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技術 組み換え酵母を用いた、定義された抗原に対する防御的体液性免疫応答の生成による予防接種

出願人 マーティン-ルター-ウニヴェアズィテートハレ-ヴィッテンベアク
発明者 カーリンブロイニヒスヴェン-エリクベーレンス
出願日 2012年12月12日 (8年2ヶ月経過) 出願番号 2014-546315
公開日 2015年3月12日 (5年11ヶ月経過) 公開番号 2015-507472
状態 不明
技術分野
  • -
主要キーワード 警戒システム 表面構成 複合培養 コールドチェーン 作業容量 SM培地 エネルギー収支 プロマスチゴート
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (13)

課題・解決手段

本発明は、定義された抗原に対する体液性免疫応答の発生のためのクルイベロマイセス・ラクティスの種の組み換え酵母、前記酵母の製造方法ならびに前記抗原を含む病原および悪性細胞に対する防御的予防接種のための前記酵母の使用に関する。

概要

背景

概要

本発明は、定義された抗原に対する体液性免疫応答の発生のためのクルイベロマイセス・ラクティスの種の組み換え酵母、前記酵母の製造方法ならびに前記抗原を含む病原および悪性細胞に対する防御的予防接種のための前記酵母の使用に関する。

目的

本発明の課題は、所定の抗原に対する防御的体液性免疫応答を生じうる方法を提供する

効果

実績

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請求項1

クルイベロマイセス・ラクティス種の、異種遺伝子を有し、かつ異種タンパク質発現を可能にする組み換え酵母であって、該クルイベロマイセス・ラクティス種の組み換え酵母が、防御的体液性免疫応答の生成のために使用されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項2

請求項1に記載の組み換え酵母であって、前記組み換え酵母がサブユニットマーカーワクチンとして使用されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項3

請求項2に記載の組み換え酵母であって、前記サブユニットマーカーワクチンが、予防接種された個体と自然感染した個体とを区別するために使用されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項4

請求項2または3に記載の組み換え酵母であって、前記サブユニットマーカーワクチンが、同時に強いアジュバント特性を有することを特徴とする組み換え酵母。

請求項5

請求項2から4までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記サブユニットマーカーワクチンが、強い免疫原性を有することを特徴とする組み換え酵母。

請求項6

請求項1から5までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子の組み込みが、追加のベクター配列または選択マーカーなくして行われていることを特徴とする組み換え酵母。

請求項7

請求項1から6までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子発現が構成的に行われることを特徴とする組み換え酵母。

請求項8

請求項1から7までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子発現が誘導可能であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項9

請求項1から8までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子発現が、内因性リポーター遺伝子の発現を介して間接的に定量化できることを特徴とする組み換え酵母。

請求項10

請求項1から9までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子が、抗原特性を有する異種タンパク質の発現を可能にすることを特徴とする組み換え酵母。

請求項11

請求項1から10までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記組み換え酵母は、誘導可能にまたは構成的に、かなりの量の異種タンパク質もしくはこの異種タンパク質のドメインを発現し、またはこの異種タンパク質のドメインと異なる種類のタンパク質ドメインとが融合されたものを発現することを特徴とする組み換え酵母。

請求項12

請求項1から11までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記クルイベロマイセス・ラクティス株が、クルイベロマイセス・ラクティスVAK367-D4(DSM23097)またはその変異体であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項13

請求項1から12までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、病原体または腫瘍由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項14

請求項1から13までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、CEA、5T4、MUC1、MART1およびHER-2から選択される腫瘍関連抗原であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項15

請求項1から13までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、ウイルス、細菌または寄生虫に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項16

請求項15に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、寄生虫に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項17

請求項16に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、アメリカ鉤虫ズビニ鉤虫リーシュマニアの種、プラスモジウムの種または住血吸虫の種に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項18

請求項16または17に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、アメリカ鉤虫もしくはズビニ鉤虫:ASPタンパク質およびヘモグロビン分解性プロテアーゼリーシュマニアの種:gp63、46kDのプロマスチゴート抗原、LACKプラスモジウムの種:CSPタンパク質、CSA−1、CSA−3、EXP1、SSP2、STARP、SALSA、MSP1、MSP2、MSP3、AMA−1、GLURP、Pfs25、Pfs28、Pvs25、Pvs28、Pfs48/45、Pfs230住血吸虫の種:TP1、Sm23、ShGSTs26および28、パラミオシン、寄生虫ミオシン、Sm14を含む群から選択されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項19

請求項15に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、細菌に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項20

請求項19に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、マイコバクテリウムツベルクロシス(Mycobakterium tuberculosis)、ヘリコバクターピロリ(Heliobacter pylori)、A群ストレプトコッカスの種、ストレプトコッカス・ニューモニア(Streptococcus pneumonia)、サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium)、シゲラ(Shigella)の種、ビブリオコレラ(Vibrio cholera)、エシェリキアコリ(Escherichia coli)またはエルシニアペスティス(Yersinia pestis)に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項21

請求項19または20に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、マイコバクテリウム・ツベルクロシス:Ag85A、Hsp65、R8307、19kD、45kD、10.4ヘリコバクター・ピロリ:VacA、LagA、NAP、hsp、ウレアーゼカタラーゼA群ストレプトコッカスの種:M、SCPペプチダーゼエキソトキシンSPEAおよびSPECフィブロネクチン結合タンパク質ストレプトコッカス・ニューモニア:PspA、PsaA、BHV3、BHV4サルモネラ・チフィムリウム:Vi抗原シゲラの種:LPSビブリオ・コレラ:CTBエシェリキア・コリ:ETEC:LT、LT−ST、CTB、ならびにエルシニア・ペスティス:F1およびVを含む群から選択されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項22

請求項15に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、ウイルスに由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項23

請求項22に記載の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子が、抗原特性を有するウイルス性タンパク質の発現を可能にすることを特徴とする組み換え酵母。

請求項24

請求項22または23に記載の組み換え酵母であって、前記異種遺伝子が、ウイルス性構造タンパク質の発現を可能にすることを特徴とする組み換え酵母。

請求項25

請求項22から24までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、ビルナウイルス科、カリシウイルス科レオウイルス科レトロウイルス科フラビウイルス科、フラビウイルス科、ヘパドナウイルス科、パラミクソウイルス科ラブドウイルス科ヘルペスウイルス科コロナウイルス科オルトミクソウイルス科またはパピローマウイルス科に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項26

請求項22から25までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、ビルナウイルス科:VP2カリシウイルス科(ノーウォークHEV):NV60kD;HEV ORF2レオウイルス科(ロタ):VP7、VP4レトロウイルス科(HIV):Gag、Pol、Nef、Env、gp160、gp120、gp140、gp41フラビウイルス科(フラビウイルス属:WNV、デング、YF、TBE、JEV):preM−Env、NS3、NS4、NS5フラビウイルス科(ペスチウイルス属BVDV、CSFV、BDV、ヘパシウイルス属HCV):E1、E2、ERNS(ペスチ)、C、NS3、NS4、NS5ヘパドナウイルス科(HBV):HBS抗原パラミクソウイルス科(パラミクソウイルス亜科:PIV−1、PIV−2、ムンプスセンダイ、PIV−2、PIV−4、はしか):M、HN、N、Fパラミクソウイルス科(ニューモウイルス亜科:RSV):F、G、SH、Mラブドウイルス科(狂犬病):Gヘルペスウイルス科(EBV、HSV2):gp350/220(EBV)、gB2、gD2(HSV)コロナウイルス科(SARS):CoV、N、M、Sオルトミクソウイルス科(インフルエンザA、B):HA、NA、M1、M2、NPパピローマウイルス科:L2、E6、E7を含む群から選択されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項27

請求項22から26までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、ビルナウイルス科の一つの代表的なウイルスに由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項28

請求項22から27までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)のVP2抗原であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項29

請求項22から28までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記VP2抗原が、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)株D78に由来することを特徴とする組み換え酵母。

請求項30

請求項22から29までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)のVP2抗原が、配列番号1、配列番号3および配列番号5から選択される1つのヌクレオチド配列によってコードされることを特徴とする組み換え酵母。

請求項31

請求項22から30までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)のVP2抗原が、配列番号2、配列番号4および配列番号6から選択される1つのアミノ酸配列を有することを特徴とする組み換え酵母。

請求項32

請求項1から31までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記クルイベロマイセス・ラクティス株が、クルイベロマイセス・ラクティスVAK367-D4 890 DSM25405、クルイベロマイセス・ラクティスVAK367-D4 910 DSM 25406、およびクルイベロマイセス・ラクティスVAK367-D4 911 DSM 25407から選択されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項33

請求項22から31までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)の突然変異されたVP2抗原であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項34

請求項22から32までのいずれか1項に記載の組み換え酵母であって、前記異種タンパク質が、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV)のコドン最適化されたVP2抗原であることを特徴とする組み換え酵母。

請求項35

請求項1から34までのいずれか1項の組み換え酵母であって、前記のクルイベロマイセス・ラクティス株が、クルイベロマイセス・ラクティスVAK890、VAK910およびVAK911から選択されることを特徴とする組み換え酵母。

請求項36

請求項1から35までのいずれか1項に記載の組み換え酵母の、皮下的な予防接種のための方法における使用。

請求項37

組み換え酵母による皮下的な予防接種の方法であって、該方法は、以下の工程:a)組み換え酵母を培養および増殖させる工程、b)酵母を回収し、不活性化させる工程、c)組み換え酵母を決められた免疫化スキームに従って適用する工程、d)形成された抗体の力価を測定する工程、および/またはe)免疫化を検証する工程を含むことを特徴とする方法。

請求項38

組み換え酵母による皮下的な予防接種の方法であって、該方法において請求項1から35までのいずれか1項に記載の組み換え酵母を使用することを特徴とする方法。

請求項39

請求項37または38に記載の方法であって、請求項1から35までのいずれか1項に記載の組み換え酵母の完全な酵母細胞の皮下的な適用によって、発現された異種タンパク質に対する特異的免疫化が生ずることを特徴とする方法。

請求項40

請求項39に記載の方法であって、病原体または腫瘍の異種タンパク質に対する特異的免疫化が生ずることを特徴とする方法。

請求項41

請求項40に記載の方法であって、前記異種タンパク質が、請求項13から31までのいずれかに記載される寄生虫、細菌またはウイルスに由来することを特徴とする方法。

請求項42

請求項39に記載の方法であって、細胞毒性抗原に対する特異的免疫化が生ずることを特徴とする方法。

請求項43

請求項37から42までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項1から35までのいずれか1項に記載の組み換え酵母の完全な酵母細胞の皮下的な適用によって、発現された異種タンパク質に対して体液性免疫化が生ずることを特徴とする方法。

請求項44

請求項37から43までのいずれか1項に記載の方法であって、請求項1から35までのいずれか1項に記載の組み換え酵母の完全な酵母細胞の皮下的な適用によって、発現された異種タンパク質に対して防御的体液性免疫化が生ずることを特徴とする方法。

請求項45

請求項1から44までのいずれかに記載される異種タンパク質に対する免疫応答の検出および定量化のための特異的ELISA法

請求項46

IBDVのVP2タンパク質および/または突然変異されたIBDVのVP2T2Sタンパク質に対する免疫応答の検出および定量化のための、請求項45に記載のELISA法。

請求項47

請求項37から44までのいずれか1項に記載のように免疫化された個体の血清からの中和抗体検出方法

請求項48

請求項37から44までのいずれか1項に記載のように免疫化された個体の血清からの、IBDVのVP2タンパク質および/または突然変異されたIBDVのVP2-T2Sタンパク質および/またはコドン最適化されたoVP2-T2Sタンパク質に対する中和抗体の検出方法。

請求項49

請求項37から44までのいずれか1項に記載の免疫化の、抗原での負荷を介した検証法。

請求項50

請求項37から44までのいずれか1項に記載の免疫化の、ウイルス抗原での負荷またはウイルスでの負荷を介した検証法。

請求項51

請求項37から44までのいずれか1項に記載の免疫化の、IBDVのVP2および/または突然変異されたIBDVのVP2-T2Sおよび/またはコドン最適化されたoVP2-T2Sタンパク質での負荷を介した検証法。

請求項52

配列番号7、配列番号8または配列番号9による核酸配列を有するオリゴヌクレオチド

請求項53

異種遺伝子を有する発現ベクターであって、前記異種遺伝子が、配列番号1、配列番号3または配列番号5による核酸配列を有することを特徴とする発現ベクター。

請求項54

請求項53に記載の発現ベクターであって、前記異種遺伝子が、IBDVのVP2タンパク質またはIBDVのVP2-T2Sタンパク質をコードする天然のヌクレオチド配列またはコドン最適化されたヌクレオチド配列を含むことを特徴とする発現ベクター。

請求項55

請求項53または54に記載の発現ベクターであって、前記異種遺伝子が、配列番号2によるアミノ酸配列を有するIBDVのVP2タンパク質または配列番号4によるアミノ酸配列を有するIBDVのVP2-T2Sタンパク質をコードすることを特徴とする発現ベクター。

請求項56

請求項53から55までのいずれか1項に記載の発現ベクターであって、前記発現ベクターが、ベクターKlp3またはKlp3-MCS(配列番号10)であることを特徴とする発現ベクター。

技術分野

0001

本発明は、定義された抗原に対する体液性免疫応答の生成のための組み換え酵母、前記酵母の製造方法ならびに前記酵母の前記抗原を含む病原および悪性細胞に対する防御的予防接種のための使用に関する。

0002

先行技術
ワクチンは、病気を予防するために(予防ワクチン)または確立された病気を治療するために(免疫療法ワクチン)使用される。予防的種痘計画は、過去約100年において、本質的に感染症を減らすことに貢献している。免疫療法ワクチンは、約20年前にはじめて開発され、ウイルス、細菌もしくは寄生虫による持続感染に対してまたは発癌性の病気に対して使用されている。種痘の目的は、細胞性免疫応答(すなわち主としてT細胞媒介性およびNK細胞媒介性)および/または体液性免疫応答(すなわち主としてB細胞/抗体媒介性)の誘発ならびに病原もしくは悪性腫瘍原性)細胞の抗原成分に対する免疫記憶(「memory」)の誘発である。

0003

古典的なワクチンは、病原体全体を弱毒化不活性化)もしくは死滅された形で、それらの遺伝物質、DNAもしくはRNAの形の核酸を含めて含有する。これらの古典的なワクチンは、製造のために、大抵は特定の安全対策および/または実験動物の使用および/または細胞培養の使用を必要とする。更に、前記ワクチンは、しばしば高価であり、かつコールドチェーンを用いて貯蔵および輸送せねばならない。更に、前記ワクチンは、製造由来物質(例えば実験動物由来または細胞培養由来)が接種された個体に副作用を引き起こすかまたは病原体の不所望な再活性化をもたらす危険をはらんでいる。問題は診断に際しても存在する:ここで、例えば有用動物の種痘の場合には種痘された動物は、自然感染した動物と区別できないので、新規感染の検出を基礎とする早期警戒システムが働かないことがある。従って、いわゆる「サブユニット」ワクチンという、病原体の一部のみを含むものが開発された。そのための前提条件は、その都度の病原体の「主要抗原」が公知であることである。主要抗原は、大抵は、病原体の表面構成成分であって、免疫系によって認識されうるものであり、例えばウイルスエンベロープまたはウイルスキャプシドタンパク質である。これらは、完全なウイルス粒子が存在しなくても、宿主における該ウイルスに対する体液性免疫応答および/または細胞性免疫応答ならびに免疫記憶を誘発しうる。「サブユニットワクチン接種」の場合には従って病原体の典型的な構成成分を欠いているので、鑑別診断によって種痘された個体と自然感染した個体とを区別することができる。従ってそれは「サブユニットマーカーワクチン」とも呼ばれる。多くのサブユニットワクチンの欠点は、しばしば手間と費用のかかる製造と、しばしば不十分な免疫原性である:該病原体自体は効率的に(上述の制限を伴って)培養できる一方で、その主要抗原は、コストがかかり大抵は非効率な方法によって遺伝子工学的に製造せねばならず、手間と費用をかけて精製せねばならない。こうして得られたサブユニットワクチンは、相応して繊細であり、同様にしばしば冷却して貯蔵および輸送せねばならず、耐久性が低い。これらの理由から、大部分の量産ワクチン(Massenimpfstoffe)は、依然として完全な病原体を用いた古典的な原理を基礎としている。例えば、広く知られた家禽の病気である伝染性ファブリキウス嚢病(IBD)に対する殆どのワクチンは、目下、大多数が、伝染性ファブリキウス嚢病のIBDを引き起こすウイルス(IBDV)の弱毒化(弱体化)または不活性化されたウイルスを基礎とするものである。

0004

サブユニットワクチンにおけるより弱い免疫原性の問題は、アジュバントの追加の使用によって補償することが試みられている。アジュバントは、実験的に免疫刺激性であると見なされた物質である。アジュバントは、非特異的にかつしばしばあまり知られていない様式で免疫反応を増強する。今まで、僅かなアジュバントしかヒトへの使用のために許可されていない。例えば米国でヒトへの使用のために許可されている助剤は、アルミニウム塩水酸化アルミニウムおよびリン酸アルミニウムだけである。アルミニウム塩製剤は、しかしながら関連のワクチンの貯蔵に際して追加の困難を引き起こす。更に、これらのアジュバントは、全ての抗原で十分な作用を発揮しない。

0005

殆どのサブユニットワクチンがそれに該当する異種タンパク質の遺伝子工学的な製造は、種々の宿主細胞において行うことができる。腸内細菌であるエシェリキアコリ(Escherichia coli)の他に、細胞培養において増殖させられる哺乳類細胞植物細胞および種々の菌類を宿主系として確立できる。細菌および菌類などの微生物系は、特に廉価に大規模に培養することができる。酵母の属であるサッカロマイセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)およびクルイベロマイセス(Kluyveromyces)の酵母細胞は、数十年にわたって異種タンパク質の発現のために通常使用されている。酵母細胞は、細菌と比べて、それが真核生物であるという利点を有する。すなわち、酵母細胞は、多くの点で動物細胞と類似しており、かつ真核性タンパク質、すなわち動物細胞において形成されるおよび/または機能的でなければならないタンパク質は、酵母においてネイティブな形またはほぼネイティブな形で廉価に製造できるという利点を有する(Bathurst, 1994; Gellissen & Hollenberg, 1997)。酵母は、まず、異種タンパク質を生産するためだけに使用され、該タンパク質は、酵母細胞から精製されてサブユニットワクチンとして使用される。少し前にはじめて、酵母自体または酵母の細胞分画をワクチンとして投与することが試みられている。

0006

5年ほど前から、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)(「パン酵母」、S.セレビシエ)自体を予防接種のために使用することが試みられている:ここで、皮下的に適用されたS.セレビシエの抗原発現細胞によって樹状細胞活性化され、抗原特異的T細胞免疫応答、特に規定の抗原に対する細胞毒性細胞応答が引き起こされうることが証明できた。これらの細胞性免疫応答は、所定の腫瘍細胞の投与に対する防御的なものと見なされる。すなわち、予防接種された動物では、予防接種に引き続き対照動物と比較して僅かな腫瘍しか生じない。この方法は、当時、腫瘍疾患での免疫療法的使用においても試験されている(Stubbs et al., 2001; Lu et al., 2004)。

0007

業者には、以下の出典は、酵母ベースの予防接種が記載された先行技術から公知である:一連の米国特許、例えば米国特許第20090304741号、同第5830463号および同第10738646号ならびに同第20070166323は、少なくとも1つの組み換え抗原を含むS.セレビシエの免疫療法での使用を記載している。これらの酵母は、免疫反応を、特に細胞媒介性の免疫反応を刺激するために有効であることが明らかになった。

0008

WO/2006/044923は、C型肝炎ウイルス(HCV)の種々のタンパク質を組み換え的に発現し、かつこのHCVタンパク質に対する免疫反応、とりわけT細胞応答を引き起こしうる、慢性C型肝炎に対するワクチンとして使用されるべき酵母(S.セレビシエ)を開示している。

0009

WO/2007/092792は、インフルエンザウイルス感染に対する組み換えS.セレビシエの使用可能性を記載しており、その際、種々の酵母菌株の組み合わせが用いられ、前記菌株の適用は、T細胞誘発、つまり細胞性免疫応答をもたらす。

0010

WO/2011/032119は、患者における酵母ベースの免疫療法の作用向上のための方法に関する。該方法は、CD4+ TH17細胞の産生または生存改変する酵母ベースの手段を含む。

0011

公開されている特許いずれにおいても、酵母は、感染症または腫瘍に対する防御的体液性免疫応答の誘発(本願の主題)のために明らかに使用されていない。加えて、酵母であるサッカロマイセス・セレビシエまたはピチア・パストリス(Pichia pastoris)のいずれかが使用されているものの、クルイベロマイセス・ラクティス(Kluyveromyces lactis)(本願の主題)は使用されていない。

0012

S.セレビシエと同様に、ここで「乳酵母(Milchhefe)」であるクルイベロマイセス・ラクティス(K.ラクティス)も、GRAS(GRAS:一般に安全と認められる(generally regarded as safe))ステータスを有する。すなわちK.ラクティスは動物またはヒトでの使用のために適している(van Ooyen et al. 2006)。パン酵母のS.セレビシエと形態学的に非常に類似しているにもかかわらず、両方の属の進化系統は、1億年以上も前に共通の前駆体から異なる方向に進化している。従って、K.ラクティスは、多くの特性においてS.セレビシエとは根本的に異なっている。これらの相違点の幾つかは、生物工学的使用における使用可能性にとって非常に重要である。S.セレビシエの進化は、アルコール発酵に対する代謝の特殊化を伴い、それにより前記前駆体の多くの遺伝子の損失を伴った。そのアルコール発酵は、しかしながら殆どの酵母にとっては一般的ではない。前記アルコール発酵は、S.セレビシエにおいては、高いグルコース濃度の場合に、酸素が存在してミトコンドリア呼吸が本来、糖転化からの非常に効率の高いエネルギー収支を可能にするときにも行われる:細胞の「発電所」であるミトコンドリアの機能は、「グルコース抑制」によって十分に抑えられる。K.ラクティスは、ミトコンドリアの機能の調節において、S.セレビシエとはかなり異なる(Chen and Clark-Walker, 1995、Clark-Walker, 2007)。K.ラクティスは、S.セレビシエとは異なり、いわゆる「クラブトリーネガティブ」酵母に属する。かかる酵母は、厳格好気性条件下で一般にエタノールを形成せず、グルコースミトコンドリア活性を介してATPを形成しつつ完全にCO2にまで分解する。この生理学的特性は、根本的な重要性を有する。それというのも、その特性は、大規模な発酵におけるバイオマス収率の明らかな向上をもたらし、これは結果的に、この酵母を組み換えタンパク質生産者として用いた場合に明らかなコスト削減をもたらすからである。更に、K.ラクティスでの研究は、ヘキソキナーゼに媒介されるグルコースシグナル経路における突然変異が、異種遺伝子の発現を改善できることを示している(Donnini et al., 2004)。グルコース抑制の低下、特に呼吸系遺伝子によるものは、「クラブトリーネガティブ」酵母の一つの特徴であり、かかる酵母における実験的に観察されるより良好な異種遺伝子発現と関わりがあるかもしれない。

0013

K.ラクティスとS.セレビシエとは、更に、細胞壁グルカン組成の点でかなりの相違点を有する(Backhaus et al., 2011);これらの相違点は、おそらくは、糖タンパク質成熟関与するゴルジ装置におけるグリコシルトランスフェラーゼの違いに基づくものである:ここで、S.セレビシエにおける糖タンパク質は、しばしばリン酸マンノースを含有し、K.ラクティスにおける糖タンパク質は、とりわけ末端N−アセチルグルコサミンを含有する(Raschke and Ballou, 1972)。これらのS.セレビシエとK.ラクティスとの間の、グリコシル化およびタンパク質分泌における相違点ならびに細胞壁生合成における相違点は、細胞内局在化フォールディングならびに安定性に対してかなりの影響を及ぼし、従って異種発現された異種タンパク質の免疫原性にもかなりの影響を及ぼす(Uccelletti et al., 2004)と考えられる。

0014

WO/2010/054649は、K.ラクティスの組み換え系の製造を記載している。そこに示される使用例においては、菌株VAK367-D4から誘導された組み換え菌株が、種々の抗原に対する粘膜的または経口的な予防接種のために使用されている。しかし、経口的/粘膜的な予防接種の欠点は、ワクチンを、防御的免疫化の達成のために大量に使用せねばならないということである。

0015

図面の説明
図1は、IBDVのVP2異種遺伝子を有する接種菌株VAK887をVAK367-D4出発菌株での相同組み換えによって製造することを図示している。IBDV菌株D78のVP2遺伝子を含むプラスミドKlp3-MCS(配列番号10)の形質転換によって、VP2異種遺伝子は、相同組み換えを介して、URA3遺伝子の挿入によって破壊された染色体のLAC4遺伝子座に導入された。宿主ゲノムへの組み換えに際して、URA3遺伝子はVP2によって置き換わり、LAC4遺伝子が再び回復した;組み換え酵母菌株は、ウラシルを含まないラクトース培地上での選択によって得ることができた。後に、LAC4(β−ガラクトシダーゼ)の発現は、KIGAL80プロモーターにより制御され、VP2遺伝子の発現は、LAC4プロモーターにより制御される。

0016

図2Aは、菌株VAK887によるIBDVのVP2の発現を、VP2特異的抗体を用いたウェスタン分析によって、本来の菌株(VAK367)と比較して、かつIBDV感染したニワトリ細胞と比較して示している。図2Bは、種々のVP2を発現するK.ラクティス変異体における組み換えIBDVのVP2もしくは突然変異されたIBDVのVP2-T2Sの発現分析を示している。前記の本来のK.ラクティス変異体VP2(VAK887)は、適度な量のウイルスタンパク質しか発現しなかった。VP2タンパク質発現は、菌株K.ラクティスVP2-T2S(VAK888)において、VP2タンパク質のアミノ酸位置2でのトレオニンセリン交換することによって高めることができた。更なる増大は、KlGAL4遺伝子量(VP2-T2S_GAL4=VAK890)の増加もしくは酵母コドンで最適化された合成VP2遺伝子(oVP2-T2S=VAK910)の使用によって達成できた。

0017

図3は、本発明による酵母の90℃での2時間にわたる熱不活性化が、組み換えVP2-T2Sタンパク質の損失をもたらさないことを示している(図3A)。不活性化されていない酵母、不活性化された酵母および飼料ペレット由来の酵母からのそれぞれ同じタンパク質量をSDS PAGEで分離し、IBDVに感染したまたは感染していない家禽細胞からの細胞溶解物と比較して、抗VP2抗体を用いたウェスタンブロットで試験した。図3は、更に、変異体VAK890におけるVP2-T2Sの量が、酵母細胞当たりに約0.7fgの異種タンパク質であることを示している(図3B)。ここでは、定義された量の精製されたVP2-T2Sが、定義された細胞数発酵器で培養されたK.ラクティス(菌株VAK890)からのVP2と比較してウェスタンブロットで着色され、結果は濃度測定的に評価された。

0018

図4は、マウスにおける、皮下的に適用された熱不活性化されたK.ラクティス変異体VAK890の完全な酵母細胞による予防接種を、K.ラクティス変異体VAK890の完全な酵母細胞での経口的な予防接種と比較して説明している。図4Aは、免疫化スキームを示している:3回皮下的に免疫化して、それぞれ2週間休止した;比較のために2週間にわたり2回経口投与した。最後の酵母適用の2週間後(矢印)に、処置されたマウスからの血清サンプルを、IBDV特異的ELISA(図4B)および抗VP2抗体の存在下でのIBDV中和アッセイにおいて試験した(図4C)。図4Dは、VP2を発現するK.ラクティス(菌株Kl VP2-T2S_GAL4(VAK890))で処置されたマウスが、K.ラクティス野生型(菌株VAK367)で処置されたマウスと比較してより高い力価の抗体/中和抗体を有することをまとめている。更に、皮下適用されたK.ラクティス(菌株VAK890)が、K.ラクティス(菌株VAK890)を経口投与したマウスよりも明らかに高い力価の抗体/中和抗体を有することが判明した。K.ラクティス(菌株890)で経口的に免疫化したマウスは、しかしながら、K.ラクティス野生型(菌株VAK367)で処置されたマウスと比較して高められた力価の抗体/中和抗体も示した。

0019

図5は、ニワトリにおける熱不活性化されたK.ラクティス変異体VP2-T2S_GAL4(VAK890)の完全な酵母細胞での経口的なおよび皮下的な予防接種を示している。経口的な予防接種のためには、短期の1/1/1/1/1のスキーム(1週間経口投与、1週間休止、1週間経口投与など)またはより長期の2/2/2のスキームを使用した(図5A)。予防接種の1週間の休止後もしくは2週間の休止後に、全ての処置された動物に、IBDV(Edgar株)を1動物当たり100EID50の濃度で感染させた(ウイルス負荷、黒い棒)。経口的な予防接種後に、特に延長された処置スキームの使用により、多くの動物において、高められた力価のウイルス中和抗体が検出できた。それに対して、組み換えK.ラクティスでの皮下的な予防接種は、全ての処置された動物において高力価のウイルス中和抗体を生成した(図5B、C;IBDV特異的ELISA、IBDV中和アッセイ)。組み換えK.ラクティス酵母で処置されたどの動物も、どの処置スキームを使用したかとは無関係にIBDVによる感染後に死ななかった。それに対して、対照群における死亡率は、10〜35%であった(図5C)。処置された動物のファブリキウス嚢における病変解析は、経口的に処置された動物の約10%は、延長された処置スキームの使用によりIBDVの接種後にウイルス感染兆候を有さないことを示した:その場合に、いわゆる「病変スコア」を使用した。スコア1、2は、損傷したファブリキウス嚢を誘発しなかったまたは損傷したファブリキウス嚢を殆ど誘発しなかった;スコア3、4は、損傷したファブリキウス嚢を誘発した、強く損傷したファブリキウス嚢を誘発した。それに対して、組み換えK.ラクティス菌株VAK890を皮下的に適用した全ての動物は、IBDVに対して完全なワクチン防御を示した(図5C)。

0020

図6は、ベクターKlp3-MCS(配列番号10)の構造を図解している。

0021

本発明の説明
皮下的な予防接種のための組み換え酵母の使用法は、当業者には技術水準から公知である:Stubbs et al., (2001) Nat. Med. 7: 625-629;Stubbs and Wilson (2002) Curr. Opin. Mol. Ther. 4: 35-40;Wansley et al., (2008) Clin. Cancer Res. 14: 4316-4325;US 5,830,463、WO/2006/044923;WO/2007/092792およびWO/2011/032119。前記刊行物の実施例においては、しかしながら、もっぱら酵母のサッカロマイセス・セレビシエで作業されている。「酵母」は、単細胞で増殖する真核性の微生物であって、数億年(S.セレビシエおよびK.ラクティスについては約1億年)にわたる分岐進化に基づき、部分的に非常に様々な特性を有する微生物についての総称である。従って、S.セレビシエとK.ラクティスの、動物またはヒトなどの高等真核生物における予防接種のための使用に際しては、S.セレビシエによって引き起こされる免疫応答は、K.ラクティスによって引き起こされる免疫応答とは大きく異なることを前提とすべきである。そのことは、酵母で発現された異種抗原に対する免疫応答についても、酵母固有の抗原に対する免疫応答についても当てはまる。完全なS.セレビシエ細胞での皮下的な免疫化に際しては、T細胞誘導、つまり細胞性免疫応答が生じた。組み換えS.セレビシエによる簡単な様式での(すなわち個々の抗原を発現する菌株の直接的な適用による)抗原に対する防御的体液性免疫応答は、今まで技術水準では裏付けられていなかった。

0022

上述の背景から出発して、本発明の課題は、所定の抗原に対する防御的体液性免疫応答を生じうる方法を提供することである。更なる課題は、予防接種された個体と、自然感染した個体とを区別できるサブユニットマーカーワクチンを製造することにあった。更なる課題は、同時に強いアジュバント特性を有し、それにより免疫原性が強いサブユニットマーカーワクチンを製造することにあった。

0023

前記課題は、異種遺伝子を酵母ゲノムへと狙い通りに組み込むことを可能にする酵母ベースの発現系を提供することによって解決された。異種遺伝子を発現する組み換え酵母は、前記系を用いて素早く(すなわち数週間以内)製造できる。酵母は、発酵器において多量に(例えばキログラム(kg)範囲)廉価に増殖させることができる。制御された発現と流加培養法での発酵によって、細胞毒性抗原も前記の酵母系において発現させることができる。異種遺伝子の発現後に該酵母は熱不活性化され、次いで粉体として冷却することなく貯蔵および輸送することができる。該酵母粉体は、直接的に、つまり更なる分別をせずに、エマルジョンまたはペレット(実施例を参照)としてのいずれかで、サブユニットマーカーワクチンとして使用できる。抗原形成および効果的な、つまり防御的免疫化のために必要なアジュバント効果は、2つの要因:(i)発現される異種タンパク質の狙い通りの遺伝子工学的改変の可能性によって、(ii)酵母での異種タンパク質の発現と、経口形もしくは皮下形での酵母の直接的な使用によって保証される;その酵母自身は、強いアジュバント効果を有する。皮下的な適用が好ましい。組み換え酵母菌株を製造した;この菌株は、特異的なウイルス抗原を発現し、かつ本発明による方法においては皮下的な予防接種のために使用できる。関連のウイルスによる感染に対する完全な予防的防御を達成した。その際、非常に少量の酵母(例えば家禽での皮下的な使用に際してはミリグラム(mg)範囲で)しか使用されなかった。この防御を達成するために2〜3回の使用しか必要とされなかった。

0024

本発明による方法は、ヒト医学分野での使用のためにも、獣医学分野での使用のためにも適している。本発明による方法の獣医学分野での使用が好ましい。

0025

本発明による方法は、酵母を用いて実施される。好適な酵母は、例えばサッカロマイセス属の種、ピチア属の種およびクルイベロマイセス属の種の酵母である。好ましい一実施形態においては、本発明による方法は、サッカロマイセス属の種およびクルイベロマイセス属の種の酵母を用いて実施される。その際に特に、サッカロマイセス・セレビシエおよびクルイベロマイセス・ラクティス(K.ラクティス)の使用が好ましい。

0026

最も好ましい実施形態においては、本発明による方法は、酵母のクルイベロマイセス・ラクティスを用いて実施される。

0027

酵母のK.ラクティスは、GRASステータス(GRAS:一般に安全と認められる)を有する、いわゆる「食用(food grade)」の酵母に該当する。食品添加物として何千年にわたり試され有効であると実証されているパン酵母と同様に、乳製品でしばしば代表される酵母であるK.ラクティスも食品産業にとって心配ないものと見なされている。

0028

「先行技術」で説明された発酵についての可能性の他に、酵母のK.ラクティスは、S.セレビシエに対して、異種遺伝子の発現に関して数多くの利点を有する。K.ラクティスは、いわゆる「プチットネガティブ(petite negative)」酵母に該当する。すなわち、ミトコンドリアDNAの損失は致死的である(ミトコンドリア膜電位崩壊に基づく(Chen et al., 1995;Clark-Walker, 2007))。該ミトコンドリア機能は、Ca2+依存性シグナル伝達反応性酸素化合物の産生、細胞のストレス応答タンパク質グリコシル化および細胞壁完全性と密接に関連している。それにより、ミトコンドリア機能は、組み換え糖タンパク質の産生と細胞壁の組成に決定的な影響を及ぼす。

0029

酵母と哺乳類の場合に、小胞体で行われるタンパク質のN−グリコシル化の第一工程は同じである。しかしながら、ゴルジ装置で行われる工程は互いに相違している。ゴルジ装置に存在するグリコシルトランスフェラーゼは、種々の酵母種において異なっている。それによって、細胞壁における糖タンパク質の組成における相違がもたらされる。K.ラクティスにおいて、該糖タンパク質は、S.セレビシエでのリン酸マンノースに対して、末端N−アセチルグルコサミンを有する(Raschke und Ballou, 1972)。それは、予防接種に際して、その都度の酵母種による免疫系の刺激に対してかなりの影響を及ぼしうる。

0030

改変されたα−1,6−マンノシルトランスフェラーゼを有するK.ラクティス突然変異体(KlOCH1)における組み換えタンパク質の改善された分泌は、タンパク質グリコシル化/分泌および細胞壁生合成の間の関係性を明らかにする(Uccelletti et al., 2004)。タンパク質グリコシル化における改変は、更に、組み換えタンパク質の細胞内局在化に影響を及ぼし、該タンパク質は、誤ったフォールディングに基づき分泌経路に留まる。

0031

K.ラクティスは、ラクトースを炭素源およびエネルギー源として使用できる僅かな酵母種の一つである。ラクトースは安い糖であり、ホエイの成分として多量に(例えば酪農業での副産物として)生ずる。K.ラクティスは、ラクトースを用いて、グルコースを用いたのと同様の成長速度を達成できる。ラクトース代謝に関与する遺伝子の調節は、集中的に調査されている。強力なβ−ガラクトシダーゼプロモーター(LAC4)は、異種遺伝子の発現の調節および組み換えタンパク質の産生の調節のために用いることができる(van Ooyen et al., 2006、Breunig et al., 2000)。低減されたグルコース抑制に基づき、グルコース含有培地で培養されたK.ラクティス培養における遺伝子の異種発現は、素早くかつ効率的にラクトースの添加によって誘導できる。

0032

本発明によれば、遺伝子工学的方法を介して、K.ラクティス株、好ましくはVAK367-D4およびこの菌株の変異体であって、酵母ゲノムのLAC4座での異種遺伝子の狙い通りの組み込みを可能にする株が製造された(図1)。この組み込みは、相応して構築されたプラスミドを介して一工程だけしか必要とされない;組み換え菌株の選択は、抗生物質耐性遺伝子の使用なくして可能であり、かつ組み換え菌株における異種遺伝子発現は、LAC4プロモーターを介して培地へのラクトースの添加によって誘導できる。異種遺伝子が組み込まれたK.ラクティス細胞は、この方法を介して数週間で生成でき、かつ特性決定できる。この系の2つの態様が大きな重要性を有する:一方では、ここで、それぞれ定義された量の異種タンパク質を含有する酵母細胞の再現可能な培養が可能である(図2、3)。他方では、可塑性(容易に改変可能な)抗原(例えばインフルエンザ抗原ヘマグルチニンなど)に対する予防接種のために使用する場合に、新規の酵母菌株を、例えば潜在的に汎流行的な新規のインフルエンザウイルス株が発生したときに短時間で生成できる。その場合に、新たに発生した組み換えK.ラクティスが、試されてきた菌株(例えば発酵器における増殖挙動に関して)と同様の特性を有する可能性は高い。KlGal4トランスアクチベーターの遺伝子の酵母ゲノムへの追加の組み込みによって、更に、異種遺伝子の発現率は大きく高めることができる(Kuger et al., 1990)。

0033

更なる一実施形態においては、本発明による方法は、特定のK.ラクティス株VAK367-D4およびその子孫を用いて実施される。K.ラクティス株VAK367-D4を基礎とする一連の(VAK)組み換え変異体が生成された。一般に、これらの変異体は、誘導可能にかなりの量の異種タンパク質を発現し、またはこの異種タンパク質のドメインもしくはこの異種タンパク質のドメインと異種タンパク質ドメインと融合されたものを発現する。その場合に使用される異種タンパク質ドメインは、免疫応答の狙い通りの刺激(アジュバント)もしくは発現された異種タンパク質の酵母細胞における狙い通りの区画化に用いられる。アジュバント作用の他に、発現された異種タンパク質の区画化は、発現の最適化もしくは発現産物の形成(Formulierung)のために重要である。

0034

更なる一実施形態においては、本発明による方法は、サブユニットマーカーワクチンとしての使用において、VAK367-D4およびその子孫を用いて実施される。定義されたタンパク質抗原(異種タンパク質)のみを発現する組み換えK.ラクティスのワクチンとしての使用は、鑑別診断において、予防接種された個体と自然感染した個体との区別を可能にする。前記の組み換えK.ラクティス株(実施例を参照)の一つは、経口的接種および皮下的接種のために効果的に使用された。皮下的な使用の場合には、被予防接種体は完全な防御を獲得した。

0035

本発明の範囲における「異種タンパク質」とは、防御的免疫応答、好ましくは防御的体液性免疫応答を、ヒトまたは動物において、病原または癌原性変質した細胞に対して生成するのに適したあらゆるペプチドポリペプチドおよびタンパク質を意味する。異種タンパク質は、防御的免疫応答、好ましくは防御的体液性免疫応答をただ誘発できる抗原が特徴付けられたあらゆる種類の病原体または腫瘍に由来しうる。好ましい一実施形態においては、異種タンパク質は、防御的免疫応答、好ましくは防御的体液性免疫応答をただ誘発できる抗原が特徴付けられた病原体(ウイルス、細菌、寄生虫)に由来しうる。

0036

それらの異種タンパク質は、例えば
寄生虫に由来する異種タンパク質
アメリカ鉤虫ズビニ鉤虫:ASPタンパク質ヘモグロビン分解性プロテアーゼ
リーシュマニア:gp63、46kDのプロマスチゴート抗原、LACK
プラスモジウム:CSPタンパク質、CSA−1、CSA−3、EXP1、SSP2、STARP、SALSA、MSP1、MSP2、MSP3、AMA−1、GLURP、Pfs25、Pfs28、Pvs25、Pvs28、Pfs48/45、Pfs230
住血吸虫TP1、Sm23、ShGSTs26および28、パラミオシン、寄生虫ミオシン、Sm14
細菌に由来する異種タンパク質
マイコバクテリウムツベルクロシス(Mycobakterium tuberculosis):Ag85A、Hsp65、R8307、19kD、45kD、10.4
ヘリコバクターピロリ(Heliobacter pylori):VacA、LagA、NAP、hsp、ウレアーゼカタラーゼ
A群ストレプトコッカス(Strepptococcus):M、SCPペプチダーゼエキソトキシンSPEAおよびSPECフィブロネクチン結合タンパク質
ストレプトコッカス・ニューモニア(Strepptococcus pneumonia):PspA、PsaA、BHV3、BHV4
サルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimurium):Vi抗原
シゲラ(Shigella):LPS
ビブリオコレラ(Vibrio Cholera):CTB
エシェリキア・コリ(Escherichia coli)ETEC:LT、LT−ST、CTB
エルシニアペスティス(Yersinia pestis):F1、V
腫瘍細胞/腫瘍に由来する異種タンパク質(腫瘍関連抗原、TAA)
CEA
5T4
MUC1
ART
HER−2
である。

0037

特に、ウイルスに由来する異種タンパク質
カリシウイルス科ノーウォークHEV):NV60kD;HEV ORF2
レオウイルス科(ロタ):VP7、VP4
レトロウイルス科HIV):Gag、Pol、Nef、Env、gp160、gp120、gp140、gp41
フラビウイルス科フラビウイルス属:WNV、デング、YF、TBE、JEV):preM−Env、NS3、NS4、NS5
フラビウイルス科(ペスチウイルス属BVDV、CSFV、BDV、ヘパシウイルス属HCV):E1、E2、ERNS(ペスチ)、C、NS3、NS4、NS5
ヘパドナウイルス科(HBV):HBS抗原
パラミクソウイルス科パラミクソウイルス亜科:PIV−1、PIV−2、ムンプスセンダイ、PIV−2、PIV−4、はしか):M、HN、N、F
パラミクソウイルス科(ニューモウイルス亜科:RSV):F、G、SH、M
ラブドウイルス科狂犬病):G
ヘルペスウイルス科EBV、HSV2):gp350/220(EBV)、gB2、gD2(HSV)
コロナウイルス科SARS):CoV、N、M、S
オルトミクソウイルス科インフルエンザA、B):HA、NA、M1、M2、NP
パピローマウイルス科:L2、E6、E7
が好ましい。

0038

最も好ましい本発明の実施形態においては、前記異種タンパク質は、ビルナウイルス科、例えばIBDウイルスなどの代表的なウイルスに由来し、前記タンパク質は、防御的免疫応答、好ましくは防御的体液性免疫応答を誘発できる。

0039

本発明の好ましい一実施形態においては、K.ラクティスVAK367-D4変異体VP2(VAK887)であって、異種タンパク質として伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV菌株D78)のキャプシド形成性のVP2抗原を発現する変異体が作製された(配列番号1および2)。特に、K.ラクティスVAK367-D4変異体VP2-T2S(VAK888)であって、VP2タンパク質がアミノ酸位置2で突然変異された、配列番号3および4によるヌクレオチド配列もしくはアミノ酸配列を有する変異体(トレオニンをセリンに交換;Jagadish et al.(1991))が好ましい。

0040

特に好ましい本発明の一実施形態においては、最適化されたK.ラクティスVAK367-D4変異体VP2T2S_GAL4であって、VP2タンパク質がアミノ酸位置2で突然変異された(配列番号3および4)、追加的に少なくとも2つのKlGAL4遺伝子を含む変異体(VAK890)が作製された。特に、K.ラクティスVAK367-D4変異体oVP2-T2Sであって、突然変異されたVP2抗原が酵母コドンで最適化された配列番号5の核酸配列によってコードされた、もしくは組み換え発現された突然変異されたVP2抗原が配列番号6によるアミノ酸配列を有する変異体が好ましい。最適化されたK.ラクティスoVP2-T2S_GAL4変異体(VAK911)は、以下の利点:
− 突然変異によって異種タンパク質が更に安定化された
−トランスアクチベーターの過剰発現および/または配列のコドン最適化によって、VP2発現の明らかな増加が達成できた(図2)
− 追加のKlGAL4遺伝子の組み込みは、このK.ラクティス変異体のより高い増殖速度とも相関した
− このK.ラクティス変異体は、高細胞密度発酵および発現されたVP2タンパク質の量における特に高い再現性を有する(図3)
を有する。

0041

本発明により作製されたK.ラクティスVP2-T2S_GAL4変異体であって、異種タンパク質としてIBDVの突然変異されたVP2抗原が組み換え的に発現され、かつKlGAL4トランスアクチベーター遺伝子の更なるコピーを含む変異体(VAK890)は、2011年11月29日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSMZ, Inhoffenstrasse 7B, 38124 Braunschweig, Deutschland)にブタペスト条約に応じてDSM 25405の番号で寄託された。

0042

本発明により作製されたK.ラクティスoVP2-T2S変異体であって、異種タンパク質としてIBDVの突然変異されコドン最適化されたVP2抗原が組み換え的に発現される変異体(VAK910)は、2011年11月29日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSMZ, Inhoffenstrasse 7B, 38124 Braunschweig, Deutschland)にブタペスト条約に応じてDSM 25406の番号で寄託された。

0043

本発明により作製されたK.ラクティスoVP-T2S変異体であって、異種タンパク質としてIBDVの突然変異され、コドン最適化されたVP2抗原が組み換え的に発現され、かつKlGAL4トランスアクチベーター遺伝子の更なるコピーを含む変異体(VAK911)は、2011年11月29日に、ドイツ微生物細胞培養コレクション(Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Zellkulturen GmbH)(DSMZ, Inhoffenstrasse 7B, 38124 Braunschweig, Deutschland)にブタペスト条約に応じてDSM 25407の番号で寄託された。

0044

更なる一実施形態は、本発明による組み換え酵母を、防御的免疫化、特に防御的体液性免疫化の生成のための方法において用いる使用に関する。かかる方法は、以下の工程:
a)本発明による組み換え酵母を培養および増殖させる工程、
b)酵母を回収し、不活性化させる工程、
c)組み換え酵母を決められた免疫化スキームに従って適用する工程、
d)形成された抗体の力価を測定する工程、および/または
e)免疫化を検証する工程
を含む。

0045

本発明による組み換え酵母の培養および増殖は、通常利用可能なあらゆる方法で行うことができる。その場合に、廉価に高い細胞収率がもたらされる方法が特に好ましい。それに当てはまるのは、発酵法、特に高細胞密度発酵の方法である。前記の発酵を、流加培養プロトコールを使用して実施することが特に好ましいと見なされる。

0046

好ましい一実施形態においては、前記の防御的体液性免疫化は、前記の組み換え酵母を経口的に/経粘膜的にまたは皮下的に適用することによって達成される。本発明の特に好ましい一実施形態においては、前記の組み換え酵母は、皮下的に適用される。本発明によれば、K.ラクティス、特に遺伝子工学的に改変された変異体VAK367-D4およびそれから誘導された変異体VAK890およびその変異体を、皮下的な適用のために用いる使用が特に好ましい。

0047

前記組み換え酵母細胞は、本発明による方法において、不活性化させて/死滅させて使用すべきである。そのためには、前記酵母は、培養および異種遺伝子の発現の後に乾燥させ、引き続き不活性化される。不活性化は、あらゆる通常利用可能なあらゆる方法で実施できる。本発明による方法で使用するのに適しているのは、熱不活性化(例えば90℃で2時間にわたる熱不活性化)である。

0048

経口的な/経粘膜的な予防接種のためには、例えば短期の1/1/1/1/1の免疫化スキーム(1週間経口投与、1週間休止、1週間経口投与など)またはより長期の2/2/2のスキーム(2週間経口投与、2週間休止、2週間経口投与など)を使用することができる。皮下的な予防接種のためには、例えば2回または3回の使用を、それぞれ2週間の間隔で使用することができる(図4および図5)。

0049

行われた免疫化の検証のために、あらゆる通常の方法が提供される。本発明の一実施形態においては、前記の免疫化の検出のためには、ウイルスを中和する抗体の力価が試験される。そのために、例えば特定のELISA試験または中和アッセイを実施できる。該中和アッセイにおいては、定義された数のIBDウイルスに、免疫化された動物または対照動物の定義された量の血清が加えられる。その後に、感染の阻害(中和)については、こうして処理されたウイルスによって細胞培養において試験される。免疫化に成功したかどうかは、「負荷」実験においても、例えば「ウイルス負荷」実験においても調べることができる。そのために、処置された動物に、通常は免役されていない動物の場合に病気が引き起こされるであろう病原の微生物またはウイルスの用量が与えられる。かかる負荷後に動物の病気が起こらないときには、免疫化が成功したことの立証がもたらされる(図5)。最後に、免疫化の検証は、免疫組織化学によってももたらすことができる。その場合に、前記の負荷後に、病原の目的臓器は、感染または病変に基づいて調査される(図5)。

0050

本発明によれば、それぞれVAK367-D4から誘導された組み換えK.ラクティス変異体は、皮下的な適用による予防接種のために効果的に使用できることが示された。実施例において挙げられる変異体株VAK890は、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV;D78株)のVP2抗原を発現する。IBDVのVP2は、ウイルスキャプシド形成性タンパク質である。VP2については、この抗原に対する体液性免疫応答が十分に引き起こされて、感染された生物が予防的に関連のウイルス(IBDV)による後の感染に対して防御されることが知られている。有効な体液性免疫応答の惹起は、一方ではウイルスを中和する抗体の定量化を介して誘発できた。他方で、防御的免疫応答の検証は、「ウイルス負荷実験」およびウイルス負荷後の免疫組織化学を介して導かれた。本発明によれば、ここで組み換えK.ラクティスもしくはVAK367-D4株から出発する組み換えK.ラクティスは、皮下的な使用において、効果的に作用する、すなわち90〜100%までの防御的なワクチン(90〜100%は、予防接種における「ゴールドスタンダード(Gold-Standard)」に相当する)として確立できた(図4および図5)。組み換えK.ラクティスもしくはVAK367-D4から出発する組み換えK.ラクティスは、従って感染病原体、例えばウイルスなどの病原体に対する「サブユニット」マーカーワクチンとして確立された。すなわち、抗原としては、ウイルスの個々の免疫原性タンパク質サブユニットを使用した。「サブユニット」マーカーワクチンとしての使用は、その使用が予防接種された生物と予防接種されていない感染した生物との区別を可能にすることを暗示する。そのことは、例えば予防接種のために使用される抗原に対する抗体も、感染病原体の更なる抗原に対する抗体も検出する鑑別診断法の使用により可能である。VAK367-D4株から出発する組み換えK.ラクティス株VAK890(DSM25405)での免疫化によって、相応のウイルス抗原に対して高い抗体力価を生成できた。これらの抗体については、それらがウイルス中和性であると示すことができた。既にこの特性と測定された高い力価によって、経験的に、この体液性免疫応答が、生物を関連のウイルスでの後の感染から防御するために十分であると導き出すことができる。最終的な裏付けは、IBDVについてもたらすことができた。生成されたウイルス中和抗体の高い力価は、ニワトリモデルにおいて、後のウイルス感染に対する予防接種された動物の完全な防御と相関した(図5)。K.ラクティス、特に遺伝子工学的に改変された変異体VAK367-D4およびその子孫、例えばK.ラクティスVP2-T2S_GAL4(VAK890)の使用は、従来の方法に対する以下の本質的な利点を有する:
1.異種遺伝子発現に使用するためには、K.ラクティスは、S.セレビシエと比べて、何百万年にもわたりS.セレビシエから多様化しているK.ラクティスの生理学によるものである本質的な基本的な利点を有する。

0051

2.異種遺伝子の発現は、プラスミドベクターを介して行われずに、該異種遺伝子をK.ラクティスゲノムの定義された遺伝子座に狙い通りにかつ安定的に組み込むことにより行われる。そのことは、非選択的な条件下でのタンパク質発現の高い再現性を可能にする。この観点は、発酵器で酵母株を培養することによってワクチンを再現的に生成するために必須である。菌株VAK367-D4およびその子孫の原理は、既に経口的な予防接種について記載されている(WO 20101054649 A2)。本発明においては、菌株VAK367-D4およびその子孫、特にK.ラクティスVP2-T2S_GAL4(VAK890)およびoVP2-T2S_GAL4(VAK911)は、皮下的な予防接種において、本質的により少ない酵母量を使用しつつウイルス感染に際しての効果的な防御をもたらすことが示されている。

0052

3.遺伝子発現は、誘導でき、かつ転写アクチベーターGal4の濃度の増大および/または酵母宿主への適合において異種遺伝子のヌクレオチド配列のコドン最適化によって更に高めることができる。流加培養発酵プロトコールの確立は、細胞毒性抗原の効率的な産生を可能にする。

0053

4.VAK367-D4およびその子孫への異種遺伝子の組み込みは、「1ステップ法」である。すなわち、約3週間で、新たな組み換え菌株が作製されて特性決定できる;そのことは、改変されたウイルス変異体に対する効果的なワクチンの迅速な開発のために特に重要である。

0054

5.K.ラクティスのタイプの組み換え酵母、特に菌株VAK367-D4およびその子孫の組み換え酵母の皮下的な投与によって、マウスにおいても、ニワトリにおいても、防御的な免疫応答を作製できた。該方法は非常に簡単である:不活性化された(熱で死滅された)酵母細胞の定義された量を、被予防接種体に2〜3回の方法で皮下に注入する。最後の使用の2週間後に、被予防接種体の血清を、抗原特異的抗体の存在および機能性に基づき調査する。ウイルス中和試験によって、この免疫応答が、主として、中和抗体の生成のみに基づかないものである(防御的体液性免疫応答)ことを立証できた。従って、K.ラクティスによって皮下的な使用で誘導できる免疫応答は、根本的に、とりわけT細胞応答を誘導するS.セレビシエによって誘導可能な免疫応答とは異なる。従って、K.ラクティスの皮下的な使用の可能性は、基本的に、S.セレビシエの皮下的な使用の可能性とは別である:K.ラクティスは、防御的体液性免疫応答を生じうる抗原の場合のサブユニットワクチンとして使用できる(例えばウイルス抗原、例えば伝染性ファブリキウス嚢病のウイルスIBDVのVP2抗原またはインフルエンザウイルスのヘマグルチニンHA抗原)が、一方で、S.セレビシエは、防御的細胞性免疫応答を生じうる抗原の場合のサブユニットワクチンとして使用できる(例えばC型肝炎ウイルスのNS3タンパク質またはHer-2などの腫瘍抗原の場合)。誘導された免疫応答の形における前記の相違は、おそらく上述したS.セレビシエとK.ラクティスの細胞の大きく異なる特性に起因しうる

0055

まとめると、本発明は、先行技術に対して広範囲に寄与し、先行技術に対する数多くの好ましい実施形態を提供する:
・ 本発明者は、予防接種された個体と自然感染された個体とを区別できるサブユニットマーカーワクチンを製造することに成功している
・ 更に、同時に強いアジュバント特性を有し、それにより免疫原性が強いサブユニットマーカーワクチンを製造できる
・ 本発明によるサブユニットマーカーワクチンは、何度も使用できる
・ 本発明によるサブユニットマーカーワクチンは、被予防接種体において全身性の防御的免疫応答および免疫学的記憶を生ずる
・ 本発明により、細胞毒性抗原に対するワクチンを製造することも可能である
・ 本発明による方法は、新規のワクチン変異体のできるだけ迅速な生成を可能にする
予防接種法は、特に非常に廉価である
・ 本発明によるワクチンの製造のために、実験動物は必要なく、または培養において動物もしくはヒトの細胞の使用が必要である
・ 本発明によるワクチンは、温度感受性でなく、冷却せずに輸送および貯蔵することができる
・ 本発明による方法では、生きている組み換え細胞または生物は使用されない
・ 本発明による方法を用いて、使用されるワクチンの量も、防御的免疫化の達成に必要な使用数も、最低水準に制限できる。

図面の簡単な説明

0056

図1は、IBDVのVP2異種遺伝子を有する接種菌株をVAK367-D4出発菌株での相同組み換えによって製造することを図示している。
図2のAは、菌株VAK887によるIBDVのVP2の発現を、VP2特異的抗体を用いたウェスタン分析によって、本来の菌株(VAK367)と比較して、かつIBDV感染したニワトリ細胞と比較して示しており、図2のBは、種々のVP2を発現するK.ラクティス変異体における組み換えIBDVのVP2もしくは突然変異されたIBDVのVP2-T2Sの発現分析を示している。
図3のAは、本発明による酵母の90℃での2時間にわたる熱不活性化が、組み換えVP2-T2Sタンパク質の損失をもたらさないことを示しており、図3のBは、変異体VAK890におけるVP2-T2Sの量が、酵母細胞当たりに約0.7gの異種タンパク質であることを示している。
図4は、マウスにおける、皮下的に適用された熱不活性化されたK.ラクティス変異体VAK890の完全な酵母細胞による予防接種を、K.ラクティス変異体VAK890の完全な酵母細胞での経口的な予防接種と比較して説明している。
図5は、ニワトリにおける熱不活性化されたK.ラクティス変異体VP2-T2S_GAL4(VAK890)の完全な酵母細胞での経口的なおよび皮下的な予防接種を示している。
図6は、ベクターKlp3-MCS(配列番号10)の構造を図解している。

0057

実施例
1.K.ラクティス菌株VAK367-D4(metA ura3-5 lac4::ScURA3)の作製。

0058

異種タンパク質の異種発現のための出発菌株VAK367は、以下の特性を有する:前記菌株は、高い細胞密度までの培養を、その際に細胞内タンパク質が検出可能なほど遊離させずに可能にする。その点で、前記菌株は、使用される多くの近縁のK.ラクティス菌株とは異なる。菌株VAK367は、二回の突然変異誘発によって菌株CBS2359(Centraalbureau voor Schimmeicultures http://www.fungalbiodiversitycentre.com)から導かれ、アミノ酸メチオニンヌクレオベースのウラシルについて栄養要求性である。菌株VAK367から、遺伝子工学的手法によって菌株VAK367-D4(2009年11月18日にドイツ微生物細胞培養コレクション(DSMZ)(Braunschweig)で寄託番号DSM23097として寄託された)は、プラスミドpD4-2を用いてLAC4遺伝子の+358〜+1181の配列をScURA3遺伝子によって置き換えることで導かれた。菌株VAK367-D4は、ここで追加のマーカーなくしてLAC4座での異種遺伝子の組み込みを、ラクトース増殖について選択することによって可能にする。その場合に、好適な組み込みベクター、例えばKlp3-MCS(図6)を使用する場合に、相同組み換えによって、分解カセットを、ScURA3マーカーの損失下にインタクトなLAC4遺伝子が再構築されるように交換する(図1)。

0059

2.異種遺伝子の誘導可能な発現を可能にする組み込みベクターの作製(ベクター:Klp3-MCS)
ベクター:Klp3-MCS(配列番号10)
ベクターKlp3-MCS(配列番号10)(図6)は、YRp7をベースとするE.コリベクターであって、ARS1配列を欠失しているため酵母において自己複製できないベクターである。Klp3-MCS(配列番号10)は、K.ラクティスのLAC4プロモーターと、LAC4座での組み込みを相同組み換えによって可能にする配列とを含む。

0060

LAC4プロモーターと転写開始との間に、TEF1ターミネーターとKlGAL80プロモーターとを含むDNA断片を挿入した。それにより、LAC4読み枠は、相同組み換えによる再構築後にKlGAL80プロモーターの制御下に発現されうる。KlGAL80プロモーターは、転写因子KlGal4を介してLAC4プロモーターで同時に調節される(Zenke et al. 1933)。この構築は、LAC4にコードされるβ−ガラクトシダーゼの測定を介して、異種遺伝子発現の誘導を追跡できる。Klp3-MCS(配列番号10)は、異種遺伝子の挿入を、LAC4プロモーターおよびTEF1ターミネーターとの間で、マルチクローニングサイト(MCS)におけるユニークな切断部位の一つを介して可能にする(図6)。組み込みのために、得られたプラスミドを適切な制限酵素消化し、発現カセットとE.コリベクター配列とを分離する。K.ラクティスVAK367-D4における形質転換の後に、該発現カセットは染色体に組み込まれる;得られた菌株は、細菌性配列を含まない。

0061

3.伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV変異体D78)のVP2抗原を発現するK.ラクティス変異体
組み換え酵母菌株の製造
IBDVのD78 VP2をコードするcDNAを、プラスミドpD78A(Icard et al., 2008)から以下のオリゴヌクレオチド
AscI制限切断部位を含むIBDV_AscI_fwd(5'-GGCGCGCCGATGACAAACCTGCAAGATC-3')(配列番号7)、および
NotI制限切断部位を含むVP2_NotI_rev(5'-ATAAGAATGCGGCCGCTCACACAGCTATCCTCCTTATG-3')(配列番号8)
を用いて増幅させた。

0062

VP2-T2Sの作製のために、以下のオリゴヌクレオチド対
IBDV_S:T_AscI_fwd(5'-GGCGCGCCGATGTCTAACCTGCAAGATCAAACCCA-3')(配列番号9)、および
VP2_NotI_rev(前記参照)
を使用した。

0063

こうして増幅されたDNA断片を、ヌクレオチド配列の検査および確認の後に、AscIおよびNotI切断部位を介してベクターKlp3-MCS(配列番号10)(図6)にクローニングした。次いでゲノムへの組み込みを行った(図1)。詳細には、組み込みプラスミドを制限酵素EcoRIで消化し、消化された断片をコンピテントなVAK367-D4細胞に形質転換させた。形質転換された細胞を、YEPD培地にプレーティングし、30℃で一晩インキュベートした。陽性コロニーを見つけるために、該形質転換プレートを、炭素源としてラクトースを含有するSM培地に複製し、30℃で2日間インキュベートした。この方法で同定された陽性クローンを更に調査した。

0064

追加のKlGAL4遺伝子コピーのゲノム組み込みは、慣用の方法により実施した(Kuger et al.(1990))。コドン最適化は、サッカロマイセス・セレビシエアルゴリズム(mr.gene.com, Raab et al., 2010)に従った。コドン最適化されたDNA断片を直接合成した。その合成に際して、5' AscIおよび3' NotI制限切断部位は既に消化されている(mr.gene.com, Regensburg, Deutschland)。引き続き、ベクターKlp3-MCS(配列番号10)へのクローニングを行った。

0065

ウェスタンブロット分析
細胞ペレットを、B60バッファー(50mMのHEPES-KOH pH7.3;60mMの酢酸カリウム;5mMの酢酸マグネシウム;0.1%のTriton X100;10%のグリセロール;1mMのフッ化ナトリウム;20mMのリン酸グリセロール;10mMのMgCl2;1mMのDTT;プロテアーゼコンプリートインヒビターロシュ))中に再懸濁し、ガラスビーズ一緒激しく混ぜることによって破砕した。抽出物遠心分離し(14000回転/分、4℃で20分)、そしてタンパク質濃度を測定した。40μgのタンパク質抽出物を、12%のゲル中でSDS-PAGEによって分離した。次いで、前記タンパク質をメンブレントランスファーした。ウェスタンブロット分析は、ウサギ由来のα-IBDV抗血清(1:15000;Granzow et al., 1997)およびヤギ−α−ウサギHRP結合抗体(1:3000、Santa Cruz Biotechnology, Inc.)を用いて慣用の方法を利用して実施した。

0066

ノーザンブロット分析
RNAの完全な抽出のために、5mlの酵母培養を上で冷却した。細胞溶解は、Prot Kバッファー(100mMのTris/HCl pH7.9、150mMのNaCl、25mMのEDTA、1%のSDS)および50mgのプロテイナーゼK(Fermentas)中でガラスビーズと一緒に激しく振盪しながら実施した。それらのサンプルを、35℃で1時間にわたりインキュベートし、RNAを抽出し、エタノールで沈殿させ、DEPC水中に再懸濁させた。ノーザン分析は、Engler-Blum et al., 1993に記載されている通りであるが、幾つかの相違点をもって実施した。5μgの全RNAを、1%ホルムアルデヒドアガロースゲルで分離し、ナイロンメンブレン(Amersham HybondTM-N+、GE Healthcare)にトランスファーした。そのメンブレンを、DIG標識されたRNAプローブと一緒に68℃でインキュベートした。前記プローブは、PCR断片のDIG-NTPs(ロシュ)の存在下でのインビトロ転写によって製造されたものである。前記ブロットを、ブロッキング溶液で処理し、抗DIGアルカリ性ホスファターゼ結合抗体(ロシュ)と一緒にインキュベートした。アルカリ性ホスファターゼの活性の測定は、通常の方法によって実施した。

0067

異種発現されたVP2の定量化
Saugar et al., 2005によるプロトコールを改変したものを使用した。エピソームVP2プラスミド(pADH1-P_VP2-T2S)で形質転換された2000ODEの酵母細胞を、選択培地(0.67%のYNB、2%のグルコースと以下の添加剤:11mg/lのAde;14mg/lのTyr;それぞれ38mg/lのHis、Trp、Arg、Met;48mg/lのPhe;それぞれ58mg/lのLeu、Ile、Lys、Val、Thr)上で一晩培養した。回収し蒸留水洗浄した後に、該細胞をガラスビーズを用いて溶解バッファー(10mMのTris(pH8.0)、150mMのNaCl、20mMのCaCl2、1mMのEDTA、プロテアーゼコンプリートインヒビター(ロシュ)、pH8.0)中で破砕した。得られたタンパク質抽出物を、遠心分離(10000g、4℃で1時間)し、可溶性フラクションスクロースバッファー中の20%(w/v)スクロースクッション上に成層させた(10mMのTris pH8.0、150mMのNaCl、20mMのCaCl2;プロテアーゼコンプリートインヒビター(ロシュ)を含有する)。170000gで4℃で3時間にわたり遠心分離した後に、ペレットを、200μlのスクロースバッファー中に溶解させ、そして更に17時間にわたり114000gでスクロースバッファー中の20%から53%のスクロース勾配で遠心分離した。前記勾配は、700μlのフラクションで受け止められ、それをSDS-PAGEおよびウェスタンブロットによって分析した。異種発現されたVP2のオリゴマータンパク質複合体を、このようにして濃縮して精製できた。タンパク質を検出し、タンパク質量をSDS PAGEおよびクーマシー染色によって標準タンパク質と比較して測定できた(示さず)。こうして精製されたVP2を、次いで抗VP2抗体を用いた比較ウェスタンブロットにおける標準として使用した。VP2量を種々の発酵からの酵母細胞の定義された数と比較した(図3)。

0068

酵母発酵および熱不活性化
全ての実験的な発酵は、4つの完全装備(voll ausgeruestet)の2l発酵器を有するDasGipパラレルバイオリアクターシステム(DasGip AG, Juelich, Deutschland)中で実施した。生産規模での発酵は、OrganobalanceGmbH社(Berlin, Deutschland)によってまたは専用研究室で10lの作業容量を有するBiostat EDバイオリアクター(B.Braun Biotech, Melsungen, Deutschland)において実施した。全ての生産プロセスは、流加培養法で実施した。2%の酵母エキスおよび1%のペプトンを有する複合培養培地と20%のラクトース供給溶液を用いた。酵母培養の温度は、30℃で保持し、pO2は30%飽和に制御した。pH値は、発酵の間に2MのNaOHまたは2MのH3PO4の添加によって5.0に保持した。

0069

マウスおよびニワトリにおけるインビボ実験のために、酵母を凍結乾燥させ、次いで90℃で2時間にわたり熱不活性化させた。この方法の利用により、1グラムの細胞乾燥質量あたり10細胞未満が生存可能であった。

0070

4.マウスにおける皮下的な適用
伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV変異体D78)のVP2抗原を発現するK.ラクティス(VAK890)をマウスにおいて皮下的に適用するために、乾燥させて粉体化させた酵母を初回使用のために完全フロイントアジュバント(CFA)と混合し、更なる使用においては、該酵母を不完全フロイントアジュバント(IFA)と混合した(200μlのCFAまたはIFA当たりに100μgの酵母材料)。200μlのエマルジョン(100μgの酵母を含有する)を、免疫化/追加免疫(boost)当たりに1個体につき注射した。それにより、皮下的な免疫化につき1マウス個体に投与されたVP2の量は、約18ngに相当した(図3)。初回注射(0日目)後に、2週間の間隔で2回「追加免疫」した(14日目および28日目;図4)。更に2週間後に、それらの動物を血清取得のために麻酔により屠殺した。

0071

5.ニワトリにおける皮下的な適用
ニワトリにおける皮下的な適用のために、伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス(IBDV変異体D78)のVP2抗原を発現する乾燥して粉体化されたK.ラクティス変異体(VAK890)5mgを、750μlのリン酸緩衝液生理食塩水PBS)ならびに500μlの滅菌蒸留水中に溶解させ、1.25mlのIFAを用いてエマルジョンを製造した。このエマルジョン(1mgの酵母を含有する)500μlを、0日目、14日目ならびに28日目に注射した(図5)。それにより、1ニワトリ個体の皮下的な免疫化につき投与されたVP2の量は、約180ngに相当した(図3、4)。

0072

6.ウイルス「負荷」
予防接種(図5)後に、ニワトリ被予防接種体を42日目に経口的な経路を介して100EID50のIBDV株「Edgar」を感染させ、6日後に死亡率を調べた。引き続き動物を麻酔により屠殺した後に、血清を得て、該動物のファブリキウス嚢を取り出した。該ファブリキウス嚢を、まず24時間にわたり10%の中性緩衝されたホルマリン中に固定し、引き続きパラフィン包埋させた。

0073

7.酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)
前記被予防接種体の血清におけるIBDV特異抗体力価を、市販のELISA試験により測定した(IDEXX FlockChek(登録商標)IBD ELISAキット(IDEXX Laboratories, Inc.)。マウス被予防接種体の血清の場合には、製造元のとは異なる二次抗体を使用した(Sigma Aldrich)。

0074

8.中和アッセイ
ウイルスを中和する抗体の濃度の測定のための中和アッセイは、Schroeder et al., 2000のプロトコールに従って実施した。

0075

9.免疫組織化学
パラフィン中に包埋されたファブリキウス嚢から、4マイクロメートル厚の臓器切片を作製した。パラフィンを除去した後に、これらを標準的手順に従ってヘマトキシリンおよびエオシンを用いて染色した。サンプルを顕微鏡により調査し、いわゆる「病変スコア」を1〜4のスケールで決定した(1は正常ないし10%の毛包萎縮であり、2は10〜30%の毛包萎縮であり、3は30〜70%の毛包萎縮であり、4は70%超の萎縮である)。

0076

結果
IBDVのVP2を発現するK.ラクティス菌株の製造および最適化
IBDVのVP2遺伝子が組み込まれた種々のK.ラクティス変異体を作製した。予防接種実験のために、VP2タンパク質がアミノ酸位置2で突然変異されており(トレオニンのセリンとの交換;Jagadish et al.(1991))、かつ少なくとも2つのKlGAL4遺伝子の追加のタンデムな組み込みを含む最適化された変異体(変異体VP2-T2S_GAL4;菌株VAK890)を使用した。突然変異によって異種タンパク質を更に安定化させた;トランスアクチベーターの過剰発現によって、VP2発現の明らかな増加を達成できた(図2)。追加のKlGAL4遺伝子の組み込みは、このK.ラクティス変異体のより高い増殖速度とも相関していた。関連のVP2を発現するK.ラクティス株VAK890のための増殖条件を、酵母が高い密度でかつ発現されたVP2の再現可能な量で発酵できるように最適化した。製造後に、該酵母を凍結乾燥させ、90℃で2時間にわたり不活性化させた。不活性化の立証がもたらされた:1gの不活性化された酵母材料当たりに10未満の生きている酵母細胞が残されている。1酵母細胞当たりのVP2の量を測定した:その量は、菌株VAK890では1酵母細胞当たり約0.7fgの異種VP2タンパク質であった(図3)。

0077

マウスおよびニワトリにおける皮下的な適用
免疫化は上記のように実施した;最後の適用の2週間後に処置された被予防接種体の血清を中和抗体の存在に基づき調査した。そのために、IBDV特異的ELISAを使用し、IBDV中和アッセイを実施した(図4および図5)。予防接種されたニワトリで、更に「ウイルス負荷」実験を実施した。このために、該動物に、1動物当たりに100EID50のウイルス力価の、伝染性の高い菌株「Edgar」を供給した。その濃度は、予防接種されていない家禽の場合に約10〜35%(図5D)の死亡率でファブリキウス嚢病に導く濃度である。「ウイルス負荷」実験に引き続き、被予防接種体のファブリキウス嚢を免疫組織化学によって、該ファブリキウス嚢における感染兆候および病変に基づき調査し、いわゆる「病変スコア」(図5)を特徴付けた。

0078

マウスでの実験もニワトリでの実験もいずれも、K.ラクティス株VAK890の皮下的な適用によって高い力価のウイルス中和抗体が実質的に全ての処置された動物において生成されえたことを示した(図4B、4C;図5B、5C)。同様に、実質的に全ての予防接種されたニワトリ被験体はウイルス負荷に対して防御されており、かつそのファブリキウス嚢のいずれにおいてもウイルス感染の気配はないことを示すことができた(図5)。K.ラクティス株VAK890が皮下的に接種された全ての動物は、従ってVP2に対して相当の体液性免疫応答を示した。この免疫応答は、既に初回の追加免疫後に観察できており、そのことから推定できることは、更に不完全フロイントアジュバントで実施できる2種類の感染(免疫化および追加免疫)は、既に、防御の発生のために十分であるということである。更に、K.ラクティス株VAK890が接種された全てのニワトリ被験体は、後のウイルス感染に対して防御されている(図5)。

0079

略語
ARS1自己複製する配列;複製を引き起こすDNAのヌクレオチド配列
Asc l制限エンドヌクレアーゼAsc l
CFA完全フロイントアジュバント
DNAデオキシリボ核酸
DEPCジエチルピロカーボネート
DIG-NTPジゴキシゲニンヌクレオチド三リン酸
DSMZ ドイツ微生物細胞培養コレクション
DTTジチオトレイトール
E.コリエシェリキア・コリ
EcoRI制限エンドヌクレアーゼEcoRl
EDTAエチレンジアミン四酢酸
EID50またはの感染用量 − 感染した卵の50%に感染を引き起こすのに必要な感染性ウイルスの数
ELISA酵素結合免疫吸着アッセイ
GAL4酵母特異的な転写アクチベーター
GRAS一般に安全と認められる
HEPES2−(4−(2−ヒドロキシエチル)−1−ピペラジニルエタンスルホン酸
Hpa l 制限エンドヌクレアーゼHpa l
HRPセイヨウワサビペルオキシダーゼ
IBDV伝染性ファブリキウス嚢病のウイルス
IFA不完全フロイントアジュバント
K.ラクティスクルイベロマイセス・ラクティス
KIGAL4 KlGal4/Lac9タンパク質をコードするK.ラクティス遺伝子
KIGAL80 KlGal80タンパク質をコードするK.ラクティス遺伝子
LAC4β−ガラクトシダーゼ酵素をコードするK.ラクティス遺伝子
Not l 制限エンドヌクレアーゼNot l
ODE光学密度単位
PBSリン酸緩衝液/生理食塩水
PCRポリメラーゼ連鎖反応
RNAリボ核酸
S.セレビシエサッカロマイセス・セレビシエ
Sal l 制限エンドヌクレアーゼSal l
SDSドデシル硫酸ナトリウム
SDS-PAGE SDSを使用したポリアクリルアミドゲル電気泳動
TEF1翻訳因子EF-1αをコードするアルクスラ・アデニボランス(Arxula adeninivorans)の遺伝子
VP2 IBDVのキャプシド形成性ウイルスタンパク質
VP2-T2S 位置2でのトレオニンのセリンへのアミノ酸交換を有するVP2
VAKワクチン株
YEPD酵母エキス−ペプトン−デキストロース
YRp7 S.セレビシエ−E.コリのシャトルベクタージーンバンクアクセッション番号U03501(Botstein et al., 1979)

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