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課題・解決手段

本発明は、医学的および美容的治療法において使用するための、プロバイオティクス細菌およびその溶解物を提供する。皮膚感染を含む感染治療における使用、および皮膚バリア再生または修復を伴う方法が企図される。

概要

背景

ヒトは、多数の微生物定常的に接触しながら生きている。腸は、これまでのところ、最も多くコロニー形成されており、そして腸内微生物叢は、栄養分隔絶(3)、および正常免疫反応発展(22)を含む正常生理の中で重要な役割を果たすことが示されてきている。

正常な腸内微生物叢の中には、いわゆるプロバイオティクス細菌がある。これらの摂取は、抗生物質関連下痢(47)および炎症性腸疾患(42)などの胃腸障害を防止するかまたは治療することが示されてきている。これらの効果の根底にある機構は、大部分、未知のままである。しかし、研究によって、プロバイオティクスが、病原体による腸のコロニー形成を阻害可能であることが示唆されてきている。in vitroでの研究によって、プロバイオティクスが、病原体を阻害するために多様な機構を用いていることが示唆されてきており、これには、上皮細胞上の結合部位に対する直接競合(12)および栄養素に対する病原性細菌との競合が含まれる。プロバイオティクス生物はまた、病原体を殺すかまたはその増殖を制限することが可能な、バクテリオシン(13)および有機酸(25)などの阻害性物質を産生することも可能である。選択されたプロバイオティクス、例えばL.プランタルム(L. plantarum)299vは、上皮細胞によるムチン産生上方制御し、それによって、病原体付着を防止することが示されてきている(33)。プロバイオティクスはまた、細胞へのプロバイオティクスの付着を可能にする一方、病原性細菌の付着を阻害する、生物系界面活性剤も産生しうる(43)。

腸とは対照的に、皮膚細菌および表皮の間の正常な相互作用に関しては、非常にわずかしか知られていない。近年の研究によって、皮膚共生生物もまた、病原性細菌による皮膚のコロニー形成を制限可能である可能性もあることが示唆されている(48)。研究によってまた、特定の皮膚疾患(例えば尋常性ざ瘡およびアトピー性皮膚炎)が、正常細菌叢に対する破壊と関連しうることもまた示唆されてきている(4、6、8)。したがって、特定の皮膚共生生物を用いて、皮膚細菌叢を調節して、健康を促進するか、または疾患を阻害することが可能であるというアイディアは、ある程度の注目を集めてきた(30、31)。しかし、皮膚共生細菌はまた、特定の状況下では病原性でもありうる(16)。対照的に、プロバイオティクスは、一般的に安全と見なされており(generally regarded as safe)(GRAS)、そしてしたがって、これらの細菌は、療法的価値を有するならば、局所で潜在的に使用可能である(17)。これまでのところ、慣用的なプロバイオティクス細菌が、皮膚上で用いる際に重要な価値を有しうることは、この分野で、限定された量の研究によってのみ、示唆されている。例えば、B.ロングム・レウター(B. longum reuter)溶解物局所適用すると、「反応性皮膚」の臨床的改善が誘導されることが示されてきている。これは、大気温度などの物理的変化に対して、そして局所適用製品で見られるような化学的変化に対して、より感受性が高い皮膚である(20)。B.ロングム溶解物のボランティア皮膚への適用は、感度を減少させ、そしてテープ剥離後の経皮水分喪失(TEWL)を減少させることが示された。さらに、ex vivo皮膚への溶解物の適用は、血管拡張浮腫およびTNF−α放出などの炎症の徴候を減少させることが示された(20)。L.プランタルムの局所適用もまた、火傷マウスモデルにおいて組織修復を改善し、そしてヒトにおける慢性下腿潰瘍および火傷において感染を防止することが立証された(40、41、46)。しかし、一般的に、これらの効果の根底にある機構は未知のままである。

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、体の湿った温かい領域、例えば鼠径部腋窩および前鼻孔に主に存在する、一過性コロニー形成細菌である(28)。人々の最大60%が断続的なキャリアであり、一方、人々の20%が安定してコロニー形成されうる(28)。正常な保菌は無症候性であるが、黄色ブドウ球菌は組織侵入する可能性があり(例えば破壊された皮膚を通じて)、ここで、比較的重大でない膿痂疹および熱傷様皮膚症候群から、生命脅かす状態、例えば敗血症までの範囲の疾患を引き起こす(29)。さらに、黄色ブドウ球菌感染は、しばしば、皮膚の二次的現象であり、アトピー性皮膚炎などの根底にある状態を伴う(27)。

タイトジャンクション(TJ)は、隣接する上皮細胞間傍細胞空間を密封し、そして小さい親水性分子およびイオンに対して、この経路を通じた輸送を制限する多タンパク質複合体である(55)。経上皮電気抵抗(TEER)は、TJ機能の測定値である(56、57)。TJ機能は、しばしば、複合体に関与する特定のタンパク質発現レベルに反映される。角化細胞によって発現される主なTJタンパク質には、クローディン1、クローディン4、ZO−1およびオクルディンが含まれる。

以前に、バリア機能における変化に関連付けられてきた、特に、クローディンの発現レベルにおける変化が、多くの場合、示されてきている。今日まで、24の哺乳動物クローディンが同定されてきており、そしてこれらは一般的に2つのクラス−バリアを強化するものおよび選択的な孔を形成するものに分類される(58)。いくつかの系列証拠が、クローディン1および4の役割をバリア強化クローディンと指摘している。細胞株において、クローディン1の過剰発現は、TEERを増加させ、そして傍細胞マーカーに対する細胞の浸透性を減少させた。クローディン4は、イオン通過に対して傍細胞空間を密封し、そしてこれを行うことで、単層のTEERが増加する[59、60]。ZO−1発現の増加は、A431細胞のTEERを増進させ(61)、そしてホルモンGLP1もまた、ZO−1およびオクルディン発現を増加させることによって、caco−2細胞におけるTJ機能を増進させる(62)。皮膚におけるTJの存在は、比較的最近になって初めて発見されてきた。したがって、現在、特定のTJタンパク質種皮膚バリア機能に対する寄与は、大部分未知である。しかし、クローディン1の遺伝子喪失は、マウスにおいて致死性であることが知られている(63)。

角化細胞は、toll様受容体TLR)などのパターン認識受容体を通じて、細菌の存在を感知する。腸におけるいくつかの系列の証拠は、TLR活性化およびTJバリア機能における変化の間の関係を指摘してきている。Yukiらによる最近の研究(53)によって、細菌リガンド、例えばペプチドグリカンに反応した角化細胞におけるTJ機能の増大をTLRが仲介することが立証された。

WO2011/029784は、皮膚に対するラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)株、LMG P−25211の株の抗炎症作用、および炎症性またはアレルギー性皮膚状態を防止するかまたは治療する際のその使用を記載する。

WO2010/056198は、1またはそれより多い生存α連鎖球菌属株、およびラクトバチルス・ラムノサス株LB21、ラクトバチルス・プランタルム株LB3、ラクトバチルス・プランタルム株LB7の群より選択される1またはそれより多い生存ラクトバチルス属株の組み合わせを含む、ブドウ球菌属誘導性感染の治療に有用な調製物を記載する。

WO2006/000992は、プロバイオティクス微生物、その分画または代謝産物を、少なくとも1つの二価無機陽イオンと組み合わせる、乾燥または感受性皮膚を防止し、そして/または治療するよう意図される美容的治療を記載する。

Marsellaら(Veterinary Immunology and Immunopathology 146(2012)185−189)は、アレルギー性/アトピー性皮膚炎モデルにおいて、ラクトバチルス・ラムノサスGGの経口投与免疫調節効果を記載する。

EP2161329A1は、ラクトバチルス属細菌由来抽出物の免疫調節効果を記載し、そして炎症性障害の治療における使用を記載する。
Hoangら(Inflammation & Allergy−Drug Targets, 2010, 9, 192−196)は、アトピー性湿疹の治療における、日常イムノバイオティクス(immunobiotic)栄養補助剤としての経口投与ラクトバチルス・ラムノサス細胞溶解物の使用を記載する。

WO2011/045471は、呼吸器感染の治療において使用するための、特にウイルスが引き起こす呼吸器感染、例えばインフルエンザウイルスに対する使用のための、ラクトバチルス・ラムノサスLC705と組み合わせたラクトバチルス・ラムノサスGGの使用を記載する。

概要

本発明は、医学的および美容的治療法において使用するための、プロバイオティクス細菌およびその溶解物を提供する。皮膚感染を含む感染治療における使用、および皮膚バリア再生または修復を伴う方法が企される。

目的

本発明は、医学的治療法において、美容的治療法において使用するための、そして抗細菌剤として使用するための、プロバイオティクス細菌およびその溶解物を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物であって、プロバイオティクス細菌が、ラクトバチルスラムノサス(Lactobacillusrhamnosus)の株、ラクトバチルス・レウテリ(Lactobacillusreuteri)の株、またはビフィドバクテリウムロングム(Bifidobacteriumlongum)の株である、前記細菌またはその溶解物。

請求項2

治療法が、皮膚バリア修復または再生を伴う、請求項1記載の治療法における使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項3

プロバイオティクス細菌がラクトバチルス・ラムノサスGGである、請求項1または2記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項4

プロバイオティクス細菌が傷害後の皮膚の修復または再生において使用するためのものである、請求項1〜3のいずれか一項記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項5

方法が、創傷治癒火傷乾癬魚鱗癬皮膚炎ざ瘡化膿性汗腺炎を含む)、おむつかぶれネザートン症候群日光角化症皮膚真菌症皮膚症、または外胚葉異形成症治療のためである、請求項1〜3のいずれか一項記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項6

治療法が、治療されている患者の皮膚へのプロバイオティクス細菌またはその溶解物の投与を伴う、請求項1〜5のいずれか一項記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項7

プロバイオティクス細菌がラクトバチルス・ラムノサスGGであり、そして治療法が感染の治療または防止を伴う、請求項1記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項8

感染が細菌感染を含む、請求項7記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項9

細菌感染がブドウ球菌属(Staphylococcus)感染、好ましくは黄色ブドウ球菌(Staphylococcusaureus)感染である、請求項7または8記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項10

感染が皮膚感染である、請求項7〜9のいずれか一項記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項11

プロバイオティクス細菌を、異なる株のプロバイオティクス細菌またはその溶解物と同時投与する、先行する請求項いずれか一項記載の使用のためのプロバイオティクス細菌。

請求項12

治療法が、ラクトバチルス・ラムノサスの株またはその溶解物、ラクトバチルス・レウテリの株またはその溶解物、あるいはビフィドバクテリウム・ロングムの株またはその溶解物の1つを、前記株または溶解物の少なくとも別の1つと同時投与する工程を含む、先行する請求項いずれか一項記載の治療法で使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

請求項13

ラクトバチルス・ラムノサス・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物、ならびに/あるいはラクトバチルス・レウテリ・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物、ならびに/あるいはビフィドバクテリウム・ロングム・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物を、被験体に投与する工程を含む、美容的方法。

請求項14

ラクトバチルス・ラムノサス・プロバイオティクス細菌の株がラクトバチルス・ラムノサスGGである、請求項13記載の美容的方法。

請求項15

プロバイオティクス細菌またはその溶解物を、被験体の皮膚に投与する、請求項13または14記載の美容的方法。

請求項16

ラクトバチルス・ラムノサス・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物、ならびに/あるいはラクトバチルス・レウテリ・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物、ならびに/あるいはビフィドバクテリウム・ロングム・プロバイオティクス細菌の株またはその溶解物を含む、美容的組成物

請求項17

ラクトバチルス・ラムノサス・プロバイオティクス細菌の株がラクトバチルス・ラムノサスGGである、請求項16記載の美容的組成物。

請求項18

ラクトバチルス・ラムノサスGGまたはその溶解物を含む、薬学的組成物

請求項19

ラクトバチルス・ラムノサス以外の株のプロバイオティクス細菌またはその溶解物をさらに含み、好ましくはラクトバチルス・ラムノサス以外の株のプロバイオティクス細菌が、ラクトバチルス・レウテリの株である、請求項18記載の薬学的組成物。

請求項20

ラクトバチルス・ラムノサスGGの溶解物。

請求項21

皮膚に投与するために配合され、そしてラクトバチルス・ラムノサスGG、および/またはラクトバチルス・ラムノサスの株および/またはラクトバチルス・レウテリの株、および/またはビフィドバクテリウム・ロングムの株、あるいは前記細菌の1またはそれより多くの溶解物を含む、組成物

請求項22

ラクトバチルス・ラムノサスGGまたはその溶解物を含む、抗細菌組成物

技術分野

0001

本発明は、プロバイオティクス細菌、および特に、排他的ではないが、プロバイオティクス細菌およびその溶解物医学的および美容的適用に関する。

背景技術

0002

ヒトは、多数の微生物定常的に接触しながら生きている。腸は、これまでのところ、最も多くコロニー形成されており、そして腸内微生物叢は、栄養分隔絶(3)、および正常免疫反応発展(22)を含む正常生理の中で重要な役割を果たすことが示されてきている。

0003

正常な腸内微生物叢の中には、いわゆるプロバイオティクス細菌がある。これらの摂取は、抗生物質関連下痢(47)および炎症性腸疾患(42)などの胃腸障害を防止するかまたは治療することが示されてきている。これらの効果の根底にある機構は、大部分、未知のままである。しかし、研究によって、プロバイオティクスが、病原体による腸のコロニー形成を阻害可能であることが示唆されてきている。in vitroでの研究によって、プロバイオティクスが、病原体を阻害するために多様な機構を用いていることが示唆されてきており、これには、上皮細胞上の結合部位に対する直接競合(12)および栄養素に対する病原性細菌との競合が含まれる。プロバイオティクス生物はまた、病原体を殺すかまたはその増殖を制限することが可能な、バクテリオシン(13)および有機酸(25)などの阻害性物質を産生することも可能である。選択されたプロバイオティクス、例えばL.プランタルム(L. plantarum)299vは、上皮細胞によるムチン産生上方制御し、それによって、病原体付着を防止することが示されてきている(33)。プロバイオティクスはまた、細胞へのプロバイオティクスの付着を可能にする一方、病原性細菌の付着を阻害する、生物系界面活性剤も産生しうる(43)。

0004

腸とは対照的に、皮膚細菌および表皮の間の正常な相互作用に関しては、非常にわずかしか知られていない。近年の研究によって、皮膚共生生物もまた、病原性細菌による皮膚のコロニー形成を制限可能である可能性もあることが示唆されている(48)。研究によってまた、特定の皮膚疾患(例えば尋常性ざ瘡およびアトピー性皮膚炎)が、正常細菌叢に対する破壊と関連しうることもまた示唆されてきている(4、6、8)。したがって、特定の皮膚共生生物を用いて、皮膚細菌叢を調節して、健康を促進するか、または疾患を阻害することが可能であるというアイディアは、ある程度の注目を集めてきた(30、31)。しかし、皮膚共生細菌はまた、特定の状況下では病原性でもありうる(16)。対照的に、プロバイオティクスは、一般的に安全と見なされており(generally regarded as safe)(GRAS)、そしてしたがって、これらの細菌は、療法的価値を有するならば、局所で潜在的に使用可能である(17)。これまでのところ、慣用的なプロバイオティクス細菌が、皮膚上で用いる際に重要な価値を有しうることは、この分野で、限定された量の研究によってのみ、示唆されている。例えば、B.ロングム・レウター(B. longum reuter)溶解物を局所適用すると、「反応性皮膚」の臨床的改善が誘導されることが示されてきている。これは、大気温度などの物理的変化に対して、そして局所適用製品で見られるような化学的変化に対して、より感受性が高い皮膚である(20)。B.ロングム溶解物のボランティア皮膚への適用は、感度を減少させ、そしてテープ剥離後の経皮水分喪失(TEWL)を減少させることが示された。さらに、ex vivo皮膚への溶解物の適用は、血管拡張浮腫およびTNF−α放出などの炎症の徴候を減少させることが示された(20)。L.プランタルムの局所適用もまた、火傷マウスモデルにおいて組織修復を改善し、そしてヒトにおける慢性下腿潰瘍および火傷において感染を防止することが立証された(40、41、46)。しかし、一般的に、これらの効果の根底にある機構は未知のままである。

0005

黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)は、体の湿った温かい領域、例えば鼠径部腋窩および前鼻孔に主に存在する、一過性コロニー形成細菌である(28)。人々の最大60%が断続的なキャリアであり、一方、人々の20%が安定してコロニー形成されうる(28)。正常な保菌は無症候性であるが、黄色ブドウ球菌は組織侵入する可能性があり(例えば破壊された皮膚を通じて)、ここで、比較的重大でない膿痂疹および熱傷様皮膚症候群から、生命脅かす状態、例えば敗血症までの範囲の疾患を引き起こす(29)。さらに、黄色ブドウ球菌感染は、しばしば、皮膚の二次的現象であり、アトピー性皮膚炎などの根底にある状態を伴う(27)。

0006

タイトジャンクション(TJ)は、隣接する上皮細胞間傍細胞空間を密封し、そして小さい親水性分子およびイオンに対して、この経路を通じた輸送を制限する多タンパク質複合体である(55)。経上皮電気抵抗(TEER)は、TJ機能の測定値である(56、57)。TJ機能は、しばしば、複合体に関与する特定のタンパク質発現レベルに反映される。角化細胞によって発現される主なTJタンパク質には、クローディン1、クローディン4、ZO−1およびオクルディンが含まれる。

0007

以前に、バリア機能における変化に関連付けられてきた、特に、クローディンの発現レベルにおける変化が、多くの場合、示されてきている。今日まで、24の哺乳動物クローディンが同定されてきており、そしてこれらは一般的に2つのクラス−バリアを強化するものおよび選択的な孔を形成するものに分類される(58)。いくつかの系列証拠が、クローディン1および4の役割をバリア強化クローディンと指摘している。細胞株において、クローディン1の過剰発現は、TEERを増加させ、そして傍細胞マーカーに対する細胞の浸透性を減少させた。クローディン4は、イオン通過に対して傍細胞空間を密封し、そしてこれを行うことで、単層のTEERが増加する[59、60]。ZO−1発現の増加は、A431細胞のTEERを増進させ(61)、そしてホルモンGLP1もまた、ZO−1およびオクルディン発現を増加させることによって、caco−2細胞におけるTJ機能を増進させる(62)。皮膚におけるTJの存在は、比較的最近になって初めて発見されてきた。したがって、現在、特定のTJタンパク質種皮膚バリア機能に対する寄与は、大部分未知である。しかし、クローディン1の遺伝子喪失は、マウスにおいて致死性であることが知られている(63)。

0008

角化細胞は、toll様受容体TLR)などのパターン認識受容体を通じて、細菌の存在を感知する。腸におけるいくつかの系列の証拠は、TLR活性化およびTJバリア機能における変化の間の関係を指摘してきている。Yukiらによる最近の研究(53)によって、細菌リガンド、例えばペプチドグリカンに反応した角化細胞におけるTJ機能の増大をTLRが仲介することが立証された。

0009

WO2011/029784は、皮膚に対するラクトバチルスラムノサス(Lactobacillus rhamnosus)株、LMG P−25211の株の抗炎症作用、および炎症性またはアレルギー性皮膚状態を防止するかまたは治療する際のその使用を記載する。

0010

WO2010/056198は、1またはそれより多い生存α連鎖球菌属株、およびラクトバチルス・ラムノサス株LB21、ラクトバチルス・プランタルム株LB3、ラクトバチルス・プランタルム株LB7の群より選択される1またはそれより多い生存ラクトバチルス属株の組み合わせを含む、ブドウ球菌属誘導性感染の治療に有用な調製物を記載する。

0011

WO2006/000992は、プロバイオティクス微生物、その分画または代謝産物を、少なくとも1つの二価無機陽イオンと組み合わせる、乾燥または感受性皮膚を防止し、そして/または治療するよう意図される美容的治療を記載する。

0012

Marsellaら(Veterinary Immunology and Immunopathology 146(2012)185−189)は、アレルギー性/アトピー性皮膚炎モデルにおいて、ラクトバチルス・ラムノサスGGの経口投与免疫調節効果を記載する。

0013

EP2161329A1は、ラクトバチルス属細菌由来抽出物の免疫調節効果を記載し、そして炎症性障害の治療における使用を記載する。
Hoangら(Inflammation & Allergy−Drug Targets, 2010, 9, 192−196)は、アトピー性湿疹の治療における、日常イムノバイオティクス(immunobiotic)栄養補助剤としての経口投与ラクトバチルス・ラムノサス細胞溶解物の使用を記載する。

0014

WO2011/045471は、呼吸器感染の治療において使用するための、特にウイルスが引き起こす呼吸器感染、例えばインフルエンザウイルスに対する使用のための、ラクトバチルス・ラムノサスLC705と組み合わせたラクトバチルス・ラムノサスGGの使用を記載する。

0015

WO2011/029784
WO2010/056198
WO2006/000992
EP2161329A1
WO2011/045471

先行技術

0016

Marsellaら(Veterinary Immunology and Immunopathology 146(2012)185−189)
Hoangら(Inflammation & Allergy−Drug Targets, 2010, 9, 192−196)

課題を解決するための手段

0017

本発明は、医学的治療法において、美容的治療法において使用するための、そして抗細菌剤として使用するための、プロバイオティクス細菌およびその溶解物を提供する。皮膚感染を含む感染治療における使用、および皮膚バリア再生または修復を伴う方法が開示される。

0018

本発明は、治療法において使用するためのプロバイオティクス細菌を提供する。プロバイオティクス細菌は、溶解物の形で提供されてもよい。好ましい態様において、プロバイオティクス細菌は、L.ラムノサス、L.レウテリ(L. reuteri)、またはビフィドバクテリウム・ロングム(Bifidobacterium longum)の株である。好ましくは、プロバイオティクス細菌はL.ラムノサスGGである。L.ラムノサスGGは、寄託番号53103の下にATCCに寄託されている。治療法は、L.ラムノサスGGを患者投与する工程を含むことも可能である。方法は、患者の皮膚にL.ラムノサスGGを投与する工程を含むことも可能である。本発明の方法は、治療を経ている患者において、状態の治療または軽減を生じる。

0019

いくつかの態様において、医学的治療法は、感染、例えば細菌感染、例えばブドウ球菌属感染の治療法または防止法である。感染は、黄色ブドウ球菌感染であってもよい。感染は、皮膚感染であってもよい。プロバイオティクス細菌、溶解物または組成物を、感染性病原体と、別個に、連続して、または同時に、例えば創傷または皮膚バリア中の他の破損(breach)に投与してもよい。

0020

いくつかの態様において(またはさらに)、医学的治療法は、皮膚バリアの修復または再生を伴う方法である。皮膚バリアの修復または再生を伴う方法において、プロバイオティクス細菌は、L.ラムノサス、L.レウテリまたはビフィドバクテリウム・ロングムの株であってもよい。プロバイオティクス細菌は、L.ラムノサスGGであってもよい。これらの方法において、プロバイオティクス細菌の2つの異なる株を同じ治療法で投与してもよく、例えば、L.レウテリおよびL.ラムノサスGGを同時投与してもよい。生存、不活性化、または溶解物として、プロバイオティクス細菌を投与してもよい。2またはそれより多いプロバイオティクス細菌を投与しようとする場合、1またはそれより多い細菌を溶解物として投与してもよい。

0021

皮膚バリアの修復または再生を伴う治療法は、傷害後の皮膚の修復または再生を伴うことも可能である。
皮膚バリアの修復または再生を伴う治療法は、乾癬魚鱗癬皮膚炎創傷治癒ざ瘡化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれネザートン症候群日光角化症皮膚真菌症皮膚症、または外胚葉異形成症、あるいは皮膚バリアの損傷または破壊に関連する他の障害の治療において有用でありうる。他のこうした障害は、当業者には容易に認識されるであろう。好ましくは、方法は、皮膚へのプロバイオティクス細菌の投与を伴う。

0022

本発明はさらに、皮膚感染の治療、ならびに/あるいは皮膚バリアの修復または再生のための薬剤製造における、プロバイオティクス細菌またはその溶解物の使用をさらに提供する。プロバイオティクス細菌は、L.ラムノサス、L.レウテリまたはビフィドバクテリウム・ロングム株であってもよい。該細菌は、L.ラムノサスGGであってもよい。薬剤は、プロバイオティクス細菌の2またはそれより多い株を含んでもよいし、あるいはプロバイオティクス細菌の別の株またはその溶解物と同時投与されてもよい。薬剤は、傷害後の、あるいは乾癬、魚鱗癬、皮膚炎、創傷治癒、ざ瘡(化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれ、ネザートン症候群、日光角化症、皮膚真菌症、皮膚症、または外胚葉異形成症、あるいは皮膚バリアの損傷または破壊に関連する他の障害の治療において、皮膚の修復または再生に有用でありうる。他のこうした障害が、当業者には容易に認識されるであろう。

0023

本発明はまた、プロバイオティクス細菌を含む薬学的組成物も提供する。薬学的組成物は、L.ラムノサス・プロバイオティクス細菌、例えばL.ラムノサスGGまたはL.レウテリを含んでもよいし、あるいはビフィドバクテリウム・ロングム・プロバイオティクス細菌を含んでもよい。薬学的組成物は、別のプロバイオティクス細菌株、例えばL.レウテリ、L.ラムノサスGGまたはビフィドバクテリウム・ロングムの1つをさらに含んでもよい。薬学的組成物は、1またはそれより多いプロバイオティクス細菌株の溶解物、あるいは溶解物、生存または不活性化プロバイオティクス細菌の混合物を含んでもよい。薬学的組成物を、こうした治療が必要な患者の皮膚に投与するために配合してもよい。

0024

本発明はさらに、被験体にプロバイオティクス細菌またはその溶解物を投与する工程を伴う美容的治療法、あるいは美容的治療法における、こうしたプロバイオティクス細菌またはその溶解物の使用を提供する。こうした態様は、療法または手術による、ヒトまたは動物の体の治療を伴わない。こうした美容的方法において、プロバイオティクス細菌は、好ましくは、L.ラムノサス・プロバイオティクス細菌またはその溶解物、例えばL.ラムノサスGG、あるいはL.レウテリ・プロバイオティクス細菌またはその溶解物、あるいはビフィドバクテリウム・ロングム・プロバイオティクス細菌またはその溶解物を含む。方法は、被験体の皮膚へのプロバイオティクス細菌の投与を伴うことも可能である。

0025

方法はまた、L.ラムノサス・プロバイオティクス、例えば、L.ラムノサスGG、L.レウテリ、ビフィドバクテリウム・ロングムまたはその溶解物を含む、美容的組成物も提供する。美容的組成物は、1またはそれより多いL.ラムノサス・プロバイオティクス細菌、例えばL.ラムノサスGG、L.レウテリ、ビフィドバクテリウム・ロングムまたは溶解物、あるいはこれらのプロバイオティクス細菌の1、2または各々を含んでもよい。

0026

本発明はさらに、プロバイオティクス細菌またはその溶解物を含む抗細菌組成物を提供する。プロバイオティクス細菌は、L.ラムノサスGGであってもよい。こうした組成物は、細菌を殺すか、あるいはその作用または増殖を阻害するのに有用でありうる。組成物は、細菌がその上にいたか、またはいたと推測されるか、または細菌に曝露される可能性が高い表面を清浄にするかまたは前処理するために有用でありうる。いくつかの態様において、患者または被験体への投与に適さないように、抗細菌組成物を配合してもよい。

0027

本発明はまた、例えば療法的および/または美容的および/または抗細菌使用に適した、組成物を調製する方法にも関する。方法は、プロバイオティクス細菌集団を溶解に供し、そして生じた溶解物を組成物に配合する工程を含むことも可能である。あるいは、方法は、損なわれていない(intact)細菌を組成物に配合する工程を含むことも可能である。方法は、例えば、溶解物から、損なわれていない細菌を分配することによって、損なわれていない細菌を除去するかまたは不活性化するように、細菌または溶解物を処理する工程を含むことも可能である。溶解物を精製または濾過工程に供して、例えば、損なわれていない細菌、細菌増殖培地または混入物質を除去することも可能である。

0028

こうした方法によって調製された組成物は、治療における、例えば細菌感染を治療する際の、または皮膚バリアを修復するための使用に適している可能性もある。こうした方法は、1またはそれより多い薬学的にまたは美容的に許容されうる賦形剤の添加を伴うことも可能である。他の組成物、例えば抗細菌組成物、例えば洗浄液は、治療における使用に適していない可能性もある。

0029

以下の番号付けされた段落は、本明細書に開示する本発明の技術的特徴の広い組み合わせの言及を含有する:
1.治療法において使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物であって、プロバイオティクス細菌がラクトバチルス・ラムノサスGGである、前記プロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0030

2.治療法が、治療しようとする患者の皮膚への、プロバイオティクス細菌またはその溶解物の投与を伴う、段落1記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0031

3. 感染の治療法または防止法において使用するための、段落1または段落2記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。
4. 感染が細菌感染を含む、段落3記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0032

5.細菌感染がブドウ球菌属感染、好ましくは黄色ブドウ球菌感染である、段落4記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。
6.治療法が皮膚感染のためのものである、先行する段落いずれか1つに記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0033

7.プロバイオティクス細菌がL.ラムノサスまたはL.レウテリ・プロバイオティクス細菌である、皮膚バリアの修復または再生を伴う治療法において使用するためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0034

8. 方法が、皮膚へのプロバイオティクス細菌またはその溶解物の投与を伴う、段落7記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。
9. プロバイオティクス細菌がL.ラムノサスGGである、段落7記載の使用のためのプロバイオティクス細菌またはその溶解物。

0035

10. 方法が、乾癬、魚鱗癬、皮膚炎、創傷治癒、ざ瘡(化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれ、ネザートン症候群、日光角化症、皮膚真菌症、皮膚症、または外胚葉異形成症の治療のためである、段落7〜9のいずれか1つに記載の使用のためのプロバイオティクス細菌。

0036

11.プロバイオティクス細菌を、異なる株のプロバイオティクス細菌またはその溶解物と同時投与する、先行する段落のいずれか1つに記載の使用のためのプロバイオティクス細菌。

0037

12.治療法がL.レウテリまたはその溶解物との同時投与を伴う、先行する段落のいずれか1つに記載のプロバイオティクス細菌またはその溶解物。
13. L.ラムノサスGGまたはその溶解物を含む、薬学的組成物。

0038

14. L.ラムノサス以外の株のプロバイオティクス細菌またはその溶解物をさらに含み、好ましくはL.ラムノサス以外の株のプロバイオティクス細菌がL.レウテリである、段落13記載の薬学的組成物。

0039

15. L.ラムノサス・プロバイオティクス細菌、例えばL.ラムノサスGG、L.レウテリ、またはその溶解物の1またはそれより多くの、被験体への投与を含む、美容的方法。

0040

16.プロバイオティクス細菌または溶解物を被験体の皮膚に投与する、段落15記載の美容的方法。
17. L.ラムノサス・プロバイオティクス細菌またはその溶解物、および/またはL.レウテリ・プロバイオティクス細菌またはその溶解物を含む、美容的組成物。

0041

18. L.ラムノサスGGまたはその溶解物を患者に投与し、それによって患者を治療する工程を含む、医学的治療法。
19.プロバイオティクス細菌またはその溶解物を患者の皮膚に投与する、段落18記載の方法。

0042

20. L.ラムノサスGG以外のプロバイオティクス細菌またはその溶解物を患者に投与する工程をさらに含み、L.ラムノサス以外のプロバイオティクス細菌が好ましくはL.レウテリである、段落18または段落19記載の医学的治療法。

0043

21.医学的治療が感染の治療または防止である、段落18記載の医学的治療法。
22. 医学的治療が、皮膚感染の治療または防止であり、そして皮膚感染が治療後に治療されるかまたは軽減される、段落18〜21のいずれか1つに記載の医学的治療法。

0044

23.治療が必要な患者に、L.ラムノサス、L.ラムノサスGGまたはL.レウテリを投与する工程を含む、医学的治療法であって、治療が皮膚バリアの修復または再生のためであり、皮膚バリアが治療後に修復されるかまたは再生される、前記治療法。

0045

24. L.ラムノサス、L.ラムノサスGGまたはL.レウテリを患者の皮膚に投与する、段落23記載の医学的治療法。
25.治療法が、乾癬、魚鱗癬、皮膚炎、創傷治癒、ざ瘡(化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれ、ネザートン症候群、日光角化症、皮膚真菌症、皮膚症、または外胚葉異形成症のためである、段落22または段落23記載の方法。

0046

26. 感染治療において使用するための薬剤製造におけるプロバイオティクス細菌またはその溶解物の使用であって、プロバイオティクス細菌がL.ラムノサスGGである、前記使用。

0047

27.治療において使用するための薬剤製造におけるプロバイオティクス細菌またはその溶解物の使用であって、治療が、皮膚バリアの修復または再生を伴い、そしてプロバイオティクス細菌がL.ラムノサスまたはL.レウテリ・プロバイオティクス細菌である、前記使用。

0048

28.薬剤を皮膚への投与のために配合する、段落26または段落27記載の使用。
29. 方法が、乾癬、魚鱗癬、皮膚炎、創傷治癒、ざ瘡(化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれ、ネザートン症候群、日光角化症、皮膚真菌症、皮膚症、または外胚葉異形成症の治療のためである、段落28記載の方法。

0049

30.治療が、1より多いプロバイオティクス細菌またはその溶解物の同時投与を伴う、段落26〜29のいずれか1つに記載のプロバイオティクス細菌または溶解物の使用。

0050

31. L.ラムノサスGGの溶解物。
32. 皮膚への投与のために配合され、そしてL.ラムノサスGG、L.ラムノサスおよび/またはL.レウテリ、あるいは1またはそれより多くの前記細菌の溶解物を含む、組成物。

0051

33. L.ラムノサスGGまたはその溶解物を含む、抗細菌組成物。
好ましい態様の説明
本発明には、組み合わせが明らかに許容されえないか、または明確に回避される場合を除き、記載する側面および好ましい特徴の組み合わせが含まれる。

0052

本明細書記載セクション見出しは、構成上の目的のみのためであり、そして記載する主題を限定するとは見なされないものとする。
本発明の側面および態様が、ここで、付随する図に言及して、例として例示されるであろう。さらなる側面および態様が、当業者には明らかであろう。本文に言及されるすべての文書は、本明細書に援用される。

0053

皮膚は、生物および外界の間の主要なバリアである。皮膚は病原体による進入を防止するが、同時にまた、体からの水および電解質喪失も防止する。今日まで、皮膚のバリア機能は、もっぱら角質層の役割であると考えられてきた。しかし、タイトジャンクションとして知られる複合体もまた、皮膚のバリア機能に非常に重要である。ときに、皮膚のバリアは、創傷または剥脱(abrasion)のために破損する。これらの場合、皮膚は、それ自体を修復しなければならない。しかし、ときに、修復は十分迅速には起こらず、そしてこのため、皮膚は感染に対して開放される。本発明者らは:
1)有害な病原体、黄色ブドウ球菌(メチシリン耐性株を含む)から皮膚を保護する
2)皮膚細胞の再生を刺激し、そしてそのバリア機能を改善する
能力に関して、ある範囲のプロバイオティクス細菌をスクリーニングしてきた。

0054

本発明者らは、皮膚細胞保護および再生特性を持つプロバイオティクス細菌株(L.ラムノサスGG)を同定してきた。重要なことに、この株の溶解物は、皮膚角化細胞が、黄色ブドウ球菌(SA)によって誘導される有害な毒性に抵抗する能力を改善する(図9A)。第二の株の溶解物(L.レウテリ)と組み合わせて用いると、どちらかの株を単独で用いた際よりも、黄色ブドウ球菌に対して防御する際、組み合わせがさらにより有効である(図9B)。本発明者らはまた、角化細胞単層が擦過されて細胞が取り除かれた際(すなわちモデル創傷)、本発明者ら私有のプロバイオティクス溶解物の存在が、有意にそして驚くべきことに、単層の回復およびバリアの再確立加速することも立証した(図10)。

0055

角化細胞のバリア機能を増加させそして修復する剤は、療法剤としてだけでなく、美容的皮膚改善剤としても大きな潜在能力を有する。バリア機能の増大は、皮膚水和レベルを増加させ、そして皮膚の外見を改善し、そしてより健康な美容的外見を導くことが知られる。

0056

本発明者らの観察は、プロバイオティクスの有用性および適用を広げる。本発明者らの最初の観察は、プロバイオティクスが:創傷治癒、創傷ドレッシングのためのコーティング技術、美容的および療法的使用(例えばアトピー性皮膚炎)のための改善された皮膚バリアクリーム;抗細菌製品、例えばハンドウォッシュおよび石鹸、ならびに皮膚バリア機能の維持/修復を目的とし、そして日光曝露および加齢によって損傷を受けたバリアを回復するための治療を目的とする美容的調製物を含む、皮膚ケアのいくつかの適用に適用可能であることを示す。

0057

有害な細菌の有害な影響を防止し、そして同時に損傷を受けた皮膚バリアを能動的に修復する潜在能力を持つことから、皮膚ケアにおけるプロバイオティクスの商業的適用は意義深い。ますます多くの人々が、一般的な皮膚の病気(alignments)に対する、自然で安全な、そして有効な治療を要求しており、そして本発明者らの技術は、これらの市場の要求を満たす、有意な進歩に相当する。

0058

本発明者らの技術は、皮膚バリアの確立/修復のための新規療法剤だけでなく、現存する攻撃的な療法、例えば抗生物質に対する必要性も潜在的に回避しうる。現在、中心となる防止法には、有効であるが、いくつかの有害な影響を有する、抗細菌剤が含まれる。治療は、有害な細菌感染を殺すために抗生物質の使用に頼る。本発明者らのアプローチは、有害な皮膚病原体を阻害するだけでなく、細胞レベルでバリアの修復を能動的に促進する。バリア機能/修復の低下は、感染を撃退する能力の減少と同時に進行するため、本発明者らの溶解物は、バリアおよびバリアが病原体に対して保護する能力の両方を増進する技術に相当する。

0059

市場には、現在、構成要素として生きた細菌を含む製品は非常にわずかしかない(例えば、むき出しの生きた皮膚へのプロバイオティック美容範囲)。本発明者らの精製溶解物アプローチは、より低い濃度で;増加した安定性および容易な産生で;そして改善された品質保持期間で、調節可能でありそして定義可能な活性を提供することによって、これらのアプローチに勝る、多くの機能的および商業的利点を有する。総合すると、これらによって、生きた細菌のクリームを製造し、そして流通させるのが困難であるのとは異なり、本発明者らの技術は、療法的および美容的使用により受け入れられやすいものとなっている。

0060

図面の簡単な説明
本発明の原理を例示する態様および実験が、ここで、付随する図に言及しながら論じられるであろう:

図面の簡単な説明

0061

黄色ブドウ球菌が、角化細胞生存度に対して、用量依存性の影響を有することを示す図。未感染細胞は、81.2±4.1%の生存度を有した。105cfu/mlの黄色ブドウ球菌に曝露された細胞は、49.4±11.1%の生存度を有した。106cfu/mlの黄色ブドウ球菌に曝露された細胞は、30.5±9.8%の生存度を有した。107cfu/mlの黄色ブドウ球菌に曝露された細胞は、12.1±1.1%の生存度を有し、一方、108cfu/mlの黄色ブドウ球菌に曝露された細胞は、3.3±1.1%の生存度を有した。線形回帰分析によって、濃度および生存度パーセントの間の線形関係が確認された(p<0.001)。結果を平均±SEMで表す。
ラクトバチルスは、黄色ブドウ球菌の細胞傷害効果から角化細胞を保護する。(A)未感染NHEK(86.9%±5.1)、ならびに108cfu/mlの黄色ブドウ球菌(SA)(8.8%±7.1)、L.レウテリ(LR)(80.8%±4.5)、L.ラムノサス(LRH)(84.8%±2.1)、L.サリバリウス(L. salivarius)(LS)(71.7%±2.9)、黄色ブドウ球菌およびL.レウテリ(SA+LS)(53.1%±4.2)、黄色ブドウ球菌およびL.ラムノサス(SA+LRH)(42.7%±7.4)、ならびに黄色ブドウ球菌およびL.サリバリウス(SA+LS)(31.1%±6.5)に感染したNHEKに関する生存度パーセントを示す図。結果を平均±SEMで示す。
ラクトバチルスは、黄色ブドウ球菌の細胞傷害効果から角化細胞を保護する。(B)トリパンブルーで染色した感染細胞の代表的な画像(倍率x200)。A)未処理、B)108cfu/mlの黄色ブドウ球菌に感染、C)108cfu/mlのL.レウテリに曝露、またはD)108cfu/mlの黄色ブドウ球菌および同時に108cfu/mlのL.レウテリに感染。(C)106黄色ブドウ球菌(SA)(31.6±4.1%)、または黄色ブドウ球菌および106 L.レウテリ(A)(54.8±2.7%)、黄色ブドウ球菌および107 L.レウテリ(B)(55.4±4.3%)、ならびに黄色ブドウ球菌および108 L.レウテリ(C)(56.2±4.1%)に感染した細胞の生存度を示す図。(D)黄色ブドウ球菌(SA)に曝露された角化細胞は、対照(92±1.9%)に比較して、37.4±1.3%の減少した生存度を有する一方、熱殺菌L.レウテリ(HKLR)に曝露された角化細胞はその生存度にほとんど変化がなかった(88.3±3.3%)ことを示す図。熱殺菌L.レウテリにあらかじめ曝露された角化細胞(プレHKLR)は、黄色ブドウ球菌に曝露された角化細胞と類似の生存度を有した(33±2.1%)。結果を平均±SEMで示す。
ラクトバチルスは、黄色ブドウ球菌の細胞傷害効果から角化細胞を保護する。(E)L.レウテリ溶解物(LR溶解物)が角化細胞を保護可能であることを示す図、P=0.01。黄色ブドウ球菌(SA)のみに曝露された細胞は、L.レウテリの溶解物にあらかじめ曝露された細胞(プレ溶解物)(57.7±2.4対数cfu)よりも有意により低い生存度を有した(38.3±4.7対数cfu)。結果を平均±SEMで示す。
L.レウテリは、黄色ブドウ球菌での感染の前に添加された場合にのみ、角化細胞を保護する。(A)同時感染させた(SA+LR)(57.1±2、P=0.0016)および1時間(プレ1時間)(63.6±5.6%、P=0.0003)、2時間(プレ2時間)(56.1±1.2%、P=0.0022)および4時間(プレ4時間)(52.4±4.1%、P=0.0066)、L.レウテリにあらかじめ曝露した細胞において、黄色ブドウ球菌(SA)感染細胞(29.8±3.8)に比較して、生存度パーセントが有意により高かったことを示す図。(B)感染開始後に1時間(ポスト1時間)(25.8±0.6%)、2時間(ポスト2時間)(29.3±2.6%)、または4時間(ポスト4時間)(33.57±4.9%)、L.レウテリで処理した細胞、および黄色ブドウ球菌(SA)のみに感染させた細胞(29.9±3.4%)の間には、有意な相違がなかったことを示す図(P>0.05)。結果を平均±SEMとして示す。
図4a。L.レウテリは、共培養において、黄色ブドウ球菌の増殖を阻害しない。長時間に渡る群間の有意でない相違を明らかにする、競合アッセイの結果を示す図(P=0.146)。

0062

図4b(表1)。L.レウテリは、細胞培養におけるブドウ球菌生存度に影響を及ぼさない。細胞の非存在下で増殖した黄色ブドウ球菌は、8.0(対数cfu)の生存数を有した。角化細胞の存在下で増殖した黄色ブドウ球菌は、8.6±0.2の生存数を有した。細胞の非存在下で、L.レウテリと同時インキュベーションされた黄色ブドウ球菌は、8.4±0.4の生存数を有し、一方、細胞の存在下で、L.レウテリと同時インキュベーションされた黄色ブドウ球菌は、8.0±0.2の生存数を有した。群間に有意な相違はまったく見られなかった(P=0.34)。結果を平均±SEMとして表す。
L.レウテリは、角化細胞の黄色ブドウ球菌接着および侵入を阻害する。それぞれ、以下を示す図:(A)黄色ブドウ球菌はおよそ5.5±0.3対数cfu/mlで接着し、そしてL.レウテリはおよそ6.2±0.1対数cfu/mlで接着する。(B)排除。黄色ブドウ球菌感染前にL.レウテリにあらかじめ曝露された細胞(プレLR)は、黄色ブドウ球菌(SA)単独で感染させた細胞(4.4±0.4対数cfu)に比較して、これらに接着するブドウ球菌を有意により少なくした(5.7±0.2対数cfu)。(C)競合。L.レウテリに同時感染した細胞(SA+LR)は、黄色ブドウ球菌(SA)のみに感染した細胞(5.6±0.1対数cfu)に比較して、これらに接着するブドウ球菌を有意により少なくした(4.4±0.4対数cfu)。(D)置換。黄色ブドウ球菌感染が始まった後にL.レウテリに曝露された細胞(ポストLR)上のブドウ球菌の数(5.3±0.5対数cfu)には、黄色ブドウ球菌(SA)のみに感染した細胞(5.7±0.3対数cfu、P=0.47)に比較して、有意な相違がなかった。結果を平均±SEMとして表す。
L.レウテリは、角化細胞の黄色ブドウ球菌接着および侵入を阻害する。それぞれ、以下を示す図:(E)L.レウテリに同時感染した細胞は、黄色ブドウ球菌のみに感染した細胞(6.1±0.1対数cfu)よりも、有意により少ない内在化ブドウ球菌(4.5±0.1対数cfu)を有した。結果を平均±SEMとして表す。
熱殺菌L.レウテリは、角化細胞へのブドウ球菌接着を阻害不能であったが、溶解物は阻害可能であった。それぞれ、以下を示す図:(A)単独で(SA)適用した際(6.5±0.2対数cfu)、NHEKを生存L.レウテリにあらかじめ曝露した後に添加した際(プレLR)(5.3±0.1対数cfu)、および熱殺菌L.レウテリにあらかじめ曝露した際(プレHKLR)(6.1±0.3対数cfu)に、NHEKに接着するブドウ球菌の数。細胞を未処理L.レウテリに曝露すると、有意により少ないブドウ球菌が結合した(P=0.003)が、熱殺菌L.レウテリに曝露した細胞では、接着ブドウ球菌に有意な相違はなかった(P=0.09)。(B)単独で適用した際(SA)(6.3±0.1対数cfu)、NHEKに接着したブドウ球菌の数は、NHEKを生存L.レウテリにあらかじめ曝露した後に添加した際(プレLR)(5.6±0.2対数cfu、P=0.0002)、およびL.レウテリの溶解物にあらかじめ曝露した際(プレ溶解物)(6.0±0.2対数cfu、P=0.032)より有意に多かった。結果を平均±SEMとして表す。
黄色ブドウ球菌は、α5β1インテグリンを利用して角化細胞に結合し、そしてこのインテグリンをブロッキングすると、黄色ブドウ球菌の影響から角化細胞を防御するのに十分である。それぞれ、以下を示す図:(A)未処理角化細胞(6.1±0.1対数cfu、P=0.007)に比較して、60μg/mlのブロッキング抗体で処理した細胞(5.7±0.1対数cfu)には、有意により少ないブドウ球菌しか接着しなかった。結果を平均±SEMとして表す。(B)黄色ブドウ球菌単独(SA)に感染した角化細胞(19.3±2.0%、P=0.03)に比較して、感染前に抗α5β1インテグリン抗体にあらかじめ曝露した際(プレイテグリン)(47.9±6.0%)、黄色ブドウ球菌に24時間感染させた後、有意により多くの角化細胞が生存可能であった。結果を平均±SEMとして表す。
L.サリバリウスは、角化細胞へのブドウ球菌接着を阻害することができなかった。それぞれ、以下を示す図:(A)L.サリバリウスにあらかじめ曝露された角化細胞(プレLS)は、黄色ブドウ球菌単独(SA)に曝露された細胞(4.9±0.2対数cfu)に比較して、類似の数の接着ブドウ球菌(4.5±0.2対数cfu)を有した。(B)L.レウテリ(LR)は、L.サリバリウス(LS)(5.6±0.1対数cfu、P=0.005)よりも、有意に優れて接着した(6.7±0.1対数cfu)。結果を平均±SEMとして表す。
それぞれ、以下を示す図:(A)病原体、黄色ブドウ球菌(SA)に24時間曝露されたヒト初代角化細胞。これは、およそ80%の細胞の死亡を生じ、24時間後、わずか20%の角化細胞しか生存可能ではなかった。溶解物P1(LGG)またはP2(L.レウテリ)の存在下で、病原体への24時間の曝露後、有意により多数の角化細胞が生存可能なままである(それぞれ50%および60%)。
それぞれ、以下を示す図:(B)プロバイオティクス溶解物P1(LGG)およびP2(L.レウテリ)は、同時に適用された際により有効であり、そして各株を別個に適用した際よりも、角化細胞の生存度に、より大きい防御効果を有する。
創傷形成」擦過アッセイ由来の画像。「創傷形成」擦過アッセイにおいて、P1(LGG)およびP2(L.レウテリ)溶解物はどちらも、バリア修復を加速する。擦過の18時間後、溶解物処理試料中の細胞(P1およびP2)は、擦過によって引き起こされた損傷をほぼ修復したが、一方、未処理細胞(対照)においては、擦過はなお明らかである。
ウェル拡散アッセイの画像。AC413が黄色ブドウ球菌の増殖を阻害しないことを示すウェル拡散アッセイ。この実験のため、黄色ブドウ球菌を細菌の芝生としてプレーティングした。次いで、ウェル寒天内に掘り、そしてAC413をウェルに入れた。AC413による黄色ブドウ球菌のいかなる殺傷も、ウェル周囲の阻害ゾーンとして見られるであろう。
LGGが黄色ブドウ球菌の増殖速度を減少させることを示す図。この実験において、黄色ブドウ球菌(SA)およびLGGをともに増殖させた(SA+LGG)。追加の実験もまた、LGG溶解物と黄色ブドウ球菌の増殖を伴った(SA+LGG溶解物)。グラフは、生存LGGまたは溶解物いずれかの存在下で、黄色ブドウ球菌の増殖がより緩慢になることを立証する。
LGGおよびその溶解物が黄色ブドウ球菌を殺すことを示す図。この実験において、死んだ黄色ブドウ球菌の数を、生存LGGまたはLGG溶解物の存在下で測定した。死んだ細菌の最高数は、LGG溶解物で見られる。
LGGまたはLレウテリ溶解物が角化細胞単層の再上皮化速度を増加させることを示す図。この実験において、角化細胞単層を擦過し、そしてLGG、Lレウテリ(LR)、L.プランタルム(LP)、L.ファーメンタム(L. fermentum)(LF)、表皮ブドウ球菌(SEPI)またはビフィドバクテリウム・ロングム(BIF)のいずれかの存在下で、再上皮化速度を測定した。LGGまたはLレウテリのみが、再上皮化速度を増加させる。
LGGおよびL.レウテリが角化細胞遊走速度を増加させることを示す図。この実験において、角化細胞の遊走は単層が再上皮化する重要な機構であるため、これを測定した。LGGまたはL.レウテリのみが角化細胞の遊走を増加させる。
プロバイオティクス細菌が、角化細胞生存度に対する株依存性の効果を有することを示す図。ヒト初代上皮角化細胞を、108CFU/ml細菌と24時間インキュベーションした。曝露後、MTTアッセイを用いて角化細胞の生存度を測定した。B.ロングム・レウター(B. longum reuter)、L.プランタルム(LP)、L.レウテリ(LR)またはL.ラムノサス・ゴールドウィン(Goldwin)およびゴーバック(Gorbach)(LGG)の存在下でインキュベーションした角化細胞の生存度は、未処理細胞(対照)のものと有意に異ならなかった。しかし、L.ファーメンタム(LF)で処理した角化細胞培養は、対照に比較して減少した生存度を有した(生存度の〜50%の減少、p<0.005)。
プロバイオティクス細菌が、株特異的効果で、タイトジャンクションバリア機能を増進させることを示す図。ヒト初代角化細胞を誘導して、TJを形成させ、そして単層のTEERを、未処理単層対プロバイオティクス細菌感染単層において、時間とともに監視した。対照単層において、TEERは、時間とともに、ポストカルシウムスイッチを発展させ、そしておよそ255オーム.cm2+/−50.4のピークに到達した。L.ファーメンタム(対照単層に比較して、TEERを減少させた)を例外として、すべてのプロバイオティクス細菌は、株依存性の方式で、対照レベルよりもTEERを増加させた。L.ラムノサスGGおよびB.ロングム・レウターは、最大のそして最も維持される効果を生じた。図17において、白抜きの円は、処理単層であり、そして黒塗りの円は未処理単層である。17(a)増加するカルシウム濃度に反応した、未処理細胞におけるTEERの発展。(b)L.ファーメンタムの、未処理対照に比較した、TEER発展に対する影響。
プロバイオティクス細菌が、株特異的効果で、タイトジャンクションバリア機能を増進させることを示す図。ヒト初代角化細胞を誘導して、TJを形成させ、そして単層のTEERを、未処理単層対プロバイオティクス細菌感染単層において、時間とともに監視した。対照単層において、TEERは、時間とともに、ポストカルシウムスイッチを発展させ、そしておよそ255オーム.cm2+/−50.4のピークに到達した。L.ファーメンタム(対照単層に比較して、TEERを減少させた)を例外として、すべてのプロバイオティクス細菌は、株依存性の方式で、対照レベルよりもTEERを増加させた。L.ラムノサスGGおよびB.ロングム・レウターは、最大のそして最も維持される効果を生じた。図17において、白抜きの円は、処理単層であり、そして黒塗りの円は未処理単層である。17(c)L.レウテリ、(d)L.プランタルムの、未処理対照に比較した、TEER発展に対する影響。
プロバイオティクス細菌が、株特異的効果で、タイトジャンクションバリア機能を増進させることを示す図。ヒト初代角化細胞を誘導して、TJを形成させ、そして単層のTEERを、未処理単層対プロバイオティクス細菌感染単層において、時間とともに監視した。対照単層において、TEERは、時間とともに、ポストカルシウムスイッチを発展させ、そしておよそ255オーム.cm2+/−50.4のピークに到達した。L.ファーメンタム(対照単層に比較して、TEERを減少させた)を例外として、すべてのプロバイオティクス細菌は、株依存性の方式で、対照レベルよりもTEERを増加させた。L.ラムノサスGGおよびB.ロングム・レウターは、最大のそして最も維持される効果を生じた。図17において、白抜きの円は、処理単層であり、そして黒塗りの円は未処理単層である。17(e)B.ロングム・レウター、(f)L.ラムノサスGGの、未処理対照に比較した、TEER発展に対する影響。
プロバイオティクス細菌が、ヒト角化細胞におけるTEERに対する用量依存性効果を有することを示す図。B.ロングム・レウター(BLR)またはL.ラムノサスGG(LGG)から作製した、108、106、104および102CFU/mlの濃度の溶解物で、ヒト角化細胞を処理し、そしてTEERに対する影響を経時的に測定した。B.ロングム・レウターは、108CFU/mlの濃度でのみ、有効であった。しかし、L.ラムノサスGGはまた、106および104CFU/mlの濃度でも、有効であった。(a)B.ロングム・レウターのTEERに対する影響。(b)L.ラムノサスGGのTEERに対する影響。図18(a)および(b)に関して、△は対照未処理であり、■は102細菌の影響であり、▲は104細菌の影響であり、○は106細菌の影響であり、●は108細菌の影響である。
プロバイオティクス細菌が、ヒト角化細胞において、タイトジャンクションタンパク質発現を調節することを示す、イムノブロットおよび図。ヒト角化細胞を108CFU/mlのL.ラムノサスGG(LGG)またはB.ロングム・レウター(BLR)のいずれか由来の溶解物で24時間処理した。続いて、角化細胞を採取し、そしてイムノブロッティング(a)および続いて濃度測定(b)を用いて、クローディン1、クローディン4、ZO−1およびオクルディンの発現を調べた。BLRは、対照に比較して、すべての4つのTJタンパク質の発現を増加させた(クローディン1(cld−1) 3.7X+/−0.08(p<0.05)、クローディン4(cld−4) −2.15+/−0.02 (p<0.05)、オクルディン(occ)、2.53X+/−0.14(P<0.005)、ZO−1、2X+/−0.024(p<0.05)。しかし、LGGはクローディン4レベルにまったく変化を示さないが、他の3つのタンパク質の発現を増加させた(クローディン1 −3.27x+/−0.36(p<0.05)、オクルディン 2.65x+/−0.17(p<0.005)、ZO−1 −2.22x+/−0.036(p<0.05)。
TLR2の中和が、TJバリア機能およびタンパク質発現に対する特定のプロバイオティクス仲介効果を無効にすることを示す、イムノブロットおよび図。角化細胞を、B.ロングム・レウター(BLR)またはL.ラムノサスGG(LGG)由来の溶解物とのインキュベーション前に、TLR2中和抗体で処理した。(A)BLRで処理したがLGGで処理しなかった細胞において、プロバイオティクスが誘導するTEERの増加が、抗体とのインキュベーションによって無効にされたことを示す図。(B)TJタンパク質発現の増加もまた、BLRにおけるTLR2の中和によって無効にされたが、LGG処理細胞では無効にされなかったことを同様に示すイムノブロット。

0063

本発明を実行するため、例として、本発明者らによって意図される最適の様式の特定の詳細を含めて、本発明の1またはそれより多い態様の詳細を、以下の付随する説明に示す。当業者には、これらの特定の詳細に限定されることなく、本発明を実施可能であることが明らかであろう。

0064

本明細書全体で、続く請求項を含めて、文脈が別に要求しない限り、単語「含む(comprise)」、ならびにその変型、例えば「comprises」および「comprising」は、言及される整数または工程あるいは整数または工程の群の包含を意味するが、いかなる他の整数または工程あるいは整数または工程の群の排除も意味しないものと理解されるであろう。

0065

明細書および付随する請求項で用いられるように、単数形「a」、「an」および「the」には、文脈が明らかに異なって示さない限り、複数の指示対象が含まれることに留意しなければならない。したがって、例えば「薬学的キャリアー(a pharmaceutical carrier)」には、2またはそれより多いこうしたキャリアーの混合物が含まれる等である。

0066

プロバイオティクス細菌
本発明は、プロバイオティクス細菌の使用に関する。プロバイオティクスは、一般的に、「適切な量で投与された際、宿主に健康上の利益を与える、生存微生物」と定義される。腸における研究によって、プロバイオティクス細菌が、宿主組織への病原体付着の排除、競合および置換を含む機構を通じて、病原体によるコロニー形成を阻害する能力が立証されてきている。本明細書において,用語「プロバイオティクス細菌」はまた、これらの細菌が、例えば熱または放射線照射による不活性化後、もはや生存していない場合のこうした細菌も指す可能性もある。

0067

ラクトバチルス・ラムノサス
本発明は、特に、ラクトバチルス・ラムノサス種のプロバイオティクス細菌に関する。こうした細菌は、元来、ラクトバチルス・カゼイ(Lactobacillus casei)の下位種と見なされていたが、後に、遺伝子研究によって、それ自体の種であることが見出された。多くのL.ラムノサス株が知られている。例えば株I−1720(Pasteur Collection Nationale de Cultures de Microorganismes)、AC413、GR−1(Karlssonら,BMCmicrobiology 2012, 12: 15)、JB−1(Bravoら, PNAS 2011, 108(38) 16050−16055)、GGおよびLc705(Savijokら, J. Proteome Res. 2011 10(8): 3460−3473)。L.ラムノサスの他の株が容易に単離可能である。場合によって、本発明のいくつかの態様には、ラクトバチルス・ラムノサス株LB21の使用は含まれない。

0068

特に、本発明は、L.ラムノサスGGに関する。L.ラムノサスGG(本明細書においてまた、LGGとも称される)は、寄託番号ATCC53103の下に、ATCC(American Tissue Culture Collection)に寄託される。L.ラムノサスGGは、ゴーバックおよびゴールドウィンによって、健康なヒトの腸管から、1983年に単離された。

0069

ラクトバチルス・レウテリ
本発明はまた、ラクトバチルス・レウテリ株にも関する。L.レウテリは、哺乳動物および鳥類の腸に天然居住するグラム陽性細菌である。多くのL.レウテリ株が知られる。例えば、DSM17938、ならびにATCC寄託物23272、53608、53609および55148および55739がある。L.レウテリ株は、例えば、US6,872,565およびUS7,517,681に記載される。L.レウテリの他の株も容易に単離可能である。

0070

本発明にしたがって、特に好ましいL.レウテリ株は、寄託番号ATCC55730の下にATCCに寄託され、US 5,837,238に記載される。
ビフィドバクテリウム・ロングム
本発明はまた、ビフィドバクテリウム・ロングム株にも関する。ビフィドバクテリウム・ロングムは、ヒト乳幼児の腸に見られるグラム陽性細菌種である。多くのビフィドバクテリウム・ロングム株が知られる。例えば、ATCC寄託物15708、55816、55818、15707、35183、および51870がある。ビフィドバクテリウム・ロングムの他の株も容易に単離可能である。

0071

本発明にしたがって、特に好ましいビフィドバクテリウム・ロングム株は、ビフィドバクテリウム・ロングム・レウターである。いくつかの態様において、ビフィドバクテリウム・ロングム・レウターは、寄託番号ATCC51870の下にATCCに寄託される。

0072

適用
発明記載のプロバイオティクス細菌またはその溶解物を、臨床的使用のための薬学的組成物として配合してもよいし、そしてこれらは、薬学的に許容されうるキャリアー、希釈剤またはアジュバントを含んでもよい。これらを局所投与のために配合してもよい。

0073

投与は、好ましくは、「療法的に有効な量」であり、これは、個体に有益であることを示すのに十分な量である。投与される実際の量、ならびに投与の速度および時間経過は、治療中の疾患の性質および重症度に応じるであろう。治療の処方、例えば投薬量に関する決定は、開業医および他の医師責任の範囲内であり、そして典型的には、治療しようとする障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法、および開業医に知られる他の要因を考慮に入れる。上述の技術およびプロトコルの例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 第20版, 2000, Lippincott, Williams & Wilkins刊行に見出されうる。当業者には、活性化合物、および活性化合物を含む組成物の適切な投薬量は、患者間で多様でありうることが認識されるであろう。

0074

療法適用
本発明の化合物および組成物は、広い範囲の疾患および状態の治療に有用である。特に、本発明の化合物および組成物は、皮膚の障害、疾患および状態の治療に有用であり、そして線維症(術後線維症を含む)、組織癒着形成、および瘢痕形成の治療に適用を見出す。本発明の化合物および組成物は、ざ瘡、湿疹、魚鱗癬および乾癬の治療に有用である。本発明記載のプロバイオティクス細菌およびその溶解物は、創傷治癒に有用である。

0075

療法適用で使用するためのプロバイオティクス細菌およびその溶解物は、薬剤として配合可能であり、すなわち、医薬品として配合される。薬剤には、当業者に周知の他の医学的に許容されうる成分が含まれてもよく、これには、限定されるわけではないが、薬学的に許容されうるキャリアー、アジュバント、賦形剤、希釈剤、充填剤緩衝剤保存剤酸化防止剤潤滑剤、安定化剤可溶化剤界面活性剤(例えば湿潤剤)、マスキング剤着色剤フレーバー剤、および甘味剤が含まれる。配合物はさらに、他の活性剤、例えば他の療法剤または予防剤を含んでもよい。

0076

感染
本発明は感染の治療に関する。本発明のプロバイオティクス細菌および溶解物は、抗感染性病原体活性を示す。例えば、抗細菌活性である。したがって、これらは、細菌感染を含む感染の治療に有用である。したがって、これらは、多剤耐性細菌感染、院内細菌感染、抗生物質耐性細菌感染、グラム陰性および/またはグラム陽性細菌感染の治療に有用である。

0077

本発明のプロバイオティクス細菌および溶解物はまた、ブドウ球菌属種、シュードモナス属(Pseudomonas)種、スタフィロコッカスサプロフィティクス(Staphyloccus saprophyticus)、スタフィロコッカス・キシロサス(Staphyloccocus xylosus)、スタフィロコッカス・ルグデュネンシス(Staphyloccocus lugdunensis)、スタフィロコッカス・シュレイフェリ(Staphyloccocus schleiferi)、スタフィロコッカス・カプラエ(Stapylococcus caprae)、表皮ブドウ球菌、スタフィロコッカス・サプロフィティクス(Staphylococcus saprophyticus)、スタフィロコッカス・ワルネリ(Staphylococcus warneri)、黄色ブドウ球菌、スタフィロコッカス・ホミニス(Staphylococcus hominis)、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌MRSA)、フェカリス菌(Enterococcus faecalis)、バンコマイシン耐性腸球菌VRE)、アクネ菌(Proprionibacterium acnes)、バチルスセレウス(Bacillus cereus)、枯草菌(Bacillus subtilis)、リステリア菌(Listeria monocytogenes)、化膿性連鎖球菌(Streptococcus pyrogenes)、ストレプトコッカス・サリバリウ(Streptococcus salivariu)、ミュータンス菌(Streptococcus mutans)および肺炎球菌(Streptococcus pneumonia)による感染の治療にも有用である。

0078

特に、本発明のプロバイオティクス細菌および溶解物は、抗ブドウ球菌属活性を示し、そしてしたがって、ブドウ球菌属感染の治療または防止に有用である。例えば、本発明のプロバイオティクス細菌および溶解物は、抗黄色ブドウ球菌活性を示し、そしてしたがって、黄色ブドウ球菌感染の治療または防止に有用である。

0079

感染は、疾患を引き起こす微生物が、体の組織に進入する際に起こる。これらの微生物の増殖および微生物が産生する毒素が体の組織と反応し、しばしば、感染宿主による免疫反応を引き起こす。感染は、細菌、ウイルス、ウイロイド真菌および他の寄生虫によって引き起こされうる。感染は、皮膚、腸または膜などの、体の組織のいずれによっても生じる可能性がある。本発明のいくつかの態様において、本発明のプロバイオティクス細菌または溶解物を用いて、腸以外の組織の感染を治療し、例えばいくつかの態様において、本発明記載のプロバイオティクス細菌または溶解物は、消化管食道、腸、直腸または肛門の感染の治療のためには用いられない。特定の側面において、本発明は、体の外表面、そして特に皮膚の感染の治療または防止に関する。

0080

本発明記載のプロバイオティクス細菌、溶解物および組成物を、皮膚感染の治療または防止に用いてもよい。感染は、細菌、例えばブドウ球菌細菌のためであってもよい。感染性病原体は、黄色ブドウ球菌でありうる。プロバイオティクス細菌、溶解物または組成物を、感染性病原体への曝露と、別個に、連続して、または同時に適用してもよい。いくつかの場合、プロバイオティクス細菌、溶解物または組成物を、感染性病原体への曝露後に適用する。

0081

バリア効果
本発明のプロバイオティクス細菌および溶解物は、バリア修復、強化および/または再生活性を有する。皮膚は2つの区画深部区画(真皮)および表面区画(表皮)で構成される。これは、外部の攻撃、特に、化学的機械的または感染性攻撃に対するバリアを構成し、そしてしたがって、環境要因気候紫外線タバコ等)および/または生体異物、例えば微生物に対する多くの防御反応がここで生じる。この特性はバリア機能と称され、そして主に、表皮の最も表在性の層、すなわち角質層と称される角層によって提供される。バリアの有害な変化は、皮膚の不快感知覚性の現象、および特に不快な現象、またはわずかな水分喪失によって測定される皮膚の乾燥によって反映されうる。本発明記載の組成物は、バリアの減少を防止し、そして/またはバリア機能を修復するかまたは再生するのに有用である。バリア機能の減少は、以下に示すものなどの、多くの障害と関連する。例えば創傷または剥脱によって、バリアが破損されたら、皮膚は自身を修復しなければならない。しかし、ときに、修復は十分迅速には起こらず、そしてこのため、皮膚は感染に対して開放されたままになる。

0082

皮膚バリアの破壊に関連する障害には、乾癬、ざ瘡(化膿性汗腺炎を含む)、火傷、おむつかぶれ、ネザートン症候群、日光角化症、皮膚真菌症、皮膚症、または外胚葉異形成症、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、皮膚炎、脂漏性皮膚炎尋常性魚鱗癬、あるいは皮膚バリアの損傷または破壊に関連する他の障害が含まれる。

0083

湿疹/皮膚炎
湿疹(アトピー性皮膚炎)は、第一段階で、典型的には小胞(小型の疱疹隆起領域)があり、その後、紅斑発赤)、浮腫(膨潤)、丘疹隆起)、および皮膚の痂皮形成が起こり、その後、最終的には、皮膚の苔癬化肥厚)および剥離(scaling)が生じる、皮膚の炎症性反応の特定のタイプである。湿疹は、特徴的に、皮膚のかゆみおよび灼熱感を引き起こす。

0084

湿疹は、非常に一般的であり、そしていかなる年齢でも最初に生じうる。しばしば、慢性であり、そして治療が困難であり、そして消滅し、そして再発する傾向がある。かゆみは、極端であり、そして重度でありうる。いくつかのタイプの湿疹がある。湿疹の罹患率は高く、米国のみで概算3300万人の人々が罹患している。

0085

魚鱗癬
尋常性魚鱗癬は、異常な上皮分化または代謝によって引き起こされる、過剰な量の皮膚上の乾燥した表面鱗屑の存在によって特徴付けられる、遺伝性皮膚疾患である。これは、通常、脚上で最も重度であるが、いくつかの場合、腕、手、および体躯も伴いうる。また、アトピー性皮膚炎、毛孔性角化症(腕の裏側の小さい隆起)、または他の皮膚障害に関連する可能性もある。通常、成人の間は消失するが、加齢すると再発しうる。

0086

他のタイプの魚鱗癬には、X連鎖魚鱗癬、層状魚鱗癬(ichthyosis lamellaris)、表皮溶解性角化症、ハーレクイン型魚鱗癬、ネザートン症候群およびシェーグレン−ラーソン症候群が含まれるが、尋常性魚鱗癬がすべての魚鱗癬症例の95%を占める。遺伝性(先天性)尋常性魚鱗癬は、尋常性魚鱗癬の症例の95%より多くを占める。これはまず、小児期初期に現れる。尋常性魚鱗癬に関与する遺伝子は、染色体バンド1q21にマッピングされてきている。この遺伝子の産物は、フィラグリンFLG)と呼ばれる物質であり、これは、角質層の細胞において、「ケラチンマトリックス・タンパク質」として作用しうる。遺伝パターンは、常染色体優性である。後天性尋常性魚鱗癬は、典型的には成人期に発展し、そして内科疾患または特定の薬剤の使用から生じる。遺伝性尋常性魚鱗癬は、米国では一般的な疾患であり、300人におよそ1例の罹患率である。症状は年齢とともに改善するため、真の罹患率はおそらくこれより高い。後天性魚鱗癬は、非常にまれである。米国における罹患率は未知である。英国においては、尋常性魚鱗癬の発生率は、250分の1と報告された。中国では、尋常性魚鱗癬は、2.29%の罹患率を有する。

0087

乾癬
乾癬は、厚く赤い皮膚と銀色の鱗屑のかゆいまたはひりひりする区画によって特徴付けられる、慢性の遺伝的非伝染性皮膚障害である。乾癬と呼ばれる、乾癬によって引き起こされる鱗状の区画は、炎症および過剰な皮膚産生の領域である。該障害は、慢性再発性状態であり、軽度の局在化した区画から、完全に全体を覆うものまで、重症度は多様である。乾癬はまた、関節の炎症も引き起こす可能性があり、これは乾癬性関節炎として知られる。多くの型の疾患がある。米国国立衛生研究所(NIH)によると、750万人もの米国人(人口のおよそ2.2パーセント)が乾癬を有し、世界では1億2500万人が罹患していると概算される。150,000〜260,000の間の乾癬の新規症例が毎年生じる。乾癬の発生は、天候および集団の遺伝的遺産によって影響を受ける傾向がある。熱帯ではそして色黒の人にはより一般的でなく、そしてコーカソイドで最も一般的である。乾癬の直接および間接医療費総計は、毎年112億5000万ドルと計算され、コス負荷の40%は労働損失が占める16。乾癬患者のおよそ60%は、疾病のため、年間平均26日の労働日数を失う17。

0088

創傷治癒
本明細書において、創傷治癒は、傷害後、皮膚が自身を修復するプロセスを指す。正常な皮膚において、表皮(最も外部の層、主に、角化細胞で構成される)および真皮(内部のまたは深部の層)は、安定状態平衡で存在し、外部環境に対する防御バリアを形成する。防御バリアがひとたび破壊されると、すなわち創傷形成によって壊れると、創傷治癒の正常な(生理学的)プロセスが直ちに発動する。本明細書において、用語「創傷」は、皮膚が引き裂かれるか、切断されるか、または穿刺されるか、あるいは皮膚が鈍器外傷または医学的状態後に損傷を受け、皮膚バリアの破損を生じる、傷害タイプを指す。本発明記載のプロバイオティクス細菌またはその溶解物は、組織修復、再生および/または置換を含む、in vivoの創傷治癒に有用でありうる。例えば、これらを、瘢痕組織治癒、創傷治癒の加速に、または組織移植片、例えば皮膚移植片を用いた場合に用いてもよい。

0089

いくつかの態様において、皮膚バリアの修復または再生には、粘膜の修復または再生が含まれる。粘膜には、口の粘膜(軟口蓋の下部表面を含む舌、および口底の粘膜が含まれる)、咽頭喉頭気管および食道の粘膜が含まれる)、気管支、眼、陰茎尿道膀胱、および肛門の粘膜が含まれる。

0090

治療しようとする患者は、任意の動物またはヒトであることも可能である。患者は好ましくは、非ヒト哺乳動物、またはヒト患者である。患者は男性でもまたは女性でもよい。
美容的適用
いくつかの側面において、本発明は、本発明記載のプロバイオティクス細菌または溶解物の投与を含む、美容的治療に関する。「美容的」は、本明細書において、非療法的である。こうした方法は、ヒトまたは動物の体の療法による治療を伴わない。美容的治療を用いて、皮膚の外見および/または手触りを改善することも可能である。

0091

本発明はまた、美容的治療法における、プロバイオティクス細菌またはその溶解物の使用、およびプロバイオティクス細菌またはその溶解物を用いた美容的治療法も意図する。例えば、水和レベル、または皮膚の外見を改善する方法において。本明細書において、用語「美容的方法」は、53(c)EPC条項にしたがった、手術または療法によるヒトまたは動物の体の治療法、あるいはヒトまたは動物の体に対して実施する診断法を指さない。

0092

本発明はまた、プロバイオティクス細菌を含む美容的組成物も提供する。組成物を用いて、皮膚の外見を改善することも可能である。例えば、組成物は、皮膚の水和レベルを増進させてもよい。増加した水和レベルは、皮膚の外見を改善し、そしてより健康な美容的外見に導くことが知られる。美容的組成物は、以下に記載するように、薬学的組成物と同様に配合可能である。

0093

治療しようとする被験体は、任意の動物またはヒトであることも可能である。被験体は、非ヒト哺乳動物であってもよいが、より好ましくはヒトである。被験体は男性または女性であってもよい。被験体は、皮膚バリアの修復を必要としない。いくつかの場合、被験体は、感染、例えば細菌感染の治療を必要としない。いくつかの場合、被験体は、美容的治療を適用する部位での治療を必要としない。

0094

本発明記載の美容的方法は、好ましくは、「美容的に有効な量」の投与を伴う。これは、美容的利点を誘導するのに有効な量での、化合物、成分、物質、組成物、剤型等の投与に関する。これは、適切な施術者健全な判断の範囲内である。当業者には、活性化合物および活性化合物を含む組成物の適切な用量が、被験体間で多様でありうることが認識されるであろう。

0095

本発明記載のプロバイオティクス細菌、その溶解物および組成物は、バリア維持および修復活性を有する。こうしたものとして、これらは、バリア機能の減少の防止および/またはバリア機能の強化に有用である。これは、皮膚水和を改善するために、そして/または皮膚の外見を改善するために有用でありうる。

0096

場合によって放棄される使用
以下は、いくつかの場合、本発明の部分を形成しない可能性もある、独立の、場合による、そして分離可能な態様を示す。

0097

場合によって、本発明のいくつかの態様には、連鎖球菌属株、例えばα−連鎖球菌属株と、プロバイオティクス細菌またはその溶解物の組み合わせは含まれない。
場合によって、本発明のいくつかの態様には、ラクトバチルス・ラムノサスGG(またはその溶解物)とラクトバチルス・ラムノサスLC705(またはその溶解物)の組み合わせは含まれない。

0098

場合によって、本発明のいくつかの態様には、乾燥肌および/または敏感肌の美容的または皮膚科学的治療は含まれない。
場合によって、いくつかの態様において、皮膚バリアの修復または再生を伴う治療法は、アレルギー性疾患/状態または炎症性疾患/状態の治療のためではない。例えば、こうした態様には、場合によって、1またはそれより多いアトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、湿疹、アトピー性湿疹、魚鱗癬、乾癬、ざ瘡またはアレルギー性疾患、あるいは炎症性状態の治療は含まれない。

0099

場合によって、本発明のいくつかの態様には、プロバイオティクス細菌またはその溶解物の抗炎症性または抗ウイルス性使用は含まれない。
場合によって、本発明のいくつかの態様には、呼吸器感染の治療は含まれない。

0100

溶解物
本発明記載のプロバイオティクス細菌を、生存細菌、不活性化または死菌細菌として、あるいはその溶解物として、投与してもよい。本明細書において、「溶解物」は、溶解に供されたプロバイオティクス細菌の試料を指す。溶解物は、本明細書記載の方法において有用な、プロバイオティクス細菌の1またはそれより多い可溶性代謝産物を含有してもよい。溶解は、化学的または物理的破壊によって、例えば細菌への浸透物質または酵素の添加によって、あるいは例えば音波破壊を通じた物理的圧の適用によって、起こりうる。Guenicheらは、例えば、超音波によって溶解物を調製した(20)。

0101

細菌を溶解前に洗浄してもよい。溶解後に、溶解物を濾過し、そして/または滅菌して、いかなる残存全細菌も取り除いてもよい。溶解物は、細胞不含上清を含んでもよい。溶解物は、プロバイオティクス細菌の細胞内容物を含む混合物であってもよい。例えば、細胞壁または細胞膜、タンパク質、核酸炭水化物、および細胞内小器官(破壊されたかまたは損なわれていないもの)の1またはそれより多い断片。溶解物は、例えば水性媒体中に懸濁されていてもよい。

0102

溶解された細胞は、生理活性に寄与しうる、多くの物質、例えば可溶性代謝産物の、細菌細胞膜内部からの放出を可能にしうる。したがって、いくつかの場合、細胞溶解物の使用は、全細菌の使用よりも好適でありうる。

0103

いくつかの態様において、細胞不含上清は、細胞が取り除かれている細胞培養上清である。細胞を遠心分離によって取り除いてもよく、そして上清を濾過してもよい。こうしたものとして、(溶解物の型としての)上清を、本発明の配合物中で直接用いてもよい。細胞不含上清は、1またはそれより多い可溶性代謝産物を含有してもよい。

0104

組成物
治療しようとする状態に応じて、組成物を単独で、あるいは他の治療と組み合わせて、同時にまたは連続して投与してもよい。

0105

プロバイオティクス細菌またはその溶解物を、1またはそれより多い他の薬学的に許容されうる成分中に溶解するか、その中に懸濁するか、またはそれらと混合してもよい。プロバイオティクス細菌またはその溶解物を、リポソームまたは他の微粒子中に提示してもよい。

0106

いくつかの態様において、プロバイオティクス細菌を、薬学的に許容されうる賦形剤、希釈剤またはキャリアー中の懸濁物として提供してもよい。いくつかの態様において、プロバイオティクス細菌を凍結乾燥物として提供してもよい。

0107

特に好ましい態様において、本発明記載のプロバイオティクス細菌またはその溶解物を、局所投与のために、特に皮膚へのまたは皮膚上の使用または適用のため、配合する。
経皮投与に適した配合物には、ジェルペースト軟膏、クリーム、ローション、および油、ならびにパッチ絆創膏包帯ドレッシング剤デポーセメント接着剤および容器が含まれる。

0108

軟膏は、典型的には、プロバイオティクス細菌またはその溶解物およびパラフィン性または水混和性軟膏基剤から調製される。
クリームは、典型的には、プロバイオティクス細菌または溶解物および水中油クリーム基剤から調製される。望ましい場合、クリーム基剤の水性相には、例えば、少なくとも約30%w/wの多価アルコール、すなわち2またはそれより多いヒドロキシル基を有するアルコール、例えばプロピレングリコールブタン−1,3−ジオールマンニトールソルビトールグリセロールおよびポリエチレングリコールおよびその混合物が含まれうる。局所配合物には、望ましくは、皮膚または他の関連する領域を通じた活性化合物の吸収または振盪を増進する化合物が含まれてもよい。こうした皮膚振盪増進剤の例には、ジメチルスルホキシドおよび関連類似体が含まれる。

0109

エマルジョンは、典型的には、プロバイオティクス細菌または溶解物および油性相から調製され、これは、場合によって、単に乳化剤(別にエマルジェント(emulgent)としても知られる)を含んでもよいし、あるいは脂肪もしくは油と、または脂肪および油の両方と、少なくとも1つの乳化剤の混合物を含んでもよい。好ましくは、親水性乳化剤が、安定化剤として作用する親油性乳化剤一緒に含まれる。油および脂肪の両方が含まれることもまた好ましい。総合すると、安定化剤(単数または複数)を含む乳化剤(単数または複数)は、いわゆる乳化ワックスを構成し、そしてワックスは、油および/または脂肪と一緒に、いわゆる乳化軟膏基剤を構成し、これがクリーム配合物の油分散相を形成する。

0110

適切なエマルジェントおよびエマルジョン安定化剤には、Tween60、Span80、セトステアリルアルコールミリスチルアルコールモノステアリン酸グリセリルおよびラウリル硫酸ナトリウムが含まれる。配合に適した油または脂肪の選択は、望ましい美容的特性の達成に基づくが、これは、薬学的エマルジョン配合物において用いられる可能性が高い大部分の油における活性化合物の可溶性が、非常に低い可能性もあるためである。したがって、クリームは、好ましくは、べたつかず、非染色性であり、そして洗浄可能な産物でなければならず、チューブまたは他の容器からの漏洩を回避するために適切なコンシステンシーを持つ。直鎖または分枝鎖一塩基性または二塩基性アルカリエステル、例えばジイソアジペートステアリン酸イソセチルココナッツ脂肪酸のプロピレングリコールジエステルミリスチン酸イソプロピルオレイン酸デシルパルミチン酸イソプロピルステアリン酸ブチルパルミチン酸2−エチルヘキシル、またはCrodamolCAPとして知られる分枝鎖エステルのブレンドを用いてもよく、最後の3つが好ましいエステルである。必要な特性に応じて、これらを単独で、または組み合わせて用いてもよい。あるいは、高融点脂質、例えば白色軟パラフィンおよび/または液体パラフィンまたは他のミネラルオイルを用いてもよい。

0111

他の配合物には、歯科スプレーマウスウォッシュ歯磨き粉ロゼンジ、抗細菌洗浄剤、飲料(例えばミルクヨーグルト)、食品(例えばヨーグルト、アイスクリームキャンディバー)、または粉末食品(例えば粉乳)が含まれる。

0112

本発明記載の1またはそれより多いプロバイオティクス細菌またはその溶解物、および場合によって1またはそれより多い他の薬学的に許容されうる成分、例えば透過、浸透、および吸収増進剤を含む成分が、含浸されたか、またはこれらでコーティングされた、パッチ、絆創膏、包帯、ドレッシング等として、配合物を適切に提供してもよい。また、プロバイオティクス細菌または溶解物を、移植物装具外科器具手袋カテーテルバルブペースメーカー等の医療機器のためのコーティングの形で提供してもよい。

0113

配合物は、単回(単位)用量のプロバイオティクス細菌またはその溶解物を含有してもよい。プロバイオティクス細菌(損なわれていないかまたは溶解されたもの)の適切な用量は、104〜1012cfuの範囲、例えば104〜1010、104〜108、106〜1012、106〜1010、または106〜108cfuの1つであることも可能である。いくつかの態様において、用量を毎日1回または2回投与してもよい。

0114

いくつかの態様において、本発明記載の使用のための配合物は、プロバイオティクス細菌またはその溶解物を重量で少なくとも約0.01%、約0.05%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約1.5%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%、約10.0%、約11.0%、約12.0%、約13.0%、約14.0%、約15.0%、約16.0%、約17.0%、約18.0%、約19.0%、約20.0%、約25.0%、約30.0%、約35.0%、約40.0%、約45.0%、約50.0%を含んでもよい。

0115

いくつかの態様において、配合物は、プロバイオティクス細菌またはその溶解物を重量で、少なくとも約0.01%〜約30%、約0.01%〜約20%、約0.01%〜約5%、約0.1%〜約30%、約0.1%〜約20%、約0.1%〜約15%、約0.1%〜約10%、約0.1%〜約5%、約0.2%〜約5%、約0.3%〜約5%、約0.4%〜約5%、約0.5%〜約5%、約1%〜10約5%の1つを含んでもよい。

0116

抗細菌組成物
本発明はまた、ヒトまたは動物の体の医学的治療のためでない、洗浄製品、洗浄液、表面コーティングまたは他の組成物の形の抗細菌組成物も提供する。

0117

こうした剤は、表面上の細菌を除去するか、殺すか、またはその集積を防止するか、あるいは細菌の作用または増殖を阻害するために有用でありうる。
本発明記載の抗細菌組成物は、バイオマテリアル、移植物および装具(ステント、バルブ、眼、補聴器胃バンド(gastric band)、義歯人工関節置換等が含まれる)、外科的装置または他の医療機器を、患者または被験体への投与またはその治療前に、あるいは使用とともに、処理するために有用でありうる。抗細菌組成物は、細菌のコロニー形成または曝露の傾向がある表面、例えば手すり食品調理表面台所表面または装置、テーブル、シンクトイレまたは他のバスルーム機械設備を処理するために有用でありうる。

0118

抗細菌組成物は、溶解物に加えて、洗浄剤、安定化剤、陰イオン性界面活性剤香料キレート剤、酸、アルカリ、緩衝剤または界面活性剤などの剤を含んでもよい。こうした剤は、剤の抗細菌特性、例えば細菌を殺すかまたは阻害するか、あるいは清浄にした表面の再コロニー形成を防止する特性を促進するかまたは増進することも可能である。

0119

組成物を調製するための方法
本発明はまた、組成物を調製する方法にも関する。方法は、プロバイオティクス細菌の集団を溶解に供し、そして生じた溶解物を組成物に配合する工程を含むことも可能である。方法は、例えば溶解物から、損なわれていない細菌を分配することによって、溶解物中の損なわれていない細菌を除去するかまたは不活性化するように、溶解物を処理する工程を含んでもよい。溶解物を精製または濾過工程に供して、他の構成要素、例えば細菌増殖培地または混入物質を除去してもよい。

0120

別の組成物において、損なわれていない細菌を組成物として配合する。細菌は、組成物に配合される前に、またはその後に、不活性化されてもよい。他の構成要素、例えば細菌増殖培地または混入物質が除去されるように、細菌を精製または濾過工程に供してもよい。

0121

こうした方法によって調製される組成物は、治療において、例えば細菌感染の治療において、または皮膚バリアの修復のための使用に適している可能性もある。こうした方法は、1またはそれより多い薬学的または美容的に許容されうる賦形剤の添加を伴いうる。

0122

他の組成物、例えば抗細菌組成物、例えば洗浄剤は、治療において使用するのに適していない可能性もある。抗細菌組成物の調製法は、1またはそれより多い剤の溶解物または細菌への添加を伴うことも可能である。

0123

実施例1:材料および方法
細菌の増殖
プロバイオティクス細菌をルーチンに、ウィルキンス−チャルグレン・ブロス(WCB)(Oxoid)中、37℃で、Mark 3嫌気性ワークステーション(Don Whitley Scientific、英国シプリー)中、定常期まで増殖させた。黄色ブドウ球菌を、栄養ブロス(Oxoid)中、37℃で好気的に増殖させた。培養密度を、分光光度的に、必要な数の細菌を含有するように、培地で調整した。角化細胞を利用する実験のため、細菌を0.85%NaCl溶液中で2回洗浄し、遠心分離し、そして角化細胞培地中で再構成した。いくつかの実験において、選択寒天を用いた。これは、それぞれ、黄色ブドウ球菌またはラクトバチルス用の、マンニトール塩寒天−MSA(Oxoid)またはマンロゴサ・シャープ寒天(MRS)であった。熱殺菌細菌を利用する実験に関して、L.レウテリを遠心分離し、そして0.4%グルコース中で再懸濁し、そして85℃の水槽に45分間入れることによって、熱不活性化した。試料をグラム染色して、細菌細胞の溶解が起こっていないことを保証し、そして増殖培地上にプレーティングして、死滅していることを保証した。プロバイオティクス溶解物を用いた実験のため、108cfu/ml L.レウテリの10mlを遠心分離し、洗浄し、1ml角化細胞培地中で濃縮し、そしてビーズビーター(FastPrepTMFP120、Thermo Electron社)を用いて溶解した。試料を濾過滅菌して、いかなる残存全細菌も除去した。およそ100μlのこの溶解物を用いて、角化細胞を処理した。

0124

哺乳動物細胞株
正常ヒト上皮角化細胞(NHEK)(Promocell、ドイツ・ハイデルベルグ)を、補助剤混合物(ウシ下垂体抽出物0.004mg/ml、上皮増殖因子組換えヒト)0.125ng/ml、インスリン(組換えヒト)5μg/ml、ヒドロコルチゾン0.33μg/ml、エピネフリン0.39μg/mlおよびホロ(holo)(ヒト)・トランスフェリン10μg/ml)を含有する、角化細胞基本培地(Promocell、ドイツ・ハイデルベルグ)および0.06mM CaCl2(Promocell、ドイツ・ハイデルベルグ)中で維持した。培地を週2回交換して、そして細胞を5%CO2の湿った大気中、37℃で培養した。80%集密まで増殖したら、細胞をはがし、そして5x103細胞/cm2で再度植え付けた。分化した細胞を用いた実験のため、培地中の塩化カルシウムを1.8mMまで増加させて、そして細胞をこの培地中で、実験前に24時間増殖させた。

0125

細菌競合アッセイ
L.レウテリおよび黄色ブドウ球菌の一晩培養のアリコット(100μl)を、新鮮な10mlブロス中に接種した(一者培養としておよび共培養としての両方)。培養のpHおよび光学密度を0時間および48時間で測定した。規則的な間隔(3、6、24、30、および48時間)で、選択寒天および非選択寒天を用い、連続希釈プレートカウントによって、細菌をカウントした。48時間で、製造者の指示(Invitrogen)にしたがって、BacLiteTM生存/死亡染色を行った。

0126

L.レウテリによる阻害物質の産生
HolderおよびBoyce(23)に記載されるように、ウェル拡散アッセイを用いて、L.レウテリによる黄色ブドウ球菌の増殖の阻害を決定した。阻害研究のため、L.レウテリをマン−ロゴサ−シャープ(MRS)培地(Oxoid)またはウィルキンス−チャルグレン・ブロス(WCB)(Oxoid)のいずれかにおいて、37℃で定常期まで嫌気的に増殖させた。WCB(1g/lグルコース)またはMRS(20g/lグルコース)中で増殖させたL.レウテリの全細胞(WC)培養物を用いた。他の実験において、細胞を15,000xgで5分間、微量遠心分離装置中で沈降させ、そして細胞不含上清(CFS)を使用のために抽出した。次いで、プレートを37℃で48時間インキュベーションし、そして阻害ゾーンを計算した。L.レウテリによる有機酸の産生を測定するため、WCおよびCFSのpHを測定した。L.レウテリが任意の他の阻害物質を産生したかどうかを決定する別個の実験において、ウェル拡散アッセイにおいて使用する前に、1M NaOHを用いて、細胞不含上清を中和した。L.レウテリが細胞培養中で有機酸を産生したかどうかを決定するため、感染細胞培養のpHを測定した。

0127

角化細胞生存度の測定
NHEK細胞を24ウェル組織培養プレート中で集密まで増殖させた。細胞培地を、示す濃度の細菌を含有する培地と交換した。プレ曝露およびポスト曝露実験のため、NHEKをL.レウテリで、黄色ブドウ球菌の添加前/添加後に、1〜4時間の間の期間、処理した。すべての実験において、細胞を、5%CO2の湿潤大気中、37℃で24時間インキュベーションした。次いで、培地を除去し、そして無菌PBSで細胞を洗浄した。トリプシン(0.4%)/EDTA(0.3%)(Promocell)を用いて細胞をはがし、そして細胞生存度をトリパンブルー排除アッセイによって決定した(45)。

0128

黄色ブドウ球菌生存度の測定
L.レウテリまたはNHEKが、細胞培養中の黄色ブドウ球菌増殖を阻害可能であるかどうかを決定するため、細胞を24ウェルプレート中で集密まで増殖させた。これらを、黄色ブドウ球菌に、または黄色ブドウ球菌およびL.レウテリにともに、感染させた。平行して、いかなる細胞も伴わないウェルにもまた、これらの組み合わせを添加して、ブドウ球菌生存度に対する角化細胞自体の影響を決定した。24時間の曝露後、培地を除去し、そして遠心分離して、細胞外細菌をペレットにした。次いで、細胞をトリプシン処理し、そしてPBS中の500μlの0.25%Triton−X−100(Sigma−Aldrich)をおよそ30分間添加して、細胞を溶解した。次いで、ウェル内容物を細胞ペレットと合わせて、そしてマンニトール塩寒天(MSA)を用いた連続希釈プレートカウントを行って、生存ブドウ球菌総数を決定した。

0129

L.レウテリ、L.サリバリウスおよび黄色ブドウ球菌に関する接着アッセイ
集密分化NHEKを、プロバイオティクスまたは黄色ブドウ球菌のいずれかに、1時間曝露した。インキュベーション後、細胞をPBS中で3回洗浄して、接着していない細菌を除去した。細胞をトリプシン処理し、そして連続希釈プレートカウントを実行して、接着細菌の数を評価した。ブドウ球菌の増殖のため、選択寒天を用いた。別個の実験において、黄色ブドウ球菌の添加前(排除)、添加と同時(競合)、または黄色ブドウ球菌感染が始まった30分後(置換)、細胞をL.レウテリに1時間曝露して、L.レウテリが、角化細胞への黄色ブドウ球菌接着を阻害可能であるかどうかを決定した。L.レウテリが、ブドウ球菌による角化細胞への侵入を阻害可能であるかどうかを決定するため、細胞を、黄色ブドウ球菌、または黄色ブドウ球菌およびL.レウテリのいずれかに1時間曝露した。細胞を無菌PBS中で3回洗浄し、非接着細菌を取り除き、そして100μg/mlゲンタマイシン(Sigma−Aldrich)を含有する培地で増殖培地を2時間置換した。次いで、細胞を無菌PBS中で3回洗浄し、そしてトリプシン処理し、そして0.25% Triton−X−100中で30分間溶解させて、内在化した細菌を放出させた。連続希釈を用いて、溶解物中の細菌をカウントした。馴化培地(CM)を利用した実験において、NHEKをL.レウテリに曝露し、そして5%CO2中、37℃で1時間インキュベーションした。曝露した細胞からCMを取り除き、そして15000xgで3分間遠心分離して、細菌細胞をペレットにし、そして0.22μm孔サイズフィルター(Millipore、米国)を通じて濾過した。黄色ブドウ球菌接着におけるα5β1インテグリンの役割を探索する実験において、NHEKを60μg/mlの抗α5β1インテグリン抗体(Millipore、米国)に、細胞感染前に1時間、あらかじめ曝露した。接着細菌の数を評価するための代替法を、L.レウテリの死んだ調製物に関して利用した。細胞をLabTekチャンバースライド(Thermo−Scientific)上で増殖させた。調整した量の細菌を用いて、通常通りに接着アッセイを実行した。細胞を細菌に曝露した後、細胞をPBS中で2回洗浄し、そしてメタノール中で20分間固定した後、グラム染色を実行した。次いで、Keyenceオールインワン蛍光顕微鏡を用いて、100細胞あたりの接着細菌の数を評価した。

0130

統計分析
すべての実験を最低3回行い、各場合で3つの複製物を伴った。2つの処理を比較する実験に関しては、スチューデント検定を用いた。2またはそれより多い処理を比較する実験に関しては、実験によるブロッキングを伴う一方向ANOVAおよび事後テューキー検定を利用した。それぞれ、線形回帰および2方向ANOVAを用いて、用量反応および競合アッセイを分析した。P<0.05であるならば、結果を有意と見なした。

0131

実施例2
黄色ブドウ球菌は、初代ヒト角化細胞において細胞死を誘導した
本発明者らは、まず、異なる用量の黄色ブドウ球菌とインキュベーションしたNHEKに対してトリパンブルー排除アッセイを実行することによって、角化細胞生存度に対する黄色ブドウ球菌の影響を特徴付けた。105cfu/ml黄色ブドウ球菌の濃度で、感染24時間後にはわずか49.4%の角化細胞しか生存していなかった(図1)。これは、108cfu/ml黄色ブドウ球菌濃度で、わずか3.3%の角化細胞のみが生存可能であるように、用量依存方式で減少した(図1)。およそ106の生物が、例えば皮膚創傷感染において見られうる生理学的に適切な濃度である(7)。この濃度では、24時間の感染後に、30.5%の角化細胞が生存していた。この濃度を接着アッセイにおいて用いた。

0132

L.レウテリは、黄色ブドウ球菌が誘導する細胞死から角化細胞を保護する
ラクトバチルスの3つの株(L.レウテリATCC55730、L.ラムノサスAC413およびL.サリバリウスUCC118)が、黄色ブドウ球菌の影響から角化細胞を保護する能力を調べた(図2a)。黄色ブドウ球菌でのNHEKの感染は、生存度を8.8%に減少させた。黄色ブドウ球菌とは対照的に、ラクトバチルスとのNHEKのインキュベーションは、細胞生存度の有意な減少を生じなかった(図2a)。黄色ブドウ球菌およびL.ラムノサスまたはL.レウテリのいずれかとの同時感染は、それぞれ、42.7%および53.1%(P=0.0012およびP<0.0001)の、24時間での増加した角化細胞生存度を生じた。カルシウム中で24時間細胞を分化させるか、または未分化であるかいずれであっても、このレベルの保護が観察された(結果未提示)。しかし、黄色ブドウ球菌およびL.サリバリウスでの角化細胞の同時感染は、黄色ブドウ球菌に感染したNHEKに比較して、生存度の有意な上昇を生じなかった(P=0.052、図2a)。L.レウテリは、他の2つの株よりもより保護性であるため、本発明者らは、L.レウテリの保護効果が用量依存性であるかどうかを調べることによって、L.レウテリの効果をさらに調べた。しかし、105、106、107または108cfu/mlのL.レウテリを用いて、角化細胞生存度のさらなる有意な増加はなかった(P>0.05)(図2c)。本発明者らはまた、プロバイオティクスの保護効果が、生存細菌に依存するかどうかも調べた。熱殺菌L.レウテリは、黄色ブドウ球菌からNHEKを保護しなかったが、L.レウテリ溶解物は、有意な保護効果を提供した(P=0.01)(それぞれ図2dおよびe)。さらなる実験は、108cfu/mlの生存L.レウテリ(1000のMOI)を利用した。

0133

L.レウテリの保護効果は時間依存性である
本発明者らは、次に、黄色ブドウ球菌感染に対するL.レウテリ適用のタイミングが、プロバイオティクスの保護効果に非常に重要であるかどうかを調べた。本発明者らは、黄色ブドウ球菌に24時間感染させる前に、1時間、2時間または4時間、L.レウテリにプレまたはポスト曝露した角化細胞の生存度を評価した。プレ曝露した角化細胞は、同時感染細胞と類似の生存度を有した(P>0.05)(図3a)。しかし、黄色ブドウ球菌感染開始後、1、2または4時間、L.レウテリに曝露した細胞は、黄色ブドウ球菌に曝露した細胞と類似の生存度を有した(P>0.05)(図3b)。

0134

L.レウテリは、黄色ブドウ球菌の増殖を阻害しない
本発明者らは、黄色ブドウ球菌の保護効果の根底にある機構(単数または複数)は、病原体に対するプロバイオティクスの直接の影響による可能性もあると見なした。しかし、競合アッセイは、一者培養に比較して、48時間共培養しているL.レウテリまたは黄色ブドウ球菌生存度のいずれにも、有意な減少は示さなかった(図4a)(P>0.05)。さらに、角化細胞培養アッセイにおいて、生存ブドウ球菌の総数もまた、プロバイオティクスの存在によって影響を受けなかった(図4b;表1)。48時間の共培養の生存−死亡カウントはまた、細菌細胞生存度におけるいかなる有意な減少も示さなかった(データ未提示)。さらに、本発明者らは、L.レウテリが、寒天プレート上での病原体増殖を阻害する有機酸を産生可能であることを確立したが(データ未提示)、黄色ブドウ球菌、L.レウテリおよび両方に同時感染した角化細胞培地のpHを測定した際、処理間のpHに有意な相違はなかった。

0135

L.レウテリは、角化細胞へのブドウ球菌の接着および侵入を阻害する
プロバイオティクスが腸上皮を保護することが知られる機構の1つは、上皮細胞への病原性接着の阻害によるものである。したがって、本発明者らは、L.レウテリが、NHEKへの黄色ブドウ球菌の接着を阻害可能であるかどうかを調べた。

0136

図5aのグラフは、L.レウテリおよび黄色ブドウ球菌の両方がNHEKに接着することを立証する。次に、本発明者らは、L.レウテリを、病原体より前に、または病原体と同時に添加することによって、該プロバイオティクスが、結合部位に関して、黄色ブドウ球菌を排除するかまたはこれに競合することが可能であるかどうかをはっきりさせた。図5bおよび5cのグラフは、L.レウテリを病原体の添加の前にまたは添加と同時に添加した際の、黄色ブドウ球菌のNHEKへの接着の減少を立証する(それぞれ、P=0.026およびP=0.0078)。しかし、L.レウテリを黄色ブドウ球菌の後に添加すると、該プロバイオティクスは、病原体の接着を防止不能であった(P>0.05、図5d)。さらに、ゲンタマイシン保護アッセイは、NHEKの黄色ブドウ球菌侵入をプロバイオティクスが阻害することを立証した(P=0.009、図5e)。本発明者らの結果は、熱殺菌L.レウテリが、ブドウ球菌接着を有意には阻害しないことを示した(P>0.05、図6a)。しかし、プロバイオティクス溶解物は、ブドウ球菌接着を阻害可能であった(P=0.032)が、生存L.レウテリと同じ度合いではなかった(P=0.0002)。NHEKは、溶解物に曝露した際に6.0±0.2対数cfuであったのに比較して、生存L.レウテリに曝露した際には、およそ5.6±0.2対数cfuのブドウ球菌接着を有した(図6b)。

0137

L.サリバリウスUCC118は、黄色ブドウ球菌の角化細胞への接着を防止しない
本発明者らは、L.レウテリの保護効果が、NHEKへの病原体接着を阻害する能力と関連付けられうると見なした。これをさらに調べるため、本発明者らは、NHEKへの黄色ブドウ球菌結合の阻害が、その毒性の減少を生じるかどうかを調べた。黄色ブドウ球菌は、細胞外フィブロネクチンと相互作用するフィブロネクチン結合タンパク質によって、細胞に接着することが知られる(26、36)。フィブロネクチン自体は、角化細胞受容体、α5β1インテグリンに結合する。先の研究で示されたように(27)、α5β1インテグリンへのブロッキング抗体での細胞のプレ処理は、黄色ブドウ球菌接着減少を生じた。したがって、本発明者らは、NHEKをα5β1ブロッキング抗体で処理し、そして接着を阻害する能力およびNHEKに対する毒性を調べた(図7aおよびb)。ブロッキング抗体は、NHEKへの黄色ブドウ球菌接着を有意に阻害し(P=0.007)、一方、該抗体はまた、黄色ブドウ球菌がNHEKの細胞死を誘導する能力を阻害するようであった(P=0.03)。次に、本発明者らは、NHEKを保護しないL.サリバリウス(図2a)が、黄色ブドウ球菌接着を阻害する能力を調べた。L.サリバリウスおよび黄色ブドウ球菌に曝露された角化細胞は、黄色ブドウ球菌のみに曝露された角化細胞(4.9±0.2対数cfu)と比較して、同様の数の接着ブドウ球菌(4.5±0.2対数cfu)を有することが見出された(P>0.05、図8a)。さらに、L.サリバリウスは、L.レウテリ(6.7±0.1対数cfu)ほど効率的にはNHEKに接着しなかった(5.6±0.1対数cfu)(P=0.005、図8b)。

0138

考察
本研究において、本発明者らは、局所使用のためのプロバイオティクスの有用性を特徴付けるための予備的な工程を行った。本発明者らは、腸および口において、既知のプロバイオティクス潜在能力を持つ3つの株のラクトバチルス(9、38、44)が、一般的な皮膚病原体、黄色ブドウ球菌の影響から角化細胞を保護する能力を調べた。

0139

生理学的に適切な濃度の黄色ブドウ球菌を適用すると、NHEKの69.5%が24時間以内に殺された。対照的に、ラクトバチルス株は、いずれも、同じ条件下で、NHEKの生存度に有意に影響を及ぼさず、プロバイオティクスが角化細胞によく許容されることが示唆された。NHEKを病原体およびL.レウテリの両方に曝露すると、L.レウテリの存在下対非存在下で、黄色ブドウ球菌に感染したNHEKの有意により高い割合の生存度によって示されるように、プロバイオティクスは、病原体の影響から細胞を保護した(図2aおよびb)。保護効果はまた、L.レウテリの溶解物でも観察されたが、熱殺菌L.レウテリ細胞では観察されなかった(図2dおよびe)。さらに、プロバイオティクスの保護効果は、異なる種間で多様であり、これはL.レウテリによって提供される保護が、L.ラムノサスによって提供されるものより大きいためであった。対照的に、L.サリバリウスは、角化細胞に、黄色ブドウ球菌からのいかなる有意な保護も提供しなかった(図2a)。

0140

本発明者らが知る限り、これは、プロバイオティクスが、黄色ブドウ球菌の病原性効果から、in vitroで、角化細胞を保護することを示す最初の証拠であるが、L.ファーメンタムは、外科的移植物の黄色ブドウ球菌感染およびラットにおける膿瘍形成を阻害することが立証されてきている(18)。プロバイオティクスは、以前、他の上皮における病原体誘導性細胞死に対して保護効果を発揮することが示されてきている。例えば、L.ラムノサス、L.レウテリおよびL.オリス(L. oris)は、化膿性連鎖球菌(S. pyogenes)が誘導する咽頭上皮細胞の細胞死を阻害することが示された(34)。プロバイオティクス細胞不含上清もまた、保護性であることが示されてきている。L.デルブルエキー(L. delbruekii)上清は、C.ディフィシレ(C. difficile)病原性から腸細胞を保護する(5)。

0141

黄色ブドウ球菌が誘導する角化細胞の細胞死に対する、L.レウテリの保護効果は、いくつかの異なる機構から生じうる。ラクトバチルスは、病原体に対して直接、抗微生物効果を有しうる、有機酸およびバクテリオシンを産生することが知られている。本発明者らは、拡散アッセイにおいて、L.レウテリが酸を産生しうることを立証可能であったが、角化細胞培地pHがラクトバチルスの存在下で変化しないため、これは、観察される保護効果の原因ではないようである。同様に、競合アッセイにおいて、L.レウテリの存在下での黄色ブドウ球菌の増殖率および生産性は一者培養のものと同一であったため、本発明者らは、いかなる他の抗微生物活性も検出しなかった(図4)。

0142

L.レウテリが角化細胞を保護する機構の少なくとも一部は、L.レウテリが黄色ブドウ球菌の接着を防止する能力に関連するようである。いくつかの系統の証拠がこれを指摘する:まず、黄色ブドウ球菌は、インテグリン・ブロッキング抗体を用いて接着が阻害されている場合、細胞に対してより毒性でなかった(図8aおよびb)。第二に、接着を阻害するL.レウテリの溶解物もまた、保護性であった(図2eおよび6b)。他方で、熱殺菌L.レウテリは、角化細胞を保護しなかった(図2d)。第三に、黄色ブドウ球菌接着を阻害しないラクトバチルスの株(L.サリバリウス)(図8a)は、角化細胞を保護しなかった(図2a)。

0143

L.レウテリを細胞に添加するタイミングは、その保護効果に非常に重要であるようである。L.レウテリを黄色ブドウ球菌の前に、またはそれと同時に添加すると、NHEKは、病原体の影響から保護された(それぞれ、図3aおよび2a)。しかし、プロバイオティクスを病原体の後に添加すると、角化細胞細胞死のレベルは、プロバイオティクスで処理されていない培養で見られるものと類似であった(図3b)。総合すると、本発明者らのデータは、L.レウテリによる保護の機構が、角化細胞結合部位から黄色ブドウ球菌を競合的に排除する工程を伴うことを指摘する。

0144

黄色ブドウ球菌が角化細胞において細胞死を誘導する方法は、複雑なプロセスである。一般的に、黄色ブドウ球菌病変形成の最初の工程は、侵入前の角化細胞への黄色ブドウ球菌の付着と見なされる(27)。黄色ブドウ球菌は、これを行うために、接着性マトリックス分子を認識する微生物表面構成要素MSCRAMMS)と、集合的に称される、多くのアドヘシンを利用する(11)。角化細胞への接着に関与することが知られるブドウ球菌アドヘシンには、フィブロネクチン結合タンパク質(FnBP)(27、36)、プロテインA凝集因子およびコアグラーゼ(35)が含まれる。タイコ酸は、黄色ブドウ球菌の鼻上皮細胞への結合を仲介するが、これが角化細胞にも当てはまるかどうかは知られていない(1)。しかし、インテグリンのブロッキングは、黄色ブドウ球菌のNHEKへの結合を完全には阻害せず、1より多いアドヘシンが用いられることが示唆される(図8a)。

0145

本発明者らの研究および他の研究(27)によって、角化細胞上のフィブロネクチン受容体をブロッキングすると、黄色ブドウ球菌の接着が阻害されることが示されてきている(図8a)。興味深いことに、別個の実験において(データ未提示)、本発明者らは、NHEKへのL.レウテリの結合において、このインテグリンの関与を示すことが不可能であった。実際、角化細胞のプロテアーゼまたはグリコシダーゼのいずれの処理も、L.レウテリが細胞に結合するのを防止することは不可能であった(データ未提示)。しかし、プロバイオティクスが細胞に結合する機構がどうであっても、熱殺菌L.レウテリが、角化細胞に同程度に効率的に付着せず、また黄色ブドウ球菌から角化細胞を保護しなかったため(図2d)、この機構には、熱不安定性の分子が関与する。

0146

今日まで、プロバイオティクスが上皮角化細胞に接着する能力に関する公表された報告はない。別の箇所の上皮へのプロバイオティクスの接着は、コラーゲン結合タンパク質(21)、粘膜結合タンパク質(37)、リポタイコ酸(19)およびs層タンパク質(10、14)を通じて起こると示唆されてきている。適切なアドヘシンは、タンパク質性、炭水化物または2つの混合物であることも可能であるし、そして1より多いアドヘシンが用いられることも可能である。L.レウテリは、細胞がプロバイオティクスにあらかじめ曝露されている場合(結合部位の排除)(図5b)、そして黄色ブドウ球菌と同時に感染する場合(結合部位に関する競合)(図5c)、角化細胞へのブドウ球菌接着を阻害することが可能であったが、ブドウ球菌感染が始まった後に適用した場合(結合部位からの置換)、阻害は不可能であった(図5d)。他の研究者らは、競合的阻害/排除が、しばしば株依存性である一方、置換は一般的にそれほど有効ではないか、または起こるまでにより長時間要しうることを示してきている(32、49)。本発明者らの結果は、L.レウテリが、角化細胞から、存在する黄色ブドウ球菌を置換しないことを示唆し、そしてL.レウテリが感染が開始した後に添加された場合、黄色ブドウ球菌の細胞傷害性から角化細胞を保護することが不可能であるという知見を支持する。プロバイオティクスが、互いの接着に対して相乗的な影響を有する可能性もあることを示唆するいくつかの証拠が出現してきており、プロバイオティクスの組み合わせの効果に関する研究が、将来的に興味深いものでありうることが示唆される(39)。

0147

L.レウテリが、宿主上皮に付着する多数の機構を使用し、そして黄色ブドウ球菌が接着するのを防止するいくつかの戦略を使用しうる可能性が高いようである。L.レウテリが、角化細胞表面上の接着構造の発現に影響を及ぼす可能性があり、こうした構造の領域はなお研究されるべきである。以前の研究によって、プロバイオティクス、L.ラムノサスGGおよびL.プランタルム299vが、腸におけるムチン発現に関与する遺伝子の上方制御を誘導しうることが示されてきており、この上方制御は次に、腸病原性大腸菌(E. coli)の接着を阻害する(33)。1999年の研究において、乳酸細菌S.サーモフィラス(S. thermophilus)のin vitroでの角化細胞への適用およびin vivoでの皮膚への適用は、セラミド産生増加を生じた(15)。2006年の別の研究は、NHEKに対してプロバイオティクス発酵ホエイ産物を用い、そして分化マーカー、ケラチン−10およびインボルクリンmRNA発現増加を見出し(2)、これによって、「ポストバイオティクス」またはプロバイオティクス代謝産物もまた、皮膚病弊に有用でありうることが示唆された。プロバイオティクス代謝産物の陽性効果の別の例が、皮膚に対するプロバイオティクスパッチを開発した、最近の論文によって立証された。グルコースおよび亜硝酸塩を含むアルギン酸塩中に懸濁された凍結乾燥L.ファーメンタムは、一酸化窒素ガスを生じることが可能であり、この物質は、病原性細菌の増殖を阻害することが可能であった(24)。

0148

本発明者らは、プロバイオティクスが、in vitroで、角化細胞生存度に対する黄色ブドウ球菌の病原性効果に対する保護効果を有する証拠を提供した。これらの結果によって、皮膚に対する局所プロバイオティクスは、病原性生物を排除可能であり、そしてしたがって感染を防止することが示唆され、そして他の研究者の研究と一致する。L.プランタルムをマウスにおける火傷に局所投与すると、火傷の緑膿菌(P. aeruginosa)コロニー形成が阻害され、治癒が促進され、そして炎症反応が修飾されることが示されてきている(46)。この生物はまた、in vivoで、創傷の細菌負荷を制限し、そして治癒させるため、火傷創傷の伝統的なスルファジアジン銀(Silver suphadiazine)治療と比較されており、そして同程度に有効であることが見出されている(41)。さらに、プロバイオティクスはまた、加湿およびバリア機能の増加のために健康な皮膚を治療する際に利用することも可能である。2010年、ビフィドバクテリウム属溶解物をボランティアの皮膚に局所適用して、そして経皮水分喪失測定値減少を通じた、皮膚のバリア機能の増加が見出された(20)。皮膚に対してプロバイオティクスが有する完全な効果を決定するには、さらなる研究が必要であるが、本発明者らの発見は、L.レウテリが、排除および結合部位に関する競合を通じて、黄色ブドウ球菌の病原性効果から角化細胞を保護可能であることを示す。本発明者らは、プロバイオティクスまたはその溶解物をバリアクリームまたは石鹸中で予防的に用いると、ブドウ球菌皮膚コロニー形成およびそれに続く感染に対して戦う際に補助となりうることを示唆する。

0149

実施例3
上述のように、本発明者らは、ラクトバチルス・レウテリが、皮膚病原体、黄色ブドウ球菌の影響から、初代ヒト角化細胞を部分的に保護しうることを立証した。本研究において、プロバイオティクスの潜在能力の本発明者らの理解を前進させるため、本発明者らは、角化細胞の黄色ブドウ球菌感染の阻害における、第二のプロバイオティクス、L.ラムノサスGG、ならびにラクトバチルスおよび細菌溶解物の組み合わせの役割を評価してきた。L.ラムノサスGGは、ヒト糞便から単離され(US4839281およびUS5032399を参照されたい)、そして寄託番号ATCC53103の下に寄託されている。

0150

L.レウテリは、黄色ブドウ球菌が誘導する細胞死から、角化細胞を保護する
正常ヒト初代角化細胞(KC)を、L.ラムノサスGG、Lレウテリの単独または組み合わせのいずれか(すべて108/ml)の存在下または非存在下で、黄色ブドウ球菌(106/ml)に曝露した。トリパンブルー排除アッセイを用いて、KCの生存度を24時間後に測定した。

0151

KCを黄色ブドウ球菌のみで処理すると、感染後、わずかに39%のKCのみが生存したままであった(p<0.001)。しかし、L.レウテリまたはL.ラムノサスGGのいずれかの存在下で、病原体感染KCの生存度は、それぞれ、60%および59%に増加した(それぞれ、p=0.008および0.009)。さらに、黄色ブドウ球菌感染細胞に対して、両方の株を組み合わせて用いると、KCの生存度は75%に増加した(p=0.0025)。

0152

興味深いことに、L.ラムノサスGGの溶解物もまた、KCに対して有意な保護を提供し、プロバイオティクス溶解物の存在下で黄色ブドウ球菌と24時間インキュベーションした後、細胞の70%が生存していた。

0153

L.ラムノサスは黄色ブドウ球菌の増殖を阻害する
黄色ブドウ球菌をL.ラムノサスGGまたはL.ラムノサスGG溶解物の存在下で増殖させた。図12に示すように、黄色ブドウ球菌の増殖は、黄色ブドウ球菌のみよりも、生存L.ラムノサスまたは溶解物のいずれかの存在下で、より緩慢であった。

0154

この阻害効果は、L.ラムノサスAC413では観察されなかった。図11に示されるように、ウェル拡散アッセイにおいて、24時間後、ウェル周囲に阻害ゾーンが見えなかったため、黄色ブドウ球菌増殖は、阻害されなかった。

0155

L.ラムノサスは黄色ブドウ球菌を殺す
黄色ブドウ球菌に対するL.ラムノサスGGの影響をさらに解明するため、本発明者らは、黄色ブドウ球菌生存度に対するL.ラムノサスまたはその溶解物の影響を調べた。図13に示すように、生存L.ラムノサスGGの存在下では、L.ラムノサスGG(LGG)の非存在下で増殖させた黄色ブドウ球菌に比較して、より多数の死んだ黄色ブドウ球菌細胞が測定された。死んだ細胞の数は、黄色ブドウ球菌をLGG溶解物の存在下で培養した際に、劇的に増加した。

0156

したがって、本発明者らは、皮膚細胞保護および再生特性を持つプロバイオティクス細菌株を同定した。重要なことに、この株の溶解物は、皮膚角化細胞が、黄色ブドウ球菌(SA)によって誘導される有害な毒性に抵抗する能力を改善する(図9a)。第二の株の溶解物と組み合わせて用いた際、組み合わせは、どちらかの株を単独で用いた際よりも、黄色ブドウ球菌に対する保護にさらにより有効である(図9b)。

0157

L.ラムノサスGGおよびL.レウテリは、擦過された角化細胞単層の回復を加速し、そして角化細胞遊走を増加させる
角化細胞のバリア機能を増加させ、そして修復する剤は、療法剤としてだけでなく、美容的皮膚改善剤としても大きな潜在能力を有する。バリア機能の増大は、皮膚水和レベルを増加させ、そして皮膚の外見を改善し、そしてより健康的な美容的外見を導くことが知られる。

0158

本発明者らはまた、角化細胞単層が擦過されて細胞が取り除かれた際(すなわちモデル創傷)、本発明者らの私有のプロバイオティクス溶解物の存在が、有意にそして驚くべきことに、単層の回復およびバリアの再確立を加速することも立証した(図10)。図14に示すように、L.ラムノサスGGまたはL.レウテリ溶解物は、角化細胞単層の再上皮化速度を増加させた。この効果は、L.プランタルム、L.ファーメンタム、表皮ブドウ球菌またはビフィドバクテリウム・ロングム抽出物の溶解物を創傷形成された角化細胞単層に適用した際には観察されない。

0159

LGGおよびL.レウテリ溶解物はまた、角化細胞遊走の速度を増加させることも可能であった。図15に示すように、LGGおよびL.レウテリの抽出物のみが、対照に比較した際、角化細胞遊走速度を増加させることが可能であった。角化細胞遊走は、単層が再上皮化する、重要な機構である。

0160

これらのデータによって、プロバイオティクスであるラクトバチルスの異なる株が、単独でまたは組み合わせてのいずれかで、皮膚病原体、黄色ブドウ球菌の影響からヒト角化細胞を保護可能であることを立証する。本発明者らのデータによって、プロバイオティクスが、例えば偶発性病原体から皮膚を保護するための局所配合物において、潜在的に適用を有しうることが示唆される。

0161

実施例4
材料および方法
プロバイオティクス溶解物の調製
すべてのプロバイオティクス株(B.ロングム・レウター、ATCC−51870、L.プランタルム、ATCC−10241、L.レウテリ、ATCC−55730、L.ラムノサス・ゴールドウィンおよびゴーバック、ATCC−53103、L.ファーメンタム、ATCC−14932)を、LGCltd(英国)より購入し、そしてウィルキンス−チャルグレン・ブロス中でまたはウィルキンス−チャルグレン寒天上、37℃で、Mark 3嫌気性ワークステーション(Don Whitley scientific、英国)において、定常期までルーチンに増殖させた。108cfu/mlを含有するように、培養を分光光度的に調整した。10mlのこれらの培養を遠心分離し、洗浄し、そして次いで、1mlの角化細胞基本培地(Promocell、ドイツ・ハイデルベルグ)中で濃縮した。次いで、ビーズビーター(FastPrepFP120、Thermo Electron社、英国)を用いて試料を溶解し、そして次いで試料を濾過滅菌して、いかなる残存全細菌も除去した。100μlのこの溶解物を用いて、角化細胞培養を処理した。

0162

初代角化細胞細胞培養およびTEERの測定
正常ヒト上皮角化細胞(NHEK)を得て、そしてPrinceら(50)に記載されるように培養した。TJ機能を測定する実験のため、細胞を、0.4μm孔サイズの12ウェル透過性ポリカーボネートThincertTM細胞培養インサート(Greiner Bio−one Ltd、英国)上にプレーティングした。NHEKを角化細胞基礎培地(Promocell、ドイツ・ハイデルベルグ)中で集密まで増殖させた。この時点で、TJ形成を誘導するCNT−02−3DP高カルシウム培地(CELLnTEC Advanced cell systems、スイス)で、培地を交換した。チョップスティック電極装備した上皮電圧計(World Precision Instruments Ltd、英国)を用いて、TJ機能を測定した。個々の実験内に3つ組ウェルを含み、すべての実験を少なくとも3回反復した。いくつかの実験では、プロバイオティクス細菌をインサートの頂端側に付加し、そして処理後の示す時間で、TEERを測定した。

0163

MTTアッセイを用いたNHEK生存度の測定
3−{4,5−ジメチルチアゾール−2−イルジフェニルテトラゾリウムブロミド(MTT、Sigma−Aldrich Ltd.、英国プールより購入)を、リン酸緩衝生理食塩水中、5mg/mlのストック溶液として調製した。NHEKを96ウェルプレート中、集密まで増殖させ、そして次いで、細菌溶解物で24時間処理した。次いで、培地を、10%MTTを含有する新鮮な培地と交換した。プレートを37℃で4時間インキュベーションし、そして培地をジメチルスルホキシドと交換した。次いで、プレート読み取り装置中、各ウェルの吸光度を570nmで読み取った。

0164

NHEKからのタンパク質の抽出およびイムノブロッティング
Mclaughlinら(51)に記載される方法にしたがって、NHEK細胞からタンパク質を抽出した。簡潔には、単一のThincertTM由来の細胞を100μl抽出緩衝液(NaCl(120mM)、HEPES、pH7.5(25mM)、Triton X−100(1%)、EDTA(2mM)、NaF(25mM)、NaVO4(1mM)、SDS(0.2%)、アプロチニン(10μg/ml)、ロイペプチン(10μg/ml)およびペプスタチンA(10μg/ml))内に掻き取り、そして次いで、上で30分間インキュベーションした。微量遠心分離装置中で遠心分離した後、上清を新鮮な試験管回収し、そしてTJタンパク質発現の分析に用いた。Laemmliら(52)の方法にしたがってSDS−PAGEを行い、そしてタンパク質を電気泳動的PVDF膜トランスファーした。これらを続いて洗浄し、5%(w/v)スキムミルク中でブロッキングし、そして一次抗体と一晩インキュベーションした。これらは、ウサギ抗クローディン1、4、マウス抗オクルディン、マウス抗ZO−1またはマウス抗β−アクチン(すべてInVitrogenより購入)であった。続いて膜を洗浄し、そして西ワサビ(horse radish)・ペルオキシダーゼコンジュゲート化二次抗体とインキュベーションした。増進化学発光(Amersham、英国バックス)を用いて、イムノブロットを現像し、そしてMclaughlinら、2004(51)に記載されるように、濃度測定を行った。

0165

TLR−2の阻害
TLR2の阻害のため、角化細胞を10μg/ml(Abcam、英国)の組換えヒト抗TLR2抗体と、プロバイオティクス溶解物での刺激の前に1時間プレ処理した。

0166

統計分析
すべての実験を最低3回実行し、そしてSPSSソフトウェアバージョン20を用いて、分析した。2つの処理を比較する実験のため、独立試料T検定を用いて、すべてのデータを統計的に分析した。2またはそれより多い処理を比較する実験のため、一方向ANOVA検定を用いて、すべてのデータを統計的に分析した。結果は、p<0.05で統計的に有意と見なされた。各実験について少なくともn=3で、平均±標準誤差(SEM)としてデータを表す。

0167

結果
プロバイオティクス溶解物は、NHEKによく許容される。
最初に、本発明者らは、調べているプロバイオティクス溶解物のいずれかが、NHEKの生存度に影響を及ぼすかどうかを調べた。この目的に向けて、本発明者らは、細菌溶解物と24時間インキュベーションしたNHEKに対してMTTアッセイを行った。図16のデータは、L.ファーメンタムの溶解物を例外として、試験した株の溶解物がいずれも、NHEK生存度に有意には影響を及ぼさないことを例示する。L.ファーメンタム溶解物は、24時間のインキュベーション後、NHEK生存度の32%(±1.3、p=<0.01、n=3)の減少を誘導した。

0168

プロバイオティクス細菌は、NHEKにおいて、TJ機能を増大させる
正常ヒト上皮角化細胞は、低カルシウム濃度(〜0.2mM)を含有する培地から、高カルシウム(〜1.8mM)を含有する培地に移した際、TJを発展させる。この「カルシウムスイッチ」は、経時的な細胞TEERの上昇として検出可能な、TJのアセンブリを誘導する。TEERは、カルシウムスイッチの48時間後にピークに到達し、そして次いでわずかに低下して、72時間で定常状態に達する(図17a)。108CFU/mlプロバイオティクス細菌由来の溶解物100μlを、ThincertTMの頂端チャンバーに添加した際、本発明者らは、未処理および処理NHEKの間で、TEERの発展の有意な相違を観察した。これらの相違は、株依存性であった。L.ファーメンタムの溶解物が、細胞生存度を減少させるという観察とよく一致して、本発明者らは、未処理細胞に比較して、この溶解物で処理したNHEKにおけるTEERの有意な減少を観察した(図17b、p<0.005)。対照的に、L.レウテリの溶解物は、カルシウムスイッチの24時間後、最初はTEERを増加させたが、これは次に、対照の未処理細胞のものと有意に異ならないレベルまで減少した(図17c)。L.プランタルムはまた、対照細胞のものに勝るTEERの増加を生じた。この増加は、カルシウムスイッチの48時間後まで維持された。しかし、72時間で、TEERは未処理NHEKのものと有意に異ならなかった(図17d)。TEERの最大の増加は、B.ロングム・レウターおよびL.ラムノサスGG溶解物で処理したNHEKで観察された。これらの株の両方由来の溶解物は、対照細胞におけるよりも〜300オーム.cm2高いTEERの増加を生じた(図17eおよびf、p<0.05)。さらに、カルシウムスイッチの72時間後、これらの増加は維持され、そして処理細胞におけるTEERは、未処理NHEKに対して処理NHEKでなお有意により大きかった。これらの理由のため、B.ロングム・レウターおよびL.ラムノサスGGの溶解物をさらなる研究へと進めた。

0169

B.ロングム・レウターおよびLラムノサスGGは、角化細胞におけるTEERに用量依存性の影響を生じる。
B.ロングム・レウターおよびL.ラムノサスGGの角化細胞におけるTJ機能に対する影響をさらに定義するため、本発明者らは、106、104および102CFU/mlで細菌から作製した100μl溶解物の存在下でTEERを測定した。106CFU/mlで、両方の株由来の溶解物は、なお、未処理細胞におけるよりも有意により高いTEERを生じることが可能であった(図18aおよびb、p<0.005)。さらに、104CFU/mlから生じたL.ラムノサスGGの溶解物もまた、TEERを誘発し、そして増加させることが可能であった(図18b)。しかし、いずれかの株のより低い濃度では、対照細胞のものと有意に異なるTEERを生じることが不能な溶解物を生じた(図18aおよびb)。

0170

プロバイオティクス溶解物は、特異的TJタンパク質の発現を調節する。
TJ機能がしばしば、複合体に関与する特定のタンパク質の発現レベルに反映されることが、証拠によって示唆される。角化細胞によって発現される主なTJタンパク質には、クローディン1、クローディン4、ZO−1およびオクルディンが含まれる。したがって、本発明者らは、イムノブロッティングを用いて、未処理NHEK対プロバイオティクス溶解物で72時間処理したNHEKにおいて、これらのタンパク質の発現を調べた。

0171

B.ロングム・レウターの溶解物でNHEKを処理すると、4つのTJタンパク質すべてにおいて、有意な増加が生じた(図19aおよびb)。しかし、L.ラムノサスGGは、クローディン1、オクルディンおよびZO−1のみのタンパク質レベルの増加を誘導した(図19aおよびb)。L.ラムノサスGG処理NHEK対対照細胞において、クローディン4レベルには有意な変化はなかった。しかし、一般的に、L.ラムノサスGGによって誘発されるタンパク質発現の増加は、B.ロングム・レウターによって誘導されるものよりも大きかった(図19b)。

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