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技術 気泡含有黒糖およびその製造方法

出願人 沖縄県
発明者 前田剛希広瀬直人
出願日 2014年5月14日 (6年6ヶ月経過) 出願番号 2014-100650
公開日 2015年12月7日 (4年11ヶ月経過) 公開番号 2015-216855
状態 特許登録済
技術分野 菓子 糖工業
主要キーワード 気泡組織 縮小傾向 地域経済 基幹産業 卓上試験 破断強度測定 膨張率測定 綿菓子
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年12月7日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (4)

課題

これまでに研究されていない、食感に特徴を有する黒糖を提供する。

解決手段

多数の気泡を有し、密度が1g/cm3未満であることを特徴とする気泡含有黒糖。

概要

背景

黒糖サトウキビを煮詰めた農産加工製品である。サトウキビは縄・西諸島の基幹作物であり、サトウキビを原料とする製糖産業は県の重要産業の一つである。砂糖価格の低迷や営農従事者高齢化等の問題により、サトウキビ生産量は減少しており、製糖産業自体も縮小傾向にある。黒糖の新しい用途開発は、黒糖の需要を増やしてサトウキビを柱とする基幹産業強化地域経済安定化へと繋がる重要な課題である。

これまで黒糖関連の商品については多くの製品市場流通しているが、純黒糖については、サトウキビ以外の原料を使うと黒糖の表示ができないことから、かち割り黒糖やブロック黒糖など主に大きさや量、パッケージによる商品の差別化が行われている。純黒糖以外には、黒糖を副原料に用いたパンクッキー等の加工食品や、黒糖にフルーツエキス粉末等の副原料を混合して「香り」や「味」に特徴を付与した加工黒糖の開発が中心であった。

一方、黒糖と同じ嗜好品であるチョコレートでは、軟らかい生チョコや、発泡させて口当たりを軽くしたエアイチョコのように、「味」や「香り」だけでなく「食感」に特徴を持たせた製品が数多く開発・販売されている(特許文献1〜3)。黒糖でも、これまでに無いような「食感」に特徴を持たせた黒糖ができれば、新しい需要が産まれ、大きな経済効果へ繋がることが期待された。

しかしながら、内容成分に多量の脂肪分を含み、加温と冷却により液体—個体の変化を何度でも繰り返すことができるチョコレートと異なり、黒糖は堅い砂糖の結晶の塊であり、一度固めてしまうと形状や食感を変えるのは難しい。形状に着目した黒糖製品はブロック黒糖やかち割り黒糖、粉末黒糖あるいは粉末黒糖などを原料にして成型した黒糖(特許文献4〜7)などに限られている。食感そのものに着目した黒糖製品については、乾燥と粉砕を繰り返して黒糖を微粉末にした尚和三盆糖や、黒糖の粉糖脂肪酸エステルを混合して顆粒にした黒糖、黒糖を原料にした綿菓子などが開発されている程度であった(特許文献8〜10)。

概要

これまでに研究されていない、食感に特徴を有する黒糖を提供する。多数の気泡を有し、密度が1g/cm3未満であることを特徴とする気泡含有黒糖。

目的

黒糖の新しい用途開発は、黒糖の需要を増やしてサトウキビを柱とする基幹産業強化や地域経済安定化へと繋がる重要な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

多数の気泡を有し、密度が1g/cm3未満であることを特徴とする気泡含有黒糖

請求項2

ペースト状の黒糖原料を、減圧脱気しながら固化させることにより得られるものである請求項1記載の気泡含有黒糖。

請求項3

減圧脱気を、型内で加圧下に行うものである請求項2記載の気泡含有黒糖。

請求項4

減圧脱気の前に、黒糖原料に気体を含ませたものである請求項2または3記載の気泡含有黒糖。

請求項5

減圧脱気中に、黒糖原料を撹拌するものである請求項2〜4の何れかに記載の気泡含有黒糖。

請求項6

固化後、更に粉状に粉砕するものである請求項2〜5の何れかに記載の気泡含有黒糖。

請求項7

請求項1〜6の何れかに記載の気泡含有黒糖を含有する飲食品

請求項8

ペースト状の黒糖原料を、減圧脱気しながら固化させることを特徴とする気泡含有黒糖の製造方法。

請求項9

減圧脱気を、型内で加圧下に行うものである請求項8記載の気泡含有黒糖の製造方法。

請求項10

減圧脱気の前に、黒糖原料に気体を含ませたものである請求項8または9記載の気泡含有黒糖の製造方法。

請求項11

減圧脱気中に、黒糖原料を撹拌するものである請求項8〜10の何れかに記載の気泡含有黒糖の製造方法。

請求項12

固化後に、更に粉状に粉砕するものである請求項8〜11の何れかに記載の気泡含有黒糖の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、多数の気泡を有し、食感が軽く、口溶けの良い気泡含有黒糖およびその製造方法に関する。

背景技術

0002

黒糖はサトウキビを煮詰めた農産加工製品である。サトウキビは縄・西諸島の基幹作物であり、サトウキビを原料とする製糖産業は県の重要産業の一つである。砂糖価格の低迷や営農従事者高齢化等の問題により、サトウキビ生産量は減少しており、製糖産業自体も縮小傾向にある。黒糖の新しい用途開発は、黒糖の需要を増やしてサトウキビを柱とする基幹産業強化地域経済安定化へと繋がる重要な課題である。

0003

これまで黒糖関連の商品については多くの製品市場流通しているが、純黒糖については、サトウキビ以外の原料を使うと黒糖の表示ができないことから、かち割り黒糖やブロック黒糖など主に大きさや量、パッケージによる商品の差別化が行われている。純黒糖以外には、黒糖を副原料に用いたパンクッキー等の加工食品や、黒糖にフルーツエキス粉末等の副原料を混合して「香り」や「味」に特徴を付与した加工黒糖の開発が中心であった。

0004

一方、黒糖と同じ嗜好品であるチョコレートでは、軟らかい生チョコや、発泡させて口当たりを軽くしたエアイチョコのように、「味」や「香り」だけでなく「食感」に特徴を持たせた製品が数多く開発・販売されている(特許文献1〜3)。黒糖でも、これまでに無いような「食感」に特徴を持たせた黒糖ができれば、新しい需要が産まれ、大きな経済効果へ繋がることが期待された。

0005

しかしながら、内容成分に多量の脂肪分を含み、加温と冷却により液体—個体の変化を何度でも繰り返すことができるチョコレートと異なり、黒糖は堅い砂糖の結晶の塊であり、一度固めてしまうと形状や食感を変えるのは難しい。形状に着目した黒糖製品はブロック黒糖やかち割り黒糖、粉末黒糖あるいは粉末黒糖などを原料にして成型した黒糖(特許文献4〜7)などに限られている。食感そのものに着目した黒糖製品については、乾燥と粉砕を繰り返して黒糖を微粉末にした尚和三盆糖や、黒糖の粉糖脂肪酸エステルを混合して顆粒にした黒糖、黒糖を原料にした綿菓子などが開発されている程度であった(特許文献8〜10)。

先行技術

0006

特開2005−160419号公報
特開2006−006247号公報
特開2013−229131号公報
特開平10−108700号公報
特開2007−129922号公報
特開2004−24152号公報
特開2005−269954号公報
特開2001−245700号公報
特開2002−191400号公報
特開2005−124590号公報

発明が解決しようとする課題

0007

従って、本発明は、他の加工食品で行われているような食感に着目した食品開発をして新しい商品アイテムを提供し、黒糖の安定した市場を形成することに寄与することを課題とした。

課題を解決するための手段

0008

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、黒糖製造工程中の固化工程を改良することにより多数の気泡を含有する新たな食感の黒糖が得られることを見出し、本発明を完成させた。

0009

すなわち、本発明は、多数の気泡を有し、密度が1g/cm3未満であることを特徴とする気泡含有黒糖である。

0010

また、本発明は、上記気泡含有黒糖を含有する飲食品である。

0011

更に、本発明は、ペースト状の黒糖原料を、減圧脱気しながら固化させることを特徴とする気泡含有黒糖の製造方法である。

発明の効果

0012

本発明の気泡含有黒糖は、多数の気泡を含むため、従来の黒糖よりも密度が小さく、軽い食感を有し、口溶けも良いものである。

0013

また、本発明の気泡含有黒糖は上記性質を有するため、粉状等の各種形状にも容易に加工することができる。

0014

従って、本発明の気泡含有黒糖は、新しい食感や形状を有する糖質素材として各種飲食品等に好適に利用することができる。

図面の簡単な説明

0015

実施例1で作製した本発明の気泡含有黒糖の外観写真である。
実施例1で作製したコントロールの黒糖の外観写真である。
実施例2で作成した減圧脱気・固化のタイミング(攪拌終了時のトルク)が異なる黒糖の断面写真である。左から攪拌終了時のトルクが0.1kg・cm未満、0.1〜0.2kg・cm、0.6kg・cm、0.6kg・cm超の黒糖である。

0016

本発明の気泡含有黒糖(以下、「本発明黒糖」という)とは、多数の気泡を含むため、従来の黒糖よりも密度が小さいものであり、例えば、密度が1g/cm3未満のもの、好ましくは0.6〜0.9g/cm3のもの、より好ましくは0.6〜0.7g/cm3のものである。また、本発明黒糖は、破断強度が120N未満、好ましくは30〜90N、より好ましくは30〜60Nである。なお、密度および破断強度は実施例に記載の方法で測定されたものである。

0017

本発明黒糖の製造方法は特に限定されないが、例えば、ペースト状の黒糖原料を、減圧脱気しながら固化させることにより得られる。

0018

上記で用いられる黒糖原料としては、特に限定されず、一般的に黒糖の製造に用いられる、サトウキビ搾汁液粗糖糖蜜混合液等を挙げることができる。また、この黒糖原料には、香料ショウガ等の加工黒糖用の副原料を混ぜてもよい。

0019

黒糖原料のうち、サトウキビ搾汁液は、イネ科サトウキビ(学名:Saccharum officinarum)の全または内実部を搾汁することにより得られるものである。搾汁の手段としては特に制限されないが、例えば、ミルスクリュープレスケーンセパレーション等が挙げられる。また、搾汁後は、ろ過や遠心分離を行って不溶性成分を除去してもよい。

0020

上記サトウキビ搾汁液は、石灰を加えてpHを中性に調整、例えば、pH7.5前後に調整し、不純物沈殿させ、それをろ過や遠心分離等で除去しておく。また、必要によりサトウキビ搾汁液の濃度を調整しておいてもよい。

0021

また、黒糖原料のうち、粗糖と糖蜜の混合液は、分工場で製造される粗糖と糖蜜を混合したものである。粗糖とはサトウキビ搾汁液あるいはビート搾汁液から蜜の部分を取り除いた砂糖(分蜜糖)であり、白糖の原料となる。糖蜜は粗糖を製造する際に取り除かれた蜜の部分である。

0022

上記した黒糖原料は、撹拌等をしながら、黒糖原料の温度が125℃以上、好ましくは130℃になるまで加熱濃縮する。

0023

上記の温度となった黒糖原料は、加熱を止め、攪拌機ヘラ等を用いて激しく攪拌しながら冷却する。黒糖原料は、攪拌を続ける間に水分が蒸発し、かつ空気を含んで白濁し、粘性も上昇する。更に攪拌を続けると、液中に砂糖の結晶が生成しはじめ、黒糖原料はペースト状になる。この状態になったら攪拌を止めて、減圧脱気しながら固化させる。

0024

ここでペースト状の黒糖原料とは、非常にやわらかい練り歯磨きの様な状態をいい、例えば、径75mmタービンタイプの撹拌羽根2枚を取り付けた攪拌機(BL−300D:AS ONE製)で、1分間あたり300回転の回転数で約150gの黒糖原料を撹拌した時に、撹拌羽根にかかるトルクが0.1kgf・cm以上〜0.6kgf・cm以下、好ましくは0.1kgf・cm以上〜0.2kgf・cm以下であるものをいう。トルクが0.1kgf・cm未満のものでは減圧脱気しながら固化した場合は膨らまずに固まり、一部が飴状になった。また、トルクが0.6kgf・cm超の場合には、減圧脱気する前に、固める前の練ったセメント様の状態になり、容器に移す前に固まり始める上、膨らみも不十分となる。

0025

また、減圧脱気は、デシケーター等の容器とロータリーポンプ油拡散ポンプ等のポンプとを組み合わせた減圧装置を用いて行えばよく、その条件は、黒糖原料中に含まれる気体が発泡する条件であれば特に限定されない。減圧脱気の時間は、例えば、内容量約19Lのポリカーボネート真空デシケーターにペースト状の黒糖原料を入れ、排気速度18L/分の真空ポンプを用いた場合、5分間以上でよい(装置内の到達圧力が−0.06〜−0.10Pa程度)。この減圧脱気により、黒糖原料に含まれる気体が発泡するので体積膨張し、また、冷却もすすむので固化する。

0026

なお、減圧脱気の前に、黒糖原料に炭酸ガス等の気体を含ませてもよい。このような黒糖原料を減圧脱気して固化させれば、黒糖中の気泡が多くなり、体積も大きくなる。黒糖原料に炭酸ガス等の気体を含ませる方法は、特に限定されず、例えば、重曹等の発泡剤を黒糖原料に添加する方法、気体を黒糖原料にチューブ等で直接注入する方法等が挙げられる。

0027

また、減圧脱気の際に、黒糖原料を加圧できる型に入れて、型内で加圧下に減圧脱気することにより、固化する際に、膨張の程度は抑えられるものの、型と同型で平滑な薄い表面層を有し、内部は気泡を有する本発明黒糖が得られる。

0028

ここで加圧できる型とは、例えば、フタつき型、たい焼き用焼き型と同様の両面あわせ型等である。このような型を用いることにより、加圧下で減圧脱気することができ、型と同じ形の本発明黒糖が得られる。

0029

更に、減圧脱気中に、撹拌装置を備えた容器を利用して撹拌をし続ければ、粉状の本発明黒糖が得られる。また、撹拌の速度等を調整することにより、得られる本発明黒糖の大きさも調整することができる。

0030

以上説明した本発明黒糖には、何れかの段階で、副原料を加えてもよい。副原料としては、例えば、ピーナッツカシューナッツアーモンド、ごま等のナッツオレンジピールレモンピール等の果皮パフ、せんべい、クッキー、ちんすこう等の菓子原料、香料等が挙げられる。

0031

本発明黒糖を得るための好ましい製法の一態様としては、次のものが挙げられる。まず、サトウキビの搾汁液に石灰を加えてpHを中性(pH7.5前後)に調製し、沸騰するまで加熱した後、必要により濾過や遠心分離等をして沈殿物を除去しておく。次にこれを125℃以上に達するまで加熱濃縮する。この加熱濃縮後の濃縮液を攪拌機等で攪拌しながら冷却し、濃縮液が非常にやわらかい練り歯みがき様のペースト状になったら攪拌を止め、加圧できる型に半分程度流し込み、フタをし、おもりを乗せる。最後に、この型を減圧装置に入れ、真空ポンプで固まるまで脱気することにより、型と同型で平滑な薄い表面層を有し、内部は気泡を有する本発明黒糖が得られる。

0032

本発明黒糖を得るための好ましい製法の別の態様としては、次のものが挙げられる。まず、サトウキビの搾汁液に石灰を加えてpHを中性(pH7.5前後)に調整し、沸騰するまで加熱した後、必要により濾過や遠心分離等をして沈殿物を除去しておく。次にこれを125℃以上に達するまで加熱濃縮する。この加熱濃縮後の濃縮液を攪拌機等で攪拌しながら冷却し、濃縮液が非常にやわらかい練り歯みがき様のペースト状になったら攪拌を止め、撹拌装置を備えた容器に流し込む。最後に、この容器を減圧装置に入れ、撹拌を続けながら真空ポンプで固まるまで脱気して粉状の本発明黒糖が得られる。

0033

本発明黒糖を得るための好ましい製法の更に別の態様としては、次のものが挙げられる。まず、サトウキビの搾汁液に石灰を加えてpHを中性(pH7.5前後)に調整し、沸騰するまで加熱した後、必要により濾過や遠心分離等をして沈殿物を除去しておく。次にこれを125℃以上に達するまで加熱濃縮する。この加熱濃縮後の濃縮液を攪拌機等で攪拌しながら冷却し、濃縮液が非常にやわらかい練り歯みがき様のペースト状になったら、攪拌容器密閉して容器内を減圧しながら攪拌を続ける。最後に、膨張しながら固化すると同時に、粉砕することで粉状の本発明黒糖が得られる。

0034

斯くして得られる本発明黒糖は、従来の黒糖と比較して、多数の気泡を有し、密度や破断強度が低く、崩壊性溶解性が高いものである。

0035

本発明黒糖は、そのままあるいは適宜、成形等を行って製品とすることができる。また、本発明黒糖は、更に粉砕して粉糖とすることもできる。

0036

また、本発明黒糖は、新しい糖質素材として、各種飲食品に含有させることができる。具体的に、本発明黒糖は、チョコレート、マシュマロゼリーグミ、餅、飴等でコーティングしたり、チョコチップクッキー、チョコチップアイス、チョコチップパン等のようにクッキー、アイス、パン等の生地に含有させることもできる。

0037

以下、実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。

0038

実 施 例 1
気泡含有黒糖の調製:
(a)濃縮サトウキビ搾汁液の調製
サトウキビNi21号の搾汁液に石灰を加えてpHを7.5に調整し、沸騰するまで加熱した後、2,000rpmで10分間遠心分離した。得られた上清をBx50°になるまで加熱濃縮して濃縮サトウキビ搾汁液を得た。これを黒糖の試作に用いるまで−20℃で保存した。

0039

(b)黒糖の調製
保存しておいた濃縮サトウキビ搾汁液を解凍後ステンレス製カップに移し、試験用ホットプレートを用いて、130℃に達するまで加熱濃縮した。加熱濃縮後、翼径75mmタービンタイプの撹拌羽根2枚を取り付けた攪拌機(BL300D:AS ONE製)で攪拌(300rpm)しながら濃縮液を冷却した。冷却途中で、液が非常にやわらかい練り歯みがき様のペースト状になった時点(攪拌羽根にかかるトルクが0.2kgf・cm)で攪拌を止め、ステンレス製金型(1辺2cmの正方形×16個)に濃縮液を半分程度流し込んだ後、5mm厚のアクリル板でフタをし、その上に約1.5kgの重りを乗せて、内容量約19Lの真空デシケーターに入れ、排気速度18L/分の真空ポンプで5分間脱気(到達圧力−0.08Pa)して気泡含有黒糖を得た。なお、膨張率測定用の黒糖については、ステンレス製金型に代えて縦1.5cm×横1.5cm×高さ17cmのアクリル製型を用いた。また、コントロールの黒糖は、濃縮液を金型に流し込んだ後、自然放冷した。これらの黒糖について以下の分析を行った。

0040

(c)分析
<膨張率測定>
脱気前後の黒糖の高さを測定し、脱気前の高さを100として膨張率を算出した。
破断強度測定および密度測定
黒糖(一辺2cm角)の破断強度を島津小型卓上試験機EZ−S 500N(島津製作所製)で測定した。また、密度は、電子天秤で測定した黒糖の重量を、体積(8cm3)で除して算出した。
<崩壊性測定および溶解性測定>
黒糖を37℃の温湯中に入れて、攪拌(100rpm)しながら、形が崩れるまでの時間(崩壊時間)と水に完全に溶けるまでの時間(溶解時間)を測定した。
<外観>
得られた黒糖の外観を目視で評価した。
<食感>
得られた黒糖の食感をパネラーが評価した。

0041

(d)結果
<膨張率>
本発明黒糖は、膨張率が脱気前の約2倍(膨張率208%)であった。
<破断強度および密度>
本発明黒糖の破断強度が60〜80Nであるのに対し、従来の黒糖は280〜300Nであった。また、本発明黒糖の密度は0.6〜0.9g/cm3であるのに対し、従来の黒糖は1.2〜1.3g/cm3であった。
<崩壊性および溶解性>
本発明黒糖が、水中で1〜2分で崩壊したのに対し、従来の黒糖は11〜12分で崩壊した。また、本発明黒糖が6〜8分で水に溶解したのに対し、従来の黒糖は21〜23分で水に溶解した。
<外観>
本発明黒糖は、外観は平滑で色も色で一様であり、中はスポンジ状の気泡組織を有するものであった(図1)。一方、従来の黒糖は外観は平滑であるものの、色も茶色と白が入り交じり一様ではなく、中も砂糖の結晶が密につまっていた(図2)。
風味
本発明黒糖は外側は硬いものの、口に含むとすぐに崩れて溶けた。一方、従来の黒糖は、外側も中側も硬く、口に含んでも強くかまない限り崩れず溶けるのに時間がかかった。

0042

実 施 例 2
減圧脱気・固化のタイミングの検討:
実施例1の(a)と同様にして製造し、保存しておいた濃縮サトウキビ搾汁液を解凍してに移し、125℃に達するまで家庭用コンロで加熱濃縮した。加熱濃縮後、翼径75mmタービンタイプの撹拌羽根2枚を取り付けた攪拌機(BL300D:AS ONE製)で攪拌(300rpm)しながら濃縮液を冷却した。冷却途中で、攪拌羽根にかかるトルク(kgf・cm)が0.1未満、0.1〜0.2、0.6または0.6超に達した時点で攪拌を止め、ステンレス製金型(1辺2cmの正方形×16個)に濃縮液を半分程度流し込んだ後、5mm厚のアクリル板でフタをし、その上に約1.5kgの重りを乗せて、真空デシケーターに入れ、真空ポンプで5分間脱気(到達圧力−0.08Pa)した。減圧脱気後の性状を目視で確認した。

0043

濃縮液の攪拌時にかかるトルクが0.1kgf・cm未満のものを減圧脱気すると、膨らまずに固まり、一部は飴状になった。トルクが0.1〜0.2kgf・cmのものを減圧脱気すると、きれいに膨らんで、中に気泡を含む黒糖を得られた。トルクが0.6kgf・cmのものを減圧脱気すると、膨らんで、中に気泡を含む黒糖を得られた。トルクが0.6kgf・cm超になるまで攪拌を続けると、濃縮液は固める前の練ったセメント様の状態になり、容器から型に移す途中で液が固まり始め、型に移せる量が少なくなっただけでなく、膨らみも不十分であった。この結果から、脱気前の濃縮液にかかるトルクが0.1kgf・cm未満のものや0.6kgf・cm超のものであると本発明黒糖は得られないことがわかった。

実施例

0044

実 施 例3
粉糖の製造:
脱気の際に金型にフタをしない以外は実施例1と同様にして本発明黒糖を製造した。この黒糖を乳鉢で粉砕して2mmメッシュのふるいにかけ、粉状の黒糖を製造した。本発明黒糖を粉糖の原料とすると、通常の黒糖のかたまりを乳鉢で粉砕する時と比べて約4分の1という短時間、かつ、弱い力で製造することができる。また、得られる粉糖のにおいや強度などの品質固形の黒糖を原料とした場合と変わらなかった。

0045

本発明黒糖は、新しい食感を有する糖質素材として好適に飲食品へ利用することができる。

以 上

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