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技術 非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物

出願人 不二製油株式会社
発明者 藤田朋子本池英樹
出願日 2014年3月14日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2014-051326
公開日 2015年10月5日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-173614
状態 特許登録済
技術分野 菓子 ベイカリー製品及びその製造方法 食用油脂
主要キーワード 汗かき 完全融解 製品レベル トランス脂肪酸含有量 ロール掛け バウムクーヘン ソフト化 原料調合
関連する未来課題
重要な関連分野

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課題

被覆チョコレート用途に求められる乾き時間、つや被覆物からのはがれにくさ、及び発汗耐性を有し、さらに従来の被覆チョコレート用油脂組成物では得られていない、新規でソフトな食感複合食品が得られる非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物を提供すること。

解決手段

特定の脂肪酸組成を有する上昇融点が35℃以上のエステル交換油脂を含有し、特定のトリグリセリド組成を有する非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物。

概要

背景

油脂組成物および糖類を含むチョコレートは、様々な食品と組み合わされ、いろいろな用途で利用され、市場流通している。用途のひとつとして、ケーキ、シュー、エクレア等の洋菓子焼き菓子和菓子パンドーナツ等のベーカリー製品冷菓アイスクリーム等の表面に被覆する用途が例示できる。

一般的に被覆用途に用いられるチョコレートは、使用時の簡便性からテンパリングが不要であるものが好まれる場合が多い。さらに被覆後の搬送や包装の工程に速やかに移す為に室温で短時間に固化することが要求される。また、固化した後は視覚的に購買喫食意欲を高めるために良好なつやを有し、充分なブルーム耐性を有することが要求される。加えて当然のことながら食した場合には被覆物からはがれにくく、良好な口溶け風味発現を有するものが好まれている。

被覆チョコレート用油脂組成物に用いられる油脂として、ラウリン系のヤシ油パーム核油大豆油菜種油コーン油パーム油等の硬化油を主成分とし、適宜他の油脂原料と配合したものが使用され、季節使用環境に応じて多種多様な油脂組成物が生産されている。前記主成分となるラウリン系油脂や、硬化油を用いたチョコレートについて、これまで種々検討がなされている。その結果として、ラウリン酸型および高トランス脂肪酸含有油脂が開発、上市されている。しかし、ラウリン酸型油脂は、保存時に加水分解によるソーピーフレーバーが発生する可能性があること、トランス脂肪酸含有油脂は、近年の栄養学的見地からトランス酸の健康に与えるリスクが問題とされていることから、それらを代替する非テンパリング、非トランス酸型および非ラウリン酸型製菓用油脂要望されている。

トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を用いない被覆チョコレート用油脂組成物に関して、エステル交換を行った後、分別して得られる油脂組成物(特許文献1〜4)が開示されている。特許文献1、2では、ブルーム耐性を有し良好な光沢を有するもの、特許文献3では、作業温度で速やかに乾くとともに、時間が経ってもひび割れや、発汗がおこりにくいもの、特許文献4では、加工適性に優れ、コーティングした製品外観を良好にできる油脂組成物が記載されている。

概要

被覆チョコレート用途に求められる乾き時間、つや、被覆物からのはがれにくさ、及び発汗耐性を有し、さらに従来の被覆チョコレート用油脂組成物では得られていない、新規でソフトな食感複合食品が得られる非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物を提供すること。特定の脂肪酸組成を有する上昇融点が35℃以上のエステル交換油脂を含有し、特定のトリグリセリド組成を有する非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物。なし

目的

その為、被覆チョコレートの機能を有し、かつ食感をソフトにすることは、従来技術のみでは解決することができない困難な課題である

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
1件

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請求項1

下記(A)〜(E)を全て満たす上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂を含有し、下記(a)〜(d)を全て満たす被覆チョコレート用油脂組成物。(A)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜12の飽和脂肪酸含有量が3重量%以下(B)構成脂肪酸組成中、炭素数14〜20の飽和脂肪酸の含有量が40〜80重量%(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸の含有量が20〜60重量%(D)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の合計量100重量部に対して、炭素数16の飽和脂肪酸と炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が90重量部以上(E)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下(a)SSSが4〜15重量%(b)S2Uが50重量%以下(c)SU2+UUUが30〜80重量%(d)SSS100重量部に対して、PPP+P2Stを70重量部以上含むただし、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリドS2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリドSU2:Sが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリドUUU:Uが3分子結合しているトリグリセリドP:パルミチン酸St:ステアリン酸PPP:Pが3分子結合しているトリグリセリドP2St:Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド

請求項2

HLB値が3〜16である乳化剤を0.1〜3質量%含有する、請求項1に記載の被覆チョコレート用油脂組成物。

請求項3

前記上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂が1種又は2種以上の油脂であり、且つ前記上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂の含有量が60重量%以上である、請求項1又は請求項2に記載の被覆チョコレート用油脂組成物。

請求項4

前記(a)のSSSが6〜15重量%、前記(b)のS2U が10〜45重量%、及び前記(c)のSU2+UUUが40〜70重量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の被覆チョコレート用油脂組成物。

請求項5

構成脂肪酸組成中のトランス脂肪酸含有量が3重量%以下、及び炭素数8〜12の飽和脂肪酸の含有量が3重量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の被覆チョコレート用油脂組成物。

請求項6

前記HLB値が3〜16である乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステル及びポリソルベートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、請求項2に記載の被覆チョコレート用油脂組成物。

請求項7

請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の被覆チョコレート用油脂組成物を使用してなる被覆チョコレート

請求項8

請求項7に記載のチョコレート被覆してなる複合食品

請求項9

食品が、菓子又はベーカリー製品である請求項8に記載の複合食品。

請求項10

請求項7に記載の被覆チョコレートを用いた被覆チョコレートと複合食品の結着性を向上する方法。

技術分野

0001

本発明は、非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物に関する。より詳しくは、被覆チョコレート用途に求められる機能を有し、かつ口どけ良好でソフトな食感が得られる被覆チョコレート用油脂組成物および当該油脂組成物を使用してなるチョコレートならびに当該チョコレートが被覆された複合食品に関する。

背景技術

0002

油脂組成物および糖類を含むチョコレートは、様々な食品と組み合わされ、いろいろな用途で利用され、市場流通している。用途のひとつとして、ケーキ、シュー、エクレア等の洋菓子焼き菓子和菓子パンドーナツ等のベーカリー製品冷菓アイスクリーム等の表面に被覆する用途が例示できる。

0003

一般的に被覆用途に用いられるチョコレートは、使用時の簡便性からテンパリングが不要であるものが好まれる場合が多い。さらに被覆後の搬送や包装の工程に速やかに移す為に室温で短時間に固化することが要求される。また、固化した後は視覚的に購買喫食意欲を高めるために良好なつやを有し、充分なブルーム耐性を有することが要求される。加えて当然のことながら食した場合には被覆物からはがれにくく、良好な口溶け風味発現を有するものが好まれている。

0004

被覆チョコレート用油脂組成物に用いられる油脂として、ラウリン系のヤシ油パーム核油大豆油菜種油コーン油パーム油等の硬化油を主成分とし、適宜他の油脂原料と配合したものが使用され、季節使用環境に応じて多種多様な油脂組成物が生産されている。前記主成分となるラウリン系油脂や、硬化油を用いたチョコレートについて、これまで種々検討がなされている。その結果として、ラウリン酸型および高トランス脂肪酸含有油脂が開発、上市されている。しかし、ラウリン酸型油脂は、保存時に加水分解によるソーピーフレーバーが発生する可能性があること、トランス脂肪酸含有油脂は、近年の栄養学的見地からトランス酸の健康に与えるリスクが問題とされていることから、それらを代替する非テンパリング、非トランス酸型および非ラウリン酸型製菓用油脂要望されている。

0005

トランス酸含有量が低く、ラウリン系油脂を用いない被覆チョコレート用油脂組成物に関して、エステル交換を行った後、分別して得られる油脂組成物(特許文献1〜4)が開示されている。特許文献1、2では、ブルーム耐性を有し良好な光沢を有するもの、特許文献3では、作業温度で速やかに乾くとともに、時間が経ってもひび割れや、発汗がおこりにくいもの、特許文献4では、加工適性に優れ、コーティングした製品外観を良好にできる油脂組成物が記載されている。

先行技術

0006

特表2005−507028号公報
特表2010−532802号公報
特開2007−319043号公報
国際公開WO2011/138918号パンフレット

発明が解決しようとする課題

0007

従来の非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物を使用した被覆チョコレートは、食感が硬かったり、被覆物から剥がれやすかったりして、被覆チョコレートに求められる機能全てを満たす被覆チョコレートは得られていない。

0008

被覆物は、洋菓子、焼き菓子、和菓子、パン、ドーナツ等のベーカリー製品等ソフトな食感の被覆物が多く、ソフトな食感の被覆チョコレートが得られれば、被覆チョコレートと被覆された複合食品との食感が一体となった、新規で良好な食感の複合食品が創出できると考えられる。

0009

被覆チョコレートの食感のソフト化の方法として、室温で液状の油脂を配合することが想定される。室温で液状の油脂を配合すると、細かい粒状の油脂が表面に現れる「汗かき現象」の発生、コーティングされた製品の耐熱性が低下、および/または乾き時間の悪化を引き起こす。かかる現象によりブルーム耐性が悪化し、流通〜消費されるまでの保管期間においてブルームの発生も懸念される。その為、被覆チョコレートの機能を有し、かつ食感をソフトにすることは、従来技術のみでは解決することができない困難な課題である。

0010

本発明の目的は、非ラウリン、非トランスの被覆チョコレート用油脂組成物において、平易な方法で、被覆用途に求められる機能である乾き時間、つや、被覆物からのはがれにくさ、および発汗耐性を有し、さらに従来の被覆チョコレート用油脂組成物では得られていない新規でソフトな食感の複合食品が得られる、非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0011

本発明者は上記課題を解決すべく種々検討を行った。特定の脂肪酸組成を有する上昇融点が35℃以上のエステル交換油脂を含有し、特定のトリグリセリド組成を有する油脂組成物とすることで、本発明を完成するに至った。

0012

すなわち、本発明は、
(1) 下記(A)〜(E)を全て満たす上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂を含有し、下記(a)〜(d)を全て満たす被覆チョコレート用油脂組成物、
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜12の飽和脂肪酸含有量が3重量%以下
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数14〜20の飽和脂肪酸の含有量が40〜80重量%
(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸の含有量が20〜60重量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の合計量100重量部に対して、炭素数16の飽和脂肪酸と炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が90重量部以上
(E)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下
(a)SSSが4〜15重量%
(b)S2Uが50重量%以下
(c)SU2+UUUが30〜80重量%
(d)SSS100重量部に対して、PPP+P2Stを70重量部以上含む
ただし、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸 U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド
S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
SU2:Sが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド
P:パルミチン酸St:ステアリン酸
PPP:Pが3分子結合しているトリグリセリド
P2St:Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド
(2)HLB値が3〜16である乳化剤を0.1〜3質量%含有する、(1)の被覆チョコレート用油脂組成物、
(3) 前記上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂が1種または2種以上の油脂であり、且つ前記上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂の含有量が60重量%以上である、(1)または(2)の被覆チョコレート用油脂組成物、
(4) 前記(a)のSSSが6〜15重量%、前記(b)のS2U が10〜45重量%、および前記(c)のSU2+UUUが40〜70重量%である、(1)〜(3)のいずれかの被覆チョコレート用油脂組成物、
(5) 構成脂肪酸組成中のトランス脂肪酸含有量が3重量%以下、および炭素数8〜12の飽和脂肪酸の含有量が3重量%以下である(1)〜(4)のいずれかの被覆チョコレート用油脂組成物、
(6) 前記HLB値が3〜16である乳化剤が、ショ糖脂肪酸エステルソルビタン脂肪酸エステルおよびポリソルベートからなる群より選ばれた少なくとも1種以上である、(2)の被覆チョコレート用油脂組成物、
(7) (1)〜(6)のいずれかの被覆チョコレート用油脂組成物を使用してなる被覆チョコレート、
(8) (7)のチョコレートを被覆してなる複合食品、
(9)食品が、菓子またはベーカリー製品である(8)の複合食品、
(10) (7)の被覆チョコレートを用いた被覆チョコレートと複合食品の結着性を向上する方法、である。

発明の効果

0013

特定の脂肪酸組成を有する上昇融点が35℃以上のエステル交換油脂を含有し、特定のトリグリセリド組成を有する油脂組成物に調整することで、被覆用途に求められる機能を有し、かつ新規でソフトな食感の複合食品が得られる非ラウリン、非トランス被覆チョコレート用油脂組成物を提供することが可能である。なお、本発明の被覆チョコレート用油脂組成物を使用した被覆チョコレートは、菓子又はベーカリー製品等に被覆して得られた複合食品において、被覆物との結着性が向上し、従来にない被覆物からのはがれにくさを実現し、かつ新規でソフトな食感を得ることができる。

0014

以下、本発明をより詳細に説明する。本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、下記(A)〜(E)を全て満たす上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂を含有する。なお本明細書における上昇融点は、日本油化学協会基準油脂分析試験法に規定の方法に準じて測定したものである。
(A)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜12の飽和脂肪酸の含有量が3重量%以下
(B)構成脂肪酸組成中、炭素数14〜20の飽和脂肪酸の含有量が40〜80重量%
(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸の含有量が20〜60重量%
(D)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の合計量100重量部に対して、炭素数16の飽和脂肪酸と炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が90重量部以上
(E)構成脂肪酸組成中、トランス脂肪酸含有量が3重量%以下

0015

上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は、好ましくは、前記(B)構成脂肪酸組成中、炭素数14〜20の飽和脂肪酸の含有量が45〜75重量%、より好ましくは45〜70重量%である。

0016

上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は、好ましくは、前記(C)構成脂肪酸組成中、炭素数16〜20の不飽和脂肪酸の含有量が25〜55重量%、より好ましくは30〜55重量%である。

0017

また上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は、好ましくは、前記(D)構成脂肪酸組成中、炭素数8〜22の飽和脂肪酸の合計量100重量部に対して、炭素数16の飽和脂肪酸と炭素数18の飽和脂肪酸の含有量が92重量部以上である。

0018

上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は、1種又は2種以上の油脂であることが好ましい。すなわち、上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は単独でなくても良く、2種以上のランダムエステル交換油脂を配合して使用しても良い。また被覆チョコレート用油脂組成物中の、上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂の含有量は、好ましくは60重量%以上、より好ましくは70重量%以上、さらに好ましくは80重量%以上、最も好ましくは被覆チョコレート用油脂組成物として上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂のみを使用するのが好ましい。

0019

上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂は、パーム系油脂を主成分とすることが好ましい。より好ましくはパーム系油脂を50重量%以上、さらに好ましくは70重量%以上、最も好ましくは80重量%以上含有することが好ましい。またパーム系油脂とは、パーム油、パーム油を原料油脂とした、硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油等の加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。

0020

エステル交換方法としては、トリグリセリドの1位と3位に結合する脂肪酸のみを酵素リパーゼ)を用いて特異的に交換する方法(1,3位特異的エステル交換法)と、酵素もしくは金属触媒(例えばナトリウムメチラート)を用いて結合位置に関係なく不特定に交換する方法(ランダムエステル交換)に分けられる。本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、後者のランダムエステル交換により得られる。

0021

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、前記上昇融点が35℃以上のランダムエステル交換油脂を含有し、下記(a)〜(d)を全て満たす被覆チョコレート用油脂組成物である。
(a)SSSが4〜15重量%
(b)S2Uが50重量%以下
(c)SU2+UUUが30〜80重量%
(d)SSS100重量部に対して、PPP+P2Stを70重量部以上含む
ただし、S:炭素数16以上の飽和脂肪酸U:炭素数16以上の不飽和脂肪酸
SSS:Sが3分子結合しているトリグリセリド
S2U:Sが2分子、Uが1分子結合しているトリグリセリド
SU2:Sが1分子、Uが2分子結合しているトリグリセリド
UUU:Uが3分子結合しているトリグリセリド
P:パルミチン酸St:ステアリン酸
PPP:Pが3分子結合しているトリグリセリド
P2St:Pが2分子、Stが1分子結合しているトリグリセリド

0022

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物のSSSが4重量%未満では、主に耐熱性の低下を引き起こし、15重量%を超えると、口どけやはがれが悪化する。S2Uが50重量%を超えると、ソフトな食感が得られなくなる。SU2+UUUが30重量%未満では、被覆後の表面のが悪化すると共にひび割れやはがれやすくなり、80重量%を超えると、「汗かき現象」が発生し、耐熱性が悪化、さらに乾き時間が遅くなる。

0023

また、SSS100重量部に対して、PPP+P2Stを70重量部未満、即ちPPP+P2St含有量が減少し、StStStや、さらに高融点のトリグリセリドが増加すると、口どけやコーティング適性(発汗・はがれ)の悪化を引き起こす。またP(パルミチン酸)よりも鎖長の短い中短鎖の脂肪酸を含むトリグリセリドが増加すると、固化速度遅延し、耐熱性の悪化を引き起こす。

0024

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、好ましくは前記(b)のS2U が10〜45重量%、及び前記(c)のSU2+UUUが40〜70重量%である。より好ましくは前記(c)のSU2+UUUが40〜60重量%、さらに好ましくは40〜50重量%である。

0025

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、好ましくは前記(a)のSSSが6〜15重量%、より好ましくは7〜15重量%、さらに好ましくは9〜15重量%である。

0026

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物は、前記(A)〜(E)を全て満たす上昇融点が35℃以上のエステル交換油脂を主成分とするが、前記(a)〜(d)を全て満たす限りにおいて、他の油脂を配合しても本発明の効果が得られる。使用できる油脂としては、大豆油、ひまわり種子油綿実油落花生油米糠油、コーン油、サフラワー油オリーブ油カポック油ゴマ油月見草油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、中鎖トリグリセリド(MCT)等の植物性油脂、および乳脂牛脂豚脂等の動物性油脂、ならびに、それらの硬化油、分別油、硬化分別油、分別硬化油、エステル交換等を施した加工油脂、さらにこれらの混合油脂等が例示できる。

0027

上記で得られた被覆チョコレート用油脂組成物を被覆チョコレートに使用するのであるが、本発明において、被覆チョコレートとは、油脂が連続相をなす油脂加工食品であり、菓子、ベーカリー製品等の表面をコーティングあるいはカバリングするための被覆チョコレート類が例示できる。

0028

また、ここで言うチョコレート類とは、全国チョコレート業公正取引協議会、チョコレート利用食品公正取引協議会で規定されるチョコレート、準チョコレート、およびチョコレート利用食品に限定されるものではなく、油脂類を必須成分とし、カカオマスココアカカオバターカカオバター代用脂ハードバター等を利用した油脂加工食品をも包含するものである。

0029

本発明における被覆チョコレート類を被覆してなる複合食品は、菓子、ベーカリー製品であれば、特に限定されるものではない、菓子としては、まんじゅう、蒸しようかんカステラ、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつばワッフルまんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとうスポンジケーキロールケーキエンゼルケーキ、パウンドケーキバウムクーヘンフルーツケーキマドレーヌシュークリーム、エクレア、ミルフィユ、アップパイタルト、ビスケットクッキークラッカー、蒸しパン、プレッツェルウエハーススナック菓子ピザパイクレープスフレー、ベニェなどや、バナナりんごイチゴなどの果物にチョコレートを被覆した菓子が例示できる。ベーカリー製品としては、食パンコッペパンフルーツブレッド、コーンブレッド、バターロールハンバーガーバンズ、ドーナツ、フランスパンロールパン菓子パンスイートドウ乾パンマフィンベーグルクロワッサンデニッシュペーストリーナンなどが例示できる。アイス冷菓用にも使用できるが、好ましくは常温で使用されるほうが本発明の効果が得られる。

0030

本発明の被覆チョコレートの製造法としては、一般的なチョコレート類を製造する要領で行うことができる。具体的には、上記被覆チョコレート用油脂組成物を必須とし、糖類、カカオマス、ココアパウダー粉乳等の各種粉末食品、乳化剤、香料色素等の原料を適宜選択して混合し、ロール掛け及びコンチング処理を行い、得ることができる。

0031

本発明の被覆チョコレート用油脂組成物の使用量はチョコレート全体に対して、10〜65重量%、好ましくは10〜50重量%であり、さらに好ましくは15〜45重量%である。油脂組成物が10重量%未満の場合、被覆用途に適した固化速度及び固化後のつや、食した際の被覆物からのはがれ落ちにくさといった特性が得られない場合がある。65重量%を超えると、前述の特性は得られるものの被覆チョコレートとして良好な風味が得られない場合があり、また油性感が強くなり好ましくない。

0032

本発明において、好ましくはHLB値が3〜16の乳化剤を0.1〜3重量%含有することが食感の点で好ましい。乳化剤の添加量は、より好ましくは0.3〜1重量%である。添加量が多すぎると被覆チョコレートとしての物性を損なう。好ましい乳化剤として、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリソルベート、が例示できる。これらは2種以上を組み合わせて使用してもよい。HLB値の異なる乳化剤を組み合わせたり、ソルビタン脂肪酸エステルとショ糖脂肪酸エステルを組み合わせたりする場合においても、重量比から求めたHLB値が3〜16であれば、使用することができる。被覆用途に適した柔らかい食感が得られる点で、ショ糖脂肪酸エステルを使用することが最も好ましい。脂肪酸エステル構成脂肪酸の例としてラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸オレイン酸などの炭素数6〜22の飽和または不飽和の脂肪酸が挙げられる。

0033

以下に本発明の実施例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、例中、%及び部はいずれも重量基準を意味する。

0034

食用油脂Aの作製方法
表1記載の脂肪酸組成の油脂を調整した。調整後、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行った。得られたエステル交換油を常法に従い精製して食用油脂Aを得た。食用油脂Aの分析値を表1に示す。なお、食用油脂Aの由来原料は、パーム油と菜種油であった。

0035

(食用油脂B)
食用油脂Bとして、精製ヒマワリ油を用いた。分析値を表1に示す。

0036

(食用油脂Cの作製方法)
パーム油60重量部、パーム油分別高融点部20重量部およびパーム極度硬化油20重量部からなる配合油ヨウ素価37)を、ナトリウムメチラートによりランダムエステル交換を行いランダムエステル交換油脂を得た。かかるランダムエステル交換油脂をアセトン2段分別により、ヨウ素価32、上昇融点40.0℃の中融点部、ヨウ素価63の低融点部を得た。得られた中融点部を常法に従い精製して食用油脂Cを得た。食用油脂Cの分析値を表1に示す。

0037

(食用油脂Dの作製方法)
ノボザイムズ社製の固定化リパーゼ「LipozymesTL-IM」を使用し、下記方法でランダムエステル交換油脂を作製した。
まず表1記載の脂肪酸組成の油脂を調整した。調整後、減圧脱水により水分を100ppmに調整した。さらに「Lipozymes TL-IM」を1重量%添加し、反応温度70℃で30時間、密閉容器中で攪拌してエステル交換反応を行った後、濾過によって固定化リパーゼを除去し、得られたランダムエステル交換油脂を常法に従い精製して食用油脂Dを得た。食用油脂Dの分析値を表1に示す。なお、食用油脂Dの由来原料は、パーム油と菜種油であった。得られた食用油脂Dは、20℃のSFCは23.0%、40℃のSFCは0であった。なお下記方法で算出したSFC20℃のエステル交換率は65%であった。
エステル交換率(%)=(Xt−Xs)/(Xf−Xs)×100
Xs:原料調合油の20℃におけるSFC
Xf:反応平衡値での20℃におけるSFC
Xt:得られたエステル交換油脂の20℃におけるSFC
反応平衡値とはエステル交換反応が平衡に達した状態で、反応平衡値でのエステル交換率を100%と定義した。
SFC値は全て、IUPAC.2 150 SOLID CONTENT DETERMINATION INFATS BY NMRに準じて測定した。

0038

(チョコレート配合中植物油脂部の調整方法
食用油脂A〜食用油脂Dを適宜配合して、各実施例および比較例におけるチョコレート配合中の植物油脂部を調整した。

0039

・上昇融点は日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.2.4.2(上昇融点)に規定の方法に準じて測定した。
・油脂の脂肪酸組成は日本油化学協会基準油脂分析試験法(1996年版)2.4.1.2メチルエステル化法(三フッ化ホウ素メタノール法)に規定の方法に準じて測定した。なお、食用油脂A〜食用油脂Dには、炭素数8〜10の脂肪酸は含まれていなかった。

0040

0041

評価方法
下記方法に従い評価した。
(1) 乾き性評価
・被覆チョコレートの固化速度は、チョコレートを完全融解した後50℃に調整し、市販されているドーナツもしくはパンに被覆し、室温(20‐25℃)で固化するまでの時間を計測することで評価した。この時間を乾き時間という。
3点 : 全ての箇所で指にチョコレートが付着しなくなるまでの時間が10分以下
2点 : 〃10分以上15分以下
1点 : 〃15分以上
(2)外観評価
・ (1)でコーティングしたチョコレート製品を20℃で1日保管後、表面状態を観察することで評価した。
3点 : 表面のツヤがよく、触れてもベタつかない。また汗かきもしていない。
2点 : 表面にツヤがない、もしくは若干汗かきをおこしている。
1点 : 触れるとベタつく。もしくは汗かきをおこしている。
(3)食感評価
・ (1)でコーティングしたチョコレート製品を20℃で1日保管後、食することで評価した。
[口どけ]
3点 : 口どけがよく、後残りは感じられない。
2点 : 口どけがよく、後残りはほとんど感じられない。
1点 : 口どけが悪く、後残りが感じられる。

[剥がれ]
3点 :喫食時にチョコレートがほとんど剥がれない。
2点 : 喫食時にチョコレートが若干剥がれる。
1点 : 喫食時にチョコレートが剥がれる。(従来製品レベル
(4)耐熱性評価
・ (1)でコーティングしたチョコレート製品を20℃で1日保管後、30℃の恒温器で1時間保存した後の表面のべたつきを評価した。
3点 : 表面に触れてもベタつかない。
2点 : 表面に触れてもほとんどベタつかないが、表面に若干油っぽさを感じる。
1点 : 表面に触れるとベタベタする。
(5)総合評価
評価点数を平均した点数を総合評価とした。また総合評価2.5点以上を合格とした。
(6) 硬さ測定
・50℃で溶解したチョコレート製品を容器に入れ、20℃で1日固化後FUDOHレオメーター(株式会社レオテック)で5mmプランジャーで測定を行った。

0042

(実施例1、2、3比較例1、2)
(油脂調製)
下記配合に従いそれぞれ植物油脂部分の調製を行った。ただし実施例3は実施例1と同配合で調製した。油脂配合HPLC法によるトリグリセリド組成分析結果、トランス酸含量およびC12含量を表2に示す。

0043

0044

(チョコレート試作
次に下記配合に従い、常法によってチョコレートを試作した。
実施例1、2と比較例1、2は配合する植物油脂部のみが異なる同一配合であり、実施例3はショ糖脂肪酸エステルの有無以外は実施例1と同一で試作を行った。
試作したチョコレートを上記評価方法に従いドーナツにコーティングし評価した。
実施例1、2はいずれも常温で速やかに固まり、良好な外観と口どけを有していた。また、喫食時の剥がれが従来製品と比較して低減されており、耐熱性も問題なかった。
実施例3は実施例1と油脂組成が同一であるが、外観・口どけ・剥がれが実施例1と比較してやや劣った。比較例1は常温で速やかに固まるが、外観・口どけ・剥がれ・耐熱性が実施例と比較して劣っていた。比較例2は常温で固まりが悪いことと耐熱性が低いことから、コーティング用途として不適であった。チョコレート配合と評価結果を表3にまとめる。

0045

0046

(実施例4、5、6、7)
(油脂調製)
実施例4、5、6、7の植物油脂部分は、食用油脂A62.8重量部、食用油脂B37.2重量部を配合して、同配合で調整した。HPLC法によるトリグリセリド組成分析結果、トランス酸含量およびC12含量を表4に示す。

0047

0048

(チョコレート試作)
次に下記配合に従い、常法によってチョコレートを試作した。実施例4、5、6、7は乳化剤の種類のみが異なる同一配合で試作を行った。試作したチョコレートを上記評価方法に従いドーナツにコーティングし評価した。実施例4〜7は常温で速やかに固まり、良好な外観と口どけを有していた。チョコレートの硬さを測定したところ、実施例4(ショ糖脂肪酸エステル使用)が最も柔らかく良好であった。チョコレート配合と評価結果を表5にまとめる。

実施例

0049

0050

本発明により、従来の被覆チョコレート用油脂組成物とは異なり平易な方法にて、被覆用途に求められる機能を有し、かつ新規でソフトな食感の複合食品を提供することができる。

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