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図面 (20)

課題

IgE媒介性疾患を治療するための新規組成物および方法に関する。

解決手段

本発明は、高親和性IgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンに関し、該組成物は、膜アンカーIgEを発現する細胞阻害することができる、該免疫グロブリンを含む。このような組成物は、アレルギーおよび喘息を含む、IgE媒介性疾患を治療するために有用である。

概要

背景

喘息アレルギー性鼻炎アトピー性皮膚炎、および食物アレルギー等のアレルギー性疾患および状態は、過去数十年の間に非常に蔓延し、現在、先進工業諸国の人口の10〜40%が罹患している。アレルギー性疾患は、生活の質に著しく影響を及ぼし、喘息およびアナフィラキシー重篤な症例で生じる場合がある、死亡を含む重篤な合併症をもたらし得る。アレルギーは蔓延しており、仕事や学校の時間損失の最大の原因であり、個人の生活に対するそれらの影響、ならびに医療システムおよび経済へのそれらの直接的および間接費用は、莫大である。例えば、アレルギー性鼻炎(季節性鼻アレルギー)は、米国の人口の22%以上が罹患し、一方アレルギー性喘息は、米国の少なくとも2000万の居住者が罹患していると考えられている。米国におけるアレルギー性疾患の経済的影響は、医療費および生産性の損失を含み、90年代初期だけで、64億ドルに達すると推定されている。

大半のアレルギー性疾患は、免疫グロブリンEIgE)媒介性の過敏症反応により生じる。IgEは、微量濃度血清中に通常存在する、抗体のクラスである。これは、その成熟化の特定の段階で、その表面上に抗体を発現するIgE分泌形質細胞により生成される。アレルギー患者は、彼らが敏感である、通常は無害である抗原に対する結合特異性的を有する、上昇レベルのIgEを生成する。これらのIgE分子は、血液中循環し、循環中の好塩基球、ならびに粘膜裏層に沿った、および皮膚の下のマスト細胞の表面上のIgE特異的受容体に結合する。抗原またはアレルゲンのマスト細胞、好塩基球、および他の細胞型上のIgEへの結合は、IgE分子を架橋し、下にある受容体を凝集し、よって、細胞ヒスタミンロイコトリエンプロスタグランジンブラジキニン、および血小板活性化因子等の、血管作動性およびニューロン刺激性介在物質を放出させる。抗体免疫複合体に起因する免疫系の抗原への即時反応から、T細胞により媒介される遅延型または細胞媒介過敏症反応と対照的に、即時型または抗体媒介過敏反応という用語につながった。IgE媒介免疫反応は、特にI型過敏症反応と称される。

IgE(FcεRI)に対する高親和性受容体は、即時アレルギー症状の重要な介在物質である。マスト細胞および好塩基球に加え、アレルギー性反応の主要介在物質であるFcεRIは、好酸球血小板、ならびに単球および樹状細胞等の抗原提示細胞上を含む、いくつかの他の細胞型上に見出される。IgEのさらなる受容体は、FcεRIIであり、CD23または低親和性IgEFc受容体としても知られる。FcεRIIは、Bリンパ球マクロファージ、血小板、および気道平滑筋等の、多くの他の細胞型上で広く発現する。FcεRIIは、IgE発現および後続のFcεRII表面発現フィードバック制御関与する可能性がある。

IgEは、大半のアレルギー性反応の媒介に中心的な役割を果たすため、体内のIgEレベルを制御するための治療考案し、IgE合成を調節することには、多くの関心が持たれている。IgEレベルの下方制御によるIgE媒介性のアレルギー性疾患を治療するための、いくつかの対処法が提案されている。対処法の1つは、Fc受容体結合部位またはその近くでIgEのε鎖を結合することによって、IgE分子を中和することを含む。例えば、オマリズマブ(ゾレア)は、FcεRlと同じFc部位上でIgEnに結合する、組み換えヒトモノクローナル抗IgE抗体である。組織マスト細胞および好塩基球に結合し、感作する抗原特異的IgEの量を減弱するオマリズマブは、アトピー患者において、血清総IgEまたは循環IgEの減少をもたらす。これは、次いで、アレルギー性疾患の症状の軽減につながる。興味深いことに、血清IgEレベルは、オマリズマブ−IgE複合体形成のため、治療開始後に増加し、治療停止後、最大1年の間、高いレベルを維持する場合がある。結果的に、この問題は、診断検査において偽陰性につながる場合があり、したがって、IgEレベルは日常的に確認されなければならない。したがって、IgE媒介性疾病および疾病症状を低減させるための、改善された方法および組成物の必要性が存在する。

概要

IgE媒介性疾患を治療するための新規組成物および方法に関する。本発明は、高親和性でIgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンに関し、該組成物は、膜アンカーIgEを発現する細胞を阻害することができる、該免疫グロブリンを含む。このような組成物は、アレルギーおよび喘息を含む、IgE媒介性疾患を治療するために有用である。なし

目的

本開示は、高親和性でIgEおよびFcγRIIbに結合する新規共結合分子、このような共結合分子を含む組成物、ならびにIgE媒介性疾患を治療するための該新規共結合分子の使用方法を提供する

効果

実績

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請求項1

IgE+FcγRIIb+細胞阻害する方法であって、前記細胞を共結合分子と接触させることを含み、前記共結合分子は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合し、前記共結合分子は、前記細胞表面上でIgEおよびFcγRIIbに共結合する、方法。

請求項2

前記共結合分子は、IgEに特異性を有する抗体である、請求項1に記載の方法。

請求項3

前記共結合分子は、第1のFv領域および第2のFv領域を含む二重特異性抗体であり、前記第1のFv領域はIgEに結合し、第2のFv領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する、請求項1に記載の方法。

請求項4

前記共結合分子は、Fc領域を含むFc融合物であり、前記Fc領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する、請求項1に記載の方法。

請求項5

前記細胞は、B細胞である、請求項1に記載の方法。

請求項6

IgEに特異性を有する共結合分子であって、前記共結合分子は、親FcポリペプチドFc変異体を含み、前記Fc変異体は、前記親Fcポリペプチドに対して強化されたFcγRIIbに対する結合親和性を有する、共結合分子。

請求項7

前記Fc変異体は、前記親Fcポリペプチドと比較して、前記Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、前記修飾は、234、235、236、237、239、265、266、267、268、298、325、326、327、328、329、330、331、および332からなる群から選択され、番号付けは、EU指標に従う、請求項6に記載の共結合分子。

請求項8

前記修飾は、L235Y、G236D、S239D、V266M、S267E、H268D、H268E、L328F、L328W、ならびにL328Y267Dおよび267Eからなる群から選択される置換である、請求項6に記載の共結合分子。

請求項9

前記修飾は、267Dおよび267Eからなる群から選択される置換である、請求項8に記載の共結合分子。

請求項10

328F、325D、325Y、239D、332E、268D、268E、236D、236N、328W、328Y、234D、234E、234W、237D、237N、327D、327E、235F、235R、239E、および266Mからなる群から選択される置換をさらに含み、番号付けは、EU指標に従う、請求項9に記載の共結合分子。

請求項11

可変領域およびFc領域を含む抗体であって、前記可変領域は、膜アンカーIgEに結合し、前記Fc領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する、抗体。

請求項12

前記可変領域VHドメインは、配列番号2のCDR1、配列番号3のCDR2、および配列番号4のCDR3、または配列番号18のCDR1、配列番号19のCDR2、および配列番号20のCDR3を含む、請求項11に記載の抗体。

請求項13

前記可変領域VLドメインは、配列番号6のCDR1、配列番号7のCDR2、および配列番号8のCDR3、または配列番号22のCDR1、配列番号23のCDR2、および配列番号24のCDR3を含む、請求項11に記載の抗体。

技術分野

0001

関連特許
本出願は、35 U.S.C.119(e)に基づき、2008年9月17日に出願された米国仮出願第61/097,819号の利益を主張するものであり、参照によりその全体が本明細書に援用され、また「Methodsand Compositions for Inhibiting CD32b Expressing cells」の表題で、2008年5月30日に出願されたUSSN第12/156,183号に関連し、参照によりその全体が本明細書に援用される。

0002

本開示は、高親和性IgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンに関し、該組成物は、膜アンカーIgEを発現する細胞阻害することができる。このような組成物は、アレルギーおよび喘息を含む、IgE媒介性疾患を治療するために有用である。

背景技術

0003

喘息、アレルギー性鼻炎アトピー性皮膚炎、および食物アレルギー等のアレルギー性疾患および状態は、過去数十年の間に非常に蔓延し、現在、先進工業諸国の人口の10〜40%が罹患している。アレルギー性疾患は、生活の質に著しく影響を及ぼし、喘息およびアナフィラキシー重篤な症例で生じる場合がある、死亡を含む重篤な合併症をもたらし得る。アレルギーは蔓延しており、仕事や学校の時間損失の最大の原因であり、個人の生活に対するそれらの影響、ならびに医療システムおよび経済へのそれらの直接的および間接費用は、莫大である。例えば、アレルギー性鼻炎(季節性鼻アレルギー)は、米国の人口の22%以上が罹患し、一方アレルギー性喘息は、米国の少なくとも2000万の居住者が罹患していると考えられている。米国におけるアレルギー性疾患の経済的影響は、医療費および生産性の損失を含み、90年代初期だけで、64億ドルに達すると推定されている。

0004

大半のアレルギー性疾患は、免疫グロブリンE(IgE)媒介性の過敏症反応により生じる。IgEは、微量濃度血清中に通常存在する、抗体のクラスである。これは、その成熟化の特定の段階で、その表面上に抗体を発現するIgE分泌形質細胞により生成される。アレルギー患者は、彼らが敏感である、通常は無害である抗原に対する結合特異性的を有する、上昇レベルのIgEを生成する。これらのIgE分子は、血液中循環し、循環中の好塩基球、ならびに粘膜裏層に沿った、および皮膚の下のマスト細胞の表面上のIgE特異的受容体に結合する。抗原またはアレルゲンのマスト細胞、好塩基球、および他の細胞型上のIgEへの結合は、IgE分子を架橋し、下にある受容体を凝集し、よって、細胞にヒスタミンロイコトリエンプロスタグランジンブラジキニン、および血小板活性化因子等の、血管作動性およびニューロン刺激性介在物質を放出させる。抗体免疫複合体に起因する免疫系の抗原への即時反応から、T細胞により媒介される遅延型または細胞媒介過敏症反応と対照的に、即時型または抗体媒介過敏反応という用語につながった。IgE媒介性免疫反応は、特にI型過敏症反応と称される。

0005

IgE(FcεRI)に対する高親和性受容体は、即時アレルギー症状の重要な介在物質である。マスト細胞および好塩基球に加え、アレルギー性反応の主要介在物質であるFcεRIは、好酸球血小板、ならびに単球および樹状細胞等の抗原提示細胞上を含む、いくつかの他の細胞型上に見出される。IgEのさらなる受容体は、FcεRIIであり、CD23または低親和性IgEFc受容体としても知られる。FcεRIIは、Bリンパ球マクロファージ、血小板、および気道平滑筋等の、多くの他の細胞型上で広く発現する。FcεRIIは、IgE発現および後続のFcεRII表面発現フィードバック制御関与する可能性がある。

0006

IgEは、大半のアレルギー性反応の媒介に中心的な役割を果たすため、体内のIgEレベルを制御するための治療を考案し、IgE合成を調節することには、多くの関心が持たれている。IgEレベルの下方制御によるIgE媒介性のアレルギー性疾患を治療するための、いくつかの対処法が提案されている。対処法の1つは、Fc受容体結合部位またはその近くでIgEのε鎖を結合することによって、IgE分子を中和することを含む。例えば、オマリズマブ(ゾレア)は、FcεRlと同じFc部位上でIgEnに結合する、組み換えヒトモノクローナル抗IgE抗体である。組織マスト細胞および好塩基球に結合し、感作する抗原特異的IgEの量を減弱するオマリズマブは、アトピー患者において、血清総IgEまたは循環IgEの減少をもたらす。これは、次いで、アレルギー性疾患の症状の軽減につながる。興味深いことに、血清IgEレベルは、オマリズマブ−IgE複合体形成のため、治療開始後に増加し、治療停止後、最大1年の間、高いレベルを維持する場合がある。結果的に、この問題は、診断検査において偽陰性につながる場合があり、したがって、IgEレベルは日常的に確認されなければならない。したがって、IgE媒介性疾病および疾病症状を低減させるための、改善された方法および組成物の必要性が存在する。

0007

本開示は、高親和性でIgEおよびFcγRIIbに結合する新規共結合分子、このような共結合分子を含む組成物、ならびにIgE媒介性疾患を治療するための該新規共結合分子の使用方法を提供する。本発明の共結合分子は、膜IgEおよびFcγRIIb、すなわち、IgE+FcγRIIb+細胞を発現する細胞を阻害することができる。本発明の共結合分子は、好ましくは、循環IgEも結合することができる。本明細書に開示される阻害方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を、細胞表面上で、IgEおよびFcγRIIbを共結合する共結合分子と接触させることを含む。

0008

本明細書に開示される組成物は、細胞表面上で、高親和性でIgEおよびFcγRIIbの共結合を可能にする共結合分子を含む。一実施形態において、共結合分子は、高親和性で、IgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンを含む。本発明の共結合分子は、好ましくは、細胞表面上で、膜アンカーIgEおよびFcγRIIbに共結合し、好ましくは、約100nM未満のKdで、FcγRIIbに結合する。好適な実施形態において、共結合分子は、免疫グロブリンであり、さらなる好適な実施形態において、免疫グロブリンは抗体であり、該抗体のFv領域は、特異的にIgEに結合する。好適な実施形態において、該抗体は、循環および膜アンカーIgEの両方に結合する。代替的な実施形態において、該抗体は、循環IgEに対して膜アンカーIgEに選択的に結合する。別の実施形態において、共結合分子は、第1の標的特異的領域および第2の標的特異的領域を有する二重特異的抗体であり、第1の標的特異的領域は、IgEに結合し、第2の標的特異的領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。好適な実施形態において、第1および第2の標的特異的領域は、Fv領域であり、第1のFv領域は、IgEに結合し、第2のFv領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。別の実施形態において、共結合分子は、Fc領域を含むFc融合物であり、該Fc領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。この実施形態において、免疫グロブリンのFc融合パートナーは、IgEに結合する。

0009

一実施形態において、共結合分子は、FcγRIIbと結合し、該結合の親和性は、約100nM未満、例えば、約95nM以下、約90nM以下、約85nM以下、約80nM以下、約75nM以下、約74nM以下のKdを有する。

0010

一実施形態において、高親和性でIgEおよびFcγRIIbを共結合する共結合分子は、親免疫グロブリンに対して変異体免疫グロブリンを含む。一実施形態において、変異体免疫グロブリンは、変異体Fc領域を含み、該変異体Fc領域は、親Fc領域と比較して、1つ以上(例えば、2つ以上)の修飾を含み、該修飾は、234、235、236、237、239、265、266、267、268、298、325、326、327、328、329、330、331、および332からなる群から選択される位置であり、付番は、EU指標に従う。別の実施形態において、修飾は、EU指標に従う、234、235、236、237、266、267、268、327、328からなる群から選択される位置においてである。別の実施形態において、修飾は、EU指標に従う、235、236、266、267、268、328からなる群から選択される位置においてである。別の実施形態において、修飾は、EU指標に従う、235、236、239、266、267、268、および328からなる群から選択される位置においてである。別の実施形態において、修飾は、EU指標に従う、234、235、236、237、266、267、268、327、328からなる群から選択される位置においてである。

0011

一実施形態において、該修飾は、234F、234G、234I、234K、234N、234P、234Q、234S、234V、234W、234Y、234D、234E、235A、235E、235H、235I、235N、235P、235Q、235R、235S、235W、235Y、235D、235F、235T、236D、236F、236H、236I、236K、236L、236M、236P、236Q、236R、236S、236T、236V、236W、236Y、236A、236E、236N、237A、237E、237H、237K、237L、237P、237Q、237S、237V、237Y、237D、237N、239D、239E、239N、239Q、265E、266D、266I、266M、267A、267D、267E、267G、268D、268E、268N、268Q、298D、298E、298L、298M、298Q、325L、326A、326E、326W、326D、327D、327G、327L、327N、327Q、327E、328E、328F、328Y、328H、328I、328Q、328W、329E、330D、330H、330K、330S、331S、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該修飾は、234N、234F、234D、234E、234W、235Q、235R、235W、235Y、235D、235F、235T、236D、236H、236I、236L、236S、236Y、236E、236N、237H、237L、237D、237N、239D、239N、239E、266I、266M、267A、267D、267E、267G、268D、268E、268N、268Q、298E、298L、298M、298Q、325L、326A、326E、326W、326D、327D、327L、327E、328E、328F、328Y、328H、328I、328Q、328W、330D、330H、330K、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該修飾は、234D、23
4E、234W、235D、235F、235R、235Y、236D、236N、237D、237N、239D、239E、266M、267D、267E、268D、268E、327D、327E、328F、328W、328Y、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該修飾は、234E、235Y、235R、236D、236N、237N、266M、267E、268E、268D、327D、327E、328F、328Y、328Wからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該修飾は、235Y、236D、239D、266M、267E、268D、268E、328F、328W、および328Yからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該修飾は、235Y、236D、266M、267E、268E、268D、328F、328Y、および328Wからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。

0012

一実施形態において、該修飾は、235Y/267E、236D/267E、239D/268D、239D/267E、239D/332E、267E/268D、267E/268E、および267E/328Fの組み合わせの置換の、少なくとも1つをもたらし、付番は、EU指標に従う。

0013

一実施形態において、本明細書に開示される修飾は、親免疫グロブリンに対して、少なくとも1つの受容体に対する親和性を低減させ、該受容体は、FcγRI、FcγRIIa、およびFcγRIIIaからなる群から選択される。この実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリン変異体は、親免疫グロブリンに対してADCCまたはADCPの低減を媒介し得る。代替的な実施形態において、本明細書に開示される修飾は、親免疫グロブリンに対して、少なくとも1つの受容体に対する親和性を増加させ、該受容体は、FcγRI、FcγRIIa、およびFcγRIIIaからなる群から選択される。この実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリン変異体は、親免疫グロブリンに対してADCCまたはADCPの亢進を媒介することができる。

0014

免疫グロブリン組成物を含む、新規共結合分子を操作するための方法も、本明細書に開示する。

0015

本明細書に記載される免疫グロブリンを含む、共結合分子をコードする単離された核酸も、本明細書に開示する。随意制御配列に操作可能に連結される核酸を含むベクターも、本明細書に開示する。ベクターを含有する宿主細胞、および共結合分子を産生し、随意に回収するための方法も、本明細書に開示する。

0016

本明細書に開示される免疫グロブリンを含む共結合分子も、本明細書に開示する。 共結合分子は、治療製品に用途を見出し得る。一実施形態において、本明細書に開示される共結合分子は、抗体であってもよい。

0017

本明細書に記載される共結合分子、および生理学的または薬学的に許容される担体または希釈剤を含む組成物も開示する。

0018

IgE+FcγRIIb+細胞を阻害する方法も、本明細書に開示する。本明細書に記載される細胞を阻害する方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を共結合分子と接触させることを含み、該共結合分子は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。最も好適な実施形態において、該共結合分子は、細胞表面上で、IgEおよびFcγRIIbに共結合する。好適な実施形態において、阻害方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を抗体と接触させることを含み、該抗体は、そのFv領域を介してIgEに結合し、該抗体は、Fc領域を含み、該Fc領域は、100nMまたはそれ以下のKdでFcγRIIbに結合する。他の実施形態において、該Fc領域は、自然IgG1に対して高い親和性で、FcγRIIaおよび/またはFcγRIIIaに結合する。他の実施形態において、方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を共結合分子と接触させることを含み、該共結合分子は、第1のFv領域および第2のFv領域を含む二重特異性抗体であり、該第1のFv領域はIgEに結合し、該第2のFv領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。代替的な実施形態において、方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を共結合分子と接触させることを含み、該共結合分子は、Fc領域を含むFc融合物であり、該Fc領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。

0019

他の好適な方法は、IgE分泌を低下させる方法を含む。方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を共結合分子と接触させることを含み、該共結合分子は、約100nM未満のKdでIgEおよびFcγRIIbに結合する。

0020

B細胞の成熟化を阻害する方法も含む。この方法は、IgE+FcγRIIb+細胞を共結合分子と接触させることを含み、該共結合分子は、約100nM未満のKdでIgEおよびFcγRIIbに結合する。

0021

本明細書に開示される共結合分子の治療および診断用途も、記載する。最も好適な実施形態において、本明細書に開示される共結合分子は、免疫グロブリンIgEにより媒介される、1つ以上のIgE媒介性疾患、例えば、自己免疫疾患炎症性疾患等を治療するために使用される。特定の実施形態において、本明細書に開示される組成物により治療され得る、アレルギー性およびアトピー性疾患は、アレルギー性およびアトピー性喘息、アトピー性皮膚炎および湿疹、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎および鼻結膜炎アレルギー性脳脊髄炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性脈管炎アナフィラキシーショック、ならびに任意の種類の環境的もしくは食物アレルギーに対するアレルギーを含むが、これらに限定されない。本明細書に開示される治療方法は、このような投与を必要とする患者に、細胞の表面上で、IgEおよびFcγRIIbに共結合する、治療有効量の共結合分子を投与することを含む。

図面の簡単な説明

0022

IgE+FcγRIIb+B細胞を阻害するための新しい機構アプローチ図説である。適切な刺激の下で、未変性B細胞は、IgE+B細胞に分化することができる。抗原のIgE B細胞受容体との結合は、これらの細胞を活性化し、これは、後に、循環IgEを放出する形質細胞に分化することができる。例えば、マスト細胞、好塩基球、および好酸球上で、FcεRに結合する循環IgEの結合は、これらの細胞を活性化する。ヒスタミン、プロスタグランジン、および他の化学介在物質の放出は、最終的に、アレルギーおよび喘息の臨床症状をもたらす。自然IgG1Fc領域を有するオマリズマブは、IgEのFcεRへの結合を阻止することができる。図中で、抗IgE−IIbEとして参照される、FcγRIIbに対して高親和性を有する抗IgE抗体は、IgEのFcεRへの結合を阻止するだけでなく、mIgE FcγRIIb共結合によるIgE+B細胞の活性化も阻害することができる。

0023

Fc変異体抗CD19抗体のヒトFcγRIIbへの結合を示す、Biacore表面プラズモン共鳴センサグラム

0024

Biacoreにより決定された、ヒトFcγRに対するFc変異体抗体の親和性。グラフは、変異体および野生型IgG1抗体のヒトFcγRI(I)、H131 FcγRIIa(H IIa)、FcγRIIb(IIb)、およびV158 FcγRIIIa(V IIIa)への結合のログ(KA)を示す。G236D/S267EおよびS267E/L328Fの、V158 FcγRIIIaへの結合は、検出できなかった。G236R/L328R(Fc−KO)の検査された全ての受容体への結合は、検出できなかった。

0025

Biacore表面プラズモン共鳴により決定された、ヒトFcγRに対するFc変異体抗体の親和性。表は、変異体および野生型IgG1抗体のヒトFcγRI、H131 FcγRIIa FcγRIIb、およびV158 FcγRIIIaへの結合の平衡KD、ならびに自然(野生型)IgG1に対するそれぞれの倍数結合を提供する。n.d.=検出不可能

0026

抗IgE抗体の、重鎖(VH)および軽鎖(VL)可変領域、およびCDRアミノ酸配列。CDRの境界は、抗体可変領域構造的配列に基づき、以前に説明されたように定義された(Lazar et al.,2007,Mol Immunol 44:1986−1998)。
抗IgE抗体の、重鎖(VH)および軽鎖(VL)可変領域、およびCDRのアミノ酸配列。CDRの境界は、抗体可変領域の構造的配列に基づき、以前に説明されたように定義された(Lazar et al.,2007,Mol Immunol 44:1986−1998)。
抗IgE抗体の、重鎖(VH)および軽鎖(VL)可変領域、およびCDRのアミノ酸配列。CDRの境界は、抗体可変領域の構造的配列に基づき、以前に説明されたように定義された(Lazar et al.,2007,Mol Immunol 44:1986−1998)。

0027

重鎖および軽鎖の野生型ならびに変異体定常領域のアミノ酸配列。

0028

IgE+B細胞を標的とするように使用され得る、抗IgE完全長抗体のアミノ酸配列。

0029

野生型および変異体IgE抗体の、IgEFc領域およびFcγRIIbへの結合の親和性データの表。

0030

野生型および変異体抗IgE抗体の、IgEFc領域およびFcγRIIbへの結合の親和性データのプロット

0031

捕獲試薬として市販の(MabTech)および自社の(オマリズマブおよびMaE11)抗IgE抗体を使用したIgEELISA

0032

抗IgE抗体オマリズマブの可変領域は、ELISAプロトコルのIgE検出において、MabTech捕獲抗体競合しない。

0033

FcγRIIb親和性に対して強化された変異体抗IgE抗体を有する、クラス変換されたIgE+B細胞は阻害するが、FcγR結合(Fc変異体G236R/L328R)を欠損する、またはIgE(モタビズマブ)への結合を欠損する抗体は阻害しない。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、および異なる濃度の示される抗体と共に12日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。

0034

変異体抗IgE抗体は、クラス変換されたIgG2+B細胞を阻害しない。プロットは、IL−4、α−CD40、および異なる濃度の示される抗体と共に12日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgG2の濃度を示す。

0035

FcγRIIb親和性に対して強化された変異体抗IgE抗体による、クラス変換されたIgE+B細胞の阻害。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、および異なる濃度の示される抗体と共に14日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。データは、抗体の最低濃度に対して正規化された。

0036

FcγRIIb親和性に対して強化された変異体抗IgE抗体による、クラス変換されたIgE+B細胞の阻害。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、抗CD79b BCR架橋抗体、および異なる濃度の示される抗体と共に14日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。データは、抗体の最低濃度に対して正規化された。

0037

FcγRIIb親和性に対して強化された変異体抗IgE抗体による、クラス変換されたIgE+B細胞の阻害。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、抗μBCR架橋抗体を、および異なる濃度の示される抗体と共に14日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。データは、抗体の最低濃度に対して正規化された。

0038

強化されたADCCおよびADCPエフェクター機能の変異体抗IgE抗体による、クラス変換されたIgE+B細胞の阻害。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、抗CD79b BCR架橋抗体、および異なる濃度の示される抗体と共に14日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。

0039

強化されたADCCおよびADCPエフェクター機能の変異体抗IgE抗体による、クラス変換されたIgE+B細胞の阻害。プロットは、IL−4、抗CD40(α−CD40)アゴニスト抗体、抗μBCR架橋抗体、および異なる濃度の示される抗体と共に14日間インキュベートした後の、PBMCから放出されたIgEの濃度を示す。

0040

抗IgE抗体の活性を検査するためのhuPBL−SCI生体内試験のプロトコル。示される日は、Der p1に特異的なIgE抗体に対して陽性検査結果ドナーからのPBMC移植後の日数を示す。Derp1 vacc.は、Der p1抗原を用いたワクチン接種を示す。

0041

治療群のhuPBL−SCID生体内モデルからの全血IgGレベル。示される日(7、23、および37)は、図19のプロトコルに概説される採血時点を示す。PBSは、未処置ビヒクル群を示し、オマリズマブは、オマリズマブ_IgG1で処置された群を示し、3 H1L1 MaE11群は、野生型IgG1(IgG1)、S267E/L328F変異体(IIbE)、またはG236R/L328R(Fc−KO)Fc領域のいずれかを含む、ヒト化MaE11で処置された群を示す。

0042

処置群のhuPBL−SCID生体内モデルからの全血清IgEレベル。示される日(7、23、および37)は、図19のプロトコルに概説される採血時を示す。PBSは未処置ビヒクル群を示し、オマリズマブは、オマリズマブ_IgG1で処置された群を示し、3 H1L1 MaE11群は、野生型IgG1(IgG1)、S267E/L328F変異体(IIbE)、またはG236R/L328R(Fc−KO)Fc領域のいずれかを含む、ヒト化MaE11で処置された群を示す。ELISA法定量限界は、31.6ng/mLであり、この限界以下の試料は、プロットにおいて31.6ng/mLとして報告された。

0043

B細胞上での膜アンカーIgEのFcγRIIbとの共結合の阻害作用模倣する共結合分子を、本明細書で説明する。例えば、Fcドメインが、最大約430倍を上回る親和性で、FcγRIIbに結合するように操作された変異体抗IgE抗体を、本明細書で説明する。自然IgG1に対して、FcγRIIb結合強化された(IIbE)変異体は、一次ヒトIgE+B細胞において、BCR誘発カルシウム動員および生存率を強く阻害する。同族IgE BCRおよびFcγRIIbの共結合によるB細胞機能を抑制する抗体等の単一分子の使用は、IgE媒介性疾病の治療において、新しいアプローチを表し得る。IgE媒介性疾病の例としては、これらに限定されないが、アレルギー反応および喘息を含み、以下により詳細に説明される。

0044

本開示に従う共結合分子は、以下により詳細に概説する種々の構成を呈し得る。一実施形態において、共結合分子は、高親和性でIgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンを含む。この実施形態において、免疫グロブリンは、好ましくは、細胞の表面上で、膜アンカーIgEおよびFcγRIIbに共結合し、約100nM未満のKdで結合する。別の実施形態において、共結合分子は、第1の標的特異的領域および第2の標的特異的領域を有する二重特異的分子であり、第1の標的特異的領域は、IgEに結合し、第2の標的特異的領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合するが、いくつかの実施形態においては、約10nM未満のKd、または約1nM未満のKdでFcγRIIbに結合し得、いくつかの実施形態において、100pM未満のKdで結合し得る。好適な実施形態において、共結合分子は、二重特異的抗体であり、第1および第2の標的特異的領域は、Fv領域であり、第1のFv領域は、IgEに結合し、第2のFv領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。別の実施形態において、共結合分子は、Fc領域を含むFc融合物であり、該Fc領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。この実施形態において、免疫グロブリンのFc融合パートナーは、IgEに結合する。

0045

いくつかの定義を本明細書で説明する。このような定義は、文法的上の同等語を包含するものとする。

0046

本明細書に使用される、「ADCC」または「抗体依存性細胞媒介性細胞障害性」とは、FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる、細胞媒介性反応を意味する。

0047

本明細書に使用される、「ADCP」または「抗体依存性の細胞媒介性ファゴサイトーシス」とは、FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞のファゴサイトーシスを生じる、細胞媒介性反応を意味する。

0048

本明細書における、「アミノ酸修飾」とは、ポリペプチド配列におけるアミノ酸の置換、挿入、および/または欠失を意味する。本明細書における、「アミノ酸置換」または「置換」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の別のアミノ酸による置換を意味する。例えば、置換S267Eは、変異体ポリペプチド、この場合、位置267のセリンが、グルタミン酸と置換される、定常重鎖変異体を指す。本明細書で使用される、「アミノ酸挿入」または「挿入」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の追加を意味する。本明細書で使用される、「アミノ酸欠失」または「欠失」とは、親ポリペプチド配列における特定の位置でのアミノ酸の除去を意味する。

0049

本明細書における、「抗体」とは、認識される免疫グロブリン遺伝子の全てまたは一部により実質的にコードされる、1つ以上のポリペプチドからなるタンパク質を意味する。例えば、ヒトにおいて、認識される免疫グロブリン遺伝子は、無数の可変領域遺伝子を一緒に構成する、カッパ(k)、ラムダ(λ)、および重鎖遺伝子座、ならびにIgMIgD、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4)、IgE、およびそれぞれIgA(IgA1およびIgA2)イソタイプをコードする、定常領域遺伝子ミュー(υ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、シグマ(σ)、およびアルファ(α)を含む。本明細書における抗体は、完全長抗体および抗体断片を含むものとし、任意の生物からの自然抗体改変抗体、または実験、治療、もしくは他の目的のために組み換えにより生成された抗体を指し得る。

0050

本明細書で使用される、「アミノ酸」および「アミノ酸同一性」とは、特定の定義された位置で存在し得る、20の自然に生じるアミノ酸または任意の非自然類似体の1つを意味する。

0051

本明細書で使用される、「CD32b+細胞」または「FcγRIIb+細胞」とは、CD32b(FcγRIIb)を発現する任意の細胞または細胞型を意味する。CD32b+細胞は、B細胞、形質細胞、樹状細胞、マクロファージ、好中球、マスト細胞、好塩基球、または好酸球を含むが、これらに限定されない。

0052

本明細書で使用される、「IgE+細胞」とは、IgEを発現する任意の細胞または細胞型を意味する。本発明の好適な実施形態において、IgE+細胞は、膜アンカーIgE(mIgE)を発現する。IgE+細胞は、B細胞および形質細胞を含むが、これらに限定されない。

0053

本明細書で使用される、「CDC」または「補体依存性細胞障害性」とは、1つ以上の補体タンパク質構成要素が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる、反応を意味する。

0054

「共結合分子」または文法上の同等語は、分子のFcγRIIbへの結合のKdが、細胞表面上で約100nM未満であり、IgEおよびFcγRIIbの両方の同時結合をもたらす、IgEおよびFcγRIIbの両方に結合することができる二機能性分子を意味する。

0055

本明細書で定義される、「定常領域」とは、軽鎖または重鎖免疫グロブリン定常領域遺伝子の1つによりコードされる、抗体の領域を意味する。本明細書に使用される、「定常軽鎖」または「軽鎖定常領域」とは、カッパ(Ck)またはラムダ(Cλ)軽鎖によりコードされる抗体の領域を意味する。定常軽鎖は、典型的に、単一ドメインを含み、本明細書に定義されるように、CkまたはCλの位置108〜214を指し、付番は、EU指標に従う。本明細書に使用される、「定常重鎖」または「重鎖定常領域」とは、抗体のイソタイプをそれぞれIgM、IgD、IgG、IgA、またはIgEとして定義する、ミュー、デルタ、ガンマ、アルファ、またはイプシロン遺伝子によりコードされる抗体の領域を意味する。完全長IgG抗体において、本明細書に定義される、定常重鎖は、CH1ドメインN末端〜CH3ドメインのC末端を指し、したがって、位置118〜447を含み、付番は、EU指標に従う。

0056

本明細書で使用される、「エフェクター機能」とは、抗体Fc領域のFc受容体またはリガンドとの相互作用から生じる、生化学事象を意味する。エフェクター機能は、ADCCおよびADCP等のFcγR媒介性エフェクター機能、ならびにCDC等の補体媒介性エフェクター機能を含む。

0057

本明細書で使用される、「エフェクター細胞」とは、1つ以上のFcおよび/または補体受容体を発現し、1つ以上のエフェクター機能を媒介する免疫系の細胞を意味する。 エフェクター細胞は、これらに限定されないが、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大型顆粒リンパ球ランゲルハンス細胞天然キラー(NK)細胞、およびγδT細胞を含み、これらに限定されないが、ヒト、マウスラットウサギ、およびサルを含む、任意の生物からであり得る。

0058

本明細書で使用される、「Fab」または「Fab領域」とは、VH、CH1、VH、およびCL免疫グロブリンドメインを含むポリペプチドを意味する。Fabは、単独でこの領域を指すか、または完全長抗体もしくは抗体断片と関連してこの領域を指してもよい。

0059

本明細書で使用される、「Fc」または「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン、およびいくつかの場合において、ヒンジの一部を除外する、抗体の定常領域を含むポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMにおいて、Fcは、J鎖を含んでもよい。IgGにおいて、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間のヒンジを含む。Fc領域の境界は変動し得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230〜そのカルボキシル末端までを含むように定義され、付番は、KabatのEU指標に従う。Fcは、単独でこの領域を指すか、または以下に記載される、Fcポリペプチドと関連してこの領域を指してもよい。

0060

本明細書で使用される、「Fcポリペプチド」とは、Fc領域の全てまたは一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物、単離されたFc、およびFc断片を含む。免疫グロブリンは、Fcポリペプチドであってもよい。

0061

本明細書で使用される「Fc融合物」とは、1つ以上のポリペプチドが、Fcに操作可能に連結されるタンパク質を意味する。本明細書において、Fc融合物は、先行技術において使用される、「免疫アドヘシン」、「Ig融合」、「Igキメラ」、および「受容体グロブリン」(時折ダッシュを伴う)の用語の同義語であるものとする(Chamow et al.,1996,TrendsBiotechnol 14:52−60、Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195−200、共に、参照によりその全体が本明細書に援用される)。Fc融合物は、免疫グロブリンのFc領域を、一般的に任意のタンパク質、ポリペプチド、または小分子であり得る融合パートナーと結合する。Fc融合物の非Fc部分、すなわち、融合パートナーの役割は、標的結合を媒介することであり、したがって、抗体の可変領域に機能的に類似している。実質的に、いかなるタンパク質または小分子も、Fcに連結され、Fc融合物を生成し得る。タンパク質融合パートナーは、これらに限定されないが、受容体の標的結合領域接着分子、リガンド、酵素サイトカインケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質、またはタンパク質ドメインを含み得る。小分子融合パートナーは、Fc融合物を治療標的誘導する、任意の治療薬を含み得る。このような標的は、任意の分子、例えば、疾病に関与する細胞外受容体であってもよい。

0062

本明細書で使用される、「Fcガンマ受容体」または「FcγR」とは、IgG抗体Fc領域を結合し、FcγR遺伝子により実質的にコードされるタンパク質のファミリーの任意のメンバーを意味する。ヒトにおいて、このファミリーは、これらに限定されないが、イソ型FcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、イソ型FcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、イソ型FcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)を含むFcγRIII(CD16)(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57−65、参照によりその全体が援用される)、ならびに任意の未発見のヒトFcγRまたはFcγRイソ型もしくはアロタイプを含む。FcγRは、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、およびサルを含むが、これらに限定されない任意の生物からであり得る。マウスFcγRは、FcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、FcγRIII(CD16)、およびFcγRIII−2(CD16−2)、ならびに任意の未発見のマウスFcγRまたはFcγRイソ型もしくはアロタイプを含むが、これらに限定されない。

0063

本明細書で使用される、「Fcリガンド」または「Fc受容体」とは、抗体のFc領域に結合してFcリガンド複合体を形成する、任意の生物からの分子、例えば、ポリペプチドを意味する。Fcリガンドは、FcγR、FcγR、FcγR、FcRn、C1q、C3、マンナン結合レクチンマンノース受容体、ブドウ球菌タンパク質A、連鎖球菌タンパク質G、およびウイルス性FcγRを含むが、これらに限定されない。Fcリガンドは、FcγRと相同であるFc受容体のファミリーであるFc受容体ホモログ(FcRH)も含む(Davis et al.,2002,Immunological Reviews 190:123−136)。Fcリガンドは、Fcを結合する未発見の分子を含んでもよい。

0064

本明細書で使用される、「完全長抗体」とは、可変領域および定常領域を含む、抗体の自然な生物学的形態を構成する構造を意味する。例えば、ヒトおよびマウスを含む大半の哺乳類において、IgGイソタイプの完全長抗体は、四量体であり、同一の2対の2つの免疫グロブリン鎖からなり、各対は、軽鎖1本と重鎖1本を有し、各軽鎖は、免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖は、免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2、およびCγ3を含む。例えば、ラクダおよびラマ等の、いくつかの哺乳類において、IgG抗体は、2つの重鎖のみからなり得、各重鎖は、Fc領域に結合する可変ドメインを含む。

0065

本明細書において、「免疫グロブリン」とは、免疫グロブリン遺伝子により実質的にコードされる、1つ以上のポリペプチドを含むタンパク質を意味する。免疫グロブリンは、これらに限定されないが、抗体(二重特異的抗体)およびFc融合物を含む。免疫グロブリンは、これらに限定されないが、完全長抗体、抗体断片、および個別の免疫グロブリンドメインを含む、いくつかの構造形態を有し得る。

0066

本明細書で使用される、「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、タンパク質構造の分野の当業者によって確認される、別々の構造実体として存在する免疫グロブリンの領域を意味する。Igドメインは、典型的に、特有のβサンドウィッチ折り畳みトポロジーを有する。抗体のIgGイソタイプにおける既知のIgドメインは、VH Cγ1、Cγ2、Cγ3、VL、およびCLである。

0067

本明細書で使用される、「IgG」、もしくは「IgG免疫グロブリン」、もしくは「免疫グロブリンG」とは、認識される免疫グロブリンγ遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属する、ポリペプチドを意味する。ヒトにおいて、このクラスは、サブクラスまたはイソタイプIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む。

0068

本明細書で使用される、「IgE」、もしくは「IgE免疫グロブリン」、もしくは「免疫グロブリンE」とは、認識される免疫グロブリンε遺伝子によって実質的にコードされる抗体のクラスに属する、ポリペプチドを意味する。IgEは、膜アンカー(mIgE)、または非膜アンカーであってもよく、本明細書において、循環IgEとも称される。

0069

細胞の「阻害」またはその文法上の同等語は、標的細胞の活性化、増殖、成熟化、または分化の防止、または低減を意味する。

0070

本明細書で使用される、「イソタイプ」とは、それらの定常領域の化学的および抗原特性により定義される、免疫グロブリンのサブクラスのいずれかを意味する。既知のヒト免疫グロブリンイソ型は、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM、IgD、およびIgEである。

0071

本明細書において、「修飾」とは、タンパク質、ポリペプチド、抗体、または免疫グロブリンの物理的、化学的、または配列特性の変更を意味する。本明細書に記載される修飾は、アミノ酸修飾およびグリコフォーム修飾を含む。

0072

本明細書で使用される、「グリコフォーム修飾」、もしくは「修飾されたグリコフォーム」、もしくは「操作されたグリコフォーム」とは、タンパク質、例えば、抗体に共有結合的に結合される糖組成物を意味し、該糖組成物は、親タンパク質と化学的に異なる。修飾されたグリコフォームは、典型的に、異なる糖またはオリゴ糖を指し、したがって、例えば、Fc変異体は、修飾されたグリコフォームを含み得る。代替的に、修飾されたグリコフォームは、異なる糖またはオリゴ糖を含むFc変異体を指す場合がある。

0073

本明細書で使用される、「親ポリペプチド」、「親タンパク質」、「親免疫グロブリン」「前駆体ポリペプチド」、「前駆体タンパク質」、または「前駆体免疫グロブリン」とは、本明細書に記載される、少なくとも1つのアミノ酸修飾のテンプレートおよび/または基礎として機能する変異体、例えば、任意のポリペプチド、タンパク質、または免疫グロブリンを生成するように後に修飾される、無修飾のポリペプチド、タンパク質、または免疫グロブリンを意味する。親ポリペプチドは、自然に生じるポリペプチドか、または自然に生じるポリペプチドの変異体もしくは操作された変型であってもよい。親ポリペプチドは、ポリペプチド自体、親ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。したがって、本明細書で使用される、「親Fcポリペプチド」とは、変異体Fcポリペプチドを生成するように修飾されるFcポリペプチドを意味し、本明細書で使用される、「親抗体」とは、変異体抗体を生成するように修飾される抗体を意味する(例えば、親抗体は、限定されないが、自然に生じるIgの定常領域を含むタンパク質を含み得る)。

0074

本明細書で使用される、「位置」とは、タンパク質の配列における位置を意味する。位置は、順に番号付けされるか、確立された形式、例えば、Kabatに記載される、EU指標に従ってもよい。例えば、位置297は、ヒト抗体IgG1での位置である。

0075

本明細書で使用される、「ポリペプチド」または「タンパク質」とは、タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、およびペプチドを含む、少なくとも2つが共有結合的に結合されたアミノ酸を意味する。

0076

本明細書で使用される、「残基」とは、タンパク質およびその関連するアミノ酸の同一性での位置を意味する。例えば、アスパラギン297(Asn297とも称され、N297とも称される)は、ヒト抗体IgG1での残基である。

0077

本明細書で使用される、「標的抗原」とは、所与の抗体の可変領域により結合される分子、またはFc融合物の融合パートナーを意味する。標的抗原は、タンパク質、糖、脂質、または他の化学化合物であってもよい。抗体またはFc融合物は、標的抗原に対して親和性を有することに基づいて、所与の標的抗原に「特異的」であると言われる。

0078

本明細書で使用される、「標的細胞」とは、標的抗原を発現する細胞を意味する。

0079

本明細書で使用される、「可変領域」とは、それぞれ、カッパ、ラムダ、および重鎖免疫グロブリン遺伝子座を構成する、Vk、Vλ、および/またはVH遺伝子のいずれかにより実質的にコードされる、1つ以上のIgドメインを含む免疫グロブリンの領域を意味する。

0080

本明細書で使用される、「変異体ポリペプチド」、「ポリペプチド変異体」、または「変異体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親ポリペプチド配列と異なるポリペプチド配列を意味する。親ポリペプチドは、自然に生じる、もしくは野生型(WT)ポリペプチドであるか、または野生型ポリペプチドの修飾された変型であってもよい。 変異体ポリペプチドは、ポリペプチド自体、ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。いくつかの実施形態において、本明細書に開示される変異体ポリペプチド(例えば、変異体免疫グロブリン)は、親ポリペプチドと比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾、例えば、親と比較して、約1〜10のアミノ酸修飾、約1〜5のアミノ酸修飾等を有してもよい。本明細書において、変異体ポリペプチド配列は、親ポリペプチド配列と少なくとも約80%の相同性、例えば、少なくとも約90%の相同性、95%の相同性等を有し得る。したがって、本明細書で使用される、「Fc変異体」または「変異体Fc」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親Fc配列と異なるFc配列を意味する。Fc変異体は、Fc領域のみを包含するか、または抗体、Fc融合物、単離されたFc、Fc断片、またはFcにより実質的にコードされる他のポリペプチドと関連して存在してもよい。Fc変異体は、Fcポリペプチド自体、Fc変異体ポリペプチドを含む組成物、またはそれをコードするアミノ酸配列を指す場合がある。本明細書で使用される、「Fcポリペプチド変異体」または「変異体Fcポリペプチド」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親Fcポリペプチドと異なるFcポリペプチドを意味する。本明細書で使用される、「タンパク質変異体」または「変異体タンパク質」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親タンパク質と異なるタンパク質を意味する。本明細書で使用される、「抗体変異体」または「変異体抗体」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親抗体と異なる抗体を意味する。本明細書で使用される、「IgG変異体」または「変異体IgG」とは、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、親IgGと異なる抗体を意味する。本明細書で使用される、「免疫グロブリン変異体」または「変異体免疫グロブリン」とは、少なくとも1つのアミノ酸修
飾によって、親免疫グロブリン配列と異なる免疫グロブリン配列を意味する。

0081

本明細書において、「野生型」または「WT」とは、対立遺伝子変型を含む、自然界に認められるアミノ酸配列またはヌクレオチド配列を意味する。野生型タンパク質、ポリペプチド、抗体、免疫グロブリン、IgG等は、意図的に修飾されていない、アミノ酸配列またはヌクレオチド配列を有する。

0082

共結合分子

0083

本明細書に記載される、共結合分子は、細胞の表面上で、FcγRIIbおよびIgEに結合することができる二機能性分子である。これらの分子は、本明細書により詳細に概説する、種々の構成を呈し得る。好ましくは、共結合分子は、必ずしも要求されないが、タンパク質性である。いくつかの実施形態において、共結合分子は、FcγRIIbおよび/またはIgEに対する特異性が、例えば、小分子、核酸、および/またはポリペプチドによって与えられる二機能性分子であり得る。好ましくは、共結合分子は、約100nM未満のKdで、FcγRIIb結合する。好適な実施形態において、共結合分子は、高親和性で、IgEおよびFcγRIIbに結合する免疫グロブリンを含む。この実施形態において、免疫グロブリンは、好ましくは、細胞の表面上で、膜アンカーIgEおよびFcγRIIbに共結合する。別の実施形態において、共結合分子は、第1の標的特異的領域および第2の標的特異的領域を有する二重特異的分子であり、第1の標的特異的領域は、IgEに結合し、第2の標的特異的領域は、約100nM未満のKdで、FcγRIIbに結合する。好適な実施形態において、共結合分子は、二重特異的抗体であり、第1および第2の標的特異的領域は、Fv領域であり、第1のFv領域は、IgEに結合し、第2のFv領域は、約100nM未満のKdでFcγRIIbに結合する。別の実施形態において、共結合分子は、Fc領域を含むFc融合物であり、該Fc領域は、約100nM未満のKdで、FcγRIIbに結合する。この実施形態において、免疫グロブリンのFc融合パートナーは、IgEに結合する。

0084

一実施形態において、共結合分子は、第1の領域が、IgEに結合し、第2の領域が、約100nM未満のKdで、FcγRIIbに結合する、二機能性分子である。実質的に、任意のタンパク質、小分子または核酸、例えば、アプタマーは、二機能性結合分子を生成するように連結され、本明細書に概説されるリンカーを含んでもよい。好適な実施形態において、タンパク質融合パートナーは、これらに限定されないが、抗体の可変領域、受容体、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質の標的結合領域、またはタンパク質ドメインを含んでもよい。小分子融合パートナーは、共結合分子をIgE等の標的抗原に誘導する、任意の薬剤を含み得る。例えば、好適な実施形態において、共結合分子は、融合パートナーとして、FcεRIまたはFcεRII/CD23を含んでもよい。好適な実施形態において、免疫グロブリンは、共結合分子としての用途を見出す

0085

免疫グロブリン

0086

本明細書に記載される、免疫グロブリンは、共結合分子の好適な構成要素であり、抗体、Fc融合物、単離されたFc、Fc断片、またはFcポリペプチドであってもよい。一実施形態において、免疫グロブリンは、抗体である。以下により詳細に概説するように、免疫グロブリンは、Fv領域が、IgEに結合し、Fc領域が、約100nM未満のKdで、FcγRIIbに結合する、二機能性分子としての用途を見出す。加えて、抗体は、以下に概説するように、Fc融合物または二機能性抗体における用途を見出す。

0087

抗体は、特定の抗原に結合する免疫タンパク質である。ヒトおよびマウスを含む大半の哺乳類において、抗体は、対のポリペプチド重鎖および軽鎖から構成される。軽鎖および重鎖可変領域は、抗体間で大幅な配列の多様性を示し、標的抗原の結合に関与する。各鎖は、個別の免疫グロブリン(Ig)ドメインで構成され、したがって、一般的な用語の免疫グロブリンは
が、このようなタンパク質に使用される。

0088

従来の抗体の構造単位は、典型的に、四量体を含む。各四量体は、典型的に、同一の2対のポリペプチド鎖から成り、各対は、「軽鎖」(典型的に、約25kDaの分子量を有する)1本と、「重鎖」(典型的に、約50〜70kDaの分子量を有する)1本とを有する。ヒトの軽鎖は、κおよびλ軽鎖に分類される。重鎖は、μ、δ、γ、α、またはεに分類され、それぞれ、IgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして抗体のイソタイプを定義する。IgGは、これらに限定されないが、IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を含む、いくつかのサブクラスを有する。IgMは、これらに限定されないが、IgM1およびIgM2を含むサブクラスを有する。IgAは、これらに限定されないが、IgA1およびIgA2を含む、いくつかのサブクラスを有する。したがって、本明細書で使用される、「イソタイプ」とは、それらの定常領域の化学的および抗原特性により定義される、免疫グロブリンのクラスおよびサブクラスのいずれかを意味する。既知のヒト免疫グロブリンイソタイプは、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、IgA2、IgM1、IgM2、IgD、およびIgEである。

0089

軽鎖および重鎖のそれぞれは、可変領域および定常領域と称される、2つの個別の領域から構成される。IgG重鎖は、VH−CH1−CH2−CH3の順に、NからC末端まで連結される4つの免疫グロブリンドメインから成り、それぞれ、重鎖可変ドメイン、重鎖定常ドメイン1、重鎖定常ドメイン2、および重鎖定常ドメイン3を指す(VH−Cγ1−Cγ2−Cγ3とも称され、それぞれ、重鎖可変ドメイン、定常γ1ドメイン、定常γ2ドメイン、および定常γ3ドメインを指す)。IgG軽鎖は、VL−CLの順に、NからC末端まで連結される2つの免疫グロブリンドメインから成り、それぞれ、軽鎖可変ドメインおよび軽鎖定常ドメインを指す。定常領域は、配列の多様性が低く、重要な生化学事象を顕在化するいくつかの自然タンパク質の結合に関与する。微妙な相違が、可変領域に存在する場合があるが、これらの抗体クラス間の際立った特徴は、それらの定常領域である。

0090

抗体の可変領域は、分子の抗原結合決定因子を含有し、したがって、その標的抗原に対する抗原の特異性を決定する。可変領域は、同一クラス内の他の抗体と配列が最も異なるため、そう呼ばれる。各鎖のアミノ末端部は、抗原認識に主に関与する、約100〜110またはそれ以上のアミノ酸を含む。可変領域において、3つのループが、重鎖および軽鎖のVドメインのそれぞれに集められ、抗原結合部を形成する。それぞれのループは、アミノ酸配列の差異が最も大きい、相補性決定領域(以下、「CDR」とする)と称される。重鎖および軽鎖にそれぞれ3つずつの、全部で6つのCDRが存在し、VH CDR1、VH CDR2、VH CDR3、VL CDR1、VL CDR2、およびVL CDR3と称される。CDRの外側の可変領域は、フレームワーク(FR)領域と称される。CDRほど多様ではないが、配列の可変性が、異なる抗体間のFR領域も生じる。全体的に、抗体のこの特徴的な構造は、多大な抗原結合多様性(CDR)が、抗原の広範囲アレイに対して特異性を得るように、免疫系により探索され得る、安定した足場(FR領域)を提供する。多くの高解析の構造は、抗原と非結合のものもあれば、抗原と複合するものもある、異なる生物からの種々の可変領域の断片に対して利用可能である。抗体の可変領域の配列および構造上の特徴は、例えば、Morea et al.,1997,Biophys Chem 68:9−16; Morea et al.,2000,Methods20:267−279に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用され、抗体の保存された特徴は、例えば、Maynard et al.,2000,Annu Rev Biomed Eng2:339−376に開示されており、参照によりその全体が本明細書に援用される。

0091

各鎖のカルボキシ末端部分は、エフェクター機能に主に関与する定常領域を定義する。免疫グロブリンのIgGサブクラスにおいて、重鎖にいくつかの免疫グロブリンドメインが存在する。本明細書において、「免疫グロブリン(Ig)ドメイン」とは、明確な三次構造を有する免疫グロブリンの領域を意味する。本明細書に記載される実施形態の関心対象は、定常重(CH)ドメインおよびヒンジ領域を含む、重鎖ドメインである。IgG抗体と関連して、IgGイソタイプは、それぞれ、3つのCH領域を有する。したがって、IgGと関連して、「CH」ドメインとは、以下の通りである:「CH1」は、KabatのEU指標に従い、位置118〜220を指す。「CH2」は、KabatのEU指標に従い、位置237〜340を指し、「CH3」は、KabatのEU指標に従い、位置341〜447を指す。

0092

重鎖の別の重要な領域は、ヒンジ領域である。本明細書において、「ヒンジ」、もしくは「ヒンジ領域」、もしくは「抗体ヒンジ領域」、もしくは「免疫グロブリンヒンジ領域」とは、抗体の第1と第2の定常ドメインの間にアミノ酸を含む、柔軟なポリペプチドを意味する。構造的に、IgGCH1ドメインは、EUの位置220で終わり、IgG CH2ドメインは、残基EUの位置237で始まる。したがって、IgGにおいて、抗体ヒンジは、本明細書において、位置221(IgG1でD221)〜236(IgG1でG236)を含むように定義され、付番は、KabatのEU指標に従う。いくつかの実施形態において、例えば、Fc領域と関連して、一般的に、「下方ヒンジ」が、位置226または230から236を指す、下方ヒンジが含まれる。

0093

本明細書に記載される実施形態の関心対象は、Fc領域である。本明細書で使用される、「Fc」または「Fc領域」とは、第1の定常領域免疫グロブリンドメイン、およびいくつかの場合において、ヒンジの一部を除外する抗体の定常領域を含む、ポリペプチドを意味する。したがって、Fcは、IgA、IgD、およびIgGの最後2つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにIgEおよびIgMの最後の3つの定常領域免疫グロブリンドメイン、ならびにこれらのドメインに対する柔軟なヒンジN末端を指す。IgAおよびIgMにいて、Fcは、J鎖を含み得る。IgGにおいて、Fcは、免疫グロブリンドメインCガンマ2およびCガンマ3(Cγ2およびCγ3)、ならびにCガンマ1(Cγ1)とCガンマ2(Cγ2)との間の下方ヒンジ領域を含む。Fc領域の境界は変動してもよいが、ヒトIgG重鎖Fc領域は、通常、残基C226またはP230〜そのカルボキシル末端までを含むように定義され、付番は、KabatのEU指標に従う。Fcは、単独でこの領域を指すか、または以下に記載される、Fcポリペプチドと関連してこの領域を指してもよい。本明細書で使用される、「Fcポリペプチド」とは、Fc領域の全てまたは一部を含むポリペプチドを意味する。Fcポリペプチドは、抗体、Fc融合物、単離されたFc、およびFc断片を含む。

0094

抗体のFc領域は、いくつかのFc受容体およびリガンドと相互作用し、エフェクター機能と称される、数々の重要な機能的能力を付与する。Fc領域のIgGにおいて、FcはIgドメインCγ2およびCγ3、ならびにCγ2に通じるN末端ヒンジを含む。IgGクラスのFc受容体の重要なファミリーは、Fcγ受容体(FcγR)である。これらの受容体は、抗体と免疫系の細胞アームとの間の連通を媒介する(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220、Ravetch et al.,2001,Annu Rev Immunol 19:275−290、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。ヒトにおいて、このタンパク質ファミリーは、イソ型FcγRIa、FcγRIb、およびFcγRIcを含むFcγRI(CD64)、イソ型FcγRIIa(アロタイプH131およびR131を含む)、FcγRIIb(FcγRIIb−1およびFcγRIIb−2を含む)、およびFcγRIIcを含むFcγRII(CD32)、ならびにイソ型FcγRIIIa(アロタイプV158およびF158を含む)およびFcγRIIIb(アロタイプFcγRIIIb−NA1およびFcγRIIIb−NA2を含む)FcγRIII(CD16)を含む(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57−65、参照によりその全体が本明細書に援用される)。これらの受容体は、典型的に、Fcへの結合を媒介する細胞外ドメイン膜貫通領域、および細胞内のいくつかのシグナル伝達事象を媒介してもよい細胞内ドメインを有する。これらの受容体は、単球、マクロファージ、好中球、樹状細胞、好酸球、マスト細胞、血小板、B細胞、大型顆粒リンパ球、ランゲルハンス細胞、天然キラー(NK)細胞、およびγγT細胞を含む、種々の免疫細胞で発現しもよい。Fc/FcγR複合体の編成は、これらのエフェクター細胞を結合抗原の部位に動員し、典型的に、細胞内のシグナル伝達事象、ならびに炎症メディエーターの放出、B細胞の活性、エンドサイトーシス、ファゴサイトーシスおよび細胞障害性攻撃等の、その後の重要な免疫反応をもたらす。細胞障害性および食細胞性エフェクター機能を媒介する能力は、抗体が標的細胞を破壊
る潜在的機構である。FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞の溶解を生じる細胞媒介性反応は、抗体依存性の細胞媒介性細胞障害性(ADCC)と称される(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220、Ghetie et al.,2000,Annu Rev Immunol 18:739−766; Ravetch et al.,2001,Annu Rev Immunol 19:275−290、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。FcγRを発現する非特異的細胞障害性細胞が、標的細胞上で結合抗体を認識し、後に標的細胞のファゴトーシスを生じる、細胞媒介性反応は、抗体依存性の細胞媒介性ファゴトーシス(ADCP)と称される。

0095

異なるIgGサブクラスは、FcγRに対して異なる親和性を有し、IgG1およびIgG3は、典型的に、IgG2およびIgG4よりこの受容体に実質的に良く結合する(Jefferis et al.,2002,Immunol Lett 82:57−65、参照によりその全体が本明細書に援用される)。FcγRは、異なる親和性で、IgGFc領域に結合する。FcγRIIIaおよびFcγRIIIbの細胞外ドメインは、96%が同一であるが、FcγRIIIbは、細胞内シグナル伝達ドメインを有さない。さらに、FcγRI、FcγRIIa/c、およびFcγRIIIaは、免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を有する細胞内ドメインを有することにより特徴付けされる、免疫複合体により引き起こされる活性の正の調節因子であるが、FcγRIIbは、免疫受容抑制チロシンモチーフを有し、したがって、阻害性である。したがって、前者は、活性化受容体と呼ばれ、FcγRIIbは、抑制受容体と呼ばれる。親和性および活性化におけるこれらの相違にも関わらず、全てのFcγRは、Cγ2ドメインのN末端および前述のヒンジで、Fc上の同じ領域に結合する。この相互作用は、構造的に良く特徴付けされ(Sondermann et al.,2001,J Mol Biol 309:737−749、参照によりその全体が本明細書に援用される)、ヒトFcγRIIIbの細胞外ドメインに結合されるヒトFcのいくつかの構造が、解明されている(pdb登録コード1E4K) (Sondermann et al.,2000,Nature 406:267−273、参照によりその全体が本明細書に援用される)(pdb登録コード1IISおよび1IIX)(Radaev et al.,2001,J Biol Chem 276:16469−16477、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0096

重複しているが、別個であるFc上の部位は、補体タンパク質C1qの接触面として機能する。Fc/FcγR結合が、ADCCを媒介する同じ方式で、Fc/C1q結合は、補体依存性細胞障害性(CDC)を媒介する。Cγ2とCγ3ドメインとの間のFc上の部位は、エンドソームから形質膜陥入された抗体を血流再循環させる結合である、新生受容体FcRnとの相互作用を媒介する(Raghavan et al.,1996,Annu Rev Cell Dev Biol 12:181−220、Ghetie et al.,2000,Annu Rev Immunol 18:739−766、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。この過程は、大型の完全長分子による腎臓濾過の防止と共に、1〜3週間にわたる好適な抗体血清半減期をもたらす。FcのFcRnへの結合は、抗体輸送において主要な役割も果たす。Fc上でのFcRnの結合部位は、細菌タンパク質AおよびGが結合する部位でもある。これらのタンパク質の密着結合は、典型的に、タンパク質の精製中に、タンパク質Aまたはタンパク質Gの親和性クロマトグラフィーを利用することにより、抗体を精製する手段として活用される。これらの領域の再現性、補体、およびFcRn/タンパク質A結合領域は、抗体の臨床特性およびそれらの発達の両方に重要である。

0097

Fc領域の主な特徴は、N297で生じる、保存されたN結合グリコシル化である。場合によってオリゴ糖と称されるこの糖は、抗体にとって重要な構造的かつ機能的役割を担い、抗体が哺乳類発現系を使用して生成されなければならない、主な理由の1つである。FcγRおよびC1qへの効率的なFc結合は、この修飾を必要とし、N297糖の組成物における変更、またはその消失は、これらのタンパク質への結合に影響を及ぼす(Umana et al.,1999,Nat Biotechnol 17:176−180、Davies et al.,2001,Biotechnol Bioeng 74:288−294、Mimura et al.,2001,J Biol Chem 276:45539−45547.、Radaev et al.,2001,J Biol Chem 276:16478−16483、Shieldset al.,2001,J Biol Chem 276:6591−6604、Shields et al.,2002,J Biol Chem 277:26733−26740、Simmons et al.,2002,J Immunol Methods 263:133−147、全て、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0098

本明細書に記載される実施形態の免疫グロブリンは、Fc融合物とも称される抗体様タンパク質であってもよい(Chamow et al.,1996,TrendsBiotechnol 14:52−60、Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195−200、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。本明細書において、「Fc融合物」とは、先行技術において使用される、「免疫アドヘシン」、「Ig融合」、「Igキメラ」、および「受容体グロブリン」(時折ダッシュを伴う)の用語の同義語であるものとする(Chamow et al.,1996,Trends Biotechnol 14:52−60; Ashkenazi et al.,1997,Curr Opin Immunol 9:195−200)。Fc融合物は、本明細書で「融合パートナー」として称される、1つ以上のポリペプチドが、Fcに操作可能に連結されるタンパク質である。Fc融合物は、抗体のFc領域、したがって、その好適なエフェクター機能および薬物動態を受容体、リガンド、もしくはいくつかの他のタンパク質の標的結合領域、またはタンパク質ドメインと結合させる。後者の役割は、標的認識を媒介することであり、したがって、抗体の可変領域にと機能的に類似している。Fc融合物の抗体との構造的および機能的重複のため、本開示の抗体の論議は、Fc融合物にも拡大される。

0099

実質的に、いかなるタンパク質または小分子も、Fcに連結され、Fc融合物を生成し得る。タンパク質融合パートナーは、これらに限定されないが、任意の抗体の可変領域、受容体の標的結合領域、接着分子、リガンド、酵素、サイトカイン、ケモカイン、もしくはいくつかの他のタンパク質、またはタンパク質ドメインを含み得る。小分子融合パートナーは、Fc融合物を標的抗原に誘導する、任意の薬剤を含み得る。このような標的抗原は、疾病に関与する、例えば、細胞外受容体等の任意の分子であってもよい。本明細書に記載される実施形態のFc融合物は、好ましくは、IgEに対して特異性を有する。例えば、好適な実施形態において、本発明のFc融合物は、融合パートナーとして、FcεRIまたはFcεRII/CD23を含んでもよい。本発明のFc融合物は、好ましくは、FcγRIIbに対して親和性を強化するFc領域に、1つ以上の変異体を含む。

0100

融合パートナーは、NもしくはC末端、または末端間のある残基を含む、Fc領域の任意の領域に連結されてもよい。一実施形態において、融合パートナーは、Fc領域のNまたはC末端で連結される。種々のリンカーは、融合パートナーにFc領域を共有結合的に連結するように、本明細書に記載されるいくつかの実施形態に用途を見出し得る。本明細書において、「リンカー」、「リンカー配列」、「スペーサー」、「係留配列」、またはそれらの文法上の同等語は、2つの分子を結合し、多くの場合、2つの分子を構造に配置する働きをする分子、または分子群単量体または重合体等)を意味する。リンカーは、当該分野に公知であり、例えば、ホモまたはヘテロ二機能性リンカーが、周知である(参照によりその全体が援用される、1994 Pierce Chemical Company catalog,technical section on cross−linkers,pages 155−200を参照のこと)。いくつかの対処法は、分子を共有結合的に一緒に連結するように使用され得る。これらは、これらに限定されないが、タンパク質またはタンパク質ドメインのNとC末端の間のポリペプチド連結、ジスルフィド結合を介した連結、および化学的架橋試薬を介した連結を含む。この実施形態の一態様において、リンカーは、組み換え技術またはペプチド合成により生成される、ペプチド結合である。リンカーペプチドは、次のアミノ酸残基を主として得る:Gly、Ser、Ala、またはThr。リンカーペプチドは、所望の活性を維持するように、相互に対して適切な高次構造を成すような方式で、2つの分子を連結するのに適当な長さを有するべきである。この目的に適切な長さは、少なくとも1つの、かつ50を超えないアミノ酸残基を含む。一実施形態において、リンカーは、長さが約1〜30のアミノ酸である。一実施形態において、長さが1〜20のアミノ酸のhリンカーが使用されてもよい。有用なリンカーは、当業者に理解されるように、グリシン−セリン重合体(例えば、(GS)n、(GSGGS)n(配列番号1として記述)、(GGGGS)n(配列番号2として記述)、および(GGGS)n(配列番号3として記述)を含み、nは少なくとも1の整数である)、グリシン−アラニン重合体アラニン−セリン重合体、および他の
柔軟なリンカーを含む。代替的に、これらに限定されないが、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコールポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体を含む、種々の非タンパク質性重合体は、リンカーとしての用途を見出し得る、つまり、Fc領域を融合パートナーに連結するように用途を見出し得る。

0101

融合パートナーとして、Fcポリペプチドも企図される。したがって、本明細書に記載される免疫グロブリンは、2つ以上のFc領域を含む、多量体Fcポリペプチドであってもよい。このような分子の利点は、単一タンパク質分子で、Fc受容体に複数の結合部位を提供することである。一実施形態において、Fc領域は、化学工学的アプローチを使用して連結されてもよい。例えば、Fab’およびFc’は、ヒンジのシステイン残基由来するチオエーテル結合により連結され、FabFc2等の分子を生成してもよい。Fc領域は、ジスルフィド操作および/または化学的架橋を使用して連結されてもよい。一実施形態において、Fc領域は、遺伝学的に連結されてもよい。一実施形態において、免疫グロブリンにおけるFc領域は、参照によりその全体が援用される、「Fc polypeptides with novel Fc ligand binding sites」の表題で、2004年12月21日に出願されたUSSN第11/022,289号に記載される、生成され、直列に連結されたFc領域に遺伝学的に連結される。直列に連結されたFcポリペプチドは、2つ以上のFc領域、例えば、1〜3つのFc領域、2つのFc領域を含んでもよい。最も好適な構造的および機能的特性で、ホモまたはヘテロ直列に連結されたFc領域を得るために、多くの操作構造体を研究することは、有利である場合がある。直列に連結されたFc領域は、ホモ直列に連結されたFc領域であってもよい、つまり、1つのイソタイプのFc領域は、同じイソタイプの別のFc領域に遺伝学的に融合されてもよい。直列に連結されたFcポリペプチド上に複数のFcγR、C1q、および/またはFcRn結合部位が存在するため、エフェクター機能および/または薬物動態が強化され得ることが予期される。代替の実施形態において、異なるイソタイプからのFc領域が、直列に連結されてもよく、ヘテロ直列に連結されたFc領域と称される。例えば、FcγRおよびFcαRI受容体を標的とする能力のため、FcγRおよびFcαRIの両方に結合する免疫グロブリンは、臨床の改善を提供し得る。

0102

本明細書に開示される実施形態の免疫グロブリンは、抗体クラスのいずれかに属する、免疫グロブリン遺伝子によっても実質的にコードされてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、IgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4を含む抗体のIgGクラスに属する配列を含む、抗体またはFc融合物に用途を見出す。図1は、これらのヒトIgG配列の整列を提供する。代替の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、抗体のIgA(サブクラスIgA1およびIgA2を含む)、IgD、IgE、IgG、またはIgMクラスに属する配列を含む、抗体またはFc融合物に用途を見出す。本明細書に開示される免疫グロブリンは、1本以上のタンパク質鎖を含んでもよく、例えば、ホモまたはヘテロオリゴマーを含む単量体もしくはオリゴマーである、抗体またはFc融合物であってもよい。

0103

本明細書に開示される免疫グロブリンは、任意の生物、例えば、哺乳類(これらに限定されないが、ヒト、ゲッ齒類(これらに限定されないが、マウスおよびラットを含む)、ウサギ目(これらに限定されないが、ウサギおよびノウサギを含む)、ラクダ科(これらに限定されないが、ラクダ、ラマ、およびヒトコブラクダを含む)、ならびにこれらに限定されないが、原猿広鼻類(新世界ザル)、オナガザル上科(旧世界ザル)、およびテナガザル、小型および大型類人猿を含むヒト上科を含むヒト以外の霊長類からの遺伝子により実質的にコードされてもよい。特定の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、実質的にヒトであってもよい。

0104

当該分野に周知のように、免疫グロブリン多型が、ヒト集団に存在する。Gm多型は、ヒトIgG1、IgG2、およびIgG3分子のマーカーのG1m、G2m、およびG3mアロタイプと称される、アロタイプ抗原決定基をコードする対立遺伝子を有する、IGHG1、IGHG2およびIGHG3遺伝子により決定される(γ4鎖上で、Gmアロタイプは発見されていない)。マーカーは、「アロタイプ」と「イソアロタイプ」とに分類され得る。これらは、イソタイプ間の強い配列の相同性に応じて、異なる血清学的根拠により区別される。アロタイプは、Ig遺伝子の対立遺伝子型により特定される抗原決定基である。アロタイプは、異なる個別の重鎖または軽鎖のアミノ酸配列のわずかな相違を表す。たった1つのアミノ酸の相違でさえ、アロタイプ決定基を引き起こすことができるが、多くの場合、いくつかのアミノ酸置換が生じている。アロタイプは、抗血清が対立遺伝子の相違のみを認識する、サブクラスの対立遺伝子間の配列相違である。イソアロタイプは、1つ以上の他のイソタイプの非多型相同領域共有されるエピトープを生成する一イソタイプにおける対立遺伝子であり、このため、抗血清は、関連するアロタイプと関連する相同イソタイプの両方と反応する(Clark,1997,IgG effector mechanisms,Chem Immunol.65:88−110、Gorman & Clark,1990,Semin Immunol 2(6):457−66、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0105

ヒト免疫グロブリンの対立遺伝子型は、明確に特徴付けされている(WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins.J Immunogen 1976,3:357−362、WHO Review of the notation for the allotypic and related markers of human immunoglobulins.1976,Eur.J.Immunol.6,599−601、Loghem E van,1986,Allotypic markers,Monogr Allergy 19:40−51、全てが、参照によりその全体が本明細書に援用される)。加えて、他の多型も特徴付けされている(Kim et al.,2001,J.Mol.Evol.54:1−9、参照によりその全体が本明細書に援用される)。 現在、18のGmアロタイプが知られている:G1m(1、2、3、17)もしくはG1m(a、x、f、z)、G2m(23)もしくはG2m(n)、G3m(5、6、10、11、13、14、15、16、21、24、26、27、28)もしくはG3m(b1、c3、b5、b0、b3、b4、s、t、g1、c5、u、v、g5)(Lefranc,et al.,The humanIgGsubclasses:molecular analysis of structure,function and regulation.Pergamon,Oxford,pp.43−78(1990)、Lefranc,G.et al.,1979,Hum.Genet.:50,199−211、ともに、参照によりその全体が本明細書に援用される)。固定された組み合わせで受け継がれるアロタイプは、Gmハプロタイプと呼ばれる。本明細書に開示される免疫グロブリンは、任意の免疫グロブリン遺伝子の任意のアロタイプ、イソアロタイプ、またはハプロタイプにより実質的にコードされ得る。

0106

本明細書に開示される免疫グロブリンは、これらに限定されないが、抗体、単離されたFc、Fc断片、およびFc融合物を含む、Fcポリペプチドを構成してもよい。一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、可変領域および定常領域を含む、抗体の自然な生物学的形態を構成する完全長抗体である。IgGイソタイプにおいて、完全長抗体は、四量体であり、同一の2対の2本の免疫グロブリン鎖からなり、各対は、軽鎖1本と、重鎖1本を有し、各軽鎖は、免疫グロブリンドメインVLおよびCLを含み、各重鎖は、免疫グロブリンドメインVH、Cγ1、Cγ2、およびCγ3を含む。別の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、単離されたFc領域またはFc断片である。

0107

本明細書に開示される免疫グロブリンは、これらに限定されないが、それぞれ、抗体断片、二重特異的抗体、ミニ抗体ドメイン抗体合成抗体(時折、本明細書において、「抗体模倣物」と称される)、キメラ抗体ヒト化抗体、抗体融合(時折、「抗体結合体」と称される)、およびそれぞれの断片を含む、種々の構造であってもよい。

0108

一実施形態において、抗体は、抗体断片である。 特定の抗体断片は、これらに限定されないが、(i)VL、VH、CL、およびCH1ドメインからなるFab断片、(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFd断片、(iii)単一抗体のVLおよびVHドメインからなるFv断片、(iv)単一変数からなるdAb断片、(v)単離されたCDR領域、(vi)2つの連結されたFab断片を含む二価の断片である、F(ab’)2断片、(vii)2つのドメインを結合して、抗原結合部位の形成を可能にするペプチドリンカーにより、VHドメインおよびVLドメインが連結される、単一鎖Fv分子(scFv)、(viii)二重特異性単一鎖Fv二量体、ならびに(ix)遺伝子融合によって構築される多価または多特異性断片である、「二重特異性抗体」もしくは「三重特異性抗体」を含む。抗体断片は、修飾されてもよい。例えば、分子は、VHおよびVLドメインを連結する、ジスルフィド橋の組み込みにより安定化され得る。抗体の形式および構造の例は、Holliger & Hudson,2006,Nature Biotechnology 23(9):1126−1136およびCarter 2006,Nature Reviews Immunology 6:343−357ならびにそこに引用される参考文献に記載されており、参照により全てが明示的に援用される。

0109

一実施形態において、本明細書に開示される抗体は、多特異性抗体、および特に二重特異性抗体であってもよく、時折、「二重特異性抗体」と称される。これらは、2つ(以上)の異なる抗原に結合する抗体である。二重特異性抗体は、例えば、化学的に、またはハイブリッドハイブリドーマから調製される等の、当該分野に公知の種々の方式で製造され得る。一実施形態において、抗体はミニ抗体である。ミニ抗体は、CH3ドメインに連結されるscFvを含む、最小化された抗体様タンパク質である。いくつかの場合において、scFvは、Fc領域に結合され得、一部または全てのヒンジ領域を含み得る。多特異性抗体の説明においては、Holliger & Hudson,2006,Nature Biotechnology 23(9):1126−1136、ならびにそこに引用される参考文献を参照し、参照により全てが明示的に援用される。

0110

非ヒト、キメラ、ヒト化、および完全なヒト抗体

0111

当該分野に周知のように、抗体の可変領域は、種々の種属から配列を構成することができる。いくつかの実施形態において、抗体可変領域は、これらに限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ラクダ、ラマ、およびサルを含む、ヒト以外の供給源からであり得る。いくつかの実施形態において、足場の構成要素は、異なる種属の混合物であり得る。したがって、本明細書に開示される抗体は、キメラ抗体および/またはヒト化抗体であってもよい。一般的に、「キメラ抗体」および「ヒト化抗体」の両方は、1種属以上からの領域を組み合わせる抗体を指す。例えば、「キメラ抗体」は、従来、マウスまたは他のヒト以外の種属からの可変領域およびヒトからの定常領域を含む。

0112

「ヒト化抗体」とは、概して、ヒト抗体で発見される配列と交換された可変ドメインフレームワーク領域を有した非ヒト抗体を指す。一般的に、ヒト化抗体において、CDRを除く抗体全体は、ヒト起源ポリヌクレオチドによりコードされるか、またはそのCDR内を除いてこのような抗体と同一である。ヒト以外の生物由来の核酸によりコードされる一部または全てのCDRは、ヒト抗体可変領域のベータシートフレームワークに移植され、移植されたCDRにより決定される特異性の抗体を作製する。このような抗体の作製は、例えば、国際公開第92/11018号、Jones,1986,Nature 321:522−525、Verhoeyen et al.,1988,Science 239:1534−1536に記載される。選択された受容体フレームワーク残基の対応するドナー残基への「逆突然変異」は、多くの場合、初期の移植されたコンストラクトで失われた親和性を回復するために要求される(米国特許第5,693,762号、参照によりその全体が援用される)。ヒト化抗体は、至適に、免疫グロブリン定常領域の少なくとも一部、典型的には、ヒト免疫グロブリンのそれを含み、したがって、典型的には、ヒトFc領域を含む。ヒト化抗体は、遺伝学的に操作された免疫系を有するマウスを使用しても生成され得る。 Roque et al.,2004,Biotechnol.Prog.20:639−654。ヒト以外の抗体のヒト化および再構成のための種々の技法および方法は、当該分野に周知である(Tsurushita & Vasquez,2004,Humanization of Monoclonal Antibodies,Molecular Biology of B Cells,533−545,Elsevier Science(USA)、ならびにそれに引用される参考文献を参照のこと)。非ヒト抗体可変領域の免疫原性を低減するためのヒト化または他の方法は、例えば、Roguska et al.,1994,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91:969−973に記載される、表面再構成法を含み得る。一実施形態において、親抗体は、当該分野に公知のように、親和成熟化されている。構造に基づく方法が、例えば、米国特許出願第11/004,590号に記載されるよう
に、ヒト化および親和性成熟化において利用されてもよい。選択に基づく方法は、抗体可変領域をヒト化および/または親和成熟するように、つまり、その標的抗原の可変領域の親和性を増加するように利用されてもよい。他のヒト化方法は、限定されないが、USSN第09/810,502号、Tan et al.,2002,J.Immunol.169:1119−1125、De Pascalis et al.,2002,J.Immunol.169:3076−3084に記載される方法を含む、CDRの一部のみの移植を含んでもよい。構造に基づく方法は、例えば、参照によりその全体が援用される、USSN第10/153,159号、ならびに関連する出願に記載されるように、ヒト化および親和性成熟化において利用されてもよい。特定の変形において、抗体の免疫原性は、参照によりその全体が援用される、2004年12月3日に出願された、「Methodsof Generating Variant Proteins with Increased Host String Content and Compositions Thereof」の表題で、Lazar et al.,2007,Mol Immunol 44:1986−1998およびUSSN第11/004,590号に記載される方法を使用して低減される。

0113

一実施形態において、抗体は、本明細書に概説する、少なくとも1つの修飾を伴う完全なヒト抗体である。「完全な(Fully)ヒト抗体」または「完全な(complete)ヒト抗体」とは、本明細書に概説する修飾を伴う、ヒト染色体に由来する抗体の遺伝子配列を有するヒト抗体を指す。完全なヒト抗体は、例えば、遺伝子導入マウス(Bruggemann et al.,1997,Curr Opin Biotechnol 8:455−458)、または選択法と合わせたヒト抗体ライブラリ(Griffiths et al.,1998,Curr Opin Biotechnol 9:102−108)を使用して、取得されてもよい。一実施形態において、ヒトと同等の抗体は、参照によりその全体が援用されるPCT/US09/41144に概説されるように、計算的に生成されてもよい。

0114

抗IgE抗体

0115

本明細書に記載する免疫グロブリンは、IgEに結合する。本発明の抗IgE抗体は、IgEに特異性を有する、既知または不明の任意の可変領域を含んでもよい。既知の抗IgE抗体は、これらに限定されないが、マウス抗体MaE11、MaE13、およびMaE15、US第6761889号、US第6329509号、US第20080003218A1号、およびPresta,LG et al.,1993,J Immunol 151:2623‐2632に記載されるもの等の、E25、E26、およびE27、特に、rhuMab−E25としても知られ、オマリズマブとしても知られるE25を含む、これらの抗体のヒト化および/または操作された変型を含み、参照により全てが本明細書に明示的に援用される。MaE11の好適な操作された変型は、本明細書の実施例に記載されるH1L1 MaE11である。本発明に有用であり得る他の抗IgEは、マウス抗体TES−C21、CGP51901としても知られるキメラTES−C21(Corne,J et al.,1997,J Clin Invest 99:879‐887;Racine−Poon,A et al.,1997,Clin Pharmcol Ther 62:675‐690)、ならびに、限定されないが、Kolbinger, F et al.,1993,Protein Eng6:971‐980に記載される抗体等、TNX−901としても知られるCGP56901を含む、この抗体のヒト化および/または操作された変型を含む。本明細書に用途を見出し得る他の抗IgE抗体は、US第6066718号、US第6072035号、PCT/US04/02894、US第5342924号、US第5091313号、US第5449760号、US第5543144号、US第5342924号、およびUS第5614611号に記載され、参照により全てが本明細書に援用される。他の有用な抗IgE抗体は、マウス抗体BSW17を含む。これらの抗体のいくつかの可変領域VHおよびVLドメインならびにCDRのアミノ酸配列を、図5に提供する。

0116

Fc変異体およびFc受容体結合特性

0117

本明細書に開示される免疫グロブリンは、Fc変異体を含んでもよい。Fc変異体は、親Fcポリペプチドに対して1つ以上のアミノ酸修飾を含み、該アミノ酸修飾は、1つ以上の最適化された特性を提供する。本明細書に開示されるFc変異体は、少なくとも1つのアミノ酸修飾によって、その親とアミノ酸配列が異なる。したがって、本明細書に開示されるFc変異体は、親と比較して、少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する。代替的に、本明細書に開示されるFc変異体は、親と比較して、1つ以上のアミン酸修飾、例えば、約1〜50のアミノ酸修飾、例えば、親と比較して、約1〜10のアミノ酸修飾、約1〜5のアミノ酸修飾等を有してもよい。したがって、Fc変異体の配列、および親Fcポリペプチドの配列は、実質的に相同である。例えば、本明細書において、変異Fc変異体配列は、親Fc変異体配列と約80%の相同性、例えば、少なくとも約90%の相同性、少なくとも約95%の相同性、少なくとも98%の相同性、少なくとも約99%の相同性等を有する。本明細書に開示される修飾は、挿入、欠失、および置換を含む、アミノ酸修飾を含む。本明細書に開示される修飾は、グリコフォーム修飾も含む。修飾は、一般的に、分子生物学を使用して行われるか、または酵素的に、もしくは化学的に行われてもよい。

0118

本明細書に開示されるFc変異体は、それらを構成するアミノ酸修飾によって定義される。したがって、例えば、S267Eは、親Fcポリペプチドに対して、置換S267Eを伴うFc変異体である。同様に、S267E/L328Fは、親Fcポリペプチドに対して、置換S267EおよびL328Fを伴うFc変異体を定義する。野生型アミノ酸の同一性は、不特定であってもよく、この場合、前述の変異体は、267E/328Fと称される。置換が提供される順番は、恣意的であり、つまり、例えば、267E/328Fは、328F/267Eと同じFc変異体などであることに留意する。特に記載のない限り、本明細書で論議される位置は、EU指標、またはEU付番規定に従い番号付けされる(Kabat et al.,1991,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,United States Public Health Service,National Institutes of Health, Bethesda、参照によりその全体が本明細書に援用される)。KabatもしくはEU付番のEU指標またはEU指標は、EU抗体の番号付けを指す(Edelman et al.,1969,Proc Natl Acad Sci USA 63:78−85、参照によりその全体が本明細書に援用される)。

0119

特定の実施形態において、本明細書に開示されるFc変異体は、ヒトIgG配列に基づき、したがって、ヒトIgG配列は、これらに限定されないが、例えば、ゲッ齒類および霊長類配列等の他の生物からの配列を含む、他の配列が比較される「基本」配列として使用される。免疫グロブリンは、IgA、IgE、IgGD、IgG等の、他の免疫グロブリンクラスからの配列も含む。本明細書に開示されるFc変異体は、1つの親IgGと関連して操作されるが、変異体は、別の第2の親IgGと関連して、またはそれに「移行」されてもよいものとする。これは、典型的には、第1と第2のIgGとの配列間の配列または構造相同性に基づき、第1と第2のIgGとの間の「等価の」または「対応する」残基および置換を決定することにより行われる。相同性を確立するために、本明細書に概説する第1のIgGのアミノ酸配列は、第2のIgGの配列と直接比較される。配列を整列させた後、当該分野で知られている相同性整列プロブラムの1つ以上を使用し(例えば、種属間の保存残基を使用し)、整列を維持するために必要な挿入および欠失をすることにより(すなわち、恣意の欠失および挿入を通して、保存残基の排除を避ける)、第1の免疫グロブリンの一次配列における特定のアミノ酸に等価な残基が定義される。保存残基の整列は、そのような残基の100%を保存し得る。しかしながら、75%を超える、またはわずかに50%の保存残基の整列も、等価残基を定義するのに十分である。等価残基は、構造が決定されたIgGの三次構造のレベルである、第1と第2のIgGとの間の構造的相同性を決定することにより定義されてもよい。この場合、等価残基は、親または前駆体の特定のアミノ酸残基の主鎖原子の2つ以上の原子座標(N上にN、CA 上にCA、C上にC、およびO上にO)が、整列後、約0.13nm以内であるものと定義される。別の実施形態において、等価残基は、整列後、約0.1nm以内である。整列は、最良のモデルが、タンパク質の非水タンパク原子の原子座標の最大重複を与えるように配向され、位置付けられた後に、達成される。等価または対応する残基がどのように決定されるかに関わらず、また、IgGが作製される親IgGの同一性に関わらず、本明細書に開示される、発見されたFc変異体は、Fc変異体と有意な配列または構造的相
同性を有する、あらゆる第2の親IgGに操作されてもよいということである。したがって、例えば、等価残基を決定するための上述の方法、または他の方法を使用することにより、親抗体がヒトIgG1である、変異体抗体が生成される場合、変異体抗体は、異なる抗原、ヒトIgG2親抗体、ヒトIgA親抗体、マウスIgG2aまたはIgG2b親抗体等に結合する、別のIgG1親抗体に操作されてもよい。また、上述のように、親Fc変異体の構成は、本明細書に開示されるFc変異体を、他の親IgGに移行する能力に影響を及ぼさない。

0120

本明細書に開示されるFc変異体は、種々のFc受容体結合特性のために最適化され得る。1つ以上の最適化された特性を示すように操作される、または予測されるFc変異体は、本明細書において、「最適化されたFc変異体」と称される。最適化され得る特性は、限定されないが、FcγRに対して強化または低減される親和性を含む。一実施形態において、本明細書に開示されるFc変異体は、阻害受容体FcγRIIbに対して強化された親和性を有するように最適化される。他の実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcγRIIbに対して強化された親和性を提供するが、例えば、FcγRI、FcγRIIa、FcγRIIIa、および/またはFcγRIIIbを含む、1つ以上の活性化FcγRに対して低減された親和性を提供する。FcγR受容体は、これらに限定されないが、ヒト、カニクイザル、およびマウスを含む、任意の生物からの細胞上で発現されてもよい。本明細書に開示されるFc変異体は、ヒトFcγRIIbに対して強化された親和性を有するように最適化されてもよい。

0121

本明細書で使用される、親Fcポリペプチドより「大きな親和性」、もしくは「改善された親和性」、もしくは「強化された親和性」、もしくは「良好な親和性」とは、結合アッセイの変異体および親ポリペプチドの量が、基本的に同じである時、Fc変異体が、親Fcポリペプチドより有意に高い会合平衡定数(KA もしくはKa)、または低い解離平衡定数(KDもしくはKd)で、Fc受容体に結合することを意味する。例えば、改善されたFc受容体結合親和性を有するFc変異体は、受容体結合親和性が、例えば、限定されないが、Biacoreを含む、本明細書に開示される結合方法によって、当業者により決定される、親Fcポリペプチドと比較したFc受容体結合親和性において、約5倍〜約1000倍、例えば、約10倍〜約500倍の改善を示し得る。したがって、本明細書で使用される、親ポリペプチドと比較して「低減された親和性」とは、Fc変異体が、親Fcポリペプチドより有意に低いKAまたは高いKDで、Fc受容体に結合することを意味する。より大きいまたは低減された親和性は、親和性の絶対レベルに対しても定義され得る。例えば、本明細書のデータによると、野生型(自然)IgG1は、約2mM、または約2000nMの親和性で、FcγRIIbに結合する。さらに、本明細書に記載されるいくつかのFc変異体は、野生型IgG1の約10倍を上回る親和性で、FcγRIIbに結合する。本明細書に開示される、大きな、または強化された親和性とは、約100nMより低い、例えば、約10nM 〜約100nMの間、約1〜約100nMの間、または約1nM未満のKDを有することを意味する。

0122

本発明の抗IgE抗体は、好ましくは、FcγRIIbに対して高い親和性を有する。本明細書において、高い親和性とは、抗体とFcγRIIbとの間の相互作用の親和性が、100nMより強いことを意味する。つまり、抗体のFcγへの結合に対する平衡解離定数Kdは、100nMより低い。

0123

一実施形態において、Fc変異体は、1つ以上の活性化受容体に対して、FcγRIIbに対して選択的に強化された親和性を提供する。選択的に強化された親和性とは、Fc変異体が、親Fcポリペプチドと比較して、活性化受容体に対してFcγRIIbに改善された親和性を有するが、親Fcポリペプチドと比較して、活性化受容体に対して低減された親和性を有するか、またはFc変異体が、親Fcポリペプチドと比較して、FcγRIIbおよび活性化受容体の両方に改善された親和性を有するが、親和性の改善は、活性化受容体に対してよりFcγRIIbに対しての方が大きいことかのいずれかを意味する。代替の実施形態において、Fc変異体は、1つ以上の活性化FcγRへの結合を低減もしくは切断する、1つ以上の補体タンパク質への結合を低減もしくは切断する、1つ以上のFcγR媒介エフェクター機能を低減もしくは切断する、および/または1つ以上の補体媒介エフェクター機能を低減もしくは切断する。

0124

FcγRの異なる多型形態の存在は、本明細書に開示されるFc変異体の治療有用性に影響を与える、また別のパラメータを提供する。FcγRの異なるクラスに対する所与のFc変異体の特異性および選択性は、Fc変異体が、所与の疾患の治療のための所与の抗原を標的とする能力に有意に影響を及ぼすが、これらの受容体の異なる多型形態に対するFc変異体の特異性または選択性は、研究または前臨床実験が、検査に適切であってもよいか、そして最終的に、どの患者集団が治療に反応する可能性があるかないかを、部分的に決定し得る。したがって、これらに限定されないが、FcγRIIa、FcγRIIIa等を含む、Fc受容体多型に対する、本明細書に開示されるFc変異体の特異性または選択性は、有効な研究および前臨床実験の選択、臨床試験デザイン、患者の選択、用量依存性、および/または臨床試験に関わる他の態様を導くために使用され得る。

0125

本明細書に開示されるFc変異体は、これらに限定されないが、補体タンパク質、FcRn、およびFc受容体ホモログ(cRH)を含む、FcγR以外のFc受容体との相互作用を調節する修飾を含んでもよい。FcRHは、これらに限定されないが、FcRH1、FcRH2、FcRH3、FcRH4、FcRH5、およびFcRH6を含む(Davis et al.,2002,Immunol.Reviews 190:123−136)。

0126

所与の疾患を治療するための、所与のFc変異体の最も有益な選択を決定する重要なパラメータは、Fc変異体の構成である。したがって、所与のFc変異体のFc受容体選択性または特異性は、抗体、Fc融合物、または融合パートナーと結合したFc変異体を構成するかによって、異なる特性を提供する。一実施形態において、本明細書に開示されるFc変異体のFc受容体特異性は、その治療有用性を決定する。治療目的の所与のFc変異体の有用性は、標的抗原のエピトープもしくは形態、および治療される疾患または徴候に依存する。いくつかの標的および徴候において、より大きなFcγRIIb親和性、および低減された活性化FcγR媒介エフェクター機能が、有益であり得る。他の標的抗原および治療用途において、FcγRIIbに対する親和性を増加する、または FcγRIIbおよび活性化受容体の両方に対する親和性を増加することが有益であり得る。

0127

抗IgE抗体の活性を最適化するための手段

0128

1つ以上のFcγRへの親和性を変更するための手段を本明細書に記載する。好適な実施形態において、親和性は、阻害受容体FcγRIIbに対して変更され、これによって、免疫グロブリンが、1つ以上のFcγRIIb媒介性阻害エフェクター機能を媒介する能力を変更する。本発明の手段は、アミノ酸修飾(例えば、機能最適化のための位置的手段、機能最適化のための置換手段等)、およびグリコフォーム修飾(例えば、グリコフォーム修飾のための手段)を含む。

0129

アミノ酸修飾

0130

アミノ酸修飾を含む免疫グロブリンを本明細書に開示し、該修飾は、1つ以上のFcγRへの親和性を変更する。好ましくは、該アミノ酸修飾は、FcγRIIbへの親和性を改善する。しかしながら、いくつかの実施形態において、修飾は、1つ以上の活性化受容体、例えば、FcγRI、FcγRIIa、およびFcγRIIIaへの親和性を改善してもよい。FcγRへの結合を変更するための修飾は、「Optimized Fc Variants」の表題で、2005年5月5日に出願されたUSSN第11/124,620号、および「Methodsand Compositions for Inhibiting CD32b Expressing Cells」の表題で、2008年5月30日に出願されたUSSN第12/156,183号に記載されており、ともに、参照により本明細書に明示的に援用される。

0131

本明細書に記載される、抗IgE抗体の活性を最適化するための位置的手段は、免疫グロブリンFcγRIIb結合特性、エフェクター機能、および抗体の潜在的な臨床特性の修飾を可能にする、1つ以上の重鎖定常領域位置(例えば、位置:234、235、236、237、239、265、266、267、268、298、325、326、327、328、329、330、331、および332)でのアミノ酸の修飾を含むが、これに限定されない。

0132

特に、例えば、FcγRIIbへの親和性を変更することにより、抗IgE抗体の活性を最適化するための置換手段は、限定されないが、1つ以上の重鎖定常領域位置でのアミノ酸の置換、例えば、次の重鎖定常領域位置:234、235、236、237、239、265、266、267、268、298、325、326、327、328、329、330、331、および332での、1つ以上のアミノ酸置換を含み、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、置換手段は、親Fc領域と比較して、少なくとも1つ(例えば、2つ以上)の置換を含み、該修飾は、EU指標に従う、234、235、236、237、239、266、267、268、325、326、327、328、および332からなる群から選択される位置である。一実施形態において、置換手段は、EU指標に従う、235、236、239、266、267、268、および328からなる群から選択される位置での1つ以上(例えば、2つ以上)の置換を含む。

0133

一実施形態において、該置換手段は、234F、234G、234I、234K、234N、234P、234Q、234S、234V、234W、234Y、234D、234E、235A、235E、235H、235I、235N、235P、235Q、235R、235S、235W、235Y、235D、235F、235T、236D、236F、236H、236I、236K、236L、236M、236P、236Q、236R、236S、236T、236V、236W、236Y、236A、236E、236N、237A、237E、237H、237K、237L、237P、237Q、237S、237V、237Y、237D、237N、239D、239E、239N、239Q、265E、266D、266I、266M、267A、267D、267E、267G、268D、268E、268N、268Q、298D、298E、298L、298M、298Q、325L、326A、326E、326W、326D、327D、327G、327L、327N、327Q、327E、328E、328F、328Y、328H、328I、328Q、328W、329E、330D、330H、330K、330S、331S、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、234N、234F、234D、234E、234W、235Q、235R、235W、235Y、235D、235F、235T、236D、236H、236I、236L、236S、236Y、236E、236N、237H、237L、237D、237N、239D、239N、239E、266I、266M、267A、267D、267E、267G、268D、268E、268N、268Q、298E、298L、298M、298Q、325L、326A、326E、326W、326D、327D、327L、327E、328E、328F、328Y、328H、328I、328Q、328W、330D、330H、330K、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、2
34D、234E、234W、235D、235F、235R、235Y、236D、236N、237D、237N、239D、239E、266M、267D、267E、268D、268E、327D、327E、328F、328W、328Y、および332Eからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、235Y、236D、239D、266M、267E、268D、268E、328F、328W、および328Yからなる群から選択される、少なくとも1つの置換(例えば、1つ以上の置換、2つ以上の置換等)であり、付番は、EU指標に従う。

0134

一実施形態において、該置換手段は、234/239、234/267、234/328、235/236、235/239、235/267、235/268、235/328、236/239、236/267、236/268、236/328、237/267、239/267、239/268、239/327、239/328、239/332、266/267、267/268、267/325、267/327、267/328、267/332、268/327、268/328、268/332、326/328、327/328、および328/332からなる群から選択される位置での、少なくとも2つの置換(例えば、修飾の組み合わせ)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、235/267、236/267、239/268、239/267、267/268、および267/328からなる群から選択される位置での、少なくとも2つの置換(例えば、修飾の組み合わせ)であり、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、234D/267E、234E/267E、234F/267E、234E/328F、234W/239D、234W/239E、234W/267E、234W/328Y、235D/267E、235D/328F、235F/239D、235F/267E、235F/328Y、235Y/236D、235Y/239D、235Y/267D、235Y/267E、235Y/268E、235Y/328F、236D/239D、236D/267E、236D/268E、236D/328F、236N/267E、237D/267E、237N/267E、239D/267D、239D/267E、239D/268D、239D/268E、239D/327D、239D/328F、239D/328W、239D/328Y、239D/332E、239E/267E、266M/267E、267D/268E、267E/268D、267E/268E、267E/325L、267E/327D、267E/327E、267E/328F、267E/328I、267E/328Y、267E/332E、268D/327D、268D/328F、268D/328W、268D/328Y、268D/332E、268E/328F、268E/3
28Y、327D/328Y、328F/332E、328W/332E、および328Y/332Eからなる群から選択される、少なくとも2つの置換(例えば、置換の組み合わせ)であり、付番は、EU指標に従う。

0135

一実施形態において、該置換手段は、次の置換の少なくとも1つ、または置換の組み合わせ:234F/236N、234F/236D、236A/237A、236S/237A、235D/239D、234D/267E、234E/267E、234F/267E、235D/267E、235F/267E、235S/267E、235T/267E、235Y/267D、235Y/267E、236D/267E、236E/267E、236N/267E、237D/267E、237N/267E、239D/267D、239D/267E、266M/267E、234E/268D、236D/268D、239D/268D、267D/268D、267D/268E、267E/268D、267E/268E、267E/325L、267D/327D、267D/327E、267E/327D、267E/327E、268D/327D、239D/328Y、267E/328F、267E/328H、267E/328I、267E/328Q、267E/328Y、268D/328Y、239D/332E、328Y/332E、234D/236N/267E、235Y/236D/267E、234W/239E/267E、235Y/239D/267E、236D/239D/267E、235Y/267E/268E、236D/267E/268E、239D/267E/268E、234W/239D/328Y、235F/239D/328Y、234E/267E/328F、235D/267E/328F、235Y/267E/328F、236D/267E/328F、239D/267A/328Y、239D/267E/328F、234W/268D/328Y、235F/268D/328Y、239D/268D/328F、239D/268D/328W、239D/268D/328Y、239D/268E/328Y、267A/268D/328Y、267E/268E/328F、239D/326D/328Y、268D/326D/328Y、239D/327D/328Y、268D/327D/328Y、239D/267E/332E、234W/328Y/332E、235F/328Y/332E、239D/328F/332E、239D/328Y/332E、267A/328Y/332E、2
68D/328F/332E、268D/328W/332E、268D/328Y/332E、268E/328Y/332E、326D/328Y/332E、327D/328Y/332E、234W/236D/239E/267E、239D/268D/328F/332E、239D/268D/328W/332E、および239D/268D/328Y/332Eをもたらし、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、次の置換の少なくとも1つ、または置換の組み合わせ:266D、234F/236N、234F/236D、236A/237A、236S/237A、235D/239D、234D/267E、234E/267E、234F/267E、235D/267E、235F/267E、235S/267E、235T/267E、235Y/267D、236D/267E、236E/267E、236N/267E、237D/267E、237N/267E、266M/267E、234E/268D、236D/268D、267D/268D、267D/268E、267E/268D、267E/268E、267E/325L、267D/327D、267D/327E、267E/327E、268D/327D、239D/328Y、267E/328F、267E/328H、267E/328I、267E/328Q、267E/328Y、268D/328Y、234D/236N/267E、235Y/236D/267E、234W/239E/267E、235Y/239D/267E、236D/239D/267E、235Y/267E/268E、236D/267E/268E、234W/239D/328Y、235F/239D/328Y、234E/267E/328F、235D/267E/328F、235Y/267E/328F、236D/267E/328F、239D/267A/328Y、239D/267E/328F、234W/268D/328Y、235F/268D/328Y、239D/268D/328F、239D/268D/328W、239D/268D/328Y、239D/268E/328Y、267A/268D/328Y、267E/268E/328F、239D/326D/328Y、268D/326D/328Y、239D/327D/328Y、268D
/327D/328Y、234W/328Y/332E、235F/328Y/332E、239D/328F/332E、239D/328Y/332E、267A/328Y/332E、268D/328F/332E、268D/328W/332E、268D/328Y/332E、268E/328Y/332E、326D/328Y/332E、327D/328Y/332E、234W/236D/239E/267E、239D/268D/328F/332E、239D/268D/328W/332E、および239D/268D/328Y/332Eをもたらし、付番は、EU指標に従う。一実施形態において、該置換手段は、次の置換の少なくとも1つ、または置換の組み合わせ:234N、235Q、235R、235W、235Y、236D、236H、236I、236L、236S、236Y、237H、237L、239D、239N、266I、266M、267A、267D、267E、267G、268D、268E、268N、268Q、298E、298L、298M、298Q、326A、326E、326W、327D、327L、328E、328F、330D、330H、330K、234F/236N、234F/236D、235D/239D、234D/267E、234E/267E、234F/267E、235D/267E、235F/267E、235T/267E、235Y/267D、235Y/267E、236D/267E、236E/267E、236N/267E、237D/267E、237N/267E、239D/267D、239D/267E、266M/267E、234E/268D、236D/268D、239D/268D、267D/268D、267D/268E、267E/268D、267E/268E、267E/325L、267D/327D、267D/327E、267E/327D、267E/327E、268D/327D、239D/328Y、267E/328F、267E/328H、267E/328I、267E/328Q、267E/328Y、268D/328Y、239D/332E、328Y/332E、234D/236N/267E、235Y/236D/267E、234W/239E/267E、235Y/239D/267E、236D/239D/267E、23
5Y/267E/268E、236D/267E/268E、239D/267E/268E、234W/239D/328Y、235F/239D/328Y、234E/267E/328F、235D/267E/328F、235Y/267E/328F、236D/267E/328F、239D/267A/328Y、239D/267E/328F、234W/268D/328Y、235F/268D/328Y、239D/268D/328F、239D/268D/328W、239D/268D/328Y、239D/268E/328Y、267A/268D/328Y、267E/268E/328F、239D/326D/328Y、268D/326D/328Y、239D/327D/328Y、268D/327D/328Y、239D/267E/332E、234W/328Y/332E、235F/328Y/332E、239D/328F/332E、239D/328Y/332E、267A/328Y/332E、268D/328F/332E、268D/328W/332E、268D/328Y/332E、268E/328Y/332E、326D/328Y/332E、327D/328Y/332E、234W/236D/239E/267E、239D/268D/328F/332E、239D/268D/328W/332E、および239D/268D/328Y/332Eをもたらす。

0136

一実施形態において、該置換手段は、次の置換の少なくとも1つ、または置換の組み合わせ:235Y/267E、236D/267E、239D/268D、239D/267E、267E/268D、267E/268E、および267E/328Fをもたらし、付番は、EU指標に従う。

0137

本発明のいくつかの実施形態において、免疫グロブリンは、イソタイプの修飾、つまり、親IgGの別のIgGのアミノ酸タイプへの修飾のための手段を含んでもよい。例えば、IgG1/IgG3ハイブリッド変異体は、2つのイソタイプが異なる位置で、CH2および/またはCH3領域のIgG1位置をIgG3からのアミノ酸と置換するための置換手段によって構築されてもよい。したがって、1つ以上の置換手段、例えば、274Q、276K、300F、339T、356E、358M、384S、392N、397M、422I、435R、および436Fを含む、ハイブリッド変異体IgG抗体が、構築されてもよい。本発明の他の実施形態において、IgG1/IgG2ハイブリッド変異体は、2つのイソタイプが異なる位置で、CH2および/またはCH3領域のIgG2を、IgG1からのアミノ酸と置換するための置換手段によって構築されてもよい。したがって、1つ以上の置換手段、例えば、次のアミノ酸置換:233E、234L、235L、−236G(位置236での、グリシンの挿入を指す)、および327Aの1つ以上を含む、ハイブリッド変異体gG抗体が、構築されてもよい。

0138

グリコフォーム修飾

0139

抗体を含む多くのポリペプチドは、オリゴ糖とのグリコシル化等の糖鎖を含む、種々の翻訳後修飾を受ける。グリコシル化に影響を与えることができるいくつかの要因が存在する。種属、組織および細胞型は全て、グリコシル化がどのように生じるかにおいて重要であることが示されている。加えて、血清濃度等の培養条件の変更を通して、細胞外環境は、グリコシル化に直接的な影響を与える(Lifely et al.,1995,Glycobiology 5(8):813−822)。

0140

全ての抗体は、重鎖の定常領域の保存位置で糖を含有する。各抗体のイソタイプは、明確な種々のN結合型糖構造を有する。重鎖に結合される糖とは別に、ヒトIgGの最大30%は、グリコシル化Fab領域を有する。IgGは、CH2ドメインのAsn297で、単一結合二触角性糖を有する。血清からか、またはハイブリドーマまたは操作された細胞で細胞外生成される、いずれのIgGにおいても、IgGは、Asn297結合型糖に関して異種である(Jefferis et al.,1998,Immunol.Rev.163:59−76、Wright et al.,1997,TrendsBiotech 15:26−32)。ヒトIgGにおいて、コアオリゴ糖は、通常、異なる数の外側残基を有する、GlcNAc2Man3GlcNAcからなる。

0141

本明細書に開示される免疫グロブリンの糖鎖は、オリゴ糖の説明に通常使用される命名法を参照して説明される。この命名法を使用する糖化学の総説は、Hubbard et al.1981,Ann.Rev.Biochem.50:555−583に見られる。この命名法は、例えば、マンノースを表すMan、2−N−アセチルグリコサミンを表すGlcNAc、ガラクトースを表すGal、フコースを表すFuc、およびグルコースを表すGlcを含む。シアル酸は、5−N−アセチルノイラミン酸についてはNeuNAc、および5−グルコリルノイラミン酸についてはNeuNGcの省略標記によって記載される。

0142

「グリコシル化」とは、オリゴ糖(2つ以上の単糖の連結、例えば、2〜約12の単糖の連結を含有する糖)の糖タンパク質への結合を意味する。オリゴ糖測鎖は、典型的に、NまたはO結合のいずれかを通して、糖タンパク質の骨格に連結される。本明細書に開示される免疫グロブリンのオリゴ糖は、一般的に、N結合型オリゴ糖としてFc領域のCH2ドメイに結合される。「N結合型グリコシル化」とは、糖タンパク質鎖における、糖鎖のアスパラギン残基への結合を指す。当業者は、例えば、マウスIgG1、IgG2a、IgG2b、および IgG3のそれぞれ、ならびにヒトIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、およびIgDCH2ドメインが、アミノ酸残基297で、N結合型グリコシル化のための単一部位を有することを認識するであろう(Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,1991)。

0143

本明細書の目的において、「成熟型コア糖構造」とは、一般的に、二触角性オリゴ糖に典型的な、次の糖構造:GlcNAc(Fucose)−GlcNAc−Man−(Man−GlcNAc)2からなる、Fc領域に結合される処理されたコア糖構造を指す。成熟型コア糖構造は、一般的に、Fc領域のCH2ドメインのAsn297へのN結合を介して、糖タンパク質のFc領域に結合される。「二分GlcNAc」とは、成熟型コア糖構造のb1,4マンノースに結合されるGlcNAc残基である。二分GlcNAcは、b(1,4)−N−アセチルグルコサミン転移酵素III酵素(GnTIII)により、酵素的に成熟型コア糖構造に結合され得る。CHO細胞は、通常、GnTIIIを発現しないが (Stanley et al.,1984,J.Biol.Chem.261:13370−13378)、そのように操作することができる(Umana et al.,1999, Nature Biotech.17:176−180)。

0144

修飾されたグリコフォームまたは操作されたグリコフォームを含むFc変異体を、本明細書で説明する。本明細書で使用される、「修飾されたグリコフォーム」、または「操作されたグリコフォーム」とは、タンパク質、例えば、抗体に共有結合的に結合される糖組成物を意味し、該糖組成物は、親タンパク質のそれと化学的に異なる。操作されたグリコフォームは、これらに限定されないが、FcγR媒介性エフェクター機能の強化または低減を含む、種々の目的に有用であり得る。一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、Fc領域に共有結合的に結合される、フコシル化および/または二分オリゴ糖のレベルを制御するように修飾される。

0145

修飾されたグリコフォームを生成するための種々の方法は、当該分野において周知である(Umana et al.,1999,Nat Biotechnol 17:176−180、Davies et al.,2001,Biotechnol Bioeng 74:288−294、Shieldset al.,2002,J Biol Chem 277:26733−26740、Shinkawa et al.,2003,J Biol Chem 278:3466−3473)、(US6,602,684、USSN第10/277,370号、USSN第10/113,929号、PCT国際公開第00/61739A1号、PCT国際公開第01/29246A1号、PCT国際公開第02/31140A1号、PCT国際公開第02/30954A1号)、(Potelligent(登録商標)technology[Biowa, Inc.,Princeton,NJ]、GlycoMAb(登録商標)glycosylation engineering technology[GLYCARTbiotechnology AG,Zurich,Switzerland]、参照により全てが明示的に援用される)。これらの技法は、例えば、操作された、種々の生物または細胞株(例えば、Lec−13CHO細胞、またはラットハイブリドーマYB2/0細胞)でIgGを発現させることにより、さもさければ、グリコシル化経路に関与する酵素(例えば、FUT8[α1,6−フコシル基転移酵素]および/またはβ1−4−N−アセチルグルコサミン転移酵素III[GnTIII])を調節することにより、またはIgGが発現した後に、糖(類)を修飾することにより、Fc領域に共有結合的に結合される、フコシル化および/または二分オリゴ糖のレベルを制御する。本明細書に開示される免疫グロブリンのグリコフォームを修飾するための他の方法は、糖操作された酵母株(Li et al.,2006,Nature Biotechnology 24(2):210−215)、蘚類(Nechansky et al.,2007,Mol Immunjol 44(7):1826−8)、および植物(Cox et al.,2006,Nat Biotechnol 24(12):1591−7)の使用を含む。修
飾されたグリコフォームを生成するための特定の方法の使用は、その方法に実施形態を制限するものではない。むしろ、本明細書に開示される実施形態は、それらがどのように生成されるかに関係なく、修飾されたグリコフォームを伴うFc変異体を包含する。

0146

一実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、シアル化のレベルを変更するために、糖操作される。免疫グロブリンG分子における、高レベルのシアル化Fcグルカンは、機能性に悪影響を与える可能性があり(Scallon et al., 2007,Mol Immunol.44(7):1524−34)、Fcシアル化のレベルの相違は、変更された抗炎症性活性をもたらす可能性がある(Kaneko et al.,2006,Science 313:670−673)。抗体は、Fcコア多糖のシアル化の際に抗炎症性特性を取得し得るため、Fcシアル酸含有量の増加または低減のために、本明細書に開示される免疫グロブリンを糖操作することは、有益であり得る。

0147

操作されたグリコフォームは、典型的に、異なる糖またはオリゴ糖を指し、したがって、例えば、免疫グロブリンは、操作されたグリコフォームを含み得る。代替的に、操作されたグリコフォームは、異なる糖またはオリゴ糖を含む免疫グロブリンを指す場合がある。一実施形態において、本明細書に開示される組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fc変異体を含み、グリコシル化抗体の約51〜100%、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%、90〜100%、95〜100%等は、フコースを欠失する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、フコースを欠失する成熟型コア糖構造を含み、さらに、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。代替の実施形態において、組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fc変異体を含み、約51〜100%のグリコシル化抗体、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%または90〜100%は、シアル酸を欠失する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、シアル酸を欠失する成熟型コア糖構造を含み、さらに、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。また別の実施形態において、組成物は、Fc領域を有するグリコシル化Fc変異体を含み、グリコシル化抗体の約51〜100%、例えば、組成物中の抗体の約80〜100%または90〜100%は、シアル酸を含有する、成熟型コア糖構造を含む。別の実施形態において、組成物中の抗体は、シアル酸を含有する成熟型コア糖構造を含み、さらに、Fc領域に少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む、両方である。別の実施形態において、操作されたグリコフォームとアミノ酸修飾の組み合わせは、抗体に最適なFc受容体結合特性を提供する。

0148

他の修飾

0149

本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcγRまたは補体媒介性機能自体に特に関連しない、最適化された特性を提供する1つ以上の修飾を含んでもよい。該修飾は、アミノ酸修飾であるか、または酵素的に、もしくは化学的に行われる修飾であってもよい。このような修飾は、例えば、その安定性溶解性、または臨床使用の強化等の、免疫グロブリンのある程度の改善を提供する可能性がある。本明細書に開示される免疫グロブリンをさらなる修飾と結合することにより行わせてもよい、種々の改善を本明細書に開示する。

0150

一実施形態において、本明細書に開示される抗体の可変領域は、親和性成熟することができる、つまり、アミノ酸修飾が、抗体のその標的抗原への結合を強化するように、抗体のVHおよび/またはVLドメインで行われ得る。このような種類の修飾は、標的抗原への結合の会合および/または解離動態を改善し得る。他の修飾は、代替標的に対する、標的抗原への選択性を改善するものを含む。これらは、非標的細胞に対して、標的上で発現する抗原への選択性を改善する修飾を含む。標的認識特性に対する他の改善は、さらなる修飾によって提供され得る。このような特性は、これらに限定されないが、特定の動態特性(すなわち、会合および解離動態)、代替標的に対する、特定の標的への選択性、および代替形態に対する、特定の標的形態への選択性を含んでもよい。例としては、完全長に対してスプライス変異体、細胞表面に対して可溶性形態、種々の多型変異体の選択性、または標的抗原の特定の立体構造形態が挙げられる。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリンの内在化の低減または強化を提供する、1つ以上の修飾を含んでもよい。

0151

一実施形態において、修飾は、これらに限定されないが、安定性、溶解性、およびオリゴマー状態を含む、本明細書に開示される免疫グロブリンの生物物理学的特性を改善するように行われる。修飾は、例えば、より高い安定性を提供するように、免疫グロブリンのより好適な分子内相互作用を提供する置換、または高溶解性のために、露出非極性アミノ酸極性アミノ酸との置換を含むことができる。本明細書に開示される免疫グロブリンに対する他の修飾は、特定の構造、またはホモ二量体もしくはホモ多量体分子を可能にするものを含む。このような修飾は、これらに限定されないが、操作されたジスルフィド、ならびに共有結合性ホモ二量体もしくはホモ多量体を生成するための機構を提供し得る、化学的修飾または集合法を含む。本明細書に開示される変異体に対するさらなる修飾は、特定の構造、またはヘテロ二量体ヘテロ多量体、二機能性、および/もしくは多機能性分子を可能にするものを含む。このような修飾は、限定されないが、置換がホモ二量体の形成を低減し、ヘテロ二量体形成を増加する、CH3ドメインにおける1つ以上のアミノ酸置換を含む。さらなる修飾は、修飾が二量体を形成する傾向を低減する、ヒンジおよびCH3ドメインにおける修飾を含む。

0152

さらなる実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、タンパク質分解部位を除去する修飾を含む。これらは、例えば、生産収量を低減するプロテアーゼ部位、ならびに生体内投与タンパク質を分解するプロテアーゼを含み得る。一実施形態において、さらなる修飾は、脱アミド(すなわち、グルタミニルおよびアスパラギニル残基の対応するグルタミルおよびアスパルチル残基への脱アミド)、酸化、およびタンパク質分解部位等の、共有結合分解部位を除去するように行われる。除去に特に有用である脱アミド部位は、これらに限定されないが、グリシンが続く、アスパラギニルおよびグルタミル(gltuamyl)残基、(それぞれ、NGおよびQGモチーフ)を含む、脱アミドの傾向を強化するものである。このような場合、いずれの残基の置換も、脱アミドの傾向を有意に低減することができる。一般的な酸化部位は、メチオニンおよびシステイン残基を含む。導入または除去され得る他の共有結合性修飾は、プロリンおよびリジンヒドロキシル化セリルまたはスレオニル残基のヒドロキシル基リン酸化、リジン、アルギニン、およびヒスチジン測鎖の’’−アミノ基のメチル化(T.E.Creighton,Proteins:Structure and Molecular Properties, W.H. Freeman & Co.,San Francisco,pp.79−86(1983)、参照によりその全体が援用される)、N末端アミンアセチル化、および任意のC末端カルボキシル基アミド化を含む。さらなる修飾は、限定されないが、N結合型またはO結合型グリコシル化およびリン酸化等の、翻訳後修飾も含み得る。

0153

修飾は、生物学の産生に通常使用される、宿主または宿主細胞から得られる発現および/または精製収量を改善するものを含んでもよい。これらは、これらに限定されないが、種々の哺乳類細胞株(例えば、CHO)、酵母細胞株、バクテリア細胞、および植物を含む。さらなる修飾は、重鎖が、鎖間ジスルフィド結合を形成する能力を除去する、または低減する修飾を含む。さらなる修飾は、重鎖が、鎖内ジスルフィド結合を形成する能力を除去する、または低減する修飾を含む。

0154

本明細書に開示される免疫グロブリンは、例えば、限定されないが、全てが参照によりその全体が援用される、Cropp & Shultz,2004,TrendsGenet.20(12):625−30、Anderson et al.,2004,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101(2):7566−71、Zhang et al.,2003,303(5656):371−3、およびChin et al.,2003,Science 301(5635):964−7に記載される方法を含む、Schultzおよび共同研究者により開発された技術を使用して組み込まれた、非天然アミノ酸の使用を含む修飾を含んでもよい。いくつかの実施形態において、これらの修飾は、上述の種々の機能的、生物物理学的免疫学的、または製造特性の操作を可能にする。さらなる実施形態において、これらの修飾は、他の目的のために、さらなる化学修飾を可能にする。他の修飾が、本明細書において企図される。例えば、免疫グロブリンは、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、またはポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの共重合体等の、種々の非タンパク質性重合体の1つに連結されてもよい。さらなるアミノ酸修飾は、免疫グロブリンの特異的または非特異的な化学修飾もしくは翻訳後修飾を可能にするように行われてもよい。このような修飾は、これらに限定されないが、ペグ化およびグリコシル化を含む。ペグ化を可能にするように利用され得る特異的置換は、これらに限定されないが、効率的かつ特異的なカップリング化学法が、PEGか、さもなければ重合体部分を結合するために使用され得るような、新規システイン残基または非天然アミノ酸の導入を含む。特定のグリコシル化部位の導入は、新規N−X−T/S配列を本明細書に開示される免疫グロブリンに導入することにより、達成され得る。

0155

免疫原性を低減するための修飾は、親配列由来の処理されたペプチドのMHCタンパク質への結合を低減する修飾を含んでもよい。例えば、アミノ酸修飾は、任意の一般的なMHC対立遺伝子を高親和性で結合することが予測される免疫エピトープが存在しないか、または最小数であるように操作されるだろう。タンパク質配列におけるMHC結合型エピトープの同定のいくつかの方法は、当該分野で知られており、本明細書に開示される抗体のエピトープをスコアするために使用されてもよい。例えば、参照により全てが明示的に援用される、USSN第09/903,378号、USSN第10/754,296号、USSN第11/249,692号、およびそこに引用される参考文献を参照のこと。

0156

いくつかの実施形態において、本明細書に開示される免疫グロブリンは、FcRn結合を変更する免疫グロブリンと組み合わされてもよい。このような変異体は、免疫グロブリンに改善された薬物動態特性を提供し得る。FcRnへの結合を増加する、および/または薬物動態特性を改善する好適な変異体は、これらに限定されないが、例えば、259I、308F、428L、428M、434S、434H、434F、434Y、および434Mを含む、位置259、308、428、および434での置換を含むが、これらに限定されない(「Fc Variants with Alterned Binding to FcRn」の表題で、2008年12月22日に出願されたPCT/US第2008/088053号、参照によりその全体が援用される)。FcのFcRnへの結合を増加する他の変異体は、これらに限定されないが、250E、250Q、428L、428F、250Q/428L(Hinton et al.,2004,J.Biol.Chem.279(8): 6213−6216, Hinton et al. 2006 Journal of Immunology 176:346−356)、256A、272A、286A、305A、307A、311A、312A、376A、378Q、380A、382A、434A(Shieldset al,Journal of Biological Chemistry, 2001,276(9):6591−6604、参照によりその全体が援用される)、252F、252T、252Y、252W、254T、256S、256R、256Q、256E、256D、256T、309P、311S、433R、433S、433I、433P、433Q、434H、434F、434Y、252Y/254T/256E、433K/434F/436H、308T/309P/311 S(Dall Acqua et al.Journal of Immunology,2002,169:5171−5180, Dall’Acqua et al.,2006,The Journal of biological chemistry 281:23514−23524、参照によりその全体が援用される)を含む。

0157

抗体の共有結合的修飾は、本明細書に開示される免疫グロブリンの範囲内に含まれ、概して、翻訳後に行われるが、必ずしもそうではない。例えば、抗体の共有結合的修飾のいくつかの種類は、抗体の特定のアミノ酸残基を、選択された側鎖、またはNもしくはC末端残基と反応することができる有機誘導化剤と反応させることにより、分子に導入される。

0158

いくつかの実施形態において、本明細書に開示される抗体の共有結合的修飾は、1つ以上の標識の追加を含む。「標識基」という用語は、任意の検出可能な標識を意味する。いくつかの実施形態において、標識基は、潜在的な立体障害を低減するために、種々の長さのスペーサーのアームを介して抗体に結合される。タンパク質を標識するための種々の方法が、当該分野において知られており、本明細書に開示される免疫グロブリンの生成に使用され得る。

0159

複合体

0160

一実施形態において、本明細書に開示される共結合分子は、抗体「融合タンパク質」であり、時折、「抗体複合体」とも称される。融合パートナーまたは複合パートナーは、タンパク質性または非タンパク質性であり得、後者は、一般的に、抗体上および複合パートナー上の官能基を使用して生成される。複合パートナーおよび融合パートナーは、小分子化学化合物およびポリペプチドを含む、任意の分子であってもよい。例えば、種々の抗体複合体および方法は、Trail et al.,1999,Curr.Opin.Immunol.11:584−588に記載されており、参照によりその全体が援用される。可能な複合パートナーは、これらに限定されないが、サイトカイン、細胞障害性薬剤毒素ラジオアイソトープ化学療法剤、反脈管形成物質チロシンキナーゼ阻害剤、および他の治療活性剤を含む。いくつかの実施形態において、複合パートナーは、むしろ負荷量と考えられてもよい、つまり、複合体の目的は、免疫グロブリンによる、複合パートナーの標的細胞、例えば、癌細胞または免疫細胞への標的送達である。したがって、例えば、毒素の免疫グロブリンの複合は、該毒素の標的抗原を発現する細胞への送達を標的とする。当業者により理解されるように、実際には、融合および複合の概念および定義は、重複する。融合または複合の意味は、本明細書に開示される任意の特定の実施形態にそれを制限するものではない。むしろ、これらの用語は、本明細書に開示される任意の免疫グロブリンが、ある所望の特性を提供するように、遺伝的に、化学的に、または他の方法で、1つ以上のポリペプチドもしくは分子に連結されてもよいという、広範な概念を伝達するように漠然と使用される。

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