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技術 風味改良剤

出願人 MCフードスペシャリティーズ株式会社
発明者 勝又忠与次酒井知香子高谷政宏
出願日 2014年3月27日 (5年4ヶ月経過) 出願番号 2014-066913
公開日 2015年11月2日 (3年9ヶ月経過) 公開番号 2015-188346
状態 特許登録済
技術分野 調味料
主要キーワード 反応粉末 アルコール含有溶媒 製造タンク 年熟成 加熱反応物 酸化反応物 ペルセイトール ビニルグアヤコール
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

飲食品に厚みのある熟成感甘味が付与できる新規な飲食品の風味改良剤の提供

解決手段

D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱してなる加熱反応物を含む、風味改良剤。前記D−アミノ酸またはD−アミノ酸残基が、脂肪族側鎖、水酸基系側鎖、塩基性側鎖アミド側鎖、酸性基系側鎖および芳香族系側鎖から選択される側鎖を有するものである風味改良剤。前記風味改良剤を含有させてなる、風味を改良された飲食品が、アルコール含有飲食品またはそれを原料とする加工飲食品である飲食品。

概要

背景

りんワインウイスキー等のアルコール含有飲食品は長期間の熟成工程を経ることによってその風味独特の美味しさが付与されることが知られている。これらの長期熟成飲食品は、長期間の熟成工程を経るため、製造において手間隙コストがかかるため、独特の美味しさを持っているにも関わらず、非常に高価で希少性の高いものがほとんどであり、一部の使用者にしか使用できないものであった。

このような背景の中、飲食品に熟成感を付与するための技術が開発されている。甲殻類等の海産物加熱処理物を添加する手法(特許文献1)や、4−ビニルグアヤコールを添加する手法(特許文献2)、発酵熟成食品に対して、グルタミン酸含有酵母エキスを添加する方法(特許文献3)、糖とアミノ酸酸化反応物を利用する手法(特許文献4)、等が知られている。しかしながら、これらの手法はその使用範囲が限定されるものであったり、制御することが難しいものであったりするため、簡便で実用的な新たな技術の開発が期待されていた。

概要

飲食品に厚みのある熟成感と甘味が付与できる新規な飲食品の風味改良剤の提供D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱してなる加熱反応物を含む、風味改良剤。前記D−アミノ酸またはD−アミノ酸残基が、脂肪族側鎖、水酸基系側鎖、塩基性側鎖アミド側鎖、酸性基系側鎖および芳香族系側鎖から選択される側鎖を有するものである風味改良剤。前記風味改良剤を含有させてなる、風味を改良された飲食品が、アルコール含有飲食品またはそれを原料とする加工飲食品である飲食品。なし

目的

本発明は、簡便に飲食品の風味を改良することができ、特に、厚みのある熟成感と甘味とを付与できる、風味改良剤、その製造方法、風味の改良された飲食品、飲食品の風味改良方法、および飲食品の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

この技術が所属する分野

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請求項1

D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱してなる加熱反応物

請求項2

前記D−アミノ酸またはD−アミノ酸残基が、脂肪族側鎖、水酸基系側鎖、塩基性側鎖アミド側鎖、酸性基系側鎖および芳香族系側鎖から選択される側鎖を有するものである、請求項1記載の加熱反応物。

請求項3

請求項1または2に記載の加熱反応物を含む、風味改良剤

請求項4

D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱する工程を含む、風味改良剤の製造方法。

請求項5

請求項1または2に記載の加熱反応物を含有させてなる、風味の改良された飲食品

請求項6

飲食品が、アルコール含有飲食品またはそれを原料とする加工飲食品である、請求項5に記載の飲食品。

請求項7

請求項1または2に記載の加熱反応物を飲食品に含有させる工程を含む、飲食品の風味改良方法

請求項8

風味改良が、飲食品への厚みのある熟成感甘味の付与である、請求項7記載の飲食品の風味改良方法。

請求項9

請求項1または2に記載の加熱反応物を飲食品に含有させる工程を含む、風味の改良された飲食品の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、風味改良剤および飲食品風味改良法に関する。

背景技術

0002

りんワインウイスキー等のアルコール含有飲食品は長期間の熟成工程を経ることによってその風味に独特の美味しさが付与されることが知られている。これらの長期熟成飲食品は、長期間の熟成工程を経るため、製造において手間隙コストがかかるため、独特の美味しさを持っているにも関わらず、非常に高価で希少性の高いものがほとんどであり、一部の使用者にしか使用できないものであった。

0003

このような背景の中、飲食品に熟成感を付与するための技術が開発されている。甲殻類等の海産物加熱処理物を添加する手法(特許文献1)や、4−ビニルグアヤコールを添加する手法(特許文献2)、発酵熟成食品に対して、グルタミン酸含有酵母エキスを添加する方法(特許文献3)、糖とアミノ酸酸化反応物を利用する手法(特許文献4)、等が知られている。しかしながら、これらの手法はその使用範囲が限定されるものであったり、制御することが難しいものであったりするため、簡便で実用的な新たな技術の開発が期待されていた。

先行技術

0004

特開平10−42823
特開2007−267679
特開2012−161270
WO2009/123298

0005

本発明は、簡便に飲食品の風味を改良することができ、特に、厚みのある熟成感と甘味とを付与できる、風味改良剤、その製造方法、風味の改良された飲食品、飲食品の風味改良方法、および飲食品の製造方法を提供することをその目的とする。

0006

本発明者らは、今般、D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱してなる加熱反応物(以下、D−アミノカルボニル反応物ともいう)を飲食品に含有させたところ、飲食品に厚みのある熟成感、甘味等の風味を簡便に付与しうることを見出した。本発明は、これら知見に基づくものである。

0007

本発明は、以下の(1)〜(9)に関する
(1)D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱してなる加熱反応物。
(2)前記D−アミノ酸またはD−アミノ酸残基が、脂肪族側鎖、水酸基系側鎖、塩基性側鎖アミド側鎖、酸性基系側鎖および芳香族系側鎖から選択される側鎖を有するものである、(1)に記載の加熱反応物。
(3)(1)または(2)に記載の加熱反応物を含む、風味改良剤。
(4)D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール存在下で共存させ、加熱する工程を含む、風味改良剤の製造方法。
(5)(1)または(2)に記載の加熱反応物を含有させてなる、風味の改良された飲食品
(6)飲食品が、アルコール含有飲食品またはそれを原料とする加工飲食品である、(5)記載の飲食品。
(7)(1)または(2)に記載の加熱反応物を飲食品に含有させる工程を含む、飲食品の風味改良方法。
(8)風味改良が、飲食品への厚みのある熟成感と甘味の付与である、(7)記載の飲食品の風味改良方法。
(9)(1)または(2)に記載の加熱反応物を飲食品に含有させる工程を含む、風味の改良された飲食品の製造方法。

0008

本発明によれば、簡便に飲食品の風味を改良することができ、特には、厚みのある熟成感と甘味とを付与できる、風味改良剤、その製造方法、風味の改良された飲食品、飲食品の風味改良方法、および飲食品の製造方法を提供することができる。また、本発明の風味改良剤は、飲食品に濃厚感を付与する上で有利に利用することができる。

発明の具体的説明

0009

本発明に用いられるD−アミノ酸は、飲食品への添加が許容されるD−アミノ酸であれば特に限定はされないが、例えば、D−イソロイシン、D−バリン、D−ロイシン、D−アラニン等の脂肪族側鎖を有するもの、D−セリン、D−トレオニン、D−チロシン等の水酸基系側鎖を有するもの、D−アルギニン、D−ヒスチジン、D−リシン等の塩基性側鎖を有するもの、D−グルタミン、D−アスパラギン等のアミド側鎖を有するもの、D−グルタミン酸、D−アスパラギン酸等の酸性基系側鎖を有するもの、D−プロリン等のイミノ基系側鎖を有するもの、D−フェニルアラニン等の芳香族系側鎖を有するもの、D−トリプトファン等のインドール基系側鎖を有するもの、D−システイン、D−メチオニン等の含硫系側鎖を有するもの等が挙げられる。好ましくはD−アラニン、D—ロイシン、D−フェニルアラニン、D−アルギニン、D−セリン、D−スレオニン、D−イソロイシン、D—グルタミン、D—グルタミン酸、D−アスパラギン酸、D—バリンが挙げられ、より好ましくは、D−アラニン、D—ロイシン、D−フェニルアラニン、D−アルギニン、D−セリン、D−スレオニン、D−イソロイシンが挙げられ、さらに好ましくはD—アラニン、D−ロイシン、D−フェニルアラニン、D−アルギニンが挙げられる。

0010

また、本発明に用いられるD−アミノ酸の塩は、飲食品への添加が許容される塩であれば特に限定されず、D−アミノ酸の酸付加塩金属塩アンモニウム塩有機アミン付加塩アミノ酸付加塩等の塩が挙げられる。

0011

また、酸付加塩としては、塩酸塩硫酸塩、硝酸塩リン酸塩等の無機酸塩酢酸塩マレイン酸塩フマル酸塩クエン酸塩リンゴ酸塩乳酸塩α−ケトグルタル酸塩、グルコン酸塩カプリル酸塩等の有機酸塩が挙げられる。金属塩としては、ナトリウム塩カリウム塩等のアルカリ金属塩マグネシウム塩カルシウム塩等のアルカリ土類塩アルミニウム塩亜鉛塩等が挙げられる。アンモニウム塩としては、アンモニウムテトラメチルアンモニウム等の塩が挙げられる。有機アミン付加塩としては、ホルモリンピペリジン等の塩が挙げられる。アミノ酸付加塩としては、グリシン、フェニルアラニン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等の塩が挙げられる。

0012

これらのD−アミノ酸またはその塩は一種類を単独で用いてもよいが、二種類以上を組み合わせて用いてもよい。

0013

また、本発明に用いられるD−アミノ酸は、それを含有する飲食可能な素材の形態で用いてもよい。かかる飲食可能な素材としては、それを分解物としたときの本発明に用いられるアミノ酸の量に着目することによって、本発明に従って風味改良する上で望ましいものを適宜選択できる、例えば、魚介類鳥獣肉乳製品およびその製品小麦、米、トウモロコシ等の穀類大豆等の豆類タマネギサツマイモ等の根菜類等、パン酵母乳酸菌等の微生物菌体もしくは培養物等の食品素材を用いることもできる。また、D−アミノ酸を含有する飲食可能な素材は、L−アミノ酸を含有する飲食可能な素材にアミノ酸ラセマーゼ等の酵素を作用させることにより取得して、本発明に用いてもよい。

0014

また、本発明に用いられるD−アミノ酸含有ペプチドは、そのアミノ酸配列中にD−アミノ酸残基を含むペプチドである。D−アミノ酸含有ペプチド中のアミノ酸残基は、上記D−アミノ酸と同様である。したがって、該ペプチド中のD−アミノ酸残基は塩の形態であってもよく、一種類であっても二種類以上であってもよい。また、D−アミノ酸含有ペプチドにおけるD−アミノ酸残基の含有率分子量等は特に限定されず、それを分解物としたときのD−アミノ酸の量に着目することによって、本発明に従って風味改良する上で望ましいものを適宜選択できる。

0015

本発明に用いられるD−アミノ酸含有ペプチドは、ペプチド合成機等を用いて合成してよく、上述のようなD−アミノ酸を含有する食物素材から得られるペプチドをそのまま用いてもよく、かかる食物素材を、酸、アルカリ、酵素等により分解して取得してもよい。

0016

本発明で用いられるカルボニル化合物としては、カルボニル基を持つ有機化合物またはその塩(金属塩、無機塩等)であってよいが、好ましくは還元糖、または脂質の酸化によって生成するカルボニル化合物であり、より好ましくは還元糖である。還元糖としては、単糖還元性をもつ二糖以上の多糖類が挙げられる。

0017

単糖としては、トリオーステトラオース、ペントースヘキソース、へプトース等が挙げられる。より具体的には、アルデヒド基ケト基を持ち飲食品の製造に用いられるものであってもよく、キシロースリボースアラビノースまたはリキソース等のアルドペントースグルコースガラクトースまたはマンノース等のアルドへキソースフルクトースプシコースソルボースまたはタガトース等のケトヘキソースグルコサミンガラクトサミン等のアミノ糖ガラクツロン酸グルクロン酸またはマンヌロン酸等のウロン酸が挙げられる。好ましくはキシロースやリボース等のアルドペントース、グルコースまたはガラクトース、マンノース等のアルドへキソース、フルクトース等のケトヘキソース、グルコサミン等のアミノ糖、ガラクツロン酸等のウロン酸であり、より好ましくはキシロースまたはリボース等のアルドペントース、グルコ−ス、ガラクトースまたはマンノース等のアルドへキソース、フルクトース等のケトヘキソース、グルコサミン等のアミノ糖である。

0018

また、還元性を示す二糖以上の多糖類は、単糖が2個以上グリコシド結合によって結合した単糖の重合体であってよく、シュークロースラクトースマルトース等のオリゴ糖デキストリンまたは各種グルカン等の多糖類等が挙げられる。

0019

また、脂質の酸化によって生成するカルボニル化合物としては、脂質酸化によって生じるハイドロキシパーオキサイドがさらに分解して生成するアルデヒド化合物等が挙げられる。また、アルデヒド化合物としては、飽和アルデヒド不飽和アルデヒド等が挙げられる。より具体的には、飽和アルデヒドとしては、プロパナールヘキサナールオクタナールノナナール等が挙げられ、好ましくはヘキサナールまたはオクタナールである。また、不飽和アルデヒドとしては、2−ブタエナール、2−ヘキセナール、2−デセナール、2−ウンデセナール、2−ジエナール、2,4−ヘプタジエナール、2,4−デカジエナール等が挙げられ、好ましくは2−ブタジエナールまたは2−ヘキセナール等である。

0020

本発明で用いるアルコールとしては、本発明の風味改良剤の効果の妨げとならない限り特に限定されず、例えば、エタノールブタノールプロパノールイソプロパノールペンタノール2−ペンタノール等の1価アルコールプロピレングリコール等の2価アルコール、グリセロール等の3価アルコール、または、炭素数4以上の糖アルコール等が挙げられ、好ましくは、エタノールや、グリセロール、エリストールキシリトールアラビニトールガラクチトールグルシトールマンニトールボレミトール、ペルセイトール等である。

0021

本発明の好ましい態様によれば、風味改良剤は、D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、ペプチドカルボニル化合物とアルコール存在下で共存させ、加熱して得られる加熱反応物として製造することができる。アルコール存在下で共存させる方法としては、例えば、D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物とをアルコール含有溶媒中で混合、溶解または分散させて共存物とする方法が挙げられる。

0022

前記共存物中のD−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩の含有量は、加熱混合物の取得を妨げない限り特に限定されず、本発明に用いられるD−アミノ酸の総重量として、例えば0.01〜50重量%であり、好ましくは0.01〜20重量%であり、より好ましくは0.1〜5重量%であり、さらに好ましくは0.1〜0.5重量%であり、もっとも好ましくは、0.15〜0.45重量%である。

0023

D−アミノ酸の含有量は、例えば、ガスクロマトグラフィー等(例えば、分析方法についてはH.Frank, G.J.Nicholson, E.Bayer: J.Chromatogr.Sci.,15,174(1977) Rapid gas chromatographic separation of amino acid enantiomers with a novel chiral stationary phase.記載の方法)によって測定することができる。また、特に、含硫D−アミノ酸または含硫D−アミノ酸残基含有ペプチドについて測定する場合、例えばO−フタルアルデヒドとN−イソブチリル−L−システインや、N−アセチルL−システインを用いてキラル誘導体化後、逆相カラムを用いて高速液体クロマトグラフィーにより、分離定量することができる。

0024

また、前記共存物中のカルボニル化合物の含有量は、本発明の風味改良剤の効果の妨げとならない限り特に限定されず、例えば、D−アミノ酸の総量(以下、総D−アミノ酸量ともいう)1重量部に対して、0.02〜5000重量部としてよく、好ましくは0.1〜100重量部である。

0025

また、共存物の製造にアルコール含有溶媒を用いる場合、アルコール含有溶媒中のアルコールの濃度は、本発明の風味改良剤の効果の妨げとならない限り特に限定されないが、アルコールがエタノールである場合、好ましくは80v/v%以下であり、より好ましくは10〜65v/v%、さらに好ましくは10%〜60v/v%であり、さらに好ましくは20%〜60v/v%である。

0026

アルコール含有溶媒のうちアルコール以外の液媒体としては、本発明の風味改良剤の効果の妨げとならない限り特に限定されないが、好ましくは水性媒体であり、より好ましくは水、塩化ナトリウム塩化カリウム塩化カルシウム等の無機塩の水溶液リン酸緩衝液クエン酸緩衝液等が挙げられる。

0027

また、加熱する前の前記共存物は、D−アミノ酸もしくはD−アミノ酸残基含有ペプチドまたはそれらの塩と、カルボニル化合物と、アルコール以外に、前記共存物が本発明の風味改良効果を獲得するための障害とならない限り他の成分を含んでいてもよい。例えば、本発明に用いられるD−アミノ酸以外のアミノ酸、タンパク質、ペプチド等が挙げられる。

0028

前記共存物中の他の成分の含有量は、前記共存物が本発明の風味改良剤の効果を獲得するための障害とならない限り特に限定されない。

0029

また、前記共存物を加熱する温度は、前記共存物が本発明の風味改良効果を獲得できる限り特に限定されないが、好ましくは5〜120℃であり、さらに好ましくは10〜90℃、より好ましくは30〜90℃である。

0030

前記共存物を加熱する時間は、加熱温度、pHに応じて適宜設定してよいが、通常30分間〜1ヶ月間であり、好ましくは0.5〜240時間であり、より好ましくは0.5〜120時間であり、さらに好ましくは0.5〜72時間であり、さらに好ましくは、1〜48時間である。
加熱時の前記共存物のpHは、前記共存物が本発明の風味改良効果を獲得できる限り特に限定されないが、通常pH3〜10であり、好ましくはpH3〜8.0であり、より好ましくは、pH3.0〜7.5である。
pHは、飲食品に許容し得る酸またはアルカリにより、上記pH範囲となるように調整してもよい。

0031

加熱手段は、当業者が一般に用いることができる手段であれば、特に限定されず、例えば、焼く焼成を含む)、炒める、揚げる、茹でる、蒸す、煮るが挙げられる。具体的な例としては、製造タンク等での加熱、熱風による加熱が挙げられる。また、加熱手段としては、レトルト殺菌ジュール殺菌、加圧殺菌熱風乾燥蒸気乾燥、または燻製等の手段を用いてもよい。また、また、加熱中は必要に応じて、圧力等を調整してもよい。

0032

前記製造方法により得られる加熱反応物はそのまま本発明に用いてもよく、必要に応じてさらに加熱反応物に対して脱色処理固液分離処理、濃縮処理乾燥処理等の処理を単独でまたは組み合わせて行って得られた物を本発明に用いてもよい。

0033

本発明の加熱反応物は、そのまま、または必要に応じて、飲食品に使用可能な各種添加物とともに風味改良剤として飲食品に含有させることにより、飲食品の風味を改良、特には「厚みのある熟成感」、「甘味」および「濃厚感」から選択される少なくとも1つの風味、特に厚みのある熟成感と甘味とを付与することができる。
すなわち、本発明の態様の一つとして、本発明の加熱反応物を飲食品に含有させる工程を含む、飲食品の風味改良方法が提供される。
飲食品に使用可能な各種添加物としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム等の無機塩、フマル酸リンゴ酸酒石酸クエン酸脂肪酸等のカルボン酸グルタミン酸ナトリウム、グリシン、アラニン等のアミノ酸、イノシン酸ナトリウムグアニル酸ナトリウム等の核酸ショ糖ブドウ糖乳糖等の糖類、醤油味噌畜肉エキス家禽エキス魚介エキス等の調味料スパイス類ハーブ類等の香辛料、デキストリン、各種澱粉等の賦形剤等が挙げられる。
各種添加物を含有する本発明の風味改良剤は、調味料として用いてもよい。

0034

本発明の加熱反応物を風味改良剤として用いる場合、形状は、液状、粉状、顆粒状等のいずれであってもよい。
本発明の加熱反応物を含有させる飲食品は、液体固体、または半固体のいずれの形態のものであってもよい。
飲食品の種類は、特に限定されないが、例えば、製造工程中に熟成工程を有する飲食品、それを原料とする加工飲食品、製造工程中に加熱調理工程を有する加熱調理飲食品等が挙げられる。例えば、本みりん、みりん風醸造調味料食酢、醤油、酒類等の醸造飲食品が挙げられ、好ましくは、みりん、酒類等のアルコール含有飲食品である。また、これらの飲食品を原料とする加工飲食品としては、上述のような飲食品を用いて調製される飲食品類、例えば、各種つゆ、たれ、料理用即席調味料、各種ソース、ドレッシング煮物焼き物用調味液惣菜等が挙げられる。また、加熱調理飲食品としては、煮込み工程を特徴とする煮込み飲食品が好ましい。

0035

前記飲食品に本発明の加熱反応物を含有させる方法は、本発明の効果を妨げない限り特に限定されないが、例えば、本発明の加熱反応物を、飲食品を製造する際に素材の一部として添加する方法、製品となっている飲食品を加熱調理、電子レンジ調理等で調理する際に添加する方法、喫食の際に添加する方法等が挙げられる。

0036

本発明の加熱反応物を飲食品へ含有させる量は、飲食品の種類、性質に応じて、風味改良のための有効量に当業者が適宜調整できる。例えば、飲食品100重量部(または容量部)に対して、乾燥質量基準で、本発明の加熱反応物を0.001〜10重量部(または容量部)、好ましくは、0.01〜10重量部(または容量部)、より好ましくは、0.1〜5重量部(または容量部)を含有させることができる。

0037

また、本発明のさらに別の態様によれば、風味改良のための有効量の本発明の加熱反応物を、飲食品に含有させる工程を含む、風味の改良された飲食品の製造方法が提供される。また、上記方法において、風味改良は、好ましくは、厚みのある熟成感、甘味および濃厚感から選択される少なくとも1つの風味の付与であり、より好ましくは、厚みのある熟成感と甘味の付与、さらに好ましくは厚みのある熟成感と甘味、両方の付与である。

0038

該態様における各条件等は、上述した、本発明の加熱反応物を用いる飲食品の風味改良方法に関する記述に準じることができる。

0039

以下に本発明の実施例を示すが、本発明は以下の実施例に限定されない。

0040

実施例1:みりん
風味改良剤の調製
風味改良剤として、以下の方法によりD−アミノ酸とカルボニル化合物との加熱反応物を得た。
シロ−ス(Xyl)1.5g(0.1モル)と1.78g(0.02モル)のD−アラニン(D−Ala)と水:エタノール=2:3溶液、1Lに溶解させた。該水溶液をpH7.5に調製し、30℃で40時間の加熱反応を行いXyl−D−Ala/水-EtOH反応溶液を得た。
該水:エタノール=2:3溶液の代わりに、水を用いる以外は同様の処理を行いXyl−D−Ala/水反応溶液を得た。
また、D−Alaの代わりにL−アラニン(L−Ala)を用いる以外はXyl−D−Ala/水-EtOH反応溶液およびXyl−D−Ala/水反応溶液の調製と同様の操作を行ってそれぞれXyl−L−Ala/水-EtOH反応溶液およびXyl−L−Ala/水反応溶液を得た。
得られたそれぞれの反応溶液を、真空凍結乾燥を行い、反応物粉末)を得た。
みりんの調製
市販みりん風醸造調味料100mLに対して0.2gの前記反応粉末を添加し、各添加区とした。
各添加区において、食塩含量およびエタノール濃度が同程度になるよう調整を行った。

0041

風味の評価
得られた各添加区の香り、甘味、濃厚感、熟成感について、官能評価を行った。官能評価は熟練した7名によりなるパネルにより行なった。

0042

官能評価(香り、甘味、濃厚感)は、以下の評価方法および評価基準で行った。
無添加区(市販みりん風醸造調味料)をコントロールとして、香り、甘味、濃厚感の3点について、3点尺度法にて評価を行なった。
0点:変化なし
1点:少し強い
2点:強い
3点:非常に強い
また、*、**は、無添加区にたいして、それぞれ、P<0.05、P<0.01で、有意に差があることを示す

0043

官能評価(熟成感)は、以下の評価方法および評価基準で行った。
市販の3年熟成された本みりん(以下熟成本みりんと言う)をコントロールとして、市販みりん風醸造調味料に反応物を添加した際の、コントロールに対する風味の類似度を以下に示す3点尺度法にて評価を行なった。
0点:似ていない
1点:少し似ている
2点:似ている
3点:非常に似ている
また、表中の*、**は、無添加区にたいして、それぞれP<0.05、P<0.01で、有意に差があることを示す

0044

その結果を第1表に示す。表中の評価は、7名のパネラー評点平均値である。

0045

第1表に示されるとおり、D−アラニンをエタノール存在下で反応させてなる添加区は、甘味、濃厚感が強く、熟成本みりんのような厚みのある熟成感を有すものであった。

0046

実施例2:めんつゆ
風味改良剤の調製
キシロ−ス(Xyl)1.5g(0.1モル)と、2.62g(0.02モル)のD−ロイシン(D−Leu)とを水:エタノール=2:3溶液、1Lに溶解させた。該水溶液をpH4.0に調製し、60℃で24時間の加熱反応を行いXyl−D−Leu/水-EtOH反応溶液を得た。
また、D−Leuの代わりにL−ロイシン(L−Ala)を用いる以外はXyl−D−Leu/水-EtOH反応溶液の調製と同様の操作を行ってXyl−L−Leu/水-EtOH反応溶液を得た。

0047

めんつゆの調製
醤油、出汁、熟成本みりん、塩を用いて、常法にのっとりめんつゆを調製した(コントロール(1))。調製しためんつゆを、25℃、無菌状態で3日間熟成(寝かせ)させコントロール(2)を調製した。熟成本みりんの代わりにみりん風醸造調味料を使用する以外は、同様の処理を行ないコントロール(3)を調製した。(未熟成)
コントロール(3)に上記各反応溶液を0.3v/v%添加した際のXyl−L-leu/水-EtOH反応溶液添加区と、Xyl−D-leu/水-EtOH反応溶液添加区をそれぞれ調製した。各添加区において、食塩含量およびエタノール濃度が同程度になるよう調整を行った。

0048

風味の評価
得られた各添加区における上記反応溶液の添加効果と、コントロール(2)に対するそれぞれの類似度の官能評価を行った。官能評価は熟練した5名によりなるパネルにより行なった。
評価方法および評価基準は、実施例1に準じた。

0049

結果を第2表に示す。表中の評価は、5名のパネラーの評点の平均値である。

0050

第2表に示されるとおり、D−ロイシンをエタノール存在下で反応させてなる添加区は、甘味、濃厚感がL-ロイシンを反応させたものよりも強く、さらに熟成本みりんを用いたような厚みのある熟成感をもつものであった。

0051

実施例3:煮物調味液肉じゃが
風味改良剤の調製
キシロ−ス(Xyl)1.5g(0.1モル)と、3.3g(0.02モル)のD−フェニルアラニン(D−Phe)とを水:エタノール=2:3溶液、1Lに溶解させた。該水溶液をpH6.0に調製し、60℃で24時間の加熱反応を行いXyl−D−Phe/水-EtOH反応溶液を得た。
また、D−Pheの代わりにL−フェニルアラニン(L−Phe)を用いる以外はXyl−D−Phe/水-EtOH反応溶液の調製と同様の操作を行ってXyl−L−Phe/水-EtOH反応溶液を得た。

0052

煮物調味液の調製
砂糖、熟成本みりん、醤油、酒、塩を用い、常方に従い煮物調味液(コントロール(1))を作成した。熟成本みりんの代わりにみりん風醸造調味料を用いる以外は同様の処理を行ない、コントロール(2)を調製した。コントロール(2)に反応物を各0.3v/v%添加し、Xyl−L−Phe含有調味液(1)(L−Phe)、Xyl−D−Phe含有調味液(2)(D−Phe)をそれぞれ調製した。茹で上げた牛肉、タマネギ、ジャガイモを、コントロール(1)、調味液(1)、(2)に混ぜ合わせ、弱火で5分間の煮込み工程を行なった。
各添加区において、食塩含量およびエタノール濃度が同程度になるよう調整を行った。

0053

風味の評価
調味液(1)、調味液(2)を用いて調製した煮物それぞれの添加効果と、コントロール(1)を用いて調製した煮物をコントロールとして、調味液(1)、(2)を使用して調整した煮物のコントロールに対する類似度の官能評価を行った。官能評価は熟練した6名によりなるパネルにより行なった。
評価方法および評価基準は、実施例1に準じた。

0054

結果を第3表に示す。表中の評価は、6名のパネラーの評点の平均値である。

0055

第3表に示されるとおり、D−フェニルアラニンをエタノール存在下で反応させてなる添加区は、L−フェニルアラニン反応物添加区よりも香り、甘味、濃厚感が強く、熟成本みりんを用いて調整した肉じゃがのように、厚みのある熟成感を有するものであった。

0056

実施例4:おでんつゆ
風味改良剤の調製
キシロ−ス(Xyl)1.5g(0.1モル)に対して、それぞれ0.02モルになるようにD−フェニルアラニン(D-Phe)、D−ロイシン(D-Leu)、D−アラニン(D-Ala)、D—アルギニン(D-Arg)を水:エタノール=2:3溶液、1Lに溶解させた。該水溶液をpH6.0に調製し、40℃で32時間の加熱反応を行いXyl−D−アミノ酸/水−EtOH反応溶液を得た。

0057

おでんつゆの調製
砂糖、熟成本みりん、醤油、酒、塩、だし汁を用いて常法に従い、おでんつゆを調製した(コントロール(1))。熟成本みりんの代わりにみりん風醸造調味料を用いる以外は同様の処理を行ない、コントロール(2)を調製した。コントロール(2)に上記反応溶液をそれぞれ0.3v/v%添加し調製した。各添加区において、食塩含量およびエタノール濃度が同程度になるよう調整を行った。

0058

風味の評価
上記反応溶液の添加されたおでんつゆについて、添加無添加による添加効果の確認ならびに、コントロール(1)に対する類似度の官能評価を行った。官能評価は熟練した5名によりなるパネルにより行なった。
評価方法および評価基準は、実施例1に準じた。

0059

結果を第4表に示す。表中の評価は、5名のパネラーの評点の平均値である。

0060

第4表に示されるとおり、D−フェニルアラニン、D−ロイシン、D−アラニン、D−アルギニンをエタノール存在下で反応させてなる反応物を添加した添加区は甘味、濃厚感が強く、熟成本みりんを用いたような、厚みのある熟成感を有すおでんつゆに調製されていた。

0061

実施例5:おでんつゆ
D−アミノ酸として、D−セリン(D-Ser)、D−スレオニン(D-Thr)、D−イソロイシン(D-Ile)を用いる以外、実施例4と同様の手法により、風味改良剤およびおでんつゆを調製し、風味評価を行った。

0062

その結果、いずれのサンプルについても、香りのスコアは0.3〜0.5である一方、「甘味」、「濃厚感」、および「厚みのある熟成感」のスコアは2程度あり、熟成本みりんを用いたような、厚みのある熟成感を有するおでんつゆが調製されていた。

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