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課題

マグネシウム電池における利用のために、Al、Cuおよびステンレス鋼などの非貴金属適合性のある、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する方法を提供する。

解決手段

塩化物を含有しないマグネシウム電解質塩を調製する方法が提供される。当該方法によれば、水安定性ホウ酸またはカルボランアニオンイオン交換によってアルカリ金属または銀の金属塩に変換され、次いで、別のイオン変換によって塩化物を含有しないマグネシウム塩に変換される。マグネシウム電池用の電解質として好適な塩化物を含有しないマグネシウム塩および当該塩化物を含有しないマグネシウム電解質を含むマグネシウム電池も提供される。

概要

背景

背景の説明
マグネシウム電池は、従来のリチウム電池に取って代わるまたは補足されるより経済的で、安全で、高容量の電池を提供するために、高い関心の対象かつ多大な研究および開発の労力の対象となっている。リチウムと比較して、Mgは、Liの2062mAh cm−3よりずっと大きい3832mAh cm−3の体積測定容量を有する可能性がある。さらに、Mgは、−2.356V対NHEマイナス還元電位を有する。地球の地殻において7番目に最も豊富元素として、Mgは、より低い資源コストおよびより低い環境影響特性を有する(Aurbach: Nature, Vol 407, pp 724-727, 2000を参照)。

すべきは、Mgには、Li金属を高容量アノード材料としての商業化のために安全でなくしているデンドライト形成の問題がないことである(West: Journal of Electrochemical Communications, Vol 155, pp A806-A811, 2008)。

電池研究における現在進行中の課題は、エネルギ密度を、リチウムイオン電池によって提供されるエネルギ密度を超えるように増加させることである。これには、純粋な金属アノードを含有する電池への移行が必要とされ得る。しかしながら、リチウムの場合、デンドライトの形成により堆積が不均一に起こり、サイクリング中に安全面の懸念が生じる。リチウム金属対照的に、マグネシウム金属の堆積は、デンドライトの形成によって悩まされない。さらに、マグネシウムは、空気に晒されたときリチウムより安定である。しかしながら、マグネシウムは、−2.36V対NHEの還元電位を有し、リチウム電解質類似物であるマグネシウム電解質の使用を妨げる独自の電気化学を有している。Mg(PF6)2、Mg(ClO4)2およびMg(TFSI)2などのマグネシウム類似物の還元の結果、マグネシウムアノード表面上に阻止膜が形成され、これにより、マグネシウムの成功裏の堆積は観察されていない(Feng, Z: Surface Coating Technologies, Vol 201, pp 3783-3787, 2006)。

エーテル溶液におけるグリニャール試薬からの有効なマグネシウム電着報告は、1927年にまで遡り、それ以降文献に定期的に現われている。グリニャール試薬に基づく電気めっき浴の安定性を向上させるために、1957年に、Connor et al.は、MgBr2およびLiBH4の反応によってその場で生成されるマグネシウムホウ化水素Mg(BH4)2からのマグネシウムの電着を研究している。残念ながら、ホウ素およびマグネシウムは1:9比で共堆積する。近年、Mohtadi et al.は、マグネシウム電池用の電解質としてのマグネシウムホウ化水素の使用を証明した。Mg(BH4)2の酸化安定性は、グリニャール溶液と同様であると報告されている。しかしながら、高電圧充電式マグネシウム電池を開発する際の障害の1つは、1.3V対Mgの酸化安定性を有するエチルマグネシウムブロミド(EtMgBr)およびブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)などのグリニャール試薬の酸化安定性の域を超えている。グリニャール溶液の低酸化安定性は、利用可能なカソード選択肢を限定する。1990年にはGregory et al.が、ジブチルマグネシウムおよびルイス酸トリ−N−ブチルボランの反応から電解質Mg(B(C4H9)4)2を合成し、これはBuMgBrに対して向上された酸化安定性を示している。ルイス酸の特性が電圧安定性を改善させた要因であり得ると想定された。Gregoryはさらに、電気化学的めっきを向上させるために、エチルマグネシウムクロリド(EtMgCl)およびメチルマグネシウムクロリド(MeMgCl)などのアルキルグリニャール試薬アルミニウムトリクロイド(AlCl3)に加えることによるマグネシウム堆積の質を評価している。

Aurbach et alは、マグネシウム有機ハロアルミン酸塩と呼ばれる新たなクラスの電解質を普及させた。APCと呼ばれるこのような電解質の1つは、アルミニウムトリクロリド(AlCl3)とグリニャールフェニルマグネシウムクロリド(PhMgCl)を1:2比で反応させることによってその場で生成され、3.2V対Mgを超える酸化安定性を有し、高クローン効率でマグネシウムを堆積/溶解可能である。結晶化マグネシウム有機ハロアルミン酸塩は、すべて、次の一般カチオン

(化1)
(Mg2(μ-Cl)3・6THF)+

共有し、これらのレドックス安定性は、独自のアニオンによって決定される。マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、Ptまたはガラス状炭素などの不活性電極に対して高い酸化安定性(3.0V対Mg超)を有し、高電流でマグネシウムを堆積およびストリッピングすることが可能である。しかしながら、マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、アルミニウムニッケルおよびステンレス鋼などのより低不活性な金属に対して腐食性であることが報告されており、筐体および集電体材料におけるこれらの金属の利用により、コイン型セル電池構成において2.2V以下までの充電に制限されてしまう。電解質の酸化安定性はカソードの選択肢を左右するため、高電圧カソードの発見を可能にする非腐食性マグネシウム電解質を開発することは非常に重要である。ステンレス鋼は、広く使用される集電体であり、かつコイン型セルなどのさまざまな電池における主要な成分であるため、ステンレス鋼に対するマグネシウム電解質の電圧安定性を向上させることは、非常に重要である。最先端技術であるマグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、Mg電池コイン型セルの使用を2.3V対Mg以下での動作に制限してしまう。塩化物イオンは、金属表面を非均一に腐食して、点腐食を形成する最も過酷な腐食性のイオンの一つであることが十分に立証されている。しかしながら、本発明以前には、マグネシウム電解質の塩化物イオン含有量の問題を特定し、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する試みを記載した報告は存在しなかった。

Yamamoto et al.(米国特許公開第2013/0337328号)は、負極としてマグネシウム金属または金属合金と、フッ化黒鉛/銅正極と、電解質とを含み、当該電解質は、エーテル溶媒(1,2ジメトキシエタン)で錯体化されたマグネシウム金属イオンの混合物アルキルトリフルオロメタンスルホネート、第4級アンモニウム塩および/またはメチルイミダゾリウム塩であるマグネシウム電気化学セルを記載している。当該混合物は、アルミニウムハロゲン化物(AlCl3)をさらに含有し、マグネシウムおよびアルミニウムハロゲン化物を溶解後、三フッ化ホウ素エーテル錯体が添加される。可能な成分としてさまざまなホウ素塩が記載されている。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、電解質としての塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の調製を開示も示唆もしていない。

本発明者ら(米国特許公開第2013/0034780号)(米国特許第8,318,354号)は、本発明の基本的な出発材料となり得るマグネシウム錯体塩の合成および構造特定を記載している。しかしながら、塩化物を含有しない錯体への変換は、開示も示唆もされていない。

Singh et al.(米国特許公開第2013/0266851号)は、活成分としてスズを含有する負極を有するマグネシウム電気化学セルを記載している。グリニャールベースの系およびマグネシウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドなどの従来知られている電解質が使用されている。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の電解質としての調製を開示も示唆もしていない。

Itaya et al.(米国特許公開第2004/0137324号)は、カルボン酸、エーテルまたは溶融塩などの非水有機溶媒におけるマグネシウムビストリフルオロメタンスルホンイミドからなるマグネシウム電池用の電解質を記載している。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の電解質としての調製を開示も示唆もしていない。

概要

マグネシウム電池における利用のために、Al、Cuおよびステンレス鋼などの非貴金属適合性のある、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する方法を提供する。塩化物を含有しないマグネシウム電解質塩を調製する方法が提供される。当該方法によれば、水安定性ホウ酸またはカルボランアニオンイオン交換によってアルカリ金属または銀の金属塩に変換され、次いで、別のイオン変換によって塩化物を含有しないマグネシウム塩に変換される。マグネシウム電池用の電解質として好適な塩化物を含有しないマグネシウム塩および当該塩化物を含有しないマグネシウム電解質を含むマグネシウム電池も提供される。

目的

背景の説明
マグネシウム電池は、従来のリチウム電池に取って代わるまたは補足されるより経済的で、安全で、高容量の電池を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

次の式(I)(化1)[A]2Mg(溶媒)y (I)(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性ホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)のマグネシウム塩を調製する方法であって、前記方法は、次の反応式(c)(化2)2(A-M+)+MgBr2→A2Mg(溶媒)y+ 2MBr(s)(c)(式中、M+は、Li+、Na+、K+Rb+、Cs+およびAg+からなる群から選択される少なくとも1つである)に従う前記非水溶媒(溶媒)における金属イオンM+に対する少なくとも1つのMg2+のイオン交換操作を含む、方法。

請求項2

M+は、Ag+である、請求項1に記載の方法。

請求項3

M+は、K+である、請求項1に記載の方法。

請求項4

水性媒体において次のイオン交換(a)(化3) [Mg2(μ-Cl)3・6THF]+A- + K2CO3 + KHCO3→ KA + [Mg2(μ-Cl)3・6THF]+ (a)に従ってアニオンA−のK+塩を形成するステップと、エーテルでKA塩を抽出するステップと、真空下で前記エーテルを除去し、遊離KA塩を得るステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。

請求項5

KNO3が不溶性である媒体において、次のイオン交換(b)(化4)KA + AgNO3 → AgA + KNO3(s)(b)に従ってアニオンA−のAg+塩を形成するステップと、AgA塩の溶液から析出されるKNO3(s)を除去するステップとをさらに含む、請求項4に記載の方法。

請求項6

Aは、次の式(II)(化5)(BR4)- (II)(式中、R基は、それぞれ独立して、任意にFで置換された1から6個の炭素原子アルキル基、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のホウ酸アニオンである、請求項1に記載の方法。

請求項7

前記式(II)のホウ酸アニオンは、次の式(IV)(化6) [BPh4]-(IV)(式中、各Ph基は独立して、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のアニオンである、請求項6に記載の方法。

請求項8

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(V)(化7)[(C6F5)3B (C6H5)]- (V)のアニオンである、請求項7に記載の方法。

請求項9

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(VI)(化8) [(Mes)3B (C6H5)]-(VI)(式中、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である)のアニオンである、請求項7に記載の方法。

請求項10

Aは、次の式(III)(化9)(C2B10H11)-(III)(式中、カルボランは、オルト−カルボラン、メタ−カルボランまたはパラ−カルボランのアニオンである)のカルボランアニオンである、請求項1に記載の方法。

請求項11

前記エーテル酸素を含有する非水溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタンDME)およびジエチレングリコールジメチルエーテルジグリム)(DGM)の少なくとも1つである、請求項1に記載の方法。

請求項12

次の式(VII)(化10)[(C6F5)3B(C6H5)]2Mg(THF)6(VII)(式中、THFは、テトラヒドロフラン分子であり、Phは、C6H5基である)のマグネシウム塩を調製する方法であって、前記方法は、次の反応式(化11)2((C6H5)B(C6F5)3)Ag+MgBr2→((C6H5)B(C6F5)3)2Mg(THF)6+2AgBrに従うTHFにおけるAgに対するMgのイオン交換のステップと、前記式(VII)のマグネシウム塩からのAgBrの除去のステップとを含む、方法。

請求項13

次の式(VIII)(化12)[(Mes)3B (C6H5)]2Mg(THF)6 (VIII)(式中、THFは、テトラヒドロフラン分子であり、Phは、C6H5基であり、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である)のマグネシウム塩を調製する方法であって、前記方法は、次の式(化13)2((C6H5)B(Mes)3)Ag+MgBr2→((C6H5)B(C6H5)3)2Mg(THF)6+2AgBrに従うTHFにおけるAgに対するMgのイオン交換のステップと、前記式(VIII)のマグネシウム塩からのAgBrの除去のステップとを含む、方法。

請求項14

次の式(I)(化14)[A]2Mg(溶媒)y (I)(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性ホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)の、塩化物を含有しない、マグネシウム電解質塩

請求項15

前記エーテル酸素を含有する非水溶媒は、テトラヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)およびジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)(DGM)の少なくとも1つである、請求項14に記載のマグネシウム電解質塩。

請求項16

Aは、次の式(II)(化15)(BR4)- (II)(式中、R基は、それぞれ独立して、任意にFで置換された1から6個の炭素原子のアルキル基、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のホウ酸アニオンである、請求項14に記載のマグネシウム電解質塩。

請求項17

前記式(II)のホウ酸アニオンは、次の式(IV)(化16)[BPh4]- (IV)(式中、各Ph基は独立して、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のアニオンである、請求項16に記載のマグネシウム電解質塩。

請求項18

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(V)(化17)[(C6F5)3B (C6H5)]- (V)のアニオンである、請求項17に記載のマグネシウム電解質塩。

請求項19

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(VI)(化18)[(Mes)3B (C6H5)]- (VI)(式中、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である)のアニオンである、請求項17に記載のマグネシウム電解質塩。

請求項20

Aは、次の式(III)(化19)(C2B10H11)-(III)(式中、カルボランは、オルト−カルボラン、メタ−カルボランまたはパラ−カルボランのアニオンである)のカルボランアニオンである、請求項14に記載のマグネシウム電解質。

請求項21

マグネシウムを含む負極と、正極と、溶媒と、次の式(I)(化20) [A]2Mg(溶媒)y(I)(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性ホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)のマグネシウム電解質とを含み、前記マグネシウム電解質は、塩化物を含有しない、マグネシウム電池

請求項22

前記負極は、マグネシウムである、請求項21に記載のマグネシウム電池。

請求項23

前記正極の活物質は、硫黄黒鉛炭素炭素繊維ガラス状炭素熱分解炭素アモルファス炭素、Mo6S8、MnO2、CuS、Cu2S、Ag2S、CrS2、VOPO4、TiS2、V2O5、MgVO3、MoS2、MgV2O5、MoO3、CuCr2S4、MgCr2S4、MgMn2O4、Mg2MnO4、MgFe2(PO4)3、MgV2(PO4)3、MgMnSiO4、MgFe2(PO4)2、Mg0.5VPO4F、TiP2O7、VP2O7およびFeF3からなる群から選択される少なくとも1つの成分を含む、請求項21に記載のマグネシウム電池。

請求項24

前記溶媒は、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、グリム、モノグリム、ジメチルグリコールエチレングリコールジメチルエーテルジエチルエーテルエチルグリム、ジグリム、プログリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリムポリグリム、ハイグリム、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項21に記載のマグネシウム電池。

請求項25

Aは、次の式(II)(化21)(BR4)- (II)(式中、R基は、それぞれ独立して、任意にFで置換された1から6個の炭素原子のアルキル基、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のホウ酸アニオンである、請求項21に記載のマグネシウム電池。

請求項26

前記式(II)のホウ酸アニオンは、次の式(IV)(化22)[B (C6H5)4]-(IV)(式中、各Ph基は、独立して、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のアニオンである、請求項25に記載のマグネシウム電池。

請求項27

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(V)(化23)[(C6F5)3B (C6H5)]- (V)のアニオンである、請求項26に記載のマグネシウム電池。

請求項28

前記式(IV)のホウ酸アニオンは、次の式(VI)(化24) [(Mes)3B (C6H5)]-(VI)(式中、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である)のアニオンである、請求項26に記載のマグネシウム電池。

請求項29

Aは、次の式(III)(化25)(C2B10H11)-(III)(式中、カルボランは、オルト−カルボラン、メタ−カルボランまたはパラ−カルボランのアニオンである)のカルボランアニオンである、請求項21に記載のマグネシウム電池。

技術分野

0001

発明の詳細な説明
発明の背景
発明の分野
本発明は、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する方法および塩化物を含有しない活物質を含有するマグネシウム電解質に関連する。

背景技術

0002

背景の説明
マグネシウム電池は、従来のリチウム電池に取って代わるまたは補足されるより経済的で、安全で、高容量の電池を提供するために、高い関心の対象かつ多大な研究および開発の労力の対象となっている。リチウムと比較して、Mgは、Liの2062mAh cm−3よりずっと大きい3832mAh cm−3の体積測定容量を有する可能性がある。さらに、Mgは、−2.356V対NHEマイナス還元電位を有する。地球の地殻において7番目に最も豊富元素として、Mgは、より低い資源コストおよびより低い環境影響特性を有する(Aurbach: Nature, Vol 407, pp 724-727, 2000を参照)。

0003

すべきは、Mgには、Li金属を高容量アノード材料としての商業化のために安全でなくしているデンドライト形成の問題がないことである(West: Journal of Electrochemical Communications, Vol 155, pp A806-A811, 2008)。

0004

電池研究における現在進行中の課題は、エネルギ密度を、リチウムイオン電池によって提供されるエネルギ密度を超えるように増加させることである。これには、純粋な金属アノードを含有する電池への移行が必要とされ得る。しかしながら、リチウムの場合、デンドライトの形成により堆積が不均一に起こり、サイクリング中に安全面の懸念が生じる。リチウム金属対照的に、マグネシウム金属の堆積は、デンドライトの形成によって悩まされない。さらに、マグネシウムは、空気に晒されたときリチウムより安定である。しかしながら、マグネシウムは、−2.36V対NHEの還元電位を有し、リチウム電解質類似物であるマグネシウム電解質の使用を妨げる独自の電気化学を有している。Mg(PF6)2、Mg(ClO4)2およびMg(TFSI)2などのマグネシウム類似物の還元の結果、マグネシウムアノード表面上に阻止膜が形成され、これにより、マグネシウムの成功裏の堆積は観察されていない(Feng, Z: Surface Coating Technologies, Vol 201, pp 3783-3787, 2006)。

0005

エーテル溶液におけるグリニャール試薬からの有効なマグネシウム電着報告は、1927年にまで遡り、それ以降文献に定期的に現われている。グリニャール試薬に基づく電気めっき浴の安定性を向上させるために、1957年に、Connor et al.は、MgBr2およびLiBH4の反応によってその場で生成されるマグネシウムホウ化水素Mg(BH4)2からのマグネシウムの電着を研究している。残念ながら、ホウ素およびマグネシウムは1:9比で共堆積する。近年、Mohtadi et al.は、マグネシウム電池用の電解質としてのマグネシウムホウ化水素の使用を証明した。Mg(BH4)2の酸化安定性は、グリニャール溶液と同様であると報告されている。しかしながら、高電圧充電式マグネシウム電池を開発する際の障害の1つは、1.3V対Mgの酸化安定性を有するエチルマグネシウムブロミド(EtMgBr)およびブチルマグネシウムクロリド(BuMgCl)などのグリニャール試薬の酸化安定性の域を超えている。グリニャール溶液の低酸化安定性は、利用可能なカソード選択肢を限定する。1990年にはGregory et al.が、ジブチルマグネシウムおよびルイス酸トリ−N−ブチルボランの反応から電解質Mg(B(C4H9)4)2を合成し、これはBuMgBrに対して向上された酸化安定性を示している。ルイス酸の特性が電圧安定性を改善させた要因であり得ると想定された。Gregoryはさらに、電気化学的めっきを向上させるために、エチルマグネシウムクロリド(EtMgCl)およびメチルマグネシウムクロリド(MeMgCl)などのアルキルグリニャール試薬アルミニウムトリクロイド(AlCl3)に加えることによるマグネシウム堆積の質を評価している。

0006

Aurbach et alは、マグネシウム有機ハロアルミン酸塩と呼ばれる新たなクラスの電解質を普及させた。APCと呼ばれるこのような電解質の1つは、アルミニウムトリクロリド(AlCl3)とグリニャールフェニルマグネシウムクロリド(PhMgCl)を1:2比で反応させることによってその場で生成され、3.2V対Mgを超える酸化安定性を有し、高クローン効率でマグネシウムを堆積/溶解可能である。結晶化マグネシウム有機ハロアルミン酸塩は、すべて、次の一般カチオン

0007

(化1)
(Mg2(μ-Cl)3・6THF)+

0008

共有し、これらのレドックス安定性は、独自のアニオンによって決定される。マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、Ptまたはガラス状炭素などの不活性電極に対して高い酸化安定性(3.0V対Mg超)を有し、高電流でマグネシウムを堆積およびストリッピングすることが可能である。しかしながら、マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、アルミニウムニッケルおよびステンレス鋼などのより低不活性な金属に対して腐食性であることが報告されており、筐体および集電体材料におけるこれらの金属の利用により、コイン型セル電池構成において2.2V以下までの充電に制限されてしまう。電解質の酸化安定性はカソードの選択肢を左右するため、高電圧カソードの発見を可能にする非腐食性マグネシウム電解質を開発することは非常に重要である。ステンレス鋼は、広く使用される集電体であり、かつコイン型セルなどのさまざまな電池における主要な成分であるため、ステンレス鋼に対するマグネシウム電解質の電圧安定性を向上させることは、非常に重要である。最先端技術であるマグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、Mg電池コイン型セルの使用を2.3V対Mg以下での動作に制限してしまう。塩化物イオンは、金属表面を非均一に腐食して、点腐食を形成する最も過酷な腐食性のイオンの一つであることが十分に立証されている。しかしながら、本発明以前には、マグネシウム電解質の塩化物イオン含有量の問題を特定し、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する試みを記載した報告は存在しなかった。

0009

Yamamoto et al.(米国特許公開第2013/0337328号)は、負極としてマグネシウム金属または金属合金と、フッ化黒鉛/銅正極と、電解質とを含み、当該電解質は、エーテル溶媒(1,2ジメトキシエタン)で錯体化されたマグネシウム金属イオンの混合物アルキルトリフルオロメタンスルホネート、第4級アンモニウム塩および/またはメチルイミダゾリウム塩であるマグネシウム電気化学セルを記載している。当該混合物は、アルミニウムハロゲン化物(AlCl3)をさらに含有し、マグネシウムおよびアルミニウムハロゲン化物を溶解後、三フッ化ホウ素エーテル錯体が添加される。可能な成分としてさまざまなホウ素塩が記載されている。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、電解質としての塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の調製を開示も示唆もしていない。

0010

本発明者ら(米国特許公開第2013/0034780号)(米国特許第8,318,354号)は、本発明の基本的な出発材料となり得るマグネシウム錯体塩の合成および構造特定を記載している。しかしながら、塩化物を含有しない錯体への変換は、開示も示唆もされていない。

0011

Singh et al.(米国特許公開第2013/0266851号)は、活成分としてスズを含有する負極を有するマグネシウム電気化学セルを記載している。グリニャールベースの系およびマグネシウムビストリフルオロメタンスルホニルイミドなどの従来知られている電解質が使用されている。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の電解質としての調製を開示も示唆もしていない。

0012

Itaya et al.(米国特許公開第2004/0137324号)は、カルボン酸、エーテルまたは溶融塩などの非水有機溶媒におけるマグネシウムビストリフルオロメタンスルホンイミドからなるマグネシウム電池用の電解質を記載している。しかしながら、この引用文献は、電解質の塩化物含有量による問題を何ら特定しておらず、塩化物を含有しないマグネシウム錯体塩の電解質としての調製を開示も示唆もしていない。

0013

米国特許公開第2013/0337328号
米国特許公開第2013/0034780号
米国特許公開第2013/0266851号
米国特許公開第2004/0137324号

先行技術

0014

Aurbach: Nature, Vol 407, pp 724-727, 2000
West: Journal of Electrochemical Communications, Vol 155, pp A806-A811, 2008
Feng, Z: Surface Coating Technologies, Vol 201, pp 3783-3787, 2006

発明が解決しようとする課題

0015

マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質の腐食性の可能性となる原因の1つは、マグネシウム塩カチオン(Mg2(μ−Cl)3・6THF)+における塩化物の存在であるというのが本発明者らの初めの仮説であった。したがって、本発明の目的は、マグネシウム電池における利用のために、Al、Cuおよびステンレス鋼などの非貴金属適合性のある、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する方法を発見することである。

0016

さらなる目的は、マグネシウム電池用の塩化物を含有しない電解質を調製することである。

0017

さらなる目的は、当該塩化物を含有しないマグネシウム電解質を使用するマグネシウム電気化学セルおよび当該電気化学セルを含むマグネシウム電池を提供することである。

課題を解決するための手段

0018

発明の概要
これらおよび他の目的は、本発明によって達成されており、本発明の第1の実施形態は、次の式(I)

0019

(化2)
[A]2Mg(溶媒)y (I)
(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性のホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンである)のマグネシウム塩を調製する方法を含む。当該方法は、次の反応式(c)

0020

(化3)
2(A-M+) + MgBr2 → A2Mg(溶媒)y + 2MBr(s) (c)
(式中、M+は、Li+、Na+、K+ Rb+、Cs+およびAg+からなる群から選択される少なくとも1つである)
に従う非水溶媒(溶媒)における金属イオンM+に対する少なくとも1つのMg2+のイオン交換操作を含む。

0021

本発明の選択される実施形態においては、金属Mは、カリウム(K)または銀(Ag)であってもよく、当該方法の1つのさらなる実施形態においては、KAがまず調製され、次に、KAがイオン交換によってAgAに変換され、次に、AgAが、反応式(c)に従ってマグネシウム電解質に変換される二重交換である。

0022

特定の実施形態では、アニオンAは、次の式(II)
(化4)
(BR4)- (II)
(式中、R基は、それぞれ独立して、任意にFで置換された1から6個の炭素原子アルキル基、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のホウ酸アニオンである。

0023

特定の実施形態では、式(II)のホウ酸アニオンは、次の式(IV)
(化5)
[BPh4]- (IV)
(式中、各Ph基は、独立して任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のアニオンである。

0024

別の実施形態では、アニオンAは、次の式(III)
(化6)
(C2B10H11)- (III)
のカルボランアニオンであり、当該カルボランアニオンは、オルトカルボランメタ−カルボランまたはパラ−カルボランのアニオンである。

0025

さらなる実施形態では、本発明は、次の式(I)
(化7)
[A]2Mg(溶媒)y (I)
(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性ホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)のマグネシウム電解質を含み、マグネシウム電解質塩は、塩化物を含まない。

0026

特別な実施形態では、当該電解質は、アニオンAとして、次の式(V)のホウ酸アニオンおよび/または次の式(VI)のホウ酸アニオンを含有する。

0027

(化8)
[(C6F5)3BPh]- (V)

0028

(化9)
[(Mes)3BPh]- (VI)
(式中、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である。)

0029

本発明はさらに、マグネシウムを含む負極と、正極と、溶媒と、次の式(I)
(化10)
[A]2Mg(溶媒)y (I)
(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、水安定性かつ空気安定性ホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)のマグネシウム電解質とを含み、当該マグネシウム電解質は塩化物を含まない、マグネシウム電池を含む。

0030

上記の説明は、本発明の一般的な紹介および概要を示すことを意図し、特に明示しない限り、本発明の開示を限定することを意図するものではない。現在好ましい実施形態は、さらなる利点とともに、以下の詳細な説明を添付の図面に関連して参照されると最もよく理解されるであろう。

図面の簡単な説明

0031

実施例で調製された(PhB(C6F5)3)KのORTEPグラフ(25%熱確率楕円体)を示す図である。水素原子は明確さのために省略した。
実施例で調製されたカリウム塩((PhB(C6F5)3)K2)+の質量スペクトルを示す図である。
実施例で調製された銀塩((PhB(C6F5)3)Ag2)+の質量スペクトルを示す図である。
実施例で調製された(PhB(C6F5)3)2MgのORTEPグラフ(25%熱確率楕円体)を示す図である。

0032

発明の詳細な説明
本発明の説明の範囲内において、著者共同著者または譲受人の組織一員に帰するすべての引用される引用文献、特許、出願、刊行物および論文は、本明細書において参照により援用される。数値限定または範囲が記載される場合、終点が含まれる。さらに、数値限定または範囲内のすべての値および下位範囲は、明確に記載されるように具体的に含まれる。本明細書で用いられる「a」および「an」などの用語は、「1つ以上」の意味を持つ。「からなる群から選択される」、「から選ばれる」などの表現は、特定された材料の混合物を含む。「含有する」などの用語は、別段の具体的な指摘がない限り、「少なくとも含む」を意味するオープンな用語である。

0033

上記のように、本発明者らは、マグネシウム電気化学セルおよび/または可逆的マグネシウム電池に特に好適な電解質系を研究する過程で、目的の特定の電解質の基本的な成分が、次の式

0034

(化11)
(Mg2(μ-Cl)3・6THF)+

0035

のマグネシウム二量体であることを認識した。当該特定の電解質のレドックス安定性は、会合されるアニオンによって決定される。マグネシウム有機ハロアルミン酸塩電解質は、Ptまたはガラス状炭素などの不活性電極に対して高い酸化安定性(3.0V対Mg超)を有し、高電流でマグネシウムを堆積およびストリッピング可能である。しかしながら、これらはアルミニウム、ニッケルおよびステンレス鋼などのより低不活性な金属に対して腐食性であることが報告されており、筐体および集電体材料におけるこのような金属の利用により、コイン型セル電池構成において2.2V以下までの充電に制限される。電解質の酸化安定性はカソードの選択肢を左右するため、高電圧カソードと合わされる非腐食性マグネシウム電解質の開発が、経済的に魅力的なより高い容量および安定性の効率的なマグネシウム電池の開発のために必要である。このような経済的に魅力的な電池は、アルミニウム、銅およびステンレス鋼などの金属を使用し、これらのすべてが塩化物イオンの存在下で腐食および点腐食の問題を有している。

0036

この問題に対処するために、本発明は、マグネシウムイオン溶媒分子によって配位されており、有機ハロアルミン酸塩電解質において従来形成される錯体二量体に示されるように塩化物と錯体を形成していないという点で、マグネシウムイオンが「である」、塩化物を含有しないマグネシウム電解質を調製する方法を提供する。

0037

したがって、第1の実施形態では、本発明は、次の式(I)
(化12)
[A]2Mg(溶媒)y (I)
(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数であり、Aは、空気安定性および水安定性のホウ酸アニオンまたはカルボランアニオンの少なくとも1つである)のマグネシウム塩を調製する方法を提供する。方法は、次の反応式(c)

0038

(化13)
2(A-M+) + MgBr2 → A2Mg(溶媒)y + 2MBr(s) (c)
(式中、M+は、Li+、Na+、K+ Rb+、Cs+およびAg+からなる群から選択される少なくとも1つである)に従う非水溶媒(溶媒)における金属イオンM+に対するMg2+の少なくとも1つのイオン交換操作を含む。

0039

本発明のプロセスの全体的な効果は、マグネシウム二量体[(Mg2(μ-Cl)3・6THF)+][A-]の塩を、塩化物イオンとの配位がない非二量体マグネシウムカチオンに変換することである。

0040

空気安定性および水安定性ホウ酸またはカルボランであるアニオンA−は、グリニャール試薬と適切なトリ置換ホウ素ルイス酸またはカルボランとの反応によって得られてもよい。いずれの場合においても、(Mg2(μ-Cl)3・6THF)+とのアニオンの錯体塩を含有する反応混合物が得られる。錯体塩は、混合物から分離され、単離されてもよい。次いで、水性イオン交換反応を介して、A−が金属(M)イオン(Mは、Li、Na、K、Rb、CsおよびAgからなる群から選択される少なくとも1つである)の塩に変換されてもよい。イオン交換は、次の反応式

0041

(化14)
[Mg2(μ-Cl)3・6THF]+A-+ M2CO3 +MHCO3 → MA + [Mg2(μ-Cl)3・6THF]+
によって示されてもよい。

0042

イオン交換は水性媒体中で行なわれるため、当業者であれば、記載されるイオン交換が、アニオンA−が当該水性イオン交換媒体において分解または劣化に対して安定である限りのみ有効であり得ることを認識されるであろう。

0043

一実施例によれば、MはKであり、イオン交換は、次の反応式(a)
(化15)
[Mg2(μ-Cl)3・6THF]+A- + K2CO3 + KHCO3→ KA + [Mg2(μ-Cl)3・6THF]+ (a)
によって示される。

0044

別の実施形態によれば、Mは、Agであり、(a)に類似の反応式は、当該イオン交換を示すために記載され得る。

0045

アニオンA−は、次の式(II)
(化16)
(BR4)- (II)
(式中、R基は、それぞれ独立して、任意にFで置換された1から6個の炭素原子のアルキル基、任意にFで置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のホウ酸アニオンであってもよい。

0046

本発明の実施形態によれば、式(II)のホウ酸アニオンは、次の式(IV)
(化17)
[BPh4]- (IV)
(式中、各Ph基は、独立して任意にFによって置換されたアリール基、および任意にFで置換されたアルキルフェニル基である)のアニオンである。この実施形態の明確なアニオンは、次の式(V)

0047

(化18)
[(C6F5)3B(C6H5)]- (V)
のアニオン、または、次の式(VI)

0048

(化19)
[(Mes)3B(C6H5)]- (VI)
(式中、Mesは、3,5−ジメチルフェニル基である)のアニオンを含む。

0049

MAを形成するためのイオン交換の終了後、MAは、エーテル抽出によってイオン交換反応媒体から抽出されてもよい。MAは、エーテル中で溶解し、エーテル抽出物は、水相から分離され、エーテルは減圧下で蒸発され、MA塩を固体として得てもよい。

0050

本発明の方法によれば、エーテル抽出物から得られるMAは、以下の段落に記載されるように、直接A2Mg(溶媒)y電解質塩に変換されてもよく、または、MA塩が、MがLi+、Na+、K+ Rb+ またはCs+である塩である場合には、当該塩は、さらに、次の反応式

0051

(化20)
MA + AgNO3 → AgA + MNO3(s)
に従ってアセトニトリル中で第2のイオン交換反応において反応されてもよい。

0052

好ましい実施形態では、カリウム塩(KA)が上記のように水性イオン交換においてまず調製され、上記のようにエーテル抽出物から得られる。次に、KAは、次の反応式
(化21)
KA + AgNO3 → AgA + KNO3(s)
に従ってアセトニトリル中でイオン交換を介してAg塩に変換されてもよい。

0053

このイオン変換は、AgA塩がアセトニトリルに可溶であり、硝酸カリウムが固体として析出するため、容易になる。

0054

代替的に、MA塩は、次の反応式(c)
(化22)
2(A-M+) + MgBr2 → A2Mg(溶媒)y + 2MBr(s) (c)
に従う非水エーテル溶媒における2当量のMAと1当量の臭化マグネシウムとのイオン交換反応によってマグネシウム塩に変換されてもよい。

0055

非水エーテル溶媒は、エーテル酸素を含有する任意の溶媒であり、たとえば、テトロヒドロフラン(THF)、ジメトキシエタン(DME)およびジエチレングリコールジメチルエーテルジグリム)(DGM)を含む。これらの例は限定的であることを意図せず、アニオンA−に反応性の他の基が存在しない限り、任意の一座配位二座配位、または三座配位エーテルが好適であり得る。テトラヒドロフランが、反応式(c)のイオン交換を行なうために好ましいエーテル溶媒であり得る。THFで行なわれる反応式(c)の模範例は、次の反応式

0056

(化23)
2((C6H5)B(C6F5)3)Ag + MgBr2 → ((C6H5)B(C6F5)3)2Mg(THF)6 + 2AgBr反応式(VII)

0057

(化24)
2((C6H5)B(Mes)3)Ag + MgBr2 → ((C6H5)B(C6H5)3)2Mg(THF)6 + 2AgBr反応式(VIII)
によって示される。

0058

AgBrの析出は、イオン交換反応の発生を示す。塩化物を含有しないマグネシウム電解質塩の結晶は、ヘキサンシクロヘキサンまたは石油エーテルなどの炭化水素溶媒と層形成することによってエーテル溶媒から得られてもよい。得られた結晶は、トルエンまたはキシレンなどの芳香族溶媒から結晶化されてもよい。

0059

別の実施形態では、本発明は、上記のイオン交換方法によって得られる塩化物を含有しないマグネシウム電解質塩を提供する。記載された方法は、塩化物を含有せず、この点において「裸の」として表わされるマグネシウム塩を調製するために普遍的に使用されてもよい。実施例の説明において示されるように、マグネシウムは、溶媒分子によって配位される。溶媒が一座配位子であるTHFである場合、全部で6つの分子が存在してもよい。しかしながら、塩がトルエンなどの溶媒から結晶化される場合、トルエンは、マグネシウムイオンを取り囲む溶媒球体においてTHFを一部置換してもよい。

0060

さらなる実施形態では、本発明は、マグネシウムを含む負極と、正極と、溶媒と、次の式(I)
(化25)
[A]2Mg(溶媒)y (I)
(式中、溶媒は、エーテル酸素を含有する非水溶媒であり、yは、2から6の整数である。)の電解質塩とを含むマグネシウム電池を提供する。

0061

発明のさらなる実施形態では、マグネシウム電池は、少なくとも1つのステンレス鋼成分を含有し、好ましい実施形態では、マグネシウム電池用の集電体は、ステンレス鋼である。

0062

この式(I)の電解質は、テトラヒドロフラン、ポリエーテル類、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジメチルグリコールグリム、モノグリム、エチレングリコールジメチルエーテルジエチルエーテル、エチルグリム、ジグリム、プログリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリムポリグリム、ハイグリムまたはこれらの混合物などのエーテル溶媒に可溶である。この塩[A]2Mg(溶媒)yをエーテル含有溶媒に溶解し、ポリマー膜に浸漬して、ポリマー系電解質を形成してもよい。

0063

Mg電池の正極は、式(I)のMg電解質に安定な任意の正極活物質を含有してもよい。このような正極活物質の例としては、硫黄シェブレル相Mo6S8、MnO2、CuS、Cu2S、Ag2S、CrS2、VOPO4、TiS2、V2O5、MgVO3、MoS2、MgV2O5、MoO3等の層状化合物、CuCr2S4、MgCr2S4、MgMn2O4、Mg2MnO4等のスピネル型化合物、MgFe2(PO4)3およびMgV2(PO4)3等のNASICON型化合物、MgMnSiO4およびMgFe2(PO4)2等のオリビン型化合物、Mg0.5VPO4F等のタボライト型化合物、TiP2O7およびVP2O7等のピロリン酸塩、およびFeF3等のフッ化物が含まれ得る。

0064

従来の慣習に従うと、正極は、カーボンブラック、Super P、Super C65、Ensacoブラックケッチェンブラックアセチレンブラック、TimrexSFG-6、Timrex SFG-15、Timrex SFG-44、Timrex KS-6、Timrex KS-15、Timrex KS-44等の合成黒鉛天然鱗片状黒鉛カーボンナノチューブフラーレンハードカーボンおよびメソカーボンマイクロビーズ等などの電子導電性添加物をさらに含有してもよい。

0065

さらに、正極は、ポリマー結合剤をさらに含有してもよい。ポリマー結合剤の非限定的な例としては、ポリ−フッ化ビニリデンPVdF)、ポリ(フッ化ビニリデン−共−ヘキサフルオロプロペン)(PVdF−HFP)、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)、カイナーフレックス2801、カイナーパワーフレックスLBG、およびカイナーHSV900、ならびにテフロン登録商標)が含まれる。ポリ−フッ化ビニリデン(PVdF)が好ましい結合剤である。

0066

Mg電池において好適な溶媒は、マグネシウムおよび式(I)のマグネシウム塩を含む電池の他の成分と適合性のある任意の非プロトン性溶媒であってもよい。テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、グリム、モノグリム、ジメチルグリコール、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、エチルグリム、ジグリム、プログリム、エチルジグリム、トリグリム、ブチルジグリム、テトラグリム、ポリグリム、ハイグリムおよびこれらの組合せからなる群から選択される従来の溶媒がクレームされるMg電池において含まれていてもよい。

0067

ハロゲン化物を含有する溶媒およびハロゲン化物塩は、上記のように、Mg電池から除外される。

0068

本発明に係るMg電池は、従来既知の方法によって構築されてもよく、の蓋部がその上にかしめられた缶のベースにおいて、負電極多孔質ポリプロピレンまたはガラス状繊維セパレータ、および正電極円板積層体からなるボタン型またはコイン型セル電池であってもよい。代替的には、Mg電池は、積層されたセル電池であってもよい。他の実施形態では、Mg電池は、上記のように、集電体間に挟まれた負極、多孔質ポリプロピレンまたはガラス状繊維セパレータ、および正極の1つ以上の積層体からなる角柱形またはパウチ型セルであってもよい。積層体は、ポリマーで被覆されたアルミニウム箔パウチ内で折り畳まれ、真空および熱乾燥され、電解質が充填され、真空および熱封止されてもよい。他の実施形態では、Mg電池は、両側が活物質で被覆され、多孔質ポリプロピレンまたはガラス状繊維セパレータに包まれた正極と、正極の周りに折り畳まれた負極との1つ以上の積層体からなる角柱形またはパウチ型2セルであってもよい。当該積層体は、ポリマーで被覆されたアルミニウム箔パウチ内に折り畳まれ、熱および/または真空下で乾燥され、電解質が充填され、真空および熱封止される。本明細書に記載される角柱形またはパウチ型セルのいくつかの実施形態では、電極包装外部の装置に接続するために、金属箔または炭素質材料からなる追加のタブレーザまたは超音波溶接接着剤、または機械的接触によって集電体に取付けられてもよい。他の実施形態では、本明細書に開示されるMg電池は、多孔質ポリプロピレンまたはガラス状繊維セパレータの層間に挟まれた、片面または両面が活物質で被覆された正極と、負極との1つ以上の積層体の巻かれた層からなる巻型または円筒型セルである。当該積層体は、円筒型ロールに巻かれ、缶内に挿入され、熱および/または真空下で乾燥され、電解質が充填され、真空および溶接閉止される。本明細書に記載される円筒型セルのいくつかの実施形態では、電極を包装外部の装置に接続するために、金属箔または炭素質材料からなる追加のタブがレーザまたは超音波溶接、接着剤、または機械的接触によって集電体に取付けられてもよい。

0069

集電体を含むステンレス鋼成分は、302、304、305、316および384を含む従来既知のステンレスタイプの任意のタイプから構築されてもよい。

0070

本発明を一般的に説明したが、ある特定の実施例を参照することによりさらなる理解が得られることができる。これらの実施例は、本明細書中に例示目的で示されるに過ぎず、特に指定がない限り、限定的として意図されるものではない。当業者であれば、電池としての本発明の装置の有用性ならびに本明細書に記載される電解質系の一般的な有用性を認識されるであろう。

0071

((C6H5)B(C6F5)3)Kの調製
2gのルイス酸B(C6F5)3を10mlのTHFに溶解した。5.5714mlのPhMgClを含むTHF(2.0M溶液)を素早く加えた。反応物を3日間攪拌させ、その後、その場で生成されたgen3の電解質を100mlの1M K2CO3およびKHCO3の水性溶液に加えた。反応物を4時間攪拌させ、その後、カリウム塩をエーテルで抽出した。エーテル抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、高真空下に1晩置いた。カリウム塩の収率は2.5gであった。カリウム塩のNMR添付書類に示す。19Fおよび1H NMRに基づいて、gen3電解質と(PhB(C6F5)3)Kとを区別することは不可能であった。(カリウム塩の構造は、質量分析法によってのみ確認でき、同位体パターンおよび666.9487の正確な質量は、((PhB(C6F5)3)K2)+と一致していた。)X線構造を図1に示す。C32H23BF15KO3の結晶データ; Mr = 790.41;単斜晶;空間群P21/c; a = 19.5325(15) Å; b = 10.0374(7) Å; c = 18.1523(14) Å; α = 90°; β = 117.094(3)°; γ = 90°; V = 3168.3(4) Å3; Z = 4; T = 120(2) K; λ(Mo-Kα) = 0.71073 Å; μ(Mo-Kα) = 0.292 mm-1; dcalc = 1.657g.cm-3; 66367回の反射収集した; 7938がユニークであり (Rint= 0.0403); [I>2σ(I)]であった6173個のデータについてR1 = 0.0485、wR2 = 0.1234が得られ、すべての7938個のデータについてR1= 0.0667、wR2 = 0.1364が得られた。残留電子密度(e-.Å-3) 最大/分: 2.498/-0.755。およそ0.128×0.119×0.160mmの寸法を有する、無色のブロック状結晶について、0.5°[1]のωおよびφスキャンの組合せを用いて、Bruker Kappa X8−APEX−II回折計により任意のデータの球体を収集した。データを吸収および偏光効果について較正し、空間群決定について分析した。構造は、固有位相化法によって解明され、通常通り拡大した[2]。モデルは、すべての反射に対してF2のフルマトリック最小二乗分析によって改良された。すべての非水素原子は、異方性熱変位パラメータにより改良された。別段の指摘がない限り、水素元素は、算出される位置に含まれる。水素原子についての熱パラメータは、これらが結合される原子メチルについては1.5×、他のすべてについては1.2×)の等方性熱パラメータに関連付けられる。

0072

((C6H5)B(C6F5)3)Agの調製
銀塩を、引用文献Buschmann et al.(Chem. Eur. J 1998, 4, no 9 1731)に基づいて調製した。要約すると、カリウム塩を、アセトニトリル中で硝酸銀と反応させることにより銀塩に変換した。反応中、硝酸カリウムを析出させる手助けをするためにエーテルを加えた。析出物をろ過によって除去し、アセトニトリルを蒸発させることによって銀塩を得た。残念ながら、銀塩は非常に反応性が高く、光下で急速に分解する。銀塩への変換は、質量分析法によって確認され、同位体パターンおよび1284.9523の正確な質量は、カチオン((C6H5)B(C6F5)3)Ag2)+と一致している。

0073

(C6H5)B(C6F5)3)2Mgの調製
マグネシウム塩を、銀塩と、2分の1当量の無水臭化マグネシウムを含むTHFとの反応によって得た。反応の過程で、臭化銀が析出し、この析出物は、変換を示す。生成物の結晶を、ヘキサンによりマグネシウム塩を含有するTHF溶液との層形成によって得た。

0074

((C6H5)B(C6F5)3)2Mgは、トルエン溶液から無色の平板状結晶として結晶化された。ORTEPグラフ(図4を参照)は、基本的な、中心対称の、三斜晶系空間群P−1の単位セルにおいて、Mgカチオンの分子が1つ、トリス−パーフルオロフェニル、ホウ酸フェニルアニオンの分子が2つ、トルエンの分子が1つ存在することを示した。マグネシウムは、THFの6つの分子によって八面体の態様で配位されている。マグネシウムは、単位セルの起点で反転中心上に位置する。対称単位は、3つのTHF分子およびMg原子の半分を示すのみである。3つの独立したTHF分子の2つは、THF原子群において炭素原子の1つで位置乱れを示す。これらの炭素原子を2つの部位にわたりモデル化し、各乱れにおける大多数および少数の成分の占有率を改良し、1つにまとめ、2つの部位についておよそ0.66:0.34および0.75:0.25比が得られた(X線データについては、添付書類を参照)。分子内の結合距離および角度は通常通りであった。

0075

((C6H5)B(C6F5)3)2Mgは、MgBr2との反応によってグリム中で直接カリウム塩から得られてもよい。

実施例

0076

((C6H5)B(C6F5)3)2MgのX線構造
C39.50H33BF15Mg0.50O3の結晶データ; Mr = 863.62;三斜晶系;空間群P-1; a = 12.0179(12) Å; b = 12.5648(13) Å; c = 13.7173(14) Å; α = 102.5881(16)°; β = 90.2857(17)°; γ = 115.1883(15)°; V = 1818.1(3) Å3; Z = 2; T = 120(2) K; λ(Mo-Kα) = 0.71073 Å; μ(Mo-Kα) = 0.158 mm-1; dcalc = 1.578g.cm-3; 42372回の反射を収集した; 7303がユニークであり (Rint = 0.0479); [I>2σ(I)]であった5451個のデータについてR1 = 0.0514、wR2 = 0.1098が得られ、すべての7303個のデータについてR1= 0.0757、wR2 = 0.1209が得られた。残留電子密度(e-.Å-3) 最大/分: 1.313/-0.576。およそ0.146×0.103×0.057mmの寸法を有する、無色の平板状結晶について、0.5°[1]のωおよびφスキャンの組合せを用いて、BrukerAPEX−II回折計により、任意のデータの球体を収集した。データを吸収および偏光効果について較正し、空間群決定について分析した。構造をパターソン法によって解明し、通常通り拡大した[2]。モデルをすべての反射に対してF2のフルマトリックス最小二乗分析によって改良した。すべての非水素元素を異方性熱変位パラメータにより改良した。別段の指摘がない限り、水素原子は算出される位置に含まれる。水素原子についての熱パラメータは、これらが結合される原子(メチルについては1.5×、他のすべてについては1.2×)の等方性熱パラメータに関連付けられている。

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