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技術 13族窒化物結晶の製造方法及び13族窒化物結晶

出願人 株式会社サイオクス
発明者 林昌弘佐藤隆三好直哉和田純一皿山正二
出願日 2014年10月30日 (5年10ヶ月経過) 出願番号 2014-221791
公開日 2015年11月5日 (4年10ヶ月経過) 公開番号 2015-193519
状態 特許登録済
技術分野 結晶、結晶のための後処理 半導体装置を構成する物質の液相成長
主要キーワード ウェハー形 希釈ガス供給管 窒素ガス圧力 窒素供給管 同一方位 同一雰囲気 内部容器 インクルージョン
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図面 (13)

課題

品質な13族窒化物結晶低コストで製造する。

解決手段

アルカリ金属と13族元素を含む混合融液5中に13族窒化物結晶からなる種結晶6を設置し、混合融液5中に窒素を供給することにより、種結晶6の主面上に13族窒化物結晶を成長させる13族窒化物結晶の製造方法であって、種結晶6は気相成長法により製造され、混合融液5を収容する反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材13,21,22の少なくとも一部がAl2O3からなり、種結晶6と成長した13族窒化物結晶との間に、成長した13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有する界面層が形成される。

概要

背景

青色発光ダイオードLED)、白色LED、半導体レーザー(LD:Laser Diode)等の半導体デバイスに用いられる材料として、窒化ガリウム(GaN)等の13族窒化物系半導体材料が知られている。13族窒化物結晶の製造方法として、気相成長法及び液相成長法が知られている。

気相成長法とは、種基板上に13族窒化物結晶を成長させる工程を気相中で行う方法である。気相成長法として、MO−CVD法有機金属化学気相蒸着法)、MBE法分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)等が知られている。気相成長法を用いて13族窒化物結晶の自立基板を製造する際には、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)等の、転位密度を低減させるための方法が用いられることが多い。例えば、サファイア基板GaAs基板等の異種基板上にHVPE法により窒化ガリウムを厚く成長させた後、当該異種基板から窒化ガリウム結晶厚膜が分離される。このように製造された窒化ガリウムの自立基板は、例えば106cm−2程度の転位密度を有する。

一方、液相成長法とは、種基板(種結晶)上に13族窒化物結晶を成長させる工程を液相中で行う方法である。液相成長法として、フラックス法等が知られている。フラックス法は、Na,K等のアルカリ金属とGa,Al等の13族元素を含む混合融液中に13族窒化物結晶からなる種結晶を設置し、混合融液中に窒素を供給することにより、種結晶上に13族窒化物結晶を成長させる方法である。例えば、混合融液窒素圧力10MPa以下の雰囲気下で900℃程度に加熱し、混合融液中に窒素を気相から溶解することにより、混合融液中で13族元素と窒素とを反応させ、13族窒化物結晶を成長させることができる。フラックス法は、他の液相成長法に比べて低温低圧下で結晶成長させることが可能であり、成長した13族窒化物結晶の転位密度が106cm−2よりも低くなる等の利点を有する。

特許文献1〜3はフラックス法により窒化ガリウム基板からなる種結晶上に窒化ガリウム結晶を成長させる方法を開示している。特許文献3はフラックス法に用いられる種基板のオフ角について開示している。特許文献4,5はフラックス法において用いられる反応容器について開示している。特許文献4は反応容器の素材にAl2O3を用いると、結晶成長工程でAl2O3が溶解して反応容器の重量が変化することを開示している。特許文献6は気相成長法で成長させた窒化ガリウム結晶をカソードルミネッセンスで測定した結果について開示している。非特許文献1は窒化ガリウム結晶に不純物混入した場合のルミネッセンス特性について開示している。

概要

品質な13族窒化物結晶を低コストで製造する。アルカリ金属と13族元素を含む混合融液5中に13族窒化物結晶からなる種結晶6を設置し、混合融液5中に窒素を供給することにより、種結晶6の主面上に13族窒化物結晶を成長させる13族窒化物結晶の製造方法であって、種結晶6は気相成長法により製造され、混合融液5を収容する反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材13,21,22の少なくとも一部がAl2O3からなり、種結晶6と成長した13族窒化物結晶との間に、成長した13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有する界面層が形成される。

目的

近年、白色LEDのコスト低減電子デバイスへの適用等の要求に応えるために、13族窒化物結晶の大口径化が望まれている

効果

実績

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請求項1

アルカリ金属と13族元素を含む混合融液中に13族窒化物結晶からなる種結晶を設置し、前記混合融液中に窒素を供給することにより、前記種結晶の主面上に前記13族窒化物結晶を成長させる13族窒化物結晶の製造方法であって、前記種結晶は気相成長法により製造され、前記混合融液を収容する反応容器内の前記混合融液と接触する接触部材の少なくとも一部がAl2O3からなり、前記種結晶と成長した前記13族窒化物結晶との間に、成長した前記13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有する界面層が形成されることを特徴とする13族窒化物結晶の製造方法。

請求項2

前記種結晶はSiを含むことを特徴とする請求項1に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項3

Al2O3の純度が99.9%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項4

前記接触部材のSi濃度が100ppm未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項5

前記主面は0°より大きく且つ2°以下のオフ角を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項6

前記オフ角は0.5°以下であることを特徴とする請求項5に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項7

前記13族窒化物結晶はGaN結晶であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項8

前記界面層の前記フォトルミネッセンス発光ピークは650±30nmの範囲内にあることを特徴とする請求項7に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項9

前記種結晶は基板形状を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の13族窒化物結晶の製造方法。

請求項10

アルカリ金属と13族元素を含む混合融液中に13族窒化物結晶からなる種結晶を設置し、前記混合融液中に窒素を供給し、前記種結晶の主面上に前記13族窒化物結晶を成長させることにより製造される13族窒化物結晶であって、前記種結晶は気相成長法により製造され、前記混合融液を収容する反応容器内の前記混合融液と接触する接触部材の少なくとも一部がAl2O3からなり、前記種結晶と成長した前記13族窒化物結晶との間に、成長した前記13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有する界面層が形成されていることを特徴とする13族窒化物結晶。

請求項11

前記13族窒化物結晶はGaN結晶であることを特徴とする請求項10に記載の13族窒化物結晶。

請求項12

前記界面層の前記フォトルミネッセンス発光ピークは、650±30nmの範囲内にあることを特徴とする請求項11に記載の13族窒化物結晶。

請求項13

前記種結晶上に成長した前記13族窒化物結晶の転位密度が前記種結晶の転位密度よりも一桁以上小さいことを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の13族窒化物結晶。

技術分野

0001

本発明は、13族窒化物結晶の製造方法及び13族窒化物結晶に関する。

背景技術

0002

青色発光ダイオードLED)、白色LED、半導体レーザー(LD:Laser Diode)等の半導体デバイスに用いられる材料として、窒化ガリウム(GaN)等の13族窒化物系半導体材料が知られている。13族窒化物結晶の製造方法として、気相成長法及び液相成長法が知られている。

0003

気相成長法とは、種基板上に13族窒化物結晶を成長させる工程を気相中で行う方法である。気相成長法として、MO−CVD法有機金属化学気相蒸着法)、MBE法分子線エピタキシー法)、HVPE(ハイドライド気相成長法)等が知られている。気相成長法を用いて13族窒化物結晶の自立基板を製造する際には、ELO(Epitaxial Lateral Overgrowth)等の、転位密度を低減させるための方法が用いられることが多い。例えば、サファイア基板GaAs基板等の異種基板上にHVPE法により窒化ガリウムを厚く成長させた後、当該異種基板から窒化ガリウム結晶厚膜が分離される。このように製造された窒化ガリウムの自立基板は、例えば106cm−2程度の転位密度を有する。

0004

一方、液相成長法とは、種基板(種結晶)上に13族窒化物結晶を成長させる工程を液相中で行う方法である。液相成長法として、フラックス法等が知られている。フラックス法は、Na,K等のアルカリ金属とGa,Al等の13族元素を含む混合融液中に13族窒化物結晶からなる種結晶を設置し、混合融液中に窒素を供給することにより、種結晶上に13族窒化物結晶を成長させる方法である。例えば、混合融液窒素圧力10MPa以下の雰囲気下で900℃程度に加熱し、混合融液中に窒素を気相から溶解することにより、混合融液中で13族元素と窒素とを反応させ、13族窒化物結晶を成長させることができる。フラックス法は、他の液相成長法に比べて低温低圧下で結晶成長させることが可能であり、成長した13族窒化物結晶の転位密度が106cm−2よりも低くなる等の利点を有する。

0005

特許文献1〜3はフラックス法により窒化ガリウム基板からなる種結晶上に窒化ガリウム結晶を成長させる方法を開示している。特許文献3はフラックス法に用いられる種基板のオフ角について開示している。特許文献4,5はフラックス法において用いられる反応容器について開示している。特許文献4は反応容器の素材にAl2O3を用いると、結晶成長工程でAl2O3が溶解して反応容器の重量が変化することを開示している。特許文献6は気相成長法で成長させた窒化ガリウム結晶をカソードルミネッセンスで測定した結果について開示している。非特許文献1は窒化ガリウム結晶に不純物混入した場合のルミネッセンス特性について開示している。

発明が解決しようとする課題

0006

近年、白色LEDのコスト低減電子デバイスへの適用等の要求に応えるために、13族窒化物結晶の大口径化が望まれている。比較的小さい13族窒化物結晶の自立基板を製造する際には、通常、フラックス法よりも気相成長法で製造する方が低コストとなる。しかし、気相成長法を用いて当該自立基板を大型化する際には、異種基板と13族窒化物結晶との熱膨張係数差格子定数差等により、反り、クラック等の障害が発生しやすくなる。そのため、気相成長法のみによっては大型且つ高品質な13族窒化物結晶を製造することは困難である。

0007

一方、フラックス法では異種基板が用いられないため、反り等の障害が生じにくい。そのため、フラックス法は大型且つ高品質な13族窒化物結晶を製造するのに適している。しかし、気相成長法より製造コストがかかるという問題がある。

0008

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、高品質な13族窒化物結晶を低コストで製造できるようにすることを目的とする。

課題を解決するための手段

0009

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、アルカリ金属と13族元素を含む混合融液中に13族窒化物結晶からなる種結晶を設置し、混合融液中に窒素を供給することにより、種結晶の主面上に13族窒化物結晶を成長させる13族窒化物結晶の製造方法であって、種結晶は気相成長法により製造され、混合融液を収容する反応容器内の混合融液と接触する接触部材の少なくとも一部がAl2O3からなり、種結晶と成長した13族窒化物結晶との間に、成長した13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有する界面層が形成されることを特徴とする。

発明の効果

0010

本発明によれば、高品質な13族窒化物結晶を低コストで製造することが可能となる。

図面の簡単な説明

0011

図1は、第1の実施の形態における13族窒化物結晶の製造方法において用いられる製造装置の構成を例示する図である。
図2Aは、種結晶の主面のオフ角を例示する図である。
図2Bは、種結晶の主面のオフ角を例示する図である。
図3は、実施例1−1,1−2,1−3、比較例2−1における結晶成長の状態を示す図である。
図4は、比較例1−1,1−2,1−3,2−2における結晶成長の状態を示す図である。
図5は、比較例3における結晶成長の状態を示す図である。
図6は、実施例1−2におけるGaN結晶から製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。
図7は、実施例1−3におけるGaN結晶から製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。
図8は、比較例2−1におけるGaN結晶から製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。
図9は、実施例1−1におけるGaN結晶に対するPLスペクトル測定結果を示すグラフである。
図10は、比較例1−1におけるGaN結晶に対するPLスペクトルの測定結果を示すグラフである。
図11は、実施例1−1における界面層に対するPLスペクトルの測定結果を示すグラフである。

実施例

0012

(実施の形態)
以下に、添付図面を参照して13族窒化物結晶の製造方法の実施の形態を詳細に説明する。図1は、実施の形態における13族窒化物結晶の製造方法において用いられる製造装置1の構成を例示する図である。当該製造装置1はフラックス法により13族窒化物結晶を製造するための装置である。

0013

耐圧容器11は例えばステンレスにより構成される。耐圧容器11の内部には内部容器12が設置されている。内部容器12の内部には更に反応容器13が収容されている。

0014

反応容器13はアルカリ金属と13族元素の混合融液(フラックス)5及び種結晶6を保持し、混合融液5中で種結晶6を核として13族窒化物結晶を成長させるための容器である。反応容器13の内部に、種結晶6を保持する保持部材21と、保持部材21を反応容器13の底部に固定させる固定部材22とが設置されている。

0015

反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材の少なくとも一部がアルミナ(Al2O3)により構成されている。すなわち、本実施の形態においては、反応容器13の内壁、保持部材21、及び固定部材22のうち少なくとも一部がアルミナにより構成されている。必ずしも混合融液5と接触するすべての部材をアルミナにより構成しなければならないわけではない。混合融液5と接触する部材に用いられるアルミナ以外の材料としては、混合融液5と反応し難いものが望ましい。当該アルミナ以外の材料としては、例えば窒化アルミニウム等の窒化物イットリウムアルミニウムガーネット(YAG)等の酸化物ステンレス鋼(SUS)等が挙げられる。

0016

接触部材に用いられるアルミナの純度は99.9%以上であることが好ましい。99.9%未満である場合、結晶成長中に不純物により多結晶化が生じたり、結晶成長速度が低下したりする場合がある。更に好ましくはアルミナ中のSi濃度が100ppm未満であるとよい。Si濃度が100ppm以上である場合、結晶成長速度が低下する場合がある。

0017

混合融液5はアルカリ金属と13族元素とを含む融液である。アルカリ金属としては、ナトリウム(Na)、リチウム(Li)、及びカリウム(K)から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。アルカリ金属は純度99.95%以上のNaであることが好ましい。99.95%未満である場合、混合融液5の表面に雑結晶が生じ、結晶成長速度が低下する場合がある。13族元素としては、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、及びタリウム(Tl)から選ばれる少なくとも1つが挙げられる。好ましくは、ガリウムである。代表的な混合融液5としては、Ga−Na混合融液が挙げられる。

0018

本実施の形態における種結晶6は気相成長法で製造された13族窒化物結晶からなる。気相成長法としてはMO−CVD法、MBE法、HVPE法等が挙げられる。種結晶6は基板形状であり、結晶成長を同一方位で行える主面を有することが好ましい。主面とは、13族窒化物結晶の成長の基盤となる面である。結晶成長を同一方位で行えない場合、結晶成長のファセット面ぶつかりあう部分でインクルージョンが生じやすくなる。換言すれば、種結晶6が基板形状であり同一方位で結晶成長を行える主面を有する場合にはインクルージョン等の欠陥を少なくすることができる。インクルージョンとは、成長して固化した13族窒化物結晶の内部に取り込まれた物質であり、本実施の形態における当該物質は混合融液5である。

0019

インクルージョンの取り込み量含有率)は種結晶6の主面のオフ角に依存する。図2A及び図2Bは、主面のオフ角θを例示する図である。オフ角θは種結晶6の表面51と、種結晶6を構成する13族窒化物結晶の(0001)の結晶格子面52とのなす角度である。本例においては、オフ角θは表面51の法線と結晶格子面52の法線とのなす角度として表されている。オフ角θが大きいほどインクルージョンの取り込み量は大きくなり、オフ角θが小さいほどインクルージョンの取り込み量は小さくなる傾向がある。

0020

また、オフ角θは成長した結晶の転位密度にも影響を与える。オフ角θが大きいほど転位密度は小さくなり、オフ角θが小さいほど転位密度は大きくなる傾向がある。

0021

したがって、オフ角θを適正な範囲内で確保することにより、インクルージョンの抑制と転位密度の低減とを両立させることが可能となる。オフ角θは0°より大きく且つ2°以下であることが好ましい。オフ角θが2°以下であれば、成長した13族窒化物結晶が電子デバイスとして十分な機能を発揮できる程度にインクルージョンの含有率を抑えることができる。また、オフ角θは0.5°以下であることがより好ましい。オフ角θが0.5°以下であれば、インクルージョンはほとんど発生しなくなる。

0022

理想的なオフ角θを実現させるためには、結晶成長後に主面が平面となるように、より好ましくは鏡面となるように加工することが必要となる。結晶格子面52は理想的には平面(曲率半径無限大)であるが、実際には曲面となる場合が多い。特に13族窒化物結晶においては、結晶成長技術表面加工技術がSi等の結晶に比べて未熟であるため、結晶格子面52を平面にすることは一般的に困難である。そのため、13族窒化物結晶からなる種結晶6は、種結晶6の表面51が平面である場合、同一の種結晶6内に複数の異なるオフ角θが存在する場合が多い。このような複数のオフ角θの全てが上記範囲内に収まっていることが望ましい。

0023

図2Aは、オフ角θが0°となる部分Aと0.5°となる部分Bとを有する種結晶6を例示している。図2Bは、オフ角θが1.5°となる部分Cと2.0°となる部分Dとを有する種結晶6を例示している。このように、種結晶6内の結晶格子面52は曲面であってもよい。また、曲面の曲率は一定であってもよいし、凹凸を含む複雑な形状であってもよい。すなわち、種結晶6内にオフ角θの分布が存在していてもよい。このような結晶格子面52の形状やオフ角θは例えばX線回折装置により測定することができる。

0024

図1に示すように、反応容器13の内部には、種結晶6が混合融液5中に浸漬するように配置される。本実施の形態においては、種結晶6は反応容器13内の保持部材21により保持される。種結晶6は保持部材21により斜めに保持されている。

0025

内部容器12は耐圧容器11内のターンテーブル25上に着脱可能に設置されている。ターンテーブル25は回転軸26に固定され、耐圧容器11の外側にある回転機構27により回転可能である。回転機構27はモータ等により回転軸26を回転させる機構である。回転軸26の回転速度、回転方向等はプログラムに従って動作するコンピュータ、各種論理回路等から構成される制御部(図示せず)により制御される。回転軸26の回転に伴い内部容器12、反応容器13、反応容器13内の保持部材21等が回転する。尚、回転軸26の回転に伴い回転する物体はこれらに限られるものではなく、例えば更にヒータ28が回転してもよく、反応容器13のみが回転してもよい。反応容器13の回転に伴い、混合融液5が撹拌される。

0026

耐圧容器11の内部には、窒素を含む原料ガスが供給される。図1に示すように、耐圧容器11の内部空間及び内部容器12の内部空間には、それぞれ13族窒化物結晶の原料である窒素(N2)ガス及び全圧調整用希釈ガスを供給する配管31,32が接続されている。配管31,32と接続する配管33は、上流部分で窒素供給管34と希釈ガス供給管35とに分岐している。窒素供給管34及び希釈ガス供給管35にはそれぞれバルブ36,37が設けられている。希釈ガスとしては、不活性ガスアルゴン(Ar)ガスを用いることが望ましいが、これに限定されず、ヘリウム(He)、ネオン(Ne)等を用いてもよい。

0027

窒素ガスは、ガスボンベ等から窒素供給管34に流入し、圧力制御装置41で圧力が調整された後、バルブ36を介して配管33に流入する。一方、希釈ガスは、ガスボンベ等から希釈ガス供給管35に流入し、圧力制御装置42で圧力が調整された後、バルブ37を介して配管33に流入する。このようにして圧力が調整された窒素ガス及び希釈ガスは配管33内で混合ガスとなる。

0028

上記混合ガスは、配管33からバルブ38及び配管31を経て耐圧容器11の内部空間に供給されると共に、バルブ39及び配管32を経て内部容器12の内部空間に供給される。内部容器12の内部空間と反応容器13の内部空間とは、耐圧容器11内で連通しており、略同一雰囲気、略同一圧力となっている。内部容器12は製造装置1から取り外すことが可能となっている。配管33はバルブ40を介して外部につながっている。

0029

配管33には圧力計45が設けられている。圧力計45を監視することにより耐圧容器11及び内部容器12(反応容器13)の内部空間の圧力を調整することができる。このように、窒素ガス及び希釈ガスの圧力をバルブ36,37,38,39,40と圧力制御装置41,42とにより調整することにより、反応容器13内の窒素分圧を調整することができる。また、耐圧容器11及び内部容器12の全圧を調整できるので、内部容器12内の全圧を高くして反応容器13内の混合融液5(例えばナトリウム)の蒸発を抑制することができる。すなわち、13族窒化物(例えば窒化ガリウム)の結晶成長条件に影響を与える窒素分圧と、混合融液5の蒸発に影響を与える全圧とを別々に制御することができる。勿論、希釈ガスを導入せずに窒素ガスのみを反応容器13内に導入しても良い。図1に示す製造装置1の全体構成は例示に過ぎず、反応容器13内に窒素を含むガスを供給する機構や回転機構27等の変更は本発明の技術的範囲に影響を与えない。

0030

また、図1に示すように、耐圧容器11内の内部容器12の外周及び底部の下にはヒータ28が設置されている。ヒータ28は内部容器12及び反応容器13を加熱し、混合融液5の温度を調整する。反応容器13に種結晶6、原料(アルカリ金属及び13族元素)、C等の添加剤、Ge等のドーパント等を投入する作業は、例えばアルゴンガスのような不活性ガス雰囲気グローブボックス内に内部容器12を入れた状態で行うとよい。また、この作業を内部容器12に反応容器13を入れた状態で行ってもよい。

0031

混合融液5に含まれる13族元素とアルカリ金属とのモル比は、特に限定されるものではないが、13族元素とアルカリ金属との総モル数に対するアルカリ金属のモル比を40%〜95%とすることが好ましい。

0032

このように原料等を投入した後、ヒータ28に通電して内部容器12及び反応容器13を結晶成長温度まで加熱すると、反応容器13内で原料の13族元素、アルカリ金属、その他の添加物等が溶融し、混合融液5が生成する。この混合融液5に所定の窒素分圧の原料ガスを接触させることにより、気相から混合融液5中に窒素が溶解する。このような混合融液5中に溶解している原料は種結晶6の表面に供給され、13族窒化物結晶が種結晶6を核として結晶成長していく。

0033

このような結晶成長工程において、回転機構27により反応容器13を回転させ、混合融液5を撹拌することにより、混合融液5中の窒素濃度分布を均一に保つことができる。窒素濃度分布が均一な混合融液5中で長時間結晶成長させることにより、高品質で且つ大型の13族窒化物結晶を製造することができる。

0034

結晶成長中における反応容器13の回転方法に特に制限は無い。ただし一定速度で回転させ続けると、混合融液5が反応容器13や窒化物結晶(種結晶6)と等速度になり、混合融液5の撹拌効果が得られなくなる。そのため、加速減速反転等を含めた回転制御により混合融液5を撹拌することが好ましい。また、混合融液5の激しい撹拌は雑結晶の発生の原因となるため、好ましくない。具体的な撹拌方法としては、例えば特願2014−054470に開示される方法がある。本実施の形態では、13族元素及びアルカリ金属が加熱され混合融液5が形成された時点から撹拌が行われることが好ましい。

0035

(実施例1−1)
以下に、本実施の形態に係る製造装置1を用いて13族窒化物結晶を製造した実施例を記載する。先ず、種結晶6として市販のHVPE法により製造された2枚のGaN結晶基板を用意した。以後、HVPE法(気相成長法)により製造された種結晶を6Aと示す。これらのGaN結晶基板からなる種結晶6AはSiがドープされたn型の半導体であり、そのキャリア濃度は2×1018cm−3であった。種結晶6Aは2インチサイズであり、その厚さが0.4mmであり、鏡面仕上げが施されていた。

0036

反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度63ppmのAl2O3(アルミナ)からなる反応容器13と保持部材21を用いた。種結晶6Aの主面のオフ角θは0°〜0.5°であった(図2A参照)。

0037

次に、高純度Ar雰囲気のグローブボックス内で反応容器13内に保持部材21を置き、その上にGaN結晶基板である種結晶6Aを置いた。反応容器13内の種結晶6Aと保持部材21は図1に示すような状態で置かれていた。

0038

次に、グローブボックス内で反応容器13内に加熱して液体にしたNaを入れた。Naが固化した後、反応容器13内にGaとカーボン(C)を入れた。本実施例では、GaとNaとのモル比を0.25:0.75とした。添加物としてCとGeを添加した。Cの添加量はGaとNaとCの全モル数に対して0.5%とし、Geの添加量はGaのみのモル数に対して2.0%とした。Naは純度99.95%の物を使用した。

0039

次に、反応容器13を内部容器12内に収納し、グローブボックスから出した内部容器12を製造装置1に組み込んだ。次に、内部容器12内の窒素ガス圧力を2.2MPaにし、ヒータ28に通電し、反応容器13をGaNの結晶成長温度まで昇温させた。結晶成長工程における温度条件を870℃、窒素ガス圧力を3.0MPaとした。この状態で反応容器13(回転軸26)を加速・減速を交えて回転させ、100時間結晶成長を継続させた。

0040

その結果、厚さ(種結晶6Aの厚さ0.4mmを含む)が1.2mmのGaN結晶が製造された。図3は、実施例1−1における結晶成長の状態を示す図である。同図が示すように、種結晶6Aの表面(<0001>方向のc面)上に界面層51が形成され、界面層51上にGaN結晶52Aが形成されていた。すなわち、種結晶6AとGaN結晶52Aとの間に両結晶6A,52Aとは物性の異なる界面層51が形成されていた。

0041

(実施例1−2)
本実施例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度52ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが0.5°〜1.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0042

その結果、厚さが1.1mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、実施例1−1と同様に、図3に示すような状態となった。すなわち、種結晶6AとGaN結晶52Aとの間に界面層51が形成されていた。

0043

(実施例1−3)
本実施例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度83ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが1.5°〜2.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0044

その結果、厚さが1.2mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、実施例1−1と同様に、図3に示すような状態となった。すなわち、種結晶6AとGaN結晶52Aとの間に界面層51が形成されていた。

0045

(比較例1−1)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.99%、Si濃度37ppmのYAGからなる反応容器13と保持部材21を用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0046

その結果、厚さが1.1mmのGaN結晶が製造された。図4は、比較例1−1における結晶成長の状態を示す図である。同図が示すように、種結晶6Aの表面(<0001>方向のc面)上にGaN結晶52Bが直接形成され、図3に示すような界面層51は形成されなかった。

0047

(比較例1−2)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.99%、Si濃度69ppmのYAGからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが0.5°〜1.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0048

その結果、厚さが1.2mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、比較例1−1と同様に、図4に示すような状態となった。すなわち、種結晶6A上にGaN結晶52Bが直接形成され、界面層51は形成されなかった。

0049

(比較例1−3)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.99%、Si濃度49ppmのYAGからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが1.5°〜2.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0050

その結果、厚さが1.2mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、比較例1−1と同様に、図4に示すような状態となった。すなわち、種結晶6A上にGaN結晶52Bが直接形成され、界面層51は形成されなかった。

0051

(比較例2−1)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度44ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが2.5°〜3.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0052

その結果、厚さが1.3mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、実施例1−1と同様に、図3に示すような状態となった。すなわち、種結晶6AとGaN結晶52Aとの間に界面層51が形成されていた。後に詳述するが、本比較例と実施例1−1との間には、GaN結晶52Aのインクルージョンに相違がみられた。

0053

(比較例2−2)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.99%、Si濃度72ppmのYAGからなる反応容器13と保持部材21を用いた。また、主面のオフ角θが2.5°〜3.0°の種結晶6Aを用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0054

その結果、厚さが1.2mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、比較例1−1と同様に、図4に示すような状態となった。すなわち、種結晶6A上にGaN結晶52Bが直接形成され、界面層51は形成されなかった。

0055

(比較例3)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.80%、Si濃度25ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0056

その結果、種結晶6Aの周りに細かい核発生が多数認められ、GaNの単結晶を成長させることはできなかった。以後、核発生に伴って生ずる結晶を雑結晶と記述し、雑結晶が付着する現象雑晶化と記述する。図5は、比較例3における結晶成長の状態を示す図である。種結晶6Aの表面上に雑結晶50が形成され、GaN結晶が成長していないことが示されている。すなわち、種結晶6Aが雑晶化したことが示されている。

0057

(比較例4)
本比較例では、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度114ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0058

その結果、種結晶6A上にGaN結晶は成長しなかった。

0059

(比較例5)
本比較例では、純度が99.84%のNaを用いて混合融液5を生成した。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0060

その結果、比較例3と同様に、図5に示すように、種結晶6Aが雑晶化した。

0061

(比較例6)
本比較例では、フラックス法により製造されたGaN結晶基板を種結晶として用いた。以後、フラックス法により製造された種結晶を6Bと表す。種結晶6Bは実施例1−3で製造したGaN結晶52Aを加工したものであり、2インチサイズであり、厚さは0.4mmであった。種結晶6Bの主面のオフ角θが1.5°〜2.0°となるように加工した。また、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材として、純度99.95%、Si濃度34ppmのアルミナからなる反応容器13と保持部材21を用いた。その他の条件を実施例1−1と同様にしてGaN結晶の成長を行った。

0062

その結果、厚さが1.1mmのGaN結晶が製造された。このGaN結晶は、種結晶6B上にGaN結晶52Aが直接形成され、界面層51は形成されなかった。

0063

以下に、実施例1−1,1−2,1−3、比較例1−1,1−2,1−3,2−1,2−2,3,4,5,6において製造されたそれぞれの結晶について評価を示す。

0064

(転位密度の評価)
成長後の各GaN結晶52A,52Bを加工してc面を鏡面仕上げにした後、カソードルミネッセンス(Cathode Luminescence)装置を用いてダークスポット密度を測定することにより各GaN結晶52A,52Bの転位密度を評価した。また、種結晶6A,6Bとして用いたGaN結晶基板の転位密度も予め測定しておいた。その結果を表1に示す。尚、当該転位密度の測定は界面層51ではない結晶成長部分(52A,52Bで示す部分)に対して行われた。

0065

表1に示すように、反応容器13内の混合融液5と接触する接触部材にアルミナを用いた実施例1−1におけるGaN結晶52Aの転位密度(2.4×105cm−2)は、気相成長法により製造された種結晶6Aの転位密度(5×106cm−2)より1桁以上小さくなっている。アルミナを用いた他の実施例1−2,1−3におけるGaN結晶52Aの転位密度(2.2×105cm−2,2.0×105cm−2)についても実施例1−1と同様の結果がみられる。

0066

これに対し、接触部材にYAGを用いた比較例1−1におけるGaN結晶52Bの転位密度(1×106cm−2)は、種結晶6Aの転位密度(5×106cm−2)より小さくなってはいるものの、実施例1−1のように1桁以上小さくはなっていない。比較例1−1におけるGaN結晶52Bの転位密度は実施例1−1におけるGaN結晶52Aの転位密度の略4倍となっている。YAGを用いた他の比較例1−2,1−3におけるGaN結晶52Bの転位密度(6.4×105cm−2,4.3×105cm−2)についても、種結晶6Aの転位密度からの低減という点において比較例1−1と同様の結果がみられる。

0067

ここで、実施例1−1の転位密度より実施例1−2,1−3の転位密度の方が小さく、比較例1−1の転位密度より比較例2−2,2−3の転位密度の方が小さいという結果がみられる。この結果は、種結晶6Aのオフ角θが、成長したGaN結晶52A,52Bの転位密度に影響を与えることを示している。すなわち、表1からわかるように、成長後のGaN結晶52A,52Bの転位密度は、種結晶6Aのオフ角θが大きいほど小さくなる傾向がある。

0068

また、同じオフ角θ(例えば0.5°〜1.0°、実施例1−2・比較例2−2)であれば、アルミナを用いた場合のGaN結晶52Aの転位密度(2.2×105cm−2)の方が、YAGを用いた場合のGaN結晶52Bの転位密度(4.3×105cm−2)より小さくなることが示されている。

0069

また、実施例1−3のGaN結晶52Aの転位密度(2.0×105cm−2)と、フラックス法により製造した種結晶6Bを用いた場合のGaN結晶52Bの転位密度(2.1×105cm−2)とは略同値となった。この結果は、気相成長法により製造した比較的安価な種結晶6Aを用いても、フラックス法により製造した比較的高価な種結晶6Bを用いた場合と同等の転位密度を有するGaN結晶52Aを成長させることができることを示している。

0070

(インクルージョンの評価)
成長後の各GaN結晶52A,52Bから所定の大きさの検査基板を切り出し、当該検査基板に含まれるインクルージョンの含有率を測定した。検査基板は各GaN結晶52A,52Bの外周部を研削した後その表面を研磨することによって得られた。検査基板は2インチサイズのウェハー形状を有し、表面に鏡面仕上げが施されていた。各検査基板の厚さを0.4mmで統一した。インクルージョンの含有率の測定は界面層51ではない結晶成長部分(図3及び図4において52A,52Bで示す部分)に対して行われた。

0071

以下にインクルージョンの含有率の測定手順について記述する。先ず、デジタルカメラにより検査基板を撮影し、その画像データをコンピュータに保存した。次に、保存された画像データを画像処理ソフトにより処理し、撮影した画像を2値化した。2値化とは、画像を黒と白の2階調に変換する処理である。ここでは、黒い部分がインクルージョンを含む領域となるように画像処理ソフトにおける閾値を設定した。

0072

図6は、実施例1−2におけるGaN結晶52Aから製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。図7は、実施例1−3におけるGaN結晶52Aから製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。図8は、比較例2−1におけるGaN結晶52Bから製造された検査基板に含まれるインクルージョンを示す画像を示す図である。

0073

次に、2値化した画像の全体の面積に対する黒い部分の面積の割合を算出し、これをインクルージョンの含有率とした。このとき、検査基板の撮影環境、特に光量、光の方向等により検査基板の縁が黒く撮影されることがあるため、検査基板の縁から2mmの線より内側の部分を検査基板の全面積として計算した。

0074

表1に示すように、オフ角θが0°〜0.5°である実施例1−1及び比較例1−1におけるインクルージョンは略0%であった。すなわち、接触部材の材質がアルミナであるかYAGであるかに関わらず、オフ角θが0°〜0.5°である場合にはインクルージョンはほとんど生じないことが示されている。

0075

また、実施例1−1,1−2,1−3、比較例2−1間の比較、及び比較例1−1,1−2,1−3,2−2間の比較から、オフ角θが大きいほどインクルージョンの含有率が大きくなることがわかる。特に、オフ角θが2.5°〜3.0°である比較例2−1,2−2におけるインクルージョンの含有率は10%を超えている。インクルージョンの含有率が10%を超える基板は電子デバイス等として用いられる基板としては通常好ましくない。なお、フラックス法により製造された種結晶6Bを用いた比較例6においては、当該種結晶6Bのインクルージョンの含有率と成長後のGaN結晶52Bのインクルージョンの含有率とが略同値となった。

0076

以上のことから、オフ角θの増加は、上述したように転位密度を低下させるという特徴(利点)を有する反面、インクルージョンを増加させるという特徴(欠点)を有することがわかる。

0077

(PLスペクトルの評価)
実施例1−1、比較例1−1,6における成長後のGaN結晶52A,52B、及び実施例1−1における界面層51についてPLフォトルミネッセンススペクトルを測定した。先ず、種結晶6A上に形成された界面層51及びGaN結晶52A(図3参照)、及び種結晶6A,6B上に形成されたGaN結晶52B(図4参照)の、c面に対して垂直な断面を露出させ、当該断面を蛍光顕微鏡で観察した。蛍光顕微鏡による観察は波長吸収フィルターにより420nm未満の波長カットして行われた。

0078

実施例1−1におけるGaN結晶52A及び比較例6におけるGaN結晶52Aについては、水色から緑色発光が認められた。水色から緑色発光とは、肉眼で水色から緑色程度に見えるという意味である(以下同様である)。比較例1−1におけるGaN結晶52Bについては、黄色発行が認められた。すなわち、気相成長法により製造された種結晶6Aとアルミナとを組み合わせた実施例1−1と、フラックス法により製造された種結晶6Bとアルミナとを組み合わせた比較例6とでは、同様の発光が認められた。一方、種結晶6Aとアルミナとを組み合わせた実施例1−1と、種結晶6AとYAGとを組み合わせた比較例1−1とでは、異なる発光が認められた。なお、実施例1−1及び比較例1−1で使用された種結晶6Aは黄色発光であった。実施例1−1における界面層51については、赤色発光が認められた。

0079

図9は、実施例1−1におけるGaN結晶52Aに対するPLスペクトルの測定結果を示すグラフである。当該測定対象は水色から緑色発光を示す部分であり、当該測定対象に対するPLスペクトル測定では530nm付近ピークが認められた。比較例6におけるGaN結晶52Aに対するPLスペクトル測定においても、ピークの強度に相違はあったが、図9に示す測定結果と同様の結果が認められた。

0080

図10は、比較例1−1におけるGaN結晶52Bに対するPLスペクトルの測定結果を示すグラフである。当該測定対象は黄色発光を示す部分であり、当該測定対象に対するPLスペクトル測定では365nm付近におけるシャープなピークと、570nm付近におけるブロードなピークが認められた。当該365nm付近のピークは当該測定対象のGaN結晶52Bのバンド端に相当するフォトルミネッセンス発光ピークである。

0081

図11は、実施例1−1における界面層51に対するPLスペクトルの測定結果を示すグラフである。当該測定対象は赤色発光が認められる部分であり、当該測定対象に対するPLスペクトル測定では610nm付近にピークが認められた。

0082

このように、界面層51は、図9に示す成長後のGaN結晶52Aのフォトルミネッセンス発光ピークの波長(530nm)より長波長側にフォトルミネッセンス発光ピークを有するという特徴を有する。13族窒化物結晶としてGaN結晶52Aを製造する場合には、界面層51のフォトルミネッセンス発光ピークが600±30nmの範囲内に収まっていることが好ましい。この範囲内に収まっていれば、十分な品質を有するGaN結晶52Aを得ることができる。実施例1−2,1−3、比較例2−1においても実施例1−1と同様の結果が得られた。

0083

なお、上記のような界面層51の特徴はGaN結晶に限られるものではなく、他の13族窒化物結晶についてもあてはまるものである。すなわち、気相成長法により製造された13族窒化物結晶からなる種結晶を用いて当該13族窒化物結晶を結晶成長させる際に、当該種結晶と成長した13族窒化物結晶との間に形成される界面層のフォトルミネッセンス発光ピークは、成長した13族窒化物結晶のフォトルミネッセンス発光ピークよりも長波長側に出現する。

0084

(界面層の形成についての考察)
混合融液5と接触する接触部材(反応容器13の内壁、保持部材21、固定部材22等)にアルミナを用いた場合、接触部材の重量が結晶成長工程の実行後に減少する。このことから、結晶成長工程中に接触部材から混合融液5中にアルミナが溶出し、アルミナに由来する物質が界面層51の形成に何らかの影響を与えると推測される。アルミナに由来する物質としては、アルミイオン酸素イオン、アルミナ固溶体アルミナ微粒子等が考えられる。また、気相成長法により製造された種結晶6Aに含まれるケイ素の影響も考えられる。例えば、混合融液5が高温状態となったときに種結晶6Aがわずかに溶ける現象(メルトバック)により、種結晶6Aに含まれるケイ素が混合融液5中に溶出し、これが界面層51の生成に影響を与えることが予想される。このような不純物が混合融液中5に所定の条件下で存在することが、界面層51の形成の要因になると推測される。当該所定の条件としては、不純物の種類、不純物の濃度、温度、圧力等が考えられる。

0085

以上のことから、気相成長法により製造され比較的大きい転位密度(例えば5×106cm-2)を有する種結晶6Aを用いる場合であっても、混合融液5が接触する接触部材にアルミナを用いることにより、種結晶6Aより1桁以上小さい転位密度(例えば2.4×105cm-2)を有する高品質な13族窒化物結晶(例えばGaN結晶52A)を得ることが可能となる。また、種結晶6Aの主面のオフ角θを適切な値に設定することにより、転位密度が小さく且つインクルージョンが少ない高品質な13族窒化物結晶を得ることが可能となる。また、気相成長法により製造された比較的安価な種結晶6Aを用いて高品質な13族窒化物結晶を得ることができるため、コストの削減が可能となる。

0086

尚、上記実施の形態、実施例、及び比較例においては13族窒化物結晶としてGaN結晶を製造する場合を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、他の13族窒化物結晶を製造する場合にも適用可能なものである。

0087

1製造装置
5混合融液
6,6A,6B種結晶
11耐圧容器
12内部容器
13反応容器
21保持部材
22固定部材
25ターンテーブル
26回転軸
27回転機構
28ヒータ
31,32,33配管
34窒素供給管
35希釈ガス供給管
36,37,38,39,40バルブ
41,42圧力制御装置
45圧力計
50 雑結晶
51界面層
52A,52B GaN結晶

0088

国際公開2009−011407号
特開2012−006794号公報
特開2011−105586号公報
特開2005−263535号公報
国際公開2010−140665号
特開2009−212284号公報

先行技術

0089

AP97(2005)061301

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