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技術 液体吐出装置

出願人 セイコーエプソン株式会社
発明者 大塚修司野村勲臼田秀範松山徹
出願日 2014年5月29日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-111338
公開日 2015年12月14日 (4年6ヶ月経過) 公開番号 2015-223802
状態 特許登録済
技術分野 インクジェット(インク供給、その他) 付属装置、全体制御
主要キーワード 二端子対回路 電力透過係数 故障頻度 インピーダンス行列 物理的障害 散乱行列 送電回路 アドミタンス行列
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重要な関連分野

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図面 (20)

課題

キャリッジの移動に伴い位置を変動させる配線を用いることなくキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して安定的な給電を行う。

解決手段

液体吐出するヘッドユニット5と、ヘッドユニット5を搭載し、移動可能なキャリッジ32と、ヘッドユニット5から液体を吐出する為の電力を供給する電源ユニット10と、電源ユニット10が設置された筐体31と、筐体31に設置された第1導電部21(23)と、第1導電部21(23)と向かい合うようにキャリッジ32に設置された第2導電部22(24)と、を備える液体吐出装置。電力は、第1導電部21(23)と第2導電部22(24)との間の電界結合で形成される結合容量を介して、電源ユニット10からキャリッジ32へ伝送され、第1導電部21(23)のうち第2導電部22(24)と向かい合う面の面積は、第2導電部22(24)のうち第1導電部21(23)と向かい合う面の面積よりも大きい。

概要

背景

プリンターにおいては、筐体の内部に、インク記録媒体吐出するプリンターヘッド(以下、ヘッドという。)を搭載したキャリッジが設けられており、キャリッジは主走査方向に移動する。ヘッドは駆動制御部により駆動される。ここで駆動制御部とヘッドとが共にキャリッジに搭載されている構成のプリンターが知られている。この種のプリンターにおいては、ヘッドを制御する印刷信号を、筐体に設けられた回路基板で生成する。ここで回路基板からキャリッジへ印刷信号を伝送する必要があるため、回路基板とキャリッジとは、屈曲性の高いフレキシブルフラットケーブル(以下、FFC(Flexible Flat Cable)という。)で連結されている。FFCは、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載された駆動制御部への電力供給にも用いられる。
上述したようにキャリッジは主走査方向に移動する部材であるため、その移動の際に、FFCが機構上の物理的障害となり易い。また、FFCを通じて印刷信号等の制御信号ノイズ乗り易い。これらの問題が存在するため、FFCを用いずに液体吐出装置を構成する技術が望まれている。
上述した事情から、特許文献1には、キャリッジを往復移動させるタイミングベルトを金属等の導電性物質で構成し、タイミングベルトとプーリーとを介してキャリッジの駆動制御部に電力供給を行う液体吐出装置が提案されている。また、この特許文献1に提案されている液体吐出装置では、制御信号については無線通信技術を用いてキャリッジに供給する。

概要

キャリッジの移動に伴い位置を変動させる配線を用いることなくキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して安定的な給電を行う。液体を吐出するヘッドユニット5と、ヘッドユニット5を搭載し、移動可能なキャリッジ32と、ヘッドユニット5から液体を吐出する為の電力を供給する電源ユニット10と、電源ユニット10が設置された筐体31と、筐体31に設置された第1導電部21(23)と、第1導電部21(23)と向かい合うようにキャリッジ32に設置された第2導電部22(24)と、を備える液体吐出装置。電力は、第1導電部21(23)と第2導電部22(24)との間の電界結合で形成される結合容量を介して、電源ユニット10からキャリッジ32へ伝送され、第1導電部21(23)のうち第2導電部22(24)と向かい合う面の面積は、第2導電部22(24)のうち第1導電部21(23)と向かい合う面の面積よりも大きい。

目的

これらの問題が存在するため、FFCを用いずに液体吐出装置を構成する技術が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

液体吐出するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットから前記液体を吐出する為の電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設置された第1導電部と、前記第1導電部と向かい合うように前記キャリッジに設置された第2導電部と、を備え、前記電力は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送され、前記第1導電部のうち前記第2導電部と向かい合う面の面積は、前記第2導電部のうち前記第1導電部と向かい合う面の面積よりも大きい、ことを特徴とする液体吐出装置

請求項2

前記第1導電部は、前記キャリッジが移動する第1方向に沿って設置された二以上の第1平板を含み、前記第2導電部は、少なくとも一つ以上の前記第1平板と向かい合う第2平板を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。

請求項3

前記第1方向と交差する第2方向における前記第1平板の長さは、前記第2方向における前記第2平板の長さよりも長い、ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。

請求項4

前記第1方向における前記第1平板の長さは、前記第1方向における前記第2平板の長さよりも長い、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の液体吐出装置。

請求項5

前記第1平板の法線方向から前記第1平板を平面視したときの形状は、1組の対辺のみが互いに平行で、他の1組の対辺が平行でない台形である、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の液体吐出装置。

請求項6

前記第1平板は、前記第1平板の法線方向から平面視したときに、前記第1方向に隣り合う前記第1平板同士の一方に凸部が形成され、他方に前記凸部に対応する凹部が形成された多角形状である、ことを特徴とする請求項2乃至請求項4のうちいずれか一項に記載の液体吐出装置。

請求項7

前記第2平板に向かい合っている少なくとも一つの前記第1平板と前記電力供給源とを電気的に接続し、前記二以上の前記第1平板のうち、前記電力供給源と電気的に接続された少なくとも一つの前記第1平板とは異なる一つ以上の前記第1平板と前記電力供給源とを電気的に切断する接続回路を備える、ことを特徴とする請求項2乃至請求項6のうちいずれか一項に記載の液体吐出装置。

技術分野

0001

本発明は、液体吐出装置に関する。

背景技術

0002

プリンターにおいては、筐体の内部に、インク記録媒体吐出するプリンターヘッド(以下、ヘッドという。)を搭載したキャリッジが設けられており、キャリッジは主走査方向に移動する。ヘッドは駆動制御部により駆動される。ここで駆動制御部とヘッドとが共にキャリッジに搭載されている構成のプリンターが知られている。この種のプリンターにおいては、ヘッドを制御する印刷信号を、筐体に設けられた回路基板で生成する。ここで回路基板からキャリッジへ印刷信号を伝送する必要があるため、回路基板とキャリッジとは、屈曲性の高いフレキシブルフラットケーブル(以下、FFC(Flexible Flat Cable)という。)で連結されている。FFCは、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載された駆動制御部への電力供給にも用いられる。
上述したようにキャリッジは主走査方向に移動する部材であるため、その移動の際に、FFCが機構上の物理的障害となり易い。また、FFCを通じて印刷信号等の制御信号ノイズ乗り易い。これらの問題が存在するため、FFCを用いずに液体吐出装置を構成する技術が望まれている。
上述した事情から、特許文献1には、キャリッジを往復移動させるタイミングベルトを金属等の導電性物質で構成し、タイミングベルトとプーリーとを介してキャリッジの駆動制御部に電力供給を行う液体吐出装置が提案されている。また、この特許文献1に提案されている液体吐出装置では、制御信号については無線通信技術を用いてキャリッジに供給する。

先行技術

0003

特開2011−46118号公報

発明が解決しようとする課題

0004

しかしながら、導電性物質で構成されたタイミングベルトを用いる場合には、通電中のタイミングベルトにミスト化したインク等の異物が付着した場合、短絡による発熱等の危険性がある。また、タイミングベルトにおいて静電気放電(Electro Static Discharge;ESD)と称される放電現象に起因する静電気ノイズが生じた場合、キャリッジへ供給する電力に変動が生じ、電子回路たる駆動制御部の動作が影響を受けてしまう可能性がある。

0005

本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、安全性を確保しつつ、FFCを用いずに、筐体に設置された電力供給源から、キャリッジに搭載されたヘッドの駆動制御部へ電力を供給可能な液体吐出装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

以上の課題を解決するために、本発明の一態様に係る液体吐出装置は、液体を吐出するヘッドユニットと、前記ヘッドユニットを搭載し、移動可能なキャリッジと、前記ヘッドユニットから前記液体を吐出するための電力を供給する電力供給源と、前記電力供給源が設置された筐体と、前記筐体に設置された第1導電部と、前記第1導電部と向かい合うように前記キャリッジに設置された第2導電部と、を備え、前記電力は、前記第1導電部と前記第2導電部との間の電界結合で形成される結合容量を介して、前記電力供給源から前記キャリッジへ伝送され、前記第1導電部のうち前記第2導電部と向かい合う面の面積は、前記第2導電部のうち前記第1導電部と向かい合う面の面積よりも大きい、ことを特徴とする。

0007

この態様によれば、キャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、結合容量によりワイヤレスで電力を伝送するため、物理的な配線により電力を供給する場合と比較して、ノイズの発生する可能性を低減することができる。これにより、ノイズに起因して印刷品質劣化することを防止することが可能となる。また、第1導電部のうち第2導電部と向かい合う面の面積は、第2導電部のうち第1導電部と向かい合う面の面積よりも大きいため、キャリッジが移動しても安定的に電力の伝送が行われる。

0008

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1導電部は、前記キャリッジが移動する第1方向に沿って設置された二以上の第1平板を含み、前記第2導電部は、少なくとも一つ以上の前記第1平板と向かい合う第2平板を含む、ことを特徴とする。

0009

この態様によれば、筐体には二以上の第1平板が第1方向に沿って設置され、キャリッジには、第1平板と向かい合うように第2平板が設置されている。これにより、キャリッジが第1方向に移動している期間中、実際に第2平板と向かい合っている第1平板のみを選択的に電力の伝送に用いることが可能となる。これにより、筐体にキャリッジの第1方向における移動範囲全体に亘る長さの一つの第1平板を設けた構成と比較して、不要に大きな面積の第1平板に対して通電せずに済むため、第1平板に係る浮遊容量を小さくすることができる。電力の伝送においては、伝送路中に存在する浮遊容量に対して充電及び放電が成されてしまうため、当該浮遊容量を小さくすることで、電力の伝送効率が向上する。

0010

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1方向と交差する第2方向における前記第1平板の長さは、前記第2方向における前記第2平板の長さよりも長い、ことを特徴とする。

0011

この態様によれば、第2方向における第1平板の長さは、第2方向における第2平板の長さよりも長いため、キャリッジが第2方向に変位してしまった場合であっても、安定的に電力の伝送が行われる。

0012

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1方向における前記第1平板の長さは、前記第1方向における前記第2平板の長さよりも長い、ことを特徴とする。

0013

この態様によれば、第1方向における第1平板の長さが、第1方向における第2平板の長さよりも長くなるように構成されているため、そのように構成されていない場合と比べて、キャリッジが第1方向に移動する際に、隣接する第1平板同士の隙間と第2平板とが向かい合う回数が少なくなり、より安定的に電力の伝送が行われる。

0014

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1平板の法線方向から前記第1平板を平面視したときの形状は、1組の対辺のみが互いに平行で、他の1組の対辺が平行でない台形である、

0015

この態様によれば、第1平板を第1方向に平行な二辺と第2方向に平行な二辺とから成る単純な矩形形状とした場合に比べて、キャリッジの移動期間中に、第2平板が同時に二つの第1平板に対して向かい合う時間が長くなる。
ここでキャリッジが第1方向に移動している期間中においては、第1方向に互いに隣接する第1平板同士の間隙に起因して、第1平板と第2平板との間の電界結合によって形成される結合容量は瞬間的に変動し得る。そこで、第1平板の形状を、キャリッジの移動期間中に第2平板が同時に二つの第1平板と向かい合う期間が長くなるような形状とすることで、第1平板と第2平板との間の電界結合で形成される結合容量が瞬間的に大きく変動してしまうことが抑制される。
なお、第1方向に隣り合う第1平板同士の辺は、前記他の1組の対辺の一方となるように、第1平板を配置することが好ましい。

0016

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第1平板は、前記第1平板の法線方向から平面視したときに、前記第1方向に隣り合う前記第1平板同士の一方に凸部が形成され、他方に前記凸部に対応する凹部が形成された多角形状である、ことを特徴とする。

0017

この態様によれば、第1平板を第1方向に平行な二辺と第2方向に平行な二辺とから成る単純な矩形形状とした場合に比べて、キャリッジの移動期間中に、第2平板が同時に二つの第1平板に対して向かい合う時間が長くなる。
ここでキャリッジが第1方向に移動している期間中においては、第1方向に互いに隣接する第1平板同士の間隙に起因して、第1平板と第2平板との間の電界結合によって形成される結合容量は瞬間的に変動し得る。そこで、第1平板の形状を、キャリッジの移動期間中に第2平板が同時に二つの第1平板と向かい合う期間が長くなるような形状とすることで、第1平板と第2平板との間の電界結合で形成される結合容量が瞬間的に大きく変動してしまうことが抑制される。

0018

本発明の他の態様に係る液体吐出装置は、上述した一態様に係る液体吐出装置であって、前記第2平板に向かい合っている少なくとも一つの前記第1平板と前記電力供給源とを電気的に接続し、前記二以上の前記第1平板のうち、前記電力供給源と電気的に接続された少なくとも一つの前記第1平板とは異なる一つ以上の前記第1平板と前記電力供給源とを電気的に切断する接続回路を備える、ことを特徴とする。

0019

この態様によれば、キャリッジが移動している期間において、第2平板と向かい合っていない少なくとも一つの第1平板には、電力供給源から電力が供給されない。これにより、筐体にキャリッジの第1方向における移動範囲全体に亘る長さの一つの第1平板を設けた構成と比較して、不要に大きな面積に対して通電せずに済むため、第1平板に係る浮遊容量を小さくすることができる。電力の伝送においては、伝送路中に存在する浮遊容量に対して充電及び放電が成されてしまうため、当該浮遊容量を小さくすることで、電力の伝送効率が向上する。また、実際に第2平板と向かい合っている第1平板のみを選択的に電力の伝送に用いることが可能となる。

図面の簡単な説明

0020

本発明の実施形態に係るインクジェットプリンターの構成を示すブロック図。
インクジェットプリンターの構成の概要を示す斜視図。
インクジェットプリンターの概略的な部分断面図。
第1導電部(高位)の構成例を示す図。
第1導電部(低位)の構成例を示す図。
第1導電部(高位)、第1導電部(低位)、第2導電部(高位)、及び第2導電部(低位)の位置関係を示す図。
ヘッド部の概略的な部分断面図。
ヘッド部におけるノズルの配置を示す平面図。
送電部の給電経路及び放電経路の説明図。
送電部の回路図。
第1導電部における浮遊容量を等価的に示す図。
送電部の動作を説明するための説明図。
送電部の動作を説明するための説明図。
送電部の動作を説明するための説明図。
送電部の動作を説明するための説明図。
送電部の動作を説明するための説明図。
ヘッドユニットの構成を示すブロック図。
駆動信号ODRV、印刷信号PRT、駆動信号DRVを説明するための説明図。
変形例1に係る第1平板の形状を示す図。
変形例1に係る第1平板の形状を示す図。
変形例2に係る送電部の等価回路図

実施例

0021

以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。

0022

<1.インクジェットプリンターの構成>
図1は、印刷ステム100の構成を示す機能ブロック図である。この図に示すように、印刷システム100は、インクジェットプリンター1と、ホストコンピューター9とを備える。

0023

ホストコンピューター9は、例えば、パーソナルコンピューターデジタルカメラ等である。
図1に示すように、ホストコンピューター9は、ホストコンピューター9の動作を制御するCPU(Central Processing Unit)91と、RAM(Random Access Memory)やハードディスクドライブ等を含む記憶部92と、ディスプレイ等の表示部93と、キーボードマウス等の操作部94と、を備える。
記憶部92には、インクジェットプリンター1に対応するプリンタードライバープログラムが記憶されている。CPU91は、プリンタードライバープログラムを実行することで、インクジェットプリンター1の利用者が印刷しようとする画像データに対して、ハーフトーン処理や、ラスタライズ処理を施す。これにより、CPU91は、画像データを変換して、インクジェットプリンター1による印刷処理に対応した印刷データPDを生成する。

0024

図2は、インクジェットプリンター1の内部構成の概略を示す斜視図であり、図3は、インクジェットプリンター1の断面構造の概略を示す断面図である。図1に加え、図2及び図3を参照しつつ、インクジェットプリンター1の構成について説明する。

0025

本実施形態に係るインクジェットプリンター1は、インク(「液体」の一例)を吐出して記録媒体Pに画像を形成する「液体吐出装置」の一例である。
図2に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各構成要素を収容する筐体31と、筐体31に対して+Y方向及び−Y方向(「主走査方向」の一例)に往復動するキャリッジ32と、を備える。

0026

図2に示すように、キャリッジ32には、ヘッドユニット5と、4個のインクカートリッジ33と、が搭載されている。
キャリッジ32に搭載された4個のインクカートリッジ33は、イエロー(Yl)、シアン(Cy)、マゼンタ(Mg)、及び、ブラック(Bk)の4つの色と1対1に対応して設けられたものであり、各インクカートリッジ33には、当該インクカートリッジ33に対応する色のインクが充填されている。
図1に示すように、ヘッドユニット5は、M個の吐出部Dを具備するヘッド部30と、各吐出部Dを駆動するための駆動信号DRVを生成するヘッド駆動回路50と、を備える(Mは、4以上の自然数)。M個の吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33と1対1に対応するように4つのグループに分けられている。各吐出部Dは、4個のインクカートリッジ33のうち、対応するインクカートリッジ33からインクの供給を受ける。そして、各吐出部Dは、対応するインクカートリッジ33から供給されたインクを内部に充填し、充填したインクを、駆動信号DRVに基づいて、当該吐出部Dが備えるノズルNから吐出することができる。このため、M個の吐出部Dから全体として4色のインクを吐出することができ、インクジェットプリンター1によるフルカラー印刷が可能となる。これら、ヘッドユニット5の詳細については後述する。
なお、以下では、インクジェットプリンター1の構成要素のうち、キャリッジ32の搭載されたものを、「搭載物EB」と総称する場合がある。

0027

また、図1に示すように、インクジェットプリンター1は、キャリッジ32をY軸方向に往復動させるための移動機構4を備える。
図1及び図2に示すように、移動機構4は、キャリッジ32を往復動させる駆動源となるキャリッジモーター41と、その両端が筐体31に固定されたキャリッジガイド軸44と、キャリッジガイド軸44と平行に延在してキャリッジモーター41により駆動されるタイミングベルト42と、キャリッジモーター41を駆動するためのキャリッジモータードライバー43と、を含む。
キャリッジ32は、キャリッジガイド軸44に往復動自在に支持されている。また、キャリッジ32に固定された固定具321(図9参照)は、タイミングベルト42の接続部に固定されている。
図2に示すように、タイミングベルト42は、プーリー421とプーリー422と掛けられ(掛け渡され)ている。そして、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動すると、プーリー421の回転に連動してタイミングベルト42が正逆走行する。具体的には、プーリー421が回転駆動されると、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも上側(+Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち一方に移動し、タイミングベルト42のうちプーリー421及び422よりも下側(−Z方向)の部分が、+Y方向及び−Y方向のうち他方に移動する。このため、キャリッジモーター41がプーリー421を回転駆動することで、タイミングベルト42の接続部(タイミングベルト42のうちキャリッジ32の固定具321に固定された部分)が+Y方向又は−Y方向に移動し、これに伴い、キャリッジ32が、キャリッジガイド軸44に案内されて、+Y方向及び−Y方向に往復動する。

0028

図1に示すように、インクジェットプリンター1は、記録媒体Pを供給・排出するための給紙機構7を備える。
図1乃至図3に示すように、給紙機構7は、その駆動源となる給紙モーター71と、給紙モーター71を駆動するための給紙モータードライバー73と、記録媒体Pを設置するトレイ77と、キャリッジ32の下側(−Z方向)に設けられるプラテン74と、給紙モーター71の作動により回転して記録媒体Pを1枚ずつプラテン74上に供給するための給紙ローラ72及び75と、給紙モーター71の作動により回転してプラテン74上の記録媒体Pを排紙口(図示省略)へと搬送する排紙ローラ76と、を備える。この、給紙機構7は、記録媒体Pを図において+X方向に搬送することができる。以下、給紙機構7により記録媒体Pが搬送される経路を、「搬送経路」と称する。
インクジェットプリンター1は、搬送経路上(より正確には、プラテン74上)に搬送された記録媒体Pに対して、複数の吐出部Dからインクを吐出させることで、記録媒体P上に画像を形成する印刷処理を実行する。

0029

図1に示すように、インクジェットプリンター1は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御するCPU6と、各種情報を記憶する記憶部62と、インクジェットプリンター1の各部に電力を供給する電源ユニット10(「電力供給源」の一例)と、電源ユニット10から供給された電力をヘッドユニット5に伝送するための送電部2(「電力伝送部」の一例)と、キャリッジ32や記録媒体Pの位置を検出する検出器群83と、エラーメッセージ等を表示する表示部や各種スイッチ等で構成される操作部等からなる操作パネル84と、を備える。

0030

記憶部62は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPDをデータ格納領域に一時的に格納する不揮発性半導体メモリーの一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)と、印刷処理等の各種処理を実行する際に必要なデータを一時的に格納し、あるいは印刷処理等の各種処理を実行するための制御プログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)と、インクジェットプリンター1の各部を制御するための制御プログラムや、後述する記録媒体情報テーブルBL等を格納する、不揮発性半導体メモリーの一種であるPROMと、を備える。

0031

CPU6は、ホストコンピューター9から図示省略したインタフェース部を介して供給される印刷データPDを、記憶部62に記憶させる。そして、CPU6は、これら印刷データPDに基づいて、ヘッドユニット5、電源ユニット10、移動機構4、及び、給紙機構7等の動作を制御することにより、記録媒体Pに印刷データPDに応じた画像を形成する印刷処理を実行する。

0032

具体的には、CPU6は、印刷データPDに基づいて、ヘッド駆動回路50の動作を制御して各吐出部Dを駆動させるための制御信号CtrHを生成し、筐体31に設けられた無線インタフェース81と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された無線インタフェース82との間の無線通信を介して、制御信号CtrHをヘッドユニット5に供給する。これにより、CPU6は、ヘッド駆動回路50の動作の制御を介して、各吐出部Dからのインクの吐出の有無と、インクを吐出する場合におけるインクの吐出量及び吐出タイミングを制御する。
また、CPU6は、記憶部62に格納されている各種データと、検出器群83からの検出値と、に基づいて、キャリッジモータードライバー43の動作を制御するための制御信号、及び、給紙モータードライバー73の動作を制御するための制御信号を生成し、これら生成した各種制御信号を出力する。これにより、CPU6は、キャリッジモータードライバー43の動作の制御を介して、記録媒体Pを一枚ずつ副走査方向(+X方向)に間欠送りするようにキャリッジモーター41を駆動させ、また、給紙モータードライバー73の動作の制御を介して、キャリッジ32を主走査方向(+Y方向及び−Y方向)に往復動させるように給紙モーター71を駆動させる。
このように、CPU6は、インクジェットプリンター1の各部の動作を制御することで、記録媒体P上に吐出されたインクにより形成されるドットサイズ及びドット配置を調整し、印刷データPDに対応する画像を記録媒体Pに形成する印刷処理を実行する。

0033

検出器群83は、リニアエンコーダ831(図2参照)と、ロータリーエンコーダ832(図3参照)とを含む。
リニアエンコーダ831は、主走査方向において所定の間隔でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、キャリッジ32のスケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む(図2においては、スケールのみ図示)。このリニアエンコーダ831は、キャリッジ32の主走査方向における移動量を検出し、検出結果を出力する。
ロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転方向において所定の角度でストライプ状の模様が印刷されたスケールと、スケールに向かい合う位置に配置された一対の発光素子及び受光素子と、を含む。このロータリーエンコーダ832は、給紙ローラ及び排紙ローラの回転量を検出し、検出結果を出力する。CPU6は、リニアエンコーダ831からの検出結果に基づいて、キャリッジ32のY軸方向における位置を算出することができ、また、ロータリーエンコーダ832からの検出結果に基づいて、搬送系路上における記録媒体PのX軸方向における位置を算出することができる。

0034

電源ユニット10は、筐体31に設けられ、送電部2を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに対して電力を供給する。
電力は電圧電流との積で算出されるところ、負荷に対して電力を伝送するには、電力を発生する電力源から負荷に向かって電流を流し込む給電経路と、負荷から電力源へ戻りの電流が流れる放電経路と、が必要となる。即ち、一般的に、電力源は、給電経路及び放電経路を介して負荷に電気的に接続され、給電経路及び放電経路に電源電圧印加する。
本実施形態にかかる電源ユニット10は、電気コード等を介して家庭用ACコンセント等に接続され、交流電圧を発生する。そして、電源ユニット10は、給電経路に第1の電源信号を供給し、放電経路に第2の電源信号を供給することによって、第1の電源信号と第2の電源信号の電位差として与えられる電源電圧を、給電経路及び放電経路に印加する。
なお、本実施形態において、「電力を供給する」には、給電経路及び放電経路の少なくとも一方に電源信号を供給することで、給電経路及び放電経路に電源電圧を印加することを含む。
また、詳細は後述するが、電源ユニット10が出力する第1の電源信号の電位、及び、第2の電源信号の電位、又は、電源電圧の大きさは、CPU6から供給される電源制御信号CtrPに基づいて決定される。

0035

なお、インクジェットプリンター1は、電源ユニット10の他に、家庭用ACコンセント等に接続されたDC電源(図示省略)を備える。筐体31に固定された各部に対しては、当該DC電源から電力が供給される。

0036

図1に示すように、送電部2は、筐体31に設けられた送電回路11と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された受電回路12と、ワイヤレス伝送部20と、を含む。
ワイヤレス伝送部20は、筐体31に設けられた「第1導電部(高位)21」及び「第1導電部(低位)23」と、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載された第2導電部(高位)22及び第2導電部(低位)24と、を含む。ここで「第1導電部(高位)21」は給電経路に係る第1導電部であり、「第1導電部(低位)23」は放電経路に係る第1導電部である。
より具体的には、図3に示すように、第1導電部(高位)21は、プラテン74等の搬送経路を挟んで第2導電部(高位)22の反対側に設けられ、第1導電部(低位)23は、搬送経路を挟んで第2導電部(低位)24の反対側に設けられる。また、各導電部21〜24は、上側(+Z方向)から見たときに、第1導電部(高位)21の少なくとも一部と第2導電部(高位)22の少なくとも一部とが重なり合い、第1導電部(低位)23の少なくとも一部と第2導電部(低位)24の少なくとも一部とが重なり合うように、配置される。
なお、送電部2の詳細については後述する。

0037

以下、第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23の構成を説明する。図4に、第1導電部(高位)21の構成例を示す。図5に、第1導電部(低位)23の構成例を示す。
第1導電部(高位)21は、図4に示すようにn(nは2以上の自然数)個の略平板形状導電体である第1平板(高位)21−1〜21−nと、第1接続回路21cとを備える。
第1接続回路21cは、給電経路212(詳細は後述)に接続され、給電経路212を通じて第1の電源信号が供給される。第1平板(高位)21−1〜21−nの各々は、図4に示すように第1接続回路21cに接続されている。第1接続回路21cは、第1接続制御信号CtrC1に基づいて、二以上の第1平板(高位)21−1〜21−nの中から、給電経路212と接続する「接続対象第1平板(高位)」を特定し、接続対象第1平板(高位)と給電経路212とを接続して第1の電源信号を供給する。このように第1平板(高位)21−1〜21−nの中から、接続対象第1平板(高位)を選択するのは、電力の伝送が、キャリッジ32に設けられた第2平板(高位)22−1との間で形成される結合容量を介して行われるからである。第1平板(高位)21−1〜21−nは固定されているが、第2平板(高位)22−1はキャリッジ32と共に移動する。このため、キャリッジ32の位置によっては、第2平板(高位)22−1が二つの第1平板(高位)と対向することもあれば、一つの第1平板(高位)と対向することもある。電力伝送の効率を高めるためには、できるだけ対向する平板の面積を大きくする必要がある。このため、第1接続回路21cは、キャリッジ32の位置に応じて生成される制御信号CtrC1に基づいて、一つの接続対象第1平板(高位)を特定することもあれば、二つの接続対象第1平板(高位)を特定することもある。
CPU6は、検出器群83に含まれるリニアエンコーダ831(図2参照)によって検出されたキャリッジ32の主走査方向における移動量等に基づいて、キャリッジ32の現在位置を特定すると共に、キャリッジ32の現在位置に応じた接続対象第1平板(高位)に第1の電源信号を供給するように第1接続回路21cを制御する「第1接続制御信号CtrC1」を生成し、第1接続回路21cに供給する。
第1接続回路21cは、CPU6から供給された第1接続制御信号CtrC1に基づいて、二以上の第1平板(高位)21−1〜21−nの中から接続対象第1平板(高位)にのみ第1の電源信号を供給するように、給電経路212と接続対象第1平板(高位)とを接続する。

0038

同様に、第1導電部(低位)23は、図5に示すように二以上の第1平板(低位)23−1〜23−nと、第2接続回路23cとを備える。
に接続され、放電経路222を通じて第2の電源信号が供給される。第1平板(低位)23−1〜23−nの各々は、図5に示すように第2接続回路23cに接続されている。第2接続回路23cは、第2接続制御信号CtrC2に基づいて、二以上の第1平板(低位)23−1〜23−nの中から、放電経路222と接続する「接続対象第1平板(低位)」を特定し、接続対象第1平板(低位)と放電経路222とを接続して第2の電源信号を供給する。なお、上述した第1接続回路21cによって特定される接続対象第1平板(高位)の個数が一つ又は二つである理由と同様の理由で、第2接続回路23cによって特定される接続対象第1平板(低位)の個数も一つ又は二つである。
CPU6は、検出器群83に含まれるリニアエンコーダ831(図2参照)によって検出されたキャリッジ32の主走査方向における移動量等に基づいて、キャリッジ32の現在位置を特定すると共に、キャリッジ32の現在位置に応じた一又は二の接続対象第1平板(低位)に第2の電源信号を供給するように第2接続回路23cを制御する第2接続制御信号CtrC2を生成し、第2接続回路23cに供給する。
第2接続回路23cは、CPU6から供給された第2接続制御信号CtrC2に基づいて、二以上の第1平板(低位)23−1〜23−nの中から接続対象第1平板(低位)にのみ、第2の電源信号を供給するように、放電経路222と接続対象第1平板(低位)とを接続する。

0039

以下、第1接続制御信号CtrC1が供給された第1接続回路21cによって給電経路212と接続される接続対象第1平板(高位)、及び、第2接続制御信号CtrC2が供給された第2接続回路23cによって放電経路222と接続される接続対象第1平板(低位)について説明する。
図6(a)乃至(c)に、+Z方向から観たときの第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23と、第2導電部(高位)22及び第2導電部(低位)24との位置関係を示す。図6に示す例ではキャリッジ32が+Y方向に移動し、時間の経過と共に、(a)に示す状態から(b)に示す状態を経て(c)に示す状態へ遷移している。

0040

まず、第1導電部(高位)21は、図6に示す例ではキャリッジ32の主走査方向(Y軸方向)に沿って配置された二以上の第1平板(高位)21−1〜21−nを備える。また、第2導電部(高位)22は、図6に示す例では一つの第2平板(高位)22−1を備える。
詳細は後述するが第1導電部(高位)21と第2導電部(高位)22との間では電界結合によって結合容量を形成し得るところ、図6に示すように第1導電部(高位)21に二以上の第1平板(高位)21−1〜21−nを備えさせることで、実際に第2平板(高位)22−1と向かい合っている接続対象第1平板(高位)のみに対して通電すれば当該結合容量が形成される。
これにより、接続対象第1平板(高位)以外の第1平板(高位)21−1〜21−nに対して通電せずに済むため、不要に大きな面積の平板に通電することに起因するEMI(Electro-Magnetic Interference)の増大が抑制される。
また、電力の伝送においては、伝送路中に存在する浮遊容量に対しても充電及び放電が行われてしまうところ、本実施形態によれば接続対象第1平板(高位)以外の第1平板(高位)21−1〜21−nについては通電されないため、それらに係る浮遊容量が低減され、電力の伝送効率が向上する。なお、浮遊容量が低減する原理等については、後に図11を参照して詳述する。

0041

第1平板(高位)21−1〜21−nの形状は、図6に示す例では、主走査方向と副走査方向とに対して垂直な方向(+Z方向又は−Z方向)から平面視したときに、略平行四辺形を呈する形状である。すなわち、第1平板(高位)21−1〜21−nは、+Z方向(又は−Z方向)から平面視したときに副走査方向(X軸方向)及び主走査方向(Y軸方向)と交差する辺sを含む多角形状であり、主走査方向(Y軸方向)に突出する凸部を備える形状である。
このように構成することで、図6に示すようにY軸方向について隣り合う第1平板(高位)21−1〜21−n同士について、+X方向(又は−X方向)から観たときに互いに重なり合う領域が生じる。これにより、第1平板(高位)21−1〜21−nを、例えば+Z方向(又は−Z方向)から平面視したときに副走査方向(X軸方向)に平行な二辺と、主走査方向(Y軸方向)に平行な二辺とから成る単なる矩形形状とした場合に比べて、キャリッジ32の移動期間中に、第2平板(高位)22が同時に二つの第1平板(高位)21−1〜21−nと向かい合う時間が長くなる。
ところで、キャリッジ32の移動期間中は、Y軸方向に隣接する第1平板(高位)21−1〜21−n同士の間隙に起因して、第1導電部(高位)21と第2導電部(高位)22との間の電界結合によって形成される結合容量は、瞬間的に変動し得る。
この点、本実施形態では、第1平板(高位)21−1〜21−nの形状を、キャリッジ32の移動期間中に第2平板(高位)22が同時に二つの第1平板(高位)21−1〜21−nと向かい合う期間が長くなる形状としており、第1平板(高位)21−1〜21−nと第2平板(高位)22との間の電界結合で形成される結合容量が瞬間的に大きく変動してしまうことを抑制している。
なお、第1平板(高位)21−1〜21−nの形状は、図6に示す形状に限られない。例えば、第1平板(高位)21−1〜21−nの形状を、+Z方向(又は−Z方向)から平面視したときに副走査方向(X軸方向)と交差する辺sを含む他の形状としてもよいし、主走査方向に突出する他の多角形状としてもよい。なお、第1平板(低位)23−1〜23−nの形状についても同様である。具体的には、後に変形例として説明する。

0042

第1導電部(高位)21と同様に、第1導電部(低位)23は、図6に示す例ではキャリッジ32の主走査方向(Y軸方向)に沿って配置された二以上の第1平板(低位)23−1〜23−nを備える。また、第2導電部(低位)24は、図6に示す例では一つの第2平板(低位)24−1を備える。
詳細は後述するが第1導電部(低位)23と第2導電部(低位)24との間では電界結合によって結合容量を形成し得るところ、図6に示すように第1導電部(低位)23に二以上の第1平板(高位)23−1〜23−nを備えさせることで、実際に第2平板(高位)24−1と向かい合っている接続対象第1平板(低位)のみに対して通電すれば当該結合容量が形成される。
これにより、接続対象第1平板(低位)以外の第1平板(低位)23−1〜23−nに対して通電せずに済むため、不要に大きな面積の平板に通電することに起因するEMI(Electro-Magnetic Interference)の増大が抑制される。
また、電力の伝送においては、伝送路中に存在する浮遊容量に対しても充電及び放電が行われてしまうところ、本実施形態によれば接続対象第1平板(低位)以外の第1平板(低位)23−1〜23−nについては通電されないため、それらに係る浮遊容量が低減され、電力の伝送効率が向上する。なお、浮遊容量が低減する原理等については、後に図11を参照して詳述する。

0043

また、第1平板(低位)23−1〜23−nの形状は、図6に示す例では主走査方向と副走査方向とに対して垂直な方向(+Z方向又は−Z方向)から平面視したときに、略平行四辺形を呈する形状である。
このように構成することで、図6に示すようにY軸方向について隣り合う第1平板(低位)23−1〜23−n同士について、+X方向(−X方向)から観たときに互いに重なり合う領域が生じる。これにより、第1平板(低位)23−1〜23−nを、例えば+Z方向(又は−Z方向)から平面視したときに副走査方向(X軸方向)に平行な二辺と、主走査方向(Y軸方向)に平行な二辺とから成る単なる矩形形状とした場合に比べて、キャリッジ32の移動期間中に、第2平板(低位)24が同時に二つの接続対象第1平板(低位)と向かい合う時間が長くなる。
ところで、キャリッジ32の移動期間中は、Y軸方向に互いに隣接する第1平板(低位)23−1〜23−n同士の間隙に起因して、第1導電部(低位)23と第2導電部(低位)24との間の電界結合によって形成される結合容量は瞬間的に変動し得る。
この点、本実施形態では、第1平板(低位)23−1〜23−nの形状を、図6に示すようにキャリッジ32の移動期間中に第2平板(低位)24が同時に二つの第1平板(低位)23−1〜23−nと向かい合う期間が長くなるような形状とすることで、第1平板(低位)23−1〜23−nと第2平板(低位)24との間の電界結合で形成される結合容量が瞬間的に大きく変動してしまうことが抑制される。
なお、第1平板(低位)23−1〜23−nの形状は、図6に示す形状に限られない。例えば、第1平板(低位)23−1〜23−nの形状を、+Z方向(又は−Z方向)から平面視したときに副走査方向(X軸方向)と交差する辺sを含む他の形状としてもよいし、主走査方向に突出する他の多角形状としてもよい。具体的には、後に変形例として説明する。

0044

図6(a)に示す例では、キャリッジ32の現在位置を特定したCPU6は、第1平板(高位)21−1と給電経路212と接続させる第1接続制御信号CtrC1を生成すると共に、第1平板(低位)23−1と放電経路222とを接続させる第2接続制御信号CtrC2を生成する。
その後、キャリッジ32が+Y方向に移動して図6(b)に示す配置となっとき、CPU6は、第1平板(高位)21−1及び第1平板(高位)21−2と、給電経路212とを接続させる第1接続制御信号CtrC1を生成すると共に、第1平板(低位)23−1及び第1平板(低位)23−2と放電経路222とを接続させる第2接続制御信号CtrC2を生成する。
さらにキャリッジ32が+Y方向に移動して図6(c)に示す配置となったとき、CPU6は、第1平板(高位)21−2と給電経路212とを接続させる第1接続制御信号CtrC1を生成すると共に、第1平板(低位)23−2と放電経路222とを接続させる第2接続制御信号CtrC2を生成する。

0045

上述したように、本実施形態では、キャリッジ32の現在位置に応じた接続対象第1平板(高位)及び接続対象第1平板(低位)にのみ電源信号が供給され、その他の第1平板(高位)21−1〜21−n及び第1平板(低位)23−1〜23−nには電源信号は供給されない。つまり、本実施形態では、第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23のうち、電力を伝送する上で必要最小限の面積にしか電源信号を供給しない。
これにより、仮に第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23をキャリッジ32の主走査方向における移動範囲全体に亘る一つの平板として構成した場合と比較して、実際に通電する面積が小さくなり、EMI(Electro-Magnetic Interference)が低減される。また、第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23が、その近傍に配置された配線等の他の構成部材との間で形成する浮遊容量(寄生容量)も低減される。

0046

<2.ヘッド部について>
次に、図7及び図8を参照しつつ、ヘッド部30と、ヘッド部30に設けられる吐出部Dと、について説明する。
図7は、ヘッド部30の概略的な一部断面図の一例である。なお、この図では、図示の都合上、ヘッド部30のうち、M個の吐出部Dの中の1個の吐出部Dと、当該吐出部Dにインク供給口360を介して通連するリザーバ350と、インクカートリッジ33からリザーバ350にインクを供給するためのインク取り入れ口370と、を示している。

0047

図7に示すように、吐出部Dは、圧電素子300と、内部にインクが充填されたキャビティ320(圧力室)と、キャビティ320に通連するノズルNと、振動板310と、を備える。この吐出部Dは、圧電素子300が駆動信号DRVにより駆動されることにより、キャビティ320内のインクをノズルNから吐出させる。
吐出部Dのキャビティ320は、凹部を有するような所定の形状に成形されたキャビティプレート340と、ノズルNが形成されたノズルプレート330と、振動板310と、により区画される空間である。このキャビティ320は、インク供給口360を介してリザーバ350と連通している。リザーバ350は、インク取り入れ口370を介してインクカートリッジ33と連通している。

0048

本実施形態では、圧電素子300として、図7に示すようなユニモルフモノモルフ)型を採用する。この圧電素子300は、下部電極301と、上部電極302と、下部電極301及び上部電極302の間に設けられた圧電体303と、を有する。そして、下部電極301に後述する基準電位SSが供給され、上部電極302に駆動信号DRVが供給されることで、下部電極301及び上部電極302の間に電圧が印加されると、当該印加された電圧に応じて圧電素子300が図において上下方向に撓み、その結果、圧電素子300が振動する。
キャビティプレート340の上面開口部には、振動板310が設置され、この振動板310には、下部電極301が接合されている。このため、圧電素子300が駆動信号DRVにより振動すると、振動板310も振動する。そして、この振動板310の振動によりキャビティ320の容積(キャビティ320内の圧力)が変化し、キャビティ320内に充填されたインクがノズルNより吐出される。
インクの吐出によりキャビティ320内のインクが減少した場合、リザーバ350からインクが供給される。また、リザーバ350へは、インクカートリッジ33からインク取り入れ口370を介してインクが供給される。

0049

図8は、キャリッジ32を+Z方向から見たときの、ヘッド部30が備えるM個のノズルNの配置と、第2導電部(高位)22及び第2導電部(低位)24の配置と、を説明するための説明図である。
M個のノズルNは、キャリッジ32にも受けられたヘッド部30において、4列のノズル列整列された態様で配置されている。より具体的には、図8に示すように、ヘッド部30には、ブラックのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LBKと、シアンのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LCyと、マゼンタのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LMgと、イエローのインクを吐出する複数の吐出部Dにそれぞれ対応する複数のノズルNからなるノズル列LYlと、が設けられている。なお、各ノズル列において、ノズルN間のピッチPxは、印刷解像度(dpi:dot per inch)に応じて適宜設定され得る。
また、キャリッジ32において、ヘッド部30の+X方向には、第2導電部(高位)22がY軸方向に延在するように設けられ、ヘッド部30の−X方向には、第2導電部(低位)24がY軸方向に延在するように設けられている。

0050

なお、本実施形態において、各ノズル列は、図8に示すように、複数のノズルNをX軸方向に一列に整列したものであるが、本発明はこのような態様のノズル列に限定するものではなく、例えば、各ノズル列を構成する複数のノズルNのうち偶数番目のノズルNと奇数番目のノズルNとのY軸方向の位置が異なる、所謂千鳥状に配列されたノズル列を有するものであってもよい。

0051

<3.送電部について>
次に、図9を参照しつつ、送電部2について説明する。
図9は、送電部2の給電経路及び放電経路について説明するための説明図である。
図9に示すように、電源ユニット10は、給電経路211を介して送電回路11に電気的に接続されるとともに、放電経路221を介して送電回路11に電気的に接続される。そして、電源ユニット10は、給電経路211に第1の電源信号を供給し、放電経路221に第2の電源信号を供給することで、送電回路11に対して電源電圧を印加する。
送電回路11は、給電経路212を介して第1導電部(高位)21に電気的に接続され、放電経路222を介して第1導電部(低位)23に電気的に接続される。

0052

図9に示すように、第1導電部(高位)21は、キャリッジ32に設けられた第2導電部(高位)22の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う第2導電部(高位)22のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、第1導電部(高位)21及び第2導電部(高位)22は、キャリッジ32が主走査方向に往復動する場合であっても、互いに向かい合った状態を維持することができる。よって、第1導電部(高位)21及び第2導電部(高位)22は、電界結合して結合容量CM1を形成し、当該結合容量CM1の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM1は、給電経路の一部を構成する。
同様に、第1導電部(低位)23は、キャリッジ32に設けられた第2導電部(低位)24の下側(−Z方向)であって、キャリッジ32の往復動に伴う第2導電部(低位)24のY軸方向の移動範囲を包含するように、Y軸方向に延在している。このため、第1導電部(低位)23及び第2導電部(低位)24は、電界結合して結合容量CM2を形成し、当該結合容量CM2の容量値は、キャリッジ32が主走査方向に往復動しても、略一定の値に保たれる。当該結合容量CM2は、給電経路の一部を構成する。

0053

第2導電部(高位)22は、給電経路213を介して受電回路12に電気的に接続され、第2導電部(低位)24は、放電経路223を介して受電回路12に電気的に接続される。
そして、詳細は後述するが、受電回路12は、給電経路214(図10参照)を介してヘッドユニット5に電気的に接続されるとともに、放電経路224(図10参照)を介してヘッドユニット5に電気的に接続される(図10参照)。

0054

このように、本実施形態では、給電経路211〜214及び結合容量CM1により給電経路が形成され、放電経路221〜224及び結合容量CM2により放電経路が形成される。すなわち、給電経路の一部が結合容量CM1により構成され、放電経路の一部が結合容量CM2により構成される。このため、電源ユニット10から、キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5等の搭載物EBに対する電力の伝送を、非接触(ワイヤレス)で行うことが可能となる。

0055

なお、第1導電部(高位)21及び第1導電部(低位)23の各々は「第1導電部」の一例であり、第2導電部(高位)22及び第2導電部(低位)24の各々は「第2導電部」の一例である。すなわち、ワイヤレス伝送部20は、電源ユニット10から供給された電力の少なくとも一部を、第1導電部(高位)21と第2導電部(高位)22とで形成される結合容量、及び、第1導電部(低位)23と第2導電部(低位)24とで形成される結合容量を介して、ヘッドユニット5等の搭載物EBに伝送する。
このため、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、キャリッジ32の外側(筐体31側)に設けられた電源ユニット10から、搭載物EBとしてキャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5に対して、FFC等の物理的な配線を用いることなく電力を伝送することが可能となる。

0056

上述のとおり、従来のインクジェットプリンターでは、筐体に設置された電源からキャリッジに搭載されたヘッドユニットに対して、FFC等の物理的配線を用いて電力を伝送していた。このような従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジが主走査方向に往復動する場合において、FFCが物理的障害となることがあった。また、従来のインクジェットプリンターにおいては、キャリッジの往復動に伴ってFFCが動くことに伴い発生するノイズが、ヘッドユニットに対して送信される制御信号に伝播することがあった。
このような、FFCの存在に起因する不都合が、インクジェットプリンターの故障の原因となり、又は、インクジェットプリンターが印刷する画像の画質の劣化の原因となることがあった。

0057

これに対して、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFCを用いることなく電力を伝送することが可能となる。これにより、FFCに関連する各種不都合を解消することができ、ヘッドユニットに対してFFCを用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、又は、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることが可能となる。

0058

図10は、送電部2の等価回路図の一例である。
この図に示すように、電源ユニット10は、端子TE01から給電経路211に対して第1の電源信号VS1を出力し、端子TE02から放電経路212に対して第2の電源信号VS2を出力することで、送電回路11の端子TE11と端子TE12との間に、第1の電源信号VS1の示す電位と第2の電源信号VS2の示す電位との電位差である電源電圧VSを印加する。

0059

図10に示すように、送電回路11は、端子TE11と端子TE12との間に設けられた容量C1と、容量C1に並列に接続されたインダクタL1と、端子TE13と端子TE14との間に設けられた容量C2と、容量C2に並列に接続されたインダクタL2と、を備える。インダクタL1及びインダクタL2は、電磁的に結合しており、インダクタL1に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL2に誘導起電力を生じる。これらインダクタL1及びインダクタL2は、変圧器として機能する。

0060

図10に示すように、送電回路11の端子TE13は、給電経路212を介して、結合容量CM1の一方の電極である第1導電部(高位)21に電気的に接続され、送電回路11の端子TE14は、放電経路222を介して、結合容量CM2の一方の電極である第1導電部(低位)23に電気的に接続される。
結合容量CM1の他方の電極である第2導電部(高位)22は、給電経路213を介して、受電回路12の端子TE21に電気的に接続される。また、結合容量CM2の他方の電極である第2導電部(低位)24は、放電経路223を介して、受電回路12の端子TE22に電気的に接続される。

0061

図10に示すように、受電回路12は、端子TE21と端子TE22との間に設けられた容量C3と、容量C3に並列に接続されたインダクタL3と、端子TE23と端子TE24との間に設けられた容量C4と、容量C4に並列に接続されたインダクタL4と、を備える。インダクタL3及びインダクタL4は、電磁的に結合しており、インダクタL3に流れる電流の大きさが変化すると電磁誘導により磁場が発生し、当該磁場によりインダクタL4に誘導起電力を生じる。これらインダクタL3及びインダクタL4は、変圧器として機能する。
受電回路12は、端子TE23から給電経路214に対して第1の出力信号Vout1を出力し、端子TE24から放電経路224に対して第2の出力信号Vout2を出力することで、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間に、第1の出力信号Vout1の示す電位と第2の出力信号Vout2の示す電位との電位差である出力電圧Voutを印加する。

0062

なお、本実施形態では、インダクタL2及び容量C2により構成されるLC回路共振周波数と、インダクタL3及び容量C3により構成されるLC回路の共振周波数と、が略同じとなるように、インダクタL2及びインダクタL3のそれぞれのインダクタンスと、容量C2及び容量C3のそれぞれの容量値と、が定められる。この場合、送電部2における電力の伝送効率を高くすることが可能となる。

0063

図11は、図10に示す回路図において、第1導電部21の第1平板(高位)21−1〜21−nに係る浮遊容量を等価的に示す図である。同図に示す浮遊容量Cs−1〜Cs−n(nは2以上の自然数)は、それぞれ、第1平板(高位)21−1〜21−nと、その近傍に配置された配線等の他の構成部材との間で形成される容量成分である。
第1の電源信号を供給された第1平板(高位)21−1〜21−nに係る浮遊容量Cs−1〜Cs−nは、第1導電部(高位)21と端子TE13との間に等価的に接続される。
すなわち、第1平板(高位)21−1〜21−nのうち、第1接続回路21cによって給電経路212と接続された接続対象第1平板(高位)に係る浮遊容量(図11に示す例では浮遊容量Cs−2及び浮遊容量Cs−3)のみが、実際に給電経路212に対して等価的に接続される。このように第1接続回路21cは、浮遊容量Cs−1〜Cs−nと給電経路212とを接続するスイッチとしても作用するため、図11においては、第1接続回路21cを、給電経路212と浮遊容量Cs−1〜Cs−nとを接続するスイッチとして図示している。

0064

図11に示すように、本実施形態においては、第1接続回路21cによって給電経路212と電気的に接続された接続対象第1平板(高位)以外の第1平板(高位)21−1〜21−nについては浮遊容量が生じないため、第1導電部(高位)21に係る浮遊容量が低減される。この結果、浮遊容量へ充放電される電荷量が低減するので、電力の伝送効率が向上する。

0065

なお、図11を参照して第1導電部(高位)21に係る浮遊容量が低減される原理を説明したが、第1導電部(低位)23に係る浮遊容量についても同様の原理で低減される。すなわち、第2接続回路23cによって放電経路222と電気的に接続された接続対象第1平板(低位)以外の第1平板(低位)23−1〜23−nについては浮遊容量が生じない。

0066

<4.送電部の伝送効率について>
次に、図12乃至図16を参照しつつ、送電部2による電力の伝送効率について説明する。なお、図12においては、図10に示す電源ユニット10の内部抵抗RSを図示し、ヘッドユニット5の端子TE31と端子TE32との間の電気抵抗RLを図示している。
また、図12では、送電回路11を、インダクタンスLAのインダクタと容量値CAの容量とを有する、送電回路11と等価な回路11Aで表し、受電回路12を、インダクタンスLBのインダクタと容量値CBの容量とを有する、受電回路12と等価な回路12Aで表している。
さらに、図12では、図10に示す結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値が互いに等しいと仮定して、結合容量CM1及び結合容量CM2のインピーダンスを、ともにインピーダンスZMで表している。

0067

図13は、計算を容易にするために、図12に示す回路を、電源ユニット10の発生する第1の電源信号VS1の電位と第2の電源信号VS2の電位との中心電位VCを基準として、上側と下側の2つの回路に分割した回路である。
ここで計算の便宜上、図13に示す回路における各種値を下記のように置き換える。
RS/2=RL/2=z0 ……式(1)
LA/2=LB/2=L ……式(2)
2CA=2CB=C ……式(3)
ZM=R ……式(4)
この場合、図13に示す回路は、これと等価な図14に示す回路で表すことができる。

0068

図14において、回路10Sは、電源ユニット10を、中心電位VCを基準として分割した2つの回路のうちの一方に相当し、回路(二端子対回路)2Sは、送電部2のうち、給電経路又は放電経路のうちの一方に相当し、回路5Sは、ヘッドユニット5の端子TE31及び端子TE31の間の抵抗RLを、中心電位VCを基準として分割した2つの抵抗のうちの一方に相当する。

0069

以下、二端子対回路2Sによる電力の伝送効率を示す値として、二端子対回路2Sの電圧透過係数電力透過係数とを求める。
ここで、電圧透過係数とは、二端子対回路の入力端に印加された電圧に対する、出力端から出力される電圧の比率電圧利得)を表す値である。また、電力透過係数とは、二端子対回路の入力端に供給される電力に対する、出力端から出力される電力の比率(電力利得)を表す値である。
二端子対回路の電圧透過係数は、当該二端子対回路の伝達特性を示す2行2列の散乱行列(scattering matrix)のうち、第2行第1列の成分によって表される。また、二端子対回路の電力透過係数は、散乱行列の第2行第1列の成分の絶対値の二乗として表される。これら、電圧透過係数や電力透過係数を求めるために必要となる、二端子対回路の散乱行列は、二端子対回路のインピーダンス行列(impedance matrix)から求めることができる。
そこで、以下では、まず二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zを算出し、次に二端子対回路2Sの散乱行列Sを算出することで、二端子対回路2Sの電圧透過係数及び電力透過係数を求める。

0070

図14に示す二端子対回路2Sは、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とからなる。
具体的には、二端子対回路2Sは、図15に示すように、二端子対回路TN1と二端子対回路TN2とを直列に接続したものである。
そして、二端子対回路TN1のインピーダンス行列をZ1とし、二端子対回路TN2のインピーダンス行列をZ2とすると、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(5)に基づいて定めることができる。
Z=Z1+Z2 ……式(5)

0071

図14に示す二端子対回路TN1のインピーダンス行列Z1は、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bにより、以下の式(6)で表される。

0072

インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、それぞれインダクタンスLに係るインピーダンスである。よって、インピーダンスZ1A及びインピーダンスZ1Bは、虚数単位j、電源電圧VSの角周波数ωを用いて、以下の式(7)で表される。
Z1A=Z1B=jωL …式(7)
すなわち、式(6)に式(7)を代入することで、インピーダンス行列Z1を、以下の式(8)で表すことができる。

0073

次に、二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2を、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2の逆行列として求める。
図16に示す、アドミタンスYA、YB、YCを備える二端子対回路のアドミタンス行列Yは、以下の式(9)で表される。

0074

図14に示す二端子対回路TN2の要素である容量Cのアドミタンスは、図16に示す二端子対回路のアドミタンスYA及びYCに対応し、以下の式(10)で表される。
YA=YC=jωC …式(10)
同様に、二端子対回路TN2の要素である抵抗Rのアドミタンスは、図16に示す二端子対回路のアドミタンスYBに対応し、以下の式(11)で表される。
YB=1/R …(式11)
よって、二端子対回路TN2のアドミタンス行列Y2は、式(9)に対して、式(10)及び式(11)を代入した、式(12)として表される。

0075

二端子対回路TN2のインピーダンス行列Z2は、式(12)に示すアドミタンス行列Y2の逆行列として求めることができる。このため、二端子対回路2Sのインピーダンス行列Zは、以下の式(13)として求められる。

0076

散乱行列Sは、一般的に、インピーダンス行列Zと2行2列の単位行列Iとを用いて、以下の式(14)で表される。

0077

また、本実施形態では、上述したようにLC共振現象を利用して高効率で電力伝送を行うため、式(2)に示すインダクタンスLと、式(3)に示す容量値Cとは、以下の式(15)に示す共振条件を満たすように定められる。
ω2LC=1 ……式(15)

0078

よって、式(12)〜式(15)より、以下の式(16)で表される散乱行列Sの各成分のうち、第2行第1列の成分s21を求めることができる。この成分s21は、二端子対回路2Sの電圧透過係数を表す値であり、以下の式(17)で表される。

0079

また、上述のとおり、二端子対回路2Sの電力透過係数は成分s21の絶対値の二乗|s21|2であり、以下の式(18)で表される。

0080

本実施形態では、電圧透過係数及び電力透過係数を大きくするために、以下の式(19)が成立するように、電源ユニット10、送電部2、及び、ヘッドユニット5の各構成要素を設計する。
z0<<R<<ωL …式(19)
式(19)が成立することを前提とした場合、式(18)に示す値|s21|2は、以下の式(20)に示す値に近似される。この場合、電力透過係数の値|s21|2は、ほぼ「1」に近い値となり、送電部2は高い伝送効率を有することになる。

0081

以下、上述した式(19)を充足するために必要となる条件を検討する。

0082

まず、式(19)のうち、「z0<<R」について検討する。
一般的に、インピーダンスz0に対応する電源ユニット10の抵抗RSは、小さい値に設定することが可能である。また、一般的に、結合容量(CM1、CM2)に係るインピーダンスZMは、大きな値となる。よって、一般的に、「z0<<R」という条件は充足される。

0083

次に、式(19)のうち、「R<<ωL」について検討する。
結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値をCMとした場合、インピーダンスR(インピーダンスZM)は、容量値CMを用いることで以下の式(21)で表される。

0084

式(15)及び式(21)より、以下の式(22)が得られる。また、式(20)及び式(22)より、以下の式(23)が得られる。

0085

式(22)から明らかなように、「R<<ωL」という条件を充足するためには、結合容量CM1及び結合容量CM2の容量値CMを、送電回路11の有する容量の容量値CA、及び、受電回路12の有する容量の容量値CBよりも十分に大きくなるように定めればよい。
この場合には、式(23)に示すように、電力透過係数の値|s21|2は、ほぼ「1」に近い値となる。

0086

<5.ヘッド駆動回路50について>
次に、図17及び図18を参照しつつ、ヘッドユニット5の構成及び動作について説明する。
図17は、ヘッドユニット5の等価回路図の一例である。この図に示すように、ヘッドユニット5は、整流回路13と、ヘッド駆動回路50と、ヘッド部30と、を備える。
整流回路13は、例えばAC−DCコンバーターであり、送電部2から供給される交流電圧である出力電圧Voutを、直流電圧に変換する。具体的には、整流回路13は、給電経路である電源線501の電位を高電位側の一定の電位VDDに設定し、放電経路である電源線502の電位を電位VDDよりも低い基準電位VSSに設定する。
ヘッド駆動回路50は、原駆動信号発生部51と駆動信号生成部52とを含む。ヘッド駆動回路50は、M個の吐出部Dのそれぞれに対して駆動信号DRVを供給する。なお、図17及び図18において、各信号名の末尾に付された括弧内の数字は、当該信号が供給される吐出部Dの番号を示している。
なお、ヘッドユニット5は、4列のノズル列と1対1に対応するように4個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよいし、M個の吐出部Dに対して共通する1個のヘッド駆動回路50を具備するものであってもよい。

0087

原駆動信号発生部51は、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる原駆動信号生成用パラメーターPRMに基づいて、原駆動信号ODRVを生成する。なお、原駆動信号生成用パラメーターPRMとは、原駆動信号ODRVの波形形状等を規定するパラメーターである。
この原駆動信号発生部51は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。
図18は、原駆動信号ODRV、印刷信号PRT(i)、及び駆動信号DRV(i)の波形の一例を示す図である。原駆動信号ODRVは、単位期間(キャリッジ32が一画素の間隔を横切る期間)毎に、第1パルスW1と第2パルスW2の2つのパルスを含む信号である。

0088

駆動信号生成部52には、CPU6から供給される制御信号CtrHに含まれる印刷信号PRTと、原駆動信号ODRVと、に基づいて、駆動信号DRVを生成する。印刷信号PRTは、CPU6が印刷データPDに基づいて生成する信号であり、各画素に対する吐出部Dからのインクの吐出の有無と、吐出部Dからインクを吐出する場合におけるインクの吐出量と、を規定する信号である。
より具体的には、駆動信号生成部52は、M個の吐出部Dのうち第i番目の吐出部Dに対応する印刷信号PRT(i)に基づいて、原駆動信号ODRVを遮断したり通過させたりすることで、駆動信号DRV(i)を生成する。
例えば、駆動信号生成部52は、図18に示すように、印刷信号PRT(i)が2ビット信号である場合において、印刷信号PRT(i)の示す値が『00』の場合には、原駆動信号ODRVの両パルスW1及びW2を遮断し、また、印刷信号PRT(i)の示す値が『01』の場合には、パルスW1のみを遮断してパルスW2は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『10』の場合には、パルスW2のみを遮断してパルスW1は通過させ、印刷信号PRT(i)の示す値が『11』の場合には、両パルスW1及びW2を通過させる。そして、駆動信号生成部52は、通過させたパルスを駆動信号DRV(i)として、第i番目の吐出部Dが具備する圧電素子300の上部電極302に対して供給する。第i番目の吐出部Dは、駆動信号生成部52からの駆動信号DRV(i)に基づいて応じて駆動される。

0089

駆動信号生成部52は、給電経路である電源線501と、放電経路である電源線502と、にそれぞれ電気的に接続されている。また、各吐出部Dは、圧電素子300の上部電極302が、駆動信号生成部52と電気的に接続されて駆動信号DRV(i)の供給を受け、下部電極301が、放電経路である電源線502に電気的に接続されている。
なお、図示は省略するが、ヘッド駆動回路50は、電位VDD及び基準電位VSSとで定められる電圧を、ヘッド駆動回路50の各部が必要とする適宜な電圧に変圧するDC−DCコンバーターを有するものであってもよい。

0090

<6.実施形態の結論
以上に説明したように、本実施形態にかかるインクジェットプリンター1では、FFCを用いることなく、キャリッジ32に搭載されたヘッドユニット5等の搭載物EBに対して電力を伝送することができる。このため、ヘッドユニットに対してFFCを用いて電力を伝送する従来のインクジェットプリンターと比較して、印刷の品位を高めることが可能となり、更には、インクジェットプリンター1の故障頻度を低減させることが可能となる。

0091

また、本実施形態に係るインクジェットプリンター1では、電源ユニット10が、記録媒体Pの種類に応じた適切な大きさの電力を供給するため、インクジェットプリンター1の低消費電力化が可能となるとともに、ヘッドユニット5に対する供給電力不足することを抑止することができる。

0092

以上の各形態は多様に変形され得る。具体的な変形の態様を以下に例示する。以下の例示から任意に選択された2以上の態様は、相互に矛盾しない範囲内で適宜に併合され得る。なお、以下において説明する変形例では、説明の重複を避けるため、上述した本発明の実施形態との共通点については説明を省略する。

0093

<変形例1>
上述した実施形態では、第1平板(高位)21−1〜21−n及び第1平板(低位)23−1〜23−nを、その法線方向(+Z方向又は−Z方向)から平面視したときに略平行四辺形を呈する形状(図6参照)としているが、第1平板(高位)21−1〜21−n及び第1平板(低位)23−1〜23−nの形状は図6に示す例に限られない。
例えば図19に示すように、第1平板(高位)21−1〜21−nを、その法線方向(+Z方向又は−Z方向)から平面視したときに、主走査方向(Y軸方向)に隣り合う第1平板(高位)21−1〜21−n同士の一方に凸部が形成され、他方に凸部に対応する凹部が形成された多角形状を呈するように構成してもよい。なお、図19においては第1平板(高位)21−1〜21−nについて説明したが、第1平板(低位)23−1〜23−nについても同様である。
さらには、例えば図20に示すように、第1平板(高位)21−1〜21−nを、その法線方向(+Z方向又は−Z方向)から平面視したときに台形形状を呈するように構成してもよい。ここで台形とは、四辺形において1組の対辺のみが互いに平行で、他の1組の対辺が平行でない形状を指し、互いに平行な二つの辺を台形の「底」と称し、他の2辺を台形の「脚」と称する。図20に示す例では、台形形状の第1平板(高位)21−1〜21−nを、主走査方向(Y軸方向)に隣り合う第1平板(高位)21−1〜21−n同士で脚が平行となるように配置されている。なお、図20においては第1平板(高位)21−1〜21−nについて説明したが、第1平板(低位)23−1〜23−nについても同様である。

0094

<変形例2>
上述した実施形態及び変形例では、送電部2は、給電経路上の結合容量CM1と、放電経路上の結合容量CM2と、を有するが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、結合容量CM1又は結合容量CM2の一方のみを有するものであってもよい。例えば、送電部2は、図21に示すように、放電経路をグランド電位に設定し、給電経路のみに結合容量CM1を有する態様であってもよい。図21に示す例においては、例えば、キャリッジガイド軸44の電位をグランド電位に設定し、ヘッドユニット5の端子TE32(図10参照)をキャリッジガイド軸44に電気的に接続させることにより、放電経路をグランド電位に設定すればよい。なお、図21に示す例において、給電経路の駆動態様は、上述した実施形態と同様である。

0095

<変形例3>
上述した実施形態及び変形例では、インクジェットプリンター1は、圧電素子300を振動させることによりノズルNからインクを吐出させるものであるが、本発明はこのような態様に限定されるものではなく、例えば、キャビティ320に設けられた発熱体(図示省略)を発熱させることによりキャビティ320内に気泡を生じさせてキャビティ320内部の圧力を高め、これによりインクを吐出させる、所謂サーマル方式であってもよい。

0096

1…インクジェットプリンター、2…送電部、4…移動機構、5…ヘッドユニット、6…CPU、7…給紙機構、9…ホストコンピューター、10…電源ユニット、11…送電回路、12…受電回路、20…ワイヤレス伝送部、21…第1導電部(高位)、22…第2導電部(高位)、23…第1導電部(低位)、24…第2導電部(低位)、30…ヘッド部、31…筐体、32…キャリッジ、50…ヘッド駆動回路、74…プラテン、D…吐出部、EB…搭載物。

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