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技術 A型インフルエンザに特異的な抗体

出願人 アイム・セラピューティクス・べー・フェー
発明者 ヘルゲン・スピッツティム・ボーモンマーク・イェロエン・ワッケンボスアリエン・クィリヌス・ベッカー
出願日 2012年12月3日 (6年9ヶ月経過) 出願番号 2014-544698
公開日 2015年3月5日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2015-506668
状態 特許登録済
技術分野 突然変異または遺伝子工学 生物学的材料の調査,分析 酵素、微生物を含む測定、試験 微生物による化合物の製造 微生物、その培養処理 蛋白脂質酵素含有:その他の医薬 抗原、抗体含有医薬:生体内診断剤 化合物または医薬の治療活性 ペプチド又は蛋白質
主要キーワード グループ型 推定コスト 中和曲線 ハイロー 豚インフルエンザ ユニボディ 金フィルム 分析サイクル
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図面 (18)

課題・解決手段

本発明は、複数のインフルエンザウイルスサブタイプに特異的な、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分に関する。本発明は、インフルエンザAウイルス感染診断のための、及びインフルエンザAウイルス感染の症状を少なくとも部分的に治療又は軽減するための医薬及び/又は予防剤としての、そのような抗体の使用にも関する。

概要

背景

インフルエンザは、インフルエンザウイルスのタイプA型、B型及びC型の3種類によって引き起こされ得る、鳥類及び哺乳類感染症である。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科に属するRNAウイルスである。インフルエンザウイルスは、9つのタンパク質をコードする7つのネガティブ一本鎖RNAセグメント(インフルエンザC)、又は11のタンパク質をコードする8つのネガティブ一本鎖RNAセグメント(インフルエンザA及びB)からなるRNAウイルスである。インフルエンザウイルスは、毎年何百万人もの人々を感染させる。インフルエンザの症状は、発熱頭痛悪寒筋肉痛、のどの痛みなどの一般的な風邪匹敵する症状が含まれる。しかし、インフルエンザはまた、幼児高齢者、及び免疫低下慢性疾患個人のような高リスク群では、生命にかかわる肺炎などの合併症死亡つながり得る。

インフルエンザAウイルスは、エンベロープタンパク質発現に基づいて異なるタイプに細分することができる。現在16のヘマグルチニンHA血清型(H1〜H16)及び9ノイラミニダーゼ(NA)血清型(N1〜N9)が同定されており、インフルエンザウイルスを分類するために使用されている(例えばH1N1のように)。HAは、ジスルフィド結合によって連結された2つのサブユニット、HA1及びHA2からなる。HAは、伝染性になるためにはホストのプロテアーゼによって切断され、2つのポリペプチドHALとHA2を産生する必要がある。HA1の大部分は、HAの球状頭部領域を形成し、HA2は、主にHAのステム領域を形成する。ステム領域がより保存されているのに対し、球状頭部領域は、異なるHAサブタイプ間でかなり異なっている。HAは宿主細胞へのエントリのために必要とされる。切断されると、HA2ポリペプチドの露出したN末端は、宿主細胞膜とウイルス膜との融合を媒介するように作用して、ウイルスを宿主細胞に感染することができるようにする。NAは新しいビリオンリリースのために必要とされる。NAは、宿主細胞の糖タンパク質末端シアル酸残基加水分解触媒し、それによって、これらのタンパク質へのHAの結合を防止する。NAは、このように細胞からのウイルスの放出を促進し、その結果、ウイルスの拡散を促進する。図1に、インフルエンザウイルスの概略図を示す。

インフルエンザウイルス感染症に最も普及する。毎年のインフルエンザの流行では、人口の5〜15%が上気道感染症罹患している。入院と死亡は、主に高リスク群(幼児、高齢者、免疫低下や慢性疾患の個人)で発生する。毎年の流行は、毎年世界で、深刻な罹患が300〜500万件、及び死亡が250,000〜500,000の間になると考えられている。米国経済へのインフルエンザの流行の推定コストは、医療費生産性損失から、年間710から1670億である。季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの抗原ドリフトの結果として毎年開発される必要がある。インフルエンザゲノムにおける突然変異は、HAとNAタンパク質における抗原性の変化を引き起こすアミノ酸置換誘導することができ、宿主の免疫逃避を生じる。したがって、たとえインフルエンザ株が高い相同性を持っていたとしても、特定のワクチンでは、同じインフルエンザAのサブタイプからの異なる株に対しては保護できないかもしれない。さらに、新たに開発されるインフルエンザワクチンは、来年の支配的なサブタイプの予測に基づいているため、ワクチンが、常に実際に発生するインフルエンザサブタイプから必ず保護してくれるわけではない。

さらに、抗原シフトと呼ばれるプロセスにより、異なるインフルエンザウイルスサブタイプからのHA及びNAの組み合わせによって新たなウイルスサブタイプが形成される。変異及び、人や、及び/又は豚インフルエンザの遺伝的混合は、世界的流行パンデミック)につながる可能性がある。世界保健機関(WHO)によると、パンデミックは、三つの条件、すなわち集団にとって新しい病気出現、ヒトに感染して深刻な病気の原因となる感染力、ヒトの間で容易に、かつ持続的に広がる力、が満たされたときに起動され得る。過去には、いくつかの新型インフルエンザの流行が起こっており、例えば、1889年アジアパンデミック(H2N8)、1918年のスペイン風邪のパンデミック(H1N1)、1957年アジア風邪パンデミック(H2N2)、1968年の香風邪(H3N2)及び2009パンデミック(H1N1)である。これらのパンデミックにより、何百万人もの人々が亡くなった。

抗ウイルス薬は、インフルエンザの予防及び治療に有効であり得る。抗ウイルス薬の2つのクラスが入手可能である。M2タンパク質阻害剤及びノイラミニダーゼ阻害剤である。しかし、これらの阻害剤に対して耐性を示すインフルエンザ株の数が増加している。

インフルエンザ感染を予防及び治療するための代替アプローチは、インフルエンザタンパク質に対する抗体の投与である。広い交差中和抗体が、系統グループ1に属するインフルエンザウイルスについて記載されている(ThrosbyらPLoS ONE、2008&スイら、Nature structural & molecular biology、2009)。これらの抗体は、HAタンパク質のステムに保存された領域を認識し、マウスにおけるインフルエンザ感染を処置することができる。マウスモノクローナル抗体(mAb)は、HA1サブユニットの受容体結合ドメインを含む領域における保存されたエピトープを認識することが記載されている。この抗体は、H1N1、H2N2及びH3N2インフルエンザウイルスの病原体中和する(吉田ら、PLoS Pathogen、2009)。しかし、エスケープ変異体が生じることが報告されている。この抗体は、ヒトで使用された場合、副作用があり得るという欠点を有するマウス抗体である。

WO2009/115972には、ヒトモノクローナル抗体は、H1N1及びH3N2に対する中和活性を持つことが開示されている。しかし、10グラム/ミリリットル前後のIC50値での、H1N1及びH3N2の両方に対する活性の中和は非効率的である。WO2010/010466には、ヒト抗体、FI6が、H5N1(グループ1)とH7N1(グループ2)偽型インフルエンザウイルスとH1N1及びH3N2の感染性ウイルスを中和することが記載されている。ここでも、2〜12.5μg/mlの間のIC50値で、両方の感染性ウイルスに対して活性を中和することは、非効率的である。WO2010/130636に開示されたヒト抗体は、H3及びH7の交差結合活性を有する。H3及びH7は、両方ともグループ2のインフルエンザウイルスである。これらの抗体のいくつかは、さらに、H1(グループ1)と結合することができる。しかしながら、これらの抗体のいずれも、グループ1とグループ2の双方のインフルエンザウイルスを中和することはできなかった。その結果、抗体のカクテルは、グループ1とグループ2のインフルエンザサブタイプの両方の中和のために必要である。さらに、H3及びH7インフルエンザウイルスサブタイプの両方を中和することができる抗体のH3N2中和活性は、1μg/mlより大きい。例えばWO2010/130636の実施例及び表7に記載の抗体CR8020は、H3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96に対して15μg/mLのIC50値での非効率的な中和活性を有することを示す例である。

概要

本発明は、複数のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的な、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分に関する。本発明は、インフルエンザAウイルス感染診断のための、及びインフルエンザAウイルス感染の症状を少なくとも部分的に治療又は軽減するための医薬及び/又は予防剤としての、そのような抗体の使用にも関する。

目的

本願発明は、複数のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的なさらなる抗体、又はそのような抗体の機能的等価物及びこのような抗体を含む組成物を提供する

効果

実績

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請求項1

1μg/ml未満、好ましくは0.7μg/ml未満、より好ましくは0.3μg/ml以下、さらに好ましくは0.2μg/ml未満のIC50値でのインビトロでのH3N2インフルエンザウイルス中和活性を有し、少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することができる、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物

請求項2

当該少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプが、グループ2のインフルエンザAウイルスサブタイプである、請求項1に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項3

当該少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプが、グループ1のインフルエンザAウイルスサブタイプである、請求項1に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項4

以下:‐配列番号1〜5からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は‐配列番号6〜10からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は‐配列番号11〜15からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は‐配列番号16〜20からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は‐配列番号21〜25からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は‐配列番号26〜30からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列を含む、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項5

配列番号31〜35からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖配列を有する、及び/又は配列番号36〜40からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である軽鎖配列を有する、請求項4に記載された抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項6

請求項4又は5に記載の抗体又はその機能的部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の少なくとも一つのCDR配列をコードする、少なくとも15ヌクレオチドの長さの、単離された、合成の、若しくは組換えの核酸分子又はその機能的等価物。

請求項7

‐配列番号41〜45、及び‐配列番号46〜50、及び‐配列番号51〜55、及び‐配列番号56〜60、及び‐配列番号61〜65、及び‐配列番号66〜70からなる群よりより選択される配列に少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項6に記載された核酸分子又はその機能的等価物。

請求項8

配列番号71〜75からなる群より選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含むか、及び/又は、配列番号76〜80からなる群より選択される配列と少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む、請求項6又は7に記載された核酸分子又はその機能的等価物。

請求項9

請求項6〜8のいずれか一項に記載の核酸分子又はその機能的等価物を含むベクター

請求項10

請求項6〜8のいずれか一項に記載の核酸分子又はその機能的等価物及び/又は請求項9に記載のベクターを含む、単離された又は組換え細胞

請求項11

請求項1〜9のいずれか一項に記載された抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物あるいは核酸分子又はその機能的等価物あるいはベクター、及び薬学的に許容され得る担体希釈剤及び/又は賦形剤を含む、医薬組成物

請求項12

医薬及び/又は予防剤として用いるための、請求項1〜9のいずれか一項に記載された抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物あるいは核酸分子又はその機能的等価物あるいはベクター。

請求項13

少なくとも部分的にインフルエンザAウイルス感染治療及び/又は予防するための医薬及び/又は予防剤として用いるための、請求項1〜9のいずれか一項に記載された抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物あるいは核酸分子又はその機能的等価物あるいはベクター。

請求項14

請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を製造する方法であって、細胞に請求項6〜9のいずれか一項に記載の核酸分子又はその機能的等価物あるいはベクターを提供して、当該核酸分子又はその機能的等価物あるいはベクターを当該細胞に翻訳させ、それにより請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を製造することを含み、好ましくは、さらに当該請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の収穫、精製及び/又は単離を含む、方法。

請求項15

インフルエンザAウイルス感染の診断において用いるための、請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項16

インフルエンザAウイルスが試料中に存在するか否かを決定する方法であって、以下:−当該試料を請求項1〜5のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物と接触させる工程−当該抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を、存在する場合には、当該インフルエンザAウイルスと結合させる工程、及び−インフルエンザAウイルスが当該抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物と結合したか否かを決定し、それにより当該試料中にインフルエンザAウイルスが存在するか否かを決定する工程を含む、方法。

請求項17

5.0μg/ml未満、好ましくは4.0μg/ml未満、さらに好ましくは1.0μg/ml未満、さらに好ましくは約0.6μg/ml以下のIC50値でのインビトロでのH7N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項18

0.5μg/ml未満、好ましくは0.4μg/ml以下、より好ましくは0.2μg/ml以下、最も好ましくは約0.1μg/ml以下のIC50値でのインビトロでのH7N7インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項19

5.0μg/ml未満、好ましくは4.0μg/ml未満、より好ましくは3.0μg/ml未満、さらに好ましくは約2.7μg/ml以下のIC50値でのインビトロでのH1N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項20

5.0μg/ml未満、好ましくは4.0μg/ml未満、より好ましくは3.0μg/ml未満、より好ましくは2.0μg/ml未満、さらに好ましくは約1.3μg/ml以下のIC50値でのインビトロでのH5N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成の、若しくは組換えの抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項21

少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することができる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の抗体又はその機能的部分、あるいは免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項22

i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列;及びii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列、〔ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる〕を含む、合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項23

i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列;及びii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、〔ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる〕を含む、請求項22に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項24

i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%同一である配列;及びii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%同一である配列;〔ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる〕を含む、請求項22又は23に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項25

i)抗体AT10_002の少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列;及びii)抗体AT10_005の少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列、を含む、請求項22に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項26

i)抗体AT10_002の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列;及びii)抗体AT10_005の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、を含む、請求項22又は23に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項27

i)抗体AT10_002の重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%同一である配列;及びii)抗体AT10_005の重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%同一である配列、を含む、請求項22〜26のいずれか一項に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項28

二量体抗体である、請求項22〜27のいずれか一項に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項29

請求項22〜28のいずれか一項に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を含む、単離された又は組換え細胞あるいは医薬組成物。

請求項30

薬剤及び/又は予防剤として使用するための、請求項22〜28のいずれか一項に記載の合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項31

インフルエンザA感染の症状を少なくとも部分的に治療及び/又は予防及び/又は軽減するための医薬及び/又は予防剤として使用するための、請求項22〜28のいずれか一項に記載の合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項32

インフルエンザA感染の診断で用いるための、請求項22〜28のいずれか一項に記載の合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物。

請求項33

治療有効量の、請求項22〜28のいずれか一項に記載の多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物及び/あるいは請求項29に記載の細胞又は医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、インフルエンザAウイルス感染を少なくとも部分的に治療及び/又は予防する方法。

請求項34

H1N1インフルエンザAウイルス及び/又はH3N2インフルエンザウイルス中和するための方法であって、請求項22〜28のいずれか一項に記載の抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物に当該H1N1インフルエンザAウイルス及び/又は当該H3N2インフルエンザAウイルスを接触させ、その結果当該ウイルスが中和されることを含む、方法。

請求項35

インフルエンザAウイルスが試料中に存在するか否かを決定するための方法であって、以下:-試料を請求項22〜28のいずれか一項に記載の多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物に接触させる工程、-当該多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物と、もし存在する場合には、インフルエンザAウイルスを結合させる工程、及び-インフルエンザAウイルスが当該多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物に結合しているか否かを決定し、それにより、当該試料中にインフルエンザAウイルスが存在するか否かを決定する工程、を含む、方法。

請求項36

インフルエンザAウイルスグループ1ヘマグルチニン(H1/H5)のA38、A40、A41、A42、A291、A292、A293、A318、B18、B19、B20、B21、B38、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B52、B53、及びB56位のアミノ酸相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項37

インフルエンザAウイルスグループ2ヘマグルチニン(H3/H7)のA21、A324、A325、A327、B12、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B25、B26、B30、B31、B32、B33、B34、B35、B36、B38、B146、B150、B153、及びB154位のアミノ酸と相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

請求項38

インフルエンザAウイルスグループ2ヘマグルチニン(H3/H7)のA38、A48、A275、A276、A277、A278、A289、A291、A318、B19、B20、B21、B36、B38、B39、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B50、B52、B53、B56、B57、B58、及びB150位のアミノ酸と相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物。

技術分野

0001

本発明は、生物学、免疫学及び医学の分野に関するものである。特に、本発明は、インフルエンザウイルス特異的抗体に関する。

背景技術

0002

インフルエンザは、インフルエンザウイルスのタイプA型、B型及びC型の3種類によって引き起こされ得る、鳥類及び哺乳類感染症である。インフルエンザウイルスは、オルトミクソウイルス科に属するRNAウイルスである。インフルエンザウイルスは、9つのタンパク質をコードする7つのネガティブ一本鎖RNAセグメント(インフルエンザC)、又は11のタンパク質をコードする8つのネガティブ一本鎖RNAセグメント(インフルエンザA及びB)からなるRNAウイルスである。インフルエンザウイルスは、毎年何百万人もの人々を感染させる。インフルエンザの症状は、発熱頭痛悪寒筋肉痛、のどの痛みなどの一般的な風邪匹敵する症状が含まれる。しかし、インフルエンザはまた、幼児高齢者、及び免疫低下慢性疾患個人のような高リスク群では、生命にかかわる肺炎などの合併症死亡つながり得る。

0003

インフルエンザAウイルスは、エンベロープタンパク質発現に基づいて異なるタイプに細分することができる。現在16のヘマグルチニンHA血清型(H1〜H16)及び9ノイラミニダーゼ(NA)血清型(N1〜N9)が同定されており、インフルエンザウイルスを分類するために使用されている(例えばH1N1のように)。HAは、ジスルフィド結合によって連結された2つのサブユニット、HA1及びHA2からなる。HAは、伝染性になるためにはホストのプロテアーゼによって切断され、2つのポリペプチドHALとHA2を産生する必要がある。HA1の大部分は、HAの球状頭部領域を形成し、HA2は、主にHAのステム領域を形成する。ステム領域がより保存されているのに対し、球状頭部領域は、異なるHAサブタイプ間でかなり異なっている。HAは宿主細胞へのエントリのために必要とされる。切断されると、HA2ポリペプチドの露出したN末端は、宿主細胞膜とウイルス膜との融合を媒介するように作用して、ウイルスを宿主細胞に感染することができるようにする。NAは新しいビリオンリリースのために必要とされる。NAは、宿主細胞の糖タンパク質末端シアル酸残基加水分解触媒し、それによって、これらのタンパク質へのHAの結合を防止する。NAは、このように細胞からのウイルスの放出を促進し、その結果、ウイルスの拡散を促進する。図1に、インフルエンザウイルスの概略図を示す。

0004

インフルエンザウイルス感染症に最も普及する。毎年のインフルエンザの流行では、人口の5〜15%が上気道感染症罹患している。入院と死亡は、主に高リスク群(幼児、高齢者、免疫低下や慢性疾患の個人)で発生する。毎年の流行は、毎年世界で、深刻な罹患が300〜500万件、及び死亡が250,000〜500,000の間になると考えられている。米国経済へのインフルエンザの流行の推定コストは、医療費生産性損失から、年間710から1670億である。季節性インフルエンザワクチンは、インフルエンザウイルスの抗原ドリフトの結果として毎年開発される必要がある。インフルエンザゲノムにおける突然変異は、HAとNAタンパク質における抗原性の変化を引き起こすアミノ酸置換誘導することができ、宿主の免疫逃避を生じる。したがって、たとえインフルエンザ株が高い相同性を持っていたとしても、特定のワクチンでは、同じインフルエンザAのサブタイプからの異なる株に対しては保護できないかもしれない。さらに、新たに開発されるインフルエンザワクチンは、来年の支配的なサブタイプの予測に基づいているため、ワクチンが、常に実際に発生するインフルエンザサブタイプから必ず保護してくれるわけではない。

0005

さらに、抗原シフトと呼ばれるプロセスにより、異なるインフルエンザウイルスサブタイプからのHA及びNAの組み合わせによって新たなウイルスサブタイプが形成される。変異及び、人や、及び/又は豚インフルエンザの遺伝的混合は、世界的流行パンデミック)につながる可能性がある。世界保健機関(WHO)によると、パンデミックは、三つの条件、すなわち集団にとって新しい病気出現、ヒトに感染して深刻な病気の原因となる感染力、ヒトの間で容易に、かつ持続的に広がる力、が満たされたときに起動され得る。過去には、いくつかの新型インフルエンザの流行が起こっており、例えば、1889年アジアパンデミック(H2N8)、1918年のスペイン風邪のパンデミック(H1N1)、1957年アジア風邪パンデミック(H2N2)、1968年の香風邪(H3N2)及び2009パンデミック(H1N1)である。これらのパンデミックにより、何百万人もの人々が亡くなった。

0006

抗ウイルス薬は、インフルエンザの予防及び治療に有効であり得る。抗ウイルス薬の2つのクラスが入手可能である。M2タンパク質阻害剤及びノイラミニダーゼ阻害剤である。しかし、これらの阻害剤に対して耐性を示すインフルエンザ株の数が増加している。

0007

インフルエンザ感染を予防及び治療するための代替アプローチは、インフルエンザタンパク質に対する抗体の投与である。広い交差中和抗体が、系統グループ1に属するインフルエンザウイルスについて記載されている(ThrosbyらPLoS ONE、2008&スイら、Nature structural & molecular biology、2009)。これらの抗体は、HAタンパク質のステムに保存された領域を認識し、マウスにおけるインフルエンザ感染を処置することができる。マウスモノクローナル抗体(mAb)は、HA1サブユニットの受容体結合ドメインを含む領域における保存されたエピトープを認識することが記載されている。この抗体は、H1N1、H2N2及びH3N2インフルエンザウイルスの病原体中和する(吉田ら、PLoS Pathogen、2009)。しかし、エスケープ変異体が生じることが報告されている。この抗体は、ヒトで使用された場合、副作用があり得るという欠点を有するマウス抗体である。

0008

WO2009/115972には、ヒトモノクローナル抗体は、H1N1及びH3N2に対する中和活性を持つことが開示されている。しかし、10グラム/ミリリットル前後のIC50値での、H1N1及びH3N2の両方に対する活性の中和は非効率的である。WO2010/010466には、ヒト抗体、FI6が、H5N1(グループ1)とH7N1(グループ2)偽型インフルエンザウイルスとH1N1及びH3N2の感染性ウイルスを中和することが記載されている。ここでも、2〜12.5μg/mlの間のIC50値で、両方の感染性ウイルスに対して活性を中和することは、非効率的である。WO2010/130636に開示されたヒト抗体は、H3及びH7の交差結合活性を有する。H3及びH7は、両方ともグループ2のインフルエンザウイルスである。これらの抗体のいくつかは、さらに、H1(グループ1)と結合することができる。しかしながら、これらの抗体のいずれも、グループ1とグループ2の双方のインフルエンザウイルスを中和することはできなかった。その結果、抗体のカクテルは、グループ1とグループ2のインフルエンザサブタイプの両方の中和のために必要である。さらに、H3及びH7インフルエンザウイルスサブタイプの両方を中和することができる抗体のH3N2中和活性は、1μg/mlより大きい。例えばWO2010/130636の実施例及び表7に記載の抗体CR8020は、H3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96に対して15μg/mLのIC50値での非効率的な中和活性を有することを示す例である。

0009

国際公開第WO2010/010466号公報
国際公開第WO2010/130636号公報
国際公開第WO2010/130636号公報

先行技術

0010

ThrosbyらPLoS ONE、2008
Suiら、Nature structural & molecular biology、2009
Yoshidaら、PLoS Pathogen、2009

発明が解決しようとする課題

0011

これらの理由から、インフルエンザウイルス感染に対する追加のインフルエンザウイルス抗体及び治療への必要性が存在する。

課題を解決するための手段

0012

本願発明は、複数のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的なさらなる抗体、又はそのような抗体の機能的等価物及びこのような抗体を含む組成物を提供することを目的とする。好ましくは、抗体は、高いインフルエンザウイルス中和活性を有する。さらに好ましくは、抗体は、少なくとも2つのインフルエンザウイルスサブタイプを中和することができる。

0013

本発明は、複数のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的であるような抗体を提供する。実施例で実証されるように、抗体は、少なくとも2種のインフルエンザAウイルスサブタイプ、好ましくはグループ1及びグループ2の両方のインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することができる。さらに、抗体は高いインフルエンザAウイルス中和能力を有する。

0014

本発明は一実施形態において、1μg/ml未満のIC50値、好ましくは、0.7μg/ml未満、より好ましくは0.3μg/ml以下、さらに好ましくは0.2μg/ml未満のIC50値を有する、インビトロでのH3N2インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成の、又は組換えの抗体又はその機能的部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供し、当該抗体又は機能的部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物は少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することができる。当該H3N2インフルエンザAウイルスは、好ましくは、H3N2 A/Ned/177/2008株、H3N2HKX-31又はH3N2 A/swine/Neth/St.Oedenrode/96株を含み、最も好ましくはH3N2 A/Ned/177/2008株である。

0015

H3N2インフルエンザウイルスは、ヒトに感染することができるインフルエンザウイルスの一つである。H3N2は、ヒトから他のヒトへ転送され得る。H3N2インフルエンザウイルスを中和することができる抗体は、したがって、ヒトにおける適用に特に重要である。

0016

別の好ましい実施形態において、本発明は、5.0μg/ml未満のIC50値、好ましくは4.0μg/ml未満、より好ましくは1.0μg/ml未満、さらに好ましくは約0.6μg/ml以下のIC50値での、インビトロH7N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。当該H7N1インフルエンザAウイルスは好ましくはH7N1 A/ck/Italy/1067/99株を含む。特に好ましい実施形態において、複数の株に対する保護が得られるように、当該抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物は、特にウイルスサブタイプの少なくとも一つの他のインフルエンザに結合することが可能である。今日まで、ケースは鳥からヒトへのH7N1の伝達は報告されていないが、このウイルスは変異によって人間に感染する可能性がある。

0017

別の好ましい実施形態において、本発明は、0.5μg/ml未満のIC50値、好ましくは0.4μg/ml以下、より好ましくは0.2μg/ml以下、最も好ましくは約0.1μg/ml以下のIC50値での、インビトロでのH7N7インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。当該H7N7インフルエンザAウイルスは好ましくはH7N7 A/ck/Neth/621557/03株を含む。特に好ましい実施形態において、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、また、複数の株に対する保護が得られるように、少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することが可能である。H7N7インフルエンザウイルスは、鳥からヒトへの伝達の後にヒトに感染する能力を有するインフルエンザウイルスの一つである。したがって、H7N7インフルエンザウイルスを中和することができる抗体は、ヒトにおける適用に特に重要である。

0018

別の好ましい実施形態において、本発明は、5.0μg/ml未満のIC50値、好ましくは4.0μg/ml未満、より好ましくは3.0μg/ml未満、より好ましくは約2.7μg/ml以下のIC50値での、インビトロでのH1N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。当該H1N1インフルエンザAウイルスは好ましくはH1N1 A/Neth/602/2009株、又は最も好ましくはH1N1 A/Hawaii/31/2007株を含む。特に好ましい実施形態において、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、また、複数の株に対する保護が得られるように、少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することが可能である。H1N1インフルエンザウイルスは、ヒトからヒトへの伝達の後にヒトに感染する能力を有するインフルエンザウイルスの一つである。したがって、H1N1インフルエンザウイルスを中和することができる抗体は、ヒトにおける適用に特に重要である。

0019

別の好ましい実施形態において、本発明は、5.0μg/ml未満のIC50値、好ましくは4.0μg/ml未満、より好ましくは3.0μg/ml未満、より好ましくは2.0μg/ml未満、さらに好ましくは約1.3μg/ml以下のIC50値での、インビトロでのH5N1インフルエンザAウイルス中和活性を有する、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。当該H1N1インフルエンザAウイルスは好ましくはH5N1 A/turkey/Turkey/05株を含む。特に好ましい実施形態において、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、また、複数の株に対する保護が得られるように、少なくとも一つの他のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することが可能である。H5N1インフルエンザウイルスは、ヒトからヒトへの伝達の後にヒトに感染する能力を有するインフルエンザウイルスの一つである。したがって、H5N1インフルエンザウイルスを中和することができる抗体は、ヒトにおける適用に特に重要である。

0020

本明細書において「抗体の機能的部分」とは、必ずしも量でではなく、本質的に当該抗体としての少なくとも一つの共有性質を有する部分として定義される。当該機能的部分は当該抗体と同じ抗原に結合することができるが、必ずしも同程度にでなくてもよい。抗体の機能的部分は、好ましくは、単一ドメイン抗体単鎖抗体ナノボディユニボディ一本鎖可変断片(scFv)、Fabフラグメント又はF(ab ')2フラグメントを含む。

0021

抗体の機能的部分は、抗体を、結果物化合物の少なくとも一つの性質−好ましくは抗原結合性−が本質的に同種のものであるように改変することによって製造することもできる。これは、例えばアミノ酸残基が一般的に同様の特性(サイズ、疎水性、等)を有する別の残基で、全体の機能がひどく影響を受けないように置換される保存的アミノ酸置換など、多くの方法で行われる。

0022

本明細書において「免疫グロブリン鎖の機能的等価物」は、免疫グロブリン鎖の少なくとも1つのCDR配列を含む、人工結合化合物として定義される。

0023

本明細書で使用される「中和活性」は、宿主細胞に感染するインフルエンザウイルスの能力の阻害又は減少と定義される。中和活性は、当技術分野で公知の任意の方法によって測定することができる。このような方法の一つは、本出願の実施例に詳述したモノクローナル抗体による培養細胞のインフルエンザ感染の予防を含む。この方法では、インフルエンザウイルスは、抗体と混合され、1時間のインキュベーションの後に細胞に加えられた。24時間後、細胞のインフルエンザ感染は、標的細胞におけるインフルエンザの核タンパク質の発現を検出することによって測定することができる。強力な抗体は、インフルエンザ感染及び標的細胞におけるその後のインフルエンザ核タンパク質の発現を予防又は減少させる。「IC50」は、当技術分野で周知の用語であり、本明細書中では宿主細胞のウイルスA感染を半分に阻害又は減少させるために必要なインフルエンザA中和抗体の濃度をいう。

0024

「グループ2サブタイプインフルエンザAウイルス」とは、グループ2のインフルエンザAウイルスのHA血清型を持つインフルエンザAウイルスをいう。現在、H3、H4、H7、H10、H14及びH15の血清型を有するウイルスは、グループ2のインフルエンザAウイルスである。「グループ1サブタイプインフルエンザAウイルス」とは、グループ1のインフルエンザAウイルスのHA血清型を持つインフルエンザAウイルスをいう。現在、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13及びH16の血清型を有するウイルスは、グループ1のインフルエンザAウイルスである。

0025

本明細書で使用される「特異的に結合する」とは、抗体とそのエピトープ間の相互作用をいい、当該抗体が当該エピトープに優先的に結合することを示す。したがって、抗体は非特異的に他の抗原又はアミノ酸配列に結合することができるが、そのエピトープに対する抗体の結合親和性は、当該抗体の他の任意の抗原又はアミノ酸配列に対する非特異的結合親和性よりも有意に高い。

0026

本明細書で使用する「インフルエンザAウイルスのサブタイプ」は、異なるインフルエンザAウイルスを意味する。例えば、H1N1、H1N2、H1N7、H2N2、H3N2、H3N8、H4N8、H5N1、H5N2、H5N9、H6N2、H6N5、H7N2、H7N3、H7N7、H8N4、H9N2、H10N7、H11N6、H12N5又はH13N6である。

0027

本明細書で使用される「インフルエンザAウイルス株」とは、例えば、H3N2 A/Ned/177/2008、H3N2 A/Wyoming/03/2003及びH3N2 A/Panama/2007/99のように、同じサブタイプに属する異なるインフルエンザA型ウイルスをいう。

0028

本発明による、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、本明細書において、「本発明による抗体」ともいう。

0029

本発明の中和抗体の好ましいインフルエンザAは、AT10_004、AT10_002とAT10_001である。これらの抗体は、特に交差結合及び/又は中和特性を所望していることが実証されているからである。AT10_004、AT10_002及びAT10_001は、表1に示されるように、それぞれ配列番号31、33及び34の配列の重鎖を有し、表1に示されるように、それぞれ配列番号36、38及び39の配列の軽鎖を有する。これらの好ましい抗体の重鎖及び軽鎖のCDR配列は、表1に示されている。配列番号1、3及び4はそれぞれ抗体AT10_004、AT10_002及びAT10_001の重鎖CDR1の配列であり、配列番号6、8及び9はそれぞれこれらの抗体の重鎖CDR2の配列であり、配列番号11、13及び14はそれぞれこれらの抗体の重鎖CDR3の配列である。配列番号16、18及び19はそれぞれ抗体AT10_004、AT10_002及びAT10_001の軽鎖CDR1の配列であり、配列番号21、23及び24はそれぞれこれらの抗体の軽鎖CDR2の配列であり、配列番号26、28及び29はそれぞれこれらの抗体の軽鎖CDR3の配列である。

0030

抗体AT10_004は、グループ1とグループ2のインフルエンザAウイルスの両方と特異的に結合することが可能であるため、好ましい抗体である。実施例に示されるように、抗体AT10_004は少なくともH1、H3及びH7サブタイプのインフルエンザAウイルスとの交差結合活性を有している。AT10_004は、多種多様な組換えHAサブタイプ及びインフルエンザAウイルスに結合することができる。それは、少なくともヒトインフルエンザH1N1(A /Hawaii/31/2007)に感染した細胞、ヒトインフルエンザH3N2(A/Netherlands/177/2008)に感染した細胞、及びヒトインフルエンザH1N1(A/NewCaledonia/20/1999)、H3N2(A/Wyoming/03/2003、A/Aichi/2/1968及びA/Wisconsin/67/2005)、H7N7 (A/Netherlands/219/2003)及びH9N2 (A/Hong Kong/1073/1999)のHAに結合することができる。ヒトインフルエンザウイルスのHAとヒトインフルエンザウイルスに感染した細胞を認識することに加えて、それはまた、シチメンチョウH5N1(A/Turkey/Turkey/2004)、ブタH3N2 (A/swine/St.oedenrode/1996)、ニワトリH7N1 (A/Ch/Italy/1067/1999)及びニワトリH7N7 (A/Ch/Neth/621557/2003)に感染した細胞等の、非ヒト細胞に感染するいくつかのインフルエンザウイルスに感染した細胞も認識することができ、ブタH4N6 (A/Swine/Ontario/01911-1/1999) のHA及びアヒルH15N8 (A/duck/AUS/341-1983)のHAに結合することができるので、抗体AT10_004は、さらに好ましい。抗体AT10_004は、H3N2ウイルスに対する高いインビトロ中和活性を有し、約0.17μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/Ned/177/2008中和活性を有し、約2.3μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96中和活性を有し、なおも約0.017μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2HKX-31中和活性を有するので、さらに好ましい。AT10_004は、インビボH3N2ウイルス(インフルエンザA/HKx-31)に対しても保護活性を有する。抗体AT10_004は、さらに、H7N1ウイルスに対する特に高い中和活性を有し、約0.6μg/mlのIC50値でのインビトロH7N1 A/ck/Italy/1067/99中和活性を有する。表7に示されるように、H7N1 A/ck/Italy/1067/99に対する抗体AT10_004の保護効果はさらに高く、H3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96に対する抗体AT10_004の保護効果に比べて低いIC50値が得られたことを意味する。抗体AT10_004は、さらに、H7N7ウイルスに対する特に高い中和活性を有し、約0.2μg/mlのIC50値でのインビトロH7N7 A/ck/Neth/621557/03中和活性を有する。HAタンパク質の保存されたステム領域中のエピトープに結合するので、抗体AT10_004はさらに好ましい。この領域には限定的な変異が存在するので、エピトープがステム領域に位置するような抗体は広範囲のインフルエンザウイルスに結合することができる。したがって、一つの実施態様は、抗体AT10_004の重鎖CDR1、CDR2、CDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2、CDR3配列を有し、配列番号1、配列番号6、配列番号11、配列番号16、配列番号21及び配列番号26の配列又はそれらに少なくとも70%の同一性を有する配列を有する抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。

0031

他の実施態様は、抗体AT10_002の重鎖CDR1、CDR2、CDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2、CDR3配列を有し、配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号18、配列番号23及び配列番号28の配列又はそれらに少なくとも70%の同一性を有する配列を有する抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。抗体AT10_002は、少なくともH3及びH7サブタイプのインフルエンザAウイルスに対する交差結合活性を有するので、好ましい抗体である。AT10_002は、多種多様な組換えHAサブタイプ及びインフルエンザAウイルスに結合することができる。それは少なくともヒトインフルエンザH3N2 (A/Netherlands/177/2008)に感染した細胞、及びヒトインフルエンザH3N2 (A/Wyoming/03/2003, A/Aichi/2/1968 及び A/Wisconsin/67/2005)及びH7N7(A/Netherlands/219/2003)のHAに結合することができる。ヒトインフルエンザウイルスのHAとヒトインフルエンザウイルスに感染した細胞を認識することに加えて、それはまた、ブタH3N2 (A/swine/St.oedenrode/1996)、ニワトリH7N1 (A/Ch/Italy/1067/1999)及びニワトリH7N7 (A/Ch/Neth/621557/2003)に感染した細胞等の、非ヒト細胞に感染するいくつかのインフルエンザウイルスに感染した細胞も認識することができ、アヒルH10N3 (A/duck/Hong Kong/786/1979)のHA及びアヒルH15N8 (A/duck/AUS/341-1983) のHAに結合することができるので、抗体AT10_002は、さらに好ましい。さらに、抗体AT10_002は、H3サブタイプのインフルエンザAウイルスの少なくとも一つを中和する。抗体AT10_002は、H3N2ウイルスに対する高い中和活性を有し、約0.18μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/Ned/177/2008中和活性を有し、約0.3μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96中和活性を有し、約0.25μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2HKX-31中和活性を有するので、さらに好ましい。AT10_002は、インビボでH3N2 ウイルス(インフルエンザA/HKx-31)に対する保護活性も有する。実施例で実証されるように抗体AT10_002は、試験抗体の中で最良の保護活性を提供するので、特に好ましい。抗体AT10_002は、さらに、H7N1ウイルスに対する特に高い中和活性を有し、約3.6μg/mlのIC50値でのインビトロH7N1 A/ck/Italy/1067/99中和活性を有する。抗体AT10_002は、さらに、H7N7ウイルスに対する特に高い中和活性を有し、約0.1μg/mlのIC50値でのインビトロH7N7 A/ck/Neth/621557/03中和活性を有する。HAタンパク質の保存されたステム領域中のエピトープに結合するので、抗体AT10_002はさらに好ましい。この領域には限定的な変異が存在するので、エピトープがステム領域に位置するような抗体は広範囲のインフルエンザウイルスに結合することができる。

0032

他の実施態様は、抗体AT10_001の重鎖CDR1、CDR2、CDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2、CDR3配列を有し、配列番号4、配列番号9、配列番号14、配列番号19、配列番号24及び配列番号29の配列又はそれらに少なくとも70%の同一性を有する配列を有する抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。抗体AT10_001は、少なくともH3及びH7サブタイプのインフルエンザAウイルスに対する交差結合活性を有するので、好ましい抗体である。AT10_001は、多種多様な組換えHAサブタイプ及びインフルエンザAウイルスに結合することができる。それは少なくともヒトインフルエンザH1N1 (A/Neth/602/2009) に感染した細胞、ヒトインフルエンザH3N2 (A/Netherlands/177/2008)に感染した細胞、及びヒトインフルエンザH3N2 (A/Wyoming/03/2003, A/Aichi/2/1968 及び A/Wisconsin/67/2005)及びH7N7(A/Netherlands/219/2003)のHAに結合することができる。ヒトインフルエンザウイルスのHAとヒトインフルエンザウイルスに感染した細胞を認識することに加えて、それはまた、ニワトリH7N1 (A/Ch/Italy/1067/1999)及びニワトリH7N7 (A/Ch/Neth/621557/2003)に感染した細胞等の、非ヒト細胞に感染するいくつかのインフルエンザウイルスに感染した細胞も認識することができ、ブタH4N6 (A/Swine/Ontario/01911-1/1999)のHAに結合することができるので、抗体AT10_001は、さらに好ましい。さらに、抗体AT10_001は、H3サブタイプのインフルエンザAウイルスの少なくとも一つを中和する。抗体AT10_001は、H3N2ウイルスに対する高い中和活性を有し、約2.1μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2HKX-31中和活性を有するので、さらに好ましい。AT10_001は、インビボでH3N2 ウイルス(インフルエンザA/HKx-31)に対する保護活性も有する。抗体AT10_001は、さらに、H7N7ウイルスに対する特に高い中和活性を有し、約0.4μg/mlのIC50値でのインビトロH7N7 A/ck/Neth/621557/03中和活性を有する。HAタンパク質の保存されたステム領域中のエピトープに結合するので、抗体AT10_001はさらに好ましい。この領域には限定的な変異が存在するので、エピトープがステム領域に位置するような抗体は広範囲のインフルエンザウイルスに結合することができる。

0033

好ましくは、本発明によるインフルエンザA中和抗体は、表1に示された配列に少なくとも75%、さらに好ましくは少なくとも80%、さらに好ましくは少なくとも85%、さらに好ましくは少なくとも86%、さらに好ましくは少なくとも87%、さらに好ましくは少なくとも88%、さらに好ましくは少なくとも89%、さらに好ましくは少なくとも90%、さらに好ましくは少なくとも91%、さらに好ましくは少なくとも92%、さらに好ましくは少なくとも93%、さらに好ましくは少なくとも94%、さらに好ましくは少なくとも95%、さらに好ましくは少なくとも96%、さらに好ましくは少なくとも97%、さらに好ましくは少なくとも98%、さらに好ましくは少なくとも99%、同一である重鎖CDR1、CDR2、CDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2、CDR3配列を含む。

0034

本明細書で使用される用語「AT10_004」、「AT10_002」及び「AT10_001」は、例えば単離された及び/又は精製された、あるいは組換え的に産生された、示された重鎖及び軽鎖配列を有するすべての抗体及び機能的等価物を包含する。

0035

業者によく知られているように、抗体の重鎖は、免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプのうち大きい方である。重鎖は定常ドメイン及び可変ドメインを含み、可変ドメインは抗原結合に関与する。抗体の軽鎖は、免疫グロブリン分子を構成する鎖の2つのタイプのうち小さい方である。軽鎖は、定常ドメイン及び可変ドメインを含む。可変ドメインはしばしば、重鎖の可変ドメインと一緒になって抗原結合に関与する。

0036

相補性決定領域(CDR)の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメイン中に存在する超可変領域である。全抗体の場合、抗体の、重鎖のCDR及び接続された軽鎖が一緒になって抗原結合部位を形成する。

0037

表1に示された抗体に基づいて、インフルエンザAウイルスに特異的であって、中和することが可能である、表1に示される免疫グロブリン可変ドメインの少なくとも1つのCDR配列を含む免疫グロブリン鎖又は機能的等価物を生成することができる。さらに、このように、表1に示す免疫グロブリン可変領域の少なくとも1つのCDR配列を含む、単離された、組換えの、又は合成された免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物が提供される。好ましくは、抗体は、表1に示された同じ抗体の少なくとも2つのCDR、より好ましくは少なくとも3つのCDRを含んで提供される。したがって、好ましくは、AT10_004、又はAT10_003、又はAT10_002、又はAT10_001、又はAT10_005の少なくとも2つ又は3つのCDRは本発明による一つの抗体又は機能的部分に一緒に存在する。ヒト抗体の使用により、ヒト個体における免疫学的反応による副作用の可能性が減少するので、好ましい実施形態では、ヒト抗体が提供される。好ましくは、結合効率又は安定性を改善するために、任意選択的に、少なくとも一つのCDR配列は、最適化される。これは例えば、得られた化合物の安定性及び/又は結合効力試験した後、改善されたインフルエンザA中和抗体が選択される、突然変異誘発実験によって行われる。

0038

当業者は、本発明による少なくとも1つの改変されたCDR配列を含む変異体を生成することがよくできる。例えば、保存的アミノ酸置換が適用される。元の抗体と比較して、少なくとも1つの改変された特性を有する変異体抗体又はその機能的部分を生成するために、表1に示す少なくとも一つのCDR配列を改変することも可能である。好ましくは、抗体又はその機能的部分は、本発明によるインフルエンザA中和抗体の良好な結合及び中和特性が少なくとも部分的に維持され、さらには改善されるように、表1に示されたCDR配列と少なくとも70%同一であるCDR配列を有する。表1に示されるCDR配列は、好ましくは、得られた抗体又はその機能的部分が、例えば元の抗体と比較して改善された結合親和性、選択性及び/又は安定性のような、少なくとも1つの改良された特性を含むように改変される。したがって、表1に示すCDR配列に少なくとも70%同一であるアミノ酸配列を含んでなる変異体抗体又はその機能的部分も、本発明の範囲内である。アミノ酸配列を改変するためにこの分野では様々な方法を用いることができる。例えば、所望のCDR配列を有する重鎖又は軽鎖配列は、人工的に合成される。好ましくは、本発明によるCDR配列をコードする核酸分子は、例えばランダム-、又は部位特異的な-突然変異誘発を用いて、突然変異される。

0039

結合効率又は安定性を改善するためにCDR配列を最適化する他に、フレームワーク領域の少なくとも一つに少なくとも一つの配列を最適化することがしばしば有利である。これは、好ましくは、結合効率又は安定性を改善するために行われる。フレームワーク配列は、例えば、得られた抗体又はその機能的部分が好ましく試験された後の、そのようなフレームワーク配列をコードする核酸分子を突然変異させることによって、最適化される。このようにして、改良された抗体又はその機能的部分を得ることができる。好ましい実施形態では、ヒト生殖細胞系配列が、本発明に係る抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物におけるフレームワーク領域のために使用される。生殖細胞系配列の使用は、好ましくは、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又は機能的等価物の免疫原性の危険性を最小にする。なぜなら、これらの配列は、フレームワーク領域が由来する個体に固有であって、別のヒト個体に適用された場合に免疫原性応答を引き起こす身体的変化を含む可能性が低いからである。

0040

したがって、本発明は、以下:
- 配列番号1、3及び4からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号6、8及び9からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号11、13及び14からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
- 配列番号16、18及び19からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号21、23及び24からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号26、28及び29からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。
好ましくは、当該抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、これらの配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である、重鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列を含む。

0041

他の実施形態では、本発明による抗体は、表1に示される配列番号32の重鎖配列及び表1の配列番号37の軽鎖配列を有する、抗体AT10_003の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。配列番号2は抗体AT10_003の重鎖CDR1配列であり、配列番号7は重鎖CDR2配列であり、配列番号12は重鎖CDR3配列であり、配列番号17は軽鎖CDR1配列であり、配列番号22は軽鎖CDR2配列であり、配列番号27は軽鎖CDR3配列である。抗体AT10_003は、グループ1及びグループ2の両方のインフルエンザAウイルスに特異的に結合することができるので、好ましい抗体である。抗体AT10_003は、少なくともH3、H5、及びH7サブタイプのインフルエンザAウイルスに対する交差結合活性を有するので、好ましい抗体である。AT10_003は、多種多様な組換えHAサブタイプ及びインフルエンザAウイルスに結合することができる。それは少なくともヒトインフルエンザH1N1 (A/Hawaii/31/2007) に感染した細胞、ヒトインフルエンザH3N2 (A/Netherlands/177/2008)に感染した細胞、及びヒトインフルエンザH3N2 (A/Wyoming/03/2003, A/Aichi/2/1968 及び A/Wisconsin/67/2005)、H5N1 (A/Vietnam/1203/2004 及び A/Thailand/Vietnam Consensus/2004)、H7N7(A/Netherlands/219/2003) 及びH9N2 (A/Hong Kong/1073/1999)のHAに結合することができる。ヒトインフルエンザウイルスのHAとヒトインフルエンザウイルスに感染した細胞を認識することに加えて、抗体AT10_003はまた、ニワトリH7N7 (A/Ch/Neth/621557/2003)及びブタH3N2 (A/swine/St.oedenrode/1996)に感染した細胞等の、非ヒト細胞に感染するいくつかのインフルエンザウイルスに感染した細胞も認識することができ、ブタH4N6 (A/Swine/Ontario/01911-1/1999)のHA、アヒルH10N3 (A/duck/Hong Kong/786/1979)のHA、及び アヒル H15N8 (A/duck/AUS/341/1983)のHAに結合することができるので、抗体AT10_003は、さらに好ましい。本明細書で用いられる用語「AT10_003」は、例えば単離された、及び/又は精製された或いは組み換えで製造された等のように、表1に示されるAT10_003の重鎖及び軽鎖配列を有する全ての抗体及び機能的等価物を含む。

0042

上述したように、当業者は、インフルエンザAウイルスに特異的な、表1に示される免疫グロブリン可変ドメインの少なくとも1つのCDR配列を含む免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物をよく産生することができ、本発明の改変されたCDR配列を少なくとも一つ含む変異体を生成することができる。

0043

したがって、本発明は、以下:
- 配列番号2と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号7と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号12と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
- 配列番号17と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号22と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号27と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。
好ましくは、当該抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、これらの配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である、重鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列を含む。

0044

他の実施形態では、本発明による抗体は、表1に示される配列番号35の重鎖配列及び表1の配列番号40の軽鎖配列を有する、抗体AT10_005の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。配列番号5は抗体AT10_005の重鎖CDR1配列であり、配列番号10は重鎖CDR2配列であり、配列番号15は重鎖CDR3配列であり、配列番号20は軽鎖CDR1配列であり、配列番号25は軽鎖CDR2配列であり、配列番号30は軽鎖CDR3配列である。抗体AT10_003は、グループ1及びグループ2の両方のインフルエンザAウイルスに特異的に結合することができるので、好ましい抗体である。抗体AT10_005は、少なくともH1、H5、及びH9サブタイプのインフルエンザAウイルスに対する交差結合活性を有するので、好ましい抗体である。AT10_005は、多種多様な組換えHAサブタイプ及びインフルエンザAウイルスに結合することができる。それは少なくともヒトインフルエンザH1N1 (A/Neth/602/2009) に感染した細胞、及びヒトインフルエンザH1N1 (A/California/07/2009,及び A/New Caledonia/20/1999)、H5N1 (A/Vietnam/1203/2004)、及びH9N2 (A/Hong Kong/1073/1999)のHAに結合することができる。ヒトインフルエンザウイルスのHAとヒトインフルエンザウイルスに感染した細胞を認識することに加えて、抗体AT10_005はまた、シチメンチョウH5N1 (A/Turkey/Turkey/2004)に感染した細胞等の、非ヒト細胞に感染するいくつかのインフルエンザウイルスに感染した細胞も認識することができるので、抗体AT10_005は、さらに好ましい。抗体AT10_001は、H1N1ウイルスに対する高い中和活性を有し、約0.24μg/mlのIC50値でのインビトロH1N1 A/Hawaii/31/2007中和活性、及び約2.7μg/mlのIC50値でのインビトロH1N1 A/Neth/602/2009 (ブタ起源)中和活性を有するので、さらに好ましい。AT10_005は、インビボでH1N1に対する保護活性も有する。抗体AT10_001は、さらにH5N1ウイルスに対する高い中和活性を有し、約1.3μg/mlのIC50値でのインビトロH5N1 A/turkey/Turkey/05中和活性を有する。HAタンパク質の保存されたステム領域中のエピトープに結合するので、抗体AT10_005はさらに好ましい。この領域には限定的な変異が存在するので、エピトープがステム領域に位置するような抗体は広範囲のインフルエンザウイルスに結合することができる。本明細書で用いられる用語「AT10_005」は、例えば単離された、及び/又は精製された或いは組み換えで製造された等のように、示されているAT10_005の重鎖及び軽鎖配列を有する全ての抗体及び機能的等価物を含む。

0045

上述したように、当業者は、インフルエンザAウイルスに特異的な、表1に示される免疫グロブリン可変ドメインの少なくとも1つのCDR配列を含む免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物をよく産生することができ、本発明の改変されたCDR配列を少なくとも一つ含む変異体を生成することができる。

0046

したがって、本発明は、以下:
- 配列番号5と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号10と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号15と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び/又は、
- 配列番号20と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び/又は、
- 配列番号25と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び/又は、
- 配列番号30と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。
好ましくは、当該抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、これらの配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である、重鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列を含む。

0047

好ましい実施形態では、本発明による抗体は上記抗体の一つの重鎖及び軽鎖の両方のCDR配列を含む。したがって、配列番号1、配列番号6、配列番号11、配列番号16、配列番号21及び配列番号26、又はそれらと少なくとも70%同一である配列を含む、抗体AT10_004の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体が提供される。

0048

他の実施形態では、配列番号2、配列番号7、配列番号12、配列番号17、配列番号22及び配列番号27、又はそれらと少なくとも70%同一である配列を含む、抗体AT10_003の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体が提供される。

0049

他の実施形態では、配列番号3、配列番号8、配列番号13、配列番号18、配列番号23及び配列番号28、又はそれらと少なくとも70%同一である配列を含む、抗体AT10_002の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体が提供される。

0050

他の実施形態では、配列番号4、配列番号9、配列番号14、配列番号19、配列番号24及び配列番号29、又はそれらと少なくとも70%同一である配列を含む、抗体AT10_001の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体が提供される。

0051

他の実施形態では、配列番号5、配列番号10、配列番号15、配列番号20、配列番号25及び配列番号30、又はそれらと少なくとも70%同一である配列を含む、抗体AT10_005の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む抗体が提供される。

0052

上述のように、用語「抗体」は、その機能的部分、免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を含む。

0053

好ましくは、当該機能的部分、免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、上記CDR配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である、重鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列を含む。

0054

好ましい実施形態では、本発明による抗体は、表1に示された、重鎖配列及び/又は軽鎖配列、あるいはそれらと少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。したがって、配列番号31〜35からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖配列を有し、及び/又は、配列番号36〜40からなる群より選択される配列と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖配列を有するか、又は、これらの重鎖又は軽鎖配列のいずれか一つと少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である配列を有する、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物も提供される。

0055

好ましくは、本発明による抗体は、列番号31〜35からなる群より選択される配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%同一である重鎖配列、及び/又は、列番号36〜40からなる群より選択される配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%同一である軽鎖配列を含む。最も好ましくは、本発明による抗体は、列番号31〜35からなる群より選択される配列と少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である重鎖配列、及び/又は、列番号36〜40からなる群より選択される配列と少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%同一である軽鎖配列を含む。同一性が高くなるほど、抗体は表1に示される抗体と緊密に類似する。

0056

本発明による、抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、好ましくは表1に示されるのと同じ抗体の重鎖及び軽鎖と類似する重鎖並びに軽鎖を含む。したがって、好ましい実施形態では、本発明による抗体は、与えられた抗体、好ましくは抗体AT10_004の重鎖配列を含み、配列番号31の配列を含み、同じ抗体、好ましくは抗体AT10_004の軽鎖配列を含み、配列番号36の配列を含むか、又は、それに少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、同一である配列を含む。

0057

他の実施形態では、本発明による抗体又はその機能的部分は、抗体AT10_003の重鎖配列を含み、配列番号32の配列を含み、抗体AT10_003の軽鎖配列を含み、配列番号37の配列を含むか、又は、それに少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、同一である配列を含む。

0058

他の実施形態では、本発明による抗体又はその機能的部分は、抗体AT10_002の重鎖配列を含み、配列番号33の配列を含み、抗体AT10_002の軽鎖配列を含み、配列番号38の配列を含むか、又は、それに少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、同一である配列を含む。

0059

他の実施形態では、本発明による抗体又はその機能的部分は、抗体AT10_001の重鎖配列を含み、配列番号34の配列を含み、抗体AT10_001の軽鎖配列を含み、配列番号39の配列を含むか、又は、それに少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、同一である配列を含む。

0060

他の実施形態では、本発明による抗体又はその機能的部分は、抗体AT10_005の重鎖配列を含み、配列番号35の配列を含み、抗体AT10_005の軽鎖配列を含み、配列番号40の配列を含むか、又は、それに少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、同一である配列を含む。

0061

本発明は、インビトロでのH3N2インフルエンザAウイルスの、1μg/ml未満のIC50値での中和活性を有する抗体を提供する。このような抗体の利点は、中和する能力を得るために必要とされる前記抗体の投与量が少ないということである。したがって、インフルエンザ感染の治療及び/又は予防のために、より少ないインフルエンザA中和抗体を個体に投与すればよい。所望の効果を得るために、できるだけ少量を用いることは、健康上の観点及び経済的観点の両方から、望ましいことである。抗体に対する免疫学的反応等の、望ましくない影響の可能性が低減されるので、対象にはできるだけ少なく治療用抗体を投与することが好ましい。さらに、抗体の使用量が少なければ、インフルエンザ感染に対抗して予防するための個人の治療コストが下がる。

0062

一般に、抗体の中和活性が高いほど、個々の治療のために必要な抗体の量が低くなる。実施例に示されるように、抗体AT10_001は、約0.64μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/Ned/177/2008ウイルスの中和活性を有し、抗体AT10_004は、約0.17μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/Ned/177/2008ウイルスの中和活性を有し、抗体AT10_002は、約0.18μg/mlのIC50値でのインビトロH3N2 A/Ned/177/2008ウイルスの中和活性を有する。したがって、好ましくは、本発明による抗体は、0.8μg/ml未満、より好ましくは0.6μg/ml未満、より好ましくは0.5μg/ml未満、より好ましくは0.4μg/ml未満、より好ましくは0.3μg/ml未満、より好ましくは0.2μg/ml未満のIC50値でのインビトロH3N2インフルエンザAウイルスの中和活性を有する。実施例ではさらに抗体AT10_001、AT10_002及びAT10_004がインビボH3N2中和活性を有することが実証されている。これらの抗体は、インフルエンザウイルスH3N2HKX-31に対してマウスを保護することが示された。対照抗体で治療を受けている全てのコントロールマウスは、それらの体重の25%以上を失い、試験から除外しなければならなかったのに対し、抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004処置を受けたすべてのマウスは、H3N2ウイルスによるチャレンジを生き残った。したがって、好ましい実施形態では、実施例に記載のように、例えばマウスモデルにおけるインフルエンザH3N2感染に対する防御活性によって測定されるように、本発明による抗体は、インビボH3N2中和活性を有する。

0063

好ましくは、本発明のインフルエンザA中和抗体は、実施例に記載のような中和アッセイにおいて決定されるように、当該インビトロ中和活性を有する。

0064

同じサブタイプのインフルエンザAウイルスにはいくつかの株が存在する。同じインフルエンザAウイルスサブタイプの異なる株は、宿主感染性差異があるかもしれない。したがって、好ましい実施形態では、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくとも一つのH3N2インフルエンザウイルス株を、示された中和活性で中和し、より好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、最も好ましくは少なくとも5つの異なるH3N2インフルエンザウイルス株を示された中和活性で中和する。好ましい実施形態において、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくともH3N2 A/Ned/177/2008インフルエンザウイルス株を中和し、及び/又はH3N2HKX-31、及び/又はH3N2 A/swine/Neth/St. Oedenrode/96を中和する。

0065

本発明により提供される抗体は、少なくとも2つの異なるインフルエンザサブタイプに結合することができる。一実施形態において、H3N2に結合することが可能であり、少なくとも1つの他のグループ2のインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することが可能である抗体が提供される。別の実施形態において、H1N1に結合することが可能であり、少なくとも1つの他のグループ1のインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することが可能である抗体が提供される。このような抗体の利点は、このようにして、すなわち、少なくとも2つの異なるインフルエンザウイルスサブタイプに結合することができるという、交差結合活性を有することである。好ましい実施形態において、更に当該少なくとも1つの他のグループ型インフルエンザAウイルスを中和することができるインフルエンザAの中和抗体が提供される。このような抗体は、交差中和活性、すなわち、少なくとも2つの異なるインフルエンザAウイルスサブタイプ中和活性を有する。このような抗体は、単一抗体の使用で複数のインフルエンザサブタイプの中和を可能にするという利点を有する。このような抗体は、このように広い中和活性を有する。

0066

別の好ましい実施形態において、少なくとも一つのグループ2サブタイプのインフルエンザAウイルス及び少なくとも一つのグループ1サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができるインフルエンザA中和抗体が提供される。より好ましい実施形態において、更に当該少なくとも一つのグループ2及び/又は当該少なくとも1つのグループ1サブタイプのインフルエンザAウイルスを中和することができる、インフルエンザA中和抗体が提供される。

0067

本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくとも二つのグループ2のインフルエンザウイルスサブタイプ、又は少なくとも一つのグループ1及び一つのグループ2のインフルエンザAウイルスサブタイプに特異的に結合することができ、好ましくはインフルエンザサブタイプの間で共有されている血球凝集素タンパク質内のエピトープに特異的に結合することができる。好ましくは、当該エピトープは、インフルエンザAウイルスの血球凝集素タンパク質の保存領域内に位置される。前述したように、H3、H4、H7、H10、H14及びH15は、現在、グループ2からのインフルエンザウイルスであることが分かっている。当該少なくとも二つのグループ2サブタイプのインフルエンザAウイルスサブタイプは好ましくはH3、H4、H7、H10、H14及びH15含有インフルエンザAウイルスサブタイプからなる群より選択される。一実施形態では、H3N2インフルエンザAウイルスに結合及び/又は中和することができ、及びH4、H7、H10、H14又はH15含有インフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の抗体が提供される。好ましくは、このような抗体は、H7含有インフルエンザAウイルスサブタイプに結合することができる。インフルエンザウイルスを含むH7は頻繁に家禽に感染する。人間は感染した家禽と直接接触するので、H7インフルエンザウイルス並びに、鳥類H7及びヒトインフルエンザウイルスの混合物によるヒトの感染のかなりのリスクがある。H7を含むインフルエンザウイルスによるヒトの感染に死がもたらされたことが報告されている。したがって、好ましい態様において、本発明は、H3及びH7サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができるインフルエンザA中和抗体を提供する。好ましくは、当該抗体は、更にH3及びH7の両方のサブタイプのインフルエンザAウイルスを中和することができる。

0068

上述したように、グループ1からは、H1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13及びH16が、現在知られているインフルエンザウイルスである。したがって、上述した少なくとも一つのグループ1サブタイプのインフルエンザウイルスは、好ましくはH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13及びH16含有インフルエンザAウイルスサブタイプからなる群から選択される。一実施形態では、H3N2インフルエンザAウイルスに結合及び/又は中和することができ、及びH1、H2、H5、H6、H8、H9、H11、H12、H13及びH16含有インフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の抗体が提供される。好ましくは、当該少なくとも一つのグループ1サブタイプのインフルエンザAウイルスは、H1及びH5含有インフルエンザAウイルスサブタイプからなる群から選択される。H1N1は、ヒトへの感染能を有するインフルエンザAウイルスの一つであり、一般的には季節的なインフルエンザの流行は、少なくとも一つのH1N1インフルエンザウイルスを含む。H5N1、H5N3、H5N4及びH5N9などのようなH5含有ウイルスは、主に鳥に感染する。しかしながら、H5インフルエンザサブタイプのいくつかは、鳥からヒトへ伝達され得る。H5型インフルエンザサブタイプによるヒトの感染は、原因肺炎など生命を脅かす合併症のリスク及び死亡リスクがあるので、特に危険である。

0069

特に好ましい実施形態において、本発明は、H3、H7及びH1サブタイプのインフルエンザウイルスに結合及び/又は中和できるインフルエンザA中和抗体を提供する。

0070

一実施形態では、本発明に係る抗体は、例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、及びキジ等の鳥類、ブタ、フェレットウサギネコイヌ及びウマを含むが、これに限定されない非ヒト動物に感染する少なくとも一つのインフルエンザウイルスに結合することができる。このような抗体は、例えば、家畜ペットとして飼われている動物であるが、これらに限定されない当該非ヒト動物においてインフルエンザウイルス感染に対抗するために使用することができる。さらに、人間はそのような動物と直接接触するので、当該動物に感染しているインフルエンザウイルスによるヒトの感染のかなりのリスクがある。別のリスクは、非ヒト動物に感染することが可能なインフルエンザウイルスと、ヒトに感染することが可能なインフルエンザウイルスが混合され、新しい、潜在的に高病原性のインフルエンザウイルスを生じることである。したがって、好ましくは、非ヒト動物に感染するインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することができる、本発明による抗体が提供される。好ましい実施態様において、当該抗体は、鳥類及び/又はブタインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することが可能である。例えば、そのような鳥類及び/又はブタインフルエンザウイルスのサブタイプの例としては、これらに限定されないが、H4N6、H10N3、H15N8、H7N1、H7N7及び/又はH5N1インフルエンザウイルスのようなH4、H10、H15、H5ならびにH7含有インフルエンザウイルスである。

0071

上述したように、H7含有インフルエンザウイルスはしばしば家禽に感染し、H7インフルエンザウイルス及び鳥類H7及びヒトインフルエンザウイルスの混合物によるヒトの感染はかなりの危険性がある。したがって、一実施形態では、H7サブタイプインフルエンザAウイルスに結合することができる、本発明に係る抗体が提供される。より好ましくは、H7サブタイプのインフルエンザAウイルスを中和することができる抗体が提供される。例えば、このような抗体は、インビトロH7N7(例えばA/Ch/Neth/621557/03など)及び/又はH7N1(例えばA/Ch/Italy/1067/99など)インフルエンザAウイルス中和活性を有する。好ましくは、当該抗体は、10μg/ml未満、より好ましくは5μg/ml未満、より好ましくは4μg/ml未満、より好ましくは3μg/ml未満、より好ましくは2μg/ml未満、より好ましくは1μg/ml未満、より好ましくは0.8μg/ml未満、より好ましくは0.6μg/ml未満、より好ましくは0.4μg/ml未満、より好ましくは0.3μg/ml未満、より好ましくは0.2μg/ml未満、のIC50値でのインビトロH7N1及び/又はH7N7インフルエンザAウイルスの中和活性を有する。好ましくは、本願発明によるそのようなインフルエンザA中和抗体は実施例に記載のような中和アッセイにおいて決定されるインビトロ中和活性を有する。好ましい実施形態では、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくとも一つのH7N1及び/又はH7N7インフルエンザウイルス株を、示された中和活性で中和し、より好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つの異なるH7N1及び/又はH7N7インフルエンザウイルス株を示された中和活性で中和する。好ましい実施形態において、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくともH7N7(A/Ch/Neth/621557/03)及び/又はH7N1(Ch/Italy/1067/99)を中和する。

0072

H7サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の特に好ましい抗体は、表1に示される配列番号31の重鎖配列及び表1に示される配列番号36の軽鎖配列を有するAT10_004である。H7サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の別の特に好ましい抗体は、表1に示される配列番号33の重鎖配列及び表1に示される配列番号38の軽鎖配列を有するAT10_002である。H7サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の別の特に好ましい抗体は、表1に示される配列番号34の重鎖配列及び表1に示される配列番号39の軽鎖配列を有するAT10_001である。

0073

これらの好ましい抗体の重鎖及び軽鎖のCDR配列は、表1に示されている。配列番号1は抗体AT10_004の重鎖CDR1配列であり、配列番号6は重鎖CDR2配列であり、配列番号11は重鎖CDR3配列であり、配列番号16は軽鎖CDR1配列であり、配列番号21は軽鎖CDR2配列であり、配列番号26は軽鎖CDR3配列である。配列番号3は抗体AT10_002の重鎖CDR1配列であり、配列番号8は重鎖CDR2配列であり、配列番号13は重鎖CDR3配列であり、配列番号18は軽鎖CDR1配列であり、配列番号23は軽鎖CDR2配列であり、配列番号28は軽鎖CDR3配列である。配列番号4は抗体AT10_001の重鎖CDR1配列であり、配列番号9は重鎖CDR2配列であり、配列番号14は重鎖CDR3配列であり、配列番号19は軽鎖CDR1配列であり、配列番号24は軽鎖CDR2配列であり、配列番号29は軽鎖CDR3配列である。

0074

したがって、本発明は、以下:
- 配列番号1と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号6と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号11と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び、
- 配列番号16と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号21と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号26と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。

0075

さらに、本発明は、以下:
- 配列番号3と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号8と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号13と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び、
- 配列番号18と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号23と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号28と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。

0076

さらに、本発明は、以下:
- 配列番号4と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号9と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号14と少なくとも70%同一である配列を含む重鎖CDR3配列、及び、
- 配列番号19と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR1配列、及び、
- 配列番号24と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR2配列、及び、
- 配列番号29と少なくとも70%同一である配列を含む軽鎖CDR3配列、
を含む、単離された、合成された又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。

0077

好ましくは、当該抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物は、これらの配列と少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%、最も好ましくは100%、同一である、重鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列及び/又は軽鎖CDR1、CDR2及び/又はCDR3配列を含む。

0078

上述のように、H5インフルエンザサブタイプのいくつかは、ヒトに感染し得る。H5型インフルエンザサブタイプによるヒトの感染は、原因肺炎など生命を脅かす合併症のリスク及び死亡リスクがあるので、特に危険である。したがって、一実施形態では、H5サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる、本発明に係る抗体が提供される。より好ましくは、H5サブタイプのインフルエンザAウイルスを中和することができる抗体が提供される。例えば、このような抗体は、インビトロH5N1 (例えば A/Turkey/Turkey/04等の)インフルエンザAウイルス中和活性を有する。好ましくは、当該抗体は、10μg/ml未満、より好ましくは5μg/ml未満、より好ましくは4μg/ml未満、より好ましくは3μg/ml未満、より好ましくは2μg/ml未満、より好ましくは1μg/ml未満、より好ましくは0.8μg/ml未満、より好ましくは0.6μg/ml未満、より好ましくは0.4μg/ml未満、より好ましくは0.3μg/ml未満、より好ましくは0.2μg/ml未満、のIC50値でのインビトロH5N1インフルエンザAウイルスの中和活性を有する。好ましくは、本願発明によるそのようなインフルエンザA中和抗体は実施例に記載のような中和アッセイにおいて決定されるインビトロ中和活性を有する。好ましい実施形態では、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくとも一つのH5N1インフルエンザウイルス株を、示された中和活性で中和し、より好ましくは少なくとも2つ、より好ましくは少なくとも3つ、より好ましくは少なくとも4つ、より好ましくは少なくとも5つの異なるH5N1インフルエンザウイルス株を示された中和活性で中和する。好ましい実施形態において、本発明のインフルエンザA中和抗体は、少なくともH5N1 (A/Turkey/Turkey/04)を中和する。H5サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の特に好ましい抗体は、AT10_003である。H5サブタイプのインフルエンザAウイルスに結合することができる本発明の他の特に好ましい抗体は、AT10_005である。AT10_003又はAT10_005のCDR配列と少なくとも70%同一の配列を有する抗体又は機能的部分は、H5サブタイプのインフルエンザAウイル
スに対抗するために好ましい。

0079

本発明による抗体は、好ましくはヒト抗体である。ヒトにおける予防及び治療のためのヒト抗体の使用は、ヒト個体における非ヒト配列に対する免疫学的反応による副作用の可能性を減少させる。別の実施形態において、本発明に係る抗体はヒト化抗体である。ヒト化抗体は、ヒト抗体への非ヒト可変ドメインを組み込むことによって製造されるので、完全非ヒト抗体と比較して、免疫原性が減少している。別の実施形態において、本発明に係る抗体は、キメラ抗体である。キメラ抗体においては、例えば関心のある結合部位のような、関心のある配列は、本発明による抗体に含まれる。

0080

本発明の好ましい抗体は、ヘマグルチニン(血球凝集素)タンパク質に対して高い結合親和性を有する。親和定数と抗原と抗体の間の結合の特異性の測定は、本発明の抗インフルエンザA抗体を用いて予防、治療、診断及び研究方法の有効性を決定することが好ましい。「結合親和性」とは、一般に、分子の単一の結合部位(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)間の非共有相互作用の総和の強さをいう。本明細書で用いる場合、特に断らない限り、「結合親和性」とは、結合対(例えば抗体と抗原)のメンバー間の1:1相互作用を反映する内因性結合親和性を意味する。親和性は、一般に、kdに対するkaの比として計算される平衡解離定数(KD)で表すことができる(Chen, Y., et al., (1999) J. Mol Biol 293:865-881)。親和性は、例えばIBISテクノロジーズBV(ヘンゲロ、オランダ)のBiaCore又はIBIS-iSPR器具などの表面プラズモン共鳴(SPR)アッセイ、又はKinexa等の溶液相アッセイ等の、当技術分野で公知の一般的な方法によって測定することができる。好ましくは、本発明による抗体は、インフルエンザHAタンパク質上のエピトープに対して100nM以下、より好ましくは50nM以下、より好ましくは25nM以下、より好ましくは10nM以下、より好ましくは5nM以下、より好ましくは2nM以下、より好ましくは1nM以下、より好ましくは0.5 nM以下であり、より好ましくはで0.3 nM以下であり、より好ましくは0.1nM以下である解離定数(KD)によって特徴付けられる結合親和性を有する。

0081

本発明はさらに、本発明による抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の少なくとも一つのCDR配列をコードする、単離された、合成された又は組換えの、少なくとも15ヌクレオチドの長さの核酸分子、又はその機能的等価物を提供する。好ましくは、本発明による核酸は、少なくとも30ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも50ヌクレオチド、より好ましくは少なくとも75ヌクレオチドの長さを有している。本発明の核酸は、例えば本発明による抗体を産生することができるB細胞から単離されたものである。好ましい実施態様では、本発明の抗体をコードする核酸が提供される。

0082

本明細書において用いられる、「本発明による抗体又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の少なくとも一つのCDR配列をコードする、単離された、合成された又は組換えの、少なくとも15ヌクレオチドの長さの核酸分子、又はその機能的等価物」は、本明細書において「本発明による核酸分子又はその機能的等価物」ともいう。

0083

本明細書で使用される場合、本発明の核酸分子又は核酸配列は、好ましくは、ヌクレオチドの鎖、より好ましくは、DNA及び/又はRNAを含む。他の実施形態では、本発明の核酸分子又は核酸配列は、核酸構造の他の種類、例えば、DNA/RNAヘリックスペプチド核酸(PNA)、ロックド核酸(LNA)及び/又はリボザイムを含む。そのような他の核酸構造は、核酸配列の機能的等価物と呼ばれる。用語「核酸分子の機能的等価物」はまた、天然のヌクレオチドと同様の機能を発揮する非天然ヌクレオチド修飾ヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチドビルディングブロックを含む鎖を包含する。

0084

抗体AT10_004、AT10_003、AT10_002、AT10_001及びAT10_005の好ましい重鎖及び軽鎖のCDRをコードする核酸配列は、表1に示されている。表1に示すCDR核酸配列とは異なるが、当該重鎖又は軽鎖CDRと同じアミノ酸をコードする核酸コドンを有する、本発明による抗体の重鎖又は軽鎖CDRをコードする核酸分子もまた、本発明に包含される。例えば、それによって一般に類似の特性(サイズ、疎水性等)を有する別の残基によって置換される、保存的アミノ酸置換を介してアミノ酸残基が変更された、表1に示された抗体の重鎖又は軽鎖CDRをコードする核酸分子も、得られたCDRが、表1に示されているCDRと少なくとも70%の配列同一性を有する限り、本発明に包含される。

0085

本発明に係る好ましい核酸分子は、
-配列番号41〜45からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、重鎖CDR1をコードする配列、及び/又は
-配列番号46〜50からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、重鎖CDR2をコードする配列、及び/又は
-配列番号51〜55からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、重鎖CDR3をコードする配列、及び/又は
-配列番号56〜60からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、軽鎖CDR1をコードする配列、及び/又は
-配列番号61〜65からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、軽鎖CDR2をコードする配列、及び/又は
-配列番号66〜70からなる群より選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する、軽鎖CDR3をコードする配列、
を含む。

0086

本発明の核酸分子は、当該配列と好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%の配列、最も好ましくは100%の同一性を有する配列を含む。好ましくは、核酸分子は、少なくとも一つのCDRをコードする配列を含む。さらに、配列番号41〜70から選択される核酸分子に少なくとも70%の配列同一性を有する配列、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、最も好ましくは少なくとも95%、最も好ましくは100%の配列同一性を有し、少なくとも15ヌクレオチドを有する核酸分子又はその機能的等価物が提供される。

0087

本発明による核酸分子又はその機能的等価物は、好ましくは、表1に示す重鎖及び/又は軽鎖と少なくとも70%の配列同一性を有する領域をコードする。したがって、好ましい核酸分子又は機能的等価物は、配列番号71〜75からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列及び/又は配列番号76〜80からなる群から選択される配列に対して少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。より好ましくは、本発明に係る核酸分子又はその機能的等価物は、表1に示された抗体と同じ抗体の配列をコードする重鎖及び軽鎖と類似する、重鎖コード配列並びに軽鎖コード配列を含む。したがって、好ましい実施形態において、本発明による核酸又はその機能的等価物は、配列番号71の配列を含み、抗体AT10_004の重鎖コード配列を含み、及び配列番号76の配列を含み、抗体AT10_004の軽鎖コード配列を含むか、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列を含む。

0088

他の実施形態において、本発明による核酸又はその機能的等価物は、配列番号72の配列を含み、抗体AT10_003の重鎖コード配列を含み、及び、配列番号77の配列を含み、抗体AT10_003の軽鎖コード配列を含むか、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列を含む。

0089

他の実施形態において、本発明による核酸又はその機能的等価物は、配列番号73の配列を含み、抗体AT10_002の重鎖コード配列を含み、及び、配列番号78の配列を含み、抗体AT10_002の軽鎖コード配列を含むか、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列を含む。

0090

他の実施形態において、本発明による核酸又はその機能的等価物は、配列番号74の配列を含み、抗体AT10_001の重鎖コード配列を含み、及び、配列番号79の配列を含み、抗体AT10_001の軽鎖コード配列を含むか、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列を含む。

0091

他の実施形態において、本発明による核酸又はその機能的等価物は、配列番号75の配列を含み、抗体AT10_005の重鎖コード配列を含み、及び、配列番号80の配列を含み、抗体AT10_005の軽鎖コード配列を含むか、又はそれらと少なくとも70%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列を含む。

0092

アミノ酸又は核酸配列の同一性のパーセンテージ、又は用語「%配列同一性」は、本明細書において、2つの配列を整列させ、必要に応じて最大パーセント同一性を達成するために、ギャップを導入した後の、参照配列の残基と同一である候補アミノ酸又は核酸配列中の残基のパーセンテージとして定義される。アラインメントのための方法及びコンピュータープログラムは、当該分野で周知である。

0093

さらに、本発明に係る核酸分子又は配列又は機能的等価物を含むベクターも提供される。本明細書で使用される「本発明の核酸配列又は分子又はその機能的等価物を含むベクター」は、「本発明によるベクター」ともいう。本発明による核酸又はその機能的等価物を有するベクターを構築するための方法は当該技術分野で周知である。本発明のベクターを生成するための適切なベクターの非限定的な例は、レトロウイルスレンチウイルスベクターである。このようなベクターは、様々な用途に適している。例えば、治療的に有益な核酸配列を含む本発明のベクターは、インフルエンザに対する予防的又は治療的用途に適している。その必要がある個体、好ましくはヒトへのこのようなベクターの投与により、インビボでの予防的又は治療的核酸配列が発現され、その結果、インフルエンザに対する少なくとも部分的な治療又は予防がもたらされる。当該ベクターは、例えば、本発明の抗体又はその機能的等価物の(商業的な)生産のために、関心対象の核酸分子のインビトロでの発現を含む用途にも使用することができる。したがって、本発明による核酸分子又は機能的等価ベクターを含む、単離された又は組換え細胞も提供される。

0094

本発明に係る核酸分子又はベクターは、インフルエンザAウイルスのHAタンパク質に特異的な抗体又は機能的部分、又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物の生成に特に有用である。これは、例えば、その細胞の核酸翻訳機構が、コードされた抗体又は機能的部分、免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を産生するように、細胞内にそのような核酸分子又はベクターを導入することによって行われる。一つの実施形態では、本発明による重鎖及び/又は軽鎖をコードする核酸分子又はベクターは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)、NSO(マウス骨髄腫)又は293(T)細胞株のような、いわゆるプロデューサー細胞で発現され、そのうちのいくらかは、商業的な抗体産生適合される。当該プロデューサー細胞を増殖させると、本発明による抗体を産生することができるプロデューサー細胞株が得られる。好ましくは、当該プロデューサー細胞株は、ヒトにおける使用のための抗体の産生に適している。したがって、当該プロデューサー細胞株は、病原性微生物などの病原体を含まないことが好ましい。最も好ましくは、ヒト配列からなる抗体は、本発明による少なくとも1つの核酸分子又はベクターを用いて生成される。

0095

したがって、本発明による抗体を産生することができる単離された又は組換え抗体産生細胞もまた提供される。本明細書において、抗体産生細胞は、抗体又はその機能的等価物を産生及び/又は分泌することができる細胞、及び/又は抗体又はその機能的等価物を産生及び/又は分泌することができる細胞内に分化することができる細胞と定義される。本発明による抗体産生細胞は、好ましくは、商業的な抗体産生に適合される産生細胞である。好ましくは、当該プロデューサー細胞は、ヒトで使用するための抗体の産生に適している。本発明による抗体を産生するための方法もまた提供され、当該方法は、本発明に係る核酸分子又はその機能的等価物又はベクターと一緒に細胞、好ましくは抗体産生細胞を提供すること、及び当該細胞が前記核酸分子又は機能的等価物又はベクターを翻訳するようにし、それによって本発明の抗体を産生する。本発明による方法は、好ましくは、本発明による抗体を収穫、精製及び/又は単離する工程を含む。本発明により得られた抗体は、好ましくは、任意の追加の精製、単離又は加工工程の後に、ヒトの治療に使用される。

0096

一実施形態では、本発明による抗体は、抗体-薬物結合体を形成する別の部分に結合されている。本発明の抗体は、例えばアシクロビルペンシクロビルラミブジンリバビリンザナミビルラニナミビルペラミビルイドクスウリジンオセルタミビルアマンタジン、リマンジン、マキサミン(Maxamine)、ペラミビル、又はチマルファシンなどの抗ウイルス剤に結合される。本明細書で使用する用語「抗ウイルス剤」は、ウイルスの、機能又は増殖を減少又は遮断する及び/又はウイルスの破壊を引き起こす任意の物質を意味する。別の実施形態では、本発明による抗体に結合されている部分は、抗菌性ペプチドである。本明細書で使用する用語「抗菌ペプチド」は、例えば細菌、原生動物酵母真菌及び/又はvirussesのような微生物に対する活性を有する、可変の長さ(典型的には6〜100アミノ酸)の小さな両親媒性ペプチド、配列及び構造をいう。抗菌ペプチドは、通常、比較的非特異的なメカニズムを通して作用して膜溶解活性をもたらすが、いくつかの抗菌性ペプチドはまた、先天性免疫応答刺激することができる。好ましい実施形態では、当該抗微生物ペプチドは、抗ウイルス活性を有する。適切な抗菌ペプチドの非限定的な例としては、マガイニンPGLa、カテリシジン(例えば、LL-37及びカテリシジン関連の抗菌ペプチド(CRAMP)等)、アラメチシンメリチン及びセクロピンヒドラマシン−1(hydramacin-1)、ペキシガナンMSI-78、MSI-843、MSI-594、ポリフェムシンヒト抗菌ペプチドディフェンシン、プロテグリン及びインドリシジンである。さらに別の実施形態では、本発明による抗体に結合している部分は、CDS抗体のような免疫調節分子である。このようなCD3抗体は、T細胞に結合することが可能であり、本発明による抗体に結合した場合、インフルエンザAウイルス感染細胞に対するT細胞を標的とすることができる。

0097

例えば細胞傷害性薬剤等の当該他の部分は、好ましくは例えば酸に不安定なヒドラゾンリンカーを介して、又はシトルリン-バリンなどのペプチドリンカーを介して、又はチオエーテル結合を介して、又は2010/087994号に詳細に記載されている、ソルターゼに触媒されたアミド交換によって、本発明による抗体に結合される。

0098

ソルターゼに触媒されたアミド交換は、抗体の重鎖上、好ましくは、重鎖のC末端部分のソルターゼ認識部位LPETGG)、及び当該抗体に接続される部分のエンジニアリングを含む。抗体部分は、さらに一般的には、GGGGS配列と、例えばHisタグなどの精製目的のためのタグを含む。続いて、ソルターゼ媒介アミド交換は、後のクリック化学結合によって実行される。ソルターゼ触媒のアミド交換化において、「クリック化学結合」は通常、例えばアルキン含有試薬と、例えば抗体の重鎖上のソルターゼモチーフ及び抗体と結合される部分(例えば、タンパク質、ペプチド又は抗体)上のソルターゼモチーフへの、グリシンの付加を通じて、ソルターゼによって付加されるアジド含有試薬との化学結合を含む。一実施形態において、本発明は、したがって、ソルターゼ認識部位(LPETGG)が、抗体の重鎖上に、好ましくは、重鎖のC-末端部分に設計された抗体を提供し、抗体は好ましくはさらにGGGGS配列と例えばHisタグ等の精製タグを含む。

0099

別の実施形態において、本発明に係る抗体は、チオエーテル結合を介して別の部分に結合されている。この場合において、一又は複数のシステインは、好ましくは、本発明による抗体に組み込まれる。システインはチオール基を含有し、したがって、本発明による抗体への一又は複数のシステインの組み込み、又は本発明による抗体の1つ以上のアミノ酸の、一又は複数のシステインによる置換は、当該抗体の、他の部分への結合を可能にする。当該1つ以上のシステインは、好ましくは、大幅にフォールディングに影響を与えない位置であって大幅に抗原結合又はエフェクター機能を変化させない位置に導入される。したがって、本発明は、システイン以外の少なくとも1つのアミノ酸がシステインで置換されている、本発明による抗体を提供する。

0100

ここに記載されたインフルエンザ特異的抗体は、異なる(交差)結合能力及び中和能力を有する。例えばAT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004又はAT10_005のような、本発明による抗体は、有利には、本発明に係る他の抗体と組み合わせて使用することができる。このような組合せは、さらに強力な抗インフルエンザ効果を提供する。一実施形態では、本発明に係る抗体は、少なくとも一つのインフルエンザAサブタイプと結合及び/又は中和することが可能である本発明の別の抗体と組み合わされる。異なるインフルエンザAウイルスサブタイプに結合する及び/又は中和する本発明による抗体の組み合わせにより、単一の治療で広い範囲のインフルエンザAサブタイプを打ち消すことが可能になる。このような組合せは、広い範囲のインフルエンザウイルスを打ち消すのに有用である。さらに、インフルエンザAウイルスサブタイプに結合及び/又は中和することができる公知の抗体と本発明の抗体を組み合わせることも有利である。例えば、このような組み合わせは、インフルエンザAウイルスに対するより強力な応答を提供し、及び/又は広い範囲のインフルエンザサブタイプに対する応答を提供する。さらに別の例は、インフルエンザBに特異的な既知の抗体と本発明による抗体との組み合わせである。他の実施形態では、本発明は、ウイルスサブタイプは、少なくとも2つの異なるインフルエンザAウイルスサブタイプに、好ましくは、少なくとも3種のインフルエンザAウイルスサブタイプに、より好ましくは少なくとも4つのインフルエンザAサブタイプに、特異性を有するインフルエンザAウイルス二重特異性抗体を提供する。本明細書で使用される、「インフルエンザAウイルス二重特異性抗体」は、同時に少なくとも二つの異なるインフルエンザAウイルスサブタイプ、例えば、2つ、3つ又は4つのサブタイプに特異的に結合する抗体として定義され、また、「本発明のインフルエンザAウイルス二重特異性抗体」又は「本発明の二重特異性抗体」とも呼ばれる。用語「インフルエンザAウイルスの二重特異性抗体」はまた、例えば二重特異性一本鎖可変フラグメント(scFv)、二重特異性のFabフラグメント及び二重特異性F(ab')2断片のような、同時に少なくとも二つの異なるインフルエンザAウイルスサブタイプに結合する能力を保持しているインフルエンザAウイルス二重特異性抗体の機能的部分も含む。また、本発明によれば、インフルエンザウイルスの二重特異性抗体を含む医薬組成物が提供される。

0101

一実施形態では、本発明に係る二重特異性抗体は、同一でない2つの重鎖-軽鎖の組合せを含み、したがって2つの異なるインフルエンザAウイルスサブタイプ、好ましくは2つの異なるHAサブタイプを認識する、2つの抗原結合領域を有する。例えば、一実施形態において、インフルエンザAウイルス二重特異性抗体は、表1に示される本発明による抗体の重鎖及び軽鎖、及び表1に示される本発明による他の抗体の重鎖及び軽鎖を含む。二重特異性一本鎖可変断片(scFv)、二重特異性Fabフラグメント及び二重特異性F(ab')2断片は、例えば本発明による抗体のscFv又はFab又はF(ab')2断片、及び本発明による他の抗体のscFv又はFab又はF(ab')2断片を含む。好ましい実施形態において、本発明によるインフルエンザAウイルス二重特異性抗体は、表1に示されるAT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される2つの抗体の重鎖及び軽鎖、又はそのscFv又はFab断片を含む。好ましくは、当該二重特異性抗体は、抗体AT10_003又はAT10_005又は好ましくは抗体AT10_005の重鎖及び軽鎖、及びAT10_001、AT10_002、及びAT10_004からなる群より選択される抗体の重鎖及び軽鎖を含む。

0102

別の実施形態において、本発明に係る二つの抗体は互いに結合しており、又は本発明の抗体は、公知のインフルエンザ特異的抗体に結合している。これは上で記載され、WO2010/087994に詳細に記載されているソルターゼ触媒のアミド交換によって行われる好ましい実施形態である。この目的のために、ソルターゼ触媒のアミド交換は、結合される双方の抗体の重鎖への、好ましくは、重鎖のC-末端部分への、ソルターゼ認識部位(LPETGG)の設計を含む。抗体は、典型的には、GGGGS配列ならびにHISタグなどの精製タグを含む。したがって、本発明の二つの抗体が結合される場合、上に記載され、WO2010/087994に、詳細に説明されているように、両方の前記抗体は、好ましく設計される。その後、ソルターゼ媒介アミド交換は、好ましくは、それらの重鎖を経由して両方の抗体を結合するためのクリック化学結合に続いて行われる。ここでこれまでに説明したように、「クリック化学結合」は、例えば、アルキン含有試薬と、例えば、第一の抗体の重鎖上のソルターゼモチーフへの、及び第一抗体に結合される第二抗体の重鎖への、グリシンの添加を通じたソルターゼによって追加されたアジド含有試薬との化学的カップリングを含む。したがって、本発明の一実施形態は、以下:
i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、少なくとも2つの、好ましくは3つの、異なる重鎖CDR配列、及び少なくとも2つ、好ましくは3つの、異なる軽鎖CDR配列;及び
ii)別の抗体の、少なくとも2つの、好ましくは3つの、異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの、好ましくは3つの、異なる軽鎖CDR配列、
を含む、合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を提供する。これは必須ではないが、他の抗体は、好ましくは、別のインフルエンザ特異的抗体である。特に好ましい実施形態では、本発明による少なくとも二つの抗体は、ソルターゼcatalizedアミド交換によって互いに結合され、それにより、当該少なくとも二つの抗体は、好ましくは表1に示されるAT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される。

0103

したがって、本発明の好ましい一実施形態は、
i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列;及び
ii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列、
(ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる)を含む、
合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を提供する。

0104

好ましくは、本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、少なくとも2つの本発明の抗体の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列を含む。したがって、
i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列;及び
ii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖CDR1、CDR2及びCDR3、並びに軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、
(ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる)を含む、
合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を提供する。

0105

一実施形態では、本発明の多量体抗体は、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、本発明による少なくとも2つの抗体の重鎖配列と軽鎖配列、又はそれと少なくとも70%同一である配列を含む。したがって、本発明は、以下:
i)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列;及び
ii)AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体の、重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列;
(ここで、i)で選択される当該抗体はii)で選択される当該抗体とは異なる)を含む、
合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を提供する。

0106

そのような多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、典型的には、一つの抗体の少なくとも一つの重鎖と他の抗体の少なくとも1つの重鎖を含む、ヘテロ多量体複合体である。一実施態様では、抗体の一種の重鎖は、抗体の別の種類の重鎖と対になっている。好ましい実施形態では、当該ヘテロ多量体複合体は、別の種類の抗体の二対の重鎖に結合した一種の抗体の二対の重鎖を含む。好ましくは、当該抗体の対応する軽鎖も当該対になった重鎖に結合され、そのようにして2つの結合された抗体を形成する。本明細書で使用する用語「二量体抗体」は相互に結合された2つの抗体(各抗体は2つの重鎖及び2つの軽鎖を含む)を指す。用語「多量体抗体」は、互いに連結されている、少なくとも2つ、例えば2つ、3つ、4つ又は5つの抗体をいう。用語「多量体免疫グロブリン」とは、互いに結合されている少なくとも2つの免疫グロブリン鎖(例えば、単一ドメイン抗体、単鎖抗体、ナノボディ、ユニボディ又は一本鎖可変断片(scFv)等)を指す。

0107

一実施形態では、抗体AT10_003又はAT10_005はソルターゼに触媒されたアミド交換によってAT10_001、AT10_002とAT10_004からなる群より選択される抗体に結合されている。抗体AT10_003とAT10_005は少なくともインフルエンザAウイルスサブタイプHI及びH5特異性を有し、AT10_001、AT10_002とAT10_004は、少なくともインフルエンザAウイルスサブタイプH3及びH7特異性を有し、高い中和能力で少なくともH3N2を中和することが可能であるので、このような抗体の組み合わせは好ましい。したがって、このような組み合わせは、広い範囲のインフルエンザAウイルスサブタイプに対して活性を提供する。好ましくは、抗体AT10_005は高い中和能力でH1N1インフルエンザAウイルスを中和することができるので、抗体AT10_005はソルターゼに触媒されたアミド交換によって抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004に結合されている。したがって、本発明は、一実施形態において、好ましくは、表1に示される抗体AT10_003又は抗体AT10_005、好ましくは抗体AT10_005の重鎖及び/又は軽鎖の配列の少なくとも一部を含み、表1に示される抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004の重鎖及び/又は軽鎖の配列の少なくとも一部を含み、それにより、当該配列の一部は当該抗体の配列の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも95%を含む。特に好ましい実施形態において、本質的に表1に示される抗体AT10_003又は抗体AT10_005、好ましくは抗体AT10_005の全体配列を含み、本質的に表1に示される抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004の全体配列を含む、本発明によるインフルエンザAウイルスの二重特異性抗体が提供される。例えば、好ましくはインフルエンザ本発明によるウイルス二重特異性抗体は、抗体AT10_003又は抗体AT10_005の重鎖及び軽鎖、及び抗体AT10_001、抗体AT10_002又は抗体AT10_004の重鎖及び軽鎖を含む。好ましくは当該抗体は、本明細書に記載のソルターゼに触媒されたアミド交換によって結合される。

0108

別の実施形態では、抗体AT10_003はソルターゼに触媒されたアミド交換によってAT10_001、AT10_002、AT10_004及びAT10_005からなる群より選択される抗体に結合されている。抗体AT10_001、AT10_002、AT10_004及びAT10_005の結合エピトープは、少なくとも部分的に、タンパク質のHA2サブユニット上に位置するのに対し、AT10_003エピトープは、HAタンパク質のHA1サブユニット上に配置されているため、このような抗体の組み合わせが好ましい。したがって、このような組み合わせは、HAタンパク質内の異なるエピトープを標的とするため、そのような組み合わせは、インフルエンザに対して強い反応ウイルスを提供する。したがって、本発明は、一実施形態において、好ましくは、表1に示される抗体AT10_003の重鎖及び/又は軽鎖の配列の少なくとも一部を含み、好ましくは表1に示される抗体AT10_001、AT10_002、AT10_004又はAT10_005の重鎖及び/又は軽鎖の配列の少なくとも一部を含み、それにより、当該配列の一部は当該抗体の配列の少なくとも70%、より好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも95%を含む。特に好ましい実施形態において、本質的に表1に示される抗体AT10_003の全体配列を含み、本質的に表1に示される抗体AT10_001、AT10_002、AT10_004又はAT10_005の全体配列を含む、本発明によるインフルエンザAウイルスの二重特異性抗体が提供される。好ましくは当該抗体は、本明細書に記載のソルターゼに触媒されたアミド交換によって結合される。

0109

本発明のさらに別の態様において、以下:
i)抗体AT10_002の少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列;及び
ii)抗体AT10_005の少なくとも2つの異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つの異なる軽鎖CDR配列、
を含む、合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物が提供される。
好ましくは、本発明による当該合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、以下:
i)抗体AT10_002の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列;及び
ii)抗体AT10_005の重鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列及び軽鎖CDR1、CDR2及びCDR3配列、
を含む。
特に好ましい実施態様において、当該合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、以下:
i)抗体AT10_002の重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列;及び
ii)抗体AT10_005の重鎖配列及び軽鎖配列、又はそれらと少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも85%、より好ましくは少なくとも86%、より好ましくは少なくとも87%、より好ましくは少なくとも88%、より好ましくは少なくとも89%、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも91%、より好ましくは少なくとも92%、より好ましくは少なくとも93%、より好ましくは少なくとも94%、より好ましくは少なくとも95%、より好ましくは少なくとも96%、より好ましくは少なくとも97%、より好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%同一である配列、を含む。

0110

実施例に示されるように、抗体AT10_002及びAT10_005に基づく多量体抗体又は免疫グロブリンは、インビトロ及びインビボの両方で、優れたインフルエンザ中和活性を提供する。AT10_002はH3N2を中和することができ、AT10_005はH1N1を中和することができるので、抗体AT10_002及びAT10_005に基づいた多量体抗体又は免疫グロブリンはH3N2とH1N1の両方を中和するために特に適している。したがって、H1N1インフルエンザAウイルス及び/又はH3N2インフルエンザウイルスを中和するための方法であって、抗体AT10_002及びAT10_005の少なくとも2つ、好ましくは3つの、異なる重鎖CDR配列及び少なくとも2つ、好ましくは3つの、異なる軽鎖CDR配列を含む、抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物に当該H1N1インフルエンザAウイルス及び/又は当該H3N2インフルエンザAウイルスを接触させ、その結果当該ウイルスが中和されることを含む方法がさらに提供される。

0111

一実施態様において、本発明による合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物は、二量体抗体又は二量体免疫グロブリンである。しかしながら、本発明は、例えば三量体四量体又は五量体の抗体又は免疫グロブリンのような他の多量体抗体又は免疫グロブリンを包含する。

0112

さらに、薬剤及び/又は予防剤として使用するための、本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を含む単離された又は組換え細胞又は医薬組成物並びに本発明の合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物が提供される。実施例に示すように、このような多量体抗体又は免疫グロブリンは、インフルエンザA感染の症状の治療及び/又は予防及び/又は軽減のために特に適している。したがって、本発明はまた、インフルエンザAウイルス感染の症状を少なくとも部分的に治療及び/又は予防及び/又は軽減するための医薬及び/又は予防剤として使用するための本発明に係る合成又は組換え抗体多量体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物、ならびに、治療有効量の本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物及び/又は本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物を含む細胞又は医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、インフルエンザAウイルス感染を少なくとも部分的に治療及び/又は予防する方法も提供する。

0113

本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物また、インフルエンザウイルスの診断に使用するのに適している。これは、例えば本発明の多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物試料に接触させ、その後、インフルエンザウイルスが当該多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物に結合しているかどうかを決定することによって行われる。したがって、本発明は、以下:
-試料を本発明の多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物に接触させる工程、
-当該多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物と、もし存在する場合には、インフルエンザAウイルスを結合させる工程、及び
-インフルエンザAウイルスが当該多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的同等物に結合しているか否かを決定し、それにより、当該試料中にインフルエンザAウイルスが存在するか否かを決定する工程、
を含む、インフルエンザAウイルスが試料中に存在するか否かを決定するための方法をも提供する。

0114

インフルエンザA感染の診断に使用するための、本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物も本明細書に提供される。

0115

別々に産生された抗体の混合物に比べた、本発明による多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物の主要な利点は、医薬で使用する場合、抗体の混合物には、複数の登録手続きであって、通常、各々の抗体のための一つの手続きが必要であり、このような混合物全体のための別の一手続が必要となるのに対し、多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物には、唯一登録手順しか必要とされないという事実である。したがって、本発明の多量体抗体、多量体免疫グロブリン又はその機能的等価物の使用は、時間と費用についてより効果的である。

0116

本発明による抗体は、インフルエンザAウイルスを中和することができる。本発明による抗体は、したがって薬又は予防薬としての使用に特に適している。好ましくは、ヒト個体が処置される際の有害な副作用の可能性を低減するために、本発明による抗体はヒト配列から成るものが用いられる。このようなヒト配列は、人間から単離することができ、又はヒト抗体の配列に基づいて合成又は組換えによって生産することができる。したがって、薬剤及び/又は予防剤として使用するための本発明による抗体が提供される。また、医薬及び/又は予防薬としての使用のためのこのような核酸又はその機能的等価物を含む本発明によるベクター又は本発明による核酸分子又はその機能的等価物が提供される。本発明による核酸又はその機能的等価物が投与された場合には、本発明による抗体に、宿主の機構によりインサイチュで翻訳される。本発明にしたがって産生された抗体は、インフルエンザA感染を予防及び/又は中和することができる。本発明の抗体は、いくつかのインフルエンザAウイルスサブタイプに結合することができる(heterosubtype)交差結合抗体であるため、医薬としての使用に特に適している。特に好ましい実施形態では、当該抗体は、抗体AT10_004、AT10_003、AT10_002、AT10_001、AT10_005又はその機能的部分を含む。したがって、配列番号31の重鎖配列及び配列番号36の軽鎖配列を含み、医薬として及び/又は予防薬として使用するための、抗体AT10_004が提供される。配列番号32の重鎖配列及び配列番号37の軽鎖配列を含み、医薬として及び/又は予防薬として使用するための、抗体AT10_003も提供される。配列番号33の重鎖配列及び配列番号38の軽鎖配列を含み、医薬として及び/又は予防薬として使用するための、抗体AT10_002も提供される。配列番号34の重鎖配列及び配列番号39の軽鎖配列を含み、医薬として及び/又は予防薬として使用するための、抗体AT10_001も提供される。配列番号35の重鎖配列及び配列番号40の軽鎖配列を含み、医薬として及び/又は予防薬として使用するための、抗体AT10_005も提供される。

0117

より好ましくは、薬剤及び/又は予防剤として使用するための本発明の抗体は、AT10_002、AT10_004、AT10_001及びAT10_005からなる群より選択される。実施例に示されるように、これらの抗体は、インフルエンザを中和するのに特に有効である。この抗体は、インフルエンザに対抗するのに非常に有効であるので、最も好ましくは、本発明は、医薬及び/又は予防薬として使用するためのAT10_002を提供する。

0118

本発明による抗体、又は本発明のその核酸分子又は機能的等価物は、好ましくは、少なくとも部分的にインフルエンザAウイルス感染を治療及び/又は予防するために使用される。本明細書で用いられる「少なくとも部分的にインフルエンザAウイルス感染を治療する」には、インフルエンザAウイルス感染の中和、インフルエンザAウイルス感染に起因する症状及び/又はインフルエンザAウイルス感染から生じる反作用炎症の緩和が含まれる。インフルエンザAウイルス感染を生じる症状の例としては、限定されないが、発熱、咽頭痛鼻水又はづまり、呼吸障害及び肺炎、筋肉痛、頭痛、疲労、結膜炎などの呼吸器症状が含まれる。したがって、少なくとも部分的に、インフルエンザAウイルス感染を治療及び/又は予防する方法において使用するための本発明による抗体、又は本発明によるその核酸分子若しくはその機能的同等物、又は本発明によるベクターも提供される。さらに提供されるのは、少なくとも部分的に、インフルエンザAウイルス感染を治療及び/又は予防する医薬及び/又は予防薬の調製のための、本発明による抗体、又はその機能的部分又は免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物又は核酸分子又はその機能的等価物の使用も提供される。好ましい抗体は、表1に示される重鎖及び軽鎖配列を有する抗体AT10_004、AT10_003、AT10_002、AT10_001及びAT10_005である。

0119

本発明はさらに、本発明による抗体を含む薬学的組成物及び/又は本発明による二重特異性抗体、並びに薬学的に許容される担体希釈剤及び/又は賦形剤を提供する。また、本発明による核酸分子又は機能的等価物を含む医薬組成物、又はそのような核酸又はその機能的等価物を含む、本発明によるベクター、及び薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤も提供される。例えば、適切な担体の例には、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えば、BSA又はRSA)及びオボアルブミンが含まれる。好ましい一実施形態では、適切な担体は、例えば生理食塩水のような溶液を含む。本発明による医薬組成物は、ヒトへの使用に適していることが好ましい。

0120

本発明はさらに、治療有効量の本発明による抗体、及び/又は本発明による二重特異性抗体、及び/又は本発明による核酸分子又はその機能的等価物、及び/又は本発明によるベクター及び/又は本発明による医薬組成物を、それを必要とする個体に投与することを含む、少なくとも部分的にインフルエンザAウイルス感染を治療及び/又は予防するための方法を提供する。本明細書で用いる場合、「個体」は、ヒト又は動物であり、好ましくは鳥類及び哺乳動物などのような、インフルエンザウイルスに感染することができる動物である。個体としては、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、シチメンチョウ、ハクチョウエミューホロホロ鳥及びキジ、ヒト、ブタ、フェレット、アザラシ、ウサギ、ネコ、イヌ及びウマが含まれるが、これらに限定されない。本発明の好ましい実施形態において、個体はヒトである。

0121

インフルエンザAウイルス感染を少なくとも一部治療又は予防するために、本発明による抗体、核酸分子又はその機能的等価物、ベクター、及び/又は医薬組成物をインフルエンザAウイルス感染が起こる前に個体に投与するのが好ましい。あるいは、本発明による抗体、核酸分子又はその機能的等価物、ベクター、及び/又は医薬組成物は、個体が既に感染しているときに投与される。その場合には、インフルエンザAウイルス感染は打ち消され、インフルエンザAウイルス感染に起因する症状が軽減され、及び/又はインフルエンザAウイルス感染から生じた炎症は打ち消される。当該抗体又はその機能的同等物は、入院した個人、例えば乳児妥協免疫を有する個人、及び/又は高齢者などの、合併症のリスク増加を伴う個体に投与するのに特に適している。本発明による抗体、核酸分子又はその機能的等価物、ベクター、及び/又は医薬組成物は、好ましくは、1回以上の注射を介して投与される。本発明による抗体又はそれら少なくとも二つの組み合わせの投与の典型的な用量は、体重1kgあたり0.1〜10mgの間である。予防的又は治療的適用については、本発明の抗体は、好ましくは薬学的に許容される担体、希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わされる。

0122

本発明による抗体はまた、診断用途にも特に適している。例えば個体、好ましくはヒトが、インフルエンザAウイルス感染からの罹患が疑われる場合は、唾液、血液、又は組織サンプルなどの試料を当該個体から得ることができる。続いて、当該試料は、本発明による抗体を用いて、インフルエンザAウイルスの存在について試験することができる。好ましくは、当該試料は、本発明による抗体と混合され、それは、特異的にインフルエンザAウイルスのHAタンパク質に結合する。試料中のインフルエンザAウイルスのHAタンパク質の存在は、インフルエンザウイルス感染の存在を示す。本発明による抗体に結合したインフルエンザAウイルスのHAタンパク質及び/又はHAタンパク質を含むインフルエンザAウイルスは、試料から単離することができ、及び/又は当技術分野で公知の任意の方法を用いて検出することができ、例えば、これらに限定されないが、磁気ビーズストレプトアビジン被覆ビーズを用いた単離又はカラム固定化した二次抗体の使用による単離を用いて単離することができる。あるいは、又は追加的に、本発明による抗体は、当該抗体が検出できるようにするために標識されており、例えば、蛍光標識、又は放射性標識であるが、これらに限定されない。あるいは、本発明による抗体は、当該抗体に向けられた、標識された二次抗体を用いて検出される。当該抗体の結合が検出された場合、インフルエンザAウイルスのHAタンパク質が存在し、それはインフルエンザAウイルス感染の指標である。したがって、本発明は、インフルエンザAウイルス感染の診断における使用のための、本発明による抗体を提供する。

0123

したがって、本発明はさらに、以下:
-試料を本発明による抗体に接触させる工程、
-もし存在するならば、当該抗体を当該インフルエンザAウイルスに結合させるようにする工程、
-インフルエンザAウイルスが当該抗体に結合したか否かを決定し、それにより、インフルエンザAウイルスが存在するか否かを決定する工程、
を含む、インフルエンザAウイルスが当該試料中に存在するか否かを決定するための方法を提供する。

0124

好ましい実施形態では、個体がインフルエンザウイルス感染症に罹患しているかどうかを判断する。したがって、以下:
-個体からの試料を本発明による抗体に接触させる工程、
-もし存在するならば、当該抗体を当該インフルエンザAウイルスに結合させるようにする工程、
-インフルエンザAウイルスが当該抗体に結合したか否かを決定し、それにより、当該個体がインフルエンザAウイルス感染から罹患しているか否かを決定する工程、
を含む、当該個体がインフルエンザウイルス感染から罹患しているか否かを決定する方法が提供される。好ましくは、当該個体はヒトである。

0125

さらに別の実施形態において、本発明は、インフルエンザAウイルスグループ1ヘマグルチニン(H1/H5)のA38、A40、A41、A42、A291、A292、A293、A318、B18、B19、B20、B21、B38、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B52、B53、及びB56位のアミノ酸と相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。これらは、抗体AT10_005と相互作用するヘマグルチニンアミノ酸である。当該ヘマグルチニンアミノ酸と特異的に相互作用する抗体、免疫グロブリン又はそれらの機能的部分又はその機能的等価物が本明細書に提供される。

0126

さらに別の実施形態において、本発明は、インフルエンザAウイルスグループ2ヘマグルチニン(H3/H7)のA21、A324、A325、A327、B12、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B25、B26、B30、B31、B32、B33、B34、B35、B36、B38、B146、B150、B153、及びB154位のアミノ酸と相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。これらは、抗体AT10_004と相互作用するヘマグルチニンアミノ酸である。当該ヘマグルチニンアミノ酸と特異的に相互作用する抗体、免疫グロブリン又はそれらの機能的部分又はその機能的等価物が本明細書に提供される。

0127

さらに別の実施形態において、本発明は、インフルエンザAウイルスグループ2ヘマグルチニン(H3/H7)のA38、A48、A275、A276、A277、A278、A289、A291、A318、B19、B20、B21、B36、B38、B39、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B50、B52、B53、B56、B57、B58、及びB150位のアミノ酸と相互作用することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、又はその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供する。これらは、抗体AT10_002と相互作用するヘマグルチニンアミノ酸である。当該ヘマグルチニンアミノ酸と特異的に相互作用する抗体、免疫グロブリン又はそれらの機能的部分又はその機能的等価物が本明細書に提供される。

0128

ヘマグルチニンの上述したアミノ酸番号付けは、Wilson et al. 1981 Nature 289, 366-373 and Nobusawa et al. 1991 Virology 182, 475-485によるものである。

0129

さらに別の実施形態では、インフルエンザAウイルスヘマグルチニン上のと同じエピトープについて、AT10_001又はAT10_002又はAT10_003又はAT10_004又はAT10_005と競合することができる、単離された、合成の又は組換えの抗体又はその機能的部分、あるいはその免疫グロブリン鎖又はその機能的等価物を提供し、前記抗体、免疫グロブリン、機能的部分又は等価物は、当該インフルエンザAウイルスヘマグルチニンについて少なくとも同じ親和性を有し(AT10_001又はAT10_002又はAT10_003又はAT10_004又はAT10_005と比較して同じか低いKm値を有し)、当該インフルエンザAウイルスヘマグルチニンと、AT10_001又はAT10_002又はAT10_003又はAT10_004又はAT10_005との結合が減少することになる。当該エピトープは、好ましくは、インフルエンザAウイルスヘマグルチニンのA38、A40、A41、A42、A291、A292、A293、A318、B18、B19、B20、B21、B38、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B52、B53及びB56位のアミノ酸を含む。別の好ましい実施形態では、当該エピトープは、インフルエンザAウイルスヘマグルチニンのA21、A324、A325、A327、B12、B14、B15、B16、B17、B18、B19、B25、B26、B30、B31、B32、B33、B34、B35、B36、B38、B146、B150、B153、B154位のアミノ酸を含む。さらに別の好ましい実施形態では、当該エピトープは、インフルエンザAウイルスヘマグルチニンのA38、A48、A275、A276、A277、A278、A289、A291、A318、B19、B20、B21、B36、B38、B39、B41、B42、B45、B46、B48、B49、B50、B52、B53、B56、B57、B58、B150位のアミノ酸を含む。

0130

本発明は、以下の実施例で説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、単に発明を明確にするものである。

図面の簡単な説明

0131

インフルエンザウイルスの概略図である(Subbarao K. and Joseph T. Nature Reviews Immunology 2007: 7, 267-278)。
Alexa Fluor 647で標識したインフルエンザH3(A/Wyoming/03/2003)及びH7(A/Netherlands/219/2003)のHAタンパク質とBcl6及びBcl-xLで形質導入されたポリクローナル培養されたB細胞とのインキュベーションに続くH3及びH7結合B細胞のセルソーティングを示す図である。
HAをトランスフェクトした293T細胞に結合した抗体を示す図である。293T細胞はH1(A/New Caledonia/20/199)、H3(A/Wisconsin/67/2005)、H5(A/Thailand/Vietnam Consensus/2004)及びH7(A/Netherlands/219/2003)のHAをコードするDNAがトランスフェクトされており、mAbと一緒にインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出した。
ウイルス感染細胞に結合する抗体を示す図である。MDCK−SIAT細胞をインフルエンザH1N1(A/Hawaii/31/2007)及びH3N2(A/Netherlands/177/2008)に感染させ、mAbと一緒にインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出した。
ウイルス感染細胞に結合する抗体を示す図である。MDCK細胞をインフルエンザH1N1(A/Neth/602/2009)、H3N2(A/Swine/St. Oedenrode/1996)、高病原性H5N1(A/Turkey/Turkey/2004) 、高病原性H7N7 (A/Ch/Neth/621557/03)及び低病原性H7N1(A/Ch/Italy/1067/1999)に感染させ、mAbと一緒にインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出した。
抗体の競合アッセイを示す図である。標識した抗体AT10_001、AT10_002及びAT10_004を、非標識競合抗体の存在下で、H3N2(A/Netherlands/177/2008)に感染させたMDCK−SIAT細胞への結合試験に供した。Rituximab (Ritux, CD20 抗体)を、ネガティブコントロールとして用いた。
抗体の競合アッセイを示す図である。標識した抗体AT10_004は、非標識競合抗体の存在下で、H1N1(A/Hawaii/31/2007)に感染させたMDCK−SIAT細胞への結合試験にも供した。Rituximab (Ritux, CD20 抗体)を、ネガティブコントロールとして用いた。
インビトロpHシフト実験による、異なるHAコンフォメーションへのAT10抗体の結合を示す図である。293細胞をH3(A/Wisconsin/67/2005)のHAをコードするDNAでトランスフェクトし、トリプシンEDTAを有するプラスチックから取り出し、500 mMのジチオスレイトール(DTT)、pH5のPBSのいずれかで処理した、又は未処理のままにした。細胞は、その後、組換えAT10_001、AT10_002、AT10_003又はAT10J304とインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出した。
漸増量のインフルエンザA/HKx-31(H3N2)で鼻腔内チャレンジしたC57B1/6Jマウスの生存率(A)及び体重変化(B)を表す図である。
10の致死量50(20,000TCID50)のインフルエンザA/HKx-31(H3N2)で鼻腔内チャレンジする1日前に1又は5mg/kgの抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004を静脈注射したマウスの生存率(A)及び体重変化(B)を表す図である。
10の致死量50(20,000TCID50)のインフルエンザA/HKx-31(H3N2)で鼻腔内チャレンジする1日前に1又は5mg/kgの抗体AT10_001、AT10_002又はAT10_004を静脈注射したマウスの体重変化(C、D)を表す図である。
10の致死量50(20,000TCID50)のインフルエンザA/HKx-31(H3N2)で鼻腔内チャレンジした2、3又は4日後に15mg/kgの抗体AT10_002を静脈注射したマウスの生存率(A)及び体重変化(B)を表す図である。
H3及びH1に対するBiFluの二重特異性及びBiFlu上のカッパ及びラムダ軽鎖の存在を示すSPRプロットである。抗体AT10_002(ラムダ軽鎖)、AT10_005 (カッパ軽鎖)及びBiFlu (AT10_002及びAT10_005を含む)が抗IgG(A)又は抗ラムダ(B)コーティングされたセンサーチップ上に捕捉された。続くインキュベーションサイクル中で、捕捉された抗体は、ヘマグルチニンH3及びH1及びカッパ及び/又はラムダに対する軽鎖抗体への結合能力を試験される。
ウイルス感染細胞に結合する抗体を示す図である。MDCK−SIAT細胞をインフルエンザH1N1(A/Hawaii/31/2007)及びH3N2(A/Netherlands/177/2008)に感染させ、いくつかの濃度のAT10_002、AT10_005又はBiFlu mAbと一緒にインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出した。
インフルエンザH1N1 (A/Hawaii/31/2007)(A)及びH3N2 (A/Netherlands/177/2008)(B)に対する抗体AT10_002、AT10_005及びBiFluの中和曲線を示す図である。各ウイルスは異なる量の抗体と一緒にインキュベートし、MDCK−SIAT細胞のコンフルエント単層に添加した。続く24時間のインキュベーション期間に細胞を洗浄し、固定し、DAPI及びインフルエンザ核タンパク質について染色した。(抗体コントロールなしと比較した)感染細胞百分率は、試験された各濃度の抗体について示されている。
10の致死量50(20,000TCID50)のインフルエンザH1N1 A/PR/8/34で鼻腔内チャレンジする1日前に1mg/kgのAT10_002、AT10_005又はRituximab、2mg/kgのAT10_002/AT10_005の混合物、あるいは2mg/kgのBiFluを静脈注射したマウスの生存率(A)及び体重変化(B)を表す図である。

0132

不死化B細胞の生成
ヒト記憶B細胞は、Kwakkenbosらによって記載されたBCL6/のBcl-xLの技術を用いて不死化した。(Generation of stable monoclonal antibody-producing B cell receptor- positive human memory B cells by genetic programming. Nature Medicine (2010) vol. 16 (1) pp. 123-8 及び国際公開WO2007/067046号公報) 簡単に言えば、インフルエンザワクチン処理されたドナーからのヒト記憶B細胞を、BCL6及びBcl-XLを含むレトロウイルスベクターで形質導入した。形質導入されたB細胞はCD40リガンド発現L-細胞及びインターロイキンIL)-21(R&D systems)を有する培養物中に維持することができる。

0133

ヘテロサブタイプmabの選択
ヘテロサブタイプ交差結合性mAbを分泌するB細胞を同定するため、2つのアプローチを用いた。
i)インフルエンザH3(A/Wyoming/03/2003)及びH7(A/Netherlands/219/2003)HAタンパク質(Protein Sciences)をAlexa Fluor 647 (Molecular Probes)で標識し、Bcl6及びBcl-xL形質導入したポリクロナーナル培養されたB細胞と一緒にインキュベートした。B細胞クローン上清をHAの結合についてELISAスクリーニングし、又はH3N2(A/Netherlands/177/2008)感染細胞及び/又はH7 (A/Netherlands/219/2003)感染したHEK細胞への結合についてスクリーニングする前に、B細胞をFACSAriaによってウエルごとに一つの細胞にソートして2から3週間培養した(図2)。
ii)細胞を、例えばウエルあたり40細胞で小さなプール播種し、2〜3週間培養した。これらのプールの上清を、H7感染HEK細胞への結合についてスクリーニングした。B細胞の二重陽性が試験されたウエルはウエルあたり1細胞を播種した。これらのモノクローナルB細胞系統の培養上清をELISAによるHA結合のスクリーニングに用いた。
1HA型以上に反応性を示したB細胞をさらに培養し、ELISAによるHA認識(表2)、及びHA発現HEK細胞への結合性(表3)について特徴づけた。

0134

HAELISA
交差反応性B細胞クローンのB細胞の上清をELISAにより異なるHA抗原への結合について試験した。H1(A/New Caledonia/20/1999)、H3 (A/Wyoming/03/2003)、H5 (A/Vietnam/1203/2004)及びH7(A/Netherlands/219/2003)(Protein Sciences)の組み換えHAを1μg/mlでELISAプレートにコーティングした。コーティングの後、プレートをPBS及び350μlのブロッキングバッファで1回洗浄し、PBS/4%Protivarを添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBST(PBS/0.05%Tween20)で3回洗浄し、抗体/培養上清をウエルに添加した。インキュベーションを室温で1時間行い、プレートをPBSTで3回洗浄した。試料をヤギ抗ヒトIgG−HRP抗体(Jackson)と一緒に室温で1時間インキュベートした。結合した抗体をTMB(3,3’,5,5’テトラメチルベンジジン基質バッファを用いて検出し、H2SO4で反応を止めた。Envision (PerkinElmer)上でOD450nmを測定した。AT10_001とAT10_002は、H3及びH7タンパク質の両方を認識したが、H1及びH5のHAタンパク質は認識しなかった。AT10_003は、H3、H5及びH7タンパク質を認識し、一方AT10_004は、H1、H3及びH7タンパク質を認識した(表2)。

0135

HAで形質導入された293T細胞に結合する抗体
AT10 mAbの細胞表面に発現されたHAへのヘテロサブタイプ結合を試験するため、293T細胞を異なる全長HA構築物で形質導入した。Fugene (Roche)を用いると、293T細胞はH1(A/New Caledonia/20/1999)、H3 (A/Wisconsin/67/2005)、H5 (A/Thailand/Vietnam Consensus/2004)及びH7 (A/Netherlands/219/2003)のHAをコードするDNAで形質導入された。形質導入した細胞をIgG抗体を含むB細胞の上清と一緒に、4℃で30分間インキュベートし、150μlのPBS/2%FCSで2回洗浄した。抗体の結合は抗ヒトIgG−PE(Southern Biotech)で検出し、FACScanto(Becton, Dickinson and Company)で分析した(図3)。コントロールとして、形質導入されていない293T細胞を用いた。AT10_001とAT10_002は、細胞表面に発現されたH3及びH7タンパク質の両方を認識したが、H1及びH5のHAタンパク質は認識しなかった。AT10_003は、H3、H5及びH7タンパク質を認識し、一方AT10_004は、H1、H3及びH7タンパク質を認識した。

0136

選択された抗体のクローニング
我々はRNeasy(登録商標)mini kit (Qiagen)で全RNAを単離し、cDNAを生成し、PCRを行ってpCR2.1TAクローニングベクター(Invitrogen)中に重鎖及び軽鎖可変領域をクローニングした。逆転写酵素又はDNAポリメラーゼで誘導される突然変異を除外するために、我々は、いくつかの独立したクローニング実験を行った。組換えmAbを生産するために、我々はフレーム内の重及び軽可変領域をヒトIgG1及びカッパ定常領域と共にpcDNA3.1(Invitrogen)ベースのベクター中にクローニングし、すぐに293T細胞に形質導入した。我々は培養上清からの組み換えmAbをAKTA(GE healthcare)で精製した。

0137

AT10抗体の交差結合特異性
異なるHAサブタイプに結合する抗体の可能性を試験するために、11の異なる組換えHAタンパク質(Sino Biological Inc 及びProtein Sciences)を使用した。上述したように、これらのHAタンパク質(表3)との反応性を、ELISAで試験した。mAbはいずれも、インフルエンザBとの反応性を示さなかった。AT10_001、 AT10_002、AT10_003及びAT10_004は、すべての人間のグループ2のHAタンパク質への結合を示した。AT10_001、AT10_003及びAT10_004は、ブタH4N6 (A/Swine/Ontario/01911-1/1999)に対する反応性も示した。AT10_002とAT10_003はアヒルH10N3(A/duck /Hong Kong/786/1979)及びアヒルH15N8(A/duck/AUS/341/1983)を認識し、AT10_004はH15N8(A/duck/AUS/341/1983)に対するいくつかの活性も示した。AT10_003は、H9N2(A/Hong Kong/1073/1999)及びH5N1(A/Vietnam/1203/2004)グループ1のHA分子を認識し、一方AT10_004はH1N1 (A/California/07/2009)及びH9N2(A/Hong Kong/1073/1999)のHAにも結合を示した。AT10_005は、試験されたグループ1のHAタンパク質に排他的に結合した。

0138

ウイルス感染細胞への抗体の結合
AT10抗体AT10_001、AT10_002、AT10_003及びAT10_004のウイルス感染細胞への結合能力を試験するため、我々はインフルエンザのH1N1(Hawaii/31/2007)及びH3N2(Netherlands/177/2008)に感染した細胞でFACS分析を行った(両方のウイルス株は、Department of Medical Microbiology, AMC, Amsterdamから入手した)。MDCK−SIAT細胞はT175培養フラスコの中で、DMEM/FCS/PS/G418中で、80〜100%のコンフルエンシーまで生育した。細胞層を10mlのPBSで2回洗浄し、その後15mlのOptimem/PS/G418/トリプシンを添加した。続いて0.5mlの100.000 TCID50インフルエンザウイルス(H1N1又はH3N2)をフラスコに添加し、細胞を37℃で培養した。24〜48時間後、細胞を10mlのPBSで2回洗浄しトリプシン−EDTAでプラスチックから取り外した。細胞を計数し、使用するまで−150℃で凍結した。感染した細胞を解凍し、IgG抗体/B細胞上清と一緒に4℃で30分間インキュベートし、150μlのPBS/2%FCSで2回洗浄した。抗体の結合は抗ヒトIgG−PEで検出し、FACScanto(Becton, Dickinson and Company)で分析した。コントロールとして非感染細胞を使用した(図4)。全てのmAbはH3N2感染細胞への結合性を示したが、非感染細胞には結合しなかった。抗体AT10_004及びAT10_003はH1N1感染細胞に対してもいくらかの結合性を示した。

0139

同様の実験を、AT10抗体AT10_001、AT10_002、AT10_003、AT10_004及びAT10_005とインフルエンザH1N1 (A/Neth/602/2009)、H3N2 (A/Swine/St. Oedenrode/1996)、高病原性H5N1 (A/Turkey/Turkey/2004), 高病原性H7N7 (A/Ch/Neth/621557/03) 及び低病原性H7N1 (A/Ch/Italy/1067/1999)の感染細胞(Central Veterinary Institue, Lelystad)について行った。MDCK細胞を上述の通りウイルスに感染させ、ただ細胞を4%パラホルムアルデヒドで4℃で20分間固定し、PBSで1回洗浄して凍結した。コントロールとして非感染細胞を使用した。FACS染色及び分析を上述のように行った(図5及び表4)。AT10_001は両方のH7ウイルスを認識したが、H3N2 (A/Swine/St.Oedenrode/1996)感染細胞は認識しなかった。AT10_001はH1N1 (A/Neth/602/2009)に対していくらかの反応性を示した。抗体AT10_002及びAT10_004は、3つの全てのグループ2インフルエンザの感染細胞バッチを認識し、AT10_004はH5N1 (A/Turkey/Turkey/2004)に対してもいくらかの反応性を示した。AT10_003はH3N2 (A/Swine/St.Oedenrode/1996)及びH7N7 (A/Ch/Neth/621557/2003)感染細胞にはいくらかの低結合性を示しただけだった。AT10_005は、グループ1インフルエンザの感染細胞には結合したが、グループ2インフルエンザの感染細胞には結合しなかった。

0140

ウイルスの中和
得られた抗体にインフルエンザAウイルス感染をブロックすることができるかどうかを決定するため、インビトロ中和アッセイを行った。アッセイはMDCK-SIAT細胞(Journal of Virology Aug. 2003; pp. 8418-25)で行った。MDCK−SIAT細胞を96ウエルのプレート(CellCarrier Plate, PerkinElmer)中で、DMEM/8%FCS/PS/G418中で、80〜100%のコンフルエンシーまで生育した。中和アッセイは、FCS又はBSAなしのOptimem/PS/G418/トリプシン培地中で行った。組み換えmAbを50μlのH3N2 (A/Ned/177/2008)又はH1N1 (A/Hawaii/31/2007)インフルエンザのウイルス懸濁液 (100TCID50/50 μl) と混合して、37℃で1時間インキュベートした。懸濁液を100μlのOptimem/PS/G418/トリプシン中のMDCK-SIAT細胞を含む96ウエルプレート多重に移した。使用の前に、MDCK-SIAT細胞を150μlのPBSで2回洗浄した。プレートを室温で2500rpmで遠心分離し、37℃/5% CO2に置いた。24時間後、細胞をPBSで2回洗浄し、ホルマリン(水中における37%ホルムアルデヒド)で室温で10分間固定し、150μlのPBSで2回洗浄し、DAPI及びインフルエンザウイルスの核タンパク質に対する抗体(NP-FITC, Abcam)で室温で染色した。30分後、細胞を150μlのPBSで2回洗浄し、100μlのPBS/50%グリセロールをウエルに添加した。MDCK-SIAT細胞のウイルス感染は20倍の対物レンズを用いたOperetta (PerkinElmer)で分析した。mAbの中和能力を定量するため、感染細胞の数を計数した(DAPI及びNP-FITCについて陽性)(表5)。IC50値はPrism中で計算され、値は一つの代表的な実験で、4通りに行われたアッセイポイントからである。AT10_001、AT10_002及びAT10_004はインビトロでのH3N2 (A/Ned/177/2008)及びH3N2HKX-31インフルエンザウイルス感染の強力な阻害を示した。AT10_001、AT10_002、AT10_003及びAT10_004については、H1N1 (A/Hawaii/31/2007)の中和は観察されなかった。

0141

得られたAT10抗体が、複数のインフルエンザAウイルス株をブロックすることができるかどうかを判断するために、追加のインビトロ中和アッセイを実施した。このアッセイでは、インフルエンザウイルスA/swine/Neth/St. Oedenrode/96 (H3N2; de Jong ら、 1999), A/ck/Neth/621557/03 (H7N7; van der Goot ら、 2005), A/ck/Italy/1067/99 (H7N1), A/turkey/Turkey/05 (H5N1; Londt ら2008)及びA/Neth/602/2009 (swine-origin H1N1; Munster ら、 2009) を用いた。 Madin-Darbyイヌ科腎臓(canine kidney) (MDCK)細胞を、5%FBS(Integro)及び1% Pen Streptomycine (GibcoBRLLife Technologies)を含むOptimem (Gibco BRL Life Technologies)中で培養した。細胞を3x104細胞/ウエルの密度で96ウエルプレートに播種し、37℃で一晩インキュベートした。PBS中で、mAbの三倍連続希釈を15μg/mlの濃度から開始して行った。リツキシマブ(rituximab)mAbをネガティブコントロールとして取った。

0142

ウイルス希釈液は、抗生物質、及びLPAIウイルスの場合には1μg/mlのトリプシン/TPCK(シグマ)を補充した、Optimemからなるウイルス感染培地で調製した。各mAb希釈物を37℃で1時間インキュベートし、続いて等量のウイルスと混合した。細胞をPBSで洗浄した後、mAb/ウイルス混合物(~100-1000 TCID50)を細胞単層接種した。細胞を37℃で24〜32時間インキュベートし、その後PBSで2回洗浄し、4%ホルマリンで20分間固定し、PBSで再度洗浄した。培地のみでインキュベートした細胞もネガティブコントロールとして、ウイルスのみでインキュベートした細胞もポジティブコントロールとして含まれる。アッセイは4通り行った。細胞をDAPI及びインフルエンザウイルスの核タンパク質に対する抗体(NP-FITC, Abcam又はHB65の後のヤギ-抗マウスIgGAlexa-647, Invitrogen)で室温で1時間染色した。細胞を150μlのPBSで2回洗浄し、100μlのPBS/50%グリセロールをウエルに添加した。MDCK-SIAT細胞のウイルス感染は10倍の対物レンズを用いたOperetta (PerkinElmer)で分析した。mAbの中和能力を定量するため、感染細胞の数を計数した(DAPI及びNP-FITC/HB65-Alexa-647について陽性)。IC50値はPrism中で計算され、値は一つの代表的な実験からである。結果は表7に示される。AT10_002及びAT10_004はインビトロでのグループ2のインフルエンザウイルス感染の強力な阻害を示したが、グループ1のウイルスの感染は防がなかった。AT10_005はグループ1のインフルエンザウイルスの感染は防いだがグループ2のウイルスには効果がなかった。抗体CR8020 (WO 2010 130636)はH3N2 A/Swine/Neth/Stのいかなる中和能力も示さなかった。Oedenrode/96及びH7N1 A/ck/Italy/1067/99のIC50は15 μg/mlであり、AT10_002及びAT10_004は4 μg/mlを下回るIC50であった。

0143

抗体の競合
抗体AT10_001とAT10_003はアレクサフルーア555(Molecular Probes)で標識し、抗体とAT10_002 AT10_004はアレクサフルーア647(Molecular Probes)で標識した。標識された抗体は、H3N2(A/Netherlands/177/2008)に感染したMDCK-SIAT細胞への結合について、結合能力を維持しているかどうか試験した。競合実験のため、アレクサフルーアで標識した抗体を添加する前に、H3N2 (A/Netherlands/177/2008)感染細胞を、漸増量の非標識競合抗体と、4℃で10分間インキュベートした。

0144

Guava easyCyte 8 (Millipore)での分析の前に、細胞-抗体混合物をさらに4℃で15分間インキュベートし、PBS/2%FCSで2回洗浄した。AT10_001、AT10_002及びAT10_004は全てHAタンパク質上の似た領域に結合するので、それらは互いの結合をブロックする(図6A)。抗体競合はH1N1感染細胞(A/Hawaii/31/2007)でも行われた。AT10_004-Alexa-647 抗体の結合は、未標識のAT10_004 and AT10_005によってブロックされている (図6B)。AT10_005抗体は、グループ1のHA分子のステム領域を認識する。AT10_004はAT10_005 と結合に関して競合するので、AT10_004もHAステム領域を認識するかもしれない。AT10_001、AT10_002及びAT10_004は全てHAタンパク質の同じ領域に結合するので(図6A)、AT10_001及びAT10_002もステム領域に結合エピトープを有する。

0145

HA1サブユニットのELISA
HA1サブユニットがHAタンパク質への抗体の結合に不可欠であるかどうかを試験するため、HA1サブユニット特的ELISAを行った。全長H3 (A/Aichi/2/1968, 全長)の組み換えHA及びH3 HA1 サブユニット (A/Aichi/2/1968, HA1 サブユニット, Met-1−Arg 345)でELISAプレートを1 μg/mlでコーティングした。コーティングの後、プレートをPBS及び300μlのブロッキングバッファで1回洗浄し、PBS/4%Protivarを添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートをPBST(PBS/0.05%Tween20)で3回洗浄し、組み換え抗体をウエルに添加した。インキュベーションを室温で1時間行い、プレートをPBSTで3回洗浄した。試料をヤギ抗ヒトIgG−HRP抗体(Jackson)と一緒に室温で1時間インキュベートした。結合した抗体をTMB基質バッファを用いて検出し、H2SO4で反応を止めた。Envision (PerkinElmer)上でOD450nmを測定した(表6)。AT10_001、AT10_002及びAT10_004が全長H3HAタンパク質を認識するが、このタンパク質のHA1サブユニットを認識しないことは、それらの結合エピトープが少なくとも部分的に、前記タンパク質のHA2サブユニット上に位置していることを示唆している。AT10_003が全長HAタンパク質及びHA1サブユニットを認識したことは、AT10_003エピトープがHAタンパク質のHA1サブユニット上に位置することを示している。

0146

異なるHAコンフォメーションへのAT10抗体の結合
ビリオンのエンドサイトーシスの取り込み時には、エンドソーム酸性環境は、ウイルス及びエンドソーム膜の、HA駆動型融合をトリガする。この融合は、融合前状態から融合後状態への(低pHによってトリガされる)HAタンパク質のコンフォメーション変化によって媒介される。我々は、いずれのHAのコンフォメーション構成に抗体が結合することができるのかを試験するため、インビトロpH-シフト実験を行った。Fugene (Roche) 293T を、H3 (A/Wisconsin/67/2005)のHAをコードするDNAでトランスフェクトした。トランスフェクション後48時間、細胞をトリプシン−EDTAを使って回収し、さらなる使用まで−150℃で保存した。pH−シフト実験のために、細胞をPBSで2回洗浄し、室温で30分間、PBS中の10μg/mlのトリプシン−EDTAと一緒にインキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、画分をトリプシン条件として取っておいた。残りの細胞は、2つのチューブに分割し、500 mMのジチオスレイトール(DTT)で室温で20分間処理するか、又はpH5のPBSと一緒に37℃にて5分間インキュベートした。細胞をPBSで2回洗浄し、組み換えAT10_001、AT10_002、AT10_003又はAT10_004と一緒にインキュベートした。抗体の結合は抗ヒトIgG−PE (southern Biotech)抗体を用いて検出し、Guava easyCyte 8 (Millipore)で分析した(図7)。AT10_001、AT10_002、AT10_003及びAT10_004は全てトリプシンで処理した細胞に結合した。トランスフェクトした細胞をpH5のバッファで処理するとAT10_001、AT10_002及びAT10_004は結合しなかったことは、これらの抗体が、HAタンパク質の融合前のコンフォメーションを認識するが、融合後のコンフォメーションは認識しないことを示している。細胞をDTTで処理するとHA2サブユニットからの、HA1サブユニットの分離を誘発するが、これがこれらの抗体の結合に影響がないということは、結合エピトープがHA2サブユニット上に位置することを示唆している。AT10_003は、融合前及び融合後の両方のコンフォメーションを認識するが、DTT処理すると結合が失われるということは、結合エピトープは、HA1サブユニットが存在している時だけ使用可能であることを示唆している。

0147

インビボでのAT10抗体の予防及び治療の有効性
AT10抗体は、それらの有効性を決定するために、マウスインフルエンザチャレンジモデルで試験した。オスのC57Bl/6Jマウス(グループ当たり4匹)は、鼻腔内に漸増量のインフルエンザA/HKx-31(H3N2)をチャレンジし、及びウイルス用量応答を決定するために、体重変化を14日間、1日2回モニターした。25%の体重損失を、人道的エンドポイントとして使用した。体重の25%以上を失ったマウスは試験から除外した。最も高い用量群(20000 TCID50)において、全ての動物は、8日以内に体重の25%を失い、一方2000 TCID50の群のマウスでは50%のみが、この体重減少(図8)に達した。これらの結果に基づいて10LD50(20,000 TCID50)のウイルス用量を、その後の抗体の実験に使用した。

0148

抗体AT10_001、AT10_002、AT10_004及び陰性対照抗体(リツキシマブ)を、インフルエンザモデルにおける予防的有効性について試験した。10LD50のインフルエンザA/HKx31のチャレンジの1日前に、マウスの静脈内に1又は5 mg/kgの抗体を注射した。体重は、実験の終了後10日間モニターした。すべての対照マウスは8日以内に25%の体重を失い、研究から除外された。しかしながら、予防AT10抗体を投与したマウスのいずれも抗体の保護効果を実証する研究から除去しなくてもよかった。(P=<0.000.1, Mantel-Cox, 図9A)。すべてのAT10抗体グループについて、用量依存的な効果が見られた。例えば1mg/kgの抗体の投与を受けたマウスは5mg/kgの同じ抗体の投与を受けたマウスよりも体重を失った(図9B、C、D)。1mg/kgのAT10_002での治療は、1mg/kgのAT10_001での治療よりも、感染後4日目から実験したの終わりまで、はるかに防御性が高かった(P≦0.05、2方向ANOVA)。1mg/kgのAT10_002を投与されたマウスの群と1mg/kgのAT10_004を投与されたマウスの群とでは体重減少について有意差はなかったが、AT10_002の、より優れた防御活性に向かう傾向は明確に見ることができる。重量損失グラフに基づいて、次のように抗体の活性をランク付けすることができる; AT10_002>AT10_004>AT10_001。

0149

インフルエンザの予防的実験において最高の防御活性を示したAT10抗体であるAT10_002について、インフルエンザモデルにおける治療有効性について試験した。10LD50のインフルエンザA/HKx31でのチャレンジの2日、3日又は4日後に、マウス静脈内に15mg/kgの抗体を注射した。コントロールとして、15mg/kgのAT10_002又はネガティブコントロール抗体(リツキシマブ、15 mg/kg)を10LD50のA/HKx31インフルエンザチャレンジの1日前にマウスに注射した。体重は、実験の終了後10日間モニターした。結果を図10に示す。リツキシマブを投与した全てのコントロールマウスはは8.5日以内に25%の体重を失い、研究から除去され、(−1日目に)予防AT10_002抗体を投与したマウスはいずれも体重の減少を示さず、試験から除外しなくてもよく、AT10_002抗体の防御効果が確認された。インフルエンザチャレンジ後2日又は3日でのAT10_002の静脈内注射によって、全てのマウスにおいて致死的な体重の損失が防がれ、AT10_002抗体の治療効果が示された。インフルエンザのチャレンジを受けたマウスのAT10_002抗体による、感染後4日での治療により、40%のマウスが致死的な体重損失から防御された。これらの知見は、AT10_002抗体がインフルエンザ感染後数日までは、致死性を予防するために使用できることを示している。

0150

汎特異的抗インフルエンザAのIgG多量体抗体の作製
ほとんどのインフルエンザAウイルスを認識する抗体多量体複合体を生成するため、我々はWO2010/087994に詳細に記載されたソルターゼ技術を用いてAT10_002とAT10_005(BiFlu)を結合した。AT10_002とAT10_005をリンクできるようにするために、配列GGGGSLPETGGGHHHHHHを有し、ソルターゼ認識部位が加えられたHis6タグを含む(STという)タグを遺伝子融合を介して抗体の重鎖のC末端に結合した。

0151

ソルターゼ反応は、60μMのソルターゼを含む2000μlの反応バッファ(25mM Tris, pH7.5, 150mM NaCl, 10mM CaCl2)中の10.0mgのAT10-002ST抗体と500μMのGGG-ジアベンゾ-アザシクロ-オクチン(DIBAC)を混合することによって行われた。同様に、10.0mgのAT10-005ST抗体を90μMのソルターゼを含む2000μlのソルターゼバッファと混合した。

0152

両方のサンプルを、37℃で16時間インキュベートした。インキュベーション後、ソルターゼを、50mMのEDTAを添加することによって非活性化した。ゲル濾過カラムに試料をロードする前に、反応混合物を遠心分離(3分、13.200 rpm)して、いかなる凝集体ペレット化した。2つのソルターゼタグ化抗体のゲル濾過クロマトグラフィーは、結合緩衝液(25mMトリス(pH7.5)+ 150mMのNaCl)中でハイロード・スーパーデックス200 16/60カラム(GE Healthcare、ピスカタウェイ、NJ、米国)で実施した。試料をローディングする前に、カラムを1.0CV(カラム容積)のカップリングバッファで平衡化した。ローディング後、カラムを1.5 CVの平衡化バッファでランした。

0153

次に、精製した抗体をクリック化学カップリングに付した。3.0mgのAT10-002DIBACを2.9mgのAT10-005-アジドと混合し、3.0mlのカップリングバッファ(25mM Tris, pH7.5, 150mM NaCl)中で25℃でインキュベートした。16時間後、試料を(上記のように)PBS(Fresenius Kabi, Bad Homburg, Germany)中でのゲル濾過に付した。IgG二量体を含む画分を回収し、プールし、50kDaのカットオフ膜AMICON遠心分離ろ過装置(Millipore、 Billerica、マサチューセッツ州、アメリカ合衆国)を用いて濃縮した。

0154

BiFlu調製物の質的SPR分析
二量体BiFlu(例えばAT10_002(λ軽鎖)及びAT10_005(κ軽鎖)からなる二量体)が形成されたか、又は調製物がAT10_002 AT10_005ヘテロダイマーからなるのかを決定するため、BiFlu調製物に対して表面プラズマ共鳴(SPR)分析を実施した。SPR分析は、IBIS MX96 SPRイメージングシステム(IBIS Technologies BV., Enschede,オランダ)上で実施された(Lokate et al.,2007, J. Am. Chem. Soc. 129:14013-140318)。要するに、一つのSPR分析サイクルは、分析物がコーティングされたセンサー上にフラッシュされる、1以上のインキュベーション工程からなる。これには、いかなる結合した分析物がセンサから除去される再生工程が続く。一つの実験中に複数のサイクルを実施することができる。我々のSPR捕捉結合アッセイにおいて、目的の抗体は、まずSPRセンサー上に固定されたアイソタイプ特異的抗体(すなわち、抗ヒトIgG、抗ヒトκ軽鎖又は抗ヒトλ軽鎖)上に捕捉され、その後、分析物と共にインキュベートされる。得られたデータはSprintソフトウエア(version 1.6.8.0, IBIS Technologies BV, Enschede, オランダ)を使って分析した。

0155

SPRセンサは、カップリングバッファー(10 mMののNaAc、pHは4.5、0.03%トゥイーン20)中での、連続フローマイクロスポッター装置(ワサッチマイクロフルイディクスユタ州ソルトレイクティ米国)を用いた、アミン特異的EasySpot金フィルムゲルタイプのSPRチップ(Ssens BV、エンスヘーデ、オランダ)上での、センサ表面上にスポットすることによる、アイソタイプ特異的な抗体抗ヒトIgG(ジャソンイムノリサーチウエストグローブ、PA、USA)、抗ヒトκ軽鎖(Dako社、グロストラップデンマーク)及び抗ヒトλ軽鎖(ダコ、グロストラップ、デンマーク)の固定化によってコーティングした。

0156

45分間のスポット後、センサーを0.1Mエタノールアミン、pH8.5で不活性化し、システムバッファ(PBS+ 0.03 % Tween20 + 0.05 % NaN3)で3回洗浄した。分析を始める前に、結合させたセンサーを再生バッファ(10mMグリシン-HCl、pH2)と一緒に2分間インキュベートし、システムバッファでの3回の洗浄工程を続けた。

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