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技術 脂肪酸クロライドの製造方法および脂肪酸クロライド

出願人 日油株式会社
発明者 藤田博也小原慎司円山圭一岩田智喜
出願日 2015年4月14日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-082214
公開日 2015年11月26日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2015-212256
状態 特許登録済
技術分野 有機低分子化合物及びその製造
主要キーワード 油水分離操作 ケルダールフラスコ 静置分層 ケルダール コニカルビーカー 薄膜蒸留器 クロル化反応 モリブデン酸アンモニウム溶液
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課題

簡便な製法によって、にごりがなく、経時における色相が安定な脂肪酸クロライドを提供する。

解決手段

炭素数8〜22の脂肪酸と、前記脂肪酸に対して1/3〜2/3当量三塩化リンとを反応させて脂肪酸クロライドを生成させ、副生物である亜リン酸を除去して反応生成物を得る。次いで、反応生成物を10〜60℃の温度、1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hrの窒素流量、133.3×10−2 〜 133.3×102 Paの圧力で処理し、未反応の三塩化リンを前記脂肪酸および前記脂肪酸クロライドと反応させて有機リン化合物を生成させると共に、未反応の三塩化リンを留去し、脂肪酸クロライドを得る。

概要

背景

脂肪酸クロライドアルキルケテンダイマー有機過酸化物界面活性剤医薬中間体などの合成に用いられている。一般的に、脂肪酸クロライドは脂肪酸塩素化剤を反応させて得ることが出来る。塩素化剤としては、三塩化リン塩化カルボニルなどが用いられる。

三塩化リンを用いる脂肪酸クロライドの製造方法は、製造が比較的簡便であるという利点がある一方で、反応によって副生する亜リン酸や未反応の三塩化リンなどのリン化合物や、未反応の脂肪酸が脂肪酸クロライド中に不純物として存在するという欠点があった。

このような不純物の問題を解決するため、蒸留によってリン化合物や脂肪酸を取り除くという方法がとられてきたが、蒸留した脂肪酸クロライドは経時で着色するという問題があった。

特許文献1(特開平11−255703)には、三塩化リンと錯体を形成する添加物を加え、脂肪酸クロライドを蒸留し、三塩化リンを低減した脂肪酸クロライドの製法が記載されている。

また、特許文献2(特開平6−41000)には、金属ハロゲン化合物を添加し精製することで、リン分を含まない脂肪族カルボン酸クロライドを得る製造方法が記載されている。これらは、添加剤を用いて精製を行い、リン分を脂肪酸クロライド中から排除することで、色相の安定な脂肪酸クロライドを得るというものであった。

概要

簡便な製法によって、にごりがなく、経時における色相が安定な脂肪酸クロライドを提供する。炭素数8〜22の脂肪酸と、前記脂肪酸に対して1/3〜2/3当量の三塩化リンとを反応させて脂肪酸クロライドを生成させ、副生物である亜リン酸を除去して反応生成物を得る。次いで、反応生成物を10〜60℃の温度、1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hrの窒素流量、133.3×10−2 〜 133.3×102 Paの圧力で処理し、未反応の三塩化リンを前記脂肪酸および前記脂肪酸クロライドと反応させて有機リン化合物を生成させると共に、未反応の三塩化リンを留去し、脂肪酸クロライドを得る。 なし

目的

本発明の課題は、簡便な製法によって、にごりがなく、経時における色相が安定な脂肪酸クロライドを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

下記工程1および工程2を順に行うことを特徴とする、脂肪酸クロライドの製造方法。 工程1:炭素数8〜22の脂肪酸と、前記脂肪酸に対して1/3〜2/3当量三塩化リンとを反応させて脂肪酸クロライドを生成させ、副生物である亜リン酸を除去して反応生成物を得る工程 工程2:前記工程1で得られた前記反応生成物を10〜60℃の温度、1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hrの窒素流量、133.3×10−2 〜 133.3×102 Paの圧力で処理し、未反応の三塩化リンを前記脂肪酸および前記脂肪酸クロライドと反応させて有機リン化合物を生成させると共に、未反応の三塩化リンを留去し、脂肪酸クロライドを得る工程。

請求項2

前記工程2で得られた前記脂肪酸クロライドに含有される無機リン化合物リン含有量が0.03〜0.3重量%であり、前記工程2で得られた前記脂肪酸クロライドに含有される有機リン化合物のリン含有量が0.04〜0.1重量%であることを特徴とする、請求項1記載の方法。

請求項3

請求項1または2記載の方法によって得られることを特徴とする、脂肪酸クロライド。

技術分野

0001

本発明は、三塩化リン脂肪酸を用いて製造する脂肪酸クロライド製法、および得られた脂肪酸クロライドに関するものである。

背景技術

0002

脂肪酸クロライドはアルキルケテンダイマー有機過酸化物界面活性剤医薬中間体などの合成に用いられている。一般的に、脂肪酸クロライドは脂肪酸と塩素化剤を反応させて得ることが出来る。塩素化剤としては、三塩化リンや塩化カルボニルなどが用いられる。

0003

三塩化リンを用いる脂肪酸クロライドの製造方法は、製造が比較的簡便であるという利点がある一方で、反応によって副生する亜リン酸や未反応の三塩化リンなどのリン化合物や、未反応の脂肪酸が脂肪酸クロライド中に不純物として存在するという欠点があった。

0004

このような不純物の問題を解決するため、蒸留によってリン化合物や脂肪酸を取り除くという方法がとられてきたが、蒸留した脂肪酸クロライドは経時で着色するという問題があった。

0005

特許文献1(特開平11−255703)には、三塩化リンと錯体を形成する添加物を加え、脂肪酸クロライドを蒸留し、三塩化リンを低減した脂肪酸クロライドの製法が記載されている。

0006

また、特許文献2(特開平6−41000)には、金属ハロゲン化合物を添加し精製することで、リン分を含まない脂肪族カルボン酸クロライドを得る製造方法が記載されている。これらは、添加剤を用いて精製を行い、リン分を脂肪酸クロライド中から排除することで、色相の安定な脂肪酸クロライドを得るというものであった。

先行技術

0007

特開平11−255703
特開平6−041000

発明が解決しようとする課題

0008

本発明者らは鋭意検討の結果、所定の簡便な操作を行い、リン分を所定量残存させることで、経時における色相の安定な、かつにごりがない脂肪酸クロライドを得ることができることを見出した。

0009

本発明の課題は、簡便な製法によって、にごりがなく、経時における色相が安定な脂肪酸クロライドを提供することである。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の工程において製造された脂肪酸クロライドは、にごりがなく、経時における色相が安定であることを見出し、本発明に至った。

0011

すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 工程1および工程2を順に行うことを特徴とする、脂肪酸クロライドの製造方法。

工程1:
炭素数8〜22の脂肪酸と、前記脂肪酸に対して1/3〜2/3当量の三塩化リンとを反応させて脂肪酸クロライドを生成させ、副生物である亜リン酸を除去して反応生成物を得る工程

工程2:
前記工程1で得られた前記反応生成物を10〜60℃の温度、1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hrの窒素流量、133.3×10−2 〜 133.3×102 Paの圧力で処理し、未反応の三塩化リンを前記脂肪酸および前記脂肪酸クロライドと反応させて有機リン化合物を生成させると共に、未反応の三塩化リンを留去し、脂肪酸クロライドを得る工程

[2] 工程2で得られた脂肪酸クロライドの無機リン化合物リン含有量が0.03〜0.3重量%、かつ有機リン化合物のリン含有量が0.04〜0.1重量%である、[1]の方法。

[3] 前記[1]または[2]の方法によって得られることを特徴とする、脂肪酸クロライド。

発明の効果

0012

本発明によれば、簡便な製法によって、にごりがなく、経時における色相が安定な脂肪酸クロライドを得ることが出来る。

0013

以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、工程1〜2を順に行うことを特徴とする脂肪酸クロライドの製造方法に関するものである。以下、各工程について説明する。

0014

<工程1>
炭素数8〜22の脂肪酸と、前記脂肪酸に対して1/3〜2/3当量の三塩化リンとを反応させて脂肪酸クロライドを生成させ、静置分層の後、副生物である亜リン酸を除去する工程である。

0015

本発明に用いる脂肪酸は、炭素数8から22の飽和または不飽和の脂肪酸である。具体例としては、ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸イソパルミチン酸、ステアリン酸イソステアリン酸オレイン酸ベヘニン酸などの単一組成の脂肪酸や、ヤシ油脂肪酸パーム核脂肪酸、牛脂脂肪酸などの混合組成の脂肪酸を使用することができる。好ましくは、ラウリン酸、ミリスチン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム核脂肪酸であり、特に好ましくは、ラウリン酸、ヤシ油脂肪酸である。

0016

三塩化リン含有量は、(三塩化リン/脂肪酸)の当量比として、1/3〜2/3当量とする。(三塩化リン/脂肪酸)の当量比は、好ましくは1.1/3〜1.8/3当量であり、より好ましくは1.3/3〜1.7/3当量である。

0017

三塩化リンと脂肪酸との反応温度は、好ましくは40〜90℃とし、より好ましくは45〜80℃、さらに好ましくは50〜70℃とする。三塩化リンの添加は段階的に行うことが好ましく、滴下によって行うことがより好ましい。三塩化リンの投入後、好ましくは0.5〜5時間、より好ましくは1〜4時間、さらに好ましくは1〜3時間熟成する。

0018

得られた反応物を静置分層し、下層水層)を分離することによって、水層に溶解する亜リン酸を除去する。この静置分層に掛かる時間は2〜12時間が好ましく、3〜11時間が更に好ましく、4〜10時間が最も好ましい。静置分層時の温度は、40〜90℃が好ましく、45〜80℃がより好ましく、50〜70℃が最も好ましい。

0019

<工程2>
工程2は、工程1で得られた反応生成物を10〜60℃の温度、1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hrの窒素流量、133.3×10−2 〜 133.3×102Paの圧力で処理し、未反応の三塩化リンを前記脂肪酸および前記脂肪酸クロライドと反応させて有機リン化合物を生成させると共に、未反応の三塩化リンの一部を留去する工程である。

0020

これによって、得られた生成物における無機リン化合物のリン含有量を0.03〜0.3重量%とし、かつ有機リン化合物のリン含有量を0.04〜0.1重量%とすることが可能になる。

0021

工程2を行う前の脂肪酸クロライド(分層後の有機層)について、無機リン化合物のリン含有量は、脂肪酸クロライドに対して0.3〜2.0重量%が好ましく、0.5〜1.7重量%が更に好ましく、0.7〜1.5重量%が特に好ましい。

0022

工程2を行う前の脂肪酸クロライド(分層後の有機層)について、無機リン化合物のリン含有量を0.3重量%以上とすることによって、有機リン化合物を十分量生成させやすくなり、未反応脂肪酸も低減させやすくなる。また、これを2.0重量%以下とすることによって、未反応の三塩化リンの除去に要する時間が短く済み、脂肪酸クロライドの色相の悪化を抑制することができる。

0023

工程2を実施することによって得られた脂肪酸クロライドの無機リン化合物のリン含有量は、好ましくは0.03〜0.3重量%であり、より好ましくは0.07〜0.25重量%、さらに好ましくは0.10〜0.20重量%である。これが0.3重量%を越えると、脂肪酸クロライドの白濁要因となることがあり、0.03重量%未満では経時における色相の安定化効果が乏しくなることがある。

0024

また、工程2によって得られた脂肪酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は、好ましくは0.04〜0.1重量%、より好ましくは0.05〜0.09重量%、さらに好ましくは0.06〜0.08重量%である。これが0.1重量%を越えると、脂肪酸クロライドのにごりや純度悪化の原因となることがあり、0.04重量%未満では経時における色相の安定化効果が乏しくなることがある。

0025

工程1で得られた脂肪酸クロライドの未反応脂肪酸は1.0〜5.0重量%であり、この脂肪酸クロライドを工程2で処理すると未反応脂肪酸の含有量は0.5〜2.0重量%である。好ましくは0.5〜1.5重量%である。

0026

本工程の温度は10〜60℃とする。これが10℃より低い場合には、有機リン化合物を十分量生成させることが困難となるおそれがある。この観点からは、本工程の温度は、15℃以上が好ましく、20℃以上が更に好ましい。また、本工程の温度が60℃を越えると脂肪酸クロライドの色相が悪化する。この観点からは、本工程の温度は、50℃以下が好ましく、40℃以下が更に好ましい。

0027

本工程の窒素吹き込み量は1.0×10−4〜1.0×10−2m3/kg・hr、好ましくは1.0×10−3〜7.0×10−3m3/kg・hr、より好ましくは3.0×10−3〜5.0×10−3m3/kg・hrである。1.0×10−4m3/kg・hrを下回ると未反応の三塩化リンの除去に要する時間が長くなり、脂肪酸クロライドの色相が悪化するおそれがある。1.0×10−2m3/kg・hrを上回ると飛沫同伴によって収率が低下する恐れがある。

0028

本工程の圧力は133.3×10−2 〜133.3×102Paで、好ましくは133.3×10−1 〜 66.7×102Pa、より好ましくは133.3 〜 26.7×102Paである。133.3×102Paを越えると未反応の三塩化リンの除去に要する時間が長くなり、脂肪酸クロライドの色相が悪化するおそれがある。133.3×10−2Pa未満では留去される脂肪酸クロライドが多くなる可能性があり、効率的でない。

0029

本工程に掛かる時間は通常1〜13時間で、脂肪酸クロライド中の有機リン化合物のリン含量及び無機リン化合物のリン化合物含量を目的の量に調整することができる。

0030

脂肪酸クロライド中の無機リン化合物とは、エチルエーテル飽和食塩水を用いた油水分離操作において、飽和食塩水層に分配されるリン化合物のことであり、三塩化リンや亜リン酸、またその反応物などが挙げられる。脂肪酸クロライド中の無機リン化合物のリン含有量とは、エチルエーテルと飽和食塩水を用いた油水分離操作において、飽和食塩水層に分配されるリン化合物に含まれるリン含有量のことである。

0031

脂肪酸クロライド中の有機リン化合物とは、エチルエーテルと飽和食塩水を用いた油水分離操作において、エチルエーテル層に分配されるリン化合物のことであり、主に三塩化リン等の無機リン化合物と脂肪酸及び脂肪酸クロライドとの反応物である。脂肪酸クロライド中の有機リン化合物のリン含有量とは、エチルエーテルと飽和食塩水を用いた油水分離操作において、エチルエーテル層に分配されるリン化合物に含まれるリン含有量のことである。

0032

(リン含有量の測定方法
検量線の作成
標準試料としてリン酸カリウム試薬特級)を用いて2μg/mlのリンに相当する水溶液を作成した。この水溶液をホールピペットで適量(0〜70μgの間で数種)を分液ロート分取し、水で全量を50mlとした。10%硝酸水溶液15mlと5%モリブデン酸アンモニウム溶液5mlおよび酢酸n-ブチル10mlを加えて、3分間振とうした後、静置した。下層を別の分液ロートに分取し、酢酸n-ブチル10mlを加え3分間振とうしたのち静置した。分液ロートの酢酸n−ブチル層を50mlメスフラスコに移した。3%塩化第1スズ溶液2mlを加え、エチルアルコールで定容した。分光光度計を用いて725nmの吸光度を測定した(10mmガラスセル)。

0033

前処理方法
飽和食塩水50mLとエチルエーテル20mLを分液ロート(A)へ加え、そこに脂肪酸クロライドを0.1〜0.5g量りとった。分液漏斗(A)を3分間振とう、静置し、分層させた。分層した下層の飽和食塩水層は別の分液漏斗(B)に分取した。この分液漏斗(B)にエチルエーテル20mLを加え、分液漏斗(B)を3分間振とう、静置し、分層させた。また、エチルエーテル層の残った分液漏斗(A)に飽和食塩水25mLを加え、3分間振とう、静置し、分層させた。その後、分液漏斗(A)および(B)の下層を同一のコニカルビーカー(C)に分取し、飽和食塩水層を得た。また、分液漏斗(A)および(B)に残った溶液を同一のケルダールフラスコ(D)へ分取し、エチルエーテル層を得た。

0034

無機リン化合物のリン含有量の測定方法
(C)コニカルビーカーの飽和食塩水層は10%硝酸水溶液1mlおよび2%過マンガン酸カリウム溶液5mlを加えて、200℃で加熱し、含まれるリンを酸化した。酸化して酸化マンガンの褐色沈殿が生成した後、約10分間加熱を続け、10%亜硫酸ナトリウム溶液を滴下し還元した。室温まで放冷後、ブロムフェノールブルー指示薬を数滴加え、14%アンモニア水中和した。この溶液を200mlメスフラスコに移し、水で定溶した。この溶液50mlをホールピペットで分液ロートに分取した。10%硝酸水溶液15mlと5%モリブデン酸アンモニウム溶液5mlおよび酢酸n-ブチル10mlを加えて、3分間振とうした後、静置した。下層を別の分液ロートに分取し、酢酸n-ブチル10mlを加え3分間振とうしたのち静置した。分液ロートの酢酸n-ブチル層を50mlメスフラスコに移した。3%塩化第1スズ溶液2mlを加え、エチルアルコールで定容した。分光光度計を用いて725nmの吸光度を測定した(10mmガラスセル)。あらかじめ作成した検量線よりリンの含有量を求めた。
なお、本試験と平行して空試験を行った。

0035

有機リン化合物のリン含有量の測定方法
(D)ケルダールフラスコ中のエチルエーテルを完全に留去した。これに硫酸5mlを加え、ケルダール分解装置炭化させた。フラスコ内を室温まで冷却後、滴下ロートより過酸化水素水約5mlをゆっくりと加え、ケルダール分解装置で分解した。次に、滴下ロートより過酸化水素水を1分間あたり約1.5mlの割合で約15ml連続的に滴下した。この溶液を濃縮してほとんどの過酸化水素水を追い出し、硫酸の白煙が発生した後、溶液が無色透明になった。室温まで放冷後、水50mlおよび2%過マンガン酸カリウム溶液1mlを加え、ケルダール分解装置内で過酸化水素を分解すると同時に酸化し、酸化マンガンの褐色沈殿が生成した後、約10分間加熱を続け、10%亜硫酸ナトリウム溶液を滴下して還元した。室温まで放冷後、ブロムフェノールブルー指示薬を数滴加え、14%アンモニア水で中和した。この溶液を200mlメスフラスコに移し、水で定溶した。この溶液50mlをホールピペットで分液ロートに分取した。10%硝酸水溶液15mlと5%モリブデン酸アンモニウム溶液5mlおよび酢酸n-ブチル10mlを加えて、3分間振とうした後、静置した。下層を別の分液ロートに分取し、酢酸n-ブチル10mlを加え3分間振とうしたのち静置した。分液ロートの酢酸n−ブチル層を50mlメスフラスコに移した。3%塩化第1スズ溶液2mlを加え、エチルアルコールで定容した。分光光度計を用いて725nmの吸光度を測定した(10mmガラスセル)。あらかじめ作成した検量線よりリンの含有量を求めた。
なお、本試験と平行して空試験を行った。

0036

無機リン化合物のリン含有量(重量%)
=(検量線より求めたリン含有量(g)/試料採取量(g))×希釈倍率×100

有機リン化合物のリン含有量(重量%)
=(検量線より求めたリン含有量(g)/試料採取量(g))×希釈倍率×100

0037

(実施例1:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸(400.0g)に対し1.5/3当量の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(57.0g)を除去し、反応溶液(473.0g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.90重量%であった。

0038

その後、30℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力665Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするヤシ油脂肪酸クロライド(452.6g)を得た。得られたヤシ油脂肪酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.06重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.15重量%であった。

0039

(実施例2:ラウリン酸クロライド)
ラウリン酸(400.0g)に対し1.5/3当量(130.7g)の三塩化リンを50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(58.2g)を除去し、反応溶液(472.5g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.00重量%であった。

0040

その後、60℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3×10Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするラウリン酸クロライド(452.5g)を得た。得られたラウリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.10重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.10重量%であった。

0041

(実施例3:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸(400.0g)に対し1.8/3当量の三塩化リン(156.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(57.1g)を除去し、反応溶液(498.9g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.04重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.50重量%であった。

0042

その後、15℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3×10Paで4時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするヤシ油脂肪酸クロライド(476.9g)を得た。得られたヤシ油脂肪酸クロライドについて、有機リン化合物のリン含有量は0.10重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.30重量%であった。

0043

(実施例4:ステアリン酸クロライド)
ステアリン酸(435.0g)に対し2.0/3当量の三塩化リン(131.0g)を60〜65℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(45.0g)を除去し、反応溶液(521.0g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.05重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.8重量%であった。

0044

その後、40℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするステアリン酸クロライド(445.0g)を得た。得られたステアリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.08重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.11重量%であった。

0045

(実施例5:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸(400g)に対し1.3/3当量の三塩化リン(112.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(56.6g)を除去し、反応溶液(455.4g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.62重量%であった。

0046

その後、30℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力665Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするヤシ油脂肪酸クロライド(432.6g)を得た。得られたヤシ油脂肪酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.05重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.11重量%であった。

0047

(実施例6:ラウリン酸クロライド)
ラウリン酸(400.0g)に対し1.5/3当量(130.7g)の三塩化リンを50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(58.2g)を除去し、反応溶液(472.5g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.00重量%であった。

0048

その後、60℃、窒素流量8.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3×10Paで1.5時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするラウリン酸クロライド(448.5g)を得た。得られたラウリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.08重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.08重量%であった。

0049

(実施例7:ステアリン酸クロライド)
ステアリン酸(435.0g)に対し2.0/3当量の三塩化リン(131.0g)を60〜65℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(45.0g)を除去し、反応溶液(521.0g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.05重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.8重量%であった。

0050

その後、40℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3×10−1Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするステアリン酸クロライド(443.0g)を得た。得られたステアリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.07重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.08重量%であった。

0051

(比較例1:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸(400.0g)に対し1.5/3当量の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(57.5g)を除去し、反応溶液(472.5g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.9重量%であった。

0052

その後、薄膜蒸留器で蒸留し蒸留ヤシ脂肪酸クロライド(452.4g)を得た。得られたヤシ油脂肪酸クロライド中の有機リン化合物のリン含有量は0.01重量%であり、無機リン化合物のリン含有量はN.D.(0.01重量%未満)であった。

0053

(比較例2:ラウリン酸クロライド)
ラウリン酸(400.0g)に対し2.5/3当量の三塩化リン(218.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(58.2g)を除去し、反応溶液(558.6g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.08重量%、無機リン化合物のリン含有量は3.00重量%であった。

0054

その後、40℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力665Paで3時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするラウリン酸クロライド(542.1g)を得た。得られたラウリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.20重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.17重量%であった。

0055

(比較例3:パーム核脂肪酸クロライド)
パーム核脂肪酸(400.0g)に対し1.5/3当量の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(57.0g)を除去し、パーム核脂肪酸クロライド(472.5g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.0重量%であった。

0056

その後、60℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力200×102Paで25時間処理し、未反応の三塩化リンを除去しパーム核脂肪酸クロライド(445.8g)得た。得られたパーム核脂肪酸クロライドについて、有機リン化合物のリン含有量は0.15重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.02重量%であった。

0057

(比較例4:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸(240.0g)に対し0.9/3当量の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(34.1g)を除去し、ヤシ油脂肪酸クロライド(335.2g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量はN.D.(0.01重量%未満)、無機リン化合物のリン含有量は0.4重量%であった。

0058

その後、30℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力665Paで2時間処理し、未反応の三塩化リンを除去した。得られたヤシ油脂肪酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物の含有量は0.10重量%であった。

0059

(比較例5:ラウリン酸クロライド)
ラウリン酸(400g)に対し1.5/3当量の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(56.9g)を除去して474.6gのラウリン酸クロライドを得た。得られたラウリン酸クロライドについて、有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.00重量%であった。

0060

(比較例6:ステアリン酸クロライド)
ステアリン酸(435.0g)に対し2.0/3当量の三塩化リン(130.7g)を60〜65℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(44.7g)を除去して反応溶液(521.0g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.05重量%、無機リン化合物のリン含有量は1.8重量%であった。

0061

その後、80℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力266.6×10Paで1.5時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的のステアリン酸クロライド(446.2g)を得た。得られたステアリン酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.07重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.02重量%であった。

0062

(比較例7:ヤシ油脂肪酸クロライド)
ヤシ油脂肪酸に対し1.5/3当量(400.0g)の三塩化リン(130.0g)を50〜60℃で滴下しクロル化反応を行った。2時間の静置分層後、下層の亜リン酸(57.0g)を除去し、反応溶液(472.6g)を得た。亜リン酸除去後の反応溶液の有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.90重量%であった。

0063

その後、70℃、窒素流量3.0×10−3m3/kg・hr、圧力133.3×10−1Paで1時間処理し、未反応の三塩化リンを除去して目的とするヤシ油脂肪酸クロライド(452.6g)を得た。得られたヤシ油脂肪酸クロライドの有機リン化合物のリン含有量は0.02重量%、無機リン化合物のリン含有量は0.01重量%であった。

0064

(比較例8−14)
比較例1の蒸留ヤシ脂肪酸クロライドにホスホン酸(特級、和光純薬工業製)およびドデシルリン酸(和光純薬工業製)を添加し、無機リン化合物および有機リン化合物のリン含有量を測定した。

0065

(脂肪酸クロライドのにごりの評価)
得られた各脂肪酸クロライドの溶液100mlガラスサンプル瓶にいれ、25℃で外観を観察し、以下の基準で評価した。

◎: 透明
○: わずかなにごりあり
△: にごりあり
×:沈殿あり

0066

(脂肪酸クロライドの色相の評価(経時安定性))
得られた各脂肪酸クロライドを100mlガラス製サンプル瓶に蓋をして、25℃、1ヶ月保存したときの、25℃における色相の変化(ΔAPHA)を評価した。

ΔAPHA=(経時安定性試験後のAPHAの値)−(経時安定性試験前のAPHAの値)

◎: ΔAPHAが0〜29
○: ΔAPHAが30〜59
△: ΔAPHAが60〜89
×: ΔAPHAが90以上

0067

0068

0069

0070

0071

0072

表1〜2の実施例においては、脂肪酸クロライドのにごりが少なく、経時による色相変化が抑制されている。

0073

表3の比較例1は、脂肪酸クロライドから蒸留器によってリン化合物を蒸発させたものであり、無機リン化合物のリン含有量、有機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。
比較例2では、三塩化リンの当量が多く、有機リン化合物のリン含有量が多く、にごりがある。
比較例3では、工程2での圧力が高く、無機リン化合物のリン含有量が少なく、有機リン化合物のリン含有量が多く、経時による色相変化が大きい。
比較例4では、三塩化リンの当量が少なく、有機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。

0074

表4の比較例5では、工程2を行っておらず、無機リン化合物のリン含有量が多く、有機リン化合物のリン含有量が少なく、沈殿物がある。
比較例6では、工程2における温度が高く、無機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。
比較例7では、工程2における温度が高く、無機リン化合物のリン含有量、有機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。

実施例

0075

表5の比較例8〜14は、リンを蒸留によって除去した比較例1の脂肪酸クロライドに対して、無機リン化合物、有機リン化合物を外部から添加することによって、無機リン化合物のリン含有量、有機リン化合物のリン含有量を調整したものである。
そして、比較例8〜10では、有機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。
比較例11〜13では、無機リン化合物のリン含有量が少なく、経時による色相変化が大きい。
比較例14では、無機リン化合物のリン含有量、有機リン化合物のリン含有量ともに本発明実施例と変わらないが、しかし経時による色相変化が大きい。

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