図面 (/)
課題
解決手段
概要
背景
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられて冷媒を放熱させる放熱器(凝縮器)と、車室内側に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器(蒸発器)と、車室外側に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる室外熱交換器を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させる暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を吸熱器において吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる冷房モードの各モードを切り換えて実行するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
概要
所謂ヒートポンプ方式の車両用空気調和装置において、運転モードの切換時に開閉弁を開放する際に生じる騒音を解消、若しくは、低減する。圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器7にて吸熱させる暖房モードと、暖房モードの状態において電磁弁22を開放し、放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、吸熱器9にて吸熱させる除湿暖房モードを実行する。コントローラは、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、放熱器圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、電磁弁22を開放する。
目的
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、所謂ヒートポンプ方式の車両用空気調和装置において、運転モードの切換時に開閉弁を開放する際に生じる騒音を解消、若しくは、低減することを目的とする
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、前記車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、該室外熱交換器に対して並列に接続された除湿用の開閉弁と、制御手段とを備え、該制御手段により少なくとも、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、該暖房モードの状態において前記開閉弁を開放し、前記放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、前記制御手段は、前記暖房モードから前記除湿暖房モードに切り換える際、前記放熱器の圧力、又は、前記開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行することを特徴とする車両用空気調和装置。
請求項2
冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて前記空気流通路から前記車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、前記車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、該室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、該室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁と、制御手段とを備え、該制御手段により少なくとも、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、該暖房モードの状態において前記放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、前記開閉弁を開放し、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記吸熱器にて吸熱させる冷房モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、前記制御手段は、前記暖房モード、又は、前記除湿暖房モードから前記冷房モードに切り換える際、前記放熱器の圧力、又は、前記開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行することを特徴とする車両用空気調和装置。
請求項3
前記制御手段は、前記騒音改善制御において、前記圧縮機の回転数を低下させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
請求項4
前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁を備え、前記制御手段は、前記騒音改善制御において、前記室外膨張弁の弁開度を拡大させることを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
請求項5
前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁を備え、前記制御手段は、前記騒音改善制御において、前記圧縮機の回転数を低下させると共に、前記放熱器の冷媒の過冷却度が所定値以下となるように前記室外膨張弁の弁開度を制御し、前記放熱器の圧力、又は、前記開閉弁前後の圧力差、又は、前記過冷却度が所定値以下に低下した後、前記開閉弁を開放することを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
請求項6
前記室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、該室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁を備え、前記制御手段は、前記騒音改善制御において、前記圧縮機の回転数を低下させ、前記室外膨張弁の弁開度を拡大させた後、前記バイパス用の開閉弁を開放し、前記放熱器の圧力、又は、前記除湿用の開閉弁前後の圧力差が所定値以下に低下した後、当該除湿用の開閉弁を開放することを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
請求項7
前記開閉弁は非通電状態で開放する電磁弁であると共に、前記制御手段は、前記暖房モード、又は、前記除湿暖房モード、又は、前記室外熱交換器を除霜する除霜モードから停止する際、前記室外膨張弁の弁開度を拡大させ、若しくは、前記放熱器の圧力が所定値以下に低下するまで、又は、前記圧縮機の停止から所定時間経過するまで、前記開閉弁を閉じておくことを特徴とする請求項2に記載の車両用空気調和装置。
請求項8
前記空気流通路に空気を送給するための室内送風機と、前記室外熱交換器に外気を通風するための室外送風機を備え、前記制御手段は、前記開閉弁を開放する直前に前記室内送風機、及び/又は、前記室外送風機の風量を増加させることを特徴とする請求項2又は至請求項7のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
請求項9
前記制御手段は、車速が高い程、前記放熱器の圧力の所定値、又は、前記開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、前記放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を高くすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
請求項10
前記制御手段は、前記騒音改善制御において、前記圧縮機を停止することを特徴とする請求項1乃至請求項9のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
請求項11
前記空気流通路に空気を送給するための室内送風機を備え、前記制御手段は、前記室内送風機の風量が少なくなる程、前記放熱器の圧力の所定値、又は、前記開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、前記放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を低くすることを特徴とする請求項1乃至請求項10のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
請求項12
前記空気流通路に空気を送給するための室内送風機を備え、前記制御手段は、車速が所定値以上である場合、及び/又は、前記室内送風機の風量が所定値以上である場合、前記騒音改善制御を実行しないことを特徴とする請求項1乃至請求項11のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
技術分野
背景技術
0002
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、冷媒を圧縮して吐出する圧縮機と、車室内側に設けられて冷媒を放熱させる放熱器(凝縮器)と、車室内側に設けられて冷媒を吸熱させる吸熱器(蒸発器)と、車室外側に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させる室外熱交換器を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させる暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、放熱器において放熱した冷媒を吸熱器において吸熱させる除湿暖房モードと、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器において放熱させ、吸熱器において吸熱させる冷房モードの各モードを切り換えて実行するものが開発されている(例えば、特許文献1参照)。
先行技術
0003
特許第3985384号公報
発明が解決しようとする課題
0004
ここで、室外熱交換器には並列に除湿用の電磁弁(開閉弁)が設けられており、上記暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、暖房モードの状態において前記除湿用の電磁弁を開放し、放熱器から出た冷媒を減圧して吸熱器に流入させるものであるが、この切り換えの際の電磁弁前後の圧力差は極めて大きいため、電磁弁の開放時に吸熱器に急激に流入する冷媒によって比較的大きな騒音が発生する。
0005
また、室外熱交換器の手前にはそれに流入する冷媒を減圧する室外膨張弁が設けられており、更に、この室外膨張弁には並列にバイパス用の電磁弁(開閉弁)が設けられ、上記暖房モード又は除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際には、このバイパス用の電磁弁を開放するものであるが、この切り換えの際の電磁弁前後の圧力差も極めて大きいため、電磁弁の開放時に室外熱交換器に急激に流入する冷媒によって同様に大きい騒音が発生する問題があった。
0006
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、所謂ヒートポンプ方式の車両用空気調和装置において、運転モードの切換時に開閉弁を開放する際に生じる騒音を解消、若しくは、低減することを目的とする。
課題を解決するための手段
0007
請求項1の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器に対して並列に接続された除湿用の開閉弁と、制御手段とを備え、この制御手段により少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、この暖房モードの状態において開閉弁を開放し、放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードとを切り換えて実行するものであって、制御手段は、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行することを特徴とする。
0008
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、この室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁と、制御手段とを備え、この制御手段により少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、この暖房モードの状態において放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、開閉弁を開放し、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードとを切り換えて実行するものであって、制御手段は、暖房モード、又は、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行することを特徴とする。
0009
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御手段は、騒音改善制御において、圧縮機の回転数を低下させることを特徴とする。
0010
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁を備え、制御手段は、騒音改善制御において、室外膨張弁の弁開度を拡大させることを特徴とする。
0011
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁を備え、制御手段は、騒音改善制御において、圧縮機の回転数を低下させると共に、放熱器の冷媒の過冷却度が所定値以下となるように室外膨張弁の弁開度を制御し、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差、又は、過冷却度が所定値以下に低下した後、開閉弁を開放することを特徴とする。
0012
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、請求項1の発明において室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、この室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁を備え、制御手段は、騒音改善制御において、圧縮機の回転数を低下させ、室外膨張弁の弁開度を拡大させた後、バイパス用の開閉弁を開放し、放熱器の圧力、又は、除湿用の開閉弁前後の圧力差が所定値以下に低下した後、当該除湿用の開閉弁を開放することを特徴とする。
0013
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、請求項2の発明において開閉弁は非通電状態で開放する電磁弁であると共に、制御手段は、暖房モード、又は、除湿暖房モード、又は、室外熱交換器を除霜する除霜モードから停止する際、室外膨張弁の弁開度を拡大させ、若しくは、放熱器の圧力が所定値以下に低下するまで、又は、圧縮機の停止から所定時間経過するまで、開閉弁を閉じておくことを特徴とする。
0014
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、請求項2の発明又は上記発明において空気流通路に空気を送給するための室内送風機と、室外熱交換器に外気を通風するための室外送風機を備え、制御手段は、開閉弁を開放する直前に室内送風機、及び/又は、室外送風機の風量を増加させることを特徴とする。
0015
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御手段は、車速が高い程、放熱器の圧力の所定値、又は、開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を高くすることを特徴とする。
0016
請求項10の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御手段は、騒音改善制御において、圧縮機を停止することを特徴とする。
0017
請求項11の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において空気流通路に空気を送給するための室内送風機を備え、制御手段は、室内送風機の風量が少なくなる程、放熱器の圧力の所定値、又は、開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を低くすることを特徴とする。
0018
請求項12の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において空気流通路に空気を送給するための室内送風機を備え、制御手段は、車速が所定値以上である場合、及び/又は、室内送風機の風量が所定値以上である場合、騒音改善制御を実行しないことを特徴とする。
発明の効果
0019
請求項1の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器に対して並列に接続された除湿用の開閉弁と、制御手段とを備え、この制御手段により少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、この暖房モードの状態において開閉弁を開放し、放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、制御手段が、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行するようにしたので、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、除湿用の開閉弁を開放したときに、吸熱器に冷媒が急激に流入することを大幅に抑制またはなくすことが出来る。
0020
これにより、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の開閉弁を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0021
また、請求項2の発明によれば、冷媒を圧縮する圧縮機と、車室内に供給する空気が流通する空気流通路と、冷媒を放熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、冷媒を吸熱させて空気流通路から車室内に供給する空気を冷却するための吸熱器と、車室外に設けられて冷媒を放熱又は吸熱させるための室外熱交換器と、この室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁と、この室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁と、制御手段とを備え、この制御手段により少なくとも、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させる暖房モードと、この暖房モードの状態において放熱器から出た冷媒の少なくとも一部を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる除湿暖房モードと、開閉弁を開放し、圧縮機から吐出された冷媒を室外熱交換器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、吸熱器にて吸熱させる冷房モードとを切り換えて実行する車両用空気調和装置において、制御手段が、暖房モード、又は、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を所定値以下に低下させた後、当該開閉弁を開放する騒音改善制御を実行するようにしたので、暖房モード、又は、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、バイパス用の開閉弁を開放したときに、室外熱交換器に冷媒が急激に流入することを大幅に抑制またはなくすことが出来る。
0022
これにより、暖房モード、又は、除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の開閉弁を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0023
これらの場合、請求項3の発明の如く制御手段が、騒音改善制御において圧縮機の回転数を低下させるようにすれば、騒音改善制御において放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を効果的に低下させることができるようになる。
0024
また、それに加えて請求項4の発明の如く制御手段が騒音改善制御において、室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁の弁開度を拡大させるようにすれば、より迅速に放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を低下させることができるようになる。
0025
また、請求項5の発明の如く、請求項1の発明に加えて制御手段が、騒音改善制御において、圧縮機の回転数を低下させると共に、放熱器の冷媒の過冷却度が所定値以下となるように、室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁の弁開度を制御し、放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差、又は、過冷却度が所定値以下に低下した後、開閉弁を開放するようにしてもよい。放熱器の過冷却度を低下させることで、冷媒の密度が低下するため、より一層効果的に騒音の解消、若しくは、低減を実現することが可能となる。
0026
また、請求項6の発明の如く、請求項1の発明に加えて室外熱交換器に流入する冷媒を減圧するための室外膨張弁に対して並列に接続されたバイパス用の開閉弁を備えている場合、制御手段が、騒音改善制御において、圧縮機の回転数を低下させ、室外膨張弁の弁開度を拡大させた後、バイパス用の開閉弁を開放し、放熱器の圧力、又は、除湿用の開閉弁前後の圧力差が所定値以下に低下した後、当該除湿用の開閉弁を開放するようにしてもよい。その場合には、バイパス用の開閉弁によってより一層迅速に放熱器の圧力、又は、除湿用の開閉弁前後の圧力差を低下させることができるようになる。
0027
また、請求項7の発明の如くバイパス用の開閉弁が非通電状態で開放する電磁弁である場合に、請求項2の発明に加えて制御手段が、暖房モード、又は、除湿暖房モード、又は、室外熱交換器を除霜する除霜モードから停止する際、室外膨張弁の弁開度を拡大させ、若しくは、放熱器の圧力が所定値以下に低下するまで、又は、圧縮機の停止から所定時間経過するまで、開閉弁を閉じておくことにより、停止時にバイパス用の開閉弁が開いてしまうことによって生じる騒音を解消、若しくは、抑制することが可能となる。
0028
また、請求項8の発明の如く制御手段が、開閉弁を開放する直前に空気流通路に空気を送給するための室内送風機、及び/又は、室外熱交換器に外気を通風するための室外送風機の風量を増加させるようにしてもよい。室内送風機の風量が増加することで、放熱器の圧力が低下する。また、室外送風機の風量が増加することで室外熱交換器の圧力は上昇するので、何れの場合も効果的に放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を低下させることができるようになる。
0029
また、請求項9の発明の如く制御手段が、車速が高い程、放熱器の圧力の所定値、又は、開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を高くするようにしてもよい。車速が高い程、室外熱交換器への外気の流入量が増加し、その圧力は高くなるため、放熱器の圧力の所定値、又は、開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を高くしても騒音を解消、若しくは、低減することができる。これにより、開閉弁を早期に開放して運転モードの切り換えを迅速に行うことができるようになる。
0030
また、請求項10の発明の如く制御手段が、騒音改善制御において、圧縮機を停止するようにすれば、より一層迅速に放熱器の圧力、又は、開閉弁前後の圧力差を低下させることができるようになる。
0031
また、請求項11の発明の如く制御手段が、空気流通路に空気を送給するための室内送風機の風量が少なくなる程、放熱器の圧力の所定値、又は、開閉弁前後の圧力差の所定値、又は、放熱器の冷媒の過冷却度の所定値を低くするようにすれば、室内送風機の風量が少なく、放熱器の圧力が高くなる状況において、騒音の発生をより確実に解消、若しくは、低減することができるようになる。
0032
そして、請求項12の発明の如く制御手段が、車速が所定値以上である場合、及び/又は、空気流通路に空気を送給するための室内送風機の風量が所定値以上である場合、騒音改善制御を実行しないようにすれば、室外熱交換器への外気の流入量が増加し、その圧力は高くなる状況において、及び/又は、室内送風機の風量が多く、放熱器の圧力も高くならない状況においては騒音改善制御を実施せず、開閉弁を直ぐに開放して、騒音の発生と運転モード切換の遅延の双方を回避することができるようになる。
図面の簡単な説明
0033
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である。
図1の車両用空気調和装置のコントローラの電気回路のブロック図である。
図2のコントローラが実行する騒音改善制御を説明する各機器のタイミングチャートである(実施例1)。
図3における圧縮機と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
もう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御におけるバイパス用の電磁弁と圧縮機と室外膨張弁と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁と除湿用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における車速と放熱器圧力等との関係を示す図である。
更にもう一つの騒音改善制御における室内送風機風量と放熱器圧力等との関係を示す図である。
図2のコントローラが実行する他の実施例の騒音改善制御を説明する各機器のタイミングチャートである(実施例2)。
図2のコントローラが実行する他の実施例の騒音改善制御を説明する各機器のもう一つのタイミングチャートである。
図13や図14における圧縮機とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
もう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における室内送風機と室外送風機とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における圧縮機と室外膨張弁とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
更にもう一つの騒音改善制御における車速と放熱器圧力等との関係を示す図である。
更にもう一つの騒音改善制御における室内送風機風量と放熱器圧力等との関係を示す図である。
図2のコントローラが実行する他の実施例の騒音改善制御を説明する各機器の更にもう一つのタイミングチャートである(実施例4)。
図23における圧縮機と室外膨張弁とバイパス用の電磁弁の動作を説明するタイミングチャートである。
本発明を適用可能な他の実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(実施例5)。
0034
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
0035
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)が搭載されていない電気自動車(EV)であって、バッテリに充電された電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房を行い、更に、除湿暖房や冷房除湿、冷房等の各運転モードを選択的に実行するものである。
0036
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
0037
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、冷媒を圧縮する電動式の圧縮機2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられ、圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒が冷媒配管13Gを介して流入し、この冷媒を車室内に放熱させる放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6と、冷房時には放熱器として機能し、暖房時には蒸発器として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8と、空気流通路3内に設けられて冷房時及び除湿時に車室内外から冷媒に吸熱させる吸熱器9と、吸熱器9における蒸発能力を調整する蒸発能力制御弁11と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
0038
尚、室外熱交換器7には、室外送風機15が設けられている。この室外送風機15は、室外熱交換器7に外気を強制的に通風することにより、外気と冷媒とを熱交換させるものであり、これにより停車中(即ち、車速VSPが0km/h)にも室外熱交換器7に外気が通風されるよう構成されている。
0039
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房時に開放される冷房用の開閉弁としての冷房用電磁弁17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口が逆止弁18を介して室内膨張弁8に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成しており、逆止弁18は室内膨張弁8側が順方向とされている。
0040
また、逆止弁18と室内膨張弁8間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側に位置する蒸発能力制御弁11を出た冷媒配管13Cと熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出て蒸発能力制御弁11を経た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。
0041
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される暖房用の開閉弁としての暖房用電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。更に、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eは室外膨張弁6の手前で分岐しており、この分岐した冷媒配管13Fは除湿時に開放される除湿用の開閉弁としての除湿用電磁弁22を介して逆止弁18の下流側の冷媒配管13Bに連通接続されている。即ち、電磁弁22は室外熱交換器7に対して並列に接続されている。
0042
また、室外膨張弁6には並列にバイパス配管13Jが接続されており、このバイパス配管13Jには、冷房モードにおいて開放され、室外膨張弁6をバイパスして冷媒を流すためのバイパス用の開閉弁としてのバイパス用電磁弁20が介設されている。尚、これら室外膨張弁6及び電磁弁20と室外熱交換器7との間の配管は13Iとする。
0043
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
0044
また、放熱器4の空気上流側における空気流通路3内には、内気や外気の放熱器4への流通度合いを調整するエアミックスダンパ28が設けられている。更に、放熱器4の空気下流側における空気流通路3には、フット、ベント、デフの各吹出口(図1では代表して吹出口29で示す)が形成されており、この吹出口29には上記各吹出口から空気の吹き出しを切換制御する吹出口切換ダンパ31が設けられている。
0045
次に、図2において32はマイクロコンピュータから構成された制御手段としてのコントローラ(ECU)であり、このコントローラ32の入力には車両の外気温度を検出する外気温度センサ33と、車両の外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれる空気の温度を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、吹出口29から車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力を検出する吐出圧力センサ42と、圧縮機2の吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力を検出する吸込圧力センサ44と、放熱器4の温度(放熱器4を経た空気の温度、又は、放熱器4自体の温度)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器4内、又は、放熱器4を出た直後の冷媒の圧力)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9を経た空気の温度、又は、吸熱器9自体の温度)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力(吸熱器9内、又は、吸熱器9を出た直後の冷媒の圧力)を検出する吸熱器圧力センサ49と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調(エアコン)操作部53と、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器7から出た直後の冷媒の温度、又は、室外熱交換器7自体の温度)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の冷媒圧力(室外熱交換器7内、又は、室外熱交換器7から出た直後の冷媒の圧力)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
0046
一方、コントローラ32の出力には、前記圧縮機2と、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、吹出口ダンパ31と、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、各電磁弁22、17、21、20と、蒸発能力制御弁11が接続されている。そして、コントローラ32は各センサの出力と空調操作部53にて入力された設定に基づいてこれらを制御する。
0047
ここで、前述した冷房用の電磁弁17とバイパス用の電磁弁20は、非通電時に開放する所謂ノーマルオープンの電磁弁である。また、前述した暖房用の電磁弁21と除湿用の電磁弁22は、非通電時に閉じる所謂ノーマルクローズの電磁弁であり、これにより、電源が断たれた状態でも、圧縮機2の吐出側−放熱器4−室外熱交換器7−吸熱器9−圧縮機2の吸込側と連通する環状の冷媒回路が構成されるように配慮されている。
0048
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。コントローラ32は実施例では大きく分けて暖房モードと、除湿暖房モードと、内部サイクルモードと、除湿冷房モードと、冷房モードの各運転モードを切り換えて実行する。先ず、各運転モードにおける冷媒の流れについて説明する。
0049
(1)暖房モード
コントローラ32により、或いは、空調操作部53へのマニュアル操作により暖房モードが選択されると、コントローラ32は電磁弁21を開放し、電磁弁17、電磁弁22及び電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
0050
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる。即ち、冷媒回路Rがヒートポンプとなり、室外熱交換器7は冷媒の蒸発器として機能する。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13A及び電磁弁21及び冷媒配管13Dを経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4にて加熱された空気は吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
0051
コントローラ32は吐出圧力センサ42又は放熱器圧力センサ47が検出する冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数Ncを制御すると共に、放熱器温度センサ46が検出する放熱器4の温度及び放熱器圧力センサ47が検出する放熱器4の冷媒圧力に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度を制御する。
0052
(2)除湿暖房モード
次に、除湿暖房モードでは、コントローラ32は上記暖房モードの状態において電磁弁22を開放する。これにより、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部が分流され、電磁弁22を経て冷媒配管13F及び13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至るようになる。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
0053
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cにて冷媒配管13Dからの冷媒と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。コントローラ32は吐出圧力センサ42又は放熱器圧力センサ47が検出する冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数Ncを制御すると共に、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。
0054
(3)内部サイクルモード
次に、内部サイクルモードでは、コントローラ32は上記除湿暖房モードの状態において室外膨張弁6を全閉とする(全閉位置)と共に、電磁弁20、21も閉じる。この室外膨張弁6と電磁弁20、21が閉じられることにより、室外熱交換器7への冷媒の流入、及び、室外熱交換器7からの冷媒の流出は阻止されることになるので、放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒は電磁弁22を経て冷媒配管13Fに全て流れるようになる。そして、冷媒配管13Fを流れる冷媒は冷媒配管13Bより内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
0055
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを流れ、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになるが、この内部サイクルモードでは室内側の空気流通路3内にある放熱器4(放熱)と吸熱器9(吸熱)の間で冷媒が循環されることになるので、外気からの熱の汲み上げは行われず、圧縮機2の消費動力分の暖房能力が発揮される。除湿作用を発揮する吸熱器9には冷媒の全量が流れるので、上記除湿暖房モードに比較すると除湿能力は高いが、暖房能力は低くなる。
0056
コントローラ32は吸熱器9の温度、又は、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて圧縮機2の回転数Ncを制御する。このとき、コントローラ32は吸熱器9の温度によるか高圧圧力によるか、何れかの演算から得られる圧縮機目標回転数の低い方を選択して圧縮機2を制御する。
0057
(4)除湿冷房モード
次に、除湿冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21、電磁弁22及び電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
0058
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
0059
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
0060
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて圧縮機2の回転数Ncを制御すると共に、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)を制御する。
0061
(5)冷房モード
次に、冷房モードでは、コントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において電磁弁20を開き(この場合、室外膨張弁6は全開(弁開度を制御上限)を含む何れの弁開度でもよい)、エアミックスダンパ28は放熱器4に空気が通風されない状態を含み通風量を制御する状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は放熱器4に流入する。放熱器4に空気流通路3内の空気が通風されない場合には、ここは通過するのみとなり、通風される場合には空気に放熱される。放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て電磁弁20及び室外膨張弁6に至る。
0062
このとき電磁弁20は開放されているので冷媒は室外膨張弁6を迂回してバイパス配管13Jを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
0063
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は逆止弁18を経て冷媒配管13Bに入り、内部熱交換器19を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却される。
0064
吸熱器9で蒸発した冷媒は蒸発能力制御弁11、内部熱交換器19を経て冷媒配管13Cを介し、アキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過することなく、あるいは若干通過し、吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度に基づいて圧縮機2の回転数Ncを制御する。
0065
コントローラ32は起動時には外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと目標吹出温度TAOとに基づいて運転モードを選択する。また、起動後は外気温度Tamや目標吹出温度TAO等の環境や設定条件の変化に応じて前記各運転モードを選択し、切り換えていくものである。
0066
(6)騒音改善制御(その1)
次に、図3、図4を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の一例について説明する。前述したように暖房モードでは除湿用の電磁弁22は閉じられているが、除湿暖房モードでは電磁弁22は開放される。しかしながら、電磁弁22を開放する際には、電磁弁22の上流側(放熱器4側)は高圧となっているため、電磁弁22を開放すると一気に冷媒が吸熱器9に流入し、激しい騒音が発生する不都合があった。
0067
そこで、この実施例でコントローラ32は、運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、先ず除湿用の電磁弁22を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていく(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)。この圧縮機2の回転数Ncが低下すると、図4に示す如く放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下していく。これにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0068
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。このように、コントローラ32は運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、放熱器圧力PCIを所定値以下に低下させた後、除湿用の電磁弁22を開放する騒音改善制御を実行するので、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなる。これにより、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0069
また、この場合コントローラ32は、騒音改善制御において圧縮機2の回転数Ncを低下させるので、騒音改善制御において放熱器圧力PCIと、電磁弁22の前後の圧力差を効果的に低下させることができるようになる。
0070
尚、上記実施例では放熱器圧力PCIが所定値に低下してときに除湿用の電磁弁22を開放するようにしたが、電磁弁22の下流側の冷媒圧力を検出する圧力センサが設けられる場合には、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−冷媒下流側の冷媒圧力)に基づき、圧力差ΔPxが所定値以下に低下したときに電磁弁22を開放するようにしてもよい(以下の実施例についても同じ)。
0071
(7)騒音改善制御(その2)
次に、図5を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、先ず除湿用の電磁弁22を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていくと共に(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)、室外膨張弁6を全開(図中破線で示す制御上限の開度)、若しくは、室外膨張弁6の弁開度を所定開度(図中実線で示す)に拡大させる(実施例では所定の傾斜角度で拡大させる)。
0072
圧縮機2の回転数Ncが低下すると、前述同様に放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下する。また、室外膨張弁6の弁開度を拡大することでも放熱器圧力PCIは低下するので、これらの相乗作用で放熱器圧力PCIは図5に示す如く迅速に低下していく。それにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(前述同様に、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0073
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度も除湿暖房モードの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0074
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2の回転数Ncを低下させることに加えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大させるので、より迅速に放熱器圧力PCIと、電磁弁22の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxが所定値以下に低下したときに電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0075
(8)騒音改善制御(その3)
次に、図6を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御のもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、先ず除湿用の電磁弁22を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていくと共に(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)、放熱器4の冷媒の過冷却度SCが所定値(所定の低い値)以下となるように室外膨張弁6の弁開度を全開(図中破線で示す制御上限の開度)、若しくは、所定開度(図中実線で示す)に拡大させる(実施例では所定の傾斜角度で拡大させる)制御を実行する。
0076
圧縮機2の回転数Ncが低下すると、前述同様に放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下する。また、放熱器4の過冷却度SCが低下することでも放熱器圧力PCIは低下するので、これらの相乗作用で放熱器圧力PCIは図6に示す如く迅速に低下していく。それにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。また、放熱器4の過冷却度SCが低下することで、放熱器4を出た高圧冷媒の密度も低くなる。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(前述同様に、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0077
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度による放熱器4の過冷却度SCの制御も除湿暖房モードの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0078
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2の回転数Ncを低下させると共に、放熱器4の冷媒の過冷却度SCが所定値以下となるように、室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器圧力PCIが所定値以下に低下した後、開閉弁22を開放するようにしているので、上記各実施例に加えて放熱器4の過冷却度SCを低下させることで、高圧側冷媒の密度が低下するため、より一層効果的に騒音の解消、若しくは、低減を実現することが可能となる。
0079
尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxが所定値以下に低下したときに電磁弁22を開放するようにしてもよい。また、この実施例の場合には放熱器4の過冷却度SCが所定値以下に低下したことに基づいて電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0080
(9)騒音改善制御(その4)
次に、図7を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、先ず除湿用の電磁弁22を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていくと共に(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)、室外膨張弁6の弁開度を全開(図中破線で示す制御上限の開度)、若しくは、室外膨張弁6の弁開度を所定開度(図中実線で示す)に拡大させる(実施例では所定の傾斜角度で拡大させる)。
0081
圧縮機2の回転数Ncが低下すると、前述同様に放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下する。また、室外膨張弁6の弁開度が拡大することでも放熱器圧力PCIは低下するので、これらの相乗作用で放熱器圧力PCIは図7に示す如く迅速に低下していく。その後、或る程度放熱器圧力PCIが低下したところで、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより、放熱器圧力PCIの低下は更に迅速なものとなり、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(前述同様に、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0082
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度も除湿暖房モードの適正な制御状態とする。更に、電磁弁20も閉じる。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0083
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2の回転数Ncを低下させ、室外膨張弁6の弁開度を拡大させた後、バイパス用の電磁弁20を開放し、放熱器圧力PCIが所定値以下に低下した後、当該電磁弁20を開放するので、バイパス用の電磁弁20によってより一層迅速に放熱器圧力PCIと電磁弁22前後の圧力差を低下させることができるようになる。また、放熱器圧力PCIが低下したところで電磁弁20を開放するので、この電磁弁20の開放時の騒音も回避することができる。
0084
尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxの低下により電磁弁20を開放し、更に所定値以下に低下したときに電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0085
(10)騒音改善制御(その5)
次に、図8を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した騒音改善制御(その1)で運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、圧縮機2の回転数Ncを低下させる代わりに圧縮機2を停止させる。圧縮機2が停止することで、図8に示す如く放熱器圧力PCIは迅速に低下していく。これにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0086
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2を起動し、その回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0087
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2を停止させるので、より一層迅速に放熱器圧力PCIや電磁弁22の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxが所定値以下に低下したことにより電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0088
(11)騒音改善制御(その6)
次に、図9を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した騒音改善制御(その2)で運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、圧縮機2の回転数Ncを低下させる代わりに圧縮機2を停止させる。圧縮機2が停止することで、室外膨張弁6の弁開度の拡大との相乗作用で図9に示す如く放熱器圧力PCIは迅速に低下していく。これにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0089
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2を起動し、その回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度の制御も除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0090
特に、この実施例でもコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2を停止させるので、より一層迅速に放熱器圧力PCIや電磁弁22の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxが所定値以下に低下したことにより電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0091
(11)騒音改善制御(その7)
次に、図10を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した騒音改善制御(その3)で運転モードを暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、圧縮機2の回転数Ncを低下させる代わりに圧縮機2を停止させる。圧縮機2が停止することで、室外膨張弁6の弁開度制御による放熱器4の冷媒の過冷却度SCの低下との相乗作用で図10に示す如く放熱器圧力PCIは迅速に低下していく。これにより、電磁弁22の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5〜1.3MPa等)以下となったとき、コントローラ32は除湿用の電磁弁22を開放する。これにより運転モードは除湿暖房モードに切り換わる。
0092
電磁弁22を開放した後、コントローラ32は圧縮機2を起動し、その回転数Ncの制御を除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度による放熱器4の過冷却度SCの制御も除湿暖房モードでの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際、電磁弁22を開放したときに、吸熱器9に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モードから除湿暖房モードへの切換時に、除湿用の電磁弁22を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0093
特に、この実施例でもコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2を停止させるので、より一層迅速に放熱器圧力PCIや電磁弁22の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁22の前後の圧力差ΔPx(放熱器圧力PCI−下流側の冷媒圧力)に基づいて、当該圧力差ΔPxが所定値以下に低下したことにより電磁弁22を開放するようにしてもよい。
0094
(12)騒音改善制御(その8)
次に、図11を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した各制御例(実施例1)の騒音改善制御での放熱器圧力PCIの所定値や圧力差ΔPxの所定値、放熱器4の冷媒の過冷却度SCの所定値を、車速に応じて変化させる。
0095
その場合、コントローラ32は車速が高い程、実施例では図11に示すように一次関数的に上記放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁22前後の圧力差ΔPxの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を高くする。ここで、車速が高い程、室外熱交換器7への外気の流入量が増加し、室外熱交換器7の冷媒圧力は高くなるため、放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁22前後の圧力差ΔPxの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を高くしても騒音を解消、若しくは、低減することができる。これにより、電磁弁22を早期に開放して除湿暖房モードへの切り換えを迅速に行うことができるようになる。
0096
尚、この実施例では車速の上昇に応じて一次関数的に上記各所定値が高くなるようにしたが、それに限らず、車速が所定値以上である場合に、上記各所定値を車速が低いときよりも高くするようにしてもよい。
0097
(13)騒音改善制御(その9)
次に、図12を参照しながら、暖房モードから除湿暖房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した各制御例(実施例1)の騒音改善制御での放熱器圧力PCIの所定値や圧力差ΔPxの所定値、放熱器4の冷媒の過冷却度SCの所定値を、室内送風機27の風量に応じて変化させる。
0098
その場合、コントローラ32は室内送風機27の風量が少なくなる程(MAXからMINまで)、実施例では図12に示すように一次関数的に上記放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁22前後の圧力差ΔPxの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を低くする。ここで、室内送風機27の風量が少なくなる程、放熱器圧力PCIは高くなるため、放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁22前後の圧力差ΔPxの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を低くすることにより、放熱器圧力PCIが高くなる状況において、騒音の発生をより確実に解消、若しくは、低減することができるようになる。
0099
(14)騒音改善制御(その10)
次に、図13〜図15を参照しながら、暖房モード、又は、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の一例について説明する。前述したように暖房モードや除湿暖房モードでは室外膨張弁6に並列に接続されたバイパス用の電磁弁20は閉じられているが、冷房モードでは電磁弁20は開放される。しかしながら、電磁弁20を開放する際には、電磁弁20の上流側(放熱器4側)は高圧となっているため、電磁弁20を開放すると一気に冷媒が室外熱交換器7に流入し、激しい騒音が発生する不都合があった。
0100
そこで、この実施例でコントローラ32は、運転モードを暖房モードから冷房モードに切り換える際(図13)、及び、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際(図14)、先ずバイパス用の電磁弁20を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード/除湿暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていく(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)。この圧縮機2の回転数Ncが低下すると、図15に示す如く放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下していく。これにより、電磁弁20の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5MPa等)以下となったとき、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより運転モードは冷房モードに切り換わる。
0101
電磁弁20を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を冷房モードでの適正な制御状態とする。このように、コントローラ32は運転モードを暖房モード、及び、除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、放熱器圧力PCIを所定値以下に低下させた後、バイパス用の電磁弁20を開放する騒音改善制御を実行するので、暖房モード及び除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、電磁弁20を開放したときに、室外熱交換器7に冷媒が急激に流入することが無くなる。これにより、暖房モード及び除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の電磁弁20を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0102
また、この場合コントローラ32は、騒音改善制御において圧縮機2の回転数Ncを低下させるので、騒音改善制御において放熱器圧力PCIと、電磁弁20の前後の圧力差を効果的に低下させることができるようになる。
0103
尚、上記実施例では放熱器圧力PCIが所定値に低下してときにバイパス用の電磁弁20を開放するようにしたが、電磁弁20の下流側の冷媒圧力である室外熱交換器7の圧力PXOを検出する室外熱交換器圧力センサ56の出力に基づき、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbp(放熱器圧力PCI−室外熱交換器圧力PXO)に基づき、圧力差ΔPbpが所定値以下に低下したときに電磁弁20を開放するようにしてもよい。また、実施例では暖房モード及び除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際に騒音改善制御を実行するようにしたが、暖房モード又は除湿暖房モードの何れか一方から冷房モードに切り換える際に実行するようにしてもよい(以下の実施例についても同じ)。
0104
(15)騒音改善制御(その11)
次に、図16を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、運転モードを暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、先ずバイパス用の電磁弁20を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード/除湿暖房モード)、圧縮機2の回転数Ncを低下させていくと共に(実施例では所定の傾斜角度で低下させる)、室外膨張弁6を全開(図中破線で示す制御上限の開度)、若しくは、室外膨張弁6の弁開度を所定開度(図中実線で示す)に拡大させる(実施例では所定の傾斜角度で拡大させる)。
0105
圧縮機2の回転数Ncが低下すると、前述同様に放熱器4の圧力(高圧。放熱器圧力PCI)は低下する。また、室外膨張弁6の弁開度を拡大することでも放熱器圧力PCIは低下するので、これらの相乗作用で放熱器圧力PCIは図16に示す如く迅速に低下していく。それにより、電磁弁20の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(前述同様に、0.5MPa等)以下となったとき、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより運転モードは冷房モードに切り換わる。
0106
電磁弁20を開放した後、コントローラ32は圧縮機2の回転数Ncの制御を冷房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度も冷房モードでの全開(制御上限値)とする。このようにしても暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、電磁弁20を開放したときに、室外熱交換器7に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の電磁弁20を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0107
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2の回転数Ncを低下させることに加えて、室外膨張弁6の弁開度を拡大させるので、より迅速に放熱器圧力PCIと、電磁弁20の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbp(放熱器圧力PCI−室外熱交換器圧力PXO)に基づいて、当該圧力差ΔPbpが所定値以下に低下したときに電磁弁20を開放するようにしてもよい。
0108
(16)騒音改善制御(その12)
次に、図17を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御のもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、運転モードを暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、先ずバイパス用の電磁弁20を閉じたまま(即ち、未だ暖房モード/除湿暖房モード)、切り換える直前に、室内送風機27の風量と、室外送風機15の風量(稼働率)を増加させる。
0109
室内送風機27の風量が増加することで、放熱器圧力PCIが低下する。また、室外送風機15の風量が増加することで室外熱交換器圧力PXOは上昇する。それらの相乗効果で効果的に放熱器圧力PCI、及び、電磁弁20前後の圧力差Pbpを低下させることができるようになる。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(前述同様に、0.5MPa等)以下となったとき、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより運転モードは冷房モードに切り換わる。
0110
電磁弁20を開放した後、コントローラ32は室内送風機27及び室外送風機15の制御を冷房モードでの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、電磁弁20を開放したときに、室外熱交換器7に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の電磁弁20を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0111
尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbp(放熱器圧力PCI−室外熱交換器圧力PXO)に基づいて、当該圧力差ΔPbpが所定値以下に低下したときに電磁弁20を開放するようにしてもよい。また、この実施例では室内送風機27と室外送風機15の双方の風量を増加させているが、何れか一方を増加させるようにしてもよい。
0112
(17)騒音改善制御(その13)
次に、図18を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、図15や図16の放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbpの所定値を、車速に応じて切り換える(図18は図15の例に適用した例)。即ち、車速が所定値(例えば40km/h)以上である場合は各所定値を高い所定値Bとし、車速が低い場合(40km/hより低い場合)は、各所定値を低い所定値Aとする。
0113
車速が高い場合は室外熱交換器7への外気の流入量が増加するため、室外熱交換器圧力PXOが高くなる。従って、放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20前後の圧力差Pdpの所定値を、低い所定値Aから高い所定値Bに切り換えても騒音を解消、若しくは、低減することができる。これにより、電磁弁20を早期に開放して冷房モードへの切り換えを迅速に行うことができるようになる。
0114
尚、前述した図10の例のように、この場合の騒音改善制御においても放熱器4の冷媒の過冷却度SCを下げるようにしてもよい。その場合の過冷却度SCの所定値も、上記各所定値と同様に切り換えてもよい。
0115
(18)騒音改善制御(その14)
次に、図19を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した騒音改善制御(その10)で運転モードを暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、圧縮機2の回転数Ncを低下させる代わりに圧縮機2を停止させる。圧縮機2が停止することで、図19に示す如く放熱器圧力PCIは迅速に低下していく。これにより、電磁弁20の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5MPa等)以下となったとき、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより運転モードは冷房モードに切り換わる。
0116
電磁弁20を開放した後、コントローラ32は圧縮機2を起動し、その回転数Ncの制御を冷房モードでの適正な制御状態とする。このようにしても暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、電磁弁20を開放したときに、室外熱交換器7に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の電磁弁20を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0117
特に、この実施例ではコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2を停止させるので、より一層迅速に放熱器圧力PCIや電磁弁20の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbp(放熱器圧力PCI−室外熱交換器圧力PXO)に基づいて、当該圧力差ΔPbpが所定値以下に低下したことにより電磁弁20を開放するようにしてもよい。
0118
(19)騒音改善制御(その15)
次に、図20を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した騒音改善制御(その11)で運転モードを暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、圧縮機2の回転数Ncを低下させる代わりに圧縮機2を停止させる。圧縮機2が停止することで、室外膨張弁6の弁開度の拡大との相乗作用で図20に示す如く放熱器圧力PCIは迅速に低下していく。これにより、電磁弁20の前後(冷媒上流側と下流側)の圧力差も迅速に低下する。そして、放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力PCIが所定値(例えば、0.5MPa等)以下となったとき、コントローラ32はバイパス用の電磁弁20を開放する。これにより運転モードは冷房モードに切り換わる。
0119
電磁弁20を開放した後、コントローラ32は圧縮機2を起動し、その回転数Ncの制御を冷房モードでの適正な制御状態とする。また、室外膨張弁6の弁開度は全開状態とする。このようにしても暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際、電磁弁20を開放したときに、室外熱交換器7に冷媒が急激に流入することが無くなり、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードへの切換時に、バイパス用の電磁弁20を開放したときに生じる騒音を解消、若しくは、低減することができるようになる。
0120
特に、この実施例でもコントローラ32は騒音改善制御において、圧縮機2を停止させるので、より一層迅速に放熱器圧力PCIや電磁弁20の前後の圧力差を低下させることができるようになる。尚、前述した如くこの実施例の場合も、電磁弁20の前後の圧力差ΔPbp(放熱器圧力PCI−室外熱交換器圧力PXO)に基づいて、当該圧力差ΔPbpが所定値以下に低下したことにより電磁弁20を開放するようにしてもよい。
0121
(20)騒音改善制御(その16)
次に、図21を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した各制御例(実施例2)の騒音改善制御での放熱器圧力PCIの所定値や圧力差ΔPbpの所定値、放熱器4の冷媒の過冷却度SCの所定値を、車速に応じて変化させる。
0122
その場合、コントローラ32は車速が高い程、実施例では図21に示すように一次関数的に上記放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20前後の圧力差ΔPbpの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を高くする。ここで、車速が高い程、室外熱交換器7への外気の流入量が増加し、室外熱交換器圧力PXOは高くなるため、放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20前後の圧力差ΔPbpの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を高くしても騒音を解消、若しくは、低減することができる。これにより、電磁弁20を早期に開放して冷房モードへの切り換えを迅速に行うことができるようになる。
0123
尚、この実施例では車速の上昇に応じて一次関数的に上記各所定値が高くなるようにしたが、それに限らず、車速が所定値以上である場合に、上記各所定値を車速が低いときよりも高くするようにしてもよい。
0124
(21)騒音改善制御(その17)
次に、図22を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから冷房モードに切り換える際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。この実施例の騒音改善制御でコントローラ32は、前述した各制御例(実施例2)の騒音改善制御での放熱器圧力PCIの所定値や圧力差ΔPbpの所定値、放熱器4の冷媒の過冷却度SCの所定値を、室内送風機27の風量に応じて変化させる。
0125
その場合、コントローラ32は室内送風機27の風量が少なくなる程(MAXからMINまで)、実施例では図22に示すように一次関数的に上記放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20前後の圧力差ΔPbpの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を低くする。ここで、室内送風機27の風量が少なくなる程、放熱器圧力PCIは高くなるため、放熱器圧力PCIの所定値、又は、電磁弁20前後の圧力差ΔPbpの所定値、又は、放熱器4の過冷却度SCの所定値を低くすることにより、放熱器圧力PCIが高くなる状況において、騒音の発生をより確実に解消、若しくは、低減することができるようになる。
0126
尚、上記各実施例において、車速が所定値以上である場合、及び/又は、室内送風機27の風量が所定値以上である場合は、騒音改善制御を実施しないようにしてもよい。即ち、車速が高く、室外熱交換器7への外気の流入量が増加してその圧力が高くなる状況において、及び/又は、室内送風機27の風量が多く、放熱器圧力PCIも高くならない状況においては騒音改善制御を実施しない。これにより、電磁弁22や電磁弁20を直ぐに開放して、騒音の発生と運転モード切換の遅延の双方を回避することができるようになる。
0127
(22)騒音改善制御(その18)
次に、図23、図24を参照しながら、暖房モード/除湿暖房モードから車両用空気調和装置1の運転を停止する際にコントローラ32が実行する騒音改善制御の更にもう一つの他の例について説明する。尚、コントローラ32は電磁弁20を開放して高温冷媒を室外熱交換器7に流入させ、室外熱交換器7の着霜を除去する除霜モードも有しているが、この除霜モードから運転を停止する際にも以下に説明する騒音改善制御を実行するものとする。
0128
この場合、コントローラ32は暖房モード/除湿暖房モード/除霜モードから運転を停止(圧縮機2は停止)する際、室外膨張弁6の弁開度を全開(制御上限値)、又は、所定の開度に拡大する。これにより、放熱器圧力PCIは低下していくが、この放熱器圧力PCIが所定値(例えば0.5MPa等)以下に低下するまで、又は、圧縮機2の停止から所定時間(例えば30秒〜60秒等)経過するまで、バイパス用の電磁弁20を閉じておく(通電)。そして、これらの条件が満足した後、電磁弁20を非通電として開放する。
0129
このように、コントローラ32は暖房モード、又は、除湿暖房モード、又は、室外熱交換器7を除霜する除霜モードから停止する際、室外膨張弁6の弁開度を拡大させ、放熱器圧力PCIが所定値以下に低下するまで、又は、圧縮機2の停止から所定時間経過するまで、電磁弁20を閉じておくことにより、停止時にバイパス用の電磁弁20が開いてしまうことによって生じる騒音を解消、若しくは、抑制することが可能となる。
0130
尚、この実施例では室外膨張弁6の弁開度を拡大させているが、それに限らず、拡大させずに、放熱器圧力PCIが所定値に低下するまで、又は、圧縮機2の停止から所定時間経過するまで電磁弁20を閉じておく(通電)ものとしても有効である。
0131
次に、図25は本発明の車両用空気調和装置1の他の構成図を示している。この実施例では、室外熱交換器7にレシーバドライヤ部14と過冷却部16が設けられておらず、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは電磁弁17と逆止弁18を介して冷媒配管13Bに接続されている。また、冷媒配管13Aから分岐した冷媒配管13Dは、同様に電磁弁21を介して内部熱交換器19の下流側における冷媒配管13Cに接続されている。
0132
その他は、図1の例と同様である。このようにレシーバドライヤ部14と過冷却部16を有しない室外熱交換器7を採用した冷媒回路Rの車両用空気調和装置1においても本発明は有効である。
実施例
0133
尚、上記各実施例で説明した冷媒回路Rの構成や各数値はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
0134
1車両用空気調和装置
2圧縮機
3空気流通路
4放熱器
6室外膨張弁
7室外熱交換器
8室内膨張弁
9吸熱器
11蒸発能力制御弁
17、20、21、22電磁弁(開閉弁)
26吸込切換ダンパ
27室内送風機(ブロワファン)
28エアミックスダンパ
30循環ポンプ(循環手段)
32コントローラ(制御手段)
R 冷媒回路
技術視点だけで見ていませんか?
この技術の活用可能性がある分野
分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成