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技術 ドラムブレーキ装置

出願人 トヨタ自動車株式会社
発明者 西井一敏西田直隆平松幸男鈴木正純
出願日 2014年4月15日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2014-083436
公開日 2015年11月16日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-203458
状態 拒絶査定
技術分野 ブレーキシステム(制動力調整) ブレーキ装置
主要キーワード センサ信号ライン 設定回転量 初期回転角 設定クリアランス 停止回 通電タイマ 液圧作動式 指標取得
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年11月16日)のものです。
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図面 (17)

課題

電動アクチュエータによって作動するドラムブレーキ装置において、オーバーアジャストの発生する可能性を低減する。

解決手段

駐車ブレーキECUは、駐車ブレーキ信号がオフすると(S21:Yes)、車両が停止維持されていた停車維持時間Tsが設定時間T0以上であるか否かについて判定する(S22)。停車維持時間Tsが設定時間T0以上である場合には、ブレーキドラム熱膨張していないと推定できる。この場合、駐車ブレーキECUは、モータ逆転駆動し、モータ電流imが一定となった時点(ブレーキシューがブレーキドラムから離れた時点)から、モータの回転量Rが設定回転量R1になったタイミングでモータを停止させる(S23〜S29)。

概要

背景

従来から、ドラムブレーキ装置には、非制動時におけるブレーキドラムブレーキシューとの隙間(シュークリアランスと呼ぶ)がブレーキシューの摩耗によって増大しないようにブレーキシューの待機位置を自動調整する自動アジャスタが設けられている。一般に、自動アジャスタは、一対のブレーキシューの最小間隔規制するストラットを備えており、常用ブレーキ操作時にブレーキシューが大きく拡開した場合、つまり、シュークリアランスが大きくなった場合に、アジャスタボルトを回転させてストラットを伸長させる。これにより、一対のブレーキシューの最小間隔が拡げられてシュークリアランスが自動調整される。

特許文献1には、一対のブレーキシューの間に、電動モータによってブレーキシューを拡開させる電動アクチュエータを備えたドラムブレーキ装置が提案されている。このドラムブレーキ装置においては、常用ブレーキ動作、パーキングブレーキ動作、および、シュークリアランス調整を共通の電動アクチュエータによって行うように構成されている。

概要

電動アクチュエータによって作動するドラムブレーキ装置において、オーバーアジャストの発生する可能性を低減する。駐車ブレーキECUは、駐車ブレーキ信号がオフすると(S21:Yes)、車両が停止維持されていた停車維持時間Tsが設定時間T0以上であるか否かについて判定する(S22)。停車維持時間Tsが設定時間T0以上である場合には、ブレーキドラムが熱膨張していないと推定できる。この場合、駐車ブレーキECUは、モータ逆転駆動し、モータ電流imが一定となった時点(ブレーキシューがブレーキドラムから離れた時点)から、モータの回転量Rが設定回転量R1になったタイミングでモータを停止させる(S23〜S29)。

目的

本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、電動アクチュエータによって作動するドラムブレーキ装置において、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することにある

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

モータを備え、前記モータの駆動により作動量が変更されることによって一対のブレーキシュー拡開することにより、前記ブレーキシューでブレーキドラム押圧して車輪制動する第1アクチュエータと、第1制動要求に従って前記第1アクチュエータの作動量を増大させて前記一対のブレーキシューを待機位置から制動位置にまで拡開することにより車輪を制動状態にし、第1制動解除要求に従って前記第1アクチュエータの作動量を減少させて前記一対のブレーキシューを前記制動位置から前記待機位置に戻すことにより車輪を非制動状態にする第1アクチュエータ制御装置と、を具備するドラムブレーキ装置において、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記ブレーキドラムの温度と相関を有するパラメータドラム温度指標値として取得するドラム温度指標値取得手段と、前記第1制動解除要求が発生したときに、前記第1アクチュエータによって前記ブレーキシューが前記制動位置から前記待機位置に戻される過程で、前記ドラム温度指標値が前記ブレーキドラムの熱膨張量許容範囲内であることを表していることを条件として、前記第1アクチュエータの作動量が、前記ブレーキシューと前記ブレーキドラムとの当接が解除されたと推定される時点の作動量から所定量減少したときの前記一対のブレーキシューの位置を前記待機位置として更新する待機位置更新手段と、を備えたドラムブレーキ装置。

請求項2

請求項1記載のドラムブレーキ装置であって、前記一対のブレーキシューを拡開することにより、前記ブレーキシューで前記ブレーキドラムを押圧して車輪を制動する、前記第1アクチュエータとは異なる第2アクチュエータと、第2制動要求に従って前記一対のブレーキシューを前記更新された待機位置から拡開することにより車輪を制動状態にし、第2制動解除要求に従って前記一対のブレーキシューを前記更新された待機位置に戻すことにより車輪を非制動状態にする第2アクチュエータ制御装置と、を備え、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第1制動要求としての駐車ブレーキ操作により発生する制動要求及び前記第1制動解除要求としての前記駐車ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って前記第1アクチュエータの作動を制御し、前記第2クチュエータ制御装置は、前記第2制動要求としての常用ブレーキ操作により発生する制動要求及び前記第2制動解除要求としての前記常用ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って前記第2アクチュエータの作動を制御する、ドラムブレーキ装置。

請求項3

請求項2記載のドラムブレーキ装置において、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第2アクチュエータによって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧していないことを条件として前記待機位置の更新を行うように構成された、ドラムブレーキ装置。

請求項4

請求項3記載のドラムブレーキ装置において、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第1制動解除要求が発生したとき、前記第2アクチュエータの作動によって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している場合、前記第2アクチュエータが前記ブレーキシューによる前記ブレーキドラムへの押圧を解除するまで待ってから、前記第1アクチュエータを作動させて前記ブレーキシューによる前記ブレーキドラムへの押圧を解除するように構成された、ドラムブレーキ装置。

請求項5

請求項3記載のドラムブレーキ装置において、前記第2アクチュエータ制御装置は、前記第1アクチュエータの作動によって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している状態では、前記第2制動要求が発生しても前記第2アクチュエータの作動による前記ブレーキシューの前記ブレーキドラムへの押圧動作を行わないように構成された、ドラムブレーキ装置。

請求項6

請求項1ないし請求項5の何れか一項記載のドラムブレーキ装置において、前記ドラム温度指標値取得手段は、停車中に前記第1アクチュエータによる車輪の制動状態を解除する前記第1制動解除要求が発生した時点において停車維持されていた停車維持時間を前記ドラム温度指標値として取得する、ドラムブレーキ装置。

請求項7

請求項2ないし請求項6の何れか一項記載のドラムブレーキ装置において、前記第1アクチュエータは、前記モータと、前記モータの出力軸に固定されたウォームと、前記ウォームに噛合するウォームホイールと、前記ウォームホイールの回転動作作動体進退動作に変換するねじ送り機構とを備え、前記作動体の進退動作によって前記一対のブレーキシューの一方端側の相互間隔を変更するように構成され、前記第2アクチュエータは、前記第2アクチュエータ制御装置によって供給されるブレーキ作動液によって進退するピストンを有するシリンダを備え、前記ピストンの進退動作によって前記一対のブレーキシューの他方端側の相互間隔を変更するように構成された、ドラムブレーキ装置。

請求項8

請求項1ないし請求項7の何れか一項記載のドラムブレーキ装置において、前記第1アクチュエータは、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している力が小さくなるほど、前記ブレーキシューを移動させるために必要なモータトルクが減少するように構成され、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記モータの駆動により前記ブレーキシューが前記制動位置から前記待機位置に戻される過程で、前記モータの電流が減少していく減少状態から一定値に維持される一定状態切り替わるときの時点を前記ブレーキシューと前記ブレーキドラムとの当接が解除された時点と推定するように構成された、ドラムブレーキ装置。

技術分野

0001

本発明は、車両に搭載されるドラムブレーキ装置に関する。

背景技術

0002

従来から、ドラムブレーキ装置には、非制動時におけるブレーキドラムブレーキシューとの隙間(シュークリアランスと呼ぶ)がブレーキシューの摩耗によって増大しないようにブレーキシューの待機位置を自動調整する自動アジャスタが設けられている。一般に、自動アジャスタは、一対のブレーキシューの最小間隔規制するストラットを備えており、常用ブレーキ操作時にブレーキシューが大きく拡開した場合、つまり、シュークリアランスが大きくなった場合に、アジャスタボルトを回転させてストラットを伸長させる。これにより、一対のブレーキシューの最小間隔が拡げられてシュークリアランスが自動調整される。

0003

特許文献1には、一対のブレーキシューの間に、電動モータによってブレーキシューを拡開させる電動アクチュエータを備えたドラムブレーキ装置が提案されている。このドラムブレーキ装置においては、常用ブレーキ動作、パーキングブレーキ動作、および、シュークリアランス調整を共通の電動アクチュエータによって行うように構成されている。

先行技術

0004

特表平3−500919

0005

自動アジャスタは、ブレーキシューの摩耗によりブレーキシューの可動域が増大した場合に作動することを想定して設けられているが、ブレーキドラムが一時的に変形した場合、その一時的な変形に対して作動してしまうことがある。例えば、ブレーキシューとブレーキドラムとの摩擦によって、ブレーキドラムが高温となって熱膨張した場合には、ドラム径が増大し、これにより、自動アジャスタがブレーキシューの摩耗時と同様に作動して、ブレーキシューの間隔を過剰に拡げてしまう。ブレーキドラムが常温に戻るとドラム径も元に戻る。このため、非制動時に確保すべきシュークリアランスが適正値未満となる現象、いわゆる、オーバーアジャストが発生する。

0006

また、強いブレーキ操作が行われたときにおいても、ブレーキシューがブレーキドラムを強く拡開方向に押圧するために、一時的にドラム径が増大するとともに、ブレーキシューのライニングが一時的に圧縮変形する。また、走行中におけるブレーキ操作時には、ライニングが制動トルクの方向に一時的に変形する(この変形をせん断変形と呼ぶ)。こうしたケースにおいてもオーバーアジャストが発生する。

0007

オーバーアジャストが発生した場合には、ブレーキペダル操作を行っていないにも関わらず、ブレーキドラムとライニングとの摩擦が発生し、ライニングの早期摩耗、車両の燃費の悪化を招くことになる。そこで、従来から、ドラムブレーキ装置自身の一時的な変形を見込んで自動アジャスタの調整量が設定されるが、変形を見込んだ分だけシュークリアランスが大きくなるため、ブレーキ操作フィーリングが良好とはならない。

0008

特許文献1に提案されたドラムブレーキ装置は、ストラットを用いずに電動アクチュエータを使ってシュークリアランスを調整する。しかし、シュークリアランスを調整するタイミングが設定されておらず、ブレーキドラムの変形によりオーバーアジャストが発生するおそれがある。

0009

本発明の目的は、上記問題に対処するためになされたもので、電動アクチュエータによって作動するドラムブレーキ装置において、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することにある。

0010

上記目的を達成するために、本発明のドラムブレーキ装置の特徴は、モータ(60)を備え、前記モータの駆動により作動量が変更されることによって一対のブレーキシュー(30)を拡開することにより、前記ブレーキシューでブレーキドラム(10)を押圧して車輪制動する第1アクチュエータ(50)と、
第1制動要求に従って前記第1アクチュエータの作動量を増大させて前記一対のブレーキシューを待機位置から制動位置にまで拡開することにより車輪を制動状態にし、第1制動解除要求に従って前記第1アクチュエータの作動量を減少させて前記一対のブレーキシューを前記制動位置から前記待機位置に戻すことにより車輪を非制動状態にする第1アクチュエータ制御装置(120)とを具備するドラムブレーキ装置において、
前記第1アクチュエータ制御装置は、
前記ブレーキドラムの温度と相関を有するパラメータドラム温度指標値(Ts)として取得するドラム温度指標値取得手段(S41〜S43,S51〜S53)と、
前記第1制動解除要求が発生したときに、前記第1アクチュエータによって前記ブレーキシューが前記制動位置から前記待機位置に戻される過程で、前記ドラム温度指標値が前記ブレーキドラムの熱膨張量許容範囲内であることを表していることを条件として、前記第1アクチュエータの作動量が、前記ブレーキシューと前記ブレーキドラムとの当接が解除されたと推定される時点の作動量から所定量減少したときの前記一対のブレーキシューの位置を前記待機位置として更新する待機位置更新手段(S23〜S29)とを備えたことにある。

0011

本発明のドラムブレーキ装置においては、モータの駆動により作動量が変更されることによって一対のブレーキシューを拡開することにより、ブレーキシューでブレーキドラムを押圧して車輪を制動する第1アクチュエータを備えている。この第1アクチュエータのモータは、第1アクチュエータ制御装置によって駆動制御される。第1アクチュエータ制御装置は、第1制動要求に従って第1アクチュエータの作動量を増大させて一対のブレーキシューを待機位置から制動位置にまで拡開することにより車輪を制動状態する。また、第1アクチュエータ制御装置は、第1制動解除要求に従って第1アクチュエータの作動量を減少させて一対のブレーキシューを制動位置から待機位置に戻すことにより車輪を非制動状態にする。第1制動要求および第1制動解除要求は、例えば、ドライバーのブレーキ操作によって発生するものであるが、車両の自動運転制御挙動安定制御等に伴って発生するものであってもよい。尚、本明細書において、「車輪を制動する」とは、回転している車輪に対して回転速度を低下させることだけでなく、停止している車輪が回転しないようにすることも含めた意味で使用される。従って、第1アクチュエータは、常用ブレーキとして使用されるものであってもよいし、駐車ブレーキとして使用されるものであってもよい。

0012

ブレーキシューとブレーキドラムとの摩擦によって、ブレーキドラムが高温となると、ブレーキドラムの熱膨張によってドラム径が増大する。こうした状況で、ブレーキシューの待機位置を設定してしまうと、ブレーキドラムが常温にまで温度低下したときには、ブレーキシューとブレーキドラムとのクリアランスが過小になってしまう。つまり、オーバーアジャストが発生する。そこで、本発明においては、ドラム温度指標値取得手段と待機位置更新手段とによって待機位置におけるクリアランスを適正にする。

0013

ドラム温度指標取得手段は、ブレーキドラムの温度と相関を有するパラメータをドラム温度指標値として取得する。このドラム温度指標値によって、オーバーアジャストの要因となるブレーキドラムの熱膨張量が許容範囲内であるか否かについて判定することができる。例えば、ドラム温度指標値として、ブレーキドラムの温度を検出した検出温度を用いてもよいし、ブレーキドラムが発熱しない時間となる車両の停車維持時間を用いてもよい。車両の停止維持時間を用いる場合には、例えば、車両の停止維持時間が設定時間以上である場合には、ドラム温度指標値は、熱膨張量が許容範囲内であることを表す。尚、ブレーキドラムの熱膨張量は、例えば、常温時(予め想定される気温)におけるブレーキドラムの形状を基準として熱膨張した量を表す。また、熱膨張量が許容範囲内となる温度(待機位置の設定に影響を及ぼしにくい温度)については、ブレーキドラムの材質目標クリアランス等に基づいて設定されるとよい。

0014

待機位置更新手段は、第1制動解除要求が発生したときに、第1アクチュエータによってブレーキシューが制動位置から待機位置に戻される過程で、ドラム温度指標値がブレーキドラムの熱膨張量が許容範囲内であることを表していることを条件として、第1アクチュエータの作動量が、ブレーキシューとブレーキドラムとの当接が解除されたと推定される時点の作動量から所定量減少したときの一対のブレーキシューの位置を待機位置として更新する。従って、ブレーキドラムの熱膨張の影響を受けにくい状態で待機位置を設定することができる。また、第1アクチュエータによるブレーキドラムへの押圧が解除された状態で待機位置を設定することができる。これらの結果、本発明によれば、ブレーキドラムの変形に起因するオーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。尚、上記の所定量は、ブレーキドラムとブレーキシューとの目標クリアランスに相当する量であり、モータの回転量に基づいて設定されてもよいし、モータの通電時間に基づいて設定されてもよい。

0015

本発明の一側面は、前記一対のブレーキシューを拡開することにより、前記ブレーキシューで前記ブレーキドラムを押圧して車輪を制動する、前記第1アクチュエータとは異なる第2アクチュエータ(40)と、
第2制動要求に従って前記一対のブレーキシューを前記更新された待機位置から拡開することにより車輪を制動状態にし、第2制動解除要求に従って前記一対のブレーキシューを前記更新された待機位置に戻すことにより車輪を非制動状態にする第2アクチュエータ制御装置(110,200)とを備え、
前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第1制動要求としての駐車ブレーキ操作により発生する制動要求及び前記第1制動解除要求としての前記駐車ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って前記第1アクチュエータの作動を制御し、
前記第2クチュエータ制御装置は、前記第2制動要求としての常用ブレーキ操作により発生する制動要求及び前記第2制動解除要求としての前記常用ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って前記第2アクチュエータの作動を制御することにある。

0016

本発明の一側面のドラムブレーキ装置は、第1アクチュエータと第2アクチュエータとを備えている。第1アクチュエータ制御装置は、第1制動要求としての駐車ブレーキ操作により発生する制動要求及び第1制動解除要求としての駐車ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って第1アクチュエータの作動を制御する。第2アクチュエータ制御装置は、第2制動要求としての常用ブレーキ操作により発生する制動要求及び第2制動解除要求としての常用ブレーキ操作により発生する制動解除要求に従って第2アクチュエータの作動を制御する。

0017

例えば、走行中に強くブレーキペダルが踏み込まれて常用ブレーキが作動する場合は、停車中に駐車ブレーキが作動する場合に比べて、ブレーキドラムの変形量、ライニングの変形量が大きくなる。このため、第2アクチュエータの作動時に待機位置(クリアランス)を設定するとオーバーアジャストが発生しやすくなる。これに対して、本発明の一側面では、駐車ブレーキ操作によって作動する第1アクチュエータの制動解除時に、待機位置を更新する。このため、常用ブレーキの作動時に待機位置を更新する必要が無く、適切な待機位置を設定することができ、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。

0018

尚、第2アクチュエータは、例えば、ブレーキ作動液液圧によって作動する液圧シリンダにて構成することができる。その場合、第2アクチュエータ制御装置は、常用ブレーキ操作に応じたブレーキ作動液の液圧を液圧シリンダに供給する液圧制御装置にて構成することができる。また、第2アクチュエータは、液圧作動式のものに限らず、例えば、空気圧作動式のもの、電動式のものであってもよい。

0019

本発明の一側面は、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第2アクチュエータによって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧していないことを条件として前記待機位置の更新を行うように構成されたことにある。

0020

常用ブレーキ操作によって第2アクチュエータがブレーキシューをブレーキドラムに押圧している状況では、一時的に、ドラム径が増大していたり、ブレーキシューのライニングが変形していたりする。そこで、第1アクチュエータ制御装置は、第2アクチュエータによってブレーキシューがブレーキドラムを押圧していないことを条件として待機位置の更新を行う。これにより、本発明の一側面によれば、適切な待機位置(クリアランス)を設定することができ、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。

0021

本発明の一側面は、前記第1アクチュエータ制御装置は、前記第1制動解除要求が発生したとき、前記第2アクチュエータの作動によって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している場合、前記第2アクチュエータが前記ブレーキシューによる前記ブレーキドラムへの押圧を解除するまで待ってから(S221)、前記第1アクチュエータを作動させて前記ブレーキシューによる前記ブレーキドラムへの押圧を解除するように構成されたことにある。

0022

本発明の一側面によれば、駐車ブレーキ操作によって第1制動解除要求が発生したとき、第2アクチュエータの作動によってブレーキシューがブレーキドラムを押圧している場合、第2アクチュエータがブレーキシューによるブレーキドラムへの押圧を解除するまで待ってから、つまり、常用ブレーキ操作が解除されるまで待ってから、第1アクチュエータを作動させてブレーキシューによるブレーキドラムへの押圧を解除する。従って、ブレーキドラムが変形していない状況で、待機位置を更新することができる。この結果、本発明の一側面によれば、適切な待機位置を設定することができ、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。

0023

本発明の一側面は、前記第2アクチュエータ制御装置は、前記第1アクチュエータの作動によって前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している状態では、前記第2制動要求が発生しても前記第2アクチュエータの作動による前記ブレーキシューの前記ブレーキドラムへの押圧動作を行わないように構成された(S20,S64)ことにある。

0024

第2アクチュエータによってブレーキシューがブレーキドラムを押圧しているときには、押圧力によってブレーキドラムが変形しているおそれがある。ブレーキドラムが変形しているときに、第1アクチュエータによってブレーキシューとブレーキドラムとの当接が解除されたと推定される時点の第1アクチュエータの作動量を基準として待機位置を設定した場合には、待機位置が不適切なものとなるおそれがある。そこで、本発明の一側面においては、第2アクチュエータ制御装置は、第1アクチュエータの作動によってブレーキシューがブレーキドラムを押圧している状態、つまり、駐車ブレーキが機能している状態では、第2制動要求が発生しても第2アクチュエータの作動によるブレーキシューのブレーキドラムへの押圧動作を行わない。

0025

従って、第1アクチュエータによってブレーキシューとブレーキドラムとの当接が解除されるとき、つまり、駐車ブレーキが解除されるときには、第2アクチュエータが非作動状態となっているため、ブレーキドラムの変形が生じていない。このため、本発明の一側面によれば、適切な待機位置を設定することができ、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。また、第2アクチュエータの作動によるブレーキシューのブレーキドラムへの押圧動作を行わない場合でも、第1アクチュエータの作動によってブレーキシューがブレーキドラムを押圧している状態に維持されるため、車輪を制動状態に維持することができる。

0026

本発明の一側面は、前記ドラム温度指標値取得手段は、停車中に前記第1アクチュエータによる車輪の制動状態を解除する第1制動解除要求が発生した時点において停車維持されていた停車維持時間を前記ドラム温度指標値として取得することにある。

0027

ブレーキドラムは、ブレーキシューとの摩擦によって発生した摩擦熱によって高温状態になるが、車輪の回転停止に伴って摩擦熱が発生しなくなれば、雰囲気によって冷却され、時間の経過とともに低温になる。そこで、本発明の一側面においては、ドラム温度指標値取得手段が、停車中に第1アクチュエータによる車輪の制動状態を解除する第1制動解除要求が発生した時点において停車維持されていた停車維持時間をドラム温度指標値として取得する。従って、停車維持時間が予め設定された設定時間以上である場合に、ブレーキドラムの熱膨張量が許容範囲内であると判定することができる。この停車維持時間は、例えば、車速がゼロに維持されていた時間を取得すればよいが、それに代えて、駐車ブレーキが機能していた時間を停車維持時間として取得してもよい。従って、本発明の一側面によれば、ドラム温度指標値を、ブレーキドラムの温度を温度センサによって直接的に検出することなく取得することができ、低コストにて実施することが可能となる。

0028

本発明の一側面は、前記第1アクチュエータ(50)は、前記モータ(60)と、前記モータの出力軸に固定されたウォーム(71)と、前記ウォームに噛合するウォームホイール(72)と、前記ウォームホイールの回転動作作動体(82)の進退動作に変換するねじ送り機構(80)とを備え、前記作動体の進退動作によって前記一対のブレーキシューの一方端側の相互間隔を変更するように構成され、
前記第2アクチュエータは、前記第2アクチュエータ制御装置によって供給されるブレーキ作動液によって進退するピストンを有するシリンダ(40)を備え、前記ピストンの進退動作によって前記一対のブレーキシューの他方端側の相互間隔を変更するように構成されたことにある。

0029

本発明の一側面のドラムブレーキ装置は、第1アクチュエータによって一対のブレーキシューの一方端側の相互間隔を変更し、第2アクチュエータによって一対のブレーキシューの他方端側の相互間隔を変更する。第1アクチュエータにおいては、駐車ブレーキ操作によって発生した第1制動要求、あるいは、第1制動解除要求によってモータの通電が制御される。モータが通電されることによって、モータの出力軸が回転し、それに伴ってウォームとウォームホイールとを有するウォームギヤが回転する。このウォームホイールの回転動作は、ねじ送り機構によって作動体の進退動作に変換され、作動体の進退動作によって、一対のブレーキシューの一方端側の相互間隔が変更される。このウォームギヤの特性から、第1アクチュエータにおいては、ブレーキシューを制動位置に保持する場合には、モータの通電を停止しておくことができる。

0030

第2アクチュエータは、常用ブレーキ操作に応じた液圧のブレーキ作動液が第2アクチュエータ制御装置からシリンダに供給され、ピストンを前進あるいは後退させる。このピストンの進退動作によって、一対のブレーキシューの他方端側の相互間隔が変更される。従って、本発明の一側面によれば、駐車ブレーキの動作と常用ブレーキの動作とを独立して適切に行うことができる。

0031

本発明の一側面は、前記第1アクチュエータは、前記ブレーキシューが前記ブレーキドラムを押圧している力が小さくなるほど、前記ブレーキシューを移動させるために必要なモータトルクが減少するように構成され、
前記第1アクチュエータ制御装置は、前記モータの駆動により前記ブレーキシューが前記制動位置から前記待機位置に戻される過程で、前記モータの電流が減少していく減少状態から一定値に維持される一定状態切り替わるときの時点を前記ブレーキシューと前記ブレーキドラムとの当接が解除された時点と推定するように構成された(S26)ことにある。

0032

本発明の一側面にて使用される第1アクチュエータは、ブレーキシューがブレーキドラムを押圧している力が小さくなるほど、ブレーキシューを移動させるために必要なモータトルクが減少するように構成されている。この場合、モータの駆動によりブレーキシューが制動位置から待機位置に戻される過程において、モータ電流は、ブレーキシューがブレーキドラムに当接している間は減少状態となり、ブレーキシューとブレーキドラムとの当接が解除されると一定値に維持される。そこで、本発明の一側面においては、第1アクチュエータ制御装置が、モータの駆動によりブレーキシューが制動位置から待機位置に戻される過程で、モータの電流が減少していく減少状態から一定値に維持される一定状態に切り替わるときの時点をブレーキシューとブレーキドラムとの当接が解除された時点と推定する。このため、当接解除タイミングの推定を適切、かつ、簡単に行うことができる。従って、待機位置の設定を適切、かつ、簡単に行うことができる。

0033

尚、上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。

図面の簡単な説明

0034

実施形態に係るドラムブレーキの正面概略構成図である。
実施形態に係るドラムブレーキ装置のシステム概略構成図である。
電動アクチュエータの側面概略断面図である。
電動アクチュエータの正面概略断面図である。
ホイールシリンダの端面概略図である。
駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表すフローチャートである。
駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表すフローチャートである。
停車時間計時ルーチンを表すフローチャートである。
他の停車時間計時ルーチンを表すフローチャートである。
第1変形例に係る駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表すフローチャートである。
第1変形例に係る駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表すフローチャートである。
第2変形例に係る液圧供給指令ルーチンを表すフローチャートである。
第3変形例に係る駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表すフローチャートである。
第3変形例に係る駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表すフローチャートである。
モータ電流の推移を表すグラフである。
ウォームギヤ機構噛合状態を模式的に表す説明図である。

実施例

0035

以下、本発明の一実施形態に係る車両用のドラムブレーキ装置について説明する。図1は、本実施形態に係るドラムブレーキ装置に設けられる後輪のドラムブレーキ1を概略的に示している。このドラムブレーキ1は、ブレーキドラム10と、バックプレート20と、2個一対のブレーキシュー30a,30bと、ホイールシリンダ40と、電動アクチュエータ50とを備えている。

0036

ブレーキドラム10は、車輪とともに回転する円筒体であって、その内周面に摩擦面が形成されている。バックプレート20は、略円板形状をなし車体側部材に回転不能に固定される。一対のブレーキシュー30a,30bは、円弧形状を有する部材で、互いに接近離間可能に略左右対象となるようにブレーキドラム10内に収容される。以下、2つのブレーキシュー30a,30bについては、その何れか一方を特定する必要がない場合には、両者を単にブレーキシュー30と呼ぶ。

0037

各ブレーキシュー30は、バックプレート20の板面(一面側)と略平行に配置されるシューウェブ31と、シューウェブ31の外周側端面に固着されるシューリム32と、シューリム32の外周面に固着されてブレーキ操作時にブレーキドラム10の内周面に摩擦係合するライニング33とを一体的に備えて構成されている。各ブレーキシュー30は、各シューウェブ31に貫通形成された取付穴に装着されるシューホールドダウン21により、ブレーキドラム10の内周面に向かって移動可能にバックプレート20に取り付けられている。

0038

一対のブレーキシュー30a,30bの一方端(この例では、上端)の間には、液圧アクチュエータとしてのホイールシリンダ40がバックプレート20に固定されて設けられている。ホイールシリンダ40は、ブレーキ作動液の圧力によって作動するピストン41を両端部に備えている。ピストン41の先端は、左右のシューウェブ31の一方端に連結されている。ホイールシリンダ40は、後述する液圧供給回路200から供給されるブレーキ作動液の液圧によってピストン41を前進させることにより、左右のシューウェブ31を離間させる方向に押圧して、ブレーキシュー30を拡開させる。これにより、ライニング33がブレーキドラム10の内周面に押し当てられて、ブレーキドラム10の回転(つまり、車輪の回転)を止めようとする摩擦制動力が発生する。また、ホイールシリンダ40は、液圧供給回路200から供給されるブレーキ作動液の液圧が低下するとピストン41を後退させて左右のシューウェブ31を引き寄せ、ライニング33によるブレーキドラム10の内周面への押圧を解除する。これにより、車輪の制動状態が解除される。

0039

尚、ホイールシリンダ40のハウジングには、後述する電動アクチュエータ50の作動によってピストン41が初期位置(液圧が供給されていないときの位置)よりも奥に押し込まれないように、図5に示すようにストッパ受け42が形成されている。ピストン41が初期位置に配置されている状況では、シューウェブ31に形成されたストッパ34がストッパ受け42に当接するように構成されている。

0040

一対のブレーキシュー30a,30bの他方端(この例では、下端)の間には、電動アクチュエータ50が設けられている。電動アクチュエータ50は、後述する駐車ブレーキECU120によって制御されるもので、ドライバーによる駐車ブレーキの作動操作が行われたときに、左右のシューウェブ31を互いに離間させる方向に押圧して、ブレーキシュー30を拡開させる。これにより、ライニング33がブレーキドラム10の内周面に押し当てられて、ブレーキドラム10が停止状態、つまり、駐車ブレーキが効いている状態に維持される。また、電動アクチュエータ50は、ドライバーによる駐車ブレーキの解除操作が行われたときに、左右のシューウェブ31を引き寄せて待機位置にまで戻す。これにより、駐車ブレーキが解除される。

0041

電動アクチュエータ50は、図3図4に示すように、モータ60と、ウォームギヤ機構70と、ねじ送り機構80とを備えている。モータ60は、その出力軸61をバックプレート20を貫通させた状態でバックプレート20の裏面に固定されている。モータ60の出力軸61には、ウォーム71が固定されている。ねじ送り機構80は、円筒状のねじ部材81と、2本の進退ロッド821,822とを備えている。ねじ部材81には、円筒状本体部の外周面にウォームホイール72が固定されている。ウォームホイール72は、ねじ部材81に対して同軸位置に固定されており、モータ60の出力軸61に固定されたウォーム71と噛合している。このウォーム71とウォームホイール72とによってウォームギヤ機構70が構成されている。

0042

ウォームギヤ機構70およびねじ部材81は、図示しないケーシング内に収納されている。ねじ部材81は、このケーシング内において、図示しない軸受けによって軸方向の移動が阻止された状態で回転可能に設けられている。これにより、モータ60が駆動されて出力軸61が回転すると、ねじ部材81は、ウォームギヤ機構70を介して減速されて回転する。

0043

ねじ部材81の円筒状本体部の内周面には、軸方向中央よりも一方側(図面の左側)に第1雌ねじ811が形成され、軸方向中央よりも他方側(図面の右側)に第2雌ねじが812形成されている。第1雌ねじ811と第2雌ねじ812とは、リードおよび径寸法は同一であるが、ねじの形成方向が互いに反対となるように形成されている。例えば、第1雌ねじ811は、右ねじであり、第2雌ねじ812は、左ねじである。

0044

ねじ部材81の円筒空間内には、第1雌ねじ811と噛合する雄ねじ8211が形成された円柱状の第1進退ロッド821と、第2雌ねじ812と噛合する雄ねじ8221が形成された第2進退ロッド822とが設けられている。従って、ねじ部材81の回転運動は、第1進退ロッド821と第2進退ロッド822との直線運動進退運動)に変換される。この場合、第1進退ロッド821と第2進退ロッド822は、対となって互いに反対方向に直線運動する。例えば、第1進退ロッド821と第2進退ロッド822は、モータ60が正回転駆動された場合には、互いに離れる方向に前進し、モータ60が逆回転駆動された場合には、互いに接近する方向に後退する。

0045

このように、ねじ部材81、第1進退ロッド821、および、第2進退ロッド822によってねじ送り機構80が構成されている。以下、第1進退ロッド821と第2進退ロッド822については、その何れか一方を特定する必要がない場合には、両者を単に、進退ロッド82と呼ぶ。

0046

各進退ロッド82の先端には、円柱状の連結部83が一体形成されている。連結部83には、バックプレート20と平行に直線状に延びた断面U字状の溝84が形成されており、この溝84にシューウェブ31の先端が嵌めこまれて固定されている。従って、モータ60が正回転駆動された場合には、進退ロッド82が前進してシューウェブ31を外側に押し出して、ブレーキシュー30の相互の離隔が拡げられる。また、モータ60が逆回転駆動された場合には、進退ロッド82が後退してシューウェブ31を内側に引き寄せて、ブレーキシュー30の相互の離隔が狭められる。

0047

また、電動アクチュエータ50は、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押している状態では、その反力(ブレーキドラム10がブレーキシュー30を押し戻す力)だけでは、ウォームギヤ機構70とねじ送り機構80とによって、ブレーキシュー30が押し戻されないように構成されている。従って、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押している状態では、モータ60への通電を停止しても、その状態を維持することができる。

0048

次に、ドラムブレーキ1を制御するシステムについて説明する。図2は、ドラムブレーキ装置の概略システム構成を表す。本実施形態のドラムブレーキ装置が適用される車両においては、左右後輪に上述したドラムブレーキ1が設けられている。左右前輪には、電動アクチュエータ50を具備せずシューウェブ31の他方端をアンカー部材(図示略)で支持した一般的なドラムブレーキ5が設けられている。この例では、前輪ブレーキを一般的なドラムブレーキ5としているが、前輪のブレーキは、本発明に含まれるものではなく、ディスクブレーキであってもよい。以下、システム構成の説明にあたっては、左前輪に設けられる構成については、その符号の末尾にflを付し、右前輪に設けられる構成については、その符号の末尾にfrを付し、左後輪に設けられる構成については、その符号の末尾にrlを付し、右前輪に設けられる構成については、その符号の末尾にrrを付す。

0049

ドラムブレーキ装置は、ブレーキ電子制御ユニット100(以下、ブレーキECU100と呼ぶ)と、液圧供給回路200とを備えている。ブレーキECU100は、液圧供給回路200の作動を制御する常用ブレーキ電子制御ユニット110(以下、常用ブレーキECU110と呼ぶ)と、電動アクチュエータ50の作動を制御する駐車ブレーキ電子制御ユニット120(以下、駐車ブレーキECU120と呼ぶ)とを備えている。

0050

液圧供給回路200は、左前輪のドラムブレーキ5flのホイールシリンダ6flと、右前輪のドラムブレーキ5frのホイールシリンダ6frと、左後輪のドラムブレーキ1rlのホイールシリンダ40rlと、右後輪のドラムブレーキ1rrのホイールシリンダ40rrとにブレーキ配管を介して接続されている。液圧供給回路200は、ブレーキペダル201の踏み込み操作により作動液加圧するマスタシリンダ、作動液を大気圧にて貯留するリザーバ、加圧された作動液の液圧を各輪のホイールシリンダ6fl,6fr,40rl,40rrに供給する液圧回路、作動液の液圧を各輪のホイールシリンダ6fl,6fr,40rl,40rrに供給できる供給可能状態と供給できない供給禁止状態とに切り替え開閉弁等を備えている(以上、一般的な構成であるため図示略)。この開閉弁は、例えば、各輪ごとに車輪のロックを防止するアンチロックブレーキ制御に用いられる開閉弁など、少なくとも、前輪と後輪とで独立して作動液の供給状態を切り替えられるものであればよい。

0051

液圧供給回路200は、圧力センサ(図示略)等の作動液の加圧状態を検出するセンサを備えており、センサ信号を常用ブレーキECU110に出力する。尚、図2において、破線矢印は、センサ信号ラインを表している。常用ブレーキECU110は、液圧供給回路200から出力されるセンサ信号、および、ブレーキペダル201の踏み込み操作の有無を検出するペダルスイッチ90のスイッチ信号を入力するように構成されている。ブレーキペダル201の踏み込み操作は、制動要求(本発明の第2制動要求に相当する)となり、ブレーキペダル201の踏み込み解除操作は、制動解除要求(本発明の第2制動解除要求に相当する)となる。尚、常用ブレーキECU110は、車両の挙動状態等を表すセンサ信号を入力するが、本発明と直接関係するものではないため、この説明においては省略している。

0052

常用ブレーキECU110は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータ電磁弁駆動回路入出力インターフェース等を備えるとともに、駐車ブレーキECU120と相互に通信可能に構成されている。本実施形態の常用ブレーキの制御方式は、ブレーキペダル201の踏み込み操作によってマスタシリンダで加圧された液圧を直接各輪のホイールシリンダ6fl,6fr,40rl,40rrに供給し、必要時において、常用ブレーキECU110が液圧供給回路200の開閉弁に駆動信号を出力して各輪のホイールシリンダ6fl,6fr,40rl,40rrに供給する液圧を制御する方式である。

0053

駐車ブレーキECU120は、CPU、ROM、RAMなどからなるマイクロコンピュータ、モータ駆動回路、入出力インターフェース等を備えるとともに、常用ブレーキECU110と相互に通信可能に構成されている。後輪のドラムブレーキ1rl,1rrに設けられた電動アクチュエータ50rl,50rrには、それぞれモータ60rl,60rrの回転角を検出する回転角センサ91rl,91rr(以下、両者を区別しない場合は、単に回転角センサ91と呼ぶ)が設けられている。各回転角センサ91rl,91rrは、モータ60rl,60rrの回転角θを表すセンサ信号を駐車ブレーキECU120に出力する。

0054

また、駐車ブレーキECU120は、モータ駆動回路からモータ60rl,60rrに供給される電流の大きさを検出する電流センサ92rl,92rrを備えており、各モータ60rl,60rr毎に、その通電量であるモータ電流imをモニタできるように構成されている。更に、駐車ブレーキECU120は、駐車ブレーキ操作スイッチ93、シフト位置センサ94、車速センサ95、ペダルスイッチ90を接続している。駐車ブレーキ操作スイッチ93は、ドライバーによって操作された駐車ブレーキの設定状態駐車ブレーキ作動駐車ブレーキ解除)を表す駐車ブレーキ操作信号を出力する。シフト位置センサ94は、ドライバーによって操作されたシフトレバーの設定位置を表わすシフト位置信号を出力する。車速センサ95は、車速Vを表わすセンサ信号を出力する。

0055

駐車ブレーキECU120は、ドライバーによって操作された駐車ブレーキ操作スイッチ93が駐車ブレーキ作動を表わしているとき、あるいは、シフトレバーの設定位置が駐車位置Pレンジ)を表わしているときに駐車ブレーキを機能させるように作動する。以下、駐車ブレーキ操作スイッチ93とシフト位置センサ94の出力する信号を駐車ブレーキ信号と呼び、ドライバーによって操作された駐車ブレーキ操作スイッチ93が駐車ブレーキ作動を表わしているとき、あるいは、シフトレバーの設定位置が駐車位置(Pレンジ)を表わしているときに、駐車ブレーキ信号がオン状態となり、それ以外においては駐車ブレーキ信号がオフ状態となるものとして説明する。駐車ブレーキ信号は、制動要求(本発明の第1制動要求に相当する)、あるいは、制動解除要求(本発明の第1制動解除要求に相当する)を表す信号となる。

0056

次に、駐車ブレーキECU120の実施する制御処理について説明する。駐車ブレーキECU120は、左後輪の電動アクチュエータ50rlと右後輪の電動アクチュエータ50rrとをそれぞれ独立して制御するが、どちらも制御内容は同じであるため、ここでは、一方輪の電動アクチュエータ50の制御処理について説明する。まず、駐車ブレーキを作動させるときの処理から説明する。図6は、駐車ブレーキECU120の実施する駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表す。

0057

駐車ブレーキ作動制御ルーチンが起動すると、駐車ブレーキECU120は、まず、ステップS11において、駐車ブレーキ信号(図面ではPKBと記載する)がオンしたか否かを判断する。駐車ブレーキECU120は、ステップS11の判断処理を所定の演算周期にて繰り返し実施し、駐車ブレーキ信号がオフ状態からオン状態に切り替わると、つまり、制動要求が発生すると、ステップS12において、回転角センサ91により検出されるモータ60の回転角θを読み込み、その回転角θを初期回転角θstartとして記憶する。

0058

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS13において、電動アクチュエータ50のモータ60に一定の正転駆動電圧印加して、モータ60の正転駆動を開始する。モータ60の正転駆動により、電動アクチュエータ50は、左右の進退ロッド82が前進してシューウェブ31を互いの離隔を拡げるように押し出す。これにより、モータ60の回転とともにブレーキシュー30が拡開されていく。

0059

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS14において、電流センサ92により検出されるモータ電流imを検出し、ステップS15において、モータ電流imが停止設定電流istop以上になっているか否かについて判断する。駐車ブレーキECU120は、モータ電流imが停止設定電流istop未満である場合には、その処理をステップS14に戻して、上述した処理を所定の演算周期にて繰り返す。

0060

ねじ送り機構80は、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押し付けていない場合には、ねじ部材81の雄ねじ811,812と、進退ロッド821,822の雄ねじ8211,8221とが軸方向に互いに押し合わない。このため、ねじ部材81を回転させるために必要なトルクは少なくてすむ。従って、ウォームギヤ機構70においては、図16(a)に模式的に示すように、ウォーム71の歯でウォームホイール72の歯を強く押さなくてもねじ部材81を回転させることができる。この場合、モータ負荷が一定となるため、モータ電流imは、図15に示すように、通電開始時刻t1から当接開始時刻t2までの期間では一定値となる。

0061

モータ60の正転駆動によって進退ロッド82が前進して、ブレーキシュー30がブレーキドラム10に当接した後は、ねじ部材81の雄ねじ811,812と進退ロッド82の雄ねじ8211,8221とが軸方向に互いに押し合うようになる。このため、ねじ部材81を回転させるために必要なモータトルクは増加する。従って、ウォームギヤ機構70においては、図16(b)に示すように、ウォーム71の歯でウォームホイール72の歯を正転方向に強く押すようになり、ウォーム71とウォームホイール72との間の摩擦抵抗が増加する。この摩擦抵抗は、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押し付ける力(ブレーキシュー30の拡開量)が大きくなるにしたがって増加し、モータ負荷を増加させる。このため、モータ電流imは、この摩擦抵抗の増加に伴って増加する。

0062

こうしてモータ電流imが停止設定電流istop以上になると(S15:Yes)、駐車ブレーキECU120は、ステップS16において、モータ60の正転駆動を停止する。停止設定電流istopは、駐車ブレーキが確実に機能する位置にまでブレーキシュー30を拡開させるために必要となる電流であって、予め実験等によって決められ、ブレーキECU120に記憶されている。従って、ステップS16において、モータ60の正転駆動を停止したときには、駐車ブレーキが確実に機能していることになる。図15に示すように、モータ電流imは、ブレーキシュー30がブレーキドラム10と当接した時刻t2から増加し、時刻t3において停止設定電流istopに到達する。駐車ブレーキECU120は、この時刻t3においてモータ60への通電を停止する。

0063

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS17において、回転角センサ91により検出されるモータ60の回転角θを読み込み、その回転角θを停止回角θstopとして一時的に記憶しておき、ステップS12で記憶した初期回転角θstartと停止回転角θstopとの差分(θstop−θstart)を駐車ブレーキの作動に要した回転量Rとして算出する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS18において、この回転量Rを戻し回転量R0として記憶する。この戻し回転量R0は、駐車ブレーキが解除されるまで記憶保持される。

0064

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS19において、ペダルスイッチ90から出力されるスイッチ信号を読み込み、スイッチ信号がオフ、つまり、ブレーキペダル201が踏み込み操作されていない状態であるか否かを判断する。駐車ブレーキECU120は、スイッチ信号がオフになることが検出されるまで待ってから、その処理をステップS20に進める。このステップS20において、駐車ブレーキECU120は、常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の禁止指令を送信する。

0065

常用ブレーキECU110は、液圧供給の禁止指令を受信すると、液圧供給回路200に設けられた後輪液圧供給用の開閉弁を閉弁する。これにより、後輪のホイールシリンダ40には、ドライバーのブレーキペダル操作に関わらず、液圧供給回路200から液圧供給が行われないようになる。また、ブレーキペダル201が踏み込み操作されていない状態で開閉弁を閉弁するため、後輪のホイールシリンダ40は、ピストン41が初期位置に戻っている状態に維持される。つまり、駐車ブレーキの作動中においては、後輪のホイールシリンダ40がブレーキシュー30を押し拡げない状態(非制動状態)に維持される。従って、駐車ブレーキが解除されるときには、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押し付ける力によってブレーキドラム10の変形(ドラム径の増大)およびライニング33の変形(圧縮変形、せん断変形)が生じていない状況となっている。そのようにする理由については、後述するが、駐車ブレーキの解除時に行うブレーキシュー30の待機位置の設定を適正にするためである。

0066

駐車ブレーキECU120は、ステップS20において液圧供給の禁止指令を送信すると、駐車ブレーキ作動制御ルーチンを終了する。駐車ブレーキ作動制御ルーチンは、後述する駐車ブレーキ解除制御ルーチンが終了したタイミングで再開される。

0067

次に、駐車ブレーキを解除させるときの駐車ブレーキECU120の処理について説明する。図7は、駐車ブレーキECU120の実施する駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表す。この駐車ブレーキ解除制御ルーチンには、ブレーキシュー30の待機位置を設定する処理、つまり、非制動時におけるブレーキシュー30とブレーキドラム10とのクリアランスを設定する処理が含まれている。駐車ブレーキ解除制御ルーチンは、上述した駐車ブレーキ作動制御ルーチンが終了したタイミングで起動する。

0068

駐車ブレーキ解除制御ルーチンが起動すると、駐車ブレーキECU120は、まず、ステップS21において、駐車ブレーキ信号(PKB信号)がオフしたか否かを判断する。駐車ブレーキECU120は、ステップS21の判断処理を所定の演算周期にて繰り返し実施する。駐車ブレーキ信号がオン状態からオフ状態に切り替わると、つまり、制動解除要求(本発明の第1制動解除要求に相当する)が発生すると、駐車ブレーキECU120は、ステップS22において、駐車ブレーキ信号がオフした時点において、それまでに車両が停止維持されていた停車維持時間Tsを読み込み、停車維持時間Tsが設定時間T0以上であるか否かについて判定する。

0069

駐車ブレーキECU120は、駐車ブレーキ解除制御ルーチンおよび駐車ブレーキ作動制御ルーチンと並行して、図8あるいは図9に示す停車維持時間計測ルーチンを実行しており、ステップS22においては、この停車維持時間計測ルーチンで計測された現時点における停車維持時間Tsを読み込むようにしている。例えば、図8に示す停車維持時間計測ルーチンにおいては、駐車ブレーキECU120は、ステップS41において車速センサ95により検出される車速Vがゼロであるか否かを判断し、車速Vがゼロである場合には、停車維持時間Tsを表すタイマ値を値1だけインクリメントし(S42)、車速Vがゼロでない場合には、停車維持時間Tsを表すタイマ値をゼロクリアする(S43)。駐車ブレーキECU120は、停車維持時間計測ルーチンを所定の短い演算周期で繰り返すことにより、現時点における停車維持時間Tsを計測する。

0070

図8に示す停車維持時間計測ルーチンにおいては、車速Vによって停車維持時間Tsが設定されるものであるが、駐車ブレーキが作動している場合には停車状態に維持されていると推定できるため、駐車ブレーキが作動している継続時間を停車維持時間Tsに設定することもできる。その例が、図9に示す停車維持時間計測ルーチンである。この停車維持時間計測ルーチンにおいては、駐車ブレーキECU120は、ステップS51において、駐車ブレーキが作動中であるか否かを判断し、駐車ブレーキが作動中である場合には、停車維持時間Tsを表すタイマ値を値1だけインクリメントし(S52)、駐車ブレーキが作動中でない場合には、停車維持時間Tsを表すタイマ値をゼロクリアする(S53)。駐車ブレーキECU120は、停車維持時間計測ルーチンを所定の短い演算周期で繰り返すことにより、現時点における停車維持時間Tsを計測する。

0071

更に、停車維持時間計測ルーチンの変形例として、図には示さないが、車速Vがゼロであって、且つ、駐車ブレーキが作動中である場合に、停車維持時間Tsを表すタイマ値を値1だけインクリメントし、車速Vがゼロでない、あるいは、駐車ブレーキが作動中でない場合に、停車維持時間Tsを表すタイマ値をゼロクリアするように構成することもできる。

0072

この停車維持時間Tsは、ブレーキドラム10の温度と相関を有するパラメータであって、本発明のドラム温度指標値に相当する。このドラム温度指標値によって、ブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲内であるか否かを判定することができる。車両が停止している間は、ブレーキドラム10とブレーキシュー30との間で摩擦熱が発生しない。このため、停車時間が長いほどブレーキドラム10は常温状態に近づき、ブレーキドラム10の熱膨張量(ドラム径の増大)が許容範囲内であると推定できる。ステップS22で用いられる設定時間T0は、ブレーキドラム10の温度が、後述するブレーキシュー30の待機位置の設定に影響を及ぼしにくい温度であるか否かを判別するための閾値である。例えば、設定温度T0は、通常走行時において想定されるブレーキドラム10の最高温度から熱膨張量が許容範囲内となる温度になるまでの時間として予め設定してもよい。また、熱膨張量が許容範囲内となる温度として、常温(例えば、20℃±15℃)を採用してもよい。

0073

駐車ブレーキECU120は、停車維持時間Tsが設定時間T0以上である場合(S22:Yes)には、ステップS23において、電動アクチュエータ50のモータ60に一定の逆転駆動用電圧を印加して、モータ60の逆転駆動を開始する。このモータ60の逆転駆動により、左右の進退ロッド82が後退してシューウェブ31を引き寄せる。

0074

駐車ブレーキが作動しているあいだは、モータ60が駆動されていなくても、ブレーキドラム10の復元力、つまり、ブレーキドラム10がブレーキシュー30を押し戻す力によって、ねじ部材81の雄ねじ811,812と、進退ロッド82の雄ねじ8211,8221とが軸方向に互いに押し合った状態となっている。この状態からモータ60が逆転駆動されると、ウォームギヤ機構70においては、図16(c)に示すように、ウォーム71の歯がウォームホイール72の歯を逆転方向に強く押す。この場合、モータ60は、ウォーム71とウォームホイール72との間の摩擦抵抗に抗してウォーム71を回転させて進退ロッド82を後退させる。

0075

この摩擦抵抗は、進退ロッド82が後退するほど、ブレーキシュー30がブレーキドラム10を押圧している力(ブレーキドラム10がブレーキシュー30を押し戻す力)が小さくなるため減少する。この摩擦抵抗の減少に伴って、ブレーキシュー30を移動させるために必要なモータトルクが減少し、モータ電流imが減少していく。例えば、図15の時刻t4においてモータ60の逆転駆動を開始すると、モータ電流imは減少していく。そして、ブレーキシュー30がブレーキドラム10から離れた時刻t5以降、ねじ部材81の雄ねじ811,812と、進退ロッド82の雄ねじ8211,8221とが軸方向に互いに押し合わなくなる。これに伴って、ウォーム71とウォームホイール72との間の摩擦抵抗が一定となり、モータ電流imも一定となる。

0076

駐車ブレーキECU120は、モータ60の逆転駆動を開始すると、続く、ステップS24において、電流センサ92により検出されるモータ電流imを検出し、ステップS25において、モータ電流imの時間に対する変化勾配Kiを算出する。この変化勾配Kiは、図15に示すグラフの時刻t4からのモータ電流imの傾きを表す。

0077

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS26において、変化勾配Kiが減少している状態から一定となる状態に推移したか否かを判断する。ブレーキシュー30がブレーキドラム10に当接しているあいだは、ウォーム71とウォームホイール72との間の摩擦抵抗の減少によってモータ電流imは減少していく。駐車ブレーキECU120は、変化勾配Kiが減少している間は(S26:No)、その処理をステップS24に戻して同様の処理を繰り返す。

0078

こうした処理を繰り返し、図15の時刻t5に示すように、変化勾配Kiが一定状態になると(S26:Yes)、駐車ブレーキECU120は、その処理をステップS27に進める。この時刻t5は、ブレーキシュー30がブレーキドラム10から離れた(当接解除された)瞬間の時刻であると推定できる。駐車ブレーキECU120は、ステップS27において、回転角センサ91により検出される回転角θの読み込みを開始し、それ以降の回転角θの増加分である回転量Rの測定を開始する。従って、ステップ27において最初に読み込まれた回転角θは、ブレーキシュー30がブレーキドラム10から離れたと推定される時点の電動アクチュエータ50推定作動量(進退ロッド821,822の位置)を表すものであり、ブレーキシュー30の推定当接解除位置を表わすものでもある。以下、ブレーキシュー30がブレーキドラム10から離れたと推定される時点の電動アクチュエータ50の作動量にて特定されるブレーキシュー30の位置を当接解除位置と呼ぶ。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS28において、回転量Rが設定回転量R1以上になったか否かを判断し、回転量Rが設定回転量R1以上になるまで待機する。

0079

駐車ブレーキECU120は、回転量Rが設定回転量R1以上であると判定した場合には(S28:Yes)、ステップS29において、モータ60の逆転駆動を停止し、ステップS30において、回転量Rの測定を終了する。この設定回転量R1は、駐車ブレーキの非作動中におけるブレーキシュー30とブレーキドラム10とのあいだの設定クリアランスに相当する量である。従って、ブレーキシュー30は、ブレーキドラム10との当接が解除されたと推定される当接解除位置を基準として、当接解除位置から設定クリアランスだけ戻った位置(本発明の第1アクチュエータの作動量が所定量減少したときの位置に相当する)にて配置されることになる。この場合、ブレーキドラム10は、熱膨張していなく、しかも、ホイールシリンダ40の作動が禁止されているため、ドラム径が増大する変形も生じていないため、ブレーキシュー30の待機位置は、ライニング33の摩耗量に応じた適正なものとなる。こうしたステップS24〜ステップS29の処理が、ブレーキシュー30のクリアランス調整処理となる。

0080

続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS31において、ペダルスイッチ90から出力されるスイッチ信号を読み込み、スイッチ信号がオフ、つまり、ブレーキペダル201が踏み込み操作されていない状態であるか否かを判断する。駐車ブレーキECU120は、スイッチ信号がオフになることが検出されるまで待ってから、その処理をステップS32に進める。このステップS32において、駐車ブレーキECU120は、常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の許可指令を送信する。常用ブレーキECU110は、液圧供給の許可指令を受信すると、液圧供給回路200に設けられた後輪液圧供給用の開閉弁を開弁する。これにより、後輪のホイールシリンダ40には、ドライバーのブレーキペダル操作に応じた液圧が供給されるようになる。

0081

また、駐車ブレーキECU120は、ステップS22において、停車維持時間Tsが設定時間T0未満であると判定した場合、つまり、ブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲を超えている可能性があると判断される場合には、その処理をステップS33に進める。駐車ブレーキECU120は、ステップS33において、電動アクチュエータ50のモータ60に一定の逆転駆動用電圧を印加して、モータ60の逆転駆動を開始する。このモータ60の逆転駆動により、左右の進退ロッド82が後退してシューウェブ31を引き寄せる。

0082

駐車ブレーキECU120は、モータ60の逆転駆動を開始すると、続く、ステップS34において、回転角センサ91により検出される回転角θの読み込みを開始し、それ以降の回転角θの増加分である回転量Rの測定を開始する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS35において、回転量Rが戻し回転量R0以上になったか否かを判断し、回転量Rが設定回転量R0以上になるまで待機する。この戻し回転量R0は、直前回の駐車ブレーキ作動制御ルーチンのステップS18において記憶した回転量である。つまり、駐車ブレーキを作動させるときにモータ60が回転した回転量である。

0083

駐車ブレーキECU120は、回転量Rが戻し回転量R0以上であると判定した場合には(S35:Yes)、その処理をステップS29に進めて、上述した処理を実施する。従って、停車維持時間Tsが設定時間T0未満である場合には、駐車ブレーキ作動制御ルーチンでモータ60を回転させた回転量だけモータ60を逆回転させることにより、ブレーキシュー30が元の位置に戻される。この場合、ブレーキドラム10は、熱膨張していたとしても、駐車ブレーキの作動時よりも放熱されている。このため、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接を確実に解除することができる。

0084

駐車ブレーキECU120は、ステップS32において液圧供給の許可指令を送信すると、駐車ブレーキ解除制御ルーチンを終了するとともに、上述した駐車ブレーキ作動制御ルーチンを起動する。

0085

以上説明した本実施形態のドラムブレーキ装置によれば以下の作用効果を奏する。
1.ブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲を超えている可能性がある場合には、ブレーキシュー30のクリアランス調整(待機位置の設定)が禁止される。この結果、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。

0086

2.モータ電流imの変化勾配に基づいて、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接が解除される時点が推定される。従って、当接解除位置の推定を適切、かつ、簡単に行うことができる。また、当接解除位置を基準として、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との間に所定のクリアランス(R1相当)を設けた位置が新たな待機位置として設定される。従って、待機位置の設定を適切、かつ、簡単に行うことができる。

0087

3.ブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲内であるか否かを判定するためのドラム温度指標として停車維持時間Tsが使用されるため、ブレーキドラム10温度を測定する温度センサが不要となり、低コストにて実施することができる。

0088

4.待機位置の設定は、停車中における駐車ブレーキの解除操作時においてのみ行われ、常用ブレーキの作動時においては行なわれない。このため、ブレーキドラム10の変形(ドラム径の増大)およびライニング33の変形(圧縮変形,せん断変形)によるオーバーアジャストの発生する可能性をより低減することができる。つまり、待機位置の設定がより適切なものとなる。

0089

5.駐車ブレーキの解除操作時に待機位置の設定を行うときには、ホイールシリンダ40の作動が禁止されている。このため、ブレーキドラム10の変形(ドラム径の増大)およびライニング33の変形(圧縮変形,せん断変形)によるオーバーアジャストの発生する可能性をより低減することができる。

0090

6.ドラムブレーキ1は、一対のブレーキシュー30の一方端側の間に設けられ駐車ブレーキ操作によって作動する電動アクチュエータ50と、一対のブレーキシュー30の他方端側の間に設けられブレーキペダル操作によって作動するホイールシリンダ40とを備えている。このため、駐車ブレーキの動作と常用ブレーキの動作とを独立して適切に行うことができる。また、常用ブレーキ操作時に待機位置を設定する必要が無く、適切な待機位置を設定することができ、オーバーアジャストの発生する可能性をより低減することができる。

0091

7.駐車ブレーキの解除操作時において、ブレーキドラム10が熱膨張している可能性がある場合(Ts≧T0)には、ブレーキシュー30を戻す位置が、直前回の駐車ブレーキの作動操作時におけるモータ60の回転量R0を使って設定される。このため、ブレーキシュー30を確実に元の位置に戻すことができ、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接を解除することができる。

0092

8.駐車ブレーキを作動させる第1アクチュエータ50を利用して、待機位置を設定する構成であるため、専用の自動アジャスタを必要としない。このため、部品点数を低減することができる。

0093

次に、変形例1について説明する。上述した実施形態においては、駐車ブレーキを作動状態にした後は、後輪のホイールシリンダ40に液圧が供給されないように維持されるが、この変形例1においては、液圧供給を禁止しないようにしたものである。図10は、変形例1にかかる駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表し、図11は、変形例1にかかる駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表す。

0094

変形例1にかかる駐車ブレーキ作動制御ルーチン(図10)は、実施形態の駐車ブレーキ作動制御ルーチン(図6)において、ステップS19,S20の処理を省略したものである。従って、駐車ブレーキが作動中であるか否かに関わらず、ブレーキペダル操作が行われた場合には、前後輪のホイールシリンダ6,40に液圧が供給されるように構成されている。変形例1にかかる駐車ブレーキ解除制御ルーチン(図11)は、実施形態の駐車ブレーキ解除制御ルーチン(図7)において、ステップS22とステップS23との間に、ステップS221の処理を追加するとともに、ステップS31,S32の処理を省略したものである。

0095

駐車ブレーキ解除制御ルーチンにおいては、駐車ブレーキECU120は、ステップS221において、ペダルスイッチ90から出力されるスイッチ信号を読み込み、スイッチ信号がオフ、つまり、ブレーキペダル201が踏み込み操作されていない状態であるか否かを判断する。駐車ブレーキECU120は、スイッチ信号がオフになることが検出されるまで待ってから、その処理をステップS23に進める。これにより、ステップS23以降の待機位置の設定処理を行うときには、ホイールシリンダ40がブレーキシュー30を押し拡げていない状態(非制動状態)となっている。このため、ブレーキドラム10の変形(ドラム径の増大)およびライニング33の変形(圧縮変形、せん断変形)が生じていない状況でブレーキシュー30の待機位置が設定されるため、待機位置を適正に設定することができる。

0096

次に、変形例2について説明する。上述した実施形態においては、後輪のホイールシリンダ40の液圧供給に関する禁止指令および許可指令の出力処理を駐車ブレーキ作動制御ルーチンおよび駐車ブレーキ解除制御ルーチンに組み込んでいるが、この変形例2においては、後輪のホイールシリンダ40の液圧供給に関する禁止指令および許可指令の出力処理を別ルーチンにて設定したものである。従って、この変形例2においては、駐車ブレーキ作動制御ルーチンは、変形例1の処理(図10)と同一であり、駐車ブレーキ解除制御ルーチンは、実施形態の駐車ブレーキ解除制御ルーチンのステップS31,S32を省略したものである。

0097

駐車ブレーキECU120は、その駐車ブレーキ作動制御ルーチンあるいは駐車ブレーキ解除制御ルーチンと並行して、図12に示す液圧指令制御ルーチンを実行する。駐車ブレーキECU120は、液圧指令制御ルーチンを所定の演算周期にて繰り返し実行する。液圧指令制御ルーチンが起動すると、駐車ブレーキECU120は、ステップS61において、車速センサ95により検出される車速Vがゼロ、つまり、停車中であるか否かを判断し、車速Vがゼロでない場合には(S62:No)、ステップS65において、常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の許可指令を送信する。一方、車速Vがゼロである場合には(S61:Yes)、駐車ブレーキECU120は、ステップS62において、ペダルスイッチ90から出力されるスイッチ信号を読み込み、スイッチ信号がオフ、つまり、ブレーキペダル201が踏み込み操作されていない状態であるか否かを判断する。スイッチ信号がオン、つまり、ブレーキペダル201が踏み込み操作されている状態である場合には(S62:No)、駐車ブレーキECU120は、上述したステップS65において常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の許可指令を送信する。

0098

一方、スイッチ信号がオフである場合には(S62:Yes)、駐車ブレーキECU120は、ステップS63において、駐車ブレーキの作動中、つまり、電動アクチュエータ50によってブレーキシュー30がブレーキドラム10を押圧している状態であるか否かを判断する。駐車ブレーキが作動中でない場合(S63:No)、駐車ブレーキECU120は、テップS65において常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の許可指令を送信する。一方、駐車ブレーキが作動中である場合には、ステップS64において、常用ブレーキECU110に対して、後輪のホイールシリンダ40への液圧供給の禁止指令を送信する。

0099

従って、変形例2においても、実施形態あるいは変形例1と同様に、駐車ブレーキの解除操作が行われるときには、ブレーキドラム10の変形(ドラム径の増大)およびライニング33の変形(圧縮変形,せん断変形)が生じていないため、オーバーアジャストの発生する可能性を低減することができる。

0100

次に、変形例3について説明する。上述した実施形態および変形例1,2においては、モータ60の回転量Rを用いてブレーキシュー30の待機位置を設定する構成であるが、この変形例3においては、モータ60の通電時間を用いてブレーキシュー30の待機位置を設定するようにしたものである。図13は、変形例3にかかる駐車ブレーキ作動制御ルーチンを表し、図14は、変形例3にかかる駐車ブレーキ解除制御ルーチンを表す。

0101

変形例3にかかる駐車ブレーキ作動制御ルーチン(図13)は、実施形態の駐車ブレーキ作動制御ルーチン(図6)のステップS12に代えてステップS12’、ステップS17に代えてステップS17’、ステップS18に代えてステップS18’を行うものであり、他の処理については実施形態と同様である。

0102

駐車ブレーキECU120は、駐車ブレーキ信号がオンすると(S11:Yes)、ステップS12’において、通電タイマによる計時を開始するとともに、ステップS13においてモータ60の正転駆動を開始する。ステップS12’の処理とステップS13の処理は、実質的に同時に行われるため、通電タイマは、モータ60を正転駆動している時間である通電時間Tiを計時することになる。駐車ブレーキECU120は、モータ電流imが停止設定電流istopに到達したことを確認すると(S15:Yes)、モータ60の正転駆動を停止し(S16)、ステップS17’において、通電タイマにより計時を終了する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS18’において、通電タイマにより計時された通電時間Tiを戻し通電時間Ti0として記憶した後、通電時間Tiをゼロクリアする。この戻し通電時間Ti0は、駐車ブレーキが解除されるまで記憶保持される。

0103

変形例3にかかる駐車ブレーキ解除制御ルーチン(図14)は、実施形態の駐車ブレーキ解除制御ルーチン(図7)のステップS27に代えてステップS27’、ステップS28に代えてステップS28’、ステップS30に代えてステップS30’、ステップS34に代えてステップS34’、ステップS35に代えてステップS35’を行うものであり、他の処理については実施形態と同様である。

0104

駐車ブレーキECU120は、ステップS26において、モータ電流imの変化勾配Kiが減少している状態から一定となる状態に推移したと判定すると、ステップS27’において、通電タイマによる計時を開始する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップ28’において、通電タイマによる計時された通電時間Tiが設定通電時間Ti1以上になったか否かを判断し、通電時間Tiが設定通電時間Ti1以上になるまで待機する。通電時間Tiが設定通電時間Ti1以上になると(S28’:Yes)、駐車ブレーキECU120は、ステップS29において、モータ60の正転駆動を停止する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS30’において、通電タイマにより計時を終了して、通電時間Tiをゼロクリアする。

0105

通電タイマによる計時は、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接が解除されたタイミングで開始される。このため、モータ負荷が一定になっていることから、モータ60の通電時間とブレーキシュー30の移動距離とは、安定的に一定の関係を有する。従って、モータ60の通電時間によりブレーキシュー30の位置を正確に制御することができる。設定通電時間Ti1は、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接が解除された当接解除位置を基準として、ブレーキシュー30が当接解除位置から設定クリアランスだけ戻るために必要な時間に設定されている。つまり、設定通電時間Ti1は、実施形態の設定回転量R1に対応する値に設定されている。従って、ブレーキシュー30の待機位置は、ライニング33の摩耗量に応じた適正なものとなる。

0106

また、駐車ブレーキECU120は、ステップS22において、停車維持時間Tsが設定時間T0未満であると判定した場合には、ステップS33において、モータ60の逆転駆動を開始し、続くステップS34’において、通電タイマによる計時を開始する。続いて、駐車ブレーキECU120は、ステップS35’において、通電タイマによる計時された通電時間Tiが戻し通電時間Ti0以上になったか否かを判断し、通電時間Tiが戻し通電時間Ti0以上になるまで待機する。駐車ブレーキECU120は、直前回の駐車ブレーキ作動制御ルーチンのステップS18’において記憶した戻し通電時間Ti0を読み込んで、上記の判断を行う。

0107

駐車ブレーキECU120は、通電時間Tiが戻し通電時間Ti0以上であると判定した場合には(S35’:Yes)、その処理をステップS29に進めて、上述した処理を実施する。従って、停車維持時間Tsが設定時間T0未満である場合には、駐車ブレーキ作動制御ルーチンでモータ60に通電した時間だけモータ60を逆回転させることにより、ブレーキシュー30が元の位置に戻される。これにより、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接を確実に解除することができる。

0108

上記変形例3は、実施形態における回転量Rを通電時間Tiに置き換えたものであるが、変形例1における回転量Rを通電時間Tiに置き換えるようにすることもできる。

0109

以上、本実施形態および変形例のドラムブレーキ装置について説明したが、本発明は上記実施形態および変形例に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。

0110

例えば、本実施形態においては、停車維持時間Tsの長さに基づいてブレーキドラム10の熱膨張(温度状態)を推定する構成を採用しているが、それに代えて、直接、ブレーキドラム10の温度を検出する温度センサを設けて、ステップS22において、温度センサにより検出された温度が設定温度(熱膨張判定温度)より低いか否かを判定するようにしてもよい。

0111

また、本実施形態においては、モータ電流imの変化勾配に基づいて、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接が解除される時点を推定する構成を採用しているが、それに代えて、例えば、進退ロッド821,822等に圧力センサを設け、この圧力センサにより検出される検出値に基づいて、ブレーキシュー30とブレーキドラム10との当接が解除される時点を推定するようにしてもよい。

0112

また、本実施形態のステップS22においては、停車維持時間Tsが設定時間T0以上であるか否かについて判定しているが、それに代えて、例えば、イグニッションスイッチのオン後、1回目の制動解除であるか否かについて判定するようにしてもよい。イグニッションスイッチのオフ期間においては、ブレーキドラム10が冷却されている可能性が高いため、イグニッションスイッチのオン後、1回目の制動解除時であれば、ブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲内であり、ブレーキドラム10の熱膨張によるオーバーアジャストが発生しにくいと考えられるからである。

0113

また、本実施形態のドラムブレーキは、電動アクチュエータ50とホイールシリンダ40とを備えているが、ホイールシリンダ40を備えずに、電動アクチュエータ50で常用ブレーキを作動させる構成、あるいは、電動アクチュエータ50で常用ブレーキと駐車ブレーキとを作動させる構成であってもよい。この場合、電動アクチュエータ50は、ブレーキペダル201の操作量を検出する操作量検出センサから出力される信号に基づいて、電動アクチュエータ50のモータ60の通電を制御するようにするとともに、ドラム温度指標によりブレーキドラム10の熱膨張量が許容範囲内であると判定されることを条件として、ブレーキシュー30の待機位置を設定すればよい。

0114

また、本実施形態においては、後輪に電動アクチュエータ50を具備したドラムブレーキ1を備えているが、前後輪ともにドラムブレーキ1を備えた構成であってもよい。

0115

また、本実施形態においては、第2アクチュエータとして液圧式のホイールシリンダ40を備えているが、ホイールシリンダ40に代えて、空気圧式のホイールシリンダ、あるいは、電動アクチュエータ50と同様な電動アクチュエータを設けてもよい。

0116

1…ドラムブレーキ、10…ブレーキドラム、20…バックプレート、30…ブレーキシュー、31…シューウェブ、32…シューリム、33…ライニング、40…ホイールシリンダ、50…電動アクチュエータ、60…モータ、70…ウォームギヤ機構、71…ウォーム、72…ウォームホイール、80…送りねじ機構、81…ねじ部材、82…進退ロッド、90…ペダルスイッチ、91…回転角センサ、92…電流センサ、93…駐車ブレーキ操作スイッチ、94…シフト位置センサ、95…車速センサ、100…ブレーキECU、110…常用ブレーキECU、120…駐車ブレーキECU、200…液圧供給回路、201…ブレーキペダル。

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