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技術 単相系統に接続される電力変換装置

出願人 川崎重工業株式会社
発明者 崎元謙一平瀬祐子吉村英治桂省吾中川英彦野呂治進藤裕司
出願日 2014年4月30日 (6年11ヶ月経過) 出願番号 2014-093894
公開日 2015年11月24日 (5年4ヶ月経過) 公開番号 2015-211617
状態 特許登録済
技術分野 交流の給配電 インバータ装置
主要キーワード 瞬時応答 複素電流 電圧電流計 発電機相 実定数 発電機モデル マグネットコンタクタ クラーク変換
関連する未来課題
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図面 (15)

課題

単相系統に接続され、且つ仮想発電機制御により自立運転が可能な電力変換装置を提供する。

解決手段

電力変換装置1は、単相電力系統100に接続される出力線5へ出力する電力変換器2と、電力変換器2が仮想発電機として動作するよう電力変換器2を制御する制御装置3とを備える。制御装置3は、単相電力系統100の電圧である単相系統電圧Vaから、系統電圧の位相変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度ω及び位相θを取得する電圧電流計測部21と、有効電力P及び無効電力Qを取得する電力取得部22と、位相差Δθを算出するガバナモデル部23と、仮想発電機の誘起電圧の絶対値Efを算出するAVRモデル部24と、仮想発電機の電機子電流に相当する電流指令値Idq_refを算出する発電機モデル部25と、PWM信号PWMacを生成して電力変換器2に出力する電流制御部26とを備える。

概要

背景

近年、ガスエンジン発電機燃料電池等の分散型電源を利用した電力供給システムに関心が高まっている。例えば、特定エリアにおいて、上記の分散型電源と呼ばれる発電装置を用い、この発電装置から複数の負荷電力供給を行うシステムが提案されている。マイクログリッドとも呼ばれるこのようなシステムは、その内部の電力系統に、上記の発電装置に加え、その発電装置の発電電力の変動や負荷変動補償するために二次電池等を備えた電力貯蔵装置が接続されて構成されることが多い。また、電力系統が交流で発電装置が直流である場合がある。このような場合、電力を交流と直流との間で変換する電力変換装置が必要である。

ところで、このような分散型電源を利用したシステムでは、商用電力系統連系して運用される連系運転が想定されている場合が多い(例えば、特許文献1乃至3参照)。

しかし、連系運転と、商用電力系統とは独立して運用される自立運転との双方が想定されている場合がある。このような場合、いずれの運転においても安定した電力供給を実現することが重要である。そして、電力変換装置にもこのような安定した電力供給を可能にする機能を備えることが要求される。

そこで、本件出願人は最近、系統連系する発電機相当の特性(発電機モデル)を有する電力変換装置の制御手法を開発し、連系運転時だけでなく、自立運転時でも安定した電力を供給するとともに、連系運転から自立運転への移行を、制御を切り替えることなく、実現する電力変換装置を提案した(特許文献4参照)。また、特許文献5に開示されたように、このような電力変換装置における自立運転を安定化させるための技術を提案している。

概要

単相系統に接続され、且つ仮想発電機制御により自立運転が可能な電力変換装置を提供する。 電力変換装置1は、単相電力系統100に接続される出力線5へ出力する電力変換器2と、電力変換器2が仮想発電機として動作するよう電力変換器2を制御する制御装置3とを備える。制御装置3は、単相電力系統100の電圧である単相系統電圧Vaから、系統電圧の位相変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度ω及び位相θを取得する電圧電流計測部21と、有効電力P及び無効電力Qを取得する電力取得部22と、位相差Δθを算出するガバナモデル部23と、仮想発電機の誘起電圧の絶対値Efを算出するAVRモデル部24と、仮想発電機の電機子電流に相当する電流指令値Idq_refを算出する発電機モデル部25と、PWM信号PWMacを生成して電力変換器2に出力する電流制御部26とを備える。

目的

本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、単相系統に接続され、且つ仮想発電機制御により自立運転が可能な電力変換装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
0件

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請求項1

直流電力単相交流電力に変換し、単相電力系統に接続される出力線へ出力するよう構成された電力変換器と、前記電力変換器が仮想発電機として動作するよう当該電力変換部を制御するように構成された制御器と、を備え、前記制御器は、前記単相電力系統の電圧である単相系統電圧計測し、且つ計測された当該単相系統電圧から、系統電圧の位相変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度及び位相を取得する電圧計測部と、前記単相電力系統の有効電力及び無効電力を取得する電力取得部と、有効電力指令値に対する前記電力取得部が取得した前記有効電力の偏差、前記仮想発電機のドループ特性、及び前記角速度に基づいて、位相差を算出するガバナモデル部と、無効電力指令値に対する前記電力取得部が取得した前記無効電力の偏差及び前記電圧計測部の計測に基づく系統電圧に基づいて、前記仮想発電機の誘起電圧の絶対値を算出するAVRモデル部と、前記ガバナモデル部で算出された位相差、前記AVRモデルで算出された誘起電圧の絶対値、前記位相に対応する系統電圧のd軸成分及びq軸成分、並びに前記仮想発電機のインピーダンスに基づいて、前記仮想発電機の電機子電流に相当する電流指令値を算出する発電機モデル部と、前記発電機モデル部で算出された電流指令値に基づいて、PWM信号を生成して前記電力変換器に出力する電流制御部と、を備える、電力変換装置

請求項2

前記電圧計測部は、計測された前記単相系統電圧から、DDSRF演算により系統電圧の正相のd軸成分及びq軸成分(以下、単に系統電圧のd軸成分及びq軸成分という)を抽出する電圧正相成分抽出部と、前記電圧正相成分抽出部が抽出した系統電圧のq軸成分を用いて前記系統電圧の角速度及び位相を取得する角速度位相取得部と、備え、前記電圧計測部は、前記DDSRF演算において前記角速度位相取得部で取得された前記位相を用いて前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分を抽出するよう構成されている、請求項1に記載の電力変換装置。

請求項3

前記AVRモデル部で用いられる、前記電圧計測部の計測に基づく系統電圧は、前記電圧正相成分抽出部が抽出した前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分に基づく系統電圧である、請求項2に記載の電力変換装置。

請求項4

前記仮想発電機モデル部で用いられる、前記位相に対応する系統電圧のd軸成分及びq軸成分は、前記電圧正相成分抽出部が抽出した前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分である、請求項2又は3に記載の電力変換装置。

請求項5

前記制御器は、前記単相電力系統の電流である単相系統電流を計測し、且つ計測された前記単相系統電流から、DDSRF演算により系統電流の正相のd軸成分及びq軸成分(以下、単に系統電流のd軸成分及びq軸成分という)を抽出する電流計測部を更に備え、前記電流制御部は、前記電流計測部が抽出した前記系統電流のd軸成分及びq軸成分をフィードバック電流値として、前記単相系統電流のフィードバック制御を行う、請求項2に記載の電力変換装置。

請求項6

前記電流制御部は、フィーバック電流値と前記発電機モデル部で算出された電流指令値とに基づいて静止座標系のα軸電圧指令値及びβ軸電圧指令値を生成し、α軸電圧指令値に基づいて前記PWM信号を生成するよう構成されており、前記電圧計測部は、前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分から前記位相を用いて静止座標変換を行ってβ軸電圧を算出する逆dq変換部と、前記逆dq変換部により算出された前記β軸電圧と前記電流制御部により生成されたβ軸電圧指令値とに基づいて、FAE演算を行うことにより、β軸電流を算出するβ軸電流演算部と、前記単相電力系統の電流である単相系統電流を計測し、計測された前記単相系統電流であるα軸電流と前記β軸電流演算部が算出したβ軸電流と、を前記位相を用いて系統電流のd軸成分及びq軸成分に変換し、この系統電流のd軸成分及びq軸成分を前記フィーバック電流値として前記電流制御部に出力するdq変換部と、を備える電圧電流計測部である、請求項2に記載の電力変換装置。

請求項7

前記角速度位相取得部は、前記系統電圧のq軸成分を、位相検出誤差(θ−φ)(θ:系統電圧の推定位相、φ:系統電圧)として、前記電圧計測部を含む位相検出ループに入力する演算によって、前記系統電圧の角速度ω及び位相θを取得するよう構成されている、請求項2乃至6のいずれかに記載の電力変換装置。

技術分野

0001

本発明は、単相系統に接続される電力変換装置に関し、特に、仮想発電機制御が可能な電力変換装置に関する。

背景技術

0002

近年、ガスエンジン発電機燃料電池等の分散型電源を利用した電力供給システムに関心が高まっている。例えば、特定エリアにおいて、上記の分散型電源と呼ばれる発電装置を用い、この発電装置から複数の負荷電力供給を行うシステムが提案されている。マイクログリッドとも呼ばれるこのようなシステムは、その内部の電力系統に、上記の発電装置に加え、その発電装置の発電電力の変動や負荷変動補償するために二次電池等を備えた電力貯蔵装置が接続されて構成されることが多い。また、電力系統が交流で発電装置が直流である場合がある。このような場合、電力を交流と直流との間で変換する電力変換装置が必要である。

0003

ところで、このような分散型電源を利用したシステムでは、商用電力系統連系して運用される連系運転が想定されている場合が多い(例えば、特許文献1乃至3参照)。

0004

しかし、連系運転と、商用電力系統とは独立して運用される自立運転との双方が想定されている場合がある。このような場合、いずれの運転においても安定した電力供給を実現することが重要である。そして、電力変換装置にもこのような安定した電力供給を可能にする機能を備えることが要求される。

0005

そこで、本件出願人は最近、系統連系する発電機相当の特性(発電機モデル)を有する電力変換装置の制御手法を開発し、連系運転時だけでなく、自立運転時でも安定した電力を供給するとともに、連系運転から自立運転への移行を、制御を切り替えることなく、実現する電力変換装置を提案した(特許文献4参照)。また、特許文献5に開示されたように、このような電力変換装置における自立運転を安定化させるための技術を提案している。

先行技術

0006

特開2013−169052号公報
特開2013−167500号公報
特開2013−102670号公報
特開2009−225599号公報
特開2012−130146号公報

発明が解決しようとする課題

0007

ところで、分散型電源を利用したシステムには、連系運転と自立運転との双方が想定されている単相システム(単相電力系統)がある。このような単相システムにおいては、以下のよう課題があった。

0008

すなわち、特許文献4及び5に記載の電力変換器では、系統の周波数(角速度及び位相)を検出するためにPLL回路位相検出ループ)を備えているが、このPLL回路は、系統の周波数が変動しても対応可能なように独特回路に構成されている。その理由は、第1に、電力変換器を用いた仮想発電機制御により系統の自立運転を行う場合には、系統の周波数が変動するからである。第2に、系統連系運転前提とする場合のように、系統の周波数が一定であることを前提とした周波数(位相)検出回路が一般的である(特許文献1乃至3参照)ため、系統の周波数が変動することを前提とした周波数(位相)検出回路を構成するためには、独自に工夫することが必要であったからである。この独特な回路は、三相システムに特化されていて、三相の電圧が与えられなければならず、単相の場合、すなわち、三相のうちの1相が欠落した場合の動作が保証されない。

0009

従って、特許文献4及び5に記載の電力変換器には、単相システムを仮想発電機制御によって自立運転することができないという課題があった。

0010

本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、単相系統に接続され、且つ仮想発電機制御により自立運転が可能な電力変換装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0011

上記の課題を解決するために、本発明のある態様に係る電力変換装置は、直流電力単相交流電力に変換し、単相電力系統に接続される出力線へ出力するよう構成された電力変換器と、前記電力変換器が仮想発電機として動作するよう当該電力変換部を制御するように構成された制御器と、を備え、前記制御器は、前記単相電力系統の電圧である単相系統電圧計測し、且つ計測された当該単相系統電圧から、系統電圧の位相を変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度及び位相を取得する電圧計測部と、前記単相電力系統の有効電力及び無効電力を取得する電力取得部と、有効電力指令値に対する前記電力取得部が取得した前記有効電力の偏差、前記仮想発電機のドループ特性、及び前記角速度に基づいて、位相差を算出するガバナモデル部と、無効電力指令値に対する前記電力取得部が取得した前記無効電力の偏差及び前記電圧計測部の計測に基づく系統電圧に基づいて、前記仮想発電機の誘起電圧の絶対値を算出するAVRモデル部と、前記ガバナモデル部で算出された位相差、前記AVRモデルで算出された誘起電圧の絶対値、前記位相に対応する系統電圧のd軸成分及びq軸成分、並びに前記仮想発電機のインピーダンスに基づいて、前記仮想発電機の電機子電流に相当する電流指令値を算出する発電機モデル部と、前記発電機モデル部で算出された電流指令値に基づいて、PWM信号を生成して前記電力変換器に出力する電流制御部と、を備える。

0012

上記構成により、電圧計測部は、系統電圧の位相を変数として扱う推定演算を用いるので、系統電圧の位相(系統周波数)が変化しても、系統電圧の角速度及び位相を当該推定演算を用いて取得することができ、且つ、単相電力変換装置は、この取得した系統電圧の角速度及び位相を用いて、単相電力系統を仮想発電機制御により自立運転することができる。これにより、単相電力変換器による単相電力系統の連系運転と自立運転との間における移行が制御を切り替えることなく可能となる。

0013

前記電圧計測部は、計測された前記単相系統電圧から、DDSRF演算により系統電圧の正相のd軸成分及びq軸成分(以下、単に系統電圧のd軸成分及びq軸成分という)を抽出する電圧正相成分抽出部と、前記電圧正相成分抽出部が抽出した系統電圧のq軸成分を用いて前記系統電圧の角速度及び位相を取得する角速度位相取得部と、を備え、前記電圧計測部は、前記DDSRF演算において前記角速度位相取得部で取得された前記位相を用いて前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分を抽出するよう構成されていてもよい。

0014

上記構成により、電圧正相成分抽出部が、単相系統電圧からDDSRF演算により系統電圧の正相のd軸成分及びq軸成分を抽出する。そして、角速度位相取得部が、この系統電圧のq軸成分を用いて系統電圧の角速度及び位相を検出する。これにより、単相電力系統(単相システム)を仮想発電機制御により自立運転することができる。また、従来例のように、逆正接関数の演算を行う必要がないので、逆正接関数の演算を行う場合に比べて、演算を簡素化することができる。また、単相系統電圧に含まれる逆相電圧の影響を受けることなく、仮想発電機制御を安定且つ円滑に行うことができる。

0015

前記AVRモデル部で用いられる、前記電圧計測部の計測に基づく系統電圧は、前記電圧正相成分抽出部が抽出した前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分に基づく系統電圧でもよい。

0016

上記構成により、系統電圧の逆相成分の影響が排除されるので、仮想発電機制御を安定且つ円滑に動作させることができる。

0017

前記仮想発電機モデル部で用いられる、前記位相に対応する系統電圧のd軸成分及びq軸成分は、前記電圧正相成分抽出部が抽出した前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分でもよい。

0018

上記構成により、仮想発電機モデル部で用いられる系統電圧のd軸成分及びq軸成分から、逆相電圧成分による擾乱が除去されるので、仮想発電機制御を安定且つ円滑に行うことができる。

0019

前記制御器は、前記単相電力系統の電流である単相系統電流を計測し、且つ計測された前記単相系統電流から、DDSRF演算により系統電流の正相のd軸成分及びq軸成分(以下、単に系統電流のd軸成分及びq軸成分という)を抽出する電流計測部を更に備え、前記電流制御部は、前記電流計測部が抽出した前記系統電流のd軸成分及びq軸成分をフィードバック電流値として、前記単相系統電流のフィードバック制御を行ってもよい。

0020

上記構成により、単相系統電流を好適にフィードバック制御することが可能となる。

0021

前記電流制御部は、フィーバック電流値と前記発電機モデル部で算出された電流指令値とに基づいて静止座標系のα軸電圧指令値及びβ軸電圧指令値を生成し、α軸電圧指令値に基づいて前記PWM信号を生成するよう構成されており、前記電圧計測部は、前記系統電圧のd軸成分及びq軸成分から前記位相を用いて静止座標変換を行ってβ軸電圧を算出する逆dq変換部と、前記逆dq変換部により算出された前記β軸電圧と前記電流制御部により生成されたβ軸電圧指令値とに基づいて、FAE演算を行うことにより、β軸電流を算出するβ軸電流演算部と、前記単相電力系統の電流である単相系統電流を計測し、計測された前記単相系統電流であるα軸電流と前記β軸電流演算部が算出したβ軸電流と、を前記位相を用いて系統電流のd軸成分及びq軸成分に変換し、この系統電流のd軸成分及びq軸成分を前記フィーバック電流値として前記電流制御部に出力するdq変換部と、を備えてもよい。

0022

上記構成により、FAE演算に基づいて得られた系統電流のd軸成分及びq軸成分を用いて、好適に単相系統電流のフィードバック制御が可能となる。

0023

前記角速度位相取得部は、前記系統電圧のq軸成分を、位相検出誤差(θ−φ)(θ:系統電圧の推定位相、φ:系統電圧の位相)として、前記電圧計測部を含む位相検出ループに入力する演算によって、前記系統電圧の角速度ω及び位相θを取得するよう構成されていてもよい。

0024

上記構成により、系統電圧のq軸成分から系統電圧の角速度ω及び位相θを好適に取得することができる。

発明の効果

0025

本発明によれば、単相系統に接続され、且つ仮想発電機制御により自立運転が可能な電力変換装置を提供することができる。

図面の簡単な説明

0026

本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。
図1の電力変換装置の制御装置の構成を示すブロック図である。
図2電圧電流計測部の構成を示すブロック図である。
図3の電圧正相成分抽出部の具体的な回路構成を示すブロック図である。
図3の角速度位相取得部の具体的な回路構成を示すブロック図である。
図3の電流正相成分抽出部の具体的な回路構成を示すブロック図である。
図2の制御装置の仮想発電機制御部の構成を示すブロック図である。
図2の制御装置の仮想発電機モデル部の詳細を示すブロック図である。
図3の電流制御部の構成を示すブロック図である。
第1の実施の形態の電力変換装置のテストシステムの概略図である。
図10のテストシステムで実施した検証実験の結果のグラフである。
図10のテストシステムで実施した検証実験の瞬時応答波形のグラフである。
本発明の第2の実施の形態に係る電力変換装置の電流フィードバック制御の構成を示すブロック図である。
図13電流推定部の構成を示す回路図である。

実施例

0027

(本発明の契機となる知見)
従来、Double Decoupled Synchronous Reference Frame(以下、DDSRFという)を用いて、不平衡な三相システムにおいて、正相成分と逆相成分とを分離することが知られている(例えば「D. Siemaszko, A. C. Rufer, “Power Compensation Approach and Double Frame Control for Grid Connected Converters,” Proc. ofIEEE Intrnl. Conf. of Power Electronics and Drive Systems, pp.1263-1268,2013.」を参照)。ここで、「成分」は、dq回転座標系におけるd軸成分及びq軸成分である。また、DDSRFは、系統電圧の位相を変数として扱う推定演算であるので、系統電圧の角速度の変動に対応することができる。さらに、単相システムは三相システムの特別な不平衡状態と見なすことができる。発明者等は、これらの点に着目し、単相インバータにおける、周波数変動に対応可能な位相検出回路に、DDSRF技術を適用することを見出した。

0028

以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。全ての図面を通じて同一又は相当する要素には同じ符号を付して、重複する説明は省略する。また、図面中のsの文字一貫してラプラス演算子を表す。

0029

(実施の形態1)
[構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る電力変換装置の構成を示すブロック図である。図1に示すように、電力変換装置1は、例えば、マイクログリッドである単相電力系統100と、出力線5、出力リアクトル6、電流センサ7、フィルタコンデンサ8、変圧器9、及び電圧センサ10を介して接続されている。本実施の形態では、単相電力系統100の配電線11は、2本の単相2線式配線(100V)であるが、3本の単相3線式配線(100V/200V)でもよい。単相電力系統100として、一戸建て住宅集合住宅事務所等の配電線、船舶の電力系統、離島電力網自家発電設備を備えた工場等の電力系統等が例示される。単相電力系統100は、解列器(図示せず)によって商用電力網に対して接続及び切断される。単相電力系統100が商用電力系統と接続された場合、電力変換装置1は単相電力系統100を系統連系運転し、単相電力系統100が商用電力系統と切断された場合、電力変換装置1は単相電力系統100を自立運転する。

0030

電力変換装置1は、電力変換器2に直流電力を供給する直流電源4と、直流電力を交流電力に変換し、単相電力系統100に接続される出力線5へ出力するよう構成された電力変換器2と、電力変換器2が仮想発電機として動作するよう電力変換器2を制御するように構成される制御装置3とを備える。

0031

直流電源4は、本実施の形態では、太陽光発電用ソーラーパネル等の直流発電体及びニッケル水素電池等の二次電池を備える。直流電源4は、その他の再生可能エネルギーを用いた分散型電源であってもよい。

0032

電力変換器2は、特に限定されないが、本実施の形態では、それぞれ逆並列接続されたダイオードを備えた4個のスイッチング素子2a〜2dから構成されている。スイッチング素子には例えばIGBTが用いられる。電力変換器2は、制御部3から各スイッチング素子2a〜2dの制御端子(例えばIGBTのゲート端子)に入力される制御信号PWMacに基づいて、各スイッチング素子2a〜2dをオンオフ動作することにより、インバータとして機能する。

0033

制御装置3は、電圧センサ10で検出される単相電力系統100の電圧である単相系統電圧Vaと電流センサ7で検出される単相電力系統100の電流である単相系統電流Iaとに基づいて、制御信号PWMacを生成し、この生成した制御信号PWMacを電力変換器2に供給する。これにより、制御装置3は、電力変換器2が仮想発電機として動作するよう電力変換器2を制御する。

0034

次に、制御装置3の構成について図2を用いて説明する。図2に示すように、制御装置3は、電圧電流計測部(電圧計測部及び電流計測部)21と、電力取得部22と、発電機制御部20と、発電機モデル部25と、電流制御部26と、を備える。この制御部は、例えば、FPGA(field programmable gate array)、PLC(programmable logic controller)、マイクロコントローラ等の演算装置で構成され、各部は、上記演算装置においてそれに内蔵されているプログラムが実行されることにより実現される機能ブロックである。

0035

電圧電流計測部21は、単相電力系統100の電圧である単相系統電圧Vaを計測し、且つ計測された当該単相系統電圧Vaから、系統電圧の位相を変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度ω及び位相θを取得する。また、電圧電流計測部21は、単相電力系統100の電流である単相系統電流Iaを計測する。

0036

電力取得部22は、単相電力系統100の有効電力P及び無効電力Qを取得する。本実施の形態では、電力取得部22は、電圧電流計測部21の計測に基づく系統電圧Vdq及び系統電流Idqに基づいて、有効電力P及び無効電力Qを算出するように構成されている。

0037

発電機制御部20は、同期発電機の機能を所定の演算パラメータを用いてモデル化した演算ブロックである。本実施の形態では、発電機制御部20は、同期発電機を制御するガバナ及びAVR( Automatic Voltage Regulator)をそれぞれモデル化した演算ブロックであるガバナモデル部23及びAVRモデル部24を内部に備える。

0038

ガバナモデル部23は、有効電力指令値Prefに対する電力取得部22が取得した有効電力Pの偏差、仮想発電機のドループ特性、及び角速度ωに基づいて、位相差Δθを算出する。

0039

AVRモデル部24は、無効電力指令値Qrefに対する電力取得部22が算出した無効電力Qの偏差、電圧電流計測部21の計測に基づく系統電圧Vdqに基づいて、仮想発電機の誘起電圧の絶対値を算出する。ガバナモデル部23及びAVRモデル部24の具体的な構成については後述する。尚、誘起電圧の絶対値は、図面では次のようにベクトル表記しているが、本文中では単にEfと記述する。

0040

0041

発電機モデル部25は、同期発電機本体をモデル化したものである。本実施の形態では、発電機モデル部25は、ガバナモデル部23で算出された位相差Δθ、AVRモデル部24で算出された誘起電圧の絶対値Ef、位相θに対応する系統電圧のd軸成分及びq軸成分Vdq、仮想発電機のインピーダンスに基づいて、仮想発電機の電機子電流に相当する電流指令値Idq_refを算出する。

0042

電流制御部26は、発電機モデル部25で算出された電流指令値Idq_refに基づいて、PWM信号PWM_acを生成して電力変換器2に出力する。

0043

以下、制御装置3を構成する各部の詳細について説明する。図3は、電圧電流計測部21の構成を示すブロック図である。図3に示すように、電圧電流計測部21は、電圧正相成分抽出部30と、角速度位相取得部31と、電流正相成分抽出部32を備える。

0044

電圧正相成分抽出部30において行われる一連の演算をDDSRF演算と称し、計測された単相系統電圧Vaから、DDSRF演算により系統電圧の正相のd軸成分Vd+及びq軸成分Vq+(以下、単に系統電圧のd軸成分及びq軸成分ともいう)を抽出する。このDDSRF演算においては、後述するようにして角速度位相取得部31で取得された系統電圧の位相θを用いて、これらの系統電圧のd軸成分及びq軸成分を抽出する。以下では、電圧又は電流のd軸成分及びq軸成分をまとめてVdq(Vdq+,Vdq- )又はIdq(Idq+,Idq-)と表記する場合がある。電圧又は電流のα軸成分及びβ軸成分も同様にVαβ又はIαβと表記する場合がある。ここで、一般には、三相系統相電圧Va、Vb、Vcをクラーク変換した後の系統電圧をVα,Vβに対してDDSRF演算を行う。これに対し、本実施の形態では、電圧正相成分抽出部30にVα=Va,Vβ=0を入力して、電圧に対するDDSRF演算を行う。つまり、本実施の形態では、単相システムを三相システムの特別な不平衡状態と見なすという新たな思想に基づいて、DDSRFを単相システムに適用している。

0045

角速度位相取得部31は、電圧正相成分抽出部30が抽出した系統電圧のq軸成分Vq+を用いて系統電圧の角速度ω及び位相θを取得する。この位相θは、上述のように電圧正相成分抽出部30に入力され、上述の単相系統電圧Vaに対するDDSRF演算に用いられる。

0046

電流正相成分抽出部32は、角速度位相取得部31が算出した系統電圧の位相θを用いて、計測された単相系統電流Iaから、DDSRF演算により系統電流の正相のd軸成分Id+及びq軸成分Iq+(以下、単に系統電流のd軸成分及びq軸成分ともいう)抽出する。本実施の形態では、電流正相成分抽出部32にIα=Ia,Iβ=0を入力して、電流に対するDDSRF演算を行う。

0047

次に、電圧正相成分抽出部30の具体的な回路構成について図4を用いて説明する。図4に示すように、電圧正相成分抽出部30は、回転座標変換部35、36、37,38と、フィルタ部39,40と、加減算器41、42とを備える。

0048

回転座標変換部35及び36は、角速度位相取得部31で算出された系統電圧の位相θを用いて、入力された単相系統電圧Vα(Vβ=0)に座標変換を施してd軸成分及びq軸成分を算出し、これを加減算器41に出力する。本実施の形態では、回転座標変換部35及び36は、次式(1)で与えられる回転行列により座標変換を行う。これらはαβ座標系の信号からdq座標系の信号へ変換するものである。

0049

0050

フィルタ部39は、電圧正相成分抽出部30が抽出した系統電圧のd軸成分及びq軸成分Vdq+にフィルタリング処理を施して、これを回転座標変換部37に出力する。フィルタ部39は、逆相成分を除去するための正相成分に使用されるローパスフィルタLPF)である。LPFの遮断周波数は系統の基本周波数の2倍以下の周波数に設定する。

0051

回転座標変換部37は、角速度位相取得部31で取得された系統電圧の位相2θを用いて、フィルタリング処理された系統電圧のd軸成分及びq軸成分Vdq+に座標変換を施して、これを加減算器42に出力する。

0052

フィルタ部40は、電圧正相成分抽出部30が抽出した系統電圧の逆相成分のd軸成分及びq軸成分Vdq-にフィルタリング処理を施して、これを回転座標変換部38に出力する。フィルタ部40は、正相成分を除去するための逆相成分に使用されるLPFである。ここでもLPFの遮断周波数は系統の基本周波数の2倍以下の周波数に設定する。

0053

回転座標変換部38は、角速度位相取得部31で取得された系統電圧の位相2θを用いて、フィルタリング処理された系統電圧の逆相成分のd軸成分及びq軸成分Vdq-に座標変換を施して、これを加減算器41に出力する。

0054

本実施の形態では、回転座標変換部37及び38は、次式(2)で与えられる回転行列により座標変換を行う。

0055

0056

加減算器41は、回転座標変換部35から入力されるdq変換後の単相系統電圧のd軸成分及びq軸成分から、回転座標変換部38から入力されるフィルタ処理及びdq逆変換後の逆相成分のd軸成分及びq軸成分Vdq-を減算して正相成分Vdq+を算出し、これを出力する。ここで加減算器41は、正相成分の電圧Vdq+のq軸成分Vq+を角速度位相取得部31に出力する。

0057

加減算器42は、回転座標変換部36から入力されるdq逆変換後の単相系統電圧のd軸成分及びq軸成分から、回転座標変換部37から入力される正相成分のd軸成分及びq軸成分Vdq+を減算して逆相成分Vdq-を算出し、これを出力する。

0058

このようにして、電圧正相成分抽出部30は、DDSRF演算により系統電圧を正相成分Vdq+と逆相成分Vdq+に分離して、系統電圧のd軸成分及びq軸成分Vdq+を抽出する。

0059

次に、角速度位相取得部31の具体的な回路構成について図4及び図5を用いて説明する。

0060

角速度位相取得部31は、PI制御部45と、積分器46とを備える。

0061

PI制御部45は、電圧正相成分抽出部30で抽出された系統電圧のq軸成分Vq+に比例積分補償を施して系統電圧の角速度ωを算出し、これを積分器46に出力する。ここで本実施の形態では、図5(a)に示すように、PI制御部45は、比例制御部82と、積分制御部81と、加減算器83とを備える。ここで系統電圧のq軸成分Vqと系統電圧Vgとの間には、次式(3)が成り立つ。
Vq = Vg sin(θ−φ)・・・(3)
ここでVq:系統電圧のq軸成分、Vg:系統電圧、θ:系統電圧の推定位相、φ:系統電圧の位相である。図5(b)は式(3)をベクトル図で示したものである。ここで位相推定誤差θ−φがゼロに近ければ、次式(4)は充足される。

0062

0063

よって、角速度位相取得部31は、系統電圧のq軸成分を、位相検出誤差(θ−φ)として、電圧正相成分抽出部30を含む位相検出ループに入力する演算によって、系統電圧の角速度ω及び位相θを取得するよう構成されている。本実施の形態では、系統電圧のq軸成分Vqが位相推定誤差θ−φとして比例制御部82及び積分制御部81に入力される。

0064

加減算器83は、比例制御部82及び積分制御部81の両者の演算結果を加算することにより、位相推定誤差θ−φに比例積分補償を施し、これを積分器46に出力する。

0065

積分器46は、加減算器83から入力された系統電圧の角速度推定値ωを積分して位相θを推定し、これを積分器46及び電圧正相成分抽出部30に出力する。そして、電圧正相成分抽出部30は、この位相θを用いて、系統電圧のq軸成分を算出する。そして、この算出された系統電圧のq軸成分が角速度位相取得部31に入力される。つまり、PI制御部45、積分器46、及び電圧正相成分抽出部30が、位相検出ループを構成している。なお、PI制御部45は、PI制御でなくてもよく、例えば位相補償器等によっても構成できる。

0066

図6は、電流正相成分抽出部32の具体的な回路構成を示すブロック図である。図6に示すように、電流正相成分抽出部32は、回転座標変換部35、36、37,38と、フィルタ部39,40と、加減算器41、42とを備える。電流正相成分抽出部32は、入力された単相信号Iα=Ia,Iβ=0に対し、電圧正相成分抽出部30と同様なDDSRF演算を電流に対して行う。つまり、電圧電流計測部21において、電流正相成分抽出部32は、DDSRF演算により系統電圧を正相成分Idq+と逆相成分Idq+に分離して、系統電流のd軸成分及びq軸成分Idq+を抽出する。

0067

次に、仮想発電機制御部20を構成するガバナモデル部23及びAVRモデル部24の具体的な構成について図7を用いて説明する。図7に示すように、ガバナモデル部23には、外部(ここでは例えばマイクログリッド制御装置)から有効電力指令値Pref、角速度基準値ωrefとが入力される。更に、電力取得部22から有効電力Pが入力され、且つ電圧電流計測部21から角速度ωが入力される。ここでガバナモデル部23に入力される有効電力指令値Prefは発電機のトルクに相当し、発電機を電力系統に同期させる周波数を設定する。

0068

具体的には、ガバナモデル部23は、加減算器51と、ドループブロック52と、加減算器53と、積分器54とを備える。加減算器51は、有効電力指令値Prefから有効電力Pを減算した値をドループブロック52へ出力する。ドループブロック52は、加減算器51の出力に対しガバナの垂下特性に応じて所定の演算が施された値(例えば実定数ゲインKgdを掛けたもの)を加減算器53へ出力する。加減算器53は、角速度基準値ωref及びドループブロック52の出力値を加算した値から角速度ωを減算した値を、積分器54へ出力する。積分器54は、加減算器53から入力された角速度の偏差を積分して位相差Δθを算出し、これを発電機モデル部25へ出力する。

0069

また、AVRモデル部24には、外部(ここでは例えばマイクログリッド制御装置)から無効電力指令値Qrefが入力される。ここでAVRモデル部24に入力される無効電力指令値Qrefは発電機の界磁に相当し、誘起電圧を調整する。更に、AVRモデル部24には、電力取得部22から無効電力Qが入力され、且つ電圧電流計測部21の計測に基づく系統電圧Vgが入力される。系統電圧Vgは、電圧正相成分抽出部30が抽出した系統電圧のd軸成分Vd+及びq軸成分Vq+に基づく系統電圧である。系統電圧Vgは、次式(5)を用いて算出される。

0070

0071

具体的には、AVRモデル部24は、加減算器55と、ドループブロック56と、加減算器57と、PI制御ブロック58とを備える。

0072

加減算器55は、無効電力指令値Qrefから無効電力Qを減算した値(無効電力偏差)をドループブロック56へ出力する。ドループブロック56は、加減算器55の出力に対しAVRの垂下特性に応じて所定の演算を施した値(例えば実定数のゲインKadを掛けたもの)に一次遅れを付与して、これを加減算器57へ出力する。加減算器57は、ブロック56の出力から、系統電圧Vgを減算した値を、PI制御ブロック58へ出力する。PI制御ブロック58は、加減算器57の出力に比例積分補償を行って誘起電圧の絶対値Efを算出し、これを発電機モデル部25へ出力する。

0073

このように、ガバナモデル部23とAVRモデル部24のそれぞれは、仮想発電機にドループ特性を持たせるための1次遅れ関数を備える。ガバナモデル部23で演算される仮想発電機の位相差Δθと、AVRモデル部24で演算される誘起電圧の絶対値Efは、仮想発電機モデル部25に入力される。

0074

図8は、仮想発電機モデル部25の詳細を示している。仮想発電機は、仮想発電機の界磁による誘起電圧の絶対値Efと、仮想発電機の位相差Δθと、仮想発電機の仮想的な電機子巻線リアクタンスx及び巻線抵抗rによる仮想発電機のインピーダンスと、仮想発電機が出力する電圧、すなわち系統電圧(複素電圧ベクトル)及び電流(複素電流ベクトル)と、を用いてモデル化される。図8は、仮想発電機モデル部25における各ベクトルのフェーザ図である。尚、図面では、系統電圧の複素電圧ベクトル及び電流の複素電流ベクトルを次のようにベクトル表記している。数5で示されるVgは数6に示される系統電圧の複素電圧ベクトルの絶対値である。

0075

0076

数6の複素電流ベクトルのd軸成分及びq軸成分であるId_ref,Iq_refは、次式(6)、(7)により計算される。

0077

0078

ここで、式(6)における系統電圧のd軸成分Vd及びq軸成分Vqは、電圧正相成分抽出部30が抽出した系統電圧のd軸成分Vd+及びq軸成分Vq+を用いる。

0079

0080

本実施の形態では、電流制御部26は、発電機モデル部25で算出されたd軸成分及びq軸成分のId_ref及びIq_refを電流指令値とし、電圧電流計測部21が抽出した系統電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqをフィードバック電流値として、単相系統電流のフィードバック制御を行う。

0081

図9は、電流制御部26の構成を示すブロック図である。図9に示すように、電流制御部26は、加減算器61、62と、PI制御ブロック63、64と、加減算器65,66と、回転座標変換部36、37と、乗算器67、68と、PWM信号算出部69とを備える。

0082

加減算器61は、仮想発電機モデル部25から入力されたd軸電流指令値Id_refから、電圧電流計測部21から入力された系統電流のd軸成分Id(正確には正相成分Id+)を減算し、その値をPI制御ブロック63へ出力する。PI制御ブロック63は、加減算器61の出力に対して、比例積分補償を行って正相成分のd軸電圧指令値PWMd+を算出し、これを加減算器65に出力する。ここでPI制御ブロック63から出力されるd軸電圧指令値は正相成分PWMd+のみであるが、単相では、逆相成分PWMd-は、正相成分PWMd+と同一であるので、そのまま逆相成分PWMd-として回転座標変換部37に出力する。

0083

加減算器62は、仮想発電機モデル部25から入力されたq軸電流指令値Iq_refから、電圧電流計測部21から入力された系統電流のq軸成分Iq(正確には正相成分Iq+)を減算し、その値をPI制御ブロック64へ出力する。PI制御ブロック64は、加減算器62の出力に対して、比例積分補償を行って正相成分のq軸電圧指令値PWMq+を算出し、これを加減算器66に出力する。ここでPI制御ブロック64から出力されるq軸電圧指令値は正相成分PWMq+のみであるが、単相では逆相成分PWMq-は正相成分PWMq+と符号が異なるので乗算器68により正相成分PWMq+を−1倍したものを逆相成分PWMq-として回転座標変換部37に出力する。

0084

回転座標変換部37は、角速度位相取得部31で取得された系統電圧の位相2θを用いて、d軸成分及びq軸成分の電圧指令値の逆相成分PWMd-及びPWMq-に座標変換を施して、これらを加減算器65及び66に出力する。

0085

加減算器65は、PI制御ブロック63から入力された正相成分のd軸電圧指令値PWMd+に、回転座標変換部37から入力された座標変換後のd軸電圧指令値の逆相成分を加算してd軸電圧指令値Vd_refを算出し、これを回転座標変換部36に出力する。

0086

加減算器66は、PI制御ブロック64から入力された正相成分のq軸電圧指令値PWMq+に、回転座標変換部37から入力された座標変換後のq軸電圧指令値の逆相成分を加算してq軸電圧指令値Vq_refを算出し、これを回転座標変換部36に出力する。

0087

回転座標変換部36は、角速度位相取得部31で取得された系統電圧の位相θを用いて、d軸成分及びq軸成分の電圧指令値のVd_ref及びVq_refに座標変換を施してα軸成分及びβ軸成分の電圧指令値のVα_ref及びVβ_refを算出し、これらをPWM信号算出部69に出力する。

0088

PWM信号算出部69は、回転座標変換部36から入力されたα軸成分及びβ軸成分の電圧指令値のVα_ref及びVβ_refに基づいてPWM信号PWMacを算出し、これを電力変換器2に出力する。

0089

作用効果
以上のような構成の電力変換装置1によれば、電圧電流計測部21が系統電圧の位相を変数として扱う推定演算を用いることにより、変化を伴う系統電圧の位相(系統周波数ω)に対して、系統電圧の角速度ω及び位相θを当該推定演算を用いて取得し、また、電圧正相成分抽出部30が、単相系統電圧からDDSRF演算により系統電圧の正相のd軸成分Vd+及びq軸成分Vq+を抽出することにより、単相電力系統100においても仮想発電機制御を実現することができる。これらにより、位相差や誘起電圧を状況に応じて変化させて、系統の周波数や負荷の変動に追従しながら電力制御を実現するという仮想発電機制御の特性を生かして、電力変換装置1による単相電力系統100の連系運転と自立運転との間における移行が制御を切り替えることなく可能となる。

0090

また、上述の推定演算において、角速度位相取得部31が、系統電圧のq軸成分Vq+を用いて系統電圧の角速度ω及び位相θを検出するので、従来例のように、逆正接関数の演算を行う必要がなく、逆正接関数の演算を行う場合に比べて、演算を簡素化することができる。

0091

また、AVRモデル部24及び発電機モデル25では、電圧正相成分抽出部30において逆相成分が完全に除去された系統電圧のd軸成分及びq軸成分に基づく系統電圧を用いるので、単相系統電圧波形のゼロクロスピーク値実効値等から直接位相と振幅を計算してd軸成分及びq軸成分を取得する場合に比べて、逆相電圧が混入する余地がなく、逆相電圧による擾乱が排除されるため、仮想発電機制御を安定且つ円滑に動作させることができる。

0092

また、制御装置3は、単相電力系統100の電流である単相系統電流を計測し、且つ計測された単相系統電流から、DDSRF演算により系統電流の正相のd軸成分及びq軸成を抽出する電圧電流計測部21を備え、電流制御部26は、電圧電流計測部21が抽出した系統電流のd軸成分Id及びq軸成分Iqをフィードバック電流値として、単相系統電流のフィードバック制御を行うことにより、単相系統電流を好適にフィードバック制御することが可能となる。

0093

また、角速度位相取得部31は、系統電圧のq軸成分について、Vq = Vg sin(θ−φ)(Vq:系統電圧のq軸成分、Vg:系統電圧、θ:系統電圧の推定位相、φ:系統電圧の位相)の式を用いて(θ−φ)を算出し、これを位相検出誤差(θ−φ)として位相検出ループに入力する演算によって、系統電圧の角速度ω及び位相θを取得するよう構成されているので、系統電圧のq軸成分Vqから系統電圧の角速度ω及び位相θを好適に取得することができる。

0094

[検証実験]
本発明者等は、本実施の形態の電力変換装置1による効果を検証するために所定の条件下において実験を行った。図10は、電力変換装置1のテストシステムの概略図である。図10に示すように、テストシステムは、商用単相電力系統101と、単相商用電力系統101に接続された電力変換装置1と、マイクログリッドを模擬した単相電力系統100’と、スイッチMC1〜MC4と、電力変換装置1に有効電力指令値Pref及び無効電力指令値Qrefを供給する監視装置200と、を含む。単相電力系統100’、は電力変換装置1の負荷12a〜12dのみを含む。

0095

商用単相電力系統101及び単相電力系統100’の基本周波数は60Hzである。電力変換装置1の定格容量は50kVAである。負荷12a〜12cはそれぞれ10kWであり、負荷12dは7.75kWである。スイッチMC1〜MC4は、マグネットコンタクタであり、オンオフの切り替えは手動で操作する。

0096

実験では、まず、監視装置200により電力変換装置1へ有効電力指令値Pref及び無効電力指令値Qrefを供給して系統連系運転させる。その後スイッチを適宜切り替えて電力変換装置1の負荷12を変動させ、更に電力変換装置1を商用単相電力系統101から解列させて自立運転に移行させる。また、負荷の追加に伴い、有効電力指令値を増加させる。なお、本検証実験においては、無効電力指令値Qrefは常にゼロに設定されている。表1に実験における運転状態推移を示す。

0097

0098

実験開始時には、MC1は閉じており、MC2〜MC4は開いている。この場合、電力変換装置1は負荷12aのみに接続された状態であるので、テストシステムの全負荷は10kWである。また、有効電力指令値Prefを0kWに設定する。

0099

開始から5秒間を経過した後に、有効電力指令値Prefを10kWに増加する。開始から9秒間を経過した後にMC2を閉じて、電力変換装置1に負荷12bを追加する。この場合、電力変換装置1は負荷12a及び12bに接続された状態であるので、全負荷は20kWである。

0100

次に、開始から10秒間を経過した後に、有効電力指令値Prefを20kWに増加する。開始から14秒間を経過した後にMC3を閉じて、電力変換装置1に負荷12cを追加する。この場合、電力変換装置1は負荷12a、12b及び12cに接続された状態であるので、テストシステムの全負荷は30kWである。

0101

次に、開始から15秒間を経過した後に、有効電力指令値Prefを30kWに増加する。

0102

次に、開始から20秒間を経過した後に、商用単相電力系統101で発生した事故を模擬する。MC1を開いて単相電力系統101’を商用単相電力系統100から解列させる。この場合、電力変換装置1は負荷12a、12b及び12cに接続された状態で、系統連系運転から自立運転に移行する。

0103

次に、開始から26秒間を経過した後に、更にMC4を閉じて、テストシステムに負荷12dを増加する。この場合、電力変換装置1は全ての負荷12a〜12dに接続された状態であるので、テストシステムの全負荷は37.5kWである。

0104

図11は検証実験の結果のグラフである。上段図11(a)は出力電力応答波形を示している。グラフ中の実線は無効電力(kVar)を示し、一点鎖線は有効電力(kW)を示している。中段図11(b)は出力電圧(p.u.)の応答波形を示している。下段図11(c)は周波数(Hz)の応答波形を示している。図11(a)〜(c)の時間軸はいずれも一致している。

0105

図11より、系統連系中は負荷の変化によらず、電力変換装置1の出力は有効電力基準値Prefに追従し、負荷の変化分は系統が担っている。また、解列して自立運転中は有効電力基準値Prefにかかわらず、負荷に応じた電力を電力変換装置1が出力している。

0106

図12は検証実験の瞬時応答波形のグラフである。電力変換装置1の解列前後(開始から20秒後)の出力電流及び出力電圧の波形を示している。解列前後で電流及び電圧が変動することはない。これらにより、連系運転中の系統との負荷分担、連系運転から自立運転への移行、及びその後の自立運転の継続が良好に行えていることが示された。また、連系運転と自立運転との間で電力変換装置1の制御を切り替える必要が無いことが示された。

0107

(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2について、図13及び図14を用いて説明する。尚、実施の形態1と共通する構成の説明は省略し、相違する構成についてのみ説明する。

0108

本実施の形態は、実施の形態1と比較すると、FAE(Fictive Axis Emulation)演算に基づいて得られた系統電流のd軸成分及びq軸成分を用いて、単相系統電流のフィードバック制御を行う点が相違する。

0109

図13は、本発明の第2の実施の形態に係る電力変換装置の電流フィードバック制御の構成を示すブロック図である。図13に示すように、電流制御部26aは、フィーバック電流値Idqと発電機モデル部25で算出された電流指令値Idq_refとに基づいて静止座標系のα軸電圧指令値Vα_ref及びβ軸電圧指令値Vβ_refを生成し、α軸電圧指令値Vα_refに基づいてPWM信号PWMacを生成するよう構成されている。

0110

また、本実施の形態の電圧電流計測部21aは、回転座標変換部(逆dq変換部ともいう)36と、β軸電流演算部70と、回転座標変換部(dq変換部ともいう)37とを備えている。逆dq変換部36は、系統電圧のd軸成分及びq軸成分Vdq+から位相θを用いて静止座標変換を行ってβ軸電圧Vβ+を算出する。β軸電流演算部70は、逆dq変換部36により算出されたβ軸電圧Vβ+と電流制御部26aにより生成されたβ軸電圧指令値Vβ_refとに基づいて、FAE演算を行うことにより、β軸電流Iβを算出する。dq変換部37は、単相系統電流であるα軸電流Iα(=Ia)とβ軸電流演算部70が算出したβ軸電流Iβとを位相θを用いて系統電流のd軸成分及びq軸成分Idqに変換し、この系統電流のd軸成分及びq軸成分Idqをフィーバック電流値として電流制御部26aに出力する。

0111

図14は、図13のβ軸電流演算部70の構成を示す回路図である。図14に示すように、β軸電流演算部70は、加減算器72、73と、演算ブロック74と、フィードバックブロック75とを備える。ブロック74のL及びブロック75のRは、それぞれ電力変換器2から見た系統のインダクタンス成分及び抵抗成分である。単相の系統に対して、このように仮想的に直交する軸を想定して、その応答を求める演算をFAE演算と称する。このような構成によれば、FAE演算に基づいて得られた系統電流のd軸成分及びq軸成分を用いて、好適に単相系統電流のフィードバック制御が可能となる。またFAE演算として、DDSRFにより求めた系統の正相成分のβ軸の電圧Vβ+と電流制御系から得られるβ軸電圧指令値Vβ_refからβ軸電流Iβを推定するものであれば、図14の構成に限定されるものではない。

0112

(その他の実施の形態)
実施の形態1及び2では、DDSRF演算を用いた位相(角速度)検出回路を採用しているが、位相(角速度)検出回路はこれには限定されない。位相(角速度)検出回路は、単相系統電圧から、系統電圧の位相を変数として扱う推定演算を用いて系統電圧の角速度及び位相を取得するものであればよい。

0113

上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び機能の少なくとも一方の詳細を実質的に変更できる。

0114

本発明の電力変換装置は、電力系統と連系して運転する連系運転機能を有する電力変換装置に用いることができる。

0115

1電力変換装置
2電力変換器
3制御装置
4直流電源
5出力線
6出力リアクトル
7電流センサ
8フィルタコンデンサ
9変圧器
10電圧センサ
11単相電力系統の配電線
12負荷
20発電機制御部
21電圧電流計測部
22電力取得部
23ガバナモデル部
24 AVRモデル部
25発電機モデル部
26電流制御部
30電圧正相成分抽出部
31 角速度位相取得部
32電流正相成分抽出部
67PWM信号算出部
70電流推定部(FAE)
71電流電圧変換
100 単相電力系統
200 監視装置

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