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技術 調質圧延設備の制御装置及び制御方法

出願人 JFEスチール株式会社
発明者 山内亮太高嶋由紀雄木島秀夫
出願日 2015年2月6日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2015-022447
公開日 2015年11月12日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2015-199123
状態 特許登録済
技術分野 圧延ロール・圧延スタンド・圧延機の駆動 圧延の制御
主要キーワード 蓄積データ数 軸受け箱 テーパロール コイル情報 操業実績データ 操業因子 圧下シリンダー 調質圧延設備
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (7)

課題

適切な圧延荷重鋼帯調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与すると共に鋼帯の形状を平坦にすること。

解決手段

重み係数算出部22が、類似度w1と時間空間上の重みw2とを用いて操業実績データベース21内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数wkを算出する。圧延荷重設定計算部23が、重み係数算出部22が算出した重み係数wkを用いて操業実績データベース21内に格納されている過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値φqを算出する。操業用計算機10が、圧延荷重設定計算部23が算出した圧延荷重予測値φqに従って次コイルの調質圧延を制御する。

概要

背景

鋼帯調質圧延工程は、熱間圧延工程において製造された鋼帯の形状を矯正して平坦化すると共に、鋼種及び使用用途に応じた目標伸び率を鋼帯に付与することによって降伏点伸び、引張強さ、及び伸び等の鋼帯の機械的性質を調整することを目的としている。熱間圧延工程後の鋼帯を平坦化し、目標伸び率を鋼帯に付与するためには、各コイル(鋼帯をコイル状に巻いたもの)の寸法及び強度に応じた圧延荷重を設定して鋼帯を圧延する必要がある。また、調質圧延によって鋼帯の形状を矯正する際には、ワークロールベンダーワークロールシフト等の形状矯正アクチュエータを利用することが一般的である。これは、圧延荷重による上下ワークロールの撓みを矯正することによって調質圧延後の鋼帯の形状を平坦にするためであり、各コイル毎に形状矯正アクチュエータの初期設定を行う必要がある。

このような背景から、特許文献1には、鋼帯と圧延ロール接触弧長や圧延ロール径等の数値を用いて圧延荷重の物理モデルを簡略化した数式を用いて、コイルの寸法及び強度に応じた圧延荷重を算出する方法が記載されている。また、特許文献2には、鋼帯の調質圧延における操業因子設定条件実績伸び率、及び実績圧延荷重をデータベースとして蓄積し、予測対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率と重み付けによる類似度が高い実績データを用いて圧延荷重を算出する方法が記載されている。また、特許文献3には、ワークロールベンダーを用いて圧延後の鋼帯の形状を制御する方法が記載されている。

概要

適切な圧延荷重で鋼帯の調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与すると共に鋼帯の形状を平坦にすること。重み係数算出部22が、類似度w1と時間空間上の重みw2とを用いて操業実績データベース21内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数wkを算出する。圧延荷重設定計算部23が、重み係数算出部22が算出した重み係数wkを用いて操業実績データベース21内に格納されている過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値φqを算出する。操業用計算機10が、圧延荷重設定計算部23が算出した圧延荷重予測値φqに従って次コイルの調質圧延を制御する。

目的

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、適切な圧延荷重で鋼帯の調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与可能であると共に鋼帯の形状を平坦にすることが可能な調質圧延設備制御装置及び制御方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

過去の操業における複数のコイル操業因子設定条件実績伸び率、及び実績圧延荷重に関する情報を格納する操業実績データベースと、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に圧延対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度を算出し、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び目標伸び率毎に時間空間上の重みを算出し、算出された類似度と時間空間上の重みとを用いて前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数を算出する重み係数算出部と、前記重み係数算出部によって算出された重み係数を用いて過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値を算出する圧延荷重設定計算部と、前記圧延荷重設定計算部によって算出された圧延荷重予測値に従って前記次コイルの調質圧延を制御する制御部と、を備えることを特徴とする調質圧延設備制御装置

請求項2

前記調質圧延設備は、S字形状プロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御部は、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御することを特徴とする請求項1に記載の調質圧延設備の制御装置。

請求項3

前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、前記一対のワークロールを支持する一対のバックアップロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御部は、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御することを特徴とする請求項1に記載の調質圧延設備の制御装置。

請求項4

操業実績データベース内に格納されている過去の操業における複数のコイルの操業因子設定条件及び実績伸び率毎に圧延対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度を算出し、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に時間空間上の重みを算出し、算出された類似度と時間空間上の重みとを用いて前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数を算出する重み係数算出ステップと、前記重み係数算出ステップにおいて算出された重み係数を用いて前記操業実績データベース内に格納されている過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値を算出する圧延荷重設定計算ステップと、前記圧延荷重設定計算ステップにおいて算出された圧延荷重予測値に従って前記次コイルの調質圧延を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする調質圧延設備の制御方法

請求項5

前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御ステップは、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の調質圧延設備の制御方法。

請求項6

前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、前記一対のワークロールを支持する一対のバックアップロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御ステップは、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御するステップを含むことを特徴とする請求項4に記載の調質圧延設備の制御方法。

技術分野

0001

本発明は、調質圧延設備制御装置及び制御方法に関する。

背景技術

0002

鋼帯調質圧延工程は、熱間圧延工程において製造された鋼帯の形状を矯正して平坦化すると共に、鋼種及び使用用途に応じた目標伸び率を鋼帯に付与することによって降伏点伸び、引張強さ、及び伸び等の鋼帯の機械的性質を調整することを目的としている。熱間圧延工程後の鋼帯を平坦化し、目標伸び率を鋼帯に付与するためには、各コイル(鋼帯をコイル状に巻いたもの)の寸法及び強度に応じた圧延荷重を設定して鋼帯を圧延する必要がある。また、調質圧延によって鋼帯の形状を矯正する際には、ワークロールベンダーワークロールシフト等の形状矯正アクチュエータを利用することが一般的である。これは、圧延荷重による上下ワークロールの撓みを矯正することによって調質圧延後の鋼帯の形状を平坦にするためであり、各コイル毎に形状矯正アクチュエータの初期設定を行う必要がある。

0003

このような背景から、特許文献1には、鋼帯と圧延ロール接触弧長や圧延ロール径等の数値を用いて圧延荷重の物理モデルを簡略化した数式を用いて、コイルの寸法及び強度に応じた圧延荷重を算出する方法が記載されている。また、特許文献2には、鋼帯の調質圧延における操業因子設定条件実績伸び率、及び実績圧延荷重をデータベースとして蓄積し、予測対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率と重み付けによる類似度が高い実績データを用いて圧延荷重を算出する方法が記載されている。また、特許文献3には、ワークロールベンダーを用いて圧延後の鋼帯の形状を制御する方法が記載されている。

先行技術

0004

特開2002−224726号公報
特開2013−123726号公報
特許第4808670号公報

発明が解決しようとする課題

0005

特許文献1記載の方法によれば、圧延荷重の物理モデルに基づいた計算式を用いて短時間で圧延荷重を算出することができる。しかしながら、特許文献1記載の方法では、計算時間を短縮するために圧延荷重の物理モデルを簡略化した数式により圧延荷重を算出しているため、圧延荷重の精度高く算出することができない。

0006

一方、特許文献2記載の方法では、過去の実績データに基づいて圧延荷重を算出しているが、実績データが古い場合、需要家からの製品に対する要求の変化に応じた製品仕様内での添加成分の変更に伴う圧延荷重の変化が反映されず、適切でない圧延荷重が算出される可能性がある。また、季節毎気温の変化や圧延ロールの冷却水及び潤滑油温度変化に応じた圧延荷重の変更に対応することもできない。また、特許文献3には、ワークロールベンダーを用いた鋼帯の形状矯正方法が記載されているが、ワークロールベンダーを適用可能な圧延機は4段式や6段式の圧延機等であり、2段式の圧延機にはワークロールベンダーを適用することができない。このため、特許文献3記載の方法を2段式の圧延機に適用しても圧延後の鋼帯の形状を平坦にすることはできない。

0007

本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、適切な圧延荷重で鋼帯の調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与可能であると共に鋼帯の形状を平坦にすることが可能な調質圧延設備の制御装置及び制御方法を提供することにある。

課題を解決するための手段

0008

本発明に係る調質圧延設備の制御装置は、過去の操業における複数のコイルの操業因子設定条件、実績伸び率、及び実績圧延荷重に関する情報を格納する操業実績データベースと、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に圧延対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度を算出し、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び目標伸び率毎に時間空間上の重みを算出し、算出された類似度と時間空間上の重みとを用いて前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数を算出する重み係数算出部と、前記重み係数算出部によって算出された重み係数を用いて過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値を算出する圧延荷重設定計算部と、前記圧延荷重設定計算部によって算出された圧延荷重予測値に従って前記次コイルの調質圧延を制御する制御部と、を備えることを特徴とする。

0009

本発明に係る調質圧延設備の制御装置は、上記発明において、前記調質圧延設備は、S字形状プロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御部は、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御することを特徴とする。

0010

本発明に係る調質圧延設備の制御装置は、上記発明において、前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、前記一対のワークロールを支持する一対のバックアップロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御部は、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御することを特徴とする。

0011

本発明に係る調質圧延設備の制御方法は、操業実績データベース内に格納されている過去の操業における複数のコイルの操業因子設定条件及び実績伸び率毎に圧延対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度を算出し、前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に時間空間上の重みを算出し、算出された類似度と時間空間上の重みとを用いて前記操業実績データベース内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数を算出する重み係数算出ステップと、前記重み係数算出ステップにおいて算出された重み係数を用いて前記操業実績データベース内に格納されている過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値を算出する圧延荷重設定計算ステップと、前記圧延荷重設定計算ステップにおいて算出された圧延荷重予測値に従って前記次コイルの調質圧延を制御する制御ステップと、を含むことを特徴とする。

0012

本発明に係る調質圧延設備の制御方法は、上記発明において、前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御ステップは、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御するステップを含むことを特徴とする。

0013

本発明に係る調質圧延設備の制御方法は、上記発明において、前記調質圧延設備は、S字形状のプロフィルを有し、前記コイルを圧延する一対のワークロールと、前記一対のワークロールを支持する一対のバックアップロールと、軸方向に互いに点対称になるように前記一対のワークロールを軸方向に移動させるロールシフト装置と、を備え、前記制御ステップは、前記圧延荷重予測値に従って前記ロールシフト装置を制御することによって前記一対のワークロールの軸方向の移動量を制御するステップを含むことを特徴とする。

発明の効果

0014

本発明に係る調質圧延設備の制御装置及び制御方法によれば、適切な圧延荷重で鋼帯の調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与することができると共に鋼帯の形状を平坦にすることができる。

図面の簡単な説明

0015

図1は、本発明の一実施形態である調質圧延設備の構成を示す模式図である。
図2は、図1に示す調質圧延設備の変形例の構成を示す模式図である。
図3は、図1に示す調質圧延設備の制御系の構成を示すブロック図である。
図4は、本発明の一実施形態である圧延荷重設定計算処理の流れを示すフローチャートである。
図5は、ワークロールの軸方向のプロフィルを示す図である。
図6は、ワークロールの軸方向のプロフィルを示す図である。

0016

以下、図面を参照して、本発明の一実施形態である調質圧延設備の制御装置及び制御方法について詳細に説明する。

0017

〔調質圧延設備の構成〕
始めに、図1及び図2を参照して、本発明の一実施形態である調質圧延設備の構成について説明する。

0018

図1は、本発明の一実施形態である調質圧延設備の構成を示す模式図である。図1(a),(b)に示すように、本発明の一実施形態である調質圧延設備1は、4段式の調質圧延設備によって構成され、一対のワークロール2a,2b、一対のバックアップロール3a,3b、ハウジング4、軸受け箱5、ロールシフト装置6、及び圧下シリンダー7を主な構成要素として備えている。

0019

一対のワークロール2a,2bは、鋼帯Sを圧下することによって鋼帯Sに対して調質圧延を行う圧延ロールである。一対のバックアップロール3a,3bは、一対のワークロール2a,2bの弾性変形を抑制するための圧延ロールである。ハウジング4は、一対のワークロール2a,2b及び一対のバックアップロール3a,3bを収容する枠体である。

0020

軸受け箱5は、各ロール幅方向端部を支持し、内部のベアリングによって各ロールの回転を円滑にする装置である。ロールシフト装置6は、鋼帯Sの幅や強度に応じて一対のワークロール2a,2bをその軸方向に移動する装置である。圧下シリンダー7は、下側のバックアップロール3bを上下動させることによって一対のワークロール2a,2b間の隙間の大きさを調整する装置である。

0021

なお、本実施形態では、調質圧延設備1は4段式の調質圧延設備によって構成されているとしたが、本発明は、4段式の調質圧延設備に限定されることはなく、図2(a),(b)に示すような2段式の調質圧延設備や6段式又はクラスタ型の調質圧延設備にも適用することができる。

0022

〔制御系の構成〕
次に、図3を参照して、上記調質圧延設備1の制御系の構成について説明する。

0023

図3は、図1に示す調質圧延設備の制御系の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本発明の一実施形態である調質圧延設備1の制御系は、操業用計算機プロセスコンピュータ)10及び圧延荷重設定用計算機20を備えている。

0024

操業用計算機10は、パーソナルコンピュータ等の情報処理装置によって構成されている。操業用計算機10は、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置コンピュータプログラムを実行することによって、異常データ有無確認部11及び設定情報送信部12として機能する。

0025

異常データ有無確認部11は、調質圧延設備1の操業実績データ収集し、操業実績データに異常値があるか否かを判定した後、正常な操業実績データのみを圧延荷重設定用計算機20に送信する。操業実績データに異常値があるか否かは、例えば鋼帯Sに付与された伸び率が目標伸び率の±20%の範囲内であるコイルの操業実績データを正常な操業実績データと判定することによって、判定することができる。目標通りの伸び率を鋼帯Sに付与できたコイルの操業実績データのみを圧延荷重設定用計算機20に送信することによって、後述する圧延荷重の計算精度を向上させることができる。操業実績データには、過去に調質圧延されたコイル毎の操業因子設定条件、実績伸び率、及び実績圧延荷重等の情報が含まれる。操業因子設定条件には、ワークロール2a,2bの直径、鋼帯Sの板厚、伸び率(実績、目標)、入側張力、及び出側張力等が含まれる。

0026

設定情報送信部12は、圧延対象の次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率に関する情報(次コイル情報)を圧延荷重設定用計算機20に送信する。また、設定情報送信部12は、圧延荷重設定用計算機20によって計算された圧延対象の次コイルの圧延荷重や張力等を含む調質圧延設備1の圧延条件に関する情報(設定情報)を調質圧延設備1に送信する。調質圧延設備1は、設定情報送信部12から送信された圧延条件に関する情報に従って圧延対象の次コイルの調質圧延を行う。

0027

圧延荷重設定用計算機20は、ワークステーション等の情報処理装置によって構成され、操業用計算機10から送信された操業実績データを格納する操業実績データベース21を備えている。なお、操業実績データベース21には操業実績データを新しい順に記憶しておき、操業実績データベース21内ではコイルの鋼種及び強度や板厚等の条件に応じて分類して操業実績データを格納しておくことが望ましい。各条件の操業実績データが1000程度格納されていれば十分な精度で圧延荷重を算出することができる。また、操業実績データベース21の記憶領域には限りがあり、操業実績データを記憶できるコイル数蓄積データ数)に限界があることから、最新の操業実績データを格納する際には、最も古い操業実績データを消去することが好ましい。

0028

圧延荷重設定用計算機20は、情報処理装置内部のCPU等の演算処理装置がコンピュータプログラムを実行することによって、重み係数算出部22及び圧延荷重設定計算部23として機能する。重み係数算出部22及び圧延荷重設定計算部23の機能については後述する。

0029

このような構成を有する調質圧延設備1では、圧延荷重設定用計算機20が以下に示す圧延荷重設定計算処理を実行することによって、適切な圧延荷重で鋼帯Sの調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯Sに精度高く付与すると共に鋼帯Sの形状を平坦にする。以下、図4に示すフローチャートを参照して、この圧延荷重設定計算処理を実行する際の圧延荷重設定用計算機20の動作について説明する。

0030

〔圧延荷重設定計算処理〕
図4は、本発明の一実施形態である圧延荷重設定計算処理の流れを示すフローチャートである。図4に示すフローチャートは、操業用計算機10の設定情報送信部12から圧延荷重設定用計算機20に圧延対象の次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率に関する情報が入力されたタイミングで開始となり、圧延荷重設定計算処理はステップS1の処理に進む。

0031

ステップS1の処理では、重み係数算出部22が、以下に示す数式(1),(2)を用いて、操業実績データベース21に格納されているn個の操業実績データ毎に圧延対象の次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度(重要度)w1を算出する。これにより、ステップS1の処理は完了し、圧延荷重設定計算処理はステップS2の処理に進む。

0032

0033

ここで、数式(1)において、k(=1〜n)は操業実績データベース21に操業実績データが格納されているコイル毎に付与された固有の番号、mは伸び率を含めた操業因子設定条件の数、xi(i=1〜m)は操業実績データベース21内に操業実績データが格納されているコイル毎の実績伸び率を含めた各操業因子設定条件の値、qi(i=1〜m)は次コイルの目標伸び率を含めた各操業因子設定条件の値、ηi(i=1〜m)は伸び率や板厚等のように異なる尺度操業因子スケーリングするための重みパラメータである。また、数式(2)において、hは類似度w1の広がりを調整するためのパラメータであり、その値が小さいほど類似する操業実績データのみを重要視することができる。一方、hの値を大きくすると類似する操業実績データの範囲を広げることになり、h=∞の時は重みの無い単純重回帰となる。

0034

ステップS2の処理では、重み係数算出部22が、操業実績データベース21に格納されている操業実績データ毎に圧延対象の次コイルに対する時間空間上の重み(至近度)w2を算出する。具体的には、重み係数算出部22は、時間空間上の重みw2を以下の数式(3)に示す時間パラメータλを用いた指数関数として、操業実績データベース21に格納されている操業実績データ毎に時間空間上の重みw2を算出する。

0035

0036

操業実績データを新しい順に並べておき、k=1の操業実績データが最新であるとすると、数式(3)に示す重みw2によれば、k=1の操業実績データに対して最大の時間空間上の重みαが付与され、kの値が大きくなるにつれて、時間空間上の重みw2は減衰してゼロに近づくことになる。これにより、ステップS2の処理は完了し、圧延荷重設定計算処理はステップS3の処理に進む。

0037

ステップS3の処理では、重み係数算出部22が、ステップS1の処理において算出された類似度w1とステップS2の処理において算出された時間空間上の重みw2とを用いて、以下に示す数式(4)から操業実績データベース21に格納されているn個の操業実績データ毎に重み係数wk(k=1〜n)を算出する。これにより、ステップS3の処理は完了し、圧延荷重設定計算処理はステップS4の処理に進む。

0038

0039

ステップS4の処理では、圧延荷重設定計算部23が、以下に示す数式(5)に圧延対象の次コイルの目標伸び率を含めた操業因子設定条件qi(i=1〜m)を代入することによって、操業因子設定条件qi(i=1〜m)で次コイルを圧延する圧延荷重(圧延荷重予測値)φqを算出する。そして、圧延荷重設定計算部23は、算出された圧延荷重予測値φqを設定情報送信部12に送信する。なお、数式(5)において各操業因子設定条件qiにかかる係数βi(i=1〜m)および定数項のβ0は、ステップS3の処理において算出された重み係数wk(k=1〜n)を用いて以下に示す数式(6)により算出される(数式(6)の左辺βは数式(5)のβと同様にβ0、β1〜βmを示しており、数式(6)の右辺満足するように決定する。)。

0040

0041

ここで、数式(6)において、ykはk番目の操業実績データにおける圧延荷重、φkは圧延荷重ykで調質圧延を行ったコイルの操業因子設定条件xiを数式(6)に代入することによって得られる圧延荷重予測値である。このように重み係数wk(k=1〜n)を付与した条件下で、各操業因子設定条件における最小二乗誤差近似を求めることで係数βi(i=1〜m)を算出する。なお、単純回帰の場合、数式(6)は以下に示す数式(7)のように記述され、重み係数wk(k=1〜n)が無く(重みが一定値)、係数βi(i=1〜m)も一定となる。これにより、ステップS4の処理は完了し、一連の圧延荷重設定計算処理は終了する。

0042

0043

以上の説明から明らかなように、本発明の一実施形態である圧延荷重設定計算処理では、始めに、重み係数算出部22が、操業実績データベース21内に格納されている過去の操業における複数のコイルの操業因子設定条件及び実績伸び率毎に圧延対象である次コイルの操業因子設定条件及び目標伸び率との類似度w1を算出し、操業実績データベース21内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に時間空間上の重みw2を算出し、算出された類似度w1と時間空間上の重みw2とを用いて操業実績データベース21内に格納されている操業因子設定条件及び実績伸び率毎に重み係数wkを算出する。

0044

次に、圧延荷重設定計算部23が、重み係数算出部22が算出した重み係数wkを用いて操業実績データベース21内に格納されている過去の操業における複数のコイルの実績圧延荷重から圧延対象である次コイルの圧延荷重予測値φqを算出する。そして、操業用計算機10が、圧延荷重設定計算部23が算出した圧延荷重予測値φqに従って次コイルの調質圧延を制御する。これにより、適切な圧延荷重で鋼帯の調質圧延を行うことによって目標とする伸び率を鋼帯に精度高く付与することができると共に鋼帯Sの形状を平坦にすることができる。また、圧延荷重の算出精度を保つためにパラメータ調整メンテナンスを行う必要がない。

0045

なお、圧延荷重が鋼帯Sの幅に比例することは一般的に知られている。このため、圧延荷重設定計算処理では、直接圧荷重を求めても良いし、圧延幅1mm当たりの圧延荷重である線荷重(ton/mm)を算出し、算出値に圧延幅を乗ずることによって圧延荷重を求めても良い。圧延荷重を直接算出する場合、操業因子設定条件に鋼帯の幅を含めることが好ましく、線荷重を求める場合には、操業実績データには圧延荷重を鋼帯の幅で除した値(線荷重)を含めることが望ましい。

0046

ロールシフト位置の決定〕
目標とする伸び率を鋼帯Sに付与するために適切な圧延荷重を算出しても、圧延によってワークロールが撓むことによって鋼帯の幅方向端部のみが強圧下されると、鋼帯の全幅にわたって伸び率を均等に付与することができず、圧延後の鋼板の形状を平坦にすることができない。そこで、本実施形態では、ワークロール2a,2bに予めイニシャルクラウンを付与しておくことにより、圧延でワークロール2a,2bが撓んでも鋼帯の全幅の形状が乱れることなく、鋼帯の全幅にわたって伸び率を均等に付与することを可能にしている。

0047

ここで、図5を参照して、ワークロール2a,2bの形状について具体的に説明する。図5は、ワークロール2a,2bの軸方向のプロフィルを示す図である。図5に示すように、本実施形態では、ワークロール2a,2bの軸方向のプロフィルは、S字形状になっており、ワークロール2a,2bが軸方向に互いに補完し合うイニシャルロールカーブを有している。ここで、ロールプロフィルがS字形状であるとは、ロール半径(又は直径)がロール軸方向で滑らかに変化し、その極大点極小点とがロール軸方向のワークロールの範囲内に存在していることを意味する。

0048

このような構成によれば、ロールシフト装置6を利用して軸方向に互いに点対称となるようにワークロール2a,2bを移動させることによって、図5曲線L3で示すように、ワークロール2a,2b間の隙間の大きさは常に軸方向中央部においてゼロとなり、軸方向端部に向かうに従って大きくなる。これにより、凸形状のプロフィルを有するロールで圧延するのと同等の効果を得ることができる。

0049

また、このような構成によれば、ワークロール2a,2bの移動位置(ロールシフト位置)を鋼帯の圧延荷重、幅、及び強度に応じて変更することによって、任意の凸形状のプロフィルを有するロールで圧延することができる。これにより、ワークロール2a,2bの撓みで幅方向端部のみが強圧下となることを回避でき、調質圧延後の鋼板の形状を平坦にすることができる。ワークロール2a,2bの軸方向のプロフィルyu,ylは、ワークロール2a,2bの軸方向中央部をゼロとした軸方向位置をxとして、例えば以下の数式(8),(9)に示すような3次関数として表すことができる。

0050

0051

ここで、数式(8),(9)に示す係数C1,C2,C3は、同一の値とし、2次の項のみワークロール2aとワークロール2bとで符号を変更することにより、ワークロール2a,2b間の隙間は軸方向中央部を頂点とした2次関数となる。ロールシフト位置は、圧延荷重によるワークロールの撓み量が予想できるため、その撓み量を補完するのに相応しいイニシャルロールクラウンとなるように決定する。すなわち、圧延荷重が大きい時は凸形状が大きいロールでの圧延に相当し、圧延荷重が小さい時には凸形状が小さいロールでの圧延に相当するようにロールシフト位置を設定する。

0052

なお、圧延機の形態は、4段式及び2段式の圧延機でもよく、ワークロールのプロフィルをS字形状とすることで同様の効果を得ることができる。また、本実施形態では、ワークロールのプロフィルはS字形状としたが、軸方向端部のみにテーパを付与したテーパロールであってもよい。また、圧延機の形式については、上下ワークロールのみの2段式の圧延機のワークロールに適用することも、ワークロールの撓みを抑制するバックアップロールを備えた2段式の圧延機のワークロールに適用することも可能である。

0053

本実施例では、ワークロールの直径が830mmである2段式の調質圧延設備を用いて鋼帯の調質圧延を行った。鋼帯の材質低炭素鋼、鋼帯の降伏応力は270MPa、鋼帯の板厚は2.6mm、鋼帯の板幅は1300mmであった。また、鋼帯の目標伸び率を0.6%、鋼帯の入側張力を18ton、鋼帯の出側張力を20tonとした。また、鋼帯の圧延前に操業実績データベース21に下記条件を満たすコイルの操業実績データ1000個を格納しておいた。

0054

〔条件〕
板厚:2.0〜3.0mm
板幅:1000〜1500mm
目標伸び率:0.4〜1.2%
ワークロールの直径:830〜850mm
入側張力:15〜20ton
出側張力:16〜22ton
実績伸び率/目標伸び率:0.8%以上1.2%以下

0055

そして、調質圧延における実績圧延荷重に対する圧延荷重予測値(圧延荷重設定値)の精度(予測誤差)を特許文献2記載の従来例と本発明例とで比較した。ここで、予測誤差とは、以下の数式に示すように、実際の圧延荷重と圧延荷重予測値との差を実際の圧延荷重で除した値を意味する。

0056

予測誤差={(実際の圧延荷重−圧延荷重予測値)/実際の圧延荷重}×100%

0057

その結果、本発明例を用いた場合における予測誤差は±1.1%以内であった。これに対して、同じ操業実績データを用いて特許文献2記載の従来例で圧延荷重を算出した結場合における予測誤差は±1.5%であった。以上のことから、本発明例のように、操業実績データに時間空間上の重みを加えることによって至近の操業実績データに重きを置くことにより、圧延荷重を精度高く算出できることが確認できた。

0058

本実施例では、ワークロールの直径が830mm、ワークロールの幅が1800mmである2段式の調質圧延機を用いて鋼帯の調質圧延を行った。鋼帯の材質を低炭素鋼、鋼帯の降伏応力を270MPa、鋼帯の板厚を3.2mm、鋼帯の板幅を1200mm、鋼帯の目標伸び率を0.4%、鋼帯の入側張力を20tonとしたところ、適正な圧延荷重は340Ttonfと算出された。ワークロールの軸方向のプロフィルは、係数C1,C2,C3の値をそれぞれ1.028E−9、1.543E−07、−7.241E−04とした時の数式(8),(9)により表される形状とした。そして、図5に示すように、上側のワークロール2a(上ロール)をプラス方向へ4mm移動し、下側のワークロール2b(下ロール)をマイナス方向へ4mm移動させた状態で圧延したところ、目標伸び率0.4%を達成すると共に圧延後の形状も平坦な形状することができた。なお、図5に示す曲線L1,L2,L3はそれぞれ、上ロールの下端位置、下ロールの上端位置、及び上ロールと下ロールとの間の隙間の大きさを示している。

0059

本実施例では、ワークロールの直径及び幅がそれぞれ600mm及び2000mmであり、バックアップロールの直径及び幅がそれぞれ1300mm及び2200mmである4段式の調質圧延機を用いて鋼帯の調質圧延を行った。鋼帯及び圧延荷重は実施例2と同じとした。ワークロールの軸方向のプロフィルは、係数C1,C2,C3の値をそれぞれ8.230E−10、1.235E−07、5.793E−04とした時の数式(8),(9)により表される形状とした。そして、図6に示すように、上側のワークロール2a(上ロール)をプラス方向へ30mm移動し、下側のワークロール2b(下ロール)をマイナス方向へ30mm移動させた状態で圧延した。また、4段式の調質圧延機はバックアップロールを有し、圧延時のワークロールの撓みを抑制できるので、無負荷時のワークロール2a,2b間の隙間は2段式の圧延機の際と比べて小さくした。この結果、目標伸び率0.4%を達成し、圧延後の形状も平坦であった。なお、図6に示す曲線L1,L2,L3はそれぞれ、上ロールの下端位置、下ロールの上端位置、及び上ロールと下ロールとの間の隙間の大きさを示している。

実施例

0060

以上、本発明者らによってなされた発明を適用した実施の形態について説明したが、本実施形態による本発明の開示の一部をなす記述及び図面により本発明は限定されることはない。すなわち、本実施形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例、及び運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。

0061

1調質圧延設備
2a,2bワークロール
3a,3bバックアップロール
4ハウジング
5軸受け箱
6ロールシフト装置
7圧下シリンダー
10操業用計算機
11 異常データ有無確認部
12設定情報送信部
20圧延荷重設定用計算機
21操業実績データベース
22重み係数算出部
23 圧延荷重設定計算部
S 鋼帯

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