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技術 RSV、MPVおよびPVMを中和する抗体およびその利用

出願人 フマブスバイオメッドエスアー
発明者 コルティ,ダヴィデ
出願日 2013年3月14日 (6年3ヶ月経過) 出願番号 2015-501002
公開日 2015年5月18日 (4年1ヶ月経過) 公開番号 2015-514068
状態 特許登録済
技術分野 ペプチド又は蛋白質 生物学的材料の調査,分析 特有な方法による材料の調査、分析 突然変異または遺伝子工学 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 動物,微生物物質含有医薬 化合物または医薬の治療活性
主要キーワード 主要要因 中和曲線 空気遮断 ラインバー セラミックコア 共有結合基 フリースタイル アラムアジュバント
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年5月18日)のものです。
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図面 (20)

課題・解決手段

本開示は、RSVと、MPVと、PVMとの感染を中和する抗体、およびその抗原結合フラグメントに関する。また、本開示は当該抗体および抗体フラグメントをコードする核酸、当該抗体および抗体フラグメントを生産する不死化B細胞および培養した形質細胞、ならびに当該抗体および抗体フラグメントと結合するポリペプチドに関する。さらに、本開示はスクリーニング法、ならびに、RSVの感染またはMPVの感染ならびにRSVおよびMPVの同時感染の、診断処置および予防における、抗体、抗体フラグメントおよび本発明の抗体によって認識されるポリペプチドの使用に関する。

概要

背景

概要

本開示は、RSVと、MPVと、PVMとの感染を中和する抗体、およびその抗原結合フラグメントに関する。また、本開示は当該抗体および抗体フラグメントをコードする核酸、当該抗体および抗体フラグメントを生産する不死化B細胞および培養した形質細胞、ならびに当該抗体および抗体フラグメントと結合するポリペプチドに関する。さらに、本開示はスクリーニング法、ならびに、RSVの感染またはMPVの感染ならびにRSVおよびMPVの同時感染の、診断処置および予防における、抗体、抗体フラグメントおよび本発明の抗体によって認識されるポリペプチドの使用に関する。

目的

本発明は、RSVおよびMPVの両方またはRSVとMPVとPVMとを中和する、単離された抗体、抗体の変異体、およびその抗原結合フラグメントを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

SV、MPVおよびPVMの感染を中和する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント

請求項2

RSVおよびMPVの融合前のFタンパク質に特異的に結合し、かつRSVおよびMPVの融合後のFタンパク質に特異的に結合しない、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項3

グループAおよびグループBの両方のMPVならびにグループAおよびグループBの両方のRSVの感染を中和する、請求項1または2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項4

MPVのサブグループA1、A2、B1およびB2の感染を中和する、請求項1または2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項5

RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する、請求項2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項6

抗原部位I、抗原部位IIまたは抗原部位IVと重複する部位においてRSVのFタンパク質と結合しない、請求項1または2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項7

列番号64〜69のいずれか1つで規定されるアミノ酸配列を含む、RSV、MPVまたはPVMのFタンパク質のアミノ末端部の保存領域と結合する、請求項1または2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項8

RSV、MPVまたはPMVを50%中和するために必要な濃度が500ng/ml以下である、請求項1または2に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項9

配列番号1〜6、19〜23、35、39〜42、および53〜54のいずれか1つに対して少なくとも95%の配列同一性を有する少なくとも1つの相補性決定領域(CDR)配列を含む、請求項1に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項10

配列番号1または配列番号19のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1;配列番号2、配列番号20または配列番号39のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2;および配列番号3、配列番号21、配列番号40または配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む、請求項1に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項11

配列番号4のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR1;配列番号5、配列22または配列番号41のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR2;および配列番号6、配列番号23、配列番号35、配列番号42または配列番号54のアミノ酸配列を有する軽鎖CDR3を含む、請求項1に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項12

CDRH1について配列番号1、CDRH2について配列番号2、およびCDRH3について配列番号3;CDRH1について配列番号1、CDRH2について配列番号39、およびCDRH3について配列番号40;CDRH1について配列番号19、CDRH2について配列番号20、およびCDRH3について配列番号21;またはCDRH1について配列番号1、CDRH2について配列番号39、およびCDRH3について配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖を含む、請求項10もしくは11に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項13

CDRH1について配列番号4、CDRH2について配列番号5、およびCDRH3について配列番号35;CDRH1について配列番号4、CDRH2について配列番号5、およびCDRH3について配列番号6;CDRH1について配列番号4、CDRH2について配列番号41、およびCDRH3について配列番号42;CDRH1について配列番号4CDRH2について、配列番号22、およびCDRH3について配列番号23;またはCDRH1について配列番号4、CDRH2について配列番号41、およびCDRH3について配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖を含む、請求項10、11もしくは12に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項14

(i)配列番号1、配列番号2および配列番号3でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号5および配列番号35でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(ii)配列番号1、配列番号2および配列番号3でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号5および配列番号6でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(iii)配列番号1、配列番号39および配列番号40でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号41および配列番号42でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(iv)配列番号1、配列番号39および配列番号40でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号5および配列番号6でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(v)配列番号1、配列番号2および配列番号3でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号41および配列番号42でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(vi)配列番号19、配列番号20および配列番号21でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号22および配列番号23でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(vii)配列番号1、配列番号39および配列番号53でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号41および配列番号54でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;(viii)配列番号1、配列番号39および配列番号53でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番22および配列番号23でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列;または(ix)配列番号19、配列番号20および配列番号21でそれぞれ規定される重鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列、ならびに、配列番号4、配列番号41および配列番号54でそれぞれ規定される軽鎖CDR1、CDR2およびCDR3配列を含む、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する、単離された抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項15

配列番号13、17、29、33、49および51のうちのいずれか1つのアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する重鎖可変領域を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項16

配列番号14、30、37、50または60のアミノ酸配列に対して少なくとも80%の配列同一性を有する軽鎖可変領域を含む、請求項1〜15のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項17

配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域;または配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体、またはRSV、MPVおよびPVMの感染を中和するその抗原結合フラグメント。

請求項18

HMB3210変異体3、HMB3210変異体1、HMB3210変異体2、HMB3210変異体4、HMB3210変異体5、HMB3210変異体6、HMB2430変異体1、HMB2430変異体2、HMB2430変異体3、HMB2430変異体4、もしくはHMB2430変異体5である請求項1〜17のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項19

ヒト抗体モノクローナル抗体ヒトモノクローナル抗体、精製された抗体、一本鎖抗体Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFvである請求項1〜18のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項20

請求項1〜19のいずれか1項に記載の抗体と同一のエピトープに結合する、RSVおよびMPVの両方の感染を中和する、抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項21

RSVもしくはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の感染の治療または弱毒化のための、請求項1〜20のいずれか1項に記載の抗体、またはその抗原結合フラグメント。

請求項22

請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを含む、核酸分子

請求項23

上記ポリヌクレオチド配列は、配列番号7〜12、15、16、18、24〜28、31〜32、34、36、38、43〜48、51〜52、55〜58および61〜62のいずれか1つの核酸配列と少なくとも75%の同一性を有する、請求項22に記載の核酸分子。

請求項24

請求項22または23に記載の核酸分子を含む、ベクター

請求項25

請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメントを発現している、または請求項24に記載のベクターを含む、細胞

請求項26

請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと結合するエピトープを含む、単離または精製された免疫原性ポリペプチド

請求項27

請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、請求項22もしくは23に記載の核酸、請求項24に記載のベクター、請求項25に記載の細胞、または請求項26に記載の免疫原性ポリペプチド、および薬学的に許容可能な希釈剤または担体を含む、医薬組成物

請求項28

第1の抗体またはその抗原結合フラグメント、および第2の抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、当該第1の抗体は請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体であり、当該第2の抗体はRSVもしくはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の感染を中和する、医薬組成物。

請求項29

請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、請求項22もしくは23に記載の核酸、請求項24に記載のベクター、請求項25に記載の細胞、請求項26に記載の免疫原性ポリペプチド、または請求項27もしくは28に記載の医薬組成物の、(i)RSVもしくはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の感染の治療もしくは弱毒化のための薬物の製造における、(ii)ワクチンにおける、または(iii)RSVもしくはMPV感染の診断における、使用。

請求項30

抗RSVまたは抗MPVワクチンの質を、当該ワクチンの抗原が正しいコンフォメーションにおいて特定のエピトープを含むことを確認することによってモニタリングするための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントの、使用。

請求項31

治療上の有効量の請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントを、それを必要とする被験体に対して投与することを含む、RSVもしくはMPV感染を低減する、またはRSVもしくはMPV感染のリスクを低下させる方法。

請求項32

(i)治療における使用、(ii)RSVもしくはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の感染の治療もしくは弱毒化のための薬物の製造における使用、(iii)ワクチンとしての使用、または(iv)RSVもしくはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の感染を中和することができるリガンドスクリーニングにおける使用のための、請求項1〜21のいずれか1項に記載の抗体またはその抗原結合フラグメントと特異的に結合するエピトープを含む、単離または精製された免疫原性ポリペプチド。

発明の詳細な説明

0001

本願は、本明細書に記載されているように、それらの全文において、それらの開示物が参照によって援用されている、2012年3月20日に出願された米国仮出願第61/613,197号および2012年6月4日に出願された米国仮出願第61/655,310号の利益を主張する。

0002

マウス呼吸器合胞体ウイルス(RSV)およびマウスのメタニューモウイルス(MPV)およびマウスの肺炎ウイルスは、標的集団共有し、新生児および免疫無防備状態患者において主要な健康問題を示す、パラミクソウイルスファミリーに属する一般的な風邪ウイルスである。

0003

RSVは、世界中で幼児および成人における急性呼吸器疾患主要要因である。RSV感染を有する小児の0.5〜3.2%は入院治療を必要とし(hompson, W.W. et al., 2003, JAMA: The Journal of the American Medical Association 289:179-186)、小児の5%〜10%は、小児期において後に喘鳴および喘息様の症状の素因となるという事実またはそのように信じられている、長期の重篤な感染を有する。RSVに対する免疫性短寿命出現するため、再感染は頻発する(Ogra, 2003, Paediatric Respiratory Reviews 5 Suppl A:S119-126)。

0004

ヒトMPVは2001年に最初に単離され、今では幼児および成人の急性呼吸器疾患の2番目に主要な要因であると認識されている;ヒトMVPは、2までの幼児の50%以上および5歳までのほとんど全ての小児に感染すると見積もられている。MPVは入院している幼児における呼吸器疾患のおよそ5〜15%を占めている(Alto, 2004, The Journal of the American Board of Family Practice / American Board of Family Practice 17:466-469; Williams et al., 2004, N Engl J Med 350:443-450)。MPVの感染は、未熟児慢性肺疾患鬱血性心不全および免疫不全リスクにさらされている幼児の疾患の主要な要点である(Martino et al., 2005, Biology of Blood and Marrow Transplantation: Journal of the American Society for Blood and Marrow Transplantation 11:781-796)。

0005

MPVとRSVとの同時感染は、一般的な罹患率および、重複した感染症であり得る。相乗作用的病理がこれらの2つのウイルス間で生じるかどうかは明らかではないが、特に重篤な呼吸器疾患を導く増悪がMPVおよびRSVの同時感染した数人の小児において観察された(Greensill, 2003, Emerging Infectious Diseases 9:372)。

0006

ニューモウイルスサブファミリーのニューモウイルス族に属するRSV、およびニューモウイルスサブファミリーのメタニューモウイルス族に属するNPVは、NPVはRSVにおいて見いだされる非構造遺伝子の、NS1およびNS2を欠損しているが、それらの遺伝学的な構造においていくらか類似性を有しており、RSVおよびMPVのエンベロープは3つのウイルス的にコードされた膜貫通表面糖タンパク質:主要な接着タンパク質G、融合タンパク質Fおよび疎水性のSH小タンパク質を含んでいる。RSVおよびMPVのエンベロープは機能的に類似しているタンパク質を含んでいるが、RSVとMPVとは33%のアミノ酸同一性しか共有していないということに、注意することが重要である。さらに、RSVまたはMPVのいずれに対する抗血清も、両方のウイルスを交差中和せず(Wyde et al., 2003, Antiviral Research 60:51-59)、今のところRSVトMPVの両方を交差中和することができるモノクローナル抗体は単離されていない。

0007

RSVおよびMPVのF糖タンパク質は、ウイルス粒子エンベロープと宿主細胞原形質膜との融合によるウイルスの侵入に関する。感染後期において、細胞表面に発現したFタンパク質は、隣接する細胞との融合を仲介して、合胞体を形成する(Collins et al., 1984 PNAS 81:7683-7687)。両方の場合において、タンパク質分解性の切断によって形成され、アミノ酸の疎水性の伸長を含んでいる、FサブユニットN末端は、融合ペプチドと呼ばれ、標的の膜へ直接挿入し、融合を開始する。標的細胞に結合およびその後の活性化後、準安定のFタンパク質は、標的細胞膜への融合タンパク質の挿入を生じさせる一連構造的再構成を経て、次にウイルスの膜と細胞膜とが並置するように形成する安定なヘリックス束を形成する。これらの構造変化は、安定な融合後Fタンパク質の形成を導く。

0008

RSVまたはMPVの感染に対するワクチンは、現在利用可能ではない。1960年代試験された、ホルマリン不活性化RSVワクチンおよびアラムアジュバントのRSVワクチン(FI−RSV)は、高い入院率および死亡率をも生じる、高熱および重傷な肺炎を導く天然のRSV感染を伴う、進行した疾患に対して幼児をかかりやすくすることが見出された(Fulginiti et al., 1969, American Journal of Epidemiology 89:435-448; Kapikian et al., 1969, American Journal of Epidemiology 89:405-421; Kim et al., 1969, American Journal of Epidemiology 89:422-434)。同様に、ホルマリン不活性化MPVワクチンは、若いカニクイザルにおいて免疫仲介性の亢進した疾患を示した(de Swart et al., 2007, Vaccine 25:8518-8528)。さらに、リバビリンなどの抗ウイルス療法は、RSVまたはMPVの感染において有効であることが証明されなかった。

0009

RSVウイルスに対する防御における血清抗体役割に対する証拠は、疫学的研究ならびに動物研究から明らかになった。幼児において、母系伝達性抗原力価は、重篤な疾患への耐性に関連し(Glezen et al., 1981, The Journal of Pediatrics 98:708-715)、成人において、より低い呼吸器関連性の罹患率および重症度は、高レベル血清RSV中和抗体の存在下で低減される(McIntosh et al., 1978, The Journal of Infectious Diseases 138:24-32)。モノクローナル抗体であるパリビズマブ(Synagis)は、未熟新生児においてRSV感染の予防のために登録されている。しかし、パリビズマブは、RSV感染を予防することにおいて、常に効果的ではなく、治療的に有効ではない。さらに、パリビズマブの存在下で、の長期化したRSVの複製は、動物において、耐性のウイルスの株の出現を伴う(Zhao and Sullender, 2005, Journal of Virology 79:3962-3968)。現在、MPV感染の処置又は予防のためのモノクローナル抗体は存在しない。

0010

RSV感染の最も重症な形態のための、良好に作用する動物モデル欠如は、RSVとMPVとが宿主の制限されたニューモウイルスの病原体であるいう事実に関係している。RSVおよびMPVの感染の治療のための新規薬剤の開発は、全ての症状とヒトの疾患の重症度を反復することが可能な動物モデルの欠如によって妨害されている。実際、RSVおよびMVPは天然のマウスの病原体ではなく、限定された最小限度徴候のみを誘導し、強力な、非生理学的なウイルスの接種への反応における一次感染を迅速に食い止めた。マウスの肺炎ウイルス(PVM)は、ヒトおよびウシのRSVの、いくつかのファミリー、サブファミリーおよび属(Pneumovirus)に属する、天然の齧歯目ニューモウイルスの病原体である。PVMのFタンパク質は、ヒトRSVのFタンパク質と40%のアミノ酸同一性しか共有していないが、RSV中に存在しているがPVM中に存在していない、M2−Lの重複の除外を伴う同一の遺伝学的な組織を有している。天然のマウスの病原体のPVMによる感染は、ヒトの幼児において生じるような、もっとも重症な形態のRSVの徴候および症状の多くを再現する。PVM感染は、肺不全および死を導く強力な炎症反応を伴う迅速なウイルスの複製によって特徴づけられる(Rosemberg and Domachowske, 2008, Immunology Letter 118:6-12)。したがって、マウスにおけるPVMの感染は、ヒトのRSVおよびMPVの重篤な感染の、もっとも関連した動物モデルであると考えられる。

0011

MPV感染の予防的な処置およびRSVおよびMPV感染に対するワクチンの欠如、並びにパリビズマブの治療無効果は、これらの顕著なヒトの病原体に対する新規な予防剤および治療剤の必要性を強調する。高い罹患率および同時感染の可能性を考えれば、RSVおよびMPVの感染の両方を予防ならびに処置または弱毒化することが可能な単一の薬剤を有すること、および当該モデルにおいて、当該薬剤を試験するための、動物モデルを有することが非常に望ましい。したがって、広範なパラミクソウイルス(例えば、少なくともRSVおよびMPV、並びに好ましくはRSV、MPVおよびPVM)に対する防御をする、広範に交差中和する抗体の必要性がある。
〔発明の概要
本発明は、部分的には、本発明の抗体が結合するポリペプチドに加え、RSV、MPV、およびPVM感染を中和する、広範に中和する抗体の発見に基づく。それゆえ、本発明のある局面において、本発明は単離された、RSV、MPVおよびPVMの感染を交差中和する抗体、例えばモノクローナル抗体、ヒト抗体ヒトモノクローナル抗体変異抗体、または抗原結合フラグメントを含む。

0012

本発明の一実施形態において、本発明はRSVおよびMPVの両方を中和する単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。本発明の他の実施形態において、本発明はRSV,MPVおよびPVMの感染を中和する単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。

0013

本発明の他の実施形態において、本発明はRSVの融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSVの融合後Fタンパク質とは結合しない単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。本発明のさらなる実施形態において、本発明はRSVおよびMPVの融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSVおよびMPVの融合後Fタンパク質とは結合しない単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。本発明のさらなる実施例において、本発明はRSV、MPVおよびPVMの融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSV、MPVおよびPVMの融合後Fタンパク質とは結合しない単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。

0014

本発明の他の実施形態において、本発明は少なくとも1つの、配列番号1〜6、19〜23、35、39〜42、または53〜54のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有する相補性決定領域(CDR)配列を含む、RSV、MPVおよびPVMを中和する抗体を含む。

0015

本発明の他の実施形態において、本発明は、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、配列番号1または配列番号19のアミノ酸配列を含む重鎖CDR1;配列番号2、配列番号20または配列番号39のアミノ酸配列を含む、重鎖CDR2;および配列番号3、配列番号21、配列番号40または配列番号53のアミノ酸配列を含む重鎖CDR3を含む、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体もしくはその抗原結合フラグメントを含む。本発明の他の実施形態において、本発明は、配列番号4のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR1;配列番号5、配列番号22または配列番号41のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR2;および配列番号6、配列番号23、配列番号35、配列番号42または配列番号54のアミノ酸配列を含む軽鎖CDR3を含む、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、RSV、MPVおよびPVMを中和する。

0016

本発明のさらなる実施形態において、本発明は、(i)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3で示される、重鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号5および配列番号35で示される軽鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3;(ii)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3で示される、重鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号5、および配列番号6で示される、軽鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3;(iii)それぞれ配列番号1、配列番号39および配列番号40で示される、重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号41および配列番号42で示される、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3;(iv)それぞれ配列番号1、配列番号39および配列番号40で示される、重鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号5および配列番号6で示される、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3;(v)それぞれ配列番号1、配列番号2、および配列番号3で示される、重鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、41および42で示される、軽鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3を含む、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0017

本発明のさらなる実施形態において、本発明は、(i)それぞれ配列番号19、配列番号20、および配列番号21で示される、重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号22および配列番号23で示される、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3;(ii)それぞれ配列番号1、配列番号39および配列番号53で示される、重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号22および配列番号23で示される、軽鎖の、CDR1、CDR2およびCDR3;または(iv)それぞれ配列番号19、配列番号20および配列番号21で示される、重鎖のCDR1、CDR2およびCDR3、ならびにそれぞれ配列番号4、配列番号41および配列番号54で示される、軽鎖のCDR1、CDR2およびCDR3を含む、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0018

本発明のさらなる実施形態において、本発明は、重鎖可変領域が配列番号17のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号37のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号13のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号14のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号17のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号14のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号50のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号49のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号14のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号17のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号50のアミノ酸配列を含む、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0019

本発明のさらなる実施形態において、本発明は、重鎖可変領域が配列番号29のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号30のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号33のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号30のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号60のアミノ酸配列を含む;または重鎖可変領域が配列番号59のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号30のアミノ酸配列を含む;重鎖可変領域が配列番号33のアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域が配列番号60のアミノ酸配列を含む、抗体、またはその抗原結合フラグメントを含んでおり、当該抗体は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0020

本発明はさらに、HMB3210(もしくは3210)またはHMB2430(もしくは2430)と本明細書で記載されている抗体またはその抗原結合フラグメントを含む。他の実施形態において、本発明は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体またはその抗体結合フラグメントを含んでおり、当該抗体またはそのフラグメントは、HMB3210またはHMB2430を生産する不死化B細胞によって発現される。

0021

他の局面において、本発明は、本発明の抗体および抗体のフラグメントをコードしているポリヌクレオチドを含む核酸分子を含む。さらなるほかの局面において、本発明は、本発明の核酸分子を含むベクターを含んでいる。また、本発明は本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントを発現する細胞を含む。さらなる局面において、本発明は、単離または精製された、本発明の抗体または抗原結合フラグメントと結合するエピトープを含む免疫原性ポリペプチドを含む。

0022

本発明はさらに、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、本発明の核酸分子、本発明の核酸分子を含むベクター、本発明の抗体もしくは抗体フラグメントを発現する細胞、または本発明の免疫原性ポリペプチド、および薬学的に許容可能な賦形剤または担体を含む医薬組成物を含む。また、本発明は、第1の抗体またはその抗原結合フラグメント、および第2の抗体またはその抗原結合フラグメントを含み、第1の抗体が本発明の抗体であり、第2の抗体がRSVもしくはMPVの感染、またはRSVおよびMPVの両方の感染、またはRSV、MPVおよびPVMの3つ全ての感染を中和する抗体またはその抗原結合フラグメントである医薬組成物を含む。

0023

(i)RSVまたはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の同時感染の処置、または弱毒化のための医薬の製造における、(ii)ワクチンにおける、または(iii)RSVおよび/またはMPVウイルス感染診断における、本発明の抗体もしくはその抗原結合フラグメント、本発明の核酸分子、本発明の核酸分子を含むベクター、本発明の抗体もしくは抗体フラグメントを発現する細胞、本発明の抗体もしくは抗体フラグメントと結合するエピトープを含む、単離もしくは精製された免疫原性ポリペプチド、または本発明の医薬組成物の使用もまた、本発明の範囲内であることが意図される。加えて、上記ワクチンの抗原が、特定のエピトープを正しい立体構造で含んでいることを確認することによって、RSVまたはMPV、またはRSVおよびMPVの両方に対するワクチンの質をモニタリングするための本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用もまた、本発明の範囲内であることが意図される。

0024

他の観点から見ると、本発明は、治療有効量の、本発明の抗体または抗原結合抗体フラグメントをそれを必要とする被検体投与することを含んでいる、RSVおよびMPV感染の治療および弱毒化、またはRSVおよびMPV感染のリスクを低下させる方法を含む。

0025

さらなる局面において、本発明は、(i)治療において、(ii)RSVに感染またはMPVの幹線またはRSVおよびMPV両方の感染を治療もしくは弱毒化するための医薬の製造において、(iii)ワクチンとして、または(iv)RSVの感染またはMPVの感染またはRSVおよびMPV両方の感染を中和することが可能なリガンドスクリーニングにおいて使用するための、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントと特異的に結合するポリペプチドを含む。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、インビトロでのRSVまたはMPVウイルス感染を中和する能力についての、7人の提供者(Don.1〜7)から得られたEBV不死化記憶B細胞によって生成されたモノクローナル抗体の、スクリーニング結果を示す。

0026

図2は、モノクローナル抗体であるHMB2430、HMB3210、234mAbおよびパリビズマブによる、RSVおよびMPVの中和の結果を示す。

0027

図3は、ELISAにより測定された、モノクローナル抗体である、モタビズマブ、234mAb、HMB2430およびHMB3210による、RSVのFタンパク質または破傷風毒素タンパク質との結合を示す。

0028

図4は、大過剰の表示された標識されていない抗体の存在下でのRSV感染Hep−2細胞への標識されたモノクローナル抗体の、結合を示す。

0029

図5は、ウェスタンブロット解析によって測定された、還元条件または非還元条件下での、RSV−Hep−2感染細胞溶解物から得たRSVFタンパク質への、モノクローナル抗体であるHMB2430、HMB3210、234mAb、およびモタビズマブの結合を示す。

0030

図6は、ウェスタンブロット解析によって測定された、還元条件または非還元条件下での、MPV−LLC−MK2感染細胞のライセートから得られたMPVFタンパク質への、モノクローナル抗体であるHMB3210および234mAbの結合を示す。

0031

図7は、モノクローナル抗体であるHMB2430、HMB3210、234mAbおよびパリビズマブによる、RSVLong株およびPZ−MARM6単離物の、中和の結果を示す。

0032

図8は、N−グリコシダーゼであるPNG−アーゼFのHMB3210v2の、存在下(+)または非存在下(−)でのインキュベートを伴う、還元SDS−PAGEゲルによる解析結果を示す。黒のボックスで強調されているのは、グリコシル化されたHMB3210軽鎖の小断片である。

0033

図9は、モノクローナル抗体であるHMB3210v2およびHMB3210v3による、MPVI−PV 03/01−6621およびRSVA2の中和の結果を示す。

0034

図10は、モノクローナル抗体である、HMB3210v2およびHMB3210v3による、MPVおよびRSV株のパネルの中和の結果を示す。

0035

図11は、HMB3210およびHMB2430モノクローナル抗体の生殖細胞系変異体による、MPVI−PV 03/01−6621およびRSVA2の中和の結果を示す。

0036

図12は、HMB3210またはパリビズマブと共にインキュベートあり、またはなしのRSVF融合後組み換えタンパク質の、サイズ排除クロマトグラフィー解析の結果を示す。

0037

図13は、HMB3210またはパリビズマブと共にインキュベートありまたはなしのRSVF融合前組み換えタンパク質の、サイズ除外クロマトグラフィー解析の結果を示す。

0038

図14は、表面プラズモン共鳴(SPR)によって測定された、融合前RSVFタンパク質および融合後RSV Fタンパク質へのHMB3210またはパリビズマブ(PVZ)の結合を示す。

0039

図15は、ヒトモノクローナル抗体であるHMB3210およびD25による、ウイルスの中和およびウイルスの拡散阻害を示す。

0040

図16は、RSVまたはMPV感染におけるHMB3210v3およびパリビズマブの予防有効性を示す。

0041

図17は、RSVに感染したSTAT欠乏マウスにおける、HMB3210の治療有効性を示す。

0042

図18は、致死量のPVMに感染したマウスにおけるHMB3210の予防有効性および治療有効性を示す。

0043

図19は、致死的なPVM感染後、3、4または5日における、HMB3210v3で処置されたマウスにおける、肺のウイルス力価の増加における阻害を示す。

0044

図20は、致死量のPVMに感染したマウスにおける、野生型FcまたはLALA突然変異を有するHMB3210v3変異体の、予防有効性および治療有効性を示す。

0045

図21は、パラインフルエンザウイルス5(PIV5)と比較した、RSV、BRSV、PVMおよびMPVの配列における、HMB3210によって認識されるYLSALRペプチドが、高い保存性を強調するアラインメントを示す。

0046

図22は、YLSALRペプチドおよび隣接するパリビズマブ(PVZ)サイトの位置を示す、融合前RSVFタンパク質のモデル、ならびに、融合前および融合後のRSV Fタンパク質の立体構造における、PVZおよびHMB3210v3サイトの再構成を示す。

0047

図23は、364RSV、162MPV、8BRSVおよび5PVM株における、HMB3210コアエピトープの高度な保存を示す。

0048

図24は、HMB3210のさまざまな重鎖および軽鎖の変異体に対する配列を示す。

0049

図25は、HMB2430のさまざまな重鎖および軽鎖の変異体に対する配列を示す。
〔発明を実施するための形態〕
本発明は、部分的には、RSVおよびMPVの両方、またはRSVと、MPVとPVMとを共に交差中和する抗体ならびに本発明の抗体が結合するエピトープの発見および単離に基づく。前記抗体は、1種類のみまたは数種類の抗体が、RSVおよびMPVの両方、またはRSVとMPVとPVMとを中和するために必要とされるため、好ましいものである。さらに、交差中和する抗体は、RSVおよび/またはMPV感染の処置のための、抗体を含む医薬の生産コストを低減するため、高い力価で製造される。さらに、当該抗体によって認識されるエピトープは、RSVおよびMPVの両方に対する幅広い防御を誘導可能なワクチンの一部であり得る。

0050

本発明の抗体は、RSV、MPVおよびPVMを交差中和、本発明のある実施形態において、例えば疾患の処置、ワクチンの開発等に関するものであるが、本開示は、RSVおよびMPVのみを参照している。これらのウイルスはヒト病原体であるが、PVMはマウス病原体であるためである。本明細書で使用されるとき、“RSVおよびMPVの両方”および“RSVと、MPVとPVM”という用語は文脈に基づき、相互交換可能に使用される。

0051

従って、ある局面において、本発明は、RSVおよびMPVの両方またはRSVとMPVとPVMとを中和する、単離された抗体、抗体の変異体、およびその抗原結合フラグメントを提供する。一実施形態において、RSVはヒトRSVである。他の実施形態において、RSVはウシRSVである。本発明の抗体はヒトRSV(hRSV)およびウシRSV(bRSV)の両方を中和する。他の実施形態において、MPVはヒトMPVである。

0052

ある実施形態において、本発明は、グループAおよびグループBの両方のRSVの感染を中和する、単離された抗体、もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。他の実施形態において、本発明は、グループAおよびグループBの両方のMPVの感染を中和する、単離された抗体、もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。さらなる実施形態において、本発明は、グループAおよびグループBの両方のRSV感染、並びにグループAおよびグループBの両方のMPV感染を中和する、単離された抗体、もしくはその抗原結合フラグメントを提供する。

0053

以前に述べたように、RSV、MPV、およびPVMは、遺伝子構造にある類似性を有する。Gタンパク質およびFタンパク質のアミノ酸配列は、RSVおよびMPVの両方においてAグループおよびBグループに分類される;MPVはさらに、4つのサブグループ:A1、A2、B1およびB2に分類される:PVMはグループまたはサブグループに分類されない。RSV、MPVまたはPVMのFタンパク質は、N末端開裂シグナルペプチドおよびC末端付近メンブレンアンカーを有する、タイプI膜貫通型表面タンパク質である。RSVおよびMPVのFタンパク質は、ホモ三量体会合し、開裂によって活性化する、不活性のF0前駆体として合成される。Fタンパク質は3つのドメイン(DIからDIII)、融合タンパク質(FP)および3つの7アミノ酸繰り返し領域(HR−A、HR−BおよびHR−C)により形成される。RSVおよびMPVのF糖タンパク質は、ウイルス粒子のエンベロープと宿主細胞の原形質膜との融合によるウイルスの侵入を誘導する。両方の場合において、タンパク質分解性の開裂によって作られ、融合ペプチドを含むFサブユニットのN末端は、対象の膜に直接挿入され、融合を開始する。標的細胞への結合、および続く活性化の後、準安定化した融合前Fタンパク質は、一連の構造的な再構成を経て、標的の細胞膜への融合タンパク質の挿入が生じ、その後、ウイルスおよび標的細胞の膜を並置するように安定化したヘリックス束が形成される。これらの構造変化は、安定した融合後Fタンパク質形成を導く。感染の後期において、感染した細胞の細胞表面に発現したFタンパク質は、巨大な合胞体を形成し、隣接した感染していない細胞との融合を仲介することができる。

0054

パリビズマブおよびモタビズマブのエピトープは、融合後RSVFタンパク質抗原サイトII(サイトAとも呼ばれる)に位置付けられ、残基255−275により形成される。MAB19および101Fは、残基422−438で形成される、融合後のRSV Fタンパク質の抗原サイトIV(サイトCとも呼ばれる)を標的としている。MAB19は臨床試験において試験されているが、有意な有効性を示していない(Johnson et al., 1999, The Journal of Infectious Diseases 180:35-40; Meissner et al., 1999, Antimicrobial Agents and Chemotherapy 43:1183-1188)。

0055

有効であるためには、抗体は、ウイルスの侵入を遮断するのに適切な形態である融合前Fタンパク質を認識するべきであり、好ましくは、誘引物として作用し得豊富に存在し、それゆえ抗体を消費し、有効性を低減させる、融合後Fタンパク質を認識しない。現在までに、RSV融合前Fタンパク質を認識するがRSV融合後Fタンパク質を認識しない抗体は単離されていない。

0056

本発明のある実施形態において、本発明は、RSV融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSV融合後Fタンパク質とは結合しない単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。他の実施形態において、本発明は、RSVおよびMPVの融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSVおよびMPVの融合後Fタンパク質とは結合しない単離された抗体、またはその抗原結合フラグメントを含む。他の実施形態において、本発明は、RSV、MPVおよびPVMの融合前Fタンパク質と特異的に結合し、RSV、MPVおよびPVMの融合後Fタンパク質とは結合しない抗体を提供する。

0057

本発明はRSV、MPVおよびPVMのFタンパク質と結合する抗体を提供する。RSV、またはMPVおよびPVMの間には、それぞれおよそ33%から40%のアミノ酸配列同一性があるに過ぎないという事実にもかかわらず、本発明の抗体はRSV、MPVおよびPVMのFタンパク質に存在する共通のエピトープを認識する。このエピトープは従来公知の抗体(例えばパリビズマブ、モタビズマブ、mAb 101F等)により認識されるものとは異なる。本発明の抗体は、例えば抗原サイトII(モタビズマブおよびパリビズマブにより認識される)にも、抗原サイトIV(mAb 101Fにより認識される)にも、抗原サイトI(mAb 131−Aと結合する)にも結合しない。本発明の抗体により認識されるRSV Fタンパク質のエピトープもまた、RSVにのみ特異的な抗体であるmAb D25により認識されるものとは異なる。加えて、MPV Fタンパク質における、本発明の抗体により認識されるエピトープは、mAb 234(RSV Fタンパク質における抗原サイトIIに相当する、MPV Fタンパク質のエピトープを認識する)により認識されるものとは異なる。一般に、本発明の抗体は高次構造エピトープを認識する。ある実施形態において、高次構造エピトープは、非還元状態においてのみ存在する。他の実施形態において、高次構造はFタンパク質のアミノ酸残基ジスルフィド結合の存在に依存する。

0058

本明細書において示されるように、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは数種類の異なる株のRSVおよびMPVの両方と特異的に結合し、RSVおよびMPVの両方を中和する。さらに、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、グループAおよびグループBの両方のRSV、並びに対応する全てのMPVサブグループ(すなわちA1、A2、B1およびB2)を含む、グループAおよびグループB両方のMPVと特異的に結合し、交差中和する。

0059

本発明の抗体および抗原結合フラグメントは、高い中和能力を有する。RSV、MPVおよびPVMの50%中和に要求される本発明の抗体の濃度は、例えば約500ng/mL以下である。ある実施形態において、RSV、MPVおよびPVMの50%中和に要求される本発明の抗体の濃度は、約500、450、400、350、300、250、200、175、150、125、100、90、80、70、60または50ng/mL以下である。これはRSV、MPVおよびPVMの50%中和に、低濃度の抗体しか要求されないということを意味する。特異性および有効性は当業者既知標準的なアッセイにより測定できる。

0060

本発明の抗体は、ヒト抗体、モノクローナル抗体、ヒトモノクローナル抗体、組み換え抗体、または精製された抗体であり得る。本発明はまた、本発明の抗体のフラグメント、特に、抗体の抗原結合活性を保っているフラグメントを提供する。当該フラグメントは、1本鎖抗体Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFvが挙げられるが、それらに限定されない。請求項を含む明細書のある個所において、抗原結合フラグメント、抗体フラグメント、抗体の変異体変異体および/または抗体の派生物について明確に言及できているが、“抗体”または“本発明の抗体”という用語はすべての分野の抗体、すなわち明確に抗原結合フラグメント、抗体フラグメント、変異体抗体の変異体および/または抗体の派生物を含むことが理解される。

0061

それぞれ重鎖が3つのCDRを含み、軽鎖が3つのCDRを含む、本発明の数種類の抗体の重鎖および軽鎖の配列が決定された。CDRアミノ酸の位置はIMGTナンバリングシステムにより定義された。本発明の抗体のCDR、重鎖、軽鎖の配列並びにCDR、重鎖、軽鎖をコードしている核酸分子の配列は配列リストにおいて開示されている。抗体の重鎖のCDRはそれぞれCDRH1(またはHCDR1)、CDRH2(またはHCDR2)およびCDRH3(またはHCDR3)と呼ばれる。同様に、抗体の軽鎖のCDRはそれぞれCDRL1(またはLCDR1)、CDRL2(またはLCDR2)およびCDRL3(またはLCDR3)と呼ばれる。表1は本発明の例示的な抗体の、重鎖および軽鎖の6つのCDRのアミノ酸の配列番号を示す。

0062

0063

ある実施形態において、本発明の抗体または抗体フラグメントは、配列番号1−6、19−23、35、39−42または53−54のいずれか1つと少なくとも95%の同一性を有するCDRを、少なくとも1つ有する。抗体3210および抗体2430の変異体のCDRは、それぞれ図24および図25に規定される(CDRは太字で強調されている)。

0064

他の実施形態において、本発明は、3210変異体1、3210変異体2、3210変異体3、3210変異体4、3210変異体5、3210変異体6、2430変異体1、2430変異体2、2430変異体3、2430変異体4または2430変異体5に由来する、1つ以上(すなわち1、2または3個すべて)の重鎖CDRを含む抗体または抗原結合フラグメントを提供する。

0065

さらなる実施形態において、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、配列番号1もしくは配列番号19のアミノ酸配列を有する重鎖CDR1、アミノ酸配列番号2、配列番号20もしくは配列番号39のアミノ酸配列を有する重鎖CDR2、または配列番号3、配列番号21、配列番号40もしくは配列番号53のアミノ酸配列を有する重鎖CDR3を含む。特定の実施形態において、本明細書に規定される抗体または抗体フラグメントは、(i)CDRH1に対する配列番号1のアミノ酸配列、CDRH2に対する配列番号2のアミノ酸配列および、CDRH3に対する配列番号3のアミノ酸配列、(ii)CDRH3に含む配列番号1のアミノ酸配列、CDRH2に対する配列番号39のアミノ酸配列、CDRH3に対する配列番号40のアミノ酸配列、(iii)CDRH1に対する配列番号19のアミノ酸配列、CDRH2に対する配列番号20のアミノ酸配列およびCDRH3に対する配列番号21のアミノ酸配列または(iv)CDRH1に対する配列番号1のアミノ酸配列、CDRH2に対する配列番号39のアミノ酸配列、およびCDRH3に対する配列番号53のアミノ酸配列を含んでいる、重鎖を含む。

0066

また、提供されているのは、3210変異体1、3210変異体2、3210変異体3、3210変異体4、3210変異体5、3210変異体6、2430変異体1、2430変異体2、2430変異体3、2430変異体4または2430変異体5に由来する、1つ以上(すなわち1、2または3個すべて)の軽鎖CDRを含む抗体または抗原結合フラグメントである。ある実施形態において、本発明の抗体または抗原結合フラグメントは、アミノ酸配列番号4の軽鎖CDR1;アミノ酸配列番号5、22または41の軽鎖CDR;およびアミノ酸配列番号6、23、35、42または54の軽鎖CDRを含む。ある実施形態において、本明細書に規定される抗体または抗体フラグメントは、(i)CDRL1に対する配列番号4のアミノ酸配列、CDRL2に対する配列番号5のアミノ酸配列、およびCDRL3に対する配列番号6のアミノ酸配列、(ii)配列番号4のアミノ酸配列、CDRL2に対する配列番号5のアミノ酸配列、配列番号39のアミノ酸配列、(iii)CDRL1に対する配列番号4のアミノ酸配列、CDRL2に対する配列番号41のアミノ酸配列、およびCDRL3に対する配列番号42のアミノ酸配列、(iv)CDRL1に対する配列番号4のアミノ酸配列、CDRL2に対する配列番号41のアミノ酸配列、およびCDRL3に対する配列番号54のアミノ酸配列、または(v)CDRL1に対する配列番号4のアミノ酸配列、CDRL2に対する配列番号41のアミノ酸配列、およびCDRL3に対する配列番号54のアミノ酸配列を含んでいる軽鎖を含む。

0067

ある実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の3210抗体変異体1のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の3210抗体変異体2のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、表1に記載の3210抗体変異体3のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、表1に記載の3210抗体変異体4のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、表1に記載の3210抗体変異体5のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、表1に記載の3210抗体変異体6のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0068

さらなる実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の2430抗体変異体1のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の2430抗体変異体2のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の2430抗体変異体3のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の2430抗体変異体4のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。他の実施形態において、本発明の抗体、またはその抗原結合フラグメントは、表1に記載の2430抗体変異体5のCDR全てを含み、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する。

0069

本発明の例示的な抗体の重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)に対するアミノ酸配列、並びにそれらをコードする核酸配列を表2に記載した。

0070

0071

ある実施形態において、本発明の抗体または抗体フラグメントは、配列番号13、17、29、33、49または59で示される配列のいずれかと、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する重鎖可変領域を含む。他の実施形態においては、本発明の抗体または抗体フラグメントは、配列番号14、30、37、50または60で示される配列のいずれかと、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。さらなる他の実施形態においては、本発明の抗体または抗体フラグメントは、図24および25に規定される配列と、約70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%または100%の同一性を有するアミノ酸配列を有する、重鎖可変領域または軽鎖可変領域を含む。

0072

本発明の他の実施形態においては、本発明は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体または抗原結合フラグメントであって、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号13のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号14のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号49のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号37のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号17のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号50のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの、を包含する。

0073

本発明のさらなる他の実施形態においては、本発明は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体または抗原結合フラグメントであって、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号29のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号59のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号30のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの;または、配列番号33のアミノ酸配列を含む重鎖可変領域および配列番号60のアミノ酸配列を含む軽鎖可変領域を含むもの、を包含する。

0074

本発明の抗体の例示には、HMB3210変異体1、HMB3210変異体2、HMB3210変異体3、HMB3210変異体4、HMB3210変異体5、HMB3210変異体6、HMB2430変異体1、HMB2430変異体2、HMB2430変異体3、HMB2430変異体4またはHMB2430変異体5が含まれるが、それらのみに限定されない。

0075

本発明はさらに、本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントと同じエピトープに結合する抗体、もしくはその抗原結合フラグメント、または本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントと競合する抗体を含む。

0076

表1および表2から分かるように、開示された抗体のCDR、重鎖および軽鎖は、組み替えることにより、結合および中和の能力を保った新たな抗体を提供することができる。本発明の抗体はそれゆえ、表1に規定されるCDR、または表2に規定される重鎖および軽鎖のあらゆる組合せを含む、抗体および抗原結合フラグメントを含む。

0077

本発明の抗体は、本発明の抗体の1つ以上のCDRと、同一のエピトープに対する他の抗体の1つ以上のCDRとを含む、ハイブリッド抗体分子をも含む。ある実施形態においては、前記のハイブリッド抗体は、本発明の抗体のCDR3つと、同一のエピトープに対する他の抗体のCDR3つとを含む。代表的なハイブリッド抗体は、(i)本発明の抗体に由来する3つの軽鎖CDRと、同一のエピトープに対する他の抗体に由来する3つの重鎖CDRとを含む、または(ii)本発明の抗体に由来する3つの重鎖CDRと、同一のエピトープに対する他の抗体に由来する3つの軽鎖CDRとを含む。

0078

変異体抗体もまた本発明の範囲に含まれる。それゆえ、本出願に記載の変異体配列もまた本発明の範囲に含まれる。前記変異体は、免疫反応の間にインビボで、または、不死化B細胞クローンの培養においてインビトロで、体細胞変異により生じた天然変異体を含む。あるいは、変異体は遺伝子コード縮重により出現したり、または転写もしくは翻訳エラーにより生産されたりすることもある。

0079

改善した親和性および/または改善した有効性を持つ抗体配列の変異体は、当業者に既知の方法を用いて入手することができ、本発明の範囲に含まれる。例えば、より改善した親和性を持つ抗体を得るために、アミノ酸の置換が使用されることがある。あるいは、ヌクレオチド配列コドン最適化が、抗体生産のための発現システムにおいて、翻訳の効率を向上させるのに使用されることもある。さらに、本発明のいずれかの核酸配列に定方向進化法を適用することによって、抗体の特異性または中和活性の点で最適化された配列を含むポリヌクレオチドをもまた、本発明の範囲に含まれる。

0080

ある実施形態においては、変異体抗体配列は、本願に記載の配列と70%またはそれより多い(すなわち75%、80%、85%、90%、95%、97%、98%、99%またはそれより多い)アミノ酸配列同一性を有する。ある実施形態においては、上記配列の同一性は、参照配列(すなわち本願に記載の配列)の全長に対して計算される。ある実施形態においては、ここに記載の百分率同一性は、NCBI(the National Center for Biotechnology Information; http://www.ncbi.nlm.nih.gov/)のデフォルトパラメーターを使用し、BLASTversion 2.1.3を使用して決定した[Blosum 62 matrix; gap open penalty=11 and gap extension penalty=1]。

0081

他の観点から見ると、本発明は、本発明の抗体の軽鎖および重鎖、およびCDRの全部または一部をコードする核酸配列をも含む。ここに規定されているのは、本発明の代表的な抗体の軽鎖および重鎖、およびCDRの全部または一部をコードする核酸配列である。表2は、本発明の幾つかの実施例の抗体の、重鎖可変領域および軽鎖可変領域をコードする核酸配列の配列番号を規定する。表3は、本発明の代表的な抗体のCDRをコードする核酸配列の配列番号を規定する。遺伝子暗号の冗長性のため、これらの核酸配列の変異体には同一のアミノ酸配列をコードするものが存在する。

0082

0083

一実施形態において、本発明に係る核酸配列は、本発明の抗体の重鎖または軽鎖をコードする核酸に対し、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む。別の実施形態において、本発明の核酸配列は、本発明の抗体の重鎖または軽鎖CDRをコードする核酸の配列を有する。例えば、本発明に係る核酸配列は、配列番号7〜12、15、16、18、24〜28、31〜32、34、36、38、43〜48、51〜52、55〜58、または61〜62の核酸配列に対し、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%同一である。

0084

さらに別の実施形態において、本発明に係る核酸配列は、図24および25に規定される本発明の抗体の重鎖または軽鎖をコードする核酸に対し、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、または少なくとも99%の同一性を有する核酸配列を含む。

0085

さらに本発明の範囲に含まれるのは、本発明に係る核酸配列を含むベクター(例えば、発現ベクター)である。そのようなベクターにより形質移入された細胞もまた、本発明の範囲に含まれる。そのような細胞の例として、真核細胞(例えば、酵母細胞動物細胞または植物細胞)が含まれるが、これらに限定されない。一実施形態において、細胞は哺乳類の細胞(例えば、ヒト、CHO、HEK293T、PER.C6、NS0、ミエローマまたはハイブリドーマ細胞)である。

0086

本発明はまた、本発明の抗体または抗原結合フラグメントと結合することができるエピトープに結合するモノクローナル抗体に関する。

0087

モノクローナルおよび組み換え抗体は、それらが対象としている個々のポリペプチドまたは他の抗原の同定および精製において特に有用である。本発明の抗体は、イムノアッセイラジオイムノアッセイRIA)、または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)における試薬として使用できるという、さらなる有用性がある。これらの応用において、当該抗体は分析的に検出可能な試薬(放射性同位体蛍光分子または酵素等)で標識され得る。

0088

本発明の抗体は、治療部位への輸送のための薬物に結合させる、または目的の細胞(例えば、RSVもしくはMPV、またはRSVおよびMPVの両方に感染した細胞)を含む部位のイメージングを容易にするために、検出可能な標識と結合させることができる。抗体を薬物および検出可能な標識と結合させる方法は、当該技術分野において、検出可能な標識を用いてイメージングを行う方法と同様、よく知られている。標識された抗体は、様々な標識を使用することで、様々なアッセイに用いられ得る。本発明の抗体と目的のエピトープ(エピトープまたはRSVもしくはMPVまたは両方)との間の抗体抗原複合物の形成の検出は、検出可能なラベルを当該抗体に付加することによって容易にすることができる。適切な検出手段としては、放射性核種、酵素、補酵素蛍光剤化学発光剤色素酵素基質またはコファクター酵素阻害剤補欠分子族複合体、フリーラジカル粒子、および染料等の標識の使用が挙げられる。適切な酵素の例としては、セイヨウワサビペルオキシダーゼアルカリホスファターゼβ−ガラクトシダーゼ、またはアセチルコリンエステラーゼが挙げられ;適切な補欠分子族複合体の例としては、ストレプタビジンビオチンおよびアビジン/ビオチンが挙げられ;適切な蛍光物質としては、ウンベリフェロンフルオレセインフルオレセインイソチオシアネートローダミンジクロロトリアジニルアミンフルオレセイン、ダンシルクロリド、またはフィコエリトリンが挙げられ;適切な発光物質の例は、ルミノールであり;適切な生物発光物質の例としては、ルシフェエラーゼ、ルシフェリンおよびエクオリンが挙げられ;適切な放射性物質の例としては、125I、131I、35Sまたは3Hが挙げられる。このような標識された剤は、様々な公知のアッセイ(ラジオイムノアッセイ、酵素イムノアッセイ(例えば、ELISA)、および蛍光イムノアッセイ等(例えば、米国特許第3,766,162号;米国特許第3,791,932号;米国特許第3,817,837号;および米国特許第4,233,402号を参照))において使用され得る。

0089

本発明に係る抗体は、治療用物質の一部分(サイトトキシン治療薬、または放射性金属イオンもしくは放射性同位体等)と共役されていてもよい。放射性同位体の例としては、I−131、I−123、I−125、Y−90、Re−188、Re−186、At−211、Cu−67、Bi−212、Bi−213、Pd−109、Tc−99、In−111等が挙げられるが、これらに限定されない。上記抗体共役物は、所定の生物学的反応を変更するために使用され得る;薬物の部分は古典的な化学治療剤に限定して構成されるわけではない。例えば、薬物の部分は所望の生物活性を有するタンパク質またはポリペプチドであってもよい。そのようなタンパク質としては、例えば、アブリンリシンA、シュードモナス外毒素、またはジフテリア毒素等の毒素が挙げられる。

0090

そのような治療薬の一部分を抗体に共役させる技術は公知である。例えば、Arnon et al. (1985) “Monoclonal Antibodies for Immunotargeting of Drugs in Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy, ed. Reisfeld et al. (Alan R. Liss, Inc.), pp. 243-256;ed. Hellstrom et al. (1987) “Antibodies for Drug Delivery,” in Controlled Drug Delivery, ed. Robinson et al. (2d ed; Marcel Dekker, Inc.), pp. 623-653;Thorpe (1985) "Antibody Carriers of Cytotoxic Agents in Cancer Therapy: A Review," in Monoclonal Antibodies '84: Biological and Clinical Applications, ed. Pinchera et al. pp. 475-506 (Editrice Kurtis, Milano, Italy, 1985);“Analysis, Results, and Future Prospective of the Therapeutic Use of Radiolabeled Antibody in Cancer Therapy,” in Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy, ed. Baldwin et al. (Academic Press, New York, 1985), pp. 303-316;およびThorpe et al. (1982) Immunol. Rev. 62:119-158を参照のこと。

0091

あるいは、抗体またはその抗体フラグメントは、第2の抗体またはその抗体フラグメントに共役され、米国特許第4,676,980号に記載の抗体ヘテロ共役体を形成することができる。さらに、標識と本発明の抗体と間でリンカーを用いてもよい(例えば、米国特許第4,831,175号)。抗体およびその抗原結合フラグメントは、放射性ヨウ素、インジウムイットリウム、または当該技術分野において公知の他の放射性粒子で直接標識されていてもよい(例えば、米国特許5,595,721号)。治療は、同時に、または順番に投与された、共役した抗体および共役していない抗体による治療の組合せからなってもよい(例えば、国際公開第WO00/52031号;国際公開第WO00/52473号)。

0092

本発明の抗体はまた、固体担体に付着されてもよい。さらに、本発明の抗体またはその機能的抗体フラグメントは、ポリマー共有結合されることで化学的改変され、例えば循環半減期延長される。ポリマーおよびそれをペプチドに結合させる方法の例は、米国特許第4,766,106号;米国特許第4,179,337号;米国特許第4,495,285号および米国特許第4,609,546号に示されている。いくつかの実施形態において、ポリマーはポリオキシエチル化ポリオールおよびポリエチレングリコール(PEG)から選択され得る。PEGは室温で水に可溶であり、R(O−−CH2−−CH2)n O−−Rという一般式で表される(Rは水素、またはアルキル基もしくはアルカノール基等の保護基であり得る)。一実施形態において、当該保護基は炭素数1〜8であり得る。さらなる実施形態において、当該保護基はメチル基である。記号nは正の整数である。一実施形態において、nは1〜1000である。別の実施形態において、nは2〜500である。一実施形態において、PEGの平均分子量は1,000〜40,000である。さらなる実施形態において、PEGの平均分子量は2,000から20,000である。さらなる実施形態において、PEGの平均分子量は3,000から12,000である。一実施形態において、PEGは少なくとも1つのヒドロキシ基を有する。別の実施形態において、PEGは末端ヒドロキシ基を有する。さらに別の実施形態において、活性化されて阻害剤遊離アミノ基と反応するのは末端ヒドロキシ基である。しかしながら、反応基の種類および量は、本発明の共有結合したPEG/抗体を得るため変えてもよいことが理解されるであろう。

0093

水溶性ポリオキシエチル化ポリオールも本発明において有用である。水溶性ポリオキシエチル化ポリオールとしては、ポリオキシエチル化ソルビトール、ポリオキシエチル化グルコース、ポリオキシエチル化グリセロール(POG)等が挙げられる。一実施形態において、POGが使用される。いかなる理論にも拘束されることはないが、ポリオキシエチル化グリセロールのグリセロール骨格は、モノグリセリドジグリセリドトリグリセリドにおいて、天然に(例えば、動物およびヒトにおいて)生じる骨格と同じであるので、この分枝体内において必ずしも異物とは認識されない。いくつかの実施形態において、POGの分子量はPEGと同じ範囲である。循環半減期を延長するために使用され得る別のドラッグデリバリーシステムは、リポソームである。リポソームデリバリーシステムを調製する方法は当業者に公知である。他のドラッグデリバリーシステムが当該技術分野において公知であり、例えば、Poznansky et al. (1980)およびPoznansky (1984)に記載されている。

0094

本発明の抗体は精製された形態で提供され得る。典型的には、抗体は、実質的に他のポリペプチドを含まない(例えば、90%(重量パーセント)未満、通常では60%未満、より通常では50%未満が他のポリペプチドからなる)組成物中に存在する。

0095

本発明の抗体は、非ヒト(または異種)宿主(例えば、マウス)において免疫原性であり得る。特には、当該抗体は、非ヒト宿主において免疫原性であるが、ヒト宿主においては免疫原性でないイディオトープを有し得る。ヒトに対して使用される本発明の抗体は、マウス、ヤギウサギラット非霊長類の哺乳類等の宿主からは容易に単離できず、また一般的にはヒト化により、またはトランスジェニックマウス(xeno-mice)から得ることができない。

0096

本発明の抗体はあらゆるアイソタイプ(例えば、IgAIgGIgM、すなわちα、γ、またはμ重鎖)であり得るが、一般的にはIgGである。IgGアイソタイプの範囲において、抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のサブクラスであり得る。本発明の抗体はκまたはλ軽鎖を有し得る。

0097

[抗体の作製]
本発明に係る抗体は、当該技術分野において公知のいかなる方法でも作製され得る。例えば、ハイブリドーマ技術を用いてモノクローナル抗体を作製するための一般的な方法論はよく知られている(Kohler, G. and Milstein, C,. 1975; Kozbar et al. 1983)。一実施形態においては、国際公開第WO2004/076677号に記載された代替的なEBV不死化法が使用される。

0098

国際公開第WO2004/076677号に記載された方法を用いて、本発明の抗体を産生するB細胞を、EBVおよびポリクローナルB細胞アクチベーターによって形質転換し得る。形質転換のステップの間に、効率をさらに向上させるために、細胞成長および分化のさらなる刺激物質が任意に加えられてもよい。これらの刺激物質はIL−2およびIL−5等のサイトカインであり得る。一局面において、不死化のステップの間に、不死化の効率をさらに向上させるために、IL−2が加えられるが、その使用は必須ではない。これらの方法を用いて作製された不死化B細胞は、その後当該技術分野において公知の方法を用いて培養され、そこから抗体が単離される。

0099

国際公開第WO2010/046775号に記載された方法を用いて、プラズマ細胞を、限られた数においてまたは単一のプラズマ細胞として、マイクロウェルカルチャープレート上で培養することができる。抗体はプラズマ細胞の培養物から単離することができる。さらに、当該技術分野において公知の方法を用いて、プラズマ細胞の培養物から、RNAの抽出およびPCRを行うことができる。抗体のVH領域およびVL領域RT−PCRによって増幅して、シークエンシングし、発現ベクターにクローニングすることができ、その後当該ベクターをHEK293T細胞またはその他の宿主細胞へ形質移入する。発現ベクターにおける核酸のクローニング、宿主細胞の形質移入、形質移入された宿主細胞の培養および産生された抗体の単離は、当該技術分野において公知のいかなる方法を用いても行うことができる。

0100

必要があれば、ろ過、遠心分離、およびHPLCまたはアフィニティクロマトグラフィー等の様々なクロマトグラフィー法を用いて、抗体をさらに精製してもよい。抗体(例えば、モノクローナル抗体)を精製する技術(製薬グレードの抗体を作製する技術が挙げられる)は、当該技術分野においてよく知られている。

0101

本発明の抗体のフラグメントは、酵素(例えば、ペプシンまたはパパイン)による消化、および/または化学的還元によるジスルフィド結合の開裂を包含する方法によって抗体から得ることができる。あるいは、抗体のフラグメントは、重鎖または軽鎖の配列の一部のクローニングおよび発現によって得ることができる。抗体“フラグメント”としては、Fab、Fab’、F(ab)2、およびFvフラグメントが挙げられる。本発明は、本発明の抗体の重鎖および軽鎖に由来する1本鎖Fvフラグメント(scFv)も包含する。例えば、本発明は、本発明の抗体に由来するCDRを含むscFVを包含する。同様に、重鎖または軽鎖の単量体および二量体単一ドメイン重鎖抗体単一ドメイン軽鎖抗体、並びに単鎖抗体(例えば、重鎖および軽鎖の可変領域がペプチドリンカーで連結された単鎖Fv)が包含される。

0102

本発明の抗体フラグメントは、一価または多価の相互作用を与え、上記の様々な構造に含まれていてもよい。例えば、scFv分子は、三価の“三重特異性抗体”または四価の“四重特異性抗体”を作るために合成され得る。scFv分子は、結果として二価ミニ抗体となるFc領域を含んでいてもよい。加えて、本発明の配列は、多選択性の分子の構成要素であり得、当該多選択性の分子は、本発明の配列が本発明のエピトープを標的とし、分子の他の領域が他の標的に結合する。典型的な分子としては、二重特異性のFab2、三重特異性のFab3、二重特異性のscFv、および二重特異性抗体が挙げられるが、これらに限定されない(Holliger and Hudson, 2005, Nature Biotechnology 9: 1126-1136)。

0103

分子生物学の標準的な技術が、本発明の抗体および抗体フラグメントをコードするDNA配列を準備するために使用され得る。所望のDNA配列は、完全に、または部分的に、オリゴヌクレオチド合成技術を使用して合成され得る。部位特異的突然変異およびポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術が必要に応じて使用され得る。

0104

任意の適切な宿主細胞/ベクター系が、本発明の抗体およびそのフラグメントをコードするDNA配列の発現に使用され得る。細菌(例えば大腸菌)および他の微生物系が、抗体フラグメント(例えば、FabおよびF(ab’)2フラグメント、特にはFvフラグメントおよび単鎖抗体フラグメント(例えば単鎖Fvs))の発現に、部分的に使用され得る。真核細胞(例えば動物)宿主細胞発現系が、完全な抗体分子を包含するより大きな抗体分子の作製に使用され得る。適切な動物宿主細胞としては、CHO、HEK293T、PER.C6、NS0、ミエローマまたはハイブリドーマ細胞が挙げられるが、これらに限定されない。

0105

本発明はまた、本発明の核酸をコードするベクターを含む宿主細胞を、本発明の抗体分子をコードするDNAからのタンパク質の発現に適した条件下で培養すること、および、抗体分子を単離することを含む、本発明に係る抗体分子を作製する方法を提供する。

0106

抗体分子は、重鎖または軽鎖のポリペプチドをコードする配列のみを宿主細胞の形質移入に使用する必要がある場合には、重鎖または軽鎖のポリペプチドのみを含み得る。重鎖および軽鎖の両方を含む産物の作製では、細胞株は2種類のベクター(軽鎖ポリペプチドをコードする第1のベクター、および、重鎖ポリペプチドをコードする第2のベクター)によって形質移入され得る。

0107

あるいは、本発明に係る抗体は、(i)宿主細胞において本発明に係る核酸配列を発現させること、および(ii)発現した抗体産物を単離することによって作製され得る。さらに、上記方法は、(iii)単離された抗体を精製することを含み得る。

0108

形質転換されたB細胞および培養されたプラズマ細胞は、所望の特異性または機能の抗体を作製するものについてスクリーニングされ得る。

0109

スクリーニングのステップは、任意のイムノアッセイ(例えばELISA)、組織または細胞(形質移入された細胞を包含する)の染色、中和アッセイ、または所望の特異性または機能を同定するための、当該技術分野において公知の多数の他の方法の1つを用いて行われる。アッセイは、1つ以上の抗原の単純な認識に基づいて、または、さらに所望の機能(例えば、単に抗原と結合する抗体ではなく中和抗体を選択する、標的細胞の特性(例えば、シグナルカスケード、形態、生育速度、他の細胞に影響を与える能力、他の細胞または他の試薬または環境変化による影響に対する反応、分化の状態等)を変化させることができる抗体を選択する)に基づいて選択され得る。

0110

個々の形質転換されたB細胞クローンは、次いで、形質転換された陽性B細胞培養物から作製され得る。個々のクローンを陽性の細胞の混合物から分離するためのクローニングのステップは、限界希釈法顕微操作細胞選別による単一細胞沈着(single cell deposition)、または当該技術分野において公知の別の方法を用いて行われ得る。

0111

培養されたプラズマ細胞由来の核酸は、当該技術分野において公知の方法を用いて、単離され、クローニングされ、HEK293T細胞または他の既知の宿主細胞において発現され得る。

0112

本発明の不死化B細胞クローンまたは形質移入された宿主細胞は、様々な使い道(例えば、モノクローナル抗体の供給源として、または目的のモノクローナル抗体をコードする核酸(DNAまたはmRNA)の供給源として、または研究のため等)において使用することができる。

0113

本発明は、RSV、MPVおよびPVMの感染を中和する抗体を産生する、不死化された記憶B細胞または形質移入された宿主細胞を含む組成物を提供する。

0114

本発明の不死化B細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞は、後に続く組み換え体の発現のための抗体遺伝子のクローニングのための核酸の供給源としても使用され得る。組み換え体の供給源からの発現は、薬学的な目的においては、例えば安定性信頼性、培養の容易性等の理由から、B細胞またはハイブリドーマからの発現よりも一般的である。

0115

それゆえ、本発明は、(i)1つ以上の核酸(例えば、重鎖および/または軽鎖のmRNA)を、目的の抗体をコードするB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞から得るステップ;(ii)発現ベクターに当該核酸を挿入するステップ、および(iii)宿主細胞において目的の抗体を発現させるために、宿主細胞に当該ベクターを形質移入するステップを含む、組み換え細胞を調製する方法を提供する。

0116

同様に、本発明は、(i)目的の抗体をコードするB細胞または培養されたプラズマ細胞からの核酸のシークエンシング;および(ii)ステップ(i)で得られた配列情報を用いて、宿主細胞において目的の抗体を発現させるために宿主細胞に挿入するための核酸を調製するステップを含む、組み換え細胞を調製する方法を提供する。当該核酸は、ステップ(i)および(ii)の間において、制限酵素サイトを導入するために、ならびに/またはコドン使用頻度を変更するために、ならびに/または転写および/もしくは翻訳調節配列を最適化するために操作され得るが、必ずしもそうする必要はない。

0117

本発明はまた、目的の抗体をコードする1つ以上の核酸を宿主細胞に形質移入するステップを含み、当該核酸が本発明の不死化B細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞に由来する核酸である、形質移入された宿主細胞を調製する方法を提供する。それゆえ、まず核酸を調製する工程、次いでそれを宿主細胞の形質移入のために使用する工程は、別の時間に、別の人間が、別の場所(例えば別の国)において行うことができる。

0118

本発明のこれらの組み換え細胞は、次いで、発現および培養のために使用することができる。これらの細胞は、大規模な薬剤生産のための抗体発現に特に有用である。これらの細胞はまた、医薬組成物の有効成分としても使用することができる。任意の培養技術静置培養ローラーボトル培養、腹水中空糸型バイオリアクターカートリッジモジュラーミニ発酵槽攪拌タンクマイクロキャリア培養セラミックコア攪拌等が挙げられるが、これらに限定されない)を使用することができる。

0119

B細胞またはプラズマ細胞からの免疫グロブリン遺伝子の取得およびシークエンシングの方法は、当該技術分野において公知である(例えば、Kuby Immunology, 4th edition、2000 の第4章を参照)。

0120

形質移入された宿主細胞は、酵母細胞および動物細胞、特には哺乳類細胞(例えば、CHO細胞、NS0細胞、ヒト細胞(PER.C6またはHKB−11細胞等)、ミエローマ細胞)、並びに植物細胞を含む真核細胞であり得る。好ましい発現宿主は、本発明の抗体をグリコシル化する(特に、それ自体はヒトに対して免疫原性でない炭水化物骨格によって)ことができる。一実施形態においては、形質移入された宿主細胞は、無血清培地中で生育することが可能であってもよい。さらなる実施形態においては、形質移入された宿主細胞は、動物由来産物が存在しない培地中で生育することが可能であってもよい。形質移入された宿主細胞はまた、細胞株を得るために培養されてもよい。

0121

本発明はまた、(i)本発明に係る不死化B細胞クローンを調製する、またはプラズマ細胞を培養するステップ;(ii)目的の抗体をコードする核酸を当該B細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞から得るステップを含む、目的の抗体をコードする1つ以上の核酸分子(例えば、重鎖および軽鎖の遺伝子)を調製する方法を提供する。さらに、本発明は、(i)本発明に係る不死化B細胞クローンを調製する、またはプラズマ細胞を培養するステップ;(ii)目的の抗体をコードするB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞由来の核酸のシークエンシングを行うステップを含む、目的の抗体をコードする核酸配列を得る方法を提供する。

0122

本発明はまた、本発明の形質移入されたB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞から得られた核酸を得るステップを含む、目的の抗体をコードする核酸分子を調製する方法を提供する。それゆえ、まずB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞を得る工程、および次いでB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞から核酸を得る工程は、別の時間に、別の人間が、別の場所(例えば別の国)において行うことができる。

0123

本発明は、(i)目的の抗体を発現する、選択されたB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞からの1つ以上の核酸(例えば重鎖および軽鎖の遺伝子)を得る、および/またはシークエンシングするステップ;(ii)発現ベクターを調製するために、核酸を挿入するまたは核酸配列を用いるステップ;(iii)目的の抗体を発現することができる宿主細胞に形質移入するステップ;(iv)目的の抗体が発現する条件下で、形質移入された宿主細胞を培養または継代培養するステップ;および、任意で、(v)目的の抗体を精製するステップを含む、抗体(例えば、薬学的使用のための)を調製する方法を提供する。

0124

本発明はまた、目的の抗体が発現する条件下で、形質移入された宿主細胞集団を培養または継代培養することで用意された形質移入された宿主細胞の母集団を培養または継代培養するステップ、および、任意で、目的の抗体を精製するステップ段階を含み、当該形質移入された宿主細胞集団は、(i)上述のとおりに調製されたB細胞クローンまたは培養されたプラズマ細胞によって産生される、選択された目的の抗体をコードする核酸を用意すること、(ii)当該核酸を発現ベクターに挿入すること、(iii)当該ベクターを目的の抗体を発現することができる宿主細胞に形質移入すること、および(iv)目的の抗体を産生するために挿入された核酸を含む形質移入された宿主細胞を培養または継代培養することによって調製されたものである、抗体を調製する方法を提供する。それゆえ、まず組み換え宿主細胞を調製する工程、および次いでそれを培養して抗体を発現させる工程は、別の時間に、別の人間が、別の場所(例えば別の国)において行うことができる。

0125

[エピトープ]
上述のように、本発明の抗体は、それらの結合するエピトープをマッピングするために用いられ得る。発明者らは、融合前Fタンパク質に見いだされるが、融合後Fタンパク質には見いだされない、エピトープに関する本願発明の中和抗体を発見した。一実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、RSV融合前Fタンパク質に結合し、RSV融合後Fタンパク質には結合しない。他の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、RSVおよびMPVの融合前Fタンパク質に結合し、RSVおよびMPVの融合後Fタンパク質には結合しない。さらに他の実施形態において、抗体またはその抗原結合フラグメントは、RSV、MPVおよびPVMの融合前Fタンパク質に結合するが、RSV、MPVおよびPVMの融合後Fタンパク質には結合しない。

0126

本願発明の抗体に対するエピトープは直鎖状である(連続している)、または立体構造である(連続していない)。一実施形態において、本願発明の抗体および抗体断片は、立体構造のエピトープに結合する。他の実施形態において、立体構造のエピトープは、非還元状態下でのみ存在する。いかなる理論に結びつくことなく、本発明の抗体によって結合される立体構造のエピトープは、Fタンパク質におけるアミノ酸残基間のジスルフィド結合の存在に依存する。

0127

他の実施形態において、本発明の抗体が結合するエピトープは、RSV融合後Fタンパク質において定義されている、抗原サイトI、抗原サイトII、抗原サイトIVおよびMPVのFタンパク質において対応しているサイトとは異なっている。さらに他の実施形態において、本発明の抗体および本発明の抗原結合フラグメントは、RSVのFタンパク質への結合について、パリビズマブ、モタビズマブ、mAb 101F、mAb 131-2AまたはmAb D25とも交差競合せず、MPVのFタンパク質への結合について、mAb 234とも交差競合しない。

0128

他の実施形態において、本発明の抗体が結合するための領域は、SAVSKGYLSALRTGWYTSVIT(配列番号63)にわたる残基であるRSVのFタンパク質のN末端部分に位置しているポリぺプチドを含んでいる。このポリペプチドにおける中心部分は、RSV、MPVおよびPVM間で高く保存されており、(xl)部分におけるアミノ酸はL,FまたはKであり得るがこれらに限定されず、(x2)部分におけるアミノ酸はAまたはVであり得るがこれらの限定されない、Y(x1)S(x2)LRTGWの残基によって形成されている。

0129

本発明の抗体に対するポリペプチドの変異体の例はYLSALRTGW(配列番号64)、YLSVLRTGW(配列番号65)、YFSALRTGW(配列番号66)、YFSVLRTGW(配列番号67)、YKSALRTGW(配列番号68)およびYKSVLRTGW(配列番号69)が挙げられるがこれらに限定されない。

0130

本発明の抗体に結合するポリペプチドは多くの使用を有し得る。精製された形態か、合成の形態における、ポリペプチドおよびそのポリペプチド変異体は、免疫反応を上昇させるため(すなわち、ワクチンとして、又は他の使用のための抗体の生成のため)または抗エピトープまたはそのミモトープと免疫反応する抗体の血清をスクリーニングするために用いられ得る。一実施形態において、当該ポリペプチド又はポリペプチド変異体、または当該ポリペプチド又はポリペプチド変異体を含んでいる抗原は、本発明において記載されているものと同じ品質の抗体を含んでいる免疫反応を上昇させるためのワクチンとして用いられ得る。また、本発明の抗体およびその抗体フラグメントはワクチンの品質をモニタリングする方法に用いられる。特に、抗体は、ワクチンにおける抗原が、正しい立体構造において正しい免疫原性のエピトープを含んでいることを確認するために用いられ得る。また、例えば、上記ワクチンの抗原が正しい立体構造において特定のエピトープを含んでいることを確認することによって、RSVまたはMPVまたはRSVおよびMPVの両方に対するワクチンの品質をモニタリングするための、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントの使用は、本願発明の範囲内であることが意図される。

0131

本発明の抗体に結合するポリペプチドは上記ポリペプチドに結合するリガンドのスクリーニングにおいて有効である。当該リガンド(抗体(ラクダサメおよび他の種由来のものが挙げられる)、抗体のフラグメント、ペプチド、ファージディスプレイ技術産物、アプタマーアドネクチンまたは他のウイルスタンパク質もしくは細胞タンパク質のフラグメントが挙げられるがこれらに限定されない)は、エピトープを阻害し、それによって感染を妨げ得る。当該リガンドは本発明の範囲に包含される。

0132

[薬学組成物]
本発明は、本発明の抗体もしくは抗体フラグメント;当該抗体もしくは当該フラグメントをコードしている核酸;当該核酸をコードしているベクター;または本発明の抗体もしくは抗原結合フラグメントによって認識されるポリペプチドを含む、医薬組成物を提供する。また、医薬組成物は薬学的に許容可能な担体または賦形剤を含み得る。担体または賦形剤は投与を容易にし得るが、それ自身は組成物を受容する個体に有害な抗体の生成を誘導するものではない。有毒性でないだけではなく、好適な担体は大きな、ゆっくりと代謝された巨大分子(タンパク質、ポリペプチド、リポソーム、多糖類ポリ乳酸ポリグリコール酸重合体のアミノ酸、アミノ酸共重合体および不活性なウイルス粒子など)であり得る。

0133

薬学的に許容可能な塩は例えば無機酸塩塩酸塩臭化水素酸塩リン酸塩、および硫酸塩など)、または有機酸の塩(酢酸塩プロピオン酸塩マロン酸塩、および安息香酸塩など)が用いられ得る。

0134

治療組成物中の薬学的に許容可能な塩はさらに液体(水、生理的食塩水、グリセロールおよびエタノール)を含んでいる。さらに補助剤湿潤剤乳化剤またはpH緩衝剤など)が当該組成物に存在し得る。当該担体は被験体によって摂取されるための、錠剤丸剤糖衣錠液剤ゲル剤シロップ剤スラリー剤および懸濁剤として医薬組成物を調合させることを可能にする。

0135

本発明の範囲は、投与のいくつかの形態において存在する組成物であり;当該形態としては非経口投与(例えば、注射または注入(例えば大量瞬時投与または連続注入))のための好適な形態が挙げられるがこれらに限定されない。生成物が注射または注入される場合、油性又は水性ビヒクルにおける懸濁液、溶液または乳液の形態で与えられ得、調合剤(懸濁剤、安定化剤および/または分散剤)を含み得る。あるいは、抗体分子は、適切な滅菌液を用いた使用の前の再構成のために、乾燥形態であり得る。

0136

いったん調合されると、本発明の組成物は、被験体に直接投与され得る。一実施形態において組成物は哺乳類(例えばヒトの被験体)への投与のために適用される。

0137

本発明の医薬組成物は任意の数の経路(経口、静脈内、筋肉内、動脈内、内、腹膜内、
鞘内、心(脳)室内(intraventricular)、経皮、経皮膚、局所、皮下、鼻腔内、経腸下、内、または直腸の経路が挙げられるがこれらに限定されない)。ハイポスプレーもまた、本発明の医薬組成物を投与するために用いられ得る。典型的に治療組成物は、液体の溶液または懸濁液のいずれとしても注射可能なように調製され得る。注射の前の液体のビヒクル中の溶液または懸濁液に、好適な固体の形態が調製され得る。

0138

組成物の直接的な送達は一般的に皮下、腹膜内、静脈内、筋肉内の注射によって達成されるか、組織の間質性の空間に送達される。組成物は、病変に投与され得る。投与処置は単回投与計画または複数回投与の計画であり得る。公知の抗体ベースの医薬は投与の回数に関連する指示(例えば、毎日毎週、毎月送達されるべきかどうかなど)を提供する。また、回数および用量は症状の重症度に依存し得る。

0139

本発明の組成物は、種々の形態において調製され得る。例えば、組成物は液体の溶液または懸濁液のいずれかとして、注射可能薬物として調製され得る。注射の前の液体ビヒクル中の溶液または懸濁液に好適な固体の形が調製され得る(防腐剤を含んでいる滅菌水を用いて再構成するための、凍結乾燥組成物(例えば、Synagis(登録商標)およびHerceptin(登録商標)など))。組成物は、例えば、軟膏クレームまたは粉末として局所投与のために調製され得る。組成物は例えば、錠剤またはカプセル剤として、スプレー剤として、またはシロップ剤(任意で風味をつけた)として経口投与のために調製され得る。組成物は例えば細粉末またはスプレーを用いて、吸入剤としての肺投与のために調製され得る。組成物は坐剤または膣坐剤として調製され得る。組成物は例えば滴剤として、または目の投与のために調製され得る。組成物は、組み合わせられた組成物が被験体への投与の直前に再構成されるように設計された、キットの形態であり得る。例えば、凍結乾燥された抗体が滅菌水または滅菌緩衝液を備えたキットの形態において提供され得る。

0140

組成物中の活性成分は、抗体分子、抗体フラグメントまたはその変異体およびその派生物であると理解される。よって、胃腸管において分解を受けやすい。したがって、もし組成物が胃腸管を用いた経路によって投与される場合は、組成物は、分解から抗体を保護するが胃腸管から吸収されたら抗体を遊離する薬剤を含んでいる必要がある。

0141

薬学的に許容可能な担体の初めから終わりまでの記載は、Gennaro (2000) Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20th edition, ISBN: 068330647において利用可能である。

0142

本発明の薬学組成物は、一般的に5.5〜8.5のpHを有しており、いくつかの実施形態において、これは、6〜8であり得、他の実施形態において、約7であり得る。pHは、緩衝液の使用によって維持され得る。組成物は滅菌されており、および/またはピロゲンフリーであり得る。組成物はヒトに対して等張性であり得る。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、空気遮断封止容器に供給されている。

0143

医薬組成物は、有効量の、本発明の抗体および/または本発明の抗体に結合するエピトープを含んでいるポリペプチドを含んでいる。すなわち、有効量は、所望の疾患もしくは健康状態を処置する、緩解する、弱毒化するもしくは予防する、または検出可能な治療効果を示すのに十分な量である。また、治療効果としては、病原性作用強度または身体的な症状における、低減または弱毒化を含んでいる。任意の特定の被験体のための正確な有効量は、大きさ、体重、および健康、健康状態の性質および程度、ならびに投与のために選択される療法または療法の組み合わせに依存する。所定の状況のための有効量は定常的な実験によって決定され、臨床医の判断の範疇である。本発明の目的のために、有効用量は、一般的に、投与される個体において約0.01mg/kg〜約50mg/kgまたは約0.05mg/kg〜約10mg/kgの本発明の組成物である。公知の抗体ベースの医薬は、この点において、指示を提供する。例えば、Herceptin(登録商標)は、体重あたり4mg/kgの初回導入用量および体重あたり2mg/kgの毎週の維持用量で、21mg/mlの溶液の静脈内の注入によって投与され;Rituxan(登録商標)は毎週375mg/m2で投与されるなどである。

0144

一実施形態において、組成物は、1つ以上(例えば2つ、3つ等)の本発明の抗体を含んでおり、さらなる治療効果または相乗作用の治療効果をもたらす。他の実施形態において、組成物は1つ以上(例えば2つ、3つ等)の本発明の抗体、およびRSV、MPVまたはRSVおよびMPVの両方に対するさらなる抗体を含み得る。さらに本発明の抗体の、他の病原体(例えば、インフルエンザAまたはインフルエンザBウイルス)に特異的な抗体を伴う投与は、本発明の範囲内である。本発明の抗体は、RSV又はMPV以外の病原体に特異的な抗体と組み合わせて/同時にまたは別々の時間のいずれか投与され得る。

0145

他の実施形態において、本発明は2つ以上の抗体を含んでいる医薬組成物を提供し、ここで、第1の抗体は、本明細書に記載されている本発明の抗体であり、第2の抗体は、RSV、MPV、もしくはRSVおよびMPVの両方、または当該医薬組成物を投与される被験体に同時感染し得る異なる病原体に特異的である。

0146

RSV、MPVおよびPVMに特異的であり、RSV、MPVおよびPVMを中和する本発明の抗体の例としては、HMB3210変異体3、HMB3210変異体1、HMB3210変異体2、HMB3210変異体4、HMB3210変異体5、HMB3210変異体6、HMB2430変異体1、HMB2430変異体2、HMB2430変異体3、HMB2430変異体4またはHMB2430変異体5が挙げられるがこれらに限定されない。

0147

一実施形態において、本発明は、HMB3210変異体1の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB3210変異体2の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB3210変異体3の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB3210変異体4の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB3210変異体5の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB3210変異体6の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。

0148

さらに他の実施形態において、本発明は、HMB2430変異体1の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB2430変異体2の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB2430変異体3の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB2430変異体4の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。他の実施形態において、本発明は、HMB2430変異体5の抗体またはその抗原結合フラグメントおよび薬学的に許容可能な担体を含んでいる薬学組成物を提供する。

0149

本発明の抗体は、他の療法(例えば、化学療法化合物とともに、放射線療法とともに、等)と共に(組み合わせてか別々のいずれかで)投与される。一実施形態において、治療化合物としてはTamiflu(登録商標)などの抗ウイルス化合物が挙げられる。そのような併用療法は、単独で投与された場合に個々の治療薬に対する治療効果におけるさらなる改善または相乗作用的な改善を提供する。“相乗作用”という用語は、それぞれ個々の活性剤の個々の効果の合計よりも大きい2つ以上の活性剤の組合せられた効果を説明するために用いられる。したがって、2つ以上の薬剤の組合せられた効果が活性または過程の“相乗作用的な阻害”を生じさせる場合、活性または過程の阻害は、それぞれ個々の活性剤の個々の効果の合計よりも大きいことを意図している。“相乗作用的な治療効果”という用語は、治療効果(任意の数のパラメータによって測定される)がそれぞれ個々の治療で観察される個々の治療効果の合計より大きい、2つ以上の治療の組み合わせで観察される治療効果を指す。

0150

抗体は以前に反応を示さなかった(すなわち、RSVまたはMPV感染に対する処置に無反応性であることを示した)被験体に投与され得る。当該処置としては抗ウイルス剤を用いた以前の処置が挙げられる。これは例えば、RSV、MPVまたはRSVおよびMPVの両方の抗ウイルス耐性株を用いた感染のためであり得る。

0151

一実施形態において、本発明の組成物は、本発明の抗体を含み得、当該抗体は、組成物の総タンパク質の少なくとも50重量%(例えば、60重量%、70重量%、75重量%、80重量%、85重量%、90重量%、95重量%、97重量%、98重量%、99重量%またはそれ以上)を占め得る。当該組成物において、抗体は精製された形態である。

0152

本発明は、(i)本発明の抗体を調製する工程;および(ii)精製された抗体を1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合する工程:を包含する医薬組成物の調製方法を提供する。

0153

他の実施形態において、医薬組成物の調製方法は、抗体を1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合する工程を包含しており、ここで、当該抗体は本発明の形質転換したB細胞または培養した形質細胞から得られたモノクローナル抗体である。したがって、最初のモノクローナル抗体を得る工程および続いて医薬を調製する工程のための手順は、異なる場所における(例えば異なる国における)異なる人々によって非常に異なる時間に時間に行われ得る。

0154

治療目的のために送達される抗体またはB細胞のための選択肢として、被験体に、B細胞または培養した形質細胞由来の対象のモノクローナル抗体(またはその活性フラグメント)をコードする核酸(典型的にDNA)を送達し、結果として、核酸がインサイチュで被験体中で発現され、所望の治療効果を生じ得る。好適な遺伝子治療および核酸送達ベクターは、当技術分野で既知である。

0155

本発明の組成物は、免疫原性の組成物であり得、いくつかの実施形態において、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントによって認識されるエピトープを含む抗原を含んでいるワクチン組成物であり得る。本発明に係るワクチンは、予防性(すなわち、感染を防ぐ)か治療性(すなわち感染を処置または緩解する)であり得る。

0156

組成物は、複数回用量の形態において包装される場合、抗生物質を含み得る。それらは界面活性剤(例えば、Tween 80などのTween(ポリソルベート))を含み得る。界面活性剤は一般的に低レベル(例えば0.01%未満)で存在する。また、組成物は、張度を与えるためにナトリウム塩(例えば塩化ナトリウム)を包含し得る。10±2mg/mlの濃度のNaClは一般的である。

0157

さらに、組成物は、特に、それらが凍結乾燥されている場合、または凍結乾燥された物質から再構成された物質を含んでいる場合に、糖アルコール(例えばマンニトール)または二糖類(例えばスクロースまたはトレハロース)を、例えば15〜30mg/ml(例えば、25mg/ml)含み得る。凍結乾燥のための組成物のpHは、凍結乾燥の前に、5〜8、または5,5〜7、またはおよそ6.1に調整され得る。

0158

本発明の組成物は、1つ以上の免疫調節剤を含み得る。一実施形態において、1つ以上の免疫調節剤はアジュバントを含んでいる。

0159

本発明のエピトープの組成物は、RSVおよびMPVの感染に効果的に対処するために、細胞を介した免疫反応ならびに体液の免疫反応の両方を誘発し得る。この免疫反応は長期持続する(例えば中和する)抗体、ならびにRSVまたはMPVまたはRSVおよびMPVの両方の曝露に反応して素早く反応し得る細胞仲介性の免疫性を誘導し得る。

0160

[医療および使用]
本発明の抗体および抗体フラグメントまたはその派生物および変異体は、RSVもしくはMPVの感染またはRSVおよびMPVの両方の同時感染の処置のため;RSVもしくはMPVの感染、またはRSVおよびMPVの両方の同時感染の予防のため;またはRSVまたはMPVの幹線の診断のために用いられ得る。

0161

診断方法は、抗体または抗体フラグメントをサンプルと接触させることを包含し得る。当該サンプルは、例えば、鼻道副鼻腔洞唾液腺、肺、肝臓膵臓腎臓、耳、目、胎盤消化管心臓卵巣脳下垂体副腎甲状腺、脳または皮膚から得られる組織サンプルであり得る。また、診断方法は、抗原/抗体複合体の検出を包含し得る。

0162

したがって、本発明は、(i)本発明に係る抗体、抗体フラグメントまたはその変異体および派生物(ii)本発明に係る不死化したB細胞のクローン、(iii)本発明の抗体に結合可能なエピトープまたは(iv)治療における使用のための本発明の抗体に結合するエピトープに結合可能な、リガンドであって、好ましくは抗体を提供する。

0163

また、本発明は、本発明に係る抗体、抗体フラグメントもしくはその変異体および派生物、または本発明の抗体に結合するエピトープに結合可能なリガンドであって好ましくは抗体を、被験体に投与する工程を包含している、被験体の処置方法を提供する。一実施形態において、当該方法は、被験体における低減したRSVまたはMPV感染を生じる。他の実施形態において、当該方法は、被験体におけるRSV感染またはMPV感染を、予防するか、リスクを低減するか、または遅延させる。

0164

また、本発明は、(i)本発明に係る抗体、抗体フラグメントまたはその変異体および派生物(ii)本発明に係る不死化したB細胞のクローン、(iii)本発明の抗体に結合可能なエピトープ(iv)治療における使用のための本発明の抗体に結合可能なエピトープに結合する、リガンドであって、好ましくは抗体または(v)(i)RSVの感染またはMPVの感染またはRSVおよびMPVの両方による感染の処置または弱毒化のための医薬の製造、(ii)ワクチン、または(iii)RSVおよびMPVの感染の診断における、本発明の医薬組成物を提供する。

0165

本発明は、RSVおよびMPV感染の予防または処置のための医薬としての使用のための本発明の組成物を提供する。また、被験体の処置および/または被験体における診断のための医薬の製造において、本発明の抗体、および/または、当該抗体が結合するエピトープを含んでいる、タンパク質の使用を提供する。また、本発明の組成物を被験体に投与する工程を包含している、被験体を処置する方法を提供する。いくつかの実施形態において、被験体はヒトである。治療的な処置の有効性を確認する一つの方法は、本発明の組成物の投与後の疾患の症状をモニタリングすることを包含している。処置は単回用量の計画または複数回用量の計画であり得る。

0166

一実施形態において、本発明に係る、抗体、抗体フラグメント、不死化したB細胞クローン、エピトープまたは組成物は、当該処置を必要とする被験体に投与される。かかる被験体としては、特に、RSVまたはMPV感染のリスクがあるものまたはRSVまたはMPV感染を受けやすいもの(例えば、免疫無防備状態の被験体が挙げられる)が挙げられるがこれらに限定されない。また、本発明の抗体または抗体フラグメントは受動免疫化または活性化ワクチン接種において用いられ得る。

0167

また、本発明に記載されている抗体およびそのフラグメントは、RSVまたはMPV感染の診断のためのキットにおいて用いられ得る。さらに、本発明の抗体に結合可能なエピトープは、防御的な抗RSVまたは抗MPV抗体の存在を検出することによって、ワクチン接種処置の有効性をモニタリングするためのキットにおいて用いられ得る。また、本発明に記載されている、抗体、抗体フラグメント、またはその変異体および派生物は、所望の免疫原性と有するワクチンの製造をモニタリングするためのキットにおいて用いられ得る。

0168

また、本発明は(i)治療における(ii)RSVの感染またはMPVの感染またはRSVおよびMPVの両方の感染の処置または弱毒化のための医薬の製造における(iii)ワクチンとしての、または(iv)RSVの感染またはMPVの感染またはRSVおよびMPVの両方の感染を中和することが可能なリガンドのスクリーニングにおける、使用のための、本発明の抗体またはその抗原結合フラグメントに特異的に結合するエピトープを提供する。

0169

また、本発明は、モノクローナル抗体を1つ以上の薬学的に許容可能な担体と混合する工程を包含している、医薬の調製方法であって、当該モノクローナル抗体は本発明のトランスフェクトされた宿主細胞から得られたモノクローナル抗体である。よって、最初にモノクローナル抗体を得る工程(例えばそれを発現させることおよび/またはそれを精製すること)および続いてそれを(複数の)薬学的な担体と混合することは異なる場所における(例えば異なる国における)異なる人々によって非常に異なる時間に行われ得る。

0170

本発明の形質転換したB細胞または培養した形質細胞を用いて開始して、培養、継代培養、クローニング、サブクローニング、シークエンシング、核酸調製などの種々の工程は、それぞれの工程において任意の最適化(例えば親和性成熟化または最適化)を伴って、形質転換したB細胞または培養した形質細胞によって発現された抗体を不滅化するために行われ得る。本発明は、当該方法中で用いられ、調製される、すべての細胞、核酸、ベクター、配列、抗体を包含している。

0171

すべてのこれらの方法において、宿主の発現に用いられる核酸は、特定の核酸配列を挿入、欠失、または改変させるために操作され得る。当該操作由来の改変としては、制限酵素部位を導入するため、コドンの使用を修正するため、転写および/または翻訳の制御配列を付加するまたは最適化するための改変が挙げられるがこれらに限定されない。また、コードされるアミノ酸を改変させるために核酸を改変させることが可能である。例えば、抗体のアミノ酸配列への、1つ以上(例えば、1、2、4、5、6、7、8、9、10等)のアミノ酸の置換、欠失、および/または挿入を導入することが有効であり得る。当該点変異は、作用因子の機能、抗原結合親和性翻訳後修飾、免疫原性などを改変することができ、共有結合基(例えば標識)の付加のためのアミノ酸の導入をすることができるか、タグを導入することができる(例えば精製の目的のための)。変異は特定の部位に導入され得るか、選択(例えば分子進化)を伴って、ランダムに導入され得る。

0172

例えば、本発明の抗体の、任意のCDR領域、重鎖可変領域または軽鎖可変領域をコードしている1つ以上の核酸は、ランダムに、または指向的に変異されて、コードされたアミノ酸において異なる特性を導入する。当該変化は、最初の変化は維持され、他のヌクレオチドの部位における新しい変化が導入された、不活性化の工程の結果であり得る。さらに、独立した工程において実現される変化は組み合わせられ得る。コードされたアミノ酸に導入される異なる特性としては、向上した親和性が挙げられるがこれらに限定されない。

0173

[一般原則]
本明細書に用いられるとき、“抗原結合フラグメント”“フラグメント”および“抗体フラグメント”という用語は抗体の抗原結合活性を維持している本発明の抗体の任意のフラグメントを指すために相互交換可能に用いられる。抗体の例としては、単鎖抗体、Fab、Fab’、F(ab’)2、FvまたはscFvが挙げられるがこれらに限定されない。さらに、本明細書で用いられる“抗体”という用語は、抗体とその抗原結合フラグメントの両方を含んでいる。

0174

本明細書に用いられるとき、“中和抗体”は、中和するすなわち、宿主において感染を開始するおよび/または不滅化するための病原体の能力を妨害、阻害、低減、遅らせることができるものである。“中和抗体”および“中和する抗体”または“中和する(複数の)抗体”は本明細書に相互交換可能に用いられる。これらの抗体は、本明細書に記載されている、診断の手段として、または生成の手段として、活性ワクチン接種との関連において適切な調合物において、予防剤または治療剤として、単独でまたは組み合わせにおいて用いられ得る。

0175

“含んでいる”という用語は“包含している”ならびに“構成している”を包含している。例えば、Xを“含んでいる”組成物は排他的にXからなるか、更なる何かを含み得る(例えば、X+Y)。

0176

“実質的に”という語は、“完全に”を排除しない。例えば、Yから“実質的にフリー”である組成物は完全にYからフリーであり得る。必要な場合、“実質的に”という語は、本発明の定義から除外され得る。

0177

“約”という用語は、数値xに関して、例えば、x±5%、またはx±7%、またはx±10%、または、x±12%、またはx±15%またはx±20%を意味する。

0178

本明細書において用いられる“疾患”という用語は、“障害”および“健康状態”(医学的状態としての)という用語と一般的に同義であって相互交換可能に用いられ、当該用語において、ヒトまたは動物の体の異常な状態すべてを反映する、または正常な機能が損なわれているその部分の1つを反映しており一般的に症候および症状を区別することによって明示され、低減した生存期間または低下した生存の質を有するヒトまたは動物の要因となる。

0179

本明細書に用いられる被験体または患者の“処置”は、予防、防御、弱毒化、緩解および治療を含むことを意図する。“被験体”または“患者”という用語は、ヒトを含むすべての哺乳類を意味するために本明細書において相互交換可能に用いられる。被験体の例としては、ヒト、ウシ、ネコウマ、ヤギ、ヒツジブタ、およびウサギが挙げられる。一実施形態において、患者はヒトである。
〔実施例〕
本発明の例示的な実施形態は、以下の実施例において供される。以下の実施例は、実例として、かつ、当業者が本発明を使用するに際し助けとなるという目的のためのみに提示されている。この実施例は、いかなる方法によっても本発明の範囲を制限することを意図していない。

0180

[実施例1:RSVおよびMPVの両方を交差中和することができるヒト記憶B細胞由来のモノクローナル抗体の単離および同定]
125人の血液提供者コーホートから、RSVおよびMPVに対し高い血清抗体価を示す7人を選択した。凍結保存された末梢血単核細胞(PBMCs)からCD22+IgG+B細胞をソートし、エプスタインバールウイルス、および、CpGオリゴデオキシヌクレオチド2006、および、フィーダー細胞として、放射線照射された同種異系のPBMCsを用いて、ウェルあたり3から5細胞の割合で不死化した。培養上清を14日後に採取し、Hep−2細胞へのRSVのA2株の感染、または、LLC−MK2細胞へのMPV A1 I−PV−03/01−6621株の感染に基づくマイクロ中和アッセイを用いて、中和抗体の存在を解析した。それぞれ6日または8日培養したHep−2標的細胞またはLLC−MK2標的細胞の添加に先立ち上清原液を、50−100 TCID50のウイルスと共に1時間室温で培養した。培養物に対してWST−1試薬(ロシュ)を添加し3〜4時間おき、分光光度計を用いて生存している細胞を検出した。

0181

3つの独立した実験から、MPVを中和する36のモノクローナル抗体(mAbs)(図1左パネル)が単離され、5つの独立した実験から、RSVを中和する136のmAbs(図1右パネル)が単離された。次いで、単離されたmAbsがMPVおよびRSVの両方を中和することが可能かを調べるため、二次的なスクリーニングが行われた。この戦略を用いて、同一のドナー(Don.5)から得られた2つの抗体が、RSVおよびMPVを交差中和することが判明した。(i)一次的なスクリーニングでRSVの中和に基づき選択されたHMB2430、および、(ii) 一次的なスクリーニングでMPVの中和に基づき選択されたHMB3210、である。

0182

HMB2430およびHMB3210のVH遺伝子およびVL遺伝子をIgG1発現ベクターにクローン化し、293フリースタイル細胞(293F)への一過性導入により組み換えmAbsを生産した。遺伝子導入された細胞の上清を10日間の培養の後に回収し、IgGを、プロテインAクロマトグラフィーでアフィニティ精製した。IMGTデータベースを用いて行ったホモロジー解析によると、前述の2つのmAbsは、ほとんどのV遺伝子断片およびJ遺伝子断片(IGHV3−21*01、IGHJ4*02、IGLV1−40*01およびIGLJ1*01)を共有していたが、N領域(HMB2430のD3−10*01,およびHMB3210のD5−24*01)でのIGHD用法(usage)および体細胞変異のパターンにおいて異なっており、両者はクローン的に関連していないと考えられる。

0183

HMB2430およびHMB3210の50%阻害濃度(IC50)を、100 TCID50(50%組織培養感染量)のウイルスを用いた上記マイクロ中和試験を使用して決定した。IC50の値は、可変傾斜を持つ4パラメーター非線形回帰フィットする中和曲線の補間によって計算した。解析結果を図2および表4に示す。

0184

0185

[実施例2:RSVおよびMPVの全グループおよび全サブグループに対する反応性の範囲]
HMB2430およびHMB3210の反応性の範囲を評価するため、以下に示すRSV株およびMPV株を用いて得たHep−2RSV感染細胞またはLLC−MK2 MPV感染細胞に対する結合性に関して、精製されたmAbsをFACSによって試験した。RSV株およびMPV株:RSV A2(A、1961、オーストラリア;A/A2/61)、RSV Long(A、メリーランド、アメリカ、1956;A/Long/56)、RSV Randall(A、シカゴ アメリカ、1958;A/Randall/58)、RSV 9320(B、マサチューセッツアメリカ、1977;B/9320/77)、WV/14617/85(B、ハンチントンウエストヴァージニア、1985;B/14617/85)、18537(B、ワシトンコロンビア特別区アメリカ、1962;B/18537/62)、MPV I−PV−03/01−6621(A1、パヴィーア イタリア、2001;A1/6621/01)、MPV I−PV−02/06−8938(A2、パヴィーア イタリア、2006;A2/8938/06)、I−PV−03/04−4702(B1、パヴィーア イタリア、2004;B1/4702/04)およびI−PV−02/04−3817(B2、パヴィーア イタリア、2004;B2/3817/04)。並行して、3種類の前述のmAbsを試験した:(i)モタビズマブ(RSV特異的);(ii)mAbs234(MPV特異的);および(iii)FO32(インフルエンザA特異的。ネガティブコントロールとして使用)。全てのmAbsは10μg/mLの濃度で、感染細胞および非感染細胞に対する結合性の観点で試験された。HMB2430およびHMB3210は、既知のRSVおよびMPVのグループおよびサブグループを代表する株である試験された6種類のRSV株全ておよび4種類のMPV株全てと反応した(表5)。対照的に、モタビズマブは試験された6種類のRSV株全てと反応したが、試験された4種類のMPV株のいずれとも反応しなかった。反対に、234mAbsは試験された4種類のMPV株全てと反応したが、試験された6種類のMPV株のいずれとも反応しなかった。

0186

0187

[実施例3:ELISAおよび導入細胞の染色に基づいた、組み換えFタンパク質に対するRSVおよびMPVの結合]
HMB2430およびHMB3210により認識される、RSVおよびMPVウイルスの標的抗原を同定するため、一過性導入された293F細胞から生産されたRSV(A2株)のホモ量体可溶Fタンパク質との結合能について、モタビズマブおよびmAb234と並行して、上述の2種類のmAbsを解析した。図3に示すように、HMB2430およびHMB3210は、ELISAによってRSVのFタンパク質と特異的に反応し、モタビズマブと比較して明らかに異なる結合プロファイルを示した。加えて、HM2430およびHMB3210は、RSV(A2株)もしくはMPV(NL/1/99 B1株)のFタンパク質の全長をコードしている哺乳類発現ベクターを一過性導入された293F細胞を、その細胞内的に染色し(表6)、HMB2430およびHMB3210が、RSVのFタンパク質およびMPVのFタンパク質に共通して存在するエピトープを認識することを示唆した。この発見は、RSVのFタンパク質およびMPVのFタンパク質に、33〜35%のアミノ酸配列同一性があるのみであることを考慮すると、特に際立ったものである。予想された通り、パリビズマブおよびモタビズマブは、RSVのFタンパク質を発現している細胞と結合したが、MPVのFタンパク質を発現している細胞とは結合しなかった(表6)。反対に、234mAbは、MPVのFタンパク質を発現している細胞と結合したが、RSVのFタンパク質を発現している細胞とは結合しなかった(表6)。

0188

0189

[実施例4:阻害結合アッセイを用いた、RSV感染細胞のエピトープマッピング]
HMB2430およびHMB3210によって認識されるFタンパク質のエピトープに関する識見を深めるため、RSVA2株を感染させたHep−2細胞を用いて結合阻害アッセイを行った。以下に名前を示す、RSVのFタンパク質に特異的なmAbsは購入されたか、または遺伝子合成によって製造した:(i)モタビズマブ(抗原サイトIIに特異的);(ii)101F(抗原サイトIVに特異的);(iii)D25(特異性が不特定);(iv)131−2a(抗原サイトIに特異的)。前記mAbsはビオチンで標識され、最大量の70〜80%の結合を達成するのに必要な、mAbsの至適濃度を決定するため、Hep−2感染細胞に対する結合試験が行われた。その後、ビオチンで標識されたmAbsは、RSVのA2株感染細胞を、50倍量の同種または異種の非標識化mAbsとともに前培養することによって、その結合(蛍光体コンジュゲートしているストレプトアビジンを用いて計測)が阻害されるかを評価するためのプローブとして使用された。
予想された通り、ビオチンで標識されたHMB2430の結合は、非標識化HMB2430と共に上記細胞を前培養することによって阻害されたが、同様に非標識化HMB3210によっても、その結合は、部分的に阻害された(図4)。対照的に、試験された他の全てのビオチン標識化mAbsは、HMB2430もしくはHMB3210のいずれとの前培養によっても阻害を受けなかった(図4)。これらの結果をまとめると、HMB2430およびHMB3210は、Fタンパク質上にある、RSVとMPVとの間で共通しかつ互いに部分的に重複するエピトープを認識すること、またこれらのエピトープはFタンパク質の抗原サイトII(モタビズマブおよびパリビズマブにより認識)、抗原サイトIV(mAb 101Fにより認識)、および抗原サイトI(mAb 131−2Aにより認識)とは異なることを示す。加えて、RSVのFタンパク質上に存在する、mAbsHMB2430およびHMB3210により認識されるエピトープは、mAb D25により認識される未知のエピトープと異なる。

0190

[実施例5:還元状態および非還元状態における、RSVおよびMPVのFタンパク質に対するモノクローナル抗体の反応性]
HMB2430およびHMB3210が、RSVのFタンパク質およびMPVのFタンパク質の両方を認識するという発見をさらに確認するため、これらの2つのmAbsに関して、RSVおよびMPVのFタンパク質をウエスタンブロットにおいて染色する能力を試験した。Hep−2細胞をRSVに感染させ、LLC−MK2細胞をMPVに感染させ、緩和な界面活性剤に溶解し、還元状態および非還元状態でSDS−PAGEゲルに泳動させた。タンパク質はPVDFメンブレンに転写され、HMB2430、HMB3210、モタビズマブ、および234 mAbのいずれかと共に培養した。mAbの結合は抗ヒトHRP結合抗体ECLWestern Blotting Detection reagentと併用して検出した。HMB2430およびHMB3210は、非還元状態において、RSVに感染した細胞由来図5)およびMPVに感染した細胞由来(図6)のFタンパク質に結合した。MPV特異的なmAb 234(RSVのFタンパク質の抗原サイトIIに相当する、MPVのFタンパク質上のエピトープを認識する)は、非還元状態においてMPVのFタンパク質に結合するが、RSVのFタンパク質には結合しなかった。対照的に、RSV特異的なmAbであるモビズマブは、還元状態と非還元状態の両方においてRSVのFタンパク質と結合し、主として線状エピトープを認識することが裏付けられた。これらの結果は、モタビズマブおよびパリビズマブと異なり、HMB2430およびHMB3210は、RSVのFタンパク質およびMPVのFタンパク質内のアミノ酸残基間のジスルフィド結合の存在に依存する、コンフォメーショナルエピトープを認識することを示唆する。

0191

[実施例6:HMB2430およびHMB3210によるRSVおよびMPVの全てのグループおよびサブグループの中和]
精製されたHMB2430およびHMB3210mAbsの、RSVに感染したHep−2、または、MPVに感染したLLC−MK2細胞を中和する能力を試験した。以下のRSVおよびMPV株を試験した。:RSV A2(A、1961、オーストラリア;A/A2/61)、RSV Long(A、メリーランド、アメリカ、1956;A/Long/56)、RSV Randall(A、シカゴ アメリカ、1958;A/Randall/58)、RSV 9320(B、マサチューセッツアメリカ、1977;B/9320/77)、WV/14617/85(B、ハンチントンウエストヴァージニア、1985;B/14617/85)、18537(B、ワシントン・コロンビア特別区アメリカ、1962;B/18537/62)、RSV 9727/2009(B、パヴィーア イタリア、2009;B/9727/09)、RSV 9736/2009(B、パヴィーア イタリア、2009;B/9736/09)、RSV 9847/2009(B、パヴィーア イタリア、2009;B/9847/09)、MPV I−PV−03/01−6621(A1、パヴィーア イタリア、2001;A1/6621/01)、MPV I−PV−02/06−8938(A2、パヴィーア イタリア、2006;A2/8938/06)、I−PV−02/06−8908(A2、パヴィーア イタリア、2006;A2/8908/06)、I−PV−02/06−8909(A2、パヴィーア イタリア、2006;A2/8909/06)、I−PV−03/04−4702(B1、パヴィーア イタリア、2004;B1/4702/04)およびI−PV−02/04−3817(B2、パヴィーア イタリア、2004;B2/3817/04)。

0192

同じ実験において、HMB2430およびHMB3210を、パリビズマブ(RSV特異的)および234mAb(MPV特異的)と比較した。HMB3210は、既知のRSVおよびMPVのグループおよびサブグループを代表する株である、試験された全ての11種類のRSV株および6種類のMPV株を中和した(表7)。HMB2430は、試験された11種類のRSV株全ておよびMPV A1およびA2株全てを中和したが、試験されたMPV B1およびB2株を中和しなかった。予想された通り、パリビズマブは、試験された11種類全てのRSVを中和したが、6種類のMPVのいずれも中和しなかった。一方、234 mAbは、試験された6種類全てのMPVを中和したが、11種類のRSVのいずれも中和しなかった。

0193

HMB3210およびHMB2430は、試験された11種類全てのRSV株を非常によく中和する(それぞれIC50の平均値は0.070μg/mLおよび0.133μg/mL)。この値は、平均して、パリビズマブのIC50(0.284μg/mL)の5.4倍および2.4倍高い。HMB3210は、試験された6種類全てのMPV株を非常によく中和し(IC50の平均値0.133μg/mL)、その値は、平均して、234のIC50(0.046μg/mL)の1.7倍低い。

0194

0195

[実施例7:RSVウイルスおよびMPVウイルスのエスケープミュータントの選択の欠如]
HMB3210、パリビズマブおよび234 mAbの、RSVもしくはMPVのモノクローナル抗体抵抗性ミュータント(MARMs)を選択する能力をインビトロで試験した。何回かの試みにも関わらず、HMB3210は、32x10e6 RSV A/Long/58 TCID50および16x 10e6 MPV A1/6621/01 TCID50に対して試験した場合に、RSVおよびMPVのMARMsを選択できなかった。対照的に、パリビズマブは、高い頻度でMARMsを選択した(16x−10e6 RSV A/Long/58 TCID50の1回のインプットから、計85の独立したパリビズマブMARMsを単離し、これは185000TCID50につき1の頻度に相当する)。同一の実験条件において、mAb 234はMPV MARMsを1つも選択しなかった。234 mAbのMARMsを単離することの困難さは、少数のMARMsを単離するために高いレベルのウイルスが必要であることを示したUlbrandt et alによる報告(J General Virol 2008)と一致する。エスケープしたウイルスは、単離NL/1/99 MPV B1を用いてK242N変異にマッピングされた。独立したパリビズマブMARMs(PZ−MARMs)が収集され、そのうちの10のFタンパク質が完全に配列解析された(表8)。PZ−MARM2、PZ−MARM3、PZ−MARM4、PZ−MARM5、PZ−MARM6、PZ−MARM8およびPZ−MARM10は、同じ2つのアミノ酸変異(P101S/K272T)を共有していた;PZ−MARM1も、同じ位置に2つのアミノ酸変異を有していたが異なるアミノ酸変異であった(P101S/K272Q);PZ−MARM7もまた、位置272に、1つのアミノ酸変異(K272N)を有していた;そして、PZ−MARM9は、他のPZ−MARMsと共通のアミノ酸変異、および262の位置におけるユニークな変異(P101S/N262Y)を有していた。この領域(ヌクレオチド位置827および828)における点突然変異は既に記述されており(Zhao et al. Virology 2004)、この変異は位置272における2つの異なるアミノ酸変異(K272QおよびK272M)をもたらすものであった。最初の突然変異(すなわちK272Q)は、本明細書に記載されるPZ−MARM1にも存在した。これらの点突然変異を保有するウイルスは、コットンラットにおいて、パリビズマブの感染予防効果に対し完全な耐性を有し(Zhao et al. Virology 2004)、他の変異を伴っている同じ変異が、予防的にパリビズマブで処置された、RSVに感染した免疫抑制コットンラットにおいて記述された。

0196

HMB3210、HMB2430およびパリビズマブの、HEP−2細胞のPZ−MARM6感染を中和する能力を試験した。パリビズマブがPZ−MARM6を中和しなかったのに対し、HMB3210およびHMB2430は、このウイルスを、対応する野生型ウイルスで観察されたのと同等のレベルで非常によく中和した(図7)。

0197

まとめると、これらの結果は、HMB3210およびHMB2430はインビトロでRSVおよびMPVのMARMを選択しなかったということを示した。これらの結果は、HMB3210およびHMB2430に認識される標的エピトープ極度に保存されているために、抗体結合を無効化するような変異は、極度にまれであるか、ウイルスとしての適性喪失と関連するものである、という見解合致している。

0198

0199

[実施例8:LCDR3のグリコシル化サイトの除去は、HMB3210の活性に影響しない。]
HMB3210の軽鎖可変部は、N−グリコシル化モチーフ(NxS/T、xはプロリン以外のいかなるアミノ酸でもあり得る)をLCDR3の113位(IMGT番号)に有する。113位のアスパラギン(N113)が、ジャームライン配列に存在するセリンと置き換えられている。可変領域におけるグリコシル化モチーフの存在は、抗体の活性にポジティブもしくはネガティブな影響を与える可能性があり、また抗体の不均一性の原因と認識されている。HMB3210の軽鎖におけるグリカンの存在は、N−グリコシダーゼであるPNG−アーゼFの存在下および非存在下における培養に続き行った、還元SDS−PAGEゲルにおいて評価した(図8)。この解析により、少数の軽鎖が、実際にグリコシル化されていることが示された。そしてN113残基を取り除いて、対応するジャームラインがコードするセリン残基に戻した。並行して、軽鎖のフレームワーク−1領域(P7T)におけるもう1つの体細胞変異も同様に、ジャームラインがコードする7位のプロリン残基(対応するIGLV1−40*02遺伝子におけるIMGT番号で示す)に戻すため、取り除かれた。HMB3210重鎖VH.2(配列番号17)およびHMB3210軽鎖VL.3によって構成されるHMB3210の新しい変異体(HMB3210v3と命名された)が生産され、HMB3210v2(HMB3210重鎖VH.2(配列番号17)および配列番号14に示す軽鎖VLによって構成される)とともに、RSVA2株およびMPVI−PV 03/01−6621株を中和する能力を試験した。この変異体(HMB3210v3)は、試験したRSV株およびMPV株の両方に対するわずかに改善された中和能力を示し(図9)、すなわち、軽鎖のグリコシル化サイトの除去は、RSVおよびMPV上の標的エピトープに対する結合に影響を与えないことが示される。2種類の抗体は、その後並行してRSVおよびMPV一群に対して試験され、試験された全てのウイルスに対し同等の活性を有することを示した(図10)。結論を述べると、HMB3210v3は可変軽鎖においてグリコシル化されておらず、またジャームラインの重鎖遺伝子および軽鎖遺伝子と比較して全体でほとんど変異が無く、重鎖において8つのアミノ酸のみに体細胞変異を有し、軽鎖において4つのアミノ酸のみに体細胞変異を有していた:S58A(HCDR2)、165S(HCDR2)、Y66D(HFR3)、V71A(HFR3)、N85T(HFR3)、Y88F(HFR3)、V101I(HFR3)、Y103F(HFR3)、G56D(LCDR2)、S65N(LCDR2)、G78A(LFR3)およびS109R(LCDR3)(全ての位置はIMGT番号で示されている)。

0200

[実施例9:HMB3210およびHMB2430のMPVに対する交差反応性は、体細胞変異に依存する。]
RSVおよびMPVに対するHMB3210およびHMB2430の交差反応性における体細胞変異の役割についての見識を得るため、両方のmAbのジャームラインバージョンを合成し、RSV A2株およびMPV I−PV 03/01−6621株を中和する能力を試験した。HMB2430およびHMB3210の両方のジャームラインmAb(それぞれHMB2430−GLおよびHMB3210−GL)は、HMB2430−GLの場合はVH.3およびVL.2から、HMB3210−GLの場合はVH.3およびVL.4から成る。ジャームラインの形態のmAbは両方とも、元の体細胞変異したHMB3210およびHMB2430で観察されたのと同等のレベルで、RSVを効果的に中和した(図11)。しかしながら、HMB3210−GLおよびHMB2430−GLはMPVを中和せず、それゆえMPVの中和には体細胞変異が不可欠であることを示している。重鎖もしくは軽鎖の両方の体細胞変異がMPVの中和に関与しているかをさらに理解するため、これらの重鎖もしくは軽鎖のいずれかを、ジャームラインの構成において有する抗体を生産した:VH.3およびVLにより作られるHMB2430−VHGL−VLSM;VH.2およびVL.2により作られるHMB2430−VHSM−VLGL;VH.3およびVLにより作られるHMB3210−VHGL−VLSM;およびVH.2およびVL.4により作られるHMB3210−VHSM−VLGL。HMB3210の重鎖の体細胞変異の除去は、RSVもしくはMPVウイルスの中和に影響を与えなかった。その一方、HMB2430の重鎖の体細胞変異を除去すると、RSVの中和力は維持されたが、MPVの中和に影響を与えた。HMB2430およびHMB3210の軽鎖の体細胞変異の除去は、MPVの中和力を失わせたが、RSVの中和には影響を与えなかった(図11)。まとめると、これらの発見は、HMB3210およびHMB2430は最初にRSVによって選択され、次いで、体細胞変異の蓄積を通じてMPVに対する交差活性を発達させたことを示唆している。全体でわずか3か所の軽鎖CDRの体細胞変異が、RSV特異的ジャームライン抗体がMPV交差活性を獲得した理由である。注目すべきは、HMB2430およびHMB3210(クローン的関係は無い)は、LCDR3における、109位のSからRへの体細胞変異を共有していることである。

0201

[実施例10:融合前および融合後のFタンパク質配座の、HMB3210による認識]
C末端ヒスチジンタグを伴ったRSVFの26〜136および147〜512の残基(RSV A2株の融合ペプチドのないFエクトドメインに対応する)をコードするDNA構築物がコドン最適化され、合成された。組み換えFは、Sf21細胞内でバキュロウイルス発現ベクターを用いて発現され、上清からニッケルアフィニティークロマトグラフィーおよびサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)によって精製された。類似の構築物は、既に融合後Fタンパク質の結晶構造解明するために、他者に使用されている(Swanson et al. PNAS 2011 and McLellan et al. J Viol 2011)。タンパク質は、非還元状態においてSDS−PAGEによって解析され、約65〜70kDaのバンドを示した。また、SECによってS200カラムで解析されたとき、“融合後”RSV Fタンパク質は、三量体Fタンパク質の分子量に相当する、見かけ上約150kDaの分子量を示す一つの対称ピークとして溶出し、ヒトIgG1抗体の溶出体積と重なり合った。“融合後”Fタンパク質は、HMB3210もしくはパリビズマブのいずれかともに培養され、その2つの混合物がS200カラムにかけられた。 “融合後”Fタンパク質とパリビズマブとの培養物は、Fタンパク質単独の場合と比較して溶出ピークの位置がより低い溶出体積側に移動しており(見かけMWが300kDaに相当する)、既に報告されたとおりパリビズマブが“融合後”Fタンパク質と結合されていることを示している。注目すべきは、HMB3210および“融合後”Fタンパク質の培養物は溶出体積の移動が起こらなかったことである(図12)。HMB3210と“融合後”Fタンパク質とが独立した物質として溶出するという事実は、HMB3210はパリビズマブとは異なり、“融合後”Fタンパク質と結合しないことを示す。

0202

Magro et. al. PNAS 2012で採用された戦略に従い、アミノ酸4残基(L481、D489、S509およびD510)をシステインに置換し、かつ、フューリン(furine)切断部位を除去するため、2つのFタンパク質切断部位における塩基性アミノ酸9残基(R106、R108、R109、K131、K132、R133、K134、R135およびR136)をN残基に置換することで、安定化された形態の完全長の融合前RSVFタンパク質が合成された。Fタンパク質の配列は、精製を容易にするため、膜貫通領域後ろで、かつGFPおよびC末端6−ヒスチジンタグの前へTEV切断部位を挿入することによって、さらに修飾された。導入された4つのシステインは、PIV−5融合前Fの構造に従い、単量体間のジスルフィド結合の形成はFタンパク質が融合前配座のときにのみ可能だが、融合後の構造に再び折りたたまれたときには不可能であり、そのため融合前Fタンパク質の安定化が可能になる位置に決定された。安定化された融合前Fタンパク質は、追加されたシステインがジスルフィド結合していない分子をある割合で含むので、Magro et. al.により異種性と説明される。ここで説明されたFタンパク質の構造はバキュロウイルス発現ベクターを用いてSf21細胞で生産され、緩和な界面活性剤で細胞膜から可溶化され、ニッケルアフィニティおよびサイズ排除クロマトグラフィーにより精製された。精製された融合前Fタンパク質はS200カラムでSECにより分析され、三量体Fタンパク質の分子量に相当する、見かけ上約150kDaの分子量を示す一つの対称ピークとして溶出し、ヒトIgG1抗体の溶出体積と重なり合った。融合前Fタンパク質とパリビズマブとの培養によって、その溶出ピークは、融合前Fタンパク質単独の場合より溶出体積の低いほうへ(見かけの分子量約300kDaに相当)移動し、さらに大きな凝集体の形成に関与する可能性のある、カラムの排除体積(void volume)に溶出する、分子量の大きな複合体の形成も誘導する。同様の溶出体積の変化は、HMB3210v2を融合前タンパク質と培養した場合にも観察された(図13)。これらの結果は、パリビズマブは、融合前および融合後両方の形態のFタンパク質と結合する一方、HMB3210は選択的に融合前の形態のFタンパク質を認識することを示唆する。2つのFタンパク質(融合前および融合後の形態)は、表面プラズモン共鳴(SPR)によっても試験された。パリビズマブは、同様の親和性で、融合前および融合後の両方のFタンパク質と結合した一方、HMB3210v3は、融合前Fタンパク質と高い親和性で(パリビズマブのKdが2nMであるのに対し、定数Kdが0.1nM)選択的に結合する(図14)。

0203

[実施例11:HMB3210v3は、2つの動物パラミクソウイルスとしての、ウシRSウイルス(BRSV)およびマウスネウモニアウイルス(PVM)を交差中和する。

0204

HMB3210の反応性の範囲も同様に、2種類の異なる動物パラミクソウイルスで評価した:Fタンパク質に関して、RSVとのアミノ酸同一性がそれぞれ81%および40%ある、BRSVおよびPVMの2種類のウイルスである。HMB3210は、PVM15株およびBRSV RB94株を中和する能力を試験され、それぞれIC50値100ng/mLおよび10ng/mLでウイルスに対し有効性を示した。これらの結果は、ヒトパラミクソウイルスであるRSVおよびMPVに加え、HMB3210は、パラミクソウイルス科に属する他の2種類のウイルスに対しても有効であることを示す。

0205

[実施例12:HMB3210を用いたウイルス拡散の阻止]
我々は、HMB3210およびRSV特異的抗体D25の、中和活性とは異なる抗RSV抗体の特性として報告されている、細胞間のウイルス拡散を防ぐ能力を測定した。我々は、HEP−2細胞をRSV AもしくはB株に感染させ、20時間後に異なる濃度の抗体を加え、3日目にシンチアの形成を試験することで、50%抗体ウイルス拡散阻止濃度(IS50と定義した)を決定した。両方の抗体ともより高い濃度であれば、ウイルス拡散を阻止することができた。興味深いことに、このアッセイにおいて、HMB3210はより強力な中和抗体であるD25と同等のIS50を示した(図15)。

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