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技術 車両のサスペンション

出願人 マツダ株式会社
発明者 赤木宏行西隆司日下勇樹田中洋真鍋俊之
出願日 2014年3月18日 (7年1ヶ月経過) 出願番号 2014-054988
公開日 2015年10月5日 (5年7ヶ月経過) 公開番号 2015-174641
状態 特許登録済
技術分野 車体懸架装置
主要キーワード 応力集中部分 後方上がり 振動吸収機構 前方下り傾斜 開断面部材 後部底面 最低部位 デファレンシャルギヤ装置
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年10月5日)のものです。
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図面 (11)

課題

低床化を図りつつ、剛性生産性とを確保することができる車両のサスペンションを提供する。

解決手段

左右1対トレーリングアーム3と、両端部が左右1対のトレーリングアーム3に夫々連結されたトーションビーム4とを備え、トーションビーム4が、前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成されると共に、アーチ下半部41と、このアーチ下半部41の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部42とを有する開断面部材で構成され、車両Vが標準状態のとき、アーチ下半部41の長さ方向と直交するアーチ下半部41の断面形状は略水平に形成され、車両Vがフルバウンド状態のとき、車幅中央部におけるアーチ下半部41の前端縁41aの前後方向位置とアーチ上半部42の前端縁42aの前後方向位置とが略一致するように構成された。

概要

背景

従来より、前端部が車体に枢支され且つ後端部に車輪を回転可能に支持する左右1対トレーリングアームと、車幅方向両端部が左右1対のトレーリングアームに夫々連結された車幅方向に延びるトーションビームとを備えたトーションビーム式サスペンションが知られている。このトーションビーム式サスペンションは、長さ方向に延びる一側半部と他側半部とを備えた断面略U字状等の開断面部材からなるトーションビームが、トーションバースプリングの機能を果たし、構造が簡単で部品点数が少なく、コスト的及びスペース的に有利であることから、FF車のリヤサスペンションとして広く実用に供されている。

FR車や四輪駆動車のように後輪駆動輪とされた車両の場合、車体前部に搭載されたエンジン駆動力車幅中央部分において前後方向に延びるプロペラシャフトを介して車体後部に搭載されたデファレンシャルギヤ装置に伝達するため、トーションビームを車幅中央部分においてプロペラシャフトを回避するように上方へ迂回せざるを得ない。
一方、図10に示すように、トーションビーム式サスペンションでは、トーションビームBの中央部分後方の剪断中心Cとトレーリングアームの前端部Fとを結ぶ直線Aを理論上の揺動軸として車輪が揺動する。それ故、トーションビームBの車幅中央部分が上方に湾曲されている場合、剪断中心CもトーションビームBの湾曲に伴って上方へ変位することから、サスペンションアライメント変化特性が変化するという問題が生じる。

特許文献1のサスペンションは、トーションビームの剪断中心の上方変位を抑えるために、トーションビームの車幅中央部分に上方へ湾曲した湾曲部を設けると共にトーションビームの開断面を上向きに開口させることによって、トーションビームの剪断中心をトーションビームの下方に位置するように構成されている。
一般に、トーションビームのような長尺部材では、長さ方向の断面形状が同じであっても、長さ方向で曲がり部分が存在すると、その曲がり部分で断面崩れが発生し、剛性が低くなる性質があることから、トーションビームの車幅中央部分に上方へ湾曲した湾曲部を有する場合、この湾曲部において剛性が低下し、操縦定性の観点において不利になるという問題がある。

特許文献2のサスペンションは、トーションビームが、車幅中央部分に上方へ突出した曲線形状部と、この曲線形状部の両端部に車幅中央部分に曲率半径が連続して変化する曲線部を介してスムーズに連続して繋がる直線形状部とを備えている。
曲げモーメントが大きな両端部分に直線形状部を形成し、曲げモーメントが小さな車幅中央部分に曲線形状部を形成することによって、トーションビームの剛性を向上している。

車輪に大きな外力が作用したとき、これらの外力はトレーリングアームを介して、上下方向荷重ショックアブソーバ等に伝達され、捩り荷重及び横力がトーションビームに伝達される。捩り荷重及び横力は、トーションビームの全体形状の撓み及び一側半部と他側半部とによって形成された開断面の口閉じ変形によって吸収される。
そこで、トーションビームの捩り剛性横力剛性を確保するため、トーションビームを円筒状のパイプ部材で構成し、このパイプ部材を軸心直交方向から長さ方向に亙って押し潰して頂部を有する断面略V字状又はU字状に形成したクラッシュドパイプ式トーションビームも知られている。このトーションビームは、長さ方向直交断面の両端部の中空部の大きさを変えることにより、捩り剛性を変更できる。
特許文献3のトーションビームは、パイプを軸心直交方向から押し潰して頂部を有する断面略V字状又はU字状に形成されると共に軸心直交断面の両端部に夫々中空部が形成され、一側半部と他側半部とが連なる頂部から両端部に向かうに従って連続的に拡大する隙間が一側半部と他側半部とに夫々形成されている。

概要

低床化をりつつ、剛性と生産性とを確保することができる車両のサスペンションを提供する。左右1対のトレーリングアーム3と、両端部が左右1対のトレーリングアーム3に夫々連結されたトーションビーム4とを備え、トーションビーム4が、前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成されると共に、アーチ下半部41と、このアーチ下半部41の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部42とを有する開断面部材で構成され、車両Vが標準状態のとき、アーチ下半部41の長さ方向と直交するアーチ下半部41の断面形状は略水平に形成され、車両Vがフルバウンド状態のとき、車幅中央部におけるアーチ下半部41の前端縁41aの前後方向位置とアーチ上半部42の前端縁42aの前後方向位置とが略一致するように構成された。

目的

また、フロアパネル上方の車室の上下高さ空間の拡大、及び乗員の乗降性や荷物の積み降ろし性向上の観点から、フロアパネルを低位置にした低床車両が望まれている

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
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請求項1

フロアパネルの下方で車体前後方前端部が車体に枢支され且つ後端部に車輪を回転可能に支持する左右1対トレーリングアームと、車幅方向両端部が前記左右1対のトレーリングアームに夫々連結された車幅方向に延びるトーションビームとを備えた車両のサスペンションにおいて、前記トーションビームが、車幅方向中央部がホイールセンタよりも上方に位置するように前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成され、前記トーションビームが、アーチ下半部と、このアーチ下半部の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部とを有する開断面部材で構成され、車両が標準状態のとき、前記アーチ下半部の長さ方向と直交するアーチ下半部の断面形状は略水平に形成され、車両がフルバウンド状態のとき、前記車幅方向中央部における前記アーチ下半部の前端縁前後方向位置とアーチ上半部の前端縁の前後方向位置とが略一致するように構成されたことを特徴とする車両のサスペンション。

請求項2

前記車両が、車体後部に配設された後輪駆動装置と、この後輪駆動装置に連結部を介して連結された車体前後方向に延びるプロペラシャフトとを備え、前記プロペラシャフトが、前記トーションビームの下方空間を通るように配置されたことを特徴とする請求項1に記載の車両のサスペンション。

請求項3

車両がフルリバウンド状態のとき、前記トーションビームの後端部が前記連結部の上方近傍に位置するように構成したことを特徴とする請求項2に記載の車両のサスペンション。

請求項4

車両がフルバウンド状態のとき、前記アーチ上半部の車幅方向中央部がフロアパネルに形成されたシートクッション載置部の下方近傍に位置するように構成したことを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の車両のサスペンション。

技術分野

0001

本発明は、車両のサスペンションに関し、特に左右1対トレーリングアームに連結されたトーションビームを備えたトーションビーム式サスペンションに関する。

背景技術

0002

従来より、前端部が車体に枢支され且つ後端部に車輪を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアームと、車幅方向両端部が左右1対のトレーリングアームに夫々連結された車幅方向に延びるトーションビームとを備えたトーションビーム式サスペンションが知られている。このトーションビーム式サスペンションは、長さ方向に延びる一側半部と他側半部とを備えた断面略U字状等の開断面部材からなるトーションビームが、トーションバースプリングの機能を果たし、構造が簡単で部品点数が少なく、コスト的及びスペース的に有利であることから、FF車のリヤサスペンションとして広く実用に供されている。

0003

FR車や四輪駆動車のように後輪駆動輪とされた車両の場合、車体前部に搭載されたエンジン駆動力車幅中央部分において前後方向に延びるプロペラシャフトを介して車体後部に搭載されたデファレンシャルギヤ装置に伝達するため、トーションビームを車幅中央部分においてプロペラシャフトを回避するように上方へ迂回せざるを得ない。
一方、図10に示すように、トーションビーム式サスペンションでは、トーションビームBの中央部分後方の剪断中心Cとトレーリングアームの前端部Fとを結ぶ直線Aを理論上の揺動軸として車輪が揺動する。それ故、トーションビームBの車幅中央部分が上方に湾曲されている場合、剪断中心CもトーションビームBの湾曲に伴って上方へ変位することから、サスペンションのアライメント変化特性が変化するという問題が生じる。

0004

特許文献1のサスペンションは、トーションビームの剪断中心の上方変位を抑えるために、トーションビームの車幅中央部分に上方へ湾曲した湾曲部を設けると共にトーションビームの開断面を上向きに開口させることによって、トーションビームの剪断中心をトーションビームの下方に位置するように構成されている。
一般に、トーションビームのような長尺部材では、長さ方向の断面形状が同じであっても、長さ方向で曲がり部分が存在すると、その曲がり部分で断面崩れが発生し、剛性が低くなる性質があることから、トーションビームの車幅中央部分に上方へ湾曲した湾曲部を有する場合、この湾曲部において剛性が低下し、操縦定性の観点において不利になるという問題がある。

0005

特許文献2のサスペンションは、トーションビームが、車幅中央部分に上方へ突出した曲線形状部と、この曲線形状部の両端部に車幅中央部分に曲率半径が連続して変化する曲線部を介してスムーズに連続して繋がる直線形状部とを備えている。
曲げモーメントが大きな両端部分に直線形状部を形成し、曲げモーメントが小さな車幅中央部分に曲線形状部を形成することによって、トーションビームの剛性を向上している。

0006

車輪に大きな外力が作用したとき、これらの外力はトレーリングアームを介して、上下方向荷重ショックアブソーバ等に伝達され、捩り荷重及び横力がトーションビームに伝達される。捩り荷重及び横力は、トーションビームの全体形状の撓み及び一側半部と他側半部とによって形成された開断面の口閉じ変形によって吸収される。
そこで、トーションビームの捩り剛性横力剛性を確保するため、トーションビームを円筒状のパイプ部材で構成し、このパイプ部材を軸心直交方向から長さ方向に亙って押し潰して頂部を有する断面略V字状又はU字状に形成したクラッシュドパイプ式トーションビームも知られている。このトーションビームは、長さ方向直交断面の両端部の中空部の大きさを変えることにより、捩り剛性を変更できる。
特許文献3のトーションビームは、パイプを軸心直交方向から押し潰して頂部を有する断面略V字状又はU字状に形成されると共に軸心直交断面の両端部に夫々中空部が形成され、一側半部と他側半部とが連なる頂部から両端部に向かうに従って連続的に拡大する隙間が一側半部と他側半部とに夫々形成されている。

先行技術

0007

特開平4−283114号公報
特開平8−324218号公報
特開2005−306177号公報

発明が解決しようとする課題

0008

特許文献1のサスペンションは、トーションビームの剪断中心が上方に移行する上方変位を小さくできるため、車輪がバウンド又はリバウンドする場合、サスペンションのアライメント変化特性の変更を回避することができる。
しかし、特許文献1のサスペンションでは、トーションビームの生産性が低下する虞がある。即ち、このトーションビーム式サスペンションは、トーションビームの長さ方向に延びる一側半部と他側半部とによって形成された開断面の開口が上方向に指向しているため、車輪が跳ね上げた水等がトーションビームの開口内部に滞留する虞があり、トーションビームの頂部に腐食防止用水抜き穴を形成する必要が生じる。特許文献3のようなクラッシュドパイプ式トーションビームを採用する場合には、中空部の防錆処理等も必要になり、水抜き穴の製作が容易ではない。

0009

特許文献2のサスペンションは、トーションビームの車幅方向両端部を直線形状とすることによって補強部材溶接が可能になり、剛性や耐久性を向上することができる。
しかし、特許文献2のサスペンションでは、トーションビームの剛性向上が十分とは言い難い。即ち、車幅中央部分の曲線形状部とその両端側の直線形状部とが夫々曲線部を介して連なっているため、曲線形状部の軸心と直線形状部の軸心とが所定の角度で交差し、その結果、曲線形状部の両側の曲線部に応力が集中する応力集中部分が形成される。それ故、曲線部の剛性が、曲線部以外の部分よりも低くなる。特許文献1のサスペンションにも、同様の問題が存在する。

0010

また、フロアパネル上方の車室の上下高さ空間の拡大、及び乗員の乗降性や荷物の積み降ろし性向上の観点から、フロアパネルを低位置にした低床車両が望まれている。
しかし、特許文献1,2のサスペンションは、トーションビームが車幅中央部分において上方へ湾曲した湾曲部を有しており、車両がフルバウンド状態のとき、上方変位したトーションビームとフロアパネルとが干渉する可能性があるため、車両の低床化を十分に図れない虞がある。

0011

本発明の目的は、低床化を図りつつ、剛性と生産性とを確保できる車両のサスペンション等を提供することである。

課題を解決するための手段

0012

請求項1の車両のサスペンションは、フロアパネルの下方で車体前後方向前端部が車体に枢支され且つ後端部に車輪を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアームと、車幅方向両端部が前記左右1対のトレーリングアームに夫々連結された車幅方向に延びるトーションビームとを備えた車両のサスペンションにおいて、前記トーションビームが、車幅方向中央部がホイールセンタよりも上方に位置するように前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成され、前記トーションビームが、アーチ下半部と、このアーチ下半部の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部とを有する開断面部材で構成され、車両が標準状態のとき、前記アーチ下半部の長さ方向と直交するアーチ下半部の断面形状は略水平に形成され、車両がフルバウンド状態のとき、前記車幅方向中央部における前記アーチ下半部の前端縁前後方向位置とアーチ上半部の前端縁の前後方向位置とが略一致するように構成されたことを特徴としている。

0013

この車両のサスペンションでは、トーションビームが、車幅方向中央部がホイールセンタよりも上方に位置するように前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成されているため、トーションビームの下方空間を確保しつつ、トーションビームの長さ方向に亙って軸心の交差に起因した応力集中部分を形成しないから、剛性を向上することができる。
トーションビームが、アーチ下半部と、このアーチ下半部の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部とを有する開断面部材で構成され、車両が標準状態のとき、アーチ下半部の長さ方向と直交するアーチ下半部の断面形状は略水平に形成され、車両がフルバウンド状態のとき、車幅方向中央部におけるアーチ下半部の前端縁の前後方向位置とアーチ上半部の前端縁の前後方向位置とが略一致するように構成されたため、アーチ上半部とアーチ下半部とによって形成された開断面の捩り荷重吸収に伴う口閉じ変形を利用してフロアパネルをフルバウンド時の開断面の口閉じ変形量だけ下方へ移行させることができる。
また、アーチ下半部が、標準状態のとき、断面形状が略水平状に形成され、フルバウンド状態のとき、断面形状が前方下り傾斜状に形成されるため、トーションビームの開口内部に水等が滞留することを防止でき、水抜き穴の形成を省略して、トーションビームの生産性を向上することができる。

0014

請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記車両が、車体後部に配設された後輪駆動装置と、この後輪駆動装置に連結部を介して連結された車体前後方向に延びるプロペラシャフトとを備え、前記プロペラシャフトが、前記トーションビームの下方空間を通るように配置されたことを特徴としている。
これにより、プロペラシャフトとトーションビームとの干渉を回避でき、後輪が駆動輪とされた車両に適用することができる。

0015

請求項3の発明は、請求項2の発明において、車両がフルリバウンド状態のとき、前記トーションビームの後端部が前記連結部の上方近傍に位置するように構成したことを特徴としている。
これにより、フルリバウンド状態におけるトーションビームと連結部を含む後輪駆動装置との干渉を回避することができる。

0016

請求項4の発明は、請求項1〜3の何れか1項の発明において、車両がフルバウンド状態のとき、前記アーチ上半部の車幅方向中央部がフロアパネルに形成されたシートクッション載置部の下方近傍に位置するように構成したことを特徴としている。
これにより、トーションビーム近傍において、フロアパネルのうち最低部となるシートクッション載置部とトーションビームとの干渉を回避することができる。

発明の効果

0017

本発明の車両のサスペンションによれば、低床化を図りつつ、剛性と生産性とを確保することができる。

図面の簡単な説明

0018

本実施形態に係るサスペンションを備えた車両の後部底面図である。
標準状態における図1のII−II線断面図である。
排気装置、後輪駆動装置及びサスペンションを省略した図1相当図である。
後輪駆動装置を下から視た図である。
サスペンションの正面図である。
サスペンションの平面図である。
サスペンションの側面図である。
サスペンションの後方斜視図である。
トーションビームの断面形状を示す図であって、実線がフルバウンド状態で開断面が変形したとき、仮想線がフルバウンド状態で開断面が変形しないとき、破線がフルリバウンド状態のときを示している。
前方に開口した開断面を備えたトーションビームの剪断中心とトレーリングアームの枢支点と車輪の揺動軸との関係を示す縦断面図である。

実施例

0019

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
以下の説明は、本発明を本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物あるいはその用途を制限するものではない。

0020

図1に示すように、本実施形態に係る車両Vのサスペンション1には、フロアパネル2の下方で前端部が車体に枢支され且つ後端部に車輪18を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアーム3と、車幅方向両端部が左右1対のトレーリングアーム3に夫々連結された車幅方向に延びるトーションビーム4等が備えられている。尚、図中、矢印Fは前方を示し、矢印Lは左方を示している。

0021

まず、この車両Vのサスペンション1が支持される車体後部について簡単に説明する。
図1図3に示すように、車両Vの車体は、車室の床面を構成するフロアパネル2と、左右1対のリヤサイドフレーム5と、リヤシートクッション載置部2bの後側にて1対のリヤサイドフレーム5間に亙って掛け渡されたNo.4クロスメンバ6と、このNo.4クロスメンバ6の後側にて1対のリヤサイドフレーム5間に亙って掛け渡されたNo.5クロスメンバ7と、No.4クロスメンバ6とNo.5クロスメンバ7間に亙って掛け渡された左右1対の縦メンバ8と、これら左右1対の縦メンバ8間に亙って掛け渡された補助メンバ9と、この補助メンバ9の前側において左右1対の縦メンバ8間に亙って掛け渡された支持部材10等を備えている。

0022

フロアパネル2は、車室のうち荷室以外の床面を形成するフロントフロアパネル(図示略)と、No.4クロスメンバ6よりも後方でスペアタイヤパン2cを有するリヤフロアパネル2aとを備えている。スペアタイヤパン2cの最低部位は、リヤシートクッション載置部2bの最低部位と略同じ高さ位置(深さ)になるように設定されている。
スペアタイヤパン2cの下方には、排気管17の後端に接続されたサイレンサ16が固定されている。

0023

左右1対のリヤサイドフレーム5は、前後方向に延び、後方に向かってオーバーハングするように連続形成されている。左右1対のリヤサイドフレーム5の間には、フロントフロアパネルの後端から後方上がり傾斜状に形成されたリヤフロアパネル2aによってキックアップ部11が形成され、このキックアップ部11の頂部にNo.4クロスメンバ6が形成されている。
尚、キックアップ部11の下方には、燃料タンク15が配設されている。

0024

図2図3に示すように、No.4クロスメンバ6は、断面略ハット状の上側クロスメンバ部材6aと、断面略逆ハット状の下側クロスメンバ部材6bを備えている。上側クロスメンバ部材6aはリヤフロアパネル2aの上面と協働して上側閉断面部を構成し、下側クロスメンバ部材6bはリヤフロアパネル2aの下面と協働して下側閉断面部を構成している。No.5クロスメンバ7は、断面略ハット状に形成され、スペアタイヤパン2cを含むリヤフロアパネル2aの下面と協働して平面視にて車幅方向に略直線状に延びる閉断面部を構成している。

0025

左右1対の縦メンバ8は、断面略ハット状に形成され、左右1対のリヤサイドフレーム5の車幅方向内側においてスペアタイヤパン2cを含むリヤフロアパネル2aの下面と協働して平面視にて前後方向に略直線状に延びる閉断面部を夫々構成している。
補助メンバ9は、断面略ハット状に形成され、No.5クロスメンバ7の前側位置においてスペアタイヤパン2cの下面と協働して車幅方向にNo.5クロスメンバ7と略平行状に延びる閉断面部を構成している。
支持部材10は、閉断面部材によって構成され、No.4クロスメンバ6の後側近傍位置において左右両端が2本のボルト12を介して左右1対の縦メンバ8の前端側部分に夫々固定されている.

0026

次に、車両Vの駆動系の構成について説明する。
図1図2図4に示すように、この車両Vには、前後方向に延びて車両前部に搭載したエンジン(図示略)の駆動力を車体後部に伝達可能なプロペラシャフト13と、このプロペラシャフト13の後端部と連結部14を介して連結されると共にエンジンの駆動力を左右後側の車輪18に伝達する後輪駆動装置20が備えられている。
後輪駆動装置20は、左右1対のドライブシャフト24を備え且つ差動機構からなる本体21と、この本体21の前部を支持部材10に対して支持する左右1対の前側支持部22と、本体21の後部を補助メンバ9に対して支持する後側支持部23とを備え、前後3点で車体後部に支持されている。

0027

前側支持部22は、本体21から車幅方向外側へ延びるフロントマウント部22aと、このフロントマウント部22aの先端部に設けられた振動吸収機能を有するフロントデフマウント22bとを備え、このフロントデフマウント22bが取付ブラケト22cを介して支持部材10に固定される。取付ブラケト22cは、2本のボルト部材(図示略)を介して支持部材10に締結されている。

0028

後側支持部23は、本体21から後方へ延びるリヤマウント部23aと、このリヤマウント部23aに設けられた振動吸収機能を有するリヤデフマウント23bとを備え、このリヤデフマウント23bが取付ブラケト23cを介して補助メンバ9に固定される。取付ブラケト23cは、左右両端側部分が左右1対のボルト15を介して補助メンバ9に夫々締結されている。

0029

リヤマウント部23aは、補助メンバ9の車幅方向中心部よりも左方にオフセットした位置に設けられ、連結部14(プロペラシャフト13の軸心)よりも上方になるように高さ位置が設定されている。
これにより、車体前方から衝撃荷重が作用したとき、プロペラシャフト13を介して本体21に入力した荷重によってフロントマウント部22aが破断し、本体21がリヤデフマウント23bを中心に前側下方回動するため、所望の衝撃吸収挙動を得ることができる。

0030

次に、この車両Vのサスペンション1の詳細構造について説明する。
図1図5図8に示すように、このサスペンション1は、後端部に車輪18を回転可能に支持する左右1対のトレーリングアーム3と、車幅方向両端部が左右1対のトレーリングアーム4に夫々連結された車幅方向に延びるトーションビーム4を備えたトーションビーム式サスペンションである。

0031

左右1対のトレーリングアーム3は、後側程車幅方向の間隔が離隔するように平面視にて略ハ字状に配設され、前端部が車幅方向に延びる枢軸ゴムブッシュとからなるジョイント31を介して左右1対のリヤサイドフレーム5の下部に夫々枢支されている。
トレーリングアーム3の後端部には、キャリア32が設けられ、このキャリア32がドライブシャフト24により回転駆動される車輪18を回転自在に支持している。
キャリア32の近傍位置には、車体側とトレーリングアーム3の後端部とを衝撃吸収可能に連結するショックアブソーバ34設けられている。

0032

トレーリングアーム3の途中部から後端部に亙って車幅方向内側部分にはトーションビーム4の左右端側部分とトレーリングアーム3の途中部とに溶接されたガセット33が夫々設けられている。これらガセット33と車体との間には、ショックアブソーバ34と協働して車両Vの振動吸収機構を構成する圧縮コイルスプリング35が弾装され、ガセット33によって圧縮コイルスプリング35の下端部が支持されている。

0033

図2図5図8に示すように、トーションビーム4は、車幅方向に延びると共に、左右両端部が左右1対のトレーリングアーム3の途中部に溶接によって夫々接合され、左右両端側後部が左右1対のガセット33の前壁部に溶接によって夫々接合されている。
このトーションビーム4は、車幅方向中央部がホイールセンタ18aよりも上方に位置するように前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ(円弧)形状に形成されている。
これにより、プロペラシャフト13がトーションビーム4の車幅中央部の下方空間を横切るように配置されるから、プロペラシャフト13とトーションビーム4との干渉を回避できる。

0034

トーションビーム4は、円筒状のパイプ部材を軸心直交方向から長さ方向に亙って押し潰すことによって、アーチ下半部41と、このアーチ下半部41の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部42とを有する断面略V字状の開断面部材で構成されている。このトーションビーム4は、アーチ下半部41の軸心直交方向の幅とアーチ上半部42の軸心直交方向の幅とが略同じ寸法の幅に設定されている。
これにより、車輪18は、トーションビーム4の頂部4aの車幅中央部後方の剪断中心Cとトレーリングアーム3のジョイント31(トーションビームピボット)とを結ぶ直線Aを揺動軸として揺動している。そして、一方の車輪18に外力が作用して他方の車輪18が逆位相に変位したとき、これらの外力をトーションビーム4の全体形状の撓み及びアーチ下半部41とアーチ上半部42とによって形成された開断面の口閉じ変形によって吸収している。

0035

図2に示すように、トーションビーム4は、車両Vが標準状態のとき、アーチ下半部41の車幅方向中央部において長さ方向と直交するアーチ下半部41の断面形状が略水平姿勢になるように形成されている。ここで、車両Vの標準状態とは、フルバウンド状態及びフルリバウンド状態に対して走行或いは停車中における基準状態を意味するものであり、空車状態と設定しても良く、また、設計段階で想定するデザイン状態(例えば、燃料が満タン状態において大人2人が乗車)と設定しても良い。

0036

図9の実線に示すように、トーションビーム4は、車両Vがフルバウンド状態のとき、車幅中央部におけるアーチ下半部41の前端縁41aの前後方向位置とアーチ上半部42の前端縁42aの前後方向位置とが略一致すると共に前端縁41aの高さ位置と前端縁42aの高さ位置との中間位置にトーションビーム4の頂部4aの高さ位置が設定されている。アーチ上半部41の車幅中央部は、リヤフロアパネル2aに形成されたリヤシートクッション載置部2bの下方近傍に位置するように配設されている。

0037

トーションビーム4は、フルバウンド時の捩り荷重を吸収する際、アーチ下半部41とアーチ上半部42とによって形成された開断面を閉じるように口閉じ変形するため、この口閉じ変形量相当分リヤシートクッション載置部2bを下方へ移行させている。
即ち、口閉じ変形を考慮しない場合には、計算上、図9の仮想線で示すように、アーチ上半部42の前端縁42aとリヤシートクッション載置部2bとがフルバウンド時に干渉するものと予想されるものの、実際の捩り荷重吸収に伴う口閉じ変形を利用してリヤフロアパネル2aを下方位置に配設することができる。

0038

図9の破線に示すように、トーションビーム4は、車両Vがフルリバウンド状態のとき、トーションビーム4の開断面が前側上方に向き、トーションビーム4の頂部4aがプロペラシャフト13の後端部と後輪駆動装置20の前端部とを連結する連結部14の上方近傍のデットスペースに位置するように構成されている。

0039

次に、上記車両Vのサスペンション1の作用・効果について説明する。
この車両のサスペンションでは、トーションビーム4が、車幅中央部がホイールセンタ18aよりも上方に位置するように前方且つ上方へ傾斜状に突出したアーチ形状に形成されているため、トーションビーム4の下方空間を確保しつつ、トーションビーム4の長さ方向に亙って軸心の交差に起因した応力集中部分を形成しないから、剛性を向上することができる。しかも、剪断中心Cとトレーリングアーム3のジョイント31との高さ位置の相違を抑えることができ、アライメント変化特性の変更を回避することができる。
トーションビーム4が、アーチ下半部41と、このアーチ下半部41の後端部に後端部が一体形成されたアーチ上半部42とを有する開断面部材で構成され、車両Vが標準状態のとき、アーチ下半部41の長さ方向と直交するアーチ下半部41の断面形状は略水平に形成され、車両Vがフルバウンド状態のとき、車幅中央部におけるアーチ下半部41の前端縁41aの前後方向位置とアーチ上半部42の前端縁42aの前後方向位置とが略一致するように構成されたため、アーチ上半部42とアーチ下半部41とによって形成された開断面の捩り荷重吸収に伴う口閉じ変形を利用してフロアパネル2をフルバウンド時の開断面の口閉じ変形量だけ下方へ移行させることができる。
また、アーチ下半部41が、標準状態のとき、断面形状が略水平状に形成され、フルバウンド状態のとき、断面形状が前方下り傾斜状に形成されるため、トーションビーム4の開口内部に水等が滞留することを防止でき、水抜き穴の形成を省略して、トーションビーム4の生産性を向上することができる。

0040

車両Vが、車体後部に配設された後輪駆動装置20と、この後輪駆動装置20に連結部14を介して連結された車体前後方向に延びるプロペラシャフト13とを備え、プロペラシャフト13が、トーションビーム4の下方空間を通るように配置されたため、プロペラシャフト13とトーションビーム4との干渉を回避でき、後側の車輪18が駆動輪とされた車両Vに適用することができる。

0041

車両Vがフルリバウンド状態のとき、トーションビーム4の後端部が連結部14の上方近傍に位置するように構成したため、フルリバウンド状態におけるトーションビーム4と連結部14を含む後輪駆動装置20との干渉を回避することができる。

0042

車両Vがフルバウンド状態のとき、アーチ上半部42の車幅中央部がリヤフロアパネル2aに形成されたリヤシートクッション載置部2bの下方近傍に位置するように構成したため、トーションビーム4近傍において、リヤフロアパネル2aのうち最低部となるリヤシートクッション載置部2bとトーションビーム4との干渉を回避することができる。

0043

次に、前記実施形態を部分的に変更した変形例について説明する。
1〕前記実施形態においては、プロペラシャフトを備えた後輪駆動車両の例を説明したが、少なくともトーションビームの車幅方向中央部分が上方に突出した車両であれば良く、プロペラシャフトを備えていない車両に適用しても、本発明と同様の効果を奏することができる。。

0044

2〕前記実施形態においては、車両がフルバウンド状態のとき、トーションビームの一部がリヤシートクッション載置部の下方近傍に位置する例を説明したが、仕様に応じてトーションビームの移動範囲内における車体側部材の最低部との干渉を回避できれば良く、トーションビームの移動範囲内における車体側部材の最低部がクロスメンバの場合、クロスメンバとの干渉を避けるようにトーションビームを設定することが好ましい。

0045

3〕前記実施形態においては、トーションビームの長さ方向直交断面が略V字状の例を説明したが、少なくとも上半部と下半部とを備えれば良く、U字状、C字状、コ字状等任意の断面形状のトーションビームに適用可能である。また、クラッシュドパイプを用いた例を説明したが、板材成形したトーションビームであっても同様の効果を奏することができる。

0046

4〕前記実施形態においては、アーチ下半部の軸心直交方向の幅とアーチ上半部の軸心直交方向の幅とが略同じ寸法の幅に設定された例を説明したが、少なくとも車両がフルバウンド状態のとき、アーチ上半部の車幅方向中央部が最も高い高さ位置で且つトーションビームの開断面が前方に向くトーションビームであればアーチ下半部の軸心直交方向の幅とアーチ上半部の軸心直交方向の幅とが異なるものであっても同様の効果を奏することができる。

0047

5〕その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施形態に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態包含するものである。

0048

V 車両
1サスペンション
2aリヤフロアパネル
2bリヤシートクッション載置部
3トレーリングアーム
4トーションビーム
4a 頂部
13プロペラシャフト
14 連結部
18車輪
18aホイールセンタ
20後輪駆動装置
41アーチ下半部
42 アーチ上半部

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