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技術 陸域用途の土木用資材の製造方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 末岡一男山本充片桐健詞内田吉彦
出願日 2015年1月30日 (5年11ヶ月経過) 出願番号 2015-017097
公開日 2015年12月24日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-231935
状態 特許登録済
技術分野 固体廃棄物の処理 セメント、コンクリート、人造石、その養生
主要キーワード 複数水準 物性条件 共通イオン効果 カルシウム溶出量 成分組成比 溶解平衡 重量体積比 鉄鋼製
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課題

製鋼工程で生成するフッ素含有製鋼スラグから、コストと時間を余りかけずに、有効活用可能な陸域用途の土木用資材を製造する方法を提供する。

解決手段

フッ素含有製鋼スラグにおけるCaO成分とAl2O3成分の成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、(A)転炉スラグ高炉スラグ微粉末混和剤、及び水(原料X)を所定の割合で混合し、又は、(B)転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水(原料Y)を所定の割合で混合し、また、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、(C)転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水(原料X)を所定の割合で混合し、又は、(D)高炉セメント、混和剤、及び水を所定の割合で混合する水和固化体生成工程を有する陸域用途の土木用資材の製造方法である。

概要

背景

製鋼工程で生成する製鋼スラグには、溶銑予備処理スラグ転炉スラグ二次精錬スラグ電気炉スラグがある。製鋼工程では、蛍石(CaF2)を含む脱硫剤などが用いられるため、製鋼スラグの一部にはフッ素が含まれており、製鋼スラグからフッ素が溶出する場合がある。蛍石を使用しない又は使用量を低減する精錬方法も検討されているが、一部の鋼種では蛍石を使用せずに、又は使用量を低減して精錬することが困難な場合がある。

ところで、陸域において、製鋼スラグを土壌と接触する環境(例えば、地盤改良材としての使用等)で使用する場合、製鋼スラグからのフッ素溶出量は、土壌汚染対策法に従って、環境告示46号と土壌環境基準のフッ素溶出量基準(0.8mg/L以下)の下で管理される必要があるが、製鋼スラグの一部はこの溶出量基準を超える場合がある。

そこで、フッ素溶出量が土壌環境基準を超えるような製鋼スラグに対しては、これまでに様々な対策が提案されており、例えば、CaO−Al2O3−H2O系水和物へのフッ素固定化処理(特許文献1)、カルシウムイオン共通イオン効果を利用したフッ素溶出抑制方法(特許文献2)、フルオロアパタイトとしてのフッ素固定化処理(特許文献3)、トバモライトへのフッ素固定化処理(特許文献4)、スラグ溶融改質処理(特許文献5、特許文献6)、フッ素溶出抑制物質の混合(特許文献7)などの様々なフッ素溶出抑制技術が検討されてきた。

しかしながら、これらの従来法のうち、特許文献1や特許文献3〜6に記載された方法には、添加剤改質処理コストがかかるという問題がある。

また、特許文献2に記載された方法は、フッ素が溶出する電気炉スラグに、フッ素が溶出せずかつカルシウム溶出量が多い溶銑予備処理スラグを混合して、カルシウムイオンの共通イオン効果を利用して電気炉スラグからのフッ素溶出を抑制する技術であり、具体的には、破砕処理後の電気炉スラグに対して、粒径15mm以下に破砕処理した溶銑予備処理スラグを混合することによって、電気炉スラグからのフッ素溶出を抑制する方法であって、電気炉スラグの質量(WEF)に対する溶銑予備処理スラグの質量(WDP)の混合比(WDP/WEF)を1以上にするというものである。しかしながら、この混合比(WDP/WEF)が1以上という条件は、フッ素溶出量が3mg/Lの電気炉スラグに対して溶銑予備処理スラグを混合した場合の実施例から導き出された値であり、フッ素溶出量が3mg/Lを大きく超える場合(例えば、フッ素溶出量が10mg/Lや20mg/Lの場合)には、WDP/WEFが1以上という条件では、混合スラグからのフッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/L以下を満足し得ない虞があり、しかも、電気炉スラグ以外の製鋼スラグに対して適用できるか否かが不明である。

しかも、この特許文献2に記載された方法には、添加剤や改質処理のコストに関する問題はないが、実施の際にフッ素が溶出するスラグ(電気炉スラグ)とフッ素が溶出しないスラグ(溶銑予備処理スラグ)との混合比を一定にすることが難しく、また、この混合比を一定にするためには、フッ素が溶出するスラグ(電気炉スラグ)からのフッ素溶出量に基づいて決める必要があることから、混合する毎にフッ素溶出量を測定する必要がある。

更に、特許文献7に記載された方法は、フッ素を含有するフッ素含有鉄鋼製錬スラグに、フッ素溶出抑制物質として、高炉スラグ微粉末水和固化体クロム鉱石溶融還元炉スラグ含フッ素物質を使用しない二次精錬より排出される二次精錬スラグ及び多孔質炭化物から選ばれる1種又は2種以上を混合する技術である。しかしながら、フッ素含有鉄鋼精錬スラグに対するこれらフッ素溶出抑制物質の混合割合については、フッ素含有鉄鋼精錬スラグのフッ素溶出量に応じて決める必要があり、混合前に、フッ素含有鉄鋼精錬スラグのフッ素溶出量を環境庁告示46号に従って測定しなければならない。

しかるに、この環境庁告示46号による製鋼スラグのフッ素溶出量の測定は、2mm以下の粒度調整した製鋼スラグを用意し、粒度調整後の製鋼スラグと純水とを重量体積比10%の割合で混合してポリ容器に入れ、このポリ容器を振とう溶出装置にセットして振とう回数を毎分200回、振とう幅を4cm以上5cm以下、室温を概ね25℃、及び常圧を概ね1気圧の条件で6時間の振とう溶出操作を実施し、溶出操作後の溶出液を10分から30分程度静置した後、先ず、溶出液の上澄み液採取して毎分約3000回転で20分間の遠心分離を行い、次いで遠心分離後の上澄み液を孔径0.45マイクロメートルメンブランフィルターでろ過してろ液を採取し、ろ液中のフッ素濃度ランタンアリザリンコンプレキソン吸光光度法によって定量し、フッ素溶出量を求めるものであり、この環境庁告示46号でフッ素溶出量の測定には多大なコストと時間を必要とする。

概要

製鋼工程で生成するフッ素含有製鋼スラグから、コストと時間を余りかけずに、有効活用可能な陸域用途の土木用資材を製造する方法を提供する。フッ素含有製鋼スラグにおけるCaO成分とAl2O3成分の成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、(A)転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水(原料X)を所定の割合で混合し、又は、(B)転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水(原料Y)を所定の割合で混合し、また、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、(C)転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水(原料X)を所定の割合で混合し、又は、(D)高炉セメント、混和剤、及び水を所定の割合で混合する水和固化体生成工程を有する陸域用途の土木用資材の製造方法である。

目的

本発明の目的は、製鋼工程で生成するフッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグから、コストと時間を余りかけずに、有効活用可能な陸域用途の土木用資材を製造するための陸域用途の土木用資材の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

フッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグに、このフッ素含有製鋼スラグ以外の他の原料を混合して製造する陸域用途の土木用資材の製造方法であって、前記フッ素含有製鋼スラグが、CaO成分29質量%以上39質量%以下、SiO2成分12質量%以上18質量%以下、Al2O3成分11質量%以上32質量%以下、MgO成分5質量%以上10質量%以下、t−Fe成分5質量%以上17質量%以下、及びF成分0.1質量%以上0.5質量%以下の成分組成を有するものであり、(イ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、(A)前記他の原料がフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ高炉スラグ微粉末混和剤、及び水を含む原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上5質量%以下、フッ素不含転炉スラグが66質量%以上82質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、(B)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水を含む原料Yであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Yを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上17質量%以下、フッ素不含転炉スラグが70質量%以上86質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合し、また、(ロ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、(C)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水を含む原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが6質量%以上23質量%以下、フッ素不含転炉スラグが56質量%以上73質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、(D)前記他の原料が高炉セメント、混和剤、及び水を含む原料Zであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Zを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが18質量%以上70質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合することにより、水和固化体を生成させる水和固化体生成工程を有することを特徴とする陸域用途の土木用資材の製造方法。

請求項2

(イ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、(A)前記他の原料がフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水からなる原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上5質量%以下、フッ素不含転炉スラグが66質量%以上82質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、(B)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水からなる原料Yであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Yを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上17質量%以下、フッ素不含転炉スラグが70質量%以上86質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合し、また、(ロ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、(C)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水からなる原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが6質量%以上23質量%以下、フッ素不含転炉スラグが56質量%以上73質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、(D)前記他の原料が高炉セメント、混和剤、及び水からなる原料Zであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Zを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが18質量%以上70質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合することにより、水和固化体を生成させる水和固化体生成工程を有することを特徴とする請求項1に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。

請求項3

前記他の原料が、前記原料X、Y、又はZに加えて、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ及び/又はフッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグからなるフッ素不含スラグを更に含むものであり、前記フッ素不含スラグの混合割合が、混合後の総重量に対して、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Xが添加される場合に17質量%以下であり、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Yが添加される場合に17質量%以下であり、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Xが添加される場合に18質量%以下であり、また、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Zが添加される場合に66質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。

請求項4

前記水和固化体生成工程で生成した水和固化体を破砕し、得られた破砕物に、フッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素不含転炉スラグ、フッ素不含二次精錬スラグ、高炉徐冷スラグ高炉水砕スラグ廃コンクリート、砂、、及び石から選ばれた1種を又は2種以上を混合することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。

請求項5

前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分及びAl2O3成分を測定する方法が、蛍光X線分析であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、製鋼スラグを含む陸域用途の土木用資材の製造方法に関するものである。

背景技術

0002

製鋼工程で生成する製鋼スラグには、溶銑予備処理スラグ転炉スラグ二次精錬スラグ電気炉スラグがある。製鋼工程では、蛍石(CaF2)を含む脱硫剤などが用いられるため、製鋼スラグの一部にはフッ素が含まれており、製鋼スラグからフッ素が溶出する場合がある。蛍石を使用しない又は使用量を低減する精錬方法も検討されているが、一部の鋼種では蛍石を使用せずに、又は使用量を低減して精錬することが困難な場合がある。

0003

ところで、陸域において、製鋼スラグを土壌と接触する環境(例えば、地盤改良材としての使用等)で使用する場合、製鋼スラグからのフッ素溶出量は、土壌汚染対策法に従って、環境告示46号と土壌環境基準のフッ素溶出量基準(0.8mg/L以下)の下で管理される必要があるが、製鋼スラグの一部はこの溶出量基準を超える場合がある。

0004

そこで、フッ素溶出量が土壌環境基準を超えるような製鋼スラグに対しては、これまでに様々な対策が提案されており、例えば、CaO−Al2O3−H2O系水和物へのフッ素固定化処理(特許文献1)、カルシウムイオン共通イオン効果を利用したフッ素溶出抑制方法(特許文献2)、フルオロアパタイトとしてのフッ素固定化処理(特許文献3)、トバモライトへのフッ素固定化処理(特許文献4)、スラグ溶融改質処理(特許文献5、特許文献6)、フッ素溶出抑制物質の混合(特許文献7)などの様々なフッ素溶出抑制技術が検討されてきた。

0005

しかしながら、これらの従来法のうち、特許文献1や特許文献3〜6に記載された方法には、添加剤改質処理コストがかかるという問題がある。

0006

また、特許文献2に記載された方法は、フッ素が溶出する電気炉スラグに、フッ素が溶出せずかつカルシウム溶出量が多い溶銑予備処理スラグを混合して、カルシウムイオンの共通イオン効果を利用して電気炉スラグからのフッ素溶出を抑制する技術であり、具体的には、破砕処理後の電気炉スラグに対して、粒径15mm以下に破砕処理した溶銑予備処理スラグを混合することによって、電気炉スラグからのフッ素溶出を抑制する方法であって、電気炉スラグの質量(WEF)に対する溶銑予備処理スラグの質量(WDP)の混合比(WDP/WEF)を1以上にするというものである。しかしながら、この混合比(WDP/WEF)が1以上という条件は、フッ素溶出量が3mg/Lの電気炉スラグに対して溶銑予備処理スラグを混合した場合の実施例から導き出された値であり、フッ素溶出量が3mg/Lを大きく超える場合(例えば、フッ素溶出量が10mg/Lや20mg/Lの場合)には、WDP/WEFが1以上という条件では、混合スラグからのフッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/L以下を満足し得ない虞があり、しかも、電気炉スラグ以外の製鋼スラグに対して適用できるか否かが不明である。

0007

しかも、この特許文献2に記載された方法には、添加剤や改質処理のコストに関する問題はないが、実施の際にフッ素が溶出するスラグ(電気炉スラグ)とフッ素が溶出しないスラグ(溶銑予備処理スラグ)との混合比を一定にすることが難しく、また、この混合比を一定にするためには、フッ素が溶出するスラグ(電気炉スラグ)からのフッ素溶出量に基づいて決める必要があることから、混合する毎にフッ素溶出量を測定する必要がある。

0008

更に、特許文献7に記載された方法は、フッ素を含有するフッ素含有鉄鋼製錬スラグに、フッ素溶出抑制物質として、高炉スラグ微粉末水和固化体クロム鉱石溶融還元炉スラグ含フッ素物質を使用しない二次精錬より排出される二次精錬スラグ及び多孔質炭化物から選ばれる1種又は2種以上を混合する技術である。しかしながら、フッ素含有鉄鋼精錬スラグに対するこれらフッ素溶出抑制物質の混合割合については、フッ素含有鉄鋼精錬スラグのフッ素溶出量に応じて決める必要があり、混合前に、フッ素含有鉄鋼精錬スラグのフッ素溶出量を環境庁告示46号に従って測定しなければならない。

0009

しかるに、この環境庁告示46号による製鋼スラグのフッ素溶出量の測定は、2mm以下の粒度調整した製鋼スラグを用意し、粒度調整後の製鋼スラグと純水とを重量体積比10%の割合で混合してポリ容器に入れ、このポリ容器を振とう溶出装置にセットして振とう回数を毎分200回、振とう幅を4cm以上5cm以下、室温を概ね25℃、及び常圧を概ね1気圧の条件で6時間の振とう溶出操作を実施し、溶出操作後の溶出液を10分から30分程度静置した後、先ず、溶出液の上澄み液採取して毎分約3000回転で20分間の遠心分離を行い、次いで遠心分離後の上澄み液を孔径0.45マイクロメートルメンブランフィルターでろ過してろ液を採取し、ろ液中のフッ素濃度ランタンアリザリンコンプレキソン吸光光度法によって定量し、フッ素溶出量を求めるものであり、この環境庁告示46号でフッ素溶出量の測定には多大なコストと時間を必要とする。

先行技術

0010

特開2000-225,383号公報
特開2010-222,227号公報
特開2009-189,927号公報
特開2004-041,890号公報
特開2005-008,935号公報
特開2007-022,818号公報
特開2003-183,718号公報

発明が解決しようとする課題

0011

以上の通り、特許文献1や特許文献3〜6に記載の方法には添加剤や改質処理にコストがかかるという問題があり、また、特許文献2や特許文献7に記載の方法には、混合前に、環境庁告示46号でフッ素溶出量を測定する必要があり、多大なコストと時間を要するという問題がある。

0012

そこで、本発明者等は、製鋼スラグの生成現場では、蛍光X線分析を用いて、製鋼スラグの成分組成を短時間にかつ容易に測定することができるので、この成分組成からフッ素溶出量を予測することができれば、予測されたフッ素溶出量に基づいて多大なコストや時間を費やすことなく、フッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグを陸域用途の土木用資材として有効活用可能な資材に変えることができると考え、成分組成とフッ素溶出量との関係について鋭意検討を行った。

0013

そして、本発明者等は、このフッ素含有製鋼スラグにおける成分組成とフッ素溶出量との関係の検討において、フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が、カルシウム溶出量や溶出液のpHとの間に正の強い相関関係を有すると共に、フッ素溶出量との間に負の強い相関関係を有することを見出し、また、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合にフッ素溶出量が3.5mg/L以上20mg/L以下であって、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合にフッ素溶出量が1mg/L以上3.5mg/L未満となり、フッ素溶出量に応じてフッ素含有製鋼スラグを分別できることを見出し、更に、この分別されたフッ素含有製鋼スラグについて、それぞれどのような原料を混合して水和固化体を製造すれば、その水和固化体からのフッ素溶出量を土壌環境基準値0.8mg/L以下に抑制できるかについて突き止め、本発明を完成した。

0014

そこで、本発明の目的は、製鋼工程で生成するフッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグから、コストと時間を余りかけずに、有効活用可能な陸域用途の土木用資材を製造するための陸域用途の土木用資材の製造方法を提供することにある。
より具体的には、コストと時間を要するフッ素溶出量の測定をすることなく、フッ素含有製鋼スラグの生成現場において短時間で容易に測定可能な成分組成からこのフッ素含有製鋼スラグのフッ素溶出量を予測し、予測した結果に基づいて、フッ素含有製鋼スラグ中に、他の原料として鉄鋼製造プロセス入手が比較的容易な副生成物を混合し、これによってフッ素溶出量が土壌環境基準値の0.8mg/L以下である陸域用途の土木用資材を製造する方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0015

すなわち、本発明の要旨は、次の(1)〜(5)である。
(1)フッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグに、このフッ素含有製鋼スラグ以外の他の原料を混合して製造する陸域用途の土木用資材の製造方法であって、
前記フッ素含有製鋼スラグが、CaO成分29質量%以上39質量%以下、SiO2成分12質量%以上18質量%以下、Al2O3成分11質量%以上32質量%以下、MgO成分5質量%以上10質量%以下、t−Fe成分5質量%以上17質量%以下、及びF成分0.1質量%以上0.5質量%以下の成分組成を有するものであり、
(イ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、
(A)前記他の原料がフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水を含む原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上5質量%以下、フッ素不含転炉スラグが66質量%以上82質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、
(B)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水を含む原料Yであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Yを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上17質量%以下、フッ素不含転炉スラグが70質量%以上86質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合し、また、
(ロ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、
(C)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水を含む原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが6質量%以上23質量%以下、フッ素不含転炉スラグが56質量%以上73質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、
(D)前記他の原料が高炉セメント、混和剤、及び水を含む原料Zであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Zを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが18質量%以上70質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合することにより、
水和固化体を生成させる水和固化体生成工程を有することを特徴とする陸域用途の土木用資材の製造方法。
(2)(イ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、
(A)前記他の原料がフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水からなる原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上5質量%以下、フッ素不含転炉スラグが66質量%以上82質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、
(B)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水からなる原料Yであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Yを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが1質量%以上17質量%以下、フッ素不含転炉スラグが70質量%以上86質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が4質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合し、また、
(ロ)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、
(C)前記他の原料がフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水からなる原料Xであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Xを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが6質量%以上23質量%以下、フッ素不含転炉スラグが56質量%以上73質量%以下、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合するか、又は、
(D)前記他の原料が高炉セメント、混和剤、及び水からなる原料Zであると共に、前記フッ素含有製鋼スラグ中に前記原料Zを、混合後の総質量に対して、フッ素含有製鋼スラグが18質量%以上70質量%以下、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下、混和剤が0.5質量%以下、及び水が8質量%以上14質量%以下の質量割合となるように混合することにより、
水和固化体を生成させる水和固化体生成工程を有することを特徴とする前記(1)に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。
(3)前記他の原料が、前記原料X、Y、又はZに加えて、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ及び/又はフッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグからなるフッ素不含スラグを更に含むものであり、
前記フッ素不含スラグの混合割合が、混合後の総重量に対して、
前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Xが添加される場合に17質量%以下であり、
前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Yが添加される場合に17質量%以下であり、
前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Xが添加される場合に18質量%以下であり、また、
前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Zが添加される場合に66質量%以下であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。
(4)前記水和固化体生成工程で生成した水和固化体を破砕し、得られた破砕物に、フッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素不含転炉スラグ、フッ素不含二次精錬スラグ、高炉徐冷スラグ高炉水砕スラグ廃コンクリート、砂、、及び石から選ばれた1種を又は2種以上を混合することを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。
(5)前記フッ素含有製鋼スラグ中のCaO成分及びAl2O3成分を測定する方法が、蛍光X線分析であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の陸域用途の土木用資材の製造方法。

発明の効果

0016

本発明によれば、フッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグの溶出試験を行うことなく、このフッ素含有製鋼スラグのフッ素溶出量の大小を予測することができ、予測したフッ素溶出量の大小別に製鋼スラグを2種類に分別し、分別したフッ素含有の製鋼スラグに、鉄鋼製造プロセスの副生性物等からなる他の原料を混合して水和固化体化することにより、フッ素含有製鋼スラグを陸域用途の土木用資材として有効に利用できる。

0017

また、得られた水和固化体は、その破砕物に、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、フッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグ、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、廃コンクリート、砂、礫、及び石から選ばれる1種又は2種以上を混合し、得られた混合物を陸域用途の土木用資材として利用することもできる。
本発明によれば、このようにして、陸域利用が困難であったフッ素含有製鋼スラグを陸域用途の土木用資材として有効に利用することが可能になる。

図面の簡単な説明

0018

図1は、フッ素を含有するフッ素含有二次精錬スラグにおける成分組成比(CaO/Al2O3)とカルシウム溶出量との関係を示すグラフ図である。
図2は、フッ素含有二次精錬スラグにおける成分組成比(CaO/Al2O3)と溶出液のpHとの関係を示すグラフ図である。
図3は、フッ素含二次精錬スラグにおける成分組成比(CaO/Al2O3)とフッ素溶出量との関係を示すグラフ図である。

0019

先ず、本発明の対象となるフッ素を含有するフッ素含有製鋼スラグとは、蛍石を使う精錬工程で生成するスラグであり、環境庁告示46号で測定したフッ素溶出量が0.8mg/Lを超えるスラグであって、スラグを冷却した後に破砕し、更にスラグに含まれている地金磁選して取り除いた後に精錬工程から排出されるスラグのことである。具体的には、例えば、溶銑予備処理スラグ、転炉スラグ、及び二次精錬スラグ等の製鋼スラグの一部が挙げられる。本発明においては、これらの製鋼スラグについて、フッ素を含有するものをそれぞれフッ素含有溶銑予備処理スラグ、フッ素含有転炉スラグ、及びフッ素含有二次精錬スラグと称し、また、フッ素を含有しないものをフッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素不含転炉スラグ、及びフッ素不含二次精錬スラグと称する。

0020

次に、本発明の対象となるフッ素含有製鋼スラグの成分組成についてみると、上記のフッ素含有二次精錬スラグ、フッ素含有溶銑予備処理スラグ、及びフッ素含有転炉スラグを含めてそのほとんどが、CaO成分29質量%以上39質量%以下、SiO2成分12質量%以上18質量%以下、Al2O3成分11質量%以上32質量%以下、MgO成分5質量%以上10質量%以下、t−Fe成分5質量%以上17質量%以下、及びF成分0.1質量%以上0.5質量%以下の成分組成の範囲内であり、本発明はこれらのフッ素含有製鋼スラグに対して好適に適用することができる。なお、今日においては、製鋼工程のフッ素レス化が進み、ほとんどのフッ素含有製鋼スラグのF成分の含有量は上記の範囲内にあるが、F含有量は精錬工程の種類によって異なる可能性があるので、本発明の適用に際しては、一度測定して確認することが好ましい。

0021

各成分がこれらの範囲内にあるフッ素含有製鋼スラグに含まれる主なスラグ鉱物相は、CaO、Ca(OH)2、12CaO・7Al2O3、2CaO・SiO2・Al2O3、2CaO・SiO2、MgO、及びMgO・Al2O3であり、主なフッ素含有スラグ鉱物相は、11CaO・7Al2O3・CaF2である。従って、何れかの成分がこれらの範囲を大きく外れると、前述のスラグ鉱物相が含まれなくなったり、前述のスラグ鉱物相とは異なるスラグ鉱物相が含まれることになるので、後述するCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)の値によってフッ素含有製鋼スラグのフッ素溶出量を予測することができなくなる。

0022

ここで、各成分の組成が上述の範囲内であるフッ素含有の製鋼スラグの一つであるフッ素含有二次精錬スラグについて調べてみると、通常、その粒度が40mm以下であって、スラグヤード山積みにされて保管されている。そこで、複数のスラグヤードの山の様々な場所からフッ素含有二次精錬スラグを採取し、環境庁告示46号でフッ素溶出量を測定したところ、フッ素溶出量は1〜20mg/Lの範囲内でバラツキがあることが分かった。また、この40mm以下のフッ素含有二次精錬スラグについて、篩目10mmのにより10mm以下の篩下と40〜10mmの篩上とに篩い分けてそれぞれの成分組成を確認したところ、10mm以下の篩下と40〜10mmの篩上との重量比率は、採取場所毎に20〜80質量%の範囲でバラツキがあり、また、10mm以下の篩下と40〜10mmの篩上の間の成分組成については、CaO、Al2O3、MgO、及びt−Feにおいて違いがあることが分かった。更に、環境庁告示46号によって溶出成分を調べたところ、フッ素溶出量、カルシウム溶出量、溶出液のpHにも違いがあることが分かった。

0023

そして、特に、フッ素溶出量においてこのような違いが生じる原因について更に検討した結果、次に述べる通り、カルシウム溶出量の大小や溶出液のpHの影響によるものと考えられた。
すなわち、環境庁告示46号によるフッ素含有二次精錬スラグの溶出液はpHが11.5〜12.5程度のアルカリ性であり、このようなアルカリ性の溶液中において、フッ素含有スラグ鉱物相の11CaO・7Al2O3・CaF2は次式(I)のように溶解する。
11CaO・7Al2O3・CaF2+32H2O
⇒ 12Ca2++14Al(OH)4-+8OH-+2F- …(I)
従って、この式(I)から明らかなように、フッ素含有スラグ鉱物相の11CaO・7Al2O3・CaF2からは、カルシウムイオンが溶出するので、カルシウムイオンの共通イオン効果によって、カルシウム溶出量が多いとフッ素溶出量が少なくなり、反対に、カルシウム溶出量が少ないとフッ素溶出量が多くなる。また、水酸化物イオンも溶出するので、水酸化物イオンの共通イオン効果によって、水酸化物イオン濃度が低いと(溶出液のpHが低いと)フッ素溶出量が多くなり、反対に、水酸化物イオン濃度が高いと(溶出液のpHが高いと)フッ素溶出量が少なくなる。具体的には、10mm以下の篩下には、40〜10mmの篩上に比べて、CaOやCa(OH)2といったカルシウム溶出量が多く、また、溶出液のpHが高いスラグ鉱物相がより多く含まれており、その結果としてフッ素溶出量が少なくなり、これとは反対に、40〜10mmの篩上はそのフッ素溶出量が多くなる傾向がある。従って、全体のフッ素溶出量は、10mm以下の篩下と40〜10mmの篩上との重量比率に依存してカルシウム溶出量や溶出液のpHが変化し、これらカルシウム溶出量や溶出液のpHの変化に基づいて様々に変化する。

0024

以上の検討結果から、フッ素含有二次精錬スラグのカルシウム溶出量や溶出液のpHが予測できればフッ素溶出量を予測できると考え、更に検討を進めた結果、フッ素含有二次精錬スラグ中のCaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)を用いることにより、上記の粒度の影響も含めた上で、フッ素溶出量の大小を予測できることを突き止めた。更にまた、前記成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合にはフッ素溶出量が3.5mg/L以上20mg/L以下であり、前記成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合にはフッ素溶出量が1mg/L以上3.5mg/L未満であることも突き止めた。

0025

ここで、前記フッ素含有二次精錬スラグ中のスラグ鉱物相のうち、カルシウムを溶出する主なスラグ鉱物相はCaO、Ca(OH)2、12CaO・7Al2O3、2CaO・SiO2・Al2O3であり、CaO、Ca(OH)2の方が、12CaO・7Al2O3、2CaO・SiO2・Al2O3と比べて、カルシウム溶出量が多く、溶出液のpHが高い。従って、前記成分組成比(CaO/Al2O3)が大きいと、すなわち、CaO成分が多く、Al2O3成分が少ないと、フッ素含有二次精錬スラグ中のCaOやCa(OH)2の含有量が多くなるので、カルシウム溶出量が多くなり、溶出液のpHが高くなる。一方、前記成分組成比(CaO/Al2O3)が小さいと、すなわち、CaO成分が少なく、Al2O3成分が多いと、2CaO・SiO2・Al2O3の含有量が多くなり、CaOやCa(OH)2の含有量が少なくなるので、カルシウム溶出量が少なくなり、溶出液のpHが低くなる。

0026

こうして、CaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)からフッ素含有二次精錬スラグのフッ素溶出量の大小を予測できることが判明した。そして、このことは、単にフッ素含有二次精錬スラグだけに限られることではなく、フッ素含有製鋼スラグが上述した成分組成を満たす限り、そこに含まれる主なスラグ鉱物相(フッ素含有スラグ鉱物相も含めて)前述の規定を満たすものであり、上記のフッ素含有溶銑予備処理スラグやフッ素含有転炉スラグについても同様に適用することができる。

0027

本発明は、上述したフッ素含有製鋼スラグについて、そのフッ素溶出量を土壌環境基準の0.8mg/L以下に低減させ、フッ素含有製鋼スラグを陸域用途の土木用資材として適用可能な状態にするものであり、フッ素含有製鋼スラグを含む水和固化体を生成させるものである。
ここで、このような水和固化体を生成させる方法としては、主として、以下の(1)〜(3)の方法がある。
(1)フッ素含有製鋼スラグに、他の原料としてフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤及び水(原料X)を混合する方法。
(2)フッ素含有製鋼スラグに、他の原料としてフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤及び水(原料Y)を混合する方法。
(3)フッ素含有製鋼スラグに、他の原料として高炉セメント、混和剤及び水(原料Z)を混合する方法。

0028

ここで、前記フッ素不含転炉スラグ、前記フッ素不含溶銑予備処理スラグ、前記フッ素不含二次精錬スラグにおけるフッ素不含有とは、F成分0.1質量%未満のスラグのことを言う。なお、このようなフッ素不含転炉スラグとして、カルシウム溶出量が少ない、炭酸化されたフッ素不含転炉スラグが存在するが、このようなフッ素不含転炉スラグは、フッ素溶出抑制効果が小さいことから、使わない方が好ましい。また、製造した水和固化体の破砕物に混合するものとして、フッ素溶出量が環境基準を超えない高炉徐冷スラグや高炉水砕スラグを用いるが、高炉では蛍石を使用しないため、通常、高炉徐冷スラグや高炉水砕スラグのフッ素溶出量は環境基準を超えない。また、混和剤としては、例えば、ポリカルボン酸系分散剤が挙げられる。更に、高炉スラグ微粉末と高炉セメントを併用したい場合には、高炉セメント中の高炉スラグ微粉末含有割合が異なる高炉セメントA種(高炉スラグ含有割合が5%を超え30%以下)と、B種(高炉スラグ含有割合が30%を超え60%以下)とを適宜使い分けるのが好ましい。高炉セメントには高炉スラグ微粉末とポルトランドセメントが含まれており、また、フッ素溶出抑制効果については高炉スラグ微粉末よりもポルトランドセメントの方が大きいので、高炉セメントとしてはポルトランドセメントの混合割合が高炉セメントB種以上(高炉スラグの混合割合が高炉セメントB種以下)のものが好ましい。

0029

また、上記フッ素含有製鋼スラグを含む水和固化体化において、他の原料として用いられるフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、及び高炉スラグ微粉末は次のような役割を果たす。フッ素不含転炉スラグにはCaOやCa(OH)2といったカルシウム溶出量が多く、溶出液のpHが高いスラグ鉱物相が多く含まれているので(大抵の場合、フッ素不含転炉スラグからのカルシウム溶出量は640mg/L以上である)、カルシウムイオンや水酸化物イオンを多く溶出させる役割がある。高炉セメントには3CaO・SiO2といったカルシウム溶出量が多く、溶出液のpHが高いセメント鉱物相が多く含まれ、さらに、高炉セメントの水和が進むとCa(OH)2が生成するので、カルシウムイオンや水酸化物イオンを多く溶出させる役割がある。また、高炉セメントの水和に伴い生成するカルシウムシリケート水和物カルシウムアルミネート水和物は、各原料を結合させるための結合剤として働く。高炉スラグ微粉末は、高炉セメントと同様に結合剤として働く。また、高炉セメント又は高炉スラグ微粉末の一部をフライアッシュ代替することができ、高炉セメント又は高炉スラグ微粉末の重量に対して30質量%以下をフライアッシュで置き換えることができる。

0030

更に、本発明の方法により調製されたフッ素含有製鋼スラグを含む水和固化体は、大気中で養生した後の粗破砕により容易に0.5〜1m3程度の大きさに破砕されるので、必要に応じて破砕し粒度調整を行うことにより、そのままでも、陸域用途の土木用資材として使用できる。

0031

次に、フッ素含有製鋼スラグを上述の他の原料と混合して水和固化体化することによって、フッ素溶出量が低減する理由を説明する。
1つ目の理由は、カルシウムイオンや水酸化物イオンの共通イオン効果による。前述の通り、フッ素不含転炉スラグや高炉セメントにはカルシウム溶出量が多く、溶出液のpHが高い物質が多く含まれているので、カルシウムイオンや水酸化物イオンの共通イオン効果が働き、フッ素溶出量が低減する。
2つ目の理由は、カルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込みによる。フッ素含有製鋼スラグ、フッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、高炉スラグ微粉末からカルシウムイオンが溶出し(特に、フッ素不含転炉スラグ、高炉セメントからはカルシウムイオンが多く溶出し)、フッ素含有製鋼スラグ、高炉セメント、高炉スラグ微粉末からアルミニウムイオンが溶出し、カルシウムイオンとアルミニウムイオンが反応してカルシウムアルミネート系の水和物が生成するが、この水和物にフッ素イオンが取り込まれることによって、フッ素溶出量が低減する。
3つ目の理由は、水和固化体化によって生成したカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物による、フッ素含有製鋼スラグ表面の被覆効果による。フッ素含有製鋼スラグを水和固化体にすると、カルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物によって、フッ素含有製鋼スラグの表面が覆われ、フッ素が溶出し難くなり、フッ素溶出量が低減する。

0032

そして、フッ素含有製鋼スラグにおける成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合には、このフッ素含有製鋼スラグからのフッ素溶出量が多くなるため、フッ素不含転炉スラグの混合が必須であり、上述の原料Xを混合する方法(1)又は原料Yを混合する方法(2)で水和固化体を製造し、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合には、フッ素含有製鋼スラグからのフッ素溶出量が少なくなるため、フッ素不含転炉スラグの混合は必ずしも必要ではなく、上述の原料Xを混合する方法(1)又は原料Zを混合する方法(3)で水和固化体を製造することによって、水和固化体のフッ素溶出量を土壌環境基準の0.8mg/L以下にすることができる。

0033

フッ素含有製鋼スラグとしては、フッ素含有溶銑予備処理スラグ、フッ素含有転炉スラグ、フッ素含有二次精錬スラグが挙げられるが、これらの中から2種類以上のフッ素含有製鋼スラグを選び、それらの混合物に対して本発明を適用する場合には、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下のもの同士は混合して使うことができ、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超のもの同士は混合して使うことができるが、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下のものと成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超のものとを混合して使うことはできない。

0034

また、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合に、原料Xを混合する方法(1)で水和固化体を製造する際、水和固化体が固化不良にならない製造条件は、フッ素含有製鋼スラグ、フッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水の総質量に対して、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下であって、水が4質量%以上14質量%以下であればよく、各原料を効率良く混練できるようにするために、混和剤を0.5質量%以下の割合で混合するのがよい。また、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの混合割合については、高炉スラグ微粉末はカルシウム溶出量が少ないので、製造された水和固化体のカルシウム溶出量を多くし、カルシウムイオンの共通イオン効果を働かせるために、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの合計量に対して、フッ素不含転炉スラグの混合割合をなるべく多くする必要がある。フッ素含有製鋼スラグのフッ素溶出量は3.5mg/L以上20mg/L以下であり、上限の20mg/Lに合せると、最大で5質量%以下の混合割合でなければならない。5質量%以下であれば、20mg/Lが単純に20倍希釈(100質量%/5質量%=20)されると1mg/Lになり、更にカルシウムイオンの共通イオン効果が働くことによって、土壌環境基準の0.8mg/L以下にすることが可能になる。従って、フッ素含有製鋼スラグの混合割合が1質量%以上5質量%以下、フッ素不含転炉スラグの混合割合が66質量%以上82質量%以下となる。また、原料Xとして、高炉スラグ微粉末の代替としてフライアッシュを8質量%以下の割合で混合することができる。

0035

更に、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合に、原料Yを混合する方法(2)で水和固化体を製造する際、水和固化体が固化不良にならない製造条件は、フッ素含有製鋼スラグ、フッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水の総質量に対して、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下であって、水が4質量%以上14質量%以下であればよく、各原料を効率良く混練できるようにするために、混和剤を0.5質量%以下の割合で混合するのがよい。また、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの混合割合については、高炉スラグ微粉末に比べて、高炉セメントはカルシウム溶出量が多いので、前述した原料Xを混合する方法(1)の場合よりも、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの合計量に対するフッ素含有製鋼スラグの混合割合を多くすることができ、フッ素含有製鋼スラグの混合割合が1質量%以上17質量%以下、フッ素不含転炉スラグの混合割合が70質量%以上86質量%以下となる。また、原料Xとして、高炉セメントの代替としてフライアッシュを6質量%以下の割合で混合することができる。

0036

更にまた、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合に、原料Xを混合する方法(1)で水和固化体を製造する際、水和固化体が固化不良にならない製造条件は、フッ素含有製鋼スラグ、フッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、混和剤、及び水の総質量に対して、高炉スラグ微粉末が12質量%以上28質量%以下であって、水が8質量%以上14質量%以下であればよく、各原料を効率良く混練できるようにするために、混和剤を0.5質量%以下の割合で混合するのがよい。また、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの混合割合については、高炉スラグ微粉末はカルシウム溶出量が少ないので、製造された水和固化体のカルシウム溶出量を多くし、カルシウムイオンの共通イオン効果を働かせるために、フッ素含有製鋼スラグとフッ素不含転炉スラグの合計量に対して、フッ素不含転炉スラグの混合割合をなるべく多くする必要がある。フッ素含有製鋼スラグのフッ素溶出量は1mg/L以上3.5mg/L以下であり、上限の3.5mg/Lに合せると、最大で23質量%以下の混合割合でなければならない。23質量%以下であれば、3.5mg/Lが単純に4.35倍希釈(100質量%/23質量%=4.35)されると0.8mg/Lになり、更にカルシウムイオンの共通イオン効果が働くことによって、土壌環境基準の0.8mg/L以下にすることが可能になる。また、CaO/Al2O3の計算値が1.9以下の場合の、原料Xを混合する方法(1)で水和固化体を製造する際におけるフッ素含有製鋼スラグの質量割合と範囲が重複しないように、6質量%以上でなければならない。従って、フッ素含有製鋼スラグの混合割合が6質量%以上23質量%以下であって、フッ素不含転炉スラグの混合割合が56質量%以上73質量%以下となる。また、原料Xとして、高炉スラグ微粉末の代替としてフライアッシュを8質量%以下の割合で混合することができる。

0037

そして、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合に、原料Zを混合する方法(3)で水和固化体を製造する際、水和固化体が固化不良にならない製造条件は、フッ素含有製鋼スラグ、高炉セメント、混和剤、及び水の総質量に対して、高炉セメントが8質量%以上23質量%以下であって、水が8質量%以上14質量%以下であればよく、各原料を効率良く混練できるようにするために、混和剤を0.5質量%以下の割合で混合するのがよい。また、フッ素含有製鋼スラグの混合割合については、高炉スラグ微粉末に比べて、高炉セメントはカルシウム溶出量が多いので、前述した原料Xを混合する方法(1)の場合よりも、フッ素含有製鋼スラグの混合割合を多くすることができる。しかし、フッ素含有製鋼スラグの合割合を多くし過ぎると、高炉セメントの混合割合が少なくなり過ぎて、カルシウム溶出量が少なくなってしまうので、フッ素含有製鋼スラグの混合割合は最大で70質量%にする必要がある。フッ素含有製鋼スラグの混合割合が70質量%の場合は、最大で高炉セメントの混合割合を22質量%(水の混合割合が8質量%)にできるが、これだけ高炉セメントが含まれていれば、十分にカルシウムイオンの共通イオン効果を働かせることができる。また、値成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合の、原料Xを混合する方法(1)で水和固化体を製造する際におけるフッ素含有製鋼スラグの混合割合と範囲が重複しないように、18質量%以上でなければならない。従って、フッ素含有製鋼スラグの混合割合が18質量%以上70質量%以下となる。また、原料Xとして、高炉セメントの代替としてフライアッシュを6質量%以下の割合で混合することができる。

0038

更に、本発明においては、前記他の原料として、上述した原料X、原料Y、又は原料Zに加えて、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ及び/又はフッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグからなるフッ素不含スラグを更に混合してもよい。この際の前記フッ素不含スラグの混合割合については、混合後の総重量に対して、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Xが添加される場合には17質量%以下であり、また、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下であって原料Yが添加される場合に17質量%以下であり、更に、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Xが添加される場合に18質量%以下であり、更にまた、前記フッ素含有製鋼スラグの成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超であって原料Zが添加される場合に66質量%以下である。これらフッ素不含スラグの混合割合が上記の場合を超えて高くなると、製造された水和固化体に含まれるフッ素含有製鋼スラグの混合割合が少なくなるので、陸域用途の土木用資材としてフッ素含有製鋼スラグをなるべく多く利用することができず、フッ素含有製鋼スラグの陸域用途促進を妨げるという問題が生じる虞がある。

0039

また、いずれの水和固化体においても、水和固化体の原料として、フッ素含有製鋼スラグ、フッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、高炉セメント、混和剤、及び水以外に、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ及びフッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグのいずれか一方又は両方を用いることができる。

0040

次に、本発明の方法で得られた水和固化体については、陸域用途の土木用資材として使用するため、必要により破砕し、用途に合わせて適切な粒度に調整する。そして、この粒度調整後の水和固化体については、フッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、フッ素を含有しないフッ素不含二次精錬スラグ、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、廃コンクリート、砂、礫、及び石から選ばれる1種以上と混合し、混合物として陸域用途の土木用資材に用いる。これらフッ素不含溶銑予備処理スラグ、フッ素不含転炉スラグ、フッ素不含二次精錬スラグ、高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ、廃コンクリート、砂、礫、及び石は、そのフッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/L以下であるので、混合物として陸域用途の土木用資材としても、そのフッ素溶出量が土壌環境基準を超えることはない。
なお、本発明の方法で得られた水和固化体は、そのフッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/L以下であるので、単に陸域用途の土木用資材としての利用に止まらず、例えば、セメントクリンカー原料等の他の用途にも適用可能である。

0041

〔実施例1〕
製鉄所内のスラグヤードにあるフッ素含有二次精錬スラグの山から、フッ素含有製鋼スラグとして、粒度が40mm以下のフッ素含有二次精錬スラグを複数水準採取した。この採取されたフッ素含有二次精錬スラグについて、環境庁告示46号に従って、フッ素溶出量、カルシウム溶出量、及び溶出液のpHをそれぞれ測定し、また、組成成分の内のCaO成分、SiO2成分、Al2O3成分、MgO成分、及びt−Fe成分については蛍光X線分析で、また、F成分については化学分析で測定し、更に、スラグ鉱物相については広角X線回折及びEPMA分析分析した。

0042

各フッ素含有二次精錬スラグの成分組成は、いずれも、CaO成分29質量%以上39質量%以下、SiO2成分12質量%以上18質量%以下、Al2O3成分11質量%以上32質量%以下、MgO成分5質量%以上10質量%以下、t−Fe成分5質量%以上17質量%以下、及びF成分0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲内であった。また、各フッ素含有二次精錬スラグに含まれるスラグ鉱物相は、いずれも、CaO、Ca(OH)2、12CaO・7Al2O3、2CaO・SiO2・Al2O3、2CaO・SiO2、MgO、及びMgO・Al2O3であり、また、主なフッ素含有スラグ鉱物相は11CaO・7Al2O3・CaF2であった。

0043

図1に成分組成比(CaO/Al2O3)とカルシウム溶出量との関係を、また、図2に成分組成比(CaO/Al2O3)と溶出液のpHとの関係を、更に、図3に成分組成比(CaO/Al2O3)とフッ素溶出量との関係をそれぞれ示す。

0044

図1から成分組成比(CaO/Al2O3)とカルシウム溶出量との間には正の相関があり、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9付近以上でCa溶出量が約800mg/Lで飽和していることが分かる。また、図2から成分組成比(CaO/Al2O3)と溶出液のpHとの間には正の相関があり、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9付近以上で溶出液のpHが12.5で飽和していることが分かる。これは、CaOやCa(OH)2の溶解平衡時のカルシウム溶出量が約800mg/Lであり、また、溶出液のpHが12.5であることに起因している。

0045

ここで、前述の通り、フッ素溶出量はカルシウムイオンと水酸化物イオンの共通イオン効果を受けることによって、図3に示す通り、成分組成比(CaO/Al2O3)とフッ素溶出量とが負の相関関係を示すことになる。また、フッ素含有二次精錬スラグからはアルミニウムイオンが溶出するので、フッ素溶出量は、カルシウムイオンと水酸化物イオンの共通イオン効果を受けると同時に、カルシウムイオンとアルミニウムイオンが反応し生成したカルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果も受けることになる。すなわち、フッ素溶出量は、(a)カルシウムイオンや水酸化物イオンの共通イオン効果、(b)カルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果、の両方を受けるが、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9付近以下の場合には、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9に近づくほど(a)と(b)の効果が発揮され易くなる。一方で、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9付近以上の場合には、この成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9付近以上になると、(a)の効果が飽和し、(b)の効果がより強く発揮されるようなると推測される。

0046

この成分組成比(CaO/Al2O3)とフッ素溶出量との間にある負の相関関係を利用することによって、フッ素溶出量別にフッ素含有二次精錬スラグを2種類に分別できる。すなわち、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下の場合にはフッ素溶出量が3.5mg/L以上20mg/L以下であって、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超の場合はフッ素溶出量が1mg/L以上3.5mg/L未満になる。

0047

次に、コンクリート混練機を用いてフッ素含有二次精錬スラグに他の原料を混合して混練し、水和固化体を製造した。得られた各水和固化体について、環境庁告示46号に従ってフッ素溶出量を測定した。
ここで、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下のフッ素含有二次精錬スラグのうち、フッ素溶出量が最小のものは3.5mg/Lであって、フッ素溶出量が最大のものは19.1mg/Lであり、それぞれスラグA、スラグBと名付けた。これらスラグAとスラグBを用いて水和固化体を製造し、環境庁告示46号によってフッ素溶出量を測定した。

0048

フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有二次精錬スラグ、他の原料としてのフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料X)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素不含溶銑予備処理スラグを用い、水和固化体を製造した場合の結果を表1に示す。

0049

また、フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有二次精錬スラグ、他の原料としてのフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料Y)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素不含溶銑予備処理スラグを用いて水和固化体を製造した場合の結果を表2に示す。

0050

そして、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超のフッ素含有二次精錬スラグのうち、フッ素溶出量が最小のものは1.1mg/Lであって、フッ素溶出量が最大のものは3.2mg/Lであり、それぞれスラグC、スラグDと名付けた。これらスラグCとスラグDを用いて水和固化体を製造し、環境庁告示46号によってフッ素溶出量を測定した。

0051

フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有二次精錬スラグ、他の原料としてのフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料X)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素不含溶銑予備処理スラグを用いて水和固化体を製造した場合の結果を表3に示す。

0052

また、フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有二次精錬スラグ、高炉セメント、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料Z;なお、総質量が100質量%に満たない場合は、フッ素不含スラグとしてフッ素不含溶銑予備処理スラグを添加し、総質量が100質量%になるように調整した。)を用いて水和固化体を製造した場合の結果を表4に示す。なお、高炉セメントの一部を、フッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグで置き換えて、水和固化体を製造した場合の結果を併せてこの表4に示す。

0053

0054

0055

0056

0057

表1〜表4において、発明例はフッ素溶出量が0.8mg/L以下となって課題が解決できた場合であり、また、比較例はフッ素溶出量が0.8mg/L超となって課題が解決できなかった場合である。
表1において、発明例3は、各原料の混合割合が規定範囲内の中間付近になるように配合されたものである。発明例1と発明例2は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の1質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合をそれぞれ下限の66質量%、上限の82質量%として配合されたものである。発明例4と発明例5は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の5質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合をそれぞれ下限の66質量%、上限の79質量%(82質量%では全体の混合割合が103質量%となるため、最大で79質量%)として配合されたものである。比較例1と比較例2は、フッ素含有二次精錬スラグの質量割合が上限の5質量%の場合で、フッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグの混合割合がそれぞれ規定範囲の下限以下、水の混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例3は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が規定範囲の上限以上の8質量%で配合されたものである。比較例1は、フッ素不含転炉スラグが少ないので、カルシウム溶出量が少なくなり、カルシウムイオンの共通イオン効果やカルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果が働き難くなったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたものと考えられる。比較例2は、水が少ないので、生成したカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物が少なく、フッ素含有二次精錬スラグ表面の被覆効果が働き難かったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例3は、フッ素含有二次精錬スラグが多いので、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。更に、発明例22、発明例23、及び発明例24は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合を下限の1質量%、中間の3質量%、上限の5質量%とし、フッ素不含転炉スラグの一部をフッ素不含溶銑予備処理スラグで置き換えて配合されたものである。発明例69、発明例70、及び発明例71は、それぞれ発明例1、発明例3、及び発明例4において、使用された高炉スラグ微粉末の一部をフライアッシュで置き換えて配合されたものである。

0058

表2において、発明例8と発明例9は、各原料の混合割合が規定範囲内の中間付近になるように配合されたものである。発明例6と発明例7は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の1質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合をそれぞれ下限の70質量%、上限の86質量%として配合されたものである。発明例10は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の17質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合を下限の70質量%として配合されたものである。比較例4と比較例5は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の17質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合がそれぞれ規定範囲の下限以下、水の混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例6は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が規定範囲の上限以上の18質量%で配合されたものである。比較例4は、フッ素不含転炉スラグが少ないので、カルシウム溶出量が少なくなり、カルシウムイオンの共通イオン効果やカルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果が働き難くなったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例5は、水が少ないので、生成したカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物が少なく、フッ素含有二次精錬スラグ表面の被覆効果が働きにくかったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例6は、フッ素含有二次精錬スラグが多いので、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。更に、発明例25、発明例26、及び発明例27は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合を下限の1質量%、中間の9質量%又は13質量%とし、フッ素不含転炉スラグの一部をフッ素不含溶銑予備処理スラグで置き換えて配合されたものである。発明例72、発明例73、発明例74、及び発明例75は、それぞれ発明例6、発明例8、発明例9、及び発明例10において、使用された高炉セメントの一部をフライアッシュで置き換えて配合されたものである。

0059

表3において、発明例13と発明例14は、各原料の混合割合が規定範囲内の中間付近になるように配合されたものである。発明例11と発明例12は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の6質量%の場合であり、フッ素不含炉スラグの混合割合をそれぞれ下限の56質量%、上限の73質量%として配合されたものである。発明例15は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の23質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合を下限の56質量%として配合されたものである。比較例7は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の6質量%であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例8と比較例9は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の23質量%の場合であり、フッ素不含転炉スラグの混合割合がそれぞれ規定範囲の下限以下、水の混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例10は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が規定範囲の上限以上の24質量%で配合されたものである。比較例7と比較例8は、フッ素不含転炉スラグが少ないので、カルシウム溶出量が少なくなり、カルシウムイオンの共通イオン効果やカルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果が働き難くなったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例9は、水が少ないので、生成したカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物が少なく、フッ素含有二次精錬スラグ表面の被覆効果が働きにくかったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例10は、フッ素含有二次精錬スラグが多いので、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。更に、発明例28、発明例29、及び発明例30は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合を下限の6質量%、中間の14質量%、上限の18質量%とし、フッ素不含転炉スラグの一部をフッ素不含溶銑予備処理スラグで置き換えて配合されたものである。発明例76、発明例77、発明例78、及び発明例79は、それぞれ発明例11、発明例13、発明例14、及び発明例15において、使用された高炉スラグ微粉末の一部をフライアッシュで置き換えて配合されたものである。

0060

表4において、発明例18と発明例19は、各原料の混合割合が規定範囲内の中間付近になるように配合されたものである。発明例16と発明例17は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の18質量%の場合であり、高炉セメントの混合割合をそれぞれ下限の8質量%、上限の23質量%として配合されたものである。発明例20は、フッ素不含溶銑予備処理スラグを含まないように配合されたものである。発明例21は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の70質量%の場合であり、高炉セメントの混合割合を下限の8質量%として配合されたものである。比較例13は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が下限の18質量%であり、高炉セメントの混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例14と比較例15は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が上限の70質量%の場合であり、それぞれ高炉セメントの混合割合が規定範囲の下限以下、水の混合割合が規定範囲の下限以下で配合されたものである。比較例16は、フッ素含有二次精錬スラグの混合割合が規定範囲の上限以上の80質量%で配合されたものである。比較例13は、高炉セメントが少ないので、固化不良を起こし、水和固化体を製造することができなかったものである。比較例14は、高炉セメントが少ないので、カルシウム溶出量が少なくなり、カルシウムイオンの共通イオン効果やカルシウムアルミネート系の水和物へのフッ素イオンの取り込み効果が働き難くなったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例15は、水が少ないので、生成したカルシウムシリケート水和物やカルシウムアルミネート水和物が少なく、フッ素含有二次精錬スラグ表面の被覆効果が働きにくかったため、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。比較例16は、フッ素含有二次精錬スラグが多いので、フッ素溶出量が土壌環境基準の0.8mg/Lを超えたと考えられる。更に、発明例31〜34は、それぞれ発明例18〜21における高炉セメントの混合割合のうち、3割程度をフッ素不含転炉スラグに置き換えて水和固化体を製造した発明例である。発明例80、発明例81、発明例82、及び発明例83は、それぞれ発明例17、発明例18、発明例19、及び発明例21において、使用された高炉セメントの一部をフライアッシュで置き換えて配合されたものである。

0061

このようにして製造された実施例1の発明例にかかる水和固化体は、破砕して土木用資材として利用することができる。土木用資材については、特に規格はなく、土木用資材として要求される粒度や単位重量等の物性条件を満足すればよい。

0062

〔実施例2〕
製鉄所内のスラグヤードにあるフッ素含有溶銑予備処理スラグの山から、フッ素含有製鋼スラグとして、粒度が40mm以下のフッ素含有溶銑予備処理スラグを複数水準採取した。この採取されたフッ素含有溶銑予備処理スラグについて、上記実施例1の場合と同様にして、CaO成分、SiO2成分、Al2O3成分、MgO成分、t−Fe成分、及びF成分を測定すると共に、スラグ鉱物相を分析した。採取された各フッ素含有溶銑予備処理スラグの成分組成は、いずれも、CaO成分29質量%以上39質量%以下、SiO2成分12質量%以上18質量%以下、Al2O3成分11質量%以上32質量%以下、MgO成分5質量%以上10質量%以下、t−Fe成分5質量%以上17質量%以下、及びF成分0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲内であった。

0063

また、各フッ素含有溶銑予備処理スラグに含まれるスラグ鉱物相は、いずれも、CaO、Ca(OH)2、12CaO・7Al2O3、2CaO・SiO2・Al2O3、2CaO・SiO2、MgO、及びMgO・Al2O3であり、また、主なフッ素含有スラグ鉱物相は11CaO・7Al2O3・CaF2であった。

0064

次に、コンクリート混練機を用いて各フッ素含有溶銑予備処理スラグ中に、表5〜8に示すように、他の原料を混合し混練して水和固化体を製造し、得られた水和固化体について、環境庁告示46号に従ってフッ素溶出量を測定した。
ここで、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9以下のフッ素含有溶銑予備処理スラグのうち、フッ素溶出量が最小のものは3.6mg/Lであって、フッ素溶出量が最大のものは19.8mg/Lであり、それぞれスラグE、スラグFと名付けた。これらスラグEとスラグFを用いて水和固化体を製造し、環境庁告示46号によってフッ素溶出量を測定した。

0065

フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有溶銑予備処理スラグ、他の原料としてのフッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料X)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素を含有しないフッ素不含溶銑予備処理スラグを用い、水和固化体を製造した場合の結果を表5に示す。

0066

フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有溶銑予備処理スラグ、他の原料としてのフッ素不含転炉スラグ、高炉セメント、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料Y)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素不含溶銑予備処理スラグを用い、水和固化体を製造した場合の結果を表6に示す。

0067

また、成分組成比(CaO/Al2O3)が1.9超のフッ素含有溶銑予備処理スラグのうち、フッ素溶出量が最小のものは1.3mg/Lであって、フッ素溶出量が最大のものは3.3mg/Lであり、それぞれスラグG、スラグHと名付けた。これらスラグGとスラグHを用いて水和固化体を製造し、環境庁告示46号によってフッ素溶出量を測定した。

0068

更に、フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有溶銑予備処理スラグ、他の原料としてのフッ素不含転炉スラグ、高炉スラグ微粉末、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料X)、並びに、フッ素不含スラグとしてのフッ素不含溶銑予備処理スラグを用い、水和固化体を製造した場合の結果を表7に示す。

0069

更にまた、フッ素含有製鋼スラグとしてのフッ素含有溶銑予備処理スラグ、他の原料としての高炉セメント、フライアッシュ、混和剤、及び水(原料Z;なお、総質量が100質量%に満たない場合は、フッ素不含スラグとしてフッ素不含溶銑予備処理スラグを添加し、総質量が100質量%になるように調整した。)を用いて水和固化体を製造した場合の結果を表8に示す。なお、高炉セメントの一部を、フッ素を含有しないフッ素不含転炉スラグで置き換えて、水和固化体を製造した場合の結果を併せてこの表8に示す。
なお、上記の表5〜表8において、発明例はフッ素溶出量が0.8mg/L以下となって課題が解決できた場合であり、また、比較例はフッ素溶出量が0.8mg/L超となって課題が解決できなかった場合である。

0070

0071

0072

0073

0074

〔比較実施例1〕
本発明の対象となるフッ素含有製鋼スラグの成分組成の範囲から外れた成分組成を有するフッ素含有二次精錬スラグについて、環境庁告示46号に従ってフッ素溶出量を測定した。
ここで、フッ素含有二次精錬スラグの成分組成は、CaO成分41質量%、SiO2成分14質量%、Al2O3成分13質量%、MgO成分5質量%、t−Fe成分17質量%、及びF成分0.54質量%であって、CaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が3.2であり、フッ素溶出量が3.8mg/Lであった。
成分組成比(CaO/Al2O3)が3.2であって1.9超なので、フッ素溶出量が1mg/L以上3.5mg/L未満と予想されたが、実際のフッ素溶出量は3.8mg/Lであった。

実施例

0075

〔比較実施例2〕
また、成分組成が本発明の範囲から外れたフッ素含有転炉スラグについて、比較実施例1の場合と同様に、環境庁告示46号に従ってフッ素溶出量を測定した。
ここで、フッ素含有転炉スラグの成分組成は、CaO成分45質量%、SiO2成分14質量%、Al2O3成分5質量%、MgO成分7質量%、t−Fe成分15質量%、及びF成分1.0質量%であって、CaO成分とAl2O3成分との成分組成比(CaO/Al2O3)が9.0であり、フッ素溶出量が4.3mg/Lであった。
成分組成比(CaO/Al2O3)が9.0であって1.9超なので、フッ素溶出量が1mg/L以上3.5mg/L未満と予想されたが、実際のフッ素溶出量は4.3mg/Lであった。
このように、フッ素を含有する製鋼スラグの成分組成が本発明の範囲から外れる場合には、当該製鋼スラグに対して本発明を適用することができない。

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