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図面 (12)

課題・解決手段

本発明は、安定で高生産性の部位特異的組込み(SSI)宿主細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来宿主細胞、その生産及び使用方法に関する。

概要

背景

従来方法を使用する商業的な細胞株の作製は、時間がかかり、多大な労働力を要し、プロセスが反復するため、開発中の生物学的バイオ医薬品の候補の数が増加したことは、細胞株開発のための頑強で迅速で高処理の技術の開発の需要を促している。抗体生産細胞株構築及び選択においては、発現、増殖及び安定性プロフィールに大きな幅のある細胞が得られる。これらの変動は、哺乳類ゲノム固有の柔軟性に起因して生じ得る。それらはまた、推定される遺伝子調節ネットワークから、又は主に「位置効果(position variegation effect)」によるトランスジーンランダムなゲノム組込みから生じる生産される組換えタンパク質の量の変動によっても生じ得る。

これらの変動及びゲノム組込みの頻度の低さ(10,000回に1回)の結果、プール内の多くのトランスフェクタントからこれらの希少事象スクリーニングして、商業的適合性のある生産細胞株(例えば、良好な増殖、高生産性及び生産安定性の組み合わせ、並びに所望の生産プロフィールを有するもの)を単離するためには、資源集約的かつ時間のかかる努力が必要となる。この状況は、GS(glutamine synthase、グルタミンシンターゼ)遺伝子発現システム等の非常に精密な選択システムを使用して高生産性細胞株を濃縮することで改善し得る。例えば、最近の研究の1つでは、175mAb(モノクローナル抗体)生産GS-CHOK1SV(GS Gene expression systemTM、Lonza)細胞株の30%を超えるランダムに選択されたパネルが、フェドバッチ振盪フラスコプロセスで≧1g/LのmAbを生産した。CHOK1SVはGS酵素内在的に発現することから、グルタミン不含培地及び、メチオニンスルフォシミン(MSX、methionine sulfoximine)の選択を使用して、ポジティブトランスフェクタントを得ることができる。そのように効率的な選択システムにも関わらず、厳密で煩雑なスクリーニングレジームが依然として必要とされる。このように、製造細胞株の構築は、煩雑で時間のかかるプロセスである。これらの細胞株は、ポジティブな増殖及び生産性の特徴に関して選択する必要があるだけでなく、クローニングする必要があり、さらに製造プロセスの間に正しい質の産物を生産することが本質的に必要とされる。さらに、プロセスが経済的であるためには、作製される細胞株が多くの細胞世代にわたって一貫した生産性を示す必要がある。ポジティブな増殖特性を有し、最小限のスクリーニング活性で、目的の新規タンパク質、例えば、新規モノクローナル抗体が発現される高生産性細胞株の提供が望まれる。

概要

本発明は、安定で高生産性の部位特異的組込み(SSI)宿主細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)由来宿主細胞、その生産及び使用方法に関する。なし

目的

本発明の根底にある技術的課題は、上記欠点を克服すること、特に望ましくは簡単で効率的な方法で、高い安定性とポジティブな増殖及び生産特性を有する高生産性細胞株、特に長い培養及び生産期間にわたって一貫した生産性を提供する

効果

実績

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請求項1

内在性Fer1L4遺伝子を含む部位特異的組込み(SSI宿主細胞であって、外来性ヌクレオチド配列が前記Fer1L4遺伝子に組込まれている、前記宿主細胞。

請求項2

外来性ヌクレオチド配列が少なくとも2つの組換え標的部位を含む、請求項1に記載のSSI宿主細胞。

請求項3

少なくとも2つの組換え標的部位が目的配列をコードする遺伝子を挟む、請求項2に記載のSSI宿主細胞。

請求項4

外来性ヌクレオチド配列が目的配列をコードする遺伝子を含む、請求項1に記載のSSI宿主細胞。

請求項5

目的配列をコードする遺伝子が、選択マーカー、検出可能なタンパク質、抗体、ペプチド抗原酵素ホルモン成長因子レセプター融合タンパク質、又は他の生物学的に活性なタンパク質をコードする一以上の遺伝子を含む、請求項3又は4に記載のSSI宿主細胞。

請求項6

組換え標的部位がFRT部位又はlox部位である、請求項2に記載のSSI宿主細胞。

請求項7

選択マーカーがGS選択マーカー、ハイグロマイシン選択マーカー、ピューロマイシン選択マーカー、又はチミジンキナーゼ選択マーカーである、請求項5に記載のSSI宿主細胞。

請求項8

宿主細胞がマウス細胞ヒト細胞若しくはCHO宿主細胞、CHOK1宿主細胞、又はCHOK1SV宿主細胞である、請求項1〜7のいずれか一項に記載のSSI宿主細胞。

請求項9

組込まれた外来性ヌクレオチド配列を挟むFer1L4遺伝子のヌクレオチド配列が、配列番号7、8、9、及びその相同配列からなる群より選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載のSSI宿主細胞。

請求項10

外来性ヌクレオチド配列が、Fer1L4遺伝子の一部を置換している、請求項1〜9のいずれか一項に記載のSSI宿主細胞。

請求項11

宿主細胞が、野生型FRT部位又は突然変異型FRT部位であるFRT部位を含む、請求項6に記載のSSI宿主細胞。

請求項12

組換え標的部位が、少なくとも1つの野生型FRT部位及び少なくとも1つの突然変異型FRT部位を含む、請求項2に記載のSSI宿主細胞。

請求項13

SSI宿主細胞を生産するための方法であって、a)内在性Fer1L4遺伝子を含む細胞を提供する工程であって、外来性ヌクレオチド配列が前記Fer1L4遺伝子に組込まれており、外来性ヌクレオチド配列が、目的配列をコードする少なくとも1つの第1の遺伝子を挟む少なくとも2つの組換え標的部位を含む前記工程、次いでb)工程a)で提供された細胞を、第1の交換可能カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする少なくとも1つの第2の遺伝子、即ち選択マーカー遺伝子を挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む前記工程、次いでc)部位特異的組換え媒介カセット交換を行う工程、及び、次いでd)目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子を発現するトランスフェクトされた細胞を選択し、そのゲノムに安定に組込まれた第1の交換可能カセットを含むSSI宿主細胞を得る工程を含む、前記方法。

請求項14

SSI宿主細胞を、少なくとも1つの第2の交換可能カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする少なくとも1つの第3の遺伝子及び少なくとも1つの選択マーカーを挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む前記工程、ii)部位特異的組換え媒介カセット交換を行って、目的配列をコードする第3の遺伝子を含むSSI宿主細胞を得る工程、iii)工程ii)で得られたSSI宿主細胞に目的配列をコードする第3の遺伝子を発現させる工程、並びにiv)目的配列をコードする第3の遺伝子の産物を回収する工程をさらに含む、請求項13に記載の方法。

請求項15

配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列、及びその相同配列からなる群より選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド分子

請求項16

請求項15に記載のポリヌクレオチドを含むベクター。

請求項17

請求項15に記載のポリヌクレオチド又は請求項16に記載のベクターを含む宿主細胞。

請求項18

請求項15に記載のポリヌクレオチド又は請求項16に記載のベクターの中に又は隣接した目的配列をコードする遺伝子を含む、請求項17に記載の宿主細胞。

請求項19

細胞又は細胞株、特に高い生産安定性を有する高生産性細胞又は細胞株を生産するための方法であって、Fer1L4ヌクレオチド配列が目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含むベクターに組込まれており、次いで該ベクターが細胞又は細胞株に安定にトランスフェクトされ、次いで安定にトランスフェクトされた細胞又は細胞株が選択され、得られる、前記方法。

請求項20

Fer1L4ヌクレオチド配列が、配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列、及びその相同配列からなる群より選択されるヌクレオチド配列である、請求項19に記載の方法。

請求項21

目的配列をコードする遺伝子の産物の生産のための方法であって、請求項13又は19に記載の方法に従って生産される宿主細胞又は細胞株を好適な培地で培養する工程、及びそれから産物を回収する工程を含む、前記方法。

請求項22

SSI宿主細胞を生産する方法であって、外来性のヌクレオチド配列を、細胞の内在性Fer1L4遺伝子に導入する工程を含む、前記方法。

請求項23

外来性ヌクレオチド配列が、Fer1L4遺伝子とポリヌクレオチドの間の相同組換えによって導入され、該ポリヌクレオチドが、a)Fer1L4遺伝子の第1の部分に相同な第1のヌクレオチド配列、b)外来性のヌクレオチド配列、及びc)Fer1L4遺伝子の第2の部分に相同な第2のヌクレオチド配列を含む、請求項22に記載の方法。

請求項24

外来性ヌクレオチド配列の導入が、ウイルスベクター(例えば、相同組換えを媒介するアデノ関連ウイルスベクター)又は外来性ヌクレアーゼ(例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ転写活性化因子エフェクターヌクレアーゼ、又は人工メガヌクレアーゼ)を用いて促進される、請求項22に記載の方法。

技術分野

0001

本発明は、安定で高生産性の部位特異的組込み(SSI、site-specific integration)宿主細胞、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO、Chinese hamster ovary)由来宿主細胞、その生産及び使用方法に関する。

背景技術

0002

従来方法を使用する商業的な細胞株の作製は、時間がかかり、多大な労働力を要し、プロセスが反復するため、開発中の生物学的バイオ医薬品の候補の数が増加したことは、細胞株開発のための頑強で迅速で高処理の技術の開発の需要を促している。抗体生産細胞株構築及び選択においては、発現、増殖及び安定性プロフィールに大きな幅のある細胞が得られる。これらの変動は、哺乳類ゲノム固有の柔軟性に起因して生じ得る。それらはまた、推定される遺伝子調節ネットワークから、又は主に「位置効果(position variegation effect)」によるトランスジーンランダムなゲノム組込みから生じる生産される組換えタンパク質の量の変動によっても生じ得る。

0003

これらの変動及びゲノム組込みの頻度の低さ(10,000回に1回)の結果、プール内の多くのトランスフェクタントからこれらの希少事象スクリーニングして、商業的適合性のある生産細胞株(例えば、良好な増殖、高生産性及び生産安定性の組み合わせ、並びに所望の生産プロフィールを有するもの)を単離するためには、資源集約的かつ時間のかかる努力が必要となる。この状況は、GS(glutamine synthase、グルタミンシンターゼ)遺伝子発現システム等の非常に精密な選択システムを使用して高生産性細胞株を濃縮することで改善し得る。例えば、最近の研究の1つでは、175mAb(モノクローナル抗体)生産GS-CHOK1SV(GS Gene expression systemTM、Lonza)細胞株の30%を超えるランダムに選択されたパネルが、フェドバッチ振盪フラスコプロセスで≧1g/LのmAbを生産した。CHOK1SVはGS酵素内在的に発現することから、グルタミン不含培地及び、メチオニンスルフォシミン(MSX、methionine sulfoximine)の選択を使用して、ポジティブトランスフェクタントを得ることができる。そのように効率的な選択システムにも関わらず、厳密で煩雑なスクリーニングレジームが依然として必要とされる。このように、製造細胞株の構築は、煩雑で時間のかかるプロセスである。これらの細胞株は、ポジティブな増殖及び生産性の特徴に関して選択する必要があるだけでなく、クローニングする必要があり、さらに製造プロセスの間に正しい質の産物を生産することが本質的に必要とされる。さらに、プロセスが経済的であるためには、作製される細胞株が多くの細胞世代にわたって一貫した生産性を示す必要がある。ポジティブな増殖特性を有し、最小限のスクリーニング活性で、目的の新規タンパク質、例えば、新規モノクローナル抗体が発現される高生産性細胞株の提供が望まれる。

発明が解決しようとする課題

0004

本発明の根底にある技術的課題は、上記欠点を克服すること、特に望ましくは簡単で効率的な方法で、高い安定性とポジティブな増殖及び生産特性を有する高生産性細胞株、特に長い培養及び生産期間にわたって一貫した生産性を提供する細胞株を提供することである。

課題を解決するための手段

0005

本発明は、独立請求項における教示の提供によって、その根底にある技術的課題を解決する。

0006

特に、本発明は、内在性Fer1L4遺伝子を含む部位特異的組込み(SSI)宿主細胞であって、外来性ヌクレオチド配列が前記Fer1L4遺伝子に組込まれている前記宿主細胞を提供することにより、その技術的課題を解決する。いくつかの実施形態において、外来性ヌクレオチド配列は、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。いくつかの実施形態において、外来性ヌクレオチド配列は、少なくとも2つの組換え標的部位を含む。いくつかの実施形態において、組換え標的部位は、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む(flank)。他の実施形態において、組換え標的部位は、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子に隣接(adjacent)しているが、挟んではいない。いくつかの実施形態において、目的配列をコードする遺伝子は少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を含む。

図面の簡単な説明

0007

図1は、CHOK1SVの「ホットスポット」を同定するために使用されるベクターpRY17(配列番号1)を示す。LC1及びHC1は、キメラモノクローナルIgG4抗体cB72.3の軽鎖及び重鎖である。hCMVは、hCMV-MIE初期遺伝子プロモーターを指し、ここで「Int」はその最初のイントロンであるイントロンAを指し、5'UTRをコードするフランキングエキソンは、それぞれ「Ex1」及び「Ex2」と示される。野性型及びF5突然変異型のFRT部位は、それぞれF及びF5と表示する。ポリアデニル化SV40初期プロモーター及びβ-ラクタマーゼ配列は、それぞれpA、SV40及びblaと示す。GSはグルタミンシンセターゼcDNAを示し、Hyg(-ATG)は、開始メチオニンコドン及びプロモーターを欠くハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子を示す。
図2は、SSI宿主10E9を作製するために使用した「中間体」ベクターpRY37(配列番号2)を示す。このベクターは、チミジンキナーゼ(TK、thymidine kinase)及びピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC、puromycin acetyl transferase)遺伝子を含む転写単位を挟む突然変異型FRT(F5)及び野生型FRT部位(F)を含む。それぞれの転写は、SV40初期プロモーター(SV40E)によって駆動される。11A7細胞に、ベクターpRY37を、FLPリコンビナーゼをコードするベクターpOG44(Invitrogen)と共トランスフェクトした。細胞株を、ピューロマイシン含有培地の存在下で選択し、11A7ゲノムに埋め込まれているpRY37 FRT配列とpRY17の等価配列との間のRMCEのためにスクリーニングした(図3参照)。スクリーニング及びクローニングの後、cB72.3mAb転写単位がTK及びPACのものと交換されている細胞株10E9を単離した(「SSI宿主」)。
図3は、SSI宿主10E9においてmAb生産細胞株を作製するための標的ベクターを示す。このベクターpRY21(配列番号3)は、突然変異型(F5)及び野性型FRT部位によって挟まれたMyo mAb遺伝子(HC2及びLC2)を含む転写単位を含む。インフレーム開始メチオニンコドンが野性型FRT部位の5'端に挿入されており(ATG+F)、この上流はSV40初期プロモーター(SV)である。HC2及びLC2遺伝子の転写は、hCMVの主要前初期遺伝子1(hCMV-MIE)及びその最初のイントロンであるイントロンA(Int A)のプロモーター、並びに「Ex1」及び「Ex2」としてそれぞれ示される5'UTRをコードするフランキングエキソンによって駆動される。β-ラクタマーゼ遺伝子はblaと示す。
図4は、11A7細胞株からSSI宿主10E9を作製する過程を示す。この模式図は、細胞株11A7における突然変異型F5及び野性型FRT部位によって挟まれたmAb cB72.3転写単位(HC1及びLC1)を含む直鎖状ゲノム組込みpRY17の単一コピーを示す。トランスフェクションに先立って、ベクターpRY17をPvu Iでβ-ラクタマーゼ遺伝子(bla)の中心で切断し、その直鎖状ベクターは遺伝子の5'部分(bla L)及び3'(bla R)部分とで挟まれる。ベクターpRY37を、細胞株11A7に、FLPリコンビナーゼをコードするプラスミドと共トランスフェクトし、組換え(十字によって示す)が類似の部位間で生じ、SV40初期プロモーター(SV)によって各々駆動されるチミジンキナーゼ(TK)とmAb転写単位、及びピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC)転写単位のRMCEが導かれる。
図5は、SSI宿主である10E9からmAb生産細胞株を作製するプロセスを示す。標的ベクターpRY21(図3、配列番号3)は、第2の(Myo)mAb(HC2及びLC2)についての転写単位を含み、この転写単位は、上流が突然変異型FLP部位(F5)によって、下流がそれ自身メチオニン開始コドンによりインフレーム連結した野生型FRT部位(ATG-F)の上流に存在するSV40初期プロモーター(SV)によって、挟まれている。Flpリコンビナーゼ及び標的ベクターpRY21の存在下では、チミジンキナーゼ(TK)遺伝子及びピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC)遺伝子並びに関連プロモーターが、RMCEによって新たなMyo mAb抗体転写単位と置換される。この結果、野性型FRT部位とハイグロマイシン遺伝子との機能的融合遺伝子が作製される(ATG-F-Lnk-Hyg)。したがって、特定のRMCEが生じた細胞は、ハイグロマイシン及びガンシクロビルの存在下で選択することができる。
図6は、SSIプールの抗体発現と、ランダムプロセス又はFLP補助部位特異的組込み(SSI)により誘導されるクローン細胞株の抗体発現との比較を示す。ランダム組込みクローンは、フェーズ1で細胞株11A7を作製するために使用したものと同一のプロセスを使用して作製した。SSIプール(SSIラウンド1)及びクローン細胞株(SSIラウンド2及びSSIラウンド3)を、方法の項目で特定した異なるトランスフェクション条件及び選択条件下で作製した。SSIラウンド3については、4つの異なる選択条件を用いた;200μg/mL(MSX無し)((黒丸)、200μg/mLのハイグロマイシン(MSX有り)(黒菱形)、400μg/mLのハイグロマイシン(MSX無し)(黒三角)、又は400μg/mLのハイグロマイシン(MSX有り)(黒下向き三角)。全てのプロセスにより、作製したクローン細胞株を振盪フラスコで増殖させた。クローン細胞株の生産性は7日間の最終バッチ振盪フラスコで評価した(方法参照)。
図7は、scaffold1492 aka.JH000254.1(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/nuccore/JH000254)のマイナス鎖上のFer1L4遺伝子のエキソン構造を示す。5'及び3'の組込み部位の位置を同定した(それぞれ1750049及び1760965)。
図8は、pRY17-GA-QにBWAを使用してマッピングした10E9リードのマッピングを示す。マッピングの精査により、HCフラグメント(完全なHCの5'端から214bpの欠失を有する)の5'端にマッピングされた複数の非ペアリード(黒矢印)が見出せる。
図9は、SSI宿主細胞10E9のFer1L4遺伝子におけるランディングパッドの構造を示す。(A)ランディングパッドについてのWGRSカバレッジを「単一コピー(single-copy)」モデルの上部に重ねて示し、下部に詳細な模式図を示す。(B)サザンブロットデータは、2コピーのランディングパッドが有り得ること示唆した。10E9細胞由来のゲノムDNAをBmg I又はPml I制限酵素のいずれかで消化し、サザンブロットにより解析した。サザンブロットをTKプローブハイブリダイズすると、2つのコピーのランディングパッドにわたる2つの断片が明らかになった(「2コピー(two-copy)」モデルにマッピングして示されている)。「2コピー」モデルはWGRSデータと一致する。
図10は、10E9(SSI宿主細胞)及び(目的の遺伝子を発現する)RMCE細胞株の組込み部位の模式図を示す。ゲノムの位置は、非配置CHO-K1 Scaffold1492スカフォールド(アクセッション番号JH000254.1、NW_003613833.1と同一)上の垂直な破線ヌクレオチド座標によって示す。Fer1L4遺伝子は矢印で示され、ゲノム断片実線として示されている。中断している破線は、非常に大きな距離を表す。5'及び3'フランキング配列は、それぞれ白及び黒のポインタで示す。
図11に、組込まれたベクターの1コピーモデル上にマッピングされた全ゲノム再シーケンシングリードのカバレッジ図を示す。灰色のチャートの高さは、スムージングしていない各塩基でのカバレッジと等しい(RMCE作製細胞株1〜4それぞれについて示す)。フランキング領域のカバレッジは、全ての細胞株間でほぼ同じである。しかしながら、図の上部にある2つの高生産性株のカバレッジは、下部にある2つの低生産株のカバレッジの約1.4〜2.3倍である。wFRTの特徴はアスタリスクで示し、mFRTの特徴は黒丸で示している。(他の特徴は以下のとおりである:214bpの欠失を有するHCは、SSI宿主10E9の作製後にホットスポットに残された残存するcB72.3であり;BlaRはβ-ラクタマーゼ遺伝子の5'部分であり;Myo-LC及びMyo-HCは、RMCE後のホットスポットに残る抗ミオスタチンmAbのHC(重鎖)及びLC(軽鎖)コード配列であり;Hygはハイグロマイシンであり;BlaLはβ-ラクタマーゼ遺伝子の3'部分であり、GS-cDNAはpRY17に由来するグルタミンシンセターゼコード配列である)。
図12は、(RMCE作製細胞株1〜4に対して)組込まれたベクターのMyo LC及びHC領域上にマッピングされたRNA-seqリードのカバレッジのグラフを示す。チャートの高さはスムージングしていない各塩基でのカバレッジと等しい。

0008

好ましい実施形態において、本発明は、内在性Fer1L4遺伝子に組込まれた外来性ヌクレオチド配列が、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子、好ましくは少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を挟む2つの組換え標的部位であることを予期し、これは、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子、好ましくは少なくとも1つの選択マーカー遺伝子に対し、第1の組換え標的部位が5'上流に位置し、第2の標的組換え部位が3'下流に位置していることを意味する。

0009

好ましくは、目的配列をコードする遺伝子は、目的タンパク質、例えば、抗体、抗原、酵素、検出可能なタンパク質、例えば、緑色蛍光タンパク質等の蛍光タンパク質ホルモン成長因子レセプター融合タンパク質、又は選択機能を有するタンパク質をコードするヌクレオチド配列であり得る。前記ヌクレオチド配列は、プロモーター等の少なくとも1つの調節性エレメントに機能的に連結されていてもよい。好ましくは、目的配列をコードする遺伝子は、選択マーカー遺伝子である。

0010

本発明は、好ましい実施形態において、組換え標的部位がFRT(FLP認識標的)部位である本発明に従うSSI宿主細胞に関する。本発明の好ましい実施形態において、FRT部位は、野性型FRT部位、即ち、F部位である。

0011

本発明のさらに好ましい実施形態において、FRT部位は突然変異型FRT部位、好ましくはF5部位、好ましくは、例えば、Schlacke and Bode (1994) Biochemistry 33:12746-12752に開示されているものである。

0012

本発明の特に好ましい実施形態において、目的配列をコードする遺伝子、例えば選択マーカー遺伝子は、その5'端が野生型FRT部位で、その3'端が突然変異型FRT部位で挟まれている。

0013

本発明の文脈において、用語「目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む組換え標的部位」は、組換え標的部位が目的配列をコードする前記遺伝子の5'及び3'に位置していることを意味し、これは、目的配列をコードする遺伝子に対し、1つの標的部位が5'に位置し、他の標的部位が3'に位置していることを意味する。組換え標的部位は、目的配列をコードする遺伝子に直接隣接して、又は所定の間隔で位置していてもよい。

0014

フランキング配列、特にフランキング組換え標的部位は、順方向又は逆方向に配置され、好ましくは両方が順方向、又は好ましくは両方が逆方向に配置される。

0015

本発明のさらに好ましい実施形態において、組換え標的部位はlox部位である。

0016

組換え標的部位がFRT部位である場合、クロスオーバー又は組換え事象を達成するために、宿主細胞はFLP(FLPリコンビナーゼ)の存在及び発現を必要とする。組換え標的部位がlox部位である場合は、宿主細胞はCreリコンビナーゼの存在及び発現を必要とする。

0017

いずれの場合も、FLP又はCreの存在及び発現は、例えばFLP又はCreリコンビナーゼをコードする外来性ヌクレオチド配列を、前記ヌクレオチド配列の発現が可能な宿主細胞に導入することによって達成することができる。

0018

したがって、本発明は、外来性ヌクレオチド配列、例えば少なくとも2つの組換え標的部位、特にFRT部位及び/又は目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を、増殖、生産性、及び安定性のポジティブな組合せを支持する予め規定された「ホットスポット」、即ち、Fer1L4遺伝子に組込んだ宿主細胞、好ましくは、宿主細胞株を提供する。例えば、いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるSSI宿主細胞における目的配列をコードする遺伝子の発現は、少なくとも70、100、150、200、又は300世代にわたって安定である。発現は長時間において発現が30%未満減少するか、同じレベルに維持されるか、又は増加したレベルである場合、「安定」である。いくつかの実施形態において、発現は、長期間において容積生産性が30%未満減少するか、同じレベルに維持されるか又は増加したレベルである場合、安定である。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるSSI宿主細胞は、少なくとも1.5g/L、2g/L、3g/L、4g/L、又は5g/Lの目的配列をコードする遺伝子の発現産物を生産する。いくつかの実施形態において、本明細書で提供されるSSI細胞、特に細胞株は、非常に安定であるため、何の選択もなく培養中維持することができ、したがって本細胞株は規制当局受け入れられ易い可能性を有する。経済的観点では、本細胞株の高度に予測可能な性能のため、より少ない数の細胞が、プロセスの様々な段階でスクリーニングされることを必要とするので、本発明は迅速で資源効率的な細胞株の開発を可能にする。このようにして、標準的プロセスと比較して、所与の標的に対する標的細胞に対するより多くのバイオ医薬品候補、例えばモノクローナル抗体(mAb)候補、又は複数の標的に対するより多くの候補が、開発され得る。究極的には、これは目的のタンパク質、好ましくは治療用mAbについて臨床までの時間を短縮する結果として、患者に利益をもたらし得る。

0019

本発明の文脈において、用語「ホットスポット」は、宿主細胞におけるゲノムの位置、即ち部位であって、安定で高発現活性、好ましくは転写活性な産物、即ち、目的配列をコードする遺伝子のタンパク質の生産を提供し、特に、目的配列をコードする遺伝子によってコードされるタンパク質の強く安定な生産を提供する位置であり、好ましくは、ここで目的配列をコードする遺伝子は、その宿主細胞へのトランスフェクション後に前記位置に組込まれている。

0020

本発明の文脈において、用語「部位」は、ヌクレオチド配列、特に所定の長さ(stretch)のヌクレオチド、即ち所定の長さ(length)のヌクレオチド配列であり、好ましくはより大きい長さのヌクレオチドの一部である、所定の長さのヌクレオチドである。いくつかの実施形態において、部位、例えば「ホットスポット」である部位は、ゲノムの一部である。いくつかの実施形態において、部位、例えば組換え標的部位はゲノムに導入される。「組換え標的部位」は、リコンビナーゼと一緒に、標的組換えに必要とされ、かつ可能とし、かかる組換えの位置を規定する、ある長さのヌクレオチドである。

0021

本発明の文脈において、用語「宿主細胞」は、以下「レシピエント細胞」とも称され、好ましくはそのゲノムに安定に組込まれた、外来性ヌクレオチド配列を有する細胞を指す。

0022

本発明の文脈において、「細胞」は、好ましくは哺乳類細胞であり、特に齧歯類の細胞、好ましくはマウス細胞、ハムスター細胞、好ましくはチャイニーズハムスター細胞、好ましくはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、好ましくはCHOK1細胞、好ましくはCHOK1SV細胞である。好ましくは、細胞はヒト細胞である。好ましくは、細胞は非ヒト細胞である。

0023

本発明の文脈において、用語「細胞」は、好ましくは細胞株の細胞を意味する。好ましくは、用語「細胞株」は、樹立された不死化細胞株を指す。

0024

用語「細胞」は、一実施形態において、初代細胞も意味する。

0025

本発明の文脈において、用語「部位特異的組込み(SSI)宿主細胞」は、外来性ヌクレオチド配列を含む宿主細胞を意味する。いくつかの実施形態において、外来性ヌクレオチド配列は、外来性ヌクレオチド配列の部位特異的組込みを可能にし、したがって、宿主細胞ゲノムの所望の場所に、所望のヌクレオチド配列の、所定の局在的及び特異的な組込みを可能にする組換え標的部位を含む。したがって、いくつかの実施形態において、部位特異的組込み宿主細胞は、目的配列をコードする遺伝子の標的組込みが可能である。より好ましくは、部位特異的組込み宿主細胞は、組換え媒介カセット交換(RMCE、recombination-mediated cassette exchange)による、目的配列をコードする遺伝子の標的組込みが可能である。好ましくはそのようなプロセスは、配列をコードする遺伝子の機能的コピーの1つのみ、好ましくは、所定の遺伝子座に目的配列をコードする遺伝子の機能的コピーの1つのみを導入する。好ましくは、該プロセスはベクター配列、例えば、原核生物ベクター配列を宿主細胞に共導入しない。

0026

さらに好ましい実施形態において、目的配列をコードする遺伝子の2つの機能的コピーがSSI宿主細胞に導入される。

0027

本発明の文脈において、用語「選択マーカー遺伝子」は、少なくとも1つの調節性エレメント、特にプロモーターの調節及び機能的制御下にあるヌクレオチド配列、特に配列コード遺伝子、即ちタンパク質コードヌクレオチド配列(以下、領域とも称する)を指し、ここで前記タンパク質コード領域は、前記タンパク質を発現する宿主細胞の選択を可能にするタンパク質をコードする。

0028

本発明の文脈において、用語FRTは、FLP認識標的を意味する。FRTは、in vivoで制御された条件下での生物DNAの操作を可能にする部位特異的組換え技術を可能にする34塩基対長のヌクレオチド配列である。FRTは、続いて前記配列を切断し、2つのFRT部位の間に組込まれたヌクレオチド配列の組換えを可能にするFLPリコンビナーゼ(FLP)に結合されている。RMCEでは、2つのフランキングリコンビナーゼ標的配列によって媒介される2つのクロスオーバー事象が必要となる;交換されるカセットの、1つは5'端で、1つは3'端である。クロスオーバーは、2つの同一のFRT部位の間で生じ得る。FRT部位の使用は、FLPリコンビナーゼの発現と存在も必要とする。本明細書で「FRT/FLP」とも称される全体のシステムは、Seibler and Bode, Biochemistry 36(1997),1740〜1747頁、及びSeibler et al., Biochemistry 37 (1998), 6229〜6234頁に記載されている。

0029

本発明の文脈において、Fer1L4遺伝子は、Fer1L4野生型遺伝子、その全てのアイソフォーム及びその全ての相同体であり、ただし、該相同体は、特に野生型Fer1L4遺伝子、好ましくは野生型Fer1L4遺伝子の全長にわたって、好ましくは野生型ハムスターFer1L4遺伝子、好ましくはNCBIアクセッション番号NW_003613833若しくはJH000254.1由来の座標1176191〜1781992を有するもの、好ましくは野性型CHO Fer1L4遺伝子若しくはその短縮形に対して少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列相同性を有する。

0030

最も好ましくは、本SSI宿主細胞における野性型Fer1L4遺伝子は、第1に、5'に位置するフランキング配列の5'組込み部位がエキソン39と40の間に位置し、第2に、3'に位置するフランキング配列の3'組込み部位がエキソン28と29の間に位置することによって特徴付けられる。したがって、1つの好ましい実施形態において、外来性ヌクレオチド配列の組込みは、内在性Fer1L4遺伝子の一部、好ましくはエキソン28〜40にわたり含む領域を含む。いくつかの実施形態において、Fer1L4遺伝子の少なくとも一部は、SSI宿主細胞において欠失している。

0031

本発明において「相同体」又は「相同配列」は、所与の比較配列、例えば野性型CHO Fer1L4遺伝子又はその一部、例えば配列番号7、8若しくは9に対して上記配列相同性を有するヌクレオチド配列である。

0032

本発明の文脈において、用語「配列相同性」は、アライメントしたヌクレオチド間の類似性を最大にする配列のアラインメントに基づく2つの配列の同一性又は類似性の程度の尺度を指し、同一ヌクレオチドの数、ヌクレオチドの総数、並びに配列アラインメントにおけるギャップの存在及び長さの関数である。標準パラメータを使用して配列類似性を決定するための、様々なアルゴリズム及びコンピュータプログラム利用可能である。好ましくは、配列相同性は、国立生物工学情報センター(National Center for Biotechnology Information) (www.ncbi.nlm.nih.gov/)から利用可能で、例えばAltschul et al. (1990), J MoI. Biol. 215:403-410; Gish and States (1993), Nature Genet. 3:266-272; Madden et al. (1996), Meth. Enzymol. 266: 131-141; Altschul et al. (1997), Nucleic AcidsRes. 25:33 89-3402); Zhang et al. (2000), J. Comput. Biol. 7(l-2):203-14に記載されている核酸配列についてのBLASTnプログラムを使用して測定される。好ましくは、2つのヌクレオチド配列の配列相同性は、BLASTnアルゴリズムについての次のパラメータに基づくスコアである:ワードサイズ=11;ギャップオープニングペナルティ=-5;ギャップ伸長ペナルティ=-2;マッチリワード=1;及びミスマッチペナルティー=-3。

0033

したがって、Fer1L4遺伝子は、CHO Fer1L4遺伝子自体であってもよく、又は例えばヒトFer1L4遺伝子、例えばDysferlin(Fer1L1)、Otoferlin(Fer1L2)、Myoferlin(Fer1L3)、Fer1L4、Fer1L5、Fer1L6であってもよい。

0034

好ましくは、本Fer1L4遺伝子は、C.elegans Fer1遺伝子(NCBI遺伝子ID: 172659 WormBase: WBGene00001414)、又は哺乳類細胞に6つのメンバーが存在するferlinファミリーの他の任意のメンバーであり得る。ferlinは、脈管融合、特に膜融合事象を促進する。C. elegans Fer1は、虫における原形質膜への細胞小器官の融合及び正常な繁殖に必要である (Achanzar, W. E., and Ward, S., J. Cell Sci. 110 (1997), 1073-108; Washington, N. L., and Ward, S., J. Cell Sci. 119 (2006), 2552-2562)。

0035

C末端アンカーに加えて、哺乳類ferlinファミリーメンバーは、複数(6又は7個)のC2ドメインも含む(Sutton RB et al. Cell 80 (1995), 929-38; Shao et al. Science 273 (1996), 248-251)。したがって、C2ドメインをコードする遺伝子は、以下、本野性型Fer1L4遺伝子と相同であるともみなされる。

0036

本発明の文脈において、用語「外来性遺伝子」又は「外来性ヌクレオチド配列」は、宿主細胞に、例えば従来の遺伝子工学的方法、好ましくは形質転換エレクトロポレーション又はトランスフェクションによって導入されたヌクレオチド配列であって、前記導入前に前記宿主細胞に存在しなかった前記ヌクレオチド配列を指す。そのような配列は「トランスジェニック」とも称される。

0037

用語「内在性遺伝子」又は「内在性ヌクレオチド配列」は、宿主細胞に由来するか存在し、したがって前記宿主細胞の外部から導入されたものでないヌクレオチド配列を指す。

0038

本明細書で使用される用語「ヌクレオチド配列」又は「ポリヌクレオチド」は、好ましくは核酸、好ましくはDNA又はRNAを指す。

0039

本発明の好ましい実施形態において、少なくとも2つの組換え標的部位で挟まれた目的配列をコードする遺伝子は、選択マーカー遺伝子、又は抗体、例えばモノクローナル抗体、抗体誘導体融合蛋白質、酵素又は生物学的に活性なタンパク質、例えば、成長因子又はペプチドホルモン、G-CSFGM-CSF、EPO、TPO、インターロイキンインターフェロン等、特に薬学的又は栄養学的に機能的なタンパク質をコードしている遺伝子コード配列である。好ましくは、目的配列をコードする遺伝子は、宿主細胞に対して外来性である。

0040

さらに好ましい実施形態において、目的配列をコードする遺伝子は、構造的又は機能的に定義された遺伝子の一部、例えば、抗体の断片、例えば抗体の重鎖若しくは軽鎖、又は機能的なタンパク質の一部である。いくつかの実施形態において、目的配列をコードする遺伝子は、構造的又は機能的に定義されたポリペプチドの一部、例えば、個別のドメイン、ドメインのセット、又はドメインの一部、例えば、抗体の重鎖若しくは軽鎖、又は抗体の定常領域を含む発現産物をコードし得る。

0041

本発明は、好ましい実施形態において、選択マーカーが、GS選択マーカー、ハイグロマイシン選択マーカー、ピューロマイシン選択マーカー、又はチミジンキナーゼ選択マーカーである本発明に従うSSI宿主細胞に関する。

0042

本発明の文脈において、GSマーカー遺伝子によってコードされるGS選択マーカーは、GSマーカー系で作動する。したがって、増殖培地にグルタミンが存在しない場合、グルタミンシンセターゼ(GS、glutamine synthetase)活性が、培養における哺乳類細胞の生存に不可欠である。いくつかの哺乳類細胞株、例えば、マウスミエローマ株は、追加のグルタミンなしで生存するのに十分なGSを発現しない。これらの細胞株で、トランスフェクトされたGSマーカー遺伝子は、グルタミン不含培地における増殖を可能にすることによって選択マーカーとして機能することができる。他の細胞株、例えばチャイニーズハムスター卵巣細胞株は、外来性グルタミンなしで生存するのに十分なGSを発現する。これらの場合に、GS阻害剤メチオニンスルフォキシミン(MSX)は、追加のGS活性を有するトランスフェクタントのみが生存できるように内在性GS活性を阻害するために使用され得る。

0043

本発明は、好ましい実施形態において、宿主細胞がCHO宿主細胞又はCHOK1SV宿主細胞(Porter, AJ et al. Biotechnol Prog. 26 (2010), 1455-1464)である、本発明に従うSSI宿主細胞に関する。

0044

本発明は、好ましい実施形態において、外来性ヌクレオチド配列が、1750049位(5'組込部位)から1760965位(3'組込部位)にわたる位置で組込まれているSSI宿主細胞に関する(図7参照)。フランキング配列は、好ましくは、スカフォールド座標の1750049〜1750870(5'端、配列番号9、822bp)及び1758964〜1760965(3'端、配列番号7及び8、2000bp)に位置している(図7参照)。

0045

本発明は、好ましい実施形態において、本発明のSSI宿主細胞であって、組込まれた外来性ヌクレオチド配列を挟むFer1L4のヌクレオチド配列、即ちそれ自体その5'及び3'端でそれぞれ組換え標的部位の1つで挟まれている目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子が、配列番号7、配列番号8、配列番号9、及びそれらの相同配列からなる群から選択される、前記宿主細胞に関する。

0046

本発明の好ましい実施形態において、配列番号7、8又は9に示される配列に相同なフランキング配列は、野性型Fer1L4遺伝子のこれらの領域に、好ましくはその全長にわたって、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%の配列相同性を有する。

0047

したがって、特に好ましい実施形態において、本発明のSSI宿主細胞は、外来性ヌクレオチド配列、即ちそれ自体5'及び3'端でそれぞれ1つの組換え標的部位によって挟まれている目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子によって特徴づけられ、ここで配列番号7若しくは8又はそれらの相同配列のヌクレオチド配列の少なくとも1つが、宿主細胞のゲノムに組込まれている外来性ヌクレオチド配列の3'端に位置している。

0048

したがって、特に好ましい実施形態において、本発明のSSI宿主細胞は、外来性ヌクレオチド配列、即ちそれ自体5'及び3'端でそれぞれ1つの組換え標的部位によって挟まれている目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子によって特徴づけられ、ここで配列番号9又はその相同配列で示されるヌクレオチド配列の少なくとも1つが、宿主細胞のゲノムに組込まれている外来性ヌクレオチド配列の5'端に位置している。

0049

好ましくは、SSI宿主細胞は、外来性ヌクレオチド配列、即ちそれ自体5'及び3'端でそれぞれ1つの組換え標的部位によって挟まれ、その3'端で配列番号7、8又はその相同体配列のヌクレオチド配列の少なくとも1つによって、及びその5'端で配列番号9又はその相同体配列で示されるヌクレオチド配列によって挟まれている目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む。

0050

特に好ましい実施形態において、配列番号7、8、9又はそれらの相同配列の所与の5'及び/又は3'フランキング配列は、Fer1L4遺伝子に組込まれた組換え標的部位の5'端若しくは3'端に、又は5'端及び3'端にいかなる介在配列もなく直接隣接して位置している。

0051

本発明のさらに好ましい実施形態においては、例えば、配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列及びそれらの相同配列からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列を含む、Fer1L4遺伝子の一部を含む単離されたヌクレオチド分子、好ましくはポリヌクレオチドが提供される。

0052

特に好ましいのは、配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列及びそれらの相同配列からなる群から選択される少なくとも1つのヌクレオチド配列からなる単離されたヌクレオチド分子、好ましくはポリヌクレオチドである。

0053

本発明のさらに好ましい実施形態においては、本発明の単離されたヌクレオチド分子、特に配列番号7、8、9又はそれらの相同体を含むベクター、好ましくは発現ベクター、及び前記ベクター又は前記ヌクレオチド分子を含むトランスフェクトされた宿主細胞が提供される。

0054

Fer1L4遺伝子座を定義する核酸配列、即ちFer1L4遺伝子の核酸配列、即ちFer1L4ヌクレオチド配列、特に配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列、及びそれらの相同配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列が、本明細書において、高レベルリポータータンパク質を発現する細胞株の発現カセットを含む核酸構築物の組込み部位の上流及び下流の配列によって実験的に同定された。本発明のこれらの核酸配列は、核酸の増強された安定な発現に関連する新しい機能性を有する配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、遺伝子座制御領域、スカフォールド付着領域又はマトリックス付着領域等のシス作用性エレメントについて従来記載されたものとは異なって機能すると思われる目的配列をコードする遺伝子を含む外来性核酸を提供する。

0055

本ヌクレオチド配列は、何らのオープンリーディングフレーム(ORF)も有していないようであり、転写活性化因子タンパク質をコードしていないようである。トランスフェクション実験は、本配列が、シス作用エレメントのいくつかの特徴を示すことを実証した。本配列の活性は、一過性トランスフェクション解析では検出されず、本配列は、これらの方法によって検出されるプロモーター及びエンハンサーとも異なるようである。

0056

本発明は、Fer1L4ヌクレオチド配列、特に配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列、及びそれらの相同配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列の、ベクター、特に発現ベクター、特に目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を含む非RMCEベクターにおける、好ましくはランダムプロセスで、特に細胞株を生産するための、特に増強された発現を示す細胞株を生産するための、特に高生産細胞株を生産するための、好ましくは高頻度で、好ましくはより高い生産安定性をもたらす使用に関する。好ましくはそのような使用は、上記Fer1L4ヌクレオチド配列、好ましくは前記ヌクレオチド配列を含むベクターによる細胞のトランスフェクション、及び安定にトランスフェクトされた細胞株のそこからの取得を予見する。

0057

したがって、本発明は、細胞又は細胞株、好ましくは高い生産安定性を有する高生産細胞又は細胞株の生産方法であって、好ましくはベクター、好ましくは発現ベクター、好ましくは非RMCE発現ベクターに組込まれたFer1L4ヌクレオチド配列、特に配列番号7、8、9で示される配列及びそれらの相同配列からなる群から選択されるヌクレオチド配列を、細胞又は細胞株にトランスフェクトして、安定にトランスフェクトされた細胞又は細胞株を選択し、取得することを含む、前記方法に関する。本明細書で同定されるFer1L4遺伝子座又はその一部の配列の存在が、目的遺伝子シス作用性効果をもたらし、それによりゲノムのどこに組込まれてもその発現を増強する。ランダムプロセスにおいてこの方法で作製された細胞株は、より高い生産安定性を示すと予想される。

0058

本発明は、好ましくは、安定で高転写活性の細胞株又は細胞の生産のための発現ベクターにおけるFer1L4ヌクレオチド配列の使用に関する。

0059

本発明は、好ましくは、Fer1L4ヌクレオチド配列が配列番号7、8、9で示されるヌクレオチド配列、及びそれらの相同配列からなる群から選択される、上記使用に関する。

0060

本発明は、好ましくは、本発明の方法により生産された宿主細胞を、細胞又は細胞株を生産するために適切な培地で培養する工程、及びそれに由来する生産物回収する工程を含む、目的配列をコードする遺伝子の産物を生産する方法に関する。

0061

本発明は、好ましい実施形態において、本発明に従うSSI宿主細胞であって、外来性ヌクレオチドが、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む少なくとも1つの野生型FRT部位、好ましくは少なくとも2つの野性型FRT部位、又は目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む少なくとも1つの突然変異型FRT部位、好ましくは少なくとも2つの突然変異型FRT部位を含む、前記宿主細胞に関する。最も好ましくは、外来性ヌクレオチド配列は、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む1つの野生型FRT部位及び1つの突然変異型FRT部位である。特に好ましくは、目的配列をコードする遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子は、目的配列をコードする遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子の、好ましくは5'に位置する野生型FRTと、目的配列をコードする遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子の、好ましくは3'に位置する突然変異型FRT部位との間に位置する。これにより、好ましくは、組換え媒介カセット交換が常に同じ方向で生じることが確実となる。

0062

本発明は、好ましい実施形態において、a)第1の交換可能カセットを含む第1のベクターによって、好ましくは内在性Fer1L4遺伝子を含む細胞をトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする、好ましくはmAbをコードする少なくとも1つの第1の遺伝子を挟む少なくとも2つの組換え標的部位、特にFRT部位を含む前記工程、次いでb)内在性Fer1L4遺伝子に組込まれた目的配列をコードする少なくとも1つの第1の遺伝子を挟む少なくとも2つの組換え標的部位、特にFRT部位を含み、目的配列をコードする第1の遺伝子の高く安定な生産を示すトランスフェクトされた細胞を選択する工程、次いでc)工程b)で得られた細胞を、第2の交換カセットを含む第2のベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが、少なくとも1つの目的配列をコードする第2の遺伝子、すなわち選択マーカー遺伝子を挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位、特にFRT部位を含む前記工程、次いでd)部位特異的組換え媒介カセット交換を行う工程、及び次いでe)目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子を発現するトランスフェクトされた細胞を選択し、本発明に従うゲノムに安定して組込まれた第2の交換可能カセットを含むSSI宿主細胞を得る工程(例えば、図4を参照)を含む、本発明に従うSSI宿主細胞を生産するための方法に関する。

0063

好ましくは、目的配列をコードする第1及び第2の遺伝子は、その1端が第1の組換え標的部位で、その他端が第1の標的部位とは異なる第2の組換え標的部位で挟まれている。

0064

したがって、本発明は、本発明に従うSSI宿主細胞を生産するための方法であって、リコンビナーゼ媒介カセット交換を使用し、その過程において、リコンビナーゼ標的部位で挟まれた目的配列をコードする、好ましくはmAbをコードする第1の遺伝子を含む第1の交換可能カセットが、ベクターを介して宿主細胞にトランスフェクトされ、宿主細胞のゲノムに、特にその「ホットスポット」に組込まれ、そして「ホットスポット」トランスフェクタントの選択後、マッチングリコンビナーゼ標的部位で挟まれた第2の交換可能カセット、例えば、環状交換プラスミドの一部であり、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子、特に目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子が、宿主細胞にトランスフェクトされ、組換えが行なわれ、それにより、目的配列をコードする第1の遺伝子が、目的配列をコードする第2の遺伝子と交換される(図4参照)、前記方法を提供する。有利には、目的配列をコードする遺伝子の1つのコピーのみが所定の遺伝子座に挿入され、どのベクター配列、特に交換プラスミドのプラスミド配列も、宿主ゲノムに組込まれない。

0065

SSI宿主細胞を生産するための本方法は、工程a)及びb)において、目的配列をコードする遺伝子の産物の高く安定な生産を示す「ホットスポット」が、目的配列をコードする少なくとも1つの第1の遺伝子、例えば抗体、例えばmAbをコードする遺伝子又はその一部をコードし、産業上有用な、例えば生物医薬品に関連するタンパク質の遺伝子を使用して同定することができる限り、並びに工程c)、d)及びe)において、目的の「ホットスポット」を同定するために使用される目的配列をコードする前記第1の遺伝子が、いわゆる空のカセット、特に、目的配列をコードする少なくとも1つの第2の遺伝子、即ち、一つの選択マーカー遺伝子を含む第2の交換可能カセットによって完全に交換される限りにおいて有利である。このように、「ホットスポット」の同定のために使用された目的配列をコードする第1の遺伝子の既存配列が存在しないSSI宿主細胞が作製され、これによって、さらなるリコンビナーゼ媒介カセット交換により、目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子を置換する、別の目的配列をコードする遺伝子、即ち、目的配列をコードする第3の遺伝子を、前記「ホットスポット」に配置させることが可能になる。したがって、本発明で得られたSSI宿主細胞は、同定された「ホットスポット」で宿主細胞のゲノムに目的配列をコードする第3の遺伝子を配置するためのさらなるリコンビナーゼ媒介カセット交換を行うために用いられ得る。

0066

本発明の文脈において、用語「マッチング組換え標的部位」は、交換可能なカセットの前記組換え標的部位の第1の部位が、別の交換可能カセットの第1の組換え標的部位と同一であること、及び最初に述べた交換可能カセットの第2の組換え標的部位が別の交換可能カセットの第2の組換え標的部位と同一でることを意味し、これにより組換え標的部位間のヌクレオチド配列の交換が可能となる。好ましくは、両方の交換可能カセットの第1の組換え標的部位は、両方の交換可能カセットの第2の組換え標的部位と異なる。

0067

本発明は、好ましい実施形態において、i)本発明に従うSSI宿主細胞を、少なくとも1つの第3の交換可能カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが、目的配列をコードする少なくとも1つの第3の遺伝子及び少なくとも1つの選択マーカーを挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む工程、ii)部位特異的組換え媒介カセット交換を行って、目的配列をコードする第3の遺伝子を含むSSI宿主細胞を得る工程、iii)工程ii)で得られたSSI宿主細胞に目的配列をコードする第3の遺伝子を発現させる工程、及びiv)目的配列をコードする第3の遺伝子の産物を回収する工程を含む、目的配列をコードする遺伝子の産物を生産するための方法に関する。

0068

本発明の主な利点の1つは、工程b)で作製され、同定された「ホットスポット」、即ちFer1L4遺伝子に目的配列をコードする第1の遺伝子を含むSSI宿主細胞から、目的配列をコードする第3の遺伝子を含むSSI宿主細胞まで、引き継がれる固有の生産安定性を提供することである。この安定性は、選択とは独立しており、工程a)及びb)で同定された「ホットスポット」を、ゲノム内の「ホットスポット」又は他の部位の周辺の配列と関連する特徴として決定づけることを可能にする。ランダムなベクターの組込みに基づく細胞株の構築においては、これは非常に稀な事象であり、そのような部位を見出すまでの労力は計り知れない。このように、本発明は、全体的により短い開発サイクルと資源の削減をもたらす、適切な細胞株の選択のための延長された安定性試験の排除を可能にする。さらに本発明は、組換え媒介カセット交換後に選択なしで細胞を培養することを可能にし、これは製造プロセスが潜在的に規制機関により受け入れられ易いことを意味している。有利なことに、本「Fer1L4ホットスポット」は、好ましくは蛍光マーカーを使用せずに、mAbを用いて定義され、同定された。

0069

本発明は、外来性ヌクレオチド配列が細胞の内在性Fer1L4遺伝子へ標的組込みにより導入される、SSI宿主細胞の生産方法を提供する。ゲノムの目的の特定部位にヌクレオチド配列を方向づける様々な任意の方法を使用することができ、例えば、相同組換え、及びヌクレアーゼ媒介法、例えば、パルボウイルス媒介相同組換えの使用、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ、又は人工メガヌクレアーゼの使用が挙げられる(例えば、Russell and Hirata, Nat. Med. 18(4):325-30, 1998; 米国特許出願公開第2012/0070890号、米国特許第6,528,313号、米国特許出願公開第2009/0258363号参照)。そのような方法で導入された外来性ヌクレオチド配列は、本明細書に記載された特徴のいずれかを含み得る。例えば、内在性ヌクレオチド配列は、目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子及び/又は少なくとも2つの組換え標的部位を含み得る。いくつかの実施形態において、目的配列をコードする遺伝子は、少なくとも1つの選択マーカー遺伝子を含む。

0070

さらなる実施形態において、本発明は、外来性ヌクレオチド配列を細胞の内在性Fer1L4遺伝子に導入することを含む、SSI細胞を生産する方法に関する。好ましくは、外来性ヌクレオチド配列は、Fer1L4遺伝子とポリヌクレオチドの間の相同組換えにより導入され、ここで該ポリヌクレオチドは、a)Fer1L4遺伝子の第1の部分に相同な第1のヌクレオチド配列、b)外来性ヌクレオチド配列、及びc)Fer1L4遺伝子の第2の部分に相同な第2のヌクレオチド配列を含む。このさらなる実施形態において、外来性ヌクレオチド配列の導入は、相同組換えを媒介するウイルスベクター、例えば、アデノ関連ウイルスベクター、又は外来性ヌクレアーゼ、例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、転写活性化因子様エフェクターヌクレアーゼ又は人工メガヌクレアーゼ使用して促進されることが好ましい。特に好ましくは、アデノ関連ウイルスベクターが使用される。特に好ましい実施形態では、外来性ヌクレオチド配列は、組換え標的部位、好ましくはloxP部位で挟まれている。

0071

本発明は、態様Aにおいて、a)内在性Fer1L4遺伝子を含む細胞を提供する工程であって、内在性ヌクレオチド配列が前記Fer1L4遺伝子に組込まれており、該内在性ヌクレオチド配列が目的配列をコードする少なくとも1つの遺伝子を挟む少なくとも2つの組換え標的部位を含む前記工程、次いでb)工程a)で提供された細胞を、第1の交換カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする少なくとも1つの第2の遺伝子、即ち選択マーカー遺伝子を挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む前記工程、次いでc)部位特異的組換え媒介カセット交換を行う工程、及び次いでd)目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子を発現するトランスフェクトされた細胞を選択し、そのゲノムに安定して組込まれた第1の交換可能カセットを含むSSI宿主細胞を得る工程を含む、SSI宿主細胞を生産するための方法にも関する。

0072

本発明は、a)内在性Fer1L4遺伝子を含む細胞を提供する工程であって、外来性ヌクレオチド配列が前記Fer1L4遺伝子に組込まれており、該外来性ヌクレオチド配列が目的配列をコードする少なくとも1つの第1の遺伝子を挟む少なくとも2つの組換え標的部位を含む前記工程、次いでb)工程a)で提供された細胞を、第1の交換カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする少なくとも1つの第2の遺伝子、即ち選択マーカー遺伝子を挟む少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む前記工程、次いでc)部位特異的組換え媒介カセット交換を行う工程、及び次いでd)目的配列をコードする第2の遺伝子、好ましくは選択マーカー遺伝子を発現するトランスフェクトされた細胞を選択し、そのゲノムに安定して組込まれた第1の交換可能カセットを含むSSI宿主細胞を得る工程を含む、SSI宿主細胞を生産するための方法にも関する。

0073

本発明は、さらに、i)SSI宿主細胞を、少なくとも1つの第2の交換可能カセットを含むベクターによってトランスフェクトする工程であって、該カセットが目的配列をコードする少なくとも1つの第3の遺伝子及び少なくとも1つの選択マーカーを挟んでいる少なくとも2つのマッチング組換え標的部位を含む前記工程、ii)部位特異的組換え媒介カセット交換を行って、目的配列をコードする第3の遺伝子を含むSSI宿主細胞を得る工程、iii)工程ii)で得られたSSI宿主細胞に、目的配列をコードする第3の遺伝子を発現させる工程、及びiv)目的配列をコードする第3の遺伝子の産物を回収する工程を含む、上記態様Aの方法にも関する。

0074

本発明は、安定で高転写活性な細胞株の生産のための、内在性Fer1L4遺伝子、好ましくはCHO Fer1L4遺伝子を含む細胞、好ましくはCHO細胞の使用もまた提供する。

0075

本発明をより詳細に説明する前に、本発明が記載される特定の実施形態に制限されず、当然のことながら変化してもよいことが理解されるべきである。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を記載するためだけのものであり、限定を意図するものではなく、本発明の範囲が添付の特許請求の範囲によってのみ制限されることが理解されるべきである。

0076

他に定義しない限り、本明細書で使用される全ての技術的及び科学的用語は、本発明が属する分野の当業者に一般に理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載のものと同様又は同等のいずれの方法及び材料も本発明の実施又は試験に使用することができるが、いくつかの有望で好ましい方法及び材料を本明細書に記載する。本明細書で言及した全ての刊行物は、刊行物が引用されるのに関連する材料及び/又は方法を開示及び記載するために参照により本明細書に組込まれる。矛盾が生じる場合は、本発明の開示が組込まれた刊行物のいずれの開示にも優先することを理解されたい。

0077

本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用するとき、単数形は、他に明記のない限り、複数の参照物も含むことに留意されたい。したがって、例えば「細胞」への言及には複数のそのような細胞が含まれ、「ベクター」への言及には1つ以上のベクター及び当業者に公知のその同等物への言及が含まれる、等である。

0078

本明細書で議論された刊行物は、本出願の出願日前の開示に関して提供されるにすぎない。本明細書には、先行する発明の点で、本発明がそのような刊行物に先んずる資格がないとの承認解釈されるものはない。さらに、提供される刊行物の日付は実際の刊行日とは異なる場合があり、それらは独立して確認される必要な場合がある。

0079

さらに好ましい実施形態は、下位クレームの対象である。

0080

配列番号1〜3は、本発明で使用されるベクターのヌクレオチド配列を表す。

0081

配列番号4〜6は、本発明で使用されるプライマーを表す。

0082

配列番号7及び8は、Fer1L4 CHO遺伝子の3'に位置する配列を表す。

0083

配列番号9は、Fer1L4 CHO遺伝子の5'に位置する配列を表す。

0084

配列番号10及び11は、本発明で使用されるさらなるプライマーを表す。

0085

本発明を、実施例及び添付の図面を用いて、さらに説明する。

0086

実施例1:
A)材料及び方法
1.ベクター構築
全てのベクター配列は合成し、全て配列決定した。ピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC)、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(Hyg)及びmAb遺伝子は遺伝子合成の前に全て遺伝子最適化し、モンゴルキヌゲネズミ(Cricetulus griseus)のコドンバイアス適合させた。pRY17(図1)の大部分は、pCB72.3-GA-HC-LC(Kalwy et al. (2006), Mol Biotechnol. 34. 151〜156頁)から誘導した。全てのベクターに存在している野性型FRT(F)の配列及び突然変異型F5FRT(F5)組換え配列は、Schlake and Bode(Schlake and Bode, 1994, Biochemistry 33:12746-12751)に示されている。鋳型配列(遺伝子合成の前に遺伝子最適化を行う又は行わない)は以下のように得た:F組換え配列とベクターpRY17(図1)中のリンカーのインフレーム融合(図1)はベクターpFRT/lacZeo(Invitrogen)から得た。pRY21(図3)中のメチオニン開始コドンとF組換え配列とのインフレーム融合はpcDNAT5/FRT(Invitrogen)から得た。全てのベクターにおいて、使用するSV40初期プロモーター(pCB72.3-GA-HC-LCから誘導したGS転写単位に関連するものは別)は前記Invitrogenベクターから得た。pRY37のチミジンキナーゼ(TK)及びPAC遺伝子配列はそれぞれpWSTK6(gb:EU530625)及びpPUR(Clontech、gb:U07648)から誘導した。

0087

2.バッチ及びフェドバッチ振盪フラスコ解析
バッチ振盪フラスコ解析については、細胞を、125mLの振盪フラスコにおいて、様々な選択薬剤(後述)を補充した30mLのCD CHO中に3×105生細胞/mLで播種し、37℃で加湿5%CO2含有空気(v/v)中、140rpmの軌道振盪インキュベータインキュベートした。調整培地を培養7日目に回収し、調整培地中の抗体濃度プロテインAHPLCによって測定した。

0088

フェドバッチ振盪フラスコ解析については、細胞を、それぞれ100mLの所有権のある(proprietary)培地を含む500mLの振盪フラスコに3×105細胞/mLで播種し、37℃で加湿5%CO2含有空気(v/v)中、140rpmの軌道振盪インキュベータでインキュベートした。細胞に培養3日目からアミノ酸微量元素との混合物からなる所有権のある養分を供給した。毎日生存能力及び生細胞濃度をVi-CELLTM自動化細胞生存性解析機を使用して測定した。培地中の抗体濃度は、培養6日目から開始して14日目の回収に至るまで、プロテインAHPLCによって測定した。

0089

3.安定性解析
細胞を、125mLの振盪フラスコにおいて、様々な選択薬剤(後述)を補充した30mLのCD CHOを中で交互に3及び4日ごとに継代培養した。様々な世代数(1世代は1個体群を2倍にすることと等価)で、二重フェドバッチ振盪フラスコを上記のように設定した。細胞濃度、生存性、及びmAb濃度の測定値を上記の通り集めた。細胞株の生産性が70世代以内で>30%変化する場合は、不安定とみなす

0090

4.単細胞クローニングについてのフローサイトメトリー
単細胞クローニングを、FACSDiva v6.0ソフトウェアを備えたFACS Aria II細胞セルソーターを用いて、488nmで放射する空冷レーザーにより実施した。死細胞FSCSSCドットプロットで排除し、重複分をFSC幅対面積ドットプロットで排除した。生細胞についての分別ゲートは2つのドットプロットの組合せとした。

0091

5.SSI宿主細胞の作製
目的配列をコードする第2の遺伝子、即ち、選択マーカー遺伝子を含む空ベクターであるpRY37による親pRY17発現細胞株のトランスフェクションは、FreeStyleTMMAX CHOシステム(Invitrogen)を使用して実施した。この目的のために、RMCEのための再トランスフェクションの24時間前に、選択したpRY17でトランスフェクトされた細胞株(11A7)を、最初にFreeStyleTMCHO Expression Mediumに5×105細胞/mLで125mL振盪フラスコにおいて播種した。トランスフェクションの日に、1×106細胞/mLの濃度で、およそ3×107の細胞をFreeStyleTMMAX試薬を用いて、製造業者の指示に従って、125mLの振盪フラスコにおいて、33.75μgのpOG44プラスミド(Invitrogen、gb:X52327)と3.75μgのpRY37(9:1)により共トランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を、25μMのMSX及び7μg/mLのピューロマイシンを補充した所有権のある化学規定培地を含む48ウェルプレートに播種した。播種の3週間後、生細胞を含む各ウェルからの培地を、プロテインAバイオセンサーを使用するForteBioにより、抗体生産に関してスクリーニングした。検出可能な抗体がなかった細胞株の培地は、さらに、25μMのMSX及び1μg/mLのピューロマイシンを補充したCD CHO培地を含む125mLの振盪フラスコに進めた。

0092

6.10E9宿主由来の細胞株の作製
RMCE実験は、3つの別個の「ラウンド」に分けて、この項目と下記の結果の項目の両方で言及する(ラウンドは図6で定義する)。

0093

ラウンド1及び2では、SSI標的ベクターであるpRY21によるSSI宿主細胞10E9のトランスフェクションを、、FreeStyleTMMAX CHOシステム(Invitrogen)を使用して行った。この目的のために、RMCEのための再トランスフェクションの24時間前に、10E9 SSI宿主細胞を、最初に25μMのMSX及び1μg/mLのピューロマイシンを補充したFreeStyleTMCHO発現培地(Invitrogen)を含む125mLの振盪フラスコに5×105細胞/mLの濃度で播種した。トランスフェクションの日に、およそ3×107細胞を1×106細胞/mLの濃度で、製造業者の指示に従って125mLの振盪フラスコにおいてFreeStyleTMMAX試薬を用いて、33.75μgのpOG44プラスミド(Invitrogen、gb:X52327)と3.75μgのpRY21(9:1)により共トランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を、25μMのMSXを補充した30mLのFreeStyleTMCHO発現培地(Invitrogen)を含む125mLの振盪フラスコに回収した。RMCEの48時間後、ラウンド1のトランスフェクタントを、25μMのMSX、400μg/mLのハイグロマイシン(正の選択)及び3μMのガンシクロビル(負の選択)を補充した所有権のある化学規定培地を含む48ウェルのプレートに播種した。4週間後、可視フォーカスを含むウェル由来の培地中のmAb濃度を、プロテインAバイオセンサーを使用するForteBio Octectにより決定した。培地にmAbを分泌する細胞を、200μg/mLのハイグロマイシン及び25μMのMSXを補充したCD CHO培地を含む振盪フラスコ中で増殖させ、維持した。これらの細胞プールを、バッチ振盪フラスコ解析(上記のとおり)において抗体生産についてさらに評価した。安定性解析では、図6で特定した条件の継代培養からMSXを除去した。

0094

振盪フラスコ中に回収した48時間後、ラウンド2のトランスフェクタントを、5×105細胞/mLの濃度で、400μg/mLのハイグロマイシン(正の選択)を補充したCD CHO培地を含む125mLの振盪フラスコに播種した。次いで、5日後に負の選択として、3μMのガンシクロビルを添加した。細胞を、3〜4日ごとに同じ培地で、3週間同じ振盪フラスコ中で、連続して継代した。生存細胞を、FACSAria IIを使用して、400μg/mLのハイグロマイシンと3μMのガンシクロビルを補充した所有権のある化学規定培地を含む96ウェルプレートに単細胞クローニングした。3週間後、可視細胞増殖を行ったウェルの培地のmAb濃度を、プロテインAバイオセンサーを使用するForteBio Octectにより測定した。培地へmAbを分泌するクローンを、200μg/mLのハイグロマイシン及び25μMのMSXを補充したCD CHO培地を含む振盪フラスコ中で増殖させ、維持した。これらのクローンを、バッチ振盪フラスコ解析(上記のとおり)により抗体生産性についてさらに評価した。安定性解析では、図6で特定した条件の継代培養からMSXを除去した。

0095

ラウンド3のトランスフェクションについては、1×107の10E9SSI宿主細胞に、エレクトロポレーションで、45μgのpOG44プラスミド(Invitrogen, gb:X52327)及び5μgのpRY21を、900μF、300Vで共トランスフェクトした。トランスフェクション後、細胞を20mLの所有権のある化学規定培地を含むT-75フラスコへ播種した。48時間後、200又は400μg/mLのハイグロマイシンを培地に添加し、次いで、6日後に3μMのガンシクロビルを添加した。いくつかの場合(図6の説明に記載のとおり)には、ハイグロマイシン選択に加えて25μMのMSXを添加した。試験された全てのトランスフェクション条件について、細胞をこれらの条件下で3週間選択した。この期間に、T-75フラスコ中の調整培地を3〜4日ごとに正の選択薬剤及び負の選択薬剤を含む新鮮培地と交換した。生存度が≧90%に達したら、細胞をFACSAria IIを使用して、200又は400μg/mLのハイグロマイシンを補充した、25μMのMSXを含む又は含まない(図6の凡例に記載のとおり)上記と同じ所有権のある化学規定培地を含む96ウェルプレートに単細胞クローニングした。増殖可視細胞を含むウェルから回収した調製培地の抗体濃度を、プロテインAバイオセンサーを使用するForteBio Octectにより決定した。選択したクローン細胞株を200μg/mLのハイグロマイシン及び25μMのMSXを補充したCD CHO培地を含む125mLの振盪フラスコで増殖させ、継代培養した。これらのクローンを、バッチ振盪フラスコ解析(上記のとおり)において抗体生産についてさらに評価した。安定性解析では、図6で特定した条件の継代培養からMSXとハイグロマイシンの両方を除去した。

0096

7.データ解析
増殖曲線下面積の時間積分(生細胞濃度(IVC)の時間積分、106細胞日/mL)を、レナードらによって記載された方法を使用して計算した(Renard et al. 1988, Biotechnology Letters 10:91-96)。

0097

式中、Xv0=第1の試料の生細胞濃度(106/mL)、Xv1=第2の試料の生細胞濃度(106/mL)、t0=第1の試料での経過時間(日)、t1=第2の試料での経過時間(日)。

0098

8.DNAウォーキング
Seegene DNA Walking SpeedUpTMKit IIを、製造業者の指示に従って使用して3'ゲノムフランキング配列データを得た。GS-CHOK1SV細胞株11A7の直鎖状組込みpRY17ベクター(bla R、図3)の模式図の3'アームのblaに特異的なβ-ラクタマーゼ(bla)遺伝子特異的プライマー、TSP1fwd(配列番号4)、TSP2fwd(配列番号5)及びTSP3fwd(配列番号6)を使用した。

0099

9.10E9宿主のゲノムシーケンシング
10E9ゲノムDNAを断片化し、HiSeqプラットフォームシーケンシングに適切なペアエンドライブラリを、製造業者の指示に従ってTrueSeqDNA試料調製キットを使用して調製した。作製したライブラリは、300bpから500bpの予期されたサイズの範囲内にあった。Agilent 2100 Bioanalyzerを使用して作製したライブラリのQC解析により、このライブラリが、継続的な試料処理のために予期されるフラグメントのサイズと収率を有し、許容される性質を有するものであることが示された。作製したライブラリを、製造業者の指示に従ってクラスタ生成のためにcBotシステムで使用した。増幅されたクラスタを含むフローセルを、Hi-Seq 2000を用いて2×100塩基対ペアエンドシケンシングで配列決定した。リードを、CHO-K1コンティグ(Xu X et al. 2011, Nature Biotechnol. 29:735-742)に、Burrows-Wheeler Aligner (BWA)(Li H. and Durbin R. 2009 25:1754-1760)を使用してマッピングした。

0100

B)結果
フェーズI:親mAb発現細胞株の作製
フェーズIの目的は、好ましい増殖特性と、安定な生産性を有し、単一の組込み遺伝子座のみを含み、この遺伝子座でのベクター組込みの考えられる数が最小である高生産性mAb発現GS-CHOK1SV細胞株を作製することであった。キメラmAb cB72.3(Whittle et al. 1987, Protein Eng 1:499-505)をコードする改変Lonza GS「二重遺伝子ベクター」pRY17(図1)を設計した。pRY17では、48bp野性型F及び突然変異型F5組換え配列がmAbのHC及びLC転写単位を挟む。F5とFの組換え配列は機能的に等価であるが、最小限のクロス組換え活性を示し、それゆえにFLPリコンビナーゼで触媒される効率のよい一方向RMCEを可能にする(Schlake and Bode, 1994, Biochemistry 33:12746-12751)。ハイブリッド遺伝子の直ぐ上流に開始メチオニンコドン又はプロモーターが存在しないため、pRY17トランスフェクション由来の初期GS-CHOK1SV細胞株は、ハイグロマイシン耐性遺伝子を効率的に転写又は翻訳しない。

0101

重要なことに、RMCE後に得られた細胞株のゲノムに維持されるように、ベクター由来GS遺伝子を交換可能なカセットの外部に配置した。そうすることによって、誘導細胞株のグルタミン物質代謝のいずれの潜在的撹乱も回避した;親のGS-CHOK1SV細胞株を、グルタミン不含培地及び50μMメチオニンスルフォキシミン(MSX)中で、内在性及びベクター由来の両方のグルタミンシンテターゼ発現の存在下で選択した。プロモーターを有さず、翻訳開始メチオニンが欠失している(-ATG)ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子をリンカー(Lnk)及びF組換え配列をコードする配列の中間に配置した(図1)。この試験の第2フェーズにおけるRMCEで使用したベクターは、SV40初期プロモーター及びハイグロマイシン耐性を発現するために必要な開始メチオニン(ATG)を含む。完全に機能的なハイグロマイシン耐性遺伝子は、組換えがゲノム中の野生型F組換え配列(図1)で生じたときにのみ作製される。

0102

FRT組換え配列を含むpRY17ベクターを、従来の細胞株開発手段によりCHOK 1SV細胞に導入し、次いで本プロセスの重要段階で集約的スクリーニングを実施し、増殖と生産性が最適な組合せの細胞株の単離を確実にした。さらに、選択した細胞株由来のcB72.3タンパク質は、先のGS-CHOK1SV細胞株(Birch and Racher, 2006, Adv Drug Deliv Rev 58:671-685)から誘導される調製物と同様の生産物の質的特性を示さなければならない。候補細胞株からのHC及びLC遺伝子コピー数はそれぞれ1に近いことが好ましい。この目的のために、3つの独立したエレクトロポレーションを、それぞれ50μgの直鎖状pRY17及び1×107のCHOK1SV細胞を用いて行った。3つのエレクトロポレーション全てからのトランスフェクタントについて50μMのMSXを含む培地中で選択し、〜1500生存細胞のプールを、トランスフェクション3週間後に抗体生産についてスクリーニングした。最後に合計79クローンについて7日間のバッチ振盪フラスコによって評価し、79クローン全てのcB72.3mAb濃度を測定した。RMCE誘導細胞株は、記載したもの以外は全て25μMのMSXを含む培地で維持した。評価した79クローンのうち38クローンをフェドバッチ振盪フラスコ培養におけるさらなる解析のために選択した。生産性と増殖特性に基づいて最良の性能を有する上位6つのクローンを遺伝的特徴づけ(方法参照)のために選択した(表1)。

0103

0104

CKOK1SVゲノム中のpRY17の組込み部位を調査するために、6つのクローンから中期染色体を調製し、DIG標識pRY17で探索した(データ示さず)。クローン1G11、6B5、8F10、14D11及び11A7は、全て個々の染色体のテロメア領域に1つのみ組込み遺伝子座を有するようである。他方、クローン18C11は2つの別個の組込み部位を有するようであり、したがってさらなる試験について選択しなかった。それぞれの細胞株の遺伝子コピー数を決定するために、超音波処理ゲノムDNAを、活発増殖細胞から調製した。qPCR解析については、GAPDHを内在性コントロールとして含め、pRY17を正のコントロールとして宿主細胞DNAに「添加した(spiked)」。HC及びLCの両方についての細胞あたりの遺伝子コピー数を平均GAPDHコピー数に対する平均コピー数の比率として計算した。表2に示されるように解析した5つのクローンのうち、11A7はHC及びLC遺伝子コピー数が最も少なかった。ゲノムDNAのサザンブロット解析により、5つのクローン全てでHC及びLCの両方が検出され得ること及びバンドの強度がqPCRで決定される遺伝子コピー数を反映していることが明らかになった(データ示さず)。

0105

0106

本安定性試験(表3)に用いた選択した5つのクローンのうち、11A7は7か月(220世代)にわたり同様の生産性を維持したが、他のクローンは、試験の最初の3カ月(80世代)の間に徐々に生産性が低下した。以上より、11A7は、良好な増殖性及び生産性プロフィールの最良の組合せを有しているだけでなく、単一組込み部位において遺伝子コピー数が最も低かった。重要なことに、11A7は生産性の点で6つのうち最も安定したクローンである。最も重要なことに、生産物の質が220世代後も同等であった。11A7を、RMCE:フェーズIIの第1ラウンドのための親クローンとして選択した。

0107

0108

フェーズII-SSI宿主細胞の作製
11A7の元のmAb転写単位を新しいmAbの転写単位に交換した標的ベクターを設計することは全く可能であるが、元のものはゲノムから完全に削除することが好ましい。これを実施するために、mAb遺伝子をコードしていない空のさらなる標的ベクターpRY37(図2)を設計した。代わりにこのベクターは正及び負の選択マーカー、それぞれピューロマイシンアセチルトランスフェラーゼ(PAC)及びチミジンキナーゼ(TK)をコードしており、これらはpRY17(図1)と同じ方向でF及びF5組換え配列により挟まれている。RMCE後、これらのマーカーは、当初の11A7ゲノムと同じ遺伝子座で当初のcB72.3mAbを置換すると予測される。PACは、pRY37と共にRMCEを受けた細胞株を選択するために必要である。TKは、プロドラッグのガンシクロビルを毒性のあるリン酸化されたヌクレオチドアナログに変換する(Wood and Crumpacker, 1996, New England Journal of Medicine 335, 721〜729頁)。このことは、後にフェーズIIIにおける負の選択の適用において重要となる:ガンシクロビル選択により、RMCEを受けていない細胞が殺傷されることによって、RMCEプールにおいて、正当なRMCEを受けた細胞が濃縮される。

0109

mAb発現について陰性であった生存細胞株のプールのうち、一つの細胞株、136-A4をサザンブロット解析によるさらなる特徴付けのために選択した(データ示さず)。これは136-A4ゲノムにおけるTKの存在で確認した。制限マッピングは、「ホットスポット」にpRY37の2つのコピーのみが存在することを示し、次にクローン10E9のゲノムシーケンシングにより確認された。コピー数は11A7で見られたpRY17より実質的に低い(表2)。均一なSSI宿主を得るために、FACSAria IIを使用して136-A4を単細胞クローニングし、26クローン誘導体増殖プロフィールを得た。これらのうち、最良の増殖プロフィールを有する2つのクローン誘導体、10E9と8C8を、ノーザンブロット解析によるさらなる特徴付けのために選択した。これらの娘クローン由来のRNAのノーザンブロット解析により、cB72.3HC及びLCmRNAが存在しないことが確認された(データ示さず)。以上より、これらの結果は、10E9がフェーズIIIで試験するRMCEのための適切な候補宿主細胞株であることを示している。

0110

フェーズIII-Myo mAb標的ベクターを用いるRMCE
新しいSSI宿主細胞株10E9の有用性を実証するために、標的ベクターpRY21を設計した(図3)。このベクターは、pRY17(フェーズI)及びpRY37ベクター(フェーズII)の両方で見られるのと同じ方向でF及びF5組換え配列により挟まれたMyo mAbのHC及びLC遺伝子を含む。さらに、F組換え配列にインフレーム融合されたメチオニン開始コドン(ATG+F)の上流にSV40初期プロモーター(SV40E)も含む。正当なRMCEが生じるとき、ATG+F配列は、プロモーターがなく、翻訳開始メチオニンが欠失している(-ATG)ハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子と共にインフレームに配置される。pRY21とpOG44を有する10E9細胞の、3ラウンドの同時トランスフェクションを実施した。最初の2つのラウンドではFree styleTMMAX CHOシステムを用いて細胞にトランスフェクションを行ったのに対し、第3ラウンドではエレクトロポレーションによって細胞にトランスフェクションを行った。さらに、ラウンド1は、ガンシクロビルとハイグロマイシンによりプールとして同時選択を行った;ラウンド2は、最初に400μg/mLのハイグロマイシン、次いでガンシクロビルによりプールとして連続的に選択を行い、その後、FACSAria IIを使用して単細胞クローニングした;ラウンド3は、最初に200若しくは400μg/mLのハイグロマイシン、次いでガンシクロビルによりプールとして連続的に選択を行い、続いてFACS Aria IIを使用して単細胞クローニングした(図6)。ラウンド3においては、MSXを2つの試験条件の培地から取り除いた。

0111

ラウンド1では様々なプールから得られた生産性データは類似しており、これは各プールの細胞株が同様の生産性を有するらしいことを示唆している。このプールの生産性の範囲は、ランダム組込みプロセス(図6)からのクローン又は非クローン細胞株のいずれの生産性よりもかなり狭かった。ラウンド2及び3における様々な選択条件で単離されたクローン細胞株を比較すると、最も高い生産性を有するクローン細胞株は、MSXが存在する場合と比較して、MSXの非存在下で選択された群に存在するようである。MSXの非存在下で増殖させた細胞株においては、MSXが培地に存在する時には見られなかった選択培地におけるハイグロマイシンの濃度の差異により得られる生産性に差異があるようであった。

0112

最初にフェーズIにおいて220世代まで安定である非常に安定なGS-CHOK1V細胞株11A7を単離した。この安定性の形質は、フェーズIIIのRMCEによって作製された誘導細胞株に受け継ぐことができた。したがって、フェーズIIIのラウンドIの3つの細胞プールを、2つの異なる条件下、拡大した安定性試験で評価した(表4)。

0113

0114

条件にかかわらず、試験した3つのプールは全て安定細胞株の基準を満たしていた。さらに、ラウンド2及び3からそれぞれ6つ、合計12のクローン細胞株について同じ種類の安定性試験(それぞれ表5及び6)を行った。12のクローンの細胞株の全てが、選択下で安定な形質を保持したことが分かった。興味深いことに、ラウンド3由来の6つのクローン細胞株(表4)は、いずれの選択剤の非存在下であっても安定であった。これはバイオ医薬品の製造にとって重要な意味合いを有する。

0115

0116

0117

「ホットスポット」を挟むゲノム配列の特徴づけ
3'フランキング配列
bla R(図3)のSeegene DNAウォーキング由来の500bpの3'フランキング配列(配列番号7)を、NCBIデータバンクから公的に利用可能なCHO-K1ゲノムシーケンシングプロジェクト(Xu X et al. 2011, Nature Biotechnol. 29:735-742)のコンティグをblast検索するために使用した。非配置ゲノムスカフォールドscaffold1492(NW_003613833.1と同一であるアクセッション番号JH000254.1)に位置する固有の配列が、1760466〜1760965のマイナス鎖上で見出された。500bp配列(配列番号7)を、scaffold1492への10E9リードの高カバレッジのマッピングに基づき、2000bp(配列番号8)まで伸長させた。

0118

Seegene DNAウォーキング(方法参照)で同定された3'フランキング配列を、NCBIデータバンクにおいて公的に利用可能なCHO-K1ゲノムシーケンシングプロジェクト(Xu X et al. 2011, Nature Biotechnol. 29:735-742)のコンティグをblast検索するために使用した。このデータ及び10E9SSI宿主細胞株から取得したIllumina HiSeqゲノム配列データを使用して、非配置ゲノムスカフォールドscaffold1492(NW_003613833.1と同一であるアクセッション番号、JH000254.1)に位置する固有の領域を見出した。これは、マイナス鎖において、scaffold1492の予測されたFer1L4(fer-1-like 4)遺伝子(NCBI Gene ID:100755848)内に位置していることが分かった(scaffold 1492ヌクレオチド番号1,746,191〜1,781,992;全長35,802ヌクレオチド)。5'フランキング配列は、エキソン39とエキソン40の間に位置しており、一方で3'フランキング配列はエキソン28とエキソン29の間に位置しているようである(図7参照)。

0119

5'フランキング配列
10E9ゲノムDNA由来のIlluminaリードを、Burrows-Wheeler Aligner(BWA)を使用して、pRY17(配列番号1)にマッピングした。マッピングの精査により、cB72.3HCの3'部分の5'端にマッピングされた複数の非ペアリードが見出された(図8の黒い矢印)。この解析は、cB72.3HCの少なくとも1つのフラグメント(5'端から214bpが欠失)が、10E9「ホットスポット」に残っていることを示唆している。ノーザンブロット解析(データ示さず)は、10E9細胞にcB72.3LC若しくはHCmRNAがないことを示し、これはcB72.3のトランケートされたHCが非機能的であることを示唆している。次いで等価なペアリードを、CHO-K1ゲノムシーケンシングプロジェクト(Xu X et al. 2011, Nature Biotechnol. 29:735-742)のコンティグをblast検索するのに使用した。それらを全て非配置のゲノムスカフォールドscaffold1492(NW_003613833.1と同一であるアクセッション番号、JH000254.1)上の同じ位置(1750048-1750183)にアライメントした。これにより5'フランキング配列を最長822bp(配列番号9)まで伸長させた。

0120

実施例2:
A)材料及び方法
1.サザンブロット
各クローンの継代2及び4から単離し、QIAGENのBlood & Cell Culture DNA Maxi Kit(Qiagen)を使用して精製した5〜10μgのゲノムDNAを、制限エンドヌクレアーゼにより15時間、37℃で消化した。消化したDNAを、等容積フェノール:クロロホルム:イソアミルアルコールの混合物(pH8.0)(1:1 v/v)で2回抽出し、次いでクロロホルム単独で抽出し、エタノール沈殿させた後、0.7%(w/v)のアガロースゲル上で 0.5×TBE (50×TBE:Lonza)又は1×TAE(40mM Tris、pH7.7、2.5mMEDTA)のいずれかのバッファーを用いて電気泳動した。ゲル製造者(Appligene, Pharmacia)の指示に本質的に従って真空マニホールドを使用してHybond-N膜(Amersham)上へ移した。Hybond-N膜をUV固定し、50×ストック(Sigma)から調製した5×Denhardt、6×SSC(1×SSC:0.15M塩化ナトリウム、15mMクエン酸ナトリウム)、及び10%(w/v)SDSを含むハイブリダイゼーション緩衝液、又はRapid-hyb Buffer(GE healthcare)単独のいずれかにおいてプレハイブリダイズした。

0121

TKプローブを、以下のプライマーセットを使用してPCRで作製した:
TK-フォワード:5'-AGATCACCATGGGCATGCCTTAC-3'(配列番号10)
TK-リバース:5'-AACACGTTGTACAGGTCGCCGTT-3'(配列番号11)
ベクターpRY37を、プローブ作製PCRの鋳型として使用し、サイクル条件は:15ng鋳型/50μl反応;TaqDNAポリメラーゼ(Roche);94℃で2分、30サイクル×94℃で30秒、55℃で1分及び72℃で30秒、最終伸長72℃で7分であった。25ngのPCR産物を、Megaprimeキットを用いて[γ-32P]dCTP(111TBq/mmol、Perkin Elmer)で標識し、nick-translationカラム(Amersham)で精製した。ハイブリダイゼーションは、同じプレハイブリダイゼーション緩衝液で2〜20時間、65℃で行った。ハイブリダイゼーション後、膜を洗浄し、0.1×SSC、0.1%(w/v)SDS、65℃の最終的なストリンジェンシーまで洗浄した。ブロットを、保存リン光体スクリーン(Bio-Rad)に暴露した。暴露したスクリーンを、Personal Molecular Imager(PMI)システム(Bio-Rad)を使用して画像化した。

0122

2.マッピング及びアラインメント
FASTQフォーマットのペアエンドリードを、ゲノムテンプレートへのマッピングのための入力にする。ベクター配列及びCHOK1SVアセンブリに、マッピングするための鋳型として印をつける。ペアエンドリードを、Bowtie2(Langmead B, & Salzberg SL, 2012, Nature methods, 9 (4), 357-9)を用いて、高速ローカルアライメントのためにデフォルトパラメータ(-D 5 -R 1 -N 0 -L 25 -i S,1,2.00)により鋳型にアライメントする。様々な試料を比較するために、カバレッジを、<未処理カバレッジ>*500M/<リード数>として規準化する。

0123

3.組込部位の同定
10E9SSI宿主株の2×100のペアエンドリードを、Illumina Hi-Seq 2000を使用して平均カバレッジ40Xで配列決定した。配列リードを、CHOK1SVゲノムへ組込んだ第1のベクターであるベクターpRY17にマッピングした。組込み部位をカバーするリードは、CHOK1SVゲノムと組込みベクター配列との両方にマッピングする配列を含んでいるため、キメラリードと称する。マッピングをローカルアライメントにより実施するため、キメラリードは、ゲノム配列にマッピング可能なオーバーハングテールと共に、ベクター配列と部分的に一致する特徴を有する。キメラリードに加えて、ペアリードの一端がベクター配列に完全にマッピングしており他端がゲノム配列にマッピングしている他のリードも存在する。これらのリードペアは、不一致リードペア(discordant read pair)と称される。配列相同性に基づき組込み部位のフランキング配列を同定するために、オーバーハングテール配列及び不一致リードペアのマッピングされたなかったリードを集め、blastを用いてCHOK1SVゲノムアセンブリを検索するのに用いた。

0124

4.ランディングパッド
ランディングパッド(目的遺伝子の発現カセットの組込みのための組換え部位を含むホットスポットにRMCEにより導入された外来性配列)の構造は、10E9細胞株のサザンブロット解析及び全ゲノム再配列決定(WGRS)解析データ(図9)の両方を基にした。10E9由来リードを、組込み部位のマッピングに使用したものと同じアルゴリズムを用いて、ベクター配列にマッピングした。キメラリードは、重複、欠失又は挿入部位でも観察される。推定ランディングパッド配列への補正は、キメラリードが生じる部位の綿密な調査に基づいて行った。

0125

5.RNA-seq解析の定量化
リードをマッピングするために使用した鋳型は、全ゲノム再シーケンシング(上記参照)に由来するランディングパッドの「1コピー(one-copy)」モデルを使用して構築した。RNA-seqシーケンシングリードを、デフォルトパラメータを使用してBWAにより鋳型にマッピングした。LC及びHCのリードカウント数を、RPKM測定単位(トランスクリプトーム1キロベースあたりマッピングされたリード100万個あたりのリード)に対して、以下の式を用いて規準化した:

0126

エキソンと重複するリードの数は、bedツールを使用して(Quinlan AR and HallIM, 2010, Bioinformatics. 26, 6, pp. 841-842)、以下のコマンド:bedtools coverage -abam -b により、各インターバルに対して得た。

0127

B)結果
10E9SSI宿主細胞におけるランディングパッドの構造
Fer1L4ホットスポット内のランディングパッドの構造モデルは、空の標的ベクターpRY37(図4)を使用した11A7から細胞株10E9の生成中に生じる予期されるRMCE事象から推定した。このモデルは、「単一コピー」モデルと称し、細胞株10E9からのWGRSデータと一致した(図9)。しかしながらサザンブロットのデータは、モデルが実際は2つのコピーを含むであろうことを示唆した(図9B)。この「2コピー」モデルをデータに基づいて精査し、このモデルを10E9宿主におけるRMCE誘導mAb生産細胞株の解釈に役立てるために使用した。「2コピー」モデルにより、なぜ抗体転写単位の1つ又は2ついずれかのコピーが、標的ベクターpRY21を用いたRMCEによってランディングパッドに組込まれ得るかを説明できる。

0128

RMCE誘導細胞株におけるフランキング配列
抗ミオスタチンモノクローナル抗体(Myo)を発現する4つの10E9誘導組換え細胞株を、(標的ベクターpRY21を使用する)RMCEによって作製し、それぞれの5'及び3'フランキング配列を上記の方法を用いて決定した。RMCEのプロセス中に一貫したゲノム再編成が生じ、誘導体細胞株に新たな3'フランキング配列を生成する(図10)。RMCE誘導体細胞株の5'フランキング配列は、(非配置CHO-K1 Scaffold1492スカフォールド(NW_003613833.1と同一であるアクセッション番号JH000254.1における)ヌクレオチド1750049に組込み部位を有し、10E9と同じである。しかしながら3'フランキング配列は現在異なっている:10E9SSI宿主細胞株の3'組込み部位は、全てのRMCE誘導体細胞株においてヌクレオチド1760965にあるが、この配列では現在ヌクレオチド1435427で見出せる(上記のスカフォールド、図10)。

0129

RMCE作製細胞株における組込みカセットのコピー数の推定
これらのゲノムのそれぞれからのシーケンシングリードを、1コピーがホットスポットに組込まれたモデルにマッピングした。Myoコピー数はLC及びHC領域の平均カバレッジから誘導した。これらの4つの細胞株に対する平均カバレッジは、それぞれ、LC領域において41、34、18、27であり、HC領域において32、27、14、19である。カバレッジデータは、高生産株について、少なくとも1つのさらなるHC及びLCのコピーが存在し得ることを示している(表7)。カバレッジデータを、図11にグラフで示す。

0130

0131

この観察に基づいて、Myoの余剰コピーを含めたRMCE後の遺伝子座の新しいモデルを作成した。これは、第1のwFRT部位の始めから第2のwFRT部位の始め(両方とも図11中にアスタリスクによって示す)にわたる断片の別のコピーを、第2のwFRTの開始点直前に挿入することにより達成した。この「2コピー」モデルを使用することにより、それに再マッピングしたときの高いqPを有する細胞株で観察されたリードの数を完全に説明し得る。

実施例

0132

高いqPのMyo生産細胞株の「2コピー」モデルのさらなる証拠は、各細胞株のRNA-Seqデータから得た。各Myo細胞株に由来するRNAのRNA-Seqからのシーケンシングリードを、デフォルトパラメータによって実行したBWA(Li H. and Durbin R. 2009, Bioinformatics, 25:1754-60)によって、、元の「1コピー」モデル(図12)にマッピングした。Myoのコピー数は、LC及びHC領域に対するRPKM値(Mortazavi et al.(2008), Nature Methods5, 621-628)を計算することにより誘導した。RPKM値は、それぞれ、LC領域で43135、40059、23204、29334であり、HC領域で38572、32384、17878、20751である。これらのデータも、全ゲノムシーケンシングから誘導した高生産性株について提唱された「2コピー」モデルを確かめるものである。

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