図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2015年12月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (20)

課題

真核細胞で遺伝的にコードされるアミノ酸の数を拡大する翻訳成分を作製するための組成物と方法を提供する。

解決手段

蛋白質を含有する組成物であって、前記蛋白質が少なくとも1種の非天然アミノ酸と、少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、前記少なくとも1種の翻訳後修飾が第1の反応基を含む前記少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子の結合を含む前記組成物。

概要

背景

細菌からヒトに至る全公知生物遺伝コードは同一の20種の標準アミノ酸をコードする。これらの同一の20種の天然アミノ酸の種々の組み合わせが光合成からシグナル伝達免疫応答に至る複雑な生命プロセスのほぼ全てを行う蛋白質を形成する。蛋白質構造及び機能を研究及び修飾するために、科学者らは蛋白質の遺伝コードとアミノ酸配列の両者を操作しようと試みている。しかし、遺伝的にコードされる20種の標準構成単位(稀なケースではセレノシステイン(例えばA. Bockら, (1991), Molecular Microbiology 5:515-20参照)とピロリジン(例えばG. Srinivasanら, (2002), Science 296:1459-62参照)も含む)に蛋白質を制限する遺伝コードによる制約を取り除くことは困難であった。

これらの制約を取り除く試みは多少進展しているが、その進展は限定されており、蛋白質構造及び機能を合理的に制御する能力は未だ揺籃期にある。例えば、化学者らは小分子構造を合成及び操作する方法及びストラテジーを開発している(例えばE.J.Corey,& X.-M.Cheng,The Logic of Chemical Synthesis(Wiley-Interscience,New York,1995)参照)。完全合成(例えばB.Merrifield, (1986), Science 232:341-7 (1986)参照)、及び半合成法(例えばD.Y.Jacksonら, (1994) Science 266:243-7;及びP. E. Dawson, & S. B. Kent, (2000), Annual Review of Biochemistry 69:923-60参照)によりペプチドと小蛋白質を合成することが可能になったが、これらの方法は10キロダルトン(kDa)を上回る蛋白質での利用に限られている。突然変異誘発法は強力であるが、限られた数の構造変化に限定されている。多くの場合には、標準アミノ酸の近似構造類似体を蛋白質全体に競合的に組込むことしかできなかった。例えばR. Furter, (1998), Protein Science 7:419-26;K.Kirshenbaumら, (2002), Chem Bio Chem 3:235-7;及びV. Doringら, (2001), Science 292:501-4参照。

蛋白質構造及び機能を操作する能力を拡張するために、化学的アシル化された直交tRNAを使用するインビトロ(in vitro)法が開発され、ナンセンスコドン応答して非天然アミノ酸を選択的にインビトロ(in vitro)で組込むことが可能になった(例えばJ. A. Ellmanら, (1992), Science 255:197-200参照)。蛋白質フォールディング及び安定性生体分子認識及び触媒作用を研究するために新規構造及び物性をもつアミノ酸が蛋白質に選択的に組込まれた。例えばD. Mendelら, (1995), Annual Review of Biophysics and Biomolecular Structure 24:435-462;及びV. W. Cornishら (Mar. 31, 1995), Angewandte Chemie-International Edition in English 34:621-633参照。しかし、この方法は化学量論的であるため、作製できる蛋白質の量が著しく制限された。

非天然アミノ酸は細胞マイクロインジェクションされている。例えば、化学的にミスアシル化されたテトラヒメナサーモフィラ(Tetrahymena thermophila)tRNA(例えばM.E.Saksら(1996), An engineered Tetrahymena tRNAGln forインビボ(in vivo) incorporation of unnatural amino acidsinto proteins by nonsense suppression, J. Biol. Chem. 271:23169-23175)と関連mRNAのマイクロインジェクションにより、非天然アミノ酸がアフリカツメガエル卵母細胞ニコチン性アセチルコリン受容体に導入された(例えばM. W. Nowakら (1998), in vivo incorporation of unnatural amino acids into ion channels in Xenopus oocyte expression system, Method Enzymol. 293:504-529)。この結果、ユニークな物理的又は化学的性質をもつ側鎖を含むアミノ酸の導入により卵母細胞受容体の詳細な生物理学的研究が可能になった。例えばD. A. Dougherty (2000), Unnatural amino acids as probes of protein structure and function, Curr. Opin. Chem. Biol. 4:645-652参照。しかし、残念なことにこの方法はマイクロインジェクションすることができる細胞の蛋白質に限られており、該当tRNAは化学的にインビトロ(in vitro)アシル化され、再アシル化できないため、蛋白質収率が非常に低い。

これらの制約を解決するために、原核生物である大腸菌(E.coli)の蛋白質生合成機構に新規成分を付加し(例えばL. Wangら, (2001), Science 292:498-500)、非天然アミノ酸を遺伝的にインビボ(in vivo)コードすることが可能になった。フォトアフィニティーラベル光異性化可能なアミノ酸、ケトアミノ酸、及びグリコシル化アミノ酸を含む新規化学的、物理的又は生物学的性質をもつ多数の新規アミノ酸がこの方法を使用してアンバーコドンTAGに応答して高い忠実度で効率的に大腸菌の蛋白質に組込まれている。例えばJ. W. Chinら, (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027;J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), Chem Bio Chem 11:1135-1137;J. W. Chinら, (2002), PNAS United States of America 99:11020-11024;及びL. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1-10参照。しかし、原核生物と真核生物翻訳機構は高度に保存されていないので、多くの場合には大腸菌に付加された生合成機構の成分を使用して非天然アミノ酸を真核生物の蛋白質に部位特異的に組込むことはできない。例えば、大腸菌で使用されたメタノコッカス・ヤナシイ(Methanococcus jannaschii)チロシルtRNAシンテターゼ/tRNA対は真核細胞では直交でない。また、原核生物と異なり、真核生物におけるtRNAの転写RNAポリメラーゼIIIにより行われるため、真核細胞で転写することができるtRNA構造遺伝子一次配列は制限される。更に、原核細胞と異なり、真核細胞ではtRNAが翻訳機能するためにはその転写の場である核から細胞質輸送する必要がある。更に、真核80Sリボソームは70S原核リボソームと異なる。従って、真核遺伝コードを拡張するためには生合成機構の改良成分を開発する必要がある。本発明は以下の開示から明らかなように、上記及び他の必要を満たすものである。

概要

真核細胞で遺伝的にコードされるアミノ酸の数を拡大する翻訳成分を作製するための組成物と方法を提供する。蛋白質を含有する組成物であって、前記蛋白質が少なくとも1種の非天然アミノ酸と、少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、前記少なくとも1種の翻訳後修飾が第1の反応基を含む前記少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子の結合を含む前記組成物。なし

目的

本発明は真核細胞で成長中のポリペプチド鎖に非天然アミノ酸を組込むために真核蛋白質生合成機構で使用される翻訳成分、例えば直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)と直交tRNA(O−tRNA)の対とその個々の成分を組込んだ真核細胞を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

蛋白質を含有する組成物であって、前記蛋白質が少なくとも1種の非天然アミノ酸と、少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、前記少なくとも1種の翻訳後修飾が第1の反応基を含む前記少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子の結合を含む前記組成物。

請求項2

請求項3

第1の反応基がアルキニル又はアジド部分であり、第2の反応基がアジド又はアルキニル部分である請求項1に記載の組成物。

請求項4

第1の反応基がアルキニル部分であり、第2の反応基がアジド部分である請求項3に記載の組成物。

請求項5

非天然アミノ酸がp−プロパルギルオキシフェニルアラニンを含む請求項4に記載の組成物。

請求項6

第1の反応基がアジド部分であり、第2の反応基がアルキニル部分である請求項3に記載の組成物。

請求項7

非天然アミノ酸がp−アジド−L−フェニルアラニンを含む請求項6に記載の組成物。

請求項8

少なくとも1種の翻訳後修飾が真核細胞においてインビボ(in vivo)で行われる請求項6に記載の組成物。

請求項9

化学構造:をもつ非天然アミノ酸を含む組成物。

請求項10

更に直交tRNAを含む請求項9に記載の組成物。

請求項11

非天然アミノ酸が直交tRNAと共有結合している請求項10に記載の組成物。

請求項12

非天然アミノ酸がアミノアシル結合を介して直交tRNAと共有結合している請求項10に記載の組成物。

請求項13

非天然アミノ酸が直交tRNAの末端リボース糖の3’OH又は2’OHと共有結合している請求項10に記載の組成物。

請求項14

請求項9に記載の非天然アミノ酸を含む蛋白質。

請求項15

請求項9に記載の非天然アミノ酸を含む細胞

請求項16

構造:をもつアジド色素を含む組成物。

請求項17

構造:をもつアジド色素を含む組成物。

請求項18

請求項16又は17に記載のアジド色素を含む蛋白質。

請求項19

更に少なくとも1種の非天然アミノ酸を含み、アジド色素が[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している請求項18に記載の蛋白質。

請求項20

非天然アミノ酸がアルキニルアミノ酸を含む請求項19に記載の蛋白質。

請求項21

構造:(式中、nは100〜2,000の整数である)をもつアルキニルポリエチレングリコールを含む組成物。

請求項22

アルキニルポリエチレングリコールが約5,000〜約100,000Daの分子量をもつ請求項21に記載の組成物。

請求項23

請求項21に記載のアルキニルポリエチレングリコールを含む蛋白質。

請求項24

更に少なくとも1種の非天然アミノ酸を含み、アルキニルポリエチレングリコールが[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している請求項23に記載の蛋白質。

請求項25

非天然アミノ酸がアジドアミノ酸を含む請求項24に記載の蛋白質。

請求項26

p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物合成方法であって、N−tert−ブトキシカルボニルチロシンとK2CO3を無水DMFに懸濁する段階と;臭化プロパルギルを(a)の反応混合物に加え、ヒドロキシル基カルボキシル基アルキル化することにより、構造:をもつ保護中間体化合物を得る段階と;保護中間体化合物をMeOH中で無水HClと混合し、アミン部分を脱保護することにより、p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を合成する段階を含む前記方法。

請求項27

p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニンHClをNaOHとMeOHの水溶液に溶かし、室温で撹拌する段階と;pHをpH7に調整する段階と;p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を沈殿させる段階を更に含む請求項26に記載の方法。

請求項28

アジド色素の合成方法であって、ハロゲン化スルホニル部分を含む色素化合物を提供する段階と;3−アジドプロピルアミントリエチルアミンの存在下に色素化合物を室温まで昇温させる段階と;3−アジドプロピルアミンのアミン部分を色素化合物のハロゲン化物位置にカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む前記方法。

請求項29

色素化合物がダンシルクロリドを含み、アジド色素が請求項16に記載の組成物を含む請求項28に記載の方法。

請求項30

反応混合物からアジド色素を精製する段階を更に含む請求項28に記載の方法。

請求項31

アジド色素の合成方法であって、アミン含有色素化合物を提供する段階と;アミン含有色素化合物を適切な溶媒中でカルボジイミド及び4−(3−アジドプロピルカルバモイル)−酪酸と混合し、酸のカルボニル基を色素化合物のアミン部分とカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む前記方法。

請求項32

カルボジイミンが1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含む請求項31に記載の方法。

請求項33

アミン含有色素がフルオレセインアミンを含み、適切な溶媒がピリジンを含む請求項31に記載の方法。

請求項34

アミン含有色素がフルオレセインアミンを含み、アジド色素が請求項17に記載の組成物を含む請求項31に記載の方法。

請求項35

アジド色素を沈殿させる段階と;沈殿をHClで洗浄する段階と;洗浄した沈殿をEtOAcに溶かす段階と;アジド色素をヘキサン中で沈殿させる段階を更に含む請求項31に記載の方法。

請求項36

プロパルギルアミドポリエチレングリコールの合成方法であって、プロパルギルアミン有機溶媒中で室温にてポリエチレングリコール(PEG)−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させ、請求項21に記載のプロパルギルアミドポリエチレングリコールを得る段階を含む前記方法。

請求項37

有機溶媒がCH2Cl2を含む請求項36に記載の方法。

請求項38

酢酸エチルを使用してプロパルギルアミドポリエチレングリコールを沈殿させる段階を更に含む請求項36に記載の方法。

請求項39

プロパルギルアミドポリエチレングリコールをメタノール中で再結晶させる段階と;生成物減圧乾燥する段階を更に含む請求項38に記載の方法。

請求項40

直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含む真核細胞であって、前記O−RSが直交tRNA(O−tRNA)を真核細胞において少なくとも1種の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し;(a)O−RS又はその一部が配列番号20−25のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列、その相補的ポリヌクレオチド配列、又はその保存変異体によりコードされるか;(b)O−RSが配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列、又はその保存変異体を含むか;(c)O−RSが天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシンセリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸を含むか;あるいは(d)O−RSが配列番号45に記載のアミノ酸配列をもつO−RSの少なくとも50%の効率でO−tRNAを少なくとも1種の非天然アミノ酸でアミノアシル化する前記細胞。

請求項41

更に直交tRNA(O−tRNA)を含み、前記O−tRNAがセレクターコドンを認識し、O−RSにより少なくとも1種の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化され、前記O−tRNAが配列番号65に対応する核酸の細胞内プロセシングにより細胞内で生産され、前記O−RSが配列番号48−63、及びその保存変異体から構成される群から選択されるポリペプチド配列を含む請求項40に記載の細胞。

請求項42

(a)配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド;(b)配列番号20−35のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド;(c)(a)、又は(b)のポリペプチドに特異的な抗体に対して特異的免疫反応性のポリペプチド;(d)天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸を含むポリペプチド;(e)配列番号36−48、又は86の少なくとも20個の連続アミノ酸を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上のアミノ酸置換を含むポリペプチド;並びに(f)(a)、(b)、(c)、(d)、又は(e)の保存変異体を含むアミノ酸配列から構成される群から選択されるポリペプチド。

請求項43

請求項42に記載のポリペプチドと賦形剤を含有する組成物。

請求項44

請求項42に記載のポリペプチドに対して特異的免疫反応性の抗体又は抗血清

請求項45

請求項42に記載のポリペプチドと賦形剤を含有する組成物。

請求項46

請求項42に記載のポリペプチドに対して特異的免疫反応性の抗体又は抗血清。

請求項47

(a)配列番号20−35のいずれか1種に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;(b)(a)のポリヌクレオチド配列に相補的であるか又は前記配列をコードするポリヌクレオチド;(c)配列番号48−63のいずれか1種に記載のアミノ酸配列又はその保存変異体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(d)請求項42に記載のポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(e)高ストリンジェント条件下で核酸の実質的に全長にわたって(a)、(b)、(c)、又は(d)のポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸;(f)天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に、大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン;大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから構成される群から選択される2種以上の突然変異を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;(g)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、又は(f)のポリヌクレオチドと少なくとも98%一致するポリヌクレオチド;並びに(h)(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、又は(g)の保存変異体を含むポリヌクレオチドから構成される群から選択されるポリヌクレオチド。

請求項48

請求項47に記載のポリヌクレオチドを含むベクター

請求項49

ベクターがプラスミドコスミドファージ、又はウイルスを含む請求項48に記載のベクター。

請求項50

ベクターが発現ベクターである請求項48に記載のベクター。

請求項51

請求項48に記載のベクターを含む細胞。

請求項52

少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む少なくとも1種の蛋白質を真核細胞で生産する方法であって、少なくとも1個のセレクターコドンを含み且つ前記蛋白質をコードする核酸を含む真核細胞を適当な培地で増殖させる段階を含み;前記培地が非天然アミノ酸を含み、前記真核細胞が、前記細胞で機能し、前記セレクターコドンを認識する直交tRNA(O−tRNA)と;前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、前記O−RSが配列番号48−53に対応するアミノ酸配列を含む前記方法。

請求項53

少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む少なくとも1種の蛋白質を真核細胞で生産する方法であって、少なくとも1個のセレクターコドンを含み且つ前記蛋白質をコードする核酸を含む真核細胞を適当な培地で増殖させる段階を含み;前記培地が非天然アミノ酸を含み、前記真核細胞が、前記細胞で機能し、前記セレクターコドンを認識する直交tRNA(O−tRNA)と、前記O−tRNAを前記非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、更に、第1の反応基を含む前記非天然アミノ酸を前記真核細胞において前記蛋白質に組込む段階と;第2の反応基を含む分子と前記蛋白質を接触させる段階を含み、第1の反応基が第2の反応基と反応し、[3+2]シクロ付加により前記分子を前記非天然アミノ酸と結合する前記方法。

請求項54

前記分子が色素、ポリマー、ポリエチレングリコール誘導体、光架橋剤、細胞傷害性化合物、アフィニティーラベル、ビオチン誘導体、樹脂、第2の蛋白質もしくはポリペプチド、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、又はポリヌクレオチドである請求項53に記載の方法。

請求項55

第1の反応基がアルキニル又はアジド部分であり、第2の反応基がアジド又はアルキニル部分である請求項53に記載の方法。

請求項56

第1の反応基がアルキニル部分であり、第2の反応基がアジド部分である請求項55に記載の方法。

請求項57

非天然アミノ酸がp−プロパルギルオキシフェニルアラニンを含む請求項56に記載の方法。

請求項58

第1の反応基がアジド部分であり、第2の反応基がアルキニル部分である請求項55に記載の方法。

請求項59

非天然アミノ酸がp−アジド−L−フェニルアラニンを含む請求項58に記載の方法。

請求項60

請求項53に記載の方法により生産された蛋白質。

請求項61

蛋白質が少なくとも1種のインビボ(in vivo)翻訳後修飾により修飾されており、前記翻訳後修飾がN−グリコシル化、O−グリコシル化、アセチル化アシル化脂質修飾パルミトイル化パルミチン酸付加、リン酸化、及び糖脂質結合修飾から構成される群から選択される請求項60に記載の蛋白質。

技術分野

0001

(関連出願とのクロスリファレンス
本願はUSSN60/479,931、発明の名称真核遺伝コード拡張(Expanding the Eukaryotic Genetic Code)」、発明者Chinら、出願日2003年6月18日;USSN60/493,014、発明の名称「真核遺伝コードの拡張(Expanding the Eukaryotic Genetic Code)」、発明者Chinら、出願日2003年8月5日;及びUSSN60/496,548、発明の名称「真核遺伝コードの拡張(Expanding the Eukaryotic Genetic Code)」、発明者Chinら、出願日2003年8月19日の各出願に基づく通常特許出願である。本願はこれらの各原出願の優先権特典を主張する。

0002

連邦政府支援研究開発から創出された発明の権利に関する陳述)
本発明は米国国立衛生研究所により交付された助成番号GM62159と、エネルギー省により交付された助成番号DE−FG0300ER45812として政府助成下に創出された。米国政府は本発明に所定の権利を有する。

0003

(発明の技術分野)
本発明は真核細胞における翻訳生化学の分野に関する。本発明は真核細胞で直交tRNA、直交シンテターゼ及びその対を作製するための方法と組成物に関する。本発明は非天然アミノ酸の組成物、蛋白質、及び非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を真核細胞で生産する方法にも関する。

背景技術

0004

細菌からヒトに至る全公知生物の遺伝コードは同一の20種の標準アミノ酸をコードする。これらの同一の20種の天然アミノ酸の種々の組み合わせが光合成からシグナル伝達免疫応答に至る複雑な生命プロセスのほぼ全てを行う蛋白質を形成する。蛋白質構造及び機能を研究及び修飾するために、科学者らは蛋白質の遺伝コードとアミノ酸配列の両者を操作しようと試みている。しかし、遺伝的にコードされる20種の標準構成単位(稀なケースではセレノシステイン(例えばA. Bockら, (1991), Molecular Microbiology 5:515-20参照)とピロリジン(例えばG. Srinivasanら, (2002), Science 296:1459-62参照)も含む)に蛋白質を制限する遺伝コードによる制約を取り除くことは困難であった。

0005

これらの制約を取り除く試みは多少進展しているが、その進展は限定されており、蛋白質構造及び機能を合理的に制御する能力は未だ揺籃期にある。例えば、化学者らは小分子構造を合成及び操作する方法及びストラテジーを開発している(例えばE.J.Corey,& X.-M.Cheng,The Logic of Chemical Synthesis(Wiley-Interscience,New York,1995)参照)。完全合成(例えばB.Merrifield, (1986), Science 232:341-7 (1986)参照)、及び半合成法(例えばD.Y.Jacksonら, (1994) Science 266:243-7;及びP. E. Dawson, & S. B. Kent, (2000), Annual Review of Biochemistry 69:923-60参照)によりペプチドと小蛋白質を合成することが可能になったが、これらの方法は10キロダルトン(kDa)を上回る蛋白質での利用に限られている。突然変異誘発法は強力であるが、限られた数の構造変化に限定されている。多くの場合には、標準アミノ酸の近似構造類似体を蛋白質全体に競合的に組込むことしかできなかった。例えばR. Furter, (1998), Protein Science 7:419-26;K.Kirshenbaumら, (2002), Chem Bio Chem 3:235-7;及びV. Doringら, (2001), Science 292:501-4参照。

0006

蛋白質構造及び機能を操作する能力を拡張するために、化学的アシル化された直交tRNAを使用するインビトロ(in vitro)法が開発され、ナンセンスコドン応答して非天然アミノ酸を選択的にインビトロ(in vitro)で組込むことが可能になった(例えばJ. A. Ellmanら, (1992), Science 255:197-200参照)。蛋白質フォールディング及び安定性生体分子認識及び触媒作用を研究するために新規構造及び物性をもつアミノ酸が蛋白質に選択的に組込まれた。例えばD. Mendelら, (1995), Annual Review of Biophysics and Biomolecular Structure 24:435-462;及びV. W. Cornishら (Mar. 31, 1995), Angewandte Chemie-International Edition in English 34:621-633参照。しかし、この方法は化学量論的であるため、作製できる蛋白質の量が著しく制限された。

0007

非天然アミノ酸は細胞マイクロインジェクションされている。例えば、化学的にミスアシル化されたテトラヒメナサーモフィラ(Tetrahymena thermophila)tRNA(例えばM.E.Saksら(1996), An engineered Tetrahymena tRNAGln forインビボ(in vivo) incorporation of unnatural amino acidsinto proteins by nonsense suppression, J. Biol. Chem. 271:23169-23175)と関連mRNAのマイクロインジェクションにより、非天然アミノ酸がアフリカツメガエル卵母細胞ニコチン性アセチルコリン受容体に導入された(例えばM. W. Nowakら (1998), in vivo incorporation of unnatural amino acids into ion channels in Xenopus oocyte expression system, Method Enzymol. 293:504-529)。この結果、ユニークな物理的又は化学的性質をもつ側鎖を含むアミノ酸の導入により卵母細胞受容体の詳細な生物理学的研究が可能になった。例えばD. A. Dougherty (2000), Unnatural amino acids as probes of protein structure and function, Curr. Opin. Chem. Biol. 4:645-652参照。しかし、残念なことにこの方法はマイクロインジェクションすることができる細胞の蛋白質に限られており、該当tRNAは化学的にインビトロ(in vitro)アシル化され、再アシル化できないため、蛋白質収率が非常に低い。

0008

これらの制約を解決するために、原核生物である大腸菌(E.coli)の蛋白質生合成機構に新規成分を付加し(例えばL. Wangら, (2001), Science 292:498-500)、非天然アミノ酸を遺伝的にインビボ(in vivo)コードすることが可能になった。フォトアフィニティーラベル光異性化可能なアミノ酸、ケトアミノ酸、及びグリコシル化アミノ酸を含む新規化学的、物理的又は生物学的性質をもつ多数の新規アミノ酸がこの方法を使用してアンバーコドンTAGに応答して高い忠実度で効率的に大腸菌の蛋白質に組込まれている。例えばJ. W. Chinら, (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027;J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), Chem Bio Chem 11:1135-1137;J. W. Chinら, (2002), PNAS United States of America 99:11020-11024;及びL. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1-10参照。しかし、原核生物と真核生物翻訳機構は高度に保存されていないので、多くの場合には大腸菌に付加された生合成機構の成分を使用して非天然アミノ酸を真核生物の蛋白質に部位特異的に組込むことはできない。例えば、大腸菌で使用されたメタノコッカス・ヤナシイ(Methanococcus jannaschii)チロシルtRNAシンテターゼ/tRNA対は真核細胞では直交でない。また、原核生物と異なり、真核生物におけるtRNAの転写RNAポリメラーゼIIIにより行われるため、真核細胞で転写することができるtRNA構造遺伝子一次配列は制限される。更に、原核細胞と異なり、真核細胞ではtRNAが翻訳機能するためにはその転写の場である核から細胞質輸送する必要がある。更に、真核80Sリボソームは70S原核リボソームと異なる。従って、真核遺伝コードを拡張するためには生合成機構の改良成分を開発する必要がある。本発明は以下の開示から明らかなように、上記及び他の必要を満たすものである。

先行技術

0009

A. Bockら, (1991), Molecular Microbiology 5:515-20
G. Srinivasanら, (2002), Science 296:1459-62
E. J. Corey, & X. -M. Cheng, The Logic of Chemical Synthesis(Wiley-Interscience, New York, 1995)
B. Merrifield, (1986), Science 232:341-7(1986)
D. Y. Jacksonら, (1994)Science 266:243-7
P. E. Dawson, & S. B. Kent, (2000), Annual Review of Biochemistry 69:923-60
R. Furter, (1998), Protein Science 7:419-26
K. Kirshenbaumら, (2002), ChemBioChem 3:235-7
V. Doringら, (2001), Science 292:501-4
J. A. Ellmanら, (1992), Science 255:197-200
D. Mendelら, (1995), Annual Review of Biophysics and Biomolecular Structure 24:435-462
V. W. Cornishら (Mar. 31, 1995), Angewandte Chemie-International Edition in English 34:621-633
M. E. Saksら (1996), An engineered TetrahymenatRNAGln forインビボ(in vivo) incorporation of unnatural amino acidsinto proteins by nonsense suppression, J. Biol. Chem. 271:23169-23175
M. W. Nowakら (1998), in vivo incorporation of unnatural amino acids into ion channels in Xenopus oocyte expression system, Method Enzymol. 293:504-529
D. A. Dougherty (2000), Unnatural amino acids as probes of protein structure and function, Curr. Opin. Chem. Biol. 4:645-652
L. Wangら, (2001), Science 292:498-500
J. W. Chinら, (2002), Journal of the American Chemical Society 124:9026-9027
J. W. Chin, & P. G. Schultz, (2002), ChemBioChem 11:1135-1137
J. W. Chinら, (2002), PNAS United States of America 99:11020-11024
L. Wang, & P. G. Schultz, (2002), Chem. Comm., 1-10

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は真核細胞で成長中のポリペプチド鎖に非天然アミノ酸を組込むために真核蛋白質生合成機構で使用される翻訳成分、例えば直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)と直交tRNA(O−tRNA)の対とその個々の成分を組込んだ真核細胞を提供する。

課題を解決するための手段

0011

本発明の組成物は(例えば大腸菌、バシラスステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等の非真核生物に由来する)直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を組込んだ真核細胞(例えば酵母細胞(例えばサッカロマイセスセレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)細胞)、哺乳動物細胞植物細胞藻類細胞真菌細胞昆虫細胞等)を含み、O−RSは真核細胞において直交tRNA(O−tRNA)を少なくとも1種の非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する。場合により、所与真核細胞で2種以上のOtRNAをアミノアシル化することができる。1側面では、O−RSは例えば配列番号86又は45に記載のアミノ酸配列をもつO−RSの例えば少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は90%以上の効率でO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。1態様では、本発明のO−RSはO−RSがO−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する場合の例えば少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍等の効率でO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。

0012

1態様では、O−RS又はその一部は配列番号3−35(例えば3−19、20−35、又は配列3−35の他の任意サブセット)のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列、又はその相補的ポリヌクレオチド配列によりコードされる。別の態様では、O−RSは配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列又はその保存変異体を含む。更に別の態様では、O−RSは天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列に例えば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%以上一致するアミノ酸配列を含むと共に、A−E群の2種以上のアミノ酸を含む。A群は大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にバリンイソロイシンロイシングリシンセリンアラニン、又はスレオニンを含む。B群は大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸を含む。C群は大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にスレオニン、セリン、アルギニンアスパラギン又はグリシンを含む。D群は大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にメチオニン、アラニン、バリン、又はチロシンを含み、E群は大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にセリン、メチオニン、バリン、システイン、スレオニン、又はアラニンを含む。

0013

これらの群の組み合わせの任意サブセットが本発明の特徴である。例えば、1態様では、O−RSは大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にバリン、イソロイシン、ロイシン、又はスレオニン;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にスレオニン、セリン、アルギニン、又はグリシン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にメチオニン、又はチロシン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にセリン、又はアラニンから選択される2種以上のアミノ酸をもつ。別の態様では、O−RSは大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン、大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸、大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン、大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン、及び/又は大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから選択される2種以上のアミノ酸を含む。

0014

別の態様では、O−RSは天然アミノ酸に比較して非天然アミノ酸に1種以上の改善又は強化された酵素性質をもつ。例えば、天然アミノ酸に比較して非天然アミノ酸に改善又は強化された酵素性質としては、例えばKm増加、Km低下、kcat増加、kcat低下、kcat/km低下、kcat/km増加等が挙げられる。

0015

真核細胞は更に場合により非天然アミノ酸を含む。真核細胞は場合により(例えば大腸菌、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、及び/又は同等物等の非真核生物に由来する)直交tRNA(O−tRNA)を含み、O−tRNAはセレクターコドンを認識し、O−RSにより非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化される。1側面では、O−tRNAは配列番号65に記載のポリヌクレオチド配列を含むか又は前記配列から細胞でプロセシングされるtRNAの例えば少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は99%の効率で非天然アミノ酸の蛋白質組込みを媒介する。別の側面では、O−tRNAは配列番号65の配列を含み、O−RSは配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列、及び/又はその保存変異体から選択されるポリペプチド配列を含む。

0016

別の態様では、真核細胞は該当ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含み、前記ポリヌクレオチドはO−tRNAにより認識されるセレクターコドンを含む。1側面では、非天然アミノ酸を含む該当ポリペプチドの収率はポリヌクレオチドがセレクターコドンを含まない細胞から天然に存在する該当ポリペプチドで得られる収率の例えば少なくとも2.5%、少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも40%、50%以上である。別の側面では、細胞は非天然アミノ酸の存在下におけるポリペプチドの収率の例えば35%未満、30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満等の収率で非天然アミノ酸の不在下に該当ポリペプチドを生産する。

0017

本発明は更に直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)と、直交tRNA(O−tRNA)と、非天然アミノ酸と、該当ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を組込んだ真核細胞を提供する。前記ポリヌクレオチドはO−tRNAにより認識されるセレクターコドンを含む。更に、O−RSは真核細胞において直交tRNA(O−tRNA)を非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、細胞は非天然アミノ酸の存在下におけるポリペプチドの収率の例えば30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満等の収率で非天然アミノ酸の不在下に該当ポリペプチドを生産する。

0018

直交tRNA(O−tRNA)を組込んだ真核細胞を含む組成物も本発明の特徴である。一般に、O−tRNAはO−tRNAによりインビボ(in vivo)認識されるセレクターコドンを含むポリヌクレオチドによりコードされる蛋白質への非天然アミノ酸の組込みを媒介する。1態様では、O−tRNAは配列番号65に記載のポリヌクレオチド配列を含むか又は前記配列から細胞でプロセシングされるtRNAの例えば少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は99%以上の効率で非天然アミノ酸の蛋白質組込みを媒介する。別の態様では、O−tRNAは配列番号65に記載のポリヌクレオチド配列、又はその保存変異体を含むか又は前記配列からプロセシングされる。更に別の態様では、O−tRNAはリサイクル可能なO−tRNAを含む。

0019

本発明の1側面では、O−tRNAは転写後修飾される。本発明は真核細胞でO−tRNAをコードする核酸、又はその相補的ポリヌクレオチドも提供する。1態様では、核酸はAボックスBボックスを含む。

0020

本発明は翻訳成分、例えばO−RS又はO−tRNA/O−RS対の作製方法(及びこれらの方法により作製された翻訳成分)にも関する。例えば、本発明は真核細胞において直交tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)の作製方法を提供する。本方法は例えば(a)i)アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーメンバーと、ii)直交tRNA(O−tRNA)と、iii)ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドと、iv)ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを各々含む第1の種の真核細胞の集団について非天然アミノ酸の存在下でポジティブ選択を実施し、ポジティブ選択後に生存している細胞が非天然アミノ酸の存在下で直交tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性RSを含むと判定する段階を含む。ポジティブ選択後に生存している細胞について非天然アミノ酸の不在下でネガティブ選択を実施し、O−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する活性RSを排除する。こうして、O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するO−RSが得られる。

0021

所定態様では、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは応答エレメントに機能的に連結されており、細胞は、a)応答エレメントからの転写を調節する転写モジュレーター蛋白質(例えば真核転写モジュレーター蛋白質等)をコードすると共に、b)少なくとも1個のセレクターコドンを含むポリヌクレオチドを更に含む。非天然アミノ酸でアミノアシル化されたO−tRNAにより非天然アミノ酸が転写モジュレーター蛋白質に組込まれる結果としてポジティブ選択マーカーが転写される。1態様では、転写モジュレーター蛋白質は転写アクチベーター蛋白質(例えばGAL4等)であり、セレクターコドンはアンバー終止コドンであり、例えばアンバー終止コドンは転写アクチベーター蛋白質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの一部又は実質的にその近傍に配置される。

0022

ポジティブ選択マーカーは種々の分子の任意のものとすることができる。1態様では、ポジティブ選択マーカーは増殖用栄養補助剤を含み、選択は栄養補助剤を含まない培地で実施される。別の態様では、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは例えばura3、leu2、lys2、lacZ遺伝子、his3(例えばhis3遺伝子は3−アミノトリアゾール(3−AT)を添加することにより検出されるイミダゾールグリセロールリン酸脱水素酵素をコードする)、及び/又は同等物である。更に別の態様では、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドはセレクターコドンを含む。

0023

ポジティブ選択マーカーと同様に、ネガティブ選択マーカーも種々の分子の任意のものとすることができる。所定態様では、ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは転写モジュレーター蛋白質により転写を媒介される応答エレメントに機能的に連結されている。天然アミノ酸でアミノアシル化されたO−tRNAにより天然アミノ酸が転写モジュレーター蛋白質に組込まれる結果としてネガティブ選択マーカーが転写される。1態様では、ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは例えばura3遺伝子であり、ネガティブ選択は5−フルオロオロト酸(5−FOA)を含む培地で実施される。別の態様では、ネガティブ選択に使用される培地はネガティブ選択マーカーにより検出可能な物質に変換される選択又はスクリーニング物質を含む。本発明の1側面では、検出可能な物質は毒性物質である。1態様では、ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドはセレクターコドンを含む。

0024

所定態様では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは適切な反応体の存在下で蛍光発光するか又は発光反応触媒するポリペプチドを含む。本発明の1側面では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは蛍光活性細胞ソーティングFACS)又は発光により検出される。所定態様では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは親和性に基づくスクリーニングマーカー、又は転写モジュレーター蛋白質を含む。1態様では、同一ポリヌクレオチドがポジティブ選択マーカーとネガティブ選択マーカーの両者をコードする。

0025

1態様では、本発明のポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは少なくとも2個のセレクターコドンを含むことができ、セレクターコドンは各々又は両方が少なくとも2個の異なるセレクターコドンを含むこともできるし、少なくとも2個の同一セレクターコドンを含むこともできる。

0026

本発明の方法では付加レベルの選択/スクリーニングストリンジェンシーを使用することもできる。1態様では、本方法は例えば段階(a)、(b)又は(a)と(b)の両方で変動量の不活性シンテターゼを添加することができ、変動量の不活性シンテターゼは付加レベルの選択又はスクリーニングストリンジェンシーを提供する。1態様では、O−RSの作製方法の段階(a)、(b)又は(a)と(b)の両方で例えばポジティブ及び/又はネガティブ選択マーカーの選択又はスクリーニングストリンジェンシーを変動させる。本方法は場合によりO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するO−RSについて付加選択ラウンド(例えば付加ポジティブ選択ラウンド、付加ネガティブ選択ラウンド又は付加ポジティブ選択ラウンドと付加ネガティブ選択ラウンドの組み合わせ)を実施する段階を含む。

0027

1態様では、選択/スクリーニングは例えばアミノ酸浸透率の変化、翻訳効率の変化、翻訳忠実度の変化等から選択される1種以上のポジティブ又はネガティブ選択/スクリーニングを含む。前記1種以上の変化は蛋白質を生産するために使用される直交tRNA−tRNAシンテターゼ対の成分をコードする1種以上のポリヌクレオチドの突然変異に基づく。

0028

一般に、RSのライブラリー(例えば突然変異体RSのライブラリー)は例えば非真核生物に由来する少なくとも1種のアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRSを含む。1態様では、RSのライブラリーは不活性RSに由来し、例えば不活性RSは活性RSを突然変異させることにより作製される。別の態様では、不活性RSはアミノ酸結合ポケットを含み、結合ポケットを構成する1種以上のアミノ酸は1種以上の異なるアミノ酸で置換されており、例えば置換アミノ酸はアラニンで置換されている。

0029

所定態様では、O−RSの作製方法はRSをコードする核酸でランダム突然変異部位特異的突然変異組換えキメラ構築、又はその任意組み合わせを実施することにより、突然変異体RSのライブラリーを作製する段階を更に含む。所定態様では、本方法は例えば(c)O−RSをコードする核酸を単離する段階と;(d)(例えばランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、キメラ構築、組換え又はその任意組み合わせにより)突然変異O−RSをコードするポリヌクレオチドセットを核酸から作製する段階と;(e)O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する突然変異O−RSが得られるまで段階(a)及び/又は(b)を繰り返す段階を更に含む。本発明の1側面では、段階(c)−(e)を少なくとも2回実施する。

0030

O−tRNA/O−RS対の作製方法も本発明の特徴である。1態様では、O−RSは上記のように得られ、O−tRNAはtRNAのライブラリーのメンバーを含む第1の種の真核細胞の集団についてネガティブ選択を実施し、真核細胞に内在するアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化されるtRNAのライブラリーのメンバーを含む細胞を排除することにより得られる。こうして第1の種の真核細胞に直交なtRNAのプールが得られる。本発明の1側面では、tRNAのライブラリーは例えば非真核生物に由来する少なくとも1種のtRNAに由来するtRNAを含む。本発明の別の側面では、アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーは例えば非真核生物に由来する少なくとも1種のアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRSを含む。本発明の更に別の側面では、tRNAのライブラリーは第1の非真核生物に由来する少なくとも1種のtRNAに由来するtRNAを含む。アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーは場合により第2の非真核生物に由来する少なくとも1種のアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRSを含む。1態様では、第1の非真核生物と第2の非真核生物は同一である。あるいは、第1の非真核生物と第2の非真核生物は異なっていてもよい。本発明の方法により作製された特定O−tRNA/O−RS対も本発明の特徴である。

0031

本発明の別の特徴は第1の種で翻訳成分を作製し、選択/スクリーニングした翻訳成分を第2種に導入するための方法である。例えば、第1の種(例えば酵母等の真核種)でO−tRNA/O−RS対を作製する方法はO−tRNAをコードする核酸と、O−RSをコードする核酸を第2の種(例えば哺乳動物昆虫真菌藻類、植物等)の真核細胞に導入する段階を更に含む。第2の種は例えば翻訳中に非天然アミノ酸を成長中のポリペプチド鎖にインビボ(in vivo)組込むために、導入された翻訳成分を使用することができる。

0032

別の例では、真核細胞において直交tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)の生産方法は(a)第1の種(例えば酵母等の真核種)の真核細胞の集団について非天然アミノ酸の存在下でポジティブ選択を実施する段階を含む。第1の種の真核細胞はi)アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーのメンバーと、ii)直交tRNA(O−tRNA)と、iii)ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドと、iv)ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを各々含む。ポジティブ選択後に生存している細胞は非天然アミノ酸の存在下で直交tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性RSを含む。ポジティブ選択後に生存している細胞について非天然アミノ酸の不在下でネガティブ選択を実施し、O−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する活性RSを排除することにより、O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するO−RSが得られる。O−tRNAをコードする核酸と、O−RSをコードする核酸を第2の種(例えば哺乳動物、昆虫、真菌、藻類、植物及び/又は同等物)の真核細胞に導入する。これらの成分は第2の種で翻訳されると、非天然アミノ酸を第2の種で該当蛋白質又はポリペプチドに組込むために使用することができる。1態様では、O−tRNA及び/又はO−RSを第2の種の真核細胞に導入する。

0033

所定態様では、O−tRNAはtRNAのライブラリーのメンバーを含む第1の種の真核細胞の集団についてネガティブ選択を実施し、真核細胞に内在するアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化されるtRNAのライブラリーのメンバーを含む細胞を排除することにより得られる。こうして第1の種と第2の種の真核細胞に直交なtRNAのプールが得られる。

0034

1側面では、本発明は蛋白質を含有する組成物を含み、前記蛋白質は少なくとも1種の非天然アミノ酸と少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、前記少なくとも1種の翻訳後修飾は第1の反応基を含む少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子の結合を含む。

0035

従って、少なくとも1種の非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質(又は該当ポリペプチド)も本発明の特徴である。本発明の所定態様では、少なくとも1種の非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質は少なくとも1種の翻訳後修飾を含む。1態様では、少なくとも1種の翻訳後修飾は第1の反応基を含む少なくとも1種の非天然アミノ酸への[3+2]シクロ付加による第2の反応基を含む分子(例えば色素ポリマー、例えばポリエチレングリコール誘導体光架橋剤細胞傷害性化合物、アフィニティーラベル、ビオチン誘導体樹脂、第2の蛋白質又はポリペプチド、金属キレート剤補因子脂肪酸炭水化物、ポリヌクレオチド(例えばDNA,RNA等)等)の結合を含む。例えば、第1の反応基は(例えば非天然アミノ酸p−プロパルギルオキシフェニルアラニンにおける)アルキニル部分(この基はアセチレン部分と言う場合もある)であり、第2の反応基はアジド部分である。別の例では、第1の反応基は(例えば非天然アミノ酸p−アジド−L−フェニルアラニンにおける)アジド部分であり、第2の反応基はアルキニル部分である。所定態様では、本発明の蛋白質は少なくとも1種の翻訳後修飾を含む少なくとも1種の非天然アミノ酸(例えばケト非天然アミノ酸)を含み、少なくとも1種の翻訳後修飾は糖部分を含む。所定態様では、翻訳後修飾は真核細胞においてインビボ(in vivo)で行われる。

0036

所定態様では、蛋白質は真核細胞によりインビボ(in vivo)で行われる少なくとも1種の翻訳後修飾を含み、翻訳後修飾は原核細胞により行われない。翻訳後修飾の例としては限定されないが、アセチル化、アシル化、脂質修飾パルミトイル化パルミチン酸付加、リン酸化糖脂質結合修飾等が挙げられる。1態様では、翻訳後修飾はGlcNAc−アスパラギン結合によるオリゴ糖とアスパラギンの結合を含む(例えばオリゴ糖は(GlcNAc−Man)2−Man−GlcNAc−GlcNAc等を含む)。別の態様では、翻訳後修飾はGalNAc−セリン、GalNAc−スレオニン、GlcNAc−セリン、又はGlcNAc−スレオニン結合によるオリゴ糖(例えばGal−GalNAc,Gal−GlcNAc等)とセリン又はスレオニンの結合を含む。所定態様では、本発明の蛋白質又はポリペプチドは分泌もしくは局在配列、エピトープタグFLAGタグ、ポリヒスチジンタグ、GST融合配列、及び/又は同等物を含むことができる。

0037

一般に、蛋白質は入手可能な任意蛋白質(例えば治療用蛋白質診断用蛋白質、産業用酵素、又はその部分、及び/又は同等物)と例えば少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%以上一致しており、1種以上の非天然アミノ酸を含む。1態様では、本発明の組成物は該当蛋白質又はポリペプチドと賦形剤(例えば緩衝液医薬的に許容可能な賦形剤等)を含有する。

0038

該当蛋白質又はポリペプチドは少なくとも1個、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、少なくとも6個、少なくとも7個、少なくとも8個、少なくとも9個、又は10個以上の非天然アミノ酸を組込むことができる。非天然アミノ酸は同一でも異なっていてもよく、例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10種以上の異なる非天然アミノ酸を含む1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個以上の異なる部位が蛋白質に存在することができる。所定態様では、蛋白質の天然形に存在する特定アミノ酸の全部よりは少ないが少なくとも1個が非天然アミノ酸で置換されている。

0039

蛋白質(又は該当ポリペプチド)の例としては限定されないが、例えばサイトカイン増殖因子増殖因子受容体インターフェロンインターロイキン炎症性分子、腫瘍遺伝子産物、ペプチドホルモンシグナル伝達分子ステロイドホルモン受容体エリスロポエチン(EPO)、インスリンヒト成長ホルモン、α1アンチトリプシンアンジオスタチン抗血友病因子、抗体、アポリポ蛋白質アポ蛋白質心房性ナトリウム利尿因子心房性ナトリウム利尿ポリペプチド心房性ペプチド、C−X−Cケモカイン、T39765、NAP−2、ENA−78、Gro−a、Gro−b、Gro−c、IP−10、GCP−2、NAP−4、SDF−1、PF−4、MIG、カルシトニン、cキットリガンド、サイトカイン、CCケモカイン単球化学誘引蛋白質−1、単球化学誘引蛋白質−2、単球化学誘引蛋白質−3、単球炎症性蛋白質−1α、単球炎症性蛋白質−1β、RANTES、I309、R83915、R91733、HCC1、T58847、D31065、T64262、CD40、CD40リガンド、Cキットリガンド、コラーゲンコロニー刺激因子CSF)、補体因子5a、補体阻害剤補体受容体1、サイトカイン、DHFR、上皮好中球活性化ペプチド−78、GROα/MGSA、GROβ、GROγ、MIP−1α、MIP−1δ、MCP−1、表皮増殖因子(EGF)、上皮好中球活性化ペプチド、エリスロポエチン(EPO)、表皮剥離毒素IX因子VII因子VIII因子X因子繊維芽細胞増殖因子(FGF)、フィブリノーゲンフィブロネクチン、G−CSF、GM−CSF、グルコセレブロシダーゼゴナドトロピン、増殖因子、増殖因子受容体、ヘッジホッグ蛋白質ヘモグロビン肝細胞増殖因子HGF)、ヒルジンヒト血清アルブミンICAM−1、ICAM−1受容体、LFA−1、LFA−1受容体、インスリン、インスリン様増殖因子(IGF)、IGF−I、IGF−II、インターフェロン、IFN−α、IFN−β、IFN−γ、インターロイキン、IL−1、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、ケラチノサイト増殖因子(KGF)、ラクトフェリン白血病阻害因子ルシフェラーゼニューチュリン好中球阻害因子(NIF)、オンコスタチンM骨形成蛋白質、腫瘍遺伝子産物、副甲状腺ホルモン、PD−ECSF、PDGF、ペプチドホルモン、ヒト成長ホルモン、プレイトロピンプロテインAプロテインG、発熱外毒素A、B又はC、リラキシンレニン、SCF、可溶性補体受容体I、可溶性I−CAM1、可溶性インターロイキン受容体、可溶性TNF受容体、ソマトメジンソマトスタチンソマトトロピンストレプトキナーゼスーパー抗原ブドウ球菌エンテロトキシン、SEA、SEB、SEC1、SEC2、SEC3、SED、SEE、ステロイドホルモン受容体、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)、毒素性ショック症候群毒素チモシンα1、組織プラスミノーゲンアクチベーター、腫瘍増殖因子(TGF)、TGF−α、TGF−β、腫瘍壊死因子腫瘍壊死因子α、腫瘍壊死因子β、腫瘍壊死因子受容体(TNFR)、VLA−4蛋白質、VCAM−1蛋白質、血管内皮増殖因子VEGEF)、ウロキナーゼ、Mos、Ras、Raf、Met、p53、Tat、Fos、Myc、Jun、Myb、Rel、エストロゲン受容体プロゲステロン受容体テストステロン受容体、アルドステロン受容体、LDL受容体、SCF/cキット、CD40L/CD40、VLA−4/VCAM−1、ICAM−1/LFA−1、ヒアルリン/CD44、コルチコステロン、Genebank又は他の入手可能なデータベースに含まれる蛋白質等、及び/又はその一部が挙げられる。1態様では、該当ポリペプチドは転写モジュレーター蛋白質(例えば転写アクチベーター蛋白質(例えばGAL4)、又は転写リプレッサー蛋白質等)又はその一部を含む。

0040

真核細胞におけるGAL4蛋白質、又はその部分の組成物も本発明の特徴である。一般に、GAL4蛋白質又はその部分は少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む。

0041

本発明の真核細胞は非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を大量の有用な量で合成することができる。例えば、非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を細胞抽出液、緩衝液、医薬的に許容可能な賦形剤、及び/又は同等物中に例えば少なくとも10μg/l、少なくとも50μg/l、少なくとも75μg/l、少なくとも100μg/l、少なくとも200μg/l、少なくとも250μg/l、又は少なくとも500μg/l以上の蛋白質濃度で生産することができる。所定態様では、本発明の組成物は非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を例えば少なくとも10μg、少なくとも50μg、少なくとも75μg、少なくとも100μg、少なくとも200μg、少なくとも250μg、又は少なくとも500μg以上含有する。

0042

所定態様では、該当蛋白質又はポリペプチド(又はその部分)は核酸によりコードされる。一般に、核酸は少なくとも1個のセレクターコドン、少なくとも2個のセレクターコドン、少なくとも3個のセレクターコドン、少なくとも4個のセレクターコドン、少なくとも5個のセレクターコドン、少なくとも6個のセレクターコドン、少なくとも7個のセレクターコドン、少なくとも8個のセレクターコドン、少なくとも9個のセレクターコドン、又は10個以上のセレクターコドンを含む。

0043

本発明は少なくとも1種の非天然アミノ酸を組込んだ少なくとも1種の蛋白質を真核細胞で生産するための方法(及び前記方法により生産された蛋白質)も提供する。本方法は例えば少なくとも1個のセレクターコドンを含み且つ蛋白質をコードする核酸を含む真核細胞を適当な培地で増殖させる段階を含む。真核細胞は更に前記細胞で機能し、セレクターコドンを認識する直交tRNA(O−tRNA)と、O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含み、培地は非天然アミノ酸を含む。1態様では、O−RSは例えば配列番号86又は45に記載のアミノ酸配列をもつO−RSの例えば少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は99%以上の効率でO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。別の態様では、O−tRNAは配列番号64もしくは65、又はその相補的ポリヌクレオチド配列を含むか、前記配列からプロセシングされるか、又は前記配列によりコードされる。更に別の態様では、O−RSは配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列を含む。

0044

1態様では、前記方法は第1の反応基を含む非天然アミノ酸を蛋白質に組込む段階と;第2の反応基を含む分子(例えば色素、ポリマー、例えばポリエチレングリコール誘導体、光架橋剤、細胞傷害性化合物、アフィニティーラベル、ビオチン誘導体、樹脂、第2の蛋白質又はポリペプチド、金属キレート剤、補因子、脂肪酸、炭水化物、ポリヌクレオチド(例えばDNA,RNA等)等)と蛋白質を接触させる段階を更に含む。第1の反応基は第2の反応基と反応し、[3+2]シクロ付加により分子を非天然アミノ酸と結合する。1態様では、第1の反応基はアルキニル又はアジド部分であり、第2の反応基はアジド又はアルキニル部分である。例えば、第1の反応基は(例えば非天然アミノ酸p−プロパルギルオキシフェニルアラニンにおける)アルキニル部分であり、第2の反応基はアジド部分である。別の例では、第1の反応基は(例えば非天然アミノ酸p−アジド−L−フェニルアラニンにおける)アジド部分であり、第2の反応基はアルキニル部分である。

0045

所定態様では、コードされる蛋白質は治療用蛋白質、診断用蛋白質、産業用酵素、又はその部分を含む。1態様では、前記方法により生産された蛋白質は非天然アミノ酸を介して修飾されている。例えば、非天然アミノ酸は例えば求核求電子反応、[3+2]シクロ付加等により修飾されている。別の態様では、前記方法により生産された蛋白質は少なくとも1種の翻訳後修飾(例えばN−グリコシル化、O−グリコシル化、アセチル化、アシル化、脂質修飾、パルミトイル化、パルミチン酸付加、リン酸化、糖脂質結合修飾等)によりインビボ(in vivo)修飾されている。

0046

スクリーニング又は選択用転写モジュレーター蛋白質の生産方法(及び前記方法により生産されたスクリーニング又は選択用転写モジュレーター蛋白質)も提供する。本方法は例えば核酸結合ドメインをコードする第1のポリヌクレオチド配列を選択する段階と;少なくとも1個のセレクターコドンを含むように第1のポリヌクレオチド配列を突然変異させる段階を含む。こうしてスクリーニング又は選択用ポリヌクレオチド配列が得られる。本方法は更に例えば転写活性化ドメインをコードする第2のポリヌクレオチド配列を選択する段階と;第2のポリヌクレオチド配列に機能的に連結されたスクリーニング又は選択用ポリヌクレオチド配列を含む構築物を提供する段階と;前記構築物と、非天然アミノ酸と、直交tRNAシンテターゼ(O−RS)と、直交tRNA(O−tRNA)を細胞に導入する段階を含む。これらの成分のうち、O−RSはO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、O−tRNAはセレクターコドンを認識し、スクリーニング又は選択用ポリヌクレオチド配列のセレクターコドンに応答して非天然アミノ酸を核酸結合ドメインに組込む。こうしてスクリーニング又は選択用転写モジュレーター蛋白質が得られる。

0047

所定態様では、本発明の組成物と方法は真核細胞を含む。本発明の真核細胞としては例えば哺乳動物細胞、酵母細胞、真菌細胞、植物細胞、昆虫細胞等の任意のものが挙げられる。本発明の翻訳成分は種々の生物に由来することができ、例えば原核生物(例えば大腸菌、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等)や始原菌等の非真核生物、又は例えば真核生物が挙げられる。

0048

本発明のセレクターコドンは真核蛋白質生合成機構の遺伝コドン枠を拡張する。本発明では各種セレクターコドンの任意のものを使用することができ、終止コドン(例えばアンバーコドン、オーカーコドン、又はオパール終止コドン)、ナンセンスコドン、レアコドン、4塩基(以上の)コドン、及び/又は同等物が挙げられる。

0049

本明細書に記載する組成物と方法で使用することができる非天然アミノ酸の例としては(限定されないが)、p−アセチル−L−フェニルアラニン、p−ヨード−L−フェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、p−プロパルギルオキシフェニルアラニン、p−プロパルギルフェニルアラニン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチル−フェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリンホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、チロシンアミノ酸の非天然類似体;グルタミンアミノ酸の非天然類似体;フェニルアラニンアミノ酸の非天然類似体;セリンアミノ酸の非天然類似体;スレオニンアミノ酸の非天然類似体;アルキルアリール、アシル、アジド、シアノ、ハロヒドラジンヒドラジドヒドロキシルアルケニル、アルキニル、エーテルチオールスルホニルセレノエステルチオ酸硼酸ボロン酸ホスホ、ホスホノ、ホスフィン複素環、エノンイミンアルデヒドヒドロキシルアミン、ケト、もしくはアミノで置換されたアミノ酸、又はその任意組み合わせ;光架橋基をもつアミノ酸;スピン標識アミノ酸;蛍光アミノ酸金属結合性アミノ酸;金属含有アミノ酸;放射性アミノ酸;フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸;ビオチン又はビオチン類似体含有アミノ酸;ケト含有アミノ酸;ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸;重原子置換アミノ酸;化学分解性又は光分解性アミノ酸;延長側鎖をもつアミノ酸;毒性基を含むアミノ酸;糖置換アミノ酸;炭素結合糖含有アミノ酸;レドックス活性アミノ酸;α−ヒドロキシ含有酸;アミノチオ酸;α,αジ置換アミノ酸;βアミノ酸;プロリン又はヒスチジン以外の環状アミノ酸、フェニルアラニン、チロシン又はトリプトファン以外の芳香族アミノ酸、及び/又は同等物が挙げられる。

0050

本発明はポリペプチド(O−RS)とポリヌクレオチド、例えばO−tRNA、O−RS又はその部分(例えばシンテターゼの活性部位)をコードするポリヌクレオチド、アミノアシルtRNAシンテターゼ突然変異体を構築するために使用されるオリゴヌクレオチド、該当蛋白質又はポリペプチドをコードし、1個以上のセレクターコドンを含むポリヌクレオチド等も提供する。例えば、本発明のポリペプチドとしては、配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド、配列番号3−35(例えば3−19,20−35,又は配列3−35の他の任意サブセット)のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列によりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチド、並びに配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列を含むポリペプチド又は配列番号3−35(例えば3−19,20−35,又は配列3−35の他の任意サブセット)のいずれか1種に記載のポリヌクレオチドによりコードされるアミノ酸配列を含むポリペプチドに特異的な抗体に対して特異的免疫反応性のポリペプチドが挙げられる。

0051

天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)(例えば配列番号2)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に(上記)A−E群の2種以上のアミノ酸を含むポリペプチドも本発明のポリペプチドに含まれる。同様に、本発明のポリペプチドは場合により配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)及び/又は86の任意1種の少なくとも20個の連続するアミノ酸と、A−E群に上述したような2種以上のアミノ酸置換を含むポリペプチドも含む。上記ポリペプチドの任意のものの保存変異体を含むアミノ酸配列も本発明のポリペプチドに含まれる。

0052

1態様では、組成物は本発明のポリペプチドと賦形剤(例えば緩衝液、水、医薬的に許容可能な賦形剤等)を含有する。本発明は更に本発明のポリペプチドに対して特異的免疫反応性の抗体又は抗血清も提供する。

0053

本発明はポリヌクレオチドも提供する。本発明のポリヌクレオチドとしては、本発明の該当蛋白質又はポリペプチドをコードし、1個以上のセレクターコドンを含むものが挙げられる。更に、本発明のポリヌクレオチドとしては、例えば配列番号3−35(例えば3−19、20−35、又は配列3−35の他の任意サブセット)、64−85のいずれか1種に記載のヌクレオチド配列を含むポリヌクレオチド;そのポリヌクレオチド配列に相補的であるか又はそのポリヌクレオチド配列をコードするポリヌクレオチド;及び/又は配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列、又はその保存変異体を含むポリペプチドをコードするポリヌクレオチドが挙げられる。本発明のポリヌクレオチドは本発明のポリペプチドをコードするポリヌクレオチドも含む。同様に、核酸の実質的に全長にわたって高ストリンジェント条件下で上記ポリヌクレオチドとハイブリダイズする核酸も本発明のポリヌクレオチドである。

0054

本発明のポリヌクレオチドは天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)(例えば配列番号2)のアミノ酸配列と少なくとも90%一致するアミノ酸配列を含むと共に(上記)A−E群に上述したような2種以上の突然変異を含むポリペプチドをコードするポリペプチドも含む。上記ポリヌクレオチド及び/又は上記ポリヌクレオチドの任意のものの保存変異体を含むポリヌクレオチドと少なくとも70%(又は少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%以上)一致するポリヌクレオチドも本発明のポリヌクレオチドに含まれる。

0055

所定態様では、ベクター(例えばプラスミドコスミドファージウイルス等)に本発明のポリヌクレオチドを組込む。1態様では、ベクターは発現ベクターである。別の態様では、発現ベクターは本発明のポリヌクレオチドの1種以上と機能的に連結されたプロモーターを含む。別の態様では、本発明のポリヌクレオチドを組込んだベクターを細胞に導入する。

0056

別の側面では、本発明は化合物の組成物と前記化合物の製造方法を提供する。例えば、化合物としては例えば非天然アミノ酸(例えばp−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン(例えば図11の1))、(化学構造4及び化学構造6に示すような)アジド色素、(化学構造7に示すような)アルキニルポリエチレングリコール等が挙げられ、前記構造中、nは例えば50〜10,000、75〜5,000、100〜2,000、100〜1,000等の整数である。本発明の1態様では、アルキニルポリエチレングリコールは例えば約5,000〜約100,000Da、約20,000〜約50,000Da、約20,000〜約10,000Da(例えば20,000Da)の分子量をもつ。

0057

例えば蛋白質及び細胞と共にこれらの化合物を含有する種々の組成物も提供する。1側面では、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン非天然アミノ酸を含有する組成物は更に直交tRNAを含有する。非天然アミノ酸は直交tRNAと(例えば共有的に)結合することができ、例えばアミノアシル結合を介して直交tRNAと共有結合することもできるし、直交tRNAの末端リボース糖の3’OH又は2’OHと共有結合することもできる。

0058

本発明の1側面では、(例えば化学構造4又は化学構造6の)アジド色素を含有する蛋白質は更に少なくとも1種の非天然アミノ酸(例えばアルキニルアミノ酸)を含有しており、アジド色素は[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している。

0059

1態様では、蛋白質は化学構造7のアルキニルポリエチレングリコールを含む。別の態様では、組成物は更に少なくとも1種の非天然アミノ酸(例えばアジドアミノ酸)を含み、アルキニルポリエチレングリコールは[3+2]シクロ付加により非天然アミノ酸と結合している。

0060

種化合物合成方法も本発明に含まれる。例えば、p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物の合成方法が提供される。例えば、本方法は(a)N−tert−ブトキシカルボニルチロシンとK2CO3を無水DMFに懸濁する段階と;(b)臭化プロパルギルを(a)の反応混合物に加え、ヒドロキシル基カルボキシル基アルキル化することにより、構造:



をもつ保護中間体化合物を得る段階と;(c)保護中間体化合物をMeOH中で無水HClと混合し、アミン部分を脱保護することにより、p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を合成する段階を含む。1態様では、前記方法は(d)p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニンHClをNaOHとMeOHの水溶液に溶かし、室温で撹拌する段階と;(e)pHをpH7に調整する段階と;(f)p−(プロパルギルオキシ)フェニルアラニン化合物を沈殿させる段階を更に含む。

0061

アジド色素の合成方法も提供する。例えば、1方法は、(a)ハロゲン化スルホニル部分を含む色素化合物を提供する段階と;(b)3−アジドプロピルアミントリエチルアミンの存在下に色素化合物を室温まで昇温させ、3−アジドプロピルアミンのアミン部分を色素化合物のハロゲン化物位置にカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む。1態様では、色素化合物はダンシルクロリドを含み、アジド色素は化学構造4の組成物を含む。1側面では、前記方法は反応混合物からアジド色素を精製する段階を更に含む。

0062

別の例では、アジド色素の合成方法は(a)アミン含有色素化合物を提供する段階と;(b)アミン含有色素化合物を適切な溶媒中でカルボジイミド及び4−(3−アジドプロピルカルバモイル)−酪酸と混合し、酸のカルボニル基を色素化合物のアミン部分とカップリングすることにより、アジド色素を合成する段階を含む。1態様では、カルボジイミンは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDCI)を含む。1側面では、アミン含有色素はフルオレセインアミンを含み、適切な溶媒はピリジンを含む。例えば、アミン含有色素はフルオレセインアミンを含み、アジド色素は化学構造6の組成物を含む。1態様では、前記方法は(c)アジド色素を沈殿させる段階と;(d)沈殿をHClで洗浄する段階と;(e)洗浄した沈殿をEtOAcに溶かす段階と;(f)アジド色素をヘキサン中で沈殿させる段階を更に含む。

0063

プロパルギルアミドポリエチレングリコールの合成方法も提供する。例えば、本方法はプロパルギルアミン有機溶媒(例えばCH2Cl2)中で室温にてポリエチレングリコール(PEG)−ヒドロキシスクシンイミドエステルと反応させ、化学構造7のプロパルギルアミドポリエチレングリコールを得る段階を含む。1態様では、前記方法は酢酸エチルを使用してプロパルギルアミドポリエチレングリコールを沈殿させる段階を更に含む。1側面では、前記方法はプロパルギルアミドポリエチレングリコールをメタノール中で再結晶させる段階と;生成物減圧乾燥する段階を更に含む。

0064

キットも本発明の特徴である。例えば、少なくとも1種の非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を細胞で生産するためのキットが提供され、前記キットはO−tRNAをコードするポリヌクレオチド配列又はO−tRNAと、O−RSをコードするポリヌクレオチド配列又はO−RSを収容した容器を含む。1態様では、キットは更に少なくとも1種の非天然アミノ酸を含む。別の態様では、キットは更に蛋白質を生産するための説明書を含む。

0065

(定義)
本発明を詳細に記載する前に、本発明は特定装置又は生物系に限定されず、当然のことながら種々のものに適用できると理解すべきである。同様に、本明細書で使用する用語は特定態様のみの説明を目的とし、限定的でないことも理解すべきである。本明細書と特許請求の範囲で使用する単数形はそうでないことが内容から明白である場合を除き、複数形も含む。従って、例えば「細胞」と言う場合には2個以上の細胞の組合せを含み、「細菌」と言う場合には細菌混合物を含み、他の用語についても同様である。

0066

本欄及び本明細書の他の欄で特に定義しない限り、本明細書で使用する全科学技術用語は本発明が属する分野の当業者に通常理解されている通りの意味をもつ。

0067

相同:蛋白質及び/又は蛋白質配列は共通の祖先蛋白質又は蛋白質配列から天然又は人工的に誘導される場合に「相同」である。同様に、核酸及び/又は核酸配列は共通の祖先核酸又は核酸配列から天然又は人工的に誘導される場合に相同である。例えば、1個以上のセレクターコドンを含むように任意天然核酸を入手可能な任意突然変異誘発法により改変することができる。この突然変異誘発した核酸は発現されると、1種以上の非天然アミノ酸を含むポリペプチドをコードする。突然変異法は当然のことながら更に1個以上の標準コドンを変異させ、得られる突然変異体蛋白質の1個以上の標準アミノ酸も変異させることができる。相同性は一般に2種以上の核酸又は蛋白質(又はその配列)間の配列類似度から推定される。相同性の判定に有用な配列間類似度の厳密な百分率は該当核酸及び蛋白質により異なるが、通常は25%程度の低い配列類似度を使用して相同性を判定する。例えば30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は99%以上のより高レベルの配列類似度を使用して相同性を判定することもできる。配列類似度百分率の決定方法(例えばデフォルトパラメーターを使用するBLASTP及びBLASTN)は本明細書に記載し、一般に入手可能である。

0068

直交:本明細書で使用する「直交」なる用語は細胞又は翻訳系に内在する対応分子に比較して低効率で細胞の内在成分と共働するか、又は細胞の内在成分と共働できない分子(例えば直交tRNA(O−tRNA)及び/又は直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS))を意味する。tRNA及びアミノアシルtRNAシンテターゼに関して直交とは、内在tRNAが内在tRNAシンテターゼと共働する場合に比較して直交tRNAが内在tRNAシンテターゼと共働できないか又は低効率でしか共働できず、あるいは、内在tRNAシンテターゼが内在tRNAと共働する場合に比較して直交アミノアシルtRNAシンテターゼが内在tRNAと共働できないか又は低効率でしか共働できず、例えば20%未満、10%未満、5%未満、又は1%未満の効率であることを意味する。直交分子は細胞中に機能的内在相補的分子をもたない。例えば、細胞中の直交tRNAがこの細胞の任意内在RSによりアミノアシル化される効率は内在tRNAが内在RSによりアミノアシル化される効率に比較して低いか又はゼロである。別の例では、直交RSが該当細胞中の任意内在tRNAをアミノアシル化する効率は内在RSが内在tRNAをアミノアシル化する効率に比較して低いか又はゼロである。第1の直交分子と共働する第2の直交分子を細胞に導入することができる。例えば、直交tRNA/RS対は対応するtRNA/RS内在対の効率に対して所定の効率(例えば50%の効率、60%の効率、70%の効率、75%の効率、80%の効率、90%の効率、95%の効率、又は99%以上の効率)で細胞において相互に共働する導入相補的成分を含む。

0069

相補的:「相補的」なる用語は、相互に共働することができる直交対の成分であるO−tRNAとO−RSを意味し、例えばO−RSはO−tRNAをアミノアシル化する。

0070

優先的にアミノアシル化する:「優先的にアミノアシル化する」なる用語はO−RSが天然tRNA又はO−tRNAを作製するために使用される出発材料をアミノアシル化する場合に比較して例えば70%の効率、75%の効率、85%の効率、90%の効率、95%の効率、又は約99%以上の効率でO−RSがO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化することを意味する。非天然アミノ酸は高い忠実度で成長中のポリペプチド鎖に組込まれ、例えば所与セレクターコドンで75%を上回る効率、所与セレクターコドンで約80%を上回る効率、所与セレクターコドンで約90%を上回る効率、所与セレクターコドンで約95%を上回る効率、又は所与セレクターコドンで約99%を上回るか又はそれ以上の効率である。

0071

セレクターコドン:「セレクターコドン」なる用語は翻訳プロセスでO−tRNAにより認識され、内在tRNAにより認識されないコドンを意味する。O−tRNAアンチコドンループはmRNA上のセレクターコドンを認識し、そのアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)をポリペプチドのこの部位に組込む。セレクターコドンとしては例えばナンセンスコドン(例えばアンバー、オーカー及びオパールコドン等の終止コドン)、4塩基以上のコドン、レアコドン、天然又は非天然塩基対から誘導されるコドン及び/又は同等物を挙げることができる。

0072

サプレッサーtRNA:サプレッサーtRNAは例えばセレクターコドンに応答してポリペプチド鎖にアミノ酸を組込むためのメカニズムを提供することにより、所与翻訳系でメッセンジャーRNA(mRNA)の読取りを変更するtRNAである。例えば、サプレッサーtRNAは例えば終止コドン、4塩基コドン、レアコドン、及び/又は同等物を読み飛ばすことができる。

0073

リサイクル可能なtRNA:「リサイクル可能なtRNA」なる用語は翻訳中にアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)を1個以上のポリペプチド鎖に組込むためにアミノ酸(例えば非天然アミノ酸)でアミノアシル化され、繰り返し再アミノアシル化することができるtRNAを意味する。

0074

翻訳系:「翻訳系」なる用語は成長中のポリペプチド鎖(蛋白質)に天然アミノ酸を組込む成分の集合を意味する。翻訳系の成分としては例えばリボソーム、tRNA、シンテターゼ、mRNA、アミノ酸等を挙げることができる。本発明の成分(例えばORS、OtRNA、非天然アミノ酸等)はインビトロ(in vitro)又はインビボ(in vivo)翻訳系(例えば真核細胞、例えば酵母細胞、哺乳動物細胞、植物細胞、藻類細胞、真菌細胞、昆虫細胞、及び/又は同等物)に付加することができる。

0075

非天然アミノ酸:本明細書で使用する「非天然アミノ酸」なる用語は20種の標準天然アミノ酸の1種、セレノシステイン又はピロリジン以外の任意アミノ酸、修飾アミノ酸、及び/又はアミノ酸類似体を意味する。

0076

〜に由来:本明細書で使用する「〜に由来」なる用語は特定分子もしくは生物から単離されているか又はその情報を使用して作製された成分を意味する。

0077

不活性RS:本明細書で使用する「不活性RS」なる用語はその天然コグネイトtRNAをアミノ酸でアミノアシル化できないように突然変異させたシンテターゼを意味する。

0078

ポジティブ選択又はスクリーニングマーカー:本明細書で使用する「ポジティブ選択又はスクリーニングマーカー」なる用語は、このマーカーが存在する(例えば発現、活性化等される)と、ポジティブ選択マーカーをもつ細胞がポジティブ選択マーカーをもたない細胞から識別されるマーカーを意味する。

0079

ネガティブ選択又はスクリーニングマーカー:本明細書で使用する「ネガティブ選択又はスクリーニングマーカー」なる用語は、このマーカーが存在する(例えば発現、活性化等される)と、(例えば所望性質をもつ細胞に対して)所望性質をもたない細胞を識別することができるマーカーを意味する。

0080

レポーター:本明細書で使用する「レポーター」なる用語は該当システムターゲット成分を選択するために使用することができる成分を意味する。例えば、レポーターとしては蛍光スクリーニングマーカー(例えば緑色蛍光蛋白質)、発光マーカー(例えばホタルルシフェラーゼ蛋白質)、親和性に基づくスクリーニングマーカー、又は選択マーカー遺伝子(例えばhis3、ura3、leu2、lys2、lacZ、β−gal/lacZ(βガラクトシダーゼ)、Adh(アルコールデヒドロゲナーゼ))等を挙げることができる。

0081

真核生物:本明細書で使用する「真核生物」なる用語は系統発生分類の真核生物に属する生物を意味し、例えば動物(例えば哺乳動物、昆虫、爬虫類鳥類等)、繊毛虫、植物(例えば単子葉植物双子葉植物、藻類等)、真菌、酵母、鞭毛虫微胞子虫原生生物等が挙げられる。

0082

非真核生物:本明細書で使用する「非真核生物」なる用語は真核生物以外の生物を意味する。例えば、非真核生物は系統発生分類の真正細菌(例えば大腸菌(Escherichia coli)、サーマスサーモフィルス(Thermus thermophilus),バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等)、又は系統発生分類の始原菌(例えばメタノコッカス・ヤナシイ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・テルモオートフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(Halobacterium)(例えばハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)及びハロバクテリウム(Halobacterium)種NRC-1)、アルカエオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、ピュロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ピュロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピュルム・ペルクスAeuropyrum pernix)等)に属することができる。

0083

抗体:本明細書で使用する「抗体」なる用語は限定されないが、検体抗原)と特異的に結合してこれを認識する1又は複数の免疫グロブリン遺伝子又はそのフラグメントにより実質的にコードされるポリペプチドを意味する。例えばポリクローナル抗体モノクローナル抗体キメラ抗体、及び1本鎖抗体等が挙げられる。Fabフラグメントファージディスプレイを含む発現ライブラリーにより生産されるフラグメント等の免疫グロブリンフラグメントも本明細書で使用する「抗体」なる用語に含まれる。抗体構造及び用語については、例えばPaul, Fundamental Immunology, 4th Ed., 1999, Raven Press, New York参照。

0084

保存変異体:「保存変異体」なる用語は翻訳成分を意味し、例えば保存変異体の原成分(例えばO−tRNA又はO−RS)と機能的には同様であるが、配列に変異をもつ保存変異体O−tRNA又は保存変異体O−RSである。例えば、O−RSは相補的O−tRNA又は保存変異体O−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化するが、O−tRNAと保存変異体O−tRNAは同一配列ではない。保存変異体は保存変異体が対応するO−tRNA又はO−RSに相補的である限り、例えば配列の1カ所、2カ所、3カ所、4カ所、又は5カ所以上に変異をもつことができる。

0085

選択又はスクリーニング物質:本明細書で使用する「選択又はスクリーニング物質」なる用語はこのような物質が存在すると、集団から所定成分を選択/スクリーニングすることができる物質を意味する。例えば、選択又はスクリーニング物質としては限定されないが、栄養素抗生物質光波長、抗体、発現ポリヌクレオチド(例えば転写モジュレーター蛋白質)等が挙げられる。選択物質は例えば濃度、強度等により変動させることができる。

0086

検出可能な物質:本明細書で使用する「検出可能な物質」なる用語は活性化、変化、発現等させた場合に集団から所定成分を選択/スクリーニングすることができる物質を意味する。例えば、検出可能な物質は所定条件下(例えばURA3レポーターの発現下)で検出可能な物質(例えばURA3レポーターを発現する細胞を死滅させる毒性物質)になる化学物質(例えば5−フルオロオロト酸(5−FOA)とすることができる。

図面の簡単な説明

0087

図1Aは真核細胞(例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae))の遺伝コードを拡張させるための一般ポジティブ及びネガティブ選択スキームを模式的に示す。図1AはGAL4におけるTAGコドンのアンバー抑圧により誘導されるレポーター遺伝子の活性化転写を模式的に示す。DNA結合ドメインを部分に示し、主及び潜在活性化ドメインハッチ部分に示す。
図1Bは真核細胞(例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae))の遺伝コードを拡張させるための一般ポジティブ及びネガティブ選択スキームを模式的に示す。図1Bはレポーター遺伝子の例(例えばMaV203におけるHIS3,LacZ,URA3)を示す。
図1Cは真核細胞(例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae))の遺伝コードを拡張させるための一般ポジティブ及びネガティブ選択スキームを模式的に示す。図1C選択スキームで使用することができるプラスミド(例えばpEcTyrRS/tRNACUA及びpGADGAL4xxTAG)を模式的に示す。
選択培地における第1世代GAL4レポーターのEcTyrRS及びtRNACUA依存性表現型を示す。DB−ADはGAL4 DNA結合ドメインと活性化ドメインの融合体である。DB−TAG−ADはDBとADの間の合成リンカーでチロシンコドンに置換するTAGコドンをもつ。A5は活性部位の5残基がアラニンに突然変異しているEcTyrRSの不活性形である。
図3A及びBは選択培地における第2世代GAL4レポーターのEcTyrRS及びtRNACUA依存性表現型を示す。DNA結合ドメインを縞部分に示し、主及び潜在活性化ドメインをハッチ部分に示す。図3Aは各々GAL4に単独アミノ酸突然変異をもつ構築物を示す。図3Bは各々GAL4に2カ所のアミノ酸突然変異をもつ構築物を示す。
図4A,B及びCはMaV203にEcTyrRSと各種レポーターをもつpGADGAL4(T44TAG,R110TAG)ともたないものを示す。図4AはX−gal,−Ura,又は−Leu,−Trpの存在下の結果を示す。図4Bは各種濃度の3−ATの存在下の結果を示す。図4Cは各種百分率の5−FOAの存在下の結果を示す。
図5Aは例えば残基T44(A)及びR110(B)を許容部位とする各種GAL4突然変異体によるONPG加水分解を示す。図5AはT44位に各種突然変異を形成した場合のONPG加水分解測定を示す。「GAL4」はpCL1で形質転換したMaV203であり、目盛外の〜600ONPG加水分解単位であった。「なし」はGAL4 DBとGAL4 ADを別々にコードするプラスミドで形質転換したMaV203である。
図5Bは例えば残基T44(A)及びR110(B)を許容部位とする各種GAL4突然変異体によるONPG加水分解を示す。図5BはR110位に各種突然変異を形成した場合のONPG加水分解測定を示す。「GAL4」はpCL1で形質転換したMaV203であり、目盛外の〜600ONPG加水分解単位であった。「なし」はGAL4 DBとGAL4 ADを別々にコードするプラスミドで形質転換したMaV203である。
活性EcTyrRSクローンの選択を示す。pEcTyrRS−tRNACUA:pA5−tRNACUAの1:10混合物を含むMaV203を(−Leu,−Trp)プレート(左)又は(−Leu,−Trp,−His+50mM 3−AT)プレート(右)に103倍の希釈倍率プレーティングし、XGAL重層法を使用して処理した。
図7Aはチロシンを結合したB.ステアロサーモフィルス(B. Stearothermophilus)チロシル−tRNAシンテターゼの活性部位の立体構造を示す。突然変異残基を示し、これらは大腸菌チロシル−tRNAシンテターゼTyr37(B.ステアロサーモフィルス(B. Stearothermophilus)TyrRS残基Tyr34)、Asn126(Asn123)、Asp182(Asp176)、Phe183(Phe177)、及びLeu186(Leu180)に由来する残基に対応する。図7Bは非天然アミノ酸(左から右に向かって)p−アセチル−L−フェニルアラニン(1)、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン(2)、p−アジド−L−フェニルアラニン(3)、O−メチル−L−チロシン(4)、及びp−ヨード−L−チロシン(5)の構造式を示す。
図8Aは真核細胞で直交tRNA、直交アミノアシルシンテターゼ又は直交tRNA/RS対の選択/スクリーニングに使用することができるベクター及びレポーター構築物を示す。
図8Bは選択培地で活性(TyrRS)又は不活性(A5RS)アミノアシルtRNAシンテターゼに応答するGAL4応答性HIS3,URA3及びlacZ応答性レポーターをもつ酵母の表現型を示す。
図8CはUAAを非天然アミノ酸として真核細胞(例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae))で付加アミノ酸をコードする突然変異体シンテターゼを選択するために使用した選択スキームの1例を示す。
図8Dはp−アセチル−L−フェニルアラニンによる選択から単離した酵母の表現型を示す。
図7Bに示したような非天然アミノ酸を遺伝的にコードするS.セレビシエ(S. cerevisiae)におけるヒトスーパーオキシドジスムターゼ(hSOD)(33TAG)HISの蛋白質発現を示す。
図10A図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10Aは非天然アミノ酸p−アセチル−L−フェニルアラニン(1)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10B図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10Bは非天然アミノ酸p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン(2)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10C図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10Cは非天然アミノ酸p−アジド−L−フェニルアラニン(3)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10D図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10Dは非天然アミノ酸O−メチル−L−チロシン(4)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10E図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10Eは非天然アミノ酸p−ヨード−L−チロシン(5)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10F図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10FはY*位にアミノ酸トリプトファン(W)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10G図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10GはY*位にアミノ酸チロシン(Y)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
図10H図7Bに示したような非天然アミノ酸(Y*で示す)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。図10HはY*位にアミノ酸ロイシン(L)を含むトリプシンペプチドのタンデム質量スペクトルを示す。
2種の非天然アミノ酸の例として(1)パラ−プロパルギルオキシフェニルアラニンと(2)パラ−アジドフェニルアラニンを示す。
図12A、B及びCは図11に示した非天然アミノ酸1及び2の存在下又は不在下におけるSOD発現を示す。図12AはGelcode Blue染色実験を示す。図12Bは抗SOD抗体によるウェスタンブロットを示す。図12Cは抗6xHis抗体によるウェスタンブロットを示す。
図13Aは[3+2]シクロ付加による蛋白質標識を示す。図13A合成色素ベル3−6を示す。
図13Bは[3+2]シクロ付加による蛋白質標識を示す。図13BはSODと色素の反応を示す。
図13Cは[3+2]シクロ付加による蛋白質標識を示す。図13Cゲル内蛍光走査とGelcode Blue染色を示す。
ウラシルを含まないSD培地図11に示したような1又は2の不在下又は存在下にシンテターゼ突然変異体で形質転換させた真核細胞(例えばS.セレビシエ(S. cerevisiae)細胞)の増殖を示す。
図15Aはアジド(Az)(図15A)又はアルキン(Al)(図15B)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。Y*位の非天然アミノ酸を予想フラグメントイオン質量と共に示す。矢印は各ペプチドに観察されたb(青)及びy(赤)イオン系列を示す。
図15Bはアジド(Az)(図15A)又はアルキン(Al)(図15B)を含むトリプシンペプチドVY*GSIK(配列番号87)のタンデム質量スペクトルを示す。Y*位の非天然アミノ酸を予想フラグメントイオン質量と共に示す。矢印は各ペプチドに観察されたb(青)及びy(赤)イオン系列を示す。
成長中のポリペプチド鎖への非天然アミノ酸(例えばパラ−プロパルギルオキシフェニルアラニン)のインビボ(in vivo)組込みとこの非天然アミノ酸を介する[3+2]−シクロ付加反応による小有機分子とのバイオコンジュゲーションを示す。
図17Aは[3+2]シクロ付加を使用した非天然アミノ酸を含む蛋白質のPEG化を示す。図17AはCu(I)とリン酸緩衝液(PB)の存在下におけるアジドアミノ酸(例えばN3−SOD)を含む蛋白質とプロパルギルアミドPEGの反応を示す。
図17Bは[3+2]シクロ付加を使用した非天然アミノ酸を含む蛋白質のPEG化を示す。図17Bゲル分析による蛋白質のPEG化を示す。
図17Cは[3+2]シクロ付加を使用した非天然アミノ酸を含む蛋白質のPEG化を示す。図17CはプロパルギルアミドPEGの合成を示す。

0088

遺伝コードによる化学的制約を解消して蛋白質の構造を真核細胞で直接遺伝的に改変できるならば、細胞プロセス精査及び操作するための強力な分子ツールとなろう。本発明は真核細胞で遺伝的にコードされるアミノ酸の数を拡張する翻訳成分を提供する。これらの成分は、tRNA(例えば直交tRNA(O−tRNA))、アミノアシルtRNAシンテターゼ(例えば直交シンテターゼO−RS))、O−tRNA/O−RS対、及び非天然アミノ酸を含む。

0089

一般に、本発明のO−tRNAは真核細胞で効率的に発現及びプロセシングされ、翻訳機能するが、宿主のアミノアシルtRNAシンテターゼにより有意にアミノアシル化されない。セレクターコドンに応答して、本発明のO−tRNAは20種の標準アミノ酸をコードしない非天然アミノ酸をmRNA翻訳中に成長中のポリペプチド鎖に送達する。

0090

本発明のO−RSは真核細胞において本発明のO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するが、細胞質宿主のtRNAをアミノアシル化しない。更に、本発明のアミノアシルtRNAシンテターゼの特異性は内在アミノ酸を排除しながら非天然アミノ酸を受容する。代表的O−RS又はその部分のアミノ酸配列を含むポリペプチドも本発明の特徴である。更に、翻訳成分であるO−tRNA、O−RS及びその部分をコードするポリヌクレオチドも本発明の特徴である。

0091

本発明は真核細胞用非天然アミノ酸を利用する所望翻訳成分、例えばO−RS、及び/又は直交対(直交tRNAと直交アミノアシルtRNAシンテターゼ)の作製方法(及び前記方法により作製された翻訳成分)も提供する。例えば、大腸菌に由来するチロシル−tRNAシンテターゼ/tRNACUA対が本発明のO−tRNA/O−RS対である。更に、本発明はある真核細胞で翻訳成分を選択/スクリーニングし、選択/スクリーニング後にこれらの成分を別の真核細胞(選択/スクリーニングに使用しなかった真核細胞)で使用する方法にも関する。例えば、真核細胞用翻訳成分を作製するための選択/スクリーニング方法は酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))で実施することができ、その後、選択された成分を別の真核細胞(例えば別の酵母細胞、哺乳動物細胞、昆虫細胞、植物細胞、真菌細胞等)で使用することができる。

0092

本発明は更に非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を真核細胞で生産するための方法も提供する。蛋白質は本発明の翻訳成分を使用して生産される。本発明は非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質(及び本発明の方法により生産された蛋白質)も提供する。該当蛋白質又はポリペプチドは更に例えば[3+2]シクロ付加、又は原核細胞では行われない求核−求電子反応等により付加される翻訳後修飾を含むことができる。所定態様では、非天然アミノ酸を組込んだ転写モジュレーター蛋白質の生産方法(及び前記方法により生産された蛋白質)も本発明に含まれる。非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質を含有する組成物も本発明の特徴である

0093

非天然アミノ酸を組込んだ蛋白質又はポリペプチドを生産するためのキットも本発明の特徴である。

0094

直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)
真核細胞で非天然アミノ酸を該当蛋白質又はポリペプチドに特異的に組込むためには、所望非天然アミノ酸のみをtRNAに負荷し、20種の標準アミノ酸は負荷しないようにシンテターゼの基質特異性を改変する。直交シンテターゼが無差別な場合には、ターゲット位置に天然アミノ酸と非天然アミノ酸の混合物を含む突然変異体蛋白質となる。本発明は特定非天然アミノ酸に対する基質特異性を改変した直交アミノアシルtRNAシンテターゼを作製する組成物と方法を提供する。

0095

直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)を含む真核細胞が本発明の特徴である。O−RSは真核細胞において直交tRNA(O−tRNA)を非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する。所定態様では、O−RSは2種以上(例えば2種以上、3種以上等)の非天然アミノ酸を利用する。従って、本発明のO−RSはO−tRNAを複数の異なる非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する能力をもつことができる。このため、どの非天然アミノ酸もしくは非天然の組み合わせを細胞に添加するかを選択することにより及び/又は組込みのために細胞に添加する各種量の非天然アミノ酸を選択することにより制御レベルを増すことができる。

0096

本発明のO−RSは場合により天然アミノ酸に比較して非天然アミノ酸に1種以上の改善又は強化された酵素性質をもつ。これらの性質としては、例えば天然アミノ酸(例えば20種の公知標準アミノ酸)に比較して非天然アミノ酸のKm増加、Km低下、kcat増加、kcat低下、kcat/km低下、kcat/km増加等が挙げられる。

0097

場合により、O−RSはO−RSを含むポリペプチド及び/又はO−RSもしくはその一部をコードするポリヌクレオチドにより真核細胞に付加することができる。例えば、O−RS又はその一部は配列番号3−35(例えば3−19,20−35,又は配列3−35の他の任意サブセット)のいずれか1種に記載のポリヌクレオチド配列、又はその相補的ポリヌクレオチド配列によりコードされる。別の例では、O−RSは配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のアミノ酸配列、又はその保存変異体を含む。代表的O−RS分子の配列については、例えば本明細書の表5、6及び8並びに実施例6参照。

0098

O−RSは更に天然に存在するチロシルアミノアシルtRNAシンテターゼ(TyrRS)のアミノ酸配列(例えば配列番号2に記載する配列)に例えば少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は少なくとも99.5%一致するアミノ酸配列を含むと共に、A−E群の2種以上のアミノ酸を含むことができる。A群は大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にバリン、イソロイシン、ロイシン、グリシン、セリン、アラニン、又はスレオニンを含み;B群は大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸を含み;C群は大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にスレオニン、セリン、アルギニン、アスパラギン又はグリシンを含み;D群は大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にメチオニン、アラニン、バリン、又はチロシンを含み;E群は大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にセリン、メチオニン、バリン、システイン、スレオニン、又はアラニンを含む。これらの群の組み合わせの任意サブセットが本発明の特徴である。例えば、1態様では、O−RSは大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にバリン、イソロイシン、ロイシン、又はスレオニン;大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にスレオニン、セリン、アルギニン、又はグリシン;大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にメチオニン、又はチロシン;及び大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にセリン、又はアラニンから選択される2種以上のアミノ酸をもつ。別の態様では、O−RSは大腸菌TyrRSのTyr37に対応する位置にグリシン、セリン、又はアラニン、大腸菌TyrRSのAsn126に対応する位置にアスパラギン酸、大腸菌TyrRSのAsp182に対応する位置にアスパラギン、大腸菌TyrRSのPhe183に対応する位置にアラニン、又はバリン、及び/又は大腸菌TyrRSのLeu186に対応する位置にメチオニン、バリン、システイン、又はスレオニンから選択される2種以上のアミノ酸を含む。例えば本明細書の表4、表6、及び表8も参照。

0099

O−RSに加え、本発明の真核細胞は付加成分(例えば非天然アミノ酸)も含むことができる。真核細胞は更に(例えば大腸菌、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)、及び/又は同等物等の非真核生物に由来する)直交tRNA(O−tRNA)を含み、前記O−tRNAはセレクターコドンを認識し、O−RSにより非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化される。該当ポリペプチドをコードし、O−tRNAにより認識されるセレクターコドンを含むポリヌクレオチド、又はこれらの1種以上の組み合わせを含む核酸も細胞に存在することができる。

0100

1側面では、O−tRNAは配列番号65に記載のポリヌクレオチド配列を含むか又は前記配列からプロセシングされるtRNAの例えば少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は99%以上の効率で非天然アミノ酸の蛋白質組込みを媒介する。別の側面では、O−tRNAは配列番号65を含み、O−RSは配列番号36−63(例えば36−47、48−63、又は36−63の他の任意サブセット)、及び/又は86のいずれか1種に記載のポリペプチド配列、及び/又はその保存変異体を含む。代表的O−RS及びO−tRNA分子の配列については、例えば本明細書の表5及び実施例6も参照。

0101

1例では、真核細胞は直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)と、直交tRNA(O−tRNA)と、非天然アミノ酸と、該当ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む核酸を含み、前記ポリヌクレオチドはO−tRNAにより認識されるセレクターコドンを含む。O−RSは真核細胞において直交tRNA(O−tRNA)を非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化し、細胞は非天然アミノ酸の存在下におけるポリペプチドの収率の例えば30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満等の収率で非天然アミノ酸の不在下に該当ポリペプチドを生産する。

0102

本発明の特徴であるO−RSの作製方法は場合により野生型シンテターゼの骨格から突然変異体シンテターゼのプールを作製する段階と、その後、20種の標準アミノ酸と比較した非天然アミノ酸に対する特異性に基づいて突然変異RSを選択する段階を含む。このようなシンテターゼを単離するために、本発明の選択方法は(i)初期ラウンドからの所望シンテターゼの活性を低くすることができ、集団が小さいので高感度であり、(ii)各選択ラウンドで選択ストリンジェンシーを変えることが望ましいので「調節可能」であり、(iii)汎用性であるため、種々の非天然アミノ酸に使用できる。

0103

真核細胞において直交tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)の作製方法は一般にポジティブ選択後にネガティブ選択を行う組み合わせを適用する段階を含む。ポジティブ選択では、ポジティブマーカーの非必須位置に導入したセレクターコドンの抑圧により、真核細胞をポジティブ選択圧下で生存させる。従って、非天然アミノ酸の存在下で生存細胞は直交サプレッサーtRNAに非天然アミノ酸を負荷する活性シンテターゼをコードする。ネガティブ選択では、ネガティブマーカーの非必須位置に導入したセレクターコドンの抑圧により、天然アミノ酸特異性をもつシンテターゼを除去する。ネガティブ選択とポジティブ選択の生存細胞は直交サプレッサーtRNAを非天然アミノ酸でのみ(又は少なくとも優先的に)アミノアシル化(負荷)するシンテターゼをコードする。

0104

例えば、前記方法は(a)i)アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーのメンバーと、ii)直交tRNA(O−tRNA)と、iii)ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドと、iv)ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを各々含む第1の種の真核細胞の集団について非天然アミノ酸の存在下でポジティブ選択を実施し、ポジティブ選択後に生存している細胞が非天然アミノ酸の存在下で直交tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性RSであると判定する段階と;(b)ポジティブ選択後に生存している細胞について非天然アミノ酸の不在下でネガティブ選択を実施し、O−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する活性RSを排除することにより、O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するO−RSを得る段階を含む。

0105

ポジティブ選択マーカーは種々の分子の任意のものとすることができる。1態様では、ポジティブ選択マーカーは増殖用栄養補助剤を提供する物質であり、選択は栄養補助剤を含まない培地で実施される。ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドの例としては限定されないが、例えば細胞のアミノ酸栄養要求性の相補に基づくレポーター遺伝子、his3遺伝子(例えばhis3遺伝子は3−アミノトリアゾール(3−AT)を添加することにより検出されるイミダゾールグリセロールリン酸脱水素酵素をコードする)、ura3遺伝子、leu2遺伝子、lys2遺伝子、lacZ遺伝子、adh遺伝子等が挙げられる。例えばG. M. Kishore, & D. M. Shah, (1988), Amino acid biosynthesis inhibitors as herbicides, Annual Review of Biochemistry 57:627-663参照。1態様では、lacZ生産はオルトニトロフェニル−β−D−ガラクトピラノシド(ONPG)加水分解により検出される。例えばI. G. Serebriiskii, & E. A. Golemis, (2000), Uses of lacZ to study gene function:evaluation of beta-galactosidase assays employed in the yeast two-hybrid system, Analytical Biochemistry 285:1-15参照。その他のポジティブ選択マーカーとしては、例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光蛋白質(GFP)、YFP、EGFP、RFP、抗生物質耐性遺伝子産物(例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼCAT))、転写モジュレーター蛋白質(例えばGAL4)等が挙げられる。場合により、ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドはセレクターコドンを含む。

0106

ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは応答エレメントに機能的に連結することができる。応答エレメントからの転写を調節する転写モジュレーター蛋白質をコードし、少なくとも1個のセレクターコドンを含む付加ポリヌクレオチドも存在することができる。非天然アミノ酸でアミノアシル化されたO−tRNAにより非天然アミノ酸が転写モジュレーター蛋白質に組込まれる結果としてポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチド(例えばレポーター遺伝子)が転写される。例えば、図1A参照。場合により、セレクターコドンは転写モジュレーター蛋白質のDNA結合ドメインをコードするポリヌクレオチドの一部又は実質的にその近傍に配置される。

0107

ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドも転写モジュレーター蛋白質により転写を媒介される応答エレメントに機能的に連結することができる。例えばA. J. DeMaggioら, (2000), The yeast split-hybrid system, Method Enztmol. 328:128-137;H. M. Shihら, (1996), A positive genetic selection for disrupting protein-protein interactions:identification of CREB mutations that prevent association with the coactivator CBP, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:13896-13901;M. Vidalら, (1996), Genetic characterization of a mammalian protein-protein interaction domain by using a yeast reverse two-hybrid system. [comment], Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10321-10326;及びM. Vidalら, (1996), Reverse two-hybrid and One-hybrid systems to detect dissociation of protein-protein and DNA-protein interactions. [comment], Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10315-10320参照。天然アミノ酸でアミノアシル化されたO−tRNAにより天然アミノ酸が転写モジュレーター蛋白質に組込まれる結果としてネガティブ選択マーカーが転写される。場合により、ネガティブ選択マーカーはセレクターコドンを含む。1態様では、本発明のポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは少なくとも2個のセレクターコドンを含むことができ、セレクターコドンは各々又は両方が少なくとも2個の異なるセレクターコドンを含むこともできるし、少なくとも2個の同一セレクターコドンを含むこともできる。

0108

転写モジュレーター蛋白質は核酸配列(例えば応答エレメント)と(直接又は間接的に)結合し、応答エレメントに機能的に連結された配列の転写を調節する分子である。転写モジュレーター蛋白質としては、転写アクチベーター蛋白質(例えばGAL4、核内ホルモン受容体、AP1、CREB、LEF/tcfファミリーメンバーSMAD、VP16、SP1等)、転写リプレッサー蛋白質(例えば核内ホルモン受容体、Groucho/tleファミリー、Engrailedファミリー等)、又は環境に依存して両活性をもつことができる蛋白質(例えばLEF/tcf、ホメオボックス蛋白質等)が挙げられる。応答エレメントは一般に転写モジュレーター蛋白質により認識される核酸配列又は転写モジュレーター蛋白質に呼応して作用する付加物質である。

0109

転写モジュレーター蛋白質の別の例は転写アクチベーター蛋白質GAL4(例えば図1A参照)である。例えばA. Laughonら, (1984), Identification of two proteins encoded by the Saccharomyces cerevisiae GAL gene, Molecular & Cellular Biology 4:268-275;A. Laughon, & R. F. Gesteland, (1984), Primary structure of the Saccharomyces cerevisiae GAL4 gene, Molecular & Cellular Biology 4:260-267;L. Keeganら, (1986), Separation of DNA binding from the transcription-activating function of a eukaryotic regulatory protein, Science 231:699-704;及びM. Ptashne, (1988), How eukaryotic transcriptional activators work, Nature 335:683-689参照。この881アミノ酸蛋白質のN末端147アミノ酸はDNA配列と特異的に結合するDNA結合ドメイン(DBD)を形成する。例えばM. Careyら, (1989), An amino-terminal fragment of GAL4 bindsDNA as a dimer, J. Mol. Biol. 209:423-432;及びE. Ginigerら, (1985), Specific DNA binding of GAL4, a positive regulatory protein of yeast, Cell 40:767-774参照。DBDはDNAと結合すると転写を活性化することができるC末端113アミノ酸活性化ドメイン(AD)と介在蛋白質配列により連結されている。例えばJ. Ma, & M. Ptashne, (1987), Deletion analysis of GAL4 defines two transcriptional activating segments, Cell 48:847-853:及びJ. Ma, & M. Ptashne, (1987), The carboxy-terminal 30 amino acids of GAL4 are recognized by GAL80, Cell 50:137-142参照。例えばGAL4のN末端DBDとそのC末端ADの両者を含む単一ポリペプチドのN末端DBD側にアンバーコドンを配置することにより、O−tRNA/O−RS対によるアンバー抑圧をGAL4による転写活性化連携させることができる(図1A)。GAL4により活性化されたレポーター遺伝子を使用してこの遺伝子によりポジティブ選択とネガティブ選択の両方を実施することができる(図1B)。

0110

ネガティブ選択に使用される培地はネガティブ選択マーカーにより検出可能な物質に変換される選択又はスクリーニング物質を含むことができる。本発明の1側面では、検出可能な物質は毒性物質である。ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドは例えばura3遺伝子とすることができる。例えば、GAL4 DNA結合部位を含むプロモーターの制御下にURA3レポーターを置くことができる。例えばセレクターコドンをもつGAL4をコードするポリヌクレオチドの翻訳によりネガティブ選択マーカーが生産されると、GAL4はURA3の転写を活性化する。ネガティブ選択はura3遺伝子の遺伝子産物により検出可能な物質(例えば細胞を死滅させる毒性物質)に変換される5−フルオロオロト酸(5−FOA)を含む培地で実施される。例えばJ. D. Boekeら, (1984), A positive selection for mutants lacking orotidine-5’-phosphate decarboxylase activity in yeast:5-fluoroorotic acid resistance, Molecular & General Genetics 197:345-346);M. Vidalら, (1996), Genetic characterization of a mammalian protein-protein interaction domain by using a yeast reverse two-hybrid system. [comment], Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10321-10326;及びM. Vidalら, (1996), Reverse two-hybrid and one-hybrid systems to detect dissociation of protein-protein and DNA-proteir interactions. [comment], Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 93:10315-10320参照。図8Cも参照。

0111

ポジティブ選択マーカーと同様に、ネガティブ選択マーカーも種々の分子の任意のものとすることができる。1態様では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは適切な反応体の存在下で蛍光発光するか又は発光反応を触媒するポリペプチドである。例えば、ネガティブ選択マーカーとしては限定されないが、例えばルシフェラーゼ、緑色蛍光蛋白質(GFP)、YFP、EGFP、RFP、抗生物質耐性遺伝子産物(例えばクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT))、lacZ遺伝子産物、転写モジュレーター蛋白質等が挙げられる。本発明の1側面では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)又は発光により検出される。別の例では、ポジティブ選択マーカー及び/又はネガティブ選択マーカーは親和性に基づくスクリーニングマーカーを含む。同一ポリヌクレオチドがポジティブ選択マーカーとネガティブ選択マーカーの両者をコードすることもできる。

0112

本発明の方法では付加レベルの選択/スクリーニングストリンジェンシーを使用することもできる。選択又はスクリーニングストリンジェンシーはO−RSを作製するための方法の一方又は両方の段階で変動させることができる。これは例えばポジティブ及び/又はネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドにおける応答エレメントの量を変動させたり、段階の一方又は両方に変動量の不活性シンテターゼを添加したり、選択/スクリーニング物質の使用量を変動させる等の操作により実施することができる。付加ラウンドのポジティブ及び/又はネガティブ選択を実施することもできる。

0113

選択又はスクリーニングは更に1種以上のポジティブ又はネガティブ選択又はスクリーニングを含むことができ、例えばアミノ酸浸透率の変化、翻訳効率の変化、翻訳忠実度の変化等が挙げられる。一般に、前記1種以上の変化は蛋白質を生産するために使用される直交tRNA−tRNAシンテターゼ対の成分を含むか又はコードする1種以上のポリヌクレオチドの突然変異に基づく。

0114

過剰の不活性シンテターゼから活性シンテターゼを迅速に選択するためにモデル集積試験を使用することもできる。ポジティブ及び/又はネガティブモデル選択試験を実施することができる。例えば、潜在的活性アミノアシルtRNAシンテターゼを含む真核細胞を変動倍過剰の不活性アミノアシルtRNAシンテターゼと混合する。非選択培地で増殖させ、例えばX−GAL重層法によりアッセイした細胞と、選択培地で(例えばヒスチジン及び/又はウラシルの不在下に)増殖させて生存することができ、例えばX−GALアッセイによりアッセイした細胞の比率を比較する。ネガティブモデル選択では、潜在的活性アミノアシルtRNAシンテターゼを変動倍過剰の不活性アミノアシルtRNAシンテターゼと混合し、ネガティブ選択物質(例えば5−FOA)により選択を実施する。

0115

一般に、RSのライブラリー(例えば突然変異体RSのライブラリー)は例えば非真核生物に由来する少なくとも1種のアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)に由来するRSを含む。1態様では、RSのライブラリーは不活性RSに由来し、例えば不活性RSは例えばシンテターゼの活性部位、シンテターゼの編集メカニズム部位、シンテターゼの種々のドメインを組み合わせた種々の部位等において活性RSを突然変異させることにより作製される。例えば、RSの活性部位の残基を例えばアラニン残基に突然変異させる。アラニンに突然変異したRSをコードするポリヌクレオチドを鋳型として使用し、アラニン残基を全20種のアミノ酸に突然変異誘発する。O−RSを生産するように突然変異RSのライブラリーを選択/スクリーニングする。別の態様では、不活性RSはアミノ酸結合ポケットを含み、結合ポケットを構成する1種以上のアミノ酸は1種以上の異なるアミノ酸で置換されている。1例では、置換アミノ酸はアラニンで置換されている。場合により、アラニンに突然変異したRSをコードするポリヌクレオチドを鋳型として使用し、アラニン残基を全20種のアミノ酸に突然変異誘発し、選択/スクリーニングする。

0116

O−RSの作製方法は当分野で公知の種々の突然変異誘発技術を使用することによりRSのライブラリーを作製する段階を更に含む。例えば、突然変異体RSは部位特異的突然変異、ランダム点突然変異相同組換えDNAシャフリング又は他の再帰的突然変異誘発法、キメラ構築又はその任意組み合わせにより作製することができる。例えば、突然変異体RSのライブラリーは2種以上の他の例えばサイズとダイバーシティーの小さい「サブライブラリー」から作製することができる。シンテターゼにポジティブ及びネガティブ選択/スクリーニングストラテジーを実施した後、これらのシンテターゼに更に突然変異誘発を実施することができる。例えば、O−RSをコードする核酸を単離することができ;(例えばランダム突然変異誘発、部位特異的突然変異誘発、組換え又はその任意組み合わせにより)突然変異O−RSをコードする1組のポリヌクレオチドを核酸から作製することができ;O−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する突然変異O−RSが得られるまでこれらの個々の段階又はこれらの段階の組み合わせを繰り返すことができる。本発明の1側面では、段階を少なくとも2回実施する。

0117

O−RSの作製に関するその他の詳細についてはWO2002/086075、発明の名称「直交tRNA−アミノアシルtRNAシンテターゼ対を作製するための方法及び組成物(Methodsand compositions for the production of orthogonal tRNA-aminoacyl tRNA synthetase pairs)」に記載されている。Hamano-Takakuら, (2000)A mutant Escherichia coli tyrosyl-tRNA Synthetase Utilizes the Unnatural Amino Acid Azatyrosine More Efficiently than tyrosine, Journal of Biological Chemistry, 275(51):40324-40328;Kigaら(2002), An engineered Escherichia coli tyrosyl-tRNA synthetase for site-specific incorporation of an unnatural amino acid into proteins in eukaryotic translation and its application in a wheat germ cell-free system, PNAS 99(15):9715-9723;及びFrancklynら, (2002), Aminoacyl-tRNA synthetases:Versatile players in the changing theater of translation;RNA, 8:1363-1372も参照。

0118

直交tRNA
本発明は直交tRNA(O−tRNA)を含む真核細胞を提供する。直交tRNAはO−tRNAによりインビボ(in vivo)認識されるセレクターコドンを含むポリヌクレオチドによりコードされる蛋白質への非天然アミノ酸の組込みを媒介する。所定態様では、本発明のO−tRNAは配列番号65に記載のポリヌクレオチド配列を含むか又は前記配列から細胞でプロセシングされるtRNAの例えば少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、又は90%以上の効率で非天然アミノ酸の蛋白質組込みを媒介する。本明細書の表5参照。

0119

本発明のO−tRNAの1例は配列番号65である(本明細書の実施例6及び表5参照)。配列番号65は場合により例えば細胞の内在スプライシング及びプロセシング機構を使用して細胞中でプロセシングされ、修飾されて活性O−tRNAを形成するプレスプライシング/プロセシング転写産物である。一般に、このようなプレスプライシング転写産物の集団は細胞中で活性tRNAの集団を形成する(活性tRNAは1種以上の活性形態とすることができる)。本発明はO−tRNAの保存変異体とそのプロセシングされた細胞内産物も含む。例えば、O−tRNAの保存変異体としては、配列番号65のO−tRNAと同様に機能し、例えばプロセシングされた形態でtRNAL形構造を維持するが、同一配列をもたない(野生型tRNA分子以外の)分子が挙げられる。一般に、本発明のO−tRNAはセレクターコドンに応答してポリヌクレオチドによりコードされる蛋白質への非天然アミノ酸の組込みを再媒介するためにインビボ(in vivo)再アミノアシル化することができるのでリサイクル可能なO−tRNAである。

0120

原核生物と異なり、真核生物におけるtRNA転写はRNAポリメラーゼIIIにより行われるので、真核細胞で転写することができるtRNA構造遺伝子の一次配列は制限される。更に、真核細胞ではtRNAが翻訳機能するためにはその転写の場である核から細胞質に輸送する必要がある。本発明のO−tRNAをコードする核酸又はその相補的ポリヌクレオチドも本発明の特徴である。本発明の1側面では、本発明のO−tRNAをコードする核酸としては内部プロモーター配列、例えばAボックス(例えばTRGCNNAGY)とBボックス(例えばGGTTCGANTCC,配列番号88)が挙げられる。本発明のO−tRNAは転写後修飾することもできる。例えば、真核生物におけるtRNA遺伝子の転写後修飾としては夫々Rnase P及び3’−エンドヌクレアーゼによる5’−及び3’−フランキング配列の除去が挙げられる。3’−CCA配列の付加も真核生物におけるtRNA遺伝子の転写後修飾である。

0121

1態様では、O−tRNAは第1の種の真核細胞の集団についてネガティブ選択を実施することにより得られ、真核細胞はtRNAのライブラリーのメンバーを含む。ネガティブ選択は真核細胞に内在するアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化されるtRNAのライブラリーのメンバーを含む細胞を排除する。こうして第1の種の真核細胞に直交なtRNAのプールが得られる。

0122

別法として又は非天然アミノ酸をポリペプチドに組込みための他の上記方法と組み合わせてトランス翻訳システムを使用することができる。このシステムは大腸菌に存在するtmRNAと呼ぶ分子を利用する。このRNA分子アラニルtRNAと構造的に関連しており、アラニルシンテターゼによりアミノアシル化される。tmRNAとtRNAの相違はアンチコドンループが特殊な大きい配列で置換されていることである。この配列はtmRNA内でコードされるオープンリーディングフレームを鋳型として使用し、停止している配列でリボソームに翻訳を再開させることができる。本発明では、直交シンテターゼで優先的にアミノアシル化され、非天然アミノ酸を負荷される直交tmRNAを作製することができる。遺伝子をこのシステムにより転写することにより、リボソームは特定部位で停止し;非天然アミノ酸をこの部位に導入し、直交tmRNA内でコードされる配列を使用して翻訳が再開する。

0123

組換え直交tRNAの他の作製方法も例えば国際特許出願WO2002/086075、発明の名称「直交tRNA−アミノアシルtRNAシンテターゼ対を作製するための方法及び組成物(Methodsand compositions for the production of orthogonal tRNA-aminoacyl tRNA synthetase pairs)」に記載されている。Forsterら, (2003)Programming peptidomimetic synthetases by translating genetic codes designed de novo PNAS 100(11):6353-6357;及びFengら, (2003), Expanding tRNA recognition of a tRNA synthetase by a single amino acid change, PNAS 100(10):5676-5681も参照。

0124

直交tRNA及び直交アミノアシルtRNAシンテターゼ対
直交対はO−tRNA(例えばサプレッサーtRNA、フレームシフトtRNA等)とO−RSから構成される。O−tRNAは内在シンテターゼによりアシル化されず、O−tRNAによりインビボ(in vivo)認識されるセレクターコドンを含むポリヌクレオチドによりコードされる蛋白質への非天然アミノ酸の組込みを媒介することができる。O−RSはO−tRNAを認識し、真核細胞においてO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する。直交対の作製方法と前記方法により作製された直交対及び真核細胞で使用するための直交対の組成物も本発明に含まれる。多重直交tRNA/シンテターゼ対の開発により、真核細胞で各種コドンを使用して多重非天然アミノ酸の同時に組込みが可能になる。

0125

種間アミノアシル化が非効率的な別の生物から対(例えばナンセンスサプレッサー対)を取り込むことにより真核細胞で直交O−tRNA/O−RS対を作製することができる。O−tRNAとO−RSは真核細胞で効率的に発現及びプロセシングされ、O−tRNAは効率的に核から細胞質に輸送される。例えば、このような対の1例は大腸菌に由来するチロシル−tRNAシンテターゼ/tRNACUA対である(例えばH. M. Goodmanら, (1968), Nature 217:1019-24;及びD. G.Barkerら, (1982), FEBSLetters 150:419-23参照)。大腸菌チロシル−tRNAシンテターゼはそのコグネイト大腸菌RNACUAと共にS.セレビシエ(S.cerevisiae)の細胞質で発現させると前記コグネイトを効率的にアミノアシル化するが、S.セレビシエ(S.cerevisiae)tRNAをアミノアシル化しない。例えばH. Edwards, & P. Schimmel, (1990), Molecular & Cellular Biology 10:1633-41;及びH. Edwardsら, (1991), PNAS United States of America 88:1153-6参照。更に、大腸菌チロシルtRNACUAはS.セレビシエ(S.cerevisiae)アミノアシルtRNAシンテターゼの不良基質である(例えばV. Trezeguetら, (1991), Molecular & Cellular Biology 11:2744-51参照)が、S.セレビシエ(S.cerevisiae)で蛋白質翻訳に効率的に機能する。例えばH. Edwards, & P. Schimmel, (1990)Molecular & Cellular Biology 10:1633-41;H. Edwardsら, (1991), PNAS United States of America 88:1153-6;及びV. Trezeguetら, (1991), Molecular & Cellular Biology 11:2744-51参照。更に、大腸菌TyrRSはtRNAにライゲートした非天然アミノ酸をプルーフリードするための編集メカニズムをもたない。

0126

O−tRNAとO−RSは天然に存在するものでもよいし、種々の生物に由来するtRNAのライブラリー及び/又はRSのライブラリーを形成する天然に存在するtRNA及び/又はRSの突然変異により誘導してもよい。本明細書の「資源及び宿主生物」のセクション参照。種々の態様において、O−tRNAとO−RSは少なくとも1種の生物に由来する。別の態様では、O−tRNAは第1の生物に由来する天然に存在するか又は天然に存在するものを突然変異させたtRNAに由来し、O−RSは第2の生物に由来する天然に存在するか又は天然に存在するものを突然変異させたRSに由来する。1態様では、第1の非真核生物と第2の非真核生物は同一である。あるいは、第1の非真核生物と第2の非真核生物は異なるものでもよい。

0127

O−RS及びO−tRNAの作製方法については本明細書の「直交アミノアシルtRNAシンテターゼ」及び「O−tRNA」のセクション参照。国際特許出願WO2002/086075、発明の名称「直交tRNA−アミノアシルtRNAシンテターゼ対を作製するための方法及び組成物(Methodsand compositions for the production of orthogonal tRNA-aminoacyl tRNA synthetase pairs)」も参照。

0128

忠実度、効率、及び収率
忠実度とは所望分子(例えば非天然アミノ酸又はアミノ酸)が成長中のポリペプチドの所望位置に組込まれる確度を意味する。本発明の翻訳成分はセレクターコドンに応答して非天然アミノ酸を高い忠実度で蛋白質に組込む。例えば、本発明の成分を使用すると、(例えばセレクターコドンに応答して)成長中のポリペプチド鎖の所望位置に所望非天然アミノ酸が組込まれる効率は成長中のポリペプチド鎖の所望位置への特定天然アミノ酸の望ましくない組込みに比較して例えば>75%、>85%、>95%、又は>99%又はそれ以上である。

0129

効率とは、O−RSが関連対照に比較してO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する程度を意味する場合もある。本発明のO−RSはその効率により定義することができる。本発明の所定態様では、O−RSを別のO−RSと比較する。例えば、本発明のO−RSは例えば配列番号86又は45に記載のアミノ酸配列をもつO−RS(又は表5に示す別の特定RS)がO−tRNAをアミノアシル化する場合の例えば少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は99%以上の効率でO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。別の態様では、本発明のO−RSはO−RSがO−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する場合の少なくとも10倍、少なくとも20倍、少なくとも30倍等の効率でO−tRNAを非天然アミノ酸でアミノアシル化する。

0130

本発明の翻訳成分を使用すると、非天然アミノ酸を含む該当ポリペプチドの収率はポリヌクレオチドにセレクターコドンをもたない細胞から天然に存在する該当ポリペプチドで得られる収率の例えば少なくとも5%、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、50%以上である。別の側面では、細胞は非天然アミノ酸の存在下におけるポリペプチドの収率の例えば30%未満、20%未満、15%未満、10%未満、5%未満、2.5%未満等の収率で非天然アミノ酸の不在下に該当ポリペプチドを生産する。

0131

資源及び宿主生物
本発明の直交翻訳成分は一般に真核細胞又は翻訳系で使用するために非真核生物に由来する。例えば、直交O−tRNAは例えば真正細菌(例えば大腸菌(Escherichia coli)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等)や始原菌(例えばメタノコッカス・ヤナシイ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・テルモオートロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(Halobacterium)(例えばハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)及びハロバクテリウム(Halobacterium)種NRC−1)、アルカエオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、ピュロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ピュロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピュルム・ペルニクス(Aeuropyrum pernix)等)等の非真核生物に由来することができ、直交O−RSは例えば真正細菌(例えば大腸菌(Escherichia coli)、サーマス・サーモフィルス(Thermus thermophilus)、バシラス・ステアロサーモフィラス(Bacillus stearothermophilus)等)や始原菌(例えばメタノコッカス・ヤナシイ(Methanococcus jannaschii)、メタノバクテリウム・テルモオートロフィカム(Methanobacterium thermoautotrophicum)、ハロバクテリウム(Halobacterium)(例えばハロフェラックス・ボルカニ(Haloferax volcanii)及びハロバクテリウム(Halobacterium)種NRC−1)、アルカエオグロブス・フルギドゥス(Archaeoglobus fulgidus)、ピュロコッカス・フリオスス(Pyrococcus furiosus)、ピュロコッカス・ホリコシ(Pyrococcus horikoshii)、アエロピュルム・ペルニクス(Aeuropyrum pernix)等)等の非真核生物に由来することができる。あるいは、例えば植物、藻類、原生動物、真菌、酵母、動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)等の真核資源も使用することができ、例えば成分は該当細胞もしくは翻訳系に直交であるか又は該当細胞もしくは翻訳系に直交となるように改変(例えば突然変異)されている。

0132

O−tRNA/O−RS対の個々の成分は同一生物に由来するものでも異なる生物に由来するものでもよい。1態様では、O−tRNA/O−RS対は同一生物に由来する。例えば、O−tRNA/O−RS対は大腸菌に由来するチロシル−tRNAシンテターゼ/tRNACUA対に由来することができる。あるいは、O−tRNA/O−RS対のO−tRNAとO−RSは場合により異なる生物に由来する。

0133

直交O−tRNA、O−RS又はO−tRNA/O−RS対は非天然アミノ酸を組込んだポリペプチドを生産するために真核細胞で選択又はスクリーニング及び/又は使用することができる。真核細胞は種々の資源に由来することができ、例えば植物(例えば単子葉植物や双子葉植物等の複雑な植物)、藻類、原生生物、真菌、酵母(例えばサッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae))、動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)等が挙げられる。本発明の翻訳成分を組込んだ真核細胞の組成物も本発明の特徴である。

0134

本発明は第1の種及び/又は第2の種で(場合により、付加選択/スクリーニングなしに)場合により使用するための第1の種における効率的スクリーニングも提供する。例えば、第1の種(例えば操作し易い種(例えば酵母細胞等))でO−tRNA/O−RSの成分を選択又はスクリーニングし、第2の真核種(例えば植物(例えば単子葉植物や双子葉植物等の複雑な植物)、藻類、原生生物、真菌、酵母、動物(例えば哺乳動物、昆虫、節足動物等)等)への非天然アミノ酸のインビボ(in vivo)組込みに使用するために第2の種に導入する。

0135

例えば、単細胞であり、1世代の寿命が短く、遺伝が比較的十分に特性決定されていることから、サッカロマイセス・セレビシエ(S. cerevisiae)を第1の真核種として選択することができる。例えばD. Burkeら, (2000)Methodsin Yeast Genetics. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY参照。更に、真核生物の翻訳機構は高度に保存されている(例えば(1996)Translational Control. Cold Spring Harbor Laboratory, Cold Spring Harbor, NY;Y. Kwok, & J. T. Wong, (1980), Evolutionary relationship between Halobacterium cutirubrum and eukaryotes determined by use of aminoacyl-tRNAsynthetases as phylogenetic probes, Canadian Journal of Biochemistry 58:213-218;及び(2001)The Ribosome. Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, NY参照)ので、S・セレビシエ(S. cerevisiae)で発見された非天然アミノ酸の組込み用aaRS遺伝子高等真核生物に導入し、非天然アミノ酸を組込むためにコグネイトtRNAと併用することができる(例えばK. Sakamotoら, (2002)Site-specific incorporation of an unnatural amino acid into proteins in mammalian cells, Nucleic Acids Res. 30:4692-4699;及びC. Kohrerら, (2001), Import of amber and ochre suppressor tRNAs into mammalian cells:a general approach to site-specific insertion of amino acid analogues into proteins, Proc. Natl. Acad. Sci. U. S. A. 98:14310-14315参照)。

0136

1例では、本明細書に記載するように第1の種でO−tRNA/O−RSを生産する方法はO−tRNAをコードする核酸と、O−RSをコードする核酸を第2の種(例えば哺乳動物、昆虫、真菌、藻類、植物等)の真核細胞に導入する段階を更に含む。別の例では、真核細胞において直交tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化する直交アミノアシルtRNAシンテターゼ(O−RS)の生産方法は(a)第1の種(例えば酵母等)の真核細胞の集団について非天然アミノ酸の存在下でポジティブ選択を実施する段階を含む。前記真核細胞は各々i)アミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)のライブラリーのメンバーと、ii)直交tRNA(O−tRNA)と、iii)ポジティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドと、iv)ネガティブ選択マーカーをコードするポリヌクレオチドを含む。ポジティブ選択後に生存している細胞は非天然アミノ酸の存在下で直交tRNA(O−tRNA)をアミノアシル化する活性RSを含む。ポジティブ選択後に生存している細胞について非天然アミノ酸の不在下でネガティブ選択を実施し、O−tRNAを天然アミノ酸でアミノアシル化する活性RSを排除する。こうしてO−tRNAを非天然アミノ酸で優先的にアミノアシル化するO−RSが得られる。O−tRNAをコードする核酸と、O−RSをコードする核酸(又は成分O−tRNA及び/又はO−RS)を第2の種(例えば哺乳動物、昆虫、真菌、藻類、植物及び/又は同等物)の真核細胞に導入する。一般に、O−tRNAは第1の種の真核細胞の集団についてネガティブ選択を実施することにより得られ、前記真核細胞はtRNAのライブラリーのメンバーを含む。ネガティブ選択は真核細胞に内在するアミノアシルtRNAシンテターゼ(RS)によりアミノアシル化されるtRNAのライブラリーのメンバーを含む細胞を排除し、こうして第1の種と第2の種の真核細胞に直交なtRNAのプールが得られる。

0137

セレクターコドン
本発明のセレクターコドンは蛋白質生合成機構の遺伝コドン枠を拡張する。例えば、セレクターコドンとしては例えばユニーク3塩基コドン、ナンセンスコドン(例えばアンバーコドン(UAG)又はオパールコドン(UGA)等の終止コドン)、非天然コドン、少なくとも4塩基のコドン、レアコドン等が挙げられる。例えば1個以上、2個以上、3個以上等の多数のセレクターコドンを所望遺伝子に導入することができる。1個の遺伝子が所与セレクターコドンの複数のコピーを含むこともできるし、複数の異なるセレクターコドン又はその任意組み合わせを含むこともできる。

0138

1態様では、本方法は非天然アミノ酸を真核細胞にインビボ(in vivo)組込むために終止コドンであるセレクターコドンを使用する。例えば、終止コドン(例えばUAG)を認識し、O−RSにより所望非天然アミノ酸でアミノアシル化されるO−tRNAを作製する。このO−tRNAは天然に存在する宿主のアミノアシルtRNAシンテターゼにより認識されない。慣用部位特異的突然変異誘発を使用して終止コドン(例えばTAG)を該当ポリペプチドの該当部位に導入することができる。例えばSayers, J. R. ら(1988), 5’, 3’Exonuclease in phosphorothioate-based oligonucleotide-directed mutagenesis. Nucleic AcidsRes, 791-802参照。O−RS、O−tRNA及び該当ポリペプチドをコードする核酸をインビボ(in vivo)で併用すると、UAGコドンに応答して非天然アミノ酸が組込まれ、特定位置に非天然アミノ酸を含むポリペプチドが得られる。

0139

非天然アミノ酸のインビボ(in vivo)組込みは真核宿主細胞にさほど影響を与えずに行うことができる。例えば、UAGコドンの抑圧効率はO−tRNA(例えばアンバーサプレッサーtRNA)と(終止コドンと結合してリボソームから成長中のペプチドの放出を開始する)真核放出因子(例えばeRF)の競合に依存するので、例えばO−tRNA(例えばサプレッサーtRNA)の発現レベルを増加することにより抑圧効率を調節することができる。

0140

セレクターコドンは更に拡張コドン(例えば4、5、6塩基以上のコドン等の4塩基以上のコドン)も含む。4塩基コドンの例としては例えばAGGA、CUAG、UAGA、CCCU等が挙げられる。5塩基コドンの例としては例えばAGGAC、CCCCU、CCCUC、CUAGA、CUACU、UAGGC等が挙げられる。本発明の1特徴はフレームシフト抑圧に基づく拡張コドンの使用を含む。4塩基以上のコドンは例えば1又は複数の非天然アミノ酸を同一蛋白質に挿入することができる。例えば、アンチコドンループ(例えば少なくとも8〜10ntアンチコドンループ)をもつ突然変異O−tRNA(例えば特殊フレームシフトサプレッサーtRNA)の存在下では、4塩基以上のコドンは単一アミノ酸として読取られる。他の態様では、アンチコドンループは例えば少なくとも4塩基コドン、少なくとも5塩基コドン、又は少なくとも6塩基以上のコドンをデコードすることができる。4塩基コドンは256種が考えられるので、4塩基以上のコドンを使用すると同一細胞で多重非天然アミノ酸をコードすることができる。Andersonら, (2002) Exploring the Limits of Codon and Anticodon Size, Chemistry and Biology, 9, 237-244;Magliery, (2001) Expanding the Genetic Code: Selection of Efficient Suppressors of Four-base Codons and Identification of “Shifty” Four-base Codons with a Library Approach in Escherichia coli, J. Mol. Biol. 307:755-769参照。

0141

例えば、インビトロ(in vitro)生合成法を使用して非天然アミノ酸を蛋白質に組込むために4塩基コドンが使用されている。例えばMaら, (1993) Biochemistry, 32, 7939;及びHohsakaら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:34参照。2個の化学的にアシル化されたフレームシフトサプレッサーtRNAを用いて2−ナフチルアラニンとリジンのNBD誘導体ストレプトアビジンに同時にインビトロ(in vitro)で組込むためにCGGGとAGGUが使用されている。例えばHohsakaら, (1999)J. Am. Chem. Soc., 121:12194参照。インビボ(in vivo)試験では、MooreらはNCUAアンチコドンをもつtRNALeu誘導体がUAGNコドン(NはU、A、G又はCであり得る)を抑圧する能力を試験し、四重項UAGAはUCUAアンチコドンをもつtRNALeuにより13〜26%の効率でデコードすることができるが、0又は−1フレームでは殆どデコードできないことを見出した。Mooreら, (2000)J. Mol. Biol., 298:195参照。1態様において、本発明ではレアコドン又はナンセンスコドンに基づく拡張コドンを使用し、他の望ましくない部位でのミスセンス読み飛ばしとフレームシフト抑圧を減らすことができる。

0142

所与系では、セレクターコドンは更に天然3塩基コドンの1種を含むことができ、内在系はこの天然塩基コドンを使用しない(又は殆ど使用しない)。例えば、天然3塩基コドンを認識するtRNAをもたない系、及び/又は3塩基コドンがレアコドンである系がこれに該当する。

0143

セレクターコドンは場合により非天然塩基対を含む。これらの非天然塩基対は更に既存遺伝アルファベットを拡張する。塩基対が1個増えると、三重項コドン数は64から125に増す。第3の塩基対の性質としては安定的且つ選択的な塩基対合、高い忠実度でポリメラーゼによるDNAへの効率的な酵素組込み、及び未完成非天然塩基対の合成後の効率的な持続プライマー伸長が挙げられる。方法と組成物に適応可能な非天然塩基対については、例えばHiraoら, (2002)An unnatural base pair for incorporating amino acid analogues into protein, Nature Biotechnology, 20:177-182参照。他の関連文献は以下に挙げる。

0144

インビボ(in vivo)使用では、非天然ヌクレオシド膜透過性であり、リン酸化され、対応する三リン酸塩を形成する。更に、増加した遺伝情報は安定しており、細胞内酵素により破壊されない。Bennerらによる従来の報告カノニカルワトソンクリック対とは異なる水素結合パターンを利用しており、そのうちで最も注目される例はイソC:イソG対である。例えばSwitzerら, (1989) J. Am. Chem. Soc., 111:8322;及びPiccirilliら, (1990) Nature, 343:33;Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602参照。これらの塩基は一般に天然塩基とある程度まで誤対合し、酵素複製することができない。Koolらは水素結合を塩基間の疎水性パッキング相互作用に置き換えることにより塩基対の形成を誘導できることを立証した。Kool, (2000) Curr. Opin. Chem. Biol., 4:602;及びGuckian and Kool, (1998) Angew. Chem. Int. Ed. Engl., 36, 2825参照。上記全要件満足する非天然塩基対を開発する目的でSchultz, Romerbergらは一連の非天然疎水性塩基を体系的に合成し、試験した。PICS:PICS自己対は天然塩基対よりも安定であり、大腸菌DNAポリメラーゼIのKlenowフラグメント(KF)によりDNAに効率的に組込むことができる。例えばMcMinnら, (1999) J. Am. Chem. Soc., 121:11586;及びOgawaら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:3274参照。生物機能に十分な効率と選択性でKFにより3MN:3MN自己対を合成することができる。例えばOgawaら, (2000)J. Am. Chem. Soc., 122:8803参照。しかし、どちらの塩基も後期複製用チェーンターミネーターとして作用するものである。PICS自己対を複製するために使用できる突然変異体DNAポリメラーゼが最近開発された。更に、7AI自己対も複製することができる。例えばTaeら, (2001) J. Am. Chem. Soc., 123:7439参照。Cu(II)と結合すると安定な対を形成する新規メタロ塩基対Dipic:Pyも開発された。Meggersら, (2000) J. Am. Chem. Soc., 122:10714参照。拡張コドンと非天然コドンは天然コドンに本質的に直交性であるので、本発明の方法は直交tRNAを作製するためにこの性質を利用することができる。

0145

翻訳バイパス系を使用して非天然アミノ酸を所望ポリペプチドに組込むこともできる。1翻訳バイパス系では、大きい配列が遺伝子に挿入されるが、蛋白質に翻訳されない。この配列はリボソームに配列を飛び越させて挿入の下流の翻訳を再開するための合図として機能する構造を含む。

0146

非天然アミノ酸
本明細書で使用する非天然アミノ酸とはセレノシステイン及び/又はピロリジンと20種の遺伝的にコードされる以下のαアミノ酸、即ちアラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトフアン、チロシン、バリン以外の任意アミノ酸、修飾アミノ酸又はアミノ酸類似体を意味する。αアミノ酸の一般構造は式I:



により表される。

0147

非天然アミノ酸は一般に式Iをもつ任意構造であり、式中、R基は20種の天然アミノ酸で使用されている以外の任意置換基である。20種の天然アミノ酸の構造については、例えばL. Stryer著Biochemistry, 第3版, 1988, Freeman and Company, New Yorkを参照されたい。なお、本発明の非天然アミノ酸は上記20種のαアミノ酸以外の天然化合物でもよい。

0148

本発明の非天然アミノ酸は一般に側鎖が天然アミノ酸と異なるので、天然蛋白質と同様に他のアミノ酸(例えば天然又は非天然アミノ酸)とアミド結合を形成する。一方、非天然アミノ酸は天然アミノ酸と異なる側鎖基をもつ。例えば、式IにおけるRは場合によりアルキル、アリール、アシル、ケト、アジド、ヒドロキシル、ヒドラジン、シアノ、ハロ、ヒドラジド、アルケニル、アルキニル、エーテル、チオール、セレノ、スルホニル、硼酸、ボロン酸、ホスホ、ホスホノ、ホスフィン、複素環、エノン、イミン、アルデヒド、エステル、チオ酸、ヒドロキシルアミン、アミン基等又はその任意組合せを含む。他の該当非天然アミノ酸としては限定されないが、光架橋基をもつアミノ酸、スピン標識アミノ酸、蛍光アミノ酸、金属結合性アミノ酸、金属含有アミノ酸、放射性アミノ酸、新規官能基をもつアミノ酸、他の分子と共有又は非共有的に相互作用するアミノ酸、フォトケージド及び/又は光異性化可能なアミノ酸、ビオチン又はビオチン類似体を含有するアミノ酸、ケト含有アミノ酸、ポリエチレングリコール又はポリエーテルを含むアミノ酸、重原子置換アミノ酸、化学分解性又は光分解性アミノ酸、天然アミノ酸に比較して延長側鎖(例えばポリエーテル又は例えば約5もしくは約10炭素長を上回る長鎖炭化水素等)をもつアミノ酸、炭素結合糖含有アミノ酸、レドックス活性アミノ酸、アミノチオ酸含有アミノ酸、及び1個以上の毒性部分を含むアミノ酸が挙げられる。所定態様では、非天然アミノ酸は例えば蛋白質を固体支持体に結合するために使用される光架橋基をもつ。1態様では、非天然アミノ酸はアミノ酸側鎖に結合した糖部分(例えばグリコシル化アミノ酸)及び/又は他の糖鎖修飾をもつ。

0149

新規側鎖を含む非天然アミノ酸に加え、非天然アミノ酸は場合により例えば式II及びIII:



の構造により表されるような修飾主鎖構造を含み、式中、Zは一般にOH、NH2、SH、NH−R’又はS−R’を含み、XとYは同一でも異なっていてもよく、一般にS又はOであり、RとR’は場合により同一又は異なり、一般に式Iをもつ非天然アミノ酸について上記に記載したR基と同一の基及び水素から選択される。例えば、本発明の非天然アミノ酸は場合により式II及びIIIにより表されるようにアミノ又はカルボキシル基に置換を含む。この種の非天然アミノ酸としては限定されないが、例えば20種の標準天然アミノ酸に対応する側鎖又は非天然側鎖をもつα−ヒドロキシ酸、α−チオ酸、α−アミノチオカルボキシレートが挙げられる。更に、α−炭素の置換は場合によりL、D又はα,α−ジ置換アミノ酸(例えばD−グルタミン酸、D−アラニン、D−メチル−O−チロシン、アミノ酪酸等)を含む。他の代替構造としては環状アミノ酸(例えばプロリン類似体や、3、4、6、7、8及び9員環プロリン類似体)、β及びγアミノ酸(例えば置換β−アラニン及びγ−アミノ酪酸)が挙げられる。

0150

例えば、多数の非天然アミノ酸は天然アミノ酸(例えばチロシン、グルタミン、フェニルアラニン等)をベースとする。チロシン類似体としてはパラ置換チロシン、オルト置換チロシン、及びメタ置換チロシンが挙げられ、置換チロシンは例えばケト基(例えばアセチル基)、ベンゾイル基、アミノ基、ヒドラジン、ヒドロキシルアミン、チオール基カルボキシ基イソプロピル基メチル基、C6−C20直鎖又は分枝鎖炭化水素飽和又は不飽和炭化水素、O−メチル基、ポリエーテル基ニトロ基、アリキニル基等を含む。更に、多置換アリール環も考えられる。本発明のグルタミン類似体としては限定されないが、α−ヒドロキシ誘導体、γ置換誘導体環状誘導体及びアミド置換グルタミン誘導体が挙げられる。フェニルアラニン類似体の例としては限定されないが、パラ置換フェニルアラニン、オルト置換フェニルアラニン、及びメタ置換フェニルアラニンが挙げられ、置換基は例えばヒドロキシ基メトキシ基、メチル基、アリル基アルデヒド基、アジド、ヨード、ブロモ、ケト基(例えばアセチル基)、ベンゾイル、アルキニル基等を含む。非天然アミノ酸の特定例としては限定されないが、p−アセチル−L−フェニルアラニン、p−プロパルギルオキシフェニルアラニン、O−メチル−L−チロシン、L−3−(2−ナフチル)アラニン、3−メチルフェニルアラニン、O−4−アリル−L−チロシン、4−プロピル−L−チロシン、トリ−O−アセチル−GlcNAcβ−セリン、L−Dopa、フッ素化フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン、p−アジド−L−フェニルアラニン、p−アシル−L−フェニルアラニン、p−ベンゾイル−L−フェニルアラニン、L−ホスホセリン、ホスホノセリン、ホスホノチロシン、p−ヨードフェニルアラニン、p−ブロモフェニルアラニン、p−アミノ−L−フェニルアラニン、イソプロピル−L−フェニルアラニン等が挙げられる。非天然アミノ酸の構造の例を図7B及び図11に示す。各種非天然アミノ酸のその他の構造は例えばWO2002/085923、発明の名称「非天然アミノ酸のインビボ組込み(in vivo incorporation of unnatural amino acids)」の図16、17、18、19、26及び29に記載されている。その他のメチオニン類似体については、Kiickら, (2002) Incorporation of azides into recombinant proteins for chemoselective modification by the Staudinger ligtation, PNAS 99:19-24の図1構造2−5も参照。

0151

1態様では、非天然アミノ酸(例えばp−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン)を含む組成物を提供する。p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニンと、例えば蛋白質及び/又は細胞を含む各種組成物も提供する。1側面では、p−(プロパルギルオキシ)−フェニルアラニン非天然アミノ酸を含む組成物は更に直交tRNAを含む。非天然アミノ酸は直交tRNAと(例えば共有的に)結合することができ、例えばアミノアシル結合を介して直交tRNAと共有結合することもできるし、直交tRNAの末端リボース糖の3’OH又は2’OHと共有結合することもできる。

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

該当するデータがありません

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

この 技術と関連性が強い技術

関連性が強い 技術一覧

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

該当するデータがありません

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ