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技術 含フッ素オレフィンの製造方法

出願人 ダイキン工業株式会社
発明者 加留部大輔茶木勇博西海雅巳柴沼俊荒井将司
出願日 2013年1月24日 (7年9ヶ月経過) 出願番号 2014-551904
公開日 2015年3月26日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-509096
状態 特許登録済
技術分野 触媒を使用する低分子有機合成反応 有機低分子化合物及びその製造 触媒
主要キーワード 仕込み流 乾燥スラリー 気化領域 ニオブ塩 乾燥皿 バナジウム量 フルオロオレフィン化合物 予熱領域
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題・解決手段

本発明は、第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種触媒の存在下で、含塩素アルケン又は含塩素アルカンフッ素化剤とを気相で反応させることを含む、フルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。本発明の方法によれば、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

概要

背景

一般式:CF3(CX2)nCF=CH2、一般式:CF3(CX2)nCH=CHF等で表されるフルオロオレフィンは、各種機能性材料溶媒冷媒発泡剤や、機能性重合体モノマーやそれらの原料などとして有用な構造の化合物であり、例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体改質用モノマーとして用いられている。また、上記したフルオロオレフィンの内で、CF3CF=CH2で表される化合物(HFO-1234yf)やCF3CH=CHFで表される化合物(HFO-1234ze)は、近年、地球温暖化係数の低い冷媒化合物として有望視され、注目を集めている。

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法として、目的とするフルオロオレフィンと同じ炭素数を持つ含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料として、触媒の存在下で無水フッ化水素等のフッ素化剤と反応させる方法が多数報告されている。これらの方法では、触媒としては、酸化クロム触媒アンチモン触媒等が用いられており、特に、酸化クロム触媒は、工業的使用が容易であることから広く用いられている(下記特許文献1参照)。

しかしながら、酸化クロム触媒を用いる場合には、原料の転化率はそれほど高くないことが多く、その場合、単位時間あたりの十分な生産量を得るためには反応設備を大きくする必要があり、設備費や運転費用などの面で不経済である。

しかも、酸化クロム触媒を用いると、しばしば目的物変換不可能な複数の副生成物が生成し、それにより目的とするフルオロオレフィンの収率の低下、精製工程の煩雑化や精製工程設備コストアップ等の問題が生じる。また酸化クロム触媒を用いる場合には,条件によっては活性劣化が著しいため,本来の反応には不要である活性劣化抑制剤を導入する必要性が生じ,副生成物の増加や生成工程の煩雑化によるコストアップ要因となる。

概要

本発明は、第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の触媒の存在下で、含塩素アルケン又は含塩素アルカンとフッ素化剤とを気相で反応させることを含む、フルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。本発明の方法によれば、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

目的

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法として、目的とする

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
4件

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請求項1

第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種触媒の存在下で、少なくとも一種の含塩素化合物フッ素化剤とを、気相において反応させることを含む、一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、下記一般式(5)で表される含塩素アルケン原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンの製造方法であって、該少なくとも一種の含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合は、ZはCl又はFであり、YがFの場合は、ZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれたものである、フルオロオレフィンの製造方法。

請求項2

触媒に含まれる第5族元素が、V及びNbからなる群から選ばれた少なくとも一種である、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項3

触媒中に含まれる第5族元素が、V,Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上である、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項4

触媒中において、第5族元素が、該触媒中のCrと第5族元素の合計量を基準として、0.1〜30原子%含まれている、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項5

触媒が、該触媒中のバナジウム量がCrと第5族元素の合計量を基準として0.1〜6原子%のバナジウムを含むものである、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項6

フッ素化剤が、無水フッ化水素である、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項7

原料とする含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2で表される化合物、又は、上記一般式(6−1)で表される化合物と一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHFで表される化合物との混合物(但し、一般式(6−1)及び(6−2)のそれぞれにおいて、nは0〜2の整数であり、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)である請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項8

原料とする含塩素化合物が、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、CF3CFClCH3(HCFC−244bb)、CCl3CCl=CH2(HCO−1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO−1233xf)及びCH2ClCCl=CCl2(HCO−1230xa)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO−1234yf)、又はCF3CF=CH2(HFO−1234yf)とCF3CH=CHF(HFO−1234ze)との混合物である、請求項7に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項9

原料とする含塩素化合物が、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンである、請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項10

原料とする含塩素化合物が、CCl3CH=CHCl (HCO−1230zd)及びCF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO−1234ze)である、請求項9に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項11

原料とする含塩素化合物が、CF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO−1234ze)である、請求項10に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項12

酸素、塩素、又は酸素と塩素の両方の存在下で反応を行う請求項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項13

原料とする含塩素化合物1モルに対して0.001〜0.2モルの酸素の存在下にて反応を行う、請求項12に記載のフルオロオレフィンの製造方法。

請求項14

第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物からなる、含塩素アルケン又は含塩素アルカンのフッ素化によるフルオロオレフィン製造用触媒。

請求項15

第5族元素が、V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素である、請求項14に記載の含塩素化合物のフッ素化によるフルオロオレフィン製造用触媒。

技術分野

0001

本発明は、含フッ素オレフィンの製造方法に関する。

背景技術

0002

一般式:CF3(CX2)nCF=CH2、一般式:CF3(CX2)nCH=CHF等で表されるフルオロオレフィンは、各種機能性材料溶媒冷媒発泡剤や、機能性重合体モノマーやそれらの原料などとして有用な構造の化合物であり、例えば、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体改質用モノマーとして用いられている。また、上記したフルオロオレフィンの内で、CF3CF=CH2で表される化合物(HFO-1234yf)やCF3CH=CHFで表される化合物(HFO-1234ze)は、近年、地球温暖化係数の低い冷媒化合物として有望視され、注目を集めている。

0003

上記一般式で表されるフルオロオレフィンの製造方法として、目的とするフルオロオレフィンと同じ炭素数を持つ含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料として、触媒の存在下で無水フッ化水素等のフッ素化剤と反応させる方法が多数報告されている。これらの方法では、触媒としては、酸化クロム触媒アンチモン触媒等が用いられており、特に、酸化クロム触媒は、工業的使用が容易であることから広く用いられている(下記特許文献1参照)。

0004

しかしながら、酸化クロム触媒を用いる場合には、原料の転化率はそれほど高くないことが多く、その場合、単位時間あたりの十分な生産量を得るためには反応設備を大きくする必要があり、設備費や運転費用などの面で不経済である。

0005

しかも、酸化クロム触媒を用いると、しばしば目的物変換不可能な複数の副生成物が生成し、それにより目的とするフルオロオレフィンの収率の低下、精製工程の煩雑化や精製工程設備コストアップ等の問題が生じる。また酸化クロム触媒を用いる場合には,条件によっては活性劣化が著しいため,本来の反応には不要である活性劣化抑制剤を導入する必要性が生じ,副生成物の増加や生成工程の煩雑化によるコストアップ要因となる。

先行技術

0006

WO2010/123154

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記した従来技術の現状に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、工業的使用が容易な触媒を用いて、原料の転化率を向上させ、かつ分離、収率面で問題となる不純物の生成を抑制し、更に、触媒活性劣化を抑制することによって、フルオロオレフィン類を効率よく製造できる方法を提供することである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記した目的を達成すべく鋭意研究を重ねたの結果、次の事項を見出した。即ち、第5族元素を含む酸化クロム又は第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用い、特定の一般式で表される含塩素アルカン又は含塩素アルケンを原料として、フッ素化剤と反応させてフルオロオレフィン化合物を製造する場合には、原料の転化率が向上し、目的とするフルオロオレフィンの選択率も高くなって、効率よくフルオロオレフィンを製造することが可能となる。特に、V,Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上の元素を含む酸化クロム、又はV,Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上の元素を含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いる場合には、原料の転化率がより一層向上し、目的とするフルオロオレフィンの選択率も高くなり、かつ、触媒劣化を抑制することができ、効率よくフルオロオレフィンを製造することが可能となる。

0009

本発明は、これらの知見に基づいて更に研究を重ねた結果完成されたものである。

0010

即ち、本発明は、下記のフルオロオレフィンの製造方法を提供するものである。
項1. 第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の触媒の存在下で、少なくとも一種の含塩素化合物とフッ素化剤とを、気相において反応させることを含む、
一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、下記一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンの製造方法であって、
該少なくとも一種の含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合は、ZはCl又はFであり、YがFの場合は、ZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれたものである、
フルオロオレフィンの製造方法。
項2. 触媒に含まれる第5族元素が、V及びNbからなる群から選ばれた少なくとも一種である、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項3. 触媒中に含まれる第5族元素が、V, Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上である、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項4. 触媒中において、第5族元素が、該触媒中のCrと第5族元素の合計量を基準として、0.1〜30原子%含まれている、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項5. 触媒が、該触媒中のCrと第5族元素の合計量を基準として、0.1〜6原子%のバナジウムを含むものである、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項6. フッ素化剤が、無水フッ化水素である、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項7. 原料とする含塩素化合物が、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2で表される化合物、又は、上記一般式(6−1)で表される化合物と一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHFで表される化合物との混合物(但し、一般式(6−1)及び(6−2)のそれぞれにおいて、nは0〜2の整数であり、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)である上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項8. 原料とする含塩素化合物が、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、CF3CFClCH3(HCFC−244bb)、CCl3CCl=CH2(HCO−1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO−1233xf)及びCH2ClCCl=CCl2(HCO−1230xa)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CF=CH2(HFO−1234yf)、又はCF3CF=CH2(HFO−1234yf)とCF3CH=CHF(HFO−1234ze)との混合物である、上記項7に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項9. 原料とする含塩素化合物が、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンである、上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項10. 原料とする含塩素化合物が、CCl3CH=CHCl (HCO−1230zd)及びCF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)からなる群から選ばれた少なくとも一種であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO−1234ze)である、上記項9に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項11. 原料とする含塩素化合物が、CF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)であり、得られるフルオロオレフィンが、CF3CH=CHF(HFO−1234ze)である、上記項10に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項12.酸素、塩素、又は酸素と塩素の両方の存在下で反応を行う上記項1に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項13. 原料とする含塩素化合物1モルに対して0.001〜0.2モルの酸素の存在下にて反応を行う、上記項12に記載のフルオロオレフィンの製造方法。
項14. 第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の化合物を含む、含塩素アルケン又は含塩素アルカンのフッ素化によるフルオロオレフィン製造用触媒。
項15. 第5族元素が、V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素である、項14に記載の含塩素化合物のフッ素化によるフルオロオレフィン製造用触媒。

0011

以下、本発明のフルオロオレフィンの製造方法について具体的に説明する。

0012

原料化合物
本発明では、原料としては、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Z(式中、Xは各々独立してF又はClである。YはH又はFであり、YがHの場合は、ZはCl又はFであり、YがFの場合は、ZはHである。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2(式中、Xは各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHX(式中、Xは、各々独立してF又はClであり、少なくとも一つのXはCl である。nは0〜2の整数である。)で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2(式中、Xは、各々独立してF又はClである。)で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を用いる。

0013

これらの含塩素化合物を原料として、後述する条件に従って、特定の触媒の存在下に、フッ素化剤と反応させることによって、高い原料転化率で、選択性よく、一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0014

上記した一般式(1)〜(5)で表される含塩素化合物の内で、気相反応を行う上で適切な沸点を持つことから、n=0である炭素数3の化合物が好ましい。n=0の化合物の好ましい具体例を挙げると、一般式(1)で表される含塩素アルカンとしては、CCl3CHClCH2Cl(HCC-240db)、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)、CF3CFClCH3(HCFC-244bb)等を例示でき、一般式(2)で表される含塩素アルカンとしては、CCl3CH2CHCl2(HCC-240fa)、CF3CH2CHCl2(HCFC−243fa)等を例示でき、一般式(3)で表される含塩素アルケンとしては、CCl3CCl=CH2(HCO−1230xf)、CF3CCl=CH2(HCFO−1233xf)等を例示でき、一般式(4)で表される含塩素アルケンとしては、CCl3CH=CHCl (HCO−1230zd)、CF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)等を例示でき、一般式(5)で表される含塩素アルケンとしては、CH2ClCCl=CCl2(HCO−1230xa)等を例示できる。これらの化合物の内で、特に、CF3CCl=CH2 (HCFO-1233xf)及びCF3CH=CHCl (HCFO−1233zd)が好ましい。HCFO−1233xfは、公知化合物であり、例えば、3,3,3-トリフルオロ-1-プロペンに塩素を付加させてHCFC−243dbとした後、アルカリ等で脱塩化水素反応を行うことより容易に得ることができる。

0015

本発明では、上記した原料化合物を一種単独又は二種以上混合して用いることができる。

0016

触 媒
本発明のフルオロアルケンの製造方法では、触媒として、第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種を用いる。この場合、触媒に含まれる第5族元素は、フッ素化剤の存在下、原料の塩素原子、特にオレフィン上の塩素原子をフッ素原子置換するのに優れた効果を持つと考えられる。この様な特定の触媒の存在下に上記した原料化合物とフッ素化剤とを反応させることによって、高い原料転化率で選択性よく目的とするフルオロオレフィンを製造することができる。

0017

第5族元素を含む酸化クロム、及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムでは、第5族元素は、酸化クロム又はフッ素化された酸化クロムと同時に存在すればよく、第5族元素の存在状態は特に限定はない。例えば、酸化クロム又はフッ素化された酸化クロムの表面に第5族元素が偏在していてもよく、或いは、第5族元素と、酸化クロム又はフッ素化された酸化クロムとが均一に混合されている状態であっても良い。これらの場合、第5族元素は、金属として存在してもよく、或いは、酸化物オキシフッ化物等の状態で存在してもよい。また、第5族元素の一部又は全部はクロム金属複合化されて複合酸化物を形成していてもよい。第5族元素を含む酸化クロム及びフッ素化された酸化クロムは、結晶状態又は非晶質状態のいずれでもよく、結晶状態が好ましい。また、結晶状態のクロム酸化物と非晶質状態のクロム酸化物の混合物も使用できる。

0018

第5族元素の具体例としては、バナジウム、ニオブタンタルなどを挙げることができ、入手の容易さや性能の点でバナジウム、ニオブなどが好ましく、特に、ニオブが好ましい。第5族元素は、一種のみ含まれていてもよく、二種以上が含まれていても良い。

0019

本発明で用いる触媒では、第5族元素は4〜5価の状態で存在することが好ましい。この場合、触媒作製用の原料としては、0〜3価の第5族元素を含む化合物を用いてもよく、触媒の製造工程において、第5族元素を酸化して4〜5価とすることができる。

0020

本発明では、特に、触媒として、第5族元素の内でV,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有する酸化クロム、並びにV,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有するフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種を用いることが好ましい。該酸化クロムに含まれるV,Nb及びTaは、いずれもフッ素化剤の存在下、原料の塩素原子、特にオレフィン上の塩素原子をフッ素原子に置換するのに優れた効果を持つと考えられる。このため、V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を同時に含む酸化クロム、又はV,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を同時に含むフッ素化された酸化クロムからなる触媒の存在下に、上記した原料化合物とフッ素化剤とを反応させることによって、より高い原料転化率と、より良好な選択率で目的とするフルオロオレフィンを製造することができる。

0021

V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有する酸化クロムは、酸化クロムを母材とする酸化物であって、クロム以外にV,Nb及びTaのうちの2種類以上の金属元素が同時に含まれていればよく、非晶質及び結晶質のいずれであってもよい。V,Nb及びTaの存在状態についても特に限定はなく、酸化物の状態で存在してもよく、或いは、孤立した1個の金属又はイオンの状態で母体となる酸化クロムに担持されていてもよい。特に、V,Nb及びTaの少なくとも一部は酸化物を形成していることが好ましい。Crに加え,V,Nb及び/又はTaが、酸化物として存在する場合には、例えば、酸化クロム,酸化ニオブ酸化バナジウム酸化タンタル,CrV複合酸化物,CrNb複合酸化物,CrTa複合酸化物,NbV複合酸化物,NbTa複合酸化物,VTa複合酸化物,CrNbV複合酸化物,CrNbTa複合酸化物,CrVTa複合酸化物等の各種の酸化物として存在することができる。これらの酸化物は、いずれも、非晶質及び結晶質のいずれであってもよいが,結晶質であるほうが好ましい。非晶質状態の酸化物と結晶質状態の酸化物の混合物も使用できる。なお,本発明における結晶質状態の酸化物とは、XRDで測定可能な2nm程度以上の結晶子径を有する酸化物を指す。

0022

V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有する酸化クロムは、特に、Cr、Nb、V及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素が少なくとも一種の複合酸化物を形成していることが好ましく、該触媒に含まれる複合酸化物の少なくとも一部が結晶化していることがより好ましい。

0023

V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有するフッ素化された酸化クロムは、V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有する非晶質又は結晶質の酸化クロムをフッ素化することによって形成できる。特に、Cr、Nb、V及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素が少なくとも一種の複合酸化物を形成している酸化クロム触媒を、フッ素化して得られる触媒が好ましく、該複合酸化物の少なくとも一部が結晶化している触媒が好ましい。

0024

上記触媒における第5族元素の量については特に限定的ではないが、第5族元素は、原料の転化率及び目的物選択率を向上させる作用を有するが、添加量が多すぎると、選択率が低下する傾向が認められる。このため、転化率向上の効果を発揮した上で、選択率を高い値に維持するという観点からは、触媒中のCrと第5族元素の合計量を基準として、第5族元素の量が0.1〜30原子%程度であることが好ましく、0.1〜25原子%程度であることがより好ましく、0.1〜10原子%程度であることが更に好ましい。V,Nb及びTaからなる群から選ばれた2種以上の元素を含有する場合にも、これらの元素の合計量が上記した範囲内であればよい。

0025

また、第5族元素がV(バナジウム)である場合には、添加量が多すぎると、選択率が低下する傾向が認められるため、Vの量は、触媒中の第5族元素とCrの合計量を基準として0.1〜6原子%程度であることが好ましく、0.1〜5原子%程度であることがより好ましい。

0026

触媒の製造方法
上記した触媒を製造する方法については特に限定的ではないが、例えば、第5族元素を含む酸化クロムを製造する方法としては、第5族元素を含む溶液に、酸化クロム又はその前駆体である水酸化クロムを添加して、第5族元素を含浸させた後、溶媒を除去し、残留物焼成する方法(含浸法);Crに加えて第5族元素を含む溶液からCr及び第5族元素を水酸化物アンモニウム塩炭酸塩炭酸水素塩等として沈殿させた後、沈殿物洗浄、乾燥した後、焼成する方法(共沈法);Cr及び第5族元素を含む溶液を水熱合成反応に供することで溶液からCr及び第5族元素を沈殿させ、その後分離した沈殿物を焼成する方法(水熱合成法):Cr及び第5族元素を含む塩、Cr及び第5族元素を含む酸化物等を乳鉢などを用いて物理的に混合し、必要に応じて、この混合物を焼成する方法 (混錬法)等を例示できる。その他、昇華性を有する第5族元素を含む金属塩、例えば、塩化ニオブ塩化バナジウム塩化タンタル等と、酸化クロムとを乳鉢などを用いて物理的に混合した後、昇華性金属塩の昇華温度以上に加熱して、昇華した金属塩を酸化クロムに蒸着させ、必要に応じて、昇華性金属塩を分解し金属又は金属酸化物として酸化クロムに担持させる方法(化学蒸着法CVD法)などを例示できる。

0027

以下、これらの方法の内で代表的な方法について具体的に説明する。

0028

(a)含浸法:
まず、クロム塩水溶液硝酸クロム塩化クロム、クロムみょうばん硫酸クロム酢酸クロム等)とアンモニア水を混合して水酸化クロムの沈殿を得る。例えば、硝酸クロムの5.7%水溶液に10%のアンモニア水を、硝酸クロム1当量に対して、約1〜1.2当量滴下することによって、水酸化クロムの沈殿を得ることができる。

0029

得られた水酸化クロムを、第5族元素を含む溶液に浸漬したのち,充分に攪拌しながら溶媒を蒸散させることにより水酸化クロムに第5族元素を含浸させた固体を得ることができる。第5族元素を含む溶液は、例えば、水、アルコールカルボン酸などの有機酸を溶媒として、これらの溶媒に第5族元素の可溶性の塩を溶解することによって得ることができる。水酸化クロムを、第5族元素を含む溶液に浸漬したのち溶媒を蒸散させる方法としては,乾燥皿等の中で加熱する方法や,エバポレーターを用いて減圧しながら加熱することで蒸散させる方法等があり,溶媒の沸点等の物性によって適宜選択すればよい。

0030

次いで、上記固体を乾燥する。乾燥は、例えば、空気中、70〜200℃程度で1〜100時間程度行えばよい。

0031

次いで、この生成物解砕し、得られた粉体に、必要に応じてグラファイトを3重量%程度以下混合し、打錠機によりペレットを形成する。ペレットは、例えば、直径3.0mm程度、高さ3.0mm程度とすればよい。

0032

次いで、成形されたペレットを不活性雰囲気中、例えば窒素気流中で焼成する。

0033

この際、必要に応じて、焼成温度を調節することによって、第5族元素を含む酸化クロムの結晶性を調整することができる。例えば、第5族元素を含む非晶質の酸化クロムを得るには、380〜460℃程度で1〜5時間程度焼成すればよい。

0034

また、上記方法において、水酸化クロムを調製後、これを焼成して酸化クロムとした後、第5族元素を含む溶液に浸漬し攪拌しながら溶液を蒸散させ、その後、上記した方法に従って、沈殿を濾取し、焼成する方法によっても、第5族元素を含む酸化クロムを得ることができる。

0035

(b)共沈法
共沈法では、含浸法による製造方法で用いたクロム塩を含む溶液に代えて、クロム塩に加えて、第5族元素の塩を溶解した溶液を用い、その他は含浸法と同様にして、沈殿形成濾過乾燥、焼成の工程を経ることによって、第5族元素を含む酸化クロムを得ることができる。

0036

この際、沈殿形成工程の条件や焼成工程の条件を最適化することによって、Cr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物を含む酸化クロム触媒を得ることができる。

0037

例えば,沈殿形成工程ではCr塩の他に、第5族元素の塩を含む溶液を充分に攪拌し,Crと第5族元素の全てが水酸化物等の沈殿を形成するpHになるよう緩衝液または/及びアルカリ液を加えることにより、Crと第5族元素を含む水酸化物等の沈殿が同時に形成される。この沈殿を液から分離回収し、乾燥及び焼成工程に処することにより第5族元素を含む酸化クロムを得ることができる。尚、沈殿物が水酸化物の場合には、各々の水酸化物がランダム縮合することにより,異種金属同士が酸素原子を介して結合した構造をもつ複合酸化物の沈殿物が生成する。これを液から沈殿物を分離回収し、乾燥及び焼成工程に処することによりCrと第5族元素からなる群から選ばれる2種以上の元素からなる複数種の複合酸化物を含む酸化クロムを得ることができる。この際、焼成工程の条件を調整することによって、非晶質若しくは結晶性、又はその両方が混在した複合酸化物を含む酸化クロムを得ることができる。

0038

ここで使用するアルカリ液については特に限定的ではないが、水酸化ナトリウム水溶液水酸化カリウム水溶液炭酸水素ナトリウム水溶液炭酸水素カリウム水溶液、アンモニア水、尿素溶液等のアルカリ性を示す水溶液を用いることができる。

0039

共沈法によって非晶質の複合酸化物を得るには、上記共沈工程で得た複合酸化物の沈殿物をろ別回収して乾燥後、焼成工程において、N2等の不活性ガス気流中で、例えば、380℃〜460℃で1〜5時間焼成すればよい。

0040

一方、複合酸化物の一部または全部が結晶化した、第5族元素を含む酸化クロムを得るには、例えば、上記した焼成工程において、空気や、所望のO2濃度に調整したN2とO2の混合ガス雰囲気下で350℃〜1000℃で1〜5時間程度焼成すればよい。

0041

(c)水熱合成法
Cr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物を含む酸化クロム触媒は、水熱合成法によっても製造することができる。例えば、Cr塩の他に、少なくとも一種の第5族元素の塩を溶解した溶液を加圧密閉容器封入し、例えば、180〜400℃で20〜200時間加熱処理し、生成した沈殿物を、必要に応じて水洗し、分離回収、乾燥、及び焼成工程に供する。これにより、Cr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物を含む酸化クロム触媒が得られる。この際、共沈法による調製法と同様に、焼成工程の条件を調製することにより非晶質状態の複合酸化物、又は少なくとも一部が結晶化した複合酸化物を含む酸化クロムが得られる。

0042

(d)第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムの製造方法
第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムについては、第5族元素を含む酸化物クロムをフッ素化(HF処理)することによって得ることができる。フッ素化処理の温度は、例えば100〜460℃程度とすればよい。この際、第5族元素を含む酸化物クロムとしては、Cr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物が含まれる酸化クロムであってもよく、或いは、該複合酸化物が含まれない酸化クロムであっても良い。また、いずれの場合も、第5族元素を含む酸化物クロムは、非晶質であってもよく、一部または全部が結晶化した複合酸化物や酸化クロムが含まれていても良いが,少なくとも一部または全部が結晶化した酸化クロムであるほうが触媒の安定性や選択率向上の点からより好ましい。

0043

フッ素化の程度については、特に限定的ではないが、例えば、第5族元素を含むフッ素化された酸化クロム全体を基準として、フッ素含有量が1〜30重量%程度のものを好適に用いることができる。

0044

第5族元素を含む酸化クロムのフッ素化反応は、後述する本発明方法の実施に先立って、当該酸化クロムを充填した反応器に無水フッ化水素を供給することによって行ってもよい。また、第5族元素を含む酸化クロムを、含塩素化合物のフッ素化反応の触媒として用いることにより、反応中に徐々に該酸化クロムがフッ素化されても良い。

0045

上記いずれの場合でも、フッ素化後の酸化クロムには、Cr及び第5族元素の各元素は、酸化物、フッ化物、フッ化酸化物等として存在することができる。また、Cr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物、これら複合酸化物の一部がフッ素化された複合フッ化酸化物等が存在することがある。このフッ素化された複合酸化物は、非結晶又は少なくとも一部が結晶化していてもよい。

0046

尚、フッ素化処理前の触媒に複合酸化物が含まれない場合であっても、本発明方法を行う前の触媒のフッ素化処理、或いは、本発明方法を実施する際の含塩素化合物のフッ素化反応中にCr及び第5族元素からなる群から選ばれた2種以上の元素を含む複合酸化物が形成されることがある。また、フッ素化処理前では非晶質であったものが、フッ素化中又は含塩素化合物のフッ素化反応中に一部または全部が結晶化されることがある。本発明では、これらの触媒も有効に用いることができる。

0047

反応方法
本発明では、上記した第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の触媒の存在下において、前述した原料化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させればよい。

0048

フッ素化剤としては、フッ素ガス、無水フッ化水素等を用いることができ、無水フッ化水素が好ましい。

0049

原料化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させる方法としては、原料化合物とフッ素化剤が触媒に接触する際に、原料化合物とフッ素化剤が気体状態であればよく、原料化合物及びフッ素化剤の供給時には、これらが液体状態であってもよい。例えば、原料化合物が常温、常圧で液状である場合には、原料化合物を気化器を用いて気化(気化領域)させてから予熱領域を通過させ、触媒と接触させる混合領域に供給すればよい。これによって、気相状態で反応を行うことができる。或いは、反応器に充填した触媒層を原料化合物の気化温度以上に加熱しながら、原料化合物を液体状態で反応装置に供給し、フッ素化剤との反応領域に達した時に原料化合物を気化させて反応させてもよい。

0050

導入するフッ素化剤と原料化合物との比率については特に限定的ではないが、フッ素化剤の量が少なすぎると、原料化合物の転化率が低下する傾向がある。一方、フッ素化剤の比率が多すぎると、反応後にフッ素化剤の分離量が増加することによる生産性の低下がある。これらの点から、フッ素化剤として無水フッ化水素を用いる場合には、通常、無水フッ化水素の量は、原料化合物1モルに対して、1モル以上であることが好ましく、3モル以上であることがより好ましく、5モル以上であることが更に好ましく、5〜20モル程度であることが特に好ましい。

0051

本発明方法の具体的な実施態様の一例としては、管型の流通型反応器を用い、該反応器に上記した触媒を充填し、原料として用いる含塩素化合物とフッ素化剤を反応器に導入する方法を挙げることができる。

0052

反応器としては、ハステロイ(HASTELLOY)、インコネル(INCONEL)、モネル(MONEL)等のフッ化水素の腐食作用抵抗性がある材料によって構成されるものを用いることが好ましい。

0053

上記した原料は、反応器にそのまま供給してもよく、或いは、窒素ヘリウムアルゴン等の原料や触媒に対して不活性ガス共存させてもよい。不活性ガスの濃度は、反応器に導入される気体成分、即ち、含塩素化合物及びフッ素化剤に、不活性ガスを加えた量の0〜80 mol%程度とすることができる。

0054

また、本発明方法では、必要に応じて、分子状塩素及び酸素のいずれか一方又は両方の存在下に反応を行うことによって、触媒活性の低下を抑制して、長期間継続して高い選択率で目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。

0055

分子状塩素及び/又は酸素の存在下に反応を行う方法については特に限定はないが、通常は、分子状塩素及び酸素のいずれか一方又は両方を、原料として用いる含塩素化合物と共に反応器に供給すればよい。

0056

分子状塩素の供給量は、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001~0.05モル程度とすることが好ましく、0.002〜0.03モル程度とすることがより好ましい。

0057

酸素の供給量についても特に限定的でないが、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001モル程度以上とすることが好ましく、0.001〜0.3モル程度とすることがより好ましい。

0058

尚、第5族元素としてバナジウムを含む触媒については、前述した通り、原料転化率向上の効果を発揮した上で、選択率を高い値に維持するために、バナジウム含有量が触媒中のCrと第5族元素の合計量を基準として0.1〜6原子%程度であることが好ましく、0.1〜5原子%程度であることがより好ましいが、バナジウム量がこの範囲の触媒を用いる場合には、原料として用いる含塩素化合物1モルに対して、0.001〜0.1モル程度という比較的少量の酸素を供給することで、触媒の劣化を抑制する効果が十分に発揮される。このため、酸素が過剰に存在する場合の弊害である収率悪化も回避できる。尚、バナジウム量が、Crと第5族元素の合計量を基準として3原子%を上回る触媒の場合には、酸素量が増加すると選択率が低下する傾向がある。このため、バナジウム量が3原子%を上回る触媒を用いる場合には、選択率低下を抑制するという観点から、原料化合物1モルに対して、酸素供給量を0.001〜0.05モル程度とすることが好ましく、0.001〜0.02モル程度とすることがより好ましい。

0059

また、バナジウム量が、Crと第5族元素の合計量を基準として、0.1〜5原子%程度、好ましくは0.1〜3原子%程度,より好ましくは0.1〜1原子%程度の触媒を用いる場合には、前述した酸素供給量(原料化合物1モルに対して0.001〜0.1モル程度)の範囲内において、転化率を高い値に維持でき、選択率の低下も抑制できるが、酸素供給量が0.001〜0.05モル程度、好ましくは0.001〜0.02モル程度という少量であっても、転化率の低下を防止でき、選択率を高い値に維持することが可能である。

0060

なお,触媒の組成比表面積,金属の価数などは一般的に用いられる分析手法を用いて分析することができる。例えば組成はSEMや原子吸光法,比表面積はBET法,金属の価数はXPSなどで分析可能であるが,これらに限定されるものではない。

0061

更に、本発明の方法では、原料として用いる含塩素化合物とフッ素化剤とを気相状態で反応させる際に、反応系に含まれる水分量を低濃度に制御して反応を行うことによって、触媒活性の低下を抑制して長期間連続して高収率で目的とするフルオロオレフィンを製造することが可能となる。この場合、反応系中に含まれる水分量は、原料として用いる含塩素化合物の重量を基準として300ppm以下とすることが好ましく、100ppm以下とすることがより好ましい。

0062

尚、反応系に含まれる水分量とは、含塩素化合物とフッ素化剤が触媒に接触して反応が行われる際に存在する水分量であり、原料として用いる含塩素化合物とフッ素化剤に含まれる水分の他に、必要に応じて添加する成分である、分子状塩素、酸素、不活性ガス等に含まれる水分を加えた量である。

0063

反応系に含まれる水分量を低下させる方法については特に限定はなく、原料として用いる含塩素化合物、フッ化水素、その他の添加成分について、反応に使用する前に公知の方法で脱水処理を行えばよく、脱水処理を行った後、反応に供給する方法や、脱水処理を施した後に引き続き反応系に供給する方法等を適宜適用できる。

0064

反応温度については、低すぎると原料転化率が大きく低下し、高すぎると、不純物の副生が増大して選択率が低下し、更に、触媒が変質するおそれがある。これらの点から、反応温度は200℃〜550℃程度とすることが好ましく、250℃〜380℃程度とすることがより好ましい。

0065

反応時の圧力については、特に限定的ではないが、大気圧〜3MPaの範囲であることが好ましく、大気圧〜0.3MPa程度の範囲であることがより好ましい。反応時の圧力を高くすると原料の転化率が向上する場合があるが、圧力が高すぎると、安全上、経済上のリスクが高くなる他、目的物の選択率が低下する場合もあるので好ましくない。

0066

反応時間については特に限定的ではないが、例えば、反応系に流す原料ガス全流量F0 (0℃、0.1 MPaでの流量:mL/sec)に対する触媒の充填量W (g)の比率で表される接触時間:W/F0を0.1〜100 g・sec/Nmlの範囲とすることが好ましく、5〜50 g・sec/Nml程度の範囲とすることがより好ましい。尚、この場合の原料ガスの全流量とは、含塩素化合物、及びフッ素化剤の流量に、更に、不活性ガス、分子状塩素、酸素などを用いる場合には、これらの流量を加えた合計である。

0067

反応生成物
上記した方法によれば、上記した原料化合物のフッ素化反応によって、高い原料転化率で、選択性良く一般式(6):CF3(CF2)nCA=CHB(式中、A及びBは、一方がFであり、他方がHである。nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0068

具体的には、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料とする場合には、一般式(6)において、AがFであり、BがHである化合物、即ち、一般式(6−1):CF3(CF2)nCF=CH2で表される化合物を得ることができ、同時に、生成物には、その他のフルオロオレフィンとして、一般式(6)において、AがHであり、BがFである化合物、即ち、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(両式中、nは0〜2の整数である。但し、一般式(5)で表される含塩素アルケンを原料とした場合にはn=0である。)で表されるフルオロオレフィンが含まれことがある。また、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物を原料とする場合には、一般式(6)において、AがHであり、BがFである化合物、即ち、一般式(6−2):CF3(CF2)nCH=CHF(式中、nは0〜2の整数である。)で表されるフルオロオレフィンを得ることができる。

0069

例えば、原料として、一般式(1)で表される含塩素アルカン(例えば、CF3CHClCH2Cl(HCFC-243db)又はCF3CFClCH3(HCFC−244bb))、一般式(3)で表される含塩素アルケン(例えば、CCl3CCl=CH2(HCO−1230xf)又はCF3CCl=CH2(HCFO−1233xf))、一般式(5)で表される含塩素アルケン(例えば、CH2ClCCl=CCl2(HCO−1230xa))等を用いる場合には、一般式:CF3CF=CH2(HFO−1234yf)で表される2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることができ、生成物中には、HFO−1234yfと同時に一般式:CF3CH=CHF(HFO−1234ze)で表される1,3,3,3−テトラフルオロプロペンが含まれることがある。また、一般式(4)で表される含塩素アルケン(例えば、CCl3CH=CHCl (HCO−1230zd)又はCF3CH=CHCl (HCFO−1233zd))等を原料とする場合には、一般式:CF3CH=CHF(HFO−1234ze)で表される1,3,3,3−テトラフルオロプロペンを得ることができる。

0070

また、一般式(1):CX3(CX2)nCClYCH2Zで表される含塩素アルカン、一般式(3):CX3(CX2)nCCl=CH2で表される含塩素アルケン、及び一般式(5):CH2XCCl=CX2で表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物と、一般式(2):CX3(CX2)nCH2CHX2で表される含塩素アルカン、及び一般式(4):CX3(CX2)nCH=CHXで表される含塩素アルケンからなる群から選ばれた少なくとも一種の含塩素化合物との混合物を原料とする場合には、一般式(6−1)で表されるフルオロオレフィンと、一般式(6−2)で表されるフルオロオレフィンの混合物を得ることができる。

0071

反応生成物は、蒸留などによって精製して回収することが出来る。また、反応器の出口未反応原料もしくは中間物は分離・精製後に再び反応器に戻してリサイクルして用いることができる。この様に未反応の原料をリサイクルできることによって、仮に原料転化率が高くない場合であっても、高い生産性を維持することができる。

0072

尚、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)を製造する際に、生成物中に含まれる副生物の主要成分である1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)は、脱フッ化水素反応によって2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)に容易に変換できるため、生成物中に含まれる1,1,1,2,2-ペンタフルオロプロパン(HFC-245cb)も、有用な化合物である。また、1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)を製造する際に、生成物中に含まれる副生物の主要成分である1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)は、脱フッ化水素反応によって1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)に容易に変換できるため、生成物中に含まれる1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)も、有用な化合物である。

発明の効果

0073

本発明方法によれば、第5族元素を含む酸化クロム及び第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムからなる群から選ばれた少なくとも一種の触媒のという特定の触媒の存在下において、特定の一般式で表される含塩素化合物を原料として、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができる。特に、V,Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上の元素を含む酸化クロム、又はV,Nb及びTaからなる群から選ばれる2種以上の元素を含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いる場合には、原料の転化率がより一層向上し、目的とするフルオロオレフィンの選択率もより高くなり、かつ、触媒劣化を抑制することができ、効率よくフルオロオレフィンを製造することが可能となる。

0074

このため、本発明の方法は、含塩素化合物のフッ素化反応によってフルオロオレフィンを製造する方法として、工業的に有利な方法である。

実施例

0075

以下、本発明で用いる触媒の製造例と、本発明の実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明する。

0076

製造例1(酸化クロム触媒前駆体の調製)
硝酸クロム9水和物77gを溶解させた水溶液900gに10%アンモニア水118gを加え、水酸化クロムを中和沈殿させた。その水酸化クロム沈殿物を、ブフナー漏斗を用いてろ取し、脱イオン水で洗浄して水酸化クロムを得た。

0077

製造例2(ニオブ含有酸化クロム触媒の調製:含浸法)
シュウ酸ニオブアンモニウム3.1gを水200ccに溶解させて調製したニオブ塩の水溶液に、製造例1と同様の方法で調製した水酸化クロムの沈殿物300g(洗浄後の湿潤状態での重量)を加え、スラリーを形成し、これを攪拌しながら加熱して水を蒸発させ、得られた固体を120℃で12時間乾燥させた。この固体を粉末にした後、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型し、さらに窒素気流中400℃で焼成し、ニオブ含有酸化クロムを得た。

0078

このニオブ含有酸化クロムはSEMで分析した結果、クロムとバナジウムの原子比は約96:4であり、組成はおよそCr0.96Nb0.04O2.02で表されることがわかった。また当該酸化物のXRDパターンから、この酸化物は非晶質であることがわかった。

0079

製造例3(ニオブ含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
酢酸アンモニウム65.0gおよび25%アンモニア水15.0gを水1Lに溶解して得た液に、硝酸クロム20.9g及び塩化ニオブ1.78g(クロム:ニオブ(モル比)=90:10)をエタノール105mLに溶解して得たクロム-ニオブエタノール溶液を滴下した。

0080

生成した沈殿物を遠心分離およびろ過して回収し、回収物を脱イオン水を用いて洗浄し、これら分離と洗浄を繰り返して沈殿物を回収した。回収した沈殿物を120℃で12時間乾燥させた後、Air雰囲気下、700℃以上で焼成して、ニオブ含有酸化クロムを得た。得られたニオブ含有酸化クロムはSEMで分析した結果、クロム:ニオブ原子数比が90:10であり、当該酸化物の組成はおよそCr0.90Nb0.10O2.05で表されることがわかった。

0081

上記焼成後のニオブ含有酸化クロム触媒は、XRDパターンから結晶性酸化クロム、及び結晶性酸化ニオブを含み、結晶化していないニオブおよびクロムは触媒に分散し非晶質の酸化物として存在することがわかった。

0082

製造例4(ニオブ含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
酢酸アンモニウム65.0gおよび25%アンモニア水15.0gを脱イオン水1Lに溶解して得た液に、硝酸クロム20.9g及び塩化ニオブ0.89g(クロム:ニオブ(モル比)=95:5)をエタノール105mLに溶解して得たクロム-ニオブエタノール溶液を滴下した。

0083

生成した沈殿物を、遠心分離およびろ過して回収し、回収した沈殿物を脱イオン水を用いて洗浄し、これら分離と洗浄を繰り返して沈殿物を回収した。回収した沈殿物を120℃で12時間乾燥させた後、Air雰囲気下、700℃以上で焼成して、ニオブ含有酸化クロムを得た。得られたニオブ含有酸化クロムはSEMで分析した結果、クロム:ニオブ原子数比は95:5であり、当該酸化物の組成はおよそCr0.95Nb0.05O2.03で表されることがわかった。

0084

上記焼成後のニオブ含有酸化クロム触媒は、XRDパターンから結晶性酸化クロムを含み,ニオブは触媒中に分散し非晶質であることがわかった。

0085

実施例1
製造例2で調製した、全金属原子中ニオブを4原子%含有する酸化クロム触媒10.0gを長さ1mの管状ハステロイ製反応器に充填した。

0086

この反応管を加熱し、まず、フッ化水素ガスを用いて触媒をフッ素化した。

0087

次に反応管の温度を350℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを60.0Nml/分の流速で、酸素ガスを0.6Nml/分の流速で反応器に供給して0.5時間維持した。その後、CF3CCl=CH2 (HCFC−1233xf) のガスを6.0Nml/分の流速で供給した。約30時間後、反応器からの流出ガスを、ガスクロマトグラフを使用して分析した。

0088

結果を表1に示す。尚、生成物中、HFC-245cbは、脱フッ化水素反応によってHFO-1234yfに変換できる有用化合物であることから、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率も表1に示す。また、原料転化率とHFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率に基づいて、原料を基準としたHFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率を算出した結果も表1に示す。

0089

表中に示す各記号は、次の化合物を示す。
1233xf CF3CCl=CH2
1234yf CF3CF=CH2
245cb CF3CF2CH3
1234ze CF3CH=CHF
1233zd CF3CH=CHCl
実施例2
使用する触媒を、製造例3で調製した全金属原子中ニオブを10原子%含有する酸化クロムに変更した以外は、実施例1と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表1に示す。

0090

比較例1
製造例1で得られた水酸化クロムを120℃で12時間乾燥させ、この固体を粉末にした後、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型し、さらに窒素気流中400℃で焼成し、酸化クロムを得た。

0091

得られた酸化クロムを触媒として用いる他は、実施例1と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表1に示す。

0092

0093

表1から明らかなように、ニオブを含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いた場合には、酸化クロム触媒を用いた比較例1と比べて、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率が高い値となった。この結果より、第5族元素を含む酸化クロム又は第5族元素を含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いることにより、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができることが判る。

0094

実施例3
実施例2において、原料をCF3CH=CHCl (HCFO-1233zd)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0095

その結果、HCFO-1233zdの転化率95%で、生成物として、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)が選択率86%、CF3CH2CHF2(HFC-245fa)が選択率13%で得られる。HCFO-1233zdを基準としたHFO-1234zeとHFC-245faの合計収率は94%である。

0096

比較例2
比較例1において、原料をCF3CH=CHCl (HCFO-1233zd)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0097

その結果、HCFO-1233zdの転化率86%で、生成物として、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)が選択率85%、CF3CH2CHF2(HFC-245fa)が選択率13%で得られる。HCFO-1233zdを基準としたHFO-1234zeとHFC-245faの合計収率は84%であり、実施例3と比較して劣る結果である。

0098

製造例5(バナジウムを1原子%含有する酸化クロム触媒の調製)
製造例1と同様の方法で得た水酸化クロム300gに、メタバナジン酸アンモニウム0.2gを溶解させた水溶液200mlを加えて混合した。当該スラリーを加温し、時々撹拌しながら水を蒸発させた。

0099

残った乾燥スラリーを120℃で乾燥させ、得られた固体を破砕して粉末とし、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型し、さらに窒素気流中400℃で焼成し、バナジウム含有酸化クロムを得た。

0100

この酸化物のSEMによる分析によると、クロムとバナジウムの原子比は約99:1であり、当該酸化物の組成はおよそCr0.99V0.01O2.01で表されることがわかった。また当該酸化物粉末のXRDにより、この酸化物には結晶に由来する回折ピーク観測されず非晶質であった。

0101

製造例6(バナジウムを6原子%含有する酸化クロム触媒の調製)
使用するメタバナジン酸アンモニウムの量を1.2gに変更した以外は製造例5と同様の方法で、バナジウム含有酸化クロムを得た。

0102

この酸化物をSEMで分析した結果、クロムとバナジウムの原子比は約94:6であり、当該酸化物の組成はおよそCr0.94V0.06O2.03で表されることがわかった。また当該酸化物粉末のXRDにより、この酸化物には結晶に由来する回折ピークは観測されず非晶質であった。

0103

実施例4
製造例5で調製した、バナジウムを1原子%含有する酸化クロム触媒10.0gを長さ1mの管状ハステロイ製反応器に充填した。

0104

この反応管を加熱し、まず、フッ化水素ガスを用いて触媒をフッ素化した。

0105

次に反応管の温度を350℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを60.0Nml/分の流速で、酸素ガスを0.12Nml/分の流速で反応器に供給した。その後、CF3CCl=CH2 (HCFC−1233xf) のガスを6.00Nml/分の流速で供給した。この場合の酸素ガスの仕込み流速は原料ガス1モルに対して0.02モルである。約100時間後、反応器からの流出ガスを、ガスクロマトグラフを使用して分析した。

0106

結果を表2に示す。なお、生成物中、HFC-245cbは、脱フッ化水素反応によってHFO-1234yfに変換できる有用化合物であることから、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率も表2に示す。また、原料転化率とHFO-1234yf+HFC-245cbの合計選択率に基づいて、原料を基準としたHFO-1234yf+HFC-245cbの合計収率を算出した結果も表2に示す。

0107

更に、転化率の低下速度を、測定点での転化率とその前後5時間における各転化率の3点を結んだ直線の傾きとして求めた結果も表2に示す。

0108

実施例5
供給する酸素ガスの流速を0.60Nml/分(原料ガス1モルに対して0.1モル)に変更した以外は、実施例4と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表2に示す。

0109

実施例6
使用する触媒を、製造例6で調製したバナジウムを6原子%含有する酸化クロムに変更した以外は、実施例4と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表2に示す。

0110

実施例7
使用する触媒を、製造例6で調製したバナジウムを6原子%含有する酸化クロムに変更し、供給する酸素ガスの流速を0.60Nml/分(原料ガス1モルに対して0.1モル)に変更した以外は、実施例4と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表2に示す。

0111

比較例3
製造例1で得られた水酸化クロムを120℃で乾燥し、この固体を粉末にした後、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型し、さらに窒素気流中400℃で焼成し、酸化クロムを得た。

0112

得られた酸化クロムを触媒として用いる他は、実施例4と同様に触媒のフッ素化処理およびフッ素化反応を行った。結果を表2に示す。

0113

0114

表2から明らかなように、バナジウムを含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いた場合(実施例4〜7)には、バナジウムを含まない酸化クロム触媒を用いた比較例3と比べて、原料転化率が向上し、HFO-1234yfとHFC-245cbの合計収率も高い値となった。この結果、バナジウム含有量が1〜6原子%の触媒を用いた場合に、酸素ガスの供給量が原料1モルに対して0.02〜0.1モルという非常に少ない範囲において原料転化率の低下を防止する効果が奏されることが確認できた。特に、全金属原子中バナジウムを1原子%含有するフッ素化された酸化クロム触媒を用いた実施例4では、原料1モルに対して0.02モルという少量の酸素ガスを供給するだけで、原料転化率の低下を防止でき、目的物の選択率も高い値を維持できた。これらの結果から、バナジウム含有量が低い触媒を用いた上で、酸素を比較的少ない供給量で添加することによって、触媒劣化を抑制して、原料転化率、選択率を高い値に維持でき、更に、過剰の酸素を用いることによる弊害を回避するという顕著な効果が達成されることが明らかである。

0115

実施例8
実施例5において、原料をCF3CH=CHCl (HCFO-1233zd)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0116

その結果、HCFO-1233zdの転化率95%で、生成物として、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)が選択率86%、CF3CH2CHF2(HFC-245fa)が選択率13%で得られる。

0117

尚、反応開始約200時間後の流出ガス分析の時点では、原料転化率の低下速度は0.00GC%/hrであり、触媒活性の低下が抑制されている。

0118

比較例4
比較例3において、原料をCF3CH=CHCl (HCFO-1233zd)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0119

その結果、HCFO-1233zdの転化率89%で、生成物として、CF3CH=CHF(HFO-1234ze)が選択率85%、CF3CH2CHF2(HFC-245fa)が選択率13%で得られる。

0120

尚、反応開始約200時間後の流出ガス分析の時点では、原料転化率の低下速度は−0.05GC%/hrであり、触媒活性の低下が認められる。

0121

実施例9
実施例5において、原料をCF3CHClCH2Cl (HCFC-243db)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0122

その結果、HCFC-243dbの転化率100%で、生成物として、CF3CCl=CH2(HFO-1233xf)が選択率80%、CF3CF=CH2(HFO-1234yf)が選択率12%、CF3CF2CH3(HFC-245cb)が選択率4%で得られる。243dbと1233xfを原料として考えると、その原料転化率は20%である。

0123

尚、反応開始約100時間後の流出ガス分析の時点では、原料転化率の低下速度は0.00GC%/hrであり、触媒活性の低下が抑制されていることが判る。

0124

比較例5
比較例3において、原料をCF3CHClCH2Cl (HCFC-243db)に変更した以外は同様の手順にてフッ素化反応を行う。

0125

その結果、HCFC-243dbの転化率100%で、生成物として、CF3CCl=CH2(HFO-1233xf)が選択率85%、CF3CF=CH2(HFO-1234yf)が選択率10%、CF3CF2CH3(HFC-245cb)が選択率3%で得られる。243dbと1233xfを原料として考えると、その原料転化率は15%である。

0126

尚、反応開始約100時間後の流出ガス分析の時点では、原料転化率の低下速度は−0.10GC%/hrであり、触媒活性の低下が抑制されていることが判る。

0127

製造例7(Nb及びV含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
酢酸アンモニウム65 g及び25%アンモニア水15.0gを水1Lに溶解して得た溶液に、硝酸クロム20.9g,塩化ニオブ1.5g及びビス(2,4-ペンタンジオナト)バナジウム(IV)オキシド0.15gをエタノール105mLに溶解して得たクロム、ニオブ及びバナジウムを含むエタノール溶液を滴下した。これを2バッチ繰返し,生成した沈殿物を遠心分離及びろ過して回収し、回収物を脱イオン水を用いて洗浄し、これら分離と洗浄を繰り返して沈殿物を回収した。

0128

回収した沈殿物を120℃で乾燥させた後、Air雰囲気下、700℃にて焼成して、ニオブ及びバナジウム含有酸化クロムを得た。得られたニオブ及びバナジウム含有酸化クロムのSEM分析の結果、クロム:ニオブ:バナジウム原子数比は92.2:7.2:0.6であり、組成はおよそCr0.922Nb0.072V0.006O1.58で表されることがわかった。

0129

焼成後のNb及びV含有酸化クロムのXRDパターンから、得られたNb及びV含有酸化クロムは、結晶性酸化クロム及びクロムとニオブの結晶性複合酸化物を含むものであり、結晶化していないNb及びVは,Cr,Nb及びVと酸素原子を介して結合し触媒中に広く分散していることが確認できた。

0130

上記方法で得られたNb及びV含有酸化クロムを、含フッ素化合物のフッ素化反応に供する際には,得られた固体を粉末にした後、全重量に対して3%のグラファイトを加えてφ2mm×2mmのペレットに成型して用いた。

0131

製造例8(Nb及びV含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
硝酸クロム9水和物76.8 g、塩化ニオブ5.8 g 及びビス(2,4-ペンタンジオナト)バナジウム(IV)オキシド0.57 gを水620 mL及びエタノール380 mLに溶解して得たクロム、ニオブ及びバナジウムを含むエタノール水溶液に10%アンモニア水130 gを滴下した。

0132

生成した水酸化クロム-ニオブ-バナジウム沈殿物をろ取し、脱イオン水で洗浄した。この沈殿物を120 ℃で乾燥させた後、Air雰囲気下、700 ℃にて焼成してニオブ及びバナジウム含有酸化クロムを得た。

0133

得られたニオブ及びバナジウム含有酸化クロム酸化物のSEM分析の結果、クロム:ニオブ:バナジウム原子比は89:10:1であり、組成はおよそCr0.89Nb0.10V0.01O1.61で表されることがわかった。

0134

焼成後のNb及びV含有酸化クロムのXRDパターンから、焼成後のニオブ及びバナジウム含有酸化クロム酸化物は、結晶性酸化クロム及びクロムとニオブの結晶性複合酸化物を含んでいることが分かった。

0135

触媒として使用する際には製造例7同様にして成型して用いた。

0136

製造例9(Nb及びV含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
硝酸クロム9水和物76.8 g、塩化ニオブ5.8 g 及びビス(2,4-ペンタンジオナト)バナジウム(IV)オキシド1.70 gを水620 mL及びエタノール380 mLに溶解して得たクロム、ニオブ及びバナジウムを含むエタノール水溶液に10%アンモニア水134 gを滴下した。

0137

生成した水酸化クロム-ニオブ-バナジウム沈殿物をろ取し、脱イオン水で洗浄した。この沈殿物を120 ℃で乾燥させた後、Air雰囲気下、700 ℃にて焼成してニオブ及びバナジウム含有酸化クロムを得た。

0138

得られたニオブ及びバナジウム含有酸化クロム酸化物のSEM分析の結果、クロム:ニオブ:バナジウム原子比は87:10:3であり、組成はおよそCr0.87Nb0.10V0.03O1.63で表されることがわかった。

0139

焼成後のNb及びV含有酸化クロムのXRDパターンから、焼成後のニオブ及びバナジウム含有酸化クロム酸化物は、結晶性酸化クロム及びクロムとニオブの結晶性複合酸化物を含んでいることが分かった。

0140

触媒として使用する際には製造例7と同様にして成型して用いた。

0141

製造例10(結晶性酸化クロムの調製)
硝酸クロム9水和物77gを溶解させた水溶液900gに、10%アンモニア水118gを加え、水酸化クロムを中和沈殿させた。得られた酸化クロム沈殿物をろ取し、脱イオン水で洗浄,ろ過して水酸化クロムを得た。これを120℃で乾燥させた。

0142

得られた固体を粉末にした後、空気気流中700℃で焼成して酸化クロムを得た。

0143

焼成後の酸化クロムのXRDパターンから、焼成後の酸化クロムは結晶性酸化クロムを含んでいることが分かった。

0144

触媒として使用する際には製造例7と同様にして成型して用いた。

0145

製造例11(バナジウム含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
硝酸クロム9水和物 85.3 g 及びビス(2,4-ペンタンジオナト)バナジウム(IV)オキシド0.57 gを水620 mL及びエタノール380 mLに溶解して得たクロム及びバナジウムを含有するエタノール水溶液に10%アンモニア水122 gを滴下した。

0146

生成した水酸化クロム-バナジウム沈殿物をろ取し、脱イオン水で洗浄した。この沈殿物を120 ℃で乾燥させた後、Air雰囲気下、700 ℃にて焼成してバナジウム含有酸化クロムを得た。得られたバナジウム含有酸化クロム酸化物のSEM分析の結果、クロム:バナジウム原子数は99:1であり、組成はおよそCr0.99V0.01O1.51で表されることがわかった。

0147

焼成後のバナジウム含有酸化クロムのXRDパターンから、焼成後のバナジウム含有酸化クロムは、結晶性酸化クロムを含んでいることが分かった。V由来の物質は少量のため結晶性を示すパターンが現れなかったが、共沈法にて調製したため酸素を介しCrと複合酸化物を形成し触媒に分散している。

0148

触媒として使用する際には製造例7と同様にして成型して用いた。

0149

製造例12(ニオブ含有酸化クロム触媒の調製:共沈法)
硝酸クロム9水和物76.8 g及び塩化ニオブ(V) 5.8 gを水620 mL及びエタノール380 mLに溶解して得たクロム及びニオブを含有するエタノール水溶液に10%アンモニア水128 gを滴下した。

0150

生成した水酸化クロム-ニオブ沈殿物をろ取し、脱イオン水で洗浄を行った。この沈殿物を120 ℃で乾燥させた後、Air雰囲気下、700 ℃にて焼成してニオブ含有酸化クロムを得た。得られたニオブ含有酸化クロム酸化物のSEM分析の結果、クロム:ニオブ原子比は、90:10であり、組成はおよそCr0.9Nb0.1O1.6で表されることがわかった。

0151

焼成後のニオブ含有酸化クロムのXRDパターンから、焼成後のニオブ含有酸化クロム酸化物は、結晶性酸化クロム及びクロムとニオブの結晶性複合酸化物を含んでいることが分かった。

0152

触媒として使用する際には上記製造例7と同様にして成型して用いた。

0153

実施例10
製造例7で調製したNb及びV含有酸化クロム7gを長さ75 cmの管状ハステロイ製反応器に充填した。

0154

この反応管を加熱し、フッ化水素ガスを導入して上記酸化クロムをフッ素化した。

0155

次に反応管の温度を350℃に昇温し、無水フッ化水素ガスを42Nml/分の流速で、酸素ガスを0.42Nml/分、CF3CCl=CH2 (HCFC−1233xf) のガスを4.2Nml/分の流速で供給し、CF3CCl=CH2(HCFC−1233xf) のフッ素化反応を行った。反応器からの流出ガスを、ガスクロマトグラフを使用して分析した。

0156

結果を表3に示す。尚、生成物中、HFC-245cbは、脱フッ化水素反応によってHFO-1234yfに変換できる有用化合物であることから、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率も表3に示す。また、原料転化率とHFO-1234yfと HFC-245cbの合計選択率に基づいて、原料を基準としたHFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率を算出した結果も表3に示す。

0157

実施例11
酸素ガスの流速を0.08Nm/分に変更したこと以外は、実施例10と同様にして触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表3に示す。

0158

実施例12
触使用する触媒を、製造例8で調製したNb及びV含有酸化クロムに変更した以外は、実施例10と同様にして、触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表3に示す。

0159

実施例13
使用する触媒を、製造例9で調製したNb及びV含有酸化クロム触媒に変更した以外は、実施例10と同様にして、触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表3に示す。

0160

実施例14
酸素ガスの流速を0.08Nm/分に変更したこと以外は、実施例13と同様にして触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表3に示す。

0161

比較例6
使用する触媒を、製造例10で調製した酸化クロムに変更した以外は、実施例10と同様にして、触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表4に示す。

0162

実施例15
使用する触媒を、製造例11で調製したバナジウムを含む酸化クロムに変更した以外は、実施例10と同様にして、触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表4に示す。

0163

実施例16
使用する触媒を、製造例12で調製したニオブを含む酸化クロムに変更した以外は、実施例10と同様にして、触媒のフッ素化処理及びフッ素化反応を行った。結果を表4に示す。

0164

0165

0166

表3及び表4に示す結果から明らかなように、Nb及びVを含む酸化クロムを触媒として用いた場合には、酸化クロム触媒を用いた比較例6と比べて,HFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率が高い値となった。

0167

尚、実施例15及び16は、V又はNbのいずれか一方のみが含まれる酸化クロムを触媒として用いた場合の結果を示すものであり、比較例6と比べると、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率が高い値となった。V又はNbの両方が含まれる酸化クロムを触媒として用いた場合の結果を示す実施例10〜14では、実施例15及び16と比較しても、HFO-1234yfと HFC-245cbの合計収率がより高い値となった。

0168

また,実施例11および14に示した通り、Nb及びVを含む酸化クロムを触媒として用いた場合には、劣化防止を目的として同伴する酸素量を原料に対して2mol%と極めて少量の条件とした場合でも活性劣化を抑制し高い原料転化率が得られた。この結果より,Nb及びVを含む酸化クロム、又はNb及びVを含むフッ素化された酸化クロムを触媒として用いることにより、高い原料転化率で、選択性良く目的とするフルオロオレフィンを得ることができることが判る。

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