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技術 粘性ダンパー仕様決定支援装置及びプログラム

出願人 株式会社アイ・イーエス
発明者 石垣秀典
出願日 2014年4月8日 (7年2ヶ月経過) 出願番号 2014-079590
公開日 2015年11月12日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-201043
状態 特許登録済
技術分野 防振装置 CAD 異常な外部の影響に耐えるための建築物
主要キーワード 設置層 要素行列 周辺フレーム ダンパー要素 実数解 状態行列 刺激関数 入力変位
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年11月12日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (17)

課題

構造物モデルに適した粘性ダンパー仕様を決定する支援装置及びプログラムを提供する。

解決手段

粘性ダンパー仕様決定支援装置は、ユーザーの入力に基づき構造物モデルを決定しS1、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定しS2、ユーザーにより入力された粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定するS3。続いて、S3で仮定された固定値及びユーザーにより入力された粘性ダンパーの減衰係数cdを用いて実数固有値λk’を算出しS4、算出した実数固有値λk’を用いて粘性ダンパーの減衰係数cdを更新するS6。S4の処理が2回目以降であると、S4の処理で実数固有値算出手段により算出された実数固有値λk’と前回のS4の処理で算出された実数固有値λk’とを比較できるように表示するS7。

概要

背景

下記の特許文献1に示す付加質量制震建のように、減衰係数を規定するエネルギー吸収機構としては、粘性ダンパーが設置されている。しかしながら、構造物に設置する粘性ダンパーの内部剛性及び減衰係数の仕様を決定する方法は未だ確立されておらず、地震応答解析を行いながら試行錯誤的に決定しているというのが実情である。

概要

構造物モデルに適した粘性ダンパーの仕様を決定する支援装置及びプログラムを提供する。粘性ダンパー仕様決定支援装置は、ユーザーの入力に基づき構造物モデルを決定しS1、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定しS2、ユーザーにより入力された粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定するS3。続いて、S3で仮定された固定値及びユーザーにより入力された粘性ダンパーの減衰係数cdを用いて実数固有値λk’を算出しS4、算出した実数固有値λk’を用いて粘性ダンパーの減衰係数cdを更新するS6。S4の処理が2回目以降であると、S4の処理で実数固有値算出手段により算出された実数固有値λk’と前回のS4の処理で算出された実数固有値λk’とを比較できるように表示するS7。

目的

本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決できる粘性ダンパー仕様決定支援装置及びプログラムを提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

構造物減衰性能が最大となる粘性ダンパー仕様決定支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの減衰係数cd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算をして式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(3)の演算を実行し、粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する減衰係数更新手段と、前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段と、を備えることを特徴とする粘性ダンパー仕様決定支援装置。

請求項2

構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、粘性ダンパーの減衰係数cdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの内部剛性kd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算を実行して式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(4)の演算を実行し、粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する内部剛性更新手段と、前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段と、を備えることを特徴とする粘性ダンパー仕様決定支援装置。

請求項3

コンピュータを、構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの減衰係数cd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算を実行して式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(3)の演算を実行し、粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する減衰係数更新手段と、前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段とを備える粘性ダンパー仕様決定支援装置して機能させることを特徴とするプログラム

請求項4

コンピュータを、構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、粘性ダンパーの減衰係数cdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの内部剛性kd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算をして式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(4)の演算を実行し、粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する内部剛性更新手段と、前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段とを備える粘性ダンパー仕様決定支援装置して機能させることを特徴とするプログラム。

技術分野

0001

本発明は、粘性ダンパー仕様決定支援する装置に関する。

背景技術

0002

下記の特許文献1に示す付加質量制震建のように、減衰係数を規定するエネルギー吸収機構としては、粘性ダンパーが設置されている。しかしながら、構造物に設置する粘性ダンパーの内部剛性及び減衰係数の仕様を決定する方法は未だ確立されておらず、地震応答解析を行いながら試行錯誤的に決定しているというのが実情である。

先行技術

0003

特開2011−38294号公報

発明が解決しようとする課題

0004

このため、エネルギー吸収効率などを考慮に入れた粘性ダンパーの配置は行われておらず、建築計画上配置できそうな場所に設置されていた。また、応答解析を用いて決定されたダンパー仕様で応答を低減できるのは確認できても、その低減効果が最大なのか、また、効率的なエネルギー吸収が行われているのかといった点までは確認できていなかった。

0005

本発明は斯かる課題に鑑みてなされたもので、上記課題を解決できる粘性ダンパー仕様決定支援装置及びプログラムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0006

このような目的を達成するために、本発明の粘性ダンパー仕様決定支援装置は、
構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、
構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、
粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、
該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの減衰係数cdを用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算をして式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、


該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(3)の演算を実行し、粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する減衰係数更新手段と、

前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明の粘性ダンパー仕様決定支援装置は、構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、
構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、
粘性ダンパーの減衰係数cdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、
該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの内部剛性kd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算を実行して式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、


該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(4)の演算を実行し、粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する内部剛性更新手段と、

前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段と、
を備えることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、
構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、
構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、
粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、
該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの減衰係数cd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算を実行して式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、


該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(3)の演算を実行し、粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する減衰係数更新手段と、

前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段とを備える粘性ダンパー仕様決定支援装置して機能させることを特徴とする。
また、本発明のプログラムは、コンピュータを、
構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様決定を支援する粘性ダンパー仕様決定支援装置であって、
構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段と、
粘性ダンパーの減衰係数cdを固定値として仮定する固定値仮定手段と、
該固定値仮定手段が仮定した固定値及び粘性ダンパーの内部剛性kd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算をして式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段と、


該実数固有値算出手段が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて式(4)の演算を実行し、粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する内部剛性更新手段と、

前記実数固有値算出手段が算出した実数固有値λk’を比較表示する比較表示手段とを備える粘性ダンパー仕様決定支援装置して機能させることを特徴とする。

発明の効果

0007

本発明によれば、構造物モデル中に配置された粘性ダンパーの減衰係数cd又は内部剛性kdを更新しながら実数固有値λk’の算出を繰り返し、算出結果を比較表示することで、構造物モデルに適した粘性ダンパーの仕様を決定することができる。

図面の簡単な説明

0008

本発明の第1実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置を示す図である。
Maxwell要素でダンパー要素模擬した図である。
粘性ダンパーの仕様を決定する手順を示すフローチャートである。
解析に用いた骨組モデルを示す図である。
図4の骨組モデルでの柱及び梁の断面2次モーメントを示す図である。
図4の骨組モデルでの非減衰固有値解析から得られた水平方向の刺激関数を示す図である。
図4の骨組モデルに対する粘性ダンパーの設置位置及び設置された粘性ダンパーの特性を示す図である。
Case1の粘性減衰定数hjを示す図である。
Case2の粘性減衰定数hjを示す図である。
Case1の実数固有値λk’及び実数固有値λk’と固有円振動数ωjとの関係を示す図である。
Case2の実数固有値λk’及び実数固有値λk’と固有円振動数ωjとの関係を示す図である。
粘性ダンパー仕様決定支援装置1の計算結果から得られた特性値hM,jの変化を示す図である。
粘性ダンパー仕様決定支援装置1により算出された粘性ダンパーの減衰係数cd、及び、得られた粘性ダンパーの仕様に基づき算出された骨組みモデルの粘性減衰定数hjを示す図である。
Case1で粘性減衰定数hjがピークとなる時の粘性ダンパーの減衰係数cdの組み合わせを示す図である。
本発明の第2実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置を示す図である。
図15の装置で粘性ダンパーの仕様を決定する手順を示すフローチャートである。

実施例

0009

以下、添付図面を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置1の構成の概略を示すブロック図である。

0010

粘性ダンパー仕様決定支援装置1は、構造物の減衰性能が最大となる粘性ダンパーの仕様の決定を支援する装置である。粘性ダンパー仕様決定支援装置1は、図1に示すように、構造物モデルを決定する構造物モデル決定手段2と、構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定するダンパー位置決定手段3と、粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する固定値仮定手段4と、粘性ダンパーの内部剛性kd及び減衰係数cdを用いて実数固有値λk’を繰り返し算出する実数固有値算出手段5と、算出された実数固有値λk’を元に粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する減衰係数更新手段6と、実数固有値算出手段5が繰り返し算出した実数固有値λk’をユーザーが比較できるように表示する比較表示手段7とを備えている。

0011

構造物モデル決定手段2は、ユーザーの入力に基づき構造物モデルを決定する。構造物モデルは、構造物の階層,階高,柱及び梁の断面2次モーメント,各層の質量等のユーザーに入力された情報に基づき決定される。ダンパー位置決定手段3は、平面骨組モデル等の構造物モデル中での粘性ダンパーの設置階層並びに配置位置を、ユーザーの入力により決定する。固定値仮定手段4は、ユーザーに入力された粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する。

0012

実数固有値算出手段5は、固定値仮定手段4が仮定した固定値及びユーザーに入力された粘性ダンパーの減衰係数cd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、下記の式(1)の演算をし、下記の式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する。

0013

0014

0015

減衰係数更新手段6は、実数固有値算出手段5が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて下記の式(3)の演算を実行し、実数固有値算出手段5が上記の式(1)の演算で用いる粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する。

0016

0017

以下、粘性ダンパー仕様決定支援装置1の処理で演算に用いられる上記の式(1)〜(3)と、粘性ダンパーを含んだ構造物モデルの構成との関係について説明する。

0018

図2は、Maxwell要素でダンパー要素を模擬した図である。図2に示すダンパー要素の軸方向の運動方程式は、ダッシュポット部分への入力変位を考慮に入れて下記の式(5)のように表せる。

0019

0020

ここで、

である。

0021

なお、図2では粘性ダンパーそのものを模擬しているため、ダッシュポットと直列結合するばねとの結合点dに質量は設けられていない。これは、結合点に質量を定義せずにダンパー部分を1次要素として扱う事で、ダンパー要素が構造物全体の性能に及ぼす影響度を明確に把握できるからである。なお、接続部材を付加する場合には、図2節点i又は節点jに接続部材及び質量を設ければ良い。

0022

式(5)の要素行列を構造物全体のマトリックスに加えると、地動加速度

に対するMaxwell要素を含んだ構造物全体の状態方程式が下記の式(6)として得られる。

0023

0024

ここで、

0025

である。

0026

なお、上記の式(6)中でkd,kd1,kd2及びcdは、ダンパー設置数分のMaxwell要素の内部剛性kd及び減衰係数cdを、上記式(5)を参考にしてまとめた行列を表している。

0027

δ=reλtとすると、上記の式(1)で示す固有値問題を構成できる。上記の式(1)の演算を実行すると、下記の式(7)に示す共役複素数λj,

jの固有値と実数解λk’の固有値(実数固有値λk’)が求められる。なお、上記式中のrは固有ベクトルを表している。

0028

0029

上記の式(7)の共役複素数λj,

j,の固有値は、構造物全体のj次固有値である。このため、通常の複素固有値問題と同様に、これらの共役複素数λj,

jの和と積よりシステム全体のj次粘性減衰定数hjおよび固有円振動数ωjが求められる。

0030

実数固有値λk’は、粘性ダンパーの設置数だけ求められる。実数固有値λk’を対象とするj次固有円振動数ωjで除すと、無次元化された特性値hM,jが抽出される。この特性値hM,jの大きさを判断することで、j次振動モードに対するk番目の粘性ダンパーの効果を把握する事が可能となる。

0031

特性値hM,j=1の場合にはj次振動モードの固有円振動数ωjと実数固有値λk’とが一致し、j次振動モードに対して最もエネルギー吸収効果が高い状態となる。また、後述するように、実数固有値λk’は減衰係数cdの変化に対して単調性を示し、固有円振動数ωjの変化は非常に小さい。このため、上記の式(3)の演算を実行して特性値hM,jが”1”に収斂するよう(j次振動モードの固有円振動数ωjとλk’とが同値になるよう)減衰係数更新手段6が減衰係数cdを更新し、更新された減衰係数cdを基に実数固有値算出手段5が上記の式(1)の演算を繰り返し実行する。

0032

次に、粘性ダンパー仕様決定支援装置1を用いて粘性ダンパーの仕様を決定する手順について説明する。図3は、粘性ダンパーの仕様を決定する手順を示すフローチャートである。

0033

粘性ダンパーの仕様処理では、まず、構造物モデル決定手段2は、ユーザーの入力に基づき構造物モデルを決定する(S1)。次に、ダンパー位置決定手段3は、ユーザーの入力に基づき、S1で決定された構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定する(S2)。続いて、固定値仮定手段4は、ユーザーにより入力された粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定する(S3)。S1〜S3の処理が実行されると、実数固有値算出手段5は、S3で仮定された固定値及びユーザーにより入力された粘性ダンパーの減衰係数cdを用いて実数固有値λk’を算出する(S4)。

0034

次に、減衰係数更新手段6は、S4の処理が1回目であるか否かを判定し(S5)、処理が1回目でS5の判定がYESであると、実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’を用いて粘性ダンパーの減衰係数cdを更新する(S6)。その後、処理はS4に戻り、更新された粘性ダンパーの減衰係数cdを用いて実数固有値λk’の算出が行われる。

0035

一方、S4の処理が2回目以降でS5の判定がNOであると、比較表示手段7は、S4の処理で実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’と前回のS4の処理で算出された実数固有値λk’とを比較できるように表示する(S7)。この比較表示を確認したユーザーは、S4の処理で実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’と前回のS4の処理で算出された実数固有値λk’との差の変化が、それまでに比べて十分に小さくなっているか、つまり、特性値hM,jが”1”に収斂しているかを判定する(S8)。

0036

特性値hM,jが”1”に収斂していると判断したユーザーは、S4の処理に用いられた粘性ダンパーの減衰係数cd及び内部剛性kdを、粘性ダンパーの仕様として決定する。この結果、減衰係数更新手段6により更新された粘性ダンパーの減衰係数cd、及び、固定値仮定手段4により固定値として決定された粘性ダンパーの内部剛性kdが、粘性ダンパーの仕様として決定される。

0037

粘性ダンパーの仕様を決定したユーザーは、粘性ダンパーの仕様として決定された粘性ダンパーの内部剛性kd及び減衰係数cdに基づき構造物モデルの粘性減衰定数hjを算出し、算出した粘性減衰定数hjが設計目標に達しているかを判定する(S9)。

0038

構造物モデルの粘性減衰定数hjが設計目標に達していてS9の判定がYESであると、S8で決定された粘性ダンパーの仕様で設計目標が達成されることを確認できる。

0039

構造物モデルの粘性減衰定数hjが設計目標に達しておらずにS9判定がNOであると、ユーザーは、S2で決定された粘性ダンパーの配置位置、又は、S3で仮定された固定値を変更する。その後は、変更された値を用いてS4以降の処理が繰り返し実行される。

0040

本実施形態によれば、構造物モデル中に配置された粘性ダンパーの減衰係数を更新しながら実数固有値の算出を繰り返し、算出結果の変化を比較表示することで、構造物モデルに適した粘性ダンパーの仕様を決定することができる。

0041

次に、複素固有値解析を平面骨組モデルに適用した結果について説明する。

0042

図4は、複素固有値解析に用いた骨組モデルを示す図である。図4の骨組モデルは、鉄骨フレームを想定した15層のモデルである。この骨組モデルは、1層の階高が6m,それ以外の層の階高が4mとなっている。また、中央スパンの長さが6m,その左右のスパンの長さが12mとなっている。

0043

図5は、図4の骨組モデルでの柱及び梁の断面2次モーメントを示す図である。
各梁の軸方向剛性は剛として扱い、質量は各層とも100tonとし、各質点に分散させている。

0044

図6は、図4の骨組モデルでの非減衰の固有値解析から得られた水平方向の刺激関数を示す図である。水平方向の固有周期は、1次が1.60秒、2次が0.54秒、3次が0.31秒となった。

0045

図4の骨組モデルに設置された粘性ダンパーの特性が変化した場合に、構造物の粘性減衰定数hjがどのような変化を示すのかを調べた。なお、粘性ダンパーは、図7(a)に示すように、中央スパンの1層,8層,及び15層に設置した。

0046

骨組モデルに設置した粘性ダンパーの内部剛性kd及び減衰係数cdは、図7(b)に示す値となっている。図7(b)に示すように、減衰係数cdの分布は、Ai分布から求めた設計用層せん断力分布に近くなるように設定したCase1と、比較のために3層とも同じ値としたCase2とを設定した。

0047

このような条件の下で、まずは、骨組みモデルの粘性減衰定数hjの変化を、各粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値とし、減衰係数cdを図7(b)の値のn倍(n=1〜30)に変化させることで解析を行った。なお、ここでは取付部材剛性は考慮せず、柱梁接合節点間の水平相対速度に作用するように設置した。

0048

Case1の粘性減衰定数hjを求めた結果を図8に、Case2の粘性減衰定数hjを求めた結果を図9にそれぞれ示す。

0049

両図の比較から、1次〜3次の粘性減衰定数hjの最大値に関しては、Case1とCase2とで概ね同じであり、粘性減衰定数hjの最大値は内部剛性kdの大きさに依存することがあらためて分かる。このため、固定値仮定手段4により粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定し、実数固有値算出手段5による演算を実行するのが好ましいことが分かる。

0050

次に、この解析で得られる粘性ダンパーの特性を示す実数固有値λk’と1次から3次までの固有円振動数ωjの変化を調べた結果を図10及び図11に示す。図10にはCase1の結果、図11にはCase2の結果が示されている。
両図に記されている実数固有値λk’は、粘性ダンパーの設置数と同じ数だけ求められ、絶対値の大きい順に添え字1〜3を付けてある。

0051

両図から、実数固有値λk’は減衰係数cdの増加とともに漸近していることが分かる。実数固有値λk’はMaxwell型粘性ダンパーの特性であるkd/cdの比率を反映したもので、粘性ダンパーの内部剛性kdに設置した構造物の部材剛性の影響等が加味されて固有値問題の結果として求められたものである。

0052

図10及び図11から、減衰係数cdのみを増加させていくと実数固有値λk’は零に漸近することが分かる。実数固有値λk’は、粘性ダンパーの1次系時定数逆数に相当し、絶対値が大きいほどインパルス応答における応答収束時間は早くなるという特性を表す値でもある。Case1では3基の粘性ダンパーとも同じ比率であるのに対し、Case2では設置層によって異なる値となるため、図11には代表として1層のダンパーの値を示している。実数固有値λk’の値と比較するといずれのケースもダンパーのkd/cdのほうが大きな値となっていることが分かる。これは、ダンパー周辺フレームの剛性の影響がkdに反映された結果として、kd/cdの値が小さくなって実数固有値λk’として求められてきたからである。

0053

次に、同様の条件の下で、1次〜3次の各粘性減衰定数hjの値がなるべく大きくなるような3種類の減衰係数cdの組み合わせを、粘性ダンパー仕様決定支援装置1により求めた。

0054

粘性ダンパー仕様決定支援装置1による処理では、粘性ダンパーの内部剛性kdは図7(b)に示す値が固定値として仮定され、減衰係数cdは図7(b)に示すCase1の値が初期値として用いられることとなる。

0055

図12は、粘性ダンパー仕様決定支援装置1を用いてS4〜S8の処理を5回繰り返して反復計算を行ったときの特性値hM,jの変化を示す図である。

0056

図12に示すように、どのケースでも3回程度の反復計算で特性値hM,jが1.0に近くなっており、5回目の反復計算で特性値hM,jを十分に収束させることができている。上述のように、実数固有値λk’は減衰係数cdの変化に対して単調性を示し、固有円振動数ωjの変化は非常に小さいことから、特性値hM,jが1.0近くに収束すると減衰係数更新手段6により更新される減衰係数cdの変化も小さくなる。このため、粘性ダンパー仕様決定支援装置1ではλ’の収束を比較表示手段7で確認できるようにしている。

0057

粘性ダンパー仕様決定支援装置1によりS4〜S8の処理を5回繰り返して反復計算を行った結果を図13に示す。図13には、反復計算で得られた粘性ダンパーの減衰係数cd、及び、得られた粘性ダンパーの仕様に基づき算出された骨組みモデルの粘性減衰定数hjが示されている。

0058

図13に示すように、1次振動モードを対象にした場合は、1次の粘性減衰定数h1が0.056,2次振動モードを対象とした場合はh2=0.040,3次振動モードを対象とした場合はh3=0.075となり、図8図9の粘性減衰定数hjのピーク値と概ね一致していることが分かる。

0059

また、Case1で粘性減衰定数hjがピークとなる時の粘性ダンパーの減衰係数cdの組み合わせを図14に示す。図13及び図14を比較すると、各値はかなり異なっている箇所があるものの、各層の値の比率は同様な傾向を示している。

0060

粘性ダンパー仕様決定支援装置1で求められた粘性減衰定数hjは、図8図9に示すCase1,2の粘性減衰定数hjのピーク値とほぼ一致していることから、固定値として仮定された粘性ダンパーの内部剛性kdに対して、対象としたモードの粘性減衰定数hjを最大にする減衰係数cdの組み合わせを求めることに成功したと考えられる。

0061

次に、添付図面を参照して、本発明の第2の実施形態について説明する。
図15は、本実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置1を示す図である。
上記第1の実施形態では固定値仮定手段4が粘性ダンパーの内部剛性kdを固定値として仮定し、実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’を元に減衰係数更新手段6が粘性ダンパーの減衰係数cdを更新した場合について説明した。これに対し、本実施形態では、固定値仮定手段4が粘性ダンパーの粘性係数を固定値として仮定し、実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’を元に内部剛性更新手段8が粘性ダンパーの内部剛性kdを更新するよう構成されている。

0062

実数固有値算出手段5は、固定値仮定手段4が仮定した固定値及びユーザーに入力された粘性ダンパーの内部剛性kd用いて構成される構造物モデルの状態行列Aについて、式(1)の演算をし、式(2)で示される実数固有値λk’を繰り返し算出する。内部剛性更新手段8は、実数固有値算出手段5が実数固有値λk’を算出する度に算出した実数固有値λk’を用いて下記の式(4)の演算を実行し、実数固有値算出手段5が式(1)の演算で用いる粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する。

0063

0064

次に、本実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置1を用いて粘性ダンパーの仕様を決定する手順について説明する。図16は、本実施形態の粘性ダンパー仕様決定支援装置1で粘性ダンパーの仕様を決定する手順を示すフローチャートである。

0065

粘性ダンパーの仕様処理では、まず、構造物モデル決定手段2は、ユーザーの入力に基づき構造物モデルを決定する(S11)。次に、ダンパー位置決定手段3は、ユーザーの入力に基づき、S11で決定された構造物モデル中での粘性ダンパーの配置位置を決定する(S12)。続いて、固定値仮定手段4は、ユーザーにより入力された粘性ダンパーの減衰係数cdを固定値として仮定する(S13)。S11〜S13の処理が実行されると、実数固有値算出手段5は、S13で仮定された固定値及びユーザーにより入力された粘性ダンパーの内部剛性kdを用いて実数固有値λk’を算出する(S14)。

0066

次に、内部剛性更新手段8は、S14の処理が1回目であるか否かを判定し(S15)、処理が1回目でS15の判定がYESであると、実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’を用いて粘性ダンパーの内部剛性kdを更新する(S16)。その後、処理はS14に戻り、更新された粘性ダンパーの内部剛性kdを用いて実数固有値λk’の算出が行われる。

0067

一方、S14の処理が2回目以降でS15の判定がNOであると、比較表示手段7は、S14の処理で実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’と前回のS14の処理で算出された実数固有値λk’とを比較できるように表示する(S17)。この比較表示を確認したユーザーは、S14の処理で実数固有値算出手段5により算出された実数固有値λk’と前回のS14の処理で算出された実数固有値λk’との差の変化が、それまでに比べて十分に小さくなっているか、つまり、特性値hM,jが”1”に収斂しているかを判定する(S18)。

0068

特性値hM,jが”1”に収斂していると判断したユーザーは、S14の処理に用いられた粘性ダンパーの減衰係数cd及び内部剛性kdを、粘性ダンパーの仕様として決定する。この結果、内部剛性更新手段8により更新された粘性ダンパーの内部剛性kd、及び、固定値仮定手段4により固定値として決定された粘性ダンパーの減衰係数cdが、粘性ダンパーの仕様として決定される。

0069

粘性ダンパーの仕様を決定したユーザーは、粘性ダンパーの仕様として決定された粘性ダンパーの内部剛性kd及び減衰係数cdに基づき構造物モデルの粘性減衰定数hjを算出し、算出した粘性減衰定数hjが設計目標に達しているかを判定する(S19)。

0070

構造物モデルの粘性減衰定数hjが設計目標に達していてS19の判定がYESであると、S18で決定された粘性ダンパーの仕様で設計目標が達成されることを確認できる。

0071

構造物モデルの粘性減衰定数hjが設計目標に達しておらずにS19判定がNOであると、ユーザーは、S12で決定された粘性ダンパーの配置位置、又は、S13で仮定された固定値を変更する。その後は、変更された値を用いてS14以降の処理が繰り返し実行される。

0072

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内で種々の変形又は変更が可能である。

0073

1粘性ダンパー仕様決定支援装置
2構造物モデル決定手段
3ダンパー位置決定手段
4固定値仮定手段
5実数固有値算出手段
6減衰係数更新手段
7比較表示手段
8 内部剛性更新手段

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