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技術 植物の栽培方法及び植物の栽培装置

出願人 岩手県
発明者 藤尾拓也山田修
出願日 2014年3月14日 (6年0ヶ月経過) 出願番号 2014-051011
公開日 2015年10月5日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-173612
状態 特許登録済
技術分野 植物の栽培 温室
主要キーワード 付設状態 水分温度 冷却対象部位 出荷規格 熱画像カメラ 冷却温度制御 気孔組織 ハバネロ
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年10月5日)のものです。
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図面 (11)

課題

簡易な手段で植物を局所的に冷却できるようにするとともに、高温期において収穫に係る花房果実)の生育に寄与する葉の温度を下げ光合成機能活発化させ収量の向上を図る。

解決手段

葉節1a間に花房3を生じる植物Pの2の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房3の柄の基端3aを通って茎2に付帯され茎2との熱交換を行う熱交換部材10と、熱交換部材10に対して茎2の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段20とを備えた植物の栽培装置Sを用い、熱交換部材10を、茎2のうち、少なくとも、収穫対象となる最下位の花房3の柄の基端3aより下に位置する下部位から、収穫対象となる最上位の花房3の柄の基端3aより上に位置する上部位に亘る範囲に付帯させ、高温期に、冷熱付与手段20により茎2を冷却しながら栽培する。

概要

背景

従来、この種の植物の栽培方法としては、例えば、特許文献1(特開2011−120569号公報)に掲載されているものが知られている。これは、葉を有した葉節間に花房を生じるトマトからなる植物を栽培する方法であって、植物の近傍であって、垂直方向所定範囲内に、水平方向に配設された複数のパイプを配置し、このパイプに水を供給手段により供給する。供給手段は、冬季等の低温期においては、例えば30℃〜95℃の温水を供給し、夏季等の高温期においては、例えば5℃〜20℃の冷水を供給し、トマトの周囲を適正温度にして栽培するようにしている。

ところで、特許文献1記載の技術においては、植物の周囲の空気温度を調節するので、それだけ、エネルギー効率が悪く、コスト高になっているという問題がある。そのため、従来においては、コスト負担を低減するために、例えば、特許文献2(特許第5127589号公報)掲載の技術も知られている。これは、高温期に用いる技術であり、イチゴからなる植物の株元部分を局所的に冷却する方法であって、植物の株元部分にスポンジ等の透水材を接触させて配置し、この透水材に潅水管により液肥滴下供給し、透水材に敷設した冷却管により冷却水通水する。これにより、透水材に含有される水分が蒸発する際の気化熱により透水材の周囲を冷却し、これに接触した植物の株元部分を局所的に冷却する。

概要

簡易な手段で植物を局所的に冷却できるようにするとともに、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げ光合成機能活発化させ収量の向上をる。葉節1a間に花房3を生じる植物Pの茎2の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房3の柄の基端3aを通って茎2に付帯され茎2との熱交換を行う熱交換部材10と、熱交換部材10に対して茎2の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段20とを備えた植物の栽培装置Sを用い、熱交換部材10を、茎2のうち、少なくとも、収穫対象となる最下位の花房3の柄の基端3aより下に位置する下部位から、収穫対象となる最上位の花房3の柄の基端3aより上に位置する上部位に亘る範囲に付帯させ、高温期に、冷熱付与手段20により茎2を冷却しながら栽培する。

目的

本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、簡易な手段で植物を局所的に冷却できるようにするとともに、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図った植物の栽培方法及び植物の栽培装置を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

培地から伸び葉を有した葉節間に花房を生じる植物の栽培方法において、上記茎の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房の柄の基端を通って該茎に付帯され該茎との熱交換を行う熱交換部材と、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段とを備えた植物の栽培装置を用い、上記熱交換部材を、茎のうち、少なくとも、収穫対象となる最下位の花房の柄の基端より下に位置する下部位から、収穫対象となる最上位の花房の柄の基端より上に位置する上部位に亘る範囲に付帯させ、高温期に、上記冷熱付与手段により該茎を冷却しながら栽培することを特徴とする植物の栽培方法。

請求項2

上記茎の温度が高温期における高温期所定温度Ta以上のとき、上記冷熱付与手段を作動させるようにし、上記高温期所定温度Taを15℃≦Ta≦35℃に設定し、上記熱交換部材の温度Txを、10℃≦Tx≦20℃にしたことを特徴とする請求項1記載の植物の栽培方法。

請求項3

上記冷熱付与手段から切換えられて用いられ、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも高い温度の温熱を付与可能な温熱付与手段を備えた植物の栽培装置を用い、低温期には、上記温熱付与手段により該茎を加温しながら栽培することを特徴とする請求項1または2記載の植物の栽培方法。

請求項4

上記茎の温度が低温期における低温期所定温度Tb以下のとき、上記温熱付与手段を作動させるようにし、上記低温期所定温度Tbを5℃≦Tb≦28℃、且つ、Tb<Taに設定し、上記熱交換部材の温度Tyを、20℃≦Ty≦35℃にしたことを特徴とする請求項1記載の植物の栽培方法。

請求項5

上記下部位を、上記最下位の花房の柄の基端以下にある葉の柄の基端よりも下に設定し、上記上部位を、上記最上位の花房の柄の基端以上にある葉の柄の基端よりも上に設定したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の植物の栽培方法。

請求項6

上記植物が、トマトである場合、上記熱交換部材を、少なくとも、第6葉節から第26葉節に亘る範囲に付帯させたことを特徴とする請求項5記載の植物の栽培方法。

請求項7

培地から伸び葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物を栽培する植物の栽培装置において、上記茎の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房の柄の基端を通って該茎に付帯され該茎との熱交換を行う熱交換部材と、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段とを備えたことを特徴とする植物の栽培装置。

請求項8

上記熱交換部材を、液体が流される熱交換パイプで構成し、上記冷熱付与手段は、上記液体を上記熱交換パイプに流す機能を備えたことを特徴とする請求項7記載の植物の栽培装置。

請求項9

上記冷熱付与手段を、液体を所定の温度範囲に調整する温度調整部と、該温度調整部で調整された液体を送出管を介して上記パイプの入口に送出するポンプとを備えて構成したことを特徴とする請求項8記載の植物の栽培装置。

請求項10

上記パイプの出口からの液体を上記温度調整部に戻す戻し管路を備え、液体を循環させることを特徴とする請求項9記載の植物の栽培装置。

請求項11

上記冷熱付与手段から切換えられて用いられ、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも高い温度の温熱を付与可能な温熱付与手段を備えたことを特徴とする請求項7乃至10何れかに記載の植物の栽培装置。

請求項12

上記温熱付与手段を、液体を所定温度に調整する温度調整部と、該温度調整部で調整された液体を送出管を介して上記パイプの入口に送出するポンプとを備えて構成したことを特徴とする請求項11記載の植物の栽培装置。

請求項13

上記パイプの出口からの液体を上記温度調整部に戻す戻し管路を備え、液体を循環させることを特徴とする請求項12記載の植物の栽培装置。

請求項14

上記茎の表面温度を検知する温度センサと、該温度センサの温度検知に基づいて上記冷熱付与手段及び上記温熱付与手段の作動,停止制御を行う制御部とを備えたことを特徴とする請求項11乃至13何れかに記載の植物の栽培装置。

請求項15

上記制御部は、高温期における高温期所定温度及び該高温期所定温度よりも低い低温期における低温期所定温度を記憶する所定温度記憶手段と、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した高温期所定温度以上になったとき上記冷熱付与手段を作動させ上記温熱付与手段を停止させる一方、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した低温期所定温度以下になったとき上記温熱付与手段を作動させ上記冷熱付与手段を停止させる切換え作動手段とを備えたことを特徴とする請求項14記載の植物の栽培装置。

請求項16

上記切換え作動手段は、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した低温期所定温度を越え高温期所定温度に満たない間は、上記温熱付与手段及び上記冷熱付与手段をいずれも停止させる機能を備えたことを特徴とする請求項15記載の植物の栽培装置。

技術分野

0001

本発明は、ガラス室ビニルハウス温室等において植物の栽培を行う植物の栽培方法及び植物の栽培装置係り、特に、培地から伸び葉を有した葉節間に花房を生じる果菜植物等の植物に対して、主に高温期に、局所的に冷却温度制御を行って栽培を行う植物の栽培方法及び植物の栽培装置に関する。

背景技術

0002

従来、この種の植物の栽培方法としては、例えば、特許文献1(特開2011−120569号公報)に掲載されているものが知られている。これは、葉を有した茎の葉節間に花房を生じるトマトからなる植物を栽培する方法であって、植物の近傍であって、垂直方向所定範囲内に、水平方向に配設された複数のパイプを配置し、このパイプに水を供給手段により供給する。供給手段は、冬季等の低温期においては、例えば30℃〜95℃の温水を供給し、夏季等の高温期においては、例えば5℃〜20℃の冷水を供給し、トマトの周囲を適正温度にして栽培するようにしている。

0003

ところで、特許文献1記載の技術においては、植物の周囲の空気温度を調節するので、それだけ、エネルギー効率が悪く、コスト高になっているという問題がある。そのため、従来においては、コスト負担を低減するために、例えば、特許文献2(特許第5127589号公報)掲載の技術も知られている。これは、高温期に用いる技術であり、イチゴからなる植物の株元部分を局所的に冷却する方法であって、植物の株元部分にスポンジ等の透水材を接触させて配置し、この透水材に潅水管により液肥滴下供給し、透水材に敷設した冷却管により冷却水通水する。これにより、透水材に含有される水分が蒸発する際の気化熱により透水材の周囲を冷却し、これに接触した植物の株元部分を局所的に冷却する。

先行技術

0004

特開2011−120569号公報
特許第5127589号公報

発明が解決しようとする課題

0005

しかしながら、上記従来のイチゴからなる植物の株元部分を局所的に冷却する方法においては、株元部分を冷却しているだけなので、イチゴよりも背の高いトマトのような植物においては、茎の上部にまで冷却効果が及ばないことから、茎の上部に生じる花房(果実)の成長熟成阻害してしまうことがあるという問題があった。特に、夏季等の高温期においては、ガラス室やビニルハウスの温室内外気温度のみならず、太陽の直接光輻射熱の影響で植物の表面温度、特に、光合成を行う葉の温度が外気温度よりも高くなり、そのため、光合成活性が低下し、それだけ、花房(果実)の成長や熟成に悪影響を与え、収量減の要因になってしまう。

0006

本発明は上記の点に鑑みて為されたもので、簡易な手段で植物を局所的に冷却できるようにするとともに、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げ光合成機能活発化させ収量の向上を図った植物の栽培方法及び植物の栽培装置を提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0007

本願発明者らは、鋭意研究により、葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物においては、少なくとも花房の前後にある葉の温度を制御することにより、花房に至る養分に差があることを見出し、本発明を完成した。
即ち、このような目的を達成するための本発明の植物の栽培方法は、培地から伸び葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物の栽培方法において、上記茎の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房の柄の基端を通って該茎に付帯され該茎との熱交換を行う熱交換部材と、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段とを備えた植物の栽培装置を用い、上記熱交換部材を、茎のうち、少なくとも、収穫対象となる最下位の花房の柄の基端より下に位置する下部位から、収穫対象となる最上位の花房の柄の基端より上に位置する上部位に亘る範囲に付帯させ、高温期に、上記冷熱付与手段により該茎を冷却しながら栽培する構成としている。
尚、培地は、土壌のみならず、別の部材や、水耕栽培液体であってもよい。

0008

葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物としては、例えば、果菜植物をはじめ、バラなどの園芸用の各種花卉類など種々挙げられる。果菜植物としては、例えば、ナス科のトマト,ミディトマト,ミニトマトフルーツトマトタマリロ(ツリートマト,こだちトマト),ナス,小茄子,長なす,大長茄子,ペピーノ,タカツメトウガラシシシトウガラシ,ハバネロピーマンパプリカカラーピーマン,ウリ科カボチャズッキーニキュウリツノニガウリ(キワノ),シロウリマクワウリスイカメロンツルレイシゴーヤ、ニガウリ),トウガンヘチマ,ユウガオ,マメ科インゲンマメエンドウソラマメアオイ科オクライネ科トウモロコシなどが挙げられる。

0009

これにより、収穫対象となる花房の柄の基端を通って所要範囲で熱交換部材が茎に付設され、この部位が局所的に冷却される。そのため、少なからず、花房の前後にある葉に至る水分も冷却され、葉自体が冷却され温度が低下していく。葉温の低下は、葉の気孔からの蒸散作用による気化潜熱関与していると考えられる。気化潜熱は、液体から気化する際に生じる吸熱反応であり、葉から蒸散する際の水分温度が低ければ気化するための吸熱量が大きくなり、葉温の低下も大きくなる。根から吸収された水分は茎内維管束を移動し、葉の気孔組織から蒸散することになる。茎部冷却では、維管束内の水分温度が低下するため、気温葉中の水分との温度差が大きくなり、気化潜熱を大きくすることができると考えられる。光合成は主に葉で行われるが、その光合成速度温度依存性である。そのため、本発明においては、高温期において、茎部冷却により葉温を低下させ、光合成速度を高め、糖やでんぷん等の光合成同化産物を増加させることができ、これを近傍にある花房に供給できることから、それだけ、収穫量品質を向上させることができるようになる。

0010

また、光合成が関与しない夜冷においても有効になる。これは、呼吸による養分消費量と養分転流が温度依存性であることが要因であると考えられる。植物は光合成を行わない夜間に維持呼吸量が多くなるが、温度上昇に対し指数的に上昇するため葉温の上昇は維持呼吸による糖やでんぷん等の光合成同化産物の消耗を招き、果実の発育のための同化産物が不足減収につながる。しかしながら、前述の通り、茎部冷却では蒸散による葉温低下が大きくなることから、葉中に存在する光合成同化産物の呼吸による養分消費量を抑制でき、それだけ、果実の増収の向上を図ることができる。また、一般に、温度が高いと幼葉生長点への養分の転流が促進され、低いと果実や根に転流する。夜温が高いと果実への糖の転流が低下し、夜温が低いと果実の糖含量が上昇する。トマトなどの果菜類では、収穫対象である果実への転流が多い方が果実肥大に良好であることから、茎部冷却は果実への転流を促進することができ、果実の増収を図ることができる。
即ち、本発明によれば、茎を局部的に冷却するという簡易な手段により、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができるのである。

0011

そして、必要に応じ、上記茎の温度が高温期における高温期所定温度Ta以上のとき、上記冷熱付与手段を作動させるようにし、上記高温期所定温度Taを15℃≦Ta≦35℃に設定し、上記熱交換部材の温度Txを、10℃≦Tx≦20℃にした構成としている。
葉温や茎部の温度は、外気温よりも高くなる場合がある。特に、晴天日は日射に含まれる赤外線などの長波長域を含む光線が葉や茎にあたって、熱輻射により加熱されるためである。そのため、本発明では、茎温度を基準に制御する。葉温を測定することが望ましいが、葉は分散しているのでバラつきが多く、精度に劣る。そのため、適正に葉温を制御することができる。一般に、葉の光合成において、大気中における最適温度域は20〜35℃であり、特に25〜30℃で最大となるが、15℃≦Ta≦35℃、望ましくは、15℃≦Ta≦30℃に設定し、10℃≦Tx≦20℃にすることで、葉温を適正温度に制御することができるようになる。また、人為的に二酸化炭素ガスを大気中に放出し、大気中より二酸化炭素濃度を高くして栽培するような環境下では葉の光合成の最適温度域が数℃高くなる。このような場合には、例えば、20℃≦Ta≦35℃、10℃≦Tx≦20℃に設定すると良い。

0012

また、必要に応じ、上記冷熱付与手段から切換えられて用いられ、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも高い温度の温熱を付与可能な温熱付与手段を備えた植物の栽培装置を用い、低温期には、上記温熱付与手段により該茎を加温しながら栽培する構成としている。高温期のみならず、低温期においても、茎加温によって葉温を適正範囲に維持することができるようになり、即ち、収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を上げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができるようになる。

0013

この場合、必要に応じ、上記茎の温度が低温期における低温期所定温度Tb以下のとき、上記温熱付与手段を作動させるようにし、上記低温期所定温度Tbを5℃≦Tb≦28℃、且つ、Tb<Taに設定し、上記熱交換部材の温度Tyを、20℃≦Ty≦35℃にした構成としている。
上記のように、一般に、葉の光合成において、大気中における最適温度域は20〜35℃であり、特に25〜30℃で最大となるが、5℃≦Tb≦28℃(但し、Tb<Ta)、20℃≦Ty≦35℃にすることで、低温期にも、葉温を適正温度に制御することができるようになる。

0014

また、必要に応じ、上記下部位を、上記最下位の花房の柄の基端以下にある葉の柄の基端よりも下に設定し、上記上部位を、上記最上位の花房の柄の基端以上にある葉の柄の基端よりも上に設定した構成としている。これにより、花房近傍の葉を確実に冷却できるようになり、光合成機能を活発化させ、花房に生じる果実の収量の向上を図ることができる。

0015

更に、上記植物が、トマトである場合、上記熱交換部材を、少なくとも、第6葉節から第26葉節に亘る範囲に付帯させたことが有効である。
果菜植物であるトマトにおいては、通常の品種では、発後、本葉8葉節から9葉節間に最初の花房(第一花房)が付き、その後は3葉おきに花房を付ける規則性を有している。即ち、1 2 3 4 5 6 7 8 花 9 10 11 花 12 13 14 花 15 16 17 花 18 19 20 花 21 22 23 花 24 25 26(「数字」は葉節、「花」は花房を意味する)の順番になる規則性を有している。一般に、ガラス室やビニルハウスの温室におけるトマト栽培においては、第26葉節以上は摘心(切断)し、それ以下において収穫するが、この収穫に係る花房範囲の茎を確実に冷却できるようになり、トマトの収量の向上を図ることができる。

0016

また、上記目的を達成するための本発明の植物の栽培装置は、培地から伸び葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物を栽培する植物の栽培装置において、上記茎の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房の柄の基端を通って該茎に付帯され該茎との熱交換を行う熱交換部材と、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段とを備えた構成としている。これにより、茎を局部的に冷却するという簡易な機構にすることができ、従来からある冷暖房手段に比較して、大幅にコストダウンを図ることができる。また、上述したように、この装置を用いて植物を栽培することにより、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができる。

0017

そして、必要に応じ、上記熱交換部材を、液体が流される熱交換パイプで構成し、上記冷熱付与手段は、上記液体を上記熱交換パイプに流す機能を備えた構成としている。液体によるので、管理が容易になる。
また、必要に応じ、上記冷熱付与手段を、液体を所定の温度範囲に調整する温度調整部と、該温度調整部で調整された液体を送出管を介して上記パイプの入口に送出するポンプとを備えて構成している。構造を容易にすることができる。
更に、必要に応じ、上記パイプの出口からの液体を上記温度調整部に戻す戻し管路を備え、液体を循環させる構成としている。循環させるので無駄が防止される。

0018

そしてまた、必要に応じ、上記冷熱付与手段から切換えられて用いられ、上記熱交換部材に対して上記茎の表面温度よりも高い温度の温熱を付与可能な温熱付与手段を備えた構成としている。高温期のみならず、低温期においても、茎加温によって葉温を適正範囲に維持することができるようになり、即ち、収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を上げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができるようになる。

0019

この場合、必要に応じ、上記温熱付与手段を、液体を所定温度に調整する温度調整部と、該温度調整部で調整された液体を送出管を介して上記パイプの入口に送出するポンプとを備えて構成している。構造を容易にすることができる。
また、必要に応じ、上記パイプの出口からの液体を上記温度調整部に戻す戻し管路を備え、液体を循環させる構成としている。循環させるので無駄が防止される。

0020

更にまた、必要に応じ、上記茎の表面温度を検知する温度センサと、該温度センサの温度検知に基づいて上記冷熱付与手段及び上記温熱付与手段の作動,停止制御を行う制御部とを備えた構成としている。温度センサ検知に従って冷熱付与手段及び温熱付与手段の切換えを行って作動させることができるので、自動制御を行うことができる。

0021

この場合、必要に応じ、上記制御部は、高温期における高温期所定温度及び該高温期所定温度よりも低い低温期における低温期所定温度を記憶する所定温度記憶手段と、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した高温期所定温度以上になったとき上記冷熱付与手段を作動させ上記温熱付与手段を停止させる一方、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した低温期所定温度以下になったとき上記温熱付与手段を作動させ上記冷熱付与手段を停止させる切換え作動手段とを備えた構成としている。自動制御を確実に行うことができる。

0022

また、この場合、必要に応じ、上記切換え作動手段は、上記温度センサが検知した温度が上記所定温度記憶手段が記憶した低温期所定温度を越え高温期所定温度に満たない間は、上記温熱付与手段及び上記冷熱付与手段をいずれも停止させる機能を備えた構成としている。適正温度範囲の場合は、装置の作動を停止するので、無駄を防止することができる。

発明の効果

0023

本発明によれば、葉を有した茎の葉節間に花房を生じるトマト等の植物において、熱交換部材によってこの植物の茎を花房の柄の基端を通って局部的に冷却するという簡易な手段により、高温期において収穫に係る花房(果実)の生育に寄与する葉の温度を下げて光合成機能を活発化させ、果実への養分の転流を促進することができ、果実の収量の向上を図ることができる。

図面の簡単な説明

0024

本発明の実施の形態に係る植物の栽培装置を示す図である。
本発明の実施の形態に係る植物の栽培装置の制御部及びこれにより制御される要素の関係を示す図である。
本発明の実施の形態に係る植物の栽培装置の制御部の構成を示す図である。
本発明の実施の形態に係る植物の栽培装置において、熱交換部材としての熱交換パイプの植物に対する付設状態を示す拡大図である。
本発明の実施例及び比較例に係る植物の温度状態を示し、(a)は茎を冷却しているときの熱画像写真)、(b)は無処理のときの熱画像(写真)である。
本発明の実施例に係る植物の冷却時及び無処理の場合における葉と茎の温度を示すグラフ図である。
本発明の実施例に係る植物の冷却時における茎の温度の変化を無処理の場合の茎の温度変化と比較して示すグラフ図である。
本発明の実施例に係るチャンバー内での植物の冷却処理において、冷却対象部位を1葉節に限定した場合と無処理の場合の葉節毎の葉温の差を表す図である。
本発明の実施例に係る植物の冷却時における葉の気化潜熱量を無処理の場合の葉の気化潜熱量と比較して示すグラフ図である。
本発明の実施例に係る植物の冷却処理における収穫量を無処理の場合の収穫量と比較して示す表図である。

0025

以下、添付図面に基づいて、本発明の実施の形態に係る植物の栽培方法及び植物の栽培装置について詳細に説明する。
図1乃至図4には、本発明の実施の形態に係る植物の栽培装置を示している。本装置Sは、ガラス室やビニルハウス等の温室などで栽培される植物用のものである。植物Pとしては、培地から伸び葉1を有した茎2の葉節1a間に花房3を生じる植物Pが対象となる。

0026

実施の形態に係る植物Pの栽培装置Sは、植物Pの茎2の所要長さ範囲に亘り且つ少なくとも何れか1つの花房3の柄の基端3aを通って茎2に付帯され茎2との熱交換を行う熱交換部材10を備えている。熱交換部材10は、液体(実施の形態では水)が流されポリエチレン塩化ビニル等で形成された筒状の可撓性の熱交換パイプ11で構成されている。この熱交換部材10は、例えば、植物Pがトマトの場合には、少なくとも、葉1の第6葉節から第26葉節に亘る範囲に付帯できる長さになっており、培地から温室の天井に向けて所要高さまで伸び、天井に吊下されている。熱交換部材10は、植物Pの茎2にらせん状に巻き付け、あるいは、茎2にテープなどで密着固定させられる。

0027

また、本装置Sは、熱交換部材10に対して植物Pの茎2の表面温度よりも低い温度の冷熱を付与可能な冷熱付与手段20を備えている。冷熱付与手段20は、図1に示すように、液体を熱交換部材10としての熱交換パイプ11に流す機能を備えている。詳しくは、冷熱付与手段20は、液体を所定の温度範囲に調整する温度調整部21と、温度調整部21で調整された液体を送出管22を介して熱交換パイプ11の入口13に送出するポンプ23とを備えて構成されている。送出管22には逆止弁24が介装されている。また、パイプの入口13には定量流量弁25が介装されている。定量流量弁25により、多数の熱交換部材10を設置した場合、圧力差による熱交換部材10への流量のばらつきが防止され、処理温度均一性が保持される。温度調整部21は、液体を貯留する液体タンク26と、この液体タンク26内の液体の温度を所定の温度にするヒートポンプ27とから構成されている。また、パイプ11の出口14からの液体を排出管29を介して温度調整部21の液体タンク26に戻す戻し管路28が設けられており、液体は循環させられる。

0028

更に、本装置Sは、図1に示すように、冷熱付与手段20から切換えられて用いられ、熱交換部材10に対して茎2の表面温度よりも高い温度の温熱を付与可能な温熱付与手段30を備えている。温熱付与手段30は、液体を熱交換部材10としての熱交換パイプ11に流す機能を備えている。詳しくは、温熱付与手段30は、液体を所定の温度範囲に調整する温度調整部31と、温度調整部31で調整された液体を送出管32を介して熱交換パイプ11の入口13に送出するポンプ33とを備えて構成されている。送出管32には逆止弁34が介装されている。温度調整部31は、液体を貯留する液体タンク36と、この液体タンク36内の液体の温度を所定の温度にするヒートポンプ37とから構成されている。また、パイプの出口14からの液体を温度調整部31の液体タンク36に戻す戻し管路38が設けられている。この戻し管路38は、上記の冷熱付与手段20の排出管29から分岐して設けられている。分岐点には3方向切換え電磁弁39が介装され、切換えにより何れか一方の戻し管路を有効にし、他方を無効にする。

0029

また、本装置Sにおいては、植物Pの茎2に付帯されこの茎2の表面温度を検知する温度センサ40と、温度センサ40の温度検知に基づいて冷熱付与手段20及び温熱付与手段30の作動,停止制御を行う制御部41とが備えられている。制御部41は、図2及び図3に示すように、高温期における高温期所定温度Ta及び高温期所定温度Taよりも低い低温期における低温期所定温度Tbを記憶する所定温度記憶手段42と、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Ta以上になったとき冷熱付与手段20を作動させ温熱付与手段30を停止させる一方、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tb以下になったとき温熱付与手段30を作動させ冷熱付与手段20を停止させる切換え作動手段43とを備えて構成されている。また、実施の形態では、高温期における高温期所定温度Taは、日中(実施の形態では6:00〜18:00まで)と夜間(18:00〜翌日の6:00まで)とで異ならせている。切換え作動手段43は時計による時間管理を行っており、日中と夜間とで高温期所定温度Taの数値を切換えて判断する機能を備えている。更に、切換え作動手段43は、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tbを越え高温期所定温度Taに満たない間は、温熱付与手段30及び冷熱付与手段20をいずれも停止させる機能を備えて構成されている。

0030

より詳しくは、図2に示すように、切換え作動手段43は、切替スイッチ44を介して3方向切換え電磁弁39を切換え、切替スイッチ45を介してモータ23をオンオフし、切替スイッチ46を介してモータ33をオンオフする。符号47は主電源スイッチである。即ち、切換え作動手段43は、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Tb以上になったとき、スイッチ45をオンにしてポンプ23を駆動し、スイッチ46をオフにしてポンプ33を停止し、三方電磁切換え弁39を切換えて、戻し管路28を有効にし、戻し管路38を無効にする。一方、切換え作動手段43は、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tb以下になったとき、スイッチ45をオフにしてポンプ23を停止し、スイッチ46をオンにしてポンプ33を駆動し、三方電磁切換え弁39を切換えて、戻し管路28を無効にし、戻し管路38を有効にする。また、切換え作動手段43は、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tbを越え高温期所定温度Taに満たない間は、スイッチ45をオフにしてポンプ23を停止し、スイッチ46をオフにしてポンプ33を停止する。

0031

また、実施の形態では、高温期における高温期所定温度Taは、15℃≦Ta≦35℃に設定され、冷熱付与手段20の温度調整部21が調整する液体の所定の温度範囲を10℃〜20℃にすることにより、熱交換部材10の温度Txは、10℃≦Tx≦20℃に設定されている。例えば、後述のトマト栽培においては、高温期所定温度Taは、日中(実施の形態では6:00〜18:00まで)において、Ta=24℃、夜間(実施の形態では18:00〜翌日の6:00まで)において、Ta=18℃に設定され、冷熱付与手段20の温度調整部21が調整する液体の所定の温度範囲を16℃〜18℃にすることにより、熱交換部材10の温度Txは、16℃≦Tx≦18℃に設定される。
一方、低温期における低温期所定温度Tbは、5℃≦Tb≦28℃、且つ、Tb<Taに設定され、温熱付与手段30の温度調整部31が調整する液体の所定の温度範囲を20℃〜35℃にすることにより、熱交換部材10の温度Tyは、20℃≦Ty≦35℃に設定されている。例えば、後述のトマト栽培においては、低温期所定温度Tbは、日中及び夜間ともに、Tb=13℃、温熱付与手段30の温度調整部31が調整する液体の所定の温度範囲を20℃〜30℃にすることにより、熱交換部材10の温度Tyは、20℃≦Ty≦30℃に設定される。

0032

次に、この実施の形態に係る植物の栽培装置Sを用いた実施の形態に係る植物の栽培方法について本栽培装置Sの作用とともに説明する。対象とする植物Pは、葉1を有した茎2の葉節1a間に花房3を生じる植物Pであり、実施の形態においては、果菜類としてのトマトである。
図1及び図4に示すように、先ず、熱交換部材10を、茎2のうち、少なくとも、収穫対象となる最下位の花房3の柄の基端3aより下に位置する下部位から、収穫対象となる最上位の花房3の柄の基端3aより上に位置する上部位に亘る範囲に付帯させるようにする。果菜植物Pであるトマトにおいては、通常の品種では、発芽後、本葉1の第8葉節から第9葉節間に最初の花房3(第一花房)が付き、その後は3葉おきに花房3を付ける規則性を有している。一般に、ガラス室やビニルハウスの温室におけるトマト栽培においては、第26葉節以上は摘心(切断)し、それ以下において収穫する。従って、実施の形態では、熱交換部材10(熱交換パイプ11)を、少なくとも、トマトの第6葉節から第26葉節に亘る範囲に付帯させるようにした。

0033

トマトは、の段階で温室内の所定間隔で多数植えられ、徐々に成長するが、予め、熱交換部材10は、培地の各苗のある部分からその成長の高さ方向に吊下されており、成長が進む都度、適時に各トマトの茎2を夫々熱交換部材10にテープ等で止着するようにする。温度センサ40は、例えば、代表するトマトの茎2に付設する。尚、ランダムに選んだ複数のトマトの茎2に夫々温度センサ40を付設し、制御部41において、これらが検知する温度の平均値を算出し、あるいは、何れかの温度センサ40の検知する最大温度若しくは最低温度を採用するなど、温度センサ40の検知結果を適宜に用いるようにして良い。

0034

この状態において、本装置Sの主電源スイッチ47を入れる。夏季等の高温期である場合には、主には、冷熱付与手段20が機能させられ、温熱付与手段30は通常は停止させられる。即ち、温度センサ40はトマトの茎2の温度を検知しており、制御部41においては、日中(実施の形態では6:00〜18:00)において、この温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Ta(=24℃)以上になると、また、夜間(実施の形態では18:00〜翌日の6:00)において、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Ta(=18℃)以上になるとスイッチ45をオンにしてポンプ23を駆動する。この場合、温熱付与手段30の側のスイッチ46はオフにしてポンプ33を停止し、三方電磁切換え弁39は切換えられて、戻し管路28を有効にし、戻し管路38を無効にする。

0035

これにより、冷熱付与手段20から16℃〜18℃の液体が流され、熱交換部材10の温度Txが、16℃≦Tx≦18℃に設定されるので、茎2が冷却され、収穫対象の花房3の前後にある葉1に至る水分が冷却され、葉1自体が冷却されて温度が低下していく。そのため、葉温が適正温度に制御され、葉1における光合成速度を高め、糖やでんぷん等の光合成同化産物を増加させることができ、これを近傍にある花房3に供給できるようになる。また、光合成が関与しない夜冷においても、葉温の低下により葉中に存在する光合成同化産物の呼吸による養分消費量が抑制され、それだけ、光合成同化産物を近傍にある花房3に供給できるようになる。

0036

また、制御部41は、日中において、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Ta(=24℃)に満たなくなると、また、夜間において、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した高温期所定温度Ta(=18℃)に満たなくなると、スイッチ45をオフにしてポンプ23を停止する。この場合も、温熱付与手段30の側のポンプ33は停止状態にあり、戻し管路28が有効で戻し管路38は無効になっている。そのため、トマトは、茎2の温度が比較的低く、葉温もさほど高くならないことから、適正な環境下におかれる。この際は、装置Sの作動を停止するので、無駄を防止することができる。
この結果、本装置Sの茎2を局部的に冷却するという簡易な手段により、高温期において収穫に係る花房3(果実)の生育に寄与する葉1の温度を下げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができるようになる。

0037

一方、冬季等の低温期である場合には、温室内の温度が、例えば、0℃〜20℃程度に変化すると、主には、温熱付与手段30が機能させられ、冷熱付与手段20は通常は停止させられる。即ち、温度センサ40はトマトの茎2の温度を検知しており、制御部41においては、この温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tb(=13℃)以下になると、スイッチ46をオンにしてポンプ33を駆動する。この場合、冷熱付与手段20の側のスイッチ45はオフにしてポンプ23を停止し、三方電磁切換え弁39は切換えられて、戻し管路38を有効にし、戻し管路28を無効にする。

0038

これにより、温熱付与手段30から20℃〜35℃の液体が流され、熱交換部材10の温度Tyが、20℃≦Ty≦35℃に設定されるので、茎2が加温され、収穫対象の花房3の前後にある葉1に至る水分が加温され、葉1自体が加温され温度が上昇していく。そのため、葉温が適正温度に制御され、葉1における光合成速度を高め、糖やでんぷん等の光合成同化産物を増加させることができ、これを近傍にある花房3に供給できるようになる。また、制御部41は、温度センサ40が検知した温度が所定温度記憶手段42が記憶した低温期所定温度Tb(=13℃)を超えると、スイッチ46をオフにしてポンプ33を停止する。この場合も、冷熱付与手段20の側のポンプ23は停止状態にあり、戻し管路38が有効で戻し管路28は無効になっている。そのため、トマトは、茎2の温度が比較的高く、葉温もさほど低くならないことから、適正な環境下におかれる。この際は、装置Sの作動を停止するので、無駄を防止することができる。
この結果、本装置Sの茎2を局部的に加温するという簡易な手段により、低温期においても、収穫に係る花房3(果実)の生育に寄与する葉1の温度を上げて光合成機能を活発化させ収量の向上を図ることができるようになる。

0039

尚、夏季等の高温期において、気温が極端に低下し、茎2の温度が13℃以下になると、温熱付与手段30が作動して調整が行われ、一方、冬季等の低温期において、気温が極端に上昇し、茎2の温度が24℃以上(日中)あるいは18℃以上(夜間)になると、冷熱付与手段20が作動して調整が行われる。そのため、本装置Sにおいては、極端な温度変化にも対応することができる。

0040

次に、実施例に係る夏季の高温期における栽培例を示す。トマトの品種は「太郎8」を用いた。栽培は岩手県農業研究センター圃場(岩手県上市)で行い、屋根被覆資材PO系フィルム(「スカイコート5」シーアイ化成株式会社製)を用いた雨よけハウス栽培管理した。熱交換パイプ11として16mmのポリエチレン管を用い、株元から1.8m高まで垂直に配管し、この熱交換パイプ11に栽培株を接触するようテープで固定した。温度センサ40を茎部に密着させた。茎部冷却処理は、地下水を用いた冷却処理とした。使用した地下水は排水した。地下水は送水側で16.1〜18.0℃の範囲となり、比較的安定した冷熱源が得られた。冷却処理は下記の2種類とした。
(a)全日冷却処理
全日冷却処理では、茎部表面温度が24℃を超えた時点で1株かつ1管あたり流量2.5L/minの流量で地下水が株元から上方向にPE管を流れるよう電磁弁で開閉させた。
(b)夜冷処理
夜冷処理では、18:00〜6:00の間、18℃を超えた時点で上記と同様に電磁弁を開閉させて冷却処理を行った。日中6:00〜18:00の間は、冷却処理は行わず成り行き(無処理)で栽培した。
(c)無処理
また、比較例として、冷却しない無処理のものも栽培した。

0041

そして、3月中旬に180mgN/Lの育苗培地充填した128穴トレイ播種し、播種25日後に同様の培地を充填した12cm黒ポリポット移植した。隔離床ハンモック式栽培槽とし、畑土もみ殻を3:2で混合したものを培地として用いた。第1花房開花始期となった苗を、約2ヵ月後(5月中旬)に株間20cmで定植し、千鳥振り分け誘引とした。第6花房開花期に第6花房の上位葉2枚を残し摘心した。培養液タンクミックスA、B(大塚アグリテクノ株式会社製)を用いて大塚A処方(標準培養液電気伝導度(EC)2.6dS/m時のミリ当量としての成分組成が、窒素18.6、リン5.1、カリウム8.6、カルシウム8.2、マグネシウム3.0me/Lである培養液)に準じた処方により、生育量に応じて電気伝導度(EC)0.6〜1.6dS/mの範囲でかん水後に培地下部からの排液破棄するかけ流し方式で養液管理した。茎部冷却処理は、第3花房開花期の日(6月下旬)より行った。収穫は、岩手県青果物出荷規格大玉トマト)に準じて1果あたり重量が120g以上で外観の良好な果実を商品果として分類し、果実重量調査した。

0042

この実施例において、無処理の比較例とともに、各種測定等の試験を行った。以下に結果を示す。
(1)冷却処理の確認
携帯用小型熱画像カメラCPA-0150J(CHINO,FLIR社製)を用い熱画像を得た。図5(a)に茎を冷却しているときの熱画像を示し、図5(b)に無処理のときの熱画像を示す。この熱画像からトマトの葉温が低下しているということが分かる。

0043

(2)葉温
携帯用小型熱画像カメラCPA-0150J(CHINO,FLIR社製)を用い熱画像を得て葉温を算出し、茎を冷却した場合と、無処理の場合とで比較した。葉温は、内気温が29.5℃のときの、ある群落内の平均とした。
結果を、図6に示す。無処理に比較して葉温と茎温度が低下していることが分かる。

0044

(3)茎温変化
栽培中のある一日(24時間)において、茎温度及び内気温の変化を図7に示す。葉温や茎部の温度は、内気温よりも高くなる場合がある。特に晴天日は内気温よりも高くなるが、これは日射に含まれる赤外線などの長波長域を含む光線が葉や茎にあたって、熱輻射により加熱されるためである。この結果から、茎部冷却では、茎温を内気温よりも低く制御することができることがわかる。

0045

(4)冷却範囲
また、人工光源下のチャンバー内において茎の1節(約10cm)のみを冷却した場合と、無処理の場合とで熱画像で得た葉節毎の葉温を比較した。結果を図8に示す。茎の1葉節のみを冷却した場合、葉温の低下は冷却した葉節のうち上位3葉節と下位1葉節の範囲にある葉に限定されており、それより上位あるいは下位にある葉節では葉温低下が劣ることから、増収を目的とする本発明では、収穫対象の花房の柄の基端すべてが熱交換器と付帯した状態で茎冷却処理を行う必要があると考えられる。

0046

(5)気化潜熱量
植物Pの根から吸収された水分は、茎の維管束部を通じて葉の気孔で蒸散するため、茎部を冷却することで、移動中の水分が冷却され、蒸散する際の水分温度が低くなり気化潜熱量を大きくすることができることから、間接的に葉温の低下につながるものと考えられる。このことは、葉の蒸散について蒸発散モデルの下記のバルク式で表すことで説明できる。この式では空気密度pa、水平風速Uが一定の条件、言い換えれば同じ温室環境であれば、葉温と気温との差により潜熱量が決定することになる。

0047

バルク式
H=cp・pa・CH・U(Ts−T)
H:水の気化潜熱(W.m-2)、cp:空気の定圧比熱(1004W.s.K-1.kg-1)、pa:空気の密度(kg.m-3)、CH:バルク係数、U:水平風速(m.s-1)、Ts:葉温(℃)、T:気温(℃)

0048

そして、図6に示す場合において、このバルク式を用いて気化潜熱量を求めた。結果を図9に示す。この結果から、無処理に対し茎部冷却で大きく冷却効果が高いことが認められる。

0049

(6)収量
(a)全日冷却処理及び(b)夜冷処理の実施例と、(c)無処理の比較例とでその収量を比較した。結果を図10に示す。
この結果、全日冷却処理での収量が高いことが分かる。主に光合成は葉で行われるが、その光合成速度は温度依存性である。大気中における最適温度域は20〜35℃であり、特に25〜30℃で最大となる。光合成速度が高ければ光合成同化産物が増加し、収穫量や品質が向上することになる。茎部冷却では葉温が光合成最大温度域に維持することが可能であり、増収したものと考えられる。

0050

また、夜冷処理においても増収が認められた。これは、呼吸消費と転流が温度依存性であることが要因であると考えられる。植物は光合成を行わない夜間に維持呼吸量が多くなるが、温度上昇に対し指数的に上昇するため葉温の上昇は維持呼吸による光合成同化産物の消耗を招き、果実の発育のための同化産物が不足し減収につながる。前述の通り、茎部冷却では蒸散による葉温低下が大きくなることから、葉中に存在する光合成同化産物の呼吸消費を抑制し、増収へつながるものと考えられる。また、一般に、温度が高いと幼葉や生長点への転流が促進され、低いと果実や根に転流する。夜温が高いと果実への糖の転流が低下し、夜温が低いと果実の糖含量が上昇する。トマトなどの果菜類では、収穫対象である果実への転流が多い方が果実肥大に良好であることから、茎部冷却は果実への転流を促進し増収しているものと考えられる。

0051

以上のことから、トマトにおいては、夏季の高温期において、冷却処理開始時期は、出や開花よりも早い花芽分化発達する時期から行うことが望ましい。トマトのような果実生産では花芽の発達する時期から処理することで花芽の発育形成を充実させることができ、果実収穫量を増加することにつながるからである。試験では、本葉6枚期から冷却処理した。葉温の低下や増収効果が認められていることから、トマトでは展開葉6枚期以降から処理開始時期とする。処理期間は、葉温の適温域への制御による同化産物および収穫量の増加する原理であると推察されることから、収穫が終わる時期まで継続して行うことが好ましい。また、処理時期は、東北地域では強日射の影響が強くなる6〜9月が冷却処理に適する。特に、晴天日の葉温は日射があたることで気温よりも高くなるため、葉温を低下する必要がある時期である。

0052

尚、上記実施の形態において、高温期所定温度Ta,低温期所定温度Tb及び熱交換部材10の温度Tx,Tyは、上述した数値に限定されるものではなく、適宜に設定してよいことは勿論である。また、上記実施の形態に係る栽培装置Sにおいて、温度調整部21は、液体を貯留する液体タンク26と、この液体タンク26内の液体の温度を所定の温度にするヒートポンプ27とから構成し、液体を循環させるように構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、温度調整部21を、比較的温度が安定した地下水を供給する供給源として構成し、ポンプ23で送られた地下水は排水するように構成してもよく、適宜変更して差支えない。更に、上記実施の形態においては、冷熱付与手段20と温熱付与手段30とを別々に設けたが、必ずしもこれに限定されるものではなく、1つに統合し、温度調整部21により所要の温度に調整できるようにしても良く、適宜変更して差支えない。しかしながら、極端な温度変化があるような場合には、冷熱付与手段20と温熱付与手段30との2系統にしておくことが望ましい。

実施例

0053

また、上記実施の形態においては、本栽培方法をトマトに適用したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、葉を有した茎の葉節間に花房を生じる植物であれば、どのような植物に適用して良いことは勿論である。

0054

S 植物の栽培装置
P 植物
1 葉
1a葉節
2茎
3花房
3a基端
10熱交換部材
11熱交換パイプ
20冷熱付与手段
21温度調整部
23ポンプ
28戻し管路
29排出管
30温熱付与手段
31 温度調整部
33 ポンプ
38 戻し管路
39 3方向切換え電磁弁
40温度センサ
41 制御部
42所定温度記憶手段
43 切換え作動手段
Ta高温期所定温度
Tb低温期所定温度
Tx,Ty 熱交換部材の温度

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