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課題
解決手段
概要
背景
概要
成分として果肉の乾燥粉末を含有し、良好に混錬されて、良好な固形性及び形状を有した状態で製造されるとともに、柔らかい食感を有し、風味、色等の外観、及び食感の経時的な劣化が抑制された固形食品を提供する。固形食品は、果肉の乾燥粉末と、グリセリンとを混錬し、丸剤化してなる。グリセリンを20質量%以上45質量%以下含むのが好ましい。グリセリンにより、良好な混錬性が得られ、果肉及び水分を減じることができるので、果肉及び水分に起因する酸化劣化が抑制され、固形食品は長期的に良好な風味、外観、食感を維持することができる。なし
目的
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、成分として果肉の乾燥粉末を含有し、良好に混錬されて、良好な固形性及び形状を有した状態で製造されるとともに、柔らかい食感を有し、風味、色等の外観、及び食感の経時的な酸化劣化が抑制された固形食品を提供する
効果
実績
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請求項1
請求項2
前記グリセリンを20質量%以上45質量%以下含むことを特徴とする請求項1に記載の固形食品。
請求項3
前記グリセリンを30質量%以上含むことを特徴とする請求項2に記載の固形食品。
請求項4
請求項5
前記果肉は、梅干しであることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の固形食品。
請求項6
果肉をさらに6質量%以下含むことを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の固形食品。
請求項7
技術分野
背景技術
0002
梅の果実を食塩及びしそとともに漬け込み、日干ししてなる梅干しは、古くから常備の健康食品として嗜好されてきた。
この梅干しを凍結乾燥し、得られた粉末を錠剤化したものがある。しかし、風味、食感、及び触感について、生の梅干しのものと隔たりがあるという問題があった。
0003
そこで、本願発明者等は、梅干しの凍結乾燥粉末と、梅干しの果肉と、エキス成分、香料、糖又は藻類とを、水分が25〜35質量%含まれる状態で混錬し、丸剤化してなる固形食品を開発した(特許文献1)。
この固形食品は、上述の梅干しの凍結乾燥粉末を錠剤化したものと比較して、風味、食感、及び触感が良好である。
先行技術
0004
特公昭57−43225号公報
発明が解決しようとする課題
0005
しかし、特許文献1の固形食品は、果肉の凍結乾燥粉末と果肉とを4:1〜4の割合で配合しており、果肉に起因して酸化劣化しやすいという問題がある。従って、略1年を超えた時点で、色が少し黒ずみ、外観品位が悪くなるという問題があった。この固形食品は、混錬しやすくし、かつ風味を付与するために、一定量の果肉を配合していた。果肉の含有量を減じ、かつ混錬性を確保するために水を添加することにした場合、やはり経時的な酸化の問題が生じることになる。
0006
また、硬度も前記錠剤と比較した場合、柔らかくなっているが、生の梅干しに比べて噛みにくく、舐めるか噛み砕くことになり、食べにくいという問題があった。噛み砕いた場合には、塩味及び酸味が一気に口中に広がり、食感が悪くなるという問題もある。
0007
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、成分として果肉の乾燥粉末を含有し、良好に混錬されて、良好な固形性及び形状を有した状態で製造されるとともに、柔らかい食感を有し、風味、色等の外観、及び食感の経時的な酸化劣化が抑制された固形食品を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0008
第1発明に係る固形食品は、果肉の乾燥粉末と、グリセリンとを混錬し、丸剤化してなることを特徴とする。
0009
第2発明に係る固形食品は、第1発明において、前記グリセリンを20質量%以上45質量%以下含むことを特徴とする。
0010
第3発明に係る固形食品は、第2発明において、本発明に係る固形食品は、前記グリセリンを30質量%以上含むことを特徴とする。
0012
第5発明に係る固形食品は、第1発明から第4発明までのいずれか1つの発明において、前記果肉は、梅干しであることを特徴とする。
0013
第6発明に係る固形食品は、第1発明から第5発明までのいずれか1つの発明において、果肉をさらに6質量%以下含むことを特徴とする。
0014
第7発明に係る固形食品は、第1発明から第6発明までのいずれか1つの発明においてしそ、藻類、きのこ類、にんじん、若しくはにんにくの乾燥粉末又はエキス成分、香料、及び糖からなる群から選択される少なくとも1種をさらに2質量%以下含むことを特徴とする。
0015
本発明においては、グリセリンを含むので、製造時の混錬性が良好であり、固形食品は良好な固形性及び形状を有する。また、食感が柔らかくなる。そして、果肉量を減じることができ、混錬性を確保するために水を添加する必要もないので、固形食品が酸化する要因がなく、経時的な劣化が抑制されている。
発明の効果
0016
本発明の、果肉の乾燥粉末と、グリセリンとを混錬し、丸剤化してなる固形食品は、グリセリンを含むので、製造時の混錬性が良好であり、固形食品は良好な固形性及び形状を有する。また、グリセリンにより食感が柔らかくなり、風味を良好である。そして、混錬性を確保するために、果肉量を多くしたり、水を添加したりする必要がない。従って、固形食品が酸化する要因がなく、経時的な酸化劣化が抑制されている。
よって、固形食品は長期的に良好な風味、外観、食感を維持することができる。
図面の簡単な説明
0017
本発明の実施例1に係る固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
本発明の実施例2に係る固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
比較例1に係る固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
0018
以下、本発明をその実施の形態に基づいて具体的に説明する。
本発明に係る固形食品は、果肉の乾燥粉末と、グリセリンとを混錬し、丸剤化してなる。
果肉としては、例えば梅干し、プラム、ブルーベリー等が挙げられる。本発明の固形食品は、好ましくは梅干しに適用される。果肉として梅干しを使用する場合、梅の果実に対し略12〜15質量%の塩に果実を略2ヶ月間漬け込んだものが使用される。漬け込んだものは必ずしも日干しにする必要はない。
果肉の乾燥粉末は、AD(熱風乾燥)、及びFD(凍結真空乾燥)のいずれの乾燥方法によっても製造することができる。凍結乾燥粉末は、例えば−15℃の温度下、通常の方法により製造される。
0019
本発明に係る固形食品は、グリセリンを含むので、製造時に、果肉の含有量を多くしたり、水を添加したりすることなく、良好な混錬性が得られる。従って、果肉及び水分に起因する固形食品の経時的な劣化が抑制されている。そして、グリセリンを含むので、硬度が小さくなり、食感が良好になる。従来の梅干しの凍結乾燥粉末を含む固形食品と比較して食べやすく、すなわち噛み砕くことなく、容易に噛むことができる。よって、噛み砕くことで塩味及び酸味等が一気に口中に広がり、食感が悪くなるという問題も生じない。
0020
グリセリンは、固形食品100質量%に対し20質量%以上45質量%以下含むのが好ましい。
グリセリンの含有量が20質量%未満である場合、混錬するのが困難になり、果肉又は水分を多く添加する必要が生じ、従来の酸化の問題が生じる。
グリセリンの含有量が45質量%を超えた場合、固形化が困難になり、固形食品の形状が悪くなる。
グリセリンの含有量の下限は、より好ましくは30質量%、さらに好ましくは35質量%である。グリセリンの含有量の上限は、より好ましくは40質量%である。
0021
本発明に係る固形食品は、凍結乾燥粉末化をしていない果肉をさらに6質量%以下含むことができる。果肉はペースト状であるのが好ましい。
この場合、固形食品の酸化を抑制しつつ、風味がより良好になる。
本発明に係る固形食品は、しそ、藻類、きのこ類、にんじん、若しくはにんにくの乾燥粉末又はエキス成分、香料、及び糖からなる群から選択される少なくとも1種をさらに2質量%以下含むことができる。
この場合、固形食品の酸化を抑制しつつ、風味がより良好になる。
0022
本発明の固形食品の上述の成分は配合後、混錬される。成分が均一に混錬される限り、混錬方法に特に制限はない。混錬機を用いて通常の方法により混錬すればよい。
混錬した後、丸剤化が行われる。丸剤化は通常の方法を採用することができる。
丸剤化された後、温度40〜60℃で15〜30時間、乾燥されて、本発明の固形食品が得られる。
0023
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。
[実施例1]
青梅の果実を該果実の略15質量%の塩を用いて略2ヶ月間漬け込んだ。得られた梅干しの果肉を取り出し、真空凍結乾燥機を用いて、温度−15℃で略20時間乾燥して、凍結乾燥粉末を得た。この梅干しの凍結乾燥粉末を60.00質量%、梅干しの果肉を5.00質量%、グリセリンを35.00質量%配合し、均一に混錬した。
混錬後、製丸機により直径0.9cmの大きさの粒状物とし、熱風乾燥機により、温度60〜70℃で略10時間乾燥して実施例1の固形食品を得た。
0024
[実施例2]
組成を、梅干しの凍結乾燥粉末:59.50質量%、梅干しの果肉:5.00質量%、グリセリン:34.50質量%、しそ加工品:1.00質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2の固形食品を得た。
0025
[比較例1]
組成を、梅干しの凍結乾燥粉末:73.00質量%、梅干しの果肉:25.50質量%、しそ加工品:1.50質量%にしたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の固形食品を得た。この比較例1は従来品に相当する。
0026
上述の実施例1及び2、比較例1の固形食品につき、製造後の風味、外観、及び食感の経時的な劣化を調べた。
実施例1については、標準(製造直後)、6ヶ月経過後、2年9ヶ月経過後について調べた。「6ヶ月経過後」の場合は、固形食品を恒温恒湿器(温度40℃±0.5℃、湿度75%±5%)内に収容して2週間放置する加速試験でシミュレートしている。
0027
図1は、実施例1の固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
0028
加熱減量は常圧乾熱乾燥法により測定した。試料を粉砕して秤量瓶に1g採り、110℃で5時間加熱して、乾燥の前後の、試料と秤量瓶との合計重量から加熱減量を求めた。加熱減量は2個の平均値である。
平均重量は、10個の固形食品につき、5回計量した平均値で示す。
大腸菌群は、デソキシコレート寒天培地を用い、塗沫平板培地法により測定した。
一般細菌は、標準寒天培地を用い、塗沫平板培地法により測定した。
硬度は、デジタル木屋式硬度計(加圧チップ刃型使用)を用い、1個の固形食品につき、10回計量した平均値で示す。
硬度幅は、測定値の最小値及び最大値で示す。
0029
実施例2については、標準(製造直後)、6ヶ月経過後、2年4ヶ月経過後について調べた。「6ヶ月経過後」の場合は、実施例1と同様に、固形食品を恒温恒湿器(温度40℃±0.5℃、湿度75%±5%)内に収容して2週間放置する加速試験でシミュレートしている。
0030
図2は、実施例2の固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
0031
比較例1については、標準(製造直後)、6ヶ月経過後、2年1ヶ月経過後について調べた。
図3は、比較例1の固形食品の各時期の製造日と、製造時及び試験経過時の乾燥減量、平均重量、大腸菌群、一般細菌、硬度、及び硬度幅と、試験経過時の外観を示す写真とを示す図表である。
0032
図1〜図3より、製造時の固形食品の色は、比較例1、実施例2、実施例1の順に濃いことが分かる。
いずれの固形食品も、時間が経過するに従って、色が濃くなっている。実施例1及び2の場合、色の変化の度合いは比較例1より小さい。比較例1の場合、経時的に黒ずむ度合いが大きくなっている。
0033
硬度については、実施例1及び2の固形食品は、比較例1の固形食品と比較して、著しく小さくなっている。そして、実施例1及び2の固形食品の場合、経時的に硬度は変化していないが、比較例1の場合、漸次的に硬度が大きくなっている。
実施例及び比較例ともに、製造時に仕上げの乾燥工程を行っているので、水分は同程度である。図1〜3に示されるように、乾燥工程を行った場合においても、水分を6〜10%含有するので、果肉の含有量が多い場合、固形食品の酸化が進行する。
0034
以上より、本発明の実施例の固形食品は、色が従来品である比較例の固形食品より薄く、色の経時的な変化も比較例より小さく、硬度も比較例より小さく、経時的な硬度の変化も少ないことが分かる。
従って、本発明の固形食品の経時的な酸化劣化が抑制されていることが確認された。
0035
具体的に官能試験も行った。その結果について以下に説明する。
被験者は、男性6名、女性5名(50代以上:2名、40代:6名、30代:1名、20代以下:2名)の計11名である。
評価の項目は、味、見た目、食感である。
実施例1の固形食品の評価においては、2年9ヶ月経過後の食品、6ヶ月経過後の食品(上述のシミュレート品)、標準と同等品(製造後、18〜22日)の3種の固形食品(内容は非開示)を、標準品(前記標準と同等品)と比較した場合に、問題がない(変化が少ない)と判断したときをOKとし、問題がある(変化がある)と判断したときをNGとしている。
0036
実施例2の固形食品の評価においては、2年4ヶ月経過後の食品、6ヶ月経過後の食品(上述のシミュレート品)、標準と同等品(製造後、18〜22日)の3種の固形食品(内容は非開示)を、製造直後の標準品と比較した場合に、問題がない(変化が少ない)と判断したときをOKとし、問題がある(変化がある)と判断したときをNGとしている。
0037
比較例1の固形食品の評価においては、2年1ヶ月経過後の食品、6ヶ月経過後の食品、標準と同等品(製造後、11〜15日)の3種の固形食品(内容は非開示)を、製造直後の標準品と比較した場合に、問題がない(変化が少ない)と判断したときをOKとし、問題がある(変化がある)と判断したときをNGとしている。
0038
下記の表1に、実施例1及び2、並びに比較例1の固形食品につき、それぞれの標準品と「味」を比較した結果を示す。
項目は、製造日、経過時間、「NG」と判断した被験者の数、「OK」と判断した被験者の数、及びOKの割合(%)である。
0039
0040
表1より、実施例1及び2、並びに比較例1ともに、標準品と味が変わらず、味の経時的な変化も小さいことが分かる。
被験者の評価として、実施例1の固形食品は円やかな味がする、実施例2の固形食品は酸味が少ないというものがあった。実施例2の固形食品はしそ加工品を含有するので、酸味が緩和されたと考えられる。
0041
下記の表2に、実施例1及び2、並びに比較例1の固形食品につき、それぞれの標準品と「見た目」を比較した結果を示す。項目の内容は表1と同一である。
0042
0043
表2より、実施例1及び2、比較例1ともに、「標準と同等品」は標準品と見た目が変わらないが、漸次的に悪くなることが分かる。
特に、比較例1の場合、2年1ヶ月の経過後、図3に示すように色が黒ずんでおり、「OK」の割合が著しく低下している。
0044
下記の表3に、実施例1及び2、並びに比較例1の固形食品につき、それぞれの標準品と「食感」を比較した結果を示す。項目の内容は表1と同一である。
0045
0046
実施例1及び2、比較例1ともに、「標準と同等品」は標準品と食感は変わらない。実施例1及び2ともに、食感は経時的に変化しないが、比較例1の場合、食感は経時的に悪化することが分かる。
また、被験者は、実施例1及び2の固形食品は、比較例1の固形食品より柔らかいと評価している。上述したように、実施例1及び2の固形食品は、比較例1の固形食品より硬度が小さい。
0047
以上より、本発明の固形食品は、良好な風味、外観、及び食感(触感も含む)が長期的に維持されることが確認された。
実施例
0048
今回開示した実施の形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えるべきである。本発明の範囲は、特許請求の範囲内での全ての変更及び特許請求の範囲と均等の範囲が含まれることが意図される。
例えば、本発明の固形食品は、梅干しの凍結乾燥粉末を含む場合に限定されるものではなく、種々の果肉の凍結乾燥粉末を含むことができる。
また、乾燥粉末もFDにより製造される場合に限定されるものではなく、ADにより製造されるものであってもよい。