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課題
解決手段
物品及び物品の製造方法が開示される。物品は、等軸晶構造及び組成物を含む。組成物は、重量%で、アルミニウム約6.0%〜約9.0%、チタン約0.5%以下、タンタル約2.5%〜約4.5%、クロム約10.0%〜約12.5%、コバルト約5.0%〜約10.0%、モリブデン約0.30%〜約0.80%、タングステン約2.0%〜約5.0%、ケイ素約1.0%以下、ハフニウム約0.35%〜約0.60%、ホウ素約0.005%〜約0.010%、炭素約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム約0.02%以下、ランタン約0.1%以下、イットリウム約0.03%以下並びにニッケル及び不可避不純物の残部を含む。レニウムは存在したとしても痕跡元素である。物品の製造方法は、レニウム約0.01%以下を有する組成物を準備する工程と、物品を形成する工程とを含む。
概要
背景
ガスタービン及び航空機エンジンの高温ガス通路部品、特に、タービンのブレード、ベーン、ノズル、シール及び固定シュラウドは、しばしば2000°Fを超す、高温で動作する。高温ガス通路部品を形成するために使用される超合金組成物は、部品が第1段において晒される高温及び他の動作条件のために、しばしば多量のレニウム(Re)を配合した単結晶組成物である。そのような超合金組成物は、典型的に、1〜3重量%のレニウム(Re)を含有し、一部は、6重量%以下のレニウム(Re)を配合し得る。
そのような単結晶のレニウム(Re)含有超合金組成物の一つは、本明細書では「N2Re」という。N2Reは、重量%で、アルミニウム(Al)6.0%〜9.0%、チタン(Ti)0.5%以下、タンタル(Ta)4.0%〜6.0%、クロム(Cr)12.5%〜15.0%、コバルト(Co)3.0%〜10.0%、モリブデン(Mo)0.25%以下、タングステン(W)2.0%〜5.0%、ケイ素(Si)1.0%以下、ハフニウム(Hf)0.2%以下、レニウム(Re)1.0%〜3.0%と、残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。N2Reは、ホウ素(B)0.01%以下、炭素(C)0.07%以下、ジルコニウム(Zr)0.03%以下及びランタン(La)0.1%以下も含み得る。N2Reの範中に属する組成物の一例は、「Rene N2」の商標名で市販されていない合金(General Electric社から入手可能)を含み得る。
単結晶でなくレニウム(Re)を含まない代替的な超合金組成物は、本明細書では「R108」という。R108は、重量%で、アルミニウム(Al)5.25%〜5.75%、チタン(Ti)0.6%〜0.9%、タンタル(Ta)2.8%〜3.3%、クロム(Cr)8.0%〜8.7%、コバルト(Co)9.0%〜10.0%、モリブデン(Mo)0.4%〜0.6%、タングステン(W)9.3%〜9.7%、ケイ素(Si)0.12%以下、ハフニウム(Hf)1.3%〜1.7%、ホウ素(B)0.01%〜0.02%、炭素(C)0.1%以下、ジルコニウム(Zr)0.005%〜0.02%、鉄(Fe)0.2%以下、マンガン(Mn)0.1%以下、銅(Cu)0.1%以下、リン(P)0.01%以下、硫黄(S)0.004%以下、ニオブ(Nb)0.1%以下並びにニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。R108の範中に属する組成物の一例は、商標名「Rene 108」の商標名で市販されていない合金を含み得る。バーナリグにおける2000°Fの試験条件下で、R108から形成された物品は、低いクロム含量のために表面に不安定な酸化物スケールを形成する。
R108及びN2Reは、同等の高温機械特性を有するが、R108は、N2Reと比べて著しく劣る高温腐食耐性及び耐酸化性を有する。結果として、R108は、重厚なガスタービン又は航空機エンジンの第1段の高温ガス通路部品を作るには適さない。
Rene N5、Rene N6及びRene N2等の、レニウム(Re)を配合した単結晶超合金は、ガスタービン又は航空機エンジンの動作条件下で、良好な強度、延性、クリープ寿命、低サイクル疲労寿命、耐酸化性及び高温腐食耐性を含む、ガスタービン又は航空機エンジンの用途に非常に望ましい特性を提供し得る。しかし、レニウム(Re)は、最も高価な金属の一つであり、単結晶部材の加工は、典型的に時間がかかりコスト高であるので、レニウム(Re)含有単結晶超合金を経済的に望ましくないものとする。
概要
等軸晶構造及び組成物を含む物品及び物品の製造方法を提供する。物品及び物品の製造方法が開示される。物品は、等軸晶構造及び組成物を含む。組成物は、重量%で、アルミニウム約6.0%〜約9.0%、チタン約0.5%以下、タンタル約2.5%〜約4.5%、クロム約10.0%〜約12.5%、コバルト約5.0%〜約10.0%、モリブデン約0.30%〜約0.80%、タングステン約2.0%〜約5.0%、ケイ素約1.0%以下、ハフニウム約0.35%〜約0.60%、ホウ素約0.005%〜約0.010%、炭素約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム約0.02%以下、ランタン約0.1%以下、イットリウム約0.03%以下並びにニッケル及び不可避不純物の残部を含む。レニウムは存在したとしても痕跡元素である。物品の製造方法は、レニウム約0.01%以下を有する組成物を準備する工程と、物品を形成する工程とを含む。
目的
米国特許第8431073号明細書
当分野において、形成される部品のプロセス及び/又は特性を改良した物品及び方法が望まれている
効果
実績
- 技術文献被引用数
- 0件
- 牽制数
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この技術が所属する分野
(分野番号表示ON)※整理標準化データをもとに当社作成
請求項1
等軸晶構造及び組成物を含む物品であって、組成物が、重量%で、アルミニウム(Al)約6.0%〜約9.0%、チタン(Ti)約0.5%以下、タンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%、クロム(Cr)約10.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約5.0%〜約10.0%、モリブデン(Mo)約0.30%〜約0.80%、タングステン(W)約2.0%〜約5.0%、ケイ素(Si)約1.0%以下、ハフニウム(Hf)約0.35%〜約0.60%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下、残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含んでおり、レニウム(Re)は存在していたとしても痕跡元素である、物品。
請求項2
請求項3
組成物の鋳造性が高い、請求項1記載の物品。
請求項4
物品の組成物が耐酸化性を有し、耐酸化性が、R108の対応する組成物が呈する対応する耐酸化性よりも約2倍〜約4倍高い、請求項1記載の物品。
請求項5
物品の組成物が低サイクル疲労寿命を有し、低サイクル疲労寿命が、N2Reの対応する組成物が呈する対応する低サイクル疲労寿命よりも約18%〜約22%長い、請求項1記載の物品。
請求項6
請求項7
請求項8
物品の製造方法であって、重量%で、アルミニウム(Al)約6.0%〜約9.0%、チタン(Ti)約0.5%以下、タンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%、クロム(Cr)約10.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約5.0%〜約10.0%、モリブデン(Mo)約0.30%〜約0.80%、タングステン(W)約2.0%〜約5.0%、ケイ素(Si)約1.0%以下、ハフニウム(Hf)約0.35%〜約0.60%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下、レニウム(Re)約0.01%以下、残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む組成物を準備する工程と、等軸晶構造を含む物品を形成する工程と、を含む、方法。
請求項9
鋳造が、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造を含む、請求項8記載の方法。
請求項10
技術分野
背景技術
0002
ガスタービン及び航空機エンジンの高温ガス通路部品、特に、タービンのブレード、ベーン、ノズル、シール及び固定シュラウドは、しばしば2000°Fを超す、高温で動作する。高温ガス通路部品を形成するために使用される超合金組成物は、部品が第1段において晒される高温及び他の動作条件のために、しばしば多量のレニウム(Re)を配合した単結晶組成物である。そのような超合金組成物は、典型的に、1〜3重量%のレニウム(Re)を含有し、一部は、6重量%以下のレニウム(Re)を配合し得る。
0003
そのような単結晶のレニウム(Re)含有超合金組成物の一つは、本明細書では「N2Re」という。N2Reは、重量%で、アルミニウム(Al)6.0%〜9.0%、チタン(Ti)0.5%以下、タンタル(Ta)4.0%〜6.0%、クロム(Cr)12.5%〜15.0%、コバルト(Co)3.0%〜10.0%、モリブデン(Mo)0.25%以下、タングステン(W)2.0%〜5.0%、ケイ素(Si)1.0%以下、ハフニウム(Hf)0.2%以下、レニウム(Re)1.0%〜3.0%と、残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。N2Reは、ホウ素(B)0.01%以下、炭素(C)0.07%以下、ジルコニウム(Zr)0.03%以下及びランタン(La)0.1%以下も含み得る。N2Reの範中に属する組成物の一例は、「Rene N2」の商標名で市販されていない合金(General Electric社から入手可能)を含み得る。
0004
単結晶でなくレニウム(Re)を含まない代替的な超合金組成物は、本明細書では「R108」という。R108は、重量%で、アルミニウム(Al)5.25%〜5.75%、チタン(Ti)0.6%〜0.9%、タンタル(Ta)2.8%〜3.3%、クロム(Cr)8.0%〜8.7%、コバルト(Co)9.0%〜10.0%、モリブデン(Mo)0.4%〜0.6%、タングステン(W)9.3%〜9.7%、ケイ素(Si)0.12%以下、ハフニウム(Hf)1.3%〜1.7%、ホウ素(B)0.01%〜0.02%、炭素(C)0.1%以下、ジルコニウム(Zr)0.005%〜0.02%、鉄(Fe)0.2%以下、マンガン(Mn)0.1%以下、銅(Cu)0.1%以下、リン(P)0.01%以下、硫黄(S)0.004%以下、ニオブ(Nb)0.1%以下並びにニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。R108の範中に属する組成物の一例は、商標名「Rene 108」の商標名で市販されていない合金を含み得る。バーナリグにおける2000°Fの試験条件下で、R108から形成された物品は、低いクロム含量のために表面に不安定な酸化物スケールを形成する。
0005
R108及びN2Reは、同等の高温機械特性を有するが、R108は、N2Reと比べて著しく劣る高温腐食耐性及び耐酸化性を有する。結果として、R108は、重厚なガスタービン又は航空機エンジンの第1段の高温ガス通路部品を作るには適さない。
0006
Rene N5、Rene N6及びRene N2等の、レニウム(Re)を配合した単結晶超合金は、ガスタービン又は航空機エンジンの動作条件下で、良好な強度、延性、クリープ寿命、低サイクル疲労寿命、耐酸化性及び高温腐食耐性を含む、ガスタービン又は航空機エンジンの用途に非常に望ましい特性を提供し得る。しかし、レニウム(Re)は、最も高価な金属の一つであり、単結晶部材の加工は、典型的に時間がかかりコスト高であるので、レニウム(Re)含有単結晶超合金を経済的に望ましくないものとする。
先行技術
0007
米国特許第8431073号明細書
0008
当分野において、形成される部品のプロセス及び/又は特性を改良した物品及び方法が望まれている。
0009
一実施形態では、物品は、等軸晶構造及び組成物を含み、組成物は、重量%で、アルミニウム(Al)約6.0%〜約9.0%、チタン(Ti)約0.5%以下、タンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%、クロム(Cr)約10.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約5.0%〜約10.0%、モリブデン(Mo)約0.30%〜約0.80%、タングステン(W)約2.0%〜約5.0%、ケイ素(Si)約1.0%以下、ハフニウム(Hf)約0.35%〜約0.60%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下並びに残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含み、レニウム(Re)が存在していたとしても痕跡元素である。
0010
別の実施形態では、物品の製造方法は、組成物を準備する工程と、物品を形成する工程とを含む。組成物は、重量%で、アルミニウム(Al)約6.0%〜約9.0%、チタン(Ti)約0.5%以下、タンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%、クロム(Cr)約10.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約5.0%〜約10.0%、モリブデン(Mo)約0.30%〜約0.80%、タングステン(W)約2.0%〜約5.0%、ケイ素(Si)約1.0%以下、ハフニウム(Hf)約0.35%〜約0.60%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下、レニウム(Re)約0.01%以下並びに残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。物品は、等軸晶構造を含む。
0011
本発明の他の特徴及び利点は、本発明の原理を例として図示する添付図面と併せて、以下の更に詳細な説明から理解されるであろう。
図面の簡単な説明
0012
複雑な幾何形状の微細な窪みを含む、本開示の実施形態によるRNXから鋳造された物品である。
N2Re、R108及びRNXから形成された物品の低サイクル疲労寿命を比較している。
N2Re、R108及びRNXから形成された物品のクリープ寿命を比較している。
R108及びRNXから作られた物品の酸化層深さを比較している。
バーナリグ試験を経た、本開示の実施形態によるRNXから形成された物品の顕微鏡断面写真である。
バーナリグ試験を経た、R108から形成された対応する物品の顕微鏡断面写真である。
0013
できるだけ、同一の部材を表すために図面を通して同一の参照番号が使用される。
0014
物品及び物品の製造方法が提供される。本開示の実施形態は、本明細書では開示する1つ以上の特徴を使用しない方法及び物品と比べて、耐食性を高め、耐酸化性を高め、低サイクル疲労寿命を延ばし、クリープ寿命を高め、鋳造性を向上させ、高温下での相安定性を高め、コストを下げ、又はそれらの組合せをもたらす。本開示の実施形態は、高温でレニウム(Re)含有ニッケル基超合金と少なくとも同等の有利な特性を有するとともに等軸晶構造を有する、レニウム(Re)を含まないニッケル基超合金によって、ガスタービン及び航空機エンジンの高温ガス通路部品を製造することができる。
0015
一実施形態では、物品は、等軸晶構造及び組成物を含む。組成物は、重量%で、アルミニウム(Al)約6.0%〜約9.0%、チタン(Ti)約0.5%以下、タンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%、クロム(Cr)約10.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約5.0%〜約10.0%、モリブデン(Mo)約0.30%〜約0.80%、タングステン(W)約2.0%〜約5.0%、ケイ素(Si)約1.0%以下、ハフニウム(Hf)約0.35%〜約0.60%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下並びに残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。組成物は、レニウム(Re)を全く或いは痕跡元素としてしか含まない。別の実施形態では、レニウム(Re)は、組成物の0.01重量%未満の量でしか存在しない。
0016
一実施形態では、組成物中のタンタル(Ta)約2.5%〜約4.5%は、1:1のモル基準でニオブ(Nb)で完全又は部分的に置換される。この置換は、物品の鋳造性又はサービス性に重大な影響を及ぼさないが、組成物のコストを下げる。
0017
別の実施形態では、組成物は、重量%で、アルミニウム(Al)約6.2%〜約6.5%、チタン(Ti)約0.04%以下、タンタル(Ta)約3.9%〜約4.3%、クロム(Cr)約12.0%〜約12.5%、コバルト(Co)約7.0%〜約8.0%、モリブデン(Mo)約0.40%〜約0.75%、タングステン(W)約4.7%〜約5.1%、ケイ素(Si)約0.08%〜約0.12%、ハフニウム(Hf)約0.47%〜約0.53%、ホウ素(B)約0.005%〜約0.010%、炭素(C)約0.06%〜約0.10%、ジルコニウム(Zr)約0.02%以下、ランタン(La)約0.1%以下、イットリウム(Y)約0.03%以下、レニウム(Re)約0.01%以下並びに残部のニッケル(Ni)及び不可避不純物を含む。
0018
一実施形態では、物品は、ガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路部品であり、高温ガス通路部品は、少なくとも約2000°Fの温度に晒される。別の実施形態では、高温ガス通路部品は、ブレード、ベーン、ノズル、シール及び固定シュラウドから成る群から選択される。
0019
一実施形態では、物品の製造方法は、組成物を準備する工程と、組成物から物品を形成する工程とを含む。別の実施形態では、組成物から物品を形成する工程は、非限定的に、鋳造、粉末治金及び三次元付加加工を含む、任意の適した技術を含む。別の実施形態では、鋳造は、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造を含む。
0020
本明細書では、「可変圧力制御による精密インベストメント鋳造」は、以下に記述する鋳造プロセスを意味する。インゴットは、溶解チャンバ内の誘導コイルによって表面再溶解圧下で表面再溶解まで加熱される。不活性ガスは、鋳造圧に達するまで溶解チャンバ内に導入される。温度は、溶解温度に達するまで調節される。インゴットが完全に溶融物に転化されるときに、溶融物は、不活性ガス下で型穴に鋳造圧で注入される。不活性ガスは、物品が凝固物に鋳造されるまで鋳造圧に維持される。典型的な工業鋳造プロセスにおける、パターン作成、型準備及び注入後凝固等の他の工程は、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造においても不変である。
0021
一実施形態では、インゴットが組成物から成る場合、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造は、10-3気圧の表面再溶解圧及び10-2気圧〜10-1気圧の不活性ガス鋳造圧を含む。別の実施形態では、不活性ガスは、アルゴン(Ar)である。
0022
一実施形態では、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造は、溶解中及び鋳造中のクロム(Cr)の喪失を最小化する。少なくとも約2000°Fの温度下のガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路部品の動作は、高温腐食耐性及び耐酸化性を維持するために、典型的に重量で少なくとも約12.0%のクロム(Cr)含量を要求する。
0023
一実施形態では、組成物は、鋳造性が高い。本明細書では、「鋳造性が高い」は、物品への組成物の鋳造中に表面増強窪み又は細リブ等の微細構造特徴の供給が不足しないこと、凝固収縮が許容範囲内であること、並びに物品が型/金属又はコア/金属の反応を本質的に含まないことを示している。別の実施形態では、組成物は、少なくとも約2000°Fの温度に晒される、ガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路部品に、熱間等方加圧の使用を要求せずに鋳造され得るような、十分高い内部健全性を提供する。熱間等方加圧は、鋳造物品の内側の凝固収縮空隙を閉じるために、並びに、少なくとも約2000°Fの温度に晒される、ガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路部品の要求を満たすように機械特性を向上するために、広範に使用されている。鋳造物品を熱間等方加圧に晒す加工工程を排除することによって、鋳造物品の製造コストが下がる。
0024
一実施形態では、本開示による組成物から形成された物品の表面は、ガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路の動作条件下で、安定したアルミニウム酸化物リッチのスケールホットを形成する。別の実施形態では、安定したアルミニウム酸化物リッチのスケールは、酸化雰囲気における反応性種の拡散を遅らせ、本開示による組成物の酸化及び高温腐食の性能を向上させる。
0025
一実施形態では(本明細書では、「RNX」と称する。)、本開示による組成物は、重量%で、アルミニウム(Al)6.25%、タンタル(Ta)4.0%、クロム(Cr)12.5%、コバルト(Co)7.5%、モリブデン(Mo)0.5%、タングステン(W)5.0%、ハフニウム(Hf)0.5%、ホウ素(B)0.0075%、炭素(C)0.08%並びにニッケル(Ni)及び随伴性不純物の残部を含む。
0026
一実施形態では、R108に対する組成物の高い鋳造性は、本開示によるRNXから形成された物品が、R108から形成された対応する物品が経験するよりも50%低い凝固収縮を鋳造中に経験する比較によって例示される。
0027
図1を参照すると、一実施形態では、可変圧力制御による精密インベストメント鋳造法により本開示によるRNXから形成された物品によって、組成物の高い鋳造性が証明されており、物品は、ガスタービンの高温ガス通路部品、具体的には48ポンドノズルである。ノズルは、複雑な幾何形状を有する非常に小さい複数の窪みを含み、ノズルは、湾曲した内部表面に平方インチ当り約400超の窪みを含む。窪みは、動作条件下での使用に適した高い精度で形成される。
0029
図2を参照すると、一実施形態では、本開示によるRNXから形成された物品は、1800°F及び2分の保留時間で0.6%の歪みの試験条件下で、N2Reから形成された対応する物品が呈する対応する低サイクル疲労寿命よりも、約20%長い、或いは約18%〜約22%長い低サイクル疲労寿命、並びにR108から形成された対応する物品が呈する対応する低サイクル疲労寿命よりも約54%長い、或いは約50%〜約58%長い低サイクル疲労寿命を有する。
0030
図3を参照すると、一実施形態では、本開示によるRNXから形成された物品は、1800°F及び20ksiの試験条件下で、N2Reから形成された対応する物品が呈する対応するクリープ寿命よりも、約2.3倍長い、或いは約2.0倍〜約2.6倍長いクリープ寿命、並びにR108から形成された対応する物品が呈する対応するクリープ寿命よりも約28%長い、或いは約25%〜約31%長いクリープ寿命を有する。
0031
一実施形態では、本開示によるRNXから形成された物品は、N2Reから形成された対応する物品が呈する対応する耐酸化性と略同一の耐酸化性、並びにR108から形成された対応する物品が呈する対応する耐酸化性よりも約3倍高い、或いは約2.7倍〜約3.3倍高い耐酸化性を有する。
0032
一実施形態では、本開示によるRNXから形成された物品は、N2Reから形成された対応する物品が呈する対応する高温腐食耐性と略同一の高温腐食耐性、並びにR108から形成された対応する物品が呈する対応する高温腐食耐性よりも約2倍高い、或いは約1.8倍〜約3.2倍高い高温腐食耐性を有する。
0033
図4を参照すると、バーナリグ中の最大4000時間に及ぶ2000°Fの試験条件下で、本開示によるRNXから形成された物品と、R108から形成された対応する物品との酸化層深さの比較が示されている。
0034
図5及び図6を参照すると、一実施形態では、バーナリグにおける4000時間に及ぶ2000°Fの試験を経た、本開示によるRNXから形成された物品(図5)は、組成物劣化深さ502を含み、等軸晶構造を有するR108から形成された対応する物品(図6)は、R108劣化深さ602を含む。RNXから形成された物品は、R108から形成された対応する物品の約2分の1或いは約4分の1〜約4分の3の比率で表面劣化を経験する。本明細書では、「劣化」は、凝集性の強化相ガンマプライム(γ’)の消失を意味する。
0035
別の実施形態では、γ’の化学式は、Ni3(AlTiTa)である。理論に束縛されないが、Al及びTiの酸化は、γ’を破壊し、劣化領域を形成させると信じられている。劣化領域において、RNXは、脆弱化したマトリクスを含み、荷重支持能力を著しく低下させる。荷重支持能力の著しい低下は、物品が動作条件に晒されるときに、早期の故障を招き得る。したがって、本開示によるRNXから形成された物品の狭い劣化領域は、物品がガスタービン又は航空機エンジンの高温ガス通路部品であるときに、R108から形成された対応する物品と比べた大幅な改良を表している。
0036
RNXから形成された物品において、R108から形成された対応する物品と比べて、酸化層深さと腐食深さの両方が小さくなる。理論に束縛されないが、ハフニウム(Hf)は、酸素との反応性が非常に高く、RNXと比べたR108中のハフニウム(Hf)の高い濃度(凡そ3倍高い)は、鋳造プロセスにおける物品の凝固中にハフニウム(Hf)の分離を促し、RNXと比べてハフニウム(Hf)の濃度が高い合金(R108等)から形成された物品を酷く腐食させる。
実施例
0037
1つ以上の実施形態を参照して本発明が記述されているが、当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、各種の変更が成され得、本発明の要素が等価物によって置換られ得ることを理解するであろう。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱せずに特定の状況又は材料を本発明の教示に適用するように、多くの修正が成され得る。したがって、本発明は、この発明を実施するために考えられベストモードとして開示された特定の実施形態に限定されず、添付の請求項の範囲に属する全ての実施形態を含むことが意図されている。
0038
502組成物劣化深さ
602 R108劣化深さ