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課題・解決手段

本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンであって、RSVFタンパク質またはその免疫学的活性な部分をコードする核酸を含む、血清型(26)の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチンを提供する。

概要

背景

1950年代呼吸器合胞体ウイルス(RSV:respiratory syncytial virus)が発見されると、このウイルスは直ぐに、ヒトにおける上下気道感染症に関連した認定病原体になった。世界中で、毎年6400万件のRSV感染が発生し、その結果160,000人が死亡している(WHO Acute Respiratory Infections Update September 2009)。最も重篤な疾患が生じるのは、特に未熟児高齢および免疫無防備状態の個体である。2年未満の小児では、RSVは、最もよく見られる呼吸器病原体であり、呼吸器感染症による入院の約50%を占め、入院のピークとなるのは2〜4ヶ月齢である。ほとんどすべての小児が2までにRSVに感染したことが報告されている。生涯にわたり繰り返し感染することは、自然免疫が効果をもたないことに起因する。高齢者における、RSV疾患の負担、死亡率、および罹患率のレベルは、非パンデミックインフルエンザA型感染症を原因とするものに次ぐものである。

RSVは、肺炎ウイルス亜科に属するパラミクソウイルスである。そのゲノムは、中和抗体の主要な抗原標的であるRSV糖タンパク質(G)およびRSV融合(F)タンパク質として知られる膜タンパク質を含む、種々のタンパク質をコードする。融合タンパク質前駆体(F0)がタンパク質分解により切断されると、ジスルフィド架橋を介して連結された2つのポリペプチドF1およびF2が生じる。F1タンパク質の融合媒介部分に対する抗体は、細胞のウイルス取り込みを防止することができ、したがって、中和作用がある。中和抗体の標的であることに加えて、RSV Fは、細胞障害性T細胞エピトープを含有する(Pemberton et al,1987,J.Gen.Virol.68:2177−2182)。

RSV感染に対する治療選択肢には、RSVのFタンパク質に対するモノクローナル抗体が挙げられる。そのようなモノクローナル抗体には高いコストが伴うこと、また病院環境での投与が要求されることにより、リスクのある集団に予防のために大規模に使用することは不可能である。したがって、RSVワクチンの必要性があり、このワクチンは小児集団にも高齢者にも使用できることが好ましい。

50年間の研究にもかかわらず、RSVに対するワクチンはまだ認可されたものがない。ワクチン開発の主要な障害の1つは、ホルマリン不活化(FI:formalin−inactivated)RSVワクチンによる、1960年代の臨床試験において、疾患のワクチン増強があったことが受け継がれていることである。FI−RSVワクチン接種を受けた小児は、自然感染から防御されず、感染した小児は、ワクチン接種を受けなかった小児よりも、2人の死亡を含む重篤な病気を経験した。この現象は「疾患の増強」と呼ばれる。

FI−RSVワクチンによる試験以来、RSVワクチンを作製するための種々のアプローチが追求されてきた。試みには、RSVの古典的生弱毒化低温継代株または温度感受性突然変異株、(キメラタンパク質サブユニットワクチン、ペプチドワクチン、および組換えウイルスベクターから発現されるRSVタンパク質が含まれる。これらのワクチンの一部は、有望な前臨床データを示したが、安全性の懸念または有効性欠如により、ヒト使用に対して認可されたワクチンはない。

アデノウイルスベクターは、RSV感染に付随する疾患を含む、種々の疾患に対するワクチンの調製のために使用されている。以下の段落に、記載されたことのある、アデノウイルスベースのRSV候補ワクチンの例を提供する。

1つのアプローチでは、RSV.Fは、複製能のあるアデノウイルス4、5、および7型の非必須なE3領域に挿入された。コットンラットにおける免疫処置である、107pfuの鼻腔内(i.n.)適用は、中程度に免疫原性であり、下気道に対しては、RSVチャレンジに対して防御的であったが、上気道RSVチャレンジに対しては防御的でなかった(Connors et al,1992,Vaccine 10:475−484;Collins,P.L.,Prince,G.A.,Camargo,E.,Purcell,R.H.,Chanock,R.M.and Murphy,B.R.Evaluation of the protective efficacy of recombinant vaccinia viruses and adenoviruses that express respiratory syncytial virus glycoproteins.In:Vaccines 90:Modern Approaches to New Vaccines including prevention ofAIDS(Eds.Brown,F.,Chanock,R.M.,Ginsberg,H.and Lerner,R.A.)Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1990,pp79−84)。その後のチンパンジー経口免疫処置では、免疫原性が低かった(Hsu et al,1992,J Infect Dis.66:769−775)。

他の研究では、(Shao et al,2009,Vaccine 27:5460−71;米国特許出願公開第2011/0014220号明細書)、膜貫通の短縮型(rAd−F0ΔTM)または完全長型(rAd−F0)のRSV−B1株Fタンパク質をコードする核酸担持する、組換え型の複製能がない2つのアデノウイルス5ベクターを操作して作製し、BALB/cマウスに鼻腔内経路で投与した。動物を107pfuで初回免疫(i.n.)し、28日後に同じ用量で追加免疫(i.n.)した。抗RSV−B1抗体は,RSV−Long株およびRSV−A2株を中和し、それらと交差反応するが、これらのベクターによる免疫処置は、RSV B1チャレンジ複製に対して部分的にのみ防御した。rAd−F0ΔTMによる(部分的)防御は、rAd−F0よりもわずかに高かった。

別の研究では、野生型RSVF(FG−Ad−F)を発現する複製能欠損(Ad5ベースの)FG−Adアデノウイルスによる1011個のウイルス粒子によって、BALB/cマウスをi.n.免疫処置すると、ウイルス力価が、対照群に比較して、1.5log10だけ低下することが観察された(Fu et al,2009,Biochem.Biophys.Res.Commun.381:528−532)。

さらに別の研究では、RSVA2のFタンパク質のコドン最適化された可溶性F1断片(アミノ酸155〜524)を発現する組換え型Ad5ベースの複製能欠損アデノベクターを鼻腔内に適用すると(108PFU)、対照マウスに比較して、BALB/cマウスの肺におけるRSVチャレンジ複製を軽減させることができるが、筋肉内(i.m.)経路により免疫処置されたマウスでは、チャレンジに対する何らの防御も示されないことが観察された(Kim et al,2010,Vaccine 28:3801−3808)。

他の研究では、コドン最適化された完全長RSVF(AdV−F)またはRSFF遺伝子の可溶性形態(AdV−Fsol)を担持するAd5ベースのアデノウイルスを使用して、1×1010OPUの用量でBALB/cマウスを2回免疫処置した(光学粒子単位:1×1010OPUの用量は、2×108GTU(遺伝子形質導入単位)に相当する)。これらのベクターは、i.n免疫処置後には、肺におけるウイルス負荷を強力に低減したが、皮下適用(s.c.)またはi.m.適用の後では、部分的にのみ低減した(Kohlmann et al,2009,J Virol 83:12601−12610;米国特許出願公開第2010/0111989号明細書)。

さらに他の研究では、RSVA2株の配列決定されたFタンパク質cDNAを発現する組換え型Ad5ベースの複製能欠損アデノベクターを筋肉内に適用すると(1010粒子単位)、対照マウスに比較して、BALB/cマウスの肺におけるRSVチャレンジ複製を部分的にのみ軽減することができることが観察された(Krause et al,2011,Virology Journal 8:375−386)。

多くの症例において有効性が十分でないことは別として、小児用法についての臨床評価におけるRSVワクチンおよび前臨床評価におけるそのワクチンの大部分は、鼻腔内ワクチンである。鼻腔内法の最も重要な利点は、局所呼吸器免疫の直接刺激およびそれに伴う疾患増強の欠如である。実際、一般に、例えばアデノウイルスベースのRSV候補ワクチンの効力は、筋肉内投与と比較した場合、鼻腔内投与が優れているように見える。しかしながら、鼻腔内ワクチン接種も、6ヶ月未満の幼児において、安全性に懸念が生じている。鼻腔内ワクチンの最もよく見られる有害反応は、すべての年齢において、鼻汁または鼻閉である。新生児鼻呼吸が必須であり、したがって、を通して呼吸しなければならない。したがって、生まれてから最初の2、3ヶ月における鼻閉は、保育を妨害する可能性があり、まれな症例では、重篤な呼吸障害の原因となることもある。

50種を超える、相異なるヒトアデノウイルス血清型が同定されている。これらの中で、歴史的には、アデノウイルス血清型5(Ad5)が、遺伝子担体としての使用について最も広範囲に研究されている。しかしながら、異なる血清型の組換えアデノウイルスベクターを用いると、免疫応答誘導および防御に関して異なる結果が得られる可能性がある。例えば、国際公開第2012/021730号パンフレットでは、Fタンパク質をコードするサルアデノウイルスベクター血清型7およびヒトアデノウイルスベクター血清型5が、血清型28のヒトアデノウイルスベクターよりも、RSVに対して優れた防御を提供することが記載されている。加えて、ヒトまたは非ヒトアデノウイルス血清型に基づくベクターについて、免疫原性の差異が観察された(Abbink et al.,2007,J Virol 81:4654−4663;Colloca et al.,2012,Sci Transl Med 4,115ra2)。Abbinkらは、試験したまれな血清型のヒトrAdベクターがすべて、抗Ad5免疫のない状態で、rAd5ベクターよりも効力が低かったと結論している。さらに、最近では、エボラウイルス(EBOV)糖タンパク質(gp)導入遺伝子を含むrAd5が非ヒト霊長類を100%防御する一方、EBOV gp導入遺伝子を含むrAd35およびrAd26は部分的に防御するのみであり、エボラウイルスチャレンジに対する完全な防御を得るためには、これらのベクターによる異種初回免疫−追加免疫法が必要とされることが記載されている(Geisbert et al,2011,J Virol 85:4222−4233)。したがって、別のアデノウイルス血清型からのデータにのみに基づいて、組換えアデノウイルスワクチンの効力を予測することは、経験的に可能ではない。

さらに、RSVワクチンの場合、ワクチン候補が、鼻腔および肺でのRSVの複製を予防するのに十分効果的であり、かつ同時に安全であるか、すなわち、疾患の増強をもたらさないか否かを判定するために、コットンラットなどの適切な疾患モデルでの実験が必要となる。好ましくは、そのような候補ワクチンは、筋肉内投与においても、そのようなモデルで高度に効果的であるべきである。

概要

本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンであって、RSVFタンパク質またはその免疫学的活性な部分をコードする核酸を含む、血清型(26)の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチンを提供する。

目的

以下の段落に、記載されたことのある、アデノウイルスベースのRSV候補ワクチンの例を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンであって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチン。

請求項2

前記組換えアデノウイルスが、配列番号1のアミノ酸配列を含むRSVFタンパク質をコードする核酸を含む、請求項1に記載のワクチン。

請求項3

RSVFタンパク質をコードする前記核酸が、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化されている、請求項1または2に記載のワクチン。

請求項4

RSVFタンパク質をコードする前記核酸が、配列番号2の核酸配列を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載のワクチン。

請求項5

前記組換えヒトアデノウイルスが、アデノウイルスゲノムのE1領域中の欠失、E3領域中の欠失、またはE1およびE3の両方の領域中の欠失を有している、請求項1〜4のいずれか一項に記載のワクチン。

請求項6

前記組換えアデノウイルスが、その5’末端に配列CTATCTATを含むゲノムを有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のワクチン。

請求項7

RSVに対して被験体ワクチン接種するための方法であって、請求項1〜6のいずれか一項に記載のワクチンを被験体に投与することを含む方法。

請求項8

前記ワクチンが筋肉内投与される、請求項7に記載の方法。

請求項9

請求項1〜6のいずれか一項に記載のワクチンが、前記被験体に二回以上投与される、請求項7または8に記載の方法。

請求項10

RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型35の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチンを前記被験体に投与することをさらに含む、請求項7〜9のいずれか一項に記載の方法。

請求項11

前記被験体への前記ワクチンの単回投与からなる、請求項7または8に記載の方法。

請求項12

前記被験体にRSVFタンパク質を投与することをさらに含む、請求項7〜11のいずれか一項に記載の方法。

請求項13

被験体におけるRSVの感染および/または複製を軽減するための方法であって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含む組成物筋肉内注射によって前記被験体に投与することを含む方法。

請求項14

RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含む、単離された宿主細胞

請求項15

呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンを製造するための方法であって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを準備するステップと、前記組換えアデノウイルスを宿主細胞の培養物中で増殖させるステップと、前記組換えアデノウイルスを単離および精製するステップと、前記組換えアデノウイルスを薬学的に許容される組成物中に製剤化するステップとを含む方法。

請求項16

RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスのゲノムを形成する単離された組換え核酸

技術分野

0001

本発明は医療分野に関する。より具体的には、本発明はRSVに対するワクチンに関する。

背景技術

0002

1950年代呼吸器合胞体ウイルス(RSV:respiratory syncytial virus)が発見されると、このウイルスは直ぐに、ヒトにおける上下気道感染症に関連した認定病原体になった。世界中で、毎年6400万件のRSV感染が発生し、その結果160,000人が死亡している(WHO Acute Respiratory Infections Update September 2009)。最も重篤な疾患が生じるのは、特に未熟児高齢および免疫無防備状態の個体である。2年未満の小児では、RSVは、最もよく見られる呼吸器病原体であり、呼吸器感染症による入院の約50%を占め、入院のピークとなるのは2〜4ヶ月齢である。ほとんどすべての小児が2までにRSVに感染したことが報告されている。生涯にわたり繰り返し感染することは、自然免疫が効果をもたないことに起因する。高齢者における、RSV疾患の負担、死亡率、および罹患率のレベルは、非パンデミックインフルエンザA型感染症を原因とするものに次ぐものである。

0003

RSVは、肺炎ウイルス亜科に属するパラミクソウイルスである。そのゲノムは、中和抗体の主要な抗原標的であるRSV糖タンパク質(G)およびRSV融合(F)タンパク質として知られる膜タンパク質を含む、種々のタンパク質をコードする。融合タンパク質前駆体(F0)がタンパク質分解により切断されると、ジスルフィド架橋を介して連結された2つのポリペプチドF1およびF2が生じる。F1タンパク質の融合媒介部分に対する抗体は、細胞のウイルス取り込みを防止することができ、したがって、中和作用がある。中和抗体の標的であることに加えて、RSV Fは、細胞障害性T細胞エピトープを含有する(Pemberton et al,1987,J.Gen.Virol.68:2177−2182)。

0004

RSV感染に対する治療選択肢には、RSVのFタンパク質に対するモノクローナル抗体が挙げられる。そのようなモノクローナル抗体には高いコストが伴うこと、また病院環境での投与が要求されることにより、リスクのある集団に予防のために大規模に使用することは不可能である。したがって、RSVワクチンの必要性があり、このワクチンは小児集団にも高齢者にも使用できることが好ましい。

0005

50年間の研究にもかかわらず、RSVに対するワクチンはまだ認可されたものがない。ワクチン開発の主要な障害の1つは、ホルマリン不活化(FI:formalin−inactivated)RSVワクチンによる、1960年代の臨床試験において、疾患のワクチン増強があったことが受け継がれていることである。FI−RSVワクチン接種を受けた小児は、自然感染から防御されず、感染した小児は、ワクチン接種を受けなかった小児よりも、2人の死亡を含む重篤な病気を経験した。この現象は「疾患の増強」と呼ばれる。

0006

FI−RSVワクチンによる試験以来、RSVワクチンを作製するための種々のアプローチが追求されてきた。試みには、RSVの古典的生弱毒化低温継代株または温度感受性突然変異株、(キメラタンパク質サブユニットワクチン、ペプチドワクチン、および組換えウイルスベクターから発現されるRSVタンパク質が含まれる。これらのワクチンの一部は、有望な前臨床データを示したが、安全性の懸念または有効性欠如により、ヒト使用に対して認可されたワクチンはない。

0007

アデノウイルスベクターは、RSV感染に付随する疾患を含む、種々の疾患に対するワクチンの調製のために使用されている。以下の段落に、記載されたことのある、アデノウイルスベースのRSV候補ワクチンの例を提供する。

0008

1つのアプローチでは、RSV.Fは、複製能のあるアデノウイルス4、5、および7型の非必須なE3領域に挿入された。コットンラットにおける免疫処置である、107pfuの鼻腔内(i.n.)適用は、中程度に免疫原性であり、下気道に対しては、RSVチャレンジに対して防御的であったが、上気道RSVチャレンジに対しては防御的でなかった(Connors et al,1992,Vaccine 10:475−484;Collins,P.L.,Prince,G.A.,Camargo,E.,Purcell,R.H.,Chanock,R.M.and Murphy,B.R.Evaluation of the protective efficacy of recombinant vaccinia viruses and adenoviruses that express respiratory syncytial virus glycoproteins.In:Vaccines 90:Modern Approaches to New Vaccines including prevention ofAIDS(Eds.Brown,F.,Chanock,R.M.,Ginsberg,H.and Lerner,R.A.)Cold Spring Harbor Laboratory,New York,1990,pp79−84)。その後のチンパンジー経口免疫処置では、免疫原性が低かった(Hsu et al,1992,J Infect Dis.66:769−775)。

0009

他の研究では、(Shao et al,2009,Vaccine 27:5460−71;米国特許出願公開第2011/0014220号明細書)、膜貫通の短縮型(rAd−F0ΔTM)または完全長型(rAd−F0)のRSV−B1株Fタンパク質をコードする核酸担持する、組換え型の複製能がない2つのアデノウイルス5ベクターを操作して作製し、BALB/cマウスに鼻腔内経路で投与した。動物を107pfuで初回免疫(i.n.)し、28日後に同じ用量で追加免疫(i.n.)した。抗RSV−B1抗体は,RSV−Long株およびRSV−A2株を中和し、それらと交差反応するが、これらのベクターによる免疫処置は、RSV B1チャレンジ複製に対して部分的にのみ防御した。rAd−F0ΔTMによる(部分的)防御は、rAd−F0よりもわずかに高かった。

0010

別の研究では、野生型RSVF(FG−Ad−F)を発現する複製能欠損(Ad5ベースの)FG−Adアデノウイルスによる1011個のウイルス粒子によって、BALB/cマウスをi.n.免疫処置すると、ウイルス力価が、対照群に比較して、1.5log10だけ低下することが観察された(Fu et al,2009,Biochem.Biophys.Res.Commun.381:528−532)。

0011

さらに別の研究では、RSVA2のFタンパク質のコドン最適化された可溶性F1断片(アミノ酸155〜524)を発現する組換え型Ad5ベースの複製能欠損アデノベクターを鼻腔内に適用すると(108PFU)、対照マウスに比較して、BALB/cマウスの肺におけるRSVチャレンジ複製を軽減させることができるが、筋肉内(i.m.)経路により免疫処置されたマウスでは、チャレンジに対する何らの防御も示されないことが観察された(Kim et al,2010,Vaccine 28:3801−3808)。

0012

他の研究では、コドン最適化された完全長RSVF(AdV−F)またはRSFF遺伝子の可溶性形態(AdV−Fsol)を担持するAd5ベースのアデノウイルスを使用して、1×1010OPUの用量でBALB/cマウスを2回免疫処置した(光学粒子単位:1×1010OPUの用量は、2×108GTU(遺伝子形質導入単位)に相当する)。これらのベクターは、i.n免疫処置後には、肺におけるウイルス負荷を強力に低減したが、皮下適用(s.c.)またはi.m.適用の後では、部分的にのみ低減した(Kohlmann et al,2009,J Virol 83:12601−12610;米国特許出願公開第2010/0111989号明細書)。

0013

さらに他の研究では、RSVA2株の配列決定されたFタンパク質cDNAを発現する組換え型Ad5ベースの複製能欠損アデノベクターを筋肉内に適用すると(1010粒子単位)、対照マウスに比較して、BALB/cマウスの肺におけるRSVチャレンジ複製を部分的にのみ軽減することができることが観察された(Krause et al,2011,Virology Journal 8:375−386)。

0014

多くの症例において有効性が十分でないことは別として、小児用法についての臨床評価におけるRSVワクチンおよび前臨床評価におけるそのワクチンの大部分は、鼻腔内ワクチンである。鼻腔内法の最も重要な利点は、局所呼吸器免疫の直接刺激およびそれに伴う疾患増強の欠如である。実際、一般に、例えばアデノウイルスベースのRSV候補ワクチンの効力は、筋肉内投与と比較した場合、鼻腔内投与が優れているように見える。しかしながら、鼻腔内ワクチン接種も、6ヶ月未満の幼児において、安全性に懸念が生じている。鼻腔内ワクチンの最もよく見られる有害反応は、すべての年齢において、鼻汁または鼻閉である。新生児鼻呼吸が必須であり、したがって、を通して呼吸しなければならない。したがって、生まれてから最初の2、3ヶ月における鼻閉は、保育を妨害する可能性があり、まれな症例では、重篤な呼吸障害の原因となることもある。

0015

50種を超える、相異なるヒトアデノウイルス血清型が同定されている。これらの中で、歴史的には、アデノウイルス血清型5(Ad5)が、遺伝子担体としての使用について最も広範囲に研究されている。しかしながら、異なる血清型の組換えアデノウイルスベクターを用いると、免疫応答誘導および防御に関して異なる結果が得られる可能性がある。例えば、国際公開第2012/021730号パンフレットでは、Fタンパク質をコードするサルアデノウイルスベクター血清型7およびヒトアデノウイルスベクター血清型5が、血清型28のヒトアデノウイルスベクターよりも、RSVに対して優れた防御を提供することが記載されている。加えて、ヒトまたは非ヒトアデノウイルス血清型に基づくベクターについて、免疫原性の差異が観察された(Abbink et al.,2007,J Virol 81:4654−4663;Colloca et al.,2012,Sci Transl Med 4,115ra2)。Abbinkらは、試験したまれな血清型のヒトrAdベクターがすべて、抗Ad5免疫のない状態で、rAd5ベクターよりも効力が低かったと結論している。さらに、最近では、エボラウイルス(EBOV)糖タンパク質(gp)導入遺伝子を含むrAd5が非ヒト霊長類を100%防御する一方、EBOV gp導入遺伝子を含むrAd35およびrAd26は部分的に防御するのみであり、エボラウイルスチャレンジに対する完全な防御を得るためには、これらのベクターによる異種初回免疫−追加免疫法が必要とされることが記載されている(Geisbert et al,2011,J Virol 85:4222−4233)。したがって、別のアデノウイルス血清型からのデータにのみに基づいて、組換えアデノウイルスワクチンの効力を予測することは、経験的に可能ではない。

0016

さらに、RSVワクチンの場合、ワクチン候補が、鼻腔および肺でのRSVの複製を予防するのに十分効果的であり、かつ同時に安全であるか、すなわち、疾患の増強をもたらさないか否かを判定するために、コットンラットなどの適切な疾患モデルでの実験が必要となる。好ましくは、そのような候補ワクチンは、筋肉内投与においても、そのようなモデルで高度に効果的であるべきである。

発明が解決しようとする課題

0017

したがって、疾患の増強をもたらさない、RSVに対する効果的なワクチンおよびワクチン接種法の必要性が依然として存在する。本発明は、RSVに対するそのようなワクチンおよび安全で効果的にワクチン接種するための方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

驚くべきことに、RSVFタンパク質をコードするヌクレオチド配列を含む、血清型26の組換えアデノウイルス(Ad26)は、確立されたコットンラットモデルにおいて、RSVに対する極めて有効なワクチンであり、またRSV FをコードするAd5について以前に記載されたデータに比較して、効力が改善していることが、本発明者らにより見出された。RSV FをコードするAd26の単回投与でも、筋肉内投与でも、チャレンジRSV複製を完全に防御するのに十分であることが実証される。

0019

本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンであって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチンを提供する。

0020

特定の実施形態では、組換えアデノウイルスは、配列番号1のアミノ酸配列を含むRSVFタンパク質をコードする核酸を含む。

0021

特定の実施形態では、RSVFタンパク質をコードする核酸は、ヒト細胞での発現のためにコドン最適化されている。

0022

特定の実施形態では、RSVFタンパク質をコードする核酸は、配列番号2の核酸配列を含む。

0023

特定の実施形態では、組換えヒトアデノウイルスは、アデノウイルスゲノムのE1領域中の欠失、E3領域中の欠失、またはE1およびE3の両方の領域中の欠失を有している。

0024

特定の実施形態では、組換えアデノウイルスは、その5’末端に配列CTATCTATを含むゲノムを有する。

0025

本発明はさらに、RSVに対して被験体にワクチン接種するための方法であって、本発明によるワクチンを被験体に投与することを含む方法を提供する。

0026

特定の実施形態では、ワクチンは筋肉内投与される。

0027

特定の実施形態では、本発明によるワクチンは、被験体に二回以上投与される。

0028

特定の実施形態では、RSVに対して被験体にワクチン接種するための方法は、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型35の組換えヒトアデノウイルスを含むワクチンを被験体に投与することをさらに含む。

0029

特定の実施形態では、RSVに対して被験体にワクチン接種する方法は、RSVFタンパク質(好ましくは、医薬組成物、したがってタンパク質ワクチンとして製剤化される)を被験体に投与することをさらに含む。

0030

特定の実施形態では、ワクチン接種するための方法は、被験体へのワクチンの単回投与からなる。

0031

本発明はまた、被験体の、例えば鼻腔および肺におけるRSVの感染および/または複製を低減するための方法であって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含む組成物筋肉内注射によって被験体に投与することを含む方法を提供する。これは、被験体のRSV感染から生じる悪影響を軽減し、したがって、ワクチンの投与により、そのような悪影響から被験体を防御することに寄与することになる。特定の実施形態では、RSV感染の悪影響は、基本的に予防することができる、すなわち、臨床的に重要でないほど低レベルに軽減することができる。組換えアデノウイルスは、上記の実施形態を含む、本発明によるワクチンの形態にすることができる。

0032

本発明はまた、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含む、単離された宿主細胞を提供する。

0033

本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンを製造するための方法であって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを準備するステップと、前記組換えアデノウイルスを宿主細胞の培養物中で増殖させるステップと、この組換えアデノウイルスを単離および精製するステップと、この組換えアデノウイルスを薬学的に許容される組成物中に製剤化するステップとを含む方法をさらに提供する。この態様の組換えヒトアデノウイルスは、上記の実施形態に記載されるアデノウイルスのいずれであってもよい。

0034

本発明はまた、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスのゲノムを形成する単離された組換え核酸を提供する。このアデノウイルスは、上記の実施形態に記載されるアデノウイルスのいずれであってもよい。

図面の簡単な説明

0035

RSVF遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26(A)およびrAd35(B)をベースとするベクターにより免疫処置したときの、免疫処置後2および8週目における、マウスのFのaa1〜252にオーバーラップするFペプチドおよびFのaa241〜574にオーバーラップするFペプチドに対する細胞性免疫応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26(A)およびrAd35(B)をベースとするベクターにより免疫処置したときの、免疫処置後2および8週目における、マウスのFのaa1〜252にオーバーラップするFペプチドおよびFのaa241〜574にオーバーラップするFペプチドに対する細胞性免疫応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより免疫処置したときの、免疫処置後2および8週目における、マウスのRSVに対する抗体応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、1010vpのrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより免疫処置したときの、免疫処置後8週目における、マウスのRSVに対するIgG2a対IgG1抗体応答比の結果を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26(A)およびrAd35(B)をベースとするベクターにより免疫処置したときの、免疫処置後2および8週目における、マウスのRSV Longに対するウイルス中和能を示す。
RSV F遺伝子を包含する、rAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置したときの、初回免疫処置後6および12週目における、マウスの(A)Fのaa1〜252にオーバーラップするFペプチドおよび(B)Fのaa241〜574にオーバーラップするFペプチドに対する細胞性免疫応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、rAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置したときの、初回免疫処置後6および12週目における、マウスの(A)Fのaa1〜252にオーバーラップするFペプチドおよび(B)Fのaa241〜574にオーバーラップするFペプチドに対する細胞性免疫応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、rAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置したときの、初回免疫処置後の種々の時点における、マウスのRSVに対する抗体応答を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置したときの、初回免疫処置後の種々の時点における、マウスのRSV Longに対するウイルス中和能を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置したときの、初回免疫処置後の種々の時点における、マウスのRSV B1に対するウイルス中和能を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置した後の、チャレンジ後5日目における、コットンラットのA)RSV肺力価およびB)RSV鼻力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置した後の、初回免疫処置後A)28日目およびB)49日目における、ウイルス中和力価の誘導を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより初回免疫−追加免疫処置した後の、屠殺日におけるコットンラット肺の病理組織検査を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターによる、異なる経路で投与された単回免疫処置後の、チャレンジ後5日目における、コットンラットのA)RSV肺力価およびB)RSV鼻力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターによる、異なる経路で投与された単回免疫処置後の、初回免疫処置後28および49日目における、ウイルス中和力価の誘導を示す。
屠殺日におけるRSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26およびrAd35をベースとするベクターにより単回投与免疫処置(i.m.)した後の、屠殺日におけるコットンラット肺の病理組織検査を示す。
RSV Fをコードする配列を含む、Ad35およびAd26のゲノムの左端を含むプラスミドマップ:A.pAdApt35BSU.RSV.F(A2)nat、およびB.pAdApt26.RSV.F(A2)natを示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目または28日目に単回投与免疫処置した後の、チャレンジ後5日目における、コットンラットのA)RSV肺力価およびB)RSV鼻力価を示す。チャレンジは49日目であった。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26により単回投与免疫処置した後の、図16について記載された免疫処置後49日目におけるウイルス中和力価の誘導を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26により単回投与免疫処置した後の、免疫処置後の期間におけるウイルス中和力価の誘導を示す。
Ad−RSV Fまたは導入遺伝子なし(Ad−e)の1010で免疫処置したコットンラットからの血清による、RSV LongおよびRSV Bwashに対する、49日後のVNA力価を示す。PB:初回免疫−追加免疫。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目に単回投与免疫処置した後の、RSV A2またはRSV B15/97によるチャレンジ後5日目における、コットンラットのRSV肺力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目に単回投与免疫処置した後の、RSV A2またはRSV B15/97によるチャレンジ後5日目における、コットンラットのRSV鼻力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目に単回投与免疫処置した後の、初回免疫後の種々の時点におけるコットンラット血清中のVNA力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目に単回投与免疫処置した後の、標準用量(105)または高用量(5×105)のRSV A2によるチャレンジ後5日目における、コットンラットのRSV肺力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより0日目に単回投与免疫処置した後の、標準用量(105)または高用量(5×105)のRSV A2によるチャレンジを伴うチャレンジ後5日目における、コットンラットのRSV鼻力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより単回投与免疫処置または初回免疫−追加免疫処置を0および28日目に行った後の、チャレンジ後5日目におけるコットンラットのRSV肺力価を示す。チャレンジは免疫処置後210日目に実施した。
単回投与および初回免疫−追加免疫処置後の、免疫処置後140日目におけるコットンラット血清中のVNA力価を示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより単回免疫処置または初回免疫−追加免疫処置を行った後の、チャレンジ後2日目における、屠殺したコットンラットの肺の病理組織検査を示す。ドット中央値を示し、ウィスカーは25および75パーセンタイルを示す。
RSV F遺伝子を包含する、種々の用量のrAd26ベースのベクターにより単回免疫処置または初回免疫−追加免疫処置を行った後の、チャレンジ後6日目における、屠殺したコットンラットの肺の病理組織検査を示す。ドットは中央値を示し、ウィスカーは25および75パーセンタイルを示す。
RSV F遺伝子を包含するrAd26(Ad26.RSV.F)による免疫処置およびその後のAd26.RSV.FまたはアジュバントRSVFタンパク質(post−F)による追加免疫後のウイルス中和力価の誘導を示す。
Ad26.RSV.Fによる免疫処置およびその後のAd26.RSV.Fによる追加免疫またはアジュバントRSV Fタンパク質(post−F)による追加免疫後のIgG2a抗体およびIgG1抗体の誘導ならびにそれらの比を示す。
Ad26.RSV.Fによる免疫処置およびその後のAd26.RSV.FまたはアジュバントRSV Fタンパク質(post−F)による追加免疫後の脾細胞によるIFN−gの産生を示す。

0036

アデノウイルスに対する「組換え」という用語は、本明細書で使用する場合、アデノウイルスが人為的に修飾されたことを意味し、例えば、アデノウイルスは、その中に積極的にクローニングされた改変末端を有し、かつ/または異種遺伝子を含む、すなわち、天然野生型アデノウイルスではない。

0037

本明細書の配列は、当技術分野の慣例どおり、5’から3’の方向で提供される。

0038

「アデノウイルスカプシドタンパク質」とは、特定のアデノウイルスの血清型および/またはトロピズムの決定に関与する、アデノウイルスのカプシド上のタンパク質を指す。アデノウイルスカプシドタンパク質は、典型的には、ファイバータンパク質ペントンタンパク質、および/またはヘキソンタンパク質を含む。本発明による特定の血清型の(「またはそれに基づいた」)アデノウイルスは、典型的には、その特定の血清型のファイバータンパク質、ペントンタンパク質、および/またはヘキソンタンパク質を含み、好ましくは、その特定の血清型のファイバータンパク質、ペントンタンパク質、およびヘキソンタンパク質を含む。これらのタンパク質は、典型的には、組換えアデノウイルスのゲノムによりコードされる。特定の血清型の組換えアデノウイルスは、任意選択で、他のアデノウイルス血清型に由来する他のタンパク質を含み、かつ/またはコードすることがある。したがって、非限定例として、Ad26のヘキソンペントン、およびファイバーを含む組換えアデノウイルスは、Ad26に基づく組換えアデノウイルスとみなされる。

0039

組換えアデノウイルスは、本明細書で使用する場合、少なくとも配列において野生型から誘導されることによって、アデノウイルス「に基づいて」いる。これは、出発物質として野生型ゲノムまたはその一部を使用して、分子クローニングにより達成することができる。また、DNA合成により新たにゲノム(の一部)を生成するために、野生型アデノウイルスゲノムの公知配列を使用することが可能であり、これは、DNA合成および/または分子クローニングの分野でビジネスをしているサービス企業によりルーチン的な手法を使用して実施され得る(例えば、GeneArt,Invitrogen,GenScripts,Eurofins)。

0040

数多くの異なるポリヌクレオチドおよび核酸が、遺伝暗号縮重の結果として同じポリペプチドをコードすることができることは、当業者に理解されている。当業者が、ポリペプチドが発現されることになる、任意の特定の宿主生物コドン使用頻度を反映するように、そこに記載されるポリヌクレオチドによりコードされるポリペプチド配列に影響を及ぼさないヌクレオチド置換を、ルーチン的な手法を使用して行うことができることも理解されている。したがって、特に明記されない限り、「アミノ酸配列をコードするヌクレオチド配列」は、互いの縮重形であって、同じアミノ酸配列をコードするすべてのヌクレオチド配列を含む。タンパク質およびRNAをコードするヌクレオチド配列はイントロンを含んでもよい。

0041

好ましい実施形態では、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸は、ヒト細胞などの哺乳類細胞における発現のためにコドン最適化されている。コドン最適化の方法は公知であり、以前に記載されている(例えば、国際公開第96/09378号パンフレット)。RSV Fタンパク質の特定のコドン最適化配列の一例は、欧州特許第2102345B1号明細書の配列番号2に記載されている。

0042

一実施形態では、RSVFタンパク質は、RSV A2株に由来し、配列番号1のアミノ酸配列を有する。特に好ましい実施形態では、RSV Fタンパク質をコードする核酸は、配列番号2の核酸配列を含む。この実施形態は安定な発現をもたらし、この実施形態によるワクチンは、1回の筋肉内投与の後でも鼻腔および肺におけるRSV複製を防御することを本発明者らは見出した。

0043

本明細書で使用する「断片」という用語は、アミノ末端および/またはカルボキシ末端および/または内部が欠失しているが、残りのアミノ酸配列が、RSVFタンパク質の配列、例えばRSV Fタンパク質の完全長配列の中の対応する位置と同一であるペプチドを指す。免疫応答を誘導するためには,さらに一般的には、ワクチン接種の目的のためには、タンパク質は、完全長である必要も、その野生型の機能をすべて有する必要もなく、タンパク質の断片でも同等に有用である。実際、F1またはF solubleのようなRSV Fタンパク質の断片は、完全長Fのように免疫応答を誘導するのに効果的であることが示されている(Shao et al,2009,Vaccine 27:5460−71、Kohlmann et al,2009,J Virol 83:12601−12610)。アミノ酸255〜278または412〜524に対応するFタンパク質断片を能動免疫処置に組み込むと、中和抗体およびRSVチャレンジに対する一部の防御が誘導される(Sing et al,2007,Virol.Immunol.20,261−275;Sing et al,2007,Vaccine 25,6211−6223)。

0044

本発明による断片は、免疫学的活性な断片であり、典型的には、RSVFタンパク質の少なくとも15個のアミノ酸、または少なくとも30個のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、それは、RSV Fタンパク質の少なくとも50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、500、または550個のアミノ酸を含む。

0045

当業者はまた、例えばルーチン的な分子生物学手順を使用して、例えばアミノ酸の置換、欠失、付加等よりタンパク質に変化を施すことができることを認識している。一般に、保存的なアミノ酸置換は、ポリペプチドの機能または免疫原性を喪失させることなく施すことができるものである。これは、当業者に周知のルーチン的な手順に従って、容易にチェックすることができる。

0046

「ワクチン」という用語は、特定の病原体または疾患に対して被験体に治療レベルの免疫を誘導するのに効果的な活性成分を含有する薬剤または組成物を指す。本発明では、ワクチンは、RSVFタンパク質またはその抗原性断片をコードする有効量の組換えアデノウイルスを含み、これにより、RSVのFタンパク質に対する免疫応答がもたらされる。これは、入院が必要となる重篤な下気道疾患を予防し、被験体のRSV感染および複製による肺炎および細気管支炎などの合併症頻度を低減する方法を提供する。したがって、本発明はまた、重篤な下気道疾患の予防もしくは軽減、入院の回避もしくは縮小(例えば、短縮)ならびに/または被験体におけるRSVを原因とする肺炎もしくは細気管支炎の頻度および/もしくは重症度の低減のための方法であって、RSV Fタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを含む組成物の筋肉内注射によって被験体に投与することを含む方法を提供する。本発明による「ワクチン」という用語は、それが医薬組成物であり、したがって、典型的には、薬学的に許容される希釈剤担体、または賦形剤を含むことを意味する。それは、さらなる活性成分を含んでも、含まなくてもよい。特定の実施形態では、それは、例えばRSVの他のタンパク質および/または他の感染病原体に対する免疫応答を誘導する他の成分をさらに含む組合せワクチンであってもよい。

0047

本発明のベクターは、組換えアデノウイルスであり、組換えアデノウイルスベクターとも呼ばれる。組換えアデノウイルスベクターの調製は、当技術分野で周知である。

0048

特定の実施形態では、本発明によるアデノウイルスベクターは、E1領域の少なくとも1つの必須遺伝子機能、例えば、ウイルス複製に必要なアデノウイルスゲノムのE1a領域および/またはE1b領域が欠損している。特定の実施形態では、本発明によるアデノウイルスベクターは、非必須なE3領域の少なくとも一部が欠損している。特定の実施形態では、このベクターは、E1領域の少なくとも1つの必須遺伝子機能および非必須なE3領域の少なくとも一部が欠損している。アデノウイルスベクターは、「複合的に欠損している」ことがあり、これは、アデノウイルスベクターが、アデノウイルスゲノムの2つ以上の領域のそれぞれにおいて、1つまたは複数の必須遺伝子機能を欠損していることを意味する。例えば、前述のE1欠損またはE1、E3欠損のアデノウイルスベクターは、E4領域の少なくとも1つの必須遺伝子および/またはE2領域(例えば、E2A領域および/またはE2B領域)の少なくとも1つの必須遺伝子がさらに欠損していることがある。

0049

アデノウイルスベクター、その構築のための方法、およびそれを増殖させるための方法は、当技術分野で周知であり、例えば、米国特許第5,559,099号明細書、同第5,837,511号明細書、同第5,846,782号明細書、同第5,851,806号明細書、同第5,994,106号明細書、同第5,994,128号明細書、同第5,965,541号明細書、同第5,981,225号明細書、同第6,040,174号明細書、同第6,020,191号明細書、および同第6,113,913号明細書、およびThomas Shenk,“Adenoviridae and their Replication”,M.S.Horwitz,“Adenoviruses”,Chapters 67 and 68,respectively,in Virology,B.N.Fieldset al.,eds.,3d ed.,Raven Press,Ltd.,New York(1996)、ならびに本明細書に記述された他の参考文献に記載されている。典型的には、アデノウイルスベクターの構築には、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning,a Laboratory Manual,2d ed.,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1989),Watson et al.,Recombinant DNA,2d ed.,Scientific American Books(1992),and Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Wiley Interscience Publishers,NY(1995)、および本明細書に記述された他の参考文献に記載されるものなど、標準分子生物学手法の使用が含まれる。

0050

本発明によれば、アデノウイルスは血清型26のヒトアデノウイルスである。この血清型に基づく本発明によるワクチンおよびAd35に基づくワクチンは、驚くべきことに、従来技術で記載されるAd5に基づくワクチンよりも効力があるように見える。というのは、Ad5に基づくワクチンは、単回筋肉内投与後のRSVチャレンジ複製に対する防御が完全ではなかったからである(Kim et al,2010,Vaccine 28:3801−3808;Kohlmann et al,2009,J Virol 83:12601−12610;Krause et al,2011,Virology Journal 8:375)。本発明の血清型はさらに、一般に、ヒト母集団において、血清有病率が低く、かつ/または既存の中和抗体価が低い。種々の導入遺伝子を含む、この血清型およびAd35の組換えアデノウイルスベクターは、臨床試験で評価され、これまで、優れた安全性プロフィールを有することが示されている。rAd26ベクターの調製は、例えば、国際公開第2007/104792号パンフレットおよびAbbink et al.,(2007)Virol 81(9):4654−63に記載されている。Ad26の例示的なゲノム配列は、GenBank受入番号EF 153474および国際公開第2007/104792号パンフレットの配列番号1に見られる。rAd35ベクターの調製は、例えば、米国特許第7,270,811号明細書、国際公開第00/70071号パンフレット、およびVogels et al.,(2003)J Virol 77(15):8263−71に記載されている。Ad35の例示的なゲノム配列は、GenBank受入番号AC_000019および国際公開第00/70071号パンフレットの図6に見られる。

0051

本発明による組換えアデノウイルスは、複製能があっても、複製能が欠損していてもよい。

0052

特定の実施形態では、アデノウイルスは、例えばゲノムのE1領域に欠失があるために、複製能が欠損している。当業者には公知であるように、アデノウイルスゲノムから必須領域が欠失している場合には、これらの領域によってコードされる機能は、トランスで、好ましくはプロデューサー細胞により提供されなければならない、すなわち、E1、E2、および/またはE4領域の一部または全部がアデノウイルスから欠失している場合には、それらはプロデューサー細胞中に、例えば、そのゲノムに組み込まれて、またはいわゆるヘルパーアデノウイルスもしくはヘルパープラスミドの形態で存在しなければならない。アデノウイルスはまた、E3領域中に欠失がある場合もあるが、この領域は複製に必ずしも必要ではなく、したがって、このような欠失は補完する必要がない。

0053

使用することができるプロデューサー細胞(時として、当技術分野および本明細書において、「パッケージング細胞」または「補完細胞」または「宿主細胞」とも呼ばれる)は、所望のアデノウイルスを増殖させることができる任意のプロデューサー細胞であってよい。例えば、組換えアデノウイルスベクターの増殖は、アデノウイルス中の欠損を補完するプロデューサー細胞中で行われる。このようなプロデューサー細胞は、好ましくは、そのゲノム中に少なくともアデノウイルスE1配列を有しており、それによってE1領域に欠失がある組換えアデノウイルスを補完することができる。E1を補完する任意のプロデューサー細胞、例えば、E1により不死化されたヒト網膜細胞、例えば911細胞またはPER.C6細胞(米国特許第5,994,128号明細書を参照のこと)、E1で形質転換された羊膜細胞(欧州特許第1230354号明細書を参照のこと)、E1で形質転換されたA549細胞(例えば、国際公開第98/39411号パンフレット、米国特許第5,891,690号明細書を参照のこと)、GH329:HeLa(Gao et al,2000,Human Gene Therapy 11:213−219)、293等を使用することができる。特定の実施形態では、プロデューサー細胞は、例えば、HEK293細胞、またはPER.C6細胞、または911細胞、またはIT293SF細胞等である。

0054

Ad35(亜群B)またはAd26(亜群D)など、亜群CでないE1欠損アデノウイルスについては、これらの亜群CでないアデノウイルスのE4−orf6コード配列を、Ad5などの亜群CのアデノウイルスのE4−orf6と交換することが好ましい。これにより、Ad5のE1遺伝子を発現する、例えば293細胞またはPER.C6細胞など、周知の補完細胞中でそのようなアデノウイルスが増殖できるようになる(例えば、Havenga et al,2006,J.Gen.Virol.87:2135−2143;その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第03/104467号パンフレットを参照のこと)。特定の実施形態では、使用することができるアデノウイルスは、RSVFタンパク質抗原をコードする核酸がクローニングされている、E1領域中の欠失を有し、かつAd5のE4 orf6領域を有する、血清型35のヒトアデノウイルスである。特定の実施形態では、本発明のワクチン組成物中のアデノウイルスは、RSV Fタンパク質抗原をコードする核酸がクローニングされている、E1領域中の欠失を有し、かつAd5のE4 orf6領域を有する、血清型26のヒトアデノウイルスである。

0055

代替実施形態では、アデノウイルスベクター中に異種E4orf6領域(例えば、Ad5の)を配置する必要はないが、その代わり、E1欠損の亜群Cでないベクターを、E1および適合性のあるE4orf6の両方を発現する細胞株、例えば、Ad5由来のE1およびE4orf6の両方を発現する293−ORF6細胞株で増殖させる(例えば、293−ORF6細胞の生成について記載する、Brough et al,1996,J Virol 70:6497−501;それぞれ、このような細胞株を使用する、E1欠失の非亜群Cアデノウイルスベクターの生成について記載する、Abrahamsen et al,1997,J Virol 71:8946−51およびNan et al,2003,Gene Therapy 10:326−36を参照のこと)。

0056

あるいは、増殖させることになる血清型に由来するE1を発現する補完細胞を使用することができる(例えば、国際公開第00/70071号パンフレット、国際公開第02/40665号パンフレットを参照のこと)。

0057

E1領域中に欠失がある、Ad35などの亜群Bアデノウイルスについては、アデノウイルス中にE1B 55K翻訳領域の3’末端、例えば、pIX開始コドンの直ぐ上流にある243bp断片など、pIX翻訳領域またはこれを含む断片の直ぐ上流にある166bp(Ad35ゲノム中のBsu36I制限部位により5’末端にマークされている)を保持することが好ましい。というのは、pIX遺伝子プロモーターがこの領域に一部存在しているため、これがアデノウイルスの安定性を増大させるからである(例えば、Havenga et al,2006,J.Gen.Virol.87:2135−2143;参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2004/001032号パンフレットを参照のこと)。

0058

本発明のアデノウイルス中の「異種核酸」(本明細書において「導入遺伝子」とも呼ばれる)は、アデノウイルス中に天然には存在しない核酸である。それは、例えば、標準分子生物学手法によりアデノウイルスに導入される。本発明では、異種核酸はRSVFタンパク質またはその断片をコードする。それは、例えば、アデノウイルスベクターの欠失したE1またはE3領域にクローニングすることができる。導入遺伝子は、一般に、発現制御配列に機能的に連結されている。これは、導入遺伝子をコードする核酸をプロモーターの制御下に配置することによって行うことができる。さらなる調節配列を加えることもできる。多くのプロモーターを導入遺伝子の発現に使用することができ、それらは当業者に公知である。真核細胞で発現を得るのに適したプロモーターの非限定例としては、例えばCMV最初期遺伝子エンハンサー/プロモーター由来のnt.−735〜+95を含む、CMV最初期プロモーターなどのCMVプロモーター(米国特許第5,385,839号明細書)が挙げられる。ポリアデニル化シグナル、例えばウシ成長ホルモンpolyAシグナル(米国特許第5,122,458号明細書)を、導入遺伝子の後に存在させることもできる。

0059

特定の実施形態では、本発明の組換えAd26ベクターは、5’末端ヌクレオチドとしてヌクレオチド配列:CTATCTATを含む。そのようなベクターは、オリジナル5’末端配列(一般にCATCATCA)を有するベクターに比較して、製造工程において複製が改善され、その結果、均一性が改善したアデノウイルスのバッチが得られるため、これらの実施形態は有利になる(その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、Crucell Holland B.V.の名のもとに2012年3月12日に出願された「改変末端を有する組換えアデノウイルスのバッチ」と題する特許出願PCT/EP2013/054846および米国特許第13/794,318号明細書も参照のこと)。したがって、本発明はまた、RSVFタンパク質またはその一部をコードする組換えアデノウイルスのバッチであって、このアデノウイルスがヒトアデノウイルス血清型26であり、かつこのバッチ中のアデノウイルスの基本的にすべて(例えば、少なくとも90%)が末端ヌクレオチド配列CTATCTATを有するゲノムを含む、組換えアデノウイルスのバッチを提供する。

0060

本発明によれば、RSVのFタンパク質は、好ましくは、A2株、Long株、またはB株などのヒトRSV株に由来する、天然または組換えのRSVの任意の株に由来するものであってよい。さらなる実施形態では、この配列は、複数のRSV Fタンパク質のアミノ酸配列に基づいたコンセンサス配列であってよい。本発明の一例では、RSV株はRSV−A2株である。

0061

本発明によれば、RSVのFタンパク質は、RSVのFタンパク質の完全長であっても、その断片であってもよい。本発明の一実施形態では、RSVのFタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号1のアミノ酸など、RSV(F0)のFタンパク質の完全長をコードする。本発明の一例では、RSVのFタンパク質をコードするヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を有する。あるいは、RSVのFタンパク質をコードする配列は、配列番号2のヌクレオチド配列に対して、少なくとも約80%、好ましくは約90%、より好ましくは少なくとも約95%同一である任意の配列であってよい。他の実施形態では、例えば、国際公開第2012/021730号パンフレットの配列番号2、4、5、または6に示されるものなど、コドン最適化された配列を使用することができる。

0062

本発明の別の実施形態では、このヌクレオチド配列は、RSVのFタンパク質の断片を代替的にコードしてもよい。この断片は、アミノ末端の欠失およびカルボキシ末端の欠失のいずれかまたはその両方から生じるものであってよい。欠失の程度は、例えば組換えアデノウイルスが高収率で得られるように、当業者が決定することができる。この断片は、Fタンパク質の免疫学的に活性な断片、すなわち、被験体に免疫応答を生じさせる部分を含むように選択されることになる。これは、当業者にはすべてルーチン的である、in silico、in vitro、および/またはin vivoの方法を使用して容易に決定することができる。本発明の一実施形態では、この断片は、RSVの膜貫通コード領域短縮のFタンパク質である(F0ΔTM、例えば米国特許第20110014220号明細書を参照のこと)。Fタンパク質の断片はまた、Fタンパク質のF1ドメインであっても、F2ドメインであってもよい。Fの断片はまた、中和エピトープおよびT細胞エピトープを含有する断片であってもよい(Sing et al,2007,Virol.Immunol.20,261−275;Sing et al,2007,Vaccine 25,6211−6223)。

0063

本開示で使用する、数値に対する「約」という用語は、値±10%を意味する。

0064

特定の実施形態では、本発明は、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)に対するワクチンを製造するための方法であって、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含む、血清型26の組換えヒトアデノウイルスを準備するステップと、前記組換えアデノウイルスを宿主細胞の培養物中で増殖させるステップと、この組換えアデノウイルスを単離および精製するステップと、この組換えアデノウイルスを薬学的に許容される組成物中に取り込むステップとを含む方法を提供する。

0065

組換えアデノウイルスは、周知の方法に従って、調製し宿主細胞中で増殖させることができるが、これにはアデノウイルスを感染させた宿主細胞の細胞培養が必要となる。細胞培養は、付着細胞、例えば培養容器の表面またはマイクロキャリアに付着した細胞の培養および懸濁培養を含む、いかなるタイプの細胞培養であってもよい。

0066

大抵の大規模懸濁培養は、操作およびスケールアップが最も簡単であるため、バッチまたはフェドバッチ工程として操作される。最近では、灌流原理に基づく連続工程がより一般的になりつつあり、また適切にもなっている(例えば、両方とも参照により本明細書に組み込まれる、国際公開第2010/060719号パンフレットおよび国際公開第2011/098592号パンフレットを参照のこと、これらは、大量の組換えアデノウイルスを取得および精製するために適切な方法を記載している)。

0067

プロデューサー細胞を培養して、細胞数およびウイルス数、ならびに/またはウイルス力価を増加させる。細胞が代謝および/または増殖および/または分裂および/または本発明による目的ウイルスの産生を行うことが可能になるように、細胞培養を行う。これは、当業者にそれ自体周知の方法により達成することができ、例えば、これに限定されないが、適切な培地中に細胞のための栄養素を供給することを含む。適切な培地は当業者に周知であり、一般に、商用供給源から大量に得ること、または標準プロトコールに従って注文生産することが可能である。培養は、バッチ、フェドバッチ、連続系等を使用して、例えば、ディッシュローラーボトル、またはバイオリアクター中で行うことができる。細胞培養に適した条件は公知である(例えば、Tissue Culture,Academic Press,Kruse and Paterson,editors(1973),and R.I.Freshney,Culture of animal cells:A manual ofbasictechnique,fourth edition(Wiley−Liss Inc.,2000,ISBN 0−471−34889−9を参照のこと)。

0068

典型的には、アデノウイルスを、培養物中で適切なプロデューサー細胞に曝露し、それによってウイルスの取り込みを可能にする。通常、最適な撹拌は、約50〜300rpmの間、典型的には100〜200、例えば約150であり、典型的なDOは、20〜60%、例えば40%であり、最適pHは6.7〜7.7の間であり、最適温度は30〜39℃の間、例えば34〜37℃であり、また最適MOIは5〜1000の間、例えば約50〜300である。典型的には、アデノウイルスはプロデューサー細胞に自然に感染し、プロデューサー細胞をrAd粒子と接触させることで、細胞感染には十分である。一般には、アデノウイルスのシードストックを培養物に添加して感染を開始させ、続いてプロデューサー細胞中でアデノウイルスを増殖させる。これはすべて、当業者にはルーチン的である。

0069

アデノウイルスが感染した後、ウイルスは細胞内部で複製し、それによって増幅する。これは本明細書においてアデノウイルスの増殖と呼ばれるプロセスである。アデノウイルスが感染すると、最終的に感染細胞の溶解が起こる。したがって、アデノウイルスのこの細胞溶解特性により、ウイルス製造の2つの異なる方式が可能になる。第1の方式は、細胞溶解前に、細胞を溶解させる外部因子を使用してウイルスを回収するものである。第2の方式は、生成したウイルスによって(ほとんど)完全に細胞が溶解した後に、ウイルス上清を回収するものである(例えば、外部因子によって宿主細胞を溶解させることなくアデノウイルスを回収することについて記載している、米国特許第6,485,958号明細書を参照のこと)。アデノウイルスの回収を目的として、外部因子を使用して細胞を積極的に溶解させることが好ましい。

0070

積極的な細胞溶解に使用することができる方法は、当業者に公知であり、例えば、国際公開第98/22588号パンフレット、p.28−35に論じられている。この点に関し有用な方法としては、例えば、凍結融解固体剪断、高張性および/または低張性溶解液体剪断、超音波処理高圧押出界面活性剤による溶解、上記の組合せ等がある。本発明の一実施形態では、細胞は少なくとも1つの界面活性剤を使用して溶解する。溶解のために界面活性剤を使用することには、それが簡単な方法であり、かつ容易にスケールアップ可能であるという利点がある。

0071

使用することができる界面活性剤およびそれらの使用方法は、当業者に一般に公知である。いくつかの例が、例えば、国際公開第98/22588号パンフレット、p29−33に論じられている。界面活性剤としては、アニオン性カチオン性両性イオン性、および非イオン性の界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の濃度は、例えば約0.1%〜5%(w/w)の範囲内で変化させることができる。一実施形態では、使用される界面活性剤はTriton X−100である。

0072

混入している、すなわち大抵はプロデューサー細胞に由来する核酸を除去するために、ヌクレアーゼを使用することができる。本発明で使用するのに適した例示的なヌクレアーゼとしては、Benzonase(登録商標)、Pulmozyme(登録商標)、または当技術分野内で一般に使用される他の任意のDNaseおよび/またはRNaseが挙げられる。好ましい実施形態では、ヌクレアーゼはBenzonase(登録商標)であり、これは、特定のヌクレオチド間の内部リン酸ジエステル結合加水分解することにより迅速に核酸を加水分解し、それによって細胞溶解物粘性を低下させる。Benzonase(登録商標)は、Merck KGaA(コードW214950)から商業的に入手することができる。ヌクレアーゼの使用濃度は、好ましくは1〜100単位/mlの範囲内である。代替的にまたはヌクレアーゼ処理に加えて、アデノウイルスの精製中に、ドミフェン臭化物などの選択的な沈澱剤を使用して、アデノウイルス調製物から宿主細胞DNAを選択的に沈殿除去することも可能である(例えば、米国特許第7,326,555号明細書;Goerke et al.,2005,Biotechnology and bioengineering,Vol.91:12−21;国際公開第2011/045378号パンフレット;国際公開第2011/045381号パンフレットを参照のこと)。

0073

プロデューサー細胞の培養物からアデノウイルスを回収するための方法は、国際公開第2005/080556号パンフレットに広範囲にわたって記載されている。

0074

特定の実施形態では、回収されたアデノウイルスをさらに精製する。アデノウイルスの精製は、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第05/080556号パンフレットに記載されているように、清澄化限外濾過ダイアフィルトレーション、またはクロマトグラフィーによる分離を含むいくつかのステップで実施することができる。清澄化は、細胞溶解物から細胞片および他の不純物を除去する濾過ステップにより行うことができる。限外濾過は、ウイルス溶液濃縮するために使用される。限外濾過器を使用するダイアフィルトレーションまたは緩衝液交換は、塩、糖等を除去および交換するための方法である。当業者は、各精製ステップ最適条件を見つける方法を知っている。また、その内容全体が参照により本明細書に組み込まれる国際公開第98/22588号パンフレットは、アデノウイルスベクターの製造および精製のための方法について記載している。この方法は、宿主細胞の増殖、アデノウイルスによる宿主細胞の感染、宿主細胞の回収および溶解、粗溶解物の濃縮、粗溶解物の緩衝液交換、ヌクレアーゼによる溶解物の処理、ならびにクロマトグラフィーを使用するウイルスのさらなる精製を含む。

0075

好ましくは、精製には、例えば国際公開第98/22588号パンフレット、p.61−70に論じられているように、少なくとも1つのクロマトグラフィーステップが使用される。クロマトグラフィーステップを含む、多くのプロセスがアデノウイルスのさらなる精製のために記載されている。当業者はこれらのプロセスを認識しており、クロマトグラフィーステップを使用するまさにそのやり方を変更して、プロセスを最適化することができる。例えば、アニオンイオン交換クロマトグラフィーステップによりアデノウイルスを精製することが可能であり、例えば、国際公開第2005/080556号パンフレットおよびKonz et al,2005,Hum Gene Ther 16:1346−1353を参照されたい。多くの他のアデノウイルス精製法が記載されており、それらは当業者が入手可能な範囲内である。アデノウイルスを製造および精製するためのさらなる方法は、例えば、(国際公開第00/32754号パンフレット;国際公開第04/020971号パンフレット;米国特許第5,837,520号明細書;米国特許第6,261,823号明細書;国際公開第2006/108707号パンフレット;Konz et al,2008,MethodsMol Biol 434:13−23;Altaras et al,2005,Adv Biochem Eng Biotechnol 99:193−260)に開示されており、これらはすべて、参照により本明細書に組み込まれる。

0076

ヒトへの投与に対して、本発明は、rAdおよび薬学的に許容される担体または賦形剤を含む医薬組成物を使用することができる。本発明との関連において、「薬学的に許容される」という用語は、担体または賦形剤が、その使用される投与量および濃度において、投与されている被験体に何ら望ましくない作用も有害な作用も引き起こさないことを意味する。このような薬学的に許容される担体および賦形剤は、当技術分野で周知である(Remington’s Pharmaceutical Sciences,18th edition,A.R.Gennaro,Ed.,Mack Publishing Company[1990];Pharmaceutical Formulation Development of Peptides and Proteins,S.Frokjaer and L.Hovgaard,Eds.,Taylor & Francis[2000];およびHandbook of Pharmaceutical Excipients,3rd edition,A.Kibbe,Ed.,Pharmaceutical Press[2000]を参照のこと)。精製されたrAdを製剤化して、無菌溶液として投与することが好ましいが、凍結乾燥調製物を利用することも可能である。無菌溶液は、濾過滅菌または当技術分野でそれ自体公知の他の方法により調製される。次いで、その溶液を凍結乾燥するか、または医薬品投与容器充填する。溶液のpHは、一般には、pH3.0〜9.5の範囲、例えばpH5.0〜7.5の範囲である。rAdは、典型的には、適切な薬学的に許容可能な緩衝剤を含む溶液中にあり、rAdのその溶液は塩を含有することもある。任意選択で、アルブミンなどの安定化剤を存在させることもある。特定の実施形態では、界面活性剤を添加する。特定の実施形態では、rAdは注射可能な調製物に製剤化することができる。これらの製剤は、有効量のrAdを含有し、無菌の溶液、懸濁液、または凍結乾燥形態のいずれかであって、任意選択で安定剤または賦形剤を含有する。アデノウイルスワクチンはまた、鼻腔内投与のためにエアゾル化することができる(例えば、国際公開第2009/117134号パンフレットを参照のこと)。

0077

例えば、アデノウイルスは、Adenovirus World Standard(Hoganson et al,Development of a stable adenoviral vector formulation,Bioprocessing March 2002,p.43−48)にも使用される緩衝液:20mM Tris pH8、25mM NaCl、2.5%グリセロール中に保存することができる。ヒトへの投与に適した別の有用な製剤用緩衝液は、20mM Tris、2mM MgCl2、25mM NaCl、スクロース10%w/v、ポリソルベート800.02%w/vである。言うまでもなく、他の多くの緩衝液を使用することができ、精製された(アデノウイルス調製物の保存および医薬投与に適した製剤のいくつかの例は、例えば、欧州特許第0853660号明細書、米国特許第6,225,289号明細書、および国際特許出願である国際公開第99/41416号パンフレット、国際公開第99/12568号パンフレット、国際公開第00/29024号パンフレット、国際公開第01/66137号パンフレット、国際公開第03/049763号パンフレット、国際公開第03/078592号パンフレット、国際公開第03/061708号パンフレットに見つけることができる。

0078

特定の実施形態では、アデノウイルスを含む組成物は1つまたは複数のアジュバントをさらに含む。アジュバントは、適用された抗原決定基への免疫応答をさらに増強することが、当技術分野では公知であり、アデノウイルスおよび適切なアジュバントを含む医薬組成物が、例えば、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2007/110409号パンフレットに開示されている。「アジュバント」および「免疫刺激薬」という用語は、本明細書において互換的に使用され、免疫系の刺激の原因となる、1つまたは複数の物質として定義される。本発明との関連において、アジュバントは本発明のアデノウイルスベクターに対する免疫応答を増強するために使用される。適切なアジュバントの例としては、水酸化アルミニウムおよび/またはリン酸アルミニウムなどのアルミニウム塩;油−エマルジョン組成物(または水中油型組成物)、例えば、MF59などのスクアレン水エマルジョン(例えば、国際公開第90/14837号パンフレットを参照のこと);サポニン製剤、例えばQS21および免疫刺激複合体ISCOMS)など(例えば、米国特許第5,057,540号明細書;国際公開第90/03184号パンフレット、国際公開第96/11711号パンフレット、国際公開第2004/004762号パンフレット、国際公開第2005/002620号パンフレットを参照のこと);細菌または微生物派生物(この例には、モノホスホリルリピドA(MPL)、3−O−脱アシル化MPL(3dMPL)、CpG−モチーフ含有オリゴヌクレオチドADPリボシル化細菌毒素またはその突然変異体、例えば大腸菌(E.coli)易熱性エンテロトキシンLTコレラ毒素CT等がある)、が挙げられる。また、例えば、C4−結合タンパク質(C4bp)のオリゴマー化ドメインと目的の抗原との融合物をコードする異種核酸を使用することにより、ベクターにコードされたアジュバントを使用することも可能である(例えば、Solabomi et al,2008,Infect Immun 76:3817−23)。特定の実施形態では、本発明の組成物は、アジュバントとしてアルミニウムを、例えば水酸化アルミニウム、リン酸アルミニウム、リン酸アルミニウムカリウム、またはそれらの組合せの形態で、用量当たり0.05〜5mg、例えば0.075〜1.0mgのアルミニウム含有濃度で含む。

0079

他の実施形態では、組成物はアジュバントを含まない。

0080

本発明によるワクチンと組み合わせて、さらなる活性成分を投与することも、本発明によれば可能である。そのようなさらなる活性成分は、例えば、他のRSV抗原またはそれらをコードする核酸を含むベクターを含むことができる。そのようなベクターは、非アデノウイルス性であってもアデノウイルス性であってもよく、後者は任意の血清型であってよい。他のRSV抗原の例には、RSVGタンパク質またはその免疫学的に活性な部分が含まれる。例えば、G糖タンパク質の可溶性コアドメイン(アミノ酸130〜230)を発現する、鼻腔内に適用される組換え複製欠損Ad5ベースのアデノベクターrAd/3xGは、マウスモデルにおいて防御的であり(Yu et al,2008,J Virol 82:2350−2357)、筋肉内に適用された場合には、それは防御的でないが、RSV Gが防御応答の誘導に適した抗原であることはこれらのデータから明らかである。さらなる活性成分はまた、例えばウイルス、細菌、寄生生物などの他の病原体に由来する非RSV抗原を含むことができる。さらなる活性成分の投与は、例えば、別個の投与によって行われても、本発明のワクチンとさらなる活性成分の配合剤を投与することによって行われてもよい。特定の実施形態では、さらなる非アデノウイルス抗原を(RSV.Fに加えて)、本発明のベクターにコードすることができる。特定の実施形態では、したがって、2つ以上のタンパク質を単一アデノウイルスから発現させることが望ましい場合があり、そのような場合には、より多くのコード配列を、例えば、単一発カセットから単一転写物を形成させように連結してもよく、またはアデノウイルスゲノムの異なる部分にクローニングして、2つの別個の発現カセット中に存在させてもよい。

0081

アデノウイルス組成物は、被験体、例えばヒト被験体に投与することができる。1回の投与の間に被験体に与えられるアデノウイルスの総用量は、当業者に公知であるように、変動し得るものであり、一般には、1×107ウイルス粒子(vp)〜1×1012vpの間、好ましくは1×108vp〜1×1011vpの間、例えば3×108〜5×1010vpの間、例えば109〜3×1010vpの間である。

0082

アデノウイルス組成物の投与は、標準投与経路を使用して実施することができる。非限定的実施形態としては、注射、例えば皮内、筋肉内等、または皮下投与経皮投与、または粘膜投与、例えば鼻腔内、口腔内等によるものなど、非経口投与が挙げられる。鼻腔内投与は、一般に、RSVに対するワクチンの好ましい経路と見なされている。生鼻腔内法の最も重要な利点は、局所呼吸器免疫の直接刺激および付随する疾患増強の欠如である。小児用法のために臨床評価中の唯一のワクチンは、現時点では、生鼻腔内ワクチンである(Collins and Murphy.Vaccines against human respiratory syncytial virus).於:Perspectives in Medical Virology 14:Respiratory Syncytial Virus(Ed.Cane,P.),Elsevier,Amsterdam,the Netherlands,pp233−277)。鼻腔内投与は、本発明によれば同様に適切な好ましい経路である。しかしながら、本発明によれば、ワクチンを筋肉内投与することが特に好ましい。というのは、驚くべきことに、他のアデノウイルス血清型に基づく、以前に報告された筋肉内RSVワクチンと異なり、本発明によるワクチンを筋肉内投与すると、コットンラットの鼻および肺におけるRSV複製が防止されることが見出されたからである。筋肉内投与の利点は、それが簡単でかつ確立されており、6ヶ月未満の幼児における鼻腔内適用に関する安全性の懸念を伴わないことである。一実施形態では、組成物は筋肉内注射により、例えば、腕の三角筋またはの外側股筋に投与される。当業者は、組成物、例えばワクチンを、ワクチン中の抗原に対して免疫応答を誘導するように投与するための種々の実行可能な手段を知っている。

0083

本明細書で使用する被験体は、好ましくは哺乳動物、例えば、マウス、コットンラットなどのげっ歯類、または非ヒト霊長類、またはヒトである。好ましくは、被験体はヒト被験体である。被験体は、例えば約1ヶ月齢〜100歳、例えば約2ヶ月齢〜約80歳、例えば約1ヶ月齢〜約3歳、約3歳〜約50歳、約50歳〜約75歳など、いかなる年齢であってもよい。

0084

また、本発明の1つまたは複数のアデノウイルスワクチンを1回または複数回追加免疫投与することも可能である。追加免疫ワクチン接種を実施する場合、典型的には、そのような追加免疫ワクチン接種は、最初に被験体に組成物を投与した後(このような場合には、「初回ワクチン接種」と呼ばれる)、1週〜1年の間、好ましくは2週〜4ヶ月の間の時期に同じ被験体に投与することになる。代替の追加免疫レジメンでは、異なるベクター、例えば、異なる血清型の1つもしくは複数のアデノウイルス、またはMVAなどの他のベクター、またはDNA、またはタンパク質を、初回ワクチン接種の後に、被験体に投与することも可能である。例えば、本発明による組換えアデノウイルスベクターを初回免疫として被験体に投与し、かつRSVFタンパク質を含む組成物により追加免疫を行うことが可能である。

0085

特定の実施形態では、投与は初回免疫および少なくとも1回の追加免疫投与を含む。これに関する特定の実施形態では、初回免疫投与は、RSVFタンパク質またはその断片をコードする核酸を含むrAd35(「rAd35−RSV.F」)によるものであり、追加免疫投与は、本発明によるRSV Fタンパク質をコードする核酸を含むrAd26(「rAd26−RSV.F」)によるものである。これに関する他の実施形態では、初回免疫投与はrAd26−RSV.Fによるものであり、追加免疫投与はrAd35−RSV.Fによるものである。他の実施形態では、初回免疫投与および追加免疫投与は両方とも、rAd26.RSV.Fによるものである。特定の実施形態では、初回免疫投与はrAd26−RSV.Fによるものであり、追加免疫投与はRSV Fタンパク質によるものである。これらのすべての実施形態において、同じまたは他のベクターもしくはタンパク質による、さらなる追加免疫投与を行うことが可能である。RSV Fタンパク質による追加免疫が特に有益となり得る実施形態には、例えば、50歳以上のリスク群(例えば、COPDまたは喘息罹患)の高齢被験体、または例えば60歳以上または65歳以上の健常被験体が含まれる。

0086

特定の実施形態では、投与は、本発明による組換えアデノウイルスの単回投与を含み、さらなる(追加免疫)投与は行わない。そのような実施形態は、初回免疫−追加免疫レジメンに比較して、単回投与レジメンで複雑さおよび費用が軽減されることを考慮すると、有利である。本明細書の実施例のコットンラットモデルにおいて、追加免疫投与を行わなくても、本発明の組換えアデノウイルスベクターを単回投与した後に、防御が完全になされることがすでに観察されている。

0087

本発明を、以下の実施例においてさらに詳細に説明する。実施例は、本発明を何ら限定するものではない。実施例は、本発明を単に明確にするためのものである。

0088

実施例1.アデノウイルスベクターの調製
Ad35およびAd26のE1領域へのRSVF遺伝子のクローニング:
A2株の天然RSV融合(F)タンパク質をコードするRSV.F(A2)nat遺伝子(Genbank ACO83301.1)は、ヒト発現のために最適化された遺伝子であり、Geneartにより合成された。コザック配列(5’GCACC’3)を、ATG開始コドンの直前に含め、2つの停止コドン(5’TGA TAA’3)をRSV.F(A2)natコード配列の末端に付加した。RSV.F(A2)nat遺伝子を、HindIIIおよびXbaI部位を介して、pAdApt35BSUプラスミドおよびpAdApt26プラスミドに挿入した。得られたプラスミドのpAdApt35BSU.RSV.F(A2)natおよびpAdApt26.RSV.F(A2)natを、図15に示す。Fタンパク質のアミノ酸配列およびそのアミノ酸配列をコードするコドン最適化配列をそれぞれ、配列番号1および2として表1に示す。

0089

細胞培養:
PER.C6細胞(Fallaux et al.,1998,Hum Gene Ther 9:1909−1917)を、10mM MgCl2を添加した、10%ウシ胎児血清(FBS)含有ダルベッコ変法イーグル培地DMEM)中で維持した。

0090

アデノウイルスの生成、感染、および継代:
アデノウイルスはすべて、以前に記載されたように、単一相同組換えによりPER.C6細胞中に生成し、産生させた。(rAd35については:Havenga et al.,2006,J.Gen.Virol.87:2135−2143;rAd26については:Abbink et al.,2007,J.Virol.81:4654−4663)。手短に言えば、PER.C6細胞に、製造業者(Life Technologies)が提供する説明書に従い、リポフェクタミンを使用して、Adベクタープラスミドトランスフェクトした。RSV.F(A2)nat導入遺伝子発現カセットを担持するAd35ベクターのレスキューについては、pAdApt35BSU.RSV.F(A2)natプラスミドおよびpWE/Ad35.pIX−rITR.dE3.5orf6コスミドを使用し、一方、RSV.F(A2)nat導入遺伝子発現カセットを担持するAd26ベクターについては、pAdApt26.RSV.F(A2)natプラスミドおよびpWE.Ad26.dE3.5orf6コスミドを使用した。細胞を、完全なCPEの1日後に回収し、凍結融解し、3,000rpmで5分間遠心分離し、−20℃で保存した。次に、ウイルスをプラーク精製し、多重ウェル24組織培養プレートの単一ウェル上で培養したPER.C6中で増幅した。さらなる増幅を、T25組織培養フラスコおよびT175組織培養フラスコを使用して培養したPER.C6中で実施した。T175粗溶解物のうちの3〜5mlを使用して、70%コンフルエント層のPER.C6細胞を含有する20×T175三層組織培養フラスコに接種した。ウイルスを、2段階CsCl精製法を使用して精製した。最終的に、ウイルスを一定分量に分割して−85℃に保存した。

0091

実施例2.組換えアデノウイルス血清型26および35を使用する、in vivoでのRSVFに対する免疫の誘導
これは、組換えアデノウイルス血清型(Ad26)および組換えアデノウイルス血清型35(Ad35)がBALB/cマウスにおいてRSVの糖タンパク質F抗原に対する免疫を誘導する能力を検討する実験である。

0092

この試験では、5匹マウスの実験群に動物を分配した。完全長のRSVF遺伝子を担持するAd26もしくはAd35(Ad26−RSV.FもしくはAd35−RSV.F)または導入遺伝子を担持しないAd26もしくはAd35(Ad26eもしくはAd35e)の単回投与で動物を免疫処置した。1010〜108ウイルス粒子(vp)の範囲にある、rAdの3つの10倍段階希釈を、筋肉内投与した。対照として、空のベクターAd26eを3匹の動物からなる1群に投与し、空のベクターAd35eを1群に投与した。

0093

脾臓中のFタンパク質特異的なIFNγ分泌T細胞の相対数を決定するために、ELISPOTアッセイを使用し、基本的に、Radosevic et al.(Clin Vaccine Immunol.2010;17(11):1687−94)に記載されるように行った。ELISPOTアッセイにおける脾細胞の刺激については、RSVF(A2)タンパク質の全体配列にかかって、11個のアミノ酸がオーバーラップする15アミノ酸長のペプチドからなる2つのペプチドプールを使用した。106細胞当たりのスポット形成単位(SFU)の数を算出する。

0094

抗体価を測定するために、ELISAアッセイを使用した。このために、ELISAプレート(Thermo Scientific)を、25μg/mlのRSVLong全体不活化抗原(Virion Serion、カタログ番号BA113VS)でコーティングした。希釈した血清試料プレートに添加し、RSVに対するIgG抗体を、ビオチン標識抗マウスIgG(DAKO、カタログ番号E0413)を使用し、西ワサビペルオキシダーゼ(PO)−コンジュゲートストレプトアビジン(SA)による検出を使用して測定した。力価は、50倍希釈ナイーブ血清に由来する1.5×ODシグナルカットオフとして使用して、一次補間により算出した。マウス血清における、RSV特異的なIgG1およびIgG2a抗体の力価を、PO標識抗マウスIgG1およびPO標識抗マウスIgG2a(Southern Biotechnology Associates、カタログ番号1070−05および1080−05)を使用して測定した。これらの抗体はサブクラスを定量するために使用した。

0095

抗体のウイルス中和活性(VNA)は、マイクロ中和アッセイにより測定し、基本的に、Johnson et al.(J Infect Dis. 1999 Jul;180(1):35−40)によって記載されるように行った。RSV感受性VERO細胞を、感染1日前に96ウェル細胞培養プレート播種した。感染日に、段階希釈した血清および対照を、1200pfuのRSV(LongまたはB1)と混合し、37℃で1時間インキュベートした。続いて、ウイルス/抗体混合物を、VERO細胞単層を含有する96ウェルプレートに移した。3日後に、単層を80%氷冷アセトンで固定し、RSV抗原を抗Fモノクローナル抗体により測定した。中和力価は、ウイルスのみの対照ウェルからのOD450を50%減少させる血清稀釈度(log2)(IC50)として表す。

0096

初回免疫後2週目および8週目に、動物を屠殺し、細胞性応答および体液性応答を上記に記載するようにモニターした。

0097

図1は、Ad26−RSV.F(図1A)およびAd35−RSV.F(図1B)のすべての用量が良好な細胞性免疫応答を誘導するのに効果的であり、またこの応答が時間を通して安定であったことを示す。Ad26−RSV.FまたはAd35−RSV.FのいずれかによるT細胞応答に対して、ベクター用量による有意差は観察されなかった。

0098

図2は、上記と同じ実験における抗体価を示す。両方のベクターとも、極めて明確な時間および用量依存的なELISA力価の増加を誘導した(図2)。抗F力価は、2週目から8週目にかけて明らかに増加し、1010用量の場合には有意であった。8週目には、Ad26−RSV.Fベクター間またはAd35−RSV.Fベクター間の力価に差はなかった。

0099

F特異的IgGのサブクラス分布(IgG1対IgG2a)を、Th1対Th2応答のバランスを評価するために測定した。歪んだTh2/Th1応答は、ホルマリン不活化RSVで見られるように、RSV疾患のワクチン増強を発現させる素因を動物に与える。図3に示すように、Ad26−RSV.FおよびAd35−RSV.Fの両方について、IgG2a/IgG1比は1以上である。これにより、アデノベクターAd26−RSV.FおよびAd35−RSV.Fは、Th2タイプの応答よりもTh1タイプの応答を示すことが強く示される。

0100

図4は、抗体価に使用したものと同じ血清のウイルス中和力価(VNA)を示す。Ad26−RSV.FおよびrAd35−RSV.Fによる免疫処置により、中和抗体価が誘導された。VNA力価は、1010vpを投与されたマウスにおいて、初回免疫後2週目から8週目の間に顕著に増加した。8週目では、1010vpを投与されたマウスにおいて、Ad26−RSV.FベクターとAd35−RSV.Fベクターとの間に力価の差はなかった。

0101

これらの免疫処置実験から、RSV.F導入遺伝子を包含するAd35ベクターおよびAd26ベクターは、RSV.Fに対して強力な細胞性応答および体液性応答を誘導することが明らかである。

0102

実施例3.RSV.Fをコードする組換えアデノウイルスベクターを使用する異種初回免疫−追加免疫後のRSV.Fに対する免疫
この試験は、2つの異なる血清型に由来するアデノウイルスベクターに基づく初回免疫−追加免疫レジメンがRSV.Fに対する免疫を誘導する能力を検討するように計画した。

0103

この試験には、8匹マウスの実験群に分配されたBALB/cマウスが含まれた。RSVA2に基づく/由来するRSV.F遺伝子の野生型配列を担持する(Ad−RSV.FまたはAd35−RSV.F)か、または導入遺伝子を担持しない(Ad26eまたはAd35e)1010vpによる筋肉内注射によって、動物を免疫処置した。動物の1群は、ある週にAd26−RSV.Fにより初回免疫し、4週目にAd35RSV.FまたはAd35eにより追加免疫した。動物の別の群は、Ad35−RSV.Fにより初回免疫し、4週目にAd26−RSV.FまたはAd26eにより追加免疫した。動物の対照群は、Ad35eにより初回免疫し、4週目にAd26eにより追加免疫した。初回免疫後6週目および12週目の各時点で、8匹の動物を屠殺し、細胞性応答および体液性応答を、当業者に周知され、上記に記載される免疫学的アッセイによりモニターした。

0104

図5は、初回免疫処置後6および12週目の細胞性応答を示す。初回免疫後6週目(および追加免疫後2週目)に、T細胞応答に対するAd26−RSV.FおよびAd35−RSV.Fの両方による顕著な追加免疫効果が測定され、T細胞応答の大きさは、初回免疫−追加免疫における、Ad26−RSV.FまたはAd35−RSV.Fによる免疫処置の順序には依存しなかった。初回免疫後12週目(および追加免疫後8週目)に、Ad26−RSV.Fで初回免疫されたマウスは、rAd35−RSV.Fで初回免疫された動物に匹敵して、初回免疫のみおよび初回免疫−追加免疫された動物のいずれにおいても、F特異的T細胞のレベルを高く維持していた。全体として、F特異的リンパ球(SFU)の数は、rAd26−RSV.FまたはrAd35−RSV.F(初回免疫/または初回免疫−追加免疫)のいずれかで免疫処置されたすべての動物において、少なくとも12週間高くかつ安定であった。

0105

図6は、アデノウイルスベクターによる初回免疫−追加免疫ワクチン接種後の種々の時点における体液性応答を示す。Ad35.RSV.FおよびAd26.RSV.Fは、同等によく抗原刺激し、B細胞応答に対する、Ad26.RSV.FまたはrAd35.RSV.Fのいずれかによる顕著な追加免疫効果が誘導されることが示された。さらに、異種初回免疫−追加免疫におけるB細胞応答の大きさは、Ad35.RSV.FおよびAd26.RSV.Fによる免疫処置の順序には依存せず、追加免疫後、ELISA力価は12週間安定していた。

0106

図7は、初回免疫−追加免疫処置後の種々の時点におけるウイルス中和抗体価を示す。Ad35.RSV.FベクターおよびAd26.RSV.Fベクターは両方とも、ELISA力価について観察されるように、同等によく抗原刺激した。また、異種初回免疫−追加免疫後のVNA力価の増加は、Ad35.RSV.FおよびAd26.RSV.Fによる免疫処置の順序に依存しなかった。VNA力価に対する、Ad26.RSV.FまたはAd35.RSV.Fのいずれかによる追加免疫効果は、いずれの時点でも顕著であり、6週目ですでに最大であった。Ad.RSV.Fによる初回免疫のみを受けた群は、6週目に比較して、12週目でVNA力価が増大していた。アデノウイルスベクター構築物におけるRSV F配列は、RSV A2分離株に由来するものである。本出願に記載する中和アッセイは、RSV亜群Aに属するRSV Long株に基づくものであり、F(A2)により誘導された抗体は、異なるRSV A株亜型交差中和可能であることが実証される。

0107

RSVFタンパク質はRSV分離株中によく保存されているので、Ad−RSV.Fベクターにより免疫処置された動物に由来する血清が、原型のRSV B株分離株であるRSV B1を交差中和することができるか否かを試験した。図8に示すように、免疫処置されたマウスの血清は、B1株も交差中和することができた。RSV B1を交差中和する能力は、初回免疫のみの群で使用されたベクターにも、Ad26.RSV.FベクターおよびAd35.RSV.Fベクターによる初回免疫−追加免疫処置の順序にも依存しなかった。

0108

まとめると、これらのデータから、初回免疫−追加免疫レジメンでは、Ad26.RSV.FおよびAd35.RSV.Fによる免疫処置を逐次的に行うと、強力な体液性応答および細胞性応答が誘導されること、またこの体液性免疫応答にはRSV AおよびB亜型の両方の分離株を中和する能力が含まれることがわかる。

0109

実施例4.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクターを使用する、RSV感染に対する防御の誘導
この実験は、2つの異なる血清型に由来するアデノウイルスに基づく初回免疫−追加免疫レジメンが、コットンラットにおいて、RSVチャレンジ複製に対する防御を誘導する能力を検討するために行った。コットンラット(Sigmodon hispidus)は、RSVによる上気道および下気道の感染を両方とも受けやすく、マウス系統よりも少なくとも50倍許容性があることが見出されていた(Niewiesk et al,2002,Lab.Anim.36(4):357−72)。さらに、コットンラットは、RSV候補ワクチン、抗ウイルス薬、および抗体の効力および安全性を評価する主要なモデルになっている。コットンラットモデルにおいて作成された前臨床データにより、2つの抗体製剤(RespiGam(登録商標)およびSynagis(登録商標))の開発が、非ヒト霊長類における中間試験を必要とすることなく、臨床試験に進んだ。

0110

この試験では、8匹コットンラットの実験群それぞれにコットンラットを登録した。完全長のRSVF(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.FまたはAd35.RSV.F)か、または導入遺伝子を担持しない(Ad26eまたはAd35e)アデノウイルスベクターを109ウイルス粒子(vp)または1010vp筋肉内注射することにより、動物を免疫処置した。28日後に、同じベクター(同種初回免疫−追加免疫)または他のアデノウイルス血清型(異種初回免疫−追加免疫)のいずれかによって、同じvp用量で動物を追加免疫し;対照群は、1用量(1010)のみを適用したこと以外は準じて、Ad−eベクターにより免疫処置した。対照群は6匹の動物からなった。RSVウイルスによる一次感染が、二次チャレンジ複製を防御することが知られているので、RSV A2(104プラーク形成単位(pfu))を鼻腔内に感染させた動物を、チャレンジ複製に対する防御の陽性対照として使用した(Prince.Lab Invest 1999,79:1385−1392)。さらに、ホルマリン不活化RSV(FI−RSV)を、組織病理学的疾患のワクチン増強に対する対照とした。2回目の免疫処置(追加免疫)の3週間後に、コットンラットに、プラーク精製された1×105pfuのRSV A2を鼻腔内チャレンジした。対照として、コットンラットの1群では、免疫処置は行わないが、チャレンジウイルスは投与し、別の対照群では、免疫処置もチャレンジも行わなかった。RSVチャレンジウイルスの力価がピークに達する時点である感染後5日目に(Prince.Lab Invest 1999,79:1385−1392)、コットンラットを屠殺し、肺および鼻のRSV力価をウイルスプラーク力価測定により決定した(Prince et al.1978,Am J Pathology 93,711−791)。

0111

図9は、肺および鼻において高いRSVウイルス力価、それぞれ5.3+/−0.13 log10pfu/グラムおよび5.4+/−0.35 log10pfuが、非免疫処置対照および導入遺伝子のないアデノウイルスベクターを投与された動物で観察されたことを示す。これに対して、Ad26.RSV.Fベクターおよび/またはAd35.RSV.Fベクターによる初回免疫−追加免疫処置を受けた動物からの肺および鼻の組織には、用量にもレジメンにも依存することなく、チャレンジウイルスを検出することができなかった。

0112

これらのデータから、Ad35ベースのベクターおよびAd26ベースのベクターが、コットンラットモデルにおいて、RSVチャレンジ複製に対して完全な防御を与えることが明確に実証される。これは驚くべきことである。というのは、RSV FをコードするAd5ベースのアデノウイルスベクターは、筋肉内投与後に動物モデルにおいて完全な防御を誘導することができないことが知られているからである。

0113

実験の過程において、血液試料を、免疫処置前(0日目)、追加免疫処置前(28日目)、チャレンジ日(49日目)、および屠殺日(54日目)に採取した。Prince(Prince et al.1978,Am J Pathology 93,711−791)により記載されるように、全身性RSV特異的中和抗体の誘導に関する、プラークアッセイベースの中和アッセイ(VNA)で、血清を試験した。中和力価は、ウイルスのみの対照ウェルからのものと比較して、プラークを50%減少させる血清希釈度(log2)として表す。

0114

図10は、対照動物が28日目および49日目にウイルス中和抗体を有していないこと、一方Ad26.RSV.FベクターまたはAd35.RSV.Fベクターにより動物が初回免疫された後、高いVNA力価が誘導されることを示す。VNA力価の穏やかな増加が追加免疫処置後に観察される。RSV A2ウイルスによる一次感染では、時間につれて徐々に増加するかなり穏やかなVNA力価がもたらされた。

0115

Ad26.RSV.FワクチンまたはAd35.RSV.FワクチンがRSV A2によるチャレンジ後に、疾患を悪化させる可能性があるか否かを評価するために、肺の組織病理学的分析を感染後5日目に実施した。肺を摘出し、ホルマリンで潅流し、切片化し、組織学的検査のためにヘマトキシリンエオジンで染色した。組織病理学スコアは、Prince(Prince et al.Lab Invest 1999,79:1385−1392)により公開された基準に従って、盲検化して評価し、以下のパラメーター細気管支周囲炎血管周囲炎、間質性肺炎、および肺胞炎ついてスコア化した。図11は、この実験の肺病理のスコアリングを示す。RSVチャレンジの後、FI−RSVで免疫処置された動物は、mockで免疫処置されチャレンジされた動物に比較して、検査したすべての組織病理学的パラメーターに関して、組織病理亢進を示した。これは以前に公開された研究(Prince et al.Lab Invest 1999,79:1385−1392)に基づくと予測されることであった。Ad26.RSV.FおよびAd35.RSV.Fで免疫処置された動物の組織病理学的スコアは、rAd−eまたはmockで免疫処置された動物と比較して、同様であったが、rAd−RSV.Fで免疫処置された動物の血管周囲炎はわずかに低いように見えた。したがって、Ad26.RSV.FワクチンおよびAd35.RSV.Fワクチンは、FI−RSVワクチンと異なり、疾患の増強をもたらさなかった。

0116

すべてのワクチン接種法は、RSVチャレンジ複製に対して完全な防御をもたらし、強力なウイルス中和抗体を誘導し、しかも病理の増強は観察されなかった。

0117

実施例5.単回免疫処置後における、種々の投与経路を使用するrAdベクターの防御効果
この試験は、RSV.FをコードするAd26ベクターまたはAd35ベクターにより誘導される防御効果に対する投与経路の影響を検討するものである。ワクチンは、筋肉内または鼻腔内に投与した。

0118

導入遺伝子としてRSVFを担持する(Ad26.RSV.FまたはAd35.RSV.F)か、または導入遺伝子を担持しない(Ad26−eまたはAd35−e)Ad26またはAd35の1×109または1×1010ウイルス粒子(vp)により0日目に単回免疫処置を受けたコットンラットを、49日目に105RSV pfuでチャレンジし、54日目に屠殺した。

0119

図12は、肺および鼻のチャレンジウイルスを測定した実験結果を示す。免疫処置されなかったか、または導入遺伝子を含まないアデノウイルスで免疫処置されたラットからの肺および鼻に、それぞれ4.9+/−0.22 log10pfu/グラムおよび5.4+/−0.16 log10pfuの高いRSVウイルス力価を検出した。これに対して、Ad35RSV.FまたはAd26−RSV.Fのいずれかを投与された動物からの肺および鼻では、投与経路および用量に依存することなく、チャレンジウイルスの複製はなかった。

0120

これらのデータから、驚くべきことに、RSVFタンパク質をコードするAd26ベースのベクターおよびAd35ベースのベクターのそれぞれが、ベクターの投与経路に依存することなく、コットンラットチャレンジ実験において、完全な防御を与えることが実証される。このことは、他の血清型に基づいた、公開されたアデノウイルスベースのRSVワクチンの中で、筋肉内ワクチン接種後に完全な防御が実証されたものはないので、予測されることではなかった。

0121

この実験期間中、免疫処置前(0日目)、免疫処置後4週目(28日目)、およびチャレンジ日(49日目)に血液試料を採取した。この血清を、RSV特異的抗体の誘導に関する中和テストで試験した(図13)。免疫処置前には、ウイルス中和抗体はいずれのコットンラットにも検出されなかった。すべてのアデノウイルスベクター免疫処置法により、投与経路に依存することなく、高いVNA力価が明らかに誘導され、時間を通して安定に存在した。これらのデータから、驚くべきことに、RSVFタンパク質をコードするAd26ベースのベクターおよびAd35ベースのベクターのそれぞれが、ベクターの投与経路に依存することなく、コットンラット免疫処置実験において、ウイルス中和抗体の高い力価を与えることが実証される。

0122

Ad26.RSV.FワクチンまたはAd35.RSV.Fワクチンの単回免疫処置により、RSV A2によるチャレンジ後に、ワクチンが疾患を増強させる可能性があるか否かを評価するために、肺の組織病理学的分析を感染後5日目に実施した(図14)。上記の初回免疫−追加免疫処置実験で観察されたように、rAd26.RSV.FまたはrAd35.RSV.Fによる単回免疫処置では、rAd−eまたはmockで免疫処置された動物に比較して、rAd26.RSV.FまたはrAd35.RSV.Fで免疫処置された動物に同様の免疫病理学的スコアがもたらされた。明らかに、FI−RSVで初回免疫された動物とは対照的に、疾患の悪化は観察されなかった。rAdベクターで免疫処置された動物の組織病理学的スコアは、mock感染動物と同等であった。

0123

結論として、すべての単回投与ワクチン接種法が、RSVチャレンジ複製に対する完全な防御をもたらし、強力なウイルス中和抗体を誘導し、しかも病理の増強を示さなかった。

0124

実施例6.RSVFの断片などの変種を含むベクター、または代替プロモーターを含むベクターが、同様の免疫原性を示す
上記の実施例は、野生型RSV Fを発現するベクターによって行われたものである。他のFの短縮形態または修飾形態をrAd35中に構築し、アデノウイルスベクター中にRSV Fの断片がある実施形態を提供する。これらのFの短縮形態または修飾形態には、細胞質ドメインおよび細胞膜貫通領域が欠損している(すなわち、外部ドメイン断片のみが残存している)RSV−Fの短縮形態、ならびに細胞質ドメインおよび細胞膜貫通領域の短縮と、外部ドメイン中のさらなる内部欠失と、三量体形成ドメインの付加とを含むRSV−Fの断片形態が含まれる。これらのベクターは、完全長のFタンパク質を含むrAd35.RSV.Fを超えて応答を改善することはなかった。

0125

加えて、野生型RSVFの発現を駆動する種々の代替プロモーターを含む他のrAd35ベクターを構築した。

0126

RSV.Fの修飾形態およびプロモーター変種の免疫原性をマウスモデルで比較し、野生型Fを発現するAd35.RSV.Fと比較した。これらのF変種またはプロモーター変種を包含するすべてのAd35ベクターは、Ad35.RSV.Fと同じ桁の大きさの応答を示した。

0127

実施例7.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、RSV感染に対する短期間防御
この実験は、コットンラットモデルにおいて、RSV−Fタンパク質を発現するアデノウイルスベクターによる防御が迅速に開始する可能性を判定するものである。この目的のために、完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.F)か、導入遺伝子を担持しない(Ad26e)アデノウイルスベクターを107、108、または109ウイルス粒子(vp)で単回i.m.注射することにより、0日目または21日目に、コットンラットを免疫処置した。RSVウイルスによる一次感染が、二次的なチャレンジ複製を防御することが知られているので、RSV A2(104プラーク形成単位(pfu))を鼻腔内に感染させた動物を、チャレンジ複製に対する防御の陽性対照として使用した(Prince.Lab Invest 1999,79:1385−1392)。免疫処置後49日目、7週目、または4週目に、コットンラットに、プラーク精製された1×105pfuのRSV Aを鼻腔内チャレンジした。RSVチャレンジウイルスの力価がピークに達する時点である感染後5日目に(Prince.Lab Invest 1999,79:1385−1392)、コットンラットを屠殺し、肺および鼻のRSV力価をウイルスプラーク力価測定により決定した(Prince et al.1978,Am J Pathology 93,711−791)。図16Aおよび図16Bは、肺および鼻において高いRSVウイルス力価、それぞれ4.8+/−0.11 log10pfu/グラムおよび5.1+/−0.32 log10pfu/グラムが、導入遺伝子のないアデノウイルスベクターを投与された動物で観察されたことを示す。これに対して、Ad26.RSV.Fベクターによる免疫処置を受けた動物からの肺および鼻では、免疫処置とチャレンジとの間の時間に依存することなく、チャレンジウイルスを検出することができなかった。この実験から、RSV−Fを発現するAd26による、チャレンジウイルス複製に対する防御が迅速に開始されることが明確に示される。免疫処置されたコットンラットから、0日目、28日目、およびチャレンジ日(49日目)に血液試料を採取した。この血清を、RSV特異的抗体の誘導に関する中和テストで試験した(図17)。アデノウイルスベクターによる免疫処置は、用量依存的なVNA力価を誘導した。図18は、対照動物が28日目および49日目にウイルス中和抗体を有していないこと、一方、107〜109Ad26.RSV.F vpによる免疫処置後28日目または49日目に、動物に高いVNA力価が誘導されることを示す。RSV A2ウイルスによる一次感染では、時間につれて徐々に増加するかなり穏やかなVNA力価がもたらされた。この実験から、RSV−Fを発現するAd26による、チャレンジウイルス複製に対する防御が迅速に開始されることが明確に示される。

0128

実施例8.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、RSV亜群Aおよび亜群B感染に対する防御
RSV株は、2つの亜群、すなわちA亜群およびB亜群に分けることができる。この亜群分類は、高度に可変なG糖タンパク質の抗原性の差に基づいている。Fタンパク質の配列は、高度に保存されているが、同様に、同じA亜群およびB亜群に分類することができる。実施例3では、Ad−RSV.Fベクターで免疫処置されたマウスの血清が、in vitroにおいてB1株も交差中和できることが記載された。図19は、Ad26.RSV−FA2で免疫処置されたコットンラットに由来するコットンラット血清が、免疫処置後49日目に、RSV−A Long(亜群A)およびBwash(亜群B、ATCC#1540)に対して高いVNA力価を示すことを明確に示す。次いで、亜群AまたはBチャレンジのいずれかに対するin vivo防御を、106〜108vpの範囲の低用量アデノウイルスを使用して、コットンラットで測定した。この目的のために、コットンラットを、8匹コットンラットの実験群それぞれに分配した。完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.F)か、または導入遺伝子を担持しない(Ad26e)アデノウイルスベクターを106、107、または108ウイルス粒子(vp)で筋肉内注射することにより、0日目に動物を免疫処置した。49日目に、10^5 pfuのRSV−A2(RSV−A株)またはRSV−B 15/97(RSV−B株)のいずれかで、動物にi.n.チャレンジした。図20は、肺および鼻において高いRSVウイルス力価が、導入遺伝子を含まないアデノウイルスベクターを投与された動物で観察されたことを示す。これに対して、Ad26.RSV.Fによる免疫処置を受けた動物からの肺および鼻組織には、まったく検出されないかまたは限定的にしかチャレンジウイルスを検出することができなかった。RSV−A2またはRSV−B 15/97のいずれかでチャレンジされた場合の防御に関して、ほんのわずかな差しか観察されなかった。108および107vp用量を使用した場合、Ad26.RSV.FA2は、肺チャレンジ複製に対して完全な防御を示し、106vpのAd26.RSV.FA2においては、例外的に限定的な防御突破が見られた。同様の傾向は、鼻チャレンジウイルス複製に対する防御にも見られたが、対照群よりも低いけれども、部分的な防御突破が、106および107vpのAd26.RSV.FA2において、すべての動物について観察された(図21)。実験期間中、血液試料をチャレンジ日(49日目)に採取した。この血清を、RSV特異的抗体の誘導に関する中和テストで試験した(図22)。この実施例から、106〜108vpのAd26.RSVの低用量において、アデノウイルスベクターが、RSV A2に対して用量応答的なVNA力価を示すことが実証される。免疫処置前には、ウイルス中和抗体はいずれのコットンラットにも検出されなかった。

0129

Ad35.RSV.Fが108vpの用量において、鼻チャレンジ実験で一部防御突破を示したので、Ad26.RSV.Fは、Ad35.RSV.Fよりもいくぶん優れていることが判明した。

0130

実施例9.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、RSV−A2の高チャレンジ用量に対する防御
この実施例では、1×105pfu RSV−A2の標準用量に比較して、5×105pfuの高チャレンジ用量に対する防御について判定する。この試験では、8匹コットンラットの実験群それぞれにコットンラットを登録した。完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.F)か、または導入遺伝子を担持しない(Ad26e)アデノウイルスベクターを、107または108ウイルス粒子(vp)で単回筋肉内注射することにより、0日目に動物を免疫処置した。RSV A2(104プラーク形成単位(pfu))により鼻腔内感染させた動物を、チャレンジ複製に対する防御の陽性対照として使用した。コットンラットを感染後5日目に屠殺し、肺および鼻のRSV力価をウイルスプラーク力価測定により決定した。図23は、標準チャレンジ用量に比較して、より高いチャレンジ用量により、導入遺伝子を含まないアデノウイルスベクターを投与された動物において、より高い肺ウイルス負荷が誘導されることを示す。107または108vpのAd26.RSV.Fベクターによる免疫処置を受けた動物では、肺において、高RSVチャレンジ力価および標準RSVチャレンジ力価に対する防御が完全であった。図24は、108vpのAd26.RSV.Fベクターにより免疫処置を受けた動物では、鼻において、高RSVチャレンジ力価および標準RSVチャレンジ力価に対する防御が完全であったが、一方、107vpのAd26.RSV.Fベクターにより免疫処置を受けた動物では、高RSVチャレンジ力価および標準RSVチャレンジ力価に対する防御が部分的であったことを示す。

0131

実施例10.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、RSV−A2およびRSV−B15/97に対する長期間防御
この実施例では、コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、RSV−A2およびRSV−B15/97に対する防御の持続性を判定する。この試験では、6匹コットンラットの実験群それぞれにコットンラットを登録した。完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.F)か、導入遺伝子を担持しない(Ad26eまたはAd35e)アデノウイルスベクターを108ウイルス粒子(vp)または1010vpで筋肉内注射することにより、動物を免疫処置した。28日後に、同じベクター(Ad26.RSV.F)(同種初回免疫−追加免疫)またはAd35.RSV.Fアデノウイルスベクター(異種初回免疫−追加免疫)のいずれかによって、同じvp用量で動物を追加免疫し;対照群は、1用量(1010)のみを適用したこと以外は準じて、Ad−eベクターにより免疫処置した。一部の群は追加免疫処置を受けなかった。対照群は6匹の動物からなった。RSV A2およびB15/97(104プラーク形成単位(pfu))により鼻腔内感染させた動物を、チャレンジ複製に対する防御の陽性対照として使用した。チャレンジは初回免疫処置後210日目に行った。

0132

図25は、肺および鼻において高いRSVウイルス力価が、導入遺伝子を含まないアデノウイルスベクターを投与された動物で観察されたことを示す。これに対して、Ad26.RSV.Fおよび/またはAd35.RSV.Fによる免疫処置を受けた動物からの肺組織には、チャレンジウイルスを検出することができなかった。Ad26.RSV.Fおよび/またはAd35.RSV.Fによる免疫処置を受けた動物からの鼻孔組織には、RSV−A2チャレンジウイルスを検出することができなかった。RSV−B15/97によるチャレンジでは、Ad26.RSV.Fで初回免疫され、その後に1010vpのAd35.RSV.Fで追加免疫された動物を除いて、Ad26.RSV.Fおよび/またはAd35.RSV.Fによる免疫処置を受けた動物の鼻孔組織には、ウイルス複製が限定的に誘導された。図26は、免疫処置後140日目のウイルス中和抗体力価を示す。108および1010vpの用量により、アデノウイルスベクターで初回免疫処置のみまたは初回免疫−追加免疫処置された場合、免疫処置後少なくとも4.5ヶ月間、VNA力価の用量応答性持続することが示された。さらに、観察された力価は、一次i.n.免疫処置により生成した中和力価よりも高かった。VNA力価に対する、Ad26.RSV.FまたはAd35.RSV.Fのいずれかによる明確な追加免疫効果が観察された。

0133

結論として、この実施例では、Ad26.RSV.FまたはAd35.RSV.Fの単回投与または2回投与による免疫処置後の、VNA力価の長期間持続性、ならびに同種ウイルスチャレンジに対する、肺および鼻における長期間の完全防御と、異種ウイルスチャレンジに対する、肺における長期間の完全防御および鼻における部分防御が示される。

0134

実施例11.コットンラットモデルにおける、in vivoでの組換えアデノウイルスベクター免疫処置後の、免疫病理のワクチン増強の非存在
Ad26.RSV.FワクチンがRSV A2によるチャレンジの後に、疾患を悪化させる可能性があるか否かを評価するために、肺の組織病理学的分析を感染後2および6日目に実施した。チャレンジ後2日で、即時応答肺性好中球浸潤を含む)がピークに達しているが、リンパ球浸潤などの亜急性変化は感染後6日目にピークに達している(Prince et al.,J Virol,1986,57:721−728)。この試験では、12匹コットンラットの実験群それぞれにコットンラットを登録した。完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する(Ad26.RSV.F)か、導入遺伝子を担持しない(Ad26e)アデノウイルスベクターを108ウイルス粒子(vp)または1010vpで筋肉内注射することにより、動物を免疫処置した。一部の群は、同じベクター(Ad26.RSV.F)(同種初回免疫−追加免疫)により、同じvp用量で28日後に追加免疫し;対照群は、1用量(1010)のみを適用したこと以外は準じて、Ad−eベクターにより免疫処置した。対照群は12匹の動物からなった。RSV A2(104プラーク形成単位(pfu))により鼻腔内感染させた動物を、チャレンジ複製に対する防御の陽性対照として使用した。FI−RSVで免疫処置された動物は、疾患増強の対照として使用した。肺を摘出し、ホルマリンで潅流し、切片化し、組織学的検査のためにヘマトキシリン‐エオジンで染色した。組織病理学スコアは、Prince(Prince et al.Lab Invest 1999,79:1385−1392)により公開された基準に従って、盲検化して評価し、以下のパラメーター:細気管支周囲炎、血管周囲炎、間質性肺炎、および肺胞炎についてスコア化した。この実験の肺病理のスコアリングは、図27に2日目、図28に6日目のものを示す。RSVチャレンジ後、FI−RSVで免疫処置された動物では、mockで免疫処置されチャレンジされた動物に比較して、2日目および6日目に、検査したすべての組織病理学パラメーターが上昇していることが示された。これは、以前に公開された試験に基づくと、予測されることであった。Ad26.RSV.Fベクターで免疫処置されたすべての群の組織病理学スコアは、2日目では、mockで免疫処置された動物と同じであり、チャレンジ後6日目では、mockで免疫処置されチャレンジされたものよりも(Ad26.e)、常に低いスコアになった。したがって、Ad26.RSV.Fワクチンは、FI−RSVワクチンと異なり、疾患の増強をもたらさなかった。

0135

実施例12.Ad26.RSV.F初回免疫が組換えFタンパク質により追加免疫されると、マウスモデルにおいてTh1に歪んだ応答がもたらされる
この実施例では、Ad26.RSV.F初回免疫に対する免疫応答が、アジュバント組換えRSV Fタンパク質による追加免疫によって増強され得るか否かを検討した。この目的のために、マウスを、7匹マウスの実験群それぞれに分配した。完全長のRSV F(A2)遺伝子を担持する、1010ウイルス粒子(vp)アデノウイルスベクター(Ad26.RSV.F)またはPBSを筋肉内注射することにより、0日目に動物を免疫処置した。28日目に、同じ用量の同じベクター、またはアジュバントRSV Fタンパク質(完全長;融合後構造:post−F)(2用量:5μgおよび0.5μg)のいずれかで、動物をi.m.追加免疫した。図29は、Ad26.RSVFA2で免疫処置され、アジュバントRSV Fで追加免疫されたマウスからの血清が、免疫処置後12週目に、RSV−A Long(亜群A)に対して高いVNA力価を示すことを明確に示す。図30は、Ad26.RSVFA2で免疫処置され、アジュバントRSV Fタンパク質で追加免疫されたマウスの血清のIgG2a/IgG1比を示す。高い比は、Th1バランス応答を表し、一方低い比は、Th2に歪んだ応答を示す。明らかに、Ad26.RSV.Fで免疫処置された動物では、Ad26.RSV.FまたはRSV Fタンパク質のいずれかで追加免疫されると、高いIgG2a/IgG1比がもたらされるが、FI−RSVまたはRSV Fタンパク質で免疫処置された対照マウス(アデノウイルスベクターとの関連においてではない)では、低い比が誘導される。チャレンジの際の疾患の増強を回避し、強力なT細胞記憶を誘導するために、RSVワクチンでは、Th1に歪んだ応答が強く所望されるので、Ad26.RSV.F初回免疫を適用する場合、タンパク質免疫処置によるTh2に歪んだ応答を、Th1応答の方に向けることができる。図31は、Ad26.RSVFA2で免疫処置され、アジュバントRSV Fタンパク質で追加免疫されたマウスに由来する脾臓の細胞性応答を示す。アジュバントRSV Fタンパク質で追加免疫すると、細胞性応答も同様に強力に亢進されることが明確に観察することができる。

実施例

0136

表1.配列
配列番号1: RSV融合タンパク質(Genbank ACO83301.1)アミノ酸配列:




配列番号2: RSV融合タンパク質をコードする、コドン最適化RSV.F(A2)nat遺伝子

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