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技術 紡績糸

出願人 東レ株式会社
発明者 嶋田剛司
出願日 2014年3月10日 (6年1ヶ月経過) 出願番号 2014-045999
公開日 2015年9月28日 (4年7ヶ月経過) 公開番号 2015-168910
状態 未査定
技術分野 高分子組成物 付加系(共)重合体、後処理、化学変成 生分解性ポリマー 糸;糸またはロープの機械的な仕上げ 織物
主要キーワード 揺りかご 耐熱性テスト 良外観性 恒温状態 自動織機 装資材用 石油系ポリマー 伸張速度
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年9月28日)のものです。
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課題

機械物性耐久性および湿熱定性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いたポリ乳酸繊維からなる紡績糸を提供する。

解決手段

L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体カルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維で構成される紡績糸。(R1〜R3は少なくとも1つはグリシジル基、残りはH、C1〜10のアルキル基水酸基、又はアリル基等の官能基

概要

背景

ポリ乳酸は、実用上溶融成型可能な高分子化合物であり、生分解性の特徴を有することから、使用した後は自然環境中で分解して炭酸ガスや水として放出される生分解性プラスチックとしての開発が進められてきた。一方、近年では、ポリ乳酸は、ポリ乳酸自体が二酸化炭素や水を起源とする再生可能資源バイオマス)を原料としているため、使用後に二酸化炭素が放出されたとしても、地球環境中における二酸化炭素は増減しないというカーボンニュートラル性質が注目され、環境低負荷材料としての利用が期待されている。

さらに、ポリ乳酸のモノマーである乳酸は、微生物を利用した発酵法により安価に製造されつつあり、石油系プラスチック製の汎用ポリマー代替素材としても検討されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、石油系プラスチックに比較すると、耐熱性耐久性が低いのが現状である。例えば、ポリ乳酸からなる繊維を衣料用途に適用する場合には、ポリ乳酸からなる繊維布帛中温以上の家庭用アイロンをあてることにより、繊維布帛表面が溶融してしまうという課題があり、また、産業資材用途への適用となると、耐加水分解性が低いため繰り返し使用が困難であるという課題がある。

これらのポリ乳酸の課題である耐熱性および耐加水分解性を向上させる一手段として、ポリ乳酸に対してカルボジイミド化合物イソシアヌレート化合物を添加することが試みられている。ポリ乳酸の末端カルボキシル基がこれら化合物と反応することにより、ポリ乳酸の末端基封鎖され、その結果、加水分解性が抑制されるというものである。

一方、ポリ乳酸の耐熱性を向上させる手段として、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが注目されている。ポリ乳酸ステレオコンプレックスは、光学活性ポリL−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合することにより、従来のホモ結晶とは異なるステレオコンプレックス結晶が形成される。このポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶由来融点は、ポリ乳酸のホモ結晶由来の融点170℃に比較して50℃高い220℃に達するため、耐熱性の向上が期待できる。

現在、上記のようなポリ乳酸の末端封鎖技術やステレオコンプレックスの形成技術の利用により、従来の生分解性用途のみならず衣料用途や産業資材用途への展開が試みられている(特許文献1〜4参照。)。

具体的に、ポリ乳酸に対してグリシジル基を含有するイソシアヌレート化合物を添加することにより、ポリ乳酸末端のカルボキシル基を末端封鎖し、カルボキシル基末端濃度を低減させる提案がなされている(特許文献1参照。)。この提案において、末端封鎖されたポリ乳酸から得られた繊維は、耐加水分解性試験後の強度保持率が高く、さらにはポリカルボジイミドで末端封鎖した繊維と比較して色調も優れたものであった。しかしながら、この提案においては、ポリ乳酸からなる繊維の耐加水分解性は向上されるものの、これらポリ乳酸からなる繊維の融点は170℃付近であるため、衣料産業資材として使用するには、耐熱性に課題が残るものであった。

これに対して、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスを作製し、このポリ乳酸ステレオコンプレックスに対してカルボジイミド化合物を添加することにより、耐熱性および耐加水分解性の向上を試みる提案がなされている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案においては、カルボジイミドによって末端封鎖されたポリ乳酸からなる繊維は、200℃の温度の耐熱性テストにおいて良好な耐熱性を示しているが、カルボキシル基末端濃度が十分に低くないため長期における湿熱定性に課題が残るものであった。

これに対して、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスを作製し、このポリ乳酸ステレオコンプレックスに対してカルボジイミド化合物を添加することにより、耐熱性および耐加水分解性の向上を試みる提案がなされている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案においても、カルボジイミドにて末端封鎖したポリ乳酸繊維は、200℃の温度の耐熱性テストにおいて良好な耐熱性を示しているが、カルボキシル基末端濃度が十分に低くないため長期における湿熱安定性に課題が残るものであった。

また別に、耐熱性と湿熱安定性を改善するために、芯部がポリ乳酸で、部が石油系ポリマーで構成される芯鞘型複合繊維を用いることも提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、この提案では、湿熱環境下後の強力特性は改善されているが、180℃の温度の熱セットによりポリ乳酸と石油系ポリマーの界面が剥離し、強度低下や風合い硬化する等の課題があった。

概要

機械物性、耐久性および湿熱安定性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いたポリ乳酸繊維からなる紡績糸を提供する。L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体カルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維で構成される紡績糸。(R1〜R3は少なくとも1つはグリシジル基、残りはH、C1〜10のアルキル基水酸基、又はアリル基等の官能基)なし

目的

本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、機械物性、耐久性および湿熱安定性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いた審美性にも富むポリ乳酸樹脂からなる繊維を用いた紡績糸を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
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牽制数
0件

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請求項1

L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体カルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)(ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素炭素原子数1〜10のアルキル基水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維で構成されてなる紡績糸

請求項2

請求項1に記載の紡績糸で構成された織編物

技術分野

0001

本発明は、高強度、高耐久性ドレープ性および審美性富む環境負荷型の紡績糸、およびその紡績糸を用いた織編物に関するものである。

背景技術

0002

ポリ乳酸は、実用上溶融成型可能な高分子化合物であり、生分解性の特徴を有することから、使用した後は自然環境中で分解して炭酸ガスや水として放出される生分解性プラスチックとしての開発が進められてきた。一方、近年では、ポリ乳酸は、ポリ乳酸自体が二酸化炭素や水を起源とする再生可能資源バイオマス)を原料としているため、使用後に二酸化炭素が放出されたとしても、地球環境中における二酸化炭素は増減しないというカーボンニュートラル性質が注目され、環境低負荷材料としての利用が期待されている。

0003

さらに、ポリ乳酸のモノマーである乳酸は、微生物を利用した発酵法により安価に製造されつつあり、石油系プラスチック製の汎用ポリマー代替素材としても検討されるようになってきた。しかしながら、ポリ乳酸は、石油系プラスチックに比較すると、耐熱性耐久性が低いのが現状である。例えば、ポリ乳酸からなる繊維を衣料用途に適用する場合には、ポリ乳酸からなる繊維布帛中温以上の家庭用アイロンをあてることにより、繊維布帛表面が溶融してしまうという課題があり、また、産業資材用途への適用となると、耐加水分解性が低いため繰り返し使用が困難であるという課題がある。

0004

これらのポリ乳酸の課題である耐熱性および耐加水分解性を向上させる一手段として、ポリ乳酸に対してカルボジイミド化合物イソシアヌレート化合物を添加することが試みられている。ポリ乳酸の末端カルボキシル基がこれら化合物と反応することにより、ポリ乳酸の末端基封鎖され、その結果、加水分解性が抑制されるというものである。

0005

一方、ポリ乳酸の耐熱性を向上させる手段として、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが注目されている。ポリ乳酸ステレオコンプレックスは、光学活性ポリL−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合することにより、従来のホモ結晶とは異なるステレオコンプレックス結晶が形成される。このポリ乳酸のステレオコンプレックス結晶由来融点は、ポリ乳酸のホモ結晶由来の融点170℃に比較して50℃高い220℃に達するため、耐熱性の向上が期待できる。

0006

現在、上記のようなポリ乳酸の末端封鎖技術やステレオコンプレックスの形成技術の利用により、従来の生分解性用途のみならず衣料用途や産業資材用途への展開が試みられている(特許文献1〜4参照。)。

0007

具体的に、ポリ乳酸に対してグリシジル基を含有するイソシアヌレート化合物を添加することにより、ポリ乳酸末端のカルボキシル基を末端封鎖し、カルボキシル基末端濃度を低減させる提案がなされている(特許文献1参照。)。この提案において、末端封鎖されたポリ乳酸から得られた繊維は、耐加水分解性試験後の強度保持率が高く、さらにはポリカルボジイミドで末端封鎖した繊維と比較して色調も優れたものであった。しかしながら、この提案においては、ポリ乳酸からなる繊維の耐加水分解性は向上されるものの、これらポリ乳酸からなる繊維の融点は170℃付近であるため、衣料産業資材として使用するには、耐熱性に課題が残るものであった。

0008

これに対して、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスを作製し、このポリ乳酸ステレオコンプレックスに対してカルボジイミド化合物を添加することにより、耐熱性および耐加水分解性の向上を試みる提案がなされている(特許文献2参照。)。しかしながら、この提案においては、カルボジイミドによって末端封鎖されたポリ乳酸からなる繊維は、200℃の温度の耐熱性テストにおいて良好な耐熱性を示しているが、カルボキシル基末端濃度が十分に低くないため長期における湿熱定性に課題が残るものであった。

0009

これに対して、ポリ乳酸樹脂としてポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸からなるポリ乳酸ステレオコンプレックスを作製し、このポリ乳酸ステレオコンプレックスに対してカルボジイミド化合物を添加することにより、耐熱性および耐加水分解性の向上を試みる提案がなされている(特許文献3参照。)。しかしながら、この提案においても、カルボジイミドにて末端封鎖したポリ乳酸繊維は、200℃の温度の耐熱性テストにおいて良好な耐熱性を示しているが、カルボキシル基末端濃度が十分に低くないため長期における湿熱安定性に課題が残るものであった。

0010

また別に、耐熱性と湿熱安定性を改善するために、芯部がポリ乳酸で、部が石油系ポリマーで構成される芯鞘型複合繊維を用いることも提案されている(特許文献4参照。)。しかしながら、この提案では、湿熱環境下後の強力特性は改善されているが、180℃の温度の熱セットによりポリ乳酸と石油系ポリマーの界面が剥離し、強度低下や風合い硬化する等の課題があった。

先行技術

0011

国際公開第2006/104092号
特開2007−23445号公報
特開2002−30208号公報
特開2006−274481号公報

発明が解決しようとする課題

0012

上記従来技術の状況を鑑みて、ポリ乳酸ステレオコンプレックスの耐熱性および耐加水分解性を向上させ、繊維への用途展開を拡大するためには、新たな技術が必要とされている。

0013

具体的に、このポリ乳酸ステレオコンプレックスについては、新たなステレオコンプレックス形成法として、ポリ乳酸ブロック共重合体が注目されつつある。このポリ乳酸ブロック共重合体は、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントと、D−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントとが共有結合したものであり、高分子量であってもステレオコンプレックス結晶形成性に優れ、ステレオコンプレックス結晶由来の融点が観測されるため、耐熱性や結晶化特性など熱物性に優れた材料を得ることが可能である。しかしながら、この技術においても耐熱性や結晶化特性は優れるものの、耐加水分解性や湿熱安定性についてはなお改良が必要とされている。

0014

そこで本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、機械物性、耐久性および湿熱安定性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸ステレオコンプレックスを用いた審美性にも富むポリ乳酸樹脂からなる繊維を用いた紡績糸を提供することにある。

0015

本発明の他の目的は、上記の紡績糸からなる耐熱性と湿熱安定性に優れた環境考慮型の織編物を提供することにある。

課題を解決するための手段

0016

本発明は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、次の手段を採用するものである。

0017

すなわち、本発明の紡績糸は、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)

0018

0019

(ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素炭素原子数1〜10のアルキル基水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維で構成されてなる紡績糸である。

0020

本発明においては、前記の紡績糸を製織または製編することにより、織編物を製造することができる。

発明の効果

0021

本発明によれば、機械物性、耐久性湿熱安定性および耐加水分解性が向上し、さらには耐熱性にも優れたポリ乳酸樹脂からなる繊維で構成されてなる紡績糸が得られる。

0022

また、本発明の紡績糸を用いることにより、その一部がポリ乳酸繊維で構成されたにもかかわらず、混紡相手に依らず耐熱性と湿熱安定性に優れた環境考慮型の織編物を得ることができる。

0023

次に、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。

0024

本発明の紡績糸は、L−乳酸を主成分とするポリ−L−乳酸セグメントとD−乳酸を主成分とするポリ−D−乳酸セグメントから構成されるポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、下記一般式(1)

0025

0026

(ここで、R1〜R3の内、少なくとも1つはグリシジル基であり、残りは水素、炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基、またはアリル基等の官能基を表す。)で示されるイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維(短繊維)を用いてなるものである。

0027

本発明の紡績糸は、上記のようにポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる短繊維を用いてなるものであるが、本発明においては、ポリ乳酸樹脂からなる短繊維を単独で用いても良く、またポリ乳酸樹脂からなる短繊維と他の短繊維を混紡して紡績糸(混紡績糸)とすることができる。

0029

また、特に綿を混紡する際は、脱脂漂白加工をした綿を用いることが好ましい。ポリ乳酸は、耐アルカリ性が悪いため、通常の綿混紡品の後加工で行う綿の脱脂漂白加工をするとアルカリ処理で糸強力が低下するため、紡績加工前に脱脂漂白加工をした綿を、紡績加工でポリ乳酸を複合することにより、糸強力の低下と織編物の引裂強力の低下を防ぐことができる。

0030

このときの混紡比率は、表面感や特性や風合いなどから鑑み、ポリ乳酸繊維混紡比率10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくはポリ乳酸混紡比率20〜80質量%である。

0031

また、このときの混紡績糸を構成する繊維の繊維長は、用途や要求特性に合わせて、一般的な38〜120mmであることが好ましく、牽切繊維も用いることができる。

0032

また、本発明の紡績糸の撚数も、用途や織編物(布帛)での風合いに応じて適宜採択することができ、好ましくは撚係数Kを2.5〜6.0の範囲で任意に設定することができる。撚係数Kを2.5未満にすると、撚が甘くなり糸強度が弱くなるだけでなく毛羽立ちの原因になり、物性の低下発生を惹起することがある。逆に、撚係数Kが6.0を超える強撚にすると、糸が撚切れする他、糸にシャリ味が出てしまい風合いを損ね、布帛表面毛羽がなくなり紡績糸特有糸ムラ顕在化してしまい表面感が悪くなってしまう傾向がある。のことを鑑み、最適撚係数Kは3.0〜4.5の範囲内にあることが好ましい。

0033

次に、本発明で用いられるポリ乳酸は、L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントが共有結合したポリ乳酸ブロック共重合体である。

0034

ここで、L−乳酸単位からなるセグメントとは、L−乳酸を主成分とする重合体であり、L−乳酸単位を70モル%以上含有している重合体をいう。L−乳酸単位は80モル%以上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがさらに好ましく、95モル%以上含有していることが特に好ましく、98モル%〜100モル%含有していることが最も好ましい態様である。

0035

また、D−乳酸単位からなるセグメントとは、D−乳酸を主成分とする重合体であり、D−乳酸単位を70モル%以上含有している重合体をいう。D−乳酸単位は80上含有していることが好ましく、90モル%以上含有していることがさらに好ましく、95モル%以上含有していることが特に好ましく、98モル%〜100モル%含有していることが最も好ましい態様である。

0036

本発明において、L−乳酸単位またはD−乳酸単位からなるセグメントは、得られるポリ乳酸ブロック共重合体およびポリ乳酸ブロック共重合体を含むポリ乳酸樹脂組成物の性能を損なわない範囲で、他の成分単位を含むことができる。

0037

L−乳酸単位またはD−乳酸単位以外の他の成分単位としては、多価カルボン酸多価アルコールヒドロキシカルボン酸ラクトンなどが挙げられ、具体的には、コハク酸アジピン酸セバシン酸フマル酸テレフタル酸イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、5−テトラブチルホスホニウムスルホイソフタル酸などの多価カルボン酸類またはそれらの誘導体エチレングリコールプロピレングリコールブタンジオールペンタンジオールヘキサンジオールオクタンジオールネオペンチルグリコールグリセリントリメチロールプロパンペンタエリスリトール、トリメチロールプロパンまたはペンタエリスリトールにエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドを付加した多価アルコール、ビスフェノールにエチレンオキシドを付加反応させた芳香族多価アルコールジエチレングリコールトリエチレングリコールポリエチレングリコールポリプロピレングリコールなどの多価アルコール類またはそれらの誘導体、グリコール酸3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などのヒドロキシカルボン酸類、およびグリコリド、ε−カプロラクトングリコリド、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、δ−ブチロラクトン、β−またはγ−ブチロラクトン、ピバロラクトン、およびδ−バレロラクトンなどのラクトン類などが挙げられる。

0038

他の成分単位としては、多価カルボン酸無水物多価イソシアネート、多価アルコールおよび多価エポキシ化合物が好ましく、特に多価カルボン酸無水物、多価イソシアネートおよび多価エポキシ化合物が好ましく用いられる。また、これらは一種または二種以上を併用して使用することができる。

0039

他の成分単位からなる化合物の混合量は、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸の合計100質量部に対して、0.01質量部以上20質量部以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.1質量部以上10質量部以下である。他の成分単位からなる化合物の添加量が上記好ましい範囲内であると、他の成分単位からなる化合物を使用する効果を有効に発揮させることができる。

0040

本発明において用いられるポリ乳酸ブロック共重合体は、ステレオコンプレックス形成によりステレオコンプレックス結晶に基づく融点を190〜230℃の範囲で有するため、ポリ乳酸ホモポリマーに比較して耐熱性に優れている。ステレオコンプレックス結晶由来の融点の好ましい範囲は200℃〜230℃であり、205℃〜230℃の温度範囲がさらに好ましく、210℃〜230℃の温度範囲が特に好ましい態様である。また、150℃〜185℃の温度範囲で、ポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶に基づく小さな融解ピークを有する場合もある。

0041

また、本発明で用いられるポリ乳酸ブロック共重合体は、耐熱性の観点から、ステレオコンプレックス形成率(Sc)が80〜100%の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは85〜100%の範囲であり、90〜100%であることが特に好ましい範囲である。

0042

ここで、ステレオコンプレックス形成率(Sc)とは、ポリ乳酸中の全結晶におけるステレオコンプレックス結晶の占める割合である。具体的には、示差走査型熱量計DSC)で昇温速度20℃/minで30℃から250℃の温度まで昇温した際のポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶の結晶融解に基づく熱量をΔHl、ステレオコンプレックス結晶の結晶融解に基づく熱量をΔHhとすると、下記式(1)で算出することができる。
・Sc=ΔHh/(ΔHl+ΔHh)×100 (1)
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体は成形性および耐熱性に優れるという点で、降温結晶化温度(Tc)が130℃以上であることが好ましい。ここで、成型体の降温結晶化温度(Tc)とは、示差走査熱量計(DSC)により昇温速度20℃/分で30℃から250℃の温度まで昇温した後、250℃の温度で3分間恒温状態に維持を行い、冷却速度20℃/分で降温した際に測定したポリ乳酸結晶由来の結晶化温度である。結晶化温度(Tc)は、耐熱性および透明性の観点から、130℃以上であることが好ましく、132℃以上であることがより好ましく、135℃以上であることが特に好ましい態様である。

0043

本発明で用いられるポリ乳酸ブロック共重合体の重量平均分子量は、機械物性の点で10万以上30万未満であることが好ましい。重量平均分子量は、より好ましくは12万以上28万未満であり、さらに好ましくは13万以上27万未満であり、14万以上26万未満であることが成形性および機械物性の点で特に好ましい態様である。

0044

また、ポリ乳酸ブロック共重合体の分散度は、機械物性の点で1.5〜3.0の範囲が好ましい。分散度の範囲は、1.8〜2.7であることがさらに好ましく、2.0〜2.4であることが成形性および機械物性の点で特に好ましい態様である。

0045

本発明において、重量平均分子量および分散度とは、溶媒としてヘキサフルオロイソプロパノールまたはクロロホルムを用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定による標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。

0046

本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体の平均連鎖長は、20以上であることが好ましく、さらに好ましくは25以上であり、30以上であることが成形体の機械物性の点で特に好ましい態様である。

0047

ポリ乳酸ブロック共重合体の平均連鎖長は13C−NMR測定により、カルボニル炭素帰属する炭素ピークのうち、170.1〜170.3ppm付近に存在するピークの積分値を(a)、169.8〜170.0ppm付近に存在するピークの積分値を(b)としたとき、下記式(2)で算出することができる。
・平均連鎖長=(a)/(b) (2)
本発明においては、高融点のポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成しやすいポリ乳酸ブロック共重合体が得られるという観点で、ポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数が3以上であることが好ましく、さらに好ましくは5以上であり、特に好ましくは7以上である。

0048

本発明において、L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントのそれぞれの合計の質量比は、90:10〜10:90であることが好ましく、さらに好ましくは80:20〜20:80であり、特に好ましくは75:25〜60:40あるいは40:60〜25:75である。L−乳酸単位からなるセグメントとD−乳酸単位からなるセグメントのそれぞれの合計の質量比が、上記の好ましい範囲内であると、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを形成しやすく、その結果、ポリ乳酸ブロック共重合体の融点の上昇が十分に大きくなる。

0049

本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体を得るために用いられるポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との重量平均分子量は、ステレオコンプレックス形成率が高くなるという観点で、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸のうちいずれか一方の重量平均分子量が30,000〜100,000以下であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜30,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは、一方の重量平均分子量が35,000〜90,000であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜25,000である。特に好ましくは、一方の重量平均分子量が40,000〜80,000であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜20,000である。

0050

また、上記の混合に使用されるポリ−L−乳酸の重量平均分子量と、ポリ−D−乳酸の重量平均分子量との比(ポリ−L−乳酸の重量平均分子量/ポリ−D−乳酸の重量平均分子量)は、ステレオコンプレックス形成率が高くなるという観点で、2以上10未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上10未満であり、特に好ましくは4以上10未満である。

0051

ポリ乳酸ブロック共重合体の製造方法については、一般のポリ乳酸の製造方法を利用することができる。具体的には、原料の乳酸から生成した環状2量体のL−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合を行い、さらにこのポリ乳酸の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合することにより、ポリ乳酸ブロック共重合体を得るラクチド法(製法1)、当該原料を直接重合またはラクチドを経由した開環重合によりポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とをそれぞれ重合し、次いで、得られたポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法2)、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを、融点の高い方の成分の融解終了温度以上で長時間溶融混練を行うことにより、L−乳酸単位のセグメントとD−乳酸単位のセグメントとをエステル交換反応させたポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法3)、および多官能性化合物をポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸に混合して反応することにより、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを多官能性化合物で共有結合させポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法4)などがある。

0052

ポリ乳酸ブロック共重合体の製法については、上記のいずれの方法を利用してもよいが、ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合する方法が、ポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数が3以上となり、結果的に耐熱性、結晶性および機械物性を兼ね備えたポリ乳酸ブロック共重合体を得られるという点において好ましい方法である。

0053

ここで、ポリ−L−乳酸とは、既述のとおり、L−乳酸を主成分とする重合体であり、L−乳酸単位を70mol%以上含有している重合体をいう。L−乳酸単位を80mol%以上含有していることが好ましく、90mol%以上含有していることがより好ましく、95mol%以上含有していることがさらに好ましく、98mol%以上含有していることが特に好ましい態様である。

0054

また、ポリ−D−乳酸とは、既述のとおり、D−乳酸を主成分とする重合体であり、D−乳酸単位を70mol%以上含有している重合体をいう。D−乳酸単位を80mol%以上含有していることが好ましく、90mol%以上含有していることがより好ましく、95mol%以上含有していることがさらに好ましく、98mol%以上含有していることが特に好ましい態様である。

0055

次に、上記の各種ポリ乳酸ブロック共重合体の重合方法について詳細に説明する。

0056

まず、開環重合によってポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法1)としては、例えば、L−ラクチドまたはD−ラクチドのいずれか一方を触媒存在下で開環重合を行い、次いで他方の光学異性体であるラクチドを添加して開環重合を行うことにより、ポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法を挙げることができる。

0057

開環重合で得られるポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量とD−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量の比は、耐熱性および成形体の透明性の観点から、2以上30未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上20未満であり、特に好ましくは5以上15未満である。ここで、L−乳酸単位からなるセグメントの重量平均分子量とD−乳酸単位からなるセグメント重量平均分子量との比は、ポリ乳酸ブロック共重合体を重合する際に用いるL−ラクチドとD−ラクチドとの質量比によって制御することができる。

0058

開環重合で得られるポリ乳酸ブロック共重合体一分子あたりに含まれるL−乳酸単位からなるセグメントおよびD−乳酸単位からなるセグメントの合計数は、耐熱性および結晶性が向上するという観点から、3以上であることが好ましく、さらに好ましくは5以上であり、特に好ましくは7以上である。セグメントの合計数の上限値は、50セグメント程度である。

0059

また、1セグメントあたりの重量平均分子量は2,000〜50,000であることが好ましく、さらに好ましくは4,000〜45,000であり、特に好ましくは5,000〜40,000である。

0060

開環重合法で用いられるL−ラクチドおよびD−ラクチドの光学純度は、ポリ乳酸ブロック共重合体の結晶性および融点を向上できるという観点から、90%ee以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%ee以上であり、特に好ましくは98%ee以上である。

0061

開環重合法でポリ乳酸ブロック共重合体を得る場合、高分子量体を得るという観点から、反応系内の水分量はL−ラクチドおよびD−ラクチドの合計量に対して4mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mol%以下であり、特に好ましくは0.5mol%以下である。ここで水分量とは、カールフィッシャー法を用いて電量滴定法により測定した値である。

0062

次に、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とを混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を得る方法(製法2)について説明する。この製法2において、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の製造方法については、開環重合法および直接重合法のいずれの方法も用いることができる。

0063

ポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸を混合後、固相重合によりポリ乳酸ブロック共重合体を製造する場合には、固相重合後の重量平均分子量およびステレオコンプレックス形成率が高くなるという観点から、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のうちいずれか一方の重量平均分子量が60,000〜300,000以下であり、もう一方の重量平均分子量が10,000〜50,000以下であることが好ましい。さらに好ましくは、一方の重量平均分子量が100,000〜270,000であり、もう一方の重量平均分子量が15,000〜45,000である。特に好ましくは、一方の重量平均分子量が150,000〜240,000であり、もう一方の重量平均分子量が20,000〜40,000である。また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の重量平均分子量の組み合わせとしては、混合後の重量平均分子量が90,000以上となるように適宜選択することが好ましい。

0064

また、本発明で使用されるポリ−L−乳酸およびポリ−D−乳酸は、重量平均分子量の高い方と重量平均分子量の低い方とのそれぞれの質量比が、2以上30未満であることが好ましく、さらに好ましくは3以上20未満であり、最も好ましくは5以上15未満である。また、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸との重量平均分子量の組み合わせとしては、混合後の重量平均分子量が90,000以上となるように適宜選択することが好ましい。

0065

ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸に含有するラクチド量およびオリゴマー量は、それぞれ5質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3質量%以下であり、特に好ましくは1質量%以下である。ラクチド量およびオリゴマー量は、少ないことが好ましい。また、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸に含有される乳酸量は、2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.5質量%以下である。乳酸量も、少ないことが好ましい。

0066

混合されるポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の酸価は、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の内、いずれか一方の酸価が100eq/トン以下であることが好ましく、より好ましくは50eq/トン以下であり、さらに好ましくは30eq/トン以下であり、特に好ましくは15eq/トン以下である。また、混合されるポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸の内、もう一方の酸価は600eq/ton以下であることが好ましく、より好ましくは300eq/トン以下であり、さらに好ましくは150eq/トン以下であり、特に好ましくは100eq/トン以下である。酸価の下限値は、好ましくは1eq/トンである。

0067

開環重合法を利用してポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸を製造する方法については、高分子量体を得るという観点から、反応系内の水分量はL−ラクチドおよびD−ラクチドの合計量に対して4mol%以下であることが好ましく、さらに好ましくは2mol%以下であり、0.5mol%以下が特に好ましい。ここで水分量とは、カールフィッシャー法を用いて電量滴定法により測定した値である。反応性を高める上では、反応系内の水分量の下限値は好ましくは0.1mol%である。

0068

<イソシアヌレート化合物>
本発明において、ポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端を封鎖して耐加水分解性および湿熱安定性を向上させ、さらにはポリ乳酸樹脂組成物を塩素化合物等の刺激臭が発生しない良好な製造環境で製造するためには、下記一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物を基本骨格に有する1〜3官能基のグリシジル変性化合物を含むことが必要である。

0069

0070

ここで、上記の一般式(1)で示されるイソシアヌレート化合物のうち、R1〜R3の少なくとも1つはグリシジル基である。また、グリシジル基の付加数の異なるイソシアヌレート化合物をポリ乳酸ブロック共重合体に添加しても構わない。また、R1〜R3の内、グリシジル基以外の官能基としては、水素あるいは炭素原子数1〜10のアルキル基、水酸基およびアリル基が選択される。

0071

ここで、アルキル基中の炭素原子についてはその数が少ない方が好ましく、炭素原子数1〜5であることが好ましい。中でも、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート(以下、DAMGICと略記することがある。)、モノアリルグリシジルイソシアヌレート(以下、MADGICと略記することがある。)、およびトリグリシジルイソシアヌレート(以下、TGICと略記することがある。)は、融点が高く耐熱性にも優れるため好ましく用いられる。

0072

さらに、イソシアヌレート化合物を添加する際には、ポリ乳酸ブロック共重合体とイソシアヌレート化合物の反応を促進させるために、反応触媒を添加することができる。

0073

反応触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム水酸化カリウム水酸化リチウム水酸化セシウム炭酸水素ナトリウム炭酸水素カリウム炭酸ナトリウム炭酸カリウム炭酸リチウム酢酸ナトリウム酢酸カリウム酢酸リチウムステアリン酸ナトリウムステアリン酸カリウムステアリン酸リチウム水素化ホウ素ナトリウム水素化ホウ素リチウムフェニルホウナトリウム安息香酸ナトリウム安息香酸カリウム安息香酸リチウムリン酸水素二ナトリウムリン酸水素二カリウムリン酸水素二リチウム、ビスフェノールAの二ナトリウム塩、同二カリウム塩、同二リチウム塩フェノールナトリウム塩、同カリウム塩、同リチウム塩、同セシウム塩などのアルカリ金属化合物水酸化カルシウム水酸化バリウム水酸化マグネシウム水酸化ストロンチウム炭酸水素カルシウム炭酸バリウム炭酸マグネシウム炭酸ストロンチウム酢酸カルシウム酢酸バリウム酢酸マグネシウム酢酸ストロンチウムステアリン酸カルシウムステアリン酸マグネシウムステアリン酸ストロンチウムなどのアルカリ土類金属化合物トリエチルアミントリブチルアミントリヘキシルアミントリアミルアミントリエタノールアミンジメチルアミノエタノールトリエチレンジアミンジメチルフェニルアミン、ジメチルベンジルアミン、2−(ジメチルアミノメチル)フェノール、ジメチルアニリンピリジンピコリン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセンなどの3級アミン、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、4−フェニル−2−メチルイミダゾールなどのイミダゾール化合物テトラメチルアンモニウムクロライドテトラエチルアンモニウムクロライドテトラブチルアンモニウムブロマイドトリメチルベンジルアンモニウムクロライドトリエチルベンジルアンモニウムクロライド、トリプロピルベンジルアンモニウムクロライド、N−メチルピリジニウムクロライドなどの第4級アンモニウム塩トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィントリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィンなどのホスフィン化合物テトラメチルホスホニウムブロマイドテトラブチルホスホニウムブロマイドテトラフェニルホスホニウムブロマイド、エチルトリフェニルホスホニウムブロマイド、トリフェニルベンジルホスホニウムブロマイドなどのホスホニウム塩、トリメチルホスフェートトリエチルホスフェートトリブチルホスフェートトリオクチルホスフェートトリブトキシエチルホスフェートトリフェニルホスフェートトリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェートオクチルジフェニルホスフェート、トリ(p−ヒドロキシフェニルホスフェート、トリ(p−メトキシ)フェニルホスフェートなどのリン酸エステルシュウ酸p−トルエンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸ドデシルベンゼンスルホン酸などの有機酸、および三フッ化ホウ素四塩化アルミニウム四塩化チタン、および四塩化錫などのルイス酸などが挙げられ、これらは1種または2種以上を併用して使用することができる。

0074

反応触媒の添加量は、ポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、0.001質量部以上0.5質量部以下であることが好ましい。触媒量が上記好ましい範囲であると、重合時間の短縮効果が得られ、一方、最終的に得られるポリ乳酸樹脂組成物の分子量も大きくすることができる。

0075

本発明において、ポリ乳酸繊維は耐加水分解性および湿熱安定性に優れるという点で、カルボキシル基末端の少なくとも一部が、封鎖がされている必要がある。ここで、末端カルボキシル基濃度においては低ければ低いほど好ましく、10当量/トン以下であることが好ましい。より好ましくは7当量/トン以下であり、さらに好ましくは5当量/トン以下である。一方で、当量が低くなると反応性が悪くなることから、末端カルボキシル基濃度の下限値は好ましくは0.1当量/トンである。

0076

具体的に、本発明で用いられるポリ乳酸樹脂は、ポリ乳酸ブロック共重合体のカルボキシル基末端の少なくとも一部が、前記のポリ乳酸ブロック共重合体100質量部に対して、前記のイソシアヌレート化合物0.05〜2質量部で封鎖されたポリ乳酸樹脂である。イソシアヌレート化合物の割合は、より好ましくは0.3〜1.5質量部であり、さらに好ましくは0.6〜1.2質量部である。

0077

イソシアヌレート化合物は、ポリ乳酸ブロック共重合体との溶融混練時に添加され、カルボキシル基末端の封鎖が行われる。

0078

本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物を繊維に成形加工する際の製造方法としては、従来公知の溶融紡糸方法を用いることができるが、ステレオコンプレックス結晶を効率的に形成させ、繊維の配向度を高めるという点において、高速紡糸工程および延伸工程を採用することが好ましい態様である。ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維を延伸することにより繊維を十分に配向し、機械物性が向上するだけでなく、同時に熱処理を行うことにより十分に結晶化が進行した、収縮特性にも優れた繊維を得ることが可能となる。

0079

本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物を高速紡糸する際の紡糸速度は、好ましくは500〜10,000m/分にすることにより分子配向が生じ、後の延伸工程での工程通過性を高めることができる。本発明における紡糸速度とは、糸条を引き取るための第1ゴデットロール周速度をいう。また、延伸同時仮撚等を行うためには、さらに分子配向が必要であるため、紡糸速度は2,000m/分以上がより好ましく、さらに好ましくは3,000m/分以上であり、特に好ましくは4,000m/分以上である。一方、紡糸工程での工程安定性を考慮すると、紡糸速度は7,000m/分以下であることが好ましい。この高速紡糸工程で得られた未延伸糸は配向度が高く、効率的にステレオコンプレックス結晶を形成できる前駆体となり、さらには機械的強度にも優れるため、延伸工程での工程通過性に優れた性質を示す。

0080

一方、上記で得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる未延伸糸の延伸工程は、例えば、熱ローラー/熱ローラー間で、予熱・延伸・熱セットを行う工程でも良いし、冷ローラーホットプレート/熱ローラーによって製造しても良いが、ポリ乳酸はその分子構造から分子鎖間の相互作用が弱く、耐摩耗性に劣る場合が多いため、熱ローラー/熱ローラーによって延伸を行うことがより好ましい態様である。上記で得られた高速紡糸した未延伸糸は配向度が高いため、延伸工程における予熱温度(例えば、第1熱ローラーもしくはホットプレートの温度)は、好ましくは80〜140℃までの温度で適宜選択することができる。

0081

また、延伸工程における熱セット工程については、前記の予熱温度よりも高く設定することにより、得られる繊維の結晶化を促進し、繊維に寸法安定性とステレオコンプレックス結晶形成による耐熱性を付与することができる。このことから、熱セット温度は予熱温度以上で、かつ130〜200℃の温度範囲とすることが好ましい。

0082

本発明において、ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維の延伸仮撚工程では、アウトドロー工程やインドロー工程など、従来公知の延伸仮撚工程を適宜選択することが可能である。インドロー工程は、製造設備を簡略化できるため、安価に繊維を製造することができる。また、延伸仮撚工程における施撚体としては、ピンベルトディスクなどを採用することができるが、ベルトもしくはディスクを採用すると、高速での延伸仮撚が可能となるため、単位時間当たりの生産量を高めることができ、結果的に繊維を安価に製造可能となる。また、延伸仮撚機のヒーターは、接触型非接触型のどちらを採用することも可能であるが、非接触型の場合は、該ポリ乳酸樹脂組成物からなる繊維の摩耗を低減させることができる。更に、このヒーターの温度は、仮撚糸の機械的強度、寸法安定性および耐熱性を付与するという観点から、100〜200℃の温度範囲で適宜選択することが好ましい。この温度範囲であれば、延伸仮撚工程で得られる繊維を、糸切れなく安定性して製造可能であることと、十分に配向結晶化した機械的強度、寸法安定性および耐熱性に優れた繊維とすることができる。

0083

さらに、延伸仮撚糸の寸法安定性を高めるため、延伸仮撚後にリラックス熱処理を加えることも好適である。上記の方法で得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる繊維は、機械的特性や寸法安定性に優れるばかりでなく、ステレオコンプレックス結晶が十分に形成されているため、アイロン耐熱性および耐久性にも優れ、高温染色も可能である。

0084

発明のポリ乳酸樹脂からなる繊維の単繊維繊度は、実用上の観点から、0.6dtex以上7.0dtex以下であることが好ましい。単繊維繊度は、紡績工程通過性品質面から、より好ましくは0.8dtex〜4.0dtex。

0085

単繊維繊度が7.0dtexを超えると、紡績糸とすべく撚紡いだとしても単糸(紡績糸)での曲げ剛性が高くなり毛羽として紡績糸表面に発現するため、紡績糸の外観品位を低下させるだけではなく、飛び出た毛羽先が肌に接触するとチクチク感が発生し不快感が生じることとなるため、衣料用としては実用性がなくなってしまう傾向を示す。また、単繊維繊度が0.6dtexを下回ると、紡績工程を経る段階で単繊維同士が絡まりネップスラブを形成し易くなるため品位外観上好ましくない。

0086

また、快適な着心地を実現するためには繊維長も重要な要素であり、単繊維繊度3.9dtexまでの短繊維を使用する場合、アスペクト比の観点から使用繊維長は38mm以上であることが必要であり、38mmよりも短い繊維を使用すると紡績糸とした際に毛羽立ちが多くなり、毛羽先が皮膚に接触することによりチクチクとした刺激が発生することになる傾向を示す。

0087

繊維形成する上で必要なアスペクト比は1,000以上が目安となり、1,000を下回ると紡績糸として形成させることが難しくなる。ここで示すアスペクト比とは、次の計算式で算出する。
・繊維アスペクト比=繊維長(mm)/繊維直径(φmm)。

0088

本発明の紡績糸は、繊維布帛にした際の風合いや良外観性から、紡績番手が10s〜80sの範囲にあることが好ましく、より好ましくは20〜60sの範囲である。

0089

また、紡績糸に加える撚数についても同様に、風合いや外観性を考慮し、撚係数Kが2.5〜6.0の範囲にあることが好ましい。甘撚状態であると糸条表面に毛羽が多く露出し、ピリングいわゆる毛玉が発生しやすくなり、逆に、強撚状態にすると糸条にスナールの発生や風合いにシャリ味が発現するため、用途によって設定することが好まれる。ここで示す紡績番手とは、次の計算式で算出することができる。
・紡績番手=√Ne番手×撚係数(K)=t/2.54cm
更に、本発明の紡績糸を用いる場合、織編工程において、紡績糸特有のピリング問題があるため、編成品よりも織物にする方が好ましい。

0090

また、本発明で用いられるポリ乳酸繊維の混用比率は、編織物の全体質量に対して、10質量%以上で90%質量以下であることが好ましく、最も好ましくは20質量%以上80質量%以下である。

0091

ポリ乳酸繊維の混率が上記範囲にある場合には、染色加工後のポリ乳酸繊維の分解糸強度、編織物の破裂強力や引裂強力を満足させることができ、アイロン耐熱性および風合いを向上させることができる。混用する他の繊維は、適正な染料によりポリ乳酸繊維と同様に有彩色に染色して使用することが好ましい。他の繊維としてはウール、、レーヨン、アセテート、あるいはポリエステルナイロンアクリルビニロンポリオレフィンおよびポリウレタン等の繊維が挙げられるが、綿、麻、レーヨンおよびテンセルなどのセルロース繊維が好ましく用いられる。

0092

混用の態様としては、他の繊維からなる繊維構造物との各種組み合わせのほか、他の繊維との混繊糸複合仮撚糸混紡糸長短複合糸流体加工糸、カバリングヤーン、合撚、交織、交編、パイル織編物、混綿詰め綿長繊維や短繊維の混合不織布およびフェルト等が例示される。

0093

本発明のポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる短繊維を用いた紡績糸、および他繊維との混合による混紡績糸の用途としては、耐加水分解性が要求される衣料、例えば、アウトドアウェアゴルフウェアアスチックウェア、スキーウェア、スノーボードウェアおよびそれらのパンツ等のスポーツウェアブルゾン等のカジアルウェア、コート、防寒服およびレインウェア等の婦人・紳士用アウターなどが挙げられる。

0094

また、長時間使用による耐久性や湿老化特性に優れたものが要求される用途として、ユニフォーム掛布団敷布団肌掛け布団、こたつ布団座布団ベビー布団毛布等の布団類クッション等の側地カバーマットレスベッドパッド病院用医療用ホテル用およびベビー用のシーツ等、さらには寝袋揺りかごおよびベビーカー等のカバー等の寝装資材用途があり、これらにも好ましく用いることができる。

0095

また、自動車用内装資材にも好適に用いることができ、その中でも、高い耐加水分解性と湿老化特性が要求される自動車用カーペット天井材用不織布に用いることが最適である。

0096

本発明のポリ乳酸樹脂からなる紡績糸と混紡績糸の用途は、これら用途に限定されるものではなく、例えば、他の用途として、農業用防草シート建築資材用の防水シート釣り糸漁網海苔網植生保護用不織布、土木用ネット土嚢育苗用ポット農業用資材および水切り袋などが挙げられる。

0097

本発明の紡績糸は、耐加水分解性の指標である強度保持率は、60〜99%であることが好ましく、より好ましくは70〜99%であり、さらに好ましくは80〜99%であり、特に好ましくは85〜99%である。強度保持率は、ポリ乳酸樹脂組成物からなるマルチフィラメント密閉容器密閉して水中に浸漬し、その密閉容器を130℃の温度で40分間加熱処理した際の、加熱処理前後の強度比から算出した値である。

0098

次に、実施例を挙げて本発明のポリ乳酸樹脂からなる短繊維を用いた紡績糸について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。ここで、実施例中の部数は質量部を示す。また、物性等の測定方法は次のとおりである。また、測定は全て10点での平均値で表示する。

0099

(1)重量平均分子量:
重量平均分子量および分散度は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した標準ポリメチルメタクリレート換算の値である。GPC測定は、検出器にWATERS社製の示差屈折計WATERS410を用い、ポンプにWATERS社製のMODEL510を用い、カラムに昭和電工株式会社製の“Shodex”(登録商標)GPC HFIP−806Mと“Shodex”(登録商標)GPC HFIP−LGとを直列に接続したものを用いて行った。測定条件は、流速0.5mL/分とし、測定では溶媒にヘキサフルオロイソプロパノールを用い、試料濃度1mg/mLの溶液を0.1mL注入した。

0100

(2)熱的特性
融点および融解熱量は、パーキンエルマー社製の示差走査型熱量計(DSC)により測定した。測定条件は、試料5mg、窒素雰囲気下、昇温速度が20℃/分である。

0101

ここで、融点とは、結晶融解ピークにおけるピークトップの温度のことを指し、また融解終了温度とは、結晶融解ピークにおけるピーク終了温度のことを指す。得られた結果において、融点が190℃以上250℃未満に確認されたものは、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されたものと判断し、融点が150℃以上190℃未満に確認されたものについては、ポリ乳酸ステレオコンプレックスが形成されなかったものと判断した。ここで、示すポリ乳酸樹脂組成物の融点とは、第2昇温時に昇温速度20℃/分で30℃から250℃の温度まで昇温したときに測定される融点を示す。また、ステレオコンプレックス結晶由来融解熱量(ΔHmsc)とは、上記の方法で測定した際の、ステレオコンプレックス結晶融解ピークのピーク面積を算出したものである。

0102

(3)ステレオコンプレックス形成率(Sc):
ポリ乳酸樹脂組成物のステレオコンプレックス形成率(Sc)は、下記式(1)から算出した。
・Sc=ΔHh/(ΔHl+ΔHh)×100 (1)
ここで、ΔHlは温度150℃以上190℃未満に現れるポリ−L−乳酸単独結晶およびポリ−D−乳酸単独結晶の結晶融解に基づく熱量を示し、ΔHhは温度190℃以上250℃未満に現れるステレオコンプレックス結晶の結晶融解に基づく熱量を示す。

0103

また、実施例におけるポリ乳酸樹脂組成物のステレオコンプレックス形成率(Sc)は、示差走査型熱量計(DSC)の第2昇温時に測定される結晶融解ピークから算出したものである。

0104

(4)カルボキシル基末端濃度:
ポリ乳酸樹脂組成物のカルボキシル基末端濃度は、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットをo−クレゾール/クロロホルム混合溶液に溶解後、0.02規定のエタノール水酸化カリウム溶液にて滴定することにより算出した。

0105

(5)重量平均分子量保持率
ポリ乳酸樹脂組成物の分子量保持率は、ポリ乳酸樹脂組成物のペレットを60℃の温度、95%RH条件下で100時間湿熱処理を行い、湿熱処理前の重量平均分子量(Mw1)と湿熱処理後の重量平均分子量(Mw2)から、下記式(3)に従い算出した。
・重量平均分子量保持率(%)=Mw2/Mw1×100 (3)。

0106

(6)延伸糸(マルチフィラメント)の強度:
本発明のポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる延伸糸(マルチフィラメント)の強度は、オリエンテック社製テンシロン(TENSILON)UCT−100を用いて、JIS L1013(化学繊維フィラメント糸試験方法、1998年)に従い,定速伸張条件(つかみ間隔:20cm、伸張速度20cm/分)で測定した。

0107

(7)延伸糸(マルチフィラメント)の強度保持率:
本発明のポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる延伸糸(マルチフィラメントの強度は、次の手順で測定を行った。ポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなる延伸糸1gを収縮しないようにボビン巻き付け、水300mlとともに密閉可能な容器に入れた後、昇温速度4℃/分で容器内の水温が130℃となるように加熱して130℃の温度で40分間定温保持した後、降温速度4℃/分で冷却させた。容器内の水温が50℃以下になったところで試料をとりだして水洗を行い、熱処理前引張強度(T1)と熱処理後の引張強度(T2)から、下記式(4)に従い強度保持率を算出した。
・強度保持率(%)=T2/T1×100 (4)。

0108

(8)ジャングルテスト後の布帛アイロン耐熱性:
下記の実施例で得られたポリ乳酸樹脂組成物からなる布帛に対して、70℃×95%RH環境下で1週間放置した後、中温(表面温度170℃)に設定した家庭用アイロンを10秒間押しあてて、変化が認められないものを◎、硬化がわずかに認められるものを○、硬化が明確に認められるものを△、硬化が顕著もしくは溶融してしまったものを×として、4段階でアイロン耐熱性評価を行い、◎と○を合格とした。

0109

[実施例1]
撹拌装置および還流装置を備えた反応容器中に、90%濃度のL−乳酸水溶液を50部入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応させた。その後、窒素雰囲気下で常圧に戻し、酢酸錫(II)0.02部を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行った。続いて、得られたポリ−L−乳酸を、窒素雰囲気下で110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で18時間固相重合を行い、ポリ−L−乳酸(PLA1)を得た。得られたPLA1の重量平均分子量は20万であり、分散度は1.7であり、融点は170℃であった。

0110

次に、撹拌装置と還流装置を備えた反応容器中に、90%濃度のD−乳酸水溶液を50部入れ、温度を150℃に設定した後、徐々に減圧して水を留去しながら3.5時間反応させた。その後、窒素雰囲気下で常圧に戻し、酢酸錫(II)0.02部を添加した後、170℃の温度で13Paになるまで徐々に減圧しながら7時間重合反応を行った。続いて、得られたポリ−D−乳酸を、窒素雰囲気下で110℃の温度で1時間結晶化処理を行った後、60Paの圧力下、140℃の温度で3時間、150℃の温度で3時間、160℃の温度で5時間固相重合を行い、ポリ−D−乳酸(PDA1)を得た。得られたPDA1の重量平均分子量は4.0万であり、分散度は1.5であり、融点は156℃であった。

0111

上記の方法で得られたPLA1とPDA1を、混合前にあらかじめ窒素雰囲気下で温度110℃の温度で2時間結晶化処理を行った。続いて、結晶化処理した50質量部のPLA1を二軸押出機樹脂供給口から添加し、50質量部のPDA1を、後述するL/D=30の部分に設けたサイド供給口から添加することにより、溶融混練を行った。ここで、二軸押出機は、樹脂供給口からL/D=10の部分に温度190℃に設定した可塑化部分を有するとともに、L/D=30の部分にニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造を有している。二軸押出機によって、減圧下、混練温度210℃でPLA1およびPDA1の溶融混練を行い、ポリ乳酸ステレオコンプレックスを得た。得られたポリ乳酸ステレオコンプレックスの重量平均分子量は11万であり、分散度は2.7であり、融点は211℃で、ステレオコンプレックス形成率は100%であった。

0112

次に、上記で得られたポリ乳酸ステレオコンプレックス100部に対して、イソシアヌレート化合物(トリグリシジルイソシアヌレート(日産化学工業製「“TEPIC”(登録商標)−S」、エポキシ当量100g/mol)を0.1部の割合で混合し、カルボキシル基末端濃度が17eq/トンとなるように調製し、17ベントを有する二軸押出機を用いて溶融混練を行った。二軸押出機は、樹脂供給口からL/D=10の部分に温度225℃に設定した可塑化部分と、L/D=30の部分にニーディングディスクを備えてせん断付与できるスクリューとしてせん断付与下で混合できる構造とを有しており、この二軸押出機を用いて減圧下、混練温度220℃で溶融混練を行って、ペレット化されたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物からなるポリ乳酸チップを得た。

0113

別に、実施例1で得られたポリ乳酸チップを、紡糸口金を用いて溶融紡糸し、単繊維繊度が3.0dtexのトウ状の細繊度ポリ乳酸繊維束を作製し、これを繊維長38mmにカットし、短繊維にして原綿を得た。

0114

上記で得られた単繊維繊度が3.0dtex、繊維長が38mmのポリ乳酸樹脂からなる短繊維からなる原綿65質量%と脱脂綿35質量%を、OHARA製混綿機を用いて混綿した。その後、混綿した繊維を、石川製作所製カード機を用いてカードスライバーとし、石川製作所製練条機に2回通して、2.95g/100cmのスライバーを作成した。更に、豊田自動織機粗紡機に通して0.47g/100cmの粗糸繊維束A)を作成した。

0115

その後、豊田自動織機製リング精紡機を用いてドラフト32倍で紡出し、トラベラ回転数9000rpmで綿番手40番手のポリ乳酸樹脂繊維65質量%と脱脂漂白加工をした綿35質量%からなる混紡績糸を得た。

0116

次に、この延伸糸を経糸および緯糸に用いて平織組織生機を作製した。生機の経糸密度は115本/2.54cmであり、緯糸密度は85本/2.54cmであった。さらに、この生機に下記条件で染色加工を施し、織物製品を得た。

0117

<布帛加工条件
a.精練
ソーダ灰1g/L
界面活性剤(三洋化成社製、グラアップUS-20) 0.5g/L
処理条件:98℃×20分
b.中間セット
処理条件:180℃×3分
c.染色
ダイアニックス ネイビーブルーERFS200
(Dianix Navy Blue ERFS 200) 2%owf
pH調整剤(酢酸/酢酸ナトリウム緩衝液、pH5) 0.2g/L
処理条件:130℃×40分
d.ソーピング
界面活性剤(三洋化成社製、商品名グランアップUS-20) 0.2g/L
処理条件:60℃×20分
e.仕上げセット
処理条件:160℃×3分。

0118

溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物と繊維物性は、表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性に優れた結果となった。

0119

[実施例2]
ポリ乳酸ステレオコンプレックス100部、イソシアヌレート化合物1.5部の割合で調製しカルボキシル基末端濃度が2eq/トンとなるよう溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で単繊維繊度が3.0dtexの原綿を製造し、紡績の後、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物と繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性に優れた結果となった。

0120

[実施例3]
イソシアヌレート化合物として、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート(四国化成工業製「MADGIC」)を1.0部の割合で混合調製しカルボキシル基末端濃度が6eq/トンとなるよう溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で単繊維繊度3.0dtexの原綿を製造し、紡績の後、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂組成物、繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性に優れた結果となった。

0121

[実施例4]
二軸押出機に供給するPLA1を70部、PDA1を30部とし、カルボキシル基末端濃度が15eq/トンとなるように調製したこと以外は、実施例1と同様な方法で単糸繊度3.0dtexの原綿を製造し紡績の後、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物と繊維物性は表1に示すとおりである。得られた織物は、物性、耐久性および湿熱安定性に優れた結果となった。

0122

[比較例1]
ポリ乳酸ステレオコンプレックス100部、イソシアヌレート化合物0.03部の割合で溶融混練を行ったこと以外は、実施例1と同様な方法で延伸糸と原綿を製造し、紡績糸を作成し織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物と繊維物性は、表1に示すとおりである。その結果、比較例1ではイソシアヌレート化合物との反応後においてもカルボキシル基末端濃度は30eq/ton以上と高いことから、分子量保持率が低かった。さらに、延伸糸の強度保持率は50%未満であり、さらにジャングルテスト後の布帛アイロン評価した生地は明らかに硬化しており、耐久性と湿熱安定性に劣る結果となった。

0123

[比較例2]
ポリ乳酸樹脂として、ホモポリ乳酸であるPLA1を用いてポリ乳酸樹脂組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様な方法で延伸糸と原綿を製造し、紡績糸を作成し、織物製品を得た。溶融混練により得られたポリ乳酸樹脂を含む樹脂組成物と繊維物性は表1に示すとおりである。

0124

ポリ乳酸樹脂がホモポリ乳酸であることもありステレオコンプレックスの形成はなく、耐熱性および結晶化特性が実施例に比較して劣る結果であった。さらに、延伸糸の強度保持率は50%未満であり、ジャングルテスト後の布帛アイロン評価した生地は明らかに硬化しており、耐久性と湿熱安定性に劣る結果となった。

実施例

0125

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