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課題・解決手段

本発明は、分子生理学の分野に関する。具体的には、本発明は、呼吸器急性炎症、特に急性肺損傷(ALI)または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防および/または治療に関する。そのような状態を患っている患者およびそのような状態の動物モデルにおいては、CCL7レベルが増加することが示されている。CCL7および/またはPAR1−CCL7系の他のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストを用いてこれらの状態を予防および/または治療することができる。

概要

背景

急性肺損傷(ALI)およびその最も重症型である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺炎外傷、および敗血症(これらは全て急性呼吸不全を引き起こす可能性がある)を含む、様々な局所および全身性の損傷に起因する。ALI/ARDSは、一般的な、命にかかわる状態であり、英国において毎年79/100,000人が30〜60%の死亡率で冒されている(Monchi,M.et al.Am.J.Respir.Crit Care Med.158,1076−1081(1998))。ALIおよびARDSの初期は、負傷した組織への好中球の流入と関連する(Abraham,E.Crit Care Med.31,S195−S199(2003))。好中球性の炎症に加えて、これらの状態は、びまん性肺胞障害、肺胞毛管バリア崩壊、および、肺水腫により特徴付けられる。迅速な先天性免疫応答が、感染性微生物に対する即時の宿主保護を提供するが、過剰な好中球蓄積は、過剰増殖性の炎症および重度組織損傷(Grommes,J.& Soehnlein,O.Mol.Med.17,293−307(2011))を引き起こす可能性がある。保護ベンチレーターストラテジーを用いたいくらかの改善にもかかわらず、呼吸の崩壊および多臓器不全がALI/ARDSを有する患者の40%に至るまで生じるので、罹患率および死亡率の両方とも高いままである(Marshall,R.P.et al.Am.J.Respir.Crit Care Med.162,1783−1788(2000))。

プロテイナーゼ活性化受容体1(PAR1)は、テザーリガンドタンパク質分解アンマスキングにより活性化される、7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体ファミリーに属する(Vu,T.K.et al.Cell 64,1057−1068(1991))。生化学的試験およびPAR1ノックアウトマウスにより得られた証拠は、肺疾患における凝固と炎症との間の複雑な相互作用仲介する、主要な高親和性トロンビン受容体PAR1の重要な役割示唆する。(Howell,D.C.et al.Am.J.Pathol.166,1353−1365(2005);Jenkins,R.G.et al.J.Clin.Invest 116,1606−1614(2006);Scotton,C.J.et al.J.Clin.Invest 119,2550−2563(2009)、および、Chambers,R.C.Br.J.Pharmacol.153 Suppl 1,S367−S378(2008))。

上皮細胞単球マクロファージ、および血管内皮細胞上のPAR1の活性化は、様々な炎症促進性メディエーターの放出をもたらし、内皮バリア機能に対して差次的濃度依存性の効果を及ぼす。PAR1活性化に応答した内皮上の細胞接着分子上方制御および上昇したケモカインベルは、循環から肺内への炎症性細胞動員を促進する(Chambers,R.C.Eur.Respir.J.Suppl 44,33s−35s(2003))。しかしながら、PAR1が仲介する炎症促進性のサイトカインおよびケモカインの放出が、ALI/ARDSにおける好中球性炎症にどの程度まで寄与するのか不明である。

したがって、単独で、または既存の治療と組み合わせて、ALI/ARDSの治療のための、より効果的かつ、より低いオフターゲット効果を有し得る、代替の治療ターゲットおよび新規の薬を同定する必要性がある。

概要

本発明は、分子生理学の分野に関する。具体的には、本発明は、呼吸器急性炎症、特に急性肺損傷(ALI)または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の予防および/または治療に関する。そのような状態を患っている患者およびそのような状態の動物モデルにおいては、CCL7レベルが増加することが示されている。CCL7および/またはPAR1−CCL7系の他のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストを用いてこれらの状態を予防および/または治療することができる。

目的

迅速な先天性の免疫応答が、感染性微生物に対する即時の宿主保護を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

呼吸器における好中球蓄積と関連する急性炎症治療または予防での使用のための、(a)CCL7、PAR1またはPAR1−CCL7系の別のメンバー;または(b)CCL2;の、アンタゴニスト

請求項2

請求項1に記載のアンタゴニストであって、前記のPAR1−CCL7系の他のメンバーが、CCR1、CCR2またはCCR3であることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項3

請求項1または2に記載のアンタゴニストであって、空間内、気管支内気管支壁内または間質空間内での好中球の急性炎症の治療または予防での使用のためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項4

請求項1から3のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、急性肺損傷(ALI)または急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療または予防での使用のためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項5

請求項4に記載のアンタゴニストであって、直接的または間接的な原因により生じるALIまたはARDSの治療または予防での使用のためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項6

請求項5に記載のアンタゴニストであって、肺への外傷、細菌またはウイルスの感染、または別の呼吸器疾患から選択される直接的な原因から;または、敗血症膵炎および肺遠位組織外傷から選択される間接的な原因から生じる、ALIまたはARDSの治療または予防での使用のためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項7

請求項6に記載のアンタゴニストであって、前記の他の呼吸器疾患が、新生児呼吸窮迫症候群IRDS)、気管支拡張症または慢性閉塞性肺疾患COPD)であることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項8

請求項1から7のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、前記アンタゴニストが、(a)CCL7およびCCR1;(b)CCL7およびCCR2;(c)CCL7およびCCR3(d)CCL2およびCCR1;(e)CCL2およびCCR2;または(f)CCL2およびCCR3の間の相互作用ブロックすることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項9

請求項1から8のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、そのターゲットの機能をブロックする、抗体、二本鎖RNAアンチセンスRNAアプタマー、または、ペプチドまたはペプチド模倣物を含み、ここで、前記ターゲットが、PAR1−CCL7系のメンバーまたはCCL2であることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項10

請求項9に記載のアンタゴニスト抗体であって、モノクローナル抗体であることを特徴とする、アンタゴニスト抗体。

請求項11

請求項10に記載のアンタゴニストモノクローナル抗体であって、CCL7またはCCL2に対する抗体であることを特徴とする、アンタゴニストモノクローナル抗体。

請求項12

請求項11に記載の抗体であって、CCL7に対する抗体であり、そのエピトープは、CCL7のN末領域内に、CCL7のNループ内に、CCL7の30sループ内に、CCL7内のジスルフィド結合に隣接して、CCL7のαへリックス領域内に、位置することを特徴とする、抗体。

請求項13

請求項1から12のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、好中球動員および/または好中球蓄積を下方制御することにより、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療または予防で使用するためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項14

請求項1から13のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、前記のアンタゴニストの効果が、好中球遊走阻害することによる効果であることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項15

請求項1から14のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、鼻腔内投与または吸入投与のためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項16

請求項1から15のいずれか一項に記載のアンタゴニストであって、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療および/または予防のための1つまたは複数のさらなる薬剤と組み合わせて使用するためのものであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項17

請求項16による使用のためのアンタゴニストであって、前記のさらなる薬剤が、CXCL8のアンタゴニストであることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項18

請求項17による使用のためのアンタゴニストであって、前記のさらなる薬剤が、抗−CXCL8抗体であることを特徴とする、アンタゴニスト。

請求項19

呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療または予防のための薬剤の製造における、CCL7、PAR1、PAR1−CCL7系の別のメンバー、またはCCL2、のアンタゴニストの使用。

請求項20

呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症を治療または予防する方法であって、CCL7、PAR1、PAR1−CCL7系の別のメンバー、またはCCL2、のアンタゴニストの有効量を、それらを必要とする患者投与するステップを含む、方法。

技術分野

0001

本発明は、分子生理学の分野に属し、呼吸器における好中球蓄積と関連する急性炎症、特に、急性肺損傷(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の治療および予防に使用するための、CCL7、PAR1、CCL7−PAR1系(axis)の他のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストの使用に関する。

背景技術

0002

急性肺損傷(ALI)およびその最も重症型である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)は、肺炎外傷、および敗血症(これらは全て急性呼吸不全を引き起こす可能性がある)を含む、様々な局所および全身性の損傷に起因する。ALI/ARDSは、一般的な、命にかかわる状態であり、英国において毎年79/100,000人が30〜60%の死亡率で冒されている(Monchi,M.et al.Am.J.Respir.Crit Care Med.158,1076−1081(1998))。ALIおよびARDSの初期は、負傷した組織への好中球の流入と関連する(Abraham,E.Crit Care Med.31,S195−S199(2003))。好中球性の炎症に加えて、これらの状態は、びまん性肺胞障害、肺胞毛管バリア崩壊、および、肺水腫により特徴付けられる。迅速な先天性免疫応答が、感染性微生物に対する即時の宿主保護を提供するが、過剰な好中球蓄積は、過剰増殖性の炎症および重度組織損傷(Grommes,J.& Soehnlein,O.Mol.Med.17,293−307(2011))を引き起こす可能性がある。保護ベンチレーターストラテジーを用いたいくらかの改善にもかかわらず、呼吸の崩壊および多臓器不全がALI/ARDSを有する患者の40%に至るまで生じるので、罹患率および死亡率の両方とも高いままである(Marshall,R.P.et al.Am.J.Respir.Crit Care Med.162,1783−1788(2000))。

0003

プロテイナーゼ活性化受容体1(PAR1)は、テザーリガンドタンパク質分解アンマスキングにより活性化される、7つの膜貫通Gタンパク質結合受容体ファミリーに属する(Vu,T.K.et al.Cell 64,1057−1068(1991))。生化学的試験およびPAR1ノックアウトマウスにより得られた証拠は、肺疾患における凝固と炎症との間の複雑な相互作用仲介する、主要な高親和性トロンビン受容体PAR1の重要な役割示唆する。(Howell,D.C.et al.Am.J.Pathol.166,1353−1365(2005);Jenkins,R.G.et al.J.Clin.Invest 116,1606−1614(2006);Scotton,C.J.et al.J.Clin.Invest 119,2550−2563(2009)、および、Chambers,R.C.Br.J.Pharmacol.153 Suppl 1,S367−S378(2008))。

0004

上皮細胞単球マクロファージ、および血管内皮細胞上のPAR1の活性化は、様々な炎症促進性メディエーターの放出をもたらし、内皮バリア機能に対して差次的濃度依存性の効果を及ぼす。PAR1活性化に応答した内皮上の細胞接着分子上方制御および上昇したケモカインベルは、循環から肺内への炎症性細胞動員を促進する(Chambers,R.C.Eur.Respir.J.Suppl 44,33s−35s(2003))。しかしながら、PAR1が仲介する炎症促進性のサイトカインおよびケモカインの放出が、ALI/ARDSにおける好中球性炎症にどの程度まで寄与するのか不明である。

0005

したがって、単独で、または既存の治療と組み合わせて、ALI/ARDSの治療のための、より効果的かつ、より低いオフターゲット効果を有し得る、代替の治療ターゲットおよび新規の薬を同定する必要性がある。

0006

我々は、CCL7(CCL7遺伝子識別名称:HGNC:10634;Ensembl:ENSG00000108688(EnsemblバージョンENSG00000108688.7);UniProtKB(バージョン125):P80098)を、ALI/ARDSの治療および/または予防のための新薬開発可能なターゲットとして同定した。

0007

CCL7(単球走化性タンパク質−3、MCP−3)は、成熟タンパク質アミノ末端の2つの隣り合ったシステイン残基により特徴付けられる、CC−ケモカインファミリー(β−ケモカイン)のメンバーである。一般に、CC−ケモカインは、およそ8〜12kDaの低分子であり、免疫応答の編成の間、様々な重要な機能を果たす。それらは、様々な白血球を産生部位の方に引き寄せる走化性勾配を形成することができ、特定の細胞種の活性化に寄与することができ、様々なエフェクター機能、例えば、脱顆粒遺伝子発現、および細胞運動関与する。ほとんどのケモカインと同様に、CC−ケモカインは、組織および細胞源、および、他のケモカインおよびサイトカインの環境の中でそれらが発現される状況に応じた、多面的な機能を有する。CCL7は、マクロファージ、樹状細胞(DC)、および上皮細胞を含む様々な細胞種により発現されるという点において決して例外ではない。かつてはマクロファージ特有化学誘引物質であると考えられていたが、現在では、CCL7が、単球、マクロファージ、DC、T細胞、NK細胞、好中球、好酸球好塩基球、およびマスト細胞に対して効果を及ぼし、全てのCC−ケモカインのうち最も無差別的になり、そうすることで、様々な重要な疾患(例えばCXCL10を伴う喘息)の病因に影響を及ぼすことが明らかとなっている(MichalecL.et al,J.Immunol.168,846−852(2002)。

0008

しかしながら、これまでに、CCL7は、ALI/ARDSに関係があるとはされていなかった。その代わりに、CXCL8(IL−8)および齧歯類ホモログCXCL1(KC)およびCXCL2(MIP−2)が、ALIの間に肺内へ好中球を動員する中心であると考えられている。臨床ALIサンプルにおいて、IL−8の増加と空間内への好中球遊走との間の重要な相関が(Miller,E.J.et al Crit Care Med,24,1448−1454(1996))、死亡率について作成されている(Miller,E.J.et al Am Rev Respir Dis,146,427−432(1992))。さらに、IL−8のみが、一貫して、好中球の数および疾患の重症度と相関し(Goodman,R.B.et al Cytokine Growth Factor Rev,14,523−535(2003)、および、Villard,J.et al Am J Respir Crit Care Med,152,1549−1554(1995))、したがって、ALI/ARDSにおける主な好中球化学誘引物質であると考えられる。

0009

しかしながら、本発明者らは、PAR1シグナリングがCCL7発現を仲介すること、急性好中球性炎症がCCL7依存性であること、および、ALIの間、CCL7がヒト好中球化学走性を制御することを示した。また、本発明者らは、LPSチャレンジされたマウスの肺由来の好中球はCCR1およびCCR2の発現が増加するが、CXCR2分子の発現は減少することを示した。したがって、本発明者らは、好中球がCCケモカインに応答することができることを示した。

0010

本発明者らは、PAR1シグナリングが、関連するケモカインCCL2(MCP−1としても知られる)の発現を仲介すること、および、急性好中球性炎症がCCL2に依存することを、さらに示した。本発明者らは、LPSチャレンジされたマウスの肺由来の好中球が、CCL2受容体CCR2を発現する[0]ことを示した。

0011

こうして、本発明者らは、CCL2(CCL2遺伝子識別名称:HGNC:10618;Ensembl:ENSG00000108691(EnsemblバージョンENSG00000108691.4);UniProtKB(バージョン167):P13500)を、ALI/ARDSの治療および/または予防のための新薬開発可能なターゲットとして同定した。

0012

したがって、本発明者らは、ここで、特にALI/ARDSにおける、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療および/または予防のための新薬開発可能なターゲットとして、CCL7およびCCL2を同定した。PAR1およびCCL7に関する知見は、PAR1および/または同一目的のためのPAR1−CCL7系の他のメンバーのターゲッティングの可能性を上げる。

0013

したがって、本発明は、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療または予防での使用のための、CCL7、PAR1、PAR1−CCL7系の別のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストを提供する。

0014

また、本発明は、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療または予防のための薬剤の製造での、CCL7、PAR1、PAR1−CCL7系の別のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストの使用を提供する。

0015

また、本発明は、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症を治療または予防する方法であって、有効量のCCL7、PAR1、PAR1−CCL7系の別のメンバー、またはCCL2のアンタゴニストを、それを必要とする患者に投与するステップを含む方法を提供する。

図面の簡単な説明

0016

30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して(i.p(腹腔内投与))、および投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄(合計1.5mlのPBS)または除去し、FACS分析のためにホモジナイズした。合計(A)、および差次的なBAL液の好中球(B)を、サイトスピン血球計算器の数により定量化した。肺ホモジネート中の好中球ミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性を、ELISAにより評価した(C)。BAL液から(D)、または肺ホモジネートから(E)、分離したGr−1+好中球(Gr−1highF4/80neg)を、フローサイトメトリーでさらに評価した。BALFマクロファージを、サイトスピン分析により評価した(E)。肺胞リークを、BALFから回収された血清アルブミンレベルにより測定した(F)。パネルは、3回の独立の実験によるn=5/群に関する平均値を示す。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、**p<0.01、*p<0.05。
LPSチャレンジの直後に、特異的なPAR1アンタゴニストSCH530348(10mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で治療的に投与して、および投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し、全細胞(A)および好中球(B)を、血球計算器およびサイトスピン装置を用いてカウントした。肺全体を取り出してホモジナイズした。ケモカインCXCL1(KC)およびCCL7を、ELISAにより測定した(CおよびD)。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:*p<0.05。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して(i.p(腹腔内投与))、および投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの6時間または24時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄した(合計1.5mlのPBS)。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で治療的に投与して、および投与せずに、肺炎連鎖球菌接種血清型19、 50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))の3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、BAL液の全白血球(a)および好中球(b)を定量化した。肺炎連鎖球菌を肺ホモジネートから回収し、それぞれのコロニーをカウントした(c)。パネルは、2回の独立した実験によるn=5/群に関する平均値を示す。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、*p<0.05。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して(i.p(腹腔内投与))、および投与せずに、肺炎連鎖球菌の接種(血清型2、臨床株D39、 50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))の3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、BAL液の全白血球(A)、マクロファージ(B)および好中球(C)を定量化した。気管支肺胞洗浄液を回収し、トロンビン−抗−トロンビン(TAT)および血清アルブミンのレベルをELISAにより定量化した(DおよびE)。パネルは、2回の独立した実験によるn=5/群に関する平均値を示す。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、*p<0.05。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して(i.p(腹腔内投与))、および投与せずに、肺炎連鎖球菌の接種(血清型2、臨床株D39、 50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))の3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、細菌コロニー形成単位(cfu)を3時間後(A)および24時間後(B)にカウントした。24時間後の肺(C)および脾臓(D)におけるcfuにより、細菌性浸潤性疾患を測定した。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:n.s.有意差なし。
30分後に高選択性のPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して(i.p(腹腔内投与))、または投与しないで、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。RNAを分離して151個の炎症性マーカーからなる低密度の遺伝子アレイを行なう前に、肺を取り出し、液体窒素下で凍らせて切断してホモジナイズした(A)。LPS処理後の遺伝子発現は、51個のマーカーが差次的に制御されることが明らかとなった(B)。さらに25個のマーカーが、PAR1拮抗作用の後に減少した発現を示した(C)。ケモカインCCL2およびCCL7に加えて、これらの遺伝子のうち、炎症促進性サイトカインTNFおよびIL−6、および、好中球化学誘引物質CXCL1およびCXCL2をさらに示す(D)。データを、Newman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:**p<0.01、*p<0.05。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で投与して、または投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。肺を取り出し、ホモジナイズした。肺ホモジネート中の、TNF(A)、IL−6(B)CXCL1(C)、およびCXCL2(D)のタンパク質レベルを、Luminexビーズアレイを用いて測定した。CCL2(H)およびCCL7(I)のタンパク質レベルを、肺ホモジネートを用いてELISAにより測定した。n=5/群の平均および標準誤差の値を示す。データを、Newman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.001、**p<0.01、*p<0.05。
30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与し(i.p(腹腔内投与))、および投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの6時間または24時間後にマウスを屠殺した。肺を取り出し、ホモジナイズした。表は、肺ホモジネートの低密度アレイを用いて解析した151個の炎症性メディエータープロファイルを示す。
LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。マウスに、CCL7中和抗体(10μg/マウス)を経鼻チャレンジ量の範囲内で投与した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、抗−CCL7の投与後に差次的なBAL液の好中球を定量化した(a)。肺ホモジネート中のCCL7(b)ケモカインレベルを、処置したマウスを用いてELISAにより測定した。2回の独立した実験に関するn=5/群の平均および標準誤差の値を、各処置について示す。データを、Neuman Keuls post hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、**p<0.01、*p<0.05。LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの12時間前に、CCR2に特異的な阻害抗体(抗−CCR2;MC21)またはアイソタイプコントロール(MC67)(10μg/マウス i.p(腹腔内投与))でマウスを処置した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、差次的なBAL液の好中球を定量化した(c)。血中のGr−1+/CD11b+単球を、FACSにより定量化した(d、丸で囲った)。LPSまたは生理食塩水のチャレンジの12時間前に、マウスをさらにCCR1/CCR2アンタゴニストで処置した(e)。n=6/群の平均および標準誤差の値を示す。データを、Neuman Keuls post hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、**p<0.01。
CC−ケモカインは、LPSチャレンジに応答して初期の白血球蓄積に影響を与える。LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))または生理食塩水のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。マウスに、抗−CCL2または抗−CCL7中和抗体(10μg/マウス)、またはコントロールIgGを、経鼻チャレンジ量の範囲内で投与した。肺を取り出し、ホモジナイズし、そして、抗−CCL2抗体の処理後に、CCL2レベルをELISAにより測定した(A)。肺を洗浄し、BAL液の全細胞(B)および好中球(C)を、抗−CCL2の投与の後に定量化した。さらに、肺を取り出し、ホモジナイズし、そして、抗−CCL7抗体の処理後に、CCL7レベルをELISAにより測定した(D)。肺を洗浄し、BAL液の全細胞(E)および好中球(F)を定量化した。2回の独立した実験に関する少なくともn=5/群の平均および標準誤差の値を、各処置について示す。データを、Newman−KeulsPostHoc検定での一方向ANOVAにより解析した:**p<0.01、*p<0.05;n.s.有意差なし。
LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))チャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。CXCL10、CX3CR1またはCCL12中和抗体(10μg/マウス)を、経鼻チャレンジ量の範囲内でマウスに投与した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、抗−CXCL10、抗−CX3CR1または抗−CCL12中和抗体の投与の後に、差次的なBAL液の好中球を定量化した。治療したマウス由来の肺ホモジネート中の、CXCL10(a)、CX3CR1(b)またはCCL12(c)のケモカインのレベルを、ELISAにより測定した。データを、Neuman Keuls post hoc検定での一方向ANOVAにより解析した。
CCL7に対する特異的な中和抗体(チャレンジ量の範囲内、10μg/マウス i.n.(鼻腔内投与))と共に、およびなしに、肺炎連鎖球菌(血清型2、臨床株D39、 50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))を接種した3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、BAL液の全白血球(A)、および好中球(B)を定量化した。BALFから回収した細菌(cfu)もカウントした(C)。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:**p<0.001、*p<0.05。
PAR1アンタゴニストと共に、またはなしに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))をチャレンジした3時間後にマウスを屠殺した。CXCL10(A)およびCX3CL1(B)のmRNAのレベルのLDA分析(18sハウスキーピング遺伝子ノーマライズした)。マウスに、CXCL10またはCX3CL1中和抗体(10μg/マウス)をLPS経鼻チャレンジ量の範囲内で投与した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、抗−CXCL10(C)または抗−CX3CL1(D)中和抗体の投与後に、差次的なBAL液の好中球を定量化した。データを、Neuman Keuls post hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:**p<0.01。
イーブマウスに、rCCL2またはrCCL7(500ng/マウス、i.n.(鼻腔内投与))のいずれかを投与し、3時間後にBAL液を回収した。BAL液の全細胞数(A)および全好中球(B)を、サイトスピン調製物について行なわれた差次的な細胞のカウントから計算した。BAL液中の好中球のパーセンテージも計算した(C)。差次的な細胞のカウントは、生理食塩水(D)、rCCL2(E)またはrCCL7(F)の投与後に、サイトスピン調製物について行なった。データを、Newman−KeulsPostHoc検定での一方向ANOVAにより解析した:*p<0.05、**p<0.01、***p<0.001。矢印は:N、好中球;M、単球/マクロファージを示す。
マウスに125μg/kgのLPS(i.n.(鼻腔内投与))をチャレンジし、肺全体を膨張させ、3時間後に固定した。生理食塩水で処置したコントロールと、30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)を治療的に投与して処置してまたは処置せずにLPSをチャレンジしたマウスとの間で、CCL7(a、bおよびc)またはGr−1(d、eおよびf)の免疫組織化学染色を比較した[AEW]。内皮−上皮バリアの崩壊を、30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で治療的に投与して、および投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))チャレンジ(g)または肺炎連鎖球菌チャレンジ(h)の3時間後のマウス由来のBAL液中の血清アルブミンの量として、ELISAにより測定した。
健康なヒトボランティアを、0.9%生理食塩水を噴霧で、または滅菌生理食塩水中にチャレンジし(最終LPS投与量は50μgであった)、6時間後にBAL液を回収した。生理食塩水で処置した、またはLPSをチャレンジした、ヒトボランティア由来のBAL液中のCCL7タンパク質レベルを、ELISAにより測定した(a)。組み換えヒト(rh)CXCL8またはrhCCL7に応答したヒト好中球の化学走性を、5μmメンブレン(ChemoTX,NeuroProbe)を通して測定した(b)。LPSで処置したヒトBAL液へ向かう好中球の化学走性を、中和抗−CXCL8または抗−CCL7抗体(c)の存在下で測定した。集中治療室でALIを患っている患者から、BAL液を回収した。ALI BAL液中の、CCL7タンパク質(d)およびCCL2タンパク質(f)を、ELISAにより測定した。ALIを有する患者から得られたBAL液へ向かう好中球の化学走性を、中和抗−CXCL8および抗−CCL7抗体の存在下で測定した(e)。統計分析を、ANOVA**(a)および対応のあるスチューデントt検定(b、c、e、f)を用いて行なった。
血液および肺から分離した好中球のCC−ケモカイン受容体発現。マウスに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))を投与し、または投与せずに(ナイーブ)、血液および肺を分離し、単細胞懸濁液を調製した。細胞をLy6Gに関して染色し、好中球の集団を特異的にゲートした(FScに対してLy6Ghigh)。好中球上のCCR1、CCR2、CCR3およびCXCR2の発現を計算し、ドットプロットとして表した。血液(A)、ナイーブの肺(B)およびLPSで処理した肺(C)から分離した好中球を分析し、ケモカイン受容体ポジティブ細胞のパーセンテージを計算した(D)。データを、Newman−KeulsPostHoc検定での一方向ANOVAにより解析した:*p<0.05。

0017

CCL7のブロッキング
本発明のCCL7アンタゴニストは、CCL7の機能をブロックする。CCL7のブロッキングは、その活性または機能における、ALI/ARDSの治療および/または予防に有利な効果をもたらす任意の減少を含む。

0018

典型的に、CCL7のブロッキングは、好中球増加の低減、好中球浸潤の低減、好中球蓄積の低減、および/または、肺内の、特に肺胞スペース内の、好中球の合計数の低減をもたらす。好ましくは、この低減は、好中球の遊走または好中球の化学走性を低減させるCCL7の阻害により仲介される。好中球の遊走は、Ly6G+好中球の数を定量化する分析により測定され得る。また、CCL7のブロッキングは、好中球がCXCL8などの古典的な化学誘引物質に応答する能力も低減し得る。

0019

ブロッキングは、CCL7の活性または機能の全体的および部分的の両方の低減を含み、例えば、CCL7/CCR1、CCL7/CCR2、CCL7/CCR3の相互作用の全体的または部分的な予防を含む。例えば、本発明のブロッキングアンタゴニストは、CCL7の活性を10〜50%、少なくとも50%、または少なくとも70%、80%、90%、95%または99%低減し得る。

0020

CCL7活性または機能のブロッキングは、任意の適切な方法で測定することができる。例えば、CCL7/CCR1、CCL7/CCR2、CCL7/CCR3の相互作用の阻害は、CCRのリン酸化、それらの関連するG結合タンパク質のリン酸化、または、ERK1またはERK2のリン酸化に対する効果を測定することにより判定することができる。CCR活性化もまた、Ca2+動員により測定することができる。好中球の活性化もまた、例えば、好中球活性化尺度としてのミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性、エラスターゼ、または、好中球活性化の尺度としてのマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP、例えばMMP1〜9のいずれか)の放出、形状変化アッセイ、または、好中球活性化の尺度としての活性酸素種(ROS)の放出により測定することができる。

0021

また、CCL7のブロッキングは、遊走または化学走性を測定する分析、例えば、Bowden chamberアッセイまたはChemoTXアッセイなどの、好中球の化学走性の分析を介して測定することができる。

0022

また、CCL7のブロッキングは、肺胞毛管バリアに対するCCL7の効果を測定する分析、例えば、気管支肺胞洗浄(BAL)液中の血清アルブミンのレベルを測定する分析を介して測定することができる。好ましくは、CCL7のブロッキングは、肺胞毛管バリアの崩壊を低減し、したがって、BAL液中の血清アルブミンのレベルを低下させる。

0023

ブロッキングは、例えば、用いられるアンタゴニストの特性(以下参照)、例えば、CCL7/CCR1、CCL7/CCR2、CCL7/CCR3の相互作用の直接的または間接的のいずれでの立体障害、またはCCL7発現のノックダウンに依存して、任意の適切なメカニズムを介して行われ得る。

0024

PAR1および/またはPAR1−CCL7系の他のメンバーのブロッキング
PAR1および/またはPAR1−CCL7系の他のメンバーもまた、CCL7に関して上述した様式でブロックすることができる。適切なPAR1−CCL7系メンバーのターゲットは、CCR1、CCR2およびCCR3を含む。

0025

PAR1のブロッキングは、好ましくは、特定のサイトカインまたはケモカインの存在またはレベルを測定する分析を介して測定することもできる。典型的に、PAR1のブロッキングは、CCL7(タンパク質またはmRNA)の発現を低減させるが、CXCL1発現に対して影響を及ぼさない。CXCL10またはCXC3CL1のいずれのブロッキングも好中球の遊走に影響を及ぼさないが、PAR1のブロッキングは、CXCL10および/またはCXC3CL1発現における低減によって測定してもよい。

0026

また、PAR1のブロッキングは、マクロファージの数を測定する分析によって測定してもよい。典型的に、PAR1のブロッキングは、組織へのマクロファージの流入を減少させる。

0027

また、PAR1のブロッキングは、トロンビン−抗−トロンビン(TAT)の存在またはレベルを測定する分析によって測定してもよい。

0028

CCL2のブロッキング
CCL2もまた、CCL7に関して上述した様式でブロックすることができる。CCL2のブロッキングは、その活性または機能における、ALI/ARDSの治療および/または予防に有利な効果をもたらす任意の低減を含む。

0029

典型的に、CCL2のブロッキングは、好中球増加の低減、好中球浸潤の低減、好中球蓄積の低減、および/または、肺内、特に肺胞スペース内の好中球の合計数の低減をもたらす。好ましくは、この低減は、好中球の遊走または好中球の化学走性を低減させるCCL2のブロッキングにより仲介される。

0030

CCL2のブロッキングの測定は、本明細書中でCCL7拮抗作用に関して記載される任意の技術を用いて達成され得る。任意の適切なCCL2アンタゴニストを用いてよい。CCL2アンタゴニストは、本明細書中に記載の任意のタイプであってよい。例えば、本発明のCCL2アンタゴニストは、ペプチドおよびペプチド模倣物;抗体;低分子阻害剤二本鎖RNAアンチセンスRNAアプタマー;およびリボザイムから選択してよい。好ましいアンタゴニストは、抗体を含む。

0031

アンタゴニスト
任意の適切なアンタゴニスト、例えば、ペプチドおよびペプチド模倣物;抗体;低分子阻害剤;二本鎖RNA;アンチセンスRNA;アプタマー;およびリボザイムを、本発明に従って用いてよい。好ましいアンタゴニストは、CCL7、他のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット(PAR1、CCR1、CCR2およびCCR3および/またはCCL2など)のペプチドフラグメント;アンチセンスRNA、アプタマーおよび抗体を含む。

0032

ペプチド
CCL7のペプチドアンタゴニストは、典型的に、CCR1、CCR2および/またはCCR3に対する結合に関してCCL7全長競合し、したがってCCL7に拮抗する、CCL7のフラグメントである。同様に、CCL2のペプチドアンタゴニストは、典型的に、CCR1、CCR2および/またはCCR3を含むその受容体に対する結合に関してCCL2全長と競合し、したがってCCL2に拮抗する、CCL2のフラグメントである。そのようなペプチドは、線状または環状であってよい。ペプチドアンタゴニストは、典型的に、5〜50、好ましくは10〜40、10〜30または15〜25のアミノ酸長であり、通常、CCL7またはCCL2内からの連続する配列と同一であるが、CCL7ブロッキングまたはCCL2ブロッキングの特性を保持する限り、100%未満、例えば95%以上、90%以上、または80%以上の同一性を有してよい。ブロッキングペプチドは、任意の適切な様式で、例えば、CCL7またはCCL2配列のスパニング部分または全体の、連続またはオーバーラップするペプチドの体系的なスクリーニングにより、決定することができる。また、ペプチド模倣物は、そのようなブロッキングペプチドを模倣するように設計され得る。PAR1および他のPAR1−CCL7系メンバーのターゲットに関するブロッキングペプチドおよびペプチド模倣物もまた同様に設計することができる。

0033

二本鎖RNA
公知技術を用い、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2の配列の知識に基づき、ターゲットに拮抗するように、そのRNAのシーケンスホモロジーに基づくターゲッティングにより、二本鎖RNA(dsRNA)分子を設計することができる。そのようなdsRNAは、典型的に、通常はステムループ(「ヘアピン」)立体配置での低分子干渉RNA(siRNA)、または、ミクロ−RNA(miRNA)である。そのようなdsRNAの配列は、ターゲットをコードするmRNAの部分の配列に一致する部分を含む。この部分は、通常、ターゲットmRNA内のターゲット部分に100%相補であるが、より低いレベルの相補性(例えば90%以上、または95%以上)もまた用いてよい。

0034

アンチセンスRNA
公知技術を用い、ターゲットの配列の知識に基づき、ターゲットに拮抗するように、それらのRNAのシーケンスホモロジーに基づくターゲッティングにより、一本鎖アンチセンスRNA分子を設計することができる。そのようなアンチセンスの配列は、ターゲットをコードするmRNAの部分の配列に一致する部分を含む。この部分は、通常、ターゲットmRNA内のターゲット部分に100%相補であるが、より低いレベルの相補性(例えば90%以上、または95%以上)もまた用いてよい。

0035

アプタマー
アプタマーは、一般に、特異的なターゲット分子に結合する核酸分子である。アプタマーは、インビトロで完全に改変することができ、化学合成により容易に製造され、望ましい保管特性を有し、治療的適用において免疫原性をほとんど誘発しないか、または全く誘発しない。これらの特徴は、それらを調剤用途および治療用途において特に有用にする。

0036

本明細書において用いられる「アプタマー」は、一般に、一本鎖または二本鎖オリゴヌクレオチド、またはそのようなオリゴヌクレオチドの混合物を指し、ここで、オリゴヌクレオチドまたは混合物は、ターゲットに対して特異的に結合することが可能である。オリゴヌクレオチドアプタマーについて本明細書に記載するが、これを読む業者は、ペプチドアプタマーなどの、同等の結合特性を有する他のアプタマーもまた用いることができることを理解するであろう。

0037

一般に、アプタマーは、少なくとも5、少なくとも10、または少なくとも15ヌクレオチドの長さのオリゴヌクレオチドを含んでよい。アプタマーは、最大で40の、最大で60の、または最大で100以上のヌクレオチドの長さの配列を含んでよい。例えば、アプタマーは、5〜100のヌクレオチド、10〜40のヌクレオチド、または15〜40のヌクレオチドの長さであってよい。可能であれば、より短い長さのアプタマーは、大抵他の分子または物質によるより低い干渉をもたらすので、好ましい。

0038

無改変のアプタマーは、主にヌクレアーゼ分解および腎臓による体からの除去により、数分から数時間の半減期血流から急速に除去される。そのような無改変のアプタマーは、一過的な状態の処置において、例えば血液凝固刺激において、有用である。あるいは、アプタマーは、それらの半減期を改善するために改変をしてよい。2’フッ素置換ピリミジン類の付加またはポリエチレングリコール(PEG)結合など、様々なそのような改変が利用可能である。

0039

アプタマーは、Systematic Evolution of Ligandsby Exponential enrichment(SELEX)の方法のような、常法を用いて製造してよい。SELEXは、ターゲット分子に対して特異的結合が高い核酸分子のインビトロ展開のための方法である。例えば、US5,654,151、US5,503,978、US5,567,588、およびWO96/38579に記載されている。

0040

SELEX法は、オリゴヌクレオチドのコレクションからの、核酸アプタマーおよび特に所望のターゲットに結合することが可能な一本鎖核酸の選択を含む。一本鎖核酸のコレクション(例えば、DNA、RNA、またはそれらの変異体)は、結合に好ましい条件下でターゲットと接触させられ、混合物中のターゲットに結合したこれらの核酸は、結合しないものから分離され、核酸−ターゲットの複合体が分離され、ターゲットに対して結合を有したこれらの核酸が増幅され、所望の結合活性を有する核酸が濃縮されたコレクションまたはライブラリーを生じ、それから、この一連のステップが必要に応じて繰り返されて、関連のあるターゲットに特異的な結合親和性を有する核酸(アプタマー)のライブラリーが製造される。

0041

抗体
本明細書で言及する用語「抗体」は、抗体全体および任意の抗原結合フラグメント(すなわち、「抗原結合部位」)またはそれらの単鎖を含む。抗体は、ジスルフィド結合により内部結合された少なくとも2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖、またはそれらの抗原結合部位を含む、糖タンパク質を指す。各重鎖は、重鎖可変領域(本明細書中でVHと省略される)および重鎖定常領域からなる。各軽鎖は、軽鎖可変領域(本明細書中でVLと省略される)および軽鎖定常領域からなる。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。VHおよびVL領域は、より保存された領域(フレームワーク領域(FR)と呼ばれる)が散在する相補性決定領域領域CDR)と呼ばれる超可変性の領域にさらに細分化することができる。

0042

抗体の定常領域は、免疫系の様々な細胞(例えば、エフェクター細胞)および古典的な補体系の第一構成要素(Clq)を含む、宿主の組織または因子に対する免疫グロブリンの結合を仲介し得る。

0043

本発明の抗体は、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体であってよく、好ましくはモノクローナル抗体である。本発明の抗体は、キメラ抗体、CDR移植抗体、ナノボディヒト抗体またはヒト化抗体、または、それらのいずれかの抗原結合部位であってよい。モノクローナルおよびポリクローナル抗体の両方の製造に関して、実験動物は、典型的に非ヒト哺乳類、例えばヤギウサギラットまたはマウスであるが、ラクダ科などの他の種が挙げられてもよい。

0044

ポリクローナル抗体は、目的の抗原を用いた適切な動物免疫化などの常法により製造してよい。続いて動物から血液を採取してIgG画分を精製してよい。

0045

本発明のモノクローナル抗体(mAb)は、KohlerおよびMilsteinの標準的な体細胞ハイブリダイゼーション技術のような従来のモノクローナル抗体の方法を含む、様々な技術により製造することができる。ハイブリドーマを製造する好ましい動物系はミューリン系である。マウスでのハイブリドーマ製造は非常によく実証された方法であり、当技術分野でよく知られている技術を用いて達成することができる。

0046

本発明による抗体は、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2の全長、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2のペプチドフラグメント、または、CCL7内、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット内、またはCCL2内のエピトープを含む免疫原を用いて、非ヒトの哺乳類を免疫化するステップ;前記哺乳類から調製された抗体を取得するステップ;および、そこから、前記エピトープを特異的に認識するモノクローナル抗体を得るステップを含む方法により製造してよい。

0047

抗体の「抗原結合部位」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つまたは複数のフラグメントを指す。抗体の抗原結合機能は、抗体全長のフラグメントにより発揮することができることが示されている。抗体の「抗原結合部位」という用語の範囲に包含される結合フラグメントの例は、Fabフラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fab’フラグメント、Fdフラグメント、Fvフラグメント、dAbフラグメント、および分離された相補性決定領域領域(CDR)を含む。scFv抗体などの単鎖抗体もまた、抗体の「抗原結合部位」という用語の範囲に包含されることが意図される。これらの抗体フラグメントは、当業者に公知の従来技術を用いて得てよく、そのフラグメントは、完全な抗体と同じ様式で有用性に関してスクリーニングしてよい。

0048

本発明の抗体は、(a)目的の免疫グロブリン遺伝子についてのトランスジェニックまたはトランスクロモソームの動物(例えばマウス)から分離した抗体、または、それから調製されたハイブリドーマ、(b)目的の抗体を発現するために形質転換された宿主細胞から、例えば、トランスフェクトーマから、分離された抗体、(c)組み換え、組み合わせ抗体ライブラリーから分離した抗体、および、(d)他のDNA配列への免疫グロブリン遺伝子配列のスプライシングを含む任意の他の手段により、調製され、発現され、作製され、または、分離された抗体など、組み換え手段により調製され、発現され、作製され、または分離されてよい。

0049

本発明の抗体は、ヒト抗体またはヒト化抗体であってよい。本明細書において用いられる用語「ヒト抗体」は、フレームワークおよびCDR領域の両方ともがヒト生殖細胞系免疫グロブリン配列に由来する可変領域を有する抗体を含むことが意図される。さらに、抗体が定常領域を含む場合、定常領域もまた、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列に由来する。本発明のヒト抗体は、ヒト生殖細胞系の免疫グロブリン配列によりコードされないアミノ酸残基(例えば、ランダムまたは部位特異的なインビトロでの突然変異誘発により、または、インビボでの体細胞突然変異により、導入された変異)を含んでよい。しかしながら、本明細書において用いられる用語「ヒト抗体」は、マウスなどの別の哺乳類の種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に融合された抗体を含むことを意図しない。

0050

そのようなヒト抗体は、ヒトモノクローナル抗体であってよい。そのようなヒトモノクローナル抗体は、不死化細胞に融合されたヒト重鎖トランスジーンおよび軽鎖トランスジーンを含むゲノムを有する、トランスジェニック非ヒト動物(例えばトランスジェニックマウス)から得られたB細胞を含むハイブリドーマにより生産され得る。

0051

ヒト抗体は、ヒトリンパ球のインビトロでの免疫化の後に、エプスタイン・バーウイルスを用いてリンパ球を形質転換することにより、製造され得る。

0052

用語「ヒト抗体誘導体」は、ヒト抗体の任意の改変体、例えば、抗体と別の因子または抗体とのコンジュゲートを指す。

0053

用語「ヒト化抗体」は、マウスなど別の哺乳類の種の生殖細胞系に由来するCDR配列がヒトフレームワーク配列上に融合された抗体を指すことが意図される。さらなるフレームワーク領域の改変が、ヒトフレームワーク配列内にされてよい。

0054

本明細書中に記載されるスクリーニング方法を用いて、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2に結合することが可能な適切な抗体を同定してよい。したがって、本明細書中に記載のスクリーニング方法は、目的の抗体を試験化合物として用いて実施してよい。

0055

本発明の抗体は、例えば、標準的なELISAまたはウェスタンブロッティングにより、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2に対する結合について試験することができる。また、ELISAアッセイを用いて、ターゲットタンパク質とポジティブの反応性を示すハイブリドーマをスクリーニングすることもできる。また、抗体の結合特異性は、例えばフローサイトメトリーによって、ターゲットタンパク質を発現している細胞に対する抗体の結合をモニターすることにより判定してよい。したがって、本発明のスクリーニング方法は、ELISAまたはウエスタンブロットを行なうことにより、またはフローサイトメトリーにより、CCL7または別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲットに結合することが可能な抗体を同定するステップを含んでよい。それから、さらに上述されるように、必要とされる結合特性を有する抗体をさらに試験して、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2の活性に対するそれらの効果を判定してよい。

0056

本発明の抗−CCL7抗体は、上述したように、CCL7拮抗(ブロッキング)特性を有する。一実施態様では、モノクローナル抗体は、CCL7内のエピトープを特異的に認識して、CCL7の活性をブロックする。一実施態様では、モノクローナル抗体は、CCL7内のエピトープを特異的に認識して、CCR1、CCR2および/またはCCR3およびCCl7との間の相互作用をブロックする。

0057

本発明の抗−CCL2抗体は、上述したように、CCL2拮抗(ブロッキング)特性を有する。一実施態様では、モノクローナル抗体は、CCL2内のエピトープを特異的に認識して、CCL2の活性をブロックする。一実施態様では、モノクローナル抗体は、CCL2内のエピトープを特異的に認識して、CCR1、CCR2および/またはCCR3およびCCl7との間の相互作用をブロックする。

0058

本発明の抗体は、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2を、すなわち、CCL7内または別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット内またはCCL2内のエピトープを、特異的に認識する。抗体または他の化合物は、選択的または高親和力でタンパク質に結合し、そのタンパク質には特異的であるが、他のタンパク質には実質的に結合しないか低親和力で結合する場合に、タンパク質に「特異的に結合」または「特異的に認識」する。ターゲットタンパク質に関する本発明の抗体の特異性は、上述の他の関係あるタンパク質に抗体が結合するか否か、または、それらの間で区別されるかを判定することにより、さらに試験してよい。例えば、本発明の抗−CCL7抗体は、ヒトCCL7に結合し得るが、マウスまたは他の哺乳類のCCL7には結合しない。

0059

本発明の抗体は、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2に、高親和力で、好ましくはピコモル範囲で、例えば、表面プラズモン共鳴または任意の他の適切な技術により測定して、10nM以下、1nM以下、500pM以下、または100pM以下の親和定数(KD)で、好適に結合する。

0060

適切な抗体を同定および選択したら、抗体のアミノ酸配列を、当技術分野で知られている方法により同定してよい。抗体をコードする遺伝子は、縮重プライマーを用いてクローン化することができる。抗体は、常法により組み換えで製造してよい。

0061

CCL7内、他のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット内、およびCCL2内のエピトープは、当技術分野で知られていて本明細書中に述べられる方法により、とりわけ、「PEPSCAN」法を介した連続またはオーバーラップするペプチドの体系的なスクリーニングにより、または、CCL7を阻害することが示されたペプチドフラグメント(上記参照)に対する抗体を形成することにより、同定することができる。エピトープ含有ペプチドは、抗体産生のための免疫原として用いることができる。抗体を生じさせるために好ましいエピトープは、CCL7がその受容体に結合する際に介するものを含む。CCL受容体の結合のための推定配列は、パラロガスCC−ケモカインの受容体結合に基づく。したがって、好ましいエピトープは、N末領域に、Nループ内に、30sループ内に、および、ジスルフィド結合に隣接して、およびαへリックス領域内に、位置することを予想することができる。

0062

PAR1のアンタゴニスト
本発明により用いることのできる公知のPAR1アンタゴニストは、voropaxarおよびatopaxarを含む。他の公知のPAR1アンタゴニストもまた、用いることができる。

0063

CCL2のアンタゴニスト
本発明により用いることのできる公知のCCL2アンタゴニストは、改変されたケモカインMCP−1(9−76)(JEMvol.186 no.1 131−137)およびSR16951(CCL2の低分子アンタゴニストである(The Journal of Immunology,2009,182,50.13))を含む。他の公知のCCL2アンタゴニストは、C243(これも低分子アンタゴニストである)、およびmNOX−E36を含む(Gut.2012 Mar;61(3):416−26)。抗−CCL2中和抗体は市販もされている。他の公知のCCL2アンタゴニストもまた、用いることができる。

0064

また、CCL2の活性は、CCR2阻害剤を用いて阻害され得る。公知のCCR2阻害剤を、以下の表に挙げる。



表1 CCR2阻害剤の実験および臨床の状態の概要(Expert Opin Investig Drugs.2011 Jun;20(6):745−56)

0065

治療適応症
本発明のアンタゴニストは、特に、急性肺損傷(ALI)および急性呼吸窮迫症候群(ARDS)として知られる状態における、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症を治療および/または予防するために用いてよい。

0066

ALIは、肺に悪影響を及ぼすが、必ずしも気道には悪影響を及ぼさない、急性疾患である。ALIは、肺胞上皮および毛管内皮における崩壊により特徴付けられ、まとめて毛管−肺胞バリアと呼ばれる。ALIの2つの主な特徴は、肺胞空間における流体の蓄積および好中球の遊走である。ALIは、IL−1βおよびTNFなどの炎症促進性サイトカインおよびトロンビンなどの凝固系の構成要素の放出を含む、急速な疾患の発症と関連する。ALIは、適応免疫よりむしろ先天性免疫の構成要素の活性化を伴うと考えられる。ARDSは、より重度の形態のALIである。

0067

臨床状況では、ALI/ARDSは、低酸素血症、肺水腫および放射線学的異常により特徴付けられ、公知の臨床的損傷に続き、または、新規の/悪化する呼吸性症状に続き、急速な発症を有する。ALI/ARDSの最新推奨される定義は以下のとおりである:低酸素血測定のPaO2/FiO2が201〜300(軽度)、200以下(中度)、100以下(重度);心不全または水分過負荷により説明されない呼吸不全を有し;放射線学的異常があり;および、重症のさらなる生理学的障害がある。この定義は、米国胸部学会からの情報提供により2012年のESICM年次会議で提案された。しかしながら、1996年の合意定義が、おそらく今でもなお、最も広く用いられていて、それは以下のとおりである:肺動脈楔入圧が18mmHg未満;心不全の臨床的証拠がなく;および、低酸素血測定がALIではPaO2/FiO2<300であり、ARDSでは<200である。これらのいずれかを用いて、本発明の目的に関してALI/ARDSを定義してよい。

0068

好ましくは、本発明のアンタゴニストは、免疫機能を完全に消滅させることなく、過剰な好中球蓄積を減少させる。さらに好ましくは、CCL7、別のPAR1−CCL7系メンバーのターゲット、またはCCL2の阻害は、過剰な好中球増加により生じるバイスタンダー組織の損傷を低減させ、同時に、宿主防御のための十分な免疫を保持し、内皮−上皮バリアの完全性を維持し、それにより、不要な組織損傷の減少と防御免疫応答の維持との間のバランスを達成する。

0069

したがって、本発明は、呼吸器における好中球の蓄積と関連する急性炎症の治療および/または予防に関する。そのような急性炎症は、肺空間、気管支気管支壁または間質空間に見られ得る。

0070

また、本発明は、任意の原因から生じるALI/ARDSの治療および/または予防に関する。これらは、間接的および直接的の両方の原因を含む。間接的な原因は、敗血症(敗血症、内毒血症)、膵炎および肺遠位の組織外傷を含む。直接的な原因は、肺への外傷、細菌感染市中肺炎が最も一般的であり、肺炎連鎖球菌がその最も一般的な病原学的因子であるが、ALI/ARDSは、インフルエンザ菌または肺炎クラミジアなどの他の細菌による感染に起因し得る)、ウイルス感染(最も一般的な病原学的因子は、インフルエンザウイルスコロナウイルス、例えば重症急性呼吸器症候群コロナウイルス(SARS−CoV)、およびサイトメガロウイルスであり、免疫不全に特有の問題である)、および、他の呼吸性疾患、例えば、新生児呼吸窮迫症候群IRDS)、気管支拡張症(その根底にある原因、例えば、スタフィロコッカス種、クレブシエラ種、および百日咳菌による感染を含む)、特に急性憎悪に関連する慢性閉塞性肺疾患COPD)を含む。

0071

医薬組成物、用量および投与計画
本発明のアンタゴニストは、典型的に、薬学的に許容できる担体とともに、医薬組成物に製剤化される。
本明細書において用いられる「薬学的に許容できる担体」は、任意かつ全ての、溶媒分散媒コーティング抗菌剤および抗真菌剤等張剤および吸収遅延剤など、生理的に適合するものを含む。担体は、非経口投与、例えば静脈内投与筋肉内投与皮下投与眼球内投与または硝子体内投与(例えば、注射または注入による)に適切である。好ましくは、担体は、鼻腔内投与または吸入投与に適切である。投与経路に応じて、化合物を不活性化し得る酸および他の自然条件の作用から化合物を保護するために、物質内にモジュレーターをコーティングしてよい。

0072

本発明の医薬化合物は、1つまたは複数の薬学的に許容できる塩を含んでよい。「薬学的に許容できる塩」は、元の化合物の所望の生物学的活性を保ち、いかなる望ましくない毒性作用も与えない塩を指す。そのような塩の例は、酸付加塩および塩基付加塩を含む。

0073

好ましい薬学的に許容できる担体は、水性担体または希釈剤を含む。本発明の医薬組成物に用いられ得る適切な水性担体の例は、水、緩衝水、および生理食塩水を含む。他の担体の例は、エタノールポリオール類(例えば、グリセロールプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、および、それらの適切な混合物、植物油、例えばオリーブ油、および、注射可能な有機エステル、例えばオレイン酸エチルを含む。多くの場合、等張剤、例えば、糖類、ポリアルコール類、例えばマンニトールソルビトール、または塩化ナトリウムを、組成物中に含むことが好ましい。

0074

治療組成物は、典型的に、滅菌され、製造および保管の条件下で安定でなければならない。組成物は、溶液マイクロエマルションリポソーム、または、高濃度の薬に適切な他の秩序構造として、製剤化することができる。

0075

本発明の医薬組成物は、本明細書中に述べられる、さらなる活性成分を含んでよい。

0076

本発明のアンタゴニストおよび使用のための説明書を含むキットもまた、本発明の範囲内である。キットは、1つまたは複数のさらなる試薬、例えば、上述のさらなる治療的または予防的薬剤をさらに含んでよい。

0077

本発明のアンタゴニストおよび組成物は、予防的および/または治療的な処置のために投与してよい。

0078

治療用途では、モジュレーターまたは組成物は、上述の障害または状態を既に患っている対象に、状態または1つまたは複数のその症状を、治療する、緩和する、または部分的に抑止するのに十分な量で投与される。そのような治療的処置は、疾患症状の重症度の低下、または、症状のない期間の頻度または持続時間の増加をもたらし得る。これを達成するのに十分な量を、「治療的有効量」と定義する。

0079

予防用途では、製剤は、上述の障害または状態のリスクがある対象に、状態または1つまたは複数のその症状の、その後の影響を予防または減少させるのに十分な量で投与される。これを達成するのに十分な量を、「予防的有効量」と定義する。それぞれの目的のための有効量は、疾患または損傷の重症度、および、対象の体重および全身状態に依存する。

0080

本発明のアンタゴニストの投与のための対象は、ヒトまたは非ヒト動物であってよい。用語「非ヒト動物」は、全ての脊椎動物、例えば、哺乳類および非哺乳類、例えば非ヒト霊長類ヒツジイヌネコウマウシニワトリ両生類爬虫類などを含む。ヒトへの投与が好ましい。

0081

本発明のアンタゴニストは、当技術分野で知られている様々な方法のうちの1つまたは複数を用いて、1つまたは複数の投与経路を介して投与してよい。熟練した技術者に理解されるように、投与経路および/または投与方法は、要求される結果に応じて変化する。本発明のモジュレーターのための投与経路は、静脈内投与、筋肉内投与、皮内投与、眼球内投与、腹腔内投与、皮下投与、脊椎投与、または、他の非経口投与の経路、例えば、注入または点滴による投与を含む。本明細書において用いられる語句「非経口投与」は、通常は注入による、腸内および局所投与以外の投与方法を意味する。あるいは、本発明のアンタゴニストは、非経口でない経路、例えば、局所投与、上皮投与または粘膜投与の経路を介して投与することができる。好ましくは、本発明のアンタゴニストは、鼻腔内または吸入の経路により投与される。

0082

本発明のモジュレーターの適切な用量は、熟練医師により決定され得る。本発明の医薬組成物中の活性成分の実際の用量レベルは、特定の患者に対して所望の治療応答を達成するのに効果的な活性成分の量、組成物、および投与方法を、患者に対して毒性にならずに得るように変更し得る。選択される用量レベルは、用いられる本発明の特定の組成物の活性、投与経路、投与時間、用いられる特定の化合物の排泄率、治療の持続時間、用いられる特定の組成物と組み合わせて用いられる他の薬剤、化合物および/または物質を含む様々な薬物動態因子、治療される患者の年齢性別、体重、状態、健康全般および以前の病歴、および、医療分野においてよく知られる同様の因子に依存する。

0083

適切な用量は、例えば、治療される患者の約0.1μg/kg〜約100mg/kg体重の範囲であってよい。例えば、適切な用量は、1日あたり約1μg/kg〜約10mg/kg体重、または、1日あたり約10g/kg〜約5mg/kg体重であってよい。

0084

投与計画は、最適な所望の応答(例えば治療応答)を提供するように調節してよい。例えば、単回量を投与してよく、数回の分割量を時間をかけて投与してよく、または、治療状況の緊急性に示されるとおりに投与量を比例的に減少または増加させてよい。本明細書において用いられる投与単位の形態は、治療される対象のための、単位としての投与として適した物理的に不連続の単位を指し;各単位は、必要とされる調剤担体を伴って所望の治療効果を生じるように計算された所定量の活性化合物を含む。

0085

投与は、単回または多数回での投与量であってよい。多数回の投与量は、同一または異なる経路を介して、同一または異なる部位に投与してよい。あるいは、投与は、徐放性製剤を介することができ、その場合、必要とされる投与頻度がより少ない。投与量および頻度は、患者におけるアンタゴニストの半減期および要求される治療の持続時間に応じて変化し得る。

0086

上述のように、本発明のモジュレーターは、1または他のより多くの他の治療薬とともに投与してよい。例えば、他の薬剤は、鎮痛剤麻酔薬免疫抑制剤、または抗炎症性剤であってよい。

0087

2以上の薬剤を組み合わせた投与が、多くの異なる方法で達成され得る。両方を単一の組成物で一緒に投与してよく、または、それらを別々の組成物で併用療法の一部として投与してよい。例えば片方をもう片方の前に、後に、または同時に、投与してよい。

0088

併用療法
上記のように、本発明のアンタゴニストは、任意の他の適切な活性化合物と組み合わせて投与してよい。

0089

特に、PAR1−CCL7系の異なるメンバーのアンタゴニストを組み合わせて投与してよく、例えば、CCL7のアンタゴニストは、PAR1および/またはCCR1、および/またはCCR2および/またはCCR3のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。同様に、PAR1のアンタゴニストは、CCL7および/またはCCR1、および/またはCCR2および/またはCCR3のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。CCR1のアンタゴニストは、CCL7および/またはPAR1、および/またはCCR2および/またはCCR3のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。CCR2のアンタゴニストは、CCL7および/またはPAR1、および/またはCCR1および/またはCCR3のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。CCR3のアンタゴニストは、CCL7および/またはPAR1、および/またはCCR2および/またはCCR1のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。

0090

CCL7アンタゴニスト、PAR1アンタゴニストおよび/またはPAR1−CCL7系の他のアンタゴニストは、本発明のCCL2アンタゴニストと組み合わせて用いてよい。例えば、CCL2のアンタゴニストは、CCL7、PAR1および/またはCCR1、および/またはCCR2および/またはCCR3のアンタゴニストと組み合わせて投与することができる。

0091

また、本発明のアンタゴニストは、炎症促進性ケモカインCXCL8(インターロイキン−8;IL−8)のアンタゴニストと組み合わせて投与してよい。また、本発明のアンタゴニストは、IL−8受容体、CXCR1(インターロイキン8受容体α、IL8RA、CD181としても知られる)に関するアンタゴニストと組み合わせて投与してよい。CXCL8は、内皮および上皮表面を通じて好中球を溢出するのための公知の化学誘引物質である(Grommes,J.& Soehnlein,O.Mol.Med.17,293−307(2011))。CXCL8またはCXCR1アンタゴニストは、例えば、CCL7、他のPAR1−CCL7系メンバーのターゲットおよびCCL2に関して本明細書中で述べた、ペプチドおよびペプチド模倣物;抗体、好ましくはモノクローナル抗体;低分子阻害剤;二本鎖RNA;アンチセンスRNA;アプタマーおよびリボザイムから選択してよい。CCL7およびCXCL8および/またはCXCR1のアンタゴニストの組み合わせの使用による、CCL7およびCXCL8および/またはCXCR1の阻害の、例えば好中球の遊走または化学走性などに対する効果は、CCL7およびCXCL8および/またはCXCR1の単独の阻害の効果と比較して、相加的または相乗的であり得る。同様に、CXCL8および/またはCXCR1のアンタゴニストは、本発明のCCL2アンタゴニストと、同じようにして組み合わせて用いてよい。

0092

以下の実施例により本発明は説明される。

0093

1.PAR1は急性肺炎に寄与する。
PAR1は、凝固因子トロンビンの主な受容体であり、凝固と炎症との間の相互作用を編成するのに必須である(Chambers,R.C.Br.J.Pharmacol.153 Suppl 1,S367−S378(2008))。また、PAR1活性化は、肺への好中球動員を仲介する様々な炎症促進性遺伝子の上方制御を導く(Mercer,P.F.et al Ann.N.Y.Acad.Sci.1096,86−88(2007))。

0094

急性肺炎におけるPAR1の役割を同定するために、LPS(125μg/kg)による鼻腔内チャレンジの後に、特異的なPAR1アンタゴニスト(5mg/kg、米国Johnston and Johnson Pharmaceutical Research & DevelopmentのClaudia Derianからの寄贈品)でマウスを処置した。実験は、英国内務省に従った現地の倫理承認の下で行なった。BALB/c雌マウス(6〜8週;英国Charles River)を麻酔し(5%イソフルラン(isofluorane))、滅菌生理食塩水中のLPSでチャレンジした(125μg/kg、50μl i.n.(鼻腔内投与);Escherichia coli 0127:B8;Sigma、UK)。LPSは、肺胞空間への、全細胞および好中球の動員の有意な増加を引き起こした(図1a、図1b)。それらは初期の急性炎症を示す事象である(Summers,C.et al TrendsImmunol.31,318−324(2010))。全体的および差次的な数を、サイトスピンの後に定量化した。

0095

マウスに、LPS投与の30分後に、PAR1アンタゴニストRWJ−58259をi.p(腹腔内)注入した。急性肺炎の発症直後のPAR1の拮抗作用は、空間における全細胞および好中球の数を有意に減少させ(図1b)、急性肺炎の誘導においてPAR1が中心的な役割を果たすことを示した。空間の好中球増加の低減がフローサイトメトリーにより確認され、BAL液から回収された、および全肺調製物中の、Gr−1+(F4/80−)好中球の減少を示した(図1d)。肺ホモジネートにおいて検出されるように、PAR1拮抗作用はLPSが誘導する好中球ミエロペルオキシダーゼ活性を減少させた(図1c)。

0096

BAL液中のマクロファージの数は、全ての処置群において変化しないままであり、PAR1拮抗作用がBAL液への初期のマクロファージ動員に影響を及ぼさないことを示した(図1e)。LPSにより誘導される肺胞−毛管バリアの崩壊に対するPAR1拮抗作用の効果を試験するために、生理食塩水およびLPSでチャレンジされたマウスから回収したBAL液における血清アルブミンレベルを測定した。血清アルブミンレベルは、LPSでチャレンジしたマウスのBAL液において増加し、PAR1拮抗作用の後に有意に(p=0.004)減少した(図1f)。したがって、これらのデータは、PAR1シグナリングが、急性肺炎モデルにおいて、初期の好中球性炎症および肺胞−毛管バリアの崩壊に影響を及ぼすことを示す。

0097

同様の結果が、異なるPAR1であるSCH530348を用いた場合に見られた。LPSチャレンジの直後に特異的なPAR1アンタゴニストSCH530348(10mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で治療的に投与して、および、投与せずに、LPS(125μg/kg i.n.(鼻腔内投与))のチャレンジの3時間後にマウスを屠殺した。肺を洗浄し、血球計算器およびサイトスピン装置を用いて、全細胞および好中球をカウントした。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:*p<0.05。再び、急性肺炎の発症直後のPAR1の拮抗作用は、空間における全細胞(図2A)および好中球(図2B)の数を有意に減少させた。

0098

さらにまた、RWJ−58259によるPAR1拮抗作用は、LPSチャレンジの6時間後および24時間後に、好中球の動員を減少させた(図3)。

0099

細菌により誘導されるALIのモデルにおける、宿主防御の間のPAR1の影響を試験するために、マウスを、ALIの原因となる最も一般的な感染因子である肺炎連鎖球菌でチャレンジした(5×106CFU/マウス、i.n.(鼻腔内投与))。マウスに、50μlの肺炎連鎖球菌(血清型19、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))を接種した。3時間後、動物を屠殺し(ウレタンi.p(腹腔内投与)20g/kg)、気管内にカニューレ挿入し、気管支肺胞洗浄を行なった(1.5ml、PBS)。サイトスピンの後に全体的および差次的な数を定量化し、アルブミンレベルをELISAにより測定した(Bethyl Laboratories Inc,USA)。

0100

肺炎連鎖球菌による感染は、全白血球の増加および空間内における好中球の蓄積を引き起こした。それらは全て、初期の肺の細菌感染および細菌により誘導されるALIの特徴である。PAR1アンタゴニストで処置されたマウスでは、全細胞の浸潤および好中球の蓄積が減少した(図4a、図4b)。そのような、好中球増加の有意な低減は、特に、ALIの間に同時に起きることの多い細菌感染に対して、宿主防御に関する有害な結果を有するということもあり得る。しかしながら、肺全体から回収された肺炎連鎖球菌のコロニー数はPAR1アンタゴニストの治療により影響を受けなかったので(図4c)、PAR1拮抗作用は宿主防御を損なわなかった。

0101

同様の結果が、30分後にPAR1アンタゴニストRWJ−58259(5mg/kg)をi.p(腹腔内投与)で治療的に投与して、および投与せずに、異なる株の肺炎連鎖球菌(血清型2、臨床株D39、50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))を用いて観察された(図5a、図5c)。また、PAR1拮抗作用は、BALのマクロファージの数を減少させることが見いだされた(図5b)。気管支肺胞洗浄液を回収し、トロンビン−抗−トロンビン(TAT)および血清アルブミンのレベルをELISAにより定量化した(図4d、図4e)。PAR1拮抗作用は、PAR1により仲介される肺胞−毛管バリアの崩壊を減少させることが見いだされた。パネルは、2回の独立した実験によるn=5/群に関する平均値を示す。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:***p<0.0001、*p<0.05。

0102

3時間後(図6a)および24時間後(図6b)に得られた、BALFから回収した肺炎連鎖球菌のコロニー数がPAR1アンタゴニストの治療により影響を受けなかったので、この2つ目の肺炎連鎖球菌株を用いて得られた結果もまた、PAR1拮抗作用が宿主防御を損なわないことを示した。細菌性浸潤性疾患を、24時間後の肺(図6c)および脾臓(図6d)におけるcfuにより測定した。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:n.s.有意差なし。再び、PAR1アンタゴニストの処置によりカウントは影響を受けず、PAR1拮抗作用は、肺炎連鎖球菌感染に対する免疫応答に悪影響を及ぼさないことが示された。

0103

2.PAR1シグナリングは、CCL7発現を仲介する。
PAR1シグナリングが急性肺炎に影響を及ぼすメカニズムを調べるために、LPSチャレンジの効果およびその後の肺ホモジネートにおける好中球に特異的なケモカインのレベルに対するPAR1拮抗作用を調べた。CXCR2リガンド、CXCL1(ケラチノサイト由来のケモカイン、KC)およびCXCL2/CXCL3(マクロファージ炎症性タンパク質−2、MIP−2α/β)は、ヒトCXCL8(IL−8)およびCXCL2/CXCL3(増殖関連がん遺伝子GRO−β/GRO−γ)の機能性ホモログであり、炎症組織への好中球の動員の一次メディエーターとして関与している。

0104

本研究では、LPSチャレンジは、以前に示されるように(Huber,A.R.et al Science 254,99−102(1991))、これらのケモカインのレベルを有意に増加させた。しかしながら、CXCL1およびCXCL2のレベルはPAR1拮抗作用により影響を受けず(図7a、図7b)、これらのケモカインはPAR1により制御されていないことが示された。同様に、PAR1拮抗作用は、炎症促進性サイトカインであるTNFおよびIL−6(図7c、図7d)の発現を減少させなかった(これは特質上、急性炎症と関連する)。サイトカインおよびケモカインのレベルは、ELISAにより測定した。

0105

これらのデータにより、我々は、PAR1が仲介する急性炎症性応答は、古典的な好中球化学誘引物質または炎症促進性サイトカインの誘導とは関連しないと結論付けた。

0106

LPSが誘導するALIに関与する、PAR1が制御するサイトカイン/ケモカインの潜在的な候補を同定するために、151個の炎症性メディエーターをプロファイルするように設計した低密度アレイ(LDA)を用いた(図7a、図9)。粉状化された冷凍粉状肺から、TRIzolを用いて(メーカープロトコル参照(Invitrogen))全RNAを抽出し、DNAフリーキット(Ambion)を用いてDNase処理し、そして、Superscriptキット(Invitrogen)を用いて、サンプルあたり1μgのRNAからcDNAを合成した。公知の炎症性メディエーターの発現レベルを、Taqman低密度アレイqPCRチップを用いてcDNAにおいて分析し、18sにノーマライズした。Gene Expression Similarity Suite(Genesis)Softwere51を用いて転写データを解析し、log2変換およびノーマライズの後に、データをヒートマップとして表した。キャリブレーター参照として、発現における相対的な倍差(fold−difference)を、ΔΔT方法を用いて生理食塩水の処置群で計算した。LPSでのチャレンジ後、51個の遺伝子が肺組織において差次的に発現されることが見いだされた(図7b、図9)。LPSチャレンジ後、32個の遺伝子が有意に上方制御されることが示された(図7b、図9)(様々なケモカインが含まれる)。差次的な遺伝子発現プロファイルは、TNF、インターロイキン、CXCケモカイン、および、CCL2、CCL3、CCL4、CCL7、CCL22、CXCL1、CXCL2、CXCL10、CXCL13およびCX3CL1を含むCCケモカインなど、炎症性応答を生じさせるために重要であることが知られる様々な遺伝子の上方制御を含んだ。さらなる分析により、PAR1拮抗作用の後に、25個の遺伝子の発現が減少することが明らかとなった(図7c)。

0107

以前のタンパク質データ合致して、LPS損傷後に、好中球に特異的なケモカインであるCXCL1およびCXCL2、および、サイトカインであるTNFおよびIL−6の発現が増加したが、PAR1拮抗作用による影響は受けず(図7d)、LPSにより誘導される肺炎症の本モデルにおいて、これらのサイトカイン/ケモカインがPAR1シグナリングの下流により制御されないことが示された。LPSによるチャレンジ後に上方制御されることが分かった32個の遺伝子について、PAR1拮抗作用は、好中球動員と従来関連しない2つの密接に関連するCC−ケモカインCCL2(MCP−1)およびCCL7(MCP−3)の発現を減少させた(図7d)。その代わり、これらのケモカインは、骨髄からの単球放出を誘導し、炎症組織内に単球/マクロファージを動員することが知られる。

0108

mRNA発現のLDA分析を確認するために、肺ホモジネートにおけるタンパク質レベルを測定した。LPSによる処理は、TNF、IL−6、CXCL1およびCXCL2の発現を有意に増大させた(図8a、図8b、図8c、図8d)。これはLDA分析後の知見と一致するが、これらのタンパク質発現はPAR1アンタゴニストの処置により影響を受けなかった。同様に、LPSチャレンジは、CCL2およびCCL7の発現を増加させ(図8e、図8f)、そしてまた、LDA分析で見られたように、PAR1アンタゴニストの処置は、これらのケモカインの発現をタンパク質レベルで減少させた。これらのデータは、PAR1シグナリングが、LPSにより誘導される肺炎症の後にCCL2およびCCL7発現を制御するのに重要な役割を果たすということ、および、これらのケモカインが好中球の遊走に直接的に影響を及ぼし得るということに対し、強い支持を与える。

0109

3.急性好中球性炎症は、CCL7依存性である。
LPSにより誘導される肺炎症における、CCL2およびCCL7の潜在的な役割を調べるために、我々は、これらのケモカインを阻害する特異的な中和抗体を用いた。中和抗体をLPSチャレンジ量の範囲内で投与し、3時間後に肺ホモジネートを分析した。CCL2またはCCL7の中和抗体による処理は、それぞれのケモカインを基礎レベルまで減少させ(図10B、図11A、図11D)、したがって、効果的なターゲットの結合が確認された。抗−CCL2抗体の投与は、LPSでのチャレンジ後にBAL液から分離される全細胞の数および好中球の数の両方を有意に減少させた(図10A、11B、11C)。同様に、抗−CCL7抗体の投与もまた、全細胞および好中球の空間内への蓄積を有意に減少させた(図11E、11F)。まとめると、これらのデータにより、我々は、CCL2およびCCL7の両方が、炎症を起こした肺内への、全白血球および好中球の初期の蓄積に影響を及ぼすと結論付けた。

0110

LPSにより誘導されるケモカインCXCL10およびCX3CL1がPAR1アンタゴニストによる処置に応答性であり得ることをLDA分析が示したので、インビボでの中和実験もまた、CXCL10またはCX3CL1に対する抗体を用いて行なった。CXCL10またはCX3CL1の中和の後に、好中球蓄積の減少は見られず(図12)、これらのケモカインは、LPSにより炎症を起こした肺内への好中球遊走に直接関与しないことが示された。

0111

LPSチャレンジによるよりもむしろ、肺炎連鎖球菌(血清型2、臨床株D39、50μl/マウス、5×106CFU/マウス i.n.(鼻腔内投与))による感染により炎症が引き起こされた場合に、同様の結果が得られた。CCL7に対する特異的な中和抗体をと共に(チャレンジ量の範囲内で、10μg/マウス i.n.(鼻腔内投与))、およびなしに、肺炎連鎖球菌をマウスに接種した。肺を洗浄し(合計1.5mlのPBS)、BAL液の全白血球(A)、および好中球(B)を定量化した。BALFから回収した細菌(cfu)もカウントした(C)。データを、Neuman−Keuls Post Hoc検定での一方向ANOVAにより解析した:**p<0.001、*p<0.05。CCL7中和抗体による処置は、全細胞および空間内への好中球蓄積を有意に減少させ(図13a、図13b)、肺内への好中球の動員において、CCL7が重要な役割を果たすことが示された。cfu数はCCL7中和抗体で処置されたマウスと無処置のマウスとの間で有意な差が無かったので、PAR1拮抗作用と同様に、CCL7中和抗体は、肺炎連鎖球菌感染に対する試験マウスの免疫応答に悪影響を及ぼさなかった。

0112

LDA分析により、LPSが誘導するケモカインCXCL10およびCX3CL1もまたPAR1アンタゴニストによる処置に応答性であり得ることが示されたので、インビボでの中和実験もまた、CXCL10またはCX3CR1に対する抗体を用いて行なった。CXCL10、CX3CR1、または関連するCC−ケモカインCCL12(図14および図13)の中和の後に、好中球蓄積の減少は見られなかった。このことは、これらのケモカインが、炎症を起こした肺内への好中球遊走に直接関与しないことを強く示唆する。

0113

CCR2の役割をさらに除外するために、マウスをCCL2受容体CCR2に対するブロッキング抗体も用いて処置した(Bruhl,H.et al Arthritis Rheum.56,2975−2985(2007))。この抗体によるマウスの処置は、LPSにより誘導される好中球蓄積に対して効果がなかった(図10C)。このことは、CCR2が、好中球の動員に必須ではないことをさらに示唆する。効果的なターゲットの結合は、CCR2を発現することが知られる全身性の循環中のGr−1+/CD11b+単球(Bruhl,H.et al Arthritis Rheum.56,2975−2985(2007))が、好適に使い尽くされることを示すことにより確認された(図10d)。したがって、これらのデータは、好中球の動員が、CCR2または循環する単球の存在に依存しないことを示す。

0114

CCL2およびCCL7が白血球を肺内に直接的に動員することが可能であるか否かを決定するために、組み換えCCL2または組み換えCCL7を、ナイーブマウスの肺内へ投与し、3時間後にBAL液をサンプリングした。rCCL2またはrCCL7のいずれかの直接的な点滴は、生理食塩水で処置したコントロールと比較して、BAL液から回収された全細胞数を増加させた(図15A)。rCCL2の投与は、rCCL7と比較して、より多い数の白血球の動員を誘導した(図15A)。さらに、rCCL2またはrCCL7の投与は、肺空間内への好中球の動員ももたらした(図15B)。BAL液から回収した全細胞のパーセンテージとして表すと、rCCL7は、rCCL2と比較して、合計の好中球の数は同程度だが、好中球の選択的な蓄積を促進することがデータから明らかであった(図15C)。生理食塩水(図15D)、rCCL2(図15E)、またはrCCL7(図15F)の投与後に、サイトスピン装置で、差次的な細胞のカウントを行なった。これらのデータは、CCL2およびCCL7の両方が、いかなる根底となる炎症も存在せずに、肺内へ好中球を引き寄せることが可能であることを明らかにする。

0115

CC−ケモカイン受容体CCR1が、CCL7依存性の好中球性の肺炎を仲介するか否か評価するために、LPSチャレンジの後に、CCR1に対するアンタゴニストでマウスを処置した(図10e)。CCR1処置後に、空間における好中球増加の低減が見られた。

0116

まとめると、これらのデータは、CCL7は、急性肺炎の間の、空間内への好中球の遊走のための重要なケモカインであること、さらに、好中球遊走は、少なくとも部分的に、CCR1に依存することを示す。

0117

4.CCL7は、気管支上皮細胞から放出される。
PAR1活性化の下流の好中球遊走が、非古典的な好中球ケモカインCCL7により仲介されるという知見は、予想に反した。CCL7の細胞源を決定するために、生理食塩水で処置した、および、LPSをチャレンジしたマウス由来の、一連の肺断面における、CCL7およびGr−1+好中球の免疫的局在性を調べた。生理食塩水で処置したコントロールの肺では、主に気管支上皮に限定された弱いCCL7染色が見られた(図16a)。LPS損傷に応答してCCL7免疫染色は著しく増加し、また、主に気管支上皮と関連した(図16b)。肺胞上皮では、弱い免疫的局在性のみ検出された。とりわけ、LPSで誘導したCCL7の免疫反応性は、PAR1アンタゴニストで処置したマウスにおいて減少した(図16c)。次に、一連の肺断面において好中球を検出するために、Gr−1特異的な免疫染色を行なった。生理食塩水で処置したコントロールでは、Gr−1染色は検出することはできなかった(図16d)。LPSによるチャレンジの後に、Gr−1+細胞は、特に、強いCCL7免疫反応性を示す領域において増加した(図16e)。予想どおり、PAR1拮抗作用は、LPSをチャレンジしたマウスの肺において、Gr−1免疫反応性を減少させた(図16f)。

0118

まとめると、これらの試験は、炎症を起こした肺内への好中球蓄積をLPS損傷が促進するのに続いて、CCL7が気管支上皮により産生および放出されるという知見を強く支持する。PAR1アンタゴニストで処置されたマウスにおける、CCL7およびGr−1陽性減衰は、炎症を起こした肺内への好中球動員の制御において重要な役割を果たすPAR1−CCL7系とも合致する。

0119

LPSにより誘導される上皮−内皮バリアの崩壊に対する、PAR1拮抗作用の効果を調べるために、LPSをチャレンジしたマウスから回収したBAL液中の血清アルブミンを測定した。血清アルブミンは通常、肺血管系および全身性循環においてのみ検出され、健康な空間内には検出されない。LPSは、チャレンジしたマウスのBAL液中の血清アルブミンの増加を誘導した(バリア破壊を示す)。しかしながら、PAR1拮抗作用は、BAL液の血清アルブミンを有意に減少させ(p=***)、したがって、上皮−内皮崩壊を減少させた(図16g)。

0120

上皮/内皮バリアの完全性に対してPAR1が与える影響をさらに評価するために、肺炎連鎖球菌チャレンジの後に、BAL液中の血清アルブミンレベルを測定した(図16h)。PAR1アンタゴニストによる処置は、肺炎連鎖球菌によるチャレンジの後のBAL液の血清アルブミンを減少させ、PAR1が、細菌により誘導される肺胞−毛管バリアの崩壊の重要なメディエーターであることを示した。

0121

まとめると、これらのデータは、PAR1シグナリングが、直接的な肺損傷の後の炎症性応答に寄与すること、および、この受容体の拮抗作用が、宿主防御を損なわずに過剰な炎症および組織損傷を低減させることの、説得力のある証拠を提供する。

0122

5.CCL7は、ALIの間のヒト好中球の化学走性を制御する。
CXCL8(IL−8)がヒト好中球性肺疾患における重要なケモカインであるということは広く認められているが(Miller,E.J.et al Am.Rev.Respir.Dis.146,427−432(1992))、他のケモカインが疾患病因と関連するか否かは確かでない。ヒト疾患に対するこれらの知見の潜在的意義を調べるために、次に、LPSにより誘導されるALIのヒトモデルにおいて、CCL7が増加するか否か調べた。これらの試験のために、前述のとおり、LPS(50μg)をチャレンジしてから6時間の健常なボランティア由来のBAL液中のCCL7を、ELISAにより測定した(Shyamsundar,M.et al Am.J.Respir.Crit Care Med.179,1107−1114(2009))。LPSをチャレンジした個体の肺では、コントロールの生理食塩水を与えられたボランティアと比較して、CCL7レベルが有意に増加する(p=0.01)ことが分かった(図17a)。CCL7は直接的な好中球化学誘引物質であるとは考えられていないが(Gouwy,M.et al J.Leukoc.Biol.76,185−194(2004))、古典的な化学誘引物質に応答してCCL7がヒト好中球の遊走を促進する可能性を調べた。この目的を達成するために、ヒトボランティアの末梢血から単離されたばかりの好中球を用いて、広範囲の化学走性試験を行なった。ヒト好中球は、健常なボランティアの血液から分離した(英国Human Tissue Actの下で同意書を得た)。好中球を、二重のHistopaqueグラジエント(Histopaque 1119,Histopaque 1088,Sigma)により精製した。細胞の数および純度を、顕微鏡により評価した。ウェルあたり5×104の好中球をChemoTXプレート(Neuro Probe)にわたって(96ウェルプレート中、3μmのポア)用いた。組み換えヒトCXCL8(IL−8)およびCCL7(Peprotech)を、50ng/mlで用いた。好中球を5%CO2中で37℃でインキュベートし、下のチャンバー内に遊走した細胞を、血球計算器を用いて45分後にカウントした。予想どおり、これらの実験により、CXCL8(50ng/ml)は、培地単独と比較して、好中球の遊走を増加させる(p=0.024)ことが明らかとなった。対照的に、CCL7(50ng/ml)単独では、好中球の遊走に影響を及ぼさなかった(図17b)。しかしながら、好中球遊走は、CXCL8単独と比較して、CXCL8およびCCL7の両方に応答して有意に増加し(p=0.001)、これらの2つのケモカインは、相乗的に好中球の化学走性を高めることを示唆した。

0123

ケモカイン特異的な中和抗体を用いて、LPSで処置したボランティアから得られたBAL液の好中球の化学走性活性に対するこれらのケモカインの寄与を調べた。この洗浄液は、単離されたばかりのヒト好中球に関して非常に化学走性であった。また、分離されたヒト好中球の化学走性を、10μg/mlの抗−ヒトCCL7中和抗体(抗−ヒトCCL7AF−282−NA,R7D Systems)または10μg/mlの抗−ヒトIL−8中和抗体(抗−ヒトIL−8 AB−208−NA,R&D Systems)を含む、または含まない、ヒトBAL液(上述)に応答させて測定した。ウェルあたり5×104の好中球を添加する前に、BAL液を各中和抗体とともに10分間インキュベートした。特異的な抗体によるCXCL8の中和は、LPSでチャレンジしたボランティアから得られた洗浄液に応答する好中球の化学走性を減少させた(図17c)。重要なことに、CCL7の中和もまた、好中球の化学走性を有意に減少させ(p=0.036)、CXCL8の中和よりも、好中球の化学走性を防止するのに効果的であった(p=0.017)。CXCL8およびCCL7に対する中和抗体の組み合わせは、CCL7単独と同程度まで好中球の化学走性を有意に減少させ(p=0.015)、したがって、CCL7の機能性重要性が示された。

0124

それから、集中治療室環境内で確実にALIと診断された患者から得られたBAL液中のCCL7およびCCL2のレベルを測定した。ALIを有する患者から得られたBAL液中のCCL7およびCCL2のレベルは、それぞれ、健常者と比較して有意に増加し(図17dおよび図17f)、CCL7およびCCL2が、ALI/ARDSの間に重要な役割を果たし得ることを示した。CCL7のレベルは、LPSをチャレンジしたボランティア由来のBALF中のレベル(8.6+/−2.1pg/ml)と比較して、ALI患者のBAL液中では10倍高く(87.7+/−17.7pg/ml)、CCL7のレベルが疾患の重症度と関連し得ることを示した。LPSをチャレンジしたボランティアから得られたBAL液で見られたように、ALI患者由来のBAL液は、好中球に関して非常に化学走性であった。驚くことに、CXCL8単独の中和は、全てのALIのBAL液に応答した好中球の化学走性を有意に減少させず(p=0.09)(図17e)、他の好中球化学走性メディエーターがBALF中に存在し得ることを示した。しかしながら、CCL7の中和は、このBAL液に応答したヒト好中球の化学走性を有意に減少させ(p=0.007)、一方で、CXCL8およびCCL7の両方の中和は、化学走性をさらに減少させた(p=0.0007)。まとめると、これらのデータにより、ALIの状況でのヒト好中球の化学走性の調節におけるCCL7およびCCL2の機能性の重要性が確証され、および、CXCL8のみの阻害は、この疾患の状況において好中球の動員を阻害するのに不十分であり得ることが示唆される。

実施例

0125

6.好中球は、炎症を起こした肺において、CC−ケモカイン受容体を発現する。
CC−ケモカインに応答する好中球の能力を評価するために、血液、ナイーブ肺およびLPSチャレンジした肺から分離した好中球上の、公知のCC−ケモカイン受容体であるCCR1、CCR2およびCCR3の発現を評価し、フローサイトメトリーにより、主な好中球化学誘引物質CXCL1(KC)受容体CXCR2と比較した。血液から分離した好中球上のCCR1またはCCR2の発現が最少であることが観察され(図18A)、一方で、ごく少ないパーセンテージの血液の好中球がCCR3を発現した(LPSチャレンジは血液の好中球上のCRR発現に影響を及ぼさなかったので、明確にする目的のために、LPSチャレンジした動物由来の血液のフローサイトメトリープロットのみ示す)。比較すると、血液から分離されたほとんど全ての好中球が、CXCR2を発現した(図18A、図18D)。ナイーブ肺から分離された好中球は、95%よりも多くがCXCR2を発現したのに対し(図18B、図18D)、CCR1、CCR2およびCCR3を発現した好中球のパーセンテージは低かった(図18B)。しかしながら、LPSチャレンジの後に肺組織から分離された好中球は、有意により高いパーセンテージがCCR1を発現し、特にCCR2を発現した(図18C、図18D)。CCR2を発現する好中球のパーセンテージは、LPSチャレンジの後は35%よりも高いのに比較して、ナイーブ肺では約10%だけであった(図18D)。炎症を起こした肺組織から分離されたCCR3を発現する好中球は、パーセンテージが増加しなかった(図18D)。興味深いことに、炎症を起こした肺組織から分離されたCXCR2を発現する好中球のパーセンテージ(>95%)は、LPSによるチャレンジの後、ナイーブ肺と比較して減少し(<60%)(図18D)、炎症性応答中に肺組織内へ遊走するときに、好中球は新規のケモカイン受容体を獲得することを示した。

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