図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2015年5月21日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (8)

課題・解決手段

本発明は、細胞トランスフェクションするための方法に関する。特に、本発明は、鳥類における始原生殖細胞にトランスフェクションする方法、および形質改変された鳥類を交配する方法に関する。

概要

背景

トランスジェニックまたは遺伝子改変鳥類を開発するための効率的な手法の開発は、農業および生物薬学産業の双方にとって非常に重要であり、また機能ゲノミクス研究を通して鳥類の生物学の理解を増す上でも非常に重要である。
家禽生産人工増加に直面する地球の食料安全保障を確保する上で主要な役割を担っており、トランスジェニック家禽の開発などのバイオテクノロジー最新の進歩はこの産業が生産増加への需要にこたえるための一助となるだろう。

より具体的には、耐病性および性別決定のモジュレーションなどの従来の交配では可能ではない家禽における形質改変にトランスジェニック技術を応用することが今や可能となり、家禽産業に大きな利益をもたらす。生物製剤タンパク質の需要は急速に伸びており、最近までは、疾患の処置用の新たな組換えタンパク質産生のためのインビトロ細胞ベースの製造システムが使用されてきた。組換えタンパク質産生用バイオリアクターとしてトランスジェニック家畜の使用が、高価かつ労働集約型の細胞ベースシステムに対する主要な代替として、現在開発が進められている。ニワトリ用トランスジェニック技術の開発により、を生物製剤タンパク質の高レベルでの産生および精製のためのバイオリアクターとして発生させることを可能とした。

選抜した外来遺伝子を導入する試みも、それら遺伝子をレトロウイルスベクタークローニングし(例えば、細網内皮症ウイルスまたはトリ白血病ウイルス)、この組換えウイルス受精卵注入してウイルスを発生中の(例えば始原生殖細胞)に感染させ、それによってキメラ生殖腺または卵子創出し、得られた組換え体を用いて外来遺伝子を子孫に導入しようとすることによってなされた。しかし、家禽産業は、ウイルスが(その本来の状態においては)病原体であること、複製可能な変異体ウイルスベクターさえも時に腫瘍誘導することができること、および複製不全変異体は高用量または反復投与を必要とすることから、この技術の商業利用を躊躇してきた。また複製欠損ウイルス構築物ですら、内在性ウイルスエンベロープ組換えて複製可能になるリスク幾らかはもたらし得る。さらには、このようなベクターは現在のところ、比較的小さなサイズ(例えば、2キロ塩基以下)のDNAインサートに限定される。

未発生の受精卵(undeveloped fertilized ovum)を外科的に雌鳥から取り出した後、それに外来DNAを注入しようと試みられてもきた。しかし、このアプローチでは、発生中の胚を一連代理コンテナ(surrogate containers)でインキュベートする必要があった。さらにこれには、産卵用の特殊な群れ、ならびに必要な外科的および技術的な技能を会得するための広範な訓練が要求された。

1つの代替アプローチは、遺伝子改変胚細胞または始原生殖細胞(PGC)を、産卵後すぐにレシピエント胚に注射するものである。このアプローチにより、発生中の胚に取り込まれた際に機能的な卵子または精子産生細胞(spermatozoa producing cells)へと分化する能力を維持したPCG培養物が創出された。このタイプのPCG培養物は、遺伝子改変した後にレシピエント胚に注入することができる。レシピエント胚は通常、γ線照射で改変して内在性始原生殖細胞を弱体化させ、注入した細胞に、生殖隆起内へとホーミングする上での選択優位性を与えるようにしてある。改変細胞は、その後成熟し、トランスジーンを少なくとも次世代には伝達できる精子または卵子を産生する。しかし、この手法は、PGCをドナー胚から取り出し、それに続いて培養し、レシピエント胚へ再導入する必要があることから、時間がかかる。さらには、この手法を用いて遺伝子改変PGCを含む鳥類が得られる効率は低い。

概要

本発明は、細胞にトランスフェクションするための方法に関する。特に、本発明は、鳥類における始原生殖細胞にトランスフェクションする方法、および形質の改変された鳥類を交配する方法に関する。

目的

本発明は、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を作製する方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入する工程
を含み、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を作製するための方法であって、(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション合物を鳥類の血管に注入する工程を含み、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される方法。

請求項2

(ii)胚がに発生するために十分な温度で胚をインキュベートする工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項3

トランスフェクション混合物がステージ13〜14の鳥類胚に注入される、請求項1または請求項2に記載の方法。

請求項4

トランスフェクション試薬がカチオン性脂質を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。

請求項5

トランスフェクション試薬が1つまたは複数のDOTMA(N-[1-(2.3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)、DOTAP(1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン)、DMRIE(1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)およびDDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)から選択される一価のカチオン性脂質を含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

トランスフェクション試薬が1つまたは複数のDOSPA(2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)ならびにDOSPER(1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6カルボキシスペルミル)-プロピルアミド)、TMTPS(テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン)、TMTOS(テトラメチルテトラオレイルスペルミン)、TMTLS(テトラメチルテトララウリルスペルミン)、TMTMS(テトラメチルテトラミリスチルスペルミン)およびTMDOS(テトラメチルジオレイルスペルミン)から選択される多価のカチオン性脂質を含む、請求項4または請求項5に記載の方法。

請求項7

トランスフェクション試薬がDOSPA(2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)を含む、請求項6に記載の方法。

請求項8

トランスフェクション試薬が中性脂質をさらに含む、請求項4から7のいずれか一項に記載の方法。

請求項9

中性脂質が、DOPE (ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DPhPE(ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン)またはコレステロールを含む、請求項8に記載の方法。

請求項10

トランスフェクション試薬がポリヌクレオチドとの混合の前にDOSPAおよびDOPEの3:1 (w/w)混合物を含む、請求項9に記載の方法。

請求項11

ポリヌクレオチドがトランスポゾンまたはジンクフィンガーヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。

請求項12

トランスフェクション混合物がトランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを含む、請求項11に記載の方法。

請求項13

トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドがRNAである、請求項12に記載の方法。

請求項14

トランスポゾンがTol2、mini-Tol2、SleepingBeautyおよびPiggyBacから選択される、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。

請求項15

ポリヌクレオチドがジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする配列を含む、請求項14に記載の方法。

請求項16

生殖細胞が始原生殖細胞である、請求項1から15のいずれか一項に記載の方法。

請求項17

注入混合物が胚が発生した卵殻内の胚に注入される、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。

請求項18

ポリヌクレオチドが二本鎖領域を含むRNA分子をコードする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。

請求項19

RNA分子がsiRNA、shRNAまたはRNAデコイである、請求項18に記載の方法。

請求項20

ポリヌクレオチドがポリペプチドをコードする、請求項1から17のいずれか一項に記載の方法。

請求項21

RNA分子またはポリペプチドが細胞内におけるウイルス複製をRNA分子またはポリペプチドを欠く細胞と比べて低減させる、請求項18から20のいずれか一項に記載の方法。

請求項22

ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項21に記載の方法。

請求項23

請求項1から23のいずれか一項に記載の方法により作製される、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類。

請求項24

請求項23に記載の鳥類の遺伝子改変生殖細胞であって、ゲノムに挿入されたポリヌクレオチドを含む生殖細胞。

請求項25

請求項23に記載の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類により産生される精子

請求項26

請求項23に記載の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類により産生される

請求項27

鳥類における生殖細胞を遺伝子改変するための方法であって、(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を卵内に含有される鳥類胚の血管に注入する工程、および(ii)胚の雛への発生を可能にするために十分な温度で胚をインキュベートする工程を含み、ポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される方法。

請求項28

請求項2から22のいずれか一項に規定する1つまたは複数の特徴をさらに含む、請求項27に記載の方法。

請求項29

遺伝子改変鳥類を作製するための方法であって、(i)請求項23に記載の、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を得る工程、(ii)遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類から交配して子孫を作製する工程、および(iii)ゲノムに挿入されたポリヌクレオチドを含む子孫を選択する工程を含む方法。

請求項30

請求項29に記載の方法により作製される、遺伝子改変鳥類。

請求項31

食料生産する方法であって(i)請求項23に記載の、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類、または請求項30に記載の遺伝子改変鳥類を得る工程、および(ii)鳥類から食料を生産する工程を含む方法。

請求項32

鳥類から肉および/または卵を採取する工程を含む、請求項31に記載の方法。

請求項33

遺伝子改変鳥類を交配する方法であって、(i)請求項1から22または27から29のいずれか一項に記載の方法を実施して、雛または子孫を作製する工程(ii)雛または子孫を性的に成熟した鳥類へと育てる工程、および(iii) 交配し、性的に成熟した鳥類から遺伝子改変鳥類を作製する工程を含む方法。

請求項34

請求項33に記載の方法により作製される遺伝子改変鳥類。

請求項35

鳥類における形質モジュレートする方法であって、(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入し、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される工程、および(ii)胚の雛への発生を可能にするために十分な温度で胚をインキュベートする工程を含み、ポリヌクレオチドが鳥類における形質をモジュレートするポリペプチドまたは二本鎖領域を含むRNA分子をコードする方法。

請求項36

RNA分子がsiRNA、shRNAまたはRNAデコイを含む、請求項35に記載の方法。

請求項37

形質が、筋肉量性別含有栄養素および/または耐病性から選択される、請求項35または請求項36に記載の方法。

請求項38

鳥類のウイルス耐性を上昇させる方法であって、請求項1から22、27から29、31から33、35から37のいずれか一項に記載の方法を実施する工程を含み、ポリヌクレオチドが、細胞内のウイルス複製を低減するsiRNA、shRNAもしくはRNAデコイであるか、または細胞内のウイルス複製を低減する細胞内のウイルス複製を低減する抗ウイルスペプチドをコードする方法。

請求項39

ウイルスがインフルエンザウイルスである、請求項38に記載の方法。

請求項40

請求項38または請求項39に記載の方法により作製される鳥類。

請求項41

鳥類がニワトリ、アヒルシチメンチョウガチョウチャボもしくはウズラから選択される、請求項1から22、27から29、31から33、35から39のいずれか一項に記載の方法、請求項23もしくは請求項40に記載の鳥類、または請求項30もしくは請求項34に記載の遺伝子改変鳥類。

技術分野

0001

本発明は、細胞トランスフェクションするための方法に関する。特に、本発明は、鳥類における始原生殖細胞にトランスフェクションする方法、および形質改変された鳥類を交配する方法に関する。

背景技術

0002

トランスジェニックまたは遺伝子改変鳥類を開発するための効率的な手法の開発は、農業および生物薬学産業の双方にとって非常に重要であり、また機能ゲノミクス研究を通して鳥類の生物学の理解を増す上でも非常に重要である。
家禽生産人工増加に直面する地球の食料安全保障を確保する上で主要な役割を担っており、トランスジェニック家禽の開発などのバイオテクノロジー最新の進歩はこの産業が生産増加への需要にこたえるための一助となるだろう。

0003

より具体的には、耐病性および性別決定のモジュレーションなどの従来の交配では可能ではない家禽における形質改変にトランスジェニック技術を応用することが今や可能となり、家禽産業に大きな利益をもたらす。生物製剤タンパク質の需要は急速に伸びており、最近までは、疾患の処置用の新たな組換えタンパク質産生のためのインビトロ細胞ベースの製造システムが使用されてきた。組換えタンパク質産生用バイオリアクターとしてトランスジェニック家畜の使用が、高価かつ労働集約型の細胞ベースシステムに対する主要な代替として、現在開発が進められている。ニワトリ用トランスジェニック技術の開発により、を生物製剤タンパク質の高レベルでの産生および精製のためのバイオリアクターとして発生させることを可能とした。

0004

選抜した外来遺伝子を導入する試みも、それら遺伝子をレトロウイルスベクタークローニングし(例えば、細網内皮症ウイルスまたはトリ白血病ウイルス)、この組換えウイルス受精卵注入してウイルスを発生中の(例えば始原生殖細胞)に感染させ、それによってキメラ生殖腺または卵子創出し、得られた組換え体を用いて外来遺伝子を子孫に導入しようとすることによってなされた。しかし、家禽産業は、ウイルスが(その本来の状態においては)病原体であること、複製可能な変異体ウイルスベクターさえも時に腫瘍誘導することができること、および複製不全変異体は高用量または反復投与を必要とすることから、この技術の商業利用を躊躇してきた。また複製欠損ウイルス構築物ですら、内在性ウイルスエンベロープ組換えて複製可能になるリスク幾らかはもたらし得る。さらには、このようなベクターは現在のところ、比較的小さなサイズ(例えば、2キロ塩基以下)のDNAインサートに限定される。

0005

未発生の受精卵(undeveloped fertilized ovum)を外科的に雌鳥から取り出した後、それに外来DNAを注入しようと試みられてもきた。しかし、このアプローチでは、発生中の胚を一連代理コンテナ(surrogate containers)でインキュベートする必要があった。さらにこれには、産卵用の特殊な群れ、ならびに必要な外科的および技術的な技能を会得するための広範な訓練が要求された。

0006

1つの代替アプローチは、遺伝子改変胚細胞または始原生殖細胞(PGC)を、産卵後すぐにレシピエント胚に注射するものである。このアプローチにより、発生中の胚に取り込まれた際に機能的な卵子または精子産生細胞(spermatozoa producing cells)へと分化する能力を維持したPCG培養物が創出された。このタイプのPCG培養物は、遺伝子改変した後にレシピエント胚に注入することができる。レシピエント胚は通常、γ線照射で改変して内在性始原生殖細胞を弱体化させ、注入した細胞に、生殖隆起内へとホーミングする上での選択優位性を与えるようにしてある。改変細胞は、その後成熟し、トランスジーンを少なくとも次世代には伝達できる精子または卵子を産生する。しかし、この手法は、PGCをドナー胚から取り出し、それに続いて培養し、レシピエント胚へ再導入する必要があることから、時間がかかる。さらには、この手法を用いて遺伝子改変PGCを含む鳥類が得られる効率は低い。

0007

米国特許出願第20060206952号
WO 9622321
WO9631549
米国特許第5,266,106号
US 20030069173
米国特許第7,241,574号
US 20070004667

先行技術

0008

J. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons (1984)
J. Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbour Laboratory Press (2001)
R. Scopes、Protein Purification - Principals and Practice、第3版、Springer (1994)
T.A. Brown (編者)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、第1および2巻、IRL Press (1991)
D.M. GloverおよびB.D. Hames (編者)、DNA Cloning: A Practical Approach、第1〜4巻、IRL Press (1995および1996)
F.M. Ausubelら(編者)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988、現在までの全ての改訂を含む)
Ed HarlowおよびDavid Lane (編者) Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988)
J.E. Coliganら(編者) Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons (現在までの全ての改訂を含む)

発明が解決しようとする課題

0009

したがって、鳥類始原生殖細胞を遺伝子改変する方法が依然として必要とされている。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、DNAと混合したトランスフェクション試薬を発生中の鳥類胚の血液に直接注入すると、DNAが始原生殖細胞(PGC)に導入され、鳥類ゲノムに挿入されることを見出した。

0011

したがって、本発明は、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を作製する方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入する工程
を含み、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される方法を提供する。

0012

一実施形態では、方法は、(ii)胚がに発生するために十分な温度で胚をインキュベートする工程をさらに含む。

0013

トランスフェクション混合物は、好ましくは、およそステージ12〜17のPGC移動時の鳥類胚に注入する。好ましい一実施形態では、トランスフェクション混合物が、ステージ13〜14の鳥類胚に注入される。

0014

本発明の方法では、いずれの適切なトランスフェクション試薬を使用してもよいが、好ましくは、トランスフェクション試薬はカチオン性脂質を含む。

0015

一実施形態では、トランスフェクション試薬が、1つまたは複数のDOTMA(N-[1-(2.3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)、DOTAP(1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン)、DMRIE(1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)およびDDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)から選択される一価のカチオン性脂質を含む。

0016

別の実施形態では、トランスフェクション試薬が、1つまたは複数のDOSPA(2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)ならびにDOSPER(1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6カルボキシスペルミル)-プロピルアミド)、TMTPS(テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン)、TMTOS(テトラメチルテトラオレイルスペルミン)、TMTLS(テトラメチルテトララウリルスペルミン)、TMTMS(テトラメチルテトラミリスチルスペルミン)およびTMDOS(テトラメチルジオレイルスペルミン)から選択される多価のカチオン性脂質を含む。

0017

さらに別の実施形態では、トランスフェクション試薬がDOSPA(2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)を含む。

0018

別の実施形態では、トランスフェクション試薬が中性脂質をさらに含む。中性脂質は例えば、DOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DPhPE(ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン)またはコレステロールを含むことができる。

0019

特定の一実施形態では、トランスフェクション試薬が、ポリヌクレオチドとの混合の前に、DOSPAおよびDOPEの3:1 (w/w)混合物を含む。

0020

有利には、本発明の方法は、生殖細胞のゲノムにポリヌクレオチドを導入する、レトロウイルスによらない方法の使用に適している。したがって一実施形態では、ポリヌクレオチドが、トランスポゾンまたはジンクフィンガーヌクレアーゼをコードするヌクレオチド配列をさらに含む。

0021

特定の一実施形態では、トランスフェクション混合物が、トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。トランスポザーゼは、プラスミド上に、などDNAにコードされていてもよいし、あるいは、トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドがRNAであってもよい。

0022

特定の一実施形態では、トランスポゾンが、Tol2、mini-Tol2、SleepingBeautyおよびPiggyBacから選択される。

0023

別の実施形態では、ポリヌクレオチドが、ジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする配列を含む。

0024

鳥類における遺伝子改変された生殖細胞は、胚性生殖細胞であってもよいが、始原生殖細胞であるのが好ましい。

0025

一実施形態では、注入混合物が、胚が発生した卵殻内の胚に注入される。

0026

トランスフェクション混合物中のポリヌクレオチドは、ポリペプチドをコードするRNA分子もしくはDNA分子、または二本鎖領域を含むRNAをコードするDNA分子であってよい。特定の一実施形態では、ポリヌクレオチドが、二本鎖領域を含むRNA分子をコードする。RNA分子は例えば、siRNA、shRNAまたはRNAデコイ(RNA decoy)であってよい。

0027

別の実施形態では、ポリヌクレオチドはポリペプチドをコードする。

0028

一実施形態では、RNA分子またはポリペプチドが、細胞内におけるウイルス複製をRNA分子またはポリペプチドを欠く細胞と比べて低減する。

0029

本発明の方法は、鳥類のいずれのウイルス性病原体を標的として使用することもできる。一実施形態では、ウイルスがインフルエンザウイルスである。

0030

本発明は、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類であって、本発明の方法により作製される鳥類をさらに提供する。

0031

本発明は、本発明の鳥類の、遺伝子改変生殖細胞であって、ゲノムに挿入されたポリヌクレオチドを含む生殖細胞をさらに提供する。

0032

本発明は、本発明の、遺伝子改変細胞を含む鳥類により産生される精子をさらに提供する。

0033

本発明は、本発明の、遺伝子改変細胞を含む鳥類により産生される卵をさらに提供する。

0034

本発明は、鳥類における生殖細胞を遺伝子改変する方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を卵内に含有される鳥類胚の血管に注入する工程、および
(ii)胚の雛への発生を可能にするために十分な温度で胚をインキュベートする工程
を含み、ポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される方法をさらに提供する。

0035

さらなる実施形態では、本方法は、本明細書に記述する本発明の1つまたは複数の特徴を含む。

0036

本発明は、遺伝子改変鳥類を作製する方法であって、
(i)本発明の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を得る工程、
(ii)遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類から交配して子孫を作製する工程、および
(iii)ゲノムに挿入されたポリヌクレオチドを含む子孫を選択する工程
を含む方法をさらに提供する。

0037

本発明は、本発明の方法により作製される遺伝子改変鳥類をさらに提供する。

0038

本発明は、食料を生産する方法であって
(i)本発明の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類または本発明の遺伝子改変鳥類を得る工程、および
(ii)鳥類から食料を生産する工程
を含む方法をさらに提供する。

0039

一実施形態では、方法は、鳥類から肉および/または卵を採取する工程を含む。

0040

本発明は、遺伝子改変鳥類を交配する方法であって、
(i)本発明の方法を実施して雛または子孫を作製する工程、
(ii)雛または子孫を性的に成熟した鳥類へと育てる工程、および
(iii) 交配し、性的に成熟した鳥類から遺伝子改変鳥類を作製する工程
を含む方法をさらに提供する。

0041

一実施形態では、本発明は、本発明の方法により作製される遺伝子改変鳥類を提供する。

0042

本発明は、鳥類における形質をモジュレートする方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入し、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される工程、および
(ii)胚の雛への発生を可能にするために十分な温度で胚をインキュベートする工程
を含み、ポリヌクレオチドが鳥類における形質をモジュレートするポリペプチドまたは二本鎖領域を含むRNA分子をコードする方法をさらに提供する。

0043

一実施形態では、RNA分子がsiRNA、shRNAまたはRNAデコイを含む。

0044

一実施形態では、形質が、筋肉量、性別、含有栄養素(nutritional content)および/または耐病性から選択される。

0045

本発明は、鳥類のウイルス耐性を上昇させる方法であって、本発明の方法を実施する工程を含み、ポリヌクレオチドが細胞内のウイルス複製を低減するsiRNA、shRNAもしくはRNAデコイであるか、またはポリヌクレオチドが細胞内のウイルス複製を低減する抗ウイルスペプチドをコードする方法をさらに提供する。

0046

特定の一実施形態では、ウイルスがインフルエンザウイルスである。

0047

本発明は、本発明の方法により作製される鳥類をさらに提供する。

0048

本発明の一部の実施形態では、鳥類がニワトリ、アヒルシチメンチョウガチョウチャボまたはウズラから選択される。

0049

本発明の方法の、別の実施形態では、トランスフェクション混合物は、ポリヌクレオチドの生殖細胞のゲノムへの組込みを容易にするために、標的化ヌクレアーゼ(targeting nuclease)、または標的化ヌクレアーゼをコードするポリヌクレオチドをさらに含む。標的化ヌクレアーゼは例えば、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、TALENおよびCRISPRから選択することができる。

0050

本発明は、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を作製する方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入し、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される工程、および
(ii)胚が雛に発生するために十分な温度で胚をインキュベートする工程
を含み、トランスフェクション試薬がカチオン性脂質を含み、ポリヌクレオチドがトランスポゾンをコードする配列をさらに含み、トランスフェクション混合物がステージ13〜14の鳥類胚の血管に注入される方法をさらに提供する。

0051

一実施形態では、トランスフェクション試薬は、ポリヌクレオチドとの混合の前に、リポフェクタミン2000、またはDOSPAおよびDOPEの3:1 (w/w)混合物を含み、トランスポゾンはTol2またはmini-Tol2であり、トランスフェクション混合物はTol2トランスポザーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。

0052

本発明は、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を作製する方法であって、
(i)トランスフェクション試薬と混合したポリヌクレオチドを含むトランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入し、それによってポリヌクレオチドが鳥類における1個または複数の生殖細胞のゲノムに挿入される工程、ならびに
(ii)胚が雛に発生するために十分な温度で胚をインキュベートする工程
を含み、トランスフェクション試薬がカチオン性脂質および中性脂質を含み、ポリヌクレオチドがジンクフィンガーヌクレアーゼをコードする配列をさらに含み、トランスフェクション混合物がステージ13〜14の鳥類胚の血管に注入される方法をさらに提供する。

0053

一実施形態では、トランスフェクション試薬が、ポリヌクレオチドとの混合の前に、リポフェクタミン2000、またはDOSPAおよびDOPEの3:1 (w/w)混合物を含む。

0054

明白であろうように、本発明の一態様の好ましい特徴および性質は、本発明の他の多くの態様にも適用できる。

0055

本明細書を通して、「含む」という語、または「含めた」もしくは「含んでいる」などのバリエーションは、指定された要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群を包含することを意味するが、しかし他のいかなる要素、整数もしくは工程、または要素、整数もしくは工程の群を排除することを意味しないことを理解されたい。

0056

以下、本発明を続く非限定的な実施例および添付される図面を参照して記述する。

図面の簡単な説明

0057

リポフェクタミン2000と複合体形成させた、EGFPをコードするDNAの、鳥類胚への直接注入を示す図である。第7日の胚から取り出した生殖腺の蛍光(左側)および対応する明視野(右側)画像。
リポフェクタミン2000と複合体形成させた、EGFPをコードするDNAの、第14日の鳥類胚への直接注入を示す画像である。第14日の胚から取り出した生殖腺の蛍光(右側)および対応する明視野(左側)画像。最後の蛍光画像は、胚内の左手緑色細胞集団クローズアップである。この領域は、ニワトリvasaホモログ(cvh)染色のために生殖腺の残りの部分から切り取られた。生殖腺の残りの部分の小さな区画陰性対照として用いた。
リポフェクタミン2000と複合体形成させた、EGFPをコードするDNAの、鳥類胚への直接注入を示す図である。PGCマーカーであるcvhについての細胞染色。核の物質を示すDAPI染色、および全細胞の染色。PGC特異的マーカーであるcvhは、細胞の部分集団を染色した(より明るい灰色の細胞)。直接注入によりトランスポゾンを受けとり、緑色に染色された形質転換細胞を矢印で示した。
インビトロでの最適化を鳥類胚への直接注入により確認した図である。第14日の胚の生殖腺中におけるEGFP発現
リポフェクタミン2000と複合体形成させたEGFPおよびshRNAをコードする複数の配列を含む複数弾頭構築物(multi-warhead construct)をコードするDNAのブロイラー種(broiler line)のニワトリ胚への直接注入を示す図である。第12日の生殖腺の、蛍光画像。
リポフェクタミン2000と複合体形成させたEGFP複数弾頭構築物および拡張ヘアピン(extended hairpin)構築物をコードするDNAの、レイヤー系統(layer line)のニワトリ胚への直接注入を示す図である。直接注射後の第14日の胚の生殖腺の蛍光画像。
2つの複数shRNA発現カセット(pMAT084およびpMAT085)のうちのいずれかを有したTol2-EGFP構築物の直接注入を示した図である。EGFP発現を示す第14日に撮られた10個の生殖腺の画像。
PB shRNAの直接注入を行った胚への組込みを示す、スクリーニングPCR産物ゲル電気泳動図である。DNAは、ZFNおよび修復プラスミド(repair plasmid) (PB shRNAを含有する)を直接注入してから5日後のZFN処理胚および対照由来のPGCを濃縮した試料から抽出した。次いで、スクリーニングPCRを行なって、PB shRNAのゲノムへの組込みを検出した。レーン1はPB注入胚を示し、レーン2は対照胚、レーン3はZFN処理細胞(陽性対照)、およびレーン4は水の対照である。

0058

一般手法および定義
別段の規定がない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当分野の(例えば、タンパク質化学生化学細胞培養分子遺伝学微生物学、および免疫学における)当業者が一般に理解するのと同じ意味を有するものと解釈されたい。

0059

別段の指示がない限り、本発明で用いる組換えDNAおよびタンパク質、細胞培養、ならびに免疫学的な手法は、当業者に周知の標準的な手順である。このような手法は例えば、J. Perbal、A Practical Guide to Molecular Cloning、John Wiley and Sons (1984)、J. Sambrookら、Molecular Cloning: A Laboratory Manual、第3版、Cold Spring Harbour Laboratory Press (2001)、R. Scopes、Protein Purification - Principals and Practice、第3版、Springer (1994)、T.A. Brown (編者)、Essential Molecular Biology: A Practical Approach、第1および2巻、IRL Press (1991)、D.M. GloverおよびB.D. Hames (編者)、DNA Cloning: A Practical Approach、第1〜4巻、IRL Press (1995および1996)、ならびにF.M. Ausubelら(編者)、Current Protocols in Molecular Biology、Greene Pub. Associates and Wiley-Interscience (1988、現在までの全ての改訂を含む)、Ed HarlowおよびDavid Lane (編者) Antibodies: A Laboratory Manual、Cold Spring Harbour Laboratory、(1988)、ならびにJ.E. Coliganら(編者) Current Protocols in Immunology、John Wiley & Sons (現在までの全ての改訂を含む)などの資料中の文献を通して、記述および説明されている。

0060

本明細書で使用される「鳥類」という用語は、それらだけに限らないが例えば、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル、ガチョウ、ウズラ、キジオウムフィンチタカカラス、ならびにダチョウエミューおよびヒクイドリを含めた走禽類などの生物など、分類学上の鳥綱に属する生物のあらゆる種、亜種または品種を指す。この用語は、様々な既知の、ガッルス・ガッルス(Gallus gallus)(ニワトリ)の系統、例えば白色レグホン(Leghorn)、褐色レグホン、バールロック(Barred-Rock)、サセックスニューハンプシャー、ロードアランド、オーストラロープ、コーニッシュ、ミノルカ、アムロックスカリフォルニアグレイ、イタリアンパーティッジカラード(Italian Partidge-coloured)、ならびにシチメンチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ダチョウおよび商業的量で一般に交配する他の家禽の系統を含意する。

0061

「家禽」という用語は、肉または卵のために維持、採取、または家畜化されるすべての鳥類、例えばニワトリ、シチメンチョウ、ダチョウ、ゲームヘン、ひな(squab)、ホロホロチョウ、キジ、ウズラ、アヒル、ガチョウ、およびエミューを含意する。

0062

本明細書で使用される「遺伝子改変鳥類」または「トランスジェニック鳥類」とは、その鳥類の1個または複数の細胞が、ヒトの介入により導入された異種核酸を含有するあらゆる鳥類を指す。

0063

直接注入法
ニワトリの生殖系列は、ステージX胚の胚盤葉上層由来の細胞が初期胚盤葉下層移入して始まる(Kagamiら、1997;およびPetitte、2002)。胚盤葉下層が前側に進行するにつれて、前始原生殖細胞は、前方に押しやられ、入り込んだ生殖三日月環中における、グリコーゲンを多く含む巨大な細胞(large glycogen laden cells)として同定できる。このような形態学判断基準により生殖系列の細胞が最初に同定されるのは、インキュベートし始めておよそ8時間後である(HamburgerおよびHamilton、(1951)により確立されたステージ別分類システムを用いると、ステージ4)。この始原生殖細胞は、ステージ4から生殖三日月環内に留まった後、ステージ12〜17の間に脈管構造を通って移動する。この時点で、始原生殖細胞は約200個の細胞からなる小さな集団である。始原生殖細胞は、脈管構造から生殖隆起内へと移動し、生殖腺分化に伴って卵巣または精巣に取り込まれる。

0064

生殖系列キメラニワトリはかつて、種々の発生ステージ(胚盤葉〜第20日の胚)由来の、ドナーPGCおよび生殖腺の生殖細胞を、レシピエント胚に移植することにより生成された。鳥類始原生殖細胞(PGC)の長期培養からトランスジェニックニワトリを得る方法も、例えば、米国特許出願第20060206952号に記載されている。既知の手順で宿主鳥類胚と組み合わせると、これらの改変PGCは生殖系列を経て伝達され、遺伝子改変子孫を生ずる。

0065

ドナー胚からのPGC採取に依存する、一般に使用される従来技術の方法とは対照的に、本発明の方法は、トランスフェクション混合物を鳥類胚に直接注入しようとするものである。したがって、本発明の方法は、PGCおよび胚性生殖細胞を含めた鳥類生殖細胞にトランスフェクションするために使用できる。

0066

トランスフェクション混合物
本発明の方法では、ポリヌクレオチドを、適切なトランスフェクション試薬と複合体形成させる、または混合する。本明細書で使用される「トランスフェクション試薬」という用語は、ポリヌクレオチドの、それだけに限らないが、始原生殖細胞などの鳥類細胞を含めた真核細胞による吸収を増強するために、ポリヌクレオチドに添加する組成物を指す。真核細胞へのトランスフェクションに適していると、当技術分野で知られている、いずれのトランスフェクション試薬を使用してもよいが、本発明者らは、カチオン性脂質を含むトランスフェクション試薬が、本発明の方法においてとりわけ有用であることを見出した。したがって好ましい一実施形態では、一価のカチオン性脂質は、1つまたは複数のDOTMA(N-[1-(2.3-ジオレオイルオキシ)-プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド)、DOTAP(1,2-ビス(オレオイルオキシ)-3-3-(トリメチルアンモニウム)プロパン)、DMRIE(1,2-ジミリスチルオキシプロピル-3-ジメチル-ヒドロキシエチルアンモニウムブロミド)またはDDAB(ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド)から選択される。好ましい多価のカチオン性脂質は、リポスペルミン、具体的にはDOSPA(2,3-ジオレイルオキシ-N-[2(スペルミンカルボキサミド)エチル]-N,N-ジメチル-1-プロパンアミニウムトリフルオロアセテート)およびDOSPER(1,3-ジオレオイルオキシ-2-(6カルボキシスペルミル)-プロピルアミド)、ならびにそれだけに限らないが、TMTPS(テトラメチルテトラパルミトイルスペルミン)、TMTOS(テトラメチルテトラオレイルスペルミン)、TMTLS(テトラメチルテトララウリルスペルミン)、TMTMS(テトラメチルテトラミリスチルスペルミン)およびTMDOS(テトラメチルジオレイルスペルミン)を含めたジ-およびテトラ-アルキル-テトラ-メチルスペルミンである。カチオン性脂質は場合によっては、非カチオン性脂質、特に中性脂質、例えばDOPE(ジオレオイルホスファチジルエタノールアミン)、DPhPE(ジフィタノイルホスファチジルエタノールアミン)またはコレステロールなどの脂質と組み合わせられる。DOSPAおよびDOPEの3:1 (w/w)混合物、またはDOTMAおよびDOPEの1:1 (w/w)混合物から構成されるカチオン性脂質組成物が、一般に本発明の方法に有用である。カチオン性脂質を含む、適切な市販のトランスフェクション試薬の非限定的な例としては、リポフェクタミン(Life Technologies)およびリポフェクタミン2000(Life Technologies)が挙げられる。

0067

一般に、いずれかの細胞、特に真核細胞に核酸を導入するために利用できるいかなるデンドリマーも、本発明の方法に有用である。第5世代またはそれより高世代のデンドリマー(G5以上)が好ましく、G5〜G10の間の世代のデンドリマーが特に興味深い。本発明に有用な可能性のあるデンドリマーには、NH3またはエチレンジアミンコアを有するデンドリマー、すなわちGX(NH3)またはGX(EDA)が含まれ、ここでX=世代数である。X=5〜10のデンドリマーが好ましい。本発明に有用な可能性のあるデンドリマーには、内層繰返し単位アミドアミンである(ポリアミドアミン、すなわちPAMAMを形成する)デンドリマーが含まれる。有用なデンドリマーには、例えば末端アミン官能基の場合などにそうであるように、デンドリマー外表面の末端官能基正電荷密度をもたらすデンドリマーが含まれる。デンドリマー外表面の表面電荷および化学的性質は、例えば一部またはすべての表面アミン基を反応させるなどして、表面の官能基を変えることにより、変更できる。特に興味深いのは、リシンまたはアルギニンなどのカチオン性アミノ酸と反応させて官能性をもたせたデンドリマーである。例えば、PCT出願WO 9622321およびWO9631549に記載され、また米国特許第5,266,106号で言及されたグラフト化デンドリマー(Grafted dendrimers)を、本発明の方法で利用することができる。活性化デンドリマー(HaenslerおよびSzoka、1993;ならびにTangら、1996)もまた、本発明の方法で利用することができる。

0068

トランスフェクション試薬は、ウイルス、細菌または動物タンパク質、および他の供給源由来の、ペプチド、タンパク質またはその断片もしくは部分を含めたペプチド配列であって、カチオン性脂質およびデンドリマーが含まれるトランスフェクション剤により媒介される真核細胞へのトランスフェクション効率を増大させることのできるペプチド配列を、さらに含むことができる。このようなペプチドはUS 20030069173に記載されており、それには例えば、インフルエンザウイルス、アデノウイルスセムリキ森林ウイルス、HIV肝炎ウイルス単純ヘルペスウイルス水疱性口内炎ウイルスもしくはサルウイルス40の、ウイルス性ペプチド類またはタンパク質、ならびにより詳細にはRGDペプチド配列、NLSペプチド配列および/またはVSVGペプチド配列、さらには上記のものそれぞれの改変ペプチドまたは改変タンパク質まで含まれる。

0069

ポリヌクレオチドは、製造者の指示、または既知のプロトコールに従い、トランスフェクション試薬と混合して(または「複合体形成」させて)よい。例えば、プラスミドDNAをリポフェクタミン2000トランスフェクション試薬(Invitrogen、Life Technologies)と共にトランスフェクションする場合、DNAを50μlのOpit-MEM培地希釈し、穏やかに混合することができる。リポフェクタミン2000試薬を穏やかに混合し、適切な量を50μlのOpti-MEM培地に希釈する。5分間インキュベートした後、希釈したDNAとトランスフェクション試薬とを合わせ、室温で20分間、穏やかに混合する。

0070

次いで、適切な体積のトランスフェクション混合物を、本発明の方法に従い、鳥類胚に直接注入することができる。通常は、鳥類胚に注入するための適切な体積は約1μlから約3μlであるが、胚のステージおよび注射する鳥類の種などの要因によって適切な体積を決定してよい。当業者であれば、トランスフェクション試薬およびDNAを混合するためのプロトコール、ならびに鳥類に注入しようとする体積は、本明細書の教示に照らして最適化できることを理解する筈である。

0071

胚への注入
注入前に、卵を胚発生に適した温度、例えば約37.5から38℃、でっている側(尖端(taglion))を上向きにし、およそ2.5日間(ステージ12〜17)または胚の血管が注入に十分なサイズになるまでインキュベートする。トランスフェクション混合物注入に最適なタイミングは、通常はおよそステージ12〜17に起きるPGC移動時であり、しかしより好ましくはステージ13〜14である。当業者であれば分かる筈だが、ブロイラー種のニワトリは通常、胚の成長がより早いので、注入は好ましくは、トランスフェクション混合物がPGC移動時の血流中に導入されるように、ステージ13〜14の初期にするべきである。

0072

鳥類胚の血管にアクセスするために卵殻に穴を開ける。例えば、約10mmの穴を、ピンセットなどの適切な道具を使用して卵の尖っている側に開けることができる。胚およびその膜を傷つけないようにしつつ、殻の区画および付随する膜を注意深く取り除く。

0073

シリコン処理したガラスキャピラリーチューブで作られたマイクロピペットを、トランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入するために使用することができる。通常、マイクロピペットは、マイクロピペットプラーを用いて引き抜く、もしくは「引っ張り」、また先端は、ピペット研磨機を使って直径(内口径)がおよそ10μmから約50μmの直径、より好ましくは約25μmから約30μmの直径になるように傾斜をつけて切る。マイクロピペットは通常、鳥類胚へのPGC注入を容易にするために、約25μmから約30μmの直径まで研磨する。当業者なら、本発明の方法では、トランスフェクション混合物が細胞を含まないのでより狭い直径を使用できることを、理解する筈である。このように作製されたマイクロピペットは、「プルガラスキャピラリー(pulled glass capillary)」とも呼ばれる。

0074

プルガラスキャピラリーに、およそ1〜3μlのトランスフェクション複合体充填する。キャピラリーを入れるのに十分なサイズの、任意の血管、例えば、周辺静脈もしくは背側大動脈、またはキャピラリーを挿すのに十分なサイズの別の任意の血管など、に注入する。トランスフェクション複合体をキャピラリーから血管内へ押し出すのに、空気圧を用いることができる。

0075

トランスフェクション混合物を鳥類胚の血管に注入した後、卵は、十分な量のパラフィルム、または当技術分野で既知の、他の適切なシーラントフィルムを使用して塞ぐ。例えば、10mmの穴を殻に開けた場合、約20mm四方のパラフィルム片を使用して穴を覆うことができる。次いで、温かいメスの刃を使用してパラフィルムを卵の外表面に貼り付けることができる。卵は、次にひっくり返して、尖った側が下に位置するようにし、胚が、例えば後の解析または孵化まで発生するために十分な温度でインキュベートする。

0076

本明細書で使用される「胚が発生するために十分な温度」および「胚が雛に発生するために十分な温度」というは、鳥類胚が卵内で発生を継続し、好ましくは孵化の用意の整った雛へと発生するために必要とされるインキュベート温度を指す。適切なインキュベート温度は、当業者であれば決定できる。例えば、ニワトリの卵は通常、約35.8から約38℃でインキュベートする。例えば、産卵後第1から6日は37.9℃、第9および10日は約37.6℃、第11および12日は約37.5℃、第13日は約37.4℃、第14および15日は約37.3℃、第16日は約37.2℃、第17日は約37.1℃、ならびに第22日までに約35.8℃まで低下することができるなど、望ましいレベルでインキュベート温度をコントロールするインキュベーターが市販されている。

0077

ポリヌクレオチドのゲノムへの組込み
ポリヌクレオチドの鳥類生殖細胞のゲノムへの組込みを容易にするために、好ましくは、トランスポゾン、ジンクフィンガーヌクレアーゼ、または非ウイルス性の他の構築物もしくはベクターを本発明の方法で使用する。

0078

適したトランスポゾンの例としては、Tol2 (Kawakamiら、2002)、mini-Tol2、SleepingBeauty (Iviesら、1997)、PiggyBac (Dingら、2005)、MarinerおよびGalluhopが挙げられる。メダカオリアス・ラティペス(Oryzias latipes)から最初に同定され、トランスポゾンのhATファミリーに属するTol2トランスポゾンは、Kawakamiら(2000)に記述されている。Mini-Tol2はTol2の変異体であり、Balciunasら(2006)に記述されている。Tol2およびMini-Tol2トランスポゾンは、Tol2トランスポザーゼと共に働く場合、トランスジーンの生物ゲノムへの組込みを容易にする。Tol2トランスポザーゼを別個非複製性プラスミドで送達することにより、Tol2またはMini-Tol2トランスポゾンおよびトランスジーンのみがゲノムに組み込まれ、Tol2トランスポザーゼ含有プラスミドは、細胞が限られた回数分裂する間には失われる。したがって、組み込まれたTol2またはMini-Tol2トランスポゾンはもはや、次の回の転移をする能力を有することはない。それに加え、Tol2は天然の鳥類トランスポゾンとしては知られていないので、例えばニワトリ細胞などの鳥類細胞には、さらなる回の転移を引き起こす内在性トランスポザーゼ活性も存在しない。当技術分野では理解されるであろうように、Tol2トランスポザーゼをコードするRNAを、このトランスポザーゼをコードするDNAプラスミド代替物としてトランスフェクション混合物に含めてもよい。このように、Tol2トランスポゾンおよびトランスポザーゼは、本発明の方法での使用に特に適している。

0079

他のいずれの適切なトランスポゾンシステムを本発明の方法で使用してもよい。例えば、トランスポゾンシステムはSleepingBeauty、Frog PrinceもしくはMoslトランスポゾンシステムであってよく、またはトランスポゾンのtc1/marinerファミリーもしくはhATファミリーに属するいずれのトランスポゾンを使用することもできる。

0080

当業者であれば、追加の遺伝因子を、鳥類胚に注入しようとしている構築物中に含めるのが望ましいこともあると、理解する筈である。核酸構築物中に含めることができる追加の遺伝因子の例としては、GFPまたはRFPなどの蛍光マーカータンパク質;β-ガラクトシダーゼルシフェラーゼβ-グルクロニダーゼクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼもしくは分泌型胚性アルカリホスファターゼ(secreted embryonic alkaline phosphatase)などの、容易にアッセイできる酵素;またはホルモンもしくはサイトカインなど、イムノアッセイの容易に利用できるタンパク質の1つもしくは複数の遺伝子などの、レポーター遺伝子が挙げられる。本発明の実施形態での用途が見出され得る他の遺伝因子には、アデノシンデアミナーゼアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ(aminoglycodic phosphotransferase)、ジヒドロ葉酸レダクターゼハイグロマイシン-B-ホスホトランスフェラーゼなどの、細胞に選択的成長優位性を与えるタンパク質、または薬剤耐性をコードする遺伝因子が含まれる。

0081

ゲノム編集技術を本発明の方法で使用してもよい。例えば、ゲノム編集技術は、標的化ヌクレアーゼとすることができる。本明細書で使用される「標的化ヌクレアーゼ」という用語は、天然タンパク質または遺伝子工学的に操作されたタンパク質への言及を含意する。一実施形態では、標的化エンドヌクレアーゼメガヌクレアーゼとすることができる。メガヌクレアーゼは、長い認識配列により特徴付けられるエンドデオキシリボヌクレアーゼであり、すなわち、その認識配列は一般に約12塩基対から約40塩基対までにわたる。この要求性の結果、認識配列は一般に、いかなる所与のゲノム中においても、たった1回しか出現しない。メガヌクレアーゼのうちでも、LAGLIDADGと名付けられたホーミングエンドヌクレアーゼのファミリーは、ゲノム研究およびゲノム工学のための貴重なツールとなった。メガヌクレアーゼは、当業者に周知の手法を用いて認識配列を改変することにより、染色体上の特異的配列へと標的化することができる。

0082

別の実施形態では、「標的化ヌクレアーゼ」は、ジンクフィンガーヌクレアーゼである。ジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)は、ジンクフィンガーDNA結合ドメインをDNA切断ドメインと融合することにより生成される人工ヌクレアーゼである。ジンクフィンガードメインは、所望のDNA配列を標的とするように遺伝子工学的に設計することができ、これによりジンクフィンガーヌクレアーゼは、複雑なゲノムにおけるユニーク配列を標的とすることが可能となる。内在性のDNA修復機構を利用することにより、これらの試薬は、高等生物のゲノムに正確に変更を加えるために使用できる。ジンクフィンガーヌクレアーゼは、当技術分野で既知であり、例えば米国特許第7,241,574号に記載され、Duraiら(2005)ならびにDavisおよびStokoe (2010)に総説が記述されている。

0083

本発明の前は、ジンクフィンガーヌクレアーゼ技術を用いてPGCを改変するためには、ジンクフィンガー構築物を培養PGCに導入することになるものと予想されていた。次いで、所望の挿入/改変を含むトランスフェクション細胞を選択およびクローニングする。ソートし、クローニングした細胞は、PGCを除去したレシピエント胚に注入することになる。

0084

本発明者らは、驚くべきことに、ジンクフィンガーヌクレアーゼ構築物を鳥類胚に直接注入すると、第14日でのトランスフェクション胚の生殖腺中において検出できる特異的ゲノム改変を生ずることを見出した。この発見は驚くべきものであった。というのは、トランスフェクション効率のレベルおよびジンクフィンガーヌクレアーゼ活性のレベルを合わせると低すぎて、直接注入を行った胚中に特異的改変を検出することはできないと予想されていたからである。所望のDNA配列を標的とするその特異性と、ジンクフィンガーヌクレアーゼおよびトランスフェクション試薬の組合せを直接胚に注入する場合に、予想より高いレベルの効率が得られるという本発明者らの発見とを考慮すると、ジンクフィンガーヌクレアーゼは、本発明の方法において、ポリヌクレオチドを鳥類生殖細胞のゲノムに導入するために特に有用である。

0085

さらに別の実施形態では、標的化エンドヌクレアーゼは、転写活性化因子エフェクター(TALE)ヌクレアーゼ(Zhangら、2011などを参照されたい)であってもよい。TALEは、新たなDNA標的に結合するように容易に遺伝子工学的に改変できる、植物病原体ザントモナス(Xanthomonas)由来の転写因子である。TALEまたはそのトランケートされたバージョンは、Foklなどのエンドヌクレアーゼの触媒ドメインと連結して、TALEヌクレアーゼまたはTALENと呼ばれる標的化エンドヌクレアーゼを創出することができる。

0086

さらに別の実施形態では、「標的化ヌクレアーゼ」は、クラスター状規則配置短パリンドローム反復(Clustered Regularly Interspersed Short Palindromic Repeats: CRISPR)ヌクレアーゼである(Barrangou、2012)。CRISPRは、侵入してくるファージおよびプラスミドに対する防御関与する、微生物のヌクレアーゼシステムである。微生物宿主中のCRISPR座位は、CRISPR関連(Cas)遺伝子群と、CRISPRにより媒介される核酸切断の特異性をプログラムできるノンコーディングRNA因子との組合せを含有する。3つの型(I〜III)のCRISPRシステムが、広範な細菌宿主で同定されている。それぞれのCRISPR座位の重要な1つの特徴は、ひと続きの短い非反復配列(スペーサー)が各間隙を埋めている反復配列(直列反復)のアレイ(array)の存在である。ノンコーディングCRISPRアレイは転写され、直列反復内で切断されて、各自のスペーサー配列を含有する短鎖crRNA(short crRNAs)になる。このcrRNAは、Casヌクレアーゼを標的部位(プロトスペーサー)へと誘導する。

0087

II型CRISPRは、最もよくキャラクタライズされたシステムの1つであり(例えば、Congら、2013)、連続する4つのステップで、標的化されたDNA二本鎖開裂を行う。第1ステップで、2つのノンコーディングRNA、crRNA前駆体アレイおよびtracrRNAが、CRISPR座位から転写される。第2ステップで、tracrRNAは、crRNA前駆体の反復領域ハイブリッド形成し、crRNA前駆体の各自のスペーサー配列を含有する成熟crRNAへのプロセシングを媒介する。第3のステップで、成熟crRNA:tracrRNA複合体によるCas9の標的DNAへの誘導は、crRNAのスペーサーと、標的認識に追加的に必要とされる、標的DNA上のプロトスペーサー近接モチーフ(protospacer adjacent motif: PAM)に隣接するプロトスペーサーとの間の、ワトソンクリック塩基対形成を介してなされる。最終ステップで、Cas9は標的DNAの切断を媒介してプロトスペーサーに二本鎖開裂を創出する。CRISPRシステムはまた、ゲノムに一本鎖開裂を生成するために使用することもできる。したがって、CRISPRシステムは、RNAにガイドされた部位特異的ゲノム編集のために使用できる。

0088

ポリヌクレオチド
本発明の方法は、ポリヌクレオチドを、鳥類始原生殖細胞のゲノムに取り込ませ、遺伝子改変子孫へと伝達され得るようにするために使用できる。ゲノムへ組み込まれたポリヌクレオチドは、例えば生産形質を改変し、または耐病性を増大させるなどの望ましい機能または活性をポリヌクレオチドを含む遺伝子改変細胞に付与することができる。したがって、生殖細胞のゲノムへ組み込むことのできるポリヌクレオチドには、短鎖干渉RNA(siRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、拡張短鎖ヘアピンRNA(extended short hairpin RNA: ehRNA)、リボザイムなどの触媒RNA、RNAデコイをコードするポリヌクレオチド、および内在性または外来性ポリペプチド、例えば、鳥類において生産形質をモジュレートしたり、または耐病性を増大させるために使用することのできるポリペプチドなどをコードするポリヌクレオチドが含まれる。

0089

したがって一部の実施形態では、本発明の方法は、鳥類種の任意の形質を改変するために使用できる。改変することのできる好ましい形質には、生産形質および耐病性が含まれる。本明細書で使用される「生産形質」という用語は、筋肉量、性別、耐病性または含有栄養素など、鳥類の商業的価値を有するあらゆる表現型を指す。本発明の方法により改変することのできる好ましい形質には、性別、筋肉量および耐病性が含まれる。鳥類の生産形質としての性別を改変するために、標的とすることのできる遺伝子の例としては、DMRT1、WPKCI(ASW)、R-スポンジン、FOX9、アロマターゼ、AMHおよびβ-カテニンが挙げられる。

0090

本明細書で使用される「筋肉量」という用語は、筋肉組織の質量を指す。筋肉量の増加分は、本明細書に規定する核酸を投与されなかった同じ鳥類の種、より好ましくは鳥類の系統または血統、さらにより好ましくは同じトリと比較しつつ、本明細書に記述するように処置される卵から孵化したトリの全筋肉組織の質量を測ることにより決定することができる。あるいは、特定の筋肉、例えば胸筋および/または脚筋などを、筋肉量増加の確認のために使用することもできる。筋肉量のモジュレーションのために標的とすることのできる遺伝子には、例えばミオスタチン遺伝子が含まれる。

0091

RNA干渉
ある実施形態では、本発明の方法は、鳥類の形質をモジュレートするためにRNA干渉用の二本鎖領域をコードする核酸分子を利用する。「RNA干渉」、「RNAi」または「遺伝子サイレンシング」という用語は一般に、二本鎖RNA分子が、それとかなりのまたは完全な相同性共有する核酸配列の発現を低減する過程を指す。しかし、RNA干渉は、非RNAの二本鎖分子を用いても達成できることが示されている(例えば、US 20070004667を参照されたい)。

0092

二本鎖領域は、例えば約19から23ヌクレオチドなど、少なくとも、連続した19ヌクレオチドであるべきであり、または、例えば30もしくは50ヌクレオチドまたは100ヌクレオチド以上など、より長くてもよい。遺伝子転写物の全体に対応する、完全長配列を使用してもよい。好ましくは、約19から約23ヌクレオチドの長さである。

0093

核酸分子の二本鎖領域の標的転写物との同一性の程度は、少なくとも90%、より好ましくは95〜100%であるべきである。核酸分子は当然、自身を安定化する機能を果たす可能性のある無関係の配列を含むことができる。

0094

本明細書で使用される「短鎖干渉RNA」または「siRNA」という用語は、例えばRNAiを配列特異的に媒介することにより、遺伝子発現阻害または下方制御する能力のあるリボヌクレオチドを含む核酸分子であって、二本鎖部分が50ヌクレオチド未満の長さ、好ましくは約19から約23ヌクレオチドの長さの核酸分子を指す。例えば、siRNAは、自己相補的センスおよびアンチセンス領域を含む核酸分子であって、アンチセンス領域が標的核酸分子またはその部分内のヌクレオチド配列と相補的なヌクレオチド配列を含み、センス領域標的核酸配列またはその部分に相当するヌクレオチド配列を有する核酸分子であってよい。siRNAは、一方の鎖がセンス鎖であり、もう一方の鎖がアンチセンス鎖であり、アンチセンス鎖およびセンス鎖が自己相補的である別個の2本のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。

0095

本明細書で使用されるsiRNAという用語は、例えばマイクロRNA (miRNA)、短鎖ヘアピンRNA (shRNA)、短鎖干渉オリゴヌクレオチド、短鎖干渉核酸(siNA)、短鎖干渉修飾オリゴヌクレオチド化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA (ptgsRNA)、およびその他のものなど、配列特異的RNAiを媒介する能力のある核酸分子を記述するために使用される他の用語と同等であることを意味する。加えて、本明細書で使用される、RNAi、という用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、またはエピジェネティクスなどの配列特異的RNA干渉を記述するために使用される他の用語と同等であることを意味する。例えば、本明細書に記述するsiRNA分子は、転写後のレベルまたは転写前のレベルのいずれでも、エピジェネティックに遺伝子をサイレンシングするために使用することができる。非限定的な1つの例では、本明細書に記述する遺伝子発現のsiRNA分子によるエピジェネティックな制御は、siRNAに媒介されるクロマチン構造の修飾が遺伝子発現を変更する結果として、生じ得る。

0096

「shRNA」または「短鎖ヘアピンRNA」とは、約50ヌクレオチド未満、好ましくは約19から約23ヌクレオチドが、同じRNA分子中にある相補配列と塩基対形成し、前記配列と相補配列とが、少なくとも約4から約15ヌクレオチドの不対領域により隔てられ、2つの塩基相補性領域によりできたステム構造の上部の一本鎖ループを創出するRNA分子を意味する。

0097

shRNAには、RNA分子が、一本鎖スペーサー領域により隔てられた2つ以上のこのようなステムループ構造を含む2重またはバイフィンガーおよびマルチフィンガーヘアピンdsRNAが含まれる。

0098

マイクロRNA制御は、通常のRNAi/PTGSから分岐し、遺伝子制御のために進化したRNAサイレンシング経路の特殊な分派である。マイクロRNAは、特徴的な逆方向反復編成された遺伝子様因子内にコードされる低分子RNAの特定のクラスである。転写されると、マイクロRNA遺伝子は、後にマイクロRNAがそれからプロセスされるステムループ前駆体RNAを生ずる。マイクロRNAは通常、約21ヌクレオチドの長さである。解離したマイクロRNAは、配列特異的遺伝子抑制作用を及ぼすアルノートタンパク質の特定のサブセットを含有するRISC様複合体に取り込まれる。

0099

耐病性
本発明の方法は、細胞に耐病性を与えるポリヌクレオチドを鳥類胚の始原生殖細胞のゲノムに組み込むために使用することができる。例えば、ポリヌクレオチドは、宿主または病原体遺伝子の発現を低減してポリヌクレオチドが存在する細胞内でのウイルス複製を減少させるsiRNA、shRNAまたはmiRNAなどの核酸分子をコードすることができる。本明細書で使用される「ウイルス複製」とは、ウイルスゲノム宿主細胞内での増幅、細胞内でのウイルスゲノムのパッケージング、および/または細胞からの感染性ウイルス粒子の放出を指す。

0100

あるいは、ポリヌクレオチドはRNAデコイをコードすることもできる。RNAデコイは、当技術分野で既知であり、病原性ウイルスの複製に不可欠なウイルスタンパク質に結合する特定のヌクレオチド塩基配列を含有する。HIVタンパク質を標的とするRNAデコイは、Sullengerら(1990)により最初に記述された。しかし当業者であれば、RNAデコイは、インフルエンザウイルスのポリメラーゼ複合体タンパク質を標的とするRNAデコイなど、鳥類ウイルス病原体の複製において役割を担うタンパク質を標的とするように設計できることを理解する筈である。

0101

好ましくは、鳥類細胞内でのウイルス複製を低減することによって、ポリヌクレオチドを含む遺伝子改変鳥類はウイルス性病原体に対する上昇した耐性を有することになる。本明細書で使用される、病原体またはウイルス性病原体に対し「耐性の」、または「上昇した耐性」を有する鳥類は、病原体に曝露された際に、感受性の鳥類に比べ、低減された疾患症状を呈するか、または疾患症状を呈さない。本発明の方法を用いて鳥類を、病原体、それらだけに限らないが例えばインフルエンザウイルス、マレック病ウイルスニューカッスル病ウイルスおよび伝染性ファブリキウス嚢病ウイルスなど、に対し耐性にすることができる。

0102

卵内における組換えタンパク質の産生
PetitteおよびModziak (2007)は、家畜用雌鳥を、「非常に効率的な、タンパク質のバイオリアクター」と記述する。鳥類の卵が大量のタンパク質を含有すること、および卵白内のタンパク質またはアルブミンの半分以上が1種類から構成されることを認識すると、卵内での組換えまたは異種タンパク質の産生には大きな将来性がある。卵内で治療用タンパク質を産生するためにトランスジェニック家禽を作製する従来技術の方法において直面した困難は、当技術分野でよく記述されている。望ましくないレンチウイルスシステムを使用して達成されはしたものの、高レベルの商業に関連するタンパク質を卵内に残すトランスジェニックトリの作製は達成されている。したがって、本発明の方法は、異種または組換えポリペプチドを卵内で発現する遺伝子改変鳥類を作製するために使用することができる。卵内で産生され得る商業的に重要なタンパク質には、抗体およびワクチン抗原などの治療用タンパク質が含まれる。

0103

遺伝子改変鳥類の作製および交配
本発明の方法は、遺伝子改変鳥類を交配する方法、および遺伝子改変鳥類から食料を生産する方法を含む。当業者であるならば、遺伝子改変生殖細胞を含む本発明の鳥類は、生殖腺に移動した生殖細胞の一部のみが遺伝子改変されているという意味において、生殖系列キメラである可能性があることを理解する筈である。よって、遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を交配して、全細胞が遺伝子改変されている子孫を作製することができる。したがって一実施形態では、本発明は、遺伝子改変鳥類を作製する方法であって、(i)本発明の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類を得る工程、(ii)遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類から交配して子孫を作製する工程、および(iii)ゲノムに挿入されたポリヌクレオチドを含む子孫を選択する工程を含む方法を提供する。

0104

本発明の遺伝子改変生殖細胞を含む鳥類、および本発明の遺伝子改変生殖鳥類は、食料の生産に使用することができる。したがって、本発明の方法を、ヒトおよび動物による消費用の家禽製品の生産に適用できる。家禽から食料を生産する方法は、当技術分野で周知であり、それだけに限らないが、ニワトリなどの家禽から肉および/または卵を採取する工程を含む可能性がある。ある実施形態では、生産形質をモジュレートするポリヌクレオチドを含ませるために、鳥類は遺伝子改変された。

0105

(実施例1)
EGFP発現構築物の胚への直接注入
5.1μgの両側にTol2配列のある、増強GFP (EGFP)をコードする核酸構築物、および1.0μgのTol2トランスポザーゼをコードするプラスミドを、3μlのリポフェクタミン2000と複合体形成させた。核酸とトランスフェクション試薬との複合体形成は、総体積が90μlのOptiMEMまたはOptiPRO培地中で、製造者(Life Technologies)の推奨するインキュベート時間を使用して行った。

0106

最後の20分間のインキュベートに続いて、1〜3μlの複合体を、第2.5日のニワトリ胚(ステージ13〜17; HamburgerおよびHamilton、1951)の血管に注入した。血液を除去する必要はなかった。胚へのアクセスは、殻の小さな(10mm)区画を除去することにより確保した。注入後、穴は20mm四方のパラフィルムを用いて塞いだ。

0107

EGFP発現は、第7日および第14日で、ほとんどの生殖腺中において様々なレベルで観察された。生殖腺から解離させた細胞、およびPGCであることも示された緑色の細胞(図1、図2および図3)。

0108

(実施例2)
DNAとトランスフェクション試薬の比のインビトロでの最適化
DNA:リポフェクタミン2000の最適な比、およびトランスフェクション複合体を作り上げる培地の体積をテストするため、実験着手した。EGFPをコードするDNA構築物、および両側にTol2配列を有する単一のヘアピン(shRNA)を、50、40、30または20μlのOptiMEM体積で、リポフェクタミン2000と複合体形成させた。用いたDNA (μg)とリポフェクタミン2000 (μl)との比は以下の通りであった: 1:2、2:4および4:8。

0109

複合体をニワトリ線維(DF-1)細胞にトランスフェクションし、EGFP発現について解析した。結果(示していない)は、30μlの培地中での1:2の比のDNA (μg):リポフェクタミン2000が、50μl中での2:4の比よりわずかにより高い効果をあげたことを示した。

0110

続いて、このインビトロのデータを胚で確認した。Tol2トランスポゾンを含む0.33μgのDNA構築物、0.66μgのトランスポザーゼプラスミド、および2μlのリポフェクタミン2000を、OptiMEM中で複合体形成させ、ニワトリ胚に直接注入した。すべての生きている胚は、第14日でかなりのレベルでEGFPを発現していた(図4)。

0111

(実施例3)
FuGeneトランスフェクション試薬のテスト
FuGene(Promega)を、細胞培養トランスフェクション用に製造者の推奨するものと同様のDNA:Fugeneの比用いて、トランスフェクション試薬としてテストした。FuGeneと複合体形成させたDNA構築物は、両側にTol2配列を有するEGFP発現カセットを含んでいた。複合体(0.66μgのEGFP-Tol2構築物、1.33μgのトランスポザーゼプラスミド、6μlのFuGene)を15個の胚に直接注入した。1個の胚は、第14日で生殖腺中において、極めて少量のEGFP発現を示した。実験を繰り返しても、第12日で、注入を行った10個の胚はすべてまだ生きていた。胚のうち2個は、生殖腺中において、幾つかの緑色の細胞を有していた。

0112

(実施例4)
ブロイラー種の直接注入形質転換
先行する直接注入実験はニワトリの産卵種(chicken egg layer lines)に対して行われたので、この実験の目的は、直接注入法が、ニワトリのブロイラー種を成功裏に形質転換するために使用可能か否かをテストすることであった。単一のヘアピンおよび両側にあるTol2配列を含むEGFP発現構築物を、リポフェクタミン2000と複合体形成させ(0.33μgのトランスポゾン構築物、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000)、ニワトリ胚の背側大動脈に直接注入した。注入を行った13個の胚のうち12個は、第10日で、生きており、ほとんどの生殖腺中において、かなりの量のEGFP発現が検出された。

0113

この実験を、複数のヘアピン(shRNA)を含むEGFP発現構築物を用いて繰り返した(0.33μgのトランスポゾン、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000)。かなりの量のEGFP発現が、第12日の胚で見出された(図5)。

0114

(実施例5)
トランスフェクション試薬培地としての、OptiMEMとOptiPROの比較
トランスフェクション試薬培地として、OptiMEM (動物性産物を含有する)と、OptiPRO (動物性産物を含有しない)と、PBSAとを比較した。両側にあるTol2配列を含むEGFP発現構築物を、トランスフェクション試薬と複合体形成させ(0.33μgのトランスポゾン、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000)、ニワトリ胚に直接注入した。すべての胚は、第12日で生殖腺中において、幾らかの緑色を示し、使用した培地は死亡率に影響しなかった。OptiMEMおよびOptiPROは同等の結果を与えたが、PBSAは、生殖腺において顕著に低減されたEGFP発現をもたらした。

0115

(実施例6)
複数弾頭構築物を注入したニワトリのレイヤー系統
2つのDNA構築物をトランスフェクション試薬と複合体形成させ、ニワトリ胚に直接注入した。第1のDNA構築物は、EGFP発現カセットおよび複数のshRNAヘアピンを、両側にTol2配列を有する形で含み、第2の構築物は、EGFP発現構築物、および3つの二本鎖領域をコードする単一拡張ヘアピンカセット(a single extended hairpin cassette)を含んでいた。構築物を、以下の量で、トランスフェクション試薬と複合体形成させた: 0.33μgのトランスポゾン、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000。第14日でEGFP発現は、ほとんどの胚の生殖腺中において、両方の構築物について見出された。

0116

(実施例7)
Tol2-EGFPの持続性のテスト
EGFP発現カセットおよび複数のヘアピンを含み、両側にTol2配列を有するDNA構築物を、トランスフェクション試薬と複合体形成させた。(0.33μgのトランスポゾン、2μlのリポフェクタミン2000)。トランスポザーゼ抜きのトランスフェクション複合体を、ニワトリ胚に直接注入した。

0117

トランスポザーゼを省いた場合の胚はそれでもなお、一部の胚中において緑色細胞を示したが、トランスポザーゼを含めた場合に見られるより少ない数の細胞で緑色だった。このことから、プラスミドは直接注入後少なくとも2週間、生殖腺細胞中に留まることができること、および、すべての観察された緑色が、ゲノムへのTol2組込みに起因するわけではないことが示唆される。

0118

(実施例8)
動物性非含有リポフェクタミン
Tol2および複数shRNA発現カセットを有するEGFP発現カセットを、動物性産物非含有トランスフェクション試薬(リポフェクタミン2000CD)と複合体形成させた(0.33μgのトランスポゾン、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000CD)。第14日で、調べた10個の胚のすべてが、生殖腺中において、かなりの量のEGFPを発現していた(図7)。

0119

(実施例9)
第3.5日での直接注入
先行するすべての実験では、トランスフェクション複合体の注入は第2.5日に行われた。この実験の目的は、胚への直接注入のための、代替のタイミング(第3.5日)をテストすることであった。EGFP発現構築物およびTol2を含むDNA構築物を、リポフェクタミン2000CDと複合体形成させた(0.33μgのトランスポゾン、0.66μgのトランスポザーゼ、2μlのリポフェクタミン2000CD).

0120

第14日で、21個の胚のうち8個が、生殖腺中において、少量のEGFPを発現していた。したがって、第2.5日の、直接注射のタイミングが重要であり、第3.5日では、効率的なPGCのトランスフェクションは観察されない。

0121

(実施例10)
トランスポゾンとトランスポザーゼの割合の変更
DNA:リポフェクタミン2000CD:培地の比を維持した上で、本発明者らは、トランスポザーゼプラスミドの割合をわずかに減少させながら、DNA混合物中のトランスポゾンの割合を増加させた。将来の実験ではより多くの卵に注入しなければならないので、わずかに異なる体積を用いた。本発明者らはまた、トランスフェクション混合物の注入前に、胚から血液を除去する工程をテストして、これにより、より大きな体積の混合物を注入できるようになるか否かを、決定した。

0122

EGFP発現カセットおよびTol2を含むDNA構築物を、トランスフェクション試薬と複合体形成させた。(0.66μgのトランスポゾン、1.0μgのトランスポザーゼ、3μlのリポフェクタミン2000CD)。第14日で、あらかじめ血液を抜いた胚(pre-bleeding embryos)は、あらかじめ血液を抜かなかった胚(non pre-bleed embryos)と比べ、生殖腺中において、同様のレベルのEGFPを発現していた。これらの新たなDNAの比は良い効果を上げ、かなりのレベルのEGFP発現が観察された。

0123

(実施例11)
JetPEIトランスフェクション試薬
JetPEIに関しては、EGFP発現カセットおよびTol2を含むDNA構築物を、トランスフェクション試薬と複合体形成させた50μlのOptiPRO (5%グルコースを有する)中、4μgのトランスポゾン、6μgのトランスポザーゼ、1.6μlのJetPEI (Polyplus transfection)。JetPEIは、注入すると血液の凝固を引き起こしたが、これは胚の生存性には影響しなかった。緑色細胞はこれらの胚および生殖腺中において見出されたが、その大半は、リポフェクタミン2000を使用した際に見られる形質転換PGCとは、形態学的に異なっていた。

0124

第2の実験は、JetPEIトランスフェクション試薬をテストするために行った。i) 100μlのOptiPRO (5%グルコースを有する)中、0.66μgのトランスポゾン、1.0μgのトランスポザーゼ、0.5μlのJetPEI;およびii) 100μlのOptiPRO (5%グルコースを有する)中、1.32μgのトランスポゾン、2.0μgのトランスポザーゼ、0.5μlのJetPEIの2通りの反応混合物を用いた。

0125

JetPEIは、注入すると血液の凝固を引き起こし、反応混合物(ii)では、胚の生存性が改善された。やはり、幾らかのEGFP発現が、生殖腺中において見出されたが、これらの細胞のタイプはやはり、PGCのようには見えなかった。生殖腺を取り出し、細胞を解離させ、PGCマーカーについて染色した。どの緑色細胞も、PGCマーカーについて染色を示さなかった。このことから、PGCがJetPEI複合体によってトランスフェクションされていなかったことが確認された。

0126

(実施例12)
ジンクフィンガーヌクレアーゼ
この実験の目的は、直接注入法によりPGCを形質転換するために、ジンクフィンガーヌクレアーゼのプラスミドを使用できるか否かを決定することであった。この実験に使用したDNAは2つのジンクフィンガーヌクレアーゼのプラスミドおよび重複する断片を含んでおり、このDNAはトランスフェクション試薬と複合体形成させた。90μlのOptiPRO中、0.5μgの各プラスミド、3μlのリポフェクタミン2000CD。

0127

これらプラスミド上にEGFPは存在しないので、本発明者らは、重複する断片がニワトリゲノムに取り込まれていた場合にのみ断片を増幅する、PCRテストに頼った。14日間インキュベートした後、生殖腺を取り出し、PGCを抗体ソーティング法を用いて濃縮し、ゲノムDNAを調製した。PCRにより、重複する断片がニワトリゲノムへ取り込まれていたことが、明らかになった。これらの結果は、ジンクフィンガーヌクレアーゼが、DNAを、本発明の直接注入法を用いて鳥類PGCゲノムに組み込むのに適していることを証明している。

0128

(実施例13)
結果
上に概説したプロトコールに従い、本発明者らは、レシピエント胚の生殖腺中において、PGCの顕著な形質転換を、しかも、従来技術のPGCトランスフェクション法に記述されているよりもはるかに高い度合いで確認した。細胞をPGC特異的マーカーで染色することにより、本発明者らは、生殖腺中における大部分の形質転換細胞がPGCであることを示した。本発明者らは、性的に成熟するまでレシピエント胚を育て、Tol2トランスポゾン配列を>90%の成体オス精液中において検出することができた。

0129

他のトランスフェクション試薬を使用したが、脂質ベースの試薬がより優れたPGC形転換を与えた。JetPEIは、この方法により細胞をトランスフェクションしたが、いずれのトランスフェクション細胞もPGCであると示すことはできなかった。FuGeneは、非常に低い率で細胞をトランスフェクションした。

0130

(実施例14)
ジンクフィンガーヌクレアーゼを用いた直接注入によるゲノム改変
PANK1遺伝子のイントロン5内の領域を標的とするジンクフィンガーヌクレアーゼ(ZFN)を抗インフルエンザshRNA PB 1-2257および相同組換え修復に必要な領域を含有するプラスミドと共に胚に注入し、これらの胚をshRNA組込みについて後に解析した。

0131

30個の第2.5日の卵に注入する前に、合計で1.5μgのDNA (500μgの各ZFNプラスミドおよび500μgの修復プラスミド)を45μlのOptiPROに添加し、次いで45μlのOptiPRO中の3μlのリポフェクタミン2000CDと複合体形成させた。第7日まで卵をインキュベートし、第7日で生殖腺を取り出し解離させ、PGCをSSEA-1抗体(Santa Cruz Biotech)を用いたMACSソート(MACS sort)を使用して濃縮した。DNAを、ZFN処理胚および対照胚由来のPGCを濃縮した試料から、Qiagen DNAeasyキットを用いて抽出した。

0132

成功したshRNA組込みについてスクリーニングするためのPCRは、ゲノムの相同組換え修復に使われる領域の外に結合するプライマー(スクリーニング7 5'GTGACTCAGACTCCTGTTAG (配列番号3))およびshRNAに結合するプライマー(スクリーニング6 5' TCTGCTGCTTCACAGTCTTC (配列番号4))を使用して行った。PCRは、green master mix (Promega)を製造者の指示に従って使用し、94℃で2分間、続いて94℃で45秒間、55℃で45秒間および72℃で1分10秒間を36サイクル、のサイクル条件を用いて行った。これに続いて最終の伸長を72℃で10分間行った。

0133

PCRを、ZFN処理胚および対照胚由来の、PGCを濃縮した試料に由来するDNA、shRNAが組み込まれていることが以前に示された、陽性対照の細胞に由来するDNA、ならびに水の対照に対して行った。図8に、これらPCR反応のゲル電気泳動を示す。ZFN直接注入胚由来のPCRを含有する第1レーンに、はっきりとバンドが現れることから、注入を行った胚内におけるゲノムへの組込みが示される。

0134

(実施例15)
ニワトリの直接注入によるゲノム改変の結果
何回かの直接注入の後、合計で277羽の雄鶏を性的に成熟するまで育て、それらの精子をTol2トランスジーンの存在についてテストした。テストした277個の試料のうち、98個がTol2トランスジーンを含有することが見出され、その陽性精子の割合のレベルは様々であった。これら陽性のG(0)雄鶏の幾羽かを交尾させ、合計で7393羽のG(1)雛をスクリーニングした。65羽の雛がトランスジェニックであることが見出された。続いてこれらのG(1)雛を用いた交尾は、G(2)世代へのトランスジーンのメンデル遺伝を示した。

0135

孵化した雛を性的に成熟するまで育て、定量リアルタイムPCR(qPCR)を用いて精子におけるminiTol-EGFPの存在を検出した。精子試料回収し、DNAを180μlのPBSに希釈した20μlの精子から、Qiagen DNeasy Blood and Tissueキットを製造者の指示に従って使用し、抽出した。次いで精子ゲノムDNAを、PCR反応での使用のため、ddH2Oで1/100に希釈した。qPCRは、Mastercycler(登録商標) ep realplex (Eppendorf Hamburg、ドイツ)を製造者の指示に従って用い、行った。要約すると、20μlの反応を、10μlのTaqman2xUniversal master mix (Applied Biosystems)、1μlの20xFAM labeled Assay Mix (Applied Biosystems)および9μlの希釈したDNAを含有させてセットアップした。各試料は、minTol2に特異的なプライマーおよびプローブを用いて2連でセットアップした:
Fwdプライマー 5' CAGTCAAAAAGTACTTATTTTTTGGAGATCACT 3' (配列番号5);
リバースプライマー5' GGGCATCAGCGCAATTCAATT 3' (配列番号6);
検出プローブ5' ATAGCAAGGGAAAATAG 3' (配列番号7);
ならびに鋳型対照として働くニワトリゲノム由来のゲノム対照領域に特異的なプライマーおよびプローブ:
フォワードプライマー5' GATGGGAAAACCCTGAACCTC 3' (配列番号8);
リバースプライマー 5' CAACCTGCTAGAGAAGATGAGAAGAG 3' (配列番号9);
検出プローブ 5' CTGCACTGAATGGAC 3' (配列番号10)。

0136

PCRサイクルパラメーターは、95℃で10分間の、最初の変性ステップ、続いて95℃で15秒間および60℃で1分間を45サイクルであった。各雄鶏は、少なくとも2回テストし、minTol2について36未満のCT値が得られたならば、陽性に分類した。対照ゲノム領域について32未満のCT値は、テストした試料中にDNAが十分にあったことの指標として用いた。

0137

当業者であるならば、上記の実施形態に対し、本開示の広範かつ一般的な範囲から逸脱せずに、数々の変形および/または改変を施し得ることを、理解する筈である。本発明の実施形態はしたがって、あらゆる点で、限定的ではなく例示的なものとしてみなすべきである。

0138

本明細書で議論および/または参照したすべての公開資料は、本明細書にその全体が組み込まれる。

0139

本出願は、それぞれの全内容が参照により本明細書に組み込まれている、2012年4月20日出願のUS 61/636,331、2013年3月14日出願のUS 61/783,823および2013年4月12日出願のAU 2013204327の優先権を主張するものである。

0140

本明細書に挙げた文書法律(acts)、材料、装置、物品などの議論はいずれも、本発明に文脈を提供することのみを目的とする。これらの事項のいずれかまたはすべてが、本出願の各請求項の優先日より前に存在したからといって、先行技術基準の一部を構成していること、または、本発明に関連する分野における共通一般知識であったことの承認と解釈されるべきではない。

実施例

0141

(参考文献)

0142

配列番号1 - Tol2 EGFP構築物のポリヌクレオチド配列
配列番号2 - Tol2トランスポザーゼアミノ酸配列
配列番号3 -スクリーニング7オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号4 - スクリーニング6 オリゴヌクレオチドプライマー
配列番号5 - miniTol2フォワードオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号6 - miniTol2リバースオリゴヌクレオチドプライマー
配列番号7 - miniTol2検出プローブ
配列番号8 -ゲノム対照領域フォワードプライマー
配列番号9 - ゲノム対照領域リバースプライマー
配列番号10 - ゲノム対照領域プローブ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ