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技術 ステロイド療法における副作用の改善・抑制用組成物

出願人 EAファーマ株式会社
発明者 西谷しのぶ竹鼻健司
出願日 2015年4月9日 (4年10ヶ月経過) 出願番号 2015-080101
公開日 2015年9月24日 (4年5ヶ月経過) 公開番号 2015-166352
状態 拒絶査定
技術分野 食品の着色及び栄養改善 化合物または医薬の治療活性 非環式または炭素環式化合物含有医薬
主要キーワード 栄養成分量 LP値 液体状食品 握力測定 無重力 握力計 総合栄養食品 目安量
関連する未来課題
重要な関連分野

この項目の情報は公開日時点(2015年9月24日)のものです。
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図面 (17)

課題

ステロイド治療における、筋肉萎縮筋肉痛関節痛耐糖能異常、骨代謝低下、免疫力低下、食欲低下、体重減少、易疲労感などの副作用を改善または抑制し、さらに様々な疾患に付随する筋肉萎縮を抑制する医薬組成物の提供。

解決手段

イソロイシンロイシンおよびバリンを有効成分として含有してなる投与するステロイド量を減じることのない組成物。イソロイシン、ロイシン及びバリンの重量比が1.5〜2.5:0.8〜1.7である組成物。ステロイド薬として併用して投与される組成物。

概要

背景

現在のステロイド治療での副作用に対する対処療法は、(1)感染症抗菌剤投与、(2)糖尿病インスリンや経口糖尿病薬の投与、(3)消化管症状:制酸剤やH2ブロッカーの投与、(4)骨粗しょう症ビタミンDカルシウム投与、(5)緑内障眼圧低下剤の投与、(6)精神変調、うつ状態:向精神病薬の投与などがある。しかしながら、重篤な副作用の1つであるミオパチーステロイドの減量しか改善・抑制方法はない。また、複数の副作用を呈する場合はそれぞれの症状を抑制する対処薬剤服用しなければならない。さらに、ステロイド副作用を別のステロイドで抑制するなどのステロイド依存症も問題である。

慢性関節リウマチ治療において分岐鎖アミノ酸ステロイド薬の投与量を減量できる可能性が示唆されているが(特許文献1)、分岐鎖アミノ酸がステロイド薬の副作用そのものを抑制するという記載はない。ステロイド薬の場合、投与量を減量できたとしても、長期にわたり少量ステロイドを使用すると、高用量用いた場合と同程度の副作用が発生するといわれている。よって、ステロイド薬の減量のみで、ステロイド薬の副作用を軽減することは難しいと考えられる。

また、副作用を考慮して少量のステロイド薬を使用すると、治療効果が十分発揮できない場合もある。具体的には大量ステロイド薬使用のパルス療法がある。この方法では致死的症状や重症臓器障害、疾患活動期など早急に症状を抑えるために大量のステロイド薬が必要とされるため、むやみな減量は危険を伴う。すなわちステロイドの減量は患者の生死に関わる可能性があり、減量の必要がなくステロイド薬の副作用を抑制できる方法が求められている。

ステロイド療法における副作用の1つとして、筋肉萎縮作用が知られている。近年、かかる筋肉萎縮作用は、ステロイド(グルココルチコイド)がAkt1(プロテインキナーゼB)の活性阻害することにより、転写因子Foxoが脱リン酸化され、それに伴い、atrogin−1遺伝子およびmyostatin遺伝子の転写が活性化され、これら遺伝子の発現亢進することに起因するものであることが報告されている(非特許文献1〜3)。atrogin−1遺伝子およびMuRF−1遺伝子は、ユビキチンリガーゼをコードする遺伝子、すなわちプロテオソーム分解誘発遺伝子であり、筋肉萎縮遺伝子(Atrogene)とも呼ばれる。また、myostatin遺伝子はTGFβファミリーに属し、筋肉成長において負の調節因子として知られている(非特許文献4)。さらに、FOXO遺伝子は筋肉萎縮が起こる際に発現亢進が報告されている(非特許文献5、6)。また、KLF15とREDD1遺伝子は、筋肉萎縮と同時に、または付随して生じると考えられる代謝・栄養障害に関係する「代謝・栄養調節関連遺伝子」で知られている(非特許文献7、8)

ステロイドによる副作用以外にも筋肉萎縮遺伝子の発現上昇病態の悪化(筋肉萎縮や癌悪液質)に関係する疾患が知られている(非特許文献9)。かかる疾患としては、例えば、糖尿病、癌、腎不全心不全AIDS、肝硬変、種々の炎症性疾患栄養不良疾患などが挙げられる。筋肉萎縮は、患者のQOLの低下を招く重大な問題である。したがって、ステロイド薬の投与や上記疾患に伴う筋肉萎縮を抑制可能な薬物が求められている。

筋肉萎縮遺伝子の発現には、IGF−1(Insulin-like Growth Factor)/PI3K(phosphoinositol 3-kinase)/AKT/mTOR(mammalian Target of Rapamycin)経路が重要な役割を果たすことが知られており、この経路が何らかの原因で抑制されると、筋肉萎縮遺伝子の発現が上昇し、筋肉の萎縮が引き起こされると考えられている(非特許文献10、11)。ラットデキサメサゾンを投与すると摂量、体重が減少し、筋肉萎縮が生じ、これをIGF−1が抑制するという報告がある(非特許文献12)。一方で、IGF−1が筋肉の細胞においてデキサメサゾンで誘導したatrogin−1とMuRF−1の発現を抑制するという報告がある(非特許文献10、13)。また、筋肉萎縮遺伝子(atrogin−1とMuRF−1)のノックアウトマウスでは筋肉萎縮が起こらないことが示されている(非特許文献2)。

一方、分岐鎖アミノ酸(イソロイシンロイシンおよびバリン)と筋肉萎縮の抑制作用との関係が報告されているが(非特許文献14、15)、蛋白質分解速度や合成速度への効果から筋肉萎縮について議論しているに過ぎない。他方では、分岐鎖アミノ酸のみでは筋肉萎縮、特に筋肉での蛋白質分解の抑制には効果が不十分との記載もあり、その有効性や効果の判定方法に関しては、未解決のままである(非特許文献15、16、17、18)。ロイシンをはじめとする分岐鎖アミノ酸はmTORを活性化することにより蛋白質合成を促進することが知られている(非特許文献19)が、筋肉萎縮遺伝子の発現に対する効果は知られていない。また、筋芽細胞株C2C12において、IGF−1により発現が変化する遺伝子が、mTOR阻害剤であるラパマイシン共存させることでもとに戻る傾向があり、その中に、筋肉萎縮遺伝子のひとつであるMuRF−1が含まれることが知られているが(非特許文献20)、ロイシンなどの分岐鎖アミノ酸が筋肉萎縮を引き起こす刺激によって上昇する筋肉萎縮遺伝子(atrogin−1とMuRF−1)の発現を抑制することは知られていない。

概要

ステロイド治療における、筋肉萎縮、筋肉痛関節痛耐糖能異常、骨代謝低下、免疫力低下、食欲低下、体重減少、易疲労感などの副作用を改善または抑制し、さらに様々な疾患に付随する筋肉萎縮を抑制する医薬組成物の提供。イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分として含有してなる投与するステロイド量を減じることのない組成物。イソロイシン、ロイシン及びバリンの重量比が1.5〜2.5:0.8〜1.7である組成物。ステロイド薬として併用して投与される組成物。なし

目的

本発明の目的は、ステロイド治療によって起こる副作用を改善または抑制する手段を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

イソロイシンロイシンおよびバリンを有効成分とする、ステロイド治療における副作用を、投与するステロイド量を減じることなく治療・予防する経口投与用医薬組成物であって、副作用が筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進された筋肉萎縮、筋力機能低下、および体重減少からなる群より選ばれる少なくとも1種である、組成物

請求項2

ステロイド治療における副作用を治療する医薬組成物である、請求項1に記載の組成物。

請求項3

イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分として含有してなる、筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用医薬組成物であって、腎不全に伴う筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮を抑制するものである組成物を除く、組成物。

請求項4

筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮を抑制するものである、請求項3記載の組成物。

請求項5

筋肉萎縮遺関連伝子の発現亢進が、グルココルチコイド過剰に伴うものである、請求項4記載の組成物。

請求項6

筋肉萎縮関連遺伝子が、atrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子、myostatin遺伝子、FOXO1遺伝子、FOXO3a遺伝子、FOXO4遺伝子、REDD1遺伝子およびKLF15遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の組成物。

請求項7

イソロイシン、ロイシンおよびバリンを1回摂取量として1g以上含有するものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。

請求項8

イソロイシン、ロイシンおよびバリンの重量比が、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。

請求項9

ステロイド薬と併用されるものである、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。

技術分野

0001

本発明は、ステロイド療法における副作用の改善・抑制用組成物筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物および該組成物ステロイド薬との併用に関する。詳しくは、分岐鎖アミノ酸新規用途に関するものである。

背景技術

0002

現在のステロイド治療での副作用に対する対処療法は、(1)感染症抗菌剤投与、(2)糖尿病インスリンや経口糖尿病薬の投与、(3)消化管症状:制酸剤やH2ブロッカーの投与、(4)骨粗しょう症ビタミンDカルシウム投与、(5)緑内障眼圧低下剤の投与、(6)精神変調、うつ状態:向精神病薬の投与などがある。しかしながら、重篤な副作用の1つであるミオパチーステロイドの減量しか改善・抑制方法はない。また、複数の副作用を呈する場合はそれぞれの症状を抑制する対処薬剤服用しなければならない。さらに、ステロイド副作用を別のステロイドで抑制するなどのステロイド依存症も問題である。

0003

慢性関節リウマチ治療において分岐鎖アミノ酸がステロイド薬の投与量を減量できる可能性が示唆されているが(特許文献1)、分岐鎖アミノ酸がステロイド薬の副作用そのものを抑制するという記載はない。ステロイド薬の場合、投与量を減量できたとしても、長期にわたり少量ステロイドを使用すると、高用量用いた場合と同程度の副作用が発生するといわれている。よって、ステロイド薬の減量のみで、ステロイド薬の副作用を軽減することは難しいと考えられる。

0004

また、副作用を考慮して少量のステロイド薬を使用すると、治療効果が十分発揮できない場合もある。具体的には大量ステロイド薬使用のパルス療法がある。この方法では致死的症状や重症臓器障害、疾患活動期など早急に症状を抑えるために大量のステロイド薬が必要とされるため、むやみな減量は危険を伴う。すなわちステロイドの減量は患者の生死に関わる可能性があり、減量の必要がなくステロイド薬の副作用を抑制できる方法が求められている。

0005

ステロイド療法における副作用の1つとして、筋肉萎縮作用が知られている。近年、かかる筋肉萎縮作用は、ステロイド(グルココルチコイド)がAkt1(プロテインキナーゼB)の活性阻害することにより、転写因子Foxoが脱リン酸化され、それに伴い、atrogin−1遺伝子およびmyostatin遺伝子の転写が活性化され、これら遺伝子の発現亢進することに起因するものであることが報告されている(非特許文献1〜3)。atrogin−1遺伝子およびMuRF−1遺伝子は、ユビキチンリガーゼをコードする遺伝子、すなわちプロテオソーム分解誘発遺伝子であり、筋肉萎縮遺伝子(Atrogene)とも呼ばれる。また、myostatin遺伝子はTGFβファミリーに属し、筋肉成長において負の調節因子として知られている(非特許文献4)。さらに、FOXO遺伝子は筋肉萎縮が起こる際に発現亢進が報告されている(非特許文献5、6)。また、KLF15とREDD1遺伝子は、筋肉萎縮と同時に、または付随して生じると考えられる代謝・栄養障害に関係する「代謝・栄養調節関連遺伝子」で知られている(非特許文献7、8)

0006

ステロイドによる副作用以外にも筋肉萎縮遺伝子の発現上昇病態の悪化(筋肉萎縮や癌悪液質)に関係する疾患が知られている(非特許文献9)。かかる疾患としては、例えば、糖尿病、癌、腎不全心不全AIDS、肝硬変、種々の炎症性疾患栄養不良疾患などが挙げられる。筋肉萎縮は、患者のQOLの低下を招く重大な問題である。したがって、ステロイド薬の投与や上記疾患に伴う筋肉萎縮を抑制可能な薬物が求められている。

0007

筋肉萎縮遺伝子の発現には、IGF−1(Insulin-like Growth Factor)/PI3K(phosphoinositol 3-kinase)/AKT/mTOR(mammalian Target of Rapamycin)経路が重要な役割を果たすことが知られており、この経路が何らかの原因で抑制されると、筋肉萎縮遺伝子の発現が上昇し、筋肉の萎縮が引き起こされると考えられている(非特許文献10、11)。ラットデキサメサゾンを投与すると摂量、体重が減少し、筋肉萎縮が生じ、これをIGF−1が抑制するという報告がある(非特許文献12)。一方で、IGF−1が筋肉の細胞においてデキサメサゾンで誘導したatrogin−1とMuRF−1の発現を抑制するという報告がある(非特許文献10、13)。また、筋肉萎縮遺伝子(atrogin−1とMuRF−1)のノックアウトマウスでは筋肉萎縮が起こらないことが示されている(非特許文献2)。

0008

一方、分岐鎖アミノ酸(イソロイシンロイシンおよびバリン)と筋肉萎縮の抑制作用との関係が報告されているが(非特許文献14、15)、蛋白質分解速度や合成速度への効果から筋肉萎縮について議論しているに過ぎない。他方では、分岐鎖アミノ酸のみでは筋肉萎縮、特に筋肉での蛋白質分解の抑制には効果が不十分との記載もあり、その有効性や効果の判定方法に関しては、未解決のままである(非特許文献15、16、17、18)。ロイシンをはじめとする分岐鎖アミノ酸はmTORを活性化することにより蛋白質合成を促進することが知られている(非特許文献19)が、筋肉萎縮遺伝子の発現に対する効果は知られていない。また、筋芽細胞株C2C12において、IGF−1により発現が変化する遺伝子が、mTOR阻害剤であるラパマイシン共存させることでもとに戻る傾向があり、その中に、筋肉萎縮遺伝子のひとつであるMuRF−1が含まれることが知られているが(非特許文献20)、ロイシンなどの分岐鎖アミノ酸が筋肉萎縮を引き起こす刺激によって上昇する筋肉萎縮遺伝子(atrogin−1とMuRF−1)の発現を抑制することは知られていない。

0009

国際公開第2005/055997号パンフレット

先行技術

0010

Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 98: 14440-14445 (2001)
Science, 294: 1704-1708 (2001)
Nature Med., Vol. 10, (6): 584-585 (2004)
Curr Opin Pharmacol., 7 (3):310-5 (2007)
J. Biol. Chem., Vol. 279, (39):4114-41123(2004)
J. Biol. Chem., Vol. 282, (29):21176-21186(2007)
BBRC Vol. 327:920-926(2005)
J.Biol.Chem., Vol. 281,(51):39128-39134(2006)
FASEB J., 18: 39-51 (2004)
Molecular Cell, Vol. 14, 395-403 (2004)
Cell, Vol. 117, 399-412 (2004)
Endocrinology 146: 1789-1797 (2005)
Am. J. Physiol. Endocrinol Metab., 287: E591-E601(2004)
J. Nutr., 136(1 Suppl):234S-6S (2006)
J. Nutr., 136(1 Suppl):237S-42S (2006)
J. Nutr., 136(1 Suppl):264S-68S (2006)
J. Nutr., 136(1 Suppl):308S-13S(2006)
J. Nutr.,;136(1 Suppl):314S-18S (2006)
J. Nutr., 2006 Jan;136(1 Suppl):269S-73S
J. Biol. Chem., Vol. 280, No.4: 2737-2744 (2005)

発明が解決しようとする課題

0011

膠原病などの諸症状に対してステロイド薬は非常に有効な医薬品であるが、高用量または長期間のステロイド薬を使用した場合の副作用はひどく、その副作用によって死亡するケースもある。本発明の目的は、ステロイド治療によって起こる副作用を改善または抑制する手段を提供することにある。
本発明の別の目的は、様々な疾患進行に付随し、患者のQOLの低下に大きく影響する筋肉萎縮を抑制可能な手段を提供することにある。

課題を解決するための手段

0012

本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種類の分岐鎖アミノ酸(以下BCAAともいう)が、筋肉萎縮、筋力機能低下筋肉痛関節痛耐糖能異常、骨代謝低下、免疫力低下、食欲低下、易疲労感体重減少などのステロイド薬投与によって起こる副作用の改善、筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮の抑制などに有効であることを見出し、本発明を完成するに至った。

0013

すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分とする、ステロイド治療における副作用改善・抑制用組成物。
[2]ステロイド治療に伴う副作用が、筋肉萎縮、筋力機能低下、筋肉痛、関節痛、耐糖能異常、食欲低下、体重減少、骨代謝低下、免疫力低下および易疲労感からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の組成物。
[3]筋肉萎縮が、筋肉萎縮関連遺伝子の発現が亢進されたものである、[2]に記載の組成物。
[4]イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分として含有してなる、筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物。
[5]筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮を抑制するものである、[4]に記載の組成物。
[6]筋肉萎縮遺関連伝子の発現亢進が、グルココルチコイド過剰に伴うものである、[5]に記載の組成物。
[7]筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進が、腎不全に伴うものである、[5]に記載の組成物。
[8]筋肉萎縮関連遺伝子が、atrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子、myostatin遺伝子、FOXO1遺伝子、FOXO3a遺伝子、FOXO4遺伝子、REDD1遺伝子およびKLF15遺伝子からなる群より選択される少なくとも1種である、[3]〜[7]のいずれか1項に記載の組成物。
[9]イソロイシン、ロイシンおよびバリンを1回摂取量として1g以上含有するものである、[1]〜[8]のいずれか1項に記載の組成物。
[10]イソロイシン、ロイシンおよびバリンの重量比が、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7である、[1]〜[9]のいずれか1項に記載の組成物。
[11]ステロイド薬と併用されるものである、[1]〜[10]のいずれか1項に記載の組成物。
[12]医薬である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の組成物。
[13]食品である、[1]〜[11]のいずれか1項に記載の組成物。
[14]食品が、保健機能食品またはダイエタリーサプリメントである、[13]に記載の組成物。
[15]保健機能食品が、特定保健用食品または栄養機能食品である、[14]に記載の組成物。
[16]食品が、濃厚流動食である、[13]〜[15]のいずれか1項に記載の組成物。
[17][1]〜[16]のいずれか1項に記載の組成物を製造するための、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの使用。
[18]イソロイシン、ロイシンおよびバリンの重量比が、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7である、[17]に記載の使用。
[19]イソロイシン、ロイシンおよびバリンの有効量を、投与対象に投与することを含む、ステロイド治療における副作用の改善または抑制方法。
[20]イソロイシン、ロイシンおよびバリンの有効量を、投与対象に投与することを含む、筋肉萎縮遺伝子発現の抑制方法。
[21]イソロイシン、ロイシンおよびバリンを1回摂取量として1g以上含有するものである、[19]または[20]に記載の方法。
[22]イソロイシン、ロイシンおよびバリンの重量比が、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7である、[19]〜[21]のいずれか1項に記載の方法。
[23][1]〜[16]のいずれか1項に記載の組成物、および当該組成物をステロイド治療における副作用の改善もしくは抑制または筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮の抑制に使用することができること、または使用すべきであることを記載した記載物を含む、商業用パッケージ

発明の効果

0014

本発明により提供される、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種類の分岐鎖アミノ酸を有効成分とする組成物は、ステロイド治療に伴う副作用全般を改善するために用いられる。とりわけ、本発明の組成物は、ステロイド治療の副作用である筋肉萎縮、筋力機能低下、筋肉痛、関節痛、耐糖能異常、骨代謝低下、免疫力低下、食欲低下、易疲労感、体重減少等の改善・抑制に効果的に用いられる。

0015

本発明の筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物は、筋肉萎縮関連遺伝子の発現を抑制することで、直接的かつ有効に筋肉萎縮状態を改善することができる。とりわけ本発明の組成物は、ステロイド治療の副作用である筋肉萎縮と腎不全の際に起こる筋肉萎縮の予防または治療に有用であり、Atrogin−1とMuRF−1遺伝子の発現上昇によって特徴付けられるその他の種々の疾患に伴う筋肉萎縮の予防または治療に有用である。

0016

また、本発明の筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物は、筋肉萎縮関連遺伝子の発現の亢進による筋肉萎縮が病態を悪化させると考えられる種々の慢性または急性疾患の予防もしくは治療に用いることができる。これらの疾患は、意図しない体重の減少、具体的には骨格筋の萎縮に伴う運動能力の低下により特徴づけられるが、本発明の組成物を用いることにより、筋肉量の低下に伴って運動能力が低下することを予防または治療することができる。これにより、患者の転倒の防止や寝たきりの予防につながり入院期間の短縮や治療期間の短縮も期待できる。

0017

また、本発明の医薬は、分岐鎖アミノ酸を有効成分とすることから、安全性が高く副作用がほとんどないため、ステロイド治療の副作用や様々な疾患に伴う筋肉萎縮の治療または予防用医薬品として有用である。さらに、本発明の組成物に含まれるイソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種類の分岐鎖アミノ酸は、安全性の確立した物質であることから、本発明の組成物は安全性が高く、医薬用途に限らず、食品への利用も可能である。

図面の簡単な説明

0018

BCAA投与群およびビークル投与群における体重推移と摂餌量変化を示す図である。
BCAA投与群、ビークル投与群およびコントロール(正常群)における腓腹筋(gastrocnemius)とひらめ筋(soleus)の筋肉重量比較を示す図である。
BCAA投与群、ビークル投与群およびコントロール(正常群)における握力測定値の比較を示す図である。Student t-test *p<0.05
BCAA投与群、ビークル投与群およびコントロール(正常群)における血糖値の比較を示す図である。
BCAA投与群、ビークル投与群およびコントロール(正常群)における血漿インスリン値の比較を示す図である。
BCAA投与群およびビークル投与群における回復期(recover;R)1日目、2日目での腓腹筋とひらめ筋の筋肉重量比較を示す図である。
BCAA投与群およびビークル投与群における血漿ALP値の比較を示す図である。Student t-test *p<0.05
ラットの体重推移と摂餌量変化を示す図である。
腓腹筋とひらめ筋の筋肉重量の比較を示す図である。
atrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子およびMyostatin遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はコントロール群ひとつの値を1とした場合の相対値で示した。
FOXO1、FOXO3aおよびFOXO4遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はコントロール群のひとつの値を1とした場合の相対値で示した。
REDD1遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はコントロール群のひとつの値を1とした場合の相対値で示した。
KLF15遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はコントロール群のひとつの値を1とした場合の相対値で示した。
回復期(recover;R)1日目、2日目での体重と摂餌量推移の比較を示す図である。
回復期(recover;R)1日目、2日目での腓腹筋とひらめ筋の筋肉重量比較を示す図である。
回復期(recover;R)1日目、2日目でのatrogin−1遺伝子およびMuRF−1遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はコントロール群のひとつの値を1とした場合の相対値で示した。
腎不全モデルラットにおけるatrogin−1遺伝子およびMuRF−1遺伝子の発現比較を示す図である。各群の値はsham群のひとつの値を1とした場合の相対値で示した。

0019

本発明のステロイド治療における副作用改善・抑制用組成物または筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンを有効成分として含有することを特徴とする(以下本発明の組成物と総称することもある)。

0020

本発明の組成物は、ステロイド治療に伴う副作用の改善・抑制などに有用である。なお、本明細書において、「改善」とは、「予防、軽減、治療」を含む意であり、ステロイド治療に伴う副作用、すなわち、「筋肉萎縮」、「筋力機能低下」、「筋肉痛」、「関節痛」、「耐糖能異常」、「骨代謝低下」、「免疫力低下」、「食欲低下」、「体重減少」、「易疲労感」などが、正常化の方向に向かうことであり、さらには当該副作用の発生を予め防止、抑制することである。

0021

「ステロイド治療に伴う副作用の発生」は、重篤な場合は、疾患治療のためにステロイド薬を使用しているにもかかわらずその副作用により著しくQOLを損ない、場合によっては生命危機に瀕することがある。たとえば、入院患者の場合であれば、退院が可能なほどの症状の改善が得られないことがあり、また、看護または介護を要する患者の場合であれば、看護師または介護師が、その患者の看護または介護に必要とする時間が短縮されるほどの十分な症状の改善が得られない場合があるが、本発明の組成物はかかる場合にも有効である。

0022

ステロイド治療の副作用としては、(1)感染症の悪化、誘発や症状を隠蔽、免疫力低下、(2)副腎皮質機能不全、(3)糖尿病の誘発、悪化、血糖上昇などの耐糖能異常、(4)消化管潰瘍、消化管出血胃腸穿孔出血性膵炎、(5)痙攣頭蓋内圧亢進、(6)精神変調、うつ状態、(7)骨粗しょう症(特に脊椎骨圧迫骨折)などの骨代謝低下、(8)骨頭無菌性壊死大腿骨上腕骨骨折)、(9)ミオパチー(筋肉萎縮を伴う筋力低下、特に近位筋の筋重量低下・筋力低下、筋力機能低下)、体重減少、(10)緑内障、眼圧亢進、後白内障、(11)血栓血液凝固亢進)、(12)心筋梗塞で心破裂、(13)喘息発作増悪、(14)注射によるアナフィラキシー、(15)満月様顔貌野牛肩、(16)鉱質作用により血圧上昇、(17)ナトリウム水分貯留浮腫体重増加低カリウムアルカローシス、(18)小児発育障害、(19)月経異常、(20)精子運動、数の減少、(21)座そう、多毛脱毛色素沈着、(22)皮膚非薄化脆弱化、皮下うっ血線条紫斑顔面紅斑脂肪、織炎、(23)創傷治癒障害、(24)過敏症状(発疹掻痒感しゃっくり、(25)多幸症不眠頭痛めまい、(26)発汗異常多尿白血球増加、(27)脂肪肝窒素平衡、(28)GOTGPT、ALP上昇、(29)高脂血症高コレステロール血症、ステロイド腎症、(30)悪心嘔吐胃痛胸焼け腹部膨満感、口渇下痢食欲亢進、(31)中心性漿液性網脈脈絡症による網膜障害眼球突出、(32)筋肉痛、関節痛、発熱、疲労感、(33)筋肉、皮内、皮下注局所組織の萎縮、陥没、体重減少、(34)静注時に血栓、静脈炎疼痛腫脹圧痛増悪、(35)離脱症候群全身症状:発熱、頭痛、易疲労感、全身倦怠感脱力感ショック/消化器食欲不振、食欲低下、悪心嘔吐、下痢/神経系:頭痛、不安症状、興奮/痙攣、意識障害、筋肉痛、関節痛などが挙げられる。本発明は、特に「筋肉萎縮」、「筋力機能低下」、「筋肉痛」、「関節痛」、「耐糖能異常」、「骨代謝低下」、「免疫力低下」、「食欲低下」、「体重減少」、「易疲労感」などの副作用に対して有効である。

0023

ステロイド治療の対象となる疾患としては、(1)内分泌疾患:慢性副腎皮質機能不全(原発性続発性下垂体性医原性)、急性副腎皮質機能不全(副腎クリーゼ)、副腎性器症候群亜急性甲状腺炎甲状腺中毒症甲状腺中毒性クリーゼ〕、甲状腺疾患に伴う悪性眼球突出症ACTH単独欠損症。(2)リウマチ疾患:慢性関節リウマチ、若年性関節リウマチスチル病を含む)、リウマチ熱リウマチ性心炎を含む)、リウマチ性多発筋痛。(3)膠原病:エリテマトーデス全身性及び慢性円板状)、全身性血管炎大動脈炎症候群結節性動脈周囲炎多発性動脈炎、ヴェゲナ肉芽腫症を含む)、多発性筋炎皮膚筋炎)、強皮症。(4)腎疾患ネフローゼ及びネフローゼ症候群。(5)心疾患うっ血性心不全。(6)アレルギー性疾患気管支喘息喘息性気管支炎小児喘息気管支炎を含む)、薬剤その他の化学物質によるアレルギー中毒薬疹中毒疹を含む)、血清病。(7)重症感染症:重症感染症(化学療法と併用する)。(8)血液疾患溶血性貧血免疫性又は免疫性機序の疑われるもの)、白血病急性白血病慢性骨髄性白血病急性転化慢性リンパ性白血病)(皮膚白血病を含む)、顆粒球減少症本態性、続発性)、紫斑病血小板減少性及び血小板減少性)、再生不良性貧血凝固因子の障害による出血性素因。(9)消化器疾患限局性腸炎潰瘍性大腸炎。(10)重症消耗性疾患:重症消耗性疾患の全身状態の改善(癌末期スプルーを含む)。(11)肝疾患劇症肝炎臨床的に重症とみなされるものを含む)、胆汁うっ滞急性肝炎慢性肝炎(活動型、急性再燃型、胆汁うっ滞型)(一般的治療に反応せず肝機能の著しい異常が持続する難治性のものに限る)、肝硬変(活動型、難治性腹水を伴うもの、胆汁うっ滞を伴うもの)。(12)肺疾患サルコイドーシス(両側肺門リンパ節腫脹のみの場合を除く)、びまん性間質性肺炎肺線維症)(放射線肺臓炎を含む)。(13)結核性疾患(抗結核剤と併用する)。肺結核粟粒結核、重症結核に限る)、結核性髄膜炎、結核性胸膜炎結核性腹膜炎、結核性心のう炎。(14)神経疾患脳脊髄炎脳炎脊髄炎を含む)(一次性脳炎の場合は頭蓋内圧亢進症状がみられ、かつ他剤で効果が不十分なときに短期間用いること。)、末梢神経炎(ギランバレー症候群を含む)、筋強直症重症筋無力症多発性硬化症視束脊髄炎を含む)、小舞踏病顔面神経麻痺脊髄網膜炎。(15)悪性腫瘍悪性リンパ腫リンパ肉腫症細網肉腫症、ホジキン病、皮膚細網症菌状息肉症)及び類似疾患(近縁疾患)、好酸性肉芽腫乳癌再発転移。(16)その他の内科的疾患:特発性低血糖症原因不明の発熱。(17)感染症:SARSなどが挙げられる。さらに、肝移植腎移植などの臓器移植時の拒絶反応の抑制の目的で用いられるステロイド治療なども含まれる。

0025

本発明において、「筋肉萎縮関連遺伝子」とは、「筋肉萎縮遺伝子」及び、筋肉萎縮と同時に、または付随して生じると考えられる代謝・栄養障害に関係する「代謝・栄養調節関連遺伝子」を総称する意味である。
「筋肉萎縮遺伝子」とは、筋肉が萎縮した場合に萎縮前に比べて細胞内における発現が変動する遺伝子をいい、その発現が亢進する遺伝子と抑制される遺伝子とが含まれるが、発現が亢進する遺伝子が好ましい。好ましい具体例として、ユビキチンリガーゼ遺伝子、特に、グルココルチコイド過剰に伴う筋肉萎縮時に発現が亢進することが知られているatrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子およびmyostatin遺伝子が挙げられる。さらに、代謝・栄養調節関連遺伝子としては、FOXO1遺伝子、FOXO3a遺伝子、FOXO4遺伝子などのFOXO遺伝子、REDD1遺伝子およびKLF15遺伝子も好ましい例として挙げられる。

0026

本発明において、筋肉が萎縮する原因はグルココルチコイド過剰に限定されるものではなく、筋肉萎縮関連遺伝子の発現が変動する限りにおいてあらゆる原因が含まれる。また、グルココルチコイドの過剰は、内因性および外因性のいずれであってもよい。

0027

本発明において、「筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制」とは、筋肉が萎縮した場合に発現が亢進または抑制された遺伝子の発現をそれぞれ低下または上昇させることをいい、好ましくは発現が亢進した筋肉萎縮関連遺伝子の発現を低下させることである。

0028

本発明の組成物は、好ましくは、筋肉萎縮関連遺伝子の発現抑制作用を介して、筋肉萎縮関連遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮を抑制するものである。

0029

本発明の組成物がその発現亢進を抑制する筋肉萎縮関連遺伝子としては、上記したatrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子、myostatin遺伝子、FOXO1遺伝子、FOXO3a遺伝子、FOXO4遺伝子、REDD1遺伝子、KLF15遺伝子などが好ましく、atrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子、myostatin遺伝子などがより好ましい。

0030

atrogin−1遺伝子、MuRF−1遺伝子、myostatin遺伝子、FOXO1遺伝子、FOXO3a遺伝子、FOXO4遺伝子、REDD1遺伝子およびKLF15は、公知であり、NCBIのデータベースにその配列が開示されている。例えば、NCBIの遺伝子転写物のデータベースUniGene(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi?db=unigene)において、atrogin−1遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物が、それぞれ、Mm.292042、Rn.72619、Hs.403933などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOnline Mendelian Inheritance in ManTM (OMIMTM)にて、*606604 F-BOX ONLY PROTEIN 32; FBXO32として規定される遺伝子である。また、MuRF−1遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.261690またはMm.331961、Rn.40636、Hs.279709などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*606131RING FINGERPROTEIN 28;RNF28として規定される遺伝子である。また、myostatin遺伝子は、マウス、ラット、人での転写物がUniGeneにおいて、Mm.3514、Rn.44460、Hs.41565などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*603936 GROWTH/DIFFERENTIATIONFACTOR 11;GDF11として規定される遺伝子である。また、FOXO1遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.29891またはMm.395558、Rn.116108、Hs.370666 などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*136533 FORKHEAD BOX O1A; FOXO1Aとして規定される遺伝子である。また、FOXO3a遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.296425、Rn.24593、Hs.220950 などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*602681 FORKHEAD BOX O3A; FOXO3Aとして規定される遺伝子である。また、FOXO4遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.371606、Rn.19646、Hs.584654などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、**300033 MYELOID/LYMPHOID OR MIXED LINEAGELEUKEMIA, TRANSLOCATED TO, 7; MLLT7として規定される遺伝子である。また、REDD1遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.21697、Rn.9775、Hs.523012などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*607729 REGULATED IN DEVELOPMENT AND DNA DAMAGE RESPONSES1として規定される遺伝子である。また、KLF15遺伝子は、マウス、ラット、ヒトでの転写物がUniGeneにおいて、Mm.41389、Rn.22556、Hs.272215などのIDによって規定できる遺伝子であり、特にヒトにおいてはOMIMTMにて、*606465 KRUPPEL-LIKE FACTOR 15; KLF15として規定される遺伝子である。

0031

本発明における「筋肉萎縮」とは、筋肉が痩せて筋力が低下した状態をいう。
一つの実施態様において、「筋肉萎縮」は、内因性及び外因性のグルココルチコイド過剰に伴う筋肉萎縮遺伝子の発現亢進に伴うものである。具体的には、
(1)外因性のグルココルチコイド過剰の典型例であるステロイド薬投与に伴う筋肉萎縮として、種々の悪性腫瘍、癌;肺炎慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、肺線維症などの呼吸器疾患;AIDS(後天性免疫不全症候群)、ウイルス肝炎インフルエンザなどの消耗性炎症を伴う感染症;感染症に伴う敗血症;慢性関節リウマチ、IBD(炎症性腸疾患)、膠原病などの自己免疫疾患;糖尿病、腎不全、肺不全肝不全、心不全などの症状緩和の目的で、医薬品として投与されたステロイド薬によって引き起こされる筋肉萎縮、
(2)内因性グルココルチコイド過剰の例として、副腎腫瘍をはじめとする原因不明の何らかの原因により引き起こされる、副腎機能の亢進を伴う高コルチゾール血症などの特徴的な臨床症状を呈するクッシング症候群や、その他の慢性炎症等による生体反応の結果として引き起こされる高コルチゾール血症に伴う筋肉萎縮、
(3)一般に疾患の末期症状における過剰ストレスなどによる食欲不振または異化亢進などに伴う筋量低下または筋力低下の症状;入院、無運動、寝たきり、無重力飛行に伴う筋肉萎縮などが挙げられる。

0032

別の実施態様において、「筋肉萎縮」は、直接的にグルココルチコイド過剰との因果関係が明確でなくても筋肉萎縮遺伝子の発現亢進に伴う筋肉萎縮であればよい。具体的には、種々の悪性腫瘍、癌;肺炎、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、肺線維症などの呼吸器疾患;AIDS(後天性免疫不全症候群)、ウイルス肝炎、インフルエンザなどの消耗性炎症を伴う感染症;感染症に伴う敗血症;慢性関節リウマチ、IBD(炎症性腸疾患)、膠原病などの自己免疫疾患;糖尿病、腎不全、肺不全、肝不全、心不全などの障害または疾患に伴う筋肉萎縮;一般に疾患の末期症状における食欲不振または異化亢進などに伴う筋量低下または筋力低下の症状;入院、無運動、寝たきり、無重力飛行などによる筋肉萎縮などが挙げられる。
グルココルチコイド過剰以外の障害または疾患に伴う筋肉萎縮としては、好ましくは腎不全に伴う筋肉萎縮である。

0033

本明細書において、筋肉萎縮の「抑制」とは、筋肉萎縮を「未然に予防すること、軽減すること、または治療すること」を含む意であり、具体的には、上記「筋肉萎縮」を、未然に予防し、軽減し、または治療して筋肉を筋肉萎縮前の状態に戻すことを意味する。また、本発明を適用する限り、筋肉が筋肉萎縮前の状態に戻った上でさらに筋肉が肥大する場合があるが、かかる場合をも包含する。

0034

筋肉萎縮遺伝子の発現が亢進しているか否かは、自体公知の方法により調べることができる。例えば、筋肉萎縮遺伝子の発現が予測される細胞、好ましくは筋細胞(例、骨格筋細胞平滑筋細胞心筋細胞など)を生検等により採取し、PCRによりatrogin−1遺伝子またはMuRF−1遺伝子を増幅し、検出する方法が挙げられる。

0035

外因性のグルココルチコイド(ステロイド薬)としては、例えばハイドロコルチン、コルチゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、トラムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、パラメタゾン、デキサメサゾン、ベタメサゾン、ヘキセストロール、メチマゾール、フルオシノニド、フルオシノロンアセトニド、フルオロメトロン、プロピオン酸ベクロメタゾン、エストリオール、酢酸ジフロラゾン、吉草酸ジフルコルトロン、ジフルプレドナートなどが挙げられる。

0036

グルココルチコイドは、上記したように、Akt1(プロテインキナーゼB)の活性を阻害することにより、転写因子Foxoが脱リン酸化され、それに伴い、atrogin−1遺伝子およびMuRF−1遺伝子の転写を活性化することが報告されている。

0037

本発明において、グルココルチコイド過剰以外の原因によっても、「筋肉萎縮関連遺伝子の発現が亢進」するとは、種々の悪性腫瘍、癌;肺炎、慢性閉塞性肺疾患、サルコイドーシス、肺線維症などの呼吸器疾患;AIDS(後天性免疫不全症候群)、ウイルス肝炎、インフルエンザなどの消耗性炎症を伴う感染症;感染症に伴う敗血症;慢性関節リウマチ、IBD(炎症性腸疾患)、膠原病などの自己免疫疾患;糖尿病、腎不全、肺不全、肝不全、心不全などの障害または疾患;一般に疾患の末期症状における食欲不振または異化亢進などに伴う筋量低下または筋力低下の症状;入院、無運動、寝たきり、無重力飛行などによる筋肉萎縮などにおいて上記「筋肉萎縮関連遺伝子」の発現が亢進することをいう。

0038

本発明の組成物の有効成分であるイソロイシン、ロイシンおよびバリンは、それぞれL−体、D−体、DL−体のいずれも使用することができるが、好ましくは、L−体、DL−体であり、さらに好ましくは、L−体である。

0039

また、本発明におけるイソロイシン、ロイシンおよび/またはバリンは、それぞれ遊離体だけでなく塩の形態でも使用することができる。本発明におけるイソロイシン、ロイシンおよび/またはバリンは、かかる塩の形態をも包含する。塩の形態としては、酸との塩(酸付加塩)、塩基との塩(塩基付加塩)等を挙げることができるが、医薬として許容される塩を選択することが好ましい。

0040

イソロイシン、ロイシンおよび/またはバリンに付加し、かつ医薬として許容される酸付加塩を形成する酸としては、例えば、塩化水素臭化水素硫酸リン酸等の無機酸;酢酸、乳酸クエン酸酒石酸マレイン酸フマル酸モノメチル硫酸等の有機酸が挙げられる。

0041

イソロイシン、ロイシンおよび/またはバリンに付加し、かつ医薬として許容される塩基付加塩を形成する塩基としては、例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム等の金属の水酸化物又は炭酸化物、あるいはアンモニア等の無機塩基エチレンジアミンプロピレンジアミン、プロピレンジアミン、エタノールアミンモノアルキルエタノールアミン、ジアルキルエタノールアミン、ジエタノールアミントリエタノールアミン等の有機塩基が挙げられる。

0042

本発明の組成物中のイソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸の含有量は、ヒトに適用する場合、その合計量の1回摂取量として0.1g以上であり、好ましくは1g以上である。摂取のしやすさの観点から、上記1回摂取量は、好ましくは100g以下であり、より好ましくは10g以下である。

0043

本明細書において「1回摂取量」とは、本発明の組成物が医薬の場合、1回に投与される有効成分量であり、本発明の組成物が食品の場合、1回に摂取される有効成分量である。特に食品の場合、食品全体の摂取量は個人差があり、組成物中の有効成分の含有量として一概に規定することが困難であるので、有効成分の1回摂取量として規定することが推奨される。当該1回摂取量は、年齢、体重、性別、筋肉萎縮の重篤度などによって適宜変動する量である。

0044

本発明の組成物は、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種の分岐鎖アミノ酸を有効成分として含有するが、かかる3種のアミノ酸配合比は、それぞれ重量比で、通常、1:1.5〜2.5:0.8〜1.7の範囲であり、特に好ましくは1:1.9〜2.2:1.1〜1.3の範囲である。この範囲を外れると、有効な作用効果が得難くなる。

0045

本発明の組成物は、ステロイド薬と併用することもできる。ここで「併用」とは、ステロイド治療の前、同時、後における使用を意味し、また、後述の配合剤のようにステロイド薬と配合しての使用も含む意である。

0046

ステロイド薬と併用する場合、当該薬としては、対象疾患に通常用いられるステロイド薬であれば特に限定されず、具体的には、上述したステロイド薬が挙げられる。

0047

本発明の組成物は、医薬及び食品などとしても有用であり、その適用対象としては、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ハムスターウサギネコイヌウシヒツジサル等)が挙げられる。なお、ヒト以外の哺乳動物に適応する場合、本発明の組成物の摂取量は、動物の体重もしくは大きさに応じて適宜加減すればよい。

0048

本発明の組成物を医薬として用いる場合の投与方法は特に限定されないが、経口投与直腸投与、注射、輸液による投与等の一般的な投与経路を経ることができる。
経口投与の剤形としては、顆粒剤細粒剤粉剤被覆錠剤錠剤坐剤散剤、(マイクロカプセル剤チュアブル剤シロップジュース液剤懸濁剤乳濁液などが挙げられる。また注射による投与の剤形としては、静脈直接注入用、点滴投与用、活性物質の放出を延長する製剤等などの医薬製剤一般の剤型を採用することができる。

0049

これらの医薬は、常法により製剤化することによって調製される。さらに製剤上の必要に応じて、医薬的に許容し得る各種の製剤用物質を配合することができる。製剤用物質は製剤の剤型により適宜選択することができるが、例えば、賦形剤希釈剤添加剤崩壊剤結合剤被覆剤潤滑剤、滑走剤、滑沢剤風味剤甘味剤可溶化剤等が挙げられる。更に、製剤用物質を具体的に例示すると、炭酸マグネシウム二酸化チタンラクトースマンニトールおよびその他の糖類、タルク牛乳蛋白ゼラチン澱粉セルロース及びその誘導体、動物及び植物油ポリエチレングリコール、及び溶剤、例えば滅菌水及び一価又は多価アルコール、例えばグリセロール等を挙げることができる。

0050

本発明の医薬を使用する場合の投与量は、対象患者の年齢、体重もしくは病態、または医薬の剤形もしくは投与方法などによっても異なるが、成人1日あたり、イソロイシン0.005g/kg体重〜5g/kg体重、ロイシン0.01g/kg体重〜10g/kg体重、バリン0.005g/kg体重〜5g/kg体重を目安とする。
一般の成人の場合、好ましくは、成人1日あたり、イソロイシン0.01g/kg体重〜1g/kg体重、ロイシン0.02g/kg体重〜2g/kg体重、バリン0.01g/kg体重〜1g/kg体重であり、より好ましくは、イソロイシン0.02g/kg体重〜0.2g/kg体重、ロイシン0.04g/kg体重〜0.4g/kg体重、バリン0.02g/kg体重〜0.2g/kg体重である。アミノ酸の全体量としては1日あたり0.01g/kg体重〜2g/kg体重程度が好ましい。上記1日あたりの量は一度に、もしくは数回に分けて投与することができる。投与の時期としては特に限定されず、例えば食前、食後、食間のいずれでもよい。また、投与期間も特に限定されない。

0051

なお、本発明の医薬の有効成分である分岐鎖アミノ酸の投与量(摂取量)について算出する際、その値は、本発明が目的とする疾患の治療または予防等の目的で使用される薬剤の有効成分の量として前記の算定方法が決められているので、これとは別目的で、例えば通常の食生活の必要から、または別の疾患の治療を目的として摂取もしくは投与される分岐鎖アミノ酸については、前記算定に含める必要はない。
例えば、通常の食生活から摂取される1日あたりの分岐鎖アミノ酸の量を、前記本発明における有効成分の1日あたりの投与量から控除して算定する必要はない。

0052

本発明の医薬の有効成分であるイソロイシン、ロイシンおよびバリンは、それぞれが単独もしくは任意の組み合わせで製剤に含有されていてもよく、または全てが1種の製剤中に含有されていてもよい。別途製剤化して投与する場合、それらの投与経路、投与剤形は同一であっても、異なっていてもよく、また各々を投与するタイミングも、同時であっても別々であってもよい。従って、投与剤形、投与時期、投与経路などは、併用する薬剤の種類や効果によって適宜決定することができる。即ち、本発明の医薬は、複数の分岐鎖アミノ酸を同時に含有する製剤であってもよく、またそれぞれを別途製剤化して併用するような併用剤であってもよい。本発明の医薬は、これら全ての形態の医薬を包含するものである。特に、同一製剤中に全ての分岐鎖アミノ酸を含有する態様が、簡便に投与できるため好ましい。

0053

本発明において、「重量比」とは、製剤中のそれぞれの成分の重量の比を示す。例えば、イソロイシン、ロイシン及びバリンの各有効成分を1つの製剤中に含めた場合には、個々の含有量の比であり、各有効成分のそれぞれを単独で又は任意の組み合わせで複数製剤中に含めた場合には、各製剤に含められる各有効成分の重量の比である。

0054

また本発明において、実際の投与量の比は、投与対象(即ち患者)あたりの各有効成分1回投与量あるいは1日投与量の比である。例えば、イソロイシン、ロイシン及びバリンの各有効成分を1つの製剤中に含め、それを投与対象に投与する場合には、重量比が投与量比に相当する。各有効成分を単独または任意の組み合わせで複数の製剤中に含めて投与する場合には、1回あるいは1日投与した各製剤中の各有効成分の合計量の比が重量比に相当する。

0055

また、本発明の組成物は、ステロイド薬と配合することにより、ステロイド薬の投与に伴う筋肉萎縮の予防または治療用の配合剤とすることもできる。本発明の組成物をステロイド薬と配合する場合、本発明の組成物とステロイド薬の配合比はそれぞれ重量比で、通常、1:0.1〜1,000,000の範囲であり、特に好ましくは1:1〜1,000の範囲である。

0056

さらに、本発明の組成物は、食品の形態でも簡便に使用することができる。食品として用いる場合には、本発明の食品の有効成分、すなわち分岐鎖アミノ酸を含む一般的な食事形態であればいかなるものでも良い。例えば、適当な風味を加えてドリンク剤、例えば清涼飲料粉末飲料とすることもできる。具体的には、例えば、ジュース、牛乳、菓子ゼリーヨーグルト、飴等に混ぜて飲食することができる。
また、このような食品を、保健機能食品またはダイエタリーサプリメントとして提供することも可能である。この保健機能食品には、特定保健用食品および栄養機能食品なども含まれる。特定保健用食品は、例えば、筋肉萎縮の抑制またはステロイド治療に伴う副作用症状の改善・抑制など、特定の保健の目的が期待できることを表示できる食品である。また、栄養機能食品は、1日あたりの摂取目安量に含まれる栄養成分量が、国が定めた上・下限値の規格基準に適合している場合その栄養成分の機能の表示ができる食品である。ダイエタリーサプリメントには、いわゆる栄養補助食品または健康補助食品などが含まれる。本発明において、特定保健用食品には、筋肉萎縮の抑制、ステロイド治療に伴う副作用症状の改善・抑制などの用途に用いるものであるという表示を付した食品、さらには、かかる用途に用いるものである旨を記載した書類(いわゆる能書き)などをパッケージとして包含する食品なども含まれるものとする。

0057

さらに、本発明の組成物を濃厚流動食や、食品補助剤として利用することも可能である。食品補助剤として使用する場合、例えば錠剤、カプセル、散剤、顆粒、懸濁剤、チュアブル剤、シロップ剤等の形態に調製することができる。
本明細書において「食品補助剤」とは、食品として摂取されるもの以外に栄養を補助する目的で摂取されるものをいい、栄養補助剤サプリメントなどもこれに含まれる。

0058

また本発明において「濃厚流動食」とは、1kcal/ml程度の濃度に調整され、長期間の単独摂取によっても著しい栄養素の過不足が生じないよう、各栄養素の質的構成が十分考慮され、1日の栄養所要量を素に設計された総合栄養食品液体状食品)である。

0059

食品として摂取する場合、摂取量は摂取対象の症状、年齢もしくは体重、または食品の形態もしくは摂取方法等によって異なるが、成人1日あたり、イソロイシン0.005g/kg体重〜5g/kg体重、ロイシン0.01g/kg体重〜10g/kg体重、バリン0.005g/kg体重〜5g/kg体重を目安とする。
一般の成人の場合、好ましくは、成人1日あたり、イソロイシン0.01g/kg体重〜1g/kg体重、ロイシン0.02g/kg体重〜2g/kg体重、バリン0.01g/kg体重〜1g/kg体重、より好ましくは、イソロイシン0.02g/kg体重〜0.2g/kg体重、ロイシン0.04g/kg体重〜0.4g/kg体重、バリン0.02g/kg体重〜0.2g/kg体重であり、アミノ酸の全体量としては1日あたり0.01g/kg体重〜2g/kg体重程度が好ましい。本発明の食品は、上記1日あたりの量を一度に、または数回に分けて摂取することができる。食品の形態、摂取方法、摂取期間などは特に限定されない。

0060

イソロイシン、ロイシン、およびバリンは既に、医薬・食品分野において広く用いられていて、安全性は確立している。例えば、これらのアミノ酸を1:2:1.2の重量比で含有する製剤の急性毒性(LD50)は、マウスに経口投与する場合でも、10g/kg以上である。

0061

本発明の別の態様として、本発明の筋肉萎縮関連遺伝子発現抑制用組成物またはステロイド治療における副作用改善・抑制用組成物を製造するための、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの使用が挙げられる。該組成物の好適な範囲は上述したものと同じである。

0062

さらに別の態様として、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの有効量を、投与対象に投与することを含む、筋肉萎縮関連遺伝子発現の抑制方法またはステロイド治療における副作用の改善もしくは抑制方法が挙げられる。有効成分の有効量等の好適範囲は上述したものと同じである。

0063

さらに本発明の別の実施態様では、イソロイシン、ロイシンおよびバリンの3種類の分岐鎖アミノ酸を有効成分とする組成物を、筋肉萎縮の抑制またはステロイド治療に伴う副作用症状の改善・抑制に使用することができる、または使用すべきであることを記載した記載物を含む、商業用パッケージを提供する。

0064

明細書中で挙げられた特許および特許出願明細書を含む全ての刊行物に記載された内容は、本明細書での引用により、その全てが明示されたと同程度に本明細書に組み込まれるものである。

0065

以下の実施例によって本発明をより具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の単なる例示にすぎず、本発明の範囲を何ら限定するものではない。

0066

(実施例1)デキサメサゾン投与ラットにおけるBCAAの筋肉萎縮予防効果
ラット(SD;10−11週齢)に5日間デキサメサゾン(600μg/kg)を連続で腹腔内投与した。イソロイシン、ロイシンおよびバリン(1:2:1.2の重量比)の配合物(BCAA)投与群は0.75g/kgを経口投与で同時に5日間連続投与した。ビークル群蒸留水を同様に経口連続投与した。
5日目に剖検し、摂餌量・体重推移・筋肉重量・握力計測装置を用いた筋力機能評価・血糖値・血漿インスリン値の解析を行った。
コントロール群はpair feedingしたノーマルラットを用いた。

0067

ビークル群に比較してBCAA投与群において体重減少・摂餌量減少の抑制が認められた(図1)。筋肉重量の減少も抑制された(図2)。また握力もBCAA投与群において有意に強く、筋肉機能改善が認められた(図3)。デキサメサゾン投与によって血糖値、インスリン値とも上昇したが、BCAAを投与することで是正された(図4、5)。

0068

(実施例2)デキサメサゾン投与ラットにおけるBCAAの筋肉萎縮治療効果
ラット(SD;10−11週齢)に5日間デキサメサゾン(600μg/kg)を連続で腹腔内投与して筋肉萎縮を発症させた。デキサメサゾン投与を中止した6日目、7日目にBCAAを0.75g/kgを経口投与して筋肉萎縮に対する治療効果を検討した。ビークル群は蒸留水を同様に経口連続投与した。
6、7日目に剖検し、筋肉重量の解析を行った。R1、R2は、それぞれ回復期(recover;R)の1、2日目であり、デキサメサゾン投与を中止した6日目、7日目の意味である。

0069

ビークル群に比較してBCAA投与群では筋肉重量の回復は早かった(図6)。

0070

(実施例3)デキサメサゾン投与ラットにおけるBCAAの骨粗しょう症予防効果
ラット(SD;10−11週齢)に1.5ヶ月間デキサメサゾン(600μg/kg)を連続で腹腔内投与した。イソロイシン、ロイシンおよびバリン(9:7:6の重量比)の配合物(BCAA)投与群は0.75g/kgを経口投与で同時に1.5ヶ月間連続投与した。ビークル群は蒸留水を同様に経口連続投与した。
1.5ヶ月目に剖検し、血漿ALP値の解析を行った。骨代謝回転が高い場合に血漿ALP値が高値を示すことが知られている。

0071

ビークル群に比較してBCAA投与群では血漿ALP値が低値を示した。(図7)。

0072

(実施例4)デキサメサゾン投与ラットにおける分岐鎖アミノ酸の筋肉萎縮予防効果
ラット(SD;10−11週齢)に5日間デキサメサゾン(600μg/kg)を連続で腹腔内投与して筋肉萎縮を発症させた。イソロイシン、ロイシンおよびバリン(1:2:1.2の重量比)の配合物投与群(図中BCAAと記載し、以下BCAA投与群と記載する)には、0.75g/kgの上記BCAAを経口投与により、同時に、5日間連続投与した。ビークル群は蒸留水を同様に経口連続投与した。5日目に剖検し、5日間の摂餌量・体重推移・筋肉重量を測定すると共に、自体公知の方法により筋肉内萎縮遺伝子発現量の解析を行った。
すなわち、ISOGEN(日本ジーン)を用いて骨格筋より抽出したRNAを鋳型に、スーパースクリプトIII(invitrogen)を用いてcDNAを合成した。2.5ngのcDNAとAtrogin−1およびMuRF−1の各プライマー(下記表1参照)とpower cyber green(アプライドバイオシステム)とを混合し、リアルタイムRTPCR法により、試験サンプル中に存在する筋肉萎縮関連遺伝子(Atrogin−1、MuRF−1、Myostatin、FOXO1、FOXO3a、FOXO4、REDD1およびKLF15)の発現量をコントロール群を1として、相対的に定量解析した。
コントロール群には、pair feedingしたノーマルラットを用いた。

0073

0074

ラットへのデキサメサゾン投与により、体重や摂餌量が減少し、プロテオソーム分解誘発遺伝子であるatrogin−1、MuRF−1およびMyostatinが発現誘導されて筋肉萎縮が起こる結果、筋肉量が減少することが知られている(Endocrinology 146: 1789-1797 (2005)、Am. J. Physiol. Endocrinol. Metab. 287: E591-E601(2004)参照)。
ビークル群では体重や摂餌量の減少が認められたが、BCAA投与群においては、これらの減少が抑制された(図8)。また、BCAA投与群では、ビークル群に比較して筋肉重量の減少が抑制された(図9)。さらに、BCAA投与群では、筋肉萎縮関連遺伝子atrogin−1とMuRF−1および筋肉の負の成長因子であるMyostatinの発現、および萎縮関連遺伝子のFOXO1、FOXO3a、FOXO4、REDD1およびKLF15遺伝子も抑制された(図10〜13)。

0075

(実施例5)デキサメサゾン投与ラットにおけるBCAAの筋肉萎縮治療効果
ラット(SD;10−11週齢)に5日間デキサメサゾン(600μg/kg)を連続で腹腔内投与して筋肉萎縮を発症させた。デキサメサゾン投与を中止した6日目、7日目にイソロイシン、ロイシンおよびバリン(1:2:1.2の重量比)の配合物0.75g/kgを経口投与して、筋肉萎縮に対する治療効果を検討した。ビークル群では蒸留水を同様に経口連続投与した。6、7日目に剖検し、摂餌量・体重・筋肉重量・筋肉萎縮遺伝子発現量の解析を行った。R1、R2は、それぞれ回復期(recover;R)の1、2日目であり、デキサメサゾン投与を中止した6日目、7日目の意味である。

0076

ビークル群に比較して、BCAA投与群では、体重減少や摂餌量減少の回復の程度は弱かった(図14)にも関わらず、筋肉重量の回復の程度は高かった(図15)。また、上記リアルタイムPCR法により筋肉萎縮遺伝子の発現量を定量解析したところ、BCAA投与群では、筋肉萎縮遺伝子atrogin−1とMuRF−1の発現も顕著に抑制された(図16)。

0077

以上の結果、BCAA投与による筋肉重量の回復は、摂餌量の増加による回復というよりも、筋肉萎縮遺伝子の発現が抑制された結果、筋肉萎縮が抑制されることによるものであることが明らかになった。

0078

(実施例6)5/6摘ラットにおけるBCAAの筋肉萎縮遺伝子発現抑制
ラット(WKY;7−9週齢)を5/6腎臓摘出手術をし、腎不全モデルラットを作出した。前記モデルラットにBCAAを投与した群としなかった群と偽手術のみの群(sham)の3群において上記リアルタイムPCR法により筋肉萎縮遺伝子の発現を解析した。BCAAを投与しなかった腎不全モデルラット群では、筋肉萎縮遺伝子atrogin−1とMuRF−1の発現がsham群に比較して増加した。それに対してBCAA投与群では、atrogin−1とMuRF−1の発現をsham群程度まで抑制した(図17)。なお、図17では、Sham群中の1例の値を1.0として、各群の相対値の平均をプロットした。
以上の結果から、腎不全に起因する筋肉萎縮遺伝子発現増加に対してもBCAAは抑制効果をもつことが明らかになった。

実施例

0079

以上、本発明の具体的な態様のいくつかを詳細に説明したが、当業者であれば、示された特定の態様に、本発明の教示と利点から実質的に逸脱しない範囲で様々な修正と変更をなすことが可能である。従って、そのような修正及び変更も、すべて請求の範囲で請求される本発明の精神と範囲内に含まれるものである。
本出願は、日本で出願された特願2006−335057および特願2006−335059を基礎としており、その内容は本出願にすべて包含されるものである。

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