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技術 含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤で処理された物品

出願人 信越化学工業株式会社
発明者 山根祐治佐藤伸一小池則之松田高至酒匂隆介
出願日 2015年3月9日 (5年8ヶ月経過) 出願番号 2015-045455
公開日 2015年11月12日 (5年0ヶ月経過) 公開番号 2015-199915
状態 特許登録済
技術分野 対水表面処理用物質 光学要素の表面処理 塗料、除去剤
主要キーワード レンズフィルター 非密着性 基板本来 ポータブルオーディオプレーヤー 加水分解性基含有シリル基 撥油表面 撥水撥油層 スプレー塗工装置
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この項目の情報は公開日時点(2015年11月12日)のものです。
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課題

安定して基材視認性を損なわない撥水撥油膜を形成することができる含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤コーティングされた物品を提供する。

解決手段

(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、該(A)成分の平均分子量以下の平均分子量を有する(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5であることを特徴とする含フッ素コーティング剤。

概要

背景

近年、携帯電話ディスプレイをはじめ、画面タッチパネル化が加速している。しかし、タッチパネルは画面がむき出しのものが多く、指や等が直接接触する機会が多く、皮脂等の汚れが付き易いことが問題となっている。そこで、外観視認性をよくするためにディスプレイの表面に指紋を付きにくくする技術や、汚れを落とし易くする技術の要求が年々高まってきている。従来の撥水撥油剤撥水撥油性が高く、汚れ拭き取り性に優れる膜の形成が可能であり、耐久性能滑り性向上のために無官能オイルを含んだ組成物を塗工する試みがなされている。ただ、処理剤と無官能オイルの溶解性が悪く、ヘーズ曇り度)が問題になる場合がある。そのため、安定してヘーズの上昇が抑えられる高性能な膜が形成できる処理剤や処理方法の開発が待たれていた。

一般に、フルオロオキシアルキレン基含有化合物は、その表面自由エネルギーが非常に小さいために、撥水撥油性、耐薬品性潤滑性離型性防汚性等を有する。その性質を利用して、工業的には紙、繊維等の撥水撥油防汚剤、磁気記録媒体滑剤精密機器の防油剤離型剤化粧料、保護膜等、幅広く利用されている。しかし、その性質は同時に他の基材に対する非粘着性非密着性であることを意味しており、基材表面に塗布することはできても、その被膜を基材に密着させることは困難であった。

一方、ガラスや布等の基材表面と有機化合物とを結合させるものとして、シランカップリング剤が良く知られており、各種基材表面のコーティング剤として幅広く利用されている。シランカップリング剤は、1分子中に有機官能基反応性シリル基(一般にはアルコキシシリル基)を有する。アルコキシシリル基が、空気中の水分等によって加水分解し、ガラスや金属等の表面と化学的物理的に結合することにより耐久性を有する強固な被膜となる。

フルオロオキシアルキレン基末端にアルコキシシリル基を結合させたものとして、特許文献1(特開2003−238577号公報)では、下記式で示されるフルオロオキシアルキレン基含有シランが提案されている。該フルオロオキシアルキレン基含有シランで処理したガラスや反射防止膜は、汚れ拭き取り性に優れる材料を得ることができるが、末端基が基材に結合されるため、表面の潤滑性が不十分なため、滑り性や耐傷性が十分ではない。

(式中、Rfは2価の直鎖型パーフルオロオキシアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、Xは加水分解性基、nは0〜2、mは1〜5の整数、aは2又は3である。)

特許文献2(特開2013−136833号公報)では、フルオロオキシアルキレン基含有シランにフルオロオキシアルキレン基含有シランより平均分子量が大きな無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを混合することで、真空蒸着で塗工した場合に、塗工表面凹凸を数nmに抑えられることが開示されている。しかし、該提案は、分子量が小さい成分から塗工される真空蒸着法で効果があるものであり、スプレー塗工やDip塗工では、フルオロオキシアルキレン基含有シランと無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとの相溶性が問題となり、ヘーズが上昇する場合がある。

概要

安定して基材の視認性を損なわない撥水撥油膜を形成することができる含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤でコーティングされた物品を提供する。(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、該(A)成分の平均分子量以下の平均分子量を有する(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5であることを特徴とする含フッ素コーティング剤。なし

目的

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安定して基材の視認性を損なわない撥水撥油膜を形成することができる含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤でコーティングされた物品を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
1件
牽制数
1件

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請求項1

(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、該(A)成分の平均分子量以下の平均分子量を有する(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5であることを特徴とする含フッ素コーティング剤

請求項2

(A)成分が、フルオロオキシアルキレン基として、下記一般式(1)−CgF2gO−(1)(式中、gは、単位毎に独立に1〜6の整数である。)で表される繰り返し単位10〜200個を含み、かつ少なくとも1つの末端に下記式(2)(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3である。)で示される加水分解性シリル基を少なくとも1つ有し、(B)成分のフルオロオキシアルキレン部分が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を10〜100個含むことを特徴とする請求項1記載の含フッ素コーティング剤。

請求項3

(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シランが、下記一般式(3)、(4)、(6)及び(7)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1又は2記載の含フッ素コーティング剤。A−Rf−QZWα (3)Rf−(QZWα)2(4)〔式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、αは1〜7の整数であり、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Aはフッ素原子水素原子、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基であり、Qは単結合、又はフッ素置換されてもよい2価の有機基であり、Zは単結合、−JC=〔Jはアルキル基、ヒドロキシル基もしくはK3SiO−(Kは独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基)で示されるシリルエーテル基〕で示される3価の基、−LSi=(Lはアルキル基)で示される3価の基、−C≡で示される4価の基、−Si≡で示される4価の基、及び2〜8価のシロキサン残基から選ばれる基であり、Wは下記一般式(5a)〜(5d)で表される加水分解性基を有する基である。(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3であり、lは0〜10の整数であり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、bは2〜6の整数であり、Meはメチル基である。)〕A−Rf−Q−(Y)βB (6)Rf−(Q−(Y)βB)2(7)(式中、Rf、A及びQは前記と同じであり、βはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、Yは、上記一般式(5a)で表される加水分解性基を有する2価の基、Bは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン基である。)

請求項4

Yが下記式(8)〜(10)で示される請求項1〜3のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤。(式中、R、X、aは上記と同じであり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、D’は炭素数1〜10のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、R1は炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、eは1又は2である。)

請求項5

(B)成分が(式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、dは0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜100の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=5〜100であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Aはフッ素原子、水素原子、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基である。)で表されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤。

請求項6

Qが単結合又は下記式で示される2価の基から選ばれるものである請求項1〜5のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤。(式中、bは2〜6の整数であり、cは1〜50の整数、Meはメチル基である。)

請求項7

Zが単結合又は下記式で示される2〜8価の基から選ばれるものである請求項1〜6のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤。(式中、Meはメチル基である。)

請求項8

溶剤希釈された請求項1〜7のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤。

請求項9

溶剤がエチルパーフルオロブチルエーテルデカフルオロペンタンペンタフルオロブタン、及びパーフルオロヘキサンから選ばれる請求項8記載の含フッ素コーティング剤。

請求項10

請求項1〜9のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤で処理された物品

請求項11

請求項1〜9のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤で処理されたタッチパネル

請求項12

請求項1〜9のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤で処理された反射防止処理物品。

請求項13

請求項1〜9のいずれか1項記載の含フッ素コーティング剤で処理されたガラス強化ガラスサファイヤガラス石英ガラス又はSiO2処理基板

技術分野

0001

本発明は、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランを含有するコーティング剤に関し、詳細には、撥水撥油性低動摩擦性に優れた被膜を形成する、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、これよりも平均分子量が小さなフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを特定割合で含む含フッ素コーティング剤、並びに該コーティング剤で処理された物品に関する。

背景技術

0002

近年、携帯電話ディスプレイをはじめ、画面タッチパネル化が加速している。しかし、タッチパネルは画面がむき出しのものが多く、指や等が直接接触する機会が多く、皮脂等の汚れが付き易いことが問題となっている。そこで、外観視認性をよくするためにディスプレイの表面に指紋を付きにくくする技術や、汚れを落とし易くする技術の要求が年々高まってきている。従来の撥水撥油剤は撥水撥油性が高く、汚れ拭き取り性に優れる膜の形成が可能であり、耐久性能滑り性向上のために無官能オイルを含んだ組成物を塗工する試みがなされている。ただ、処理剤と無官能オイルの溶解性が悪く、ヘーズ曇り度)が問題になる場合がある。そのため、安定してヘーズの上昇が抑えられる高性能な膜が形成できる処理剤や処理方法の開発が待たれていた。

0003

一般に、フルオロオキシアルキレン基含有化合物は、その表面自由エネルギーが非常に小さいために、撥水撥油性、耐薬品性潤滑性離型性防汚性等を有する。その性質を利用して、工業的には紙、繊維等の撥水撥油防汚剤、磁気記録媒体滑剤精密機器の防油剤離型剤化粧料、保護膜等、幅広く利用されている。しかし、その性質は同時に他の基材に対する非粘着性非密着性であることを意味しており、基材表面に塗布することはできても、その被膜を基材に密着させることは困難であった。

0004

一方、ガラスや布等の基材表面と有機化合物とを結合させるものとして、シランカップリング剤が良く知られており、各種基材表面のコーティング剤として幅広く利用されている。シランカップリング剤は、1分子中に有機官能基反応性シリル基(一般にはアルコキシシリル基)を有する。アルコキシシリル基が、空気中の水分等によって加水分解し、ガラスや金属等の表面と化学的物理的に結合することにより耐久性を有する強固な被膜となる。

0005

フルオロオキシアルキレン基末端にアルコキシシリル基を結合させたものとして、特許文献1(特開2003−238577号公報)では、下記式で示されるフルオロオキシアルキレン基含有シランが提案されている。該フルオロオキシアルキレン基含有シランで処理したガラスや反射防止膜は、汚れ拭き取り性に優れる材料を得ることができるが、末端基が基材に結合されるため、表面の潤滑性が不十分なため、滑り性や耐傷性が十分ではない。

0006

(式中、Rfは2価の直鎖型パーフルオロオキシアルキレン基、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基、Xは加水分解性基、nは0〜2、mは1〜5の整数、aは2又は3である。)

0007

特許文献2(特開2013−136833号公報)では、フルオロオキシアルキレン基含有シランにフルオロオキシアルキレン基含有シランより平均分子量が大きな無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーを混合することで、真空蒸着で塗工した場合に、塗工表面凹凸を数nmに抑えられることが開示されている。しかし、該提案は、分子量が小さい成分から塗工される真空蒸着法で効果があるものであり、スプレー塗工やDip塗工では、フルオロオキシアルキレン基含有シランと無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとの相溶性が問題となり、ヘーズが上昇する場合がある。

先行技術

0008

特開2003−238577号公報
特開2013−136833号公報

発明が解決しようとする課題

0009

本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、安定して基材の視認性を損なわない撥水撥油膜を形成することができる含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤でコーティングされた物品を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0010

本発明者らは、上述したように、先に、加水分解性基を有するフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランと分子量がより大きな無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとの蒸着塗工用組成物を提案している(特開2013−136833号公報:特許文献2)。蒸着塗工では、低沸点成分から蒸着されるため、基板側にフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランを多く含む層が形成され、表面側に、より分子量が大きな無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー層が形成される。フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー層で、凝集が生じても、最表層の無官能のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー層が凹凸を埋めるため、ヘーズは上昇し難い。一方、該組成物をフッ素系溶剤希釈してスプレー塗工すると、ヘーズが上昇するという問題が生じ、塗工方法によってヘーズの上昇度合いが異なることがわかってきた。

0011

そこで、本発明者らは、上記問題を解決すべく鋭意検討した結果、末端に加水分解性基を有し、主鎖にフルオロオキシアルキレン構造を有するポリマーを含有する含フッ素コーティング剤中に、これよりも平均分子量が小さな無官能のフルオロオキシアルキレン基を含有するポリマーを添加した処理剤を基板に塗工することで、ヘーズを上昇させることなく、滑り性や耐摩耗性に優れた撥水撥油表面を形成できることを見出し、本発明をなすに至った。

0012

従って、本発明は、下記含フッ素コーティング剤及び該コーティング剤でコーティングされた物品を提供する。
〔1〕
(A)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、該(A)成分の平均分子量以下の平均分子量を有する(B)フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5であることを特徴とする含フッ素コーティング剤。
〔2〕
(A)成分が、フルオロオキシアルキレン基として、下記一般式(1)
−CgF2gO− (1)
(式中、gは、単位毎に独立に1〜6の整数である。)
で表される繰り返し単位10〜200個を含み、かつ少なくとも1つの末端に下記式(2)



(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3である。)
で示される加水分解性シリル基を少なくとも1つ有し、
(B)成分のフルオロオキシアルキレン部分が、上記一般式(1)で表される繰り返し単位を10〜100個含むことを特徴とする〔1〕記載の含フッ素コーティング剤。
〔3〕
(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シランが、下記一般式(3)、(4)、(6)及び(7)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の含フッ素コーティング剤。
A−Rf−QZWα (3)
Rf−(QZWα)2 (4)
〔式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、αは1〜7の整数であり、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Aはフッ素原子水素原子、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基であり、Qは単結合、又はフッ素置換されてもよい2価の有機基であり、Zは単結合、−JC=〔Jはアルキル基、ヒドロキシル基もしくはK3SiO−(Kは独立に水素原子、アルキル基、アリール基又はアルコキシ基)で示されるシリルエーテル基〕で示される3価の基、−LSi=(Lはアルキル基)で示される3価の基、−C≡で示される4価の基、−Si≡で示される4価の基、及び2〜8価のシロキサン残基から選ばれる基であり、Wは下記一般式(5a)〜(5d)で表される加水分解性基を有する基である。



(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3であり、lは0〜10の整数であり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、bは2〜6の整数であり、Meはメチル基である。)〕
A−Rf−Q−(Y)βB (6)
Rf−(Q−(Y)βB)2 (7)
(式中、Rf、A及びQは前記と同じであり、βはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、Yは、上記一般式(5a)で表される加水分解性基を有する2価の基、Bは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン基である。)
〔4〕
Yが下記式(8)〜(10)で示される〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤。









(式中、R、X、aは上記と同じであり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、D’は炭素数1〜10のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、R1は炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、eは1又は2である。)
〔5〕
(B)成分が



(式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、dは0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜100の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=5〜100であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。Aはフッ素原子、水素原子、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基である。)
で表されることを特徴とする〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤。
〔6〕
Qが単結合又は下記式で示される2価の基から選ばれるものである〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤。









(式中、bは2〜6の整数であり、cは1〜50の整数、Meはメチル基である。)
〔7〕
Zが単結合又は下記式で示される2〜8価の基から選ばれるものである〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤。



(式中、Meはメチル基である。)
〔8〕
溶剤で希釈された〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤。
〔9〕
溶剤がエチルパーフルオロブチルエーテルデカフルオロペンタンペンタフルオロブタン、及びパーフルオロヘキサンから選ばれる〔8〕記載の含フッ素コーティング剤。
〔10〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤で処理された物品。
〔11〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤で処理されたタッチパネル。
〔12〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤で処理された反射防止処理物品。
〔13〕
〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の含フッ素コーティング剤で処理されたガラス、強化ガラスサファイヤガラス石英ガラス又はSiO2処理基板

発明の効果

0013

本発明の(A)成分に係るフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物と、該(A)成分より平均分子量が小さな(B)成分に係るフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含むコーティング剤を基材にウェット塗工することにより形成される被膜は、低ヘーズな撥水撥油性表面となる。本発明の含フッ素コーティング剤をウエット処理することによって、各種物品に低ヘーズで優れた防汚性能を付与することができる。

0014

本発明の含フッ素コーティング剤は、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シラン及び/又はその部分加水分解縮合物(A)と、該(A)成分より平均分子量が小さなフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(B)とを含み、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5である組成物である。

0015

本発明の含フッ素コーティング剤は、上記(A)、(B)成分を含むもので、本発明の含フッ素コーティング剤をガラスやSiO2処理された基板(SiO2をあらかじめ蒸着又はスパッタした基板)などにスプレー塗工、インクジェット塗工スピン塗工、浸漬塗工、真空蒸着塗工した防汚処理基板は、(A)成分のみを塗工した防汚処理物品と比較して、滑り性や耐傷性に優れ、かつヘーズの上昇が小さい。

0016

(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シランとしては、(A)成分のフルオロオキシアルキレン基が、下記一般式(1)
−CgF2gO− (1)
(式中、gは、単位毎に独立に1〜6の整数である。)
で表される繰り返し単位10〜200個、好ましくは20〜100個を含み、かつ少なくとも1つの末端、好ましくは1つの末端に下記式(2)



(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3である。)
で示される加水分解性シリル基を有する基が好適に用いられる。
更に、(A)成分は、上記式(2)で示される加水分解性基含有シリル基を少なくとも1個、好ましくは1〜12個有するものであり、更にXで示される加水分解性基を複数、好ましくは2〜36個、より好ましくは2〜18個有するものであることが望ましい。

0017

フルオロオキシアルキレン基である上記式(1)で示される繰り返し単位としては、例えば下記の単位等が挙げられる。なお、フルオロオキシアルキレン基は、これらの繰り返し単位の1種単独で構成されていてもよいし、2種以上の組み合わせであってもよく、それぞれの繰り返し単位はランダムに結合されていてもよい。
−CF2O−
−CF2CF2O−
−CF2CF2CF2O−
−CF(CF3)CF2O−
−CF2CF2CF2CF2O−
−CF2CF2CF2CF2CF2CF2O−
−C(CF3)2O−

0018

上記式(2)において、Rは炭素数1〜4のメチル基、エチル基プロピル基ブチル基等のアルキル基又はフェニル基である。Xは加水分解性基を複数、好ましくは2〜36個、より好ましくは2〜18個有する加水分解性基である。ここで、加水分解性基としては、メトキシ基エトキシ基プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の炭素数2〜10のアルコキシアルコキシ基アセトキシ基等の炭素数1〜10のアシロキシ基イソプロペノキシ基等の炭素数2〜10のアルケニルオキシ基クロル基ブロモ基ヨード基等のハロゲン基などが挙げられる。また、加水分解性基の水素フッ素置換されていてもよい。中でもメトキシ基、エトキシ基、イソプロペノキシ基、クロル基が好適である。

0019

(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーで変性された加水分解性基含有シランとしては、下記一般式(3)、(4)、(6)及び(7)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランから選ばれる少なくとも1種からなる組成物が更に好適である。
A−Rf−QZWα (3)
Rf−(QZWα)2 (4)
〔式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、αは1〜7の整数であり、dは独立に0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=10〜200であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい。Aはフッ素原子、水素原子、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基であり、Qは単結合、又はフッ素置換されてもよい2価の有機基であり、Zは、単結合、−JC=〔Jは好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシル基もしくはK3SiO−(Kは独立に水素原子、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基等のアリール基又は好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基)で示されるシリルエーテル基〕で示される3価の基、−LSi=(Lは好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)で示される3価の基、−C≡で示される4価の基、−Si≡で示される4価の基、及び2〜8価のシロキサン残基から選ばれる基であり、Wは、下記一般式(5a)〜(5d)で表される加水分解性基を有する基である。



(式中、Rは炭素数1〜4のアルキル基又はフェニル基であり、Xは加水分解性基であり、aは2又は3であり、lは0〜10の整数であり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、bは2〜6の整数であり、Meはメチル基である。)〕
A−Rf−Q−(Y)βB (6)
Rf−(Q−(Y)βB)2 (7)
(式中、Rf、A及びQは前記と同じであり、βはそれぞれ独立に1〜10の整数であり、Yは一般式(5a)で表される加水分解性基を有する2価の基、Bは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、又はハロゲン基である。)
この場合、Yは下記一般式(8)〜(10)で表される加水分解性基を有する2価の基であることが好ましい。



(式中、R、X、aは上記と同じであり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、D’は炭素数1〜10のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、R1は炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、eは1又は2である。)

0020

上記式(3)、(4)、(6)、(7)において、Rfは−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−である。
ここで、dは独立に0〜5の整数、好ましくは0〜2の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜200の整数、好ましくはpは5〜100の整数、qは5〜100の整数、rは0〜100の整数、sは0〜50の整数、tは0〜100の整数であり、かつ、p+q+r+s+tは10〜200の整数、好ましくは20〜100の整数であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。

0021

Rfとして、具体的には、下記のものが例示できる。



(式中、dは上記と同じ、p、q、r、s、tはそれぞれ1以上の整数であり、その上限は上記の上限である。)

0022

上記式(3)、(4)、(6)、(7)において、Qは単結合、又はフッ素置換されてもよい2価の有機基であり、Rf基と末端基との連結基である。Qとして、好ましくは、アミド結合エーテル結合エステル結合メチレン結合エチレン結合プロピレン結合又はジメチルシリレン基等のジオルガノシリレン基から成る群より選ばれる1種又は2種以上の構造を含んでもよい非置換又は置換の炭素数2〜12の2価の有機基、好ましくは前記構造を含んでよい非置換又は置換の炭素数2〜12の2価の炭化水素基である。

0023

ここで、非置換又は置換の炭素数2〜12の2価の炭化水素基としては、エチレン基プロピレン基トリメチレン基メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)であってよく、更に、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素等のハロゲン原子で置換したものなどが挙げられ、中でも非置換又は置換の炭素数2〜4のアルキレン基、フェニレン基が好ましい。
このようなQとしては、例えば下記の基が挙げられる。

0024

(式中、bは2〜4の整数であり、cは1〜50の整数、Meはメチル基である。)

0025

上記各式(3)、(4)において、Zは、単結合、−JC=〔Jは好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、ヒドロキシル基もしくはK3SiO−(Kは独立に水素原子、好ましくは炭素数1〜3のアルキル基、フェニル基等のアリール基又は好ましくは炭素数1〜3のアルコキシ基)で示されるシリルエーテル基〕で示される3価の基、−LSi=(Lは好ましくは炭素数1〜3のアルキル基)で示される3価の基、−C≡で示される4価の基、−Si≡で示される4価の基、及び2〜8価のシロキサン残基から選ばれる基であり、シロキサン結合を含む場合には、ケイ素原子数2〜13個、好ましくはケイ素原子数2〜5個の鎖状又は環状オルガノポリシロキサン残基であることが好ましい。また、2つのケイ素原子がアルキレン基で結合されたシルアルキレン構造、即ちSi−(CH2)n−Siを含んでいてもよい(前記式においてnは2〜6の整数)。
オルガノポリシロキサン残基は、炭素数1〜8、より好ましくは1〜4のメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等のアルキル基又はフェニル基を有するものがよい。また、シルアルキレン結合におけるアルキレン基は、炭素数2〜6、好ましくは2〜4のものがよい。

0026

このようなZとしては、下記に示されるものが挙げられる。

0027

上記式(3)、(4)において、Wは下記一般式(5a)〜(5d)で表される加水分解性基を有する基から選ばれるものである。



ここで、R、X、aは上記と同じであり、lは0〜10の整数、好ましくは2〜8の整数であり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、bは2〜6の整数であり、Meはメチル基である。
上記式(3)、(4)において、αは1〜7の整数、好ましくは1〜3の整数である。

0028

上記式(6)、(7)において、Yは、上記式(5a)で表される加水分解性基Xを有する2価の基であり、好ましくは下記式(8)〜(10)で示される。






(式中、R、X、aは上記と同じであり、Dは単結合又は炭素数1〜20のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、D’は炭素数1〜10のフッ素置換されていてもよい2価の有機基であり、R1は炭素数1〜20の1価炭化水素基であり、eは1又は2である。)

0029

ここで、R、X、aは上記と同じである。
Dは単結合、又は炭素数1〜20、好ましくは炭素数2〜8の2価炭化水素基であり、D’は炭素数1〜10、好ましくは炭素数2〜8の2価炭化水素基であり、これらD、D’の2価炭化水素基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基(トリメチレン基、メチルエチレン基)、ブチレン基(テトラメチレン基、メチルプロピレン基)、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基等のアルキレン基、フェニレン基等のアリーレン基、又はこれらの基の2種以上の組み合わせ(アルキレン・アリーレン基等)などが挙げられる。Dとしては、エチレン基、プロピレン基、フェニレン基が好ましく、D’としてはエチレン基、プロピレン基が好ましい。

0030

また、R1は炭素数1〜20、好ましくは炭素数1〜10の1価炭化水素基であり、1価炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基ネオペンチル基、ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基ビニル基アリル基プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基フェニルエチル基フェニルプロピル基等のアラルキル基などが挙げられる。これらの中でも、メチル基が好ましい。

0031

Yとして、具体的には、下記の基が挙げられる。






(式中、dは2〜10の整数、eは0〜10の整数である。Xは上記と同じである。)

0032

上記式(3)、(4)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランとして、連結基Qを



とし、Z基を



とし、加水分解性基Xを含む式(2)を



として表されるものを下記に例示する。これらQ、Z、Xの組み合わせは、これらに限られたものではなく、単純にQ、Z、Xを変更することで、数通りのフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランが得られる。何れの処理剤でも本発明の効果は発揮できる。

0033

(括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。)

0034

また、上記Q、X以外のQとXとを組み合わせた上記式(3)、(4)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランとしては、更に下記の構造のものが挙げられる。
























(括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてもよい。)

0035

上記式(6)、(7)で表されるフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランとして、下記構造のものが挙げられる。















(括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。)

0036

本発明の含フッ素コーティング剤には、(A)成分として、上記フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランの末端加水分解性基を予め公知の方法により部分的に加水分解し、縮合させて得られる部分加水分解縮合物を含んでいてもよい。

0037

なお、(A)成分の重量平均分子量は、1,000〜20,000であることが好ましく、2,000〜10,000であることがより好ましい。重量平均分子量が小さすぎるとフルオロオキシアルキレン基の撥水撥油性や低動摩擦性を発揮できない場合があり、大きすぎると基板との密着性が悪くなる場合がある。なお、本発明において、重量平均分子量は下記条件で測定したゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の標準ポリスチレン換算値として測定できる。
測定条件
展開溶媒ハイドロクロロフルオロカーボン(HCFC)−225
流量:1mL/min.
検出器蒸発光散乱検出器
カラム:東ソー社製 TSKgel Multipore HXL−M
7.8mmφ×30cm 2本使用
カラム温度:35℃
試料注入量:100μL(濃度0.3質量%のHCFC−225溶液

0038

また、本発明の含フッ素コーティング剤には、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(B)を含有する。

0039

(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランは、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(B)と混合することで、耐摩耗性や表面に触れた際の感触が向上し、ヘーズの上昇も抑えることができる。

0040

(B)成分は、下記平均組成式



(式中、Rf基は−(CF2)d−(OCF2)p(OCF2CF2)q(OCF2CF
2CF2)r(OCF2CF2CF2CF2)s(OCF(CF3)CF2)t−O(CF2)d−であり、dは0〜5の整数であり、p、q、r、s、tはそれぞれ独立に0〜100の整数であり、かつ、p+q+r+s+t=5〜100であり、括弧内に示される各単位はランダムに結合されていてよい。AはF、H、又は末端が−CF3基、−CF2H基又は−CH2F基である1価のフッ素含有基である。)

0041

上記p+q+r+s+t合計の繰り返し単位を5〜100個、特に10〜80個含むことが好ましい。
なお、Aの1価のフッ素含有基として、具体的には、下記のものが例示できる。
−CF3
−CF2CF3
−CF2CF2CF3
−CF2H
−CH2F

0042

上記(B)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとしては、下記式(12)〜(15)で示されるものが好ましく用いられる。



(式中、p1、q1、zは、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマーの繰り返し単位数を10〜100とする数である。)

0043

なお、(B)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーは、市販品を使用することができ、例えば、FOMBLIN、DEMNUM、KRYTOXという商標名で販売されているため、容易に手に入れることができる。
このようなポリマーとしては、例えば、下記構造のものが挙げられる。

0044

FOMBLIN Y(Solvay Solexis社製商品名、FOMBLIN Y25(重量平均分子量:3,200)、FOMBLIN Y45(重量平均分子量:4,100))



(式中、p1、q1は上記重量平均分子量を満足する数である。)

0045

FOMBLIN Z(Solvay Solexis社製商品名、FOMBLIN Z03(重量平均分子量:4,000)、FOMBLIN Z15(重量平均分子量:8,000)、FOMBLIN Z25(重量平均分子量:9,500))



(式中、p1、q1は上記重量平均分子量を満足する数である。)

0046

DEMNUM(ダイキン工業社製商品名、DEMNUM S20(重量平均分子量:2,700)、DEMNUM S65(重量平均分子量:4,500)、DEMNUM S100(重量平均分子量:5,600))



(式中、zは上記重量平均分子量を満足する数である。)

0047

KRYTOX(DuPont社製商品名、KRYTOX 143AB(重量平均分子量:3,500)、KRYTOX 143AX(重量平均分子量:4,700)、KRYTOX 143AC(重量平均分子量:5,500)、KRYTOX 143AD(重量平均分子量:7,000))



(式中、zは上記重量平均分子量を満足する数である。)

0048

フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(B)の重量平均分子量は、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物(A)の重量平均分子量以下で、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン及び/又はその部分加水分解縮合物(A)と相溶すればよく、0.25倍以上1倍以下、特に0.25倍以上0.9倍以下であることが好ましい。分子量上限は0.9倍以下が好ましい。更に、滑り性は、重量平均分子量が大きな方が優れる傾向にあるため、0.5倍以上1倍以下がより好ましい。ここで、フルオロオキシアルキレン基含有ポリマー(B)のAK225(旭硝子社製)を展開溶媒としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算重量平均分子量は、上記範囲内であれば特に限定されるものではないが、1,000〜15,000、特に1,500〜6,000であることが好ましい。
本発明の含フッ素コーティング剤において、(A)成分と(B)成分との混合質量比は(A):(B)=40:60〜95:5、好ましくは70:30〜85:15である。

0049

該含フッ素コーティング剤は、適当な溶剤に溶解させてから塗工することが好ましい。このような溶剤としては、フッ素変性脂肪族炭化水素系溶剤(ペンタフルオロブタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロヘプタンパーフルオロオクタンパーフルオロシクロヘキサン、パーフルオロ1,3−ジメチルシクロヘキサンなど)、フッ素変性芳香族炭化水素系溶剤m−キシレンヘキサフルオライドベンゾトリフルオライド、1,3トリフルオロメチルベンゼンなど)、フッ素変性エーテル系溶剤メチルパーフルオロプロピルエーテル、メチルパーフルオロブチルエーテル、エチルパーフルオロブチルエーテル、パーフルオロ(2−ブチルテトラヒドロフラン)など)、フッ素変性アルキルアミン系溶剤(パーフルオロトリブチルアミン、パーフルオロトリペンチルアミンなど)、炭化水素系溶剤石油ベンジンミネラルスピリッツトルエンキシレンなど)、ケトン系溶剤アセトンメチルエチルケトンメチルイソブチルケトンなど)、エーテル系溶剤(テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、など)、エステル系溶剤酢酸エチルなど)、アルコール系溶剤イソプロピルアルコールなど)を例示することができる。これらの中では、溶解性、濡れ性などの点で、フッ素変性された溶剤が望ましく、特にはエチルパーフルオロブチルエーテルやデカフルオロペンタン、ペンタフルオロブタン、パーフルオロヘキサンがより好ましい。上記溶剤は1種を単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。

0050

上記溶剤はその2種以上を混合してもよく、上記(A)、(B)成分を均一に溶解させることが好ましい。なお、溶剤に溶解させる(A)、(B)成分の最適濃度は、処理方法により異なるが0.01〜50質量%、特に0.03〜20質量%であることが好ましい。

0051

また、該含フッ素コーティング剤は、必要に応じて、本発明を損なわない範囲で他の添加剤を配合することができる。具体的には、加水分解縮合触媒、例えば、有機錫化合物ジブチル錫ジメトキシド、ジラウリン酸ジブチル錫等)、有機チタン化合物テトラn−ブチルチタネート等)、有機酸フッ素系カルボン酸酢酸メタンスルホン酸等)、無機酸(塩酸硫酸等)などが挙げられる。これらの中では、特にフッ素系カルボン酸、酢酸、テトラn−ブチルチタネート、ジラウリン酸ジブチル錫が望ましい。添加量触媒量であるが、通常、上記(A)成分100質量部に対して0.01〜5質量部、特に0.1〜1質量部である。

0052

含フッ素コーティング剤は、ウェット塗工法刷毛塗りディッピングスプレーインクジェット)、蒸着法など公知の方法で基材に施与することができるが、本発明の含フッ素コーティング剤は、特に、ウェット塗工法で塗工する際により効果的である。また、硬化温度は、硬化方法によって異なるが、室温から200℃の範囲が望ましい。硬化湿度としては、加湿下で行うことが反応を促進する上で望ましい。また、硬化皮膜膜厚は、基材の種類により適宜選定されるが、通常0.1〜100nm、特に3〜30nmである。

0053

上記含フッ素コーティング剤で処理される基材は、特に制限されず、紙、布、金属及びその酸化物、ガラス、プラスチックセラミック石英サファイヤなど各種材質のものであってよく、これらに撥水撥油性、耐薬品性、離型性、低動摩擦性、防汚性を付与することができる。基板の表面がハードコート処理や反射防止処理されていてもよい。密着性が悪い場合には、プライマー層として、SiO2層や加水分解性基やSiH基を有するシランカップリング剤層を設けるか、真空プラズマ処理大気圧プラズマ処理アルカリ処理酸処理することによって公知の方法で密着性を向上することができる。
なお、含フッ素コーティング剤が加水分解性基を有することから、基板にSiO2層をプライマーとして設け、その上に該含フッ素コーティング剤を塗工する。また、ガラス基板等の加水分解性基が基板と直接密着できるような場合には、SiO2層を設ける必要はない。塗工方法は、スプレー塗工、インクジェット塗工、Dip塗工が好適である。

0054

本発明の含フッ素コーティング剤で処理される物品としては、カーナビゲーションカーオーディオタブレットPC、スマートフォンウェラブ端末、携帯電話、デジタルカメラデジタルビデオカメラ、PDA、ポータブルオーディオプレーヤーゲーム機器、各種操作パネル電子公告等に使用される液晶ディスプレイ有機ELディスプレイプラズマディスプレイタッチパネルディスプレイや、眼鏡レンズカメラレンズレンズフィルターサングラス胃カメラ等の医療用器機、複写機保護フイルム反射防止フイルム等の光学物品が挙げられる。本発明の含フッ素コーティング剤は、前記物品に指紋及び皮脂が付着するのを防止し、更に傷つき防止性を付与することができるため、特にタッチパネルディスプレイの撥水撥油層として有用である。

0055

以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記実施例によって限定されるものではない。本実施例では、(A)成分と(B)成分とを混合したが、(A)成分を合成するための原料に、あらかじめ(B)成分を含ませた状態で(A)成分を合成させてもよい。なお、本発明の組成物は、単純に、シリカゲル等の吸着剤に(A)成分を吸着させたり、クロマトグラフ超臨界クロマトグラフに通したりすることで、(B)成分の抽出が可能であり、(A)成分と(B)成分の分子量の比較は簡便にできる。

0056

(A)成分のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シランとして、下記の化合物を準備した。

0057

化合物1



(p1+q1=80、重量平均分子量:8,500)

0058

化合物2



(p1+q1=50、重量平均分子量:5,100)

0059

化合物3



(p1+q1=45、重量平均分子量:5,600)

0060

化合物4
FOMBLIN Z03(Solvay Solexis社製)繰り返し単位:約45、重量平均分子量:4,000

0061

化合物5
FOMBLIN Z15(Solvay Solexis社製)繰り返し単位:約90、重量平均分子量:8,000

0062

化合物6
FOMBLIN Z60(Solvay Solexis社製)繰り返し単位:約90、重量平均分子量:13,000

0063

含フッ素コーティング剤の調製及び硬化被膜の形成
表1に示す混合割合で、固形分濃度0.1質量%になるようにエチルパーフルオロブチルエーテル〔Novec 7200(3M社製)〕に溶解させて含フッ素コーティング剤を調製した。ガラス(コーニング社製 GorillaII)を、プラズマ処理(Ar:10cc、O2:100cc、出力:200W、時間:30秒)で洗浄後、スプレー塗工装置(株式会社ティーアンドケー社製NST−51)でスプレー塗工した。その後、150℃で1時間硬化させて硬化被膜(膜厚:約15nm)を形成し、試験体を作製した。

0064

0065

得られた硬化被膜を下記の方法により評価した。何れの試験も、25℃、湿度50%で実施した。結果を表2に併記する。
[撥水撥油性の評価]
上記にて作製した試験体を用い、接触角計DropMaster(協和界面科学社製)を用いて、硬化被膜の水(液滴:2μl)に対する接触角を測定した。

0066

[ヘーズの評価]
上記にて作製した試験体のヘーズをJIS K 7136に従い測定した。
装置名:NDH−5000(日本電色社製)

0067

動摩擦係数の評価]
ベンコット(旭化成社製)に対する動摩擦係数を、表面性試験機14FW(新東科学社製)を用いて下記条件で測定した。
接触面積:10mm×35mm
荷重:200g

0068

[耐摩耗性の評価]
スチールウール(#0000)に対する耐摩耗性を、トライギアTYPE:30S(新東科学社製)を用いて5,000往復摩耗後の水接触角を測定した。
接触面積:10mm×10mm
荷重:1kg

0069

実施例

0070

上記の結果より、比較例1〜3では、(B)成分の平均分子量が、(A)成分より大きいために、ヘーズの大きな上昇が見られ、基板本来質感や視認性に悪影響を及ぼしている。比較例4では、ヘーズの上昇は見られないものの、コーティング剤に含まれる官能基成分の割合が少なすぎるため、耐スチールウール摩耗性が低下してしまう。比較例5では、ヘーズの上昇がやや見られ、(B)成分の量が少ないために、耐摩耗性が十分でない。比較例6では、(A)成分を含まないため、耐摩耗性を発揮することができていない。比較例7、8でも、(B)成分を含まないため、耐摩耗性を発揮することができていない。
一方、(A)成分と(B)成分との混合質量比が40:60〜95:5で含まれる含フッ素コーティング剤をコーティングしたサンプルは、ヘーズの上昇が抑えられ、動摩擦係数が低く、耐摩耗性も優れていた。

0071

本発明のフルオロオキシアルキレン基含有ポリマー変性シラン及びその部分加水分解縮合物とフルオロオキシアルキレン基含有ポリマーとを含有するコーティング剤は、基材の光学特性や質感を損なうことなく、低動摩擦性と撥水撥油性に優れた硬化被膜を与えることができる。このため、本発明の含フッ素コーティング剤は、特に、タッチパネルディスプレイ、反射防止フイルムなど油脂の付着が想定され、視認性が重要になる用途に非常に有効であり、また、ヘーズの上昇が抑えられているため、塗工後のヘーズを低減させるための洗浄や拭き取り作業が不要となる。

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