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技術 ポリエステル樹脂組成物及びそれからなるブロー成形品

出願人 ユニチカ株式会社日本エステル株式会社
発明者 種田祐路谷奥千晶日高康樹
出願日 2014年9月5日 (6年10ヶ月経過) 出願番号 2014-181435
公開日 2015年10月1日 (5年9ヶ月経過) 公開番号 2015-172175
状態 特許登録済
技術分野 ポリエステル、ポリカーボネート プラスチック等のブロー成形,熱成形 高分子組成物
主要キーワード 共重合ポリエステル樹脂組成物 成形機械 再生材 ヒンダードフェノール系抗酸化剤 除湿乾燥機 最終圧力 ダイレクトブロー成形品 中空容器
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重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年10月1日)のものです。
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課題

ダイレクトブロー成形時にドローダウン結晶化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性に優れたダイレクトブロー成形品生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供する。

解決手段

エチレンテレフタレート単位主体とし、副成分としてイソフタル酸を0.5〜8モル%、かつ1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.5〜10モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であるブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。

概要

背景

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性化学的定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシートフィルム容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料果汁飲料液体調味料食用油、酒、ワイン用等の中空容器ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。

一般に、プラスチック製のボトルなどを製造するにあたっては、成形容易性高生産性成形機械金型などの設備費が比較的安くてすむなどの点から、溶融可塑化した樹脂ダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むいわゆるダイレクトブロー成形法が採用されている。そして、このダイレクトブロー成形による場合は、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンするのを回避する必要があり、そのため、使用樹脂に高い溶融粘度が要求される。したがって、高い溶融粘度を有する樹脂として、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などがダイレクトブロー成形においては広く用いられている。

ダイレクトブロー成形品においても塩化ビニル樹脂からポリエステル樹脂への置き換えが検討されているが、ポリエステル樹脂は、一般にダイレクトブロー成形に適する高い溶融粘度を有していない。このため、押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンし、吹き込み成形が行えないという問題があり、また、ブロー時に結晶化が起こりやすいため、成形が可能であっても白化が生じ、透明性が不十分になるという問題があった。

透明性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレートに他のモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が提案されている。これにより結晶化は抑制できるが、それだけでは溶融粘度を上昇させることができない。そこで、3官能以上の多価カルボン酸多価アルコールによる架橋の手段により高粘度化させ、ドローダウンの問題を解決する方法が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような架橋の手段により高粘度化させると、成形性は向上するものの、多価カルボン酸や多価アルコールの量が多い場合は、ゲル化しやすく、熱安定性に劣り、得られる成形品は色調や透明性、耐衝撃性に劣るという問題があった。

概要

ダイレクトブロー成形時にドローダウンや結晶化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性に優れたダイレクトブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供する。エチレンテレフタレート単位主体とし、副成分としてイソフタル酸を0.5〜8モル%、かつ1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.5〜10モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であるブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。なし

目的

効果

実績

技術文献被引用数
2件
牽制数
2件

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請求項1

エチレンテレフタレート単位主体とし、副成分としてイソフタル酸を0.5〜8モル%、かつ1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.5〜10モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であることを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂組成物

請求項2

重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下である、請求項1記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。

請求項3

請求項1又は2に記載のポリエステル樹脂組成物からなるブロー成形品

技術分野

0001

本発明は、ポリエステル樹脂中に特定の化合物を含有するポリエステル樹脂組成物であって、色調、透明性、耐衝撃性に優れたブロー成形品生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物に関するものである。

背景技術

0002

ポリエチレンテレフタレート(PET)は、機械的特性化学的定性、透明性等に優れ、かつ、安価であり、各種のシートフィルム容器等として幅広く用いられており、特に昨今では、炭酸飲料果汁飲料液体調味料食用油、酒、ワイン用等の中空容器ボトル)用途の伸びが著しい。しかも、塩化ビニル樹脂製中空成形品におけるような残留モノマーや有害添加剤心配が少なく、衛生性及び安全性が高い点から、従来の塩化ビニル樹脂などからなるボトルからの置き換えも進んでいる。

0003

一般に、プラスチック製のボトルなどを製造するにあたっては、成形容易性高生産性成形機械金型などの設備費が比較的安くてすむなどの点から、溶融可塑化した樹脂ダイオリフィスを通して押出して円筒状のパリソンを形成し、これを金型に挟んで内部に空気を吹き込むいわゆるダイレクトブロー成形法が採用されている。そして、このダイレクトブロー成形による場合は、成形を円滑に行うために、溶融状態で押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンするのを回避する必要があり、そのため、使用樹脂に高い溶融粘度が要求される。したがって、高い溶融粘度を有する樹脂として、塩化ビニル樹脂やポリオレフィン樹脂などがダイレクトブロー成形においては広く用いられている。

0004

ダイレクトブロー成形品においても塩化ビニル樹脂からポリエステル樹脂への置き換えが検討されているが、ポリエステル樹脂は、一般にダイレクトブロー成形に適する高い溶融粘度を有していない。このため、押出されたパリソンが吹き込み成形時にドローダウンし、吹き込み成形が行えないという問題があり、また、ブロー時に結晶化が起こりやすいため、成形が可能であっても白化が生じ、透明性が不十分になるという問題があった。

0005

透明性を向上させるために、ポリエチレンテレフタレートに他のモノマー成分を共重合したポリエステル樹脂が提案されている。これにより結晶化は抑制できるが、それだけでは溶融粘度を上昇させることができない。そこで、3官能以上の多価カルボン酸多価アルコールによる架橋の手段により高粘度化させ、ドローダウンの問題を解決する方法が提案されてきた(例えば特許文献1参照)。しかしながら、このような架橋の手段により高粘度化させると、成形性は向上するものの、多価カルボン酸や多価アルコールの量が多い場合は、ゲル化しやすく、熱安定性に劣り、得られる成形品は色調や透明性、耐衝撃性に劣るという問題があった。

先行技術

0006

特許第3173753号公報

発明が解決しようとする課題

0007

本発明は、上記の問題点を解決し、ブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性、耐衝撃性に優れたブロー成形品を生産性よく得ることができるポリエステル樹脂組成物を提供しようとするものであり、また、本発明の樹脂組成物からなるブロー成形品を提供しようとするものである。

課題を解決するための手段

0008

本発明者は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)〜(3)を要旨とするものである。
(1)エチレンテレフタレート単位主体とし、副成分としてイソフタル酸を0.5〜8モル%、かつ1,4−シクロヘキサンジメタノールを0.5〜10モル%含有するポリエステル樹脂を主成分とし、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有する樹脂組成物であって、極限粘度(IV)が0.7〜1.5であることを特徴とするブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
(2)重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であり、かつカルボキシル末端基濃度が20当量/t以下である、請求項1記載のブロー成形用ポリエステル樹脂組成物。
(3)(1)又は(2)に記載のポリエステル樹脂組成物からなるブロー成形品。

発明の効果

0009

本発明のポリエステル樹脂組成物は、特定の組成からなるポリエステルを用い、かつ特定の化合物を含有しており、ブロー成形用に適した極限粘度を有するものであるため、ブロー成形時にドローダウンや結晶化による白化の問題が生じることなく、熱安定性にも優れており、色調、透明性、さらには耐衝撃性にも優れたブロー成形品を生産性よく得ることができる。
そして、本発明のブロー成形品は、色調、透明性、耐衝撃性に優れているため、種々の用途に用いることができる。

0010

以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のポリエステル樹脂組成物におけるポリエステル樹脂は、エチレンテレフタレート単位を主体とするものであり、副成分としてイソフタル酸と1,4−シクロヘキサンジメタノール(以下、CHDMと称することがある)の両成分を含有するものである。
つまり、本発明におけるポリエステル樹脂は、イソフタル酸とCHDMとを共重合したポリエチレンテレフタレート、もしくは、イソフタル酸を共重合したポリエチレンテレフタレートと、CHDMを共重合したポリエチレンテレフタレートとを混合したもののいずれであってもよい。

0011

ポリエステル樹脂中にイソフタル酸とCHDMの両成分を適量含有することによって、得られるブロー成形品の耐衝撃性を向上させることができる。

0012

イソフタル酸の含有量は、0.5〜8モル%であり、中でも1〜6モル%であることが好ましい。イソフタル酸を含有(共重合)することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐことができる。そして、後述するように、耐衝撃性を向上させる効果は主にCHDMを添加することによるものであるが、この耐衝撃性の向上効果をより優れたものにすることが可能となる。
イソフタル酸の含有量が上記の範囲外のものであると、結晶化速度の調整ができず、また、耐衝撃性の向上効果をより優れたものにすることができない。

0013

ポリエステル樹脂中のテレフタル酸の割合は、50〜99モル%であることが好ましく、中でもテレフタル酸の割合は70〜98モル%であることが好ましい。テレフタル酸の割合が50モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすい。一方、テレフタル酸の割合が99モル%を超えると、イソフタル酸の共重合量が少なくなるため、結晶化速度の調整ができず、また、耐衝撃性の向上効果をより優れたものにすることができない。

0014

テレフタル酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分としては、フタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸無水フタル酸ナフタレンジカルボン酸アジピン酸セバシン酸ダイマー酸等が挙げられ、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、これらを2種類以上併用してもよく、これらの酸のエステル形成性誘導体を使用してもよい。

0015

また、CHDMの含有量は、0.5〜10モル%であり、中でも1〜8モル%であることが好ましい。CHDMを含有(共重合)することにより、ポリエステル樹脂の結晶化速度をブロー成形に適したものに調整することができ、ブロー成形時の結晶化による白化を防ぐことができる。そして、得られるブロー成形品の耐衝撃性を向上させることができる。
CHDMの含有量が上記の範囲外のものであると、結晶化速度の調整ができず、また、得られるブロー成形品の耐衝撃性を向上させることができない。

0016

ポリエステル樹脂中のエチレングリコールの割合は、70〜98モル%であることが好ましく、中でも85〜97モル%であることが好ましい。エチレングリコールとCHDM以外のグリコール成分としては、例えば、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサメチレンジオールジエチレングリコールビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物ダイマージオールなどを挙げることができる。

0017

グリコール成分のエチレングリコールの割合が70モル%未満であると、樹脂組成物の結晶性が低下し、非晶性のものとなりやすいため、好ましくない。エチレングリコールの割合が98モル%を超えると、CHDMの共重合量が少なくなるため、結晶化速度を調整することが困難となり、また得られるブロー成形品の耐衝撃性を向上させることが困難となる。

0018

本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記のようなポリエステル樹脂を主成分とするものであり、樹脂組成物中の上記のようなポリエステル樹脂の割合は、90質量%以上であることが好ましく、中でも96質量%以上であることが好ましく、さらには99質量%以上であることが好ましい。

0019

そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を0.05〜1.0質量%含有するものであり、中で0.1〜0.8質量%含有することが好ましい。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤は、ポリエステル樹脂の重合反応工程中に添加することが好ましい。重合反応工程中に添加することで、該化合物の一部がポリエステル樹脂中に共重合される。これにより、ポリエステル樹脂中に分子鎖絡み合いが生じ、架橋に似た状態が生じるものと想定され、ポリエステル樹脂の溶融粘度を高くすることができ、後述する重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)を特定範囲のものにすることが可能となる。

0020

また、ヒンダードフェノール系抗酸化剤としては、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニルプロピオネートテトラキスメチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタントリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジルイソシアヌレート、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、トリエチレングリコールビス〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9−ビス{2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕−1,1’−ジメチルエチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、架橋に似た状態を生じやすく、コスト的にも有利であることから、テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。

0021

また、本発明の樹脂組成物中に、ヒンダードフェノール系抗酸化剤を含有することによって、樹脂組成物の熱安定性が向上し、得られる成形体は、色調や透明性に優れたものとなる。

0022

ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が0.05質量%未満では、上記したような分子鎖の絡みが生じた樹脂組成物とならないため、樹脂組成物の溶融粘度を高くすることが困難となり、ブロー成形時のパリソンのドローダウンを防ぐことができない。また、後述する重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)を特定範囲のものにすることも困難となる。さらには、樹脂組成物の熱安定性が向上せず、得られる成形体は耐熱性、色調や透明性に劣ったものとなる。

0023

一方、含有量が1.0質量%を超えると、成形時に押出しダイ出口での樹脂組成物の膨張が大きくなりすぎ、得られる成形品は表面が荒れ光沢感が損なわれたものとなる。また、樹脂組成物の溶融粘度が高くなりすぎ、成形時に成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調が悪くなる。さらに、熱安定性を向上させる効果は飽和し、コスト的に不利となる。

0024

そして、本発明のポリエステル樹脂組成物は、極限粘度(IV)が、0.7〜1.5であることが必要であり、中でも0.75〜1.3であることが好ましく、ダイレクトブロー成形用に用いる際には、0.9〜1.3であることが好ましい。なお、極限粘度(IV)は、フェノール四塩化エタンとの等質量混合物溶媒として、温度20℃で測定するものである。

0025

極限粘度が0.7未満の場合は、樹脂組成物の粘度が低いため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になる。一方、極限粘度が1.5を超える場合は、成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調や透明性が悪くなる。また、ブロー成形時に押出しダイ出口での樹脂の膨張が大きくなる傾向があるため好ましくない。

0026

さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であることと、カルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であることの両者を満足することが好ましい。
重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲内であると、ブロー成形に適した粘性を有するものとなる。ただし、成形前には重量平均分子量と数平均分子量の比が上記範囲内であったとしても、ブロー成形時の熱処理により樹脂の熱分解が生じた場合、成形時にドローダウンが生じ、成形が困難となったり、成形品が得られたとしても厚みムラの生じたものとなる。そこで、このような成形時の熱処理による樹脂の熱分解が生じないようにするために、カルボキシル末端基濃度を20当量/t以下とすることが好ましい。

0027

まず、本発明のポリエステル樹脂組成物は、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9〜2.5であることが好ましく、中でも2.0〜2.4であることが好ましい。
重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が1.9未満の場合、樹脂中の分子鎖の絡み合いや、架橋密度不足するため、ブロー成形に適した粘性を有するものとすることが困難となる。このため、ブロー成形時にパリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなりやすい。

0028

一方、重量平均分子量と数平均分子量の比(重量平均分子量/数平均分子量)が2.5を超える場合は、粘性が高くなっているため、成形温度を上げる必要があり、得られる成形品の色調や透明性が悪くなりやすい。また、成形温度を高くすることによって、樹脂の熱分解が促進されるため、パリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなりやすい。さらに、端材再生材として再びブロー成形に供すると、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じやすく、安定的な生産が困難となり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなりやすい。

0029

なお、重量平均分子量と数平均分子量の比を上記範囲のものとする手段は限定されるものではないが、前述したヒンダードフェノール系抗酸化剤をポリエステル樹脂の重合反応時に添加する方法や、ヒンダードフェノール系抗酸化剤をポリエステル樹脂に溶融混練により添加する等が挙げられる。

0030

さらに、本発明のポリエステル樹脂組成物は、カルボキシル末端基濃度が20当量/t以下であることが必要であり、中でも18当量/t以下であることが好ましい。ポリエステル樹脂組成物のカルボキシル末端基濃度を20当量/t以下とすることによって、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じることがなく、安定した成形が可能となる。また、リサイクル性にも優れたものとなる。

0031

カルボキシル末端基濃度が20当量/tを超える場合は、たとえ、樹脂の極限粘度や重量平均分子量と数平均分子量の比が上記したような範囲のものであったとしても、ブロー成形時の熱処理によって樹脂の熱分解が生じ、このため、パリソンのドローダウンが大きくなり、成形が困難になったり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなりやすい。

0032

また、得られる成形品もカルボキシル末端基濃度が増加したものとなっているため、成形時に発生する端材もカルボキシル末端基濃度が高いものとなっている。このため、端材を再生材として再びブロー成形に供すると、ブロー成形時に樹脂の熱分解が生じ、安定的な生産が困難となり、得られる成形品は厚みムラが生じたものとなる。

0033

次に、本発明のポリエステル樹脂組成物中には、ゲルマニウム化合物が、ポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10−5モル〜3.0×10−4モル含有されていることが好ましく、中でも6×10−5モル〜2.0×10−4モル含有されていることが好ましい。
ゲルマニウム化合物はポリエステル樹脂を得る際に重合触媒として使用されるものであり、ゲルマニウム化合物の含有量が5×10−5モル未満であると、目標重合度のポリエステル樹脂が得られない、あるいは、重合反応において重合時間が長くなり、その結果、得られるポリエステル樹脂の色調が悪くなる。一方、3.0×10−4モルを超えても、重合触媒としての効果は飽和し、コスト的に不利となる。

0034

ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム四塩化ゲルマニウムゲルマニウムテトラエトキシド等が挙げられ、重合触媒活性、得られるポリエステル樹脂の物性及びコストの点から、二酸化ゲルマニウムが好ましい。

0035

次に、本発明のポリエステル樹脂組成物の製造方法について説明する。本発明におけるポリエステル樹脂組成物は、エステル化反応溶融重合反応及び固相重合反応工程を経て得られるものであることが好ましい。エステル化反応と溶融重合反応のみでは、目標の極限粘度のポリエステル樹脂組成物を得ることが困難となる。得られたとしても、溶融重合反応の反応時間が長くなり、得られるポリエステル樹脂組成物は色調が悪いものとなる。

0036

具体的には、例えば、次のような方法で製造することができる。
イソフタル酸を共重合したポリエステル樹脂と、CHDMを共重合したポリエステル樹脂をそれぞれ得たのち、これらのポリエステル樹脂をブレンドする方法について説明する。
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸及びイソフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコールを所定の割合でエステル化反応器仕込み、所定の温度でエステル化反応を行った後、重合反応器に移し、重合触媒や添加剤を添加し、所定の温度で溶融重合反応を行い、プレポリマーを得る。得られたプレポリマーを用いて、固相重合反応を行い、目標の極限粘度のイソフタル酸を共重合したポリエステル樹脂を得る。

0037

CHDM共重合ポリエステル樹脂は、酸成分としてテレフタル酸あるいはそのエステル形成性誘導体、グリコール成分としてエチレングリコール及びCHDMを所定の割合でエステル化反応器に仕込み、エステル化反応を行った後、重合反応器に移し、重合触媒や添加剤を添加し、溶融重合反応を行い、プレポリマーを得る。得られたプレポリマーを用いて、固相重合反応を行い、目標の極限粘度のCHDMを共重合したポリエステル樹脂を得る。
これら2種類の共重合ポリエステル樹脂をブレンドする方法は、単軸あるいは二軸押出機で温度250〜300℃の範囲で練り込む方法で行う。

0038

なお、本発明のポリエステル樹脂組成物は、上記したように、特にブロー成形に適したものであるが、射出成形延伸法を採用しても、色調、透明性、耐衝撃性に優れた成形品(射出成形体、シート、フィルム等)を得ることができる。

0039

次に、本発明のブロー成形品は、本発明のポリエステル樹脂組成物からなるものである。本発明のブロー成形品は、汎用のダイレクトブロー成形機や延伸ブロー成形機を用いて製造することが可能であり、成形機シリンダー各部及びノズルの温度は、230〜280℃の範囲とするのが好ましい。

0040

次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、実施例中の各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
前記と同様の方法で測定した。
(b)共重合成分の共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量
得られた樹脂組成物を、重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA−400型NMR装置にて1H−NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンピーク積分強度から、共重合量と含有量を求めた。

0041

(c)成形性
得られたポリエステル樹脂組成物を用い、
得られた成形品(サンプル数100本)の胴部の厚さを測定し、最厚部と最薄部の厚さの差が0.30mmまでのものを合格とし、合格のサンプル数を示した。合格のサンプル数が90本以上であるものを○、90本未満であるものを×とした。
(d)リサイクル性
得られた成形品を粉砕機粉砕した粉砕品50質量部、各例にて得られたポリエステル樹脂50質量部をブレンドし、除湿乾燥機投入し乾燥した後、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形を行い、成形品を得た。得られた成形品(サンプル数100本)につき、(c)と同様にして成形性を評価した。

0042

(e)色調
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、日本電色工業社製の色差計ND−Σ80型を用いて、サンプル片の色調を測定した。色調の判定はハンターのLab表色計で行い、b値を測定し、n数20の平均値とした。なお、b値が2.0以下を色調良好であると判定した。
(f)ヘーズ
得られた成形品から切り出してサンプル片(20個)を作成し、濁度を日本電色工業社製の濁度計ODEL 1001DPで測定し(空気:ヘーズ0%)、n数20の平均値とした。この値が小さいほど透明性が良好であり、5%以下であれば透明性に優れていると判定した。

0043

(g)耐衝撃性
得られた成形品(サンプル数100本)に、水道水500mlを充填し、室温下にて、Pタイル上に、100cmの高さから、成形品の底面を下向き、側面を下向きにして成形品を1回ずつ落下させた。このとき割れなかった成形品の本数で耐衝撃性を評価した。なお、割れなかった成形品の本数が95本以上を合格と判定した。

0044

実施例1
〔イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物46.2質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液6.5質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤〔ADEKA社製「アデカスタブAO-60」:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)〕0.12質量部を、それぞれ加え、反応器減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、15時間固相重合し、表1に示す組成、極限粘度のイソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。

0045

〔CHDM共重合ポリエステル樹脂組成物〕
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。TPAとEGの反応生成物50.3質量部を重合反応器に仕込み、続いて、CHDM1.4質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤〔ADEKA社製「アデカスタブAO-60」:テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン)〕0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、15時間固相重合し、表1に示す組成、極限粘度のCHDM共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。

0046

〔ブレンドしたポリエステル樹脂組成物〕
上記の2種類の共重合ポリエステル樹脂組成物を乾燥させた後、二軸押し出し機(東機械社製:TEM26SS)に、等量ずつ投入し、温度280℃にて練り込み、ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、このポリエステル樹脂組成物を用い、乾燥させた後、ダイレクトブロー成形機(タハラ社製)を用いて、押出温度260℃、パリソン径3cmで長さが25cmとなったところで成形し、500ccの中空容器を得た。

0047

実施例2〜7、比較例1〜6
イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物におけるイソフタル酸の共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量及び極限粘度、CHDM共重合ポリエステル樹脂組成物におけるCHDMの共重合量、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量及び極限粘度、イソフタル酸共重合ポリエステル樹脂組成物とCHDM共重合ポリエステル樹脂組成物の質量比を表1の値となるように組成を変更した以外は、実施例1と同様にして、ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られた樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品を得た。

0048

実施例1〜7及び比較例1〜6で得られたポリエステル樹脂組成物の組成、極限粘度、成形性・リサイクル性の評価及び成形品の色調、ヘーズ、耐衝撃性の評価結果を表1に示す。

0049

実施例8
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%の反応生成物(数平均重合度:5)を得た。
別のエステル化反応缶に、イソフタル酸(IPA)とエチレングリコールとからなるスラリー(IPA/EGモル比=1/3.1)を仕込み、温度200℃で3時間エステル化反応を行い、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液を得た。
TPAとEGの反応生成物47.2質量部を重合反応器に仕込み、続いて、イソフタル酸とエチレングリコールの反応溶液3.2質量部、CHDM0.7質量部、重合触媒として二酸化ゲルマニウム0.008質量部、ヒンダードフェノール系抗酸化剤(ADEKA社製:アデカスタブAO-60)0.12質量部を、それぞれ加え、反応器を減圧にして60分後に最終圧力0.9hPa、温度280℃で4時間、溶融重合反応を行い、共重合ポリエステルのプレポリマーを得た。
このプレポリマーの極限粘度は、0.72であった。このプレポリマーを150℃で5時間予備乾燥した後、窒素気流中で210℃、15時間固相重合し、表2に示す組成、極限粘度のIPA及びCHDM共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品を得た。

0050

比較例7、8
ポリエステル樹脂組成物におけるIPA、BAEOの共重合量が表2の値となるように仕込み量を変更した以外は、実施例6と同様にして、共重合ポリエステル樹脂組成物を得た。
そして、得られたポリエステル樹脂組成物を用い、実施例1と同様にしてダイレクトブロー成形品を得た。

0051

実施例8及び比較例7、8で得られたポリエステル樹脂組成物の組成、極限粘度、成形性・リサイクル性の評価及び成形品の色調、ヘーズ、耐衝撃性の評価結果を表2に示す。

0052

0053

0054

表1、2から明らかなように、実施例1〜8で得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が本発明で規定する範囲内のものであり、熱安定性に優れていたため、結晶化による白化の問題が生じることなく、操業性よくダイレクトブロー成形を行うことができた。そして、得られたダイレクトブロー成形品(容器)は成形性の評価が高く、着色がなく色調に優れ、かつ透明性も良好なものであった。

0055

一方、比較例1で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が少なかったため、ダイレクトブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなった。比較例2では、イソフタル酸の共重合量が多かったため、固相重合時に融着が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。このため、溶融重合で得られたプレポリマーを使用した。その結果、得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が低いものとなり、成形性に劣るものであった。また、耐衝撃性も低かった。比較例3で得られたポリエステル樹脂組成物は、CHDMの共重合量が少なかったため、ダイレクトブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなった。また、耐衝撃性も低かった。比較例4では、CHDMの共重合量が多かったため、固相重合時に融着が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。このため、溶融重合で得られたプレポリマーを使用した。その結果、得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が低いものとなり、成形性に劣るものであった。また、耐衝撃性も低かった。

実施例

0056

比較例5で得られたポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が少なかったため、成形時のパリソンのドローダウンが大きかったため、成形品は最厚部と最薄部との差が大きいものとなり、成形性に劣るものとなった。また、ポリエステルの熱安定性も劣り、色調も悪く、リサイクル性も低いものとなった。比較例6で得られたポリエステル樹脂組成物は、ヒンダードフェノール系抗酸化剤の含有量が多かったため、成形時に押出しダイ出口での樹脂組成物の膨張が大きくなりすぎ、得られた成形品は表面が荒れて透明性が損なわれたものとなり、さらには色調にも劣るものとなった。比較例7で得られたポリエステル樹脂組成物は、イソフタル酸の共重合量が多かったため、固相重合時に融着が起こり、ポリエステルを得ることができなかった。このため、溶融重合で得られたプレポリマーを使用した。その結果、得られたポリエステル樹脂組成物は、極限粘度が低いものとなり、成形性に劣るものであった。また、耐衝撃性も低かった。比較例8で得られたポリエステル樹脂組成物は、CHDMの共重合量が少なかったため、ダイレクトブロー成形した際に、成形品が結晶化して白化し、透明性に劣るものとなった。また、耐衝撃性も低かった。

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