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技術 歪補償装置の製造方法

出願人 住友電気工業株式会社
発明者 前畠貴
出願日 2014年5月13日 (6年7ヶ月経過) 出願番号 2014-099858
公開日 2015年12月3日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-216606
状態 特許登録済
技術分野 圧縮、伸長・符号変換及びデコーダ
主要キーワード バンドパス型 I信号 非対称波形 対称波形 Q信号 補償成分 PF3 デジタルRF信号
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年12月3日)のものです。
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図面 (10)

課題

信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置を得ることができる歪補償装置の製造方法を提供する。

解決手段

歪補償部10は、DSM6が出力した1bitパルス列から得られる出力信号であるアナログ信号と、DSM6に入力される入力信号であるIQ信号とに基づいて、1bitパルス列が有する非対称成分を取得し、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う歪補償部10に、取得した非対称成分を示す非対称成分データを記憶させることで得られる。歪補償部10は、非対称成分を取得する際、出力信号であるアナログ信号を直交復調した出力ベースバンド信号と、直交変調前の入力ベースバンド信号との差分を非対称成分として取得する。

概要

背景

アナログ波形表現する1bitのパルス列(1 bit plus train)を生成する技術として、例えば、ΔΣ変調(Delta Sigma Modulation)がある。

ΔΣ変調は、オーバサンプリング変調の一種である。ΔΣ変調器は、ループフィルタ量子化器とを備えて構成される。量子化器は、量子化信号として1bitのパルス列を出力することができる。

ΔΣ変調器から出力された1bitのパルス列は、アナログフィルタを通過するだけで、元のアナログ波形となる。つまり、ΔΣ変調器から出力された1bitのパルス列は、デジタル信号であるが、アナログ波形を表現したものとなっており、デジタル信号としての性質アナログ信号としての性質を両方有している。

上記のような性質を有する1bitパルス列を利用して、アナログ信号をデジタル信号として送信することが考えられるが、この場合、1bitパルス列によるアナログ信号の信号特性劣化が問題となることがあった。

本発明者は、アナログ信号としての性質も有する1bitパルス列において、パルス立ち上がり波形立ち下り波形非対称性が、アナログ信号としての信号特性劣化の原因であることを見出した(特許文献1参照)。
つまり、1bitパルス列の波形に含まれる、パルスの立ち上がり波形と立ち下り波形の非対称性を生じさせる歪成分非対称成分)を抑圧すれば、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を抑制することができる。

概要

信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置を得ることができる歪補償装置の製造方法を提供する。歪補償部10は、DSM6が出力した1bitパルス列から得られる出力信号であるアナログ信号と、DSM6に入力される入力信号であるIQ信号とに基づいて、1bitパルス列が有する非対称成分を取得し、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う歪補償部10に、取得した非対称成分を示す非対称成分データを記憶させることで得られる。歪補償部10は、非対称成分を取得する際、出力信号であるアナログ信号を直交復調した出力ベースバンド信号と、直交変調前の入力ベースバンド信号との差分を非対称成分として取得する。

目的

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

入力信号を1bitパルス列に変換する信号変換装置歪補償を行う歪補償装置の製造方法であって、前記1bitパルス列は、パルス立ち上がり波形理想的なパルス立上がり波形に対して第1の歪成分を有し、かつ、パルスの立ち下がり波形が理想的なパルスの立ち下がり波形に対して第2の歪成分を有し、前記信号変換装置が出力した前記1bitパルス列から得られる出力信号と、前記入力信号とに基づいて、前記1bitパルス列が有する前記第1の歪成分と前記第2の歪成分とを時間軸に対して非対称にする非対称成分を取得する取得工程と、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う前記歪補償装置に、前記取得工程で取得した非対称成分を記憶させる記憶工程と、を含み、前記入力信号は変調された上で前記信号変換装置によって1bitパルス列に変換され、前記取得工程は、前記出力信号を復調した出力ベースバンド信号と、変調前の前記入力信号である入力ベースバンド信号との差分を前記非対称成分として取得する歪補償装置の製造方法。

請求項2

前記取得工程は、前記1bitパルス列の帯域において前記入力信号の信号成分を含む信号帯域を含んだ所定帯域幅から、前記所定帯域幅の内の一部の帯域成分を取得可能なバンドパスフィルタを用いて前記一部の帯域ごとに前記非対称成分を取得し、前記バンドパスフィルタの中心周波数を調整しつつ、前記一部の帯域ごとに前記非対称成分を取得することで、前記所定帯域幅の全域から前記非対称成分を取得する請求項1に記載の歪補償装置の製造方法。

請求項3

前記取得工程は、前記1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域成分を取得可能なバンドパスフィルタを用いて前記1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域に含まれる信号成分を取得することで、前記一部の帯域に含まれる非対称成分を取得し、前記一部の帯域に含まれる非対称成分に基づいて、前記一部の帯域外に含まれる非対称成分を推定する請求項1に記載の歪補償装置の製造方法。

請求項4

前記一部の帯域外に含まれる非対称成分の推定は、前記一部の帯域に含まれる非対称成分と、前記一部の帯域に含まれる信号成分とを用いた時間領域の畳み込み処理を利用する請求項3に記載の歪補償装置の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、歪補償装置の製造方法に関するものであり、特に、入力信号を、アナログ信号表現する1bitパルス列に変換して出力する信号変換装置に対して歪補償を行う歪補償装置を製造する方法に関する。

背景技術

0002

アナログ波形を表現する1bitのパルス列(1 bit plus train)を生成する技術として、例えば、ΔΣ変調(Delta Sigma Modulation)がある。

0003

ΔΣ変調は、オーバサンプリング変調の一種である。ΔΣ変調器は、ループフィルタ量子化器とを備えて構成される。量子化器は、量子化信号として1bitのパルス列を出力することができる。

0004

ΔΣ変調器から出力された1bitのパルス列は、アナログフィルタを通過するだけで、元のアナログ波形となる。つまり、ΔΣ変調器から出力された1bitのパルス列は、デジタル信号であるが、アナログ波形を表現したものとなっており、デジタル信号としての性質とアナログ信号としての性質を両方有している。

0005

上記のような性質を有する1bitパルス列を利用して、アナログ信号をデジタル信号として送信することが考えられるが、この場合、1bitパルス列によるアナログ信号の信号特性劣化が問題となることがあった。

0006

本発明者は、アナログ信号としての性質も有する1bitパルス列において、パルス立ち上がり波形立ち下り波形非対称性が、アナログ信号としての信号特性劣化の原因であることを見出した(特許文献1参照)。
つまり、1bitパルス列の波形に含まれる、パルスの立ち上がり波形と立ち下り波形の非対称性を生じさせる歪成分非対称成分)を抑圧すれば、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を抑制することができる。

先行技術

0007

特開2014−14059号公報

発明が解決しようとする課題

0008

1bitパルス列の波形に含まれる非対称成分を抑圧するためには、1bitパルス列から非対称成分を抽出し、この非対称成分を相殺するための補償信号を生成することが考えられる。この補償信号を1bitパルス列に加算すれば、1bitパルス列の波形に含まれる非対称成分が抑圧され、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を抑制することができる。

0009

ここで、1bitパルス列から非対称成分を抽出するためには、サンプリングオシロスコープを用いて1bitパルス列を観測し、そのアイパターンを取得する。次いで、この取得したアイパターンの立ち上がり波形及び立ち下がり波形から非対称成分を抽出することが考えられる。

0010

しかし、アイパターンを観測する過程で当該アイパターンに含まれてしまう雑音によって、非対称成分を精度よく抽出することができず、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を効果的に抑制することができないという問題を有していた。

0011

本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置の製造方法を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0012

本発明は、入力信号を1bitパルス列に変換する信号変換装置の歪補償を行う歪補償装置の製造方法であって、前記1bitパルス列は、パルスの立ち上がり波形が理想的なパルス立上がり波形に対して第1の歪成分を有し、かつ、パルスの立ち下がり波形が理想的なパルスの立ち下がり波形に対して第2の歪成分を有し、前記信号変換装置が出力した前記1bitパルス列から得られる出力信号と、前記入力信号とに基づいて、前記1bitパルス列が有する前記第1の歪成分と前記第2の歪成分とを時間軸に対して非対称にする非対称成分を取得する取得工程と、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う前記歪補償装置に、前記取得工程で取得した非対称成分を記憶させる記憶工程と、を含み、前記入力信号は変調された上で前記信号変換装置によって1bitパルス列に変換され、前記取得工程は、前記出力信号を復調した出力ベースバンド信号と、変調前の前記入力信号である入力ベースバンド信号との差分を前記非対称成分として取得する。

発明の効果

0013

本発明の歪補償装置の製造方法によれば、信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置を得ることができる。

図面の簡単な説明

0014

1bitパルス列で表現されたRF信号を出力するシステムブロック図である。
ΔΣ変調器が出力する1bitパルス列のパルス波形対称波形)の一例を示す図であり、(a)は、そのアイパターンを示しており、(b)は、このパルス波形Sout(t)の時間軸波形を示している。(c)は、対称波形についての理想的なパルス波形SIdeal(t)を示しており、(d)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示しており、(e)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。
1bitパルス列のパルス波形(非対称波形)の一例を示す図であり、(a)は、非対称波形Sout(t)のアイパターンを示しており、(b)は、非対称波形Sout(t)の時間軸波形を示し、(c)は、対称波形についての理想的な波形SIdeal(t)を示し、(d)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示し、(e)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。
(a)は、デジタル信号処理部2が出力する1bitパルス列の周波数スペクトルの一例を示す図、(b)は、第1BPF3中心周波数を調整しつつ、非対称成分の取得処理を実行する際の態様を示す図、(c)は、取得した非対称成分を示す図である。
他の実施形態に係るシステムの非対称成分取得モードにおける構成を示すブロック図である。
補償信号供給部が通常モードにおける歪補償を実行する際の信号の入出力の関係を示す図である。
他の実施形態に係るシステムの通常モードにおける構成を示すブロック図である。
推定した非対称成分の推定精度を評価した結果を示すグラフである。
雑音成分を含んだアイパターンの一例を示す図である。

実施例

0015

本願発明の実施形態の説明]
上述のように、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を抑制すべく、1bitパルス列から非対称成分を抽出するためには、まず、オシロスコープを用いて1bitパルス列の波形を観測し、そのアイパターンを取得する。次いで、この取得したアイパターンにおける立ち上がり波形及び立ち下がり波形から非対称成分を抽出することが考えられる。

0016

しかし、仮に、1Gbps程度の1bitパルス列のアイパターンを観測するためには、サンプリングオシロスコープのサンプリング周波数を数GHzとする必要がある。
一方、1bitパルス列に含まれるアナログ信号は、数10MHzの帯域であるため、アイパターンには、数GHzの帯域幅による雑音が含まれてしまう。

0017

例えば、図9に示すように、本来は、線状の波形として観測されるべきアイパターンが、雑音成分によって帯状に観測されることとなり、実際のアイパターンの波形を精度よく特定することができず、この結果、非対称成分を精度よく抽出することができなかった。

0018

以上のように、アイパターンを観測する過程で含まれてしまう雑音が、非対称成分を精度よく抽出することを困難にしていた。
本願発明者らは、この点に着目して本願発明を完成させた。

0019

まず最初に本願発明の実施形態の内容を列記して説明する。
(1)本発明は、入力信号を1bitパルス列に変換する信号変換装置の歪補償を行う歪補償装置の製造方法であって、前記1bitパルス列は、パルスの立ち上がり波形が理想的なパルス立ち上がり波形に対して第1の歪成分を有し、かつ、パルスの立ち下がり波形が理想的なパルスの立ち下がり波形に対して第2の歪成分を有し、前記信号変換装置が出力した前記1bitパルス列から得られる出力信号と、前記入力信号とに基づいて、前記1bitパルス列が有する前記第1の歪成分と前記第2の歪成分とを時間軸に対して非対称にする非対称成分を取得する取得工程と、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う前記歪補償装置に、前記取得工程で取得した非対称成分を記憶させる記憶工程と、を含み、前記入力信号は変調された上で前記信号変換装置によって1bitパルス列に変換され、前記取得工程は、前記出力信号を復調した出力ベースバンド信号と、変調前の前記入力信号である入力ベースバンド信号との差分を前記非対称成分として取得する。

0020

上記のように構成された歪補償装置の製造方法によれば、出力信号を復調した出力ベースバンド信号と、入力信号を変調する前の入力ベースバンド信号との差分を非対称成分として取得するので、非対称成分を精度よく取得することができる。
さらに、精度よく取得した非対称成分を歪補償装置に記憶させるので、当該歪補償装置は、高い精度で歪補償を行うことができる。
この結果、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償装置を得ることができる。

0021

(2)上記製造方法において、 前記取得工程は、前記1bitパルス列の帯域において前記入力信号の信号成分を含む信号帯域を含んだ所定帯域幅から、前記所定帯域幅の内の一部の帯域成分を取得可能なバンドパスフィルタを用いて前記一部の帯域ごとに前記非対称成分を取得し、前記バンドパスフィルタの中心周波数を調整しつつ、前記一部の帯域ごとに前記非対称成分を取得することで、前記所定帯域幅の全域から前記非対称成分を取得することが好ましい。

0022

(3)また、前記取得工程は、前記1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域成分を取得可能なバンドパスフィルタを用いて前記1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域に含まれる信号成分を取得することで、前記一部の帯域に含まれる非対称成分を取得し、
前記一部の帯域に含まれる非対称成分に基づいて、前記一部の帯域外に含まれる非対称成分を推定してもよい。
この場合、一部の帯域に含まれる非対称成分から一部の帯域外の非対称成分を推定するので、容易に広帯域の非対称成分を取得することができる。

0023

(4)より具体的に、前記一部の帯域外に含まれる非対称成分の推定は、前記一部の帯域に含まれる非対称成分と、前記一部の帯域に含まれる信号成分とを用いた時間領域の畳み込み処理を利用するものであってもよく、これにより広帯域の非対称成分を取得することができる。

0024

[本願発明の実施形態の詳細]
以下、好ましい実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔1 システムの全体構成について〕
図1は、1bitパルス列で表現されたRF(Radio Frequency)信号を出力するシステムのブロック図である。図中、システム1は、デジタル信号処理部2と、アナログのバンドパスフィルタである第1バンドパスフィルタ(第1BPF)3とを備えている。

0025

デジタル信号処理部2は、所定の無線周波数の信号である、出力すべきRF信号を表現する1bitパルス列からなる信号を出力する。RF信号は無線波として空間に放射されるべき信号であり、例えば、移動体通信のためのRF信号、テレビラジオなどの放送サービスのためのRF信号である。

0026

デジタル信号処理部2から出力された1bitパルス列は、第1BPF3に与えられる。第1BPF3は、与えられた1bitパルス列をアナログの信号(出力信号)として出力する。
1bitパルス列は、RF信号の周波数帯域に存在する信号成分の他、RF信号の周波数帯域以外の帯域に雑音成分を含んでいる。
第1BPF3の通過帯域幅が、RF信号の周波数帯域を含むように設定されている場合、第1BPF3は、RF信号の通過を許容し、上記雑音成分の通過を阻止する。よってこの場合、1bitパルス列が与えられた第1BPF3は、アナログのRF信号を出力する。
このように、デジタル信号処理部2は、デジタル信号処理によって1bitパルス列を生成することで、実質的にRF信号を生成することができる。

0027

一方、第1BPF3の通過帯域がRF信号の周波数帯域以外の帯域に設定されている場合、1bitパルス列が与えられた第1BPF3は、雑音成分をアナログ信号として出力する。

0028

デジタル信号処理部2は、ベースバンド信号IQ信号)を出力するベースバンド部4と、ベースバンド信号に対して必要な処理を行う処理部5と、ΔΣ変調器(DSM)6とを備えている。

0029

ベースバンド部4は、IQ信号(I信号Q信号それぞれ)をデジタルデータとして出力し、処理部5に与える。
処理部5は、ベースバンド部4から与えられるIQ信号に対してデジタル直交変調等の処理を行い、デジタル信号形式のRF信号(デジタルRF信号)を出力する。
処理部5は、デジタルRF信号をDSM6に与える。つまり、IQ信号は、デジタルRF信号に直交変調された上でDSM6に与えられ、IQ信号、及び当該IQ信号を直交変調したデジタルRF信号は、DSM6に与えられる入力信号を構成している。

0030

DSM6は、バンドパス型ΔΣ変調器を構成しており、処理部5から与えられるデジタルRF信号に対して、ΔΣ変調を行って1ビットの量子化信号(1bitパルス列)を出力する。DSM6から出力された1bitパルス列は、デジタル信号であるが、アナログのRF信号を表現している。
つまり、DSM6は、入力信号としてのデジタルRF信号を1bitパルス列に変換して出力する信号変換装置を構成している。
DSM6は、1ビットの量子化信号(1bitパルス列)を第1BPF3に与える。これにより、1bitパルス列は、第1BPF3を通過し、アナログ信号(出力信号)となる。

0031

また、本実施形態のシステム1は、DSM6の出力に対して歪補償を行う歪補償部10と、この歪補償部10を制御する制御部7とを備えている。
歪補償部10は、後述するように1bitパルス列を構成する波形に含まれる歪成分である非対称成分を抑圧する機能を有している。

0032

制御部7は、歪補償部10を制御することで、当該歪補償部10に1bitパルス列の歪補償を行わせるための通常モード、又は、歪補償に用いる非対称成分(後に説明する)を歪補償部10に取得させるための非対称成分取得モードのいずれかの動作モードを選択して切り替える機能を有している。
また、制御部7は、上記モードを実行するために歪補償部10や、他のデジタル信号処理部2の各部を制御することができるとともに、第1BPF3の中心周波数の制御を行うことができる。
これら歪補償部10及び制御部7については、後に詳述する。

0033

〔2 1bitパルス列を構成する波形に含まれる歪成分〕
図2は、DSM6が出力する1bitパルス列のパルス波形の一例を示す図であり、図2(a)は、そのアイパターンを示しており、図2(b)は、このパルス波形Sout(t)の時間軸波形を示している。
図2に示すパルス波形は、アイパターン及び時間軸波形が示すように、時間軸に対して線対称となっている。以下、このような時間軸に対して線対称なパルス波形を対称波形ともいう。また、時間軸に対して非対称なパルス波形を非対称波形ともいう。
なお、時間軸は、パルスのLowレベル(−1)とHighレベル(+1)の中間(0)にあるものとする(以下、同様)。

0034

また、図2(c)は、対称波形についての理想的なパルス波形SIdeal(t)を示している。ここで、理想的なパルス波形とは、完全な矩形波を構成する際の波形であり、理想的なパルス立ち上がり波形とは、完全な矩形波を構成する際の立ち上がり波形と実質的に同一の波形を指し、理想的なパルス立ち下がり波形とは、完全な矩形波を構成する際の立ち下がり波形と実質的に同一の波形を指す。

0035

ここで、上記パルス波形の立ち上がり波形をfrise(t)、立ち下がり波形をfrise(t)とすると、frise(t)とffall(t)は、式(1)(2)に示すように、対称成分fsym(t)と非対称成分fAsym(t)に分解することができる。
frise(t)=fAsym(t)+fSym(t) ・・・(1)
ffall(t)=fAsym(t)−fSym(t) ・・・(2)

0036

非対称成分fAsym(t)は、上記式(1)、(2)より、下記式(3)によって表すことができる。

0037

0038

式(3)は、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とが、下記式(4)の関係を有している場合に、非対称成分fAsym(t)が無くなることを示している。
frise(t)=−ffall(t) ・・・(4)

0039

式(4)を満たす場合、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とは、時間軸に対して線対称となる。つまり、式(4)を満たすパルス波形をアイパターンで示した場合、そのアイパターンは時間軸に対して線対称となる。

0040

図2(d)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示し、図2(e)は、対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。

0041

図2(b)に示すように、対称波形は、理想的な波形SIdeal(t)に対して歪んでおり、パルスの立ち上がり波形frise(t)及びパルスの立ち下がり波形ffall(t)それぞれに歪成分を有している。

0042

式(4)を満たす場合、歪成分は、対称成分fsym(t)を含んでいるが(図2(d)参照)、非対称成分fAsym(t)は含んでいない(図2(e)参照)。

0043

対称波形において、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とを、アイパターンのように、立ち上がり開始時点と立ち下がり開始時点とを時間軸上で一致させて重ねた場合、立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)とは、遷移時間立ち上がり時間、立ち下がり時間)が同一であるため、時間軸に対して線対称となる。
換言すると、立ち上がり波形frise(t)における歪成分(第1歪成分)と、立ち下がり波形ffall(t)における歪成分(第2歪成分)とは、時間軸に対して線対称となっており、非対称成分fAsym(t)はゼロとなる。

0044

図3は、式(4)を満たさないパルス波形(非対称波形)を示している。図3(a)は、非対称波形Sout(t)のアイパターンを示している。このアイパターンは、時間軸に対して非対称となっている。具体的には、図3に示す非対称波形は、パルスの立ち上がり時間よりも、パルスの立ち下がり時間の方が長い波形となっている。

0045

図3(b)は、非対称波形Sout(t)の時間軸波形を示し、図3(c)は、対称波形についての理想的な波形SIdeal(t)を示し、図3(d)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における対称成分fsym(t)を示し、図3(e)は、非対称波形における立ち上がり波形frise(t)と立ち下がり波形ffall(t)における非対称成分fAsym(t)を示している。

0046

図3に示すように、非対称波形も、理想的な波形SIdeal(t)に対して歪んでおり、パルスの立ち上がり波形frise(t)及びパルスの立ち下がり波形ffall(t)それぞれに歪成分を有している。

0047

式(4)を満たさない場合、歪成分は、対称成分fsym(t)とともに、非対称成分fAsym(t)を有する(図3(d)、図3(e)参照)。

0048

以上のように、非対称成分fAsym(t)は、1bitパルス列が有する立ち上がり波形frise(t)における歪成分(第1歪成分)と、立ち下がり波形ffall(t)における歪成分(第2歪成分)とを時間軸に対して非対称にする成分である。

0049

1bitパルス列のパルス波形に含まれる上記非対称成分fAsym(t)は、歪補償部10から与えられる補償信号によって抑圧される。

0050

〔3歪補償部について〕
〔3.1 歪補償部の構成〕
図1に戻って、本実施形態の歪補償部10は、上述したように、DSM6が出力する1bitパルス列の波形に含まれる歪成分である非対称成分fAsym(t)を抑圧する機能を有している。歪補償部10は、1bitパルス列の波形に含まれる歪成分である非対称成分fAsym(t)を抑圧することで、1bitパルス列のパルス波形を時間軸に対して対称となるように当該1bitパルス列に対して歪補償を行うように構成されている。

0051

歪補償部10は、補償信号供給部11と、記憶部12とを備えている。
補償信号供給部11は、デジタル信号処理部2(のDSM6)が出力する1bitパルス列に含まれる非対称成分の補償に用いる補償信号(補償成分)を出力する機能を有している。

0052

補償信号供給部11には、DSM6が出力する1bitパルス列が与えられる。
記憶部12には、上述の非対称成分取得モードで取得された非対称成分を示す非対称成分データが記憶されている。
補償信号供給部11は、記憶部12に記憶されている非対称成分データと、DSM6から与えられる1bitパルス列とに基づいて補償信号を出力する。
より具体的に、補償信号供給部11は、DSM6から1bitパルス列が与えられると、その1bitパルス列の波形の立ち上がり又は立ち下がりのタイミングに応じて、非対称成分を補償信号として出力する。

0053

非対称成分である補償信号は、反転増幅器13を経て1bitパルス列に与えられることで、当該1bitパルス列に含まれる非対称成分を打ち消し、当該非対称成分を抑圧する。

0054

補償信号供給部11は、補償信号を、当該補償信号供給部11と加算器14との間に設けられた反転増幅器13を介して加算器14に与える。
これによって、DSM6から出力された1bitパルス列は、補償信号が加算されることで非対称成分が抑圧され、歪である非対称成分が補償される。
補償信号が与えられた1bitパルス列は、その後、第1BPF3を通過してアナログ信号として出力される。

0055

〔3.2非対称成分の取得について〕
上記補償信号を求めるために取得される非対称成分は、上述したように、制御部7が非対称成分取得モードを選択することで、補償信号供給部11によって取得される。

0056

以下、補償信号供給部11が非対称成分を取得する処理について説明する。
まず、制御部7は、歪補償部10に1bitパルス列の歪補償を行わせるための通常モード、又は、補償信号供給部11に非対称成分を取得させる非対称成分取得モードのいずれの動作モードを選択するかを決定する。

0057

通常モードを選択した場合、制御部7は、DSM6が出力する1bitパルス列を補償信号供給部11に取得させるとともに、記憶部12に記憶されている非対称成分データと、DSM6からの1bitパルス列とに基づいて補償信号を補償信号供給部11に出力させる。補償信号供給部11は、補償信号を加算器14に与えてDSM6が出力した1bitパルス列に加算する。これによって、DSM6から出力された1bitパルス列は非対称成分が抑圧され、非対称成分が補償される。

0058

一方、非対称成分取得モードを選択した場合、制御部7は、非対称成分を取得するために予め設定された試験信号を、ベースバンド部4、処理部5及びDSM6に出力させる。これによって、DSM6は、試験信号による1bitパルス列を出力する。
なお、制御部7は、非対称成分取得モードを選択した場合、補償信号供給部11による補償信号の演算及び出力を停止させる。

0059

DSM6が出力した試験信号による1bitパルス列は、第1BPF3を通過することで帯域制限されたアナログ信号となる。よって、システム1はアナログ信号を出力信号として出力する。

0060

さらに、制御部7は、システム1にアナログ信号を出力させた上で、システム1が出力するアナログ信号を復調した復調信号(出力ベースバンド信号)と、ベースバンド部4によるIQ信号(入力ベースバンド信号)との差分を補償信号供給部11に取得させる(取得工程)。
つまり、制御部7は、DSM6が出力した1bitパルス列を帯域制限することで得られた出力信号であるアナログ信号を直交復調した復調信号と、DSM6に与えられるデジタルRF信号の直交変調前のIQ信号との差分を補償信号供給部11に取得させる。

0061

ここで、システム1は、システム1が出力するアナログ信号が与えられるアナログ/デジタル変換器ADC)20と、直交復調部21と、加算器22と、直交変調部23とを備えている。
ADC20は、システム1が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換して直交復調部21に与える。
直交復調部21は、ADC20から与えられるデジタル信号を直交復調して得られる復調信号(出力ベースバンド信号)を出力する。直交復調部21は、復調信号を加算器22に与える。

0062

加算器22は、直交復調部21からの復調信号の他、DSM6に与えられるデジタルRF信号の直交変調前の信号であるIQ信号(入力ベースバンド信号)が与えられる。
加算器22は、復調信号とIQ信号との差分を求める。加算器22が求めた差分は、直交変調部23に与えられる。

0063

直交変調部23は、復調信号とIQ信号との差分を直交変調し、補償信号供給部11に与える。
これによって、制御部7は、DSM6が出力した1bitパルス列から得られるアナログの出力信号を直交復調した復調信号と、DSM6に与えられるデジタルRF信号の直交変調前のIQ信号との差分を補償信号供給部11に取得させることができる。

0064

ところで、復調信号(出力ベースバンド信号)とIQ信号(入力ベースバンド信号)との差分は、非対称成分と考えることができる。つまり、復調信号と、IQ信号とが一致していれば、システム1は信号特性を劣化させることなく、RF信号を出力していることとなる。つまり、復調信号とIQ信号との差分は、RF信号の信号特性を劣化させている成分であり、非対称成分と考えることができる。
よって、本実施形態の補償信号供給部11は、復調信号とIQ信号との差分を、非対称成分として取得する。

0065

以上のようにして制御部7は、補償信号供給部11に非対称成分の取得処理を実行させる。

0066

ここで、制御部7は、第1BPF3の中心周波数f0を調整可能であり、第1BPF3の中心周波数f0を調整することで、1bitパルス列の帯域の内の所定帯域幅から非対称成分を取得する。

0067

図4(a)は、デジタル信号処理部2が出力する1bitパルス列の周波数スペクトルの一例を示す図である。なお、図中、fsは、DSM6のサンプリング周波数であり、このサンプリング周波数fsにおいて成分強度がゼロになるノッチ部が生じている。

0068

図に示すように、1bitパルス列は、RF信号の周波数帯域に存在する信号成分の他、RF信号の周波数帯域以外の帯域(雑音帯域)に雑音成分を含んでいる。
また、1bitパルス列は、その帯域内に非対称成分も含んでいる。
図において、周波数が0からノッチ部までの帯域において、入力信号を変調したRF信号の信号成分を含んでいる。
本実施形態では、制御部7は、周波数が0からノッチ部までの帯域を、1bitパルス列の帯域において入力信号の信号成分を含む信号帯域を含んだ所定帯域幅とし、周波数が0からノッチ部までの所定帯域から非対称成分を取得する。

0069

例えば、第1BPF3の通過帯域は、RF信号の周波数帯域幅の3〜5倍程度に設定される。よってRF信号の周波数帯域幅が10MHzであるとすると、第1BPF3の通過帯域幅は30〜50MHz程度に設定される。
ここで、DSM6のサンプリング周波数fsが1GHzであるとすると、第1BPF3は、所定帯域幅の内の一部の帯域成分を取得することができ、補償信号供給部11は、第1BPF3の通過帯域ごとに、非対称成分の取得処理を実行することができる。
制御部7は、第1BPF3の中心周波数を調整しつつ、第1BPF3の通過帯域ごとに非対称成分の取得処理を補償信号供給部11に実行させる。

0070

図4(b)は、第1BPF3の中心周波数を調整しつつ、非対称成分の取得処理を実行する際の態様を示す図である。
図に示すように、制御部7は、第1BPF3の中心周波数f0をf0,1、f0,2、f0,3と調整することで、当該第1BPF3の通過帯域を順次移動させ、移動させるごとにその通過帯域に含まれる非対称成分を取得する。
制御部7は、第1BPF3の通過帯域の調整と、非対称成分の取得を繰り返すことで、前記所定帯域幅の全域から非対称成分を取得する。

0071

なお、第1BPF3の通過帯域の移動量は、移動前と移動後で適度に重複するように設定される。これにより、通過帯域を移動させた前後で、もれなく非対称成分を取得することができる。

0072

前記所定帯域幅から、第1BPF3の通過帯域ごとに非対称成分を取得すると、補償信号供給部11は、図4(c)に示すように、取得した第1BPF3の通過帯域ごとの非対称成分を用いて前記所定帯域幅の全域に亘る非対称成分を取得することができる。

0073

前記所定帯域の全域に亘る非対称成分の取得を終えると、制御部7は、補償信号供給部11に、当該補償信号供給部11が取得した非対称成分を非対称成分データとして記憶部12に記憶させる。

0074

以上により、制御部7は、非対称成分取得モードに関する処理を終え、通常モードに移行する。

0075

なお、制御部7は、システム1を実際に使用する前の試験動作時において非対称成分取得モードを選択することを決定する。
よって、システム1を使用する際には、制御部7は、記憶部12に非対称成分データが記憶された状態で通常モードを選択し、歪補償部10に歪補償を実行させる。

0076

〔4 効果について〕
本実施形態によれば、DSM6が出力した1bitパルス列から得られる出力信号であるアナログ信号と、DSM6に入力される入力信号であるIQ信号とに基づいて、1bitパルス列が有する非対称成分を取得し(取得工程)、前記非対称成分に基づいて歪補償を行う歪補償部10(歪補償装置)に、取得した非対称成分を示す非対称成分データを記憶させる(記憶工程)。これにより、歪補償部10は、歪補償を実行可能となる。

0077

歪補償部10の補償信号供給部11は、非対称成分を取得する際、出力信号であるアナログ信号を直交復調した復調信号(出力ベースバンド信号)と、直交変調前のIQ信号(入力ベースバンド信号)との差分を非対称成分として取得する。これにより、非対称成分を精度よく取得することができる。
さらに、精度よく取得した非対称成分を記憶部12に記憶させるので、歪補償部10は、高い精度で歪補償を行うことができる。
この結果、1bitパルス列が表現するアナログ信号としての信号特性劣化を効果的に抑制することができる歪補償部10を得ることができる。

0078

また、本実施形態では、DSM6が出力する1bitパルス列の帯域の内広帯域に亘って非対称成分を取得するので、RF信号の周波数帯域に関係なく適切に歪補償を行うことができる。

0079

なお、上記実施形態では、制御部7は、システム1を実際に使用する前の試験動作時において非対称成分取得モードを選択する場合を例示したが、制御部7は、システム1を実際に使用してから所定時間が経過した後に、通常モードから非対称成分取得モードを選択することを決定し、新たに非対称成分を取得して非対称成分データを更新するように構成してもよい。
この場合、システム1を使用したことによる経時的変化によって、非対称成分に変化が生じたとしても、その変化に応じて、再度記憶部12に記憶される非対称成分データを更新することで、歪補償の精度を維持することができる。

0080

また、上記実施形態では、歪補償部10が、補償信号供給部11と、記憶部12とを備えて構成されている場合を例示したが、歪補償部10は、補償信号供給部11及び記憶部12に加えて、制御部7、ADC20、直交復調部21、加算器22、及び直交変調部23を備えて構成されていてもよい。

0081

〔5 他の実施形態について〕
図5は、他の実施形態に係るシステム1の非対称成分取得モードにおける構成を示すブロック図である。
本実施形態では、非対称成分を取得する際、前記所定帯域の内の一部の帯域成分を取得することで、その一部の帯域に含まれる非対称成分を取得し、取得した一部の帯域に含まれる非対称成分に基づいて、前記一部の帯域外に含まれる非対称成分を推定し取得するように構成されている。

0082

本実施形態のシステム1は、非対称成分取得モードにおいて、図に示すように、DSM6と、補償信号供給部11との間に第2BPF30が設けられている。
この第2BPF30の通過帯域は、第1BPF3と同様に設定されている。
例えば、第1BPF3及び第2BPF30は、その通過帯域がRF信号の周波数帯域(信号成分を含む帯域)を含むように設定されている。

0083

この状態で、非対称成分取得モードを選択すると、制御部7は、各部に予め設定された試験信号を出力させ、DSM6に1bitパルス列を出力させる。

0084

補償信号供給部11は、1bitパルス列が第1BPF3を通過した後のアナログ信号を直交復調した復調信号と、IQ信号との差分から、第1BPF3の通過帯域に含まれる非対称成分を取得する。
また、補償信号供給部11は、1bitパルス列が第2BPF30を通過した後の信号成分を取得する。

0085

以上のようにして、補償信号供給部11は、1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域(第1BPF3の通過帯域)に含まれる非対称成分と、1bitパルス列の帯域の内の一部の帯域(第2BPF30の通過帯域)に含まれる信号成分とを取得する。なお、第1BPF3の通過帯域と第2BPF30の通過帯域とは同様に設定されており、これら第1BPF3及び第2BPF30の通過帯域を以下、所定通過帯域ともいう。補償信号供給部11が取得した上記非対称成分と信号成分とは、前記所定通過帯域に含まれる成分である。

0086

次いで、補償信号供給部11は、前記所定通過帯域に含まれる非対称成分と、前記所定通過帯域に含まれる信号成分とに基づいて、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を推定する。

0087

ここで、補償信号供給部11が通常モードにおいて歪補償を実行する際の信号の入出力について検討する。

0088

図6は、補償信号供給部11が通常モードにおける歪補償を実行する際の信号の入出力の関係を示す図である。
図に示すように、補償信号供給部11は、入力として1bitパルス列が与えられると、出力として補償信号である非対称成分を出力する。
このとき、補償信号供給部11をフィルタみなすことで、入力と出力とに基づいて、補償信号供給部11のフィルタとしての特性値を求めることができる。

0089

ここで、補償信号供給部11が取得した前記所定通過帯域に含まれる信号成分を入力、前記所定通過帯域に含まれる非対称成分を出力として、補償信号供給部11のフィルタとしての特性値を求めようとすると、前記所定通過帯域に含まれる信号成分及び前記所定通過帯域に含まれる非対称成分は狭帯域の信号なので、周波数領域の処理では、所定通過帯域外の特性値を推定することができない。
そこで、補償信号供給部11は、時間領域の畳み込み処理を利用して所定通過帯域の非対称成分から所定通過帯域外の非対称成分を推定する。

0090

補償信号供給部11が取得した、前記所定通過帯域に含まれる非対称成分を出力Y(Y=y1,y2,・・・yn)、前記所定通過帯域に含まれる信号成分を入力X(X=x1,x2,x3,・・・)とする。なお、出力Y及び入力Xそれぞれの各要素に付されている数値は、離散的に並ぶ信号成分を構成する信号データの順番を示す番号を表している。

0091

補償信号供給部11のフィルタとしての特性値をインパルス応答H(H=h1,h2,・・hm)とすると、出力Y及び入力Xを時間領域の畳み込みで表すと下記式(5)のようになる。

0092

0093

なお、式(5)中、m、nは自然数であり、mはインパルス応答の長さである。
補償信号供給部11は、下記式(6)に示すように、上記式(5)の左辺右辺との残差二乗和εを求め、残差の二乗和εを最小とするインパルス応答Hを求める。

0094

0095

ここで、上記式(6)に基づいてインパルス応答Hを求めるにあたって、上記式(7)で表される条件を満たすように求める。なお、式(7)中、jは自然数である。
式(7)は、単位時間当たりに変化し得るインパルス応答の値を値a未満に制限している。この値aは、補償信号供給部11のフィルタ回路としてのスルーレートに相当する値であり、このような制限条件を設けることで、適切にインパルス応答Hを求めることができる。

0096

補償信号供給部11は、求めたインパルス応答Hと、DSM6から与えられる1bitパルス列とに基づいて、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を求めることができる。
つまり、補償信号供給部11は、前記所定通過帯域に含まれる非対称成分と、前記所定通過帯域に含まれる信号成分とに基づいてインパルス応答Hを求めることで、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を推定することができる。

0097

補償信号供給部11は、求めたインパルス応答Hを1bitパルス列の非対称成分を示す非対称成分データとして記憶部12に記憶する。

0098

図7は、本実施形態に係るシステムの通常モードにおける構成を示すブロック図である。
上述のようにインパルス応答Hを求めた後、制御部7が、通常モードを選択すると、図に示すように、図5において設けられていた第2BPF30が除かれ、補償信号供給部11には、DSM6からの1bitパルス列が与えられる。これによって、補償信号供給部11は、与えられた1bitパルス列と、記憶部12に記憶されたインパルス応答Hとに基づいて、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を求め、求めた非対称成分を所定通過帯域の非対称成分とともに補償信号として出力する。
この補償信号を1bitパルス列に与えることで、当該1bitパルス列に含まれる非対称成分を抑圧することができる。

0099

なお、推定される前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分の帯域幅は、例えば、前記所定帯域に設定することもできるし、任意の値に設定することができる。

0100

以上のように、本実施形態では、一部の帯域としての前記所定通過帯域に含まれる非対称成分から、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を推定することができるので、広帯域に亘って非対称成分を取得する際にその一部の帯域ごとに非対称成分の取得を繰り返して広帯域の非対称成分を取得する場合よりも、より容易に広帯域の非対称成分を取得することができる。

0101

なお、上記方法で求めたインパルス応答Hの推定精度を評価する場合、前記所定通過帯域の近隣の別の周波数帯域の信号によって歪補償を実行すればよい。
このときのシステム1が出力する信号の信号特性の劣化の度合を、前記所定通過帯域の信号に対して歪補償を行った際の信号特性の劣化の度合と比較することで、非対称成分の推定精度を判断することができる。

0102

図8は、推定した非対称成分の推定精度を評価した結果を示すグラフである。図8では、前記所定通過帯域の中心周波数を300MHzに設定した上で、前記所定通過帯域外に含まれる非対称成分を推定し、この推定した非対称成分による歪補償を他の周波数の信号に対して実施し、そのときのACLRを求めることで推定精度を評価した。
その結果、図8に示すように、歪補償に使用した信号の周波数が、所定通過帯域の中心周波数(300MHz)よりも高くなると、ACLRが徐々に低下し、若干の精度劣化が見られるが、少なくとも50dB以上を維持することができることが確認できた。

0103

〔6 その他〕
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。

0104

1 システム
2デジタル信号処理部
3 第1BPF
4ベースバンド部
5 処理部
6 ΔΣ変調器(DSM)
7 制御部
10歪補償部
11補償信号供給部
12 記憶部
13反転増幅器
14加算器
20アナログ/デジタル変換器(ADC)
21直交復調部
22 加算器
23直交変調部
30 第2BPF

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