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図面 (11)

課題

被検物質測定精度を向上させることが可能な被検物質の測定方法及び被検物質測定キットを提供する

解決手段

被検物質測定キット10は、被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾された蛍光粒子P1と、被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された非蛍光粒子P2と、被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質が固定される第一の金属膜11と、被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、第一の金属膜11よりも厚みの薄い第二の金属膜12とが形成された基板1と、を備える。

概要

背景

被検物質に含まれるタンパク質酵素、及び無機化合物等を定量するための高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。この蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する被検物質を含むと考えられる被検試料に上記特定波長の励起光照射した際に発する蛍光を検出することによって被検物質の存在を確認する方法である。また、被検物質が蛍光体でない場合には、蛍光色素で標識されて被検物質と特異的に結合する物質を被検試料に接触させ、その後上記と同様にして蛍光を検出することにより、被検物質の存在を確認することも広くなされている。

このような蛍光検出法において、検出の感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が知られている。この方法では、プラズモン共鳴を生じさせるため、透明な支持体上の所定領域に金属膜を設けたセンサチップを用意する。そして、支持体と金属膜との界面に対して支持体における金属膜形成面の反対面側から全反射角以上の角度で励起光を入射させる。この励起光の照射により金属膜に表面プラズモンが発生し、この表面プラズモンの発生による電場増強作用によって蛍光が増強され、シグナルノイズ比(S/N比)が向上することとなる。表面プラズモン励起による蛍光検出法(以下、「SPF法」とする)は、落射励起による蛍光検出法と比較して約10倍の信号増強度が得られ、高感度に測定することができる。

このようなSPF法の例として、特許文献1には、測定領域とリファレンス測定領域が形成された誘電体プレートを用いる例が記載されている。測定領域とリファレンス測定領域は、厚みの異なる金属膜で構成され、測定領域の金属膜上には被検物質と特異的に結合する物質が固定され、リファレンス測定領域の金属膜上には何も物質が固定されていない構成となっている。

従来のSPF法を利用した免疫診断ステムでは、測定時の誤差や、製品に含まれる試薬量等のバラツキを軽減するために、被検物質に反応する測定領域のシグナル値を、被検試料の量に比例する補正領域のシグナル値で補正して測定精度を上げる方法が採用されている。

例えば、特許文献2には、被検物質と結合できる第1の結合物質、及び、第1の結合物質に結合性を有する第2の結合物質と結合できかつ被検物質と結合しない第3の結合物質を結合させた蛍光粒子を被検試料に混ぜた溶液を作成し、この溶液を、第1の結合物質及び第3の結合物質とは結合せず、被検物質とは結合する第4の結合物質を固定した測定領域、及び、第2の結合物質を固定した補正領域が形成された流路流し込み、測定領域で検出されるシグナルを補正領域で検出されるシグナルを用いて補正することで、補正領域のシグナル値と測定領域のシグナル値の温度依存性の差を小さくする技術が開示されている。

また、特許文献3には、表面プラズモン共鳴を利用したセンサチップにおいて、センサチップの傾きによる検出シグナルの誤差を補正し、正確な濃度分布を可能にする分析装置において、補正領域と測定領域を構成する金属膜の厚みを異ならせる例が開示されている。具体的には、測定領域よりも補正領域の金属膜の厚みを薄くすると共に、測定領域上にのみ被検物質と結合する物質を固定したセンサチップを用いている。

また、被検試料に起因する現象として、被検物質を含まない陰性の被検試料に対しても反応し、陽性となる被検試料が存在し、偽陽性を示す問題が従来から認識されている。

特許文献4には、免疫学的測定方法、特に、凝集を利用した免疫学的測定方法において、0.3〜2.0μmの感作粒子非特異的免疫反応を阻止するために0.2μm以下の超微粒子を使用して偽陽性を改良する技術が記載されている。

特許文献5には、0.4μm以上の感作粒子を用いた免疫凝集反応により被検物質を検出する方法において、ブロッキングに使用する粒子として0.01μm〜0.5μmの不溶性担体粒子を用いることが記載されている。

特許文献6には、非特異反応の抑制を目的として、特異的に反応する粒子よりも小さい粒子に被検物質と免疫学的に反応しない抗体、または抗原を固定したものを添加する方法が記載されている。

特許文献7には、被検物質に対して免疫学的に反応する抗体あるいは抗原を平均粒子径0.05〜0.5μmの担体担持した免疫測定粒子を使用する免疫測定方法に用いられる非特異反応抑制剤であって、被検物質に対して免疫学的に反応しない抗体または抗原を有機溶媒存在下で担持した不溶性担体からなり、不溶性担体の平均粒子径が担体の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする非特異反応抑制剤が記載されている。

特許文献8には、種々の生体分子間における特異的な結合反応と非特異的な結合反応を識別する検出方法において、外径1μm以下の粒子により非特異反応の影響を抑止することが記載されている。

概要

被検物質の測定精度を向上させることが可能な被検物質の測定方法及び被検物質測定キットを提供する被検物質測定キット10は、被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾された蛍光粒子P1と、被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された非蛍光粒子P2と、被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質が固定される第一の金属膜11と、被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、第一の金属膜11よりも厚みの薄い第二の金属膜12とが形成された基板1と、を備える。

目的

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被検物質の測定精度を向上させることが可能な被検物質測定キット及び被検物質の測定方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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請求項1

被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、前記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子と、前記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質、又は、前記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定される第一の金属膜と、前記被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、前記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜とが形成された基板と、を備える被検物質測定キット

請求項2

請求項1記載の被検物質測定キットであって、前記第二の乾燥粒子は、標識を有さず、前記第四の結合物質は、前記第一の結合物質及び前記第二の結合物質の各々に対して結合性を有する被検物質測定キット。

請求項3

請求項1又は2記載の被検物質測定キットであって、前記第一の金属膜の平均厚みが35nm以上42nm以下であり、前記第二の金属膜の平均厚みが24nm以上32nm以下である被検物質測定キット。

請求項4

請求項1〜3のいずれか1項記載の被検物質測定キットであって、前記第一の乾燥粒子の平均粒子径が100nm以上200nm以下であり、前記第二の乾燥粒子の平均粒子径が100nm以上200nm以下である被検物質測定キット。

請求項5

請求項1〜4のいずれか1項記載の被検物質測定キットであって、前記第一の金属膜と前記第二の金属膜が金を含む被検物質測定キット。

請求項6

請求項1〜5のいずれか1項記載の被検物質測定キットであって、前記第三の結合物質と前記第四の結合物質が抗体である被検物質測定キット。

請求項7

請求項1〜6のいずれか1項記載の被検物質測定キットであって、前記第一の乾燥粒子が蛍光ラテックス粒子であり、前記第二の乾燥粒子がラテックス粒子である被検物質測定キット。

請求項8

被検物質と、前記被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、前記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子とを含む溶液を、前記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質又は前記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定された第一の金属膜、及び、前記被検物質と結合性を有さず、前記第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、前記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜、に接触させる工程と、前記第一の金属膜及び前記第二の金属膜の各々から前記標識に応じた信号を検出する工程と、前記第二の金属膜から検出した信号を用いて前記第一の金属膜から検出した信号を補正する工程と、を備える被検物質の測定方法

請求項9

請求項8記載の被検物質の測定方法であって、前記第二の乾燥粒子は、標識を有さず、前記第四の結合物質は、前記第一の結合物質及び前記第二の結合物質の各々に対して結合性を有する被検物質の測定方法。

請求項10

請求項8又は9記載の被検物質の測定方法であって、前記第一の金属膜の平均厚みが35nm以上42nm以下であり、前記第二の金属膜の平均厚みが24nm以上32nm以下である被検物質の測定方法。

技術分野

0001

本発明は、不溶性担体を使用し抗原抗体反応などに基づいて被検物質を測定するための被検物質測定キット及び被検物質の測定方法に関する。

背景技術

0002

被検物質に含まれるタンパク質酵素、及び無機化合物等を定量するための高感度かつ容易な測定法として蛍光検出法が広く用いられている。この蛍光検出法は、特定波長の光により励起されて蛍光を発する被検物質を含むと考えられる被検試料に上記特定波長の励起光照射した際に発する蛍光を検出することによって被検物質の存在を確認する方法である。また、被検物質が蛍光体でない場合には、蛍光色素で標識されて被検物質と特異的に結合する物質を被検試料に接触させ、その後上記と同様にして蛍光を検出することにより、被検物質の存在を確認することも広くなされている。

0003

このような蛍光検出法において、検出の感度を向上させるため、プラズモン共鳴による電場増強の効果を利用する方法が知られている。この方法では、プラズモン共鳴を生じさせるため、透明な支持体上の所定領域に金属膜を設けたセンサチップを用意する。そして、支持体と金属膜との界面に対して支持体における金属膜形成面の反対面側から全反射角以上の角度で励起光を入射させる。この励起光の照射により金属膜に表面プラズモンが発生し、この表面プラズモンの発生による電場増強作用によって蛍光が増強され、シグナルノイズ比(S/N比)が向上することとなる。表面プラズモン励起による蛍光検出法(以下、「SPF法」とする)は、落射励起による蛍光検出法と比較して約10倍の信号増強度が得られ、高感度に測定することができる。

0004

このようなSPF法の例として、特許文献1には、測定領域とリファレンス測定領域が形成された誘電体プレートを用いる例が記載されている。測定領域とリファレンス測定領域は、厚みの異なる金属膜で構成され、測定領域の金属膜上には被検物質と特異的に結合する物質が固定され、リファレンス測定領域の金属膜上には何も物質が固定されていない構成となっている。

0005

従来のSPF法を利用した免疫診断ステムでは、測定時の誤差や、製品に含まれる試薬量等のバラツキを軽減するために、被検物質に反応する測定領域のシグナル値を、被検試料の量に比例する補正領域のシグナル値で補正して測定精度を上げる方法が採用されている。

0006

例えば、特許文献2には、被検物質と結合できる第1の結合物質、及び、第1の結合物質に結合性を有する第2の結合物質と結合できかつ被検物質と結合しない第3の結合物質を結合させた蛍光粒子を被検試料に混ぜた溶液を作成し、この溶液を、第1の結合物質及び第3の結合物質とは結合せず、被検物質とは結合する第4の結合物質を固定した測定領域、及び、第2の結合物質を固定した補正領域が形成された流路流し込み、測定領域で検出されるシグナルを補正領域で検出されるシグナルを用いて補正することで、補正領域のシグナル値と測定領域のシグナル値の温度依存性の差を小さくする技術が開示されている。

0007

また、特許文献3には、表面プラズモン共鳴を利用したセンサチップにおいて、センサチップの傾きによる検出シグナルの誤差を補正し、正確な濃度分布を可能にする分析装置において、補正領域と測定領域を構成する金属膜の厚みを異ならせる例が開示されている。具体的には、測定領域よりも補正領域の金属膜の厚みを薄くすると共に、測定領域上にのみ被検物質と結合する物質を固定したセンサチップを用いている。

0008

また、被検試料に起因する現象として、被検物質を含まない陰性の被検試料に対しても反応し、陽性となる被検試料が存在し、偽陽性を示す問題が従来から認識されている。

0009

特許文献4には、免疫学的測定方法、特に、凝集を利用した免疫学的測定方法において、0.3〜2.0μmの感作粒子非特異的免疫反応を阻止するために0.2μm以下の超微粒子を使用して偽陽性を改良する技術が記載されている。

0010

特許文献5には、0.4μm以上の感作粒子を用いた免疫凝集反応により被検物質を検出する方法において、ブロッキングに使用する粒子として0.01μm〜0.5μmの不溶性担体粒子を用いることが記載されている。

0011

特許文献6には、非特異反応の抑制を目的として、特異的に反応する粒子よりも小さい粒子に被検物質と免疫学的に反応しない抗体、または抗原を固定したものを添加する方法が記載されている。

0012

特許文献7には、被検物質に対して免疫学的に反応する抗体あるいは抗原を平均粒子径0.05〜0.5μmの担体担持した免疫測定粒子を使用する免疫測定方法に用いられる非特異反応抑制剤であって、被検物質に対して免疫学的に反応しない抗体または抗原を有機溶媒存在下で担持した不溶性担体からなり、不溶性担体の平均粒子径が担体の平均粒子径よりも小さいことを特徴とする非特異反応抑制剤が記載されている。

0013

特許文献8には、種々の生体分子間における特異的な結合反応と非特異的な結合反応を識別する検出方法において、外径1μm以下の粒子により非特異反応の影響を抑止することが記載されている。

先行技術

0014

特開2009−079970号公報
特開2013−083632号公報
特開2003−057173号公報
特開昭60−256057号公報
特開2000−221196号公報
特開平11−337551号公報
特開2007−127438号公報
特開2010−19553号公報

発明が解決しようとする課題

0015

このように、多量の微粒子を使用することで偽陽性の問題を軽減する技術が知られている。しかし、これらの技術は多量の微粒子を使用するため、特許文献2に記載されているように、測定領域と補正領域のそれぞれにおいて微粒子が固着される可能性のあるシステムにおいては、測定領域と補正領域において、固着される微粒子の数に大きな差が生じることになる。この結果、測定領域と補正領域で屈折率が大きく変化して、励起光の入射角設計値からのずれに対するプラズモン増強度の変化が、補正領域と測定領域で大きく異なり、補正領域のシグナル値を用いた補正の精度が低下する可能性がある。特許文献2ではこのような課題について認識はない。

0016

また、特許文献1,3に記載された技術は、光検出の対象となる複数の領域に粒子が固着されるものではなく、このような固着粒子数の差に起因する補正精度低下といった課題についての認識はない。

0017

本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、被検物質の測定精度を向上させることが可能な被検物質測定キット及び被検物質の測定方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0018

本発明の被検物質測定キットは、被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質、又は、上記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定される第一の金属膜と、上記被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、上記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜とが形成された基板と、を備えるものである。

0019

本発明の被検物質の測定方法は、被検物質と、上記被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子とを含む溶液を、上記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質又は上記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定された第一の金属膜、及び、上記被検物質と結合性を有さず、上記第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、上記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜、に接触させる工程と、上記第一の金属膜及び上記第二の金属膜の各々から上記標識に応じた信号を検出する工程と、上記第二の金属膜から検出した信号を用いて上記第一の金属膜から検出した信号を補正する工程と、を備えるものである。

発明の効果

0020

本発明によれば、被検物質の測定精度を向上させることが可能な被検物質測定キット及び被検物質の測定方法を提供することができる。

図面の簡単な説明

0021

本発明の一実施形態である被検物質測定キット10の概略構成を示す図である。
図1に示すII−II線断面模式図である。
被検物質測定キット10の金属膜付近での作用を説明する図である。
被検物質測定キット10を利用して被検物質を測定する被検物質測定装置の概略構成を示す図である。
励起光入射角のばらつきとプラズモン増強度との関係を説明するための図である。
厚みの異なる金属膜を形成する方法の一例を示す図である。
実施例1の測定結果を示す図である。
実施例2の測定結果を示す図である。
実施例3の測定結果を示す図である。
実施例3の測定結果を示す図である。

0022

以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。

0023

図1は、本発明の一実施形態である被検物質測定キット10の概略構成を示す図である。被検物質測定キット10は、人や動物の血液等の被検試料に含まれる特定の被検物質を検出するために用いられるキットである。図2は、図1に示すII−II線断面模式図である。

0024

被検物質測定キット10は、基板1と流路形成用部材2とを主体に構成されている。

0025

流路形成用部材2は、図1の例では全体形状ブリッジ状となっている凹部23が一方の面に形成されている。流路形成用部材2は、この一方の面が基板1の表面と貼り合わせられている。そして、図2に示すように、凹部23の内壁と基板1とで囲まれる空間により、被検試料を含む溶液を流すための流路が形成される。

0026

流路形成用部材2には、一方の面から他方の面に貫通する流入孔21及び排出孔22が形成されている。流入孔21は、凹部23の内壁と基板1とで囲まれる空間からなる流路に、被検試料を含む溶液を流し込むためのものである。排出孔22は、この流路から被検試料を含む溶液を外部に排出するためのものである。

0027

流路形成用部材2の他方の面には、本発明に有用な物質、例えば乾燥粒子の凝集防止に有用な物質(不図示)を保管する容器24と、被検物質測定キット10の測定対象としている被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質M1で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子P1、及び、被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質M2で修飾され、標識を有さない第二の乾燥粒子P2を保管する容器25とが固定されている。容器24に保管される物質としては、たとえば、塩化マグネシウムが挙げられる。

0028

第一の乾燥粒子P1が有する標識の種類は、SPF法によって検出することができるものであれば特に限定されないが、好ましくは蛍光物質である。

0029

図2に示すように、基板1には、第一の金属膜11と第二の金属膜12が形成されている。具体的には、基板1の表面のうち流路が形成される部分において、この流路に沿って、流入孔21側から第一の金属膜11と第二の金属膜12がこの順に並べて形成されている。本明細書において「基板に形成される」とは、金属膜が基板表面に直接接触するように配置されている場合のほか、金属膜が基板に直接接触することなく、他の層を介して形成されている場合をも含む。第一の金属膜11及び第二の金属膜12を構成する金属としては、表面プラズモン共鳴が生じ得るような物質を用いることができる。プラズモン共鳴を効果的に誘起するためには、第一の金属膜11及び第二の金属膜12の材料として金を含むものを用いることが好ましく、全てを金で構成することがより好ましい。

0030

第一の金属膜11の表面には、被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質M3が固定されている。第一の金属膜11により、被検物質量を測定するための測定領域が構成される。

0031

第二の金属膜12の表面には、被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質M1と第二の結合物質M2の各々に対して結合性を有する第四の結合物質M4が固定されている。また、第二の金属膜12の厚みは、第一の金属膜11よりも薄くなっている。第二の金属膜12により、測定領域で測定されたシグナルを補正するため補正領域が構成される。

0032

図3は、被検物質測定キット10の使用時における第一の金属膜11及び第二の金属膜12に捕捉される物質を説明するための図である。図3では、サンドイッチ法による測定方法を採用したときの状態を示している。

0033

被検物質測定キット10を使用する際は、被検物質を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と、容器24に保管される物質と、第一の乾燥粒子P1と、第二の乾燥粒子P2とを混合した溶液を作製する。被検試料中に被検物質が存在する場合には、この溶液中で、第一の乾燥粒子P1を修飾する第一の結合物質M1と被検物質が結合する。そして、この溶液を流入孔21から流し込み、排出孔22から流路内の空気吸引を行って流路内で溶液を移動させ、溶液を第一の金属膜11及び第二の金属膜12の順に接触させる。

0034

被検試料中に被検物質が存在する場合には、図3に示すように、第一の金属膜11上の第三の結合物質M3が、第一の乾燥粒子P1と結合している被検物質と結合し、被検物質の量に応じた第一の乾燥粒子P1が第一の金属膜11上に固定される。

0035

また、第二の金属膜12上では、第二の金属膜12上の第四の結合物質M4が、第一の金属膜11上に固定されずに通過した第一の乾燥粒子P1及び第二の乾燥粒子P2と結合し、第一の乾燥粒子P1及び第二の乾燥粒子P2が固定される。

0036

溶液中における被検物質の占める割合は微小であるため、被検物質測定キット10によれば、第一の金属膜11上に固定される乾燥粒子の量よりも、第二の金属膜12上に固定される乾燥粒子の量が遥かに大きくなる。

0037

図4は、被検物質測定装置50の概略構成を示す図である。

0038

被検物質測定装置50は、励起光を照射する光源31を内蔵し、光源31から照射される励起光を基板1の背面側から基板1と第一の金属膜11及び第二の金属膜12との界面に対して所定角度で照射する照明部30と、励起光の入射によって第一の金属膜11及び第二の金属膜12表面から発せられる蛍光を検出するための測定部40とを備える。測定部40は、フォトダイオード等の光量検出部41を含み、光量検出部41が照明部30から照射される光を検出しないように、光量検出部41の前方には光源31から照射される光をカットする励起光カットフィルタ42が設けられている。

0039

被検物質測定装置50は、更に図示しない演算処理部を備える。演算処理部は、光量検出部41で検出された光量に応じた信号に基づいて、被検物質の量を測定する。具体的には、第一の金属膜11から発せられた光(図3の第一の乾燥粒子P1の有する蛍光物質からの蛍光)に応じた情報(シグナル)を、第二の金属膜12から発せられた光(図3の第一の乾燥粒子P1の有する蛍光物質からの蛍光)に応じた情報(シグナル)によって補正することで、高い精度で被検物質の量を測定する。

0040

この補正方法の一例としては、測定領域における測定情報値を補正領域における測定情報値で割ることが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、補正領域における測定情報値に対応する変換係数関係式から算出して測定領域における測定情報値を補正することもでき、測定領域における測定情報値から補正領域における測定情報を引くことによって補正を行うこともできる。

0041

この被検物質測定装置50では、照明部30から基板1と第一の金属膜11及び第二の金属膜12との界面に照射する励起光の入射角を高精度に決めておく必要がある。しかし、実際の装置では、組み立て誤差製造誤差等により、この入射角が設計値からずれた状態となることがある。

0042

図5は、励起光の入射角が設計値からずれた場合に、どれだけプラズモン増強度が変化するかを検討した結果を示す図である。図5横軸は、励起光の入射角の設計値からのずれ量を示している。

0043

図5には、3つの波形を示している。実線で示す波形は、励起光を照射する金属膜の厚みを第一の値とし、この金属膜上に捕捉される乾燥粒子の数を第二の値としたときのプラズモン増強度の変化を示している。

0044

一点鎖線で示す波形は、励起光を照射する金属膜の厚みを第一の値よりも小さい値とし、この金属膜上に捕捉される乾燥粒子の数を第二の値よりも少なくしたときのプラズモン増強度の変化を示している。

0045

破線で示す波形は、励起光を照射する金属膜の厚みを第一の値よりも大きい値とし、この金属膜上に捕捉される乾燥粒子の数を第二の値よりも多くしたときのプラズモン増強度の変化を示している。

0046

図5に示すように、プラズモン増強度の特性波形は、金属膜の厚みと固着粒子数によって変化することが分かる。

0047

上述したように、被検物質測定キット10によれば、第一の金属膜11上に固着される乾燥粒子の量よりも、第二の金属膜12上に固着される乾燥粒子の量が遥かに大きくなる。このため、第一の金属膜11と第二の金属膜12の厚みが同じと仮定すると、第一の金属膜11におけるプラズモン増強度の特性が図5の実線波形で示すものであった場合、第二の金属膜12におけるプラズモン増強度の特性は図5の実線波形よりも左側にシフトすることになり、補正領域の情報を用いた補正を精度良く行うことができない。

0048

そこで、被検物質測定キット10では、補正領域を構成する第二の金属膜12の膜厚を、測定領域を構成する第一の金属膜11の膜厚よりも薄くすることで、固着粒子数の差に起因する補正精度の低下を防ぐようにしている。すなわち、補正領域と測定領域とで、図5に示したプラズモン増強度の変化を示す波形がほぼ一致するように、第一の金属膜11と第二の金属膜12の膜厚を決めている。これにより、励起光の入射角が設計値からずれた場合でも、補正領域と測定領域でプラズモン増強度に大きな差が生じることはなく、高い精度で被検物質を検出することができる。

0049

第一の金属膜11と第二の金属膜12の膜厚は、表面プラズモン現象を十分に検出できるものであれば特に制限はないが、第一の金属膜11の平均膜厚を35nm以上42nm以下とし、第二の金属膜12の平均膜厚を24nm以上32nm以下とするのが、励起光の入射角変動や金属膜の膜厚変動を起因とした補正精度低下を防ぐ上で好ましい。

0050

第一の金属膜11の平均膜厚と第二の金属膜12の平均膜厚の差は、第二の金属膜12にどの程度の粒子を固着させるかによるが、第一の金属膜11の平均膜厚の10%以上とするのが好ましい。第一の金属膜11と第二の金属膜12の平均膜厚は、500nmを超えると、媒質の表面プラズモン現象を十分検出することができないため、500nm以下としておくのがよい。金属膜の平均膜厚は、分光エリプソメーターにより測定することができる。また、分光エリプソメーターの測定値を基にして、分光光度計を用いた透過率との対応表を作成し、分光光度計の透過率から換算して求めることもできる。また、その他の方法としては、金属膜を作製終了した基板の切片電子顕微鏡で観察して膜厚を測定する方法を用いることも可能である。

0051

以下、被検物質測定キット10の各構成要素等について詳細に説明する。

0052

(被検物質)
被検物質測定キット10の検出対象である被検物質の種類は特に限定されないが、例えば、コルチゾールインスリン様成長因子1(IGF−I)、インスリン様成長因子結合蛋白3型(IGFBP−3)、黄体形成ホルモンLH)、甲状腺刺激ホルモンTSH)、抗利尿ホルモンADH)、成長ホルモンGH)、尿中GH、副腎皮質刺激ホルモンACTH)、プロラクチン卵胞刺激ホルモンFSH)、チロキシン結合グロブリン(TBG)、TSH刺激性レセプター抗体(TSAb)、チロキシン(T4)、抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体)、マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体サイログロブリントリヨードチロニン(T3)、fT4、fT3、1,25−(OH)2ビタミンDI型コラーゲンNNテロペプチドNTx)、インタクトI型プロコラーゲン−N−プロペプチド(Intact PINP)、オステオカルシンカルシトニン骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、デオキシピリジノリン副甲状腺ホルモンPTH)、副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTHrP)、5−ヒドロキシインドール酢酸5−HIAA)、ホモバニリン酸HVA)、L−ドーパ、3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニルエチレングリコールMHPG)、バニリルマンデル酸VMA)、カテコールアミンセロトニンメタネフリン11−デオキシコルチゾール、17−ケトジェニックステロイド(17−KGS)、17−OHプレグネノロンアルドステロンアンドロステロンアンドロステンジオン、11−ヒドロキシコルチコステロイド(11−OHCS)、コルチコステロンコルチゾンデオキシコルチコステロンDOC)、デヒドロエピアンドロステロンサルフェート(DHEA−S)、プレグネノロン、5αジヒドロテストステロンヒト絨毛性ゴナドトロピンHCG)βサブユニットエストラジオール(E2)、エストリオール(E3)、エストロゲンエストロン(E1)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(HCG)、テストステロンプレグナンジオールプレグナントリオールプロゲステロン、Cペプチド(CPR)、血管作動性小腸ペプチド(VIP)、インスリンガストリングルカゴン、抗グルタミン酸脱炭酸酵素抗体(抗GAD抗体)、抗インスリノーマ抗原2抗体(抗IA−2抗体)、抗インスリン抗体心筋トロポニンT、心室ミオシン軽鎖I、ヒト心臓由来脂肪酸結合蛋白(H−FABP)、ヒト心房性利尿ペプタイドHANP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド(BNP)、脳性ナトリウム利尿ペプチド前駆体N端フラグメント(NT−proBNP)、ミオグロビンなどを挙げることができる。被検物質の特に好ましい一例としては、TSHである。

0053

(基板)
基板1としては、SPF法で用いることができるものであれば何でもよい。例えば、一般的な光学ガラス一種であるBK7(ホウ珪酸ガラス)等の光学ガラス、あるいは合成樹脂、具体的にはポリメチルメタクリレートポリエチレンテレフタレートポリカーボネートシクロオレフィンポリマーなどのレーザー光に対して透明な材料からなるものが使用できる。このような基板は、好ましくは、偏光に対して異方性を示さずかつ加工性の優れた材料が望ましい。

0054

(金属膜)
第一の金属膜11及び第二の金属膜12を構成する金属として、好ましくは金、銀、銅、アルミニウム白金等の自由電子金属が挙げられる。これらの金属は単独又は組み合わせて使用することができる。

0055

測定領域および補正領域を構成する金属膜の作製において、基板に対し金属膜をスパッタリングなどで成膜する際、補正領域と測定領域とで膜厚を独立に制御する方法としては、特に制限はないが、図6に示すように、それぞれの領域にのみ成膜可能なマスクMを用意し、各々のマスクMを用い所定の膜厚となるよう基板1に対し複数回の成膜を行うことで膜厚を制御する方法を採用することができる。

0056

金属膜の形成は常法によって行えばよく、例えば、スパッタリング法蒸着法、イオンプレーティング法電気めっき法無電解めっき法等によって行うことができるが、金属膜を作製する基板との良好な密着を実現するために、スパッタリング法により金属膜を形成することが好ましい。また、金属膜を形成する基板への付着性を考慮して、基板と金属膜との間にクロム等からなる介在層を設けてもよい。クロム等からなる介在層を設ける場合、その介在層の厚さは、0.1nm以上、10nm以下であるのが好ましい。

0057

(第三の結合物質M3)
第三の結合物質M3としては、被検物質を補足できる限り、特に限定されるものではないが、好ましい例としては、抗原、抗体、又はこれらの複合体があげられ、抗体を用いることが好ましい。第三の結合物質M3が抗体である場合は、被検物質に対して特異性を有する抗体として、例えば、その被検物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被検物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でも、動物血清培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。

0058

抗体は、その動物種サブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウスラットハムスターヤギウサギヒツジウシニワトリなど免疫反応が起こり得る生物に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ハムスターIgG、ハムスターIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM、ウシIgG、ウシIgM、トリIgY等であり、ポリクローナルもしくはモノクローナルの両方に適用可能である。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab’)2等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。

0059

抗体や抗原などの結合物質を粒子に固定化する方法は、例えば、特開2000−206115号公報やモレキュラープローブ社FluoSpheres(登録商標ポリスチレンマイクロスフィアF8813に添付のプロトコールなどに記載されており、免疫凝集反応用試薬を調製する公知の方法がいずれも使用可能である。また、結合物質として抗体を粒子に固定化する原理として、物理吸着及び共有結合による化学結合のいずれの原理も採用可能である。抗体を粒子に固定させた後に抗体が被覆されていない粒子表面を覆うブロッキング剤として、公知の物質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)やスキムミルクカゼイン大豆由来成分由来成分ポリエチレングリコールなどや、これらの物質やこれらと性質が同じである物質を含む市販の免疫反応用ブロッキング剤などが使用可能である。これらのブロッキング剤は、必要に応じて熱や酸・アルカリ等により部分変性などの前処理を施すことも可能である。

0060

(第四の結合物質M4)
第四の結合物質M4としては、例えば、結合物質(抗体)に対する抗体、結合物質(抗体)に対して結合するタンパク質(Protein A、Protein G)など、第一の結合物質M1と第二の結合物質M2に対して親和性を持つ化合物を好ましく用いることができ、中でも抗体を好ましく用いることができる。また、標識を有する第一の乾燥粒子P1に結合した第一の結合物質M1の一部が、第四の結合物質M4とリガンド−非リガンドの関係となる化合物を好ましく用いることができる。抗体などの第四の結合物質M4を基板に固定化する方法は、例えば、Nunc社の提供するTech Notes Vol. 2−12などに記載されており、一般的なELISA試薬を調製する公知の方法がいずれも使用可能である。また、基板上に自己組織化単分子膜(SAM)などを配することによる表面修飾を施しても良く、第四の結合物質M4としての抗体を基板に固定化する原理としては、物理吸着及び共有結合による化学結合のいずれの原理も採用可能である。抗体を基板に固定させた後に抗体が被覆されていない基板表面を覆うブロッキング剤として、公知の物質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)やスキムミルク、カゼイン、大豆由来成分、魚由来成分、ポリエチレングリコールなどや、これらの物質やこれらと性質が同じである物質を含む市販の免疫反応用ブロッキング剤などが使用可能である。これらのブロッキング剤は、必要に応じて熱や酸・アルカリ等により部分変性などの前処理を施すことも可能である。

0061

(乾燥粒子)
第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2は、乾燥状態で容器24,25に保存され、測定時に被検物質を含む溶液と混合することによって、液に分散した状態で使用される。これらの乾燥粒子を、乾燥させずに溶液状態で容器25内に保存した場合、粒子同士が凝集や融着することにより大サイズ化し、測定精度が変化する場合があるため、第一の乾燥粒子P1及び第二の乾燥粒子P2は乾燥状態で保存されている。ここで乾燥状態とは、乾燥重量に占める水分の割合が30%以下である状態であり、好ましくは20%以下、より好ましくは、15%以下の状態である。測定の再現性を良好に保つために、第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2の平均粒子径は、それぞれ100nm以上200nm以下であることが好ましい。粒子の平均粒子径が200nm以下であれば、被検物質を含む溶液と混合したときに良好な分散性を実現でき、非特異吸着物質が原因と考えられる免疫反応を抑制し、偽陽性の防止能力の再現性を維持することが可能となる。また、粒子の平均粒子径が100nm以上であれば、良好なシグナル感度を実現できる。第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2の平均粒子径は、100nm以上190nm以下であることがより好ましく、130nm以上180nm以下であることが更に好ましい。

0062

第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2の使用比率については、第一の乾燥粒子P1に対する第二の乾燥粒子P2の質量比が1〜6であることが好ましく、2〜6であることが更に好ましい。このようにすることで偽陽性の防止能力を高めることができる。

0063

(平均粒子径の測定方法)
第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2の平均粒子径は、市販の粒度分布計等で計測することができる。粒度分布の測定法としては、光学顕微鏡法共焦点レーザー顕微鏡法、電子顕微鏡法原子間力顕微鏡法、静的光散乱法レーザー回折法、動的光散乱法、遠心沈降法、電気パルス計測法、クロマトグラフィー法超音波減衰法等が知られており、それぞれの原理に対応した装置が市販されている。

0064

粒子径範囲及び測定の容易さから、本発明においては動的光散乱法を好ましく用いることができる。動的光散乱を用いた市販の測定装置としては、ナノトラックUPA(日機装(株))、動的光散乱式粒径分布測定装置LB−550((株)堀場製作所)、濃厚粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))等が挙げられ、本発明においては、25℃の測定温度で測定したメジアン径(d=50)の値として求めることができる。

0065

(乾燥粒子の材質
第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2の材質は特に限定されないが、ラテックス粒子を用いることが好ましい。ラテックスの材質の具体例としては、ポリスチレン、スチレンアクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−グリシジルメタアクリレート共重合体、スチレン−スチレンスルホン酸塩共重合体メタクリル酸重合体アクリル酸重合体アクリロニトリルブタジエンスチレン共重合体塩化ビニルアクリル酸エステル共重合体ポリ酢酸ビニルアクリレートなどが挙げられる。ラテックスとしては、単量体としてスチレンを少なくとも含む共重合体が好ましく、スチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸との共重合体が特に好ましい。

0066

ラテックスの作成方法は特に限定されず、任意の重合方法により作成することができる。但し、抗体標識の際に界面活性化剤が存在すると抗体固定化が困難となるため、ラテックスの作製には、ソープフリー重合が好ましい。

0067

特に好ましい態様は、ラテックス粒子がスチレンおよびアクリル酸またはメタクリル酸を含み、スチレン濃度が1.4M以下の水系懸濁液に重合開始剤滴下して重合を行うことによって製造したものである。スチレン濃度が1.4Mより高い水系懸濁液を用いることは、重合系中に発生したラテックス粒子同士が結合し、結果として生成するラテックスの平均粒子径が大きくなってしまうので、好ましくない。また、重合開始剤の添加前に水系懸濁液を75〜100℃に昇温することが好ましい。このように昇温することにより、添加と同時に開始剤を分解、重合系中のラジカル一気に発生させ、モノマー消費を始めることができるため、ラテックスの粒子径を均一にする効果があるので、好ましい。

0068

重合開始剤としては、重合を行えるものであれば特に限定されず、公知の重合開始剤を使用することができる。例えば、過硫酸カリウム(KPS)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、ベンゾイルパーオキサイド、2,4−ジクロロパーオキサイドイソプロピルパーオキシカーボネートクメンハイドロパーオキサイドラウロイルパーオキサイドなどを使用して重合を行なうことができ、特に好ましくは、過硫酸カリウムを用いて重合を行うことができる。重合開始剤の使用量は、単量体組成物の0.1〜5質量%程度であることが好ましい。

0069

また、重合は、架橋剤の存在下で行うこともできる。架橋剤としては、例えば、ジビニルベンゼン、1,4ブタジエンなどを使用することができるが、これらに限定されるものではない。

0070

上述した平均粒子径の範囲内のラテックス粒子の作製は、モノマー濃度開始剤濃度重合温度を調製することで可能となる。

0071

(標識を有する第一の乾燥粒子P1)
第一の乾燥粒子P1が有する標識の種類は、SPF法によって検出することができるものであれば特に限定されないが、好ましくは蛍光物質である。標識を有する第一の乾燥粒子P1は、好ましくは、蛍光ラテックス粒子である。標識を有する第一の乾燥粒子P1として蛍光ラテックス粒子を使用する場合、重合により得られたラテックス自体が蛍光性である場合には、そのまま蛍光ラテックス粒子として使用することができる。また、重合により得られたラテックスが非蛍光性の場合には、ラテックスに蛍光物質(蛍光色素など)を添加することによって、蛍光ラテックス粒子を作製することができる。即ち、蛍光ラテックス粒子は、水および水溶性有機溶剤を含むラテックス粒子の溶液に蛍光色素を添加して攪拌することなどにより製造できる。ラテックス粒子の溶液中のラテックス濃度は0.1〜10質量%が好ましい。溶液には電解質が含まれることが好ましく、電解質としてはNaClが好ましく、溶液中の電解質濃度は1〜500mMが好ましい。またラテックス粒子の溶液中に含まれる水溶性有機溶剤としては、テトラヒドロフラン(THF),ジメチルホルムアミドDMF),ジメチルアセトアミドDMAc),アセトンが好ましく、水と水溶性有機溶剤の比率は10〜80質量%程度が好ましい。

0072

上記の通り、本明細書で言う「蛍光ラテックス粒子」とは、重合により得られたラテックス自体が蛍光性である場合の蛍光ラテックス粒子と、重合により得られたラテックスが非蛍光性の場合に、このラテックスに蛍光物質(蛍光色素など)を添加することによって得られる蛍光ラテックス粒子の両方の場合を包含するものである。

0073

(標識を有しない第二の乾燥粒子P2)
第二の乾燥粒子P2は、好ましくは、ラテックス粒子である。ラテックス粒子は、水および水溶性有機溶剤を含むラテックス粒子の溶液を攪拌することなどにより製造できる。ラテックス粒子の溶液中のラテックス濃度は0.1〜10質量%が好ましい。溶液には電解質が含まれることが好ましく、電解質としてはNaClが好ましく、溶液中の電解質濃度は1〜500mMが好ましい。またラテックス粒子の溶液中に含まれる水溶性有機溶剤としては、テトラヒドロフラン(THF),ジメチルホルムアミド(DMF),ジメチルアセトアミド(DMAc),アセトンが好ましく、水と水溶性有機溶剤の比率は10〜80質量%程度が好ましい。

0074

(第一の結合物質M1)
第一の結合物質M1の好ましい例は、抗原、抗体、又はこれらの複合体があげられるが、これらに限定されるものではない。例えば、第一の結合物質M1が抗体である場合は、被検物質に対して特異的な結合性を有する抗体として、例えば、その被検物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清、抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被検物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でも、動物血清や培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。第一の結合物質M1が抗体の場合には、認識する被検物質のエピトープは、第三の結合物質M3が抗体の場合に認識する被検物質のエピトープとは異なるエピトープを認識する抗体を使用することが好ましい。

0075

抗体は、その動物種やサブクラス等によらず使用できる。例えば、本発明に用いることが可能な抗体は、マウス、ラット、ハムスター、ヤギ、ウサギ、ヒツジ、ウシ、ニワトリなど免疫反応が起こり得る生物に由来する抗体、具体的には、マウスIgG、マウスIgM、ラットIgG、ラットIgM、ハムスターIgG、ハムスターIgM、ウサギIgG、ウサギIgM、ヤギIgG、ヤギIgM、ヒツジIgG、ヒツジIgM、ウシIgG、ウシIgM、トリIgY等であり、ポリクローナルもしくはモノクローナルの両方に適用可能である。断片化抗体は、少なくとも1つの抗原結合部位を持つ、完全型抗体から導かれた分子であり、具体的にはFab、F(ab’)2等である。これらの断片化抗体は、酵素あるいは化学的処理によって、もしくは遺伝子工学的手法を用いて得られる分子である。

0076

抗体や抗原などの結合物質を粒子に固定化する方法は、例えば、特開2000−206115号公報やモレキュラープローブ社FluoSpheres(登録商標)ポリスチレンマイクロスフィアF8813に添付のプロトコールなどに記載されており、免疫凝集反応用試薬を調製する公知の方法がいずれも使用可能である。また、結合物質として抗体を粒子に固定化する原理として、物理吸着及び共有結合による化学結合のいずれの原理も採用可能である。抗体を粒子に固定させた後に抗体が被覆されていない粒子表面を覆うブロッキング剤として、公知の物質、例えば、BSA(ウシ血清アルブミン)やスキムミルク、カゼイン、大豆由来成分、魚由来成分、ポリエチレングリコールなどや、これらの物質やこれらと性質が同じである物質を含む市販の免疫反応用ブロッキング剤などが使用可能である。これらのブロッキング剤は、必要に応じて熱や酸・アルカリ等により部分変性などの前処理を施すことも可能である。

0077

(第二の結合物質M2)
第二の結合物質M2としては、例えば、結合物質(抗体)、あるいは結合物質(抗体)に対して結合するタンパク質(Protein A、Protein G)など、被検物質と特異的な結合性を有しない化合物であり、且つ、第三の結合物質M3および第一の結合物質M1に対して親和性を有しない化合物であれば特に限定されず、いずれの化合物でも好ましく用いることができる。例えば、第二の結合物質M2が抗体である場合には、被検物質によって免疫された動物の血清から調製する抗血清から精製された免疫グロブリン画分、その被検物質によって免疫された動物の脾臓細胞を用いる細胞融合によって得られるモノクローナル抗体、あるいは、それらの断片[例えば、F(ab’)2、Fab、Fab’、又はFv]などを用いることができる。これらの抗体の調製は、常法により行なうことができる。さらに、その抗体がキメラ抗体などの場合のように、修飾を加えられたものでもよいし、また市販の抗体でも、動物血清や培養上清から公知の方法により調製した抗体でも使用可能である。第二の結合物質M2が抗体の場合には、認識する被検物質のエピトープは、第三の結合物質M3が抗体の場合に認識する被検物質のエピトープとは異なるエピトープを認識する抗体を使用することが好ましい。

0078

以上のように構成された被検物質測定キット10を、被検物質測定装置50にセットし、以下の方法により、被検物質の量を測定する。

0079

被検物質を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2とを混合溶解した溶液を作製する。そして、この溶液を流入孔21から流し込み、排出孔22から流路内の空気吸引を行って流路内で溶液を移動させ、溶液を第一の金属膜11と第二の金属膜12の順に接触させる。この後、基板1上の第一の金属膜11と第二の金属膜12で結合しなかった第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2を除去する目的で、基板1を洗浄してもよい。次いで、第一の金属膜11に結合した第一の乾燥粒子P1からの第一のシグナル強度を検出し、第二の金属膜12に結合した第一の乾燥粒子P1からの第二のシグナル強度を検出し、第一のシグナル強度を第二のシグナル強度で補正することで、正確な被検物質の濃度を測定する。

0080

ここまでは、被検物質の濃度測定の方法としてサンドイッチ法を用いる例について説明したが、競合法を採用することもできる。競合法を採用する場合は、被検物質測定キット10の構成が、第一の金属膜11に固定される物質を、第一の結合物質M1に対して結合性を有する物質である第五の結合物質に変更したものとなる。

0081

第五の結合物質は、被検物質そのもの、または被検物質と類似な部位を持ち被検物質と同様の第一の結合物質M1に対するエピトープを持つ化合物を用いる。以下、競合法による測定方法について説明する。

0082

被検物質を含む可能性のある被検試料(又はその抽出液)と第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2とを混合溶解した溶液を作製する。そして、この溶液を流入孔21から流し込み、排出孔22から流路内の空気吸引を行って流路内で溶液を移動させ、溶液を第一の金属膜11と第二の金属膜12の順に接触させる。

0083

被検試料に被検物質が存在しない場合には、この接触により、第一の金属膜11に固定されている第五の結合物質が、第一の乾燥粒子P1を修飾する第一の結合物質M1と結合し、第一の乾燥粒子P1が第一の金属膜11に固着される。一方、被検試料に被検物質が存在する場合には、溶液作製した時点で、第一の乾燥粒子P1を修飾する第一の結合物質M1が被検物質と結合するため、第一の金属膜11に固定されている第五の結合物質と被検物質との結合が阻害される。つまり、第一の乾燥粒子P1は第一の金属膜11に固着されない。

0084

被検試料に被検物質が存在しない場合と存在する場合のいずれの場合でも、第一の金属膜11通過後の溶液が第二の金属膜12に接触すると、第二の金属膜12ではサンドイッチ法と同様の作用が生じ、第二の金属膜12には第一の乾燥粒子P1と第二の乾燥粒子P2が固着される。このように、競合法であっても、第一の金属膜11と第二の金属膜12では、固着粒子数に大きな差が生じるため、第二の金属膜12を第一の金属膜11よりも薄くすることが有効となる。

0085

競合法では、予め、被検物質濃度が異なる被検物質量既知の被検試料を複数用意し、この複数の被検試料及び第一の乾燥粒子P1を測定領域上に接触させつつ、測定領域からの蛍光信号を異なる複数の時刻で測定する。この複数の測定結果から、各被検物質濃度において、蛍光量時間変化(傾き)を求める。この時間変化をY軸、被検物質濃度をX軸としてプロットし、最小二乗法等の適宜ふさわしいフィッティング方法を用いて、蛍光量の時間変化に対する被検物質濃度の検量線を取得する。このように取得した検量線に基づき、目的とする被検試料を用いた蛍光量の時間変化の結果から、被検試料に含まれる被検物質量を定量することができる。

0086

なお、以上の説明では、被検物質測定キット10の第二の金属膜12に固定する第四の結合物質は、第一の結合物質M1と第二の結合物質M2の各々に対して結合性を有するものとしたが、第一の結合物質M1にのみ結合性を有するものであってもよい。前述したように、流路に供給する溶液中における被検物質の占める割合は小さいため、第二の結合物質M2が第二の金属膜に固着されないとしても、第一の金属膜11に固着する粒子数より第二の金属膜12に固着する粒子数が多くなる。したがって、第一の金属膜11と第二の金属膜12とに厚み差を設けることが有効となる。

0087

また、以上の説明では、第二の乾燥粒子P2が標識を有しないものとして説明したが、第二の乾燥粒子P2が標識を有するものであってもよい。この構成でも、第一の金属膜11に固着する粒子数より第二の金属膜12に固着する粒子数が多くなるため、第一の金属膜11と第二の金属膜12とに厚み差を設けることは有効となる。

0088

本実施形態の被検物質測定キット10とこれを用いた被検物質の測定方法によれば、金属膜に入射する励起光の角度にばらつきが生じた場合でも精度を落とすことなく被検物質の測定が可能となるため、超高精度入射角度調整が不要となり、被検物質測定装置の製造歩留まりを向上させたり製造コストを削減したりすることができる。また、被検物質測定キット10によれば、金属膜の膜厚に製造ばらつきが生じた場合でも、精度を落とすことなく被検物質の測定が可能となるため、キットの個体差に起因する測定精度の変動をなくして正確なデータ測定が可能となる。

0089

以下、本発明の実施例を説明する。

0090

<実施例1>
(平均粒子径150nmラテックス粒子の作製)
スチレン(和光純薬工業(株)社製)30g(288mmol)とアクリル酸(和光純薬工業(株)社製)3g(42mmol)を超純水440mLに懸濁させ、95℃に昇温し、過硫酸カリウム(KPS)(和光純薬工業(株)社製)1gを10mLに溶解させた水溶液を添加し、95℃、250rpmで6時間攪拌した。その後、遠心分離(10,000rpm、6時間)を行って上清液を取り除き、超純水に再分散させた。この遠心分離から再分散までの操作を合計で3回繰り返し、固形分濃度を2質量%としたラテックス粒子を作製した。このラテックス粒子の固形分濃度が1質量%となるように、純水を添加して調製し、粒径アナライザーFPAR−1000(大塚電子(株))を用いて、温度25℃で測定し、メジアン径(d=50)を求めたところ、このラテックス粒子は、150nmの平均粒子径を有していることが分かった。

0091

(蛍光ラテックス粒子の作製)
上記のように作製した固形分濃度2質量%のラテックス粒子の水分散液100mLに、メタノール100mLを加え、10分間、室温で攪拌した。一方、別途用意した蛍光色素(NK136、株式会社林原生化学研究所製)溶液(DMF1mL, CHCl3 9mL, EtOH 16mLの混合液に溶解した溶液)を60分間かけてラテックス溶液に攪拌した状態でゆっくり滴下した。滴下完了後エパポレーターで有機溶媒を減圧留去し、遠心分離(15,000rpm、15分、4℃)を行って上清液を取り除き、PBSリン酸緩衝生理食塩水)0.01mol/L水溶液を用いて再分散を行った。この遠心分離から再分散の操作を合計で3回繰り返し、蛍光ラテックス粒子の作製を終了した。

0092

(抗TSH抗体で標識した蛍光ラテックス粒子の作製)
抗TSH抗体で標識した蛍光粒子を、以下の通り作製した。
2質量%(固形分濃度)蛍光ラテックス粒子水溶液(平均粒子径150nm)250μLに、50mMのMES(2−モルホリノエタンスルホン酸一水和物バッファー(pH6.0)溶液250μLを加え、5mg/mLの抗TSHモノクローナル抗体(Meridian life science社製;Anti−TSH MAb MAT04−410)100μLを添加し、室温で15分間攪拌した。その後、10mg/mLのEDC(1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピルカルボジイミド塩酸塩、和光純薬工業(株)社製)水溶液を5μL加え、室温で2時間撹拌した。2mol/LのGlycine(和光純薬工業(株)社製)水溶液を25μL添加して30分間撹拌した後、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行い、蛍光ラテックス粒子を沈降させた。その後上清を取り除き、PBS溶液(pH7.4)を500μL加え、超音波洗浄機により蛍光ラテックス粒子を再分散させた。再度、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行って上清を除いた後、1質量%BSAを含むPBS(pH7.4)溶液500μL加えて、蛍光ラテックス粒子を再分散させることで、抗TSH抗体結合蛍光ラテックス粒子の1質量%溶液を調製した。

0093

蛍光標識をしない粒子の作製)
抗T4抗体で標識したラテックス粒子を、以下の通り作製した。
2質量%(固形分濃度)ラテックス粒子水溶液(平均粒子径150nm)250μLに、50mMのMESバッファー(pH6.0)溶液250μLを加え、5mg/mLの抗T4モノクローナル抗体(Medix社 Anti−Thyroxineモノクローナル抗体(6901))100μLを添加し、室温で15分間攪拌した。その後、10mg/mLのEDC水溶液を5μL加え、室温で2時間撹拌した。2mol/LのGlycine(和光純薬工業(株)社製)水溶液を25μL添加して30分間撹拌した後、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行い、ラテックス粒子を沈降させた。その後上清を取り除き、PBS溶液(pH7.4)を500μL加え、超音波洗浄機によりラテックス粒子を再分散させた。再度、遠心分離(15,000rpm、4℃、15分)を行って上清を除いた後、1質量%BSAを含むPBS(pH7.4)溶液500μL加えて、ラテックス粒子を再分散させることで、抗T4抗体結合蛍光ラテックス粒子の1質量%溶液を作製した。

0094

蛍光標識粒子と、蛍光標識をしない粒子の乾燥粒子の作製)
超純水280μL、12.5質量%スクロース水溶液427μL、20質量%BSA水溶液133μL、1質量%抗TSH抗体標識蛍光ラテックス粒子(平均粒子径150nm)80μL、1質量%抗T4抗体標識ラテックス粒子(平均粒子径150nm)320μLを混合した。ポリプロピレンプライムポリマー社製、プライムポリプランダムPPグレード)を基体としたカップを準備し、15μL点着した。その後、スーパードライ乾燥機(TOYOリビング社、ウルトラスーパードライ00シリーズ)を用いて、12時間かけて含水量を15%以下となるまで乾燥させることで、乾燥粒子を作製した。

0095

(基板の作製)
ポリメチルメタクリレート(PMMA、三菱レイヨン(株)社製、アクペットVH−001)を基体とした基板の片面に、4mm×5mmの矩形形状の金膜をスパッタリングにより複数形成し、各金膜の平均膜厚を33nm、35nm、36nm、37nm、40nm、44nmと変化させた。各金膜の膜厚値は、分光エリプソメーターの測定値を基にして、分光光度計を用いた透過率との対応表を作成し、この対応表から換算して求めた。各金膜上には、抗TSHモノクローナル抗体(Medix社製、5409)を含む液(濃度:10μg/mL in150 mM NaCl)を点着し、物理吸着させて固定化を行った。

0096

(基板の洗浄、ブロッキング)
このように作製した基板をセンサチップの流路に取り付ける前に、予め調製した洗浄用溶液(0.05質量%Tween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノウラート、和光純薬工業(株)社製)を含むPBS溶液(pH7.4))を300μL用いて3回繰り返し洗浄した。洗浄終了後、金膜上の抗体の未吸着部分のブロッキングを行うため、1質量%カゼイン(Thermo Scientific社製)を含むPBS溶液(pH7.4)を300μL添加し、1時間、室温で静置した。上記の洗浄用溶液で洗浄後、安定化剤としてImmunoassay Stabilizer(ABI(株)社製)300μLを添加し、室温で30分間放置し、溶液を除去して乾燥機を用いて水分を完全に取り除いた。

0097

(センサチップの作製)
特開2010−190880号公報の第2の実施形態の構成となるように、作製した基板を流路に封入し、流路型センサチップを作製した。

0098

(被検試料の準備)
山ラベスから購入した東洋ビーグル犬の血清を被検試料として使用した。

0099

(蛍光粒子を用いたTSHの免疫測定
上記のように準備した被検試料(イヌ血清)100μLと、塩化マグネシウム44μmolを充分に混合した。次に、乾燥させた抗TSH抗体標識蛍光粒子及び抗T4抗体標識ラテックス粒子を入れたカップに、この混合試料投入し、10分間攪拌しながら混合した。次に、上記で作製した基板を封入した複数の流路型センサチップに、溶液をそれぞれ点着した。点着後、ポンプ吸引を行いながら混合液を10μL/minの速度で流下させ、TSH抗体を固定した金膜上の蛍光強度を1.5分間継続して測定した。金膜に対する励起光の入射角度に対する、金膜から測定された測定領域シグナルの変動率を計測した結果を図7に示す。

0100

図7では、横軸に測定領域を構成する金膜の膜厚、縦軸に励起光の入射角が設計値から1degずれたときの測定領域から検出されたシグナルの変動率を示している。図7の結果から、測定領域を構成する金膜の平均膜厚が33nmまたは44nmのときに、20%以上の変動率となることから、測定領域を構成する金膜の平均膜厚を35nm以上42nm以下にすることで、入射角1degあたりのシグナル変動率を低減できることが分かった。

0101

(実施例2)
実施例1と同様の方法で、測定領域を構成する金膜を、実施例1で好ましい範囲とされた範囲内の平均膜厚40nmで形成し、この測定領域の近傍に、それぞれ、平均膜厚16nm、20nm、24nm、28nm、32nm、36nmとなるようにスパッタリングにより金膜を成膜して、補正領域を形成した複数の基板を作製した。この測定領域の金膜上には、第三の結合物質として、抗TSHモノクローナル抗体(Medix社製、5409)を含む液(濃度:10μg/mL in150 mM NaCl)を点着し、物理吸着させて固定化を行った。補正領域の各金膜上には、第四の結合物質として、抗マウス抗体(Anti−mouseIgGF(ab’)2、製品名:AffiniPure F(ab’)2 Fragment Rabbit Anti−mouse IgG (H+L) 、Jackson Immuno Research社製)を含む溶液(濃度:10μg/mL in150 mM NaCl)を点着し、物理吸着させて固定化を行った。このように作製した基板を用い、信号検出対象の領域を補正領域として、実施例1と同様の測定を行った。

0102

図8には、横軸に補正領域を構成する金膜の平均膜厚、縦軸には励起光の入射角が設計値から1degずれたときの、測定領域から検出したシグナルを補正領域から検出したシグナルで補正して得たシグナルの変動率を示した。

0103

図8の結果から、補正領域の金膜の平均膜厚を24nm以上32nm以下にすることで、入射角変動に対する補正精度の低下を防げることが分かった。

0104

(実施例3)
実施例2と同様の方法で、基板に形成する測定領域の金膜の平均膜厚を32nmから42nmの範囲で変化させ、補正領域の金膜の平均膜厚を16nmから36nmの範囲で変化させた基板を作製した。この基板を用いて、実施例2と同様にして測定領域と補正領域のシグナルを測定した。

0105

図9は、各基板における測定領域のシグナル比を示す図である。図9のシグナル比は、測定領域の金膜の平均膜厚が37nmとなっている基板における測定領域のシグナルを基準にしたときの、各基板における測定領域のシグナルの比である。

0106

図10は、各基板における補正領域のシグナル比を示す図である。図10のシグナル比は、補正領域の金膜の平均膜厚が36nmとなっている基板における補正領域のシグナルを基準にしたときの、各基板における補正領域のシグナルの比である。

0107

図9,10には、各プロットデータから最小二乗法によって求めた曲線を記載している。この結果から、測定領域では平均膜厚35nm以上42nm以下の範囲、補正領域では平均膜厚24nm以上32nm以下の範囲においてシグナル変動が小さく抑えられることがわかり、金膜厚の製造ばらつきがあったとしても精度の高い測定が可能なことがわかった。

0108

以上説明してきたように、本明細書には以下の事項が開示されている。

0109

開示された被検物質測定キットは、被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質、又は、上記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定される第一の金属膜と、上記被検物質と結合性を有さず、第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、上記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜とが形成された基板と、を備えるものである。

0110

開示された被検物質測定キットは、上記第二の乾燥粒子は、標識を有さず、上記第四の結合物質は、上記第一の結合物質及び上記第二の結合物質の各々に対して結合性を有するものである。

0111

開示された被検物質測定キットは、上記第一の金属膜の平均厚みが35nm以上42nm以下であり、上記第二の金属膜の平均厚みが24nm以上32nm以下であるものを含む。

0112

開示された被検物質測定キットは、上記第一の乾燥粒子の平均粒子径が100nm以上200nm以下であり、上記第二の乾燥粒子の平均粒子径が100nm以上200nm以下であるものを含む。

0113

開示された被検物質測定キットは、上記第一の金属膜と上記第二の金属膜が金を含むものである。

0114

開示された被検物質測定キットは、上記第三の結合物質と上記第四の結合物質が抗体であるものを含む。

0115

開示された被検物質測定キットは、上記第一の乾燥粒子が蛍光ラテックス粒子であり、上記第二の乾燥粒子がラテックス粒子であるものを含む。

0116

開示された被検物質の測定方法は、被検物質と、上記被検物質と特異的な結合性を有する第一の結合物質で修飾され、標識を有する第一の乾燥粒子と、上記被検物質と特異的な結合性を有しない第二の結合物質で修飾された第二の乾燥粒子とを含む溶液を、上記被検物質と特異的な結合性を有する第三の結合物質又は上記第一の結合物質に対して結合性を有する物質が固定された第一の金属膜、及び、上記被検物質と結合性を有さず、上記第一の結合物質に対して結合性を有する第四の結合物質が固定され、上記第一の金属膜よりも厚みの薄い第二の金属膜、に接触させる工程と、上記第一の金属膜及び上記第二の金属膜の各々から上記標識に応じた信号を検出する工程と、上記第二の金属膜から検出した信号を用いて上記第一の金属膜から検出した信号を補正する工程と、を備えるものである。

0117

開示された被検物質の測定方法は、上記第二の乾燥粒子は、標識を有さず、上記第四の結合物質は、上記第一の結合物質及び上記第二の結合物質の各々に対して結合性を有するものである。

実施例

0118

開示された被検物質の測定方法は、上記第一の金属膜の平均厚みが35nm以上42nm以下であり、上記第二の金属膜の平均厚みが24nm以上32nm以下であるものを含む。

0119

1基板
2流路形成用部材
10被検物質測定キット
11 第一の金属膜
12 第二の金属膜
21流入孔
22排出孔
23 凹部
24,25乾燥粒子の保存容器
P1 第一の乾燥粒子(第一の結合物質で修飾)
P2 第二の乾燥粒子(第二の結合物質で修飾)
M3 第三の結合物質
M4 第四の結合物質
50被検物質測定装置
30照明部
31光源
40測定部
41光量検出部
42励起光カットフィルタ
M マスク

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