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技術 水中投下用樹脂成型体

出願人 東洋製罐グループホールディングス株式会社
発明者 吉川成志片山傳喜
出願日 2014年3月11日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2014-047570
公開日 2015年10月1日 (5年1ヶ月経過) 公開番号 2015-172107
状態 特許登録済
技術分野 さく井用組成物 地中削孔 高分子組成物
主要キーワード 押出成型体 水圧破砕 生産障害 仕上げ流体 地下資源 圧縮成型体 根詰まり 成型直後
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (1)

課題

加水分解性樹脂の特性を損なうことなく、その水に対する混合作業を容易に行うことができ水中投下用の樹脂成型体を提供する。

解決手段

水溶性樹脂からなるマトリックス中に加水分解性樹脂が分散している分散構造を有する。

概要

背景

地下資源採取のために、水圧破砕法ロータリー式掘削法、ライザーレス掘削法等の坑井掘削法が現在広く採用されている。
ロータリー式掘削法では、泥水還流しながらドリルにより掘削して坑井が形成され、仕上げ流体として、逸水防止剤が配合されているものが用いられ、坑井の壁面に壁と呼ばれるフィルターケーキが形成される。このケーキにより、坑壁を安定的に保って崩壊を防いだり、坑井を流れる流体との摩擦軽減がなされる。
また水圧破砕法は、坑井内を満たした流体を高圧加圧することにより、坑井近傍に亀裂(フラチュア)を生成せしめ、坑井近傍の浸透率(流体の流れ易さ)を改善し、坑井へのオイルガスなどの資源の有効な流入断面を拡大し、坑井の生産性を拡大するというものである。

ところで、前述した仕上げ流体に配合される逸水防止剤としては、炭酸カルシウムや各種塩類顆粒が主に用いられているが、このような逸水防止剤の使用は、これを取り除く際に酸処理を必要とすることや、資源を採掘しようとする地層根詰まりして生産障害をもたらすという問題がある。
また水圧破砕法で用いられる流体は、フラクチュアリング流体とも呼ばれ、古くはジェル状ガソリンのような粘性流体が使用されていたが、最近では、比較的浅いところに存在する頁岩層から産出するシェールガスなどの開発に伴い、環境に対する影響を考慮し、水にポリマーを溶解乃至分散させた水性分散液が使用されるようになってきた。このようなポリマーとしては、ポリ乳酸ポリグリコール酸に代表される加水分解性樹脂が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、本出願人も、特願2012−271084号や特願2012−254682号等により、掘削に際して使用される上記の水分散液にポリ乳酸、ポリオキサレート、ポリグリコール酸などの使用を提案している。

即ち、ポリ乳酸等の加水分解性樹脂は、加水分解性と共に生分解性を示し、地中に残存したとしても、地中の水分や酵素微生物により分解するため環境に対して悪影響を与えることがない。また、分散媒として用いられている水も、ガソリンなどと比較すれば、環境に対する影響はほとんどないといってよい。
また、このような加水分解性樹脂の水分分散液を坑井中に満たし、これを加圧したとき、加水分解性樹脂が坑井近傍に浸透していくが、かかる樹脂加水分解して樹脂の形態を失っていくこととなり、この樹脂が浸透していた部分に空間(即ち、亀裂)が生成し、従って、坑井への資源の流入空間を増大することが可能となるわけである。
さらに、加水分解性樹脂は、逸水防止剤としても機能し、分散媒として使用されている水の地中への過度の浸透を抑制するため、地層に与える環境変化を最小限に抑制するという利点を有する。また、地中で分解するため酸処理も不要となる。
加えるに、加水分解性樹脂の加水分解により酸が放出され、放出された酸がシェール層を酸浸食し、この結果、シェール層の多孔化を促進するという性質も有している。

ところで、地下資源の採掘などに使用される上記の分散液は、坑井を満たすように使用されるため、著しく多量の分散液が一度に使用される。さらに、地下資源の採掘現場は、樹脂等の製造現場とはかなり離れた場所にあることが通常である。従って、加水分解性樹脂の水分散液を掘削のために使用する場合、かかる分散液は、採掘現場で調整されることとなる。即ち、採掘現場で粉末状の加水分解性樹脂と水とを混合するわけである。

従って、加水分解性樹脂と水との混合作業を容易に且つ安全に行うことが求められる。即ち、採掘現場では、通常の生産工場内での混合作業とは異なり、室外で行われる場合がほとんどであり、混合作業を行う者は現場作業員であり、しかも、加水分解性樹脂は粉末の形態で供給されるため、粉塵飛散の問題を生じ易いからである。

従って、地下資源の採掘に使用するという観点からは、加水分解性樹脂の特性を維持しつつ、粉塵飛散などを生じることなく、水と容易に混合し得るという性能が要求される。さらに地上で投入する際は成型体であるが、坑井内に注入される際は、成型体は崩壊しており、加水分解性樹脂が液中に分散した形態となる。加水分解性樹脂について、このような性能の検討は全くなされていないのが実情である。

例えば、特許文献3には、ポリ乳酸等の加水分解性樹脂とポリアクリル酸或いはポリエチレングリコールとを溶融混練して加水分解性樹脂を含む複合粒子を得ることが開示されているが、この複合粒子は、強度の高い加水分解性樹脂粒子を製造する際に中間物質として得られるものに過ぎず、採掘現場での作業性を改善するために製造されるものではない。事実、この複合粒子は、本発明者等による研究によると、採掘現場に求められるような作業性は有していない。粉塵飛散などを生じることなく、水に混合することができたとしても、混合前に加水分解性樹脂の分解等による性能低下を生じるなどの問題は発生してしまう。

また、特許文献4には、100質量部のポリグリコール酸(PGA)と1〜25質量部の水溶性高分子とを含むポリグリコール酸組成物が提案されているが、かかる技術は、アルカリ水溶液に浸漬することによって短時間でPGAを分解することを目的として開発されたものであって、やはり採掘現場に求められるような性能は有していない。

概要

加水分解性樹脂の特性を損なうことなく、その水に対する混合作業を容易に行うことができ水中投下用の樹脂成型体を提供する。水溶性樹脂からなるマトリックス中に加水分解性樹脂が分散している分散構造を有する。なし

目的

本発明の目的は、加水分解性樹脂の特性を損なうことなく、その水に対する混合作業を容易に行うことができる水中投下用の樹脂成型体を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

水溶性樹脂からなるマトリックス中に加水分解性樹脂が分散している分散構造を有する水中投下用樹脂成型体

請求項2

前記水溶性樹脂として、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールが使用される請求項1に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項3

前記加水分解性樹脂として、生分解性ポリエステルが使用されている請求項2に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項4

前記加水分解性樹脂として、ポリ乳酸ポリヒドロキシアルカノエートポリオキサレートポリグリコール酸ポリブチレンサクシネートポリブチレンサクシネートアジペートポリカプロラクトンの少なくとも1つが使用されている請求項3に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項5

前記加水分解性樹脂が粒状または繊維状の形態を有している請求項1に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項6

前記加水分解性樹脂が、10〜1000μmの粒径を有する粒状物の形態で分散している請求項4に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項7

前記加水分解性樹脂が、0.1〜20デニール及び2〜25mmの繊維長を有する繊維状の形態で分散している請求項4に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項8

加水分解性樹脂100重量部当たり、10〜150重量部の量で前記水溶性樹脂のマトリックスを含んでいる請求項1に記載の水中投下用樹脂成型体。

請求項9

加水分解樹脂粒子と水溶性樹脂との混合物を、加水分解性樹脂粒子融点未満の温度で成型することを特徴とする請求項1に記載の水中投下用樹脂成型体の製造方法。

請求項10

前記成型を、圧縮成形または押出成形により行う請求項9に記載の製造方法。

技術分野

0001

本発明は、加水分解性樹脂からなる、水中に投下することにより、水に分散させて使用に供される水中投下型樹脂成型体に関する。

背景技術

0002

地下資源採取のために、水圧破砕法ロータリー式掘削法、ライザーレス掘削法等の坑井掘削法が現在広く採用されている。
ロータリー式掘削法では、泥水還流しながらドリルにより掘削して坑井が形成され、仕上げ流体として、逸水防止剤が配合されているものが用いられ、坑井の壁面に壁と呼ばれるフィルターケーキが形成される。このケーキにより、坑壁を安定的に保って崩壊を防いだり、坑井を流れる流体との摩擦軽減がなされる。
また水圧破砕法は、坑井内を満たした流体を高圧加圧することにより、坑井近傍に亀裂(フラチュア)を生成せしめ、坑井近傍の浸透率(流体の流れ易さ)を改善し、坑井へのオイルガスなどの資源の有効な流入断面を拡大し、坑井の生産性を拡大するというものである。

0003

ところで、前述した仕上げ流体に配合される逸水防止剤としては、炭酸カルシウムや各種塩類顆粒が主に用いられているが、このような逸水防止剤の使用は、これを取り除く際に酸処理を必要とすることや、資源を採掘しようとする地層根詰まりして生産障害をもたらすという問題がある。
また水圧破砕法で用いられる流体は、フラクチュアリング流体とも呼ばれ、古くはジェル状ガソリンのような粘性流体が使用されていたが、最近では、比較的浅いところに存在する頁岩層から産出するシェールガスなどの開発に伴い、環境に対する影響を考慮し、水にポリマーを溶解乃至分散させた水性分散液が使用されるようになってきた。このようなポリマーとしては、ポリ乳酸ポリグリコール酸に代表される加水分解性樹脂が知られている(特許文献1、特許文献2参照)。
また、本出願人も、特願2012−271084号や特願2012−254682号等により、掘削に際して使用される上記の水分散液にポリ乳酸、ポリオキサレート、ポリグリコール酸などの使用を提案している。

0004

即ち、ポリ乳酸等の加水分解性樹脂は、加水分解性と共に生分解性を示し、地中に残存したとしても、地中の水分や酵素微生物により分解するため環境に対して悪影響を与えることがない。また、分散媒として用いられている水も、ガソリンなどと比較すれば、環境に対する影響はほとんどないといってよい。
また、このような加水分解性樹脂の水分分散液を坑井中に満たし、これを加圧したとき、加水分解性樹脂が坑井近傍に浸透していくが、かかる樹脂加水分解して樹脂の形態を失っていくこととなり、この樹脂が浸透していた部分に空間(即ち、亀裂)が生成し、従って、坑井への資源の流入空間を増大することが可能となるわけである。
さらに、加水分解性樹脂は、逸水防止剤としても機能し、分散媒として使用されている水の地中への過度の浸透を抑制するため、地層に与える環境変化を最小限に抑制するという利点を有する。また、地中で分解するため酸処理も不要となる。
加えるに、加水分解性樹脂の加水分解により酸が放出され、放出された酸がシェール層を酸浸食し、この結果、シェール層の多孔化を促進するという性質も有している。

0005

ところで、地下資源の採掘などに使用される上記の分散液は、坑井を満たすように使用されるため、著しく多量の分散液が一度に使用される。さらに、地下資源の採掘現場は、樹脂等の製造現場とはかなり離れた場所にあることが通常である。従って、加水分解性樹脂の水分散液を掘削のために使用する場合、かかる分散液は、採掘現場で調整されることとなる。即ち、採掘現場で粉末状の加水分解性樹脂と水とを混合するわけである。

0006

従って、加水分解性樹脂と水との混合作業を容易に且つ安全に行うことが求められる。即ち、採掘現場では、通常の生産工場内での混合作業とは異なり、室外で行われる場合がほとんどであり、混合作業を行う者は現場作業員であり、しかも、加水分解性樹脂は粉末の形態で供給されるため、粉塵飛散の問題を生じ易いからである。

0007

従って、地下資源の採掘に使用するという観点からは、加水分解性樹脂の特性を維持しつつ、粉塵飛散などを生じることなく、水と容易に混合し得るという性能が要求される。さらに地上で投入する際は成型体であるが、坑井内に注入される際は、成型体は崩壊しており、加水分解性樹脂が液中に分散した形態となる。加水分解性樹脂について、このような性能の検討は全くなされていないのが実情である。

0008

例えば、特許文献3には、ポリ乳酸等の加水分解性樹脂とポリアクリル酸或いはポリエチレングリコールとを溶融混練して加水分解性樹脂を含む複合粒子を得ることが開示されているが、この複合粒子は、強度の高い加水分解性樹脂粒子を製造する際に中間物質として得られるものに過ぎず、採掘現場での作業性を改善するために製造されるものではない。事実、この複合粒子は、本発明者等による研究によると、採掘現場に求められるような作業性は有していない。粉塵飛散などを生じることなく、水に混合することができたとしても、混合前に加水分解性樹脂の分解等による性能低下を生じるなどの問題は発生してしまう。

0009

また、特許文献4には、100質量部のポリグリコール酸(PGA)と1〜25質量部の水溶性高分子とを含むポリグリコール酸組成物が提案されているが、かかる技術は、アルカリ水溶液に浸漬することによって短時間でPGAを分解することを目的として開発されたものであって、やはり採掘現場に求められるような性能は有していない。

先行技術

0010

USP7,833,950
WO2012−050187
特開2002−363291号
特開2012−149205号

発明が解決しようとする課題

0011

従って、本発明の目的は、加水分解性樹脂の特性を損なうことなく、その水に対する混合作業を容易に行うことができる水中投下用の樹脂成型体を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明によれば、水溶性樹脂からなるマトリックス中に加水分解性樹脂が分散している分散構造を有する水中投下用樹脂成型体が提供される。

0013

本発明の水中投下用樹脂成型体においては、
(1)前記水溶性樹脂として、ポリエチレングリコールおよび/またはポリビニルアルコールが使用されること、
(2)前記加水分解性樹脂として、生分解性樹脂ポリエステルが使用されていること、
(3)前記加水分解性樹脂として、前記加水分解性樹脂として、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリオキサレート、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネートポリブチレンサクシネートアジペートポリカプロラクトンの少なくとも1つがが使用されていること、
(3)前記加水分解性樹脂が粒状または繊維状の形態を有していること、
(4)前記加水分解性樹脂が、10〜1000μmの粒径を有する粒状物の形態で分散していること、
(5)前記加水分解性樹脂が、0.1〜20デニール及び2〜25mmの繊維長を有する繊維状の形態で分散していること、
が好適である。
また、本発明の水中投下用樹脂成型体においては、
(6)加水分解性樹脂100重量部当たり、10〜150重量部の量で前記水溶性樹脂のマトリックスを含んでいること、
という態様を採り得る。

0014

本発明において、上記の水中投下用樹脂成型体は、加水分解樹脂粒子と水溶性樹脂との混合物を、加水分解性樹脂粒子の融点未満の温度で成型することにより製造される。
上記の製造方法においては、前記成型を、圧縮成形または押出成形により行うことができる。

発明の効果

0015

本発明の水中投下用樹脂成型体は、適宜の方法により成型されており、粉末では大きな形状、例えばタブレット形状或いは柱形状を有しており、これを水中に投下することにより、容易に水に分散することができる。しかも、この成型体に含まれているマトリックスとしては、水溶性樹脂が使用されている。このため、この成型体が水中に投下されると、加水分解性樹脂の周囲にある水溶性樹脂が水に溶解して除かれることとなり、従って、加水分解性樹脂の加水分解性が損なわれることはない。

0016

さらに、本発明においては、マトリックスとして使用されている水溶性樹脂が保護層としての機能を有している。即ち、この樹脂成型体は、そのまま屋外に置かれた場合においても、加水分解性樹脂と大気との接触が防止されているため、酸化や加水分解等の変質が有効に回避され、加水分解性樹脂の特性を安定に保持することができる。

0017

このように、本発明の水中投下用樹脂成型体は、水との混合作業にあたって粉塵飛散等を生じることがなく、取り扱いが容易であり、しかも、加水分解性樹脂の変質も有効に防止され、さらには水に投下した時の加水分解性樹脂の加水分解が妨げられることもない。
従って、本発明の水中投下用樹脂成型体は、採掘現場で調製される掘削用分散液の用途に極めて適している。

図面の簡単な説明

0018

本発明の水中投下用樹脂成型体の代表的な形態を示す図。

0019

<水中投下用樹脂成型体の形態>
本発明の樹脂成型体は、水中に投下し、加水分解性樹脂の水分散液を調製するために使用されるものであり、従って、水中への投下作業に際して取扱い容易な形状に成型されているものである。
従って、その大きさは、粉塵飛散が有効に防止され、人が取り扱いやすいように、ミリメートルオーダーを有するものであり、その形態は、これに限定されるものではないが、一般に、図1に示すような形態を有している。

0020

即ち、図1(a)に示されている樹脂成型体は、タブレット形状を有しており、大まかに言って、その長径D1は3〜10mm程度であり、短径h1は、1〜5mm程度である。このようなタブレット形状の樹脂成型体は、通常、圧縮成形により得られる。
また、図1(b)に示されている樹脂成型体は、柱形状を有しており、大まかに言って、その短径D2は、1〜5mm程度であり、長径h2は、3〜10mm程度である。このような柱形状の樹脂成型体は、通常、押出成形により得られる。
上記何れのタイプの樹脂成型体においても、短径と長径とのバランス崩れると、粒子強度が低くなり、袋等に詰めての保管時或いは搬送時等において構造破壊が生じ、粉末状となって取り扱い性が損なわれてしまうおそれがある。このため、長径と短径との比(D1/h1或いはh2/D2)は、3〜10の範囲にあることが望ましい。

0021

<水中投下用樹脂成型体の構造>
上述した形態を有する本発明の水中投下用樹脂成型体は、水溶性樹脂からなるマトリックス中に加水分解性樹脂が分散している分散構造を有しており、このような分散構造の樹脂成型体は、加水分解樹脂粒子と水溶性樹脂との混合物を、加水分解性樹脂粒子の融点未満の温度であり、通常、該水溶性樹脂の融点以上で成型することにより製造される。
かかる成形手段としては、上記のような分散構造を実現できる限り、種々の成型方法を採用してよいが、一般的には、圧縮成形或いは押出成形が採用される。

0022

即ち、圧縮成形においては、所定量の加水分解性樹脂粒子と水溶性樹脂とをドライブレンドし、このブレンド物を上記の温度条件で所定の成形型を用いて圧縮成型することにより、図1(a)に示すタブレット型の樹脂成型体が得られる。
また、押出成形においては、押出成形機中で加水分解性樹脂粒子と水溶性樹脂とを上記温度条件で混練し、混練物押出し、所定の大きさの孔が設けられている成形板を通し、適当な長さに押出し物カッティングすることにより、図1(b)に示す柱形状の樹脂成型体が得られる。

0023

何れの方法で成型を行う場合においても、加水分解性樹脂が溶融しないが、水溶性樹脂が溶融する温度条件下で成型が行われるため、水溶性樹脂がマトリックスとなり、このマトリックス中に加水分解性樹脂粒子が分散した海島構造が形成されることとなる。

0024

かかる水中投下用樹脂成型体において使用される加水分解性樹脂は、非水溶性のポリエステルであり、これを凍結粉砕して得られた粉末で、10mg/1ml濃度の水分散液を調製し、120℃オーブン内で一ヶ月間インキュベート後、重量減少率が50%以上のものであり、特に、掘削用分散液に使用するには、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、ポリオキサレート、ポリグリコール酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトンなどの生分解性ポリエステルが好適である。このような生分解性ポリエステルは、それぞれ単独或いは2種以上を組み合わせて使用することもできるし、さらに、加水分解性が損なわれない範囲で、各種の脂肪族多価アルコール脂肪族多塩基酸ヒドロキシカルボン酸ラクトンなどが共重合された共重合体の形態で使用することもできる。
本発明においては、特に40〜80℃の低温領域で適度な加水分解性を示すという点で、ポリオキサレートが最も好適である。即ち、シェールガスは、比較的浅い地中に存在している頁岩層から採掘されるものであり、その採掘に使用される掘削用分散液は、上記の温度領域の坑井中に投入される場合が多く、加水分解性樹脂には、この温度領域で適度な加水分解性が要求されるからである。
また、上記のポリオキサレートは、加水分解によりシュウ酸を放出するため、ポリ乳酸などの比較的加水分解性の低いものとブレンドして使用されたとき、ポリ乳酸の加水分解を促進するという性質も有しているため、ポリ乳酸とブレンドして使用することも好適である。

0025

また、上述した加水分解性樹脂は、採掘用分散液をフラクチュアリング流体として用いたときの坑井中の流路遮断する目止材としての機能や地中への浸透性の点で適宜の大きさで、後述する水溶性樹脂中に分散していることが好ましく、例えば10〜1000μm程度の粒径の粒状物として分散していることが好ましい。
また、この加水分解性樹脂は、上記のような目止材としての機能の点では、繊維状の形態で分散していることも好適であり、例えば、繊維太さが0.1〜20デニール、繊維長が2〜25mm程度の繊維状の加水分解性樹脂を使用し、これを水溶性樹脂中に分散することも好適である。

0026

さらに、上記の加水分解性樹脂には、必要に応じて、公知の可塑剤熱安定剤光安定剤酸化防止剤紫外線吸収剤難燃剤着色剤顔料フィラー充填剤離型剤帯電防止剤香料滑剤発泡剤抗菌抗カビ剤核形成剤などの添加剤が配合されていてもよい。

0027

上記の加水分解性樹脂を分散するためのマトリックスとして使用される水溶性樹脂は、20℃の水に対する溶解度が25g/100g以上の樹脂であり、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレンオキサイドポリアクリル酸ナトリウムポリアクリルアミドなどのアクリル系ポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンなどのビニル系ポリマーカルボキシメチルセルロースヒドロキシエチルセルロースなどのセルロース系ポリマー、その他、澱粉ゼラチンアルギン酸寒天などの天然ポリマーが代表的であるが、特にコスト、成形性、水溶性等の観点から、ポリエチレングリコールおよびポリビニルアルコールが最も好適である。

0028

本発明の水中投下用樹脂成型体において、加水分解性樹脂と水溶性樹脂との量比は、加水分解性樹脂の粒子が水溶性樹脂のマトリックス中に分散した分散構造を形成し得る限りにおいて、水溶性樹脂の使用量が可及的に少ないことが望まれる。即ち、この樹脂成型体を水中に投下して掘削用分散液を調製したとき、加水分解性樹脂は有効成分であるが、水溶性樹脂は不要成分であるからである。
従って、加水分解性樹脂と水溶性樹脂との量比は、通常、加水分解性樹脂100重量部当りの水溶性樹脂の量を10〜150重量部の範囲に設定されるが、好適な範囲は、樹脂成型体を成型する方法によって若干異なり、例えば、圧縮成形により製造される圧縮成型体の場合には、加水分解性樹脂100重量部当り、水溶性樹脂を10〜100重量部、特に10〜30重量部、さらに10〜20重量部、10〜15重量部の量で使用することが好ましく、押出成形により得られる押出成型体の場合には、加水分解性樹脂100重量部当り、水溶性樹脂を100〜150重量部程度の量で使用することが望ましい。即ち、必要以上に多量に水溶性樹脂を使用することは、掘削分散液中の有効成分量の低下につながってしまい、水溶性樹脂の使用量が少ない場合には、加水分解性樹脂粒子の融点未満の温度での成型が困難となってしまい、使用性樹脂をマトリックスとする分散構造を形成することが困難となってしまうからである。

0029

<用途>
加水分解性樹脂粒子が水溶性樹脂で覆われた分散構造を有している本発明の水中投下型樹脂成型体は、粉塵飛散などの不都合を有効に回避でき、その取扱いが容易であり、しかも加水分解性樹脂の変質等が有効に防止されている。さらに地上で投入する際は成型体であるが、坑井内に注入される際は、成型体は崩壊しており、加水分解性樹脂が液中に分散した形態となることから、地下資源の採掘現場で用いられるフラクチュアリング流体などの掘削用分散液の調製に好適に使用される。即ち、採掘現場での取り扱いが容易であり、屋外であっても、環境を劣化させることなく、この樹脂成型体を人手により容易に水中に投入して掘削用分散液を調製できる。
このような掘削用分散液において、樹脂成型体の水中への投入量は、通常、分散液中に0.01乃至20重量%、特に0.01乃至10重量%の量で加水分解性樹脂が存在するような量であり、かかる分散液を用いて、坑井掘削や水圧破砕をスムーズに実施することができる。

0030

本発明を次の実験例で説明する。
尚、実験に用いた加水分解性樹脂や水溶性樹脂、及び各種の測定法は次のとおりである。

0031

加水分解性樹脂;
実験に用いる加水分解性樹脂として、ポリオキサレート(PEOx)を以下のようにして製造した。
マントルヒーター液温温度計攪拌装置窒素導入管、留出カラムを取り付けた1Lのセパラブルフラスコに、
シュウ酸ジメチル472g(4mol)
エチレングリコール297g(4.8mol)
三酸化アンチモン0.17g
を入れ、窒素気流下でフラスコ内の液温を120℃に加温し、常圧重合を行った。
メタノールの留去が開始後、少しずつ液温を200まで昇温し、さらに常圧重合を行い、最終的に260mlの留去液を得た。
その後、フラスコ内の液温を200℃、0.1〜0.8kPaの減圧度減圧重合させた。得られたポリマーを取り出し、クラッシャー造粒し、120℃で2時間真空加熱処理結晶化させた。
上記のようにして、加水分解性樹脂として使用するPEOxを得た。
このPEOxの融点は180℃、重量平均分子量は70000であった。

0032

融点測定
装置:セイコーインスツルメント株式会社製DSC6220(示差走査熱量測定
試料量:5〜10mg
測定条件
窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で0℃〜250℃の範囲で測定。
融点はピークトップで求めた。

0033

分子量の測定;
装置:ゲル浸透クロマトグラフGPC
検出器示差屈折率検出器RI
カラム(昭和電工):
Shodex HFIP−LG(1本)、HFIP−806M(2本)
溶媒ヘキサフルオロイソプロパノール(5mMトリフルオロ酢酸ナトリウム添加)
流速:0.5mL/min
カラム温度:40℃
試料調製:
試料約1.5mgに溶媒5mLを加え、室温で緩やかに攪拌した(試料濃度約0.
03%)。目視で溶解していることを確認した後0.45μmフィルターにて濾
過した。全ての試料について、調製開始から約1時間以内に測定を行った。
スタンダードポリメチルメタクリレートを用いた。

0034

水溶性樹脂;
ポリエチレングリコール(PEG)
重量平均分子量(Mw):8000
水に対する溶解度(20℃):30g/100g以上
融点:60℃

0035

タブレット(樹脂成型体)の成型性評価;
タブレットの成型性を、次の判断基準で目視で評価した。
〇:崩壊なし
×:成型直後に一部崩壊が見られる

0036

タブレット(樹脂成型体)の水中での崩壊性評価;
バイアル瓶に、圧縮成形により成型されたタブレット1粒と蒸留水10mLを加え、45℃、100rpmで10分間保温し、タブレットの崩壊性を目視で評価した。評価基準は、次のとおりである。
〇:粒子が水中に分散
×:タブレット形状で沈殿

0037

タブレット(樹脂成型体)の分解性評価;
上記タブレットの崩壊性評価後、そのバイアル瓶を70℃のオーブン内に4日間静置保管し、粉体の水中での分解性を目視で評価した。評価基準は、次のとおりである。
〇:粒子の残存量が極めて少ない
×:粒子の残存量が投入量と同等

0038

<実施例1>
先に合成したPEOxの塊状物1.5gを、粉砕機(岩谷産業株式会社製IMF−800DG)に投入し3分間粉砕を行った。得られた粉末を、目開き500μmのメッシュパスし、パスしたPEOx粉末を加水分解樹脂粉末として用いた。
上記の加水分解性樹脂粉末100重量部と、水溶性樹脂(PEG)11.1重量部とを、乳鉢で予め混合した。
この混合粉末を、示差走査熱量計測定用アルミパンに入れ、100℃、5分間、加熱圧縮しての圧縮成形により、高さ(h1)1mm、直径(D1)5mmのタブレット(圧縮成型体)を得た。
得られたタブレットについて、成型性、崩壊性、水中での分解性について、前述した方法で評価し、その結果を表1に示した。

0039

<実施例2>
水溶性樹脂(PEG)の量を43重量部に変更した以外は実施例1と同様の圧縮成形により、同じ大きさのタブレットを成型し、同様の評価を行った。結果を表1に示した。

0040

<実施例3>
水溶性樹脂(PEG)の量を100重量部に変更した以外は実施例1と同様の圧縮成形により、同じ大きさのタブレットを成型し、同様の評価を行った。結果を表1に示した。
尚、このタブレットは、80cmの高さから落下させても崩壊しなかった。

0041

<実施例4>
水溶性樹脂(PEG)の量を5.3重量部に変更した以外は実施例1と同様の圧縮成形により、同じ大きさのタブレットを成型し、同様の評価を行った。結果を表1に示した。
尚、成型されたタブレットは、成型はできたが、簡単に崩壊してタブレット形状を維持しなかったため、崩壊性、分解性の評価は行わなかった。

実施例

0042

水溶性樹脂の配合量は、加水分解性樹脂100重量部当りの量で示した。

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