図面 (/)

この項目の情報は公開日時点(2015年11月24日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (2)

課題

反射干渉分光法RIfS)に基づく膜タンパク質相互作用測定方法であって、簡便な操作で、再現性よく、膜タンパク質に特異的に結合する物質の絶対的な量を測定することのできる方法を提供する。

解決手段

[1]RIfS用センサーチップ光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成する工程と、[2]前記工程[1]後のセンサーチップの表面に、前記膜タンパク質との相互作用を評価する対象となる被験物質溶液を接触させる工程とを含むことを特徴とする測定方法。前記工程[1]は、前記薄層を形成するために、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理(たとえばプラズマ処理)が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させる工程であることが好ましい。

概要

背景

近年、蛍光物質放射性物質などの標識体を用いることなく、分子間に働く相互作用を直接的かつ定量的に検出する方法の研究開発が進められている。たとえば、光学薄膜干渉色変化を応用した検出法である反射干渉分光法RIfS:Reflectometric Interference Spectroscopy)が提案され、実用化されている。その他にも、表面プラズモン共鳴法(SPR:Surface Plasmon Resonance)や水晶発振子マイクロバランス法QCM:Quartz Crystal Microbalance)などに基づく相互作用の測定方法も知られている。

上記のような分子間相互作用測定方法においては、まず、分子間相互作用関与する一方の分子、たとえばレセプター受容体)として機能している膜タンパク質を、各測定方法に対応した測定部材センサーチップ)の表面に固定化する。そして、分子間相互作用に関与するもう一方の分子、たとえば前記レセプターとして機能している膜タンパク質に対応するリガンド低分子化合物タンパク質ホルモン等)や、前記受容体に結合してリガンドとの結合能阻害するための抗体、あるいはそのような機能を果たす候補物質を、前記固定化された分子と接触させて、相互作用により特異的に結合させるようにする。このときに起きる変化が測定部材に与える影響の大きさによって、相互作用により特異的に結合した物質を定量することができる。

RIfSにおいては、センサーチップに固定化された膜タンパク質にリガンドが結合すると、センサーチップの表面に形成されている光学薄膜(干渉膜)の膜厚が変化することになるため、その光学薄膜に白色光照射したときに、干渉によって反射率最低になる光の波長ボトムピーク波長)が変化する。干渉膜の屈折率既知であれば、その波長の変化量(Δλ)から、膜厚の変化量(Δd)を換算式によって算出することができ、前記膜タンパク質に結合した前記リガンド等を定量して、分子間相互作用(特異的結合性)の強弱などを評価することができる。たとえば、RIfS用のセンサーチップの表面をあらかじめ反応性官能基で修飾しておき、抗体を含む溶液をその表面に接触させて前記官能基と抗体(タンパク質)が有する官能基とを反応させると、その抗体をセンサーチップの表面に固定化することができる。続いて、その抗体と特異的に結合する抗原を含む溶液をセンサーチップの表面に接触させると、抗原抗体反応により固定化されている抗体に溶液中の抗原が捕捉される。このとき、補足された抗原の量に応じて、すなわちその抗原が均質薄膜を形成していると仮定したときの膜厚の増加分に応じて、上述したようにボトムピーク波長が変化する。

一方、特許文献1には、表面に膜タンパク質レセプター細胞外活性ドメインを組み込んだ脂質膜脂質二重膜)を圧電素子または表面プラズモン共鳴センサーの表面に固定化したバイオセンサー、および当該バイオセンサーを使用した生体分子間の相互作用の測定方法などが記載されている。この測定方法ではまず、膜タンパク質レセプターの細胞外活性ドメインを組み込んだ脂質膜(脂質二重膜)を、圧電素子または表面プラズモン共鳴センサーの表面に滴下して、当該表面に前記細胞外活性ドメインが組み込まれた単層膜(表面が疎水性の場合)または脂質二重膜(表面が親水性の場合)を形成させ、バイオセンサーとする。続いて、そのバイオセンサーの表面にリガンド分子を含む溶液を添加すると、前記レセプターとリガンドが結合する。前記バイオセンサーが圧電素子に基づくものであれば水晶振動子周波数が減少するため、その程度によって前記レセプターとリガンドとの結合(解離定数計測することができ、活性を評価することができる。

概要

反射干渉分光法(RIfS)に基づく膜タンパク質の相互作用測定方法であって、簡便な操作で、再現性よく、膜タンパク質に特異的に結合する物質の絶対的な量を測定することのできる方法を提供する。[1]RIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成する工程と、[2]前記工程[1]後のセンサーチップの表面に、前記膜タンパク質との相互作用を評価する対象となる被験物質の溶液を接触させる工程とを含むことを特徴とする測定方法。前記工程[1]は、前記薄層を形成するために、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理(たとえばプラズマ処理)が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させる工程であることが好ましい。なし

目的

本発明は、RIfSに基づく相互作用測定方法において、簡便な操作で、再現性よく、膜タンパク質に特異的に結合する物質の絶対的な量を測定することのできる方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

反射干渉分光法RIfS)に基づく膜タンパク質相互作用測定方法であって、[1]RIfS用センサーチップ光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成する工程と、[2]前記工程[1]後のセンサーチップの表面に、前記膜タンパク質との相互作用を評価する対象となる被験物質溶液を接触させる工程とを含むことを特徴とする相互作用測定方法。

請求項2

前記工程[1]が、前記薄層を形成するために、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させる工程である、請求項1に記載の相互作用測定方法。

請求項3

前記親水化処理がプラズマ処理である、請求項2に記載の相互作用測定方法。

請求項4

前記RIfS用センサーチップの光学薄膜が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、ITO(酸化インジウムスズ)、HfO2(酸化ハフニウム)またはSiN(窒化シリコン)のいずれかの化合物からなるものである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の相互作用測定方法。

請求項5

RIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を備えることを特徴とする、RIfS用センサーチップ。

請求項6

前記膜タンパク質含有脂質二重膜からなる厚さ2nm以上7nm以下の薄層が、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させることにより形成されたものである、請求項5に記載のRIfS用センサーチップ。

請求項7

前記親水化処理がプラズマ処理である、請求項6に記載のRIfS用センサーチップ。

請求項8

前記RIfS用センサーチップの光学薄膜が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、ITO(酸化インジウムスズ)、HfO2(酸化ハフニウム)またはSiN(窒化シリコン)のいずれかの化合物からなるものである、請求項5〜7のいずれか一項に記載のRIfS用センサーチップ。

技術分野

0001

本発明は、反射干渉分光法RIfS:Reflectometric Interference Spectroscopy)に基づく、膜タンパク質とそれに特異的に結合する物質の間に働く相互作用測定方法に関する。

背景技術

0002

近年、蛍光物質放射性物質などの標識体を用いることなく、分子間に働く相互作用を直接的かつ定量的に検出する方法の研究開発が進められている。たとえば、光学薄膜干渉色変化を応用した検出法である反射干渉分光法(RIfS:Reflectometric Interference Spectroscopy)が提案され、実用化されている。その他にも、表面プラズモン共鳴法(SPR:Surface Plasmon Resonance)や水晶発振子マイクロバランス法QCM:Quartz Crystal Microbalance)などに基づく相互作用の測定方法も知られている。

0003

上記のような分子間相互作用測定方法においては、まず、分子間相互作用関与する一方の分子、たとえばレセプター受容体)として機能している膜タンパク質を、各測定方法に対応した測定部材センサーチップ)の表面に固定化する。そして、分子間相互作用に関与するもう一方の分子、たとえば前記レセプターとして機能している膜タンパク質に対応するリガンド低分子化合物タンパク質ホルモン等)や、前記受容体に結合してリガンドとの結合能阻害するための抗体、あるいはそのような機能を果たす候補物質を、前記固定化された分子と接触させて、相互作用により特異的に結合させるようにする。このときに起きる変化が測定部材に与える影響の大きさによって、相互作用により特異的に結合した物質を定量することができる。

0004

RIfSにおいては、センサーチップに固定化された膜タンパク質にリガンドが結合すると、センサーチップの表面に形成されている光学薄膜(干渉膜)の膜厚が変化することになるため、その光学薄膜に白色光照射したときに、干渉によって反射率最低になる光の波長ボトムピーク波長)が変化する。干渉膜の屈折率既知であれば、その波長の変化量(Δλ)から、膜厚の変化量(Δd)を換算式によって算出することができ、前記膜タンパク質に結合した前記リガンド等を定量して、分子間相互作用(特異的結合性)の強弱などを評価することができる。たとえば、RIfS用のセンサーチップの表面をあらかじめ反応性官能基で修飾しておき、抗体を含む溶液をその表面に接触させて前記官能基と抗体(タンパク質)が有する官能基とを反応させると、その抗体をセンサーチップの表面に固定化することができる。続いて、その抗体と特異的に結合する抗原を含む溶液をセンサーチップの表面に接触させると、抗原抗体反応により固定化されている抗体に溶液中の抗原が捕捉される。このとき、補足された抗原の量に応じて、すなわちその抗原が均質薄膜を形成していると仮定したときの膜厚の増加分に応じて、上述したようにボトムピーク波長が変化する。

0005

一方、特許文献1には、表面に膜タンパク質レセプター細胞外活性ドメインを組み込んだ脂質膜脂質二重膜)を圧電素子または表面プラズモン共鳴センサーの表面に固定化したバイオセンサー、および当該バイオセンサーを使用した生体分子間の相互作用の測定方法などが記載されている。この測定方法ではまず、膜タンパク質レセプターの細胞外活性ドメインを組み込んだ脂質膜(脂質二重膜)を、圧電素子または表面プラズモン共鳴センサーの表面に滴下して、当該表面に前記細胞外活性ドメインが組み込まれた単層膜(表面が疎水性の場合)または脂質二重膜(表面が親水性の場合)を形成させ、バイオセンサーとする。続いて、そのバイオセンサーの表面にリガンド分子を含む溶液を添加すると、前記レセプターとリガンドが結合する。前記バイオセンサーが圧電素子に基づくものであれば水晶振動子周波数が減少するため、その程度によって前記レセプターとリガンドとの結合(解離定数計測することができ、活性を評価することができる。

先行技術

0006

特開2005−98733号公報

発明が解決しようとする課題

0007

膜タンパク質(レセプター)とそれに特異的に結合する物質(リガンド)との分子間相互作用を解析しようとする場合、従来のRIfSに基づく相互作用測定方法では、センサーチップの表面に固定化するための膜タンパク質を精製、抽出、結晶化する必要があり、煩雑かつ高度な技術が必要だった。

0008

一方、特許文献1に記載された方法で用いられている表面プラズモン共鳴法(SPR)または水晶発振子マイクロバランス法(QCM)に基づく相互作用測定方法では、その特性上、バイオセンサーに結合した物質からなる薄膜の膜厚、すなわちレセプターと結合したリガンドの絶対的な量を特定することはできない。

0009

また、RIfS、SPR、QCM等の測定部材の表面には、レセプターが必ずしも均質に固定化されるわけではなく、リガンドおよびその他の生体物質夾雑物)が、膜タンパク質が固定化されていない部位に非特異的に結合する場合もある。各測定系におけるシグナルのうち、膜タンパク質に特異的に結合した物質を反映しているシグナルと、それ以外の部位に非特異的に結合した物質を反映しているシグナルとを判別することは困難である。さらに、測定部材の表面に膜タンパク質がどのような状態で固定化されているのか、非特異的な吸着を招くおそれのある部位がどの程度露出しているのか、といった条件は測定ごとに変動するものであるが、測定前にそのような情報を取得しておくことも困難である。そのため、従来の相互作用測定方法では、非特異的に結合した物質を排除して、レセプターに特異的に結合した物質を、再現性よく定量することはできなかった。

0010

本発明は、RIfSに基づく相互作用測定方法において、簡便な操作で、再現性よく、膜タンパク質に特異的に結合する物質の絶対的な量を測定することのできる方法を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0011

本発明者らは、RIfS用のセンサーチップの光学薄膜(酸化ジルコニウム等)の表面を親水化処理した後に、膜タンパク質を含有する脂質二重膜の溶液を接触させた場合、センサーチップの表面に前記脂質二重膜が密に固定化された状態を生み出すことができ、それによって問題の原因となっていた非特異的吸着を防止することができることを見出し(後記実施例参照)、本発明を完成させるに至った。

0012

すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
[項1]
反射干渉分光法(RIfS)に基づく膜タンパク質の相互作用測定方法であって、
[1]RIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成する工程と、
[2]前記工程[1]後のセンサーチップの表面に、前記膜タンパク質との相互作用を評価する対象となる被験物質の溶液を接触させる工程と
を含むことを特徴とする相互作用測定方法。
[項2]
前記工程[1]が、前記薄層を形成するために、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させる工程である、項1に記載の相互作用測定方法。
[項3]
前記親水化処理がプラズマ処理である、項2に記載の相互作用測定方法。
[項4]
前記RIfS用センサーチップの光学薄膜が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、ITO(酸化インジウムスズ)、HfO2(酸化ハフニウム)またはSiN(窒化シリコン)のいずれかの化合物からなるものである、項1〜3のいずれか一項に記載の相互作用測定方法。
[項5]
RIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を備えることを特徴とする、RIfS用センサーチップ。
[項6]
前記膜タンパク質含有脂質二重膜からなる厚さ2nm以上7nm以下の薄層が、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜の溶液を接触させることにより形成されたものである、項5に記載のRIfS用センサーチップ。
[項7]
前記親水化処理がプラズマ処理である、項6に記載のRIfS用センサーチップ。
[項8]
前記RIfS用センサーチップの光学薄膜が、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、ITO(酸化インジウムスズ)、HfO2(酸化ハフニウム)またはSiN(窒化シリコン)のいずれかの化合物からなるものである、項5〜7のいずれか一項に記載のRIfS用センサーチップ。

発明の効果

0013

本発明では、親水化処理が施されたRIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜溶液を接触させるという簡便かつ安価に行える操作により、その表面に膜タンパク質を含有する脂質二重膜を密に固定化することができる。このような処理がなされたセンサーチップを用いることにより、従来はできなかった、非特異的結合の影響を排除した、膜タンパク質に特異的に結合する物質の絶対的な量の測定を、再現性よく行うことができるようになる。この際、密に固定化された脂質二重膜は、無修飾の光学薄膜を露出させないようにするとともに、脂質二重膜の親水性部分が表面に配向することでリガンドとしてのタンパク質等が非特異的に吸着しにくくなっているので、通常のウシ血清アルブミンBSA)などによるブロッキング処理は不要となる。

0014

また、RIfSでは光学薄膜の膜厚の変化を高精度で測定することができるので、無修飾のRIfS用センサーチップの光学薄膜(たとえば酸化ジルコニウム)の表面に、膜タンパク質を含有する脂質二重膜の薄膜が形成されたときに、その薄膜の厚さを定量することができる。したがって、仮に所定のタンパク質含有脂質二重膜溶液を導入しても、膜タンパク質を含有する脂質二重膜が密に固定化されたときに想定される膜厚の変化が測定できなかった場合、その後被験物質(リガンド)溶液を導入しても適切な試験が行えないと判定し、測定を中止するといったことが行えるようになり、実験効率の向上にも寄与する。

図面の簡単な説明

0015

図1は、RIfSに基づく相互作用測定方法の、本発明における実施形態の一例を示す概略図である。
図2は、実施例および比較例それぞれに関するRIfSの測定結果を表すグラフである。[A]実施例において、MRP1およびその他の膜タンパク質を含有する脂質二重膜からなるベシクル(MRP1ベシクル)を基板表面に接触させた場合のΔλ(「MRP1」のグラフ)、およびコントロール用にMRP1以外の膜タンパク質のみを含有する脂質二重膜からなるベシクル(コントロールベシクル)を基板表面に接触させた場合のΔλ(「Control」のグラフ)の測定結果。[B]比較例1において、MRP1ベシクルを基板表面に接触させた場合のΔλ(「MRP1」のグラフ)、およびコントロールベシクルを基板表面に接触させた場合のΔλ(「Control」のグラフ)の測定結果。[C]比較例2において、MRP1ベシクルを基板表面に接触させた場合のΔλ(「MRP1」のグラフ)、およびコントロールベシクルを基板表面に接触させた場合のΔλ(「Control」のグラフ)の測定結果。

0016

−RIfS測定システム
以下、本発明の実施形態の一例を示す図1を参照しながら、本発明の相互作用測定方法について説明する。

0017

分子間相互作用測定方法用の測定装置1は、主に、測定部材10,白色光源20,分光器30,光伝達部40,制御装置50などから構成されている。白色光源20,分光器30,光伝達部40などは、好ましくは測定装置本体に収容されており、この測定装置本体に、例えばPC(Personal Computer)の形態をとる制御装置50が制御可能に接続される。また、測定部材10は、一般的には矩形であり、好ましくは上記測定装置本体に着脱可能な形態である。

0018

RIfS用測定部材10は、少なくとも基板12aと、その上に形成された光学薄膜12bを含む、センサーチップ12を基本として構成され、通常はさらに、各種の溶液の溶液を送液するための密閉流路14bを形成するために、フローセル14が当該センサーチップ12に積載される。

0019

基板12aは、代表的にはSi(シリコン)製の基板である。光学薄膜12bは、基板の材質(屈折率)に応じて選択される、白色光を用いたときに観測されるボトムピークが適切な範囲となるような屈折率および厚みを有する材質で形成される。たとえば、基板12aがSi基板である場合、光学薄膜12bは、ZrO2(酸化ジルコニウム)、TiO2(二酸化チタン)、Ta2O5(五酸化タンタル)、Nb2O5(五酸化ニオブ)、ITO(酸化インジウムスズ)、HfO2(酸化ハフニウム)またはSiN(窒化シリコン)製とすることができ、中でもZrO2が好ましい。上記化合物の薄膜は、可視光領域(波長約400から800nmの範囲)における屈折率が1.8〜2.4で、Si基板の上層に形成される光学薄膜としての性能を満たしており、なおかつ当該光学薄膜自体がある程度、非特異的吸着を抑制する効果を有している。たとえば、ZrO2膜の膜厚を約50〜100nmとすることにより、ボトムピークをおよそ400nm〜800nmの範囲に調節することができる。また、上記化合物の薄膜に膜タンパク質含有脂質二重膜が接触すると、膜タンパク質含有脂質二重膜を平面状に固定化することができる。この現象は、膜タンパク質含有脂質二重膜として球状物質(ベシクル)を用いた場合にも起こり、ベシクルフュージョン」と呼ばれる現象により、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる球体展開して、上記のように平面状に固定化される。

0020

本発明における典型的な実施形態では、光学薄膜12bの表面は、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施された状態になっている。そのような親水化処理の方法は特に限定されるものではなく、公知の各種の親水化処理を採用することができるが、たとえば、プラズマ処理、UVオゾン処理親水性コーティング剤を用いた処理などが挙げられる。このうちプラズマ処理は、簡便な操作により上記所定の静的接触角を達成できる親水化処理を行うことができるため好ましい。プラズマ処理およびUVオゾン処理は、それぞれ公知の装置を用いて、上記の静的接触角の条件を満たすよう、各種の条件を調節すればよい。親水性コーティング剤としては、たとえば、ポリメタクリル酸、(メタアクリル酸アルキルメタアクリレート共重合体ポリヒドロキシアルキルメタクリレートヒドロキシアルキルメタクリレートアルキルメタクリレート共重合体、ポリオキシアルキレン基含有メタクリレート重合体などの(メタ)アクリル酸系共重合体(大阪有機工業株式会社「LAMBIC」シリーズ等)や、その他の公知の親水性コーティング剤であって、上記の静的接触角の条件を満たす処理が行えるものを用いることができる。

0021

フローセル14は、たとえばシリコーンゴムポリジメチルシロキサン:PDMS)製の、透明な部材であり、センサーチップ12に密着させることができる。フローセル14には少なくとも1つの溝14aが形成されている。フローセル14をセンサーチップ12に密着させると、密閉流路14bが形成される。溝14aの両端部はフローセル14の表面から露出しており、一方の端部が送液部(たとえばシリンジポンプ)に接続されて試料溶液60等の各種の溶液が供給される流入口14cとして機能し、他方の端部は廃液部に接続されて試料溶液60等の各種の溶液の流出口14dとして機能するようになっている。

0022

光伝達部40は、白色光源20(たとえばハロゲンランプ)からの白色光を測定部200に導くための第一の光伝達経路としての第一の光ファイバ41と、第一の光ファイバ41からの白色光の照射による反射光を測定部200から分光器30に導くための第二の光伝達経路としての第二の光ファイバ42とを備えている。白色光源20が点灯すると、その白色光が第一の光ファイバ41を介して測定部200に照射され、その反射光が光ファイバ42を介して分光器30に導かれる。この分光器30は、受光部で受光する光に含まれる一定の波長間隔ごとの光について光強度を検出し、分光強度として制御装置50に出力する。

0023

制御装置50は、オペレータから検出動作の実行の入力を受け付けて、測定装置10への検出動作制御実行指令を出力する。これにより、制御装置50は、制御部として機能する。たとえば、マイコン(図示せず)は、制御装置50の制御指令に応じて白色光源20の点灯と消灯切り換える制御を行う。

0024

また、制御装置50は演算部としても機能する。制御装置50は、分光器30から測定光の分光強度のデータを取得し、各波長帯域ごとに、測定光の分光強度を基準となる白色光の分光強度で除して反射率を算出する。基準光分光強度データは、あらかじめ装置組み立て調整時に測定して保有していたものでもよいし、その他の手段によりたとえば測定の都度取得したものでもよい。算出された反射率に基づき反射スペクトルが作成され、反射率極小波長(λ)が決定される。また、ある基準となる反射率極小波長(ベースライン)に対する、測定された反射率極小波長の変化量(Δλ)を取得することもできる。

0025

制御装置50は、測定を継続するか判定を行い、継続しない場合には処理を終了する。かかる判定は、例えば、予め測定時間が設定され、当該測定時間が経過したか否かを判定してもよいし、測定の終了の入力を受けるまで測定を継続する設定として、測定終了の入力の有無を判定してもよい。測定を継続する場合には、再び、分光強度の測定が実行される。測定を繰り返すことにより、制御装置50は、周期的に反射率の算出、反射スペクトルの作成および反射率極小波長の決定を行い、その時系列的な変化を記録する。

0026

−測定方法−
本発明のRIfSに基づく膜タンパク質の相互作用測定方法は、少なくとも下記[1]および[2]の工程を含むものであり、必要に応じて公知のRIfSに基づく相互作用測定方法で用いられているその他の工程を含んでいてもよい。

0027

[1]膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程
膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程は、RIfS用センサーチップの光学薄膜の表面に、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成する工程である。前述したように、本発明における典型的な実施形態では、前記光学薄膜の表面は、膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程を行う前に、空気中での水との静的接触角が10°以下となる親水化処理が施された状態になっている。

0028

膜タンパク質の種類は特に限定されるものではなく、相互作用測定方法を用いる分析の目的に応じて選択することができる。膜タンパク質と被験物質との相互作用は、たとえば膜タンパク質を標的とする医薬品(特に抗体医薬)を開発したり、膜タンパク質がどのような生体物質(リガンド)の受容体(レセプター)として機能しているのかを解明したりする際に測定される。

0029

膜タンパク質の一例として、癌細胞細胞膜発現し、抗癌剤等の様々な物質を細胞内から細胞外に排出することで、癌細胞に多剤耐性を賦与する原因の一つとして知られているMRP1(multidrug resistance-associated protein 1、ABCC1としても知られている)が挙げられる。その他にも、各種の癌組織の細胞膜で発現しており、バイオマーカーとして利用することができる生体物質、たとえば、EGFRHER1)(Epidermal Growth Factor Receptor:上皮増殖因子受容体)、HER2(Human Epidermal Growth Factor Receptor:ヒト上皮増殖因子受容体)、HER3、HER4、VEGFR(Vasular Endothelial Growth Factor Receptor:血管内皮細胞増殖因子受容体)、IGFR(Insulin-like Growth Factor Receptor:インスリン様増殖因子受容体)、HGFR(Hepatocyte Growth Factor Receptor:肝細胞増殖因子受容体)といった増殖因子の受容体(レセプター)や、PD−1(Programmed cell death 1)などの免疫系の受容体であるタンパク質が挙げられる。

0030

膜タンパク質含有脂質二重膜溶液は、RIfS測定システムに含まれる送液手段、たとえばシリンジポンプによって、フローセル14の流入口14cから密閉流路14bに導入し、センサーチップ12の表面(通常は親水化処理された状態の酸化ジルコニウム等の光学薄膜12b)に接触させるようにする。

0031

脂質二重膜を構成する脂質としては、公知の脂質二重膜を構成するために用いられているものと同様の脂質を用いることができる。一般的には、リン脂質動植物由来レシチンホスファチジルコリンホスファチジルセリンホスファチジルグリセロールホスファチジルイノシトールホスファチジン酸またはそれらの脂肪酸エステルであるグリセロリン脂質スフィンゴリン脂質;これらの誘導体等)を中心に構成され、必要に応じて、脂質膜の安定化に寄与するステロール類コレステロールフィトステロールエルゴステロール、これらの誘導体等)、さらに糖脂質グリコール脂肪族アミン長鎖脂肪酸オレイン酸ステアリン酸パルミチン酸等)、その他各種の機能性を賦与する化合物が配合されていてもよい。

0032

所望の膜タンパク質を含有する脂質二重膜は、市販されているものを用いてもよいし、調製してもよい。膜タンパク質含有脂質二重膜としては、膜タンパク質を含有する脂質二重膜からなる球状物質(ベシクル)を用いることもできるし、そのような球状物質とはなっていない、膜タンパク質を含有する断片化された脂質二重膜を用いることもできる。ただし、球状物質(ベシクル)は形状が球状であることから他の膜タンパク質含有脂質二重膜よりもより密になりやすいと考えられる。

0033

膜タンパク質のアミノ酸配列が公知で、適切な宿主細胞を用いた大量発現系が構築されている場合には、それを利用して多量の膜タンパク質を作製することができるが、その際、水に殆ど溶けないリン脂質膜に埋め込まれているという膜タンパク質の特性に応じた適切な手法を用いる必要がある。たとえば、まず遺伝子組換え技術を用いて大腸菌の細胞膜に所望の膜タンパク質を発現させ、続いて界面活性剤を用いてその大腸菌の細胞膜を可溶化して、膜タンパク質を含有する画分を抽出し、膜タンパク質を精製した後、リン脂質等と混合することにより、膜タンパク質を含有する脂質二重膜からなるベシクルを作製することができる。また、昆虫に感染するバキュロウイルスを用いた発現系を利用することにより、正しい立体構造をとった膜タンパク質を凝集させることなく多量に産生することができ、同様にしてその膜タンパク質を含有するベシクルを作製することができる。

0034

膜タンパク質含有脂質二重膜溶液の濃度は、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる平均厚さが2nm以上7nm以下の薄層を形成できるものであれば特に限定されるものではなく、膜タンパク質含有脂質二重膜の態様に応じて適宜調整することができる。

0035

膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程の時間は、センサーチップ12の表面に膜タンパク質を含む脂質二重膜が、平均厚さが少なくとも2nmの薄層を形成するよう固定化されるのに必要な時間とすることができるが、通常は10〜30分の範囲である。

0036

膜タンパク質含有脂質二重膜が十分に密に固定化されたかどうかは、RIfSによって測定されるΔλから換算可能なΔdが所定の値でほぼ変動しなくなることをもって判断することができる。換言すれば、Δdによって表される膜タンパク質含有脂質二重膜の平均厚さが本発明で規定する2nmより小さな段階では、膜タンパク質含有脂質二重膜はまだ疎に固定化されているに過ぎず、本発明の作用効果を奏するために十分ではない。

0037

RIfSの測定原理として、Δλは、測定領域内における光学薄膜の厚さの平均値を反映しており、たとえば厚さdの光学薄膜が測定領域の50%の面積の部分に形成され(表面被覆率=50%)、それ以外の部分には光学薄膜が形成されなかったとすると、測定されるΔλは、d/2に相当する厚さを示す値となる。

0038

ここで、Δλは、物理的な膜厚と屈折率によって決定される光学膜厚の増加分に対応しているため、屈折率が既知の物質であれば、物理的な膜厚の増加分(Δd)をΔλから算出することができる。たとえば、リン脂質の屈折率(文献値)は1.49であるため、Δλとこの屈折率の値から、リン脂質からなる脂質二重膜の膜厚を公知の所定の換算式によって求めることができる。このような換算は、薄層の反射率を計算することが可能なソフトウェア、たとえばEssential Micleod(Thin Film Center社)によって行うことができる。本発明の実施形態において、シリコンウェハに対して70nmのZrO2を蒸着させたセンサーチップを用いる場合、Δλ1nmは、Δd約0.6nmに換算されることが分かっている。

0039

なお、十分に濃度の高い膜タンパク質含有脂質二重膜溶液を用いた場合であっても、膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程の前後のΔdは、リン脂質からなる二重膜の膜厚として既知の値である7nmより大きくはならない。また、膜タンパク質を含有しない脂質二重膜(コントロールメンブレン)を用いた実験において、Δλ=2.5nm(Δd=1.5nm)程度となるよう固定化した場合には、非特異的吸着を抑制することができない(Δλ=0.4nm相当の非特異的吸着が認められる)一方、Δλ=4.0nm(Δd=2.4nm)以上となるよう固定化した場合には、非特異的吸着を抑制することができる(非特異的吸着によるΔλの変動はほとんど認められない)。これらの結果から、非特異的吸着を抑制するという本発明の作用効果を奏するためには、膜タンパク質含有脂質二重膜からなる薄層の平均厚さの下限値を2nmとし、上限値は7nmとすることが妥当であると考えられる。

0040

[2]被験物質溶液処理工程
被験物質溶液処理工程は、膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程後のセンサーチップの表面に、前記膜タンパク質との相互作用を評価する対象となる被験物質の溶液を接触させる工程である。

0041

被験物質の種類も特に限定されるものではなく、前述したような膜タンパク質との相互作用の測定を通じた分析の目的に応じて選択することができる。たとえば、レセプターとして機能している膜タンパク質に対応するリガンド(低分子化合物、タンパク質のホルモン等)や、前記レセプターとしての機能またはその他の機能を果たす膜タンパク質に結合して、その機能を阻害するための抗体などについての被験物質を用いることができる。

0042

被験物質溶液も、膜タンパク質含有脂質二重膜溶液と同様に、RIfS測定システムに含まれる送液手段、たとえばシリンジポンプによって、フローセル14の流入口14cから密閉流路14bに導入し、センサーチップ12の表面(膜タンパク質含有脂質二重膜溶液処理工程を終えた状態なので、膜タンパク質を含有する脂質二重膜)に接触させるようにする。

0043

被験物質溶液の濃度は特に限定されるものではなく、所定の厚みを有する膜タンパク質含有脂質二重膜が固定化される、センサーチップ12の表面に固定化されている膜タンパク質の量や被験物質の種類に応じて適宜調節することができる。被験物質溶液の溶媒としては、たとえば適切なpHに調整された緩衝液など、タンパク質やその他の生体関連物質の溶液を調製するための一般的な溶媒を用いることができる。

0044

[実施例]
[1.センサーチップの作製工程]
シリコンウエハ(100)の上に、ZrO2(酸化ジルコニウム)を70nmの厚さになるようCVDで蒸着し、ZrO2からなる光学薄膜を最表面に有する無修飾のセンサーチップを作製した。

0045

[2.測定準備工程]
RIfS方式の分子間相互作用測定装置(商品名「MI−Affinity」、コニカミノルタ(株)製)の電源を入れて光源が安定するまで約20分間待機した。

0046

無修飾のセンサーチップを、プラズマ装置(商品名「SEDE−GE」、メイワフォーシス(株)製)内にセットして5Paの圧力にてプラズマを30秒間照射して親水化処理を施した。親水化処理の効果を、接触角測定ソフトウェアFTA32(First Ten Angstroms, Inc., VA, USA)を用いて水に対するセンサーチップの静止接触角を測定することで見積もった。水の液滴は約1μL、液滴とセンサーチップとの距離は約4mmに設定した。親水化処理前のセンサーチップ表面の、空気中での水との静的接触角は約57°であったのに対し、親水化処理後の静的接触角は約5°であった。

0047

上記のようにして親水化処理を施したセンサーチップに、幅2.5mm×長さ16mm×深さ0.1mmの溝及びこの溝の両末端にそれぞれ直径1mmの貫通口を有するフローセル(コニカミノルタ(株)製)を積載して、密閉流路が形成された測定部材を構築した。この測定部材を上記測定装置にセットし、インジェクターとしてのシリンジポンプ(Econoflo70−2205;Harvard Apparatus製)により、上記測定装置が備えているチップカバーを通して、測定装置外部から密閉流路に液体を送液し、センサーチップ表面に接触させることが可能な状態にした。

0048

ランニングバッファーには10mM Tris−HCl,140mM NaCl,2.7mM KClを用いた。これらのランニングバッファーを、インジェクターにて20μL/minの流量で、最低でも10分間送液することで、MI−Affinityの測定値となる分光反射率最小値を取る波長(ベースライン)の安定化を図った。

0049

[3.測定工程]
ベースラインが安定化したのを確認した後、分光反射率の最小値を取る波長のシフト(Δλ)の測定を開始した。測定開始10分後、MPR1を含有するベシクル(MRP1ベシクル)、およびコントロールとしての、MRP1を含有しないベシクル(コントロールベシクル)を、前記ランニングバッファー10mM Tris−HClで50倍希釈した溶液100μLを、インジェクターよりセンサーチップ上に導入した。これら2種類の試薬はべクトン・ディキンソンアンドカンパニー社より購入したものであり、Tris−HClで50倍希釈した溶液の濃度は、そこに含まれる膜タンパク質の濃度として100μg/mLである。さらに20分後(測定開始30分後)、10μg/mLの抗MRP1抗体(clone: IU2H10, Novus Biologicals社)溶液100μLをインジェクターよりセンサーチップ上に導入した。

0050

この一連の工程におけるΔλをリアルタイムに測定した結果を図2[A]に示す。親水化処理したセンサーチップを用いて、比較的濃度の高いMRP1ベシクル溶液およびコントロールベシクル溶液を接触させたとき、どちらも密にリン脂質が固定化された(Δλは約5nmで平均厚さΔdは約3nm相当)。また、抗MRP1抗体を接触させたとき、コントロールベシクルについてはΔλの変動がほぼ検出されないのに対し、MRP1ベシクルについてはΔλの変動が検出された。このことから、基板表面(ZrO2)への非特異的吸着の影響を排除した状態で、MRP1(目的とする膜タンパク質)に対する抗MRP1抗体(被験物質)の抗原抗体反応に基づく特異的な相互作用を検出することができたと考えられる。

0051

[比較例1]
[3.測定工程]において、MRP1ベシクルおよびコントロールベシクルそれぞれについて、前記ランニングバッファー10mM Tris−HClで500倍希釈した溶液(溶液の濃度は、そこに含まれる膜タンパク質の濃度として10μg/mLである。)100μLを、インジェクターよりセンサーチップ上に導入することで膜タンパク質の固定化を行った。それ以外は実施例と同様の方法にて測定を実施した。

0052

結果を図2[B]に示す。親水化処理したセンサーチップを用いて、比較的濃度の低いMRP1ベシクル溶液およびコントロールベシクル溶液を接触させたとき、どちらもリン脂質は密には固定化されなかった(Δλは約0.5nmで平均厚さΔdは約0.3nm相当)。そのため、抗MRP1抗体を接触させたとき、MRP1ベシクルについてのみならず、コントロールベシクルについても、Δλの変動が検出された。このことから、脂質二重膜層が密に形成されていない状態では、測定されるΔλおよびそれから換算されるΔdから、基板表面(ZrO2)への非特異的吸着の影響を排除することができず、コントロールとの対比による差分を求めない限り、MRP1に対する抗MRP1抗体の抗原抗体反応に基づく特異的な相互作用のみを検出することができないものと考えられる。

0053

[比較例2]
[2.測定準備工程]において、無修飾のセンサーチップに対してプラズマ照射による親水化処理を行わなかった。それ以外は実施例と同様の方法にて測定を実施した。

実施例

0054

結果を図2[C]に示す。親水化処理をしていないセンサーチップを用いた場合、MRP1ベシクル溶液およびコントロールベシクル溶液を接触させたときに測定されるΔλの差が比較的大きくなっていることから、膜タンパク質含有脂質二重膜層の形成のされ方にも比較的大きなばらつきが生じるものと考えられる。

0055

1測定装置
10測定部材
12センサーチップ
12a基板
12b光学薄膜
14フローセル
14a 溝
14b密閉流路
14c 流入口
14d 流出口
16膜タンパク質
18脂質二重膜
20白色光源
30分光器
40光伝達部
41 第一の光ファイバ
42 第二の光ファイバ
50制御装置
60試料溶液
62 被験物質

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

おススメ サービス

おススメ astavisionコンテンツ

新着 最近 公開された関連が強い技術

  • コニカミノルタ株式会社の「 ガス検知システム」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】レーザー光を走査して2次元的なガス分布を取得するガス検知システムにおいて、効率良く高精度にガスを測定する。【解決手段】投光部(11)と、受光部(12)と、測定方位を偏向して測定点を移動させる偏... 詳細

  • 株式会社島津製作所の「 分析システム」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】作業性を向上できる分析システムを提供する。【解決手段】分析システム1において自動補正の処理を行う場合には、ユーザは、表示部32に表示される表示画面を確認しながら、自動補正のためのボタンを選択す... 詳細

  • 株式会社リコーの「 液滴形成装置」が 公開されました。( 2019/09/12)

    【課題】細胞溶液を安定的に吐出することが可能な液滴形成装置を提供すること。【解決手段】本液滴形成装置は、細胞を含有する細胞溶液を保持する液体保持部と、ノズルが形成され、前記液体保持部に保持された前記細... 詳細

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ