図面 (/)

技術 超解像観察装置及び超解像観察方法

出願人 株式会社ニコン
発明者 嶽文宏矢澤洋紀
出願日 2014年4月1日 (4年7ヶ月経過) 出願番号 2014-075615
公開日 2015年11月9日 (3年0ヶ月経過) 公開番号 2015-197606
状態 特許登録済
技術分野 顕微鏡、コンデンサー 蛍光または発光による材料の調査,分析 光学的手段による材料の調査、分析
主要キーワード 中央領 時間変化波形 パルス形 二次元スキャン 射出光路 光路長調整機構 面分解能 光周波数ω
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年11月9日)のものです。
また、この項目は機械的に抽出しているため、正しく解析できていない場合があります

図面 (12)

課題

無染色試料超解像観察する。

解決手段

本発明を例示する超解像観察装置の一態様は、光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する抽出部とを備える。

概要

背景

近年、バイオサイエンス、特に分子生物学の分野や病理診断の分野では、試料蛍光プローブなどで染色せず「そのままの状態で」顕微することのできる無染色顕微鏡の必要性が高まりつつある。この無染色顕微鏡が満たすべき要求は、主に以下の(1)、(2)である。
(1)高い光学分解能(例えば、平面分解能<50nm、奥行分解能<100nm)。
(2)試料内部における観察対象識別能力

これらの要求を満たす可能性のある新しい無染色顕微鏡として、誘導放出顕微鏡が提案された(特許文献1等を参照。)。

概要

無染色試料超解像観察する。本発明を例示する超解像観察装置の一態様は、光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する抽出部とを備える。

目的

本発明は、上記の課題を解決すべく、試料を染色せずに超解像観察することの可能な超解像観察装置及び超解像観察方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ライセンス契約や譲渡などの可能性がある特許掲載中! 開放特許随時追加・更新中 詳しくはこちら

請求項1

光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する抽出部と、を備えることを特徴とする超解像観察装置

請求項2

請求項1に記載の超解像観察装置において、前記変調部の変調対象である前記特性は、前記第1照明光の強度、位相偏光光周波数の何れかであることを特徴とする超解像観察装置。

請求項3

請求項1又は請求項2に記載の超解像観察装置において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域内の観察対象物質で誘導放出過程生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記誘導放出過程による前記観察対象物質の光吸収量飽和するように設定されることを特徴とする超解像観察装置。

請求項4

請求項1又は請求項2に記載の超解像観察装置において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域内の観察対象物質で励起状態吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記励起状態吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定されることを特徴とする超解像観察装置。

請求項5

請求項1又は請求項2に記載の超解像観察装置において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域内の観察対象物質で基底準位枯渇過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記基底準位枯渇過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定されることを特徴とする超解像観察装置。

請求項6

請求項3〜請求項5の何れか一項に記載の超解像観察装置において、前記抽出部の抽出対象は、周波数N×fmで前記特性の変化する成分である(但し、Nは2以上の整数)ことを特徴とする超解像観察装置。

請求項7

請求項1又は請求項2に記載の超解像観察装置において、前記領域に対する前記第2照明光の照射は省略され、前記第1照明光の強度及び前記光周波数ω1の組み合わせは、前記領域内の観察対象物質で1光子吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記1光子吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定され、前記抽出部の抽出対象は、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分であることを特徴とする超解像観察蔵置

請求項8

請求項1又は請求項2に記載の超解像観察装置において、前記領域に対する前記第2照明光の照射は省略され、前記第1照明光の強度及び前記光周波数ω1の組み合わせは、前記領域内の観察対象物質で2光子吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記2光子吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定され、前記抽出部の抽出対象は、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分であることを特徴とする超解像観察装置。

請求項9

光周波数ω1の照明光を観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分を抽出する抽出部とを備えることを特徴とする超解像観察装置。

請求項10

光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光し、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調し、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出することを特徴とする超解像観察方法

請求項11

光周波数ω1の照明光を観察対象面の領域に集光し、前記領域に向かう前記照明光の特性を変調周波数fmで変調し、前記照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分を抽出することを特徴とする超解像観察方法。

技術分野

0001

本発明は、超解像観察装置及び超解像観察方法に関する。

背景技術

0002

近年、バイオサイエンス、特に分子生物学の分野や病理診断の分野では、試料蛍光プローブなどで染色せず「そのままの状態で」顕微することのできる無染色顕微鏡の必要性が高まりつつある。この無染色顕微鏡が満たすべき要求は、主に以下の(1)、(2)である。
(1)高い光学分解能(例えば、平面分解能<50nm、奥行分解能<100nm)。
(2)試料内部における観察対象識別能力

0003

これらの要求を満たす可能性のある新しい無染色顕微鏡として、誘導放出顕微鏡が提案された(特許文献1等を参照。)。

先行技術

0004

国際公開第2011/099269号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0005

誘導放出顕微鏡は、観察対象物固有エネルギー準位を利用するため、上記の要求(2)を十分に満たしうるものの、上記の要求(1)を満たすためには依然として改善の余地があり、ここに現状の課題が存する。

0006

そこで本発明は、上記の課題を解決すべく、試料を染色せずに超解像観察することの可能な超解像観察装置及び超解像観察方法を提供する。

課題を解決するための手段

0007

本発明を例示する超解像観察装置の一態様は、光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する抽出部とを備える。

0008

本発明を例示する超解像観察装置の一態様は、光周波数ω1の照明光を観察対象面の領域に集光する照明光学系と、前記領域に向かう前記照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部と、前記照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分を抽出する抽出部とを備える。

0009

本発明を例示する超解像観察方法の一態様は、光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面の領域に集光し、前記領域に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調し、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する。

0010

本発明を例示する超解像観察方法の一態様は、光周波数ω1の照明光を観察対象面の領域に集光し、前記領域に向かう前記照明光の特性を変調周波数fmで変調し、前記照明光に応じて前記領域で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分を抽出する。

発明の効果

0011

本発明によれば、試料を染色せずに超解像観察することの可能な超解像観察装置及び超解像観察方法が実現する。

図面の簡単な説明

0012

本実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。
観察対象面P0へ入射する励起光及び誘導光時間変化波形である(励起光の変調を可視化してないもの)。
観察対象面P0へ入射する励起光及び誘導光の時間変化波形(励起光の変調を可視化したもの)である。
光スポットSの各領域へ入射する各光と各領域から射出する各光とを比較する図である。
第2実施形態において光スポットSの各領域へ入射する各光と各領域から射出する各光とを比較する図である。
第3実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。
第3実施形態において光スポットSの各領域へ入射する各光と各領域から射出する各光とを比較する図である。
第4実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。
第4実施形態において光スポットSの各領域へ入射する光と各領域から射出する各光とを比較する図である。
第5実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。
第5実施形態において光スポットSの各領域へ入射する光と各領域から射出する各光とを比較する図である。

実施例

0013

[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態として誘導放出過程を利用した超解像顕微鏡を説明する。

0014

図1は、本実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。図1に示すとおり超解像顕微鏡には、パルスレーザ光源11と、レンズ12と、ビームスプリッタ131と、ミラーM1と、光パラメトリック発振器(OPO:optical parametric oscillator)141、143と、音響光学変調器(AOM:Acousto-optic modulator)15と、ミラーM2と、ダイクロイックミラー134と、対物レンズ19と、試料20と、試料ステージ28と、対物レンズ21と、波長選択フィルタ22と、集光レンズ23と、フォトダイオードなどの光検出器24と、ロックインアンプ25と、信号発生器26と、パーソナルコンピュータ27とが配置される。

0015

パルスレーザ光源11は、フェムト秒パルスレーザ光源、ピコ秒パルスレーザ光源などのパルスレーザ光源である。パルスレーザ光源11によるパルス発振繰り返し周波数frは、例えば80MHzであり、パルスレーザ光源11が発振するパルスレーザ光パルス幅ΔTは、例えば数百fs(フェムト秒)である。

0016

パルスレーザ光源11から射出したパルスレーザ光は、レンズ12により径の太い平行光束となり、ビームスプリッタ131へ入射する。ビームスプリッタ131へ入射したパルスレーザ光は、ビームスプリッタ131を透過するパルスレーザ光と、ビームスプリッタ131を反射するパルスレーザ光とに分割され、ビームスプリッタ131を透過したパルスレーザ光は光パラメトリック発振器141へ入射する。

0017

ビームスプリッタ131を反射したパルスレーザ光は、ミラーM1を反射し、光パラメトリック発振器143へ入射する。

0018

光パラメトリック発振器141は、入射したパルスレーザ光の光周波数をω1に変換し、光パラメトリック発振器143は、入射したパルスレーザ光の光周波数をω2に変換する。ここでは、光周波数ω1、ω2の大小関係をω1>ω2とする。

0019

音響光学変調器15は、光パラメトリック発振器141の射出光路、つまり光周波数ω1のパルスレーザ光の単独光路に配置され、そのパルスレーザ光の強度を時間方向にかけて単一周波数fmの正弦波で変調する。なお、音響光学変調器15によるパルスレーザ光の変調波形(変調周波数fm)は、信号発生器26から与えられる制御信号によって制御される。

0020

光パラメトリック発振器141から射出した光周波数ω1のパルスレーザ光は、音響光学変調器15を介してミラーM2を反射し、ダイクロイックミラー134を反射する。

0021

光パラメトリック発振器143から射出した光周波数ω2のパルスレーザ光は、ダイクロイックミラー134を透過し、光周波数ω1のパルスレーザ光と光路を統合させる。

0022

互いの光路を統合させた光周波数ω1、ω2のパルスレーザ光は、対物レンズ19により、試料20の観察対象面P0の微小領域に向かって集光され、光スポットを形成する。

0023

なお、観察対象面P0に光周波数ω1のパルスレーザ光が形成する光スポットと、観察対象面P0に光周波数ω2のパルスレーザ光が形成する光スポットとの間では、形状、位置、及びサイズがほぼ共通である。以下、観察対象面P0に光周波数ω1のパルスレーザ光が形成する光スポットと、観察対象面P0に光周波数ω2のパルスレーザ光が形成する光スポットとを区別せず単に「光スポットS」と称す。

0024

ここで、光周波数ω1のパルスレーザ光の光路長と、光周波数ω2のパルスレーザ光の光路長との関係は、観察対象面P0に照射される順序が以下の順序となるように予め調整されている。

0025

(1)光周波数ω1のパルスレーザ光
(2)光周波数ω2のパルスレーザ光
このうち、先に照射される光周波数ω1のパルスレーザ光には、光スポットSに存在する特定の観察対象物質の電子のエネルギー準位を励起準位へと移行光吸収)させる働きがあり、次に照射される光周波数ω2のパルスレーザ光には、励起中の電子を基底準位へ移行(誘導放出)させて光周波数ω2の誘導放出光を発生させる働きがある。

0026

そこで以下では、先に照射される光周波数ω1のパルスレーザ光を「励起光」と称し、次に照射される光周波数ω2のパルスレーザ光を「誘導光」と称す。

0027

なお、本実施形態の超解像顕微鏡において、励起光及び誘導光の各々のパルス形状(パルス光強度、パルス幅)と光周波数ω1、ω2との組み合わせは、光スポットSに存在する観察対象物質にて上述した誘導放出過程(上述した励起及び誘導放出)が生起するように予め調整されている。光周波数ω1、ω2の各々は、波長換算でおよそ紫外域近赤外域波長範囲内に設定されることが望ましく、パルス幅は、ピコ秒〜フェムト秒の時間幅に設定されることが望ましい。

0028

また、本実施形態の超解像顕微鏡において、励起光及び誘導光の各々のパルス光強度は、光スポットSの中央領域A2における光吸収量飽和し、かつ、光スポットSの周辺領域A1における光吸収量が飽和しないよう適度な値に予め調整されている。なお、光吸収量が飽和しているか否かを判別するためには、後述する高周波数成分が検出されるか否かを判別すればよい。

0029

なお、励起光及び誘導光の各々のパルス形状(パルス光強度、パルス幅)は、パルスレーザ光源11が発振するパルスの形状と、ビームスプリッタ131の透過反射率とによって調整することが可能である。或いは、励起光及び誘導光の少なくとも一方の光路にNDフィルタ(不図示)を配置し、そのNDフィルタの透過率を調整してもよい。

0030

図2(a)に示すのは観察対象面P0に入射する励起光の時間変化波形であり、図2(b)に示すのは観察対象面P0に入射する誘導光の時間変化波形である。

0031

図2(a)、(b)に示すとおり励起光と誘導光の間でパルスの繰り返し周期Trは共通であるが、励起光と誘導光の間でパルスが観察対象面P0に到達するタイミングは若干ずれている。図2(c)は、励起光及び誘導光の3パルス分の波形同一座標上に拡大表示したものである。図2(c)において実線で示すのが励起光のパルスであり、点線で示すのが誘導光のパルスである。図2(c)に示すとおり励起光のパルスが観察対象面P0に到達するタイミングと、誘導光のパルスが観察対象面P0に到達するタイミングとの間のズレΔは、励起光及び誘導光の各々のパルス幅ΔTより若干大きい程度、例えば数百fs(フェムト秒)である。

0032

なお、励起光及び誘導光が観察対象面P0に到達するタイミングのズレΔを調整するために、本実施形態の超解像顕微鏡では、励起光の単独光路と誘導光の単独光路とのうち少なくとも一方の光路には、可動ミラーなどで構成された光路長調整機構(不図示)が設けられていることが望ましい。

0033

また、図2(a)、(b)では、音響光学変調器15による励起光の変調を可視化しなかったが、可視化すると図3(a)、(b)のとおりである。図3に示すとおり、音響光学変調器15による励起光の変調周波数fmは、パルスの繰り返し周波数frと比較して十分に低く、少なくともfm≦fr/2の関係を満たし、例えばfmは数MHz程度である。なお、図3において符号Tmで示すのは励起光の変調周期(=変調周波数fmの逆数)である。

0034

さて、図1戻り、試料20は、例えば、培養液と共に培養容器に収容された透明な生体細胞であり、この生体細胞中の特定物質(例えば、ヘモグロビンなどの特定タンパク質)が観察対象物質である。上述した誘導放出過程では、観察対象物質に固有のエネルギー準位の変位(光吸収)を利用するため、観察対象物質が予め蛍光染色されている必要は無い。

0035

試料ステージ28は、試料20を支持し、光軸方向(Z方向)にかけて試料20を移動させると共に、光軸と垂直な方向(XY方向)にかけて試料20を移動させる透過型ステージである。試料ステージ28がZ方向にかけて試料20を移動させると、試料20の内部における観察対象面P0の深さが調整され、試料ステージ28がXY方向にかけて試料20を移動させると、光スポットSで観察対象面P0を二次元スキャンすることができる。

0036

観察対象面P0の光スポットSから射出した光、すなわち、光スポットSから射出した励起光(余剰励起光)、光スポットから射出した誘導光(余剰誘導光)、光スポットで発生した誘導放出光は、対物レンズ21の先端側から対物レンズ21に入射する。

0037

対物レンズ21の仕様開口数倍率など)は、対物レンズ19の仕様と同じであり、対物レンズ21と対物レンズ19との間の位置関係及び姿勢関係は、観察対象面P0に関して対称である。なお、ここでは対物レンズ21の仕様と対物レンズ19の仕様とを共通としたが、完全に共通でなくても構わない。例えば、対物レンズ21の開口数は対物レンズ19の開口数より大きくても良い。

0038

対物レンズ21に先端側から入射した光、すなわち、観察対象面P0の光スポットSから射出した励起光(余剰励起光)、観察対象面P0の光スポットSから射出した誘導光(余剰誘導光)、観察対象面P0の光スポットSから射出した誘導放出光は、対物レンズ21の瞳側から射出し、波長選択フィルタ22、集光レンズ23を順に介して光検出器24へ向かう。

0039

ここで、波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光と光周波数ω2の光との一方をカットし、かつ、他方を通過させる波長選択性が付与されている。以下、波長選択フィルタ22は、光周波数ω1の光を通過させ、かつ光周波数ω2の光をカットすると仮定する。

0040

よって、光スポットSから射出した余剰励起光(光周波数ω1)は光検出器24へ入射し、光スポットSから射出した余剰誘導光及び誘導放出光(光周波数ω2)は光検出器24へ入射しない。

0041

光検出器24は、入射光の強度を電気信号に変換するフォトダイオードなどの光電変換素子である。

0042

ロックインアンプ25は、光検出器24の出力する電気信号から、励起光の変調周波数fmの2倍周波数(2fm)で変化する成分を信号としてロックイン検出する。なお、ロックインアンプ25の検出周波数及び検出タイミングは、信号発生器26から与えられる制御信号によって制御される。

0043

パーソナルコンピュータ27は、ロックインアンプ25の検出した信号を取り込む。また、パーソナルコンピュータ27は、前述したスキャン中、光スポットSが観察対象面P0の各位置にあるとき(具体的には、光スポットSの中央領域A2が観察対象面P0の各位置にあるとき)に信号の取り込みを行い、観察対象面P0における信号の分布超解像画像として作成すると、不図示のモニタへ表示する。

0044

以下、図4を参照して超解像顕微鏡の超解像効果を説明する。

0045

図4(a)に示すのは、光スポットSの周辺領域A1へ照射される光の時間変化波形であって、図4(a)符号ω1は、励起光(照射励起光)の波形であり、図4(a)符号ω2は、誘導光(照射誘導光)の波形である(なお、図4では、細かなパルスの図示を省略し、パルスの包絡線のみを示した。)。

0046

図4(a’)に示すのは、光スポットSの周辺領域A1から射出する光の時間変化波形であって、図4(a’)符号ω1は、光吸収に寄与しなかった余剰励起光の波形であり、図4(a’)符号ω2は、誘導光及び誘導放出光(以下、まとめて「余剰誘導放出光」と称す。)の合成波形である。

0047

図4(b)に示すのは、光スポットSの中央領域A2へ照射される光の時間変化波形であって、図4(b)符号ω1は、励起光(照射励起光)の波形であり、図4(b)符号ω2は、誘導光(照射誘導光)の波形である。

0048

図4(b’)に示すのは、光スポットSの中央領域A2から射出する光の時間変化波形であって、図4(b’)符号ω1は、光吸収に寄与しなかった余剰励起光の波形であり、図4(b’)符号ω2は、誘導光及び誘導放出光(以下、まとめて「余剰誘導・放出光」と称す。)の合成波形である。

0049

さて、本実施形態の超解像顕微鏡では、上述したとおり励起光が変調周波数fmで変調されるので、周辺領域A1に対する照射励起光の強度(図4(a)符号ω1)、中央領域A2に対する照射励起光の強度(図4(b)符号ω1)は、共に変調周波数fmで時間変化する。

0050

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、これらの照射励起光が変調周波数fmで時間変化するので、周辺領域A1における光吸収量(不図示)、中央領域A2における光吸収量(不図示)も、基本的には周波数fmで時間変化する。

0051

このため、本実施形態の超解像顕微鏡では、周辺領域A1から射出する余剰励起光の時間変化波形(図4(a’)符号ω1)、中央領域A2から射出する余剰励起光の時間変化波形(図4(b’)符号ω1)の各々には、周波数fmの周波数成分が発生する。

0052

但し、本実施形態の超解像顕微鏡装置では、周辺領域A1における光吸収量(不図示)は飽和しないのに対して、中央領域A2における光吸収量(不図示)は飽和する。

0053

したがって、周辺領域A1から射出する余剰励起光の時間変化波形(図4(a’)符号ω1)には周波数fmを超える高い周波数成分が発生しないのに対して、中央領域A2から射出する余剰励起光の時間変化波形(図4(b’)符号ω1)には周波数fmを超える高い周波数成分(例えば周波数2fmの成分)が発生する(図4(b’)の点線矢印を参照。)。

0054

そこで、本実施形態のロックインアンプ25は、光検出器24の出力する電気信号(=光周波数ω1の光強度信号)から、周波数2fmで変化する信号のみをロックイン検出する。

0055

この信号(=周波数2fmで変化する光周波数ω1の光強度信号)には、周辺領域A1における光吸収量は反映されないのに対して、中央領域A2における光吸収量は反映される。

0056

したがって、本実施形態のロックインアンプ25は、光スポットSで発生した光から、中央領域A2から射出した余剰励起光(図4(b’)符号ω1)の高周波数成分(周波数2fmで変化する成分)のみを抽出することができる。

0057

したがって、本実施形態の超解像顕微鏡は、光スポットSより小さい中央領域A2のみに信号の取得元を制限すること、つまり、試料20における観察対象物質の密度分布を超解像観察することができる。
[第1実施形態の変形例]
なお、本実施形態では、ロックインアンプ25によるロックイン検出の検出周波数を励起光の変調周波数fmの2倍(2fm)に設定したが、変調周波数fmより大きい別の値としてもよい。例えば、検出周波数をN×fm(但し、Nは2以上の整数)としてもよい。このように検出周波数を高めれば、超解像効果を更に高めることができる。なぜなら、光スポットSのうち、高い周波数成分の発生元となり得る領域は、光強度の特に高い領域のみ、つまり極端に狭い領域のみに制限されるからである。よって、検出周波数が高いほど超解像効果も高まる。

0058

また、本実施形態では、検出器24に入射させるべき光の光周波数を、励起光の光周波数ω1と同じにしたが、誘導光の光周波数ω2と同じにしてもよい。その場合、波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。

0059

この場合、ロックインアンプ25は、余剰励起光(図4(b’)符号ω1)の高周波数成分の代わりに、余剰誘導・放出光(図4(b’)符号ω2)の高周波数成分を抽出することができる。この場合も超解像観察が可能である。その理由は、以下のとおりである。

0060

すなわち、周辺領域A1から射出する余剰誘導・放出光の時間変化波形(図4(a’)符号ω2)、中央領域A2から射出する余剰誘導・放出光の時間変化波形(図4(b’)符号ω2)の各々には、周波数fmの周波数成分が発生する。

0061

但し、周辺領域A1における光吸収量(不図示)は飽和しないのに対して、中央領域A2における光吸収量(不図示)は飽和する。この場合、周辺領域A1における誘導放出量(不図示)は飽和しないのに対して、中央領域A2における誘導放出量(不図示)は飽和する。

0062

このため、周辺領域A1から射出する余剰誘導・放出光の時間変化波形(図4(a’)符号ω2)には周波数fmを超える高い周波数成分が発生しないのに対して、中央領域A2から射出する余剰誘導・放出光の時間変化波形(図4(b’)符号ω2)には周波数fmを超える高い周波数成分(例えば周波数2fmの成分)が発生する(図4(b’)の点線矢印を参照。)。

0063

なお、本実施形態の超解像顕微鏡は、波長選択フィルタ22を2つの波長選択フィルタの間で切り換えることが可能に構成されてもよい。2つの波長選択フィルタの一方には、光周波数ω2の光をカットし、光周波数ω1の光を通過させる波長選択性が付与され、他方には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。

0064

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、励起光が試料20に到達するタイミングと、誘導光が試料20に到達するタイミングと間に時間差を設けたが、この時間差をゼロにしてもよい。但し、その場合は、励起光と誘導光との間にエネルギー換算で3600cm−1以上の波長差を付与することが望ましい。
[第2実施形態]
以下、本発明の第2実施形態として励起状態吸収ESA:Excited-State Absorption)過程を利用した超解像顕微鏡を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみを説明する。

0065

先ず、本実施形態では、光周波数ω1のパルスレーザ光が励起光として使用され、光周波数ω2のパルスレーザ光がESA光として使用される。光周波数ω1、ω2’の各々は、波長換算でおよそ紫外域〜可視域の波長範囲内に設定されることが望ましく、光周波数ω2は、波長換算でおよそ可視域〜近赤外域の波長範囲内に設定されることが望ましい。

0066

また、本実施形態では、励起光及びESA光の各々のパルス形状(パルス光強度、パルス幅)と光周波数ω1、ω2との組み合わせは、光スポットSに存在する観察対象物質にてESA過程が生起するように設定されている。

0067

ESA過程は、先ず、特定の観察対象物質の電子のエネルギー準位を励起光で励起準位へと移行(光吸収)させ、次に、励起中の電子をESA光で更に高い準位へと移行させるという過程である。

0068

また、本実施形態では、励起光及びESA光のパルス光強度は、光スポットSの中央領域A2における光吸収量が飽和し、かつ、光スポットSの周辺領域A1における光吸収量が飽和しないよう適度な値に設定されている。

0069

図5に示すのは、本実施形態における各光の時間変化波形である。第1実施形態における時間変化波形(図4)との主な相違点は、図5(a’)、(b’)に示すとおり、光スポットSから射出する光周波数ω2の光(=ESA過程に寄与しなかった余剰ESA光)の時間変化波形の位相がπだけずれている点である。なぜなら、ESA過程では励起光の強度が高いほど余剰ESA光の強度が減少するからである。

0070

しかし、本実施形態でも、図5(a’)に示すとおり、周辺領域A1から射出する余剰励起光及び余剰ESA光の各々には周波数fmを超える高い周波数成分が発生しないのに対して、図5(b’)に示すとおり、中央領域A2から射出する余剰励起光及び余剰ESA光の各々には周波数fmを超える高い周波数成分が発生する。

0071

したがって、本実施形態のロックインアンプ25が検出する信号には、周辺領域A1における光吸収量は反映されないのに対して、中央領域A2における光吸収量は反映される。

0072

したがって、本実施形態でも、第1実施形態と同様、試料20の超解像観察が可能である。
[第2実施形態の変形例]
なお、本実施形態では、ロックインアンプ25によるロックイン検出の検出周波数を変調周波数fmの2倍(2fm)に設定したが、変調周波数fmより大きい別の値としてもよい。例えば、検出周波数をN×fm(但し、Nは2以上の整数)としてもよい。このように検出周波数を高めれば、超解像効果を更に高めることができる。なぜなら、光スポットSのうち、高い周波数成分の発生元となり得る領域は、光強度の特に高い領域のみ、つまり極端に狭い領域のみに制限されるからである。よって、検出周波数が高いほど超解像効果も高まる。

0073

また、本実施形態では、検出器24に入射させるべき光の光周波数を、励起光の光周波数ω1と同じにしたが、ESA光の光周波数ω2と同じにしてもよい。その場合、波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。

0074

また、本実施形態の超解像顕微鏡は、波長選択フィルタ22を2つの波長選択フィルタの間で切り換えることが可能に構成されてもよい。2つの波長選択フィルタの一方には、光周波数ω2の光をカットし、光周波数ω1の光を通過させる波長選択性が付与され、他方には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。
[第3実施形態]
以下、本発明の第3実施形態として基底準位枯渇(GSD:Ground State Depletion)過程を利用した超解像顕微鏡を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみを説明する。

0075

図6は、本実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。図6に示すとおり、本実施形態の超解像顕微鏡は、第1実施形態の超解像顕微鏡において、パルスレーザ光源11及びレンズ12の代わりにCWレーザ光源11−1、11−2、及びレンズ12−1、12−2を使用し(CW:Continuous Wave)、光パラメトリック発振器141、143、ビームスプリッタ131、ミラーM1を省略したものである。CWレーザ光源11−1は、レンズ12−1を介して光周波数ω1のCWレーザ光を出射し、CWレーザ光源11−2は、レンズ12−2を介して光周波数ω2のCWレーザ光を出射する。

0076

本実施形態では、このうち光周波数ω1のCWレーザ光が第1励起光として使用され、光周波数ω2のCWレーザ光が第2励起光として使用される。

0077

また、本実施形態では、第1励起光及び第2励起光の強度と光周波数ω1、ω2との組み合わせは、光スポットSに存在する観察対象物質にてGSD過程が生起するように設定されている。但し、本実施形態では、光周波数ω1、ω2の大小関係は、ω1<ω2である。 具体的に、光周波数ω1、ω2の値関係は、GSD過程における基底状態から励起状態への励起が発生するような値関係に設定される。また、光周波数ω1、ω2の各々は、波長換算でおよそ紫外域〜可視域の波長範囲内に設定されることが望ましい。

0078

GSD過程は、特定の観察対象物質の電子のエネルギー準位を第1励起光で第1励起準位へと移行(光吸収)させ、同種の残りの観察対象物質の電子を第2励起光により第1励起準位へと移行させるという過程である。

0079

また、本実施形態では、第1励起光及び第2励起光の強度は、光スポットSの中央領域A2における光吸収量が飽和し、かつ、光スポットSの周辺領域A1における光吸収量が飽和しないよう適度な値に設定されている。

0080

図7に示すのは、本実施形態における各光の時間変化波形である。本実施形態でも、図7(a’)に示すとおり、周辺領域A1から射出する余剰第1励起光及び余剰第2励起光の各々には周波数fmを超える高周波数成分が発生しないのに対して、図7(b’)に示すとおり、中央領域A2から射出する余剰第1励起光及び余剰第2励起光の各々には周波数fmを超える高周波数成分が発生する。

0081

したがって、本実施形態のロックインアンプ25が検出する信号には、周辺領域A1における光吸収量は反映されないのに対して、中央領域A2における光吸収量は反映される。

0082

したがって、本実施形態でも、第1実施形態と同様、試料20の超解像観察が可能である。
[第3実施形態の変形例]
なお、本実施形態では、ロックインアンプ25によるロックイン検出の検出周波数を変調周波数fmの2倍(2fm)に設定したが、変調周波数fmより大きい別の値としてもよい。例えば、検出周波数をN×fm(但し、Nは2以上の整数)としてもよい。このように検出周波数を高めれば、超解像効果を更に高めることができる。なぜなら、光スポットSのうち、高い周波数成分の発生元となり得る領域は、光強度の特に高い領域のみ、つまり極端に狭い領域のみに制限されるからである。よって、検出周波数が高いほど超解像効果も高まる。

0083

また、本実施形態では、検出器24に入射させるべき光の光周波数を、第1励起光の光周波数ω1と同じにしたが、第2励起光の光周波数ω2と同じにしてもよい。その場合、波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。

0084

また、本実施形態の超解像顕微鏡は、波長選択フィルタ22を2つの波長選択フィルタの間で切り換えることが可能に構成されてもよい。2つの波長選択フィルタの一方には、光周波数ω2の光をカットし、光周波数ω1の光を通過させる波長選択性が付与され、他方には、光周波数ω1の光をカットし、光周波数ω2の光を通過させる波長選択性が付与される。

0085

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、第1励起光及び第2励起光の各々としてCWレーザ光を使用したが、パルスレーザ光を使用してもよい。パルスレーザ光を使用する場合の装置構成は、第1実施形態にて説明したとおりである(図1を参照。)。
[第4実施形態]
以下、本発明の第4実施形態として1光子吸収過程を利用した超解像顕微鏡を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみを説明する。

0086

図8は、本実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。図8に示すとおり、本実施形態の超解像顕微鏡は、第1実施形態の超解像顕微鏡において、パルスレーザ光源11及びレンズ12の代わりにCWレーザ光源11−1、11−2、及びレンズ12−1、12−2を使用し(CW:Continuous Wave)、光パラメトリック発振器141、143、ビームスプリッタ131、ミラーM1を省略したものである。CWレーザ光源11−1は、レンズ12−1を介して光周波数ω1のCWレーザ光を出射し、CWレーザ光源11−2は、レンズ12−2を介して光周波数ω2のCWレーザ光を出射する。

0087

但し、本実施形態では、光周波数ω1のCWレーザ光のみが励起光として使用されるので、観察対象面P0に向かう光周波数ω2のCWレーザ光は、オフされる。この光周波数ω2のCWレーザ光をオフするには、CWレーザ光源11−2をオフすればよい。

0088

また、本実施形態では、励起光の強度及び光周波数ω1の組み合わせは、光スポットSに存在する観察対象物質にて1光子吸収過程が生起するように設定されている。光周波数ω1は、波長換算でおよそ紫外域〜可視域の波長範囲内に設定されることが望ましい。

0089

1光子吸収過程は、特定の観察対象物質の電子のエネルギー準位を励起光で励起準位へと移行(1光子吸収)させるという過程である。このとき、試料20が蛍光物質を含んだ試料(蛍光試料)であるならば、試料20から光周波数ω2の自然放出光(蛍光)が発生する。

0090

また、本実施形態の波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光を通過させ、光周波数ω2の光をカットする波長選択性が付与されている。このため、本実施形態では、光周波数ω2の蛍光は光検出器24に入射しないのに対して、光周波数ω1の励起光は光検出器24に入射する。

0091

また、本実施形態における励起光の強度は、光スポットSの中央領域A2における光吸収量が飽和し、かつ、光スポットSの周辺領域A1における光吸収量が飽和しないよう適度な値に設定されている。

0092

図9に示すのは、本実施形態における各光の時間変化波形である。本実施形態でも、図9(a’)に示すとおり、周辺領域A1から射出する余剰励起光及び蛍光には周波数fmを超える高い周波数成分が発生しないのに対して、図9(b’)に示すとおり、中央領域A2から射出する余剰励起光及び蛍光には周波数fmを超える高い周波数成分が発生する。

0093

したがって、本実施形態のロックインアンプ25が検出する信号には、周辺領域A1における光吸収量は反映されないのに対して、中央領域A2における光吸収量は反映される。

0094

したがって、本実施形態でも、第1実施形態と同様、試料20の超解像観察が可能である。
[第4実施形態の変形例]
なお、本実施形態では、ロックインアンプ25によるロックイン検出の検出周波数を変調周波数fmの2倍(2fm)に設定したが、変調周波数fmより大きい別の値としてもよい。例えば、検出周波数をN×fm(但し、Nは2以上の整数)としてもよい。このように検出周波数を高めれば、超解像効果を更に高めることができる。なぜなら、光スポットSのうち、高い周波数成分の発生元となり得る領域は、光強度の特に高い領域のみ、つまり極端に狭い領域のみに制限されるからである。よって、検出周波数が高いほど超解像効果も高まる。

0095

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、光周波数ω2の光を試料20に照射しないので、光周波数ω2の光を試料20に導くための要素(CWレーザ光源11−2、レンズ12−2、ミラーM2、ダイクロイックミラー134など)を省略してもよい。

0096

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、試料20を蛍光試料と仮定したが、仮に、試料20が蛍光物質を含まない試料(非蛍光試料)であったとしても、余剰励起光を検出することにより、試料20を超解像観察することが可能である。
[第5実施形態]
以下、本発明の第5実施形態として2光子吸収過程を利用した超解像顕微鏡を説明する。ここでは、第1実施形態との相違点のみを説明する。

0097

図10は、本実施形態の超解像顕微鏡の構成図である。図10に示すとおり、本実施形態の超解像顕微鏡は、第1実施形態の超解像顕微鏡において、観察対象面P0に向かう光周波数ω2のパルスレーザ光をオフしたものである。本実施形態では、周波数ω1のパルスレーザ光のみが励起光として使用される。なお、観察対象面P0に向かう光周波数ω2のCWレーザ光をオフするには、例えば図10の左上に示すとおりビームスプリッタ131を光路から外せばよい。

0098

また、本実施形態では、励起光の強度及び光周波数ω1の組み合わせは、光スポットSに存在する観察対象物質にて2光子吸収過程が生起するように設定されている。光周波数ω1は、波長換算でおよそ可視域〜近赤外域の波長範囲内に設定されることが望ましい。

0099

2光子吸収過程は、特定の観察対象物質の電子のエネルギー準位を励起光で高い励起準位へと移行(2光子吸収)させるという過程である。このとき、試料20が蛍光物質を含んだ試料(蛍光試料)であるならば試料20から光周波数ω2の自然放出光(蛍光)が発生する。

0100

また、本実施形態の波長選択フィルタ22には、光周波数ω1の光を通過させ、光周波数ω2の光をカットする波長選択性が付与されている。このため、本実施形態では、光周波数ω2の蛍光は光検出器24に入射しないのに対して、光周波数ω1の励起光は光検出器24に入射する。

0101

また、本実施形態における励起光の強度は、光スポットSの中央領域A2における光吸収量が飽和し、かつ、光スポットSの周辺領域A1における光吸収量が飽和しないよう適度な値に設定されている。

0102

また、本実施形態のロックインアンプ25の検出周波数は、励起光の変調周波数fmの2倍ではなく4倍(4fm)に設定される。

0103

図11に示すのは、本実施形態における各光の時間変化波形である。本実施形態では、図11(a’)に示すとおり、光スポットSの周辺領域A1から射出する蛍光の時間変化波形I(r)はI(t)=(1+cos2πfmt)2で表される。このため、本実施形態では、図11(a’)に示すとおり、周辺領域A1から射出する余剰励起光及び蛍光の各々には、周波数2fmの周波数成分が発生する。

0104

しかし、本実施形態では、図11(a’)に示すとおり、周辺領域A1から射出する余剰励起光及び蛍光には周波数2fmを超える高い周波数成分が発生しないのに対して、図11(b’)に示すとおり、中央領域A2から射出する余剰励起光及び蛍光の各々には周波数2fmを超える高い周波数成分が発生する。

0105

したがって、本実施形態のロックインアンプ25が検出する信号には、周辺領域A1における光吸収量は反映されないのに対して、中央領域A2における光吸収量は反映される。

0106

したがって、本実施形態でも、第1実施形態と同様、試料20の超解像観察が可能である。
[第5実施形態の変形例]
なお、本実施形態では、ロックインアンプ25によるロックイン検出の検出周波数を変調周波数fmの4倍(4fm)に設定したが、変調周波数2fmより大きい別の値としてもよい。例えば、検出周波数を2N×fm(但し、Nは2以上の整数)としてもよい。このように検出周波数を高めれば、超解像効果を更に高めることができる。なぜなら、光スポットSのうち、高い周波数成分の発生元となり得る領域は、光強度の特に高い領域のみ、つまり極端に狭い領域のみに制限されるからである。よって、検出周波数が高いほど超解像効果も高まる。

0107

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、試料20を蛍光試料と仮定したが、仮に、試料20が蛍光物質を含まない試料(非蛍光試料)であったとしても、余剰励起光を検出することにより、試料20を超解像観察することが可能である。

0108

また、本実施形態の超解像顕微鏡では、2光子吸収過程を生起させるために光周波数ω1の励起光のみを使用したが、光周波数ω1の第1励起光と、光周波数ω2の第2励起光との双方を使用してもよい。その場合は、第1励起光の光強度を変調周波数fmで変調し、試料20から射出した第1励起光又は第2励起光を検出周波数2N×fm(但し、Nは2以上の整数)でロックイン検出すればよい。

0109

なお、本実施形態の超解像顕微鏡において、光周波数ω2の光を試料20に照射しない場合は、光周波数ω2の光を試料20に導くための要素(ビームスプリッタ131、ミラーM1、光パラメトリック発振器143、ミラーM2、ダイクロイックミラー134など)を省略してもよい。
[実施形態及び変形例の補足
なお、上述した何れかの実施形態又は変形例では、光軸と垂直な面内における解像力の向上について説明したが、光軸方向における解像力についても同様に向上する。なぜなら、前述した高周波成分の発生元は、光軸と垂直な面内だけでなく光軸方向においても光強度の高い集光点近傍のみに制限されるからである。すなわち、飽和による高周波成分を検出する上述した何れかの実施形態又は変形例では、光軸と垂直な方向と光軸方向との双方に亘って、言い換えればxyzの3次元方向に亘って解像力が向上する。

0110

なお、第1実施形態、第2実施形態、第5実施形態、及びその変形例では、光路の異なる2つのパルスレーザ光を生成するために、1台のレーザ光源と2台の光パラメトリック発振器との組み合わせを使用したが、1台のレーザ光源と1台のパラメトリック発振器との組み合わせを使用してもよい。但し、その場合は、2つのパルスレーザ光の一方としてレーザ光源から射出したレーザ光がそのまま使用される。また、その場合は、2つのパルスレーザ光の一方の繰り返し周波数と他方の繰り返し周波数とを同期させることが望ましい。

0111

なお、第1実施形態、第2実施形態、第5実施形態、及びその変形例では、光周波数ω1の光による吸収の飽和(飽和現象)について説明したが、光周波数ω2の光による飽和現象を利用しても良い。

0112

また、上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例では、観察対象物質の光吸収を伴う光学過程として、誘導放出過程、ESA過程、GSD過程、1光子吸収過程、2光子吸収過程の何れかを生起させたが、観察対象物質の光吸収を伴う他の光学過程を生起させてもよい。

0113

また、上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例では、試料20を蛍光試料と仮定したが、試料20は蛍光物質を含まない試料(非蛍光試料)であってもよい。したがって、バイオ観察のみでなく、例えば材料観察などの他種の観察にも本発明は適用可能である。

0114

また、上述した何れかの実施形態又は何れかの変形例では、観察対象物質の光吸収を伴う光学過程として1種類の光学過程しか生起させなかったが、互いに異なる2種類以上の光学過程を生起できるような1つの超解像顕微鏡、すなわち、光学過程の異なる複数のモードの間でモード切り換えが可能な超解像顕微鏡を構成してもよい。なお、モード切り換えが可能な超解像顕微鏡には、例えば以下の機能(1)〜(5)が搭載される。

0115

(1)試料20に照射される光の時間変化波形を調整する機能。

0116

(2)光周波数ω1及び光周波数ω2の各々を調整する機能。

0117

(3)試料20に照射される光周波数ω1の光と、試料20に照射される光周波数ω2の光との少なくとも一方をオン/オフする機能。

0118

(4)ロックインアンプ25の検出周波数を調整する機能。

0119

(5)選択波長の異なる複数の波長選択フィルタの間で波長選択フィルタ22を切り換える機能。

0120

また、上述した何れかの実施形態又は変形例では、透過型の顕微鏡を説明したが、反射型の顕微鏡にも本発明は適用可能である。

0121

また、上述した何れかの実施形態又は変形例では、光周波数ω1の光の特性の1種である「強度」を変調したが、光周波数ω1の光の強度の代わりに、光周波数ω1の光の他の特性、例えば、位相、偏光、光周波数の何れかを変調してもよい。

0122

また、上述した何れかの実施形態又は変形例では、光周波数ω1の光と光周波数ω2の光とのうち一方のみの特性を変調したが、光周波数ω1の光と光周波数ω2の光との双方の特性を、互いに異なる変調周波数で変調してもよい。
[実施形態の作用効果
上述した何れかの実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)は、光周波数ω1の第1照明光と光周波数ω2の第2照明光とを観察対象面(P0)の領域(光スポットS)に集光する照明光学系(対物レンズ19)と、前記領域(光スポットS)に向かう前記第1照明光の特性を変調周波数fmで変調する変調部(音響光学変調器15)と、前記第1照明光及び前記第2照明光に応じて前記領域(光スポットS)で発生する光から、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1又はω2の成分を抽出する抽出部(ロックインアンプ25、信号発生器26、波長選択フィルタ22)とを備える。

0123

なお、前記変調部の変調対象である前記特性は、前記第1照明光の強度、位相、偏光、光周波数の何れかである。

0124

また、第1実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域(光スポットS)内の観察対象物質で誘導放出過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記誘導放出過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定される。

0125

また、第2実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域(光スポットS)内の観察対象物質で励起状態吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記励起状態吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定される。

0126

また、第3実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記第1照明光の強度、前記第2照明光の強度、前記光周波数ω1、前記光周波数ω2の組み合わせは、前記領域(光スポットS)内の観察対象物質で基底準位枯渇過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記基底準位枯渇過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定される。

0127

また、第1実施形態〜第3実施形態の何れかの超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記抽出部(ロックインアンプ25、信号発生器26、波長選択フィルタ22)の抽出対象は、例えば周波数N×fmで前記特性の変化する成分である(但し、Nは2以上の整数)。

0128

また、第4実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記領域(光スポット)に対する前記第2照明光の照射は省略され、前記第1照明光の強度及び前記光周波数ω1の組み合わせは、前記領域(光スポット)内の観察対象物質で1光子吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記1光子吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定され、前記抽出部(ロックインアンプ25、信号発生器26、波長選択フィルタ22)の抽出対象は、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分である。

0129

また、第5実施形態の超解像観察装置(超解像顕微鏡)において、前記領域(光スポット)に対する前記第2照明光の照射は省略され、前記第1照明光の強度及び前記光周波数ω1の組み合わせは、前記領域(光スポット)内の観察対象物質で2光子吸収過程が生起し、かつ、前記領域の一部でのみ前記2光子吸収過程による前記観察対象物質の光吸収量が飽和するように設定され、前記抽出部(ロックインアンプ25、信号発生器26、波長選択フィルタ22)の抽出対象は、前記変調周波数fmより高い周波数で前記特性の変化する光周波数ω1の成分である。
[その他]
また、上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、一部の構成要素を用いない場合もある。また、法令許容される限りにおいて、上述の各実施形態及び変形例で引用した装置などに関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。

0130

11…パルスレーザ光源、12…レンズ、131…ビームスプリッタ、M1…ミラー、141…光パラメトリック発振器、143…光パラメトリック発振器、15…音響光学変調器、M2…ミラー、134…ダイクロイックミラー、19…対物レンズ、20…試料、28…試料ステージ、21…対物レンズ、22…波長選択フィルタ、23…集光レンズ、24…光検出器、25…ロックインアンプ、26…信号発生器、27…パーソナルコンピュータ

ページトップへ

この技術を出願した法人

この技術を発明した人物

ページトップへ

関連する挑戦したい社会課題

関連する公募課題

ページトップへ

技術視点だけで見ていませんか?

この技術の活用可能性がある分野

分野別動向を把握したい方- 事業化視点で見る -

(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成

ページトップへ

新着 最近 公開された関連が強い 技術

この 技術と関連性が強い人物

関連性が強い人物一覧

この 技術と関連する挑戦したい社会課題

関連する挑戦したい社会課題一覧

この 技術と関連する公募課題

関連する公募課題一覧

astavision 新着記事

サイト情報について

本サービスは、国が公開している情報(公開特許公報、特許整理標準化データ等)を元に構成されています。出典元のデータには一部間違いやノイズがあり、情報の正確さについては保証致しかねます。また一時的に、各データの収録範囲や更新周期によって、一部の情報が正しく表示されないことがございます。当サイトの情報を元にした諸問題、不利益等について当方は何ら責任を負いかねることを予めご承知おきのほど宜しくお願い申し上げます。

主たる情報の出典

特許情報…特許整理標準化データ(XML編)、公開特許公報、特許公報、審決公報、Patent Map Guidance System データ