド139bを備えている。超音波プローブ133aは、ケーブル145を介して超音波源140および制御装置141と接続されており、さらに制御装置141は、ケーブル147を介して第2の対向電極143と接続されている。電極143を、手持ち式電極としてもよいし、あるいは口または唇の「ループ」電極としてもよい。イオン導入プローブ133bも、制御装置141と電気的に接続されている。

0097

図4には、制御装置41の詳細図が示されている。制御装置41は変調器49を有しており、これによって超音波プローブ33a(133a)に対する超音波信号が調節され、第2実施形態に従いイオン導入プローブ133bを用いた場合には、プローブ133bへ送信される波形の形状および/または周波数および/または振幅が変調される。

0098

図5aには、超音波プローブ33(133a)の詳細図が示されており、この図によれば、超音波プローブは超音波導波体34を有しており、これはプローブの取っ手35を通って超音波源40まで延在している。ヘッド39(139a)と超音波源40との間に、石灰化剤57(157a)を格納するための貯蔵器55(155a)が配置されている。使用中、超音波信号により石灰化剤が貯蔵器55(155a)からプローブ33(133a)のヘッド39を通って押し出され、たとえば歯または骨などの生体物質と接触する。

0099

図5bには、イオン導入プローブ133bの詳細図が示されており、この図によれば、ケーブル145bがプローブ133bの取っ手135bを通って、石灰化剤157bを含む貯蔵器155bまで延在している。使用中、電気信号(イオン導入法)により石灰化剤が貯蔵器155bからプローブ133bのヘッド139bを通って押し出され、たとえば歯または骨などの生体物質と接触する。

0100

本発明のさらに別の実施形態によれば、石灰化剤を多孔性構造または歯にじかに塗布可能なゲルなど、別の手法で格納することができる。石灰化剤がプローブのチャンバ内に格納される本発明の実施形態において、石灰化剤を絞り出せるようにチャンバをフレキシブルな材料で作成することによって、石灰化剤をプローブ表面上に取り出すことができる。別の選択肢として、プランジャまたは同等の部材をチャンバに設けることもでき、これによって石灰剤がチャンバから押し出される。

0101

交差感染を防止する目的で、石灰化剤は通常、装置とは別個に保持されており、または着脱可能なプローブ先端部として構成されており、これをプローブ端部に着脱可能に取り付けることができる。

0102

図6は、本発明による方法を示すフローチャートである。これによれば、石灰化剤を生体物質63へ搬送するために、第1の(プローブ)電極33(133aおよび/または133b)と第2の対向電極43(143)とから成る回路の超音波信号および(イオン導入法が用いられるのであれば)電気信号の波形が制御される(ステップ63)。次に、回路の電気的応答が検出され(ステップ65)、検出された信号が分析されて、検出された回路の電気的応答に従い、信号を変化させる必要があるか否か、そして必要があるのであればどの程度まで変化させるのか、を判定する(ステップ67)。

0103

以下では、本発明による方法の1つの実施形態の利用について、歯の再石灰化に関連して例示する。歯科医は、患者内の特定の歯の部位を再石灰化すべきである、と同定する。その後、コンディショニング剤を塗布し、その部位を洗浄して、外因性タンパク質および/または脂質をその部位から取り除く。その際、プローブおよび対向電極を使用しイオン導入法によって、石灰化不全となったまたは脱灰した齲蝕病変にコンディショニング剤を送り込み、外因性タンパク質および/または脂質含量の分解および除去を最適化することができる。

0104

プローブ33(133a/133b)を、歯の部位まで患者の口腔内へ挿入する。対向電極43(143)を患者と接続する。該当する歯の部位における齲蝕病変を再石灰化する目的で、この例では超音波装置(およびオプションとしてイオン導入装置)から成る(1つまたは複数の)プローブによって、石灰化剤57(157)が歯の外面を通して送り込まれる。

0105

このプロセス中、プローブ33(133a/133b)と患者と対向電極43(143)とにより形成される電気回路から、進行中の再石灰化過程に起因する回路の電気的応答の変化を表す出力信号が供給される。この電気的応答が検出器53によって検出され、信号がコントローラ51へ供給され、コントローラ51はこの電気的応答を、実験で得られた再石灰化に対する既知の電気的応答のデータセットと比較する。これらの応答により、歯の再石灰化の量および位置に関する三次元構造情報が得られる。これによりコントローラは変調器へプログラム命令を送り、プローブ33(133a/133b)へ入力される超音波信号および電気信号の波形を、それらの周波数および/または振幅および/または形状を変えることで、変化させることができる。超音波信号および波形に対し何らかの変更が決定されると、変調器49は出力信号をプローブ33(133a/133b)へ供給し、それによってプローブ自体は、歯の外表面を介して石灰化剤をどのように送り込むのかを決定する。歯の再石灰化パターンの変化に対する応答を、リアルタイムまたは他の手法で行うことができる。

0106

実験で得られた再石灰化に対する既知の電気的応答のデータセットと、検出器53により検出された出力信号との比較のために、実験で得られた応答のデータセットまたはライブラリを作成する必要がある。この情報は、仮想の歯のスライスを得るためにマイクロCTイメージを記録した実験データから導出される。本発明のこの例では、プロセスは以下のとおりである。

0107

齲蝕病変または他の一般的な異常(たとえば鉱物質密度の損失)を含むサンプルが、三次元断層撮影システム(たとえばX線MRI中性子(超音波))によってスキャンされる。減衰係数電子密度との関係を求めるために較正用ファントムが使用され、固有イメージアーチファクト(たとえばビームハードニングリングアーチファクト散乱)を最小化するために、ハードウェアおよびソフトウェアによるソリューションが用いられる。取得された二次元の角度投影イメージを利用してサンプルの再構成が行われ、種々のボクセル(すなわち三次元ピクセル)または空間分解能について再構成が行われる。ファントムに関連づけられた減衰データによって表される電子密度の空間的分布を計算するために、三次元イメージ処理アルゴリズムが用いられる。これらの分布により、着目対象の関連するボリュームの石灰化の度合いに関する情報が得られる。

0108

超音波(および一般的にはイオン導入法)による再石灰化治療が行われた後、サンプルが再びスキャンされ、このサンプルに対し上述の手法が実施される。石灰化パターンにおいて引き起こされた変化に関する情報を得るために、着目対象の関連ボリュームにおける鉱物質密度について続いて得られた分布(治療前および治療後の分布)が比較される。

0109

サンプルの内部構造の変化に関する情報を提供するために、再石灰化の度合いの変化に従ってこのプロセスが繰り返される。このような変化を、サンプル治療中に発生したサンプルの電気的応答の変化と関連づけることができる。既述の技術によって、再石灰化の空間的不均一性に関する情報が与えられ、これによりサンプルの電気的応答から再石灰化の空間的位置へのフィードバックが行われる。実験で得られた代表的なデータセットが符号化されて装置のライブラリに収められる。これらは鉱物質密度の空間的位置および分布に関する特性指標を表すものであり、これにより臨床医は、再石灰化パターンに対しリアルタイムに応答して判定を下すことができる。サンプルの歯による交流インピーダンスまたは直流抵抗値の積分およびコントローラへのそれらの組み込みにより得られるフィードバックによって、組織の再石灰化を最適化するための装置の設定に関する情報が得られる。好適であるのは、初期設定において、比較的長いパルスが印加される定電位クーロメトリーを、または比較的短いパルスが印加されるクロノアンペロメトリーを用いることができることである。本発明により提供される再石灰化プロセスの特性および程度に対するフィードバックには、病変全体にわたる再石灰化の最適化のために、定電流クーロメトリーに設定を切り替えるのか否か、およびいつ切り替えるのか、に関する情報が含まれる。

0110

定電流クーロメトリーの場合、電流は一定のレベルにあり、つまり再石灰化剤の流量も一定となる。再石灰化の速度は電流量正比例すると見込まれることから、このことは再石灰化を一定の速度で推進する場合に、望ましものとなる。別の選択肢として、電流が時間の経過につれて降下するようにしてもよく、この場合には再石灰化の速度は、時間とともに変化する。

0111

図7に示されている本発明の実施形態によれば、歯の石灰化状態を表すことに加え、回路の電気的応答によって、着目対象領域の外因性タンパク質および/または脂質の付着を表す情報が提供される。フローチャート71によれば、生体物質に石灰化剤が搬送される(ステップ73)。次に、回路の電気的応答が検出され(ステップ75)、検出された信号が分析されて、電気回路による検出された電気的応答に従って、超音波信号および電気信号を変える必要があるのか、およびどの程度変える必要があるのか、が判定される(ステップ77)。これに加え本発明による検出器は、外因性タンパク質、脂質および他の物質が付着した結果として電気的応答に生じる変化を検出するのに適している(ステップ81)。検出がなされると、再石灰化プロセスが中断され(ステップ83)、特定の期間にわたりコンディショニング剤が再び塗布される。その後、再石灰化プロセスを再開することができる。

0112

電気的応答を分析することで本発明の装置によって、外因性タンパク質および/または脂質の存在を表示することができる。このような環境の場合にはユーザに対し、再調整ステップが必要であるとの情報が与えられるようになり、コンディショニング剤を再び塗布するための適切なアクションをとるようになる。

0113

本発明の別の実施形態によれば装置には、プローブ電極の近くに配置された基準電極が設けられており、この電極はこの実施例では小型のAg/AgClワイヤから成る。基準電極によって、電位をいっそう正確に制御できるようになり、大きな病変を治療するために大電流が必要とされる場合に特に、基準電極が用いられる。

0114

上述のように、交流信号を印加することによって、歯のインピーダンスを測定することができる。別の選択肢として、電流断続技術を利用することができ、これによれば所定の期間にわたり電流が印加され、その後、リレーによって回路が迅速に遮断される。時間の経過に伴う電位の減衰から、歯の抵抗に関する情報を得ることができる。

0115

さらに本発明をたとえば、歯のプレコンディショニングに用いることができ、プレコンディショニングにおいては超音波信号(および一般的にイオン導入法)が用いられる。その際、外因性タンパク質および脂質含量の分解を最適化するために、超音波信号(および一般的にイオン導入法)によって、石灰化不全となったまたは脱灰した齲蝕病変に、コンディショニング剤を送り込むことができ、その後、必要であれば、タンパク性物質および他の有機物質を、石灰化不全となった脱灰した組織から取り除く目的で、イオン導入法の極性を反転させてもよい。適切な薬剤の例として挙げられるのは、漂白剤界面活性剤尿素のようなカオトロピック剤、高リン酸塩濃縮物プロテアーゼ(たとえばエンドペプチターゼプロテイナーゼおよびエキソペプチダーゼ)の反応混液、および他の任意のタンパク質可溶化剤破壊剤または加水分解剤などである。本発明のこの実施例によれば、コンディショニング剤が収容されている着脱可能なチャンバにプローブが取り付けられ、再石灰化ステップよりも前にコンディショニング剤を歯に送り込むために、超音波(および一般的にはイオン導入法)がこのチャンバによって用いられる。

0116

本発明による装置および方法によれば、超音波(および一般にはイオン導入法)による調整中、検出器およびコントローラへの電気的なフィードバックが行われ、コントローラは、調整中に検出された回路の電気的応答に従って、電気的な入力の波形を変化させる。

0117

本発明の第3の観点によれば、1つのキットに上述の装置と石灰化剤とが含まれている。さらにこのキットには、コンディショニング剤も含めることができる。

0118

コンディショニング剤は、酸化剤、脱タンパク剤、または脱脂質剤である。

0119

本発明の第4の観点によれば石灰化剤は、リン、カルシウム、ヒドロキシル/水の供与源を含んでいる。

0120

再石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)を含むことができる。さらに再石灰化剤は、(カルシウム)ヒドロキシアパタイトのナノ粒子を含むことができる。

0121

1つの有利な実施形態によれば、再石灰化剤はフッ化物を含んでいる。この種の再石灰化剤の一例は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)である。

0122

有利であるのは、再石灰化剤に1つまたは複数の再石灰化促進剤も含まれていることである。再石灰化促進剤は一般的には、カルシウムイオンおよびリン酸イオンの供与源である。再石灰化促進剤の例として、以下のものを含めることができる、ただしこれらに限定されるものではない:脱水リン酸二カルシウム(DCPD)、鉱物ブラシャイト無水リン酸二カルシウムDCPA)、鉱物モネタイトリン酸オクタカルシウム(OCP);α−リン酸三カルシウム(α-TCP);β−リン酸三カルシウム(β-TCP);アモルファスリン酸カルシウム(ACP);カルシウム欠失ヒドロキシアパタイト(CDHA);ヒドロキシアパタイト(HAまたはOHAp);フルオロアパタイトFAまたはFAp);リン酸四カルシウムTTCPまたはTetCP)、鉱物ヒルゲンストキート;ヒドロキシアパタイトまたはフルオロヒドロキシアパタイトのナノ粒子。さらに有利であるのは、再石灰化促進剤をストロンチウムとすることである。

0123

再石灰化剤には、少なくとも2つの再石灰化促進剤を含めることができ、一方の促進剤はカルシウムイオンの供与源であり、他方の促進剤はリン酸イオンの供与源である。たとえば再石灰化剤には、カルシウムの供与源たとえば水酸化カルシウムと、リン酸塩の供与源たとえばオルトリン酸とを含めることができる。再石灰化剤中のカルシウム:リン酸塩の比率を、1:1〜22:10とすることができる。有利には、カルシウム:リン酸塩の比率はおよそ10:6(すなわち1.67)であり、これはカルシウムヒドロキシアパタイト中のリン酸イオンに対するカルシウムの比率を表す。別の選択肢として、再石灰化剤中のカルシウム:リン酸塩の比率を、9:6〜22:10とすることができる。さらに別の選択肢として、再石灰化剤中のカルシウム:リン酸塩の比率を、1:1より大きいが3:2よりも小さくすることができる(すなわち1.0〜1.49まで)。

0124

したがって、再石灰化剤を以下のものから選択することができる:
i)Ca:P比率=1.67:たとえばヒドロキシアパタイト:フルオルアパタイト
ii)Ca:P比率=1.5〜2.2(ただし1.67ではない):たとえばα−リン酸三カルシウム;β−リン酸三カルシウム;アモルファスリン酸カルシウム;カルシウム欠失ヒドロキシアパタイト;リン酸四カルシウム、鉱物ヒルゲンストキート。
iii)Ca:P比率=1〜1.49:たとえば脱水リン酸二カルシウム、鉱物ブラシャイト;無水リン酸二カルシウム、鉱物モネタイト。

0125

再石灰化剤は、ソノフォーレシスによって(水溶液中に)カルシウムイオンを送り込み、ついで二回目のソノフォーレシスのシーケンスによって(水溶液中に)リン酸イオンを送り込むことによって、個々の成分から調製することができる。このようにすれば、カルシウムイオンとリン酸イオンが、二回目のソノフォーレシス中に病変内で交わることになり、(1つまたは複数の)リン酸カルシウム鉱物として凝結する。その際、生成されたアパタイトの水酸化イオンが、水溶液から生じることになる。水溶性カルシウム含有剤をたとえば、カルシウムヒドロキシド、カルシウムクロリド、またはカルシウムニトレートとすることができ、水溶性リン酸塩含有剤をたとえば、オルトリン酸(H3PO4)、リン酸水素ナトリウム(またはカリウム)、リン酸二水素ナトリウム(またはカリウム)、またはリン酸マグネシウムとすることができる。カルシウム剤含有溶液を、リン酸塩剤含有溶液と異ならせてもよいし、または1つの溶液中に統合してもよい。

0126

したがって本発明の有利な方法は、i)生体物質(硬組織)をプレコンディショニングしてタンパク質および/または脂質を取り除くステップと、ii)超音波を別々にまたは順次または同時に適用する一方で、リン酸カルシウム含有水溶液を硬組織に適用するステップと、を含むことができる。脱タンパク剤たとえば次亜塩素酸ナトリウムを送り込むために超音波を使用して、または超音波を使用しないで、プレコンディショニングを行うことができる。この超音波の周波数を、キャビテーションまたは超音波ストリーミングが発生する範囲とすることができる。

0127

本発明のさらに有利な方法は、以下のステップを含むことができる。すなわち、i)生体物質(硬組織)をプレコンディショニングして、タンパク質および/または脂質を取り除くステップと、ii)ソノフォーレシスを別々にまたは順次または同時に適用する一方で、カルシウム含有水溶液またはリン酸塩含有水溶液を組織に適用するステップと、iii)ソノフォーレシスを別々にまたは順次または同時に適用する一方で、ステップii)でカルシウム含有水溶液を適用したならば、リン酸塩含有水溶液を適用する、またはステップii)でリン酸塩含有水溶液を適用したならば、カルシウム含有水溶液を適用するステップ、とを含むことができる。

0128

プレコンディショニングステップは、再石灰化剤/超音波の適用前に、超音波を適用して、または超音波を適用しないで、実施される。プレコンディショニングステップはさらに、次亜塩素酸塩による処置を含むことができ、有利には酸性物質による処置を、いっそう有利にはリン酸による処置を含むことができる。

0129

本発明による方法を、哺乳類の齲歯および/または歯牙フッ素症の治療または緩和に利用することができる。さらに本発明による方法を、石灰化不全となったまたは脱灰した(齲蝕した)象牙質の再石灰化にも利用することができる。さらに本発明による方法によれば、タンパク質および/または脂質を除去するためにプレコンディショニングを受けた硬組織の超音波再石灰化治療に使用するための再石灰化剤も提供される。この場合、再石灰化剤は、リン酸塩およびカルシウム双方の供与源である。

0130

複数の石灰化剤の混合を含め、様々な石灰化剤を利用することができる。石灰化剤を、治療すべき組織に応じて決めることができる。ただし有利には石灰化剤は、リン酸塩またはカルシウムの供与源であり、好ましくはリン酸塩およびカルシウムの供与源である。殊に有利な石灰化剤は、カゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムホスフェート複合体(CPP−ACP)である。

0131

歯の再石灰化に使用するために、石灰化剤を上述のようにフッ化物含有剤とすることができ、たとえばカゼインホスホペプチド−アモルファスカルシウムフルオライドホスフェート複合体(CPP−ACFP)とすることができる。他の石灰化剤として、リン酸カルシウム配合物を挙げることができ、たとえばフルオロアパタイト、モネタイト、ブラシャイト、アモルファスリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイトなどとすることができる。さらにストロンチウムなど再石灰化効果を促進可能な付加的な元素を、本発明の石灰化剤に組み込むことができる。石灰化剤たとえばヒドロキシアパタイトのナノ粒子は、好ましい石灰化剤である。

0132

業者に自明であるとおり、石灰化不全となった組織および脱灰した組織という用語は、組織の石灰化レベルが不十分なあらゆる組織を含むものとし、たとえばほとんどまたは完全に脱灰した歯などの組織が含まれ、このような症状はたとえば、歯牙齲蝕過程の結果であり、したがって齲歯病変が含まれ、あるいは歯牙酸蝕の結果であり、したがって「表面が軟化した」エナメル質または象牙質が含まれる。

0133

超音波には、所定の信号周波数または所定の周波数範囲の適用を含めることができる。さらに別の選択肢として超音波には、混合周波数の適用を含めることができ、たとえば再石灰化を最適化するために、複数の周波数の組み合わせを特定のシーケンスで印加することができる。

0134

これらに加え、既述のように本発明による方法には、石灰化剤/超音波を印加する前に、プレコンディショニングステップも含まれている。次に、このプレコンディショニングステップについて詳しく説明する。プレコンディショニングステップを種々のものとすることができるが、たとえば、石灰化剤/超音波を印加する前に、タンパク質および/または脂質を除去することを含めることができる。様々なプレコンディショニングステップを用いることができるけれども、好ましいのはプレコンディショニングステップに、複数の種々のプロセスを含めることであり、または複数のプロセスを混合することである。本発明によるプレコンディショニングステップにおいて、何らかの適切なタンパク質除去剤を使用することができる。治療すべき表面上に形成されたタンパク質のバリアを除去するために、たとえば歯の上に形成された薄膜または齲蝕病変内部の外因性タンパク質を除去するために、薬剤が必要とされる。オプションとしてプレコンディショニングステップに、超音波および種々の複数のプレコンディショニング剤の使用を含めることができ、たとえば様々な複数のタンパク質除去剤を、組み合わせおよび/またはシーケンスとして使用することができる。さらに超音波によりプレコンディショニング剤のいずれであっても、石灰化不全領域または脱灰領域たとえば齲蝕病変に送り込むことができ、それによってタンパク質層破壊を最適化し、石灰化不全となった組織または脱灰した組織からタンパク物質を除去することができる。適切な薬剤の例として挙げられるのは、漂白剤、界面活性剤、尿素のようなカオトロピック剤、高リン酸塩濃縮物、プロテアーゼ(たとえばエンドペプチターゼ、プロテイナーゼおよびエキソペプチダーゼ)の反応混液、および他の任意のタンパク質可溶化剤、破壊剤または加水分解剤などである。適切な漂白剤の例として、次亜塩素酸ナトリウムと過酸化物の漂白剤が挙げられる。1つの有利な実施形態によれば、漂白剤はアルカリ性漂白剤である。さらに別の有利な実施形態によれば、アルカリ性漂白剤は次亜塩素酸ナトリウムである。タンパク質破壊剤は、歯の鉱物質表面のタンパク質たとえば歯表面の薄膜を溶解し、部分的にまたは完全に除去するように作用する。ただし有利であるのは、有機酸たとえば酢酸無機酸たとえばリン酸、または漂白剤たとえば次亜塩素酸塩ナトリウムなどの次亜塩素酸塩による処置が、プレコンディショニングステップに含まれることである。プレコンディショニングステップ中、比較的低い周波数レンジの超音波を印加することにより、キャビテーションを発生させる作用が及ぼされ、これによって病変表面および病変内部からの外因性有機物質の除去が促進される。

0135

石灰化剤を様々な形状で印加することができ、たとえばゲル状またはムース状で塗布することができる。たとえば歯の治療に利用するために、それ自体公知の他の口腔内の適用処置を用いてもよい。

0136

有利であるのは、石灰化剤を印加する前の1分以内にプレコンディショニングを実施することである。いっそう有利であるのは、石灰化剤をプレコンディショニングとほぼ同時に、つまりプレコンディショニングの数秒以内に印加することである。

0137

1つの有利な処置シーケンスとして挙げられるのは、石灰化剤がタンパク質などの物質を含む場合には特に、処理およびそれに続く再石灰化を繰り返し行うことであり、この場合、石灰化剤に含まれるタンパク質は後続の処理ステップによって除去される。

0138

さらに本発明によれば、超音波を別々にまたは順次または同時に適用する一方で、石灰化剤を組織に塗布することによって、組織に対し美容処置を施す方法が提供される。

0139

さらに当業者には自明であるとおり、本発明による方法は、整形外科の分野においても有用であるといえるものであり、たとえば哺乳類すなわちヒトまたは動物骨折および手術中といった骨病態の治療にも有用になり得るものである。

0140

本発明によれば、改善された組織石灰化が提供される。ただし、歯の再石灰化の従来の方法は概して、表面組織の再石灰化すなわちエナメルの再石灰化から成るものである。本発明の特別な利点とは、本発明による方法および/またはその使用が、象牙質の再石灰化のために提供される、ということである。象牙質は、骨に関連する硬い物質に対する用語であり、哺乳類およびヒトの歯のコア部分を成すものである。象牙質は、その約30%までが無細胞有機物基体であり、特にコラーゲン繊維が組み込まれた糖タンパク質から成る。無機成分は、主としてヒドロキシアパタイト、フルオロアパタイトであり、さらに少量の炭酸塩マグネシウム微量元素である。

0141

本発明によればさらに、組織の超音波再石灰化治療に用いられるキットが提供され、これにはプレコンディショニング剤と石灰化剤とが含まれている。再石灰化剤には、本明細書で規定されているように、カルシウムイオンとリン酸イオンの供与源を含むことができる。

0142

有利には、プレコンディショニング剤および再石灰化剤は、適用に適した形態たとえば液体またはゲルの形態で、キット内に含まれている。

0143

さらにキットによって、1つの薬剤または個々の薬剤を治療部位に塗布するためのアプリケータも提供される。

0144

本願の明細書および特許請求の範囲全体にわたり、文脈上異なるように捉える必要がないかぎり、単数は複数を含むものとする。特に、不定詞が使われている個所において、文脈上異なるように捉える必要がないかぎり、複数であるとも単数であるとも解されたい。

0145

本発明によるある特定の観点、実現形態または実施例と関連して挙げた特徴、整数、特性、配合物、化学的な成分または基は、本明細書で述べた他のどのような観点、実現形態または実施例にも適用できるものと解されたい。

0146

また、本願の明細書および特許請求の範囲全体にわたり、「有する」および「含む」という語ならびにこのような語の語尾変化たとえば現在分詞ないしは現在進行形および三人称単数形は、「〜を含んでいるが〜に限定されるものではない」ということを意味するものであり、他の成分、添加物、構成要素、整数またはステップを除外すること(および除外しないこと)を意図したものではない。

0147

さらに本発明の範囲を逸脱することなく、改善および変形を本願に組み込むことができる。

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