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技術 安定な粉末状フィチン酸組成物、その製造法及びそれを用いた食品の風味品質改良剤

出願人 小川博衛小川明宏
発明者 小川博衛小川明宏
出願日 2015年8月24日 (6年5ヶ月経過) 出願番号 2015-164865
公開日 2015年11月26日 (6年2ヶ月経過) 公開番号 2015-211697
状態 特許登録済
技術分野 調味料
主要キーワード 回転撹拌翼 フィチン酸水溶液 劣化変質 コーヒーフレッシュ 比較例群 混合吸着 薫製品 攪拌機内
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重要な関連分野

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課題

フィチン酸は、キレート剤防腐剤などとして食品医療、金属の防錆などの分野で用いられているが、その水溶液は短時日のうちに褐色になり、ついで黒褐色の沈殿が生じ、キレート化能も低下する。褐変、黒褐色の沈殿が生じたフィチン酸水溶液は、その効力の低下、着色などの観点から、特に食品分野での使用が制限される。

解決手段

フィチン酸を酢酸ナトリウム粉末密着した状態で存在させた粉末ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルから選ばれた乳化剤を均一に含ませた安定化粉末状フィチン酸組成物は、6ヶ月以上の貯蔵後も殆ど変色せず、この粉末を用時水溶液とすれば着色のないフィチン酸−酢酸ナトリウム水溶液が得られる。この粉末状フィチン酸組成物は、食品、特に獣肉、鳥肉魚介類植物蛋白発酵食品、油脂または油脂含有食品といった、特有の臭いや生臭さを有する食材に添加すると、それらの臭いを抑制し、食品に良好な風味を賦与し且つ品質を高める効果がある。

概要

背景

フィチン酸ミオ-イノシトール六リン酸エステルで黄色を帯びた粘稠液体である。このフィチン酸は、種子など多くの植物組織に含まれるフィチン無機酸で処理して得ることができ、キレート化剤として用いられる外、食品風味改良剤としても用いられている。

フィチン酸は、天然物、例えば米糠などに存在するフィチンを無機酸で処理して製造されるが、精製が極めて困難であり、新鮮なものは通常不純物を含んだままの48.0〜52.0%の水溶液で、一般的には50%水溶液として市販されている。フィチンから得られた新鮮なフィチン酸50%水溶液は無色乃至淡黄色を帯びたやや粘稠な液体であるが、遮光ビンに入れて常温で保存した場合、約一週間後には褐色になり、1ヶ月後には黒褐色の沈殿を有する濃褐色の液体となる。この色の変化に伴い、フィチン酸のキレート化能や、食品に対する保存効果風味改良向上効果も低下する。褐変し、黒褐色の沈殿を生じたフィチン酸水溶液は、その効果の減少、着色などの点で食品分野での使用が制限される。

これまでにフィチン酸水溶液をできるだけ長期間褐変させずに保存する技術が検討され、その幾つかが公表されている。
その一つに、フィチン酸水溶液に2以上のカルボキシル基を有する有機酸ヒドロキシカルボン酸ホウ酸及びそれらの塩の少なくとも一種を添加する方法が記載された文献(特許文献1)がある。この文献には、2以上のカルボキシル基を有する有機酸として、クエン酸リンゴ酸酒石酸琥珀酸フマル酸乳酸マロン酸シュウ酸が挙げられている。しかし実験例によれば、50%フィチン酸水溶液に10%の有機酸を加えたもの(即ちフィチン酸に対してクエン酸を20%添加したもの)を40℃で保存した場合、12日間は色の変化が無かったと記載されているが、本願発明者らの追試によれば、12日間でかなりの褐変をみた。従って、この方法も或る程度のフィチン酸水溶液の安定化効果が認められるが、実用化という点では不十分である。
また、フィチン酸水溶液に、クエン酸ナトリウムをフィチン酸に対して同重量添加したものが、2週間は変色防止効果があるものの、8週間では変色したとの実験結果が記載された文献(特許文献2)が公開されている。本願発明者らが行ったこの実験の追試によれば、この液は4週間後にはかなり褐変し、8週間後には黒褐色に変化するとともに、黒色濁りが生じた。
本発明者らは、これまでにフィチン酸水溶液の着色防止に効果があるとされる物質をフィチン酸水溶液に添加して、その効果を検証したが、いずれも2ヶ月以内にかなりの着色が見られ、食用に供し得ないという結果が得られた。またこのフィチン酸水溶液の着色変化は、温度の上昇とともに加速されることも判明した。
本発明者らは、これらの実験を通して、フィチン酸を水溶液として存在させておく限り、常温(25℃)ではフィチン酸が分解、重合、不純物との反応等により変質して、褐変や沈殿が生ずるものと思い、フィチン酸水溶液をデンプンデキストリンのような食品に用いられる粉末賦形剤と混合して吸着させれば褐変が防止できるのではないかと考えた。そこで、フィチン酸50%水溶液を10倍量のデキストリンに混合吸着させて白色粉末状組成物を作成し、遮光瓶に収容して常温(25℃)で保存したところ、粉体は2週間で黄色に変化し、5週間で褐色に変化した。これを水に溶かしたところ、液は褐色を呈した。

特開平4−21692号公報
特開2005−225790号公報

概要

フィチン酸は、キレート剤防腐剤などとして食品、医療、金属の防錆などの分野で用いられているが、その水溶液は短時日のうちに褐色になり、ついで黒褐色の沈殿が生じ、キレート化能も低下する。褐変、黒褐色の沈殿が生じたフィチン酸水溶液は、その効力の低下、着色などの観点から、特に食品分野での使用が制限される。フィチン酸を酢酸ナトリウム粉末密着した状態で存在させた粉末にポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルから選ばれた乳化剤を均一に含ませた安定化粉末状フィチン酸組成物は、6ヶ月以上の貯蔵後も殆ど変色せず、この粉末を用時水溶液とすれば着色のないフィチン酸−酢酸ナトリウム水溶液が得られる。この粉末状フィチン酸組成物は、食品、特に獣肉、鳥肉魚介類植物蛋白発酵食品、油脂または油脂含有食品といった、特有の臭いや生臭さを有する食材に添加すると、それらの臭いを抑制し、食品に良好な風味を賦与し且つ品質を高める効果がある。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

請求項2

酢酸ナトリウム粉末に対するフィチン酸の使用量が、0.003〜3.0重量倍である請求項1記載の安定化粉末状フィチン酸組成物。

請求項3

ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルにおけるグリセリン重合度が2〜12である請求項1又は2記載の安定化粉末状フィチン酸組成物。

請求項4

さらに酸類またはその塩類を含有させてなる請求項1〜3のいずれかに記載の安定化粉末状フィチン酸組成物。

請求項5

請求項1〜4のいずれかに記載の安定化粉末状フィチン酸組成物を含有する食品風味品質改良剤

請求項6

食品の風味品質改良剤が獣肉、鳥肉魚介類植物蛋白発酵食品、油脂または油脂含有食品臭み抑制剤である請求項6記載の食品の風味品質改良剤。

技術分野

0001

本発明は、粉末状酢酸ナトリウムフィチン酸密着させた状態で存在させた安定な粉末状フィチン酸組成物、その製造法及びそれを用いた食品風味品質改良剤に関する。

背景技術

0002

フィチン酸はミオ-イノシトール六リン酸エステルで黄色を帯びた粘稠液体である。このフィチン酸は、種子など多くの植物組織に含まれるフィチン無機酸で処理して得ることができ、キレート化剤として用いられる外、食品の風味改良剤としても用いられている。

0003

フィチン酸は、天然物、例えば米糠などに存在するフィチンを無機酸で処理して製造されるが、精製が極めて困難であり、新鮮なものは通常不純物を含んだままの48.0〜52.0%の水溶液で、一般的には50%水溶液として市販されている。フィチンから得られた新鮮なフィチン酸50%水溶液は無色乃至淡黄色を帯びたやや粘稠な液体であるが、遮光ビンに入れて常温で保存した場合、約一週間後には褐色になり、1ヶ月後には黒褐色の沈殿を有する濃褐色の液体となる。この色の変化に伴い、フィチン酸のキレート化能や、食品に対する保存効果風味改良向上効果も低下する。褐変し、黒褐色の沈殿を生じたフィチン酸水溶液は、その効果の減少、着色などの点で食品分野での使用が制限される。

0004

これまでにフィチン酸水溶液をできるだけ長期間褐変させずに保存する技術が検討され、その幾つかが公表されている。
その一つに、フィチン酸水溶液に2以上のカルボキシル基を有する有機酸ヒドロキシカルボン酸ホウ酸及びそれらの塩の少なくとも一種を添加する方法が記載された文献(特許文献1)がある。この文献には、2以上のカルボキシル基を有する有機酸として、クエン酸リンゴ酸酒石酸琥珀酸フマル酸乳酸マロン酸シュウ酸が挙げられている。しかし実験例によれば、50%フィチン酸水溶液に10%の有機酸を加えたもの(即ちフィチン酸に対してクエン酸を20%添加したもの)を40℃で保存した場合、12日間は色の変化が無かったと記載されているが、本願発明者らの追試によれば、12日間でかなりの褐変をみた。従って、この方法も或る程度のフィチン酸水溶液の安定化効果が認められるが、実用化という点では不十分である。
また、フィチン酸水溶液に、クエン酸ナトリウムをフィチン酸に対して同重量添加したものが、2週間は変色防止効果があるものの、8週間では変色したとの実験結果が記載された文献(特許文献2)が公開されている。本願発明者らが行ったこの実験の追試によれば、この液は4週間後にはかなり褐変し、8週間後には黒褐色に変化するとともに、黒色濁りが生じた。
本発明者らは、これまでにフィチン酸水溶液の着色防止に効果があるとされる物質をフィチン酸水溶液に添加して、その効果を検証したが、いずれも2ヶ月以内にかなりの着色が見られ、食用に供し得ないという結果が得られた。またこのフィチン酸水溶液の着色変化は、温度の上昇とともに加速されることも判明した。
本発明者らは、これらの実験を通して、フィチン酸を水溶液として存在させておく限り、常温(25℃)ではフィチン酸が分解、重合、不純物との反応等により変質して、褐変や沈殿が生ずるものと思い、フィチン酸水溶液をデンプンデキストリンのような食品に用いられる粉末賦形剤と混合して吸着させれば褐変が防止できるのではないかと考えた。そこで、フィチン酸50%水溶液を10倍量のデキストリンに混合吸着させて白色粉末状組成物を作成し、遮光瓶に収容して常温(25℃)で保存したところ、粉体は2週間で黄色に変化し、5週間で褐色に変化した。これを水に溶かしたところ、液は褐色を呈した。

0005

特開平4−21692号公報
特開2005−225790号公報

発明が解決しようとする課題

0006

そこで本発明者らは、長期間、できれば6ヶ月以上常温で保存した後でも食品の風味品質改良剤として用いることができる安定化されたフィチン酸含有粉末状組成物を得ることを目指して鋭意検討を重ねた。

課題を解決するための手段

0007

本発明者はさらに研究を重ねた結果、粉末状の酢酸ナトリウムに、フィチンの酸処理で得られた新鮮で微黄色のフィチン酸水溶液を噴霧または少量ずつ添加し、酢酸ナトリウムが粉末状を保持した状態で撹拌することにより得られる“フィチン酸が酢酸ナトリウム粉末と密着した状態で存在する粉末状組成物”が、6ヶ月以上経過後も殆ど変色せず、この粉末を水に溶解させれば新鮮なフィチン酸と酢酸ナトリウムの水溶液と同様の性能を有する水溶液が得られることを知見した。
このフィチン酸と粉末状の酢酸ナトリウムの密着状態は、酢酸ナトリウムの粉末の表面にフィチン酸水溶液が直接接触した時両者の接触面で何らかの化学的結合が生じ、その状態で乾燥されることによりフィチン酸が水溶液の状態で進行する分解、重合、副反応などの化学変化が抑制されるものと考えられる。
このフィチン酸と酢酸ナトリウム粉末が密着した粉末状組成物は、フィチン酸と酢酸ナトリウムを溶解した水溶液を乾燥することによっても得られる。
さらに、フィチン酸と粉末酢酸ナトリウムを密着させた本発明の粉末状フィチン酸組成物は、食品に添加したとき、酢酸ナトリウムに由来する酢酸臭が抑制され、食品に対する優れた風味品質改良効果を得ることも確認できた。そして、この組成物に乳化剤を併用することにより食品の味質、風味をより改善し、さらに有機酸およびその塩類を添加することにより食品に対する品質改良性をより高めることもできることを確認した。
本発明はこれらの知見を基に、更に研究を重ね完成したものである。

0008

即ち本発明は
(1)フィチン酸が酢酸ナトリウム粉末粒子表面に密着した状態で均一に存在する粉末にポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルから選ばれた乳化剤を均一に含ませた安定化粉末状フィチン酸組成物、
(2)酢酸ナトリウム粉末に対するフィチン酸の使用量が、0.003〜3.0重量倍である(1)記載の安定化粉末状フィチン酸組成物、
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステル及びポリグリセリン縮合リシノール酸エステルにおけるグリセリン重合度が2〜12である(1)又は(2)記載の安定化粉末状フィチン酸組成物、
(4)さらに酸類またはその塩類を含有させてなる(1)〜(3)のいずれかに記載の安定化粉末状フィチン酸組成物、
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載の安定化粉末状フィチン酸組成物を含有する食品の風味品質改良剤、
(6)食品の風味品質改良剤が獣肉、鳥肉魚介類植物蛋白発酵食品、油脂または油脂含有食品臭み抑制剤である(6)記載の食品の風味品質改良剤、
である。

0009

本発明に用いられる酢酸ナトリウム粉末は、酢酸ナトリウム無水和物又は水和物の結晶をそのまま、またはそれらを更に粉砕して得ることができる。これらは食品衛生上安全なものを用いるが、粉末状無水酢酸ナトリウムを用いるとより安定な粉末状製剤が容易に得られる。また、高比容積の無水酢酸ナトリウム粉末はフィチン酸水溶液の吸着性が高く、特に有用である。

0010

酢酸ナトリウム粉末粒子の平均粒子径はどのようなものでも良いが、取り扱いの便宜上からいえば、通常0.01〜3.0mm、好ましくは0.03〜2.0mmである。
フィチンを酸処理して得られた新鮮なフィチン酸の50重量%水溶液はそのまま、または更に水で希釈して酢酸ナトリウムの粉末に加えることができる。

0011

酢酸ナトリウムの粉末にフィチン酸水溶液を加えてフィチン酸を酢酸ナトリウム粉末粒子に密着させた安定化フィチン酸粉末状組成物を調製するには、通常、フィチン酸水溶液を酢酸ナトリウム粉末と均一に混合し、必要により乾燥させることにより得ることができる。
混合時フィチン酸水溶液中のフィチン酸が50%を超える高濃度である場合、飴状となって均一に分散しにくい場合がある。従って50%以下の水溶液として酢酸ナトリウム粉末と混合攪拌して吸着させ、粉末状にするのが望ましい。また、酢酸ナトリウム粉末を攪拌しながらフィチン酸水溶液を噴霧して加えるとフィチン酸を均一に吸着させることができる。
酢酸ナトリウム粉末にフィチン酸水溶液を混合する際、粉末状酢酸ナトリウムとフィチン酸との接触により熱が発生し、冷却後に安定な粉末となる。この混合の際に高い熱が発生すると組成物が変色することがあるため、冷却しながら混合すると変色せず、且つ短時間で安定な粉末を得ることができる。この混合物冷却装置は特に制限はなく、例えば混合機自体に冷却装置を付けて攪拌しながら、混合槽内壁より冷却しても良いし、混合槽の内部圧陰圧状態にし、水蒸気蒸発を促進させて気化熱奪うことにより温度の上昇を抑えてもよい。また、攪拌しながら冷風を混合槽に送風し冷却しても良い。その際の混合物の温度を、通常0〜80℃、好ましくは10〜60℃、より好ましくは10〜50℃になるように冷却すると良い。
本発明の安定化粉末状フィチン酸組成物は、フィチン酸と酢酸ナトリウムを溶解した水溶液を減圧乾燥または、噴霧乾燥機により噴霧乾燥することによっても得ることができる。
また、噴霧方式高圧ノズル二流体ノズル加圧二流体ノズル或いはディスク方式いずれの方法でも良い。この場合の噴霧乾燥槽も吹き込み温度として通常0〜150℃、好ましくは0〜120℃、より好ましくは0〜100℃になるように温度の調節を行うのがよい。更に減圧乾燥を合わせるのが好ましい。また、還元糖還元澱粉分解物等を賦形剤として用いることもできるが、粉末化において高熱をかけない方法ならば特に制限はなく、凍結乾燥法等の方法でも良い。また、粉末化においては、これらいかなる組合せにより粉末化しても良い。
本発明の組成物中の酢酸ナトリウムに対するフィチン酸の重量比は、通常0.003〜3.0重量倍、好ましくは0.009〜2.5重量倍、より好ましくは0.018〜1.8重量倍である。
本発明の安定な粉末状フィチン酸組成物は、粉末状態、特に乾燥状態で保存する限り、少なくとも6ヶ月は殆ど着色変化がない。そして用時水に溶かせば、微黄色から淡黄色の水溶液となり、特に食品の風味品質改良効果も調製時に比して、遜色がない。

0012

本発明の組成物に、その製造過程や製造後に乳化剤を添加することにより、食品の風味改良効果を増強、促進させることができる。
乳化剤はその種類により常温で粉末状、液体状、ペースト状などのものがあるが、本発明の風味品質改良剤に乳化剤を配合する際に均一に配合できるならば、いかなる添加方法でも良い。例えば、液状またはペースト状の乳化剤は、これをフィチン酸水溶液に加え、常温または加温して酢酸ナトリウムに吸着させても良い。粉末状の乳化剤はフィチン酸水溶液を吸着させた酢酸ナトリウム粉末にそのまま混合しても良い。要するに、フィチン酸と酢酸ナトリウム粉末が密着した粉末製剤に乳化剤が均一に含有された状態であれば良い。

0013

また、乳化剤は油脂と混和して乳化油脂の状態にすればさらに分散性が高まり、より良好な結果が得られる。本発明で用いられる乳化剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルプロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。
好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルである。より好ましくはグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノール酸エステルである。
本発明で用いる乳化剤の脂肪酸エステルを構成する脂肪酸は、例えばカプリル酸カプリン酸ラウリン酸ミリスチン酸パルミチン酸ステアリン酸オレイン酸リノール酸リノレン酸アラキドン酸などの炭素数C8〜C20のものとリシノール酸であるが、好ましくはC10〜C18とリシノール酸、より好ましくはC12〜C16とリシノール酸のものである。

0014

ポリグリセリン脂肪酸エステルは複数のグリセリンが重合し、残った遊離水酸基OH基)に脂肪酸がエステル結合したものである。ポリグリセリンの重合度は2〜14で、好ましくは2〜12、より好ましくは、2〜10である。
乳化剤の使用量は、本発明の粉末状フィチン酸組成物に対して0.03〜30重量%、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.2〜15重量%である。

0015

本発明で乳化剤と共に使用しうる油脂としては、例えば、大豆油綿実油サラダ油パーム油胡麻油、米油サフラワー油ヤシ油コーン油パーム核油オリーブ油魚油動植物油分別油、MCT、エステル交換油等、食用油脂で常温(25℃)で液状ないし融点が50℃以下の油脂の一種又は二種以上混合したものがよい。特に粘度が低く、展延性が高い油脂、例えばサラダ油、コーン油、パーム油、オリーブ油、大豆油、MCT(中鎖脂肪酸トリグリセライド)等が望ましい。
油脂の使用量は、乳化剤の重量に対して通常0.1〜5重量倍、好ましくは0.2〜4重量倍、より好ましくは0.3〜3重量倍である。

0016

本発明の粉末状フィチン酸組成物を食品の風味品質改良剤として用いる場合は更に有機酸または、及びその塩類を添加することにより一層効果が増強される。
用いることができる有機酸または、及びその塩類としては、例えばフマル酸、フマル酸一ナトリウム、クエン酸、クエン酸三ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸、酒石酸水素カリウム酒石酸ナトリウムコハク酸、コハク酸一ナトリウムコハク酸二ナトリウムフェルラ酸アジピン酸、乳酸、乳酸ナトリウムアスコルビン酸アスコルビン酸ナトリウムグルコン酸グルコノデルタラクトンを含む)グルコン酸ナトリウム炭酸ナトリウム炭酸水素ナトリウム等があげられる。
有機酸及びその塩類の中で好ましくはフマル酸、フマル酸一ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、酒石酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、フェルラ酸、アジピン酸、乳酸ナトリウム、アスコルビン酸、アスコルビン酸ナトリウム、グルコン酸(グルコノデルタラクトンを含む)グルコン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等があげられる。
より好ましくはフマル酸、フマル酸一ナトリウム、リンゴ酸、リンゴ酸ナトリウム、コハク酸一ナトリウム、アジピン酸、グルコン酸(グルコノデルタラクトンを含む)グルコン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等である。
有機酸または、及びその塩類の本発明の粉末状フィチン酸組成物に対する添加量は通常0.1〜80重量%、好ましくは0.2〜75重量%である。

0017

本発明の粉末状フィチン酸組成物を食品の風味改良剤として脱臭に用いる場合は、更に脱脂粉乳スキムミルク)、含脂粉乳、母乳代替品練乳、畜乳、ホエー蛋白バターミルクパウダーカゼインカルシウムカゼイネート、ナトリウムカゼイネート、マグネシウムカゼイネート、及びカリウムカゼイネート)、ラクトフェリンクリーミーパウダーコーヒーフレッシュ、その他粉乳代替品を用いることが出来る。
粉乳及びその代替品の本発明の粉末状フィチン酸組成物に対する添加量は通常1〜50重量%、好ましくは3〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%である。

0018

本発明の食品の風味品質改良剤を製造するには温度調節機能の付いた加水混合機リボンブレンダー等を使用することができる。また、製剤の粉末安定化やフィチン酸含量を高めるためにフィチン酸水溶液の加温、混合物の減圧乾燥、または噴霧乾燥により、安定でフィチン酸含量の高い製品が得られる。
本発明の風味品質改良剤のpHは1%の水溶液として通常4.5〜11.0、好ましくは5.0〜10.5、より好ましくは5.2〜10.0である。

0019

本発明の組成物を食品に使用する場合の、食品に対する添加量は、製剤自体の組成にもよるが、通常0.1〜10.0重量%、好ましくは0.2〜8.0重量%、より好ましくは0.3〜6.0重量%である。
本発明の風味品質改良剤及びこれを含む食品は、目的に応じ各種の添加物、例えばグリシン、DL−アラニングルタミン酸ナトリウム等のアミノ酸塩化カリウム食塩等の調味料酢酸醸造酢等のpH調整剤甘味料、糖類、サトウキビ抽出物糊料酸味料、油脂、香辛料及びその抽出物エタノールポリリジンプロタミンナイシンホップ抽出物リゾチーム等の抗菌剤保存料、各種ビタミンオルトリン酸塩メタリン酸塩ポリリン酸塩ピロリン酸塩栄養強化剤酸化防止剤等を製剤に加えてもよいし、製剤使用時に併用してもよい。

0020

本発明の風味品質改良剤の食品への添加は、常圧又は減圧下で必要により冷却、加温などの温度調節を行った食品に混合、煉合したり、それらを含む浸漬液タレ調味液に浸漬する、漬け込む、煮付ける、まぶす、塗布する方法や、タンブラー等でタンプリングインジェクト調製液を浸入させる方法又は煉製品の製造工程でねり込む等、食品になるべく均一に浸透させることにより行われる。

0021

本発明の対象食品としては、たとえば冷凍すり身魚肉練り製品(例、蒲鉾竹輪、さつま揚げ魚肉ソーセージ等)、畜肉製品(例、肉ソーセージハンバーグ肉団子ミートソース等)、総菜(例、サラダギョーザシュウマイコロッケ等)、調味液(例、肉エキスソース、たれ、ケチャップマスタードドレッシングシーズニングオイルジャム等)、パン類スープ類(例、ポタージュコンソメコーンオニオンクラムチャウダー等)、煮込み料理(例、ブイベース、ボルシチ、サムタントムヤンクン等)、佃煮類、塩辛類、漬物(例、味噌漬、浅漬、コウジ漬等)、乾燥品(例、みりんぼし、なまぼし、塩干物等)、薫製品(例、さけ、肉等の薫製品)、卵製品(例、玉子豆腐、厚焼き、マヨネーズ等)、豆腐大豆蛋白生肉加工品(例、ミンチひき肉)、あん類(まめ、いも、小豆等)、魚類、肉、野菜等、およびそれらの揚げ物焼き物煮物または蒸し物等が挙げられるが、中でも豚肉猪肉などの獣肉、鶏やアヒル等の禽肉、、鰯やあさり、しじみ、烏貝、甲殻類カニエビ等)、軟体動物イカタコ等)などの魚介類を含む食肉に適用すると、それらの持つ特有の臭みを軽減し、食品に良好な食感と風味を与える。

発明の効果

0023

本発明の粉末状酢酸ナトリウムにフィチン酸水溶液を添加、吸着及び、または密着させて得られた粉末状フィチン酸組成物は、6ヶ月以上の長期に亘って保存しても変色せず、用時水に溶解すれば新鮮なフィチン酸水溶液と同様に殆ど無色、無臭であり、食品に添加することにより獣、、魚介類、植物蛋白、発酵食品、油脂または油脂含有食品特有の悪臭及び生臭さを消し、食品に良好な風味と品質を賦与する。

0024

以下に製剤例の製造方法を具体的に説明する。
粉末製剤(1−1)
無水酢酸ナトリウム粉末140gを直径20cm、上下2枚の回転撹拌翼を有する攪拌機に収容し、攪拌しながら30%フィチン酸水溶液60gを約15分かけて少量ずつ加え、均一に吸着させた。混合物は吸着の発熱反応により40〜60℃となるが、撹拌を続けるうちに次第に温度が低下した。冷却後、混合物を軽く粉砕し、目開2×2mm篩篩過して粉末製剤(1−1)を得た。
粉末製剤(1−2)
上記(1−1)と同様の操作により、無水酢酸ナトリウム粉末172gを攪拌機内で攪拌しながら50%のフィチン酸水溶液28gを少量ずつ加え、撹拌、吸着、冷却後粉砕し、篩過して粉末製剤(1−2)を得た。
粉末製剤(1−3)
上記(1−1)と同様の操作により、無水酢酸ナトリウム粉末195gと30%フィチン酸水溶液5gから粉末製剤(1−3)を得た。
粉末製剤(1−4)
乳化剤[ヘキサグリセリン縮合シノレート(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムPR−300)]4g及び30%フィチン酸水溶液27.4gを加温しながら分散、混合して得た溶液を、上記(1−1)と同様の操作で無水酢酸ナトリウム粉末168.6gに撹拌しながら加え、吸着、冷却後粉砕、篩過して粉末製剤(1−4)を得た。
粉末製剤(1−5)
無水酢酸ナトリウム30gと50%フィチン酸水溶液60gをフラスコ内で混合溶解し(発熱)、これをロータリーエバポレーターに装着する。ロータリーエバポレーターの冷却管には冷水循環し減圧下、回転攪拌しながらフラスコを60℃の温浴中で2時間乾燥、粉砕、篩過して粉末製剤(1−5)を得た。
粉末製剤(1−6)
無水酢酸ナトリウム3gと30%フィチン酸水溶液25gをフラスコ内で混合溶解する(発熱)。さらにこれに還元澱粉加水分解物化学工業株式会社製;商品名:H・パイデックス)を22g溶解し、ロータリーエバポレーターに装着する。ロータリーエバポレーターの冷却管には冷水を循環し減圧下、回転攪拌しながらフラスコを60℃の温浴中で2時間乾燥、粉砕、篩過して粉末製剤(1−6)を得た。
粉末製剤(1−7)
30%フィチン酸水溶液2.5Kg、無水酢酸ナトリウム0.3Kg及び還元澱粉加水分解物(松谷化学工業株式会社製;商品名:H・パインデックス)2.2Kgを水4.0Kgに溶解し(僅かに発熱)、噴霧溶液を調製した。これを吹き込み温度100℃で噴霧乾燥し、粉末製剤(1−7)を得た。

0025

実施例1で得られた各粉末製剤を無色透明ガラス容器に収容して密閉し、同じガラス容器に収容した新鮮な50%フィチン酸水溶液(比較例1)との室温における経時変化観測した。その結果を表1に示す。

0026

表1に示す通り、50%フィチン酸水溶液単独(比較例1)では3ヶ月経過時では顕著な変色、及び異臭が認められた。一方、本発明の実施例1の粉末製剤(1−1)〜(1−6)は、6〜12ヶ月の貯蔵後においても経時的に色および臭いの変化が殆ど認められなかった。また、それら粉末の1%水溶液も殆ど無色、無臭であった。

0027

実施例1の各製剤と同様の方法により以下の粉末製剤を調製し、室温における経時変化を観察した。その結果を表に示した。

0028

表2に示す通り、製剤例(2−1)〜(2−3)に記載の各製剤は、経時的に色および臭いの変化を殆ど認めず、粉末製剤としての長期安定性が認められた。またそれら粉末の1%水溶液も殆ど無色、無臭であった。

0029

実施例1の方法に準じて表3−1、及び表3−2に記載の成分を用いて(A)〜(Z)の製剤を調製した。

0030

0031

なお、表3−1、及び表3−2で使用した各乳化剤は以下のものである。
ヘキサグリセリン縮合リシノレート(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムPR-300)
テトラグリセロール脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製;商品名:SYグリスターCR-310)
グリセリンモノ脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムP-200)
デカグリセロールデカ脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製;商品名:SYグリスターDA0-7S)
デカグリセロール脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製;商品名:SYグリスターOE-750)
蒸留ジグリセリン脂肪酸エステル(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムDS-100A)
デカグリセリンモノラウレート(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムJ-0021)
ジグリセリンモノミリステート(理研ビタミン株式会社製;商品名:ポエムDM-100)
ヘキサグリセロールトリ脂肪酸エステル(阪本薬品工業株式会社製:商品名:SYグリスターTS-5S)

0032

豚肉ハンバーグの調理官能テスト
下記表4(レシピ)の材料および表5に示す調製6ヶ月後の製剤を混合、練合し、1個50gのハンバーグを成形した。これを250℃に予熱したオーブンで10分間加熱した。調理後熟練したパネラー(10名)による官能テストを行った。

0033

0034

0035

(注1):残りのパネラーは、豚臭を認めなかった。
(注2〜7):残りのパネラーはいずれも製剤例(3−15)と区別が付かなかった。

0036

上より、本発明では、比較例群に比して(I)群、及び(III)群で顕著な豚臭抑制効果が認められた。また(II)群では、(I)群及び(III)群に比して、より高い豚臭抑制効果が認められた。更に、(II)群に比して(IV)群では、極めて顕著な豚臭抑制効果が得られるとともに、良好な風味改良効果が認められた。即ち効果の順序は、比較例<(I)<(III)<(II)<(IV)となった。

0037

豚肉ハンバーグにおける保存効果
前記表4(レシピ)に示す材料と表7に示す調製後6ヶ月の製剤を混合、練合して、1個50gのハンバーグを成形した。250℃に予熱したオーブンで10分間加熱した。調理後、30℃の恒温条件下にてこれら検体を保存し、表8に記載した24時間後ならびに48時間後における検体中の生菌数(cells/g)を観察した。

0038

0039

本発明における製剤は、ハンバーグの保存に関して比較例4−1(無添加)より顕著な保存効果を示すことがわかった。
また、比較例4−2では、やや酸味及び酸臭が認められた。一方、本発明の実施例4−3では、酸味及び酸臭が認められず、風味品質ともに良好であった。

0040

サバの煮付けの風味
下記表9(レシピ)に従って煮汁を調製し、表10記載の調製後6ヶ月の製剤を煮汁に溶かして添加した。これに生サバの切り身を入れ弱火で加熱し、沸騰後、更に弱火で5分間加熱した。調理直後、熟練したパネラー(10名)にてサバの煮付けの風味の官能テストを実施した。その結果を表11に記載した。

0041

0042

サバの煮付け調理直後に行ったパネラー(10名)による官能テスト結果は下記のようになった。

0043

(注1):残りのパネラーはいずれも、サバの生臭みは感じられなかった。
(注2〜4):残りのパネラーはいずれも、サバの生臭み抑制効果は製剤例(5−15)と同程度であった。
(注5):残りのパネラーは、サバの生臭み抑制、風味改質効果は共に製剤例(5−23)と同程度であった。
以上より、本発明では比較例群に比して(I)群で顕著なサバの生臭み抑制効果が認められた。また、(I)群に比して(II)群では極めて顕著なサバの生臭み抑制効果が認められた。(III)群では(I)群に比して風味改良効果が認められた。更に、(II)、(III)群に比して(IV)群では、極めて顕著なサバの生臭み抑制効果が得られるとともに、良好な風味改良効果が認められた。

0044

イワシの蒸団子の風味
下記表12(レシピ)の配合割合練り合わせ、これに表13記載の調製後6ヶ月の各製剤を同表に示す量でそれぞれ均一に練り込み成形後、85〜90℃の温度条件下、10分間蒸し上げた。調理後、該検体を自然冷却し、熟練したパネラー(10名)にてイワシの蒸団子の風味について官能テストを実施した。その結果を表14に掲げる。

0045

0046

官能テストの結果
イワシの蒸団子調理直後に行ったパネラー(10名)による官能テスト結果は下記の通りであった。

0047

以上より、表13各製剤のイワシの蒸団子に対する風味品質改良効果は、(N)≒(O)>(J)≒(K)>(B)>(A)の順に得られることがわかった。

0048

ケーシング玉子の風味、品質
表15(レシピ)に示す材料を混合し、これに表16記載の調製後6ヶ月の製剤を添加し、ケーシング袋に1個50gずつ流し入れて口を閉じた。その後、それらケーシング袋を80〜85℃の湯浴で25分間加熱した。加熱後、冷却しこれらを25℃にて保存した。調理直後、熟練したパネラー(10名)にてケーシング玉子の風味品質の程度等について官能テストを実施した。その結果を表17に記載した。更に、ケーシング玉子の保存効果についても検討し、その結果を表18に記載した。

0049

0050

ケーシング玉子調理直後に行ったパネラー(10名)による官能テスト結果は下記のようになった。

0051

0052

表17及び18に示される通り、比較例に比してフィチン酸を含有する本発明群では、風味品質改良効果を得られることが判明した。

0053

千切りキャベツ変色抑制品質保持効果
下記表19に示す製剤を用いて1重量%水溶液を調製した。この液250g中に、2mmの厚さにスライスしたキャベツ50gを10分間浸漬した後水切りし、10℃にてこれらを表20に記載の時間保存し、熟練したパネラー(10名)により変色の程度およびキャベツの食感を観察・確認した。その結果を表20に掲げた。

0054

※製剤例(8−4)を除く各製剤は、製剤調製直後に試験に供した。

0055

表20において同一組成の製剤例(8−3)及び(8−4)を比較すると、製剤調製直後のものと25℃6ケ月保存したものとでは、千切りキャベツに対する変色抑制効果は10℃におけるいずれの保存時間においても差が認められなかった(10名)。
24時間及び48時間経過後では、製剤例(8−1)を除く検体では変色を認めなかった(10名)。一方、120時間経過後では、フィチン酸を含む製剤を使用した製剤例(8−3)、(8−4)、(8−5)、及び(8−6)で変色を認めなかった(10名)ものの、フィチン酸を含まない製剤を使用した製剤例(8−2)ではやや変色することがわかった(9名)。更に、食感については120時間経過後における製剤例(8−3)、(8−4)、(8−5)、及び(8−6)ではキャベツ繊維の好ましい歯切れ感シャキシャキ感)が保持されていたが、製剤例(8−2)では製剤(8−3)、(8−4)、(8−5)、及び(8−6)に比してシャキシャキ感が劣っていた。
また、144時間経過後では、製剤例(8−2)では変色がかなり進むことがわかったが、製剤例(8−3)、(8−4)、(8−5)、及び(8−6)では極僅しか変色していなかった(10名)。
以上より、表20に記載した製剤の千切りキャベツに対する変色抑制効果及び品質改良効果は、10℃144時間保存条件下において製剤例(8−6)≒(8−5)≒(8−4)≒(8−3)>(8−2)≫(8−1)の順に得られることが示された(10名)。

0056

牛レバー独特の血生臭さと風味
1cm程度の厚みにカットした牛レバー40gを検体とした。調製後6ヶ月の表21に記載の製剤を同表記載の添加量(重量%)にて水100gに添加・混合し、4℃の条件下、0分、10分、20分、30分、及び1時間、浸漬した後、検体を液切りした。これら検体を250℃にて3分30秒間加熱した後、冷却し、検体の臭い・風味を熟練したパネラー(10名)が比較、評価した。その結果を表22に掲げた。

0057

0058

(注1)他のパネラーは、製剤例(9−1)(浸漬時間:10分)の検体に比して、血生臭さ、及び血の味に対する抑制傾向を認めなかった。
(注2)他のパネラーのうち、1名は製剤例(9−1)(浸漬時間:20分)の検体に比して、血生臭さ、及び血の味に対する抑制傾向を認めなかった。
(注3)他のパネラーは、製剤例(9−3)(浸漬時間:10分)に比して血生臭さ、及び血の味の抑制を認めなかった。
(注4)他のパネラーは、製剤例(9−5)(浸漬時間:1時間)の検体に比して血生臭さ、及び血の味の抑制を製剤例(9−5)と同程度認めるも、やや塩味を感じた。

以上より、表21に記載した各製剤の各濃度における風味品質改良効果は、本発明実施例3の製剤(P)の濃度依存的に得られることがわかった。

0059

大豆蛋白質を用いた鶏肉蒸し団子の風味
調製後6ヶ月の下記表23(レシピ)の配合割合(重量%)で材料を充分に練り合わせ、これに表24記載の各製剤を同表に示す割合でそれぞれ均一に練り込んで1個7.0gの肉団子を成形した。これを85〜90℃の温度条件下、10分間蒸し上げた。調理直後、熟練したパネラー(10名)が大豆蛋白入りの鶏肉蒸し団子の風味等について、官能テストを実施した。その結果を表25に掲げる。

0060

0061

0062

以上より、表24記載各製剤の大豆蛋白質に対する風味品質改良効果は、製剤例(10−5)>(10−4)>(10−3)≫(10−2)の順に認められた。

0063

クッキーの風味
クッキーを下表26に示すレシピの材料を充分に混合・撹拌し、これに対して12ヶ月保存した表27に示す製剤を同表に示す割合(重量%)で均一になるように添加・混合してクッキーの種とした。
クッキーの種(およそ7g/枚)を170℃のオーブンにて20分間加熱調理した。冷却後、検体をポリ袋小分けし、室温にて保存した。2週間後、及び4週間後にこれら検体の風味を熟練したパネラー(10名)が比較、評価した。その結果を表28に示す。

0064

0065

0066

(注1)他のパネラーは、2週間後、及び4週間後のいずれでも、殆ど劣化油脂の臭いを認めなかった。

以上より、表27記載各製剤のクッキーに対する風味品質改良効果は、製剤無添加(11−1)のクッキーでは経時的に油脂の劣化臭が強く認められた。一方、本発明実施例3の製剤(Q)(11−2)、及び(11−3)を同表の割合(重量%)で添加した場合、添加量に応じて油脂に対する顕著な劣化防止効果が認められた。

0067

しじみのすましの風味
貝類特有の生臭さ・臭さに対する調製後6ヶ月の表29に記載の製剤の効果を下記要領にて比較した。
充分に水洗したしじみ30gを1検体とした。表29記載の各製剤と食塩を同表に示す割合(重量%)で水80gに添加・混合し、中火で4分間加熱した。冷却後、各検体溶液、及びしじみの身の臭いを熟練したパネラー(10名)が比較・評価した。結果を表30に示す。

0068

0069

(注1)他のパネラーは、加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いについて、あまり生臭さを認めなかった。
(注2)他のパネラーは、製剤例(12−2)に比して同程度の臭いを認めた。

以上より、表29各製剤のしじみのすまし汁に対する風味品質改良効果は、本発明実施例3の製剤(Q)>本発明実施例3の製剤(R)≫比較例製剤(3)≧比較例製剤(2)≒比較例製剤(1)の順に得られることがわかった。

0070

冷凍あさり(あさり汁)の風味
冷凍臭、及び貝類特有の生臭さ・泥臭さに対する表31記載製剤の効果を下記要領にて比較した。
解凍したあさり30gを1検体とした。調製後6ヶ月保存した下表31記載の各製剤と食塩を同表に示す割合(重量%)で水90gに添加・混合し、中火で5分間加熱した。冷却後、各検体溶液、及びの身の臭いを熟練したパネラー(10名)が比較・評価した。結果を表32に示す。

0071

0072

(注1)他のパネラーは、製剤例(13−1)に比して加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いのいずれでも生臭さの抑制を認めた。
(注2)他のパネラーは、製剤例(13−1)、及び(13−2)に比して加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いのいずれでも、僅かに生臭さの抑制を認めた。

以上より、表31各製剤の冷凍あさり(あさり汁)に対する風味品質改良効果は、本発明実施例3の製剤(S)>本発明実施例3の製剤(R)≫比較例製剤(4)>比較例製剤(2)≒比較例製剤(1)の順に得られることがわかった。

0073

冷凍いか(ボイルいか)の風味(特に臭い)
冷凍いか特有の生臭み及び冷凍臭に対する表33記載製剤の効果を比較するために、下記要領にて冷凍いかを調理した。
冷凍いかを流水で解凍した後、2cm×2cm程度の大きさにカットし、30gを1検体とした。調製後6ヶ月の下表33記載の製剤と食塩を同表に示す割合(重量%)で水60gに添加・混合し、中火で4分30秒間加熱した。冷却後、各検体を液部と固形部に分け、それぞれの部分の臭いを熟練したパネラー(10名)が比較、評価した。結果を表34に示す。

0074

0075

(注1)他のパネラーは、製剤例(14−1)に比して加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いのいずれでも生臭さの抑制を認めた。
(注2)他のパネラーは、製剤例(14−1)、及び(14−2)に比して加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いのいずれでも、僅かに生臭さの抑制を認めた。
(注3)他のパネラーは、製剤例(14−2)に比して加熱後の検体溶液の臭い、及び検体の臭いのいずれでも顕著な生臭さの抑制を認めた。

以上より、表33に記載の各製剤の冷凍いか(ボイルいか)に対する風味品質改良効果は、本発明実施例3製剤(T)>本発明実施例3製剤(R)≫比較例製剤(5)>比較例製剤(2)≒比較例製剤(1)の順に得られることがわかった。

0076

ボイルエビの風味(特に臭い)
頭、殻、及び背ワタを除去したエビ(ブラックタイガー)を合わせて約50gを1検体とした。調製後6ヶ月の表35に記載の製剤と食塩を同表記載の割合(重量%)にて水100gに混合・溶解した。該溶液を沸騰させ、検体を投入した後、6分間加熱した。冷却後、各検体溶液部、及びエビの固体部(身)の夫々の臭いを熟練したパネラー(10名)が比較、評価した。結果を表36に掲げる。

0077

0078

(注1)他のパネラーは、製剤例(15−1)に比して抑制を認めた。
(注2)他のパネラーは、製剤例(15−1)に比してエビの生臭さの抑制を認めた。
(注3)他のパネラーは、エビの生臭さを認めなかった。

以上より、表35各製剤のボイルエビに対する風味品質改良効果は、本発明実施例3製剤(U)>本発明実施例3製剤(R)≫比較例製剤(6)>比較例製剤(2)≒ 比較例製剤(1)の順に得られることがわかった。

0079

いかの塩辛の風味
表37(レシピ)に示す材料を用いて、いかの塩辛を調理した。
いかを胴体内臓と足とに分ける。胴体と足は洗って吸盤をこすって落とし、キッチンペーパーに包んでそのまま冷蔵庫で一晩おいた後、5mm幅にカットする(I)。内臓は塩32gにまぶしタッパーに入れ、冷蔵庫で一晩おいた後、塩を払って端を切り落とし中身を搾り出す(II)。(I)及び(II)300gを酒15gと和えた後、4℃で一晩熟成した。
上記いかの塩辛と、表38に示す調製後6ヶ月の製剤を混合して、いかの塩辛の風味に対するこれら製剤の効果を下記要領にて比較した。
いかの塩辛20gを検体として、これをポリ袋に小分けした。検体に対して、調製後6ヶ月の表38の製剤を同表記載の割合(重量%)にて混合した。4℃にて3日間保存した該検体を熟練したパネラー(10名)が比較・評価した。結果を表39に掲げる。

0080

0081

実施例

0082

※いかの塩辛の場合、製剤添加直後ではいずれの検体でも味が充分に馴染まなかった。
(注1)他のパネラーは、製剤例(16−1)に比して抑制を認めた。
(注2)他のパネラーは、製剤例(16−1)に比していかの生臭さの抑制を認めた。
(注3)他のパネラーは、いかの生臭さを認めなかった。

以上より、表38各製剤のいかの塩辛に対する風味品質改良効果は、本発明実施例3の製剤(V)>本発明実施例3の製剤(R)≫比較例製剤(7)>比較例製剤(2)≒比較例製剤(1)の順に得られることがわかった。

0083

本発明の粉末安定化されたフィチン酸組成物は、長期の保存が可能であり、用時水に溶解することにより得られるフィチン酸含有溶液は、特に食品に添加して、食品の品質保存性を高め、風味品質を改良する効果を発揮する。就中、獣肉、鳥肉、魚介類の特有の臭いや生臭さ、及び油脂の劣化変質を抑制し、食品に良好な風味を付与する事ができる。

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