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技術 X線撮像システム

出願人 キヤノン株式会社
発明者 半田宗一郎
出願日 2014年3月3日 (4年8ヶ月経過) 出願番号 2014-040529
公開日 2015年9月24日 (3年1ヶ月経過) 公開番号 2015-166676
状態 未査定
技術分野 放射線を利用した材料分析 その他の放射線取扱い 放射線の測定 放射線診断機器
主要キーワード 球面波状 仮想ピン 重格子 検体設置 波動場 吸収格子 シフト不変 トールボット
関連する未来課題
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図面 (5)

課題

サイズの大きいX線源を使用する場合でも、鮮鋭度の高い被検体画像を得ることのできるX線撮像システムを提供する。

解決手段

本発明の第一側面に係るX線撮像システムは、X線光学系と、X線源から放射され被検体を透過したX線強度分布を前記X線光学系を介して検出するX線画像検出器と、を備えるX線撮像システムにおいて、前記X線光学系は、前記被検体の位置に仮想ピンホールを置いたと仮定した場合に、前記仮想ピンホールを透過したX線に対して作用することにより、該X線が前記X線画像検出器により所定パターンの強度分布をもつ像として検出されるように、点拡がり関数変調する点拡がり関数変調手段を有することを特徴とするX線撮像システムである。

概要

背景

X線による撮像は、医療における画像診断工業製品検査等において広く用いられている。一般的なX線撮像では、X線源から放射させたX線を被検体照射し、透過X線の強度分布を検出することにより、被検体の内部構造などを画像化している。

概要

サイズの大きいX線源を使用する場合でも、鮮鋭度の高い被検体画像を得ることのできるX線撮像システムを提供する。本発明の第一側面に係るX線撮像システムは、X線光学系と、X線源から放射され被検体を透過したX線の強度分布を前記X線光学系を介して検出するX線画像検出器と、を備えるX線撮像システムにおいて、前記X線光学系は、前記被検体の位置に仮想ピンホールを置いたと仮定した場合に、前記仮想ピンホールを透過したX線に対して作用することにより、該X線が前記X線画像検出器により所定パターンの強度分布をもつ像として検出されるように、点拡がり関数変調する点拡がり関数変調手段を有することを特徴とするX線撮像システムである。

目的

本発明は、サイズの大きいX線源を使用する場合でも、鮮鋭度の高い被検体画像を得ることのできるX線撮像システムを提供する

効果

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請求項1

X線光学系と、X線源から放射され被検体を透過したX線強度分布を前記X線光学系を介して検出するX線画像検出器と、を備えるX線撮像システムにおいて、前記X線光学系は、前記被検体の位置に仮想ピンホールを置いたと仮定した場合に、前記仮想ピンホールを透過したX線に対して作用することにより、該X線が前記X線画像検出器により所定パターンの強度分布をもつ像として観測されるように、点拡がり関数変調する点拡がり関数変調手段を有することを特徴とするX線撮像システム。

請求項2

前記被検体が存在しない場合に、前記X線画像検出器により一様な強度のX線像が観測され、前記被検体の代わりにピンホールを配置した場合に、前記X線画像検出器により前記所定パターンの強度分布をもつX線像が観測されることを特徴とする請求項1に記載のX線撮像システム。

請求項3

前記所定パターンの強度分布は、所定の周期空間変調された強度分布であることを特徴とする請求項1または2に記載のX線撮像システム。

請求項4

前記空間変調された強度分布の所定の周期は、前記X線画像検出器により分解可能な周期よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載のX線撮像システム。

請求項5

前記点拡がり関数変調手段は、前記被検体と前記X線画像検出器とのあいだに配置された複数の格子から構成され、前記所定パターンの強度分布をもつ像は、前記複数の格子により形成されるモアレであることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか1項に記載のX線撮像システム。

請求項6

前記複数の格子は、前記仮想ピンホールを透過したX線の干渉パターントールボット効果により形成する第1の格子と、前記干渉パターンとのあいだでモアレを形成する第2の格子とを有することを特徴とする請求項5に記載のX線撮像システム。

請求項7

前記第1の格子の周期をdA、前記X線源から前記第1の格子までの距離をLSA、前記第2の格子の周期をdB、前記第1の格子から前記第2の格子までの距離をLABとしたとき、dB=dA(LSA+LAB)/LSAを満たすことを特徴とする請求項6に記載のX線撮像システム。

請求項8

前記第1の格子の周期をdA、前記X線源から前記第1の格子までの距離をLSA、前記第2の格子の周期をdB、前記第1の格子から前記第2の格子までの距離をLAB、前記X線源のサイズをD、前記X線源から前記被検体までの距離をLSO、前記被検体から前記X線画像検出器までの距離をLOD、前記X線画像検出器により分解可能な最小空間周期をdRとしたとき、dBLSA/LAB<DかつdBLSALOD/(LABLSO)>dRを満たすことを特徴とする請求項6または7に記載のX線撮像システム。

請求項9

前記第1の格子および前記第2の格子が2次元周期パターンを有することを特徴とする請求項6〜8のうちいずれか1項に記載のX線撮像システム。

請求項10

前記第1の格子が位相格子であることを特徴とする請求項6〜9のうちいずれか1項に記載のX線撮像システム。

技術分野

0001

本発明は、X線撮像システムに関する。

背景技術

0002

X線による撮像は、医療における画像診断工業製品検査等において広く用いられている。一般的なX線撮像では、X線源から放射させたX線を被検体照射し、透過X線の強度分布を検出することにより、被検体の内部構造などを画像化している。

0003

国際公開第2004/058070号(特許第4445397号公報)

先行技術

0004

Antonio L. Damato et al., “Coded Source Imaging for Neutrons and X‐Rays” 2006IEEE Nuclear Science Symposium Conference Record, 199‐203 (2006)

発明が解決しようとする課題

0005

一般的なX線撮像法において、X線源のサイズが大きすぎる場合、所謂幾何学的不鋭(geometric unsharpness)の効果により、被検体画像鮮鋭度が低下することがある。X線源のサイズとは、X線発生装置内の有効X線を発生する部分(X線発生部)の空間的な広がり(直径、一辺の長さ、もしくは面積で表される)をいい、焦点サイズとも呼ばれる。

0006

幾何学的不鋭の効果は、よりサイズの小さいX線源を使用することにより抑制できる。しかし、一般にはサイズの小さいX線源ほど、X線発生装置の機械的精度や安定性に対する要求が高くなったり、単位時間当たりのX線発生量が少なくなったりする。それゆえ、X線源のサイズを小さくしようとすると、装置コストの増大や、撮影時間の長大を招き、実用性欠けるという課題がある。

0007

そこで、本発明は、サイズの大きいX線源を使用する場合でも、鮮鋭度の高い被検体画像を得ることのできるX線撮像システムを提供することを目的とする。

課題を解決するための手段

0008

本発明の第一側面に係るX線撮像システムは、X線光学系と、X線源から放射され被検体を透過したX線の強度分布を前記X線光学系を介して検出するX線画像検出器と、を備えるX線撮像システムにおいて、前記X線光学系は、前記被検体の位置に仮想ピンホールを置いたと仮定した場合に、前記仮想ピンホールを透過したX線に対して作用することにより、該X線が前記X線画像検出器により所定パターンの強度分布をもつ像として検出されるように、点拡がり関数変調する点拡がり関数変調手段を有することを特徴とするX線撮像システムである。

発明の効果

0009

本発明によれば、サイズの大きいX線源を使用する場合でも、鮮鋭度の高い被検体画像
を得ることのできるX線撮像システムを提供することができる。

図面の簡単な説明

0010

第1実施形態のX線撮像システムを示した模式図。
実施例1における第1と第2の格子パターンを示した図。
実施例1における変調された点拡がり関数の例を示した図。
実施例2における第1と第2の格子のパターンを示した図。

実施例

0011

以下に、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。

0012

サイズの大きいX線源を使用する場合に鮮鋭度の高い被検体画像を得るための手段として、非特許文献1に記載されているような符号化線イメージング法が知られている。符号化線源イメージング法では、一般的なX線源に比較して複雑な形状を有するX線源を用いることにより、X線光学系の点拡がり関数が比較的高い空間周波数成分をも含むように構成する。得られた被検体画像に対して、X線源の形状に対応したデコンボリューション処理を行うことにより、自然な画像が得られる。

0013

しかしながら、符号化線源イメージング法を用いるためには特殊な形状を持つX線源が必要となる。このようなX線源は、理論的には、所望するX線源形状と同じ形状の開口を有するX線遮蔽マスクをX線源付近に配置することにより、得ることができる。しかし、多くのX線発生装置においては、X線源(X線発生部)が真空容器で囲われていたり、面状のX線発生部から発生するX線を斜め方向から取り出す構造になっていたりするため、構造上、X線源にX線遮蔽マスクを密着させることが困難である。

0014

そこで本実施形態では、X線源はそのまま(つまり形状を制御せずに)用い、被検体を透過したX線の撮像を行うX線光学系(撮像光学系)の側に点拡がり関数変調手段を設ける。この点拡がり関数変調手段により点拡がり関数の形状を制御することで、符号化線源イメージング法と同様の原理により、鮮鋭度の高い被検体画像を得ることが可能となる。しかも本実施形態の構成によれば、サイズの大きなX線源をそのまま利用できるため、符号化線源イメージング法の課題であったX線源の形状制御の困難を避けることができる。

0015

点拡がり関数変調手段としては、被検体の位置に仮想ピンホールを置いたと仮定した場合に、この仮想ピンホールを透過したX線に作用することにより、該X線がX線画像検出器により所定パターンの強度分布をもつ像として検出されるように、点拡がり関数を変調するものを用いる。所定パターンの強度分布は、所定の周期空間変調された強度分布である(すなわち、X線画像検出器で画像化された仮想ピンホールのX線像が所定の周期の濃度分布をもつ)とよい。このとき、X線画像検出器により強度分布を画像化するために、強度分布の所定の周期が、X線画像検出器により分解可能な周期よりも大きい(X線画像検出器の画素ピッチよりも十分大きい)ことが好ましい。また、変調した点拡がり関数がシフト不変性を有すること(すなわち、仮想ピンホールの位置を被検体の設置面上で変化させてもX線画像検出器で観測される強度分布のパターンが変化しないこと)が好ましい。このような条件を満たす点拡がり関数変調手段を用いることで、デコンボリューション処理を簡易にできると共に、高鮮鋭度の被検体画像を得ることが可能となる。なお、仮想ピンホールを置いた場合にX線画像検出器で検出される像の強度分布は、コンピュータシミュレーションで検証することもできるが、X線撮像システムの実機において被検体の代わりにピンホールを配置することでも検証可能である。

0016

以下では、点拡がり関数変調手段の一実現例として、微細周期構造を有する複数の格
子とX線のトールボット効果を利用することによりX線光学系の点拡がり関数を変調する構成を説明する。

0017

トールボット効果とは、電磁波などの波が周期的な構造を持つ格子により回折された際、格子と同様の周期を有する像(干渉パターン)を一定伝搬距離ごとに出現させる効果のことである。X線によるトールボット効果は所謂位相イメージングにも利用できることが知られており、特許文献1などに詳しく記載されている。

0018

本実施形態では、二重格子とトールボット効果により撮像光学系の点拡がり関数を変調するため、X線撮像システムを図1のように構成する。図1においてX線撮像システムは、X線源1、第1の格子2、第2の格子3、X線画像検出器4、および演算装置5を有している。第1の格子2と第2の格子3は、被検体6とX線画像検出器4のあいだに配置されている。X線源1から放射されたX線は、被検体6を透過した後に第1の格子2と第2の格子3を通過し、X線画像検出器4に入射する。X線画像検出器4は入射するX線の強度分布(すなわち、被検体画像)を検出し、検出した被検体画像の情報を演算装置5に伝送する。

0019

第1の格子2と第2の格子3は、第1の格子2によるX線のトールボット効果を考慮して配置されている。具体的には、X線源1から発生し、被検体6の設置面上の任意の一微小領域を通過することにより球面波状の波を形成したX線を考える。このX線が第1の格子2を通過することによりトールボット効果を起こし、これにより出現する高コントラストの干渉パターンが出現すべき位置に第2の格子3が配置されている。この干渉パターンと第2の格子3との間で発生するモアレによりX線画像検出器4上に投影されるX線源の像が空間的に変調されることにより、撮像光学系の点拡がり関数を変調することができる。

0020

第1の格子2および第2の格子3には、1次元または2次元の周期パターンをもつ格子を用いることができる。得られる画像の鮮鋭度を2次元的に向上させられることから、2次元の周期パターンをもつ格子を用いることが好ましい。第1の格子2には、位相格子吸収格子のいずれも用いることができるが、X線の損失を少なくするために位相格子を用いる方が好ましい。第2の格子3には、吸収格子を用いるとよい。

0021

演算装置5は、プロセッサメモリ記憶装置入出力装置などを有するコンピュータである。演算装置5は、X線画像検出器4から得られた画像情報の処理や分析のほか、X線撮像システムの各部を制御する機能を担う。これらの処理はメモリまたは記憶装置に格納されたプログラムをプロセッサが実行することにより実現されるとよい。あるいは、一部の機能を論理回路などのハードウェア代替することもできる。なお、演算装置5は汎用のコンピュータで構成してもよいし、ボードコンピュータASICのような専用のハードウェアで構成してもよい。

0022

演算装置5は、取得した被検体画像のデコンボリューションを行い、見た目の上で自然な被検体画像を算出する。演算装置5では、第1の格子2と第2の格子3の効果により変調されている光学系の点拡がり関数の情報をあらかじめ取得しておき、この点拡がり関数に応じたデコンボリューションを行うとよい。

0023

以下では、第1の格子2と第2の格子3の周期や配置の満たすべき条件と、これらの格子の効果による撮像光学系の点拡がり関数の変調について説明する。

0024

一般に、平面波入射波に対するトールボット長LT(トールボット効果により同一の波動場が出現する周期)は、
LT = 2d2/λ (1)
と表される。ここでdは格子の周期、λは波の波長である。したがって、入射平面波振幅あるいは位相に対してある特定の変調パターンを与える周期dの格子が波長λの入射平面波に対して特定の干渉パターンを出現させる位置までの距離LT´は、係数pを用いて、
LT´ = pd2/λ (2)
と書ける。係数pは、一般化されたトールボット次数ともみなせる。

0025

したがって、第1の格子2が波長λEの入射X線平面波に対して特定の高コントラスト干渉パターンを出現させる距離LABOは、
LABO = pdA2/λE (3)
と書ける。ここで、dAは原則として第1の格子2の周期であるが、本明細書では前述の入射X線平面波に対する高コントラスト干渉パターンの周期として定義する。したがって、dAは第1の格子の周期である場合以外にも、第1の格子の周期の整数分の1である場合もある。

0026

ここで、被検体の設置面上の任意の一微小領域を通過することにより球面波状の波を形成したX線が第1の格子2を通過することによりトールボット効果を起こし、上述の高コントラストの干渉パターンを出現させる位置を知るためには、入射X線が平面波であることを前提としている式(3)を補正する必要がある。具体的には、該球面波が第1の格子2を通過することによりトールボット効果を起こし、上述の高コントラストの干渉パターンを出現させる位置に第2の格子3を配置するためには、第1の格子2と第2の格子3のあいだの距離LABを、
LAB = LOALABO/(LOA−LABO) (4)
とすれば良い。ここで、LOAは被検体6の設置面と第1の格子2との間の距離である。

0027

さらに、本実施形態における第2の格子3の周期dBは、
dB = dA(LSA+LAB)/LSA (5)
と表される値を持つ。ここで、LSAはX線源1と第1の格子2との間の距離である。これにより、被検体設置面上の任意の領域に関して点拡がり関数がほぼ同様の形状を持つ状態(シフト不変性)が実現でき、後のデコンボリューション処理が容易となる。

0028

この際、X線画像検出器4上における点拡がり関数の変調周期dMは、
dM = dBLSALOD/(LABLSO) (6)
となる。ここで、LODは被検体6の設置面とX線画像検出器4との間の距離、LSOはX線源1と被検体6の設置面との間の距離である。また、X線源のサイズをDとすると、X線画像検出器4上における点拡がり関数の全体サイズ(すなわち、有意にゼロから離れた値を持つ範囲のサイズ)D´は、
D´ = DLOD/LSO (7)
と書ける。したがって、点拡がり関数の変調周期が関数の全体サイズよりも小さくなる(dM<D´となる)ためには、
dBLSA/LAB < D (8)
であれば良い。X線源のサイズDは、例えば、半値幅や、所定強度のX線が放射される範囲(直径、一辺の長さ)などで定義できる。

0029

さらに、点拡がり関数の変調が有意な効果を得るためには、変調周期dMがX線画像検出器4による分解可能な最小空間周期よりも大きい必要がある。したがって、分解可能な最小周期をdRとすれば、
dBLSALOD/(LABLSO) > dR (9)
であれば良い。分解可能な最小周期dRは、例えばX線画像検出器4の画素ピッチの2倍
等に設定できる。

0030

前述のように、第1の格子2と第2の格子3による点拡がり関数の変調の効果は、被検体6の代わりにピンホールを配置したときにX線画像検出器4で観測されるX線像の強度分布をみることで検証できる。また、シフト不変性については、ピンホールの位置を被検体6の設置面内で変化させたときのX線像の強度分布の変化をみることで検証可能である。

0031

なお、本実施形態のX線撮像システムでは、被検体6が存在しない場合には、X線源1から放射されたX線は第1の格子2の位置において十分な空間コヒーレンス度を有さない。それゆえ、第2の格子3の位置において有意な高コントラスト干渉パターンは形成されず、結果として、第2の格子3によるモアレも形成されない。この場合、X線画像検出器4で観測されるのは、一様な強度のX線像となる。

0032

ところで、トールボット干渉計やトールボット・ロー干渉計でも二つの格子によるトールボット効果とモアレを利用するため、一見、本実施形態のシステムに類似しているようにみえる。しかし、これらの干渉計では被検体が存在しない場合でもモアレが観測される点で、本実施形態のシステムと異なる。加えてこれらの干渉計では、二つの格子のあいだの距離は、X線源又はトールボット・ロー干渉計における線源格子上の一点を中心とする球面波が、下流側の格子の位置にトールボット効果による高コントラスト干渉パターンを形成するように設計される。したがって、式(4)に示したように、二つの格子のあいだの距離を、被検体の設置面上の一点を中心とする球面波が下流側の格子の位置に高コントラスト干渉パターンを形成するように設計する本実施形態のシステムとは異なる。なお、符号化線源イメージング法は、被検体に入射する以前のX線に作用することで点拡がり関数の変調を行う点で、本実施形態のシステムとは異なる。つまり、符号化線源イメージング法では、点拡がり関数変調手段が被検体の上流に配置される点で本実施形態のシステムとは異なる。したがって、被検体が存在しない場合のX線像と、点拡がり関数変調手段の作用する対象が被検体透過後のX線であるか否かをみれば、上記した従来のシステムと本実施形態のシステムとの区別が容易につく。

0033

以下、本実施形態のより具体的な実施例について記述する。
(実施例1)
X線源1はX線管における陽極上のX線発生部である。陽極材料モリブデンであり、光子エネルギー17.5keVの特性X線を発生させることができる。また、X線源1は一辺の長さが240μmの正方形に近い実効的形状を有している。したがって、本実施例においてD=240μmである。第1の格子2は図2(A)に示すようなパターンを有している。第1の格子2はシリコン製であり、シリコンの厚さの違いにより17.5keVの入射X線に対してπradの位相変調を与えることができる。尚、図2(A)における斜線部と非斜線部はそれぞれ、位相進行部と位相遅延部を表している。本実施例におけるdAは図2(A)中に示した長さに対応し、dA=2.199μmである。また、第2の格子3は図2(B)に示すようなパターンを有している。第2の格子3は金製であり、周期的にX線を透過させる開口が配置された構造を有している。図2(B)における着色部と非着色部はそれぞれ、X線遮蔽部である金と、X線透過部である開口を表している。dBは図2(B)中に示した長さに対応し、dB=2.240μmである。また、X線画像検出器4はフラットパネル検出器であり、画素サイズは30μm、分解可能な最小周期dRは概ね60μmである。

0034

被検体6の設置面と第1の格子2との間の距離LOAは0.9mである。また、一般に図2(A)のようなパターンを有するπ変調格子は、波長λEの入射X線平面波に対し、LABO=0.5dA2/λEの距離の位置に、正方格子状のパターンを有する、周期d
Aの高コントラスト干渉パターンを出現させる。したがって、λEを17.5keVのX線に対応する波長とすれば、本式と式(4)を用いることで、二格子間の距離LABは、LAB=35.5mmと計算できる。したがって、本実施例では第1の格子2と第2の格子3との間の距離LABが35.5mmとなるよう配置する。

0035

また、X線源1と第1の格子2との間の距離LSAは1.9mである。このとき、光学系は式(5)を満たすため、被検体設置面上の任意の領域に関して点拡がり関数がほぼ同様の形状を持つ状態が実現できる。

0036

また、X線源1と被検体6の設置面との間の距離LSOは1m、被検体6の設置面とX線画像検出器4との間の距離LODは1mである。したがって、式(6)を用いれば、X線画像検出器4上における点拡がり関数の変調周期dMはdM=120μmと計算できる。また、式(7)を用いれば、X線画像検出器4上における点拡がり関数の全体サイズD´は、D´=240μmと計算できる。このように、光学系は式(8)を満たし、点拡がり関数の変調周期は関数の全体サイズよりも小さくなる。図3は、被検体6の設置面にピンホールを配置した場合にX線画像検出器4で観測される像、すなわち実質的な点拡がり関数を模式的に示す。

0037

X線画像検出器4による分解可能な最小周期dRは概ね60μmであり、光学系は式(9)を満たすことから、点拡がり関数の変調は有意な効果を得ることができる。

0038

(実施例2)
実施例2では実施例1と異なり、点拡がり関数を1次元的に変調する。これにより、特定の一方向に関する撮像システムの空間分解能を高めることができる。

0039

第1の格子2は図4(A)に示すようなパターンを有している。第1の格子2は実施例1と同様シリコン製であり、シリコンの厚さの違いにより17.5keVの入射X線に対してπradの位相変調を与えることができる。尚、図4(A)における斜線部と非斜線部はそれぞれ、位相進行部と位相遅延部を表している。本実施例におけるdAは図4(A)中に示した長さに対応し、dA=2.199μmである。また、第2の格子3は図4(B)に示すようなパターンを有している。第2の格子3は金製であり、周期的にX線を透過させる開口(スリット)が配置された構造を有している。図4(B)における着色部と非着色部はそれぞれ、X線遮蔽部である金と、X線透過部である開口(スリット)を表している。dBは図4(B)中に示した長さに対応し、dB=2.240μmである。その他、X線源1とX線画像検出器4に関しては実施例1と同様である。

0040

被検体6の設置面と第1の格子2との間の距離LOAは0.9mである。また、一般に図4(A)のようなパターンを有するπ変調格子は、波長λEの入射X線平面波に対し、LABO=0.5dA2/λEの距離の位置に、1次元状のパターンを有する、周期dAの高コントラスト干渉パターンを出現させる。したがって、λEを17.5keVのX線に対応する波長とすれば、本式と式(4)を用いることで、二格子間の距離LABは、LAB=35.5mmと計算できる。したがって、本実施例では第1の格子2と第2の格子3との間の距離LABが35.5mmとなるよう配置する。
その他、光学系を構成する各要素の配置は実施例1と同様である。このように、1次元状の格子を用いることで、点拡がり関数を1次元的に変調することができる。

0041

以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、上記実施形態では第1の格子と第2の格子の二つの格子を用いたが、さらに他の機能をもつ格子を組み合わせてもよい。

0042

1X線源
2 第1の格子
3 第2の格子
4X線画像検出器
5 演算装置

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