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技術 金属多孔質体及びその製造方法

出願人 株式会社長峰製作所
発明者 伊藤喜章胡本大鵬伏見大志橋塚和代大西宏実村上薫桑野知昌
出願日 2014年5月28日 (6年4ヶ月経過) 出願番号 2014-110095
公開日 2015年12月14日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2015-224369
状態 特許登録済
技術分野 粉末冶金 複合金属又は合金の製造
主要キーワード 付きスポンジ 金属錆 パンチングメタル製 金属スポンジ 非金属類 オープンセル構造 気孔生成剤 スポンジ型
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この項目の情報は公開日時点(2015年12月14日)のものです。
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図面 (12)

課題

気孔径が小さくかつ連続気孔金属多孔質体、及び前記金属多孔質体を製造できる方法であって、メッキを行わず、かつ気孔径や気孔数コントロールが容易な方法を提供する。

解決手段

連続気孔の多孔質体であって、バブルポイントが180μm以下、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であることを特徴とする微細気孔の金属多孔質体、並びに金属微粉末水凝固性ポリウレタン溶剤及び水溶性無機塩粉粒体を含む配合物混練する混練工程、得られた混練物脱泡し、成形する脱泡成形工程成形物を、水中に投入して、凝固させるとともに形成された前記無機塩を水に溶出させて除去する凝固溶出工程、及び脱媒、焼結する焼結工程、を有することを特徴とする金属多孔質体の製造方法。

概要

背景

金属は、非金属類に比べて、高剛性、可撓性、耐熱性耐磨耗性導電性伝熱性において優れている。そのため非金属と比べて過酷な条件下での使用が可能で、半永久的なリサイクル使用の可能性等の利点がある。そこで、金属からなる多孔質体金属多孔質体)が、濾材ガス拡散部材放熱部材吸水部材電池用電極等として用いられている。さらに消音防爆ガス抜き、発泡(散気)などの様々な用途に使用される可能性があり、実際に各種装置に組み込まれている。

又、その比表面積が大きいとの特徴により触媒や触媒の担体としても適用でき、例えばスポンジ型触媒としてニッケルコバルト、銅の金属多孔質体が使用され、さらにモリブデンや鉄を添加した3元系も一般に使われている。特に、燃料電池用ガス拡散電極の用途では、微細連続気孔の金属多孔質体が望ましいとされその開発が望まれている。

金属多孔質体の製造方法として、特許文献1及び3には、化学発泡法によるポリウレタンフォーム等の発泡樹脂骨格表面導電化処理して電気メッキを施した後、樹脂熱分解により除去する方法が記述されている。しかし、この方法は、メッキをするための金属の種類が限定され、また、メッキ後の排水には多種の化学薬品が含まれるため、排水処理にも高額な費用が必要となる。さらに、気孔径が数百μmと大きいものしか得られない。なお、特許文献1に「孔径が数μm〜100μmで・・」との記述があるが、これは、例えば、市販のポリウレタンフォーム(平均孔径300μm)の骨格表面を導電化処理して、これに導電性微小中空体を結合させた状態でメッキし、その後ポリウレタンフォーム等を熱分解して得られた金属多孔体に関する記述である。この場合の孔径とは、独立に点在する微小中空体の孔径という意味である。

特許文献2には、ポリウレタンフォーム等の連通孔を有する樹脂(多孔質材料)のブロックやシート金属粉末を含む塗料含浸した後、多孔質材料を燃焼消滅させるとともに金属粉末を焼結させて金属多孔質体を製造する方法(含浸法)が開示されている。しかし、この方法では、特許文献1及び3と同様、多孔質材料が消失した跡が骨格の内部に中空として残り、金属多孔質体の強度が弱くなる傾向がある。さらに、塗料を含浸する工程において、多孔質材料の気孔を覆う皮膜が残ったままになりやすく、連続気孔を塞ぐため、フィルターとして用いられる場合は、気体液体を透過する際の圧力損失を招くとともに、連続運転時には、目詰まりの原因になりやすい。

又、特許文献4には、金属粉末、発泡剤水溶性樹脂結合剤及び界面活性剤を含む発泡性スラリー成形後に焼成して金属多孔質体を製造する方法が開示されている。この方法は、気体混入法によるもので、ポリウレタンフォーム等の前駆体を使わずに、発泡剤の発泡、ガスの膨張により気孔を形成する方法である。

特許文献1〜3に記載の方法では、前駆体として、化学発泡法によるポリウレタンフォームが主として使用される。また。特許文献4に記載の方法は、発泡剤により発生した気体の膨張により発泡する方法である。いずれの方法も気孔は気体により形成されるが、150μm未満の微細な気孔径や気孔数コントロールが難しく、更に独立気孔を形成しやすいとの問題がある。そこで、フィルター等の用途に適用する場合等では、気孔膜を除去して完全に近い連続気孔にする必要があり、例えば非特許文献1にあるアルカリ処理熱処理法などの特殊な加工を必要とする。

概要

気孔径が小さくかつ連続気孔の金属多孔質体、及び前記金属多孔質体を製造できる方法であって、メッキを行わず、かつ気孔径や気孔数のコントロールが容易な方法を提供する。連続気孔の多孔質体であって、バブルポイントが180μm以下、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であることを特徴とする微細気孔の金属多孔質体、並びに金属微粉末水凝固性ポリウレタン溶剤及び水溶性無機塩粉粒体を含む配合物混練する混練工程、得られた混練物脱泡し、成形する脱泡成形工程成形物を、水中に投入して、凝固させるとともに形成された前記無機塩を水に溶出させて除去する凝固溶出工程、及び脱媒、焼結する焼結工程、を有することを特徴とする金属多孔質体の製造方法。

目的

特に、燃料電池用ガス拡散電極の用途では、微細な連続気孔の金属多孔質体が望ましいとされその開発が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

金属からなる連続気孔多孔質体であって、バブルポイント法でいうバブルポイントが180μm以下であり、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であることを特徴とする金属多孔質体

請求項2

厚みが1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体。

請求項3

金属微粉末水凝固性ポリウレタン溶剤及び水溶性無機塩粉粒体を含む配合物混練する混練工程、前記混練工程で得られた混練物脱泡し、成形する脱泡成形工程、前記脱泡成形工程で得られた成形物を、水中または水溶液中に投入して、凝固させるとともに形成された凝固物から前記無機塩を水に溶出させて除去して金属含有ポリウレタン多孔体を形成する凝固溶出工程、及び前記金属含有ポリウレタン多孔体を脱媒、焼結する焼結工程を有し、前記無機塩の粉粒体は、粒径250μm以下の粒子を80質量%以上含むことを特徴とする金属多孔質体の製造方法。

請求項4

前記無機塩の粉粒体が、粒径が250μm以下の粒子を90質量%以上含むことを特徴とする請求項3に記載の金属多孔質体の製造方法。

請求項5

請求項1又は請求項2に記載の金属多孔質体を用いることを特徴とするフィルター

技術分野

0001

本発明は、金属からなる微細孔金属多孔質体、及びその製造方法に関する。

背景技術

0002

金属は、非金属類に比べて、高剛性、可撓性、耐熱性耐磨耗性導電性伝熱性において優れている。そのため非金属と比べて過酷な条件下での使用が可能で、半永久的なリサイクル使用の可能性等の利点がある。そこで、金属からなる多孔質体(金属多孔質体)が、濾材ガス拡散部材放熱部材吸水部材電池用電極等として用いられている。さらに消音防爆ガス抜き、発泡(散気)などの様々な用途に使用される可能性があり、実際に各種装置に組み込まれている。

0003

又、その比表面積が大きいとの特徴により触媒や触媒の担体としても適用でき、例えばスポンジ型触媒としてニッケルコバルト、銅の金属多孔質体が使用され、さらにモリブデンや鉄を添加した3元系も一般に使われている。特に、燃料電池用ガス拡散電極の用途では、微細連続気孔の金属多孔質体が望ましいとされその開発が望まれている。

0004

金属多孔質体の製造方法として、特許文献1及び3には、化学発泡法によるポリウレタンフォーム等の発泡樹脂骨格表面導電化処理して電気メッキを施した後、樹脂熱分解により除去する方法が記述されている。しかし、この方法は、メッキをするための金属の種類が限定され、また、メッキ後の排水には多種の化学薬品が含まれるため、排水処理にも高額な費用が必要となる。さらに、気孔径が数百μmと大きいものしか得られない。なお、特許文献1に「孔径が数μm〜100μmで・・」との記述があるが、これは、例えば、市販のポリウレタンフォーム(平均孔径300μm)の骨格表面を導電化処理して、これに導電性微小中空体を結合させた状態でメッキし、その後ポリウレタンフォーム等を熱分解して得られた金属多孔体に関する記述である。この場合の孔径とは、独立に点在する微小中空体の孔径という意味である。

0005

特許文献2には、ポリウレタンフォーム等の連通孔を有する樹脂(多孔質材料)のブロックやシート金属粉末を含む塗料含浸した後、多孔質材料を燃焼消滅させるとともに金属粉末を焼結させて金属多孔質体を製造する方法(含浸法)が開示されている。しかし、この方法では、特許文献1及び3と同様、多孔質材料が消失した跡が骨格の内部に中空として残り、金属多孔質体の強度が弱くなる傾向がある。さらに、塗料を含浸する工程において、多孔質材料の気孔を覆う皮膜が残ったままになりやすく、連続気孔を塞ぐため、フィルターとして用いられる場合は、気体液体を透過する際の圧力損失を招くとともに、連続運転時には、目詰まりの原因になりやすい。

0006

又、特許文献4には、金属粉末、発泡剤水溶性樹脂結合剤及び界面活性剤を含む発泡性スラリー成形後に焼成して金属多孔質体を製造する方法が開示されている。この方法は、気体混入法によるもので、ポリウレタンフォーム等の前駆体を使わずに、発泡剤の発泡、ガスの膨張により気孔を形成する方法である。

0007

特許文献1〜3に記載の方法では、前駆体として、化学発泡法によるポリウレタンフォームが主として使用される。また。特許文献4に記載の方法は、発泡剤により発生した気体の膨張により発泡する方法である。いずれの方法も気孔は気体により形成されるが、150μm未満の微細な気孔径や気孔数コントロールが難しく、更に独立気孔を形成しやすいとの問題がある。そこで、フィルター等の用途に適用する場合等では、気孔膜を除去して完全に近い連続気孔にする必要があり、例えば非特許文献1にあるアルカリ処理熱処理法などの特殊な加工を必要とする。

0008

特開昭57−174484号公報
特開平5−247502号公報
特開2012−111988号公報
特開平9−87704号公報

先行技術

0009

岩田敬治編「ポリウレタン樹脂ハンドブック」170頁、日刊工業新聞社刊、昭和62年9月25日

発明が解決しようとする課題

0010

本発明は、気孔径が従来の金属多孔質体より小さくかつ連続気孔の金属多孔質体を提供することを課題とする。本発明は、さらに気孔径が小さくかつ連続気孔の金属多孔質体を製造できる方法であって、多種類の金属に適用でき、メッキを行わず、かつ気孔径や気孔数のコントロールが容易な方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は、鋭意検討の結果、金属微粉末水凝固性ポリウレタン溶剤及び水溶性無機塩粉粒体を含む配合物混練し、得られた混練物脱泡して成形し、得られた成形物を水中または水溶液中に投入して凝固させて得られた凝固物から前記無機塩を水に溶出させて除去し、その後乾燥して得られる金属含有ポリウレタン多孔体を脱、焼結する方法により、バブルポイントが180μm以下、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であり、金属からなる連続気孔の多孔質体が得られることを見出し、本発明を完成した。

0012

本発明は、その第1の態様として、金属からなる連続気孔の多孔質体であって、バブルポイント法でいうバブルポイントが180μm以下であり、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であることを特徴とする微細気孔の金属多孔質体(請求項1)を提供する。

0013

本発明は、又、前記第1の態様のより具体的な1態様として、厚みが1.0mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の金属多孔質体(請求項2)を提供する。厚みは、好ましくは0.5mm以下である。

0014

本発明は、又、その第2の態様として、
金属微粉末、水凝固性ポリウレタン、溶剤及び水溶性の無機塩の粉粒体を含む配合物を混練する混練工程、
前記混練工程で得られた混練物を脱泡し、成形する脱泡成形工程
前記脱泡成形工程で得られた成形物を、水中または水溶液中に投入して、凝固させるとともに形成された凝固物から前記無機塩を水に溶出させて除去して金属含有ポリウレタン多孔体を形成する凝固溶出工程、及び
前記金属含有ポリウレタン多孔体を脱媒、焼結する焼結工程を有し、
前記無機塩の粉粒体は、粒径250μm以下の粒子を80質量%以上含むことを特徴とする金属多孔質体の製造方法(請求項3)を提供する。

0015

本発明は、前記第2の態様の好ましい態様として、前記無機塩の粉粒体が、粒径が250μm以下の粒子を90質量%以上含むことを特徴とする請求項3に記載の金属多孔質体の製造方法(請求項4)を提供する。

0016

本発明は、さらに、前記第1の態様の金属多孔質体が適用される用途として、請求項1又は請求項2に記載の金属多孔質体を用いることを特徴とするフィルター(請求項5)を提供する。

発明の効果

0017

第1の態様の発明により提供される金属多孔質体は、連続気孔であり、バブルポイントが180μm以下である。この金属多孔質体は、目詰まりも小さく、又気体や液体を透過させる際の圧力損失が小さいので、フィルターとしても好適に用いられる。この金属多孔質体の平均流量径又は平均細孔径は60μm以下であり、微細な孔径を有するものである。従って、微細な孔径のフィルターとして用いることができ、かつ比表面積が大きいので、触媒や触媒の担体として、燃料電池用ガス拡散電極として好適に用いることができる。

0018

第2の態様の発明の金属多孔質体の製造方法によれば、第1の態様の金属多孔質体のような連続気孔であって従来よりも微細な孔径を有する金属多孔質体を製造することができる。又、製造する金属多孔質体の気孔径や気孔数のコントロールが容易である。さらに、メッキを行う方法ではないので金属の種類を広く選定することができ、排水処理の問題も小さい方法である。

図面の簡単な説明

0019

実施例と比較例に用いた無水硫酸ナトリウム粒度分布図である。
実施例1で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例2で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例3で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例4で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例5で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
比較例1で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例6で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
実施例7で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
比較例2で得られた金属多孔質体の走査型電子顕微鏡写真である。
比較例2で用いたポリウレタンフォームMF−80Aの走査型電子顕微鏡写真である。

0020

次に本発明を実施するための形態を、より具体的に説明するが、本発明の範囲はこの形態により限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲内で種々の変更を加えることが可能である。

0021

第1の態様の発明は、バブルポイントが180μm以下であり、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であることを特徴とする金属多孔質体である。なお、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下とは、平均流量径及び平均細孔径のいずれか一方又は両方が60μm以下であるとの意味である。

0022

この金属多孔質体は、金属からなる連続気孔の多孔質体(金属スポンジ)である。多孔質体を形成する金属としては、鉄、ニッケル、銅、アルミニウムチタンクロム、コバルト、亜鉛、金、銀等や、SUS等の合金を挙げることができる。

0023

連続気孔の多孔質体とは、多孔質体を構成する気孔間が3次元方向に分布しかつ互いにつながっている(気孔間に開口部がある)ものを言う。

0024

バブルポイントとは、バブルポイント法に基づき測定され、多孔質体の最大孔径に対応する値とされている。バブルポイント、平均流量径、平均細孔径は、ASTMF316−03に記載された方法に準じて測定された値である。ASTM F316−03には、多孔質体の内部構造表現する3つの主要パラメータとして「バブルポイント」、「細孔径分布」、「平均流量径」が記載されている。

0025

具体的には、試験液で濡らした測定試料にガスを透過させ、気泡が観察された時の差圧Pから、次の式(1)により求める細孔直径Dを、バブルポイントの測定値とする。
D=Cγ/P (1)
ここで、D:細孔直径(μm)、γ:試験液の表面張力(mN/m)、
P:差圧(Pa)、C:定数経験値4199)

0026

平均流量径及び平均細孔径は、具体的には、次の方法により測定する。
・多孔質体に加えられる差圧と多孔質体を通過する空気流量との関係を、多孔質体が乾燥している場合及び多孔質体が液体で濡れている場合について測定する。測定は低ガス流量から始め、縦軸をガス流量(L/min)、横軸を圧力(mbar)としたグラフを作成する。
・多孔質体が乾燥している場合のグラフ(乾き曲線)の流量を1/2とした曲線と、多孔質体が液体で濡れている場合のグラフ(濡れ曲線)との交点における差圧Pを求め、上記式(1)により求める細孔直径Dを、平均流量径の測定値とする。又、濡れ曲線と乾き曲線のガス流量を比較することで、特定サイズの細孔を通過するガス流量分布、即ち、ある特定の範囲内の細孔を通過するガス流量の割合がわかり、これらの値を平均して平均細孔径を求める。

0027

第1の態様の金属多孔質体の、バブルポイントが180μm以下、平均流量径又は平均細孔径が60μm以下であるとの特徴は、従来の金属多孔質体にはない気孔径の細かさと均一さを有することを示している。化学発泡法によるポリウレタンフォームで入手可能なものとして、最も気孔の小さいものは、通常1インチの直線を横切る気孔数が約80個であるが、後述の比較例で述べるように、このポリウレタンフォームを前駆体として使用した金属多孔質体のバブルポイント、平均流量径、平均細孔径を測定するとそれぞれ199.3μm、65.8μmであり、いずれも第1の態様の金属多孔質体より大きい。

0028

金属多孔質体のバブルポイントは、好ましくは140μm以下である。又、平均流量径又は平均細孔径は、好ましくは40μm以下である。バブルポイントが140μm以下であり、かつ平均流量径又は平均細孔径が40μm以下である金属多孔質体は、より微細な孔径を有するフィルターとして用いることができ、かつ比表面積がより大きいので、触媒や触媒の担体として、燃料電池用ガス拡散電極として用いたとき、反応速度をより向上させることができる。

0029

第2の態様の発明は、
金属微粉末、水凝固性ポリウレタン、溶剤及び水溶性の無機塩の粉粒体を含む配合物を混練する混練工程、
前記混練工程で得られた混練物を脱泡し、成形する脱泡成形工程、
前記脱泡成形工程で得られた成形物を、水中または水溶液中に投入して、凝固させるとともに形成された凝固物から前記無機塩を水に溶出させて除去して金属含有ポリウレタン多孔体を形成する凝固溶出工程、及び
前記金属含有ポリウレタン多孔体を脱媒、焼結する焼結工程を有し、
前記無機塩の粉粒体は、粒径250μm以下の粒子を80質量%以上含むことを特徴とする金属多孔質体の製造方法である。

0030

本発明の製造方法(第2の態様の発明)により、第1の態様の金属多孔質体のような、連続気孔であって従来よりも微細な孔径を有する金属多孔質体を製造することができる。又、微細な孔径の範囲については、金属多孔質体の気孔径や気孔数のコントロールが容易である。これに対し、特許文献1等に記載の化学発泡法によるポリウレタンフォームを用いる方法では、気孔の孔径が大きく、微細な孔径を有する金属多孔質体を製造することが困難である。又、ポリウレタンフォームは独立気孔となりやすいので、連通化のための工程が必要である。

0031

化学発泡法で、圧縮法により気孔の孔径を小さくしようとする試みはあるが、均一なセル径での微細化は期待できず、しかも高密度化に進むので、空孔率下がりやすい。すなわち、本発明により、化学発泡法によるポリウレタンフォームを用いる方法に比べて安定した製造方法が提供される。さらに、本発明の製造方法は、以下に示す利点を有する。

0032

広い種類の金属に適用できる製造方法である。特許文献1及び3に記載の電気メッキを使用する方法は、メッキをするための金属の種類が限定されるが、本発明の製造方法は、広い種類の金属に適用できる。

0033

特許文献2に記載の方法等の含浸法(ポリウレタンフォーム等の連通孔を有する多孔質材料に金属粉末を含む塗料を含浸した後、多孔質材料を燃焼消滅させるとともに金属粉末を焼結させる方法)では、脱媒、焼成によって多孔質材料が消失した跡が空洞として残り、気孔を形成する骨格の内部に中空が残りやすく、金属多孔質体としての強度が弱くなる傾向がある。これに対し、本発明の製造方法では、混練工程で、ポリウレタン、溶剤、金属粉末、無機塩が均一に混練されるので、液状のポリウレタン溶液金属粉末表面コーティングした状態で多孔質体になる。これを焼結するので、気孔を形成する骨格の内部に中空が残りにくく、骨格の内部に中空がない金属多孔質体を提供することができる。又金属粉末が骨格内に均一に分布したものが得られ、強度に優れた金属多孔質体が得られる。

0034

ポリウレタンフォーム等の前駆体にスラリーを含浸させる方法(特許文献2の方法等)では、気孔を形成する骨格間に不規則な膜が残ることがあり、連続運転に使用すると目詰まりの原因になることがある。しかし、本発明の製造方法によれば、骨格間に不規則な皮膜が発生しにくい。

0035

特許文献1〜4に記載の方法によれば、気孔膜を除去するための特殊な加工を施さない限り独立気孔が生じ易かったが、本発明の製造方法によれば、ほぼ完全な連続気孔が得られる。従って、気孔膜の除去等の特殊な加工を必要とせずに、フィルター、触媒、触媒の担体、燃料電池用ガス拡散電極等として好適に用いられる金属多孔質体を得ることができる。又、気孔径を所望の大きさにコントロールして製造することが容易であり、数μm〜180μmの各種大きさの気孔径が得られる。

0036

本発明の製造方法によれば、脱泡成形工程を、コーティング、押出インジェクション等の種々の方法で行うことができ、1mm以下の薄いものから立体的な形状で数十mmまでの肉厚のもの等種々の形状の金属多孔質体を得ることができる。

0037

近年、薄い金属多孔質体の需要が見込まれている。例えば、厚み1mm以下、好ましくは0.5mm以下の金属多孔質体が、燃料電池電極などの用途で必要とされている。又、SUS、Tiの金属多孔質体は、燃料電池のインターコネクターとして、銅(Cu)の金属多孔質体は、リチウム二次電池負極集電体としての用途が期待されている。しかし、薄い金属多孔質体を、肉厚の金属多孔質体のスライス薄肉化)により製造することは困難である。また、特許文献1〜3に記載されているようなポリウレタンフォームを使う既存技術では、ポリウレタンフォームのスライスに限界があり、0.5mm以下の基材を安定した状態で作製することが困難であり、出来たとしても基材の機械的強度が弱くスラリーを塗着する工程で亀裂、しわ等が発生しやすい。

0038

これに対し、本発明の製造方法によれば、スライス等の工程を必要とせずに厚み1mm以下、さらには厚み0.5mm以下の金属多孔質体を作製できるので、燃料電池用ガス拡散電極の製造等に好ましく適用される。本発明は、第1の態様の好ましい態様として、厚み1.0mm以下であることを特徴とする第1の態様の金属多孔質体を提供する。以下、本発明の製造方法を工程毎に説明する。

0039

(1)混練工程
本発明の製造方法では、先ず、金属微粉末、水凝固性ポリウレタン、溶剤及び水溶性の無機塩の粉粒体を含む配合物の混練が行われる。

0040

(金属微粉末)
金属微粉末としては、鉄、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、クロム、コバルト、亜鉛、金、銀等の金属の微粉末、及びこれらを主成分とした合金の微粉末、又は前記例示の微粉末の2種以上を混合した混合粉末等を用いることができる。金属微粉末は高純度の金属からなるものでもよいが、通常の不純物が通常の量含有された市販のものも使用することができる。

0041

金属微粉末の粒径は、平均粒径が100μm以下が好ましく、特に50μm以下が好ましい。平均粒径が大きすぎる場合は、焼結による金属粉末間の結合が弱くなり、できあがった金属多孔質体の強度が弱くなる場合がある。混練される配合物中における金属粉末の配合量は、ポリウレタン100質量部(固形分に換算した値)に対して、400〜1600質量部の範囲が好ましい。金属粉末の配合物中における配合量が少なすぎる場合は金属微粒子どうしの焼結ができないため、金属多孔質体が得られない場合が生じ易くなり、多すぎる場合は、配合物の粘度が高すぎて成形が困難になる場合がある。

0042

(ポリウレタン)
ポリウレタンは、高分子量ポリオール鎖伸長剤からなるポリオール成分とポリイソシアネート化合物を反応させて得られるものである。高分子量ポリオールとしては、ポリプロピレングリコールポリテトラメチレングリコールポリマーポリオール等のポリエーテル系ポリオールアジペート系ポリオールポリカプロラクトンポリオール等のポリエステル系ポリオールポリカーボネートポリオールポリオレフィンポリオール等があり、望ましい分子量は500〜10000である。また、鎖伸長剤としては、エチレングリコール、1,4ブタンジオール、1,6ヘキサンジオール、1,5ペンタンジオール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、1,3プロパンジオール等がある。ポリイソシアネート化合物としては、メチレンジフェニルジイソシアネートトリレンジイソシアネートキシリレンジイソシアネートナフチレン1,5−ジイソシアネートテトラメチレンキシリレンジイソシアネート等の芳香族系イシシアネート、イソホロンジイソシアネートジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂環系イソシアネートおよびヘキサメチレンジイソシアネートダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネン・ジイソシアネート等の脂肪族系イソシアネート等がある。

0043

ポリウレタンは、無溶剤ポリウレタン、溶剤系ポリウレタン水系ポリウレタン分類されるが、金属微粒子間バインダーとして作用し、かつ成形可能であれば、いずれでも使用できる。

0044

無溶剤ポリウレタンを使用する場合も、本発明の製造方法を応用することができ、この場合は次のように行われる。すなわち、溶剤をほとんど含まない熱可塑性ポリウレタンを加熱により可塑性を付与し、これに金属微粉末、水溶性の無機塩の粉粒体を混練させる。得られた混練物を脱泡、成形して冷却固化し、水などで無機塩を溶出させた後、乾燥する。これを脱煤、焼結して金属多孔質体が得られる。この方法は、金属微粒子との混練により、極めて高粘度になるため、成形がしづらいなどの欠点がある。

0045

水系ポリウレタンは主にポリウレタンエマルジョンである。水系ポリウレタンを使用する場合は、水溶性の無機塩の粉粒体(気孔生成剤)の溶解防止のために、低温での加工が必要となるなどの制限がある。

0046

溶剤系ポリウレタンを使用する場合は、成形が容易であり、かつ金属錆を発生しにくいとの利点がある。従って、無溶剤ポリウレタン、溶剤系ポリウレタン、水系ポリウレタンの中では、溶剤系ポリウレタンが、本発明の製造方法に好ましく、特に水溶性の溶剤からなる水凝固性ポリウレタンがより好ましい。

0047

水や水を含む溶液中に溶液タイプのポリウレタンを浸漬すると、溶剤が水に置換されることがある。一般的に水はポリウレタンの貧溶剤であるので、溶剤が水に置換されるとポリウレタンは析出して固体になる。これを水凝固と言い、水凝固性ポリウレタンとは水凝固させることができるポリウレタンを言う。水凝固は、必ずしも水中で行なう必要はなく、水溶液中で行なうこともできる。例えば、無機塩や溶剤等が溶けた水溶液中で凝固させることにより、ポリウレタンが凝固する速度を緩やかにし、巨大ボイド(気孔生成剤の粒径をはるかに超えた空孔)の発生を防ぐこともある。

0048

水凝固性ポリウレタンとしては、前記ポリオール成分とポリイソシアネート化合物を溶媒中で重合反応させて得られるものを挙げることができるが、他にも無溶媒で重合されたポリウレタンを溶剤に溶解したものも挙げることができる。本発明の製造方法で使用される水凝固性ポリウレタンとしては、通常、固形分が30±5質量%であって、粘度が30〜500Pa・s(25℃、BH型粘度計の6号ロータで測定した値)の溶液が好ましく使用される。粘度30Pa・s未満の水凝固性ポリウレタンを使用すると、金属含有ポリウレタン多孔体の強度が不足する場合がある。また、粘度が500Pa・sを越える場合には、混練物が流動しづらく成形に長時間かかる場合がある。

0049

本発明の製造方法では、単一種類の水凝固性ポリウレタンを使用することができるし、2種類以上のポリウレタンを混合して使用することもできる。また、水凝固性ポリウレタンが70質量%以上、好ましくは90質量%以上含まれていれば、ポリウレタン以外のポリマーであって、溶剤の存在下で、ポリウレタンと均一に混ざり合い、水凝固後に形状を保つことが出来るポリマーと混合して使用することも可能である。ポリウレタン以外のポリマーとしては、フェノール樹脂アクリル樹脂ブチラール樹脂等を挙げることができる。

0050

(溶剤)
本発明の製造方法に用いられる溶剤とは、水凝固性ポリウレタンの良溶媒を意味する。この溶剤としては、ジメチルホルムアミドジメチルスルホキシドジオキサンテトラヒドロフランメチルピロリドン、N−メチルピロリドン等の有機溶剤やこれらの配合物が挙げられる。中でも、後工程において容易に水により溶出できることと、作業環境としての溶剤臭引火性等を考慮するとジメチルホルムアミドが好ましい。

0051

溶剤の量は、例えば、固形分30質量%の水凝固性ポリウレタン溶液の場合、その100質量部に対して2〜200質量部の範囲で添加することが好ましい。添加量が2質量部未満の場合、混練物が流動しづらくて成形に長時間がかかる場合があり、添加量が200質量部を越えると、得られる金属多孔質体の強度が不足する場合がある。

0052

(水溶性の無機塩の粉粒体)
水溶性の無機塩の粉粒体とは、ナトリウムカリウム等の塩化物硫酸塩等の水溶性の無機塩の粉粒体である。この粉粒体の粒度分布を所定の範囲に選択することで、金属多孔質体の気孔径を調整することができる。従って、無機塩の粉粒体は、目的とする金属多孔質体の気孔径を考慮して、最適な粒径、粒度分布を有するものを使用する。このような無機塩の粉粒体は、市販の無機塩の粉粒体の中から、最適な粒径、粒度分布を有するものを選択することにより、又は、市販の無機塩の粉粒体に、粉砕分級、混合等を施すことにより得ることができる。

0053

本発明の製造方法は、従来よりも細かい気孔径の金属多孔質体を得ることを目的とするので、粒径の小さい無機塩の粉粒体を使用する。具体的には、粒径250μm以下の粒子を80質量%以上含む無機塩の粉粒体が用いられる。好ましくは、粒径250μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体が用いられ(請求項4)、より好ましくは粒径150μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体を使用する。

0054

第1の態様の金属多孔質体、すなわち(バブルポイント法でいう)最大気孔径(バブルポイント)が180μm以下、平均細孔径又は平均流量径のいずれかが60μm以下である金属多孔質体は、粒径が250μmを超える粒子を20質量%未満(粒径が250μm以下の粒子が80質量%以上)含む無機塩の粉粒体を用いることにより得ることができる。無機塩の粉粒体として、粒径が250μm以下の粒子が90質量%以上含むものがより好ましく、粒径が150μm以下の粒子が90質量%以上のものはさらに好ましく、最大気孔径(バブルポイント)、平均細孔径又は平均流量径がさらに小さい金属多孔質体を得ることができる。

0055

水溶性の無機塩の粒子は、ポリウレタン100質量部(固形分に換算した値)に対して、100〜2000質量部、好ましくは、500〜1500質量部の範囲で添加する。100質量部以下では配合物中で無機塩が繋がり無く分散するために、連続気孔の金属製多孔質体は得られ難くなる。また、2000質量部を超えると、得られた金属製多孔質体の機械的強度が極端に低下し使用に耐えられないものになりやすい。

0056

混練工程で混練される配合物には、前記の必須成分に加えて、本発明の趣旨を損ねない範囲で、必要に応じて他の成分を添加してもよい。例えば、混練物をより流動化するために水溶性高分子を添加することができる。この水溶性高分子としては、溶剤にも溶けるものが好ましく、例えば、溶剤可溶性ポリビニルアルコール等の合成品メチルセルロースカルボキシメチルセルロース等の半合成品、及び高分子多糖類等の天然品等が挙げられる。又、消泡剤としての界面活性剤、濡れ性を改良するための界面活性剤などの添加物も必要に応じて添加することができる。

0057

(混練)
金属微粉末、水凝固性ポリウレタン、溶剤及び水溶性の無機塩の粉粒体を必須成分として含み、必要に応じて他の成分を含むこともある配合物の混練は、プロペラミキサーリボンミキサーニーダーオーガ混練機バンバリーミキサースクリュー押出機等を使用して行うことができる。

0058

(2)脱泡成形工程
このようにして混練物を得た後、出来た混練物を脱泡、成形する。脱泡の目的は組成物中の空気の泡を除去することである。脱泡、成形の方法は特に制限されない。例えば、ベント式押出機を使用して減圧脱泡を行ない、上記押出機成形口金(Tダイ)を接続して所望の形状に賦型する方法を挙げることができる。

0059

(3)凝固溶出工程
脱泡成形工程で得られた成形物を、水中または水溶液中に投入して、溶剤を水に置換してポリウレタンを析出させ、水凝固を行う。成形体投入方法は特に限定されないが、例えば、脱泡成形工程において、シート状の基材に混練物を塗布する、ステンレス304等からなるパンチングメタルを用いて上面が開いた箱状にしたものに混練物を押し出して充填する等の方法により成形を行い、成形体を、水又は水溶液に投入することにより行うことができる。

0060

形成された凝固物から前記水に可溶な無機塩を水に溶出(水抽出)させて除去して金属含有ポリウレタン多孔体を形成する。具体的な方法としては、例えば、容器に入った混練物の成形体を温水中に放置して水に可溶な無機塩の大半を溶出した後、一般的な洗濯機等にこれを投入し、20〜80℃の水で15分〜90分程洗浄し、その洗浄中に、数回の水交換を行う方法を挙げることができる。

0061

水凝固は、必ずしも水中で行う必要はなく、水溶液中で行うこともできる。例えば、無機塩や溶剤等が溶けた水溶液中で凝固させることにより、ポリウレタンが凝固する速度を緩やかにし、巨大ボイド(気孔生成剤の粒径をはるかに超えた空孔)の発生を防ぐこともある。

0062

好ましくは、このようにして得られた成形体を乾燥する。乾燥温度は110℃以下が好ましい。乾燥は、箱型乾燥機タンブラー型乾燥機等を使用して行うことができる。このようにして、金属多孔質体の前躯体である金属含有ポリウレタン多孔体が得られる。その後、この金属含有ポリウレタン多孔体を脱煤(脱脂)、焼結することにより金属多孔質体が製造される。

0063

(4)焼結工程
このようにして得られた金属含有ポリウレタン多孔体を焼結することにより、金属多孔質体が得られる。通常、焼結の前に、金属含有ポリウレタン多孔体からポリウレタン等を除去するために脱煤(脱脂)が行われるが、脱煤と焼結を続けて行う場合もあり得る。脱煤(脱脂)は、通常、金属含有ポリウレタン多孔体を300〜700℃の温度に1〜6時間程度保つことにより行われる。脱煤は、真空中又は不活性ガス(例えば、窒素アルゴン雰囲気中で行うことが好ましい。

0064

脱媒の後焼結が行われるが、脱媒と焼結を一連で行なうことも可能である。焼結は、通常、真空中又は不活性ガス雰囲気中で、脱媒後の金属含有多孔質体を焼結温度に所定時間保つことにより行われる。焼結温度等の条件は、金属の種類により異なるが、通常、タンマン温度以上で、タンマン温度と融点の中間の温度以下の範囲が好ましい。SUSの場合は、900〜1200℃の温度に0.5時間以上保つことが好ましい。

0065

第1の態様の金属多孔質体や第2の態様の製造方法により製造された金属多孔質体は、前記のように、連続気孔であり、細かい気孔を有する等の特徴を有するので、フィルター、燃料電池のガス拡散電極等に好適に使用される。そこで、前記第1の態様の金属多孔質体が適用される用途として、請求項1又は請求項2に記載の金属多孔質体を用いることを特徴とするフィルター(請求項5)を提供する。

0066

先ず、実施例、比較例で使用した評価方法を説明する。
(1)バブルポイント(μm)、平均流量径(μm)、平均細孔径(μm)の測定
前記の方法(ASTMF316−03に記載の方法)に基づき、下記の条件で測定した。
使用評価装置:ポアサイズメータSM−165(TopasGmbH社製)
試験液:エタノール
使用ガス乾燥エアー
ガス流量範囲:0.06〜70mL/min

0067

(2)見掛密度
JIS K 7222に従い測定した。

0068

(3)濾過試験
1)フィルターホルダーの作製
東洋濾紙社製の濾過器(Type KST−142 DIA 142MM、有効濾過直径=120mm)を使用し、濾過器の有効濾過面積が、16cm2になるよう治具(フィルターホルダー)を作製した。
2)濾過試験液の作製
JIS試験用粉体7種(関東ローム焼成品)を精製水に分散させて5質量%スラリーを作製して濾過試験液とした。
3)試験方法
フィルターホルダーに試料(金属多孔質体のフィルター)をセットし、上記の濾過試験液を圧縮空気加圧して、表4に示す条件にて、濾過試験を行った。

0069

(4)電子顕微鏡写真(SEM
日本電子社製のJSM5500LVを用い、試料(金属多孔質体)のSEM写真を撮った。

0070

実施例1
使用原料
・ポリウレタン:レザミンCU−8445(大日精化工業社製、エーテル型樹脂、固形分30±1.5%) 20質量部
・無水硫酸ナトリウム(粒径7μm) 80質量部
・SUS316L粉末50質量部
・ジメチルホルムアミド(DMF) 20質量部

0071

上記の原料を、上記の組成で、総量で510gになるように量した。粒径7μmの無水硫酸ナトリウムは、市販品として通常入手できないので、表1のRN−1の無水硫酸ナトリウムを、粉砕分級機ホソカワミクロン社製、ACMパルペライザH型、型式:ACM−30H)を使用して粉砕して作製した。粉砕後、粒度分布測定機(Honewell社製 Microtrac HRA 型式9320−x100)を使用して測定したところ、粉砕後の平均粒径(積算値50%の粒度)は7.04μmであった。また、SUS316L粉末はエプソンアトミックス社製で、平均粒径が9μmのものを用いた。

0072

(混練、脱泡成形、凝固溶出工程)
秤量した各原料を500mlポリカップに入れ、室温で、アズワン社製の強力プロペラ攪拌機TORNADO SN−20にて10分間攪拌、混練し、均一にした後に真空ポンプを用いて脱泡した。脱泡後、100μm厚みのテイジンテトロンフィルムを基材にして、ナイフコーターにて0.7mm厚みに塗布した。塗布後、30℃の水中に浸漬してジメチルホルムアミドを水で置換し、水凝固を行った。その後、水にて無機塩(硫酸ナトリウム)を溶出させた後、箱形乾燥機を用いて60℃で4時間乾燥し、基材付きのスポンジを得た。

0073

(焼結工程:脱媒)
得られた基材付きスポンジから基材を剥離し、金属粉末(SUS316L)とポリウレタン樹脂から構成された金属含有ポリウレタン多孔体のシート(厚さ0.5mm)を得た。この多孔体のシートをジルコニアセッタにのせて電気炉不活性ガスフロー脱脂炉ネムス社製)にセットした。次に不活性ガス(Ar)を電気炉に流入し、炉内を不活性ガス雰囲気にした。不活性ガスを10L/分で流しながら、80℃/時間の昇温速度で570℃まで上げ、4時間保持するプログラムで脱媒(脱脂)を行なった。

0074

(焼結工程:焼結)
上記脱媒工程で得られた中間製品をセッタとともに真空炉(ネムス社製)に移す。次に、真空ポンプを作動し真空度を10のマイナス2〜3乗パスカルに保ち、昇温速度100℃/時間で400℃まで上げ、次に昇温速度40℃/時間で1000℃まで上げ、1時間キープのプログラムで焼結を行ない、SUS316Lの金属多孔質体を得た。

0075

実施例1及び以下の実施例や比較例で使用した無水硫酸ナトリウムの粒度分布グラフを図1に示した。また、同じデータから計算した一定粒度範囲毎の質量%を表1に示した。実施例や比較例で使用した無水硫酸ナトリウムは、いずれも伏見製薬所社の販売である。

0076

0077

実施例2
実施例1で用いた7μm粒径の無水硫酸ナトリウムの替わりに、表1、図1に示した粒度分布の無水硫酸ナトリウムRN−1を用いた以外は、同様の原料と工程によりSUS316Lの金属多孔質体を得た。

0078

実施例3
実施例1で用いた7μm粒径の無水硫酸ナトリウムの替わりに、表1、図1に示した粒度分布の無水硫酸ナトリウムRN−2を用いた以外は、同様の原料と工程によりSUS316Lの金属多孔質体を得た。

0079

実施例4
実施例1で用いた7μm粒径の無水硫酸ナトリウムの替わりに、表1、図1に示した粒度分布の無水硫酸ナトリウムRN−2を用いた以外は、実施例1と同様にして、攪拌、混練、脱泡を行った。脱泡した組成物を、SUS304パンチングメタル製内径80mm、高さ10mmの上面が開口している円板状容器に充填し、これを30℃の水中に浸漬してジメチルホルムアミドを水で置換し、水凝固を行った。その後、水にて無機塩(無水硫酸ナトリウム)を溶出させた後、箱形乾燥機を用いて60℃で24時間乾燥した。これから、物性測定用にスライサーで1mm厚みにスライスしたものと、スライス残り(厚み9mm)のそれぞれについて、実施例1と同様に脱媒、焼結工程を行ない、SUS316Lの金属多孔質体を得た。

0080

実施例5
実施例1で用いた7μm粒径の無水硫酸ナトリウムの替わりに、表1、図1に示した粒度分布の無水硫酸ナトリウムRN−3を用いた以外は、同様の原料と工程によりSUS316Lの金属多孔質体を得た。

0081

比較例1
実施例1で用いた7μm粒径の無水硫酸ナトリウムの替わりに、表1、図1に示した粒度分布の無水硫酸ナトリウムRN−4を用いた以外は、同様の原料と工程によりSUS316Lの金属多孔質体を得た。

0082

実施例6
SUS316Lの替わりにCu(福田金属箔粉工業社製 Cu−At−350、平均粒径27μm)を用い、脱媒と焼結を以下の条件で行った以外は、実施例2と同様の原料と工程によりCuの金属多孔質体を得た。この実施例では、脱媒と焼結を同一炉(不活性ガスフロー炉、日本ネイカ社製、雰囲気炉)で実施した。脱媒はN2ガスを10L/分で流しながら77℃/時間の昇温速度で570℃まで上げて行い、次に56℃/時間の昇温速度で980℃まで上げ、5時間キープし焼結を行った。焼結でのガス流量は、脱脂のときと同じである。

0083

実施例7
SUS316Lの替わりにTi(大阪チタニウムテクノロジーズ社製 TILOP‐45)を用い、焼結工程を、昇温速度60℃/時間で1300℃まで上げ、2時間キープして行った以外は、実施例2と同様の原料と工程によりTiの金属多孔質体を得た。

0084

比較例2
化学発泡法で作られた完全オープンセル構造のポリウレタンフォームで最もセル径が小さいと言われるMF−80A(イノアクコポレーション社製)を前駆体として用いた。スラリー配合およびグリーン体製法は、次のとおりである。

0085

SUS316L粉末(平均粒径9μm)2900gとブチラール樹脂25gを混合し、これにイソプロピルアルコール290gを添加して3〜4時間プロペラ攪拌した(これをスラリーと言う)。これに110×110×1.0mmのMF−80Aを含浸し、2本のウレタンローラー間を通して余剰のスラリーを除去した。その後、イソプロピルアルコールを蒸発させてグリーン体(発泡ウレタンに金属微粒子をコートした状態)を完成した。その後の脱媒、焼結工程は、実施例1と同様にして行ないSUS316Lの金属多孔質体を得た。

0086

実施例1〜7及び比較例1、2で得られた金属多孔質体(実施例4についてはスライスしたもののみ)について、厚み(成形厚み)を測定し、又前記の評価方法により、見掛密度とバブルポイント、平均流量径及び平均細孔径を測定し、これらの測定結果を表2、3に示した。走査型電子顕微鏡写真(SEM)を撮り、表2、3に示す番号の図にSEM写真を示した。又、実施例1〜3及び比較例2で得られた金属多孔質体については前記の方法で濾過試験を行ないその結果を表4に記した。なお、比較例2で使用した前駆体のポリウレタンフォームについてもSEM写真を撮り図11に示した。

0087

0088

0089

表2、3から下記のことが判る。
本発明(第2の態様)の金属多孔質体の製造方法(実施例1〜7)により、微細な孔径を有する金属多孔質体(平均流量径、平均細孔径が60μm以下)が得られる。又、図2〜9より、得られた金属多孔質体は、連続気孔を有するものであることが分る。SUS、Cu、Tiのいずれの金属を用いた場合も同様であるので、本発明の方法では、金属の種類を広く選定することができることが示されている。

0090

本発明の方法の中でも、粒径が250μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体である粉砕分級品(粉砕品7μm)、RN−1、RN−2、RN−3を用いた場合(実施例1〜5、実施例6、7)では、バブルポイントが180μm以下で平均流量径、平均細孔径は60μm以下の金属多孔質体、すなわち本発明の第1の態様の金属多孔質体が得られている。特に、粒径が150μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体である粉砕分級品(粉砕品7μm)、RN−1、RN−2を用いた場合(実施例1〜4、実施例6、7)では、バブルポイントが100μm以下の金属多孔質体が得られており、より好ましい態様である。中でも粒径が75μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体である粉砕分級品(粉砕品7μm)、RN−1を用いた場合(実施例1、2、6、7)では、バブルポイント、平均流量径、平均細孔径がより小さいものが得られており、さらに好ましい態様である。

0091

一方、前駆体として、本発明の方法により得られるポリウレタン多孔質体に変えて、化学発泡法で作られたポリウレタンフォームのMF−80Aを用いた比較例では、(MF−80Aは、化学発泡法で作られた完全オープンセル構造のポリウレタンフォームで最もセル径が小さいと言われているにも係わらず)平均流量径、微細な孔径を有する金属多孔質体(平均流量径、平均細孔径が60μm以下の金属多孔質体)は得られてない。又、MF−80Aは、図11で示されるように完全なオープンセル構造であるにも係わらず、図10(比較例2)のSEM写真から明らかなように、得られた金属多孔質体は骨格を覆う不規則な膜を有するものである。MF−80Aを、SUS316L粉末を含むスラリーに含浸することにより、骨格を覆う不規則な膜が生じていることが分る。この現象は、ポリウレタンフォームのセル径が粗い場合は発生頻度が少ないが、緻密になるほど増加する傾向が見られた。

0092

0093

表4中の濾過圧力とは、濾過試験液を圧縮空気で加圧したときの圧力であって、大気圧との差異(差圧、圧力損失)を表わす値である。濾過時間は、50gの濾過試験液が表4に示した厚みの多孔質体フィルターを通過し始めてから終了までの時間をストップウォッチで測定した値である。又、濾過最大粒径は、多孔質体フィルター通過後の濾液に含まれる粒子中の最大粒子径である。

実施例

0094

表4の結果より、本発明の第1の態様である実施例1〜3の金属多孔質体を濾過に用いた場合は、低い濾過圧力で100μmレベル微粒子濾別可能であることが分った。特に、粒径が75μm以下の粒子を90質量%以上含む無機塩の粉粒体である粉砕分級品(粉砕品7μm)、RN−1を用いて製造された金属多孔質体(実施例1、2)を濾過に用いた場合は、数μm〜20μmレベルの微粒子を濾別可能であることが示されている。すなわち、本発明の第1の態様の金属多孔質体は、数μm〜100μmレベルの微粒子を濾別可能な液体フィルターとして有用であることが、上記の濾過試験の結果よりわかった。

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