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技術 表面増強共鳴ラマン分光法のための色素セット

出願人 レニショウダイアグノスティクスリミテッド
発明者 アラステアリッケツカレンフィチェットジュリーグリーングレームマクナイブライアンスミストーマスサーストンイアンベルアンドリューウールフレイ
出願日 2013年4月2日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2015-503935
公開日 2015年5月28日 (4年8ヶ月経過) 公開番号 2015-515627
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 不適合度 較正プレート 矩形ボックス 化学親和力 先頭候補 桁未満 スペクトル変動 較正試料
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月28日)のものです。
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課題・解決手段

本発明は、マルチプレックスアッセイで使用するためのキットに関し、このキットは、本質的に複数の色素からなる色素セットと、基準濃度に対する各色素の関連物とを備える。色素セットは、表面増強共鳴ラマン分光法を使用して、セットの各色素が、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5のこれら2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能であるように選択されている。一実施形態では、色素セットは、以下の色素、すなわちJOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPYFL、BODIPYTMR−X,FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563からなる。また、本発明は、色素のセットを含むマルチプレックスアッセイ、マルチプレックスアッセイを実施するための装置、および色素のセットを選択する方法に関する。

概要

背景

研究室環境内でのマルチプレクシングは、単一のインタロゲーション(interrogation)において同時に複数の検体を検出することと定義される。一般に、はるかに多くのデータ点が生成され、より高度の情報を集めることができることが利点である。これは大きな時間削減に通じ、この時間削減は、複数の順次アッセイを実施するのではなく、複数の標的を単一のテストで探索することによって達成することができる。高スループットマルチプレックスアッセイは、大規模試験が容易に円滑になることを意味する。さらに、テストの完全なパネルに必要とされる試料物理的な量が著しく削減される−これは、試料を得ることが困難になる可能性がある、および/または試料が少量でしか入手可能でない場合、重要になる可能性がある。このことからの波及効果は、ラボ消耗品および人的資源の量もまた著しく削減されることであり、ランニングコストおよび廃棄物の削減を意味する。

複数の検体を検出するために多数の技法を使用することができる。最も一般的な技法の1つは蛍光であり、注目の検体が蛍光性であるか、または注目の検体が蛍光色素タグ付けされる。蛍光を検出技法として使用することには、いくつかの欠点がある。主な問題は、一意識別可能な特徴がない、蛍光放射スペクトルの広い性質である。これは、蛍光物質間で生じる大きなスペクトル放射の重なり合いにより、混合物内で同時に検出することができる検体の数を制限する。

分子的に特徴的なスペクトルをもたらす別の分子技法が、ラマン分光法である。ラマンは、蛍光で観察される広いピークではなく、分子的に特異的であり混合物内のインサイチュ(in situ:原位置)で分子を識別するために使用することができる狭い明確なピークを生成する。これらのスペクトルは情報が豊富であり、この特異性は、より高次のマルチプレクシングのための機会を可能にするが、ラマン散乱には、その基本形態で使用されたとき、多数の現実世界マルチプレックス式応用例に必要とされる感度がない。

信号を増強するために使用することができる方法がある。表面増強ラマン散乱(SERS)は、金属のプラズモン特性を利用し、最大105ないし106のラマン信号の増強を達成する。これは、検体の直接識別が必要とされるある種の分野で有用である検出レベルでマルチプレクシングが行われることを可能にする。

表面増強共鳴ラマン散乱(SERRS)は、ラマン信号を増強する別の方法であり、SERSの原理を、発色団を含む検体と共に使用し、この発色団は、試料を励起するために使用されるレーザ波長の領域において電子遷移を有する。SERRS検出レベルは、蛍光について見られるものより、最大3桁勝り(非特許文献1)、この技法の選択度と相俟って、これを高次のマルチプレクシングのための優れた技法にすることができる。各発色団は、インサイチュで識別されることを可能にする一意のSERRSスペクトルを有する。

フォールズら(非特許文献2)は、5プレクス標識オリゴヌクレオチド配列を実施し、色素慎重に選択することによって、また2つの励起波長を使用することによって、混合物内で5つの異なる色素標識オリゴヌクレオチドを識別した。使用された配列は、異なる標的の範囲に対応した。FAM、Cy5.5、およびBODIPY TR−Xがユニバーサルリバースプライマを標識するために使用され、ローダミン(Rhodamine)6G(R6G)がHPVのためのプローブを標識するために、またROXがE.coli 157のVT2遺伝子を標識するために使用された。これらの色素は、明確に区別できる特定のSERRSスペクトルを生成するので選択された。しかし、これらの色素標識は、異なる吸収極大を有するので、必ずしもすべてが同じレーザ励起周波数共鳴せず、この特性を利用し、2つの異なるレーザ励起周波数を使用して他のものの混合物内のインサイチュでこれらの色素のそれぞれを検出するための非常に敏感かつ選択度のある方法を作り出すことができる。

また、単一の励起源を使用する6つの色素標識オリゴヌクレオチドでのマルチプレックス式アッセイも実施されており、スペクトルを肉眼で分離する難しさを示す。フォールズら(非特許文献3)は、特定の判別性のあるラマン帯域を見つけるのではなく、SERRSスペクトルの全体が考慮される多変量解析手法を採用した。この手法を使用して、E.coli細菌の異なる株に対応する、それぞれが異なる市販の色素標識(ROX、HEX、FAM、TET、Cy3、またはTAMRA)で標識された6つの異なるDNA配列の最初のマルチプレックス式同時検出が報告された。この研究では、実験的な判別分析、および部分最小二乗回帰による教師付き学習が共に使用され、特定の標識オリゴヌクレオチドが混合物内に存在するか存在しないか判別する能力が、部分最小二乗回帰を使用して、非常に高い感度(0.98ないし1)、特異性(0.98ないし1)、結果精度(accuracy)(0.99ないし1)、および演算精度(precision)(0.98ないし1)で達成された。

概要

本発明は、マルチプレックスアッセイで使用するためのキットに関し、このキットは、本質的に複数の色素からなる色素セットと、基準濃度に対する各色素の関連物とを備える。色素セットは、表面増強共鳴ラマン分光法を使用して、セットの各色素が、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5のこれら2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能であるように選択されている。一実施形態では、色素セットは、以下の色素、すなわちJOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPYFL、BODIPYTMR−X,FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563からなる。また、本発明は、色素のセットを含むマルチプレックスアッセイ、マルチプレックスアッセイを実施するための装置、および色素のセットを選択する方法に関する。

目的

本発明の他の態様によれば、試料に対してマルチプレックスアッセイを行うための方法が提供され、この方法は、
染料リガンド結合体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

マルチプレックスアッセイで使用される色素のセットの各色素についての基準スペクトルを記憶しているメモリであって、前記基準スペクトルは、前記色素が基準濃度試料内に存在する状態で得られる、メモリと、a)表面増強ラマン分光法を使用して生成される試料のラマンスペクトルを受け取るステップと、b)前記試料内に存在する前記セットの前記色素の1または複数を識別するために前記基準スペクトルを使用して前記ラマンスペクトルをモデル化するステップと、c)前記試料内に存在するものとして識別された前記色素に基づいて出力を生成するステップとを実施するように構成されたプロセッサとを備え、色素の前記セットは、ステップ(b)のモデル化を通じて、各色素を、前記セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5の前記2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別することができるようなものであることを特徴とする評価ユニット

請求項2

前記メモリは複数のマルチプレックスアッセイのそれぞれについて、前記マルチプレックスアッセイで使用される色素のリストと、前記色素についての基準スペクトルとを記憶しており、前記プロセッサは、ラマンスペクトルを生成するのに使用される前記複数のマルチプレックスアッセイの1つを識別する識別子を受け取るように、また前記識別されたマルチプレックスアッセイで使用されるものとしてメモリ内で識別される前記色素の前記基準スペクトルを使用して前記ラマンスペクトルをモデル化するように構成されることを特徴とする請求項1に記載の評価ユニット。

請求項3

前記メモリは前記色素に関連付けられた標的を記憶しており、前記出力は、これらの標的に関連付けられた前記標的が前記試料内に存在するものとして識別されるかどうかに基づいて存在するものとして検出される前記標的に関するレポートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の評価ユニット。

請求項4

請求項1ないし3のいずれか1つに記載の評価ユニットと、分光装置とを備えるシステムであって、前記分光装置は、ラマンスペクトルを解析のために前記評価ユニットに送るように構成されることを特徴とするシステム。

請求項5

マルチプレックスアッセイで使用するためのキットであって、本質的に複数の色素からなる色素セットと、基準濃度に対する各色素の関連物とを備え、前記セットの各色素が、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5の前記2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能であることを特徴とするキット。

請求項6

前記セットの色素の任意の対についての基準濃度の差は、2桁未満であることを特徴とする請求項5に記載のキット。

請求項7

前記セットの色素の任意の対についての基準濃度の差は、1×10−11Mと1×10−9Mの間であることを特徴とする請求項6に記載のキット。

請求項8

前記セットの色素の任意の対についての基準濃度の差は、4×10−11Mと3×10−10Mの間であることを特徴とする請求項7に記載のキット。

請求項9

前記基準濃度との各色素の前記関連物は、前記色素を識別するために前記マルチプレックスアッセイで使用される基準SERRSスペクトルに対する各色素の関連物であり、前記基準SERRSスペクトルは、前記色素が前記基準濃度で試料内に存在する状態で得られることを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1つに記載のキット。

請求項10

各色素についての基準試料を含み、各基準試料は、前記色素を前記基準濃度で含む混合物を含むことを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1つに記載のキット。

請求項11

以下のリスト、すなわちi)JOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPYFL、BODIPYTMR−X、FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563ii)JOE、ローダミングリーン、FAM.HEX.DY549、Cy3、Cy3.5、ATT0488、MAX、およびTYE563iii)BODIPY530/550、BODIPYFL、BODIPYTMR−X、CY3.5、CY3、FAM、HEX、ローダミングリーン、TAMRA、およびTYE563のいずれか1つからの少なくとも6つの色素を含むことを特徴とする請求項5ないし9のいずれか1つに記載のキット。

請求項12

前記色素セットは、CY3.5、CY3、FAM、HEX、ローダミングリーン、およびTYE563を含むことを特徴とする請求項5ないし11のいずれか1つに記載のキット。

請求項13

前記色素セットは、CY3、TAMRA、HEX、ローダミングリーン、JOE、およびATTO520を含むことを特徴とする請求項5ないし12のいずれか1つに記載のキット。

請求項14

前記色素セットは、以下の色素、すなわちJOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPYFL、BODIPYTMR−X、FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563のうちの10個からなることを特徴とする請求項5ないし13のいずれか1つに記載のキット。

請求項15

色素セットを備えるマルチプレックスアッセイで使用するためのキットであって、前記色素セットは、本質的に複数の色素からなり、各色素は、前記色素の濃度が1×10−9M未満、任意選択で5×10−10M未満であり、前記色素と他の色素スパンのいずれか1つとの前記試料の濃度差が少なくとも2×10−11Mであるとき、表面増強共鳴ラマン分光法を使用して試料内の別個検体を識別するのに使用するためのものであることを特徴とするキット。

請求項16

各色素は、色素−リガンド結合体の一部を形成し、各リガンドは、特定の検体を結合することが可能であることを特徴とする請求項5ないし15のいずれか1つに記載のキット。

請求項17

単一の励起波長を使用して試料内に存在する1または複数の検体を検出するための、請求項5ないし16のいずれか1つに記載のキットの使用法

請求項18

請求項5ないし16のいずれか1つに記載の色素キットと、結合されない色素標識を洗い流すためのキットと、PCRを実施するためにプライマおよび試薬を含むPCRキットとを備えることを特徴とするマルチプレックスアッセイを実施するためのシステム。

請求項19

洗い流しを実施することができる試料プロセッサをさらに備えたことを特徴とする請求項18に記載のシステム。

請求項20

分光器をさらに備えたことを特徴とする請求項18または19に記載のシステム。

請求項21

SERRSスペクトルの解析で使用するべき少なくとも1つの基準スペクトルを試料から得るために少なくとも1つの基準試料を含む少なくとも1つの較正プレートをさらに備えることを特徴とする請求項18ないし20のいずれか1つに記載のシステム。

請求項22

試料に対してマルチプレックスアッセイを行うための方法であって、染料−リガンド結合体を提供するステップであって、各リガンドが、異なる色素に結合され、ある検体に特有のものである、該ステップと、前記試料内に存在する任意の特定の検体と前記染料−リガンド結合体が結合することを可能にするために前記染料−リガンド結合体を前記試料と混合し、非結合の染料−リガンド結合体を除去することによって、混合物を形成するステップと、トランスダクション技法を使用して前記混合物のスペクトルを測定するステップと、前記スペクトルを各色素についての基準スペクトルに比較することによって、どの検体が前記試料内に存在するか識別するステップであって、前記基準スペクトルは、前記トランスダクション技法を使用して前記色素が基準濃度にある試料から得られ、各色素が、前記セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6ないし1.5の前記2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能である、該ステップとを備えたことを特徴とする方法。

請求項23

ラマン分光装置を使用して試料内の標的を識別することを可能にする方法であって、請求項5ないし16のいずれか1つに記載のキットを供給し、前記色素を前記基準濃度で含む較正試料を使用し、前記ラマン分光装置を用いて、前記キット内の前記色素を識別するのに使用すべき基準スペクトルのセットを生成するステップと、前記キットを使用してマルチプレックスアッセイを行うとき、前記ラマン分光装置を使用して生成されたラマンスペクトルを解析するとき後で使用するために前記基準スペクトルを記憶するステップとを備えたことを特徴とする方法。

請求項24

N個の色素の中でX個の色素を選択する方法であって、色素セットのためのSERRSラマンスペクトルを生成するステップであって、各色素セットが、前記N個の色素から選択された1または複数の色素を含む、該ステップと、前記SERRSラマンスペクトルから、各セット内に1もしくは複数の色素を存在するものとして正しく、および/または各セットに存在しない色素を存在するものとして間違って識別する可能性を示す性能指数を計算し、前記性能指数に基づいて前記X個の色素を選択するステップとを備えたことを特徴とする方法。

請求項25

前記色素セットは、2つ以上の色素を含む色素セットを含むことを特徴とする請求項23に記載の方法。

請求項26

各色素についての基準濃度を確立するステップを含み、各色素セットについて生成される前記SERRSスペクトルは、1または複数の多量色素および少量色素を含む前記色素セットに基づいており、前記多量色素または各多量色素の、前記多量色素の基準濃度に対する濃度の比率は、前記少量色素の、前記少量色素の基準濃度に対する濃度の比率より大きいことを特徴とする請求項25に記載の方法。

請求項27

前記性能指数は、各色素セットについて、1または複数の多量色素の存在下にあるとき設定された性能基準より大きい感度で前記少量色素を識別することができる前記少量の濃度の限界シミュレーションするステップを含み、前記X個の色素を選択するステップは、濃度の前記限界に基づいて前記色素を選択するステップを含むことを特徴とする請求項26に記載の方法。

請求項28

前記性能指数は、各色素セットについて、少量色素および/または多量色素の少なくとも1つの濃度で、また好ましくは複数の異なる濃度で特異性および/または感度を決定するステップを含み、前記X個の色素を選択するステップは、前記決定された特異性および/または感度に基づいて前記色素を選択するステップを含むことを特徴とする請求項26または27に記載の方法。

請求項29

プレクスの色素セットについて計算された性能指数に基づいて色素のサブセットを選択し、次いで色素の前記サブセットの組合せから形成されたpプレックスの色素セットについて計算された性能指数に基づいて前記サブセットから色素を選択するステップを含み、各mプレックスの色素セットは、各pプレックスの色素セットより少ない色素を含むことを特徴とする請求項25ないし28のいずれか1つに記載の方法。

請求項30

前記mプレックスの色素セットはシンプレックス色素セットであり、前記pプレックスの色素セットはデュプレックス色素セットであることを特徴とする請求項29に記載の方法。

請求項31

前記SERRSスペクトルは、前記セットの各色素から取得可能なSERRSスペクトルの変動性を示すデータからシミュレーションされることを特徴とする請求項25ないし30のいずれか1つに記載の方法。

請求項32

前記変動性データは、異なる条件下で実験によって得られる各色素についてのSERRSスペクトルを含むことを特徴とする請求項31に記載の方法。

請求項33

請求項25ないし32のいずれか1つに記載の方法を使用して選択されることを特徴とする色素セット。

技術分野

0001

本発明は、表面増強共鳴ラマン分光法(SERRS)を使用して色素識別される、マルチプレックスアッセイで使用するための色素セット、およびそのような色素セットを選択する方法に関する。また、本発明は、マルチプレックスアッセイ、およびマルチプレックスアッセイを実施するための装置に関する。

背景技術

0002

研究室環境内でのマルチプレクシングは、単一のインタロゲーション(interrogation)において同時に複数の検体を検出することと定義される。一般に、はるかに多くのデータ点が生成され、より高度の情報を集めることができることが利点である。これは大きな時間削減に通じ、この時間削減は、複数の順次アッセイを実施するのではなく、複数の標的を単一のテストで探索することによって達成することができる。高スループットマルチプレックスアッセイは、大規模試験が容易に円滑になることを意味する。さらに、テストの完全なパネルに必要とされる試料物理的な量が著しく削減される−これは、試料を得ることが困難になる可能性がある、および/または試料が少量でしか入手可能でない場合、重要になる可能性がある。このことからの波及効果は、ラボ消耗品および人的資源の量もまた著しく削減されることであり、ランニングコストおよび廃棄物の削減を意味する。

0003

複数の検体を検出するために多数の技法を使用することができる。最も一般的な技法の1つは蛍光であり、注目の検体が蛍光性であるか、または注目の検体が蛍光色素タグ付けされる。蛍光を検出技法として使用することには、いくつかの欠点がある。主な問題は、一意識別可能な特徴がない、蛍光放射スペクトルの広い性質である。これは、蛍光物質間で生じる大きなスペクトル放射の重なり合いにより、混合物内で同時に検出することができる検体の数を制限する。

0004

分子的に特徴的なスペクトルをもたらす別の分子技法が、ラマン分光法である。ラマンは、蛍光で観察される広いピークではなく、分子的に特異的であり混合物内のインサイチュ(in situ:原位置)で分子を識別するために使用することができる狭い明確なピークを生成する。これらのスペクトルは情報が豊富であり、この特異性は、より高次のマルチプレクシングのための機会を可能にするが、ラマン散乱には、その基本形態で使用されたとき、多数の現実世界マルチプレックス式応用例に必要とされる感度がない。

0005

信号を増強するために使用することができる方法がある。表面増強ラマン散乱(SERS)は、金属のプラズモン特性を利用し、最大105ないし106のラマン信号の増強を達成する。これは、検体の直接識別が必要とされるある種の分野で有用である検出レベルでマルチプレクシングが行われることを可能にする。

0006

表面増強共鳴ラマン散乱(SERRS)は、ラマン信号を増強する別の方法であり、SERSの原理を、発色団を含む検体と共に使用し、この発色団は、試料を励起するために使用されるレーザ波長の領域において電子遷移を有する。SERRS検出レベルは、蛍光について見られるものより、最大3桁勝り(非特許文献1)、この技法の選択度と相俟って、これを高次のマルチプレクシングのための優れた技法にすることができる。各発色団は、インサイチュで識別されることを可能にする一意のSERRSスペクトルを有する。

0007

フォールズら(非特許文献2)は、5プレクス標識オリゴヌクレオチド配列を実施し、色素を慎重に選択することによって、また2つの励起波長を使用することによって、混合物内で5つの異なる色素標識オリゴヌクレオチドを識別した。使用された配列は、異なる標的の範囲に対応した。FAM、Cy5.5、およびBODIPY TR−Xがユニバーサルリバースプライマを標識するために使用され、ローダミン(Rhodamine)6G(R6G)がHPVのためのプローブを標識するために、またROXがE.coli 157のVT2遺伝子を標識するために使用された。これらの色素は、明確に区別できる特定のSERRSスペクトルを生成するので選択された。しかし、これらの色素標識は、異なる吸収極大を有するので、必ずしもすべてが同じレーザ励起周波数共鳴せず、この特性を利用し、2つの異なるレーザ励起周波数を使用して他のものの混合物内のインサイチュでこれらの色素のそれぞれを検出するための非常に敏感かつ選択度のある方法を作り出すことができる。

0008

また、単一の励起源を使用する6つの色素標識オリゴヌクレオチドでのマルチプレックス式アッセイも実施されており、スペクトルを肉眼で分離する難しさを示す。フォールズら(非特許文献3)は、特定の判別性のあるラマン帯域を見つけるのではなく、SERRSスペクトルの全体が考慮される多変量解析手法を採用した。この手法を使用して、E.coli細菌の異なる株に対応する、それぞれが異なる市販の色素標識(ROX、HEX、FAM、TET、Cy3、またはTAMRA)で標識された6つの異なるDNA配列の最初のマルチプレックス式同時検出が報告された。この研究では、実験的な判別分析、および部分最小二乗回帰による教師付き学習が共に使用され、特定の標識オリゴヌクレオチドが混合物内に存在するか存在しないか判別する能力が、部分最小二乗回帰を使用して、非常に高い感度(0.98ないし1)、特異性(0.98ないし1)、結果精度(accuracy)(0.99ないし1)、および演算精度(precision)(0.98ないし1)で達成された。

0009

EP11250530.0

先行技術

0010

Fauldset al.Analyst,129,567−568(2004)
Angew.Chem.Int.Ed.,46(1 1),1829−1831(2007)
Analyst,2008,133,1505−1512(2008)

発明が解決しようとする課題

0011

上記の2つのマルチプレックス式の例では、試料混合物は、すべて同じ濃度で存在する異なるタイプの標識オリゴヌクレオチドを使用して調製された。しかし、これは、一部の検体が相対的に高い濃度で存在し、他の検体が相対的に低い濃度で存在する多数の産業および診断応用例にとって事実ではなくなる。さらに、多数の効果的なSERRS色素は、有意な化学的類似性共有し、それらのSERRSスペクトルにおける多数の共有された特徴に通じ、それらを混合物内で分解することを困難にする。色素吸収断面積の違いもまた、弱い散乱の色素が強い散乱の色素によって不明瞭にされることに通じる可能性がある。したがって、多数の実際的な応用例のために、各成分が濃度の範囲にわたって識別可能な状態で高い度合いのマルチプレクシングをもたらすために、またいくつかの異なるマルチプレックス組合せの効果的な構築を可能にするために方法が必要とされている。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、一部には、ある濃度範囲にわたって色素内に存在する様々な検体を検出するために使用することができ、単一波長のマルチプレックスアッセイにおいて見分けることができる色素の効果的な組合せを構築するための方法に基づく。

0013

本発明の第1の態様によれば、マルチプレックスアッセイで使用するためのキットが提供され、このキットは、本質的に複数の色素からなる色素セットと、基準濃度に対する各色素の関連物とを備え、表面増強ラマン分光法(SERRS)を使用して、セットの各色素が、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5のこれら2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能である。

0014

本発明によるキットは、たとえば各色素をリガンドに結合させ、各リガンドが特定の検体に結合することが可能な色素−リガンド結合体を形成することによって試料内で異なる検体を検出するために使用される。これらの色素は、別の色素が存在するときでさえ検体を検出するために使用される。これは、患者からの試料内で複数の病気を検出するとき有用である。さらに、本発明によるキットは、これらの色素がセットの任意の他の色素の存在下で濃度の範囲にわたって識別可能であるため、検体が検出されるであろうというより高いレベル確信をユーザにもたらす。これは重要である。なぜなら、ユーザは、色素の濃度が正確に基準濃度の濃度でないときでさえ検体が検出されることを確信したいと望むからである。

0015

好ましくは、各色素は、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6から1.5、好ましくは0.45から1.5のこれら2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度95%および/または特異性95%、より好ましくは感度98%および/または特異性97%より良好に識別可能である。そのような高いレベルの感度および特異性は、検体を識別できないこと、または検体の間違った識別が深刻な影響を有する医療診断において望ましいものである。

0016

セットの色素についての異なる基準濃度を有することが望ましい。このようにして、色素を識別することができる濃度の範囲は、指定された励起波長についてより強いSERRSスペクトルを有する色素のより低い基準濃度を選択することによって増大される。セットの色素の任意の対についての基準濃度の差は、2桁未満であり、1×10−11M(モーラー:Molar)と1×10−9Mとの間であり、さらに任意選択で4×10−11Mと3×10−10Mの間である。

0017

「本質的に複数の色素からなる色素セット」という用語は、その色素セットが、その複数の色素以外にマルチプレックスアッセイにおいて検体を検出するのに不可欠である他の色素を含まないことを意味することを理解されたい。しかし、色素セットは、水、スペルミン、およびコロイドなど他の物質を含んでもよい。

0018

色素セットは、複数の色素で作られた混合物を含む。あるいは、セットの各色素は、別々に収容されてもよい。

0019

基準濃度との各色素の関連物は、その色素を識別するためにマルチプレックスアッセイで使用される基準SERRSスペクトルに対する各色素の関連物であり、基準SERRSスペクトルは、色素が基準濃度で試料内に存在する状態で得られる。たとえば、キットは、そのような基準SERRSスペクトルのライブラリを含み、あるいは、キットは、色素を分析するために使用されるべき基準SERRSスペクトルのソースの識別を含む。あるいは、キットは、各色素についての基準試料を含み、各基準試料は、色素を基準濃度で含む混合物を含む。使用時には、ユーザは、基準試料を使用して基準スペクトルを取得し、基準スペクトルは、たとえば古典的直接最小二乗(Direct Classical Least Squares/DCLS)解析を使用して試料内の色素を識別するのに使用するためのものである。

0020

色素セットは、複数の色素、たとえば5、6、7、8、9、10以上の色素で作られる。色素セットは、以下のリストのいずれか1つからの少なくとも6つの色素で構成される。すなわち、
i)JOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPYFL、BODIPYTMR−X、FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563
ii)JOE、ローダミングリーン、FAM.HEX.DY549、Cy3、Cy3.5、ATT0488、MAX、およびTYE563
iii)BODIPY530/550、BODIPY FL、BODIPY TMR−X、CY3.5、CY3、FAM、HEX、ローダミングリーン、TAMRA、およびTYE563
色素セットは、CY3.5、CY3、FAM、HEX、ローダミングリーン(Rhodamine Green)、およびTYEを含んでもよい。一実施形態では、色素セットは、以下の色素、すなわちJOE、ローダミングリーン、ATTO520、BODIPY FL、BODIPY TMR−X、FAM、HEX、Cy3、Cy3.5、TAMRA、およびTYE563のうちの10個からなる。他の実施形態では、色素セットは、JOE、ローダミングリーン、FAM、HEX、DY549、Cy3、Cy3.5、ATT0488、MAX、およびTYE563からなる。他の実施形態では、色素セットは、BODIPY530/550、BODIPY FL、BODIPY TMR−X、CY3.5、CY3、FAM、HEX、ローダミングリーン、TAMRA、およびTYE563からなる。

0021

しかし、本明細書に記載の教示によれば、当業者なら、使用される色素の他のセットを識別することができる。

0022

本発明の第2の態様によれば、色素セットを備えるマルチプレックスアッセイで使用するためのキットが提供され、色素セットは、本質的に複数の色素からなり、各色素は、その色素の濃度が1×10−9M未満、任意選択で5×10−10M未満であり、その色素と他の色素スパン(spans)のいずれか1つとの試料の濃度差が少なくとも2×10−11Mであるとき、表面増強共鳴ラマン分光法を使用して試料内の別個の検体を識別するのに使用するためのものである。

0023

本発明に関連する「表面増強ラマン分光法(SERRS)」という用語の本明細書における使用は、吸収およびプラズモン共鳴プロファイルの重なり合いがあるが各プロファイルの中心が異なる波長で発生する構成を含むことが意図されていることを理解されたい。各プロファイルの中心は、100nm未満だけオフセットされる。

0024

本発明の第3の態様によれば、マルチプレックスアッセイで使用するためのキットが提供され、このキットは、本質的に複数の色素からなる色素セットを備え、表面増強ラマン分光法(SERRS)を使用して、セットの各色素が、感度99%、特異性99%より良好にセットの任意の他の色素から区別可能である。

0025

本発明の他の態様によれば、単一の励起波長を使用して試料内に存在する1または複数の検体を検出するために本発明の第1の態様または第2の態様によるキットの使用が提供される。

0026

本発明の他の態様によれば、試料に対してマルチプレックスアッセイを行うための方法が提供され、この方法は、
染料−リガンド結合体を提供するステップであって、各リガンドが、異なる色素に結合され、ある検体に特有のものである、ステップと、
試料内に存在する任意の特定の検体と染料−リガンド結合体が結合することを可能にするために染料−リガンド結合体を試料と混合し、非結合の染料−リガンド結合体を除去することによって、混合物を形成するステップと、
トランスダクション技法を使用して混合物のスペクトルを測定するステップと、
スペクトルを各色素についての基準スペクトルに比較することによって、どの検体が試料内に存在するか識別するステップであって、基準スペクトルは、トランスダクション技法を使用して色素が基準濃度にある試料から得られ、各色素が、セットの任意の他の色素の存在下で、それぞれの色素の基準濃度の0.6ないし1.5のこれら2つの色素の各色素の濃度の範囲にわたって、感度90%、特異性90%より良好に識別可能である、ステップとを含む。

0027

好ましくは、どの検体が試料内に存在するか識別するステップは、染料−リガンド結合体を単一の励起波長で照射するステップを含む。

0028

識別することができる異なるタイプの検体の数は、5より大きい、たとえば5、6、7、8、9、10以上であり、リガンドは、たとえばペプチド、オリゴヌクレオチド、抗体、またはタンパク質である。

0029

トランスダクション技法は、表面増強共鳴ラマン分光法などラマンベース分光技法であることが好ましい。しかし、トランスダクション技法は、蛍光技法であってもよい。また、トランスダクション技法は、単一の励起波長、たとえば532nmのラマン励起波長を含む。

0030

検体濃度は、少なくとも1桁、たとえば2桁、3桁、または4桁のダイナミックレンジにわたって抽出される。

0031

本発明の他の態様によれば、N個の色素の中でX個の色素を選択する方法であって、色素セットのためのSERRSラマンスペクトルを生成するステップであって、各色素セットが、N個の色素から選択された1または複数の色素を含む、ステップと、SERRSラマンスペクトルから、各セット内に1もしくは複数の色素を存在するものとして正しく、および/または各セットに存在しない色素を存在するものとして間違って識別する可能性を示す性能指数を計算し、計算された性能指数に基づいてX個の色素を選択するステップとを含む方法が提供される。

0032

XおよびNは整数を表し、XはNより小さい。

0033

このようにして、性能指数に基づいて、色素の「最良の」セットが選択される。

0034

色素は、2つ以上の色素を含む色素セットを含む。このようにして、色素は、各色素が1または複数の他の色素の存在下にあるとき、色素を正しく識別する、および/または、存在しない色素を存在するものとして間違って識別する可能性に基づいて選択される。したがって、選択された色素は、複数の検体が試料内に存在するとき検体を識別するのに特に適している。

0035

この方法は、各色素についての基準濃度を確立するステップを含み、各色素セットについて生成されるSERRSスペクトルは、1または複数の多量色素(major dye)および少量色素(minor dye)を含む色素セットに基づいており、その多量色素または各多量色素の、その多量色素の基準濃度に対する濃度の比率は、その少量色素の、その少量色素の基準濃度に対する濃度の比率より大きい。基準濃度の確立は、色素セット内に少量色素として存在するときその色素の濃度の限界に基づくものであり、そのとき、少量色素の感度は、設定された性能基準より高く、たとえば、基準濃度は、どの1つの色素も基準濃度の0.6超、好ましくは0.45超など規定されたレベルより高い濃度の限界を有していないように各色素について選択される。色素がこの基準を満たす基準濃度を識別することができない色素は、不適切な色素として除去される。色素のさらなる選択は、確立された基準濃度のために決定された濃度の限界に基づくが、特異性など、それらの色素セットのための他の性能基準が最初に選択基準として考慮されてもよい。異なる色素について異なる基準濃度を使用することにより、基準濃度の適切なシフトを通じて、より弱いSERRS信号を生成する色素の使用を、より強いSERRS信号を生成する(1または複数の)色素と共に使用することができる。

0036

この方法は、各色素セットについて、少量色素および/または多量色素の少なくとも1つの濃度で、また好ましくは複数の異なる濃度で特異性および/または感度を決定するステップを含み、X個の色素を選択するステップは、決定された特異性および/または感度に基づいて色素を選択するステップを含む。特異性および/または感度を各セットの色素の濃度の限界で検査するだけでは十分でなく、各色素セットを濃度の範囲にわたって検査することが必要である。

0037

この方法は、mプレックス(m−plex)の色素セットについて計算された性能指数(figure of merit)に基づいて色素のサブセットを選択し、次いで色素のサブセットの組合せから形成されたpプレックス(p−plex)の色素セットについて計算された性能指数に基づいてサブセットから色素を選択するステップを含み、各mプレックスの色素セットは、各pプレックスの色素セットより少ない色素を含む。たとえば、mプレックスの色素セットは、シンプレックス色素セットであり、pプレックスの色素セットは、デュプレックス色素セットである。色素をスクリーニングするために必要とされる処理は、選択を行うべき色素の数が依然として同じである場合、より高次のプレックス(higher order plex)の色素セットが解析されるとき増大する。したがって、最初により低いプレックスの色素セットの解析を通じて色素をスクリーニングすることによって色素の数を削減することにより、N個の色素からX個の色素を選択するためにかかる時間が削減される。

0038

X個の色素を選択するための処理時間を削減するための他の方法は、色素を選択するための開始点として必要な要件を満たすことが知られているコア混合物(デュプレックス(duplexes)、トリプレックス(triplexes)、およびクアドルプレックス(quadruplexes)など)を使用することであり、この方法は、確立されたコア混合物に追加するために色素を決定するステップを含む。

0039

SERRSスペクトルは、セットの各色素から取得可能なSERRSスペクトルの変動性を示すデータからシミュレーションされる。たとえば、変動性データは、異なる条件下で実験によって得られる各色素についてのSERRSスペクトルを含む。これらのSERRSスペクトルは、色素を識別するために使用される基準SERRSスペクトルに対して異なる。各色素セットについてのSERRSスペクトルは、変動性データからSERRSスペクトルをランダムに選択し、濃度について適宜、強度のスケーリングを適用することによって生成される。複数の色素を含む色素セットの場合、バックグラウンドなど2つ以上のスペクトルが組み合わされたとき複製されるスペクトルの特徴を除去することが必要である。

0040

本発明の他の態様によれば、命令が記憶されているデータキャリアが提供され、命令は、プロセッサによって実行されたとき、プロセッサに上述の態様による色素を選択する方法を実施させる。

0041

本発明の他の態様によれば、上述の態様による色素を選択する方法を実施するようにプログラムされたコンピュータシステムが提供される。

0042

好ましくは、色素セット内の色素を識別することは、古典的直接最小二乗法に基づく方法など多変量解析技法を使用してスペクトルを解析することを含む。

0043

本発明の他の態様によれば、上述のN個の色素の中でX個の色素を選択するための方法によって取得可能な色素セットが提供される。

0044

本発明の他の態様によれば、複数の色素が上述のN個の色素の中でX個の色素を選択するための方法によって取得可能である色素−リガンドセットが提供される。

0045

本発明の他の態様によれば、色素−リガンド結合体が上述のN個の色素の中でX個の色素を選択するための方法に従って選択された色素で作られる、試料内の検体を検出するための方法、および試料に対してマルチプレックスアッセイを行うための方法が提供される。

図面の簡単な説明

0046

次に、本発明の態様について、例としてのみ、添付の図面を参照して述べる。
色素のセットを選択するための方法の流れ図である。
試料内に存在する成分を決定するための方法を示す流れ図である。
本発明の一実施形態による色素選択プロセスの概略図である。
15%の不適合度(lack of fit)でターミネテッド古典的直接最小二乗(terminated−direct−classical−least−squares)フィッティングアルゴリズムを使用して既知のシミュレーションされたスペクトルに存在しない各色素について計算された個々の偽陽性リスクの図である。
99%の真陽性率を達成するための、色素−色素デュプレックスにおける多量色素の存在下での少量色素の計算された検出可能な最低濃度の図である。
少量色素および少量色素/多量色素デュプレックスについて達成可能な検出可能な最低濃度で計算された偽陽性率の図である。
SERRSマルチプレックス均質アッセイのプロトコルの図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
色素の化学構造を示す図である。
本発明によるマルチプレックスアッセイを実施するためのシステムの図である。

実施例

0047

図1は、マルチプレックス診断応用例のために組合せで使用することができる色素のセットを選択するための方法におけるステップを示す。この方法は、5つのステップを含む。

0048

第1のステップは、色素プール内のN個の色素の事前選択に関し、色素は、以下の基準に基づいて評価される。すなわち、
a)色素信号は、安定したものであり、他の色素の存在によって影響を受けるべきでない。

0049

b)色素信号は、ランベルトベールの法則に従って濃度と共に線形応答を示すべきである。

0050

c)色素のSERRSスペクトルプロファイル。プロファイルは一意でなければならず、理想的には、色素は、低い蛍光バックグラウンドで強いSERRS信号を示すべきである。最良の色素は、少なくとも1つの判別性のあるスペクトル特徴をもたらす。

0051

d)色素の化学安定性

0052

e)色素のダイナミックレンジ。色素のSERRS特徴は、広範な濃度にわたって検出可能であるべきである。

0053

f)色素の化学親和力。たとえば、色素は、SERRS表面に対して高い化学結合親和力をもたらすべきである。

0054

g)SERRS増強のレベル。たとえば、SERRS増強は、色素がナノ粒子凝集にどのように影響を及ぼすか(サイズ効果静電相互作用)に関する。すでに知られていない限り、SERRS増強のレベルは、各色素−ナノ粒子複合体について実験によって評価される。

0055

これらの基準の評価は、眼で、たとえば色素によって生成されるSERRSスペクトルを見ることによって実施され、これらの基準の1または複数に明らかに合格しない色素は、色素プール内に含まれない。色素のこの事前選択は、明らかに不適切な色素を除去し、後続のステップで必要とされる処理を削減する。

0056

第2のステップは、基準濃度で色素プール内のN個の色素のそれぞれについて信号変動性を包含するスペクトルを測定することである。この実施形態では、基準試料内の色素の(1または複数の)基準濃度が、1×10−11Mと1×10−9Mの間になるように選択される。色素スペクトル変動性は、フラクショナルファクトリアル実験的デザイン(fractional factorial experimental design)に従って獲得され、オペレータ(スペクトルを準備および測定する人)、色素のバッチ、コロイドのバッチ、好ましくは塩酸塩として存在するスペルミンのバッチ、および試料調製と測定の間に経過した時間を含む複数の変動性パラメータカバーする。各色素について、一連のSERRSスペクトルが、いくつかの「ブランク」基準スペクトルと共に測定される。各色素について測定されるスペクトルの数に対して下限または上限はないが、変動性スペクトルの各セットは、色素信号の変動に影響を及ぼす要因を包含するべきである。

0057

場合によっては、このステップ中に収集されるデータは、たとえば色素が、第1のステップで上述した事前選択のための基準を満たすことができないので色素プール内に含まれるべきでないことを示す。これは、事前選択の選ばれたものが、色素変動性ステップのために収集されるものより小さい、それほど代表的でないセットのスペクトルに基づく場合に生じる可能性がある。

0058

変動性データのSERRSスペクトルをろ過(filtered)し、色素信号が平均より著しく弱い、または強いスペクトルを除去する。これは、セットの一部とするべきでない範囲外のスペクトルを除去しようとするものである。

0059

シンプレックススクリーニング(Simplex Screening)と称される第3のステップは、単一の色素のSERRSスペクトルを解析するとき偽陽性結果のリスクを推定する。換言すれば、単一の色素のSERRSスペクトルを解析するとき、別の(存在しない)色素を識別するリスクのことである。

0060

真陽性率および偽陽性率は、以下のように定義される。色素Aが存在し色素Bが存在しない試料の解析を考えるとき、たとえば試料が1000回解析された場合、かつ解析により995件において色素Aの存在が検出された場合、色素Aの推定の真陽性率(TPR)は、99.5%になる。同様に、試料内に存在しない別の色素Bが、解析によって10件において間違って検出された場合、色素Bの推定の偽陽性率(FPR)は、1%になる。TPRは感度に対応し、FPRは選択度に対応する。

0061

偽陽性率は、色素の偽陽性率の統計的に許容される測定値を得るために以下のステップを数回実施することによって各個々の色素についてシミュレーションされる。

0062

基準スペクトルは、変動性データから各色素についてランダムに選択され、「存在する」色素について、その色素のために選ばれた基準スペクトルに対して異なる他のスペクトルを変動性データからランダムに選択することによって、スペクトルがシミュレーションされる。

0063

シミュレーションされたスペクトルは、図2を参照して下記で述べるアルゴリズムと、選択された基準スペクトルとを使用して解析される。存在しない(N−1)色素のそれぞれについての偽陽性結果が書き留められる。

0064

次いで、これらのステップを適切な回数繰り返し、推定の偽陽性率の統計的に有意な測定値を得る。閾値より著しく高い偽陽性率は、色素の対応する対(一方は存在し、一方は存在しないが誤って検出された)が偽陽性リスクを表し、したがってアッセイで使用するための良好なペアリングではないことを示すことになる。

0065

あるいは、拡張されたシンプレックススクリーニングシミュレーションを実施することができる。これは、本質的に上述の基本的なシンプレックススクリーニングシミュレーションと同じであるが、1つの修正がある。シミュレーションの基本的な形態では、色素プール内の色素のすべてが試料内に存在する可能性があると仮定され、それに応じてスペクトルが解析される。しかし、これは、いくつかの起こり得る偽陽性リスクを「隠す」小さなリスクをもたらす。たとえば、色素Aが存在する場合、色素Bと色素Cは共に、これらの状況下で間違って「検出」されるリスクを有する。色素Bが色素Cよりわずかに良好にフィットしている場合、色素Bは毎回、色素Cより優先して選ばれることになり、したがって色素Aと色素Cの間でリスクを覆い隠す可能性がある。その結果、シミュレーションのこのバージョンでは、解析が数回繰り返され、2色素システムにおけるあらゆる可能なペアリングをカバーする。たとえば、色素Aが存在するとき、色素Aと色素Bしか存在し得ないと仮定してデータが解析され、次いで色素Aと色素Cしか存在し得ず、次いで色素Aと色素Dしか存在し得ず、...などと仮定して解析が繰り返される。この手法は、普通なら見落としている可能性がある追加の偽陽性リスクを見つける助けとなる。

0066

シンプレックススクリーニングに続いて、不十分な特異性結果に関連する色素を色素プールから除去することを考慮する。しかし、プールからいずれか1つの色素を除去することは、プールから他の色素を除去することを考慮する必要をなくする。たとえば、色素Aが、試料内にやはり存在する可能性がある色素Bと共に解析されたとき不十分な特異性を示す場合には、これらの色素のどちらか一方を除去することは、他方の色素が第3の色素との追加の特異性問題を有していない限り、他方をも除去する必要をなくする。著しい特異性問題なしにより小さなサイズの色素プールを残すために、少数の色素をプールから除去するために複数の実行可能な選択肢がしばしばある。

0067

マルチプレックススクリーニング(Multiplex Screening)と称される第4のステップは、2つ以上の色素を含む試料のSERRSスペクトルを解析するとき偽陽性結果のリスクを推定し、また、偽陽性結果の推定されたリスクが、マルチプレックス試料内に存在する色素の別々のシンプレックス試料の場合より著しく高くないことを検査する。

0068

マルチプレックススクリーニングについては、デュプレックスの場合について論じることによって示す。設定された濃度がその基準濃度以上である「多量」色素の存在下でその基準濃度に対して低い濃度の「少量」色素を有するデュプレックスを考えてみると、この方法のこのステップは、設定された性能基準、たとえば必要とされる限界より高いTPR、たとえば99%超を達成するのに十分な少量色素の最小濃度を計算する。性能基準を満たす少量色素の最小濃度は、少量色素の検出可能な最低濃度(LDC)として定義される。

0069

それを行うために、(固定された)高い濃度の色素A+低い濃度の色素Bを含む混合物のラマンスペクトルが、色素A、Bのための変動性データからランダムに選択され濃度について適宜スケーリングされたスペクトルを組み合わせることによってシミュレーションされる。(やはり変動性データからランダムに選択された)適宜スケーリングされたブランクスクトルが、適宜追加または控除され、シミュレーションされたスペクトルに対する「ブランクの貢献」全体を適切に保つ。シンプレックススクリーニングの場合と同様に、基準スペクトルが各候補色素について選択され、シミュレーションされたスペクトルが、図2を参照して下記で述べるDCLSアルゴリズムを使用して解析される。

0070

次いで、これらのステップを適切な回数繰り返し、推定の真陽性率および偽陽性率の統計的に有意な測定値を得る。

0071

必要とされる性能基準が満たされないと仮定すると、色素Bの濃度を少量(たとえば1%)だけ増大し、色素Aの濃度を同じまま保つ。この方法を、TPRがその必要とされる限界を満たすまで繰り返す。対応する濃度は、色素Aが基準濃度以上で設定された濃度にある場合確実に検出することができる色素Bの最低濃度である。

0072

デュプレックスの組合せがデュプレックスを構成する色素を含むシンプレックス試料より著しく高い偽陽性リスクを有していないことを確認するために、少量色素の濃度の範囲で各デュプレックスについて(存在しない色素すべてに関する)全体的なFPRが推定される。

0073

この手法は、より高次のマルチプレックスレベル、たとえばトリプレックスまたは4プレックスに拡張することができる。そのような場合、感度が主な関心特性であるとき、好適な手法は、複数の多量色素と単一の少量色素を有する試料をシミュレーションすることである。たとえば、トリプレックスシミュレーションは、濃度がそれらのそれぞれの基準濃度以上である2つの多量色素と、その基準濃度未満である単一の少量色素とを含む。

0074

次いで、不十分な性能(高いLDCおよび/または高いFPR)に関連するマルチプレックスの組合せが識別される。マルチプレックスに関連する個々の色素を色素プールから除去することを考慮する。あるいは、マルチプレックスの不十分な性能が偽陽性によるものである場合、存在するものとして間違って識別される1または複数の色素(1または複数の偽陽性色素)を色素プールから除去することを考慮する。シンプレックスシミュレーションの場合と同様に、プールからいずれか1つの色素を除去することは、他の色素を除去する必要をなくし、不十分な性能のマルチプレックスの組合せすべてをなくするために複数の手法がある。

0075

一般に、デュプレックススクリーニングは、トリプレックススクリーニングの前に実施され、トリプレックススクリーニングは、より高次のマルチプレックススクリーニングの前に行われる。これは、より低次のマルチプレックスシミュレーションからの結果により、より高次のマルチプレックスシミュレーションで使用される色素プール内の色素の数を削減することを可能にし、シミュレーションの複雑さを低減する。

0076

図3は、各デュプレックス内に存在する少量色素のFPRおよびLDC全体によるデュプレックス分類を表したものを示す(見やすいように共役デュプレックスは示されていない)。多量色素は矩形ボックスによって表され、少量色素は円によって表されている。頻発する不良の組合せに通じる単一の色素(すなわち、高い全体的なFPRおよび/または不十分なLDC)は、色素のプールから除去される。たとえば、図3では、色素Aが、大多数の不十分な性能のデュプレックスに通じるものと識別されている。

0077

マルチプレックススクリーニング中、色素プール内の異なる色素が非常に異なる検出可能な最低濃度値を有することが判明した場合には、色素基準濃度が調整され、プロセスが再スタートされる。たとえば、色素Aが基準濃度の5%の濃度の限界を有し、一方、色素Bが基準濃度の30%の濃度の限界を有する場合、色素Aについての基準濃度が増大され、および/または色素Bについての基準濃度が低減される。これは、これらの新しい基準濃度で新しい変動性データを集めることを必要とする。

0078

第5のステップは、先行するステップで集められたデータに基づいて色素プール内の残りのN個の色素からX個の色素を選択することを含む。特定の応用例に必要とされるより多くの色素が色素プール内に残っている(すなわち、NがXより大きい)場合、色素のどのセットが最良の結果を達成するか識別するために、さらなる選択が必要とされる。応用例に応じて、より良好な感度と、特異性と、これら2つの何らかの組合せとの間での選択となる可能性がある。

0079

図2を参照すると、シミュレーションされたスペクトルを解析するための古典的直接最小二乗技法が、シミュレーションされたスペクトルデータを、それぞれがI個のデータ点を有するK個の既知の成分基準スペクトルのセットSkで表してモデル化する。各成分基準スペクトルについての成分濃度Ckが、再構築されたモデルからのスペクトルデータの二乗偏差の和を最小化することによって決定され、

0080

0081

上式で、iは、スペクトル周波数インデックスを表す。これは、成分濃度Ckについてのマトリクス反転によって直接解かれる一連の1次方程式をもたらす。

0082

選択された基準スペクトルを共に使用して式(1)が各候補色素について解かれる反復プロセスが実施される(ステップ103ないしステップ108)。

0083

ステップ103では、各候補色素について、以前の反復ですでに選択された色素基準スペクトルと共に色素の基準スペクトルに関して、式(1)が最小化される。適合度の測定値が、シミュレーションされたスペクトルに対して解かれた成分について計算される。

0084

適合度の測定値は、下式によって与えられる不適合度(LoF)の測定値とすることができる。

0085

0086

不適合度のこの測定値が、候補色素基準スペクトルを加算する前の選択された色素基準スペクトルについて計算されたLoFの以前の測定値に比較され、加算に起因するLoFの測定値に対する改善を決定する。

0087

LoFの改善、LIprは、LoFの比例改善として計算される。すなわち、

0088

0089

上式で、Loldは、候補色素基準スペクトルを含める前に選択された色素基準スペクトルについて計算されたLoF値であり、Lnewは、候補色素基準スペクトルを含む選択された色素基準スペクトルについて計算されたLoF値である。

0090

ステップ104では、負の濃度を有するものとして解かれた候補色素基準スペクトルが、その反復(後続の反復ではない)においてそれ以上考慮することから除去される。

0091

ステップ105では、残りの候補色素基準スペクトルについてのLoFの改善、LIprが比較され、LoFにおける最大の改善に関連する候補色素基準スペクトルが、モデルの最終形態に含めるための先頭候補色素基準スペクトルになる。

0092

先頭候補色素基準スペクトルの追加に起因するLoFの改善が事前設定の限界より高いかどうか決定するために検査106が行われる。先頭候補色素基準スペクトルについてのLoFの改善、LIprが事前設定の限界より高い場合、それがモデルの最終形態に存在する色素基準スペクトルとして選択される(107)。次いで、プロセス103ないしプロセス107が残りの未選択の色素基準スペクトルについて繰り返される。

0093

先頭色素基準スペクトルについてのLoFの改善、LIprが事前設定の限界より低い場合には、この方法は終了され、その時点までに選択された色素基準スペクトルについて解かれたモデルを含むモデルの最終形態が出力される。モデルの最終形態は、一般に、所定の色素基準スペクトルのセットのサブセットを含むことになり、これらのスペクトルは、不適合度によって測定して最も有意なものである。

0094

色素に対応する基準スペクトルがモデルの最終形態に含まれるかどうかに基づいて、試料内に存在する成分を決定することができる。

0095

上記の方法に関する、またこの方法を行うための好ましい装置に関するさらなる詳細は、2011年5月16日に出願された英国特許「Spectroscopic apparatus and methodsfor determining components present in a sample」(特許文献1参照)に見出すことができる。

0096

上記の方法を使用して識別された色素セットは、マルチプレックスアッセイで使用するために供給される。色素セットは、それらの色素を含む試料が基準濃度で得られた基準スペクトルを使用して解析されるように、各色素について基準濃度に関連して供給されるべきである。そのような関連物は、基準スペクトルそれ自体の供給、ウェブサイトなどそのような基準スペクトルがどこで得られるかに関する情報、色素が基準濃度にある基準試料の供給、基準スペクトルが得られるはずである基準濃度のリスト、または/および、システムが基準濃度で得られた基準スペクトルのライブラリを備える、特定のシステムと共に使用するための色素セットの供給であってもよい。

0097

次に図7を参照して、マルチプレックスアッセイで色素を使用する方法について述べる。試料が患者から得られ、この試料は、病原体の混じったものを潜在的に含む。標準的な技法を使用して、RNAおよびDNAが試料から抽出され、必要な場合、テンプレートDNAが逆転写を使用して得られる。テンプレートDNAが、ポリメラーゼ連鎖反応PCR)を使用して、ほぼ基準濃度の濃度に増幅される。そのような濃度へのDNAの増幅は、実験によって決定されるPCR条件の適切な選択によって達成される。PCRプロセスの一部として、PCRプロセスにより後でストレプトアビジンビーズを使用するプロセスで捕捉することができるビオチン化プライマがもたらされるように、ビオチン化プライマが混合物に追加される。

0098

識別すべき病原体に見出されるDNA配列に対して相補的オリゴヌクレオチド配列に色素が結合される。これらの色素標識オリゴヌクレオチドは、存在する相補的配列に対して標識オリゴヌクレオチドがハイブリダイズ(hybridise)するように、ビオチン化PCR産物に追加される。

0099

次いで、ビオチン化産物がビーズに結合し、一方、相補的配列にハイブリダイズしなかった色素標識オリゴヌクレオチドを結合されないまま残すように、ストレプトアビジンビーズが追加される。次いで、これらの結合されない色素標識オリゴヌクレオチドは、洗い流すことができる。

0100

残りの色素標識オリゴヌクレオチドが、溶出プロセスを使用してストレプトアビジンビーズから溶液内に解放され、この溶液は、解析で使用するためにSERRS試薬を含む。溶液のSERRSスペクトルが得られ、そのスペクトルが、図2を参照して述べた技法を使用して解析され、溶液内に存在する色素を識別する。存在する色素を決定することにより、増幅されたPCR産物内に存在したDNA産物、したがってどの病原体が元の試料内に存在したか決定することが可能になる。患者の試料内に存在するものとして決定された病原体を列挙するレポートが生成される。次いで、医療専門家は、結果を使用し、患者を診断および治療することができる。

0101

上記の方法を実施するために、色素キットは、図9に示されているように、システムの一部として提供されてもよい。このシステムは、各バイアルが指定された標的に対して相補的な色素標識オリゴヌクレオチドを含む複数のバイアル201と、PCRのためのプライマおよび試薬を含むPCRキット202と、色素標識オリゴヌクレオチドを含むPCR産物を調製することができるウェルを含むマイクロプレート203とを備えるキット200を含む。試料プロセッサ内で使用するために、磁性ビーズウォッシュバッファ溶出バッファ、およびSERRS試薬など、他の物質がキット内で提供されてもよい。

0102

キット200は消耗品であり、したがって、必要とされる限り消費者に供給することができる。さらに、異なる標的を識別するための異なるキットを使用することができる。胃腸炎原因物質を識別するためのキットが提供される。たとえば、このキットは、細菌標的(targets)ETEC、EPEC、VTEC、サルモネラ、S.エンテリカカンピロバクター赤痢菌、C.ディフィシルA、C.ディフィシルB、およびエルシニアのうちの2つ以上を検出するためにアッセイで使用される。ノロウイルスG1、ノロウイルスG2、アデノウイルスロタウイルスサポウイルス、およびアストロウイルスのうちの1または複数など、2つ以上のウイルス性標的を識別するためのキットが提供される。真菌症の原因物質を識別するためのキットが提供される。たとえば、そのような真菌キットは、A.フミガータス(fumigates)、A.グラカス、A.フラバス、A.テレーズ、A.ニガー、A.ウスタス、A.カンジダス、A.バーシカラーのうちの2つ以上を識別するためにアッセイで使用される。脳脊髄液ウイルス性感染の原因物質を識別するためのキットが提供される。たとえば、このキットは、標的ヘルペスシンプレックスウイルス1、ヘルペスシンプレックスウイルス2、水痘帯状疱疹ウイルスエプスタインバール・ウイルス、サイトメガロウイルスエンテロウイルス、およびポリオウイルス、ジョン・カニンガム・ウイルス、パレコウイルスのうちの2つ以上を識別するために使用される。C.アルビカンス、C.パラシローシス、C.トロカリ、C.ビスワンティ(viswanthii)、C.ギリモディ、C.インコンスピクア(inconspicua)、C.ラシタニア(lustaniae)、C.ダブリニエンシス、C.ケフィール(kefyr)、C.ファマータ(famata)、C.クルセイ(krusei)、およびC.グラブラータ(glabrata)などカンジダ種のうちの2つ以上を検出するために、代替のキットが提供される。各例において、同じ色素が使用されてもよく、各色素は、増幅されたPCR産物内の標的上の対応する配列に対してハイブリダイズするオリゴヌクレオチド配列に結合される。

0103

システムは、ハイブリダイズされた色素標識オリゴヌクレオチド−PCR産物複合体を磁性ビーズに結合させるステップと、ウォッシングバッファを導入し、標的に結合されない余分な色素標識オリゴヌクレオチドを洗い流すステップと、溶出バッファを導入し、ハイブリダイズされた色素標識オリゴヌクレオチドを磁性ビーズから切り離すステップと、SERRS試薬と組み合わせるステップとを自動的に実施するために試料プロセッサ204をさらに備える。これは、ユーザによって試料プロセッサ204内に挿入されたマイクロプレート203のウェル内に含まれる設定された量の産物を、磁性ビーズ、ウォッシュバッファ、溶出バッファ、およびSERRS試薬を追加することができる他のマイクロプレート211に移送するために複数のピペット210を制御するロボットアーム205によって実施される。試料プロセッサ204は、磁性ビーズ、ウォッシュバッファ、溶出バッファ、およびSERRS試薬を含むいくつかのリザーバを備える。この例では、4つのリザーバ206、207、208、209だけが示されているが、少なくとも、いくつかのSERRS試薬(regents)があり、そのそれぞれが別個のリザーバ内で保持されるという理由で、4つを超えるリザーバが好ましい。ロボットアームは、ピペットを制御し、必要とされるとき設定された量のこれらの溶液を取ることができる。

0104

システムは、試料215を走査するためのラマン分光器213を含む分光器212をさらに備え、分光器は、コンピュータ214に接続される。コンピュータは、プロセッサ216と、メモリ217と、ディスプレイ218と、キーボード219など入力デバイスとを備える。試料から得られたラマンスペクトルの解析で使用するべきラマン基準スペクトル220のセットがメモリ内に記憶される。メモリは、システム内で使用される各異なるキットについて、各ラマンスペクトルを標的に関連付ける。たとえば、同じ色素が、異なるキットのための異なる標的に関連付けられる。

0105

使用時には、適切な入力を通じて、ユーザがコンピュータ214に対して、使用されるキットを識別し、コンピュータは、このキットに関連付けられた色素について、基準スペクトル220を使用して試料のラマンスペクトルを解析する。次いで、コンピュータ214は、この標的に関連付けられた色素が識別されているかどうかに基づいて、試料内に存在すると考えられる標的を出力することができる。したがって、場合によっては、ラマンスペクトルはコンピュータに送られるが、正しい基準スペクトルが使用されない限りラマンスペクトルを識別された標的に復号することは可能でない。ラマンスペクトルを生成するために使用されるキットをユーザが識別しており、色素の必要とされる濃度で得られた基準スペクトルをメモリが記憶しているので、コンピュータは、ラマンスペクトルを復号し、結果の解釈、すなわち、検出されたことおよび検出されないことを横に示したすべての標的のリストを提供することができる。色素と基準スペクトルは、これらの基準スペクトルを使用するとき、色素の任意の他の1つの存在下で、基準濃度周りの濃度の範囲にわたって色素を検出することができるように選択されているので、複数の標的を、これらの標的が基準濃度で存在しない場合でさえシステムによって検出することができる。ラマンスペクトルを復号するために使用するための鍵、すなわち基準スペクトルの知識なしでは、システムは、試料内の標的を識別する技術的動作を提供することが可能でない。

0106

基準スペクトルは、色素を基準濃度で含む較正プレートから得られる。ユーザまたはサービスエンジニアは、ラマン分光器212を使用し、ラマンスペクトルを各プレートから取得し、これらのスペクトルは、基準としてメモリ217内で記憶される。これらの基準スペクトルは、ラマン分光器の性能に取り入れるために規則的な間隔で更新される。

0107

上記に対する代替として、Klarite(登録商標)などSERRS活性基質上で結合された色素−リガンドスポットアレイを使用して、ソリッドアッセイが実施される。この場合、Klariteから表面増強をもたらすために、色素の好適なセットが選択される。

0108

上述のようにして選択された色素のセットの使用は、病原体の増幅されたDNAの正確な濃度が正確に所望の基準濃度の濃度でないことを考えると、病原体が存在する、または存在しないものとして正しく識別されるであろうという、特に色素の存在がやはり存在する1または複数の他の色素によって覆い隠されないであろうという、より高いレベルの確信があることを確実にする。

0109

上記のマルチプレックスアッセイ技法は、病原体の識別に限定されず、他の方法で、他の有機物を識別するために使用することができることを理解されたい。

0110

次のセクションは、例として、最初に15個の色素を含むプールからSERRS診断応用例のために10個の色素を選択することを示す。実験のために提供されるプール内の15個の色素は、ATT0488、ATTO520、BODIPY530/550、BODIPYFL、BODIPYTMR−X、CY3.5、CY3、FAM、HEX、JOE、MAX、ローダミングリーン、TAMRA、TET、およびTYE563である。これらの色素の化学構造が図8aないし図8pに示されている。

0111

プロセスの第2のステップで収集された色素変動性データの検討により、ATT0488およびBODIPY530/550は、色素スペクトル信号における望ましいものより大きいレベルの変動性により、この応用例には不適切であったと示された。したがって、これらは色素プールから除去され、プール内に13個の色素を残した。

0112

偽陽性リスクについての拡張されたシンプレックススクリーニングが上述のように実施され(第3のステップ)、図4に示されている結果を生成した。最も著しい偽陽性リスクは、丸で囲まれている。

0113

表内の各値は、存在しない色素を間違って検出する(換言すれば、偽陽性を得る)推定率に対応する。たとえば、図4を見ると、HEXだけを含むスペクトルにおいてTETを誤って検出することに関する推定率は1.19%であり、一方、ATTO520を含むスペクトルにおいてTAMRAを誤って検出することに関する推定率は、ほんの0.08%である。

0114

識別された最も著しい偽陽性リスクは、HEXとTET、およびローダミングリーンとTETの間にある。他の偽陽性リスク(たとえば、MAXとTAMRAの間)は、この応用例にとって許容されるレベル以下であると考えられる。識別されたリスクは、TETを色素プールから除去することによって、またはHEXとローダミングリーンを共に色素プールから除去することによって回避することができる。この場合、TETを除去することを決めた。なぜなら、これにより、プロセスの後続のステップで使用するために、より多くの色素が色素プール内に保持されるからである。

0115

デュプレックススクリーニング(第4のステップ)の結果が図5および図6に示されている。図5は、各デュプレックスの組合せについて99%の真陽性率(感度)が達成される推定された検出可能な最低濃度を示す。たとえば、ATTO520が多量色素であり基準濃度で存在し、CY3が少量色素であり基準濃度未満で存在するATTO520/CY3デュプレックスを見ると、CY3が症例の99%で検出可能であると推定される最低濃度は、CY3基準濃度の0.14倍である。これらの結果は、何らかの特定の例外が生じるものの、検出可能な最低濃度(LDC)が少量色素のアイデンティティに支配的に依存し、共に存在する多量色素には幾分依存するにすぎないことを示唆する。

0116

デュプレックスシミュレーションもまた、少量色素が対応するLDCで存在するとき各デュプレックスについてFPR全体(存在しない色素すべてについて)を推定し、これらの結果が図6に示されている。

0117

図5を調べると、最も高い(最も悪い)推定LDCを有するデュプレックスは、MAXにおけるATTO520であり、基準濃度の0.43倍の少量色素濃度が必要とされることに気付く。これは、他のどのデュプレックスペアリングよりも著しく高い。応用例に必要とされるより多くの色素がプール内にあるので、これらの色素の(少なくとも)1つを除去することによってこのペアリングを回避することが可能である。図6を調べることにより、多量色素としてMAXが存在することもまた、最も高い(最も悪い)偽陽性率に関連することが示される。したがって、この場合には、MAXを除去する方がATTO520より好ましい。

0118

これにより、プール内に11個の色素(元の15個からATT0488、BODIPY530/550、TET、およびMAXを引いたもの)が残り、一方、この応用例には10個の色素だけが必要とされる。図4ないし図6内の値を使用し(第5のステップ)、残りの色素のどれを落とし、最終的な10色素セットに到達するか判断することができる。たとえば、特異性が最も重要なものである場合、ローダミングリーンまたはHEXの除去を考えることが最善であろう。なぜなら、この組合せは、最も高い偽陽性リスクに関連するからである。あるいは、感度が優先度の高いものである場合、ATTO520(これは、少量色素として検出するのに最も難しい色素である)の除去を考えることがより適切である。この応用例については、残りの11個の色素に関する推定された性能は許容されると考えられ、その結果、選択もまた、SERRS測定の上流の診断応用例の任意のステップにおける色素の性能、材料供給信頼性など、追加の要因に基づくことができる。

0119

以下は、本発明の一実施形態による、色素および色素の基準濃度を含む色素セットの例である。

0120

0121

上記で提示されている色素セットは、図7を参照して上述したように複数の診断アッセイを実施するために使用することができる。

0122

当業者なら、本発明から逸脱することなしに、開示されている構成の変形が可能であることを理解するであろう。たとえば、本方法の説明は、15個の色素候補を含む色素プールの中で10個の色素候補を選択することに基づくが、色素候補の性質は、これらの15個の色素に限定されず、たとえば、ATTO550、DY549、TEX、およびオレゴングリーンなど他の色素を含むことができる。したがって、特定の実施形態の上記の説明は例としてなされているにすぎず、限定するためのものではない。記載の動作に対する著しい変更なしに軽微な修正がなされることが、当業者には明らかであろう。

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