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技術 上吹きランスを用いた転炉精錬方法

出願人 新日鐵住金株式会社
発明者 谷川寛弥
出願日 2014年5月23日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2014-107245
公開日 2015年12月10日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2015-221931
状態 特許登録済
技術分野 炭素鋼又は鋳鋼の製造
主要キーワード 超音速噴流 付きトラブル ユーティリティコスト コールドモデル 熱分配 変形状況 ノズルスロート径 酸素ガス供給量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年12月10日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (7)

課題

上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランス使用回数によらず、常に良好な吹錬状況を保持し、ランス先端への地金付着を防止し、二次燃焼率の増大をも防止することのできる転炉精錬方法を提供する。

解決手段

上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定する。ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係を求め、当該関係に基づいて、前記ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めると良い。ランス基準使用回数(N1、N2(N1<N2))を定め、ノズル形状が変形していない場合の最適ランス高さH0を予め定め、ランス使用回数が前記N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとし、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすると好ましい。

概要

背景

上底吹き転炉、上吹き転炉においてはいずれも、上吹きランスを用いた転炉精錬が行われる。上吹きランスの先端に設けられた酸素ノズルから純酸素ガス高速で転炉中の溶湯溶融金属)に噴射し、ガス衝突によって溶湯を攪拌するとともに、酸素ガスによって溶湯中不純物成分酸化させて金属精錬が行われる。酸素ノズルとしてはラバールノズルが用いられ、酸素ノズルから超音速噴流吐出させる。複数の酸素ノズルを有する多孔ノズルランスが用いられている。

所定のノズル形状ノズルスロート径ノズル孔数ノズル広がり角度)を有するランスを用いて酸素吹き込みを行うに際し、送酸速度とランス高さ(ランス先端と湯面との距離)を変更することにより、転炉中の溶湯に与える酸素ガスジェットの影響を調整することができる。同じ送酸速度であれば、ランス高さを低くすると酸素ガスジェットの影響が高まり、溶湯の攪拌動力が高まるとともに、溶湯が跳ね返るスピッティング現象が増大し、ランス先端への地金付着も増大する。逆にランス高さを高くすると酸素ガスジェットの影響が弱まり、弱攪拌に特有精錬反応(いわゆる「ソフトブロー」)が進行するとともに、転炉中の雰囲気ガスと酸素ガスジェットとの混合が進んで二次燃焼率が増大する原因ともなる。そのため、転炉及びランスの種類ごとに、最適な送酸速度とランス高さが定められ、転炉精錬が行われる。

特許文献1には、排ガス中のCO及びCO2濃度より二次燃焼による反応熱量を求め、実測した排ガス温度及び火点温度より溶鋼スラグへの着熱分配率を決定して溶鋼・スラグ温度推定し、この推定値に対応して送酸量、ランス高さ、底吹きガス流量を操作することで溶鋼・スラグ温度を制御することを特徴とする転炉吹制御方法が開示されている。しかし、これら諸パラメータ計測した上で溶鋼・スラグ温度を推定し、この推定値に対応して送酸量、ランス高さ、底吹きガス流量を操作するのでは、対応が煩雑すぎる問題がある。

非特許文献1によると、転炉上吹きの総運動エネルギーJは以下の式で表される。
J=ncosξ・(π・ρg)/20・(6.313・De/x)3
×(x・tanθ/2)2・u'3 (0, 0) (1)
上記式のxをまとめて記述すると、
J=ncosξ・(π・ρg)/20・(6.313・De)3・(tanθ/2)2・u'3 (0, 0)/x
となり、Jはxに反比例する形となる。
ここで、n:ノズル孔数、ξ:ノズル広がり角度(°)、ρg:気体密度(kg/m3)、De:先端部でのノズル径(m)、x:ランス高さ(m)、θ:ジェットの広がり角度(°)、u' (0, 0):ノズル先端部での見掛け流速(Nm/s)、を意味する。即ち、他の条件を一定にしてランス高さのみを変化させた場合、総運動エネルギーはランス高さに反比例する。以下、本発明ではランス高さをxではなく「H」と表記する。

概要

上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランス使用回数によらず、常に良好な吹錬状況を保持し、ランス先端への地金付着を防止し、二次燃焼率の増大をも防止することのできる転炉精錬方法を提供する。上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定する。ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係を求め、当該関係に基づいて、前記ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めると良い。ランス基準使用回数(N1、N2(N1<N2))を定め、ノズル形状が変形していない場合の最適ランス高さH0を予め定め、ランス使用回数が前記N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとし、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすると好ましい。

目的

本発明は、上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランス使用回数が変わっても常に良好な吹錬状況を保持し、ランス先端への地金付着を防止し、二次燃焼率の増大をも防止することのできる転炉精錬方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
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請求項1

上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定することを特徴とする転炉精錬方法。

請求項2

ランス高さを所定の高さとしたときのランス使用回数と湯面に到達するジェットの全運動エネルギーとの関係を予め求めておき、ランス初回の全運動エネルギーを基準とした全運動エネルギー比が目標範囲に入るようにランス高さの設定値を決定することを特徴とする請求項1に記載の転炉精錬方法。

請求項3

ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係を求め、当該関係に基づいて、前記ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めることを特徴とする請求項2に記載の転炉精錬方法。

請求項4

ランス基準使用回数(N1、N2(N1<N2))を定め、ノズル形状が変形していない場合の最適ランス高さH0を予め定め、ランス使用回数が前記N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとし、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転炉精錬方法。

技術分野

0001

本発明は、上吹きランスを用いた転炉精錬方法に関するものである。

背景技術

0002

上底吹き転炉、上吹き転炉においてはいずれも、上吹きランスを用いた転炉精錬が行われる。上吹きランスの先端に設けられた酸素ノズルから純酸素ガス高速で転炉中の溶湯溶融金属)に噴射し、ガス衝突によって溶湯を攪拌するとともに、酸素ガスによって溶湯中不純物成分酸化させて金属精錬が行われる。酸素ノズルとしてはラバールノズルが用いられ、酸素ノズルから超音速噴流吐出させる。複数の酸素ノズルを有する多孔ノズルランスが用いられている。

0003

所定のノズル形状ノズルスロート径ノズル孔数ノズル広がり角度)を有するランスを用いて酸素吹き込みを行うに際し、送酸速度とランス高さ(ランス先端と湯面との距離)を変更することにより、転炉中の溶湯に与える酸素ガスジェットの影響を調整することができる。同じ送酸速度であれば、ランス高さを低くすると酸素ガスジェットの影響が高まり、溶湯の攪拌動力が高まるとともに、溶湯が跳ね返るスピッティング現象が増大し、ランス先端への地金付着も増大する。逆にランス高さを高くすると酸素ガスジェットの影響が弱まり、弱攪拌に特有精錬反応(いわゆる「ソフトブロー」)が進行するとともに、転炉中の雰囲気ガスと酸素ガスジェットとの混合が進んで二次燃焼率が増大する原因ともなる。そのため、転炉及びランスの種類ごとに、最適な送酸速度とランス高さが定められ、転炉精錬が行われる。

0004

特許文献1には、排ガス中のCO及びCO2濃度より二次燃焼による反応熱量を求め、実測した排ガス温度及び火点温度より溶鋼スラグへの着熱分配率を決定して溶鋼・スラグ温度推定し、この推定値に対応して送酸量、ランス高さ、底吹きガス流量を操作することで溶鋼・スラグ温度を制御することを特徴とする転炉吹制御方法が開示されている。しかし、これら諸パラメータ計測した上で溶鋼・スラグ温度を推定し、この推定値に対応して送酸量、ランス高さ、底吹きガス流量を操作するのでは、対応が煩雑すぎる問題がある。

0005

非特許文献1によると、転炉上吹きの総運動エネルギーJは以下の式で表される。
J=ncosξ・(π・ρg)/20・(6.313・De/x)3
×(x・tanθ/2)2・u'3 (0, 0) (1)
上記式のxをまとめて記述すると、
J=ncosξ・(π・ρg)/20・(6.313・De)3・(tanθ/2)2・u'3 (0, 0)/x
となり、Jはxに反比例する形となる。
ここで、n:ノズル孔数、ξ:ノズル広がり角度(°)、ρg:気体密度(kg/m3)、De:先端部でのノズル径(m)、x:ランス高さ(m)、θ:ジェットの広がり角度(°)、u' (0, 0):ノズル先端部での見掛け流速(Nm/s)、を意味する。即ち、他の条件を一定にしてランス高さのみを変化させた場合、総運動エネルギーはランス高さに反比例する。以下、本発明ではランス高さをxではなく「H」と表記する。

0006

特開平5−263120号公報

先行技術

0007

ら著「上底吹き転炉特性のコールドモデルによる検討」鉄と鋼第69年(1983)第2号第42〜51頁)

発明が解決しようとする課題

0008

転炉においてランス先端のノズル形状を定め、当該ノズル形状にマッチした最適な送酸速度とランス高さが定められ、転炉精錬が行われる。ランス先端のノズル部分交換した直後においては、最適送酸条件が適用されているため、上吹きガスジェットによる溶湯の攪拌を適切に得られ、かつスピッティングも十分に抑えられ、二次燃焼率が高すぎない良好な吹錬を行うことができる。

0009

ところが、新品のノズルを使用し始めてランス使用回数数十回が経過すると、スピッティングに起因するランス先端への地金付着でノズル交換を余儀なくされる場合が見られた。さらにランス使用回数が200回を超えると、逆に弱攪拌になり、二次燃焼率が増大する傾向が見られることがあった。

0010

本発明は、上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランス使用回数が変わっても常に良好な吹錬状況を保持し、ランス先端への地金付着を防止し、二次燃焼率の増大をも防止することのできる転炉精錬方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

即ち、本発明の要旨とするところは以下のとおりである。
(1)上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定することを特徴とする転炉精錬方法。
(2)ランス高さを所定の高さとしたときのランス使用回数と湯面に到達するジェットの全運動エネルギーとの関係を予め求めておき、ランス初回の全運動エネルギーを基準とした全運動エネルギー比が目標範囲に入るようにランス高さの設定値を決定することを特徴とする請求項1に記載の転炉精錬方法。
(3)ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係を求め、当該関係に基づいて、前記ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めることを特徴とする請求項2に記載の転炉精錬方法。
(4)ランス基準使用回数(N1、N2(N1<N2))を定め、ノズル形状が変形していない場合の最適ランス高さH0を予め定め、ランス使用回数が前記N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとし、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の転炉精錬方法。

発明の効果

0012

本発明は、上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定することにより、ランス使用回数によらず、常に良好な吹錬状況を保持し、ランス先端への地金付着を防止し、二次燃焼率の増大をも防止することができる。

図面の簡単な説明

0013

ランス先端を示す部分図であり、(a)はランス使用開始前、(c)はノズル変形が発生した後の状態を示し、(b)(d)はそれぞれB−B矢視部分図、D−D矢視部分図である。
ノズル使用回数と局部変形度(δ/Dt)の関係を示す図である。
ノズルの局部変形度と全運動エネルギー比の関係を示す図である。
ランスノズル使用回数とランス高さの関係を示す図である。
本発明によるランスノズル寿命改善状況を示す図である。
本発明による二次燃焼率改善状況を示す図である。

0014

上吹きランス先端の酸素ノズルとして3孔以上の多孔ノズルが用いられている。酸素ノズルはランス先端の同一円周上に同一角度間隔で配置されることが多い。ランスノズルの使用回数とノズルの変形状況との関係を調査したところ、ランスノズルの使用回数が増大するとともに、ノズル出口形状が変形して出口直径が減少する部分が生じることがわかった。特に各ノズルのうちのランス外周側に近い側でノズル形状の変形が進行する。図1はランス1のノズル2変形状況を示す図であり、(a)はランス使用開始前、(c)はノズル変形が発生した後の状態を示し、(b)(d)はそれぞれB−B矢視部分図、D−D矢視部分図である。ノズル出口形状が変形して直径が最も小さくなった部分の直径をここでは「ノズル最小径」と呼ぶ。最小径は、ランス半径方向のノズル直径であることが多い。そして、ランス使用回数の進行とともに、ノズル最小径が小さくなっていくことが観察された。ラバールノズルのスロート径をDt、出口初期径をDe0、実際のノズル最小径をDeとおき、
δ/Dt=(De0−De)/Dt
とする。δ/Dtを「局部変形度」とよぶ。ランス使用回数と局部変形度との関係を調査したところ、図2に示すような結果が得られた。

0015

次に、ラボ実験により、湯面に到達するジェットの全運動エネルギーを計測し、局部変形度によって全運動エネルギーがどのように変化するかを評価した。ここで、全運動エネルギーとは、前記(1)式で表される上吹きジェットが有する総運動エネルギーを意味する。ノズルの変形が起きていないときの全運動エネルギーをJ0、所定の変形が発生したときの全運動エネルギーをJとし、J/J0を全運動エネルギー比とし、全運動エネルギー比の推移を評価した。その結果を図3に示す。図3において、「○」が実測値実線は実測値に合致するように定めた二次曲線図3中の二次式)を示す。図3の実線から明らかなように、局部変形度が大きくなるに従って全運動エネルギー比が最初は増大し、局部変形度があるところまで大きくなる(局部変形度が0.05程度)と全運動エネルギー比は減少に転じ、さらに局部変形度が大きくなる(局部変形度が0.08程度)と逆に全運動エネルギー比が1より小さくなって減少傾向が続くことが明らかになった。

0016

図2に示すランス使用回数と局部変形度との関係と、上記図3に示すラボ実験における局部変形度と全運動エネルギー比の関係をあわせ考えると、ランス使用回数の初期において全運動エネルギー比はランス使用回数とともに増大し、ランス使用回数があるところまで進むと全運動エネルギー比は減少に転じ、さらにランス使用回数が増大すると全運動エネルギー比が1より小さくなって減少傾向が続くことが推論できる。

0017

転炉上吹きの全運動エネルギーJに関する前記(1)式によると、全運動エネルギーJはランス高さHに反比例する関係にある。従って、ランス使用回数数十回において全運動エネルギー比が過大となる状況では、ランス高さHを増大することによって全運動エネルギー比を下げて最適化することができる。一方、ランス使用回数が200回を超えて全運動エネルギー比が過小となる状況では、ランス高さHを低減することによって全運動エネルギー比を上げて最適化することができる。ランス高さHの最適な変更代については、全運動エネルギー比の変化量に応じて、(1)式に基づいて算出することが可能である。

0018

本発明は、上記知見に基づいてなされたものであり、上吹きランスを用いた転炉精錬方法において、ランスの使用回数に応じてランス高さの設定値を決定することを特徴とする。

0019

具体的には、ランス高さを所定の高さとしたときのランス使用回数と湯面に到達するジェットの全運動エネルギーとの関係を予め求めておき、ランス初回の全運動エネルギーを基準とした全運動エネルギー比が目標範囲に入るようにランス高さの設定値を決定する。まず、ランスノズルが変形していないときの最適ランス高さを所定高さH0とする。所定ランス高さH0では全運動エネルギー比が過大となるランス使用回数数十回の領域では、ランス高さを所定高さH0よりも高くすることによって全運動エネルギー比を適正化する。所定ランス高さH0では全運動エネルギー比が過小となるランス使用回数200回以上の領域では、ランス高さを所定高さH0よりも低くすることによって全運動エネルギー比を適正化する。

0020

より具体的には、ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係を求め、当該関係に基づいて、前記ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めることができる。ノズル形状変形状況と全運動エネルギー比との関係についてはラボ実験で予め求めることができる。そして、ランス使用回数とノズル形状変形状況との関係については、使用したランスノズルの変形実績から求めることができる。これら事実を組み合わせることにより、ランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めることができる。

0021

上記種々の評価結果から、転炉精錬におけるランス使用回数と精錬状況との関係実績に基づいて、ランス使用回数ごとの最適なランス高さを定めることができる。

0022

あるいはこれら評価を行わずとも転炉精錬におけるランス使用回数と精錬状況との関係実績に基づいて、ランス使用回数ごとの最適なランス高さを定めることができる。即ち、新品のノズルを使用し始めてランス使用回数数十回が経過したときに、スピッティングに起因するランス先端への地金付着でノズル交換を余儀なくされる場合が見られたのなら、この時点で全運動エネルギー比が過大となったことが原因と推定できるので、この時点でのランス高さを増大することで対応可能である。さらにランス使用回数が一定回数を超えたときに弱攪拌傾向になり、二次燃焼率が増大する傾向が見られたのなら、この時点で全運動エネルギー比が過小となったことが原因と推定できるので、この時点でのランス高さを低減することで対応可能である。

0023

即ち、ランス使用回数と湯面に到達するジェットの全運動エネルギーとの関係を予め求めた場合、あるいは求めていない場合のいずれにおいても、ランス基準使用回数(N1、N2(N1<N2))を定め、ノズル形状が変形していない場合の最適ランス高さH0を予め定め、ランス使用回数が前記N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとし、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすることで対応することができる。

0024

ランス使用回数と湯面に到達するジェットの全運動エネルギーとの関係を予め求めた場合は、ランス使用回数初期段階において全運動エネルギー比が1よりも大きくなる領域をN1以下に包含するようにN1を定める。また、ランス使用回数後半において全運動エネルギー比が1よりも小さくなる領域をN2以上に包含するようにN2を定める。そして、N1以下の一部又は全部においてランス高さをH0よりも高い高さとすることにより、当該領域においてジェットの全運動エネルギー過多によるランス地金付きトラブルを低減することができる。また、ランス使用回数が前記N2以上の一部又は全部においてランス高さをH0よりも低い高さとすることにより、当該領域における二次燃焼率の増大を防止することができる。

0025

ランス使用の初期段階では、まだノズルの変形は発生していないので、ランス高さはH0とすることにより最適精錬を行うことができる。ただし、ランスの使用を開始した当初からノズルの変形は急速に進行し、ランス高さを増大する方が好ましい状況に立ち至る。従って、ランス使用回数がN1以下の全域、即ちランス使用初回を含めてランス高さHをH0よりも高い値とすることとしても本発明の効果を十分に発揮することができる。

0026

溶湯量400トンの上底吹き転炉において本発明を適用した。ランスには4孔のノズルを同円周上に配置しており、スロート径Dtは80mmφ、初期出口径De0は85mmφである。新品のランスを用い、酸素ガス供給量を80kNm3/Hrとしたときの最適ランス高さH0は4.0mである。

0027

ランスノズルの使用回数とノズルの変形状況との関係を調査したところ、ランスノズルの使用回数が増大するとともに、ノズル出口形状が変形して出口直径が減少する部分が生じることがわかった。特に各ノズルのうちのランス外周側に近い側でノズル形状の変形が進行する。ランス使用回数と局部変形度(δ/Dt=(De0−De)/Dt)との関係を調査したところ、図2に示すような結果が得られた。

0028

次に前述の通り、ラボ実験により、湯面に到達するジェットの全運動エネルギーを計測し、局部変形度によって全運動エネルギーがどのように変化するかを評価した。ノズルの変形が起きていないときの全運動エネルギーをJ0、所定の変形が発生したときの全運動エネルギーをJとし、J/J0を全運動エネルギー比とし、全運動エネルギー比の推移を評価した。その結果、図3に示す結果が得られた。即ち、局部変形度が大きくなるに従って全運動エネルギー比が最初は増大し、局部変形度があるところまで大きくなる(局部変形度が0.05程度)と全運動エネルギー比は減少に転じ、さらに局部変形度が大きくなる(局部変形度が0.08程度)と逆に全運動エネルギー比が1より小さくなって減少傾向が続くことが明らかになった。

実施例

0029

これら事実を組み合わせることにより、ランス高さ一定としたときのランス使用回数と全運動エネルギー比との関係を求めた。そして、本発明例では、ランス使用回数によって全運動エネルギー比が変動しないように、ランス使用回数ごとのランス高さを変更することとした。図2のランス使用回数と局部変形度の関係、図3の局部変形度と全運動エネルギー比の関係(実線)から、ランス使用回数と全運動エネルギー比の関係を求めた。次に、前記(1)式に基づき、ランス使用回数に関わらず全運動エネルギー比が一定になるように、ランス使用回数とランス高さの関係を求めた。その結果を図4の実線に示す。そこで、図4の実線を参照しつつ、具体的には、ランス使用開始直後からランス使用回数N1=50回まではランス高さHをH0+0.1〜H0+0.15mとし、ランス使用回数N1からN2=200回まではランス高さをH0+0.1〜H0とし、ランス使用回数N2以降はランス高さをH0〜H0−0.1mとした。これに対して従来例は、ランス使用回数によらず、ランス高さをH0一定とした。図4の「○」は、実際の精錬で本発明の実施例として行った例のプロットである。本発明例は従来例と比較し、飛散した地金のノズル付着によるランスの異常溶損頻度が低減し、図5に示すように、ランスノズル寿命が従来例の1.2倍に延長した。主に、ランス使用回数40回未満での異常溶損の発生が低減したことによる。また、従来例では二次燃焼率が過剰であったが、図6に示すように、本発明例は従来例に比較して二次燃焼率が低下し、適切な二次燃焼率を実現した。主に、ランス使用回数200回以上における二次燃焼率の過剰が改善されたことによる。これにより、転炉ガス(LDG)の炉内燃焼ロスを抑制でき、ユーティリティコスト削減につながった。

0030

1ランス
2ノズル
Dtスロート径
De0初期出口径
De ノズル最小径
δ 変形量
H ランス高さ

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