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課題
解決手段
概要
背景
中華麺は、小麦粉を主原料とし、水、かんすい、食塩などを加えて麺生地を作り、麺生地を細く切り出して製麺されるアルカリ性の麺であり、かんすいの作用による独特の風味が好まれ、世界中の多くの国と地域で食されている。日本においては、ラーメン、やきそば、冷やし中華などの形態で喫食されることが多いが、ラーメンの即席麺等は、世界中に広く普及している。
中華麺の食感を構成する要素としては、小麦粉中のタンパク質や澱粉、かんすい、食塩、そして水などが挙げられるが、近年はより強い弾力やもちもち感を出すために、様々な技術が開発されてきており、食感改質ニーズは高まっている。また、中華麺は、生麺、フライ麺、乾燥麺の状態から、加熱調理や湯戻しをして喫食されるため、加熱調理や湯戻し直後から喫食するまでの間に湯伸び、茹で伸びといった現象が起こり、経時的に食感が著しく低下する。従って、いかに加熱調理や湯戻し直後の好ましい食感を維持することができるかは、中華麺の品質を決める非常に重要な要素であり、最も高いニーズとなっている。更に近年では、健康志向の高まりから、減塩ニーズも顕在化してきているが、食塩の添加量を減らすことにより湯伸び、茹で伸びの速度が速くなるため、減塩または無塩の実現には他の方法にて湯伸び、茹で伸びを抑制する必要がある。
麺類の食感改質技術としては多くの知見が開示されているが、ガム等の多糖類を使用する技術が多く、例えば、大豆粉と共に、寒天、コンニャク粉、セルロース、カードラン、グアガム、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、卵白から選ばれる少なくともひとつを使用する方法(特許文献1)、ランザンガムと共に、キサンタンガム、寒天、アルギン酸から選ばれる少なくともひとつを使用する方法(特許文献2)などが開示されている。いずれの方法も、顕著な麺の食感改質効果を示すものの、麺そのものの食感を改質するものであり、湯伸びや茹で伸びによる麺の食感低下に関する記載はない。また、アルギニンに関する記載は一切無い。
麺類の湯伸び、茹で伸び抑制効果に関する知見としては、微細セルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム、親水性物質を併用する方法(特許文献3)、アルギン酸カルシウムを用いる方法(特許文献4)、卵白の酵素加水分解物を用いる方法(特許文献5)、トランスグルコシダーゼを用いる方法(特許文献6)などが開示されている。いずれも一定の効果は認められるものの、その効果の程度は十分なものではなかった。また、アルギニンに関する記載は一切無い。
麺類への、アルギニンを含む塩基性アミノ酸の添加に関する知見としては、塩基性アミノ酸、カルシウム塩、ローズマリー抽出物のうち少なくともひとつを用いることによる加工食品用アクリルアミド生成抑制剤(特許文献7)、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、中性イミノ酸、スルホン酸のうち少なくともひとつを用いることによる加熱食品のアクリルアミド生成抑制剤(特許文献8)、塩基性アミノ酸、塩化カリウム、動物タンパク酵素分解物、植物タンパク酵素分解物を併用する米飯類または麺類の塩味増強方法(特許文献9)、ベタインおよび塩基性アミノ酸または塩基性ペプチドを使用する蒸し中華麺の保存性向上方法(特許文献10)が開示されている。このうち、特許文献9は麺類を味付けする調味料、すなわち、スープ、たれ、ソースの塩味増強に関する技術であり、本発明の麺そのものの物性を改良する技術とは、技術分野が異なるものである。特許文献7および特許文献10には、麺類に塩基性アミノ酸を練り込む手法が具体的に記載されているが、特許文献7においては、ヒスチジン、リジンに比べてアルギニンの効果が低い旨が記載されている上、ヒスチジンおよびリジンの至適添加量が1〜5%と非常に高く、本発明におけるアルギニンの至適添加量である0.01〜1%、好ましくは0.1〜0.5%とは明らかに異なっている。一方、特許文献10においては、塩基性アミノ酸の至適添加量は0.1%、より好ましくは0.01〜0.03%と非常に低く、本発明におけるアルギニンの至適添加量である0.01〜1%、好ましくは0.1〜0.5%とは、好ましい効果の得られる領域が明らかに異なっている。また、特許文献7〜10のいずれにおいても食感に関する記載は無く、麺類に対してアルギニンと共にグアガム、アルギン酸などの多糖類や、卵白を併用した例はない。
概要
食感の改善された中華麺の製造方法、並びに無塩又は減塩中華麺改質用製剤を提供する。小麦粉100gあたり、アルギニン又はアルギニン塩の量が、アルギニン換算で0.1〜0.5g、食塩含量が0.01〜0.9g、卵白の量が0.1〜5g、グアガムの量が0.1〜5g、アルギン酸の量が0.01〜2g又はアルギン酸塩が0.01〜2gである中華麺の製造方法。
目的
本発明の目的は、食感の改善された中華麺の製造方法及び中華麺改質用製剤を提供する
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
- 0件
この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
小麦粉とアルギニン又はアルギニン塩とを混合し製麺することを特徴とする中華麺の製造方法であって、アルギニン又はアルギニン塩の量が、小麦粉100gあたり、アルギニン換算で0.01〜1gである中華麺の製造方法。
請求項2
さらに、小麦粉100gあたり1g未満の食塩を混合し製麺することを特徴とする請求項1記載の方法。
請求項3
さらに、小麦粉100gあたり0.01〜0.9gの食塩を混合し製麺することを特徴とする請求項1記載の方法。
請求項4
請求項5
請求項6
原料小麦粉100gあたりの卵白の量が0.1〜5g、グアガムの量が0.1〜5g、アルギン酸の量が0.01〜2g又はアルギン酸塩が0.01〜2gである請求項5記載の方法。
請求項7
中華麺がフライ麺である請求項1乃至6記載の方法。
請求項8
技術分野
背景技術
0002
中華麺は、小麦粉を主原料とし、水、かんすい、食塩などを加えて麺生地を作り、麺生地を細く切り出して製麺されるアルカリ性の麺であり、かんすいの作用による独特の風味が好まれ、世界中の多くの国と地域で食されている。日本においては、ラーメン、やきそば、冷やし中華などの形態で喫食されることが多いが、ラーメンの即席麺等は、世界中に広く普及している。
0003
中華麺の食感を構成する要素としては、小麦粉中のタンパク質や澱粉、かんすい、食塩、そして水などが挙げられるが、近年はより強い弾力やもちもち感を出すために、様々な技術が開発されてきており、食感改質ニーズは高まっている。また、中華麺は、生麺、フライ麺、乾燥麺の状態から、加熱調理や湯戻しをして喫食されるため、加熱調理や湯戻し直後から喫食するまでの間に湯伸び、茹で伸びといった現象が起こり、経時的に食感が著しく低下する。従って、いかに加熱調理や湯戻し直後の好ましい食感を維持することができるかは、中華麺の品質を決める非常に重要な要素であり、最も高いニーズとなっている。更に近年では、健康志向の高まりから、減塩ニーズも顕在化してきているが、食塩の添加量を減らすことにより湯伸び、茹で伸びの速度が速くなるため、減塩または無塩の実現には他の方法にて湯伸び、茹で伸びを抑制する必要がある。
0004
麺類の食感改質技術としては多くの知見が開示されているが、ガム等の多糖類を使用する技術が多く、例えば、大豆粉と共に、寒天、コンニャク粉、セルロース、カードラン、グアガム、アルギン酸、ペクチン、カラギーナン、卵白から選ばれる少なくともひとつを使用する方法(特許文献1)、ランザンガムと共に、キサンタンガム、寒天、アルギン酸から選ばれる少なくともひとつを使用する方法(特許文献2)などが開示されている。いずれの方法も、顕著な麺の食感改質効果を示すものの、麺そのものの食感を改質するものであり、湯伸びや茹で伸びによる麺の食感低下に関する記載はない。また、アルギニンに関する記載は一切無い。
0005
麺類の湯伸び、茹で伸び抑制効果に関する知見としては、微細セルロース、ローカストビーンガム、キサンタンガム、親水性物質を併用する方法(特許文献3)、アルギン酸カルシウムを用いる方法(特許文献4)、卵白の酵素加水分解物を用いる方法(特許文献5)、トランスグルコシダーゼを用いる方法(特許文献6)などが開示されている。いずれも一定の効果は認められるものの、その効果の程度は十分なものではなかった。また、アルギニンに関する記載は一切無い。
0006
麺類への、アルギニンを含む塩基性アミノ酸の添加に関する知見としては、塩基性アミノ酸、カルシウム塩、ローズマリー抽出物のうち少なくともひとつを用いることによる加工食品用アクリルアミド生成抑制剤(特許文献7)、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸、中性イミノ酸、スルホン酸のうち少なくともひとつを用いることによる加熱食品のアクリルアミド生成抑制剤(特許文献8)、塩基性アミノ酸、塩化カリウム、動物タンパク酵素分解物、植物タンパク酵素分解物を併用する米飯類または麺類の塩味増強方法(特許文献9)、ベタインおよび塩基性アミノ酸または塩基性ペプチドを使用する蒸し中華麺の保存性向上方法(特許文献10)が開示されている。このうち、特許文献9は麺類を味付けする調味料、すなわち、スープ、たれ、ソースの塩味増強に関する技術であり、本発明の麺そのものの物性を改良する技術とは、技術分野が異なるものである。特許文献7および特許文献10には、麺類に塩基性アミノ酸を練り込む手法が具体的に記載されているが、特許文献7においては、ヒスチジン、リジンに比べてアルギニンの効果が低い旨が記載されている上、ヒスチジンおよびリジンの至適添加量が1〜5%と非常に高く、本発明におけるアルギニンの至適添加量である0.01〜1%、好ましくは0.1〜0.5%とは明らかに異なっている。一方、特許文献10においては、塩基性アミノ酸の至適添加量は0.1%、より好ましくは0.01〜0.03%と非常に低く、本発明におけるアルギニンの至適添加量である0.01〜1%、好ましくは0.1〜0.5%とは、好ましい効果の得られる領域が明らかに異なっている。また、特許文献7〜10のいずれにおいても食感に関する記載は無く、麺類に対してアルギニンと共にグアガム、アルギン酸などの多糖類や、卵白を併用した例はない。
先行技術
0007
特開2007-54003号公報
特開2007-159564号公報
特開2004-24155号公報
特開2004-147576号公報
特開2001-112425号公報
特許第04862842号
特開2005-278448号公報
特開2005-21150号公報
特開2011-62169号公報
特開平3-123461号公報
発明が解決しようとする課題
0008
本発明の目的は、食感の改善された中華麺の製造方法及び中華麺改質用製剤を提供することであり、特に中華麺の湯伸び、茹で伸びを抑制する方法を提供することである。更には、無塩もしくは減塩の中華麺の湯伸び、茹で伸びを抑制する方法を提供することである。
課題を解決するための手段
0009
本発明者等は、鋭意研究を行った結果、本発明は、アルギニン又はアルギニン塩を用いることにより、上記目的を達成しうることを見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は以下の通りである。
(1)小麦粉とアルギニン又はアルギニン塩とを混合し製麺することを特徴とする中華麺の製造方法であって、アルギニン又はアルギニン塩の量が、小麦粉100gあたり、アルギニン換算で0.01〜1gである中華麺の製造方法。
(2)さらに、小麦粉100gあたり1g未満の食塩を混合し製麺することを特徴とする(1)記載の方法。
(3)さらに、小麦粉100gあたり0.01〜0.9gの食塩を混合し製麺することを特徴とする(1)記載の方法。
(4)アルギニン又はアルギニン塩の量が、小麦粉100gあたりアルギニン換算で0.1〜0.5gであり、中華麺の食塩含量が原料小麦粉100gあたり0.01〜0.9gである(1)記載の方法。
(5)さらに、卵白、グアガム、アルギン酸、アルギン酸塩より成る群より選ばれる1以上を混合し製麺することを特徴とする(1)乃至(4)記載の方法。
(6)原料小麦粉100gあたりの卵白の量が0.1〜5g、グアガムの量が0.1〜5g、アルギン酸の量が0.01〜2g又はアルギン酸塩が0.01〜2gである(5)記載の方法。
(7)中華麺がフライ麺である(1)乃至(6)記載の方法。
(8)アルギニン又はアルギニン塩を含有することを特徴とする無塩又は減塩中華麺製麺用製剤。
発明の効果
0010
本発明により、中華麺の物性を向上することができる。特に、中華麺の湯伸び、茹で伸びを抑制することができ、更には、無塩もしくは減塩の中華麺の湯伸び、茹で伸びを抑制することができる。
図面の簡単な説明
0011
中華麺の硬さについての結果である。(実施例1)
中華麺の弾力についての結果である。(実施例1)
中華麺の硬さの茹で直後に対する変化についての結果である。(実施例1)
中華麺の弾力の茹で直後に対する変化についての結果である。(実施例1)
中華麺の硬さについての結果である。(実施例2)
中華麺の弾力についての結果である。(実施例2)
中華麺の硬さの茹で直後に対する変化についての結果である。(実施例2)
中華麺の弾力の茹で直後に対する変化についての結果である。(実施例2)
0012
本発明の中華麺の製造方法は、小麦粉とアルギニン又はアルギニン塩とを混合し製麺することを特徴とする。すなわち、本発明の中華麺は、小麦粉、アルギニン又はアルギニン塩、水、かんすいなどを混合して麺生地を作り、麺生地を伸ばし、細く切り出すことにより製麺されるアルカリ性の麺である。使用する小麦粉はどのような品種のものでもよく、強力粉、準強力粉、中力粉、薄力粉、デュラムセモリナ粉等、いかなる小麦粉でも構わない。また、米粉、大麦粉、ライ麦粉等の小麦粉以外の穀粉と混合して使用しても構わない。さらには、麺生地を作る際に、卵白、グアガム、アルギン酸、アルギン酸塩(アルギン酸ナトリウム等)、澱粉(加工澱粉を含む)、グルテン、色素等を混合してもよい。
0013
本発明の中華麺は、茹でて、又は湯戻しをして喫食するが、茹で又は湯戻し前の麺の状態は、生麺、フライ麺、乾燥麺等、いかなる状態でもよい。また、茹で又は湯戻し後、いかなる状態で食しても構わない。尚、茹で伸びとは茹でた後に、湯伸びとは湯戻しした後に、麺線内の水分勾配がなくなり、硬さ、弾力、中芯感が失われてコシのない状態になることを言う。
0014
本発明のアルギニン又はアルギニン塩の例としては、アルギニン、アルギニングルタミン酸塩、アルギニン塩酸塩、アルギニン酢酸塩、アルギニン酪酸塩、アルギニン硫酸塩などが挙げられ、その他いかなる塩でもよく、それらの組み合わせでも構わない。L体、D体、それらの混合物でもよい。また、本発明で用いるアルギニンもしくはアルギニン塩は、醗酵法、抽出法などいかなる方法で製造されたものでも構わない。尚、味の素(株)より市販されているL−アルギニンがその一例である。
0015
中華麺にアルギニン又はアルギニン塩を添加する場合は、中華麺の製麺時のどの段階で添加し作用させても構わないが、粉混合時に原料小麦粉に粉末で添加するか、加水時に水に事前溶解させて混練するのが望ましい。
0016
本発明の中華麺の製造において、アルギニン又はアルギニン塩の量は、小麦粉100gあたり、アルギニン換算で0.01〜1g、好ましくは0.1〜0.5gの範囲が適正である。尚、アルギニン換算とは、アルギニン塩の重量にアルギニンの分子量を乗じ、アルギニン塩の分子量で除した値を意味する。例えば、アルギニン塩酸塩(分子量210.66)の場合、アルギニン塩酸塩1gのアルギニン換算は、1g×174.20÷210.66=0.83gとなる。
0017
小麦粉、アルギニン又はアルギニン塩に加え、さらに、卵白、グアガム、アルギン酸、アルギン酸塩より成る群より選ばれる1以上を混合し製麺する場合、原料小麦粉100gあたりの卵白の量は0.1〜5g、グアガムの量は0.1〜5g、アルギン酸の量は0.01〜2g、アルギン酸塩は0.01〜2gが好ましい。
0018
本発明における無塩中華麺とは、食塩を添加せずに製麺された中華麺を意味し、減塩中華麺とは、麺そのもの(麺線)の食塩含量が原料小麦粉100g当たり1g未満、好ましくは0.01〜0.9gである中華麺を意味する。減塩中華麺の場合、製麺の際に添加する食塩の量は、1g未満あるいは0.01〜0.9gが好ましい。アルギニン又はアルギニン塩を用いることにより、もしくはアルギニン又はアルギニン塩と食塩を混合することにより、原料小麦粉100g当たり1g未満の食塩量でも、湯伸び、茹で伸びの抑制された中華麺を製造することができる。
0019
アルギニン又はアルギニン塩に、卵白、グアガム、アルギン酸、アルギン酸塩、食塩、砂糖、澱粉、加工澱粉、デキストリン等の賦形剤、植物エキス等の調味料、グルテン、グルタチオン等の還元剤、乳化剤、かんすい、香料、色素等その他の食品素材や食品添加物等と混合することにより、無塩又は減塩中華麺改質用の製剤を得ることができる。本発明の中華麺改質用製剤は、液体状、ペースト状、顆粒状、粉末状のいずれの形態でも構わない。
0020
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。本発明は、この実施例により何ら限定されない。
0021
表1に示す配合にて粉区分を混練機「2kg真空捏機」(大竹麺機社製)に投入し、100rpmにて1分混合した。表1の水区分に示す配合にて溶解させた水溶液を、上記混合粉原料に全量加えて、混練機にて3.5分間(100rpm;2分、50rpm;1.5分)混合した。混練後、製麺機「小型粗麺帯機・小型連続圧延機」(トム社製)にてバラ掛け、複合、圧延し、室温にて1時間寝かせた後に#18の切り刃を用いて切り出しを行った。切り出した麺線は100gずつ小分けにし、スチーマー「スチームトンネルコンベア」(富士製作所社製)にて2分間蒸し、蒸し麺を得た。蒸し麺は、円形の型に入れ、フライヤー「コンパクトオートフライヤー」(北沢産業社製)にて140℃のパーム油で2分間揚げてフライ麺を得た。得られたフライ麺は、沸騰水にて5分間茹でた後、熱水の入ったどんぶりに移し、ラーメン系にて官能評価を行った。官能評価は、硬さおよび弾力に関して、茹で直後のコントロール区分を0点とし、−2点から2点までの評点法にて評価人数4人で行った。評価タイミングは、茹で0分後(茹で直後)、茹で3分後、茹で5分後、茹で10分後の4回とした。硬さに関する結果を図1、弾力に関する結果を図2に示す。尚、「硬さ」とは噛み始める際に感じる応力、「弾力」とは噛み潰した際に反発してくる応力すなわち復元力の強さと定義した。評点の尺度は、0.5点が「差あり」、1点が「顕著な差あり」、2点が「非常に顕著な差あり」とした。更に、湯伸び、茹で伸びの指標として、茹で0分後(茹で直後)の評点に対する変化量を算出した。硬さに関する結果を図3、弾力に関する結果を図4に示す。小麦粉は「白椿」(日清製粉社製)、かんすいは「粉末かんすいA」(日本コロイド社製)、クチナシ色素は「イエローカラーTH-G」(長谷川香料社製)、アルギニンは「L-アルギニン」(味の素社製)、卵白は「卵白粉末」(太陽化学社製)、グアガムは「VIDOGUMGHK 175」(ユニテックフーズ社製)、アルギン酸ナトリウムは「キミカアルギニン」(キミカ社製)を用いた。
0022
図1および図2に示す通り、試験区1においては茹で後5分程度経過すると硬さや弾力が大きく低下するが、食塩を抜いた試験区2においては茹で直後から著しい食感の低下が見られた。また、図3および図4に示す通り、試験区1においては茹で後3分では茹で直後に対する食感の低下は見られないが、食塩を抜いた試験区2においては茹で後3分で食感の低下が見られた。このことから、食塩には湯伸び、茹で伸び抑制機能があると考えられる。一方、図1〜図4に示す通り、食塩の代わりにアルギニンを添加した試験区3においては、茹で直後の硬さや弾力は弱いものの、経時的な食感の低下は非常に少なく、図3および図4からは食塩を添加した試験区1よりも食感の低下が少ないことが確認された。従って、アルギニンにより中華麺の湯伸び、茹で伸び抑制効果が得られることが示唆された。また、アルギニンと共に卵白、グアガム、アルギン酸ナトリウムを添加することで、アルギニンによる湯伸び、茹で伸び抑制効果が得られると同時に、茹で直後の食感も試験区1とほぼ同等となることが明らかとなった(試験区4〜6)。以上より、アルギニンと共に卵白、グアガム、アルギン酸ナトリウムのいずれかを併用することで、茹で直後に硬さと弾力のある食感を有し、時間が経過してもその食感が維持されることが明らかとなった。また、湯伸び、茹で伸びにおける食塩の機能をアルギニンにより十分に代替しうることから、アルギニンを用いることで減塩又は無塩の中華麺を製造できることが明らかとなった。
0023
表2に示す配合に従い、実施例1と同様の方法にてフライ麺を作製し、ラーメン系にて官能評価を行った。硬さに関する結果を図5、弾力に関する結果を図6に示す。また、実施例1と同様に、湯伸び、茹で伸びの指標として、茹で0分後(茹で直後)の評点に対する変化量も算出した。硬さに関する結果を図7、弾力に関する結果を図8に示す。
実施例
0024
図5および図6に示す通り、試験区1においては茹で後5分程度経過すると硬さや弾力が大きく低下するが、食塩を抜いた試験区2においては茹で直後から著しい食感の低下が見られた。また、図7および図8に示す通り、試験区1においては茹で後3分では茹で直後に対する食感の低下は見られないが、食塩を抜いた試験区2においては茹で後3分で食感の低下が見られた。一方、図5〜図8に示す通り、食塩の代わりにアルギニンを添加した試験区3においては、茹で直後の硬さや弾力は弱いものの、経時的な食感の低下は非常に少なく、図7および図8からは食塩を添加した試験区1よりも食感の低下が少ないことが確認され、アルギニンにより中華麺の湯伸び、茹で伸び抑制効果が得られることが示唆された。また、アルギニンと共に卵白とアルギン酸ナトリウム、もしくはグアガムとアルギン酸ナトリウムを添加することで、アルギニンによる湯伸び、茹で伸び抑制効果が得られると同時に、茹で直後の食感も試験区1とほぼ同等となることが明らかとなった(試験区4〜6)。以上より、中華麺の製造において、アルギニンと共に、卵白、グアガム、アルギン酸ナトリウムより選ばれる2種を併用することで、製造された中華麺は茹で直後に十分な食感を有し、時間が経過してもその食感が維持されることが明らかとなった。
0025
本発明によると、中華麺の物性を向上できるため、食品分野において極めて有用である。