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技術 大気圧推定装置

出願人 マツダ株式会社
発明者 拜崎幸雄津村雄一郎
出願日 2014年4月10日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2014-081298
公開日 2015年11月16日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2015-203308
状態 特許登録済
技術分野 内燃機関の複合的制御
主要キーワード 差圧領域 鉛直線方向 勾配角 吸気ユニット ラフロード 大気圧値 重み付け設定 気圧値
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

自動車運転時の大気圧値を連続的かつ高精度に推定する。

解決手段

エンジン1に付設される大気圧推定装置50であり、大気圧推定手段51〜53と、各大気圧推定値P1〜P4から総合的に大気圧値を推定する大気圧推定手段55とを備える。大気圧推定手段55は、大気圧推定値P1〜P3と、これらの推定精度E1〜E3とに基づく重み付けに応じて、大気圧推定値P1〜P3を大気圧値に割り当てる。停止時には、大気圧推定値P1の重み付けが相対的に大きくなり、駆動時には、スロットル18の開度によって大気圧推定値P3の重み付けが相対的に大きくなったり大気圧推定値P2の重み付けが相対的に大きくなったりする。

概要

背景

近年では、制御技術の進歩により、自動車エンジンの制御に用いられる数値データは、極めて高度な精度が求められるようになってきている。

吸気量の制御等に用いられる大気圧値も、走行する自動車の高度変化に伴って生じる数KPa程度の大気圧の変化ですら無視できなくなりつつある。そのため、自動車の運転中においても、常に正確な大気圧値を計測したいという要望されている。

なお、ここでいう大気圧値とは、自動車の周囲における気圧値を意味している。

例えば、別途、専用の圧力センサを設置すれば、常に正確な大気圧値が得られるようになるが、その圧力センサには高精度な性能が求められるため、コストが高くついて実現は容易でない。

そのような事情の下、大気圧値の正確な検出が低コストでできる大気圧検出装置が提案されている(特許文献1)。

特許文献1の大気圧検出装置では、エンジンに吸気を導入する吸気通路の内部は、エンジンの作動中は負圧になるが、エンジンが完全に停止した時には大気圧になることに着目し、吸気通路に設置されている圧力センサを利用して大気圧を検出している。

具体的には、エンジンを始動する際に、キーオンしてイグニッションスイッチACCに操作された時に、大気圧の検出が行われる。大気圧検出装置には、吸気通路内の圧力が負圧から大気圧に復帰するまでの時間を予測するコントローラが備えられている。コントローラは、その時間の経過後に、圧力センサの信号を大気圧として検出する。そして、その時間の経過前に再始動された場合には、大気圧を検出しないようにすることで、正確な大気圧値を検出している。

概要

自動車の運転時の大気圧値を連続的かつ高精度に推定する。エンジン1に付設される大気圧推定装置50であり、大気圧推定手段51〜53と、各大気圧推定値P1〜P4から総合的に大気圧値を推定する大気圧推定手段55とを備える。大気圧推定手段55は、大気圧推定値P1〜P3と、これらの推定精度E1〜E3とに基づく重み付けに応じて、大気圧推定値P1〜P3を大気圧値に割り当てる。停止時には、大気圧推定値P1の重み付けが相対的に大きくなり、駆動時には、スロットル18の開度によって大気圧推定値P3の重み付けが相対的に大きくなったり大気圧推定値P2の重み付けが相対的に大きくなったりする。

目的

本発明の目的は、自動車の運転時に変化する大気圧値を、連続的かつ高精度に推定することができる大気圧推定装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

エンジン付設され、自動車運転時に変化する大気圧値推定する大気圧推定装置であって、前記エンジンは、前記エンジンに吸気を導入する吸気通路と、前記吸気通路を流れる吸気の流量を開度によって調整するスロットルと、前記スロットルの下流側で前記吸気通路の内圧計測する圧力センサと、前記エンジンの回転数を計測する回転センサと、前記スロットルの開度を計測する開度センサと、を備え、前記大気圧推定装置は、前記圧力センサの計測値に基づいて第1の大気圧推定値を推定する第1の大気圧推定手段と、前記自動車の速度を計測する車速センサを用いて第2の大気圧推定値を推定する第2の大気圧推定手段と、前記回転センサ、前記開度センサ、及び前記圧力センサを用いて第3の大気圧推定値を推定する第3の大気圧推定手段と、前記第1〜第3の各大気圧推定値から総合的に大気圧値を推定する大気圧推定手段と、を少なくとも備え、前記大気圧推定手段は、少なくとも前記第1〜第3の大気圧推定値の各々と、前記自動車の運転状態に応じて設定される、少なくとも前記第1〜第3の各大気圧推定値の推定精度の各々と、に基づいて、少なくとも前記第1〜第3の各大気圧推定値の重み付けを行う重み付け手段による重み付け処理と、前記重み付けされた前記第1〜第3の各大気圧推定値に基づいて大気圧値を算出する大気圧値算出処理、を実行し、前記重み付け手段は、前記エンジンの停止時には、前記第1の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなり、前記エンジンの駆動時には、前記スロットルの開度が、前記エンジンの回転数に応じて予め設定されている基準開度以上の時には、前記第3の大気圧推定値の重み付けがを相対的に大きくなり、前記基準開度未満の時には、前記第2の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなる、大気圧推定装置。

請求項2

請求項1に記載の大気圧推定装置において、前記エンジンは、前記スロットルの上流側で吸気の流量を計測する流量センサ、を備え、前記大気圧推定装置は、前記流量センサ及び前記開度センサの各計測値ベルヌーイの式に適用することにより、第4の大気圧推定値を推定する第4の大気圧推定手段、を更に備え、前記大気圧推定手段は、少なくとも前記第1〜第4の大気圧推定値の各々と、前記自動車の運転状態に応じて設定される、少なくとも前記第1〜第4の各大気圧推定値の推定精度の各々と、に基づいて、少なくとも前記第1〜第4の各大気圧推定値の重み付けを行う重み付け手段による重み付け処理と、前記重み付けされた前記第1〜第4の各大気圧推定値に基づいて大気圧値を算出する大気圧値算出処理、を実行する、大気圧推定装置。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の大気圧推定装置において、前記第2の大気圧推定手段は、前記車速センサを用いて得られる高度変化に基づいて気圧の変化量を推定し、当該気圧の変化量を前回大気圧加算することによって前記第2の大気圧推定値を推定する、大気圧推定装置。

請求項4

請求項3に記載の大気圧推定装置において、前記重み付け手段は、車輪空転が検出された場合に、前記第2の大気圧推定値の重み付けを小さくするとともに前記第4の大気圧推定値の重み付けを大きくする、大気圧推定装置。

請求項5

請求項3に記載の大気圧推定装置において、前記重み付け手段は、前記気圧の変化量の加算が増加するに従って、前記第2の大気圧推定値の重み付けを減少させる、大気圧推定装置。

請求項6

請求項5に記載の大気圧推定装置において、前記重み付け手段は、前記自動車の運転中に前記エンジンが新たに停止するまで、前記第2の大気圧推定値の重み付けの減少を維持させる、大気圧推定装置。

請求項7

請求項2〜請求項6のいずれか一つに記載の大気圧推定装置において、吸気の温度を計測する温度センサ、を更に備え、前記第4の大気圧推定値の推定に前記温度センサが用いられる、大気圧推定装置。

技術分野

0001

本発明は、エンジン付設され、自動車運転時に変化する大気圧値推定する大気圧推定装置に関する。

背景技術

0002

近年では、制御技術の進歩により、自動車のエンジンの制御に用いられる数値データは、極めて高度な精度が求められるようになってきている。

0003

吸気量の制御等に用いられる大気圧値も、走行する自動車の高度変化に伴って生じる数KPa程度の大気圧の変化ですら無視できなくなりつつある。そのため、自動車の運転中においても、常に正確な大気圧値を計測したいという要望されている。

0004

なお、ここでいう大気圧値とは、自動車の周囲における気圧値を意味している。

0005

例えば、別途、専用の圧力センサを設置すれば、常に正確な大気圧値が得られるようになるが、その圧力センサには高精度な性能が求められるため、コストが高くついて実現は容易でない。

0006

そのような事情の下、大気圧値の正確な検出が低コストでできる大気圧検出装置が提案されている(特許文献1)。

0007

特許文献1の大気圧検出装置では、エンジンに吸気を導入する吸気通路の内部は、エンジンの作動中は負圧になるが、エンジンが完全に停止した時には大気圧になることに着目し、吸気通路に設置されている圧力センサを利用して大気圧を検出している。

0008

具体的には、エンジンを始動する際に、キーオンしてイグニッションスイッチACCに操作された時に、大気圧の検出が行われる。大気圧検出装置には、吸気通路内の圧力が負圧から大気圧に復帰するまでの時間を予測するコントローラが備えられている。コントローラは、その時間の経過後に、圧力センサの信号を大気圧として検出する。そして、その時間の経過前に再始動された場合には、大気圧を検出しないようにすることで、正確な大気圧値を検出している。

先行技術

0009

特開2010−90803号公報

発明が解決しようとする課題

0010

特許文献1の大気圧検出装置では、エンジンの始動時に大気圧を検出するため、運転の開始時には正確な大気圧値に基づいて高精度な制御ができる。しかし、その後は計測されないため、運転中に大気圧の変化が生じた場合には対応できない。

0011

運転の途中でキーオフしてエンジンを停止及び再始動すれば、新たに正確な大気圧値を得ることはできるが、操作が煩わしく、実用性欠ける。

0012

そこで、本発明の目的は、自動車の運転時に変化する大気圧値を、連続的かつ高精度に推定することができる大気圧推定装置を提供することにある。

課題を解決するための手段

0013

開示する大気圧推定装置は、エンジンに付設され、自動車の運転時に変化する大気圧値を推定する大気圧推定装置である。

0014

前記エンジンは、前記エンジンに吸気を導入する吸気通路と、前記吸気通路を流れる吸気の流量を開度によって調整するスロットルと、前記スロットルの下流側で前記吸気通路の内圧を計測する圧力センサと、前記エンジンの回転数を計測する回転センサと、前記スロットルの開度を計測する開度センサと、を備える。

0015

前記大気圧推定装置は、前記圧力センサの計測値に基づいて第1の大気圧推定値を推定する第1の大気圧推定手段と、前記自動車の速度を計測する車速センサを用いて第2の大気圧推定値を推定する第2の大気圧推定手段と、前記回転センサ、前記開度センサ、及び前記圧力センサを用いて第3の大気圧推定値を推定する第3の大気圧推定手段と、前記第1〜第3の各大気圧推定値から総合的に大気圧値を推定する大気圧推定手段と、を少なくとも備える。

0016

前記大気圧推定手段は、少なくとも前記第1〜第3の大気圧推定値の各々と、前記自動車の運転状態に応じて設定される、少なくとも前記第1〜第3の各大気圧推定値の推定精度の各々と、に基づいて、少なくとも前記第1〜第3の各大気圧推定値の重み付けを行う重み付け手段による重み付け処理と、前記重み付けされた前記第1〜第3の各大気圧推定値に基づいて大気圧値を算出する大気圧値算出処理、を実行する。

0017

前記重み付け手段は、前記エンジンの停止時には、前記第1の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなり、前記エンジンの駆動時には、前記スロットルの開度が、前記エンジンの回転数に応じて予め設定されている基準開度以上の時には、前記第3の大気圧推定値の重み付けがを相対的に大きくなり、前記基準開度未満の時には、前記第2の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなる。

0018

すなわち、この大気圧推定装置では、それぞれが異なった方法で大気圧値の推定値(大気圧推定値)を連続的に推定する、少なくとも第1〜第3の大気圧推定手段が備えられていて、これら大気圧推定手段によって推定される大気圧推定値の各々と、これらの推定精度の各々とに基づいて、各大気圧推定値の重み付けが行われ、その重み付けに応じて各大気圧推定値を割り当てることにより、総合的に1つの大気圧値が推定されるようになっている。

0019

更に、これら大気圧推定手段が採用する推定方法は、自動車の運転状態によって適性が異なるが、その得手不得手に応じて適切に重み付けが変化するように設定されている。

0020

具体的には、エンジンの停止時には、第1の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなり、エンジンの駆動時には、スロットルの開度が、エンジンの回転数に応じて予め設定されている基準開度以上の時には、第3の大気圧推定値の重み付けがを相対的に大きくなり、基準開度未満の時には、第2の大気圧推定値の重み付けが相対的に大きくなるように設定されている。

0021

従って、自動車の運転時に変化する大気圧値を、高い精度でもって連続して得ることができ、安定したエンジンの制御が行える。

0022

例えば、前記エンジンが、前記スロットルの上流側で吸気の流量を計測する流量センサ、を備える場合には、前記大気圧推定装置は、前記流量センサ及び前記開度センサの各計測値ベルヌーイの式に適用することにより、第4の大気圧推定値を推定する第4の大気圧推定手段、を更に備えるようにしてもよい。

0023

そして、前記大気圧推定手段は、少なくとも前記第1〜第4の大気圧推定値の各々と、前記自動車の運転状態に応じて設定される、少なくとも前記第1〜第4の各大気圧推定値の推定精度の各々と、に基づいて、少なくとも前記第1〜第4の各大気圧推定値の重み付けを行う重み付け手段による重み付け処理と、前記重み付けされた前記第1〜第4の各大気圧推定値に基づいて大気圧値を算出する大気圧値算出処理、を実行するように設定する。

0024

そうすれば、大気圧値の推定精度をよりいっそう向上させることができる。

0025

例えば、前記第2の大気圧推定手段は、前記車速センサを用いて得られる高度変化に基づいて気圧の変化量を推定し、当該気圧の変化量を前回の大気圧に加算することによって前記第2の大気圧推定値を推定するとよい。

0026

そうすれば、自動車に既存の装置を利用し、ソフトウエアの変更だけで第2の大気圧推定手段を構成できるので、設置コストを抑制できる。

0027

前記重み付け手段は、車輪空転が検出された場合に、前記第2の大気圧推定値の重み付けを小さくするとともに前記第4の大気圧推定値の重み付けを大きくするとよい。

0028

第2の大気圧推定手段の場合、車速に基づいて推定が行われるため、砂利道雪道を走行する場合などに車輪が空転すると、第2の大気圧推定値の推定精度が低下する。従って、そのような場合に、第2の大気圧推定値の重み付けを小さくし、それとともに第4の大気圧推定値の重み付けを大きくすることで、大気圧値の推定精度の低下を防ぐことができる。

0029

またこの場合、前記重み付け手段は、前記気圧の変化量の加算が増加するに従って、前記第2の大気圧推定値の重み付けを減少させるのが好ましい。

0030

第2の大気圧推定手段では、気圧の変化量の加算が増加するに従って推定誤差蓄積していくため、それに合わせて第2の大気圧推定値の重み付けを減少させることで、大気圧値の推定精度を高度に維持することが可能になる。

0031

このとき、前記重み付け手段は、前記自動車の運転中に前記エンジンが新たに停止するまで、前記第2の大気圧推定値の重み付けの減少を維持させるようにするとよい。

0032

エンジンが停止して、新たに基準となる第1の大気圧推定値が得られる場合には、推定精度をリセットして、新たに再スタートさせることができる。

0033

したがって、そのようなタイミングになるまで、第2の大気圧推定値の重み付けの減少を維持し、そのようなタイミングになればリセット及び再スタートすることで、大気圧値の推定精度を高度に維持できる。

0034

特に、第4の大気圧推定手段を更に備える場合には、吸気の温度を計測する温度センサ、を更に備え、前記第4の大気圧推定値の推定に前記温度センサが用いられるようにしておくとよい。

0035

そうすれば、第4の大気圧推定値の推定精度を向上させることができる。

発明の効果

0036

本発明の大気圧推定装置によれば、自動車の運転時に変化する大気圧値を、連続的かつ高精度に推定できるので、安定したエンジンの制御が行える。

図面の簡単な説明

0037

本実施形態の大気圧推定装置の概要を表したブロック図である。
大気圧推定装置を用いて模擬実験を行った際の実験結果の一例を示すタイムチャートである。
本実施形態の大気圧推定装置が付設されているエンジンの構成を示す概略図である。
大気圧推定装置の構成を表したブロック図である。
高度と大気圧との関係を表したグラフである。
吸気通路におけるスロットルの上流側と下流側との間の差圧と、エンジンの回転数及びスロットルの開度との関係を例示したグラフである。
スロットルの上流側と下流側とでの圧力比Pu/Pdと、スロットルの開度が絞られた時のパラメータΦとの関係を示すグラフである。
大気圧推定手段における大気圧値推定の流れを示すフローチャートである。
エンジンの停止時(運転開始直後)における、エンジンの回転数及び重み付けのタイムチャートである。
第1の大気圧推定値の推定精度及び重み付けの取り扱いに関するフローチャートである。
エンジンの駆動時における、エンジンの回転数、スロットルの開度、及び重み付けのタイムチャートである。
第2の大気圧推定値の推定精度及び重み付けの取り扱いに関するフローチャートである。
第3の大気圧推定値の推定精度及び重み付けの取り扱いに関するフローチャートである。
第4の大気圧推定値の推定精度及び重み付けの取り扱いに関するフローチャートである。

実施例

0038

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。ただし、以下の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。

0039

<大気圧推定装置の基本的構成>
図1に、本実施形態の大気圧推定装置50の概要を表したブロック図を示す。この大気圧推定装置50は、エンジン1に付設されていて、自動車Aの運転時に変化する大気圧値が、高精度に推定できるように構成されている。大気圧推定装置50には、自動車Aに装備されている既設の装置を利用して、それぞれ異なった方法で、大気圧値の推定値(大気圧推定値P1〜P4)を推定する複数(本実施形態では第1〜第4)の大気圧推定手段51〜54が備えられている。

0040

各大気圧推定手段51〜54が採用する推定方法は、自動車Aの運転状態によってそれぞれ適性が異なる。そのため、各大気圧推定手段51〜54には、その大気圧推定値の推定精度E1〜E4、すなわち、各大気圧推定手段51〜54が採用する方法で推定される第1〜第4の大気圧推定値P1〜P4にどの程度信頼性があるのか、が自動車Aの運転状態に応じて予め設定されている。

0041

そして、自動車Aの運転中には、これら各大気圧推定手段51〜54によって各大気圧推定値P1〜P4が途切れることなく連続的に推定されるようになっており、推定された第1〜第4の大気圧推定値P1〜P4とともに、これら大気圧推定値P1〜P4が推定された時の第1〜第4の推定精度E1〜E4が、各大気圧推定手段51〜54から大気圧推定手段55に出力される。

0042

大気圧推定手段55では、入力される各推定精度E1〜E4に基づいて、各大気圧推定値P1〜P4の重み付けa〜dが行われる。そして、各大気圧推定値P1〜P4が、その重み付けa〜dに応じて割り当てられることで、最も確からしい1つの大気圧値Patmが推定される。

0043

従って、この大気圧推定装置50では、複数の異なった方法で推定される第1〜第4の大気圧推定値P1〜P4を、その信頼性を踏まえて総合することにより、1つの大気圧値Patmの推定が行われる。その結果、高精度な大気圧値Patmを安定して得ることができ、更に、大気圧値Patmの推定が連続的に行われるため、自動車Aの運転中に、大気圧値Patmのズレを生じることが無い。

0044

図2に、この大気圧推定装置50を用いて模擬実験を行った際の実験結果の一例を示す。

0045

図2では、実際の大気圧値Prea(破線)、大気圧推定装置50で推定された大気圧値Patm(実線)、大気圧値推定の推定誤差、上り下りしながら走行する自動車Aの車速、エンジン回転数エンジン負荷、及び走行路勾配の各々のタイムチャートを表している。

0046

図2から明らかなように、推定された大気圧値Patmは、実際の大気圧値Preaにほぼ追随して変化しており、その推定誤差は、±2kPaに収まっている。この結果から、この大気圧推定装置50によれば、高精度で連続した大気圧値Patmの推定が可能となることがわかる。

0047

例えば、複数の大気圧推定手段を用いて算出した複数の大気圧推定値のいずれかを選択して大気圧値とする方法では、選択する大気圧推定値を切り替える際に、大気圧値が急変する(切り換え前の大気圧値と切り換え後の大気圧値とにズレが発生する)場合があるが、この大気圧推定装置50では、このようなズレの発生を抑制できる。

0048

従って、この大気圧推定装置50によれば、安定したエンジン1の制御が行える。

0049

<大気圧推定装置の具体的構成>
(エンジン)
図3に、本実施形態での大気圧推定装置50が付設されているエンジン1を示す。

0050

このエンジン1は、自動車Aに搭載されている一般的な火花点火式レシプロエンジン1であり、エンジンボディ2、ピストン3、クランク軸4、点火プラグ5、インジェクタ6、吸気ユニット7、排気ユニット8、エンジン1コントロールユニット(ECU9)などで構成されている。

0051

ECU9は、エンジン1を総合的に駆動制御する装置である。ECU9には、各種電子機器で構成されたハードウエアが備えられており、このハードウエアに、各種制御プログラムや制御データなどのソフトウエアが実装されている。エンジン1の高度な駆動制御は、このECU9が主体となって行われる。

0052

例えば、このエンジン1では、自動車Aが一時的に停止した時のアイドリング空運転)を止めるために、エンジン1が自動的に停止及び再始動を繰り返す、いわゆるアイドリングストップ制御が行われるが、このアイドリングストップ制御もエンジン1とECU9との協働によって行われる。

0053

アイドリングストップ制御により、エンジン1は、自動車Aの運転中に、ブレーキが踏み込まれて自動車Aが停止又はほとんど停止した状態となるなど、所定の停止条件成立すると、自動的に停止する。そして、アクセルが一定以上踏み込まれるなど、所定の始動条件が成立すると、エンジン1は自動的に再始動する。ECU9はまた、大気圧推定装置50も構成しているが、これについては別途後述する。

0054

エンジンボディ2の内部には、複数のシリンダ2aが設けられていて(図1では1つのみ表示)、その内部にピストン3が収容されている。各ピストン3は、コネクティングロッド3aを介して、回転するクランク軸4と連結されている。

0055

各シリンダ2aの上部に形成される燃焼室11の上面には、吸気弁12で開閉される吸気口13と、排気弁14で開閉される排気口15とが開口している。吸気口13は、吸気ポートを介して吸気ユニット7の吸気通路7aと連通し、排気口15は、排気ポートを介して排気ユニット8の排気通路8aと連通している。吸気弁12及び排気弁14の開閉制御は、ECU9によって行われる。

0056

点火プラグ5は、その電極を燃焼室11に突出した状態でエンジンボディ2に設置されている。インジェクタ6は、燃料を燃焼室11の内部に噴射できる状態でエンジンボディ2に設置されている。点火プラグ5の点火制御やインジェクタ6の噴射制御は、ECU9によって行われる。

0057

排気ユニット8は、排気通路8a、触媒コンバータ8bなどで構成されている。燃焼室11で生じる排気ガスは、排気ポート、排気通路8a、触媒コンバータ8bを経て、浄化された後に車外に排出される。排気ガスの一部は、排気されずに吸気に導入される場合もある(EGR)。

0058

吸気ユニット7は、吸気通路7a、エアクリーナ7bなどで構成されている。外気(吸気)が、エアクリーナ7bで浄化された後、吸気通路7a、吸気ポートを経て、燃焼室11に導入される。吸気通路7aの中間部位には、開度の制御が可能なスロットル18が設けられている。ECU9がスロットル18の開度を制御することにより、吸気通路7aの有効横断面積が変化し、吸気通路7aを流れる吸気の流量が調整される。

0059

エンジン1を高度に駆動制御するために、エンジン1には、圧力センサ21、開度センサ22、回転センサ23、流量センサ24等、各種センサが設置されている。また、エンジン1の駆動や自動車Aの走行を補助するために、自動車Aには、車速センサ25やGセンサ26なども設置されている。

0060

圧力センサ21は、吸気通路7aにおけるスロットル18の下流側の部位に設置されており、吸気通路7aの内圧を連続的に計測する機能を有している。開度センサ22は、スロットル18に付随して設置されており、スロットル18の開度を連続的に計測する機能を有している。

0061

回転センサ23は、エンジンボディ2に設置されており、クランク軸4の角度からエンジン1の回転数を連続的に計測する機能を有している。流量センサ24は、吸気通路7aにおけるスロットル18の上流側の部位に設置されており、吸気通路7aを流れる吸気の流量を連続的に計測する機能を有している。

0062

車速センサ25は、例えば、トランスミッションなどに設置されており、自動車Aの走行速度を連続的に計測する機能を有している。Gセンサ26は、例えば、自動車Aの姿勢制御装置などに設置されており、自動車Aの前後左右方向に加わる加速度を連続的に計測する機能を有している。

0063

圧力センサ21、開度センサ22、回転センサ23、流量センサ24、車速センサ25、及びGセンサ26は、ECU9と電気的に接続されていて、これらが計測した計測値は、常時、ECU9に電送されている。

0064

入力される各種の計測値を利用して、ECU9は、アイドリングストップ制御等、エンジン1を高精度に制御し、自動車Aの走行が安定するように姿勢制御したりする。それにより、エンジン1は効率的かつ適切に駆動され、低燃費での自動車Aの快適かつ安全な走行が実現されている。

0065

(大気圧推定装置)
大気圧推定装置50は、自動車Aに既存の設備である、圧力センサ21、開度センサ22、回転センサ23、流量センサ24、車速センサ25、Gセンサ26、ECU9を利用して構成されている。

0066

図4に、大気圧推定装置50の構成を表したブロック図を示す。ECU9には、第1〜第4の大気圧推定手段51〜54と、大気圧推定手段55とが備えられている。第1〜第4の大気圧推定手段51〜54には、第1〜第4の推定精度設定部51a〜54aが各々設けられており、大気圧推定手段55には、重み付け設定部55aが設けられている。また、第2の大気圧推定手段52には、空転検出手段52bが設けられている。

0067

第1〜第4の推定精度設定部51a〜54aには、対応する第1〜第4の大気圧推定手段51〜54で推定される、自動車Aの運転状態に応じた大気圧推定値P1〜P4の推定精度E1〜E4が、実験等に基づいて、予め設定されている。また、重み付け設定部55aには、重み付け処理に用いられる情報が設定されている(これの詳細については後述)。なお、ECU9には、アイドリングストップ制御等を行う各種手段も備えられているが、ここでは便宜上、図示を省略している。

0068

(第1の大気圧推定手段)
第1の大気圧推定手段51では、圧力センサ21で連続的に計測される計測値を、第1の大気圧推定値P1として扱い、吸気通路7a内の静的圧力に基づいて大気圧値の推定が行われる。

0069

具体的には、自動車Aの運転が開始される際や、自動車Aの運転中にアイドリングストップ制御によってエンジン1が一時的に停止している時などにおいて、エンジン1の回転が完全に停止した場合には、吸気通路7aの内部では、吸気の流動が無くなる。

0070

その状態では、吸気通路7aの内部は外気圧平衡になるため、吸気通路7aの内圧(静的圧力)は大気圧値と高度に一致する。従って、第1の推定精度設定部51aには、この状態での圧力センサ21の計測値(第1の大気圧推定値P1)の推定精度E1は高くなるように設定されている。

0071

なお、第1の大気圧推定手段51での推定の精度は、他の大気圧推定手段よりも高く、最も信頼性に優れている。

0072

対して、エンジン1が回転している場合には、吸気通路7aの内部は、吸気の流動によって減圧され、その減圧量も回転数に応じて大小に変化する。従って、第1の推定精度設定部51aには、この状態での圧力センサ21の計測値(第1の大気圧推定値P1)の推定精度E1は低くなるように設定されている。

0073

(第2の大気圧推定手段)
第2の大気圧推定手段52では、自動車Aの高度(標高等、基準面から自動車Aまでの鉛直線方向の距離)に基づいて大気圧値の推定が行われる。具体的には、車速センサ25とGセンサ26とを用いて高度変化を推定し、その推定した高度変化に基づいて気圧の変化量を推定する。そして、この気圧の変化量を前回の大気圧値に加算することにより、第2の大気圧推定値P2が連続的に推定される。

0074

図5に、高度と大気圧との関係を示す。高度と大気圧との間には相関関係があるため、高度の変化量ΔXを推定することで、その変化量ΔXに対する大気圧値の変化量ΔYを求めることができる。高度の変化量ΔXは、車速センサ25によって単位時間当たりの自動車Aの走行量が推定でき、また、Gセンサ26によってその走行時おける走行路の勾配が推定できるため、これら走行量及び勾配から、自動車Aの高度変化を推定することができる。

0075

自動車Aの高度変化から推定できるのは、大気圧値の相対的な変化量ΔYであるため、第2の大気圧推定手段52では、その基準となる大気圧値として前回の大気圧値が用いられている。

0076

まず、エンジン1が停止している自動車Aの運転開始時には、推定精度の高い第1の大気圧推定値P1が得られるため、第2の大気圧推定手段52は、最初に、その第1の大気圧推定値P1を基準とする。そして、自動車Aが運転を開始して走行し始めると、第2の大気圧推定手段52は、逐次推定される大気圧推定値に推定された気圧の変化量を連続的に加算(積算)していき、第2の大気圧推定値P2を連続的に推定する。

0077

そして、自動車Aの運転中に、アイドリングストップ制御によってエンジン1が停止した場合には、新たに推定精度の高い第1の大気圧推定値P1が得られる。そのため、第2の大気圧推定手段52は、それまでのデータをリセットし、その第1の大気圧推定値P1を基準として、新たな第2の大気圧推定値P2の推定を開始する。

0078

第2の推定精度設定部52aには、気圧の変化量の加算が増加するに従って、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2を低下させる(E2の値が大きくなる)ように設定されている。

0079

すなわち、第2の大気圧推定手段52では、気圧の変化量の加算が増加するに従って推定誤差が蓄積していくからである。

0080

ただし、自動車Aの運転中にエンジン1が停止し、新たに基準となる第1の大気圧推定値P1が得られた場合には、気圧の変化量の加算に伴う推定誤差も無くなる。従って、その場合には、推定精度もリセットされて、その時点から新たに気圧の変化量の加算の増加に伴う推定精度E2の設定が開始される。

0081

また、第2の大気圧推定手段52は、車速に基づいて推定が行われるため、砂利道や雪道を走行する場合などに車輪が空転すると、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2が低下する。

0082

そのため、第2の大気圧推定手段52には、車輪の空転を検出する空転検出手段52bが設けられている。空転検出手段52bによる空転検出方法ついては、特に限定されないが、例えば、Gセンサ26の検出値が所定の閾値を超えた場合に、ラフロードを走行していると判断して、空転していると判定する方法を用いればよい。

0083

(第3の大気圧推定手段)
第3の大気圧推定手段53では、スロットル18が大きく開かれて、その上流側と下流側とで差圧が小さくなる領域では、吸気の流動があっても圧力センサ21で大気圧値を精度高く推定できることに着目し、吸気通路7a内の圧力に基づいて大気圧値の推定が行われる。

0084

具体的には、第3の大気圧推定手段53は、回転センサ23、開度センサ22、及び圧力センサ21を用いて第3の大気圧推定値P3を連続的に推定する。第3の大気圧推定手段53では、圧力センサ21で連続的に計測される計測値に差圧を加えた値が、第3の大気圧推定値P3として扱われる。

0085

図6に、吸気通路7aにおけるスロットル18の上流側と下流側との間の差圧と、エンジン1の回転数及びスロットル18の開度との関係を例示する。図6中の複数の曲線が等差圧線である。最も左上の線S0が実用上差圧0と見なせる等差圧線を示しており、右下に向かう等差圧線ほど、その差圧は大きくなっている。

0086

このように、吸気通路7aに吸気の流動がある時の内圧(以下、動的圧力という。)でも、スロットル18の開度が大きい領域では、差圧が小さくなるため、圧力センサ21で大気圧値を精度高く推定することができる。そこで、第3の大気圧推定手段53では、エンジン1の駆動中、スロットル18が大きく開かれている低差圧領域図6の基準開度線L1より上側の領域)を狙って大気圧値の推定が行われる。

0087

具体的には、第3の推定精度設定部53aには、図6に示すようなマップが設定されており、第3の推定精度設定部53aは、そのマップと、回転センサ23及び開度センサ22から得られる計測値との比較により、エンジン1の駆動時には常時、エンジン1の駆動状態が低差圧領域にあるか否か、が判定されている。

0088

詳しくは、これらの計測値が計測された時点でのスロットル18の開度をマップにプロットした時、その開度が、その時点でのエンジン1の回転数における基準開度(基準開度線L1上に位置する開度)以上か否かが判定されている。

0089

そして、そのスロットル18の開度が基準開度以上であり、エンジン1の駆動状態が低差圧領域にある時には、この状態での圧力センサ21の計測値(第3の大気圧推定値P3)の推定精度E3は、高くなるように設定されている。

0090

そのスロットル18の開度が基準開度未満であり、エンジン1の駆動状態が低差圧領域に無い時には、この状態での圧力センサ21の計測値(第3の大気圧推定値P3)の推定精度E3は、低くなるように設定されている。

0091

(第4の大気圧推定手段)
第4の大気圧推定手段54では、スロットル18を吸気が通過する際、スロットル18の開度が小さくなって、その上流側と下流側とでの差圧が大きくなった場合に、ベルヌーイの式の適用がより簡単になることに着目し、流量センサ24及び開度センサ22の各計測値をベルヌーイの式に適用することにより、第4の大気圧推定値P4の推定が行われる。

0092

図7に、スロットル18の上流側と下流側とでの圧力比Pu/Pdと、スロットル18の開度が絞られた時のパラメータΦとの関係を示す。

0093

圧力比Pu/Pdが0.5より小さくなるとパラメータΦは一定になる。そのため、この領域(チョーク領域)では、圧縮性流体のベルヌーイの式への簡略的な適用が可能になり、このベルヌーイの式を変形することにより、次の式1に示すように大気圧の推定が可能になる。

0094

0095

式1中、P3は第3の大気圧推定値P3であり、Fは吸気の流量(流量センサ24の計測値)、Tは吸気の絶対温度、Sはスロットル18での吸気通路7aの有効横断面積(開度センサ22の計測値から特定)である。

0096

第4の大気圧推定手段54では、この式1を用いて第3の大気圧推定値P3の推定が行われる。

0097

なお、Tの項は、推定精度E4を向上させるためには、適用することが好ましいが、温度センサを削減するために、省略することも可能である。車両が使用される温度範囲が比較的狭いことを鑑みると、Tの項の影響は限定的であると考えられ、エンジン制御において求められる大気圧推定精度の状況によってはTの項を削除することも可能である。

0098

第4の推定精度設定部54aには、第3の推定精度設定部53aと同様に、第2のマップが設定されており(図示せず)、第4の推定精度設定部54aは、その第2のマップと、回転センサ23及び開度センサ22から得られる計測値との比較により、エンジン1の駆動時には常時、エンジン1の駆動状態がチョーク領域(スロットル18の開度が絞られて、パラメータΦが一定になる領域)にあるか否か、が判定されている。

0099

詳しくは、これらの計測値が計測された時点でのスロットル18の開度を第2のマップにプロットした時、その開度が、その時点でのエンジン1の回転数における第2の基準開度(チョーク領域の境界線上に位置する開度)以下か否かが判定されている。

0100

そして、そのスロットル18の開度が第2の基準開度以下であり、エンジン1の駆動状態がチョーク領域にある時には、この状態での圧力センサ21の計測値(第4の大気圧推定値P4)の推定精度E4が高くなるように設定されている。

0101

そのスロットル18の開度が第2の基準開度より大きく、エンジン1の駆動状態がチョーク領域に無い時には、この状態での圧力センサ21の計測値(第4の大気圧推定値P4)の推定精度E4が低くなるように設定されている。

0102

なお、第4の大気圧推定手段54での推定の精度は、他の大気圧推定手段51〜53と比べると低く、信頼性は最も劣っている。従って、第4の大気圧推定値P4の重み付けdは、他の大気圧推定値P1〜P3の重み付けa〜cが小さくなることで、相対的に大きくなるように設定されている(式2参照)。

0103

(大気圧推定手段)
大気圧推定手段55は、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4から総合的に、最終結果として、1つの大気圧値Patmを推定する。

0104

具体的には、大気圧推定手段55は、第1〜第4の大気圧推定値P1〜P4の各々と、これら第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の推定精度E1〜E4の各々とに基づき、統計的に処理することにより、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けを行う重み付け処理と、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4を、重み付けa〜dに応じて割り当てることにより、最終的な1つの大気圧値Patmを推定する割り当て処理とを実行する。

0105

より具体的には、重み付け設定部55aには、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の推定精度E1〜E4を統計的に処理することにより、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けa〜dを算出する演算式が設定されており、大気圧推定手段55では、これら演算式を用いた演算により、重み付け処理が行われる。その演算式を次の式2に示す。

0106

0107

式2中、a〜dの各々は、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けであり、E1〜E4の各々は、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の推定精度E1〜E4である。

0108

sは、前回の演算時における大気圧値の推定精度であり、次の式3で表される。

0109

0110

式3中、a’〜d’の各々は、前回の演算時における第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けであり、E1’〜E4’の各々は、前回の演算時における第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の推定精度である。

0111

重み付け設定部55aにはまた、割り当て処理に用いられる次の式4に示す演算式も設定されており、大気圧推定手段55では、この演算式を用いた演算により、割り当て処理が行われて最終的な大気圧値Patmが算出される。

0112

0113

式4中、Patmは、最終的な大気圧値であり、P1〜P4の各々は、第1〜第4の各大気圧推定値であり、a〜dの各々は、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けである。

0114

大気圧推定手段55によって、これら重み付け処理及び割り当て処理が行われることにより、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けa〜dが、第1〜第4の各大気圧推定手段51〜54の推定精度E1〜E4に応じて変化する。

0115

すなわち、最終的な大気圧値Patmに占める割合が、推定精度の高い大気圧推定値は大きく、推定精度の低い大気圧推定値は小さくなるように、第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4の重み付けa〜dが相対的に変化する。

0116

具体的には、エンジン1の停止時には、推定精度の高い第1の大気圧推定値P1が推定されているため、第1の大気圧推定値P1の重み付けaが相対的に大きくなる。その結果、第2〜4の大気圧推定値P2〜P4の重み付けb〜dは相対的に小さくなる。

0117

エンジン1の駆動時には、第1の大気圧推定値P1の推定精度E1は低く、第1の大気圧推定値P1の重み付けaは相対的に小さくなる。その結果、第2〜4の大気圧推定値P2〜P4の重み付けb〜dは相対的に大きくなる。

0118

ただし、第4の大気圧推定手段54の信頼性は低いため、第4の大気圧推定値P4の重み付けdは、第2、3の大気圧推定値P2、P3の重み付けb,cに比べると相対的に小さくなっている。

0119

そして、スロットル18の開度が基準開度以上の時には、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3が高くなるため、第3の大気圧推定値P3の重み付けcが相対的に大きくなる。一方、スロットル18の開度が基準開度未満の時には、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3が低くなるため、第2の大気圧推定値P2の重み付けbが相対的に大きくなる。

0120

その際、第2の大気圧推定値P2の重み付けはb、推定誤差が次第に蓄積していくため、気圧の変化量の加算が増加するに従って減少する。自動車Aの運転中にエンジン1が新たに停止し、推定精度E2がリセットされるまで、その重み付けbの減少は維持される。

0121

そして、車輪の空転が検出された場合には、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2が低下するため、第2の大気圧推定値P2の重み付けbは小さくなる。従って、そのような場合には、第1〜第3の大気圧推定値P1〜P3の推定精度E1〜E3が低下する結果、第4の大気圧推定値P4の重み付けdが相対的に大きくなる。

0122

(大気圧値の推定)
大気圧推定装置50における大気圧値Patmの推定の具体例を、タイムチャート及びフローチャートを参照しながら詳しく説明する。大気圧推定装置50は、自動車Aの運転に従って作動し、それに伴い、大気圧推定手段55等も作動する。

0123

図8に、大気圧推定手段における大気圧値推定のフローチャートを示す。自動車Aの運転開始後、大気圧推定手段55には、第1〜第4の大気圧推定手段51〜54から、第1〜第4の大気圧推定値P1〜P4が、その推定精度E1〜E4とともに連続して取り込まれる(ステップS1、S2)。

0124

大気圧推定手段55では、これら大気圧推定値P1〜P4及び推定精度E1〜E4を用いて重み付け処理及び割り当て処理が行われ、最終的な大気圧値Patmが算出される(ステップS3、S4)。

0125

図9に、エンジン1の停止時(運転開始直後)におけるエンジンの回転数及び重み付けのタイムチャートを示す。また、図10に、第1の大気圧推定値P1の推定精度E1及び重み付けaの取り扱いに関するフローチャートを示す。

0126

第1の大気圧推定手段51は、エンジン1が停止したか否かを常時、判定しており、エンジン1が停止し(ステップS11でYes)、吸気通路7aの内圧が収束してエンジン1の回転数が0になった時には(ステップS12でYes)、第1の大気圧推定値P1の推定精度E1が高くなる結果、第1の大気圧推定値P1の重み付けaは、相対的に大きくなる(ステップS13)。

0127

一方、エンジン1が停止していない場合には(ステップS11でNo)、第1の大気圧推定値P1の推定精度E1が低くなる結果、第1の大気圧推定値P1の重み付けaは、相対的に小さくなる(ステップS14)。

0128

図9に示すように、エンジン1の停止時には、推定精度の高い第1の大気圧推定値P1の重み付けaが相対的に大きくなり、また、それと同等の推定精度を有する第2の大気圧推定値P2の重み付けbも、それと同等に大きくなる。すなわち、第2の大気圧推定値P2は、前回の大気圧値に高度変化量に対応した大気圧変化量を加算することにより算出されるため、エンジン1が停止しており高度変化が無い場合には第1の大気圧推定値P1と同じ値となる。また、このときの第2の大気圧推定値の推定精度は、高度変化に伴う誤差の累積が無いために、高精度(E2の値が小さい)であり、これに伴い、重み付けa,bの両方が大きくなる。その結果、最終的な大気圧値Patmは、第3、4の大気圧推定値P3,P4がほとんど反映されずに、これら両者で占められた状態になる。

0129

図11に、エンジン1の駆動時におけるタイムチャートを示す。また、図12に、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2及び重み付けbの取り扱いに関するフローチャートを示す。更に、図13及び図14の各々に、第3及び第4の大気圧推定値P3,P4の推定精度E3,E4及び重み付けc,dの取り扱いに関するフローチャートを示す。

0130

図12に示すように、第2の大気圧推定手段52では、車輪が空転したか否かが、空転検出手段52bによって常時判定されており、車輪の空転が検出された場合には(ステップS21でYes)、走行距離の推定精度は低下する(ステップS22)。車輪の空転が検出されない場合には(ステップS21でNo)、走行距離の推定精度は高精度である(ステップS23)。

0131

そして、第2の大気圧推定手段52は、走行距離の推定精度と勾配角の推定精度とを読み込む(ステップS24)。そうして読み込んだ走行距離の推定精度と勾配角の推定精度とに基づいて、第2の大気圧推定手段52は、ΔE2を算出する(ステップS24)。

0132

その結果、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2は、第2の大気圧推定値P2の推定精度E2の前回値にΔE2を加える。また、重み付けbは大小に変化する。具体的には、車輪の空転が検出された場合(ステップS22)には、重み付けbは小さくなり、車輪の空転が検出されない場合(ステップS23)には、重み付けbは大きくなる(ステップS26)。

0133

図13に示すように、第3の大気圧推定手段53は、エンジンの回転速度とスロットル18の開度とを読み込む(ステップS31)。

0134

そうして、第3の大気圧推定手段53は、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3を、エンジンの回転速度とスロットル18の開度に応じて決定する。

0135

具体的には、ECU9に備えられた記憶手段に、図13に示すエンジン回転速度とスロットル18の開度とからなる推定精度E3のマップが記憶されており、ステップS31で検出したエンジン回転速度とスロットル開度とから検出されたエンジン状態と前記推定精度E3のマップとを比較することにより、推定精度E3を決定する。

0136

前記推定精度E3のマップの複数の曲線は等精度線であり、左上(スロットル開度が高開度側、エンジン回転数が低回転側)に向かうほど、推定精度が高く(E3が小さく)なっている。この等精度線の値については、予め実験等により求めればよい。また、重み付けcは、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3に応じて設定される(ステップS32)。

0137

図14に示すように、第4の大気圧推定手段54は、エンジンの回転速度とスロットル18の開度とを読み込む(ステップS41)。

0138

そうして、第4の大気圧推定手段54は、第4の大気圧推定値P4の推定精度E4を、エンジンの回転速度とスロットル18の開度に応じて決定する。

0139

具体的には、ECU9に備えられた記憶手段に、図14に示すエンジン回転速度とスロットル18の開度とからなる推定精度E4のマップが記憶されており、ステップS42で検出したエンジン回転速度とスロットル開度とから検出されたエンジン状態と前記推定精度E4のマップとを比較することにより、推定精度E4を決定する。

0140

前記推定精度E4のマップの複数の曲線は等精度線であり、右下(スロットル開度が高開度側、エンジン回転数が高回転側)に向かうほど、推定精度が高く(E4が小さく)なっている。この等精度線の値については、予め実験等により求めればよい。また、重み付けdは、第4の大気圧推定値P4の推定精度E4に応じて設定される(ステップS42)。

0141

図11に示すように、エンジン1の駆動時は、通常、推定精度の低い第1、4の大気圧推定値P1,P4の重み付けa,dは小さく、最終的な大気圧値Patmにはほとんど反映されていない。その結果、第2、3の大気圧推定値P2,P3の重み付けb,cが大きくなり、最終的な大気圧値Patmは、第2、3の大気圧推定値P2,P3によって占められた状態になっている。

0142

スロットル18の開度が小さく、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3が低い時には(図11において矢印P1示す)、第3の大気圧推定値P3の重み付けcが小さくなるために、第2の大気圧推定値P2の重み付けbが大きくなって、最終的な大気圧値Patmのほとんどが第2の大気圧推定値P2によって占められた状態となっている。

0143

そして、スロットル18の開度が大きくなって、第3の大気圧推定値P3の推定精度E3が高くなった時には(図11において矢印P2で示す)、第3の大気圧推定値P3の重み付けcが大きくなり、第2、3の大気圧推定値P2,P3で、その信頼性に応じた割合で最終的な大気圧値Patmが占められた状態となっている。

0144

このように、本実施形態の大気圧推定装置50では、複数の異なった方法で推定される第1〜第4の各大気圧推定値P1〜P4を、その重み付けa〜dに応じて割り当てることにより、最も確からしい1つの大気圧値Patmが推定されるようになっている。

0145

従って、図2に示したように、本実施形態の大気圧推定装置50では、高精度な大気圧値が、安定的かつ連続的に得られることから、安定したエンジン1の制御が行える。

0146

<その他>
本発明にかかる大気圧推定装置は、上述した実施形態に限定されず、それ以外の種々の構成をも包含する。

0147

実施形態では、大気圧推定装置が第1〜第4の大気圧推定手段51〜54を備えている例を示したが、第4の大気圧推定手段54は無くてもよい。また、第5、第6等、その他の大気圧推定手段が備えられていてもよい。

0148

例えば、第2の大気圧推定手段52での高度変化の推定に車速センサ25とともに用いられるのは、Gセンサ26に限らない。車速センサ25と協働して高度変化が推定できるものであれば足りる。

0149

1エンジン
7a吸気通路
9 ECU
18スロットル
21圧力センサ
22開度センサ
23回転センサ
24流量センサ
25車速センサ
26Gセンサ
50大気圧計測装置
51 第1の大気圧推定手段
51a 第1の推定精度設定部
52 第2の大気圧推定手段
52a 第2の推定精度設定部
52b空転検出手段
53 第3の大気圧推定手段
53a 第3の推定精度設定部
54 第4の大気圧推定手段
54a 第4の推定精度設定部
55 大気圧推定手段
55a重み付け設定部
A 自動車

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