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課題
解決手段
概要
背景
従来から信号(データ系列)をAD変換し、圧縮し、伝送することにより、ネットワークの帯域を有効活用することができることが知られている。この明細書においては、信号をAD変換し、圧縮し、復元する技術を、従来のデジタル圧縮センシング技術と称する。なお、信号をAD変換する前に、アナログ領域で信号を圧縮し、圧縮した信号をAD変換し、復元する技術を、従来のアナログ圧縮センシング技術と称する。従来のデジタル圧縮センシング技術では、信号をAD変換してから処理を行うため、高速AD変換器が必要であったが、従来のアナログ圧縮センシングは、アナログ領域で信号の圧縮を行うため、高速AD変換器が不要となる。
従来のデジタル圧縮センシングの概念(例えば、非特許文献1、2参照)を図8に示す。図8は周波数領域、もしくは時間領域で疎な信号を想定している。まず、入力信号を入力信号のナイキストレート(入力信号の帯域の2倍)の速度を持つAD変換器でサンプリングする。次に、サンプリングした信号を、ランダム測定行列の列数毎に分けて、ランダム測定行列との掛け算を行う。例えば、図8では、40×100で構成されるランダム測定行列を用いるため、サンプリングした信号を100個毎に分けて、ランダム測定行列とのかけ算を行う。この結果、100個の入力信号から40個の圧縮データを得る。次に、圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行う。
従来のデジタル圧縮センシングを行うシステム構成を図9に示す。図9において、入力信号はAD変換部1002でアナログ信号からデジタル信号に変換され、変換結果を圧縮センシング部1004に出力する。ランダム測定行列生成部1008は、ランダム変数からなるランダム測定行列を生成する。ランダム復元行列生成部1010は、ランダム測定行列にIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。圧縮センシング部1004は入力されたデジタル信号を、ランダム測定行列生成部1008で生成されたランダム測定行列を用いデータの圧縮を行う。圧縮結果は、信号復元部1006に出力される。信号復元部1006は、入力された圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行ない、復元した信号を出力する。
従来のアナログ圧縮センシングの概念(例えば、非特許文献3参照)を図10に示す。図10は周波数領域、もしくは時間領域で疎な信号を想定している。まず、入力信号を複数の同一信号に分波し、各分波した信号を、入力信号のナイキストレート(入力信号の帯域の2倍)の速度を持つ変調器を用いて変調を行う。この変調器は、ナイキストレートの速度で符号の正負がランダムに変わる特徴を持つ。また、各変調器において、正負の符号の変換パターンは、分岐毎に異なるが、各パターンの周期は分岐毎に同一である。例えば、図10に示す例では、分岐の数が4個、分岐毎に正負の符号変換の周期が100である例を示す。
次に、各分岐の変調器により変換された信号は、それぞれ低域通過フィルタ部(low pass filter)に入力される。分岐毎の低域通過フィルタ部の出力信号は、それぞれ、入力信号のナイキストレートより低い速度を持つAD変換器を用いてサンプリングされる。図10に示す例では、従来のデジタル圧縮センシングにおける100個のデジタル信号に相当するアナログ信号が入力され、4個の分岐が、それぞれ10個の圧縮データを出力するので、100個の信号から40個の圧縮データを得ることになる。ここで、100個の入力信号に相当するアナログ信号とは、ナイキストレートの速度を持つAD変換器でAD変換を行うと、100個のデジタルサンプルになるアナログ信号を意味する。次に、圧縮データを分岐毎の正負変換パターンと低域通過フィルタ部の応答特性から計算したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行う。
従来のアナログ圧縮センシングを行うシステム構成を図11に示す。図11において、入力信号は分波部2001でN(Nは自然数)個の信号に分波される。各分波された信号は、第1分岐部201、第2分岐部202、第N分岐部203それぞれの変調部2002に入力される。正負パターン生成部2008は、ランダム変数からなる正負のパターンを生成する。変調部2002は、正負パターン生成部2008が生成した正負変換パターンを用いて、分波部2001から入力した信号の変調を行う。各分岐において、変調部2002の出力信号は、低域通過フィルタ部2003に入力される。
次に、第1〜第N各分岐部201〜203のAD変換部2004において、分岐毎の低域通過フィルタ部2003の出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換結果を結合部2005に出力する。結合部2005は、第1〜第N各分岐部201〜203毎のAD変換部2004の出力信号を結合し、信号復元部2006に出力する。ランダム復元行列生成部2010は、分岐毎に正負パターン生成部2008が生成した正負変換パターンと低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列にIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。信号復元部2006は、結合部2005から入力された圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行ない、復元した信号を出力する。
図8と図10と比較すると、図8の従来のデジタル圧縮センシングでは、入力信号をAD変換してから100個の信号を40個のデータに圧縮をしている反面、図10の従来のアナログ圧縮センシングでは、入力信号をアナログ領域で、圧縮してからAD変換を行うが、結果的に、100個に相当する信号を40個の圧縮データに圧縮することは、従来のデジタル圧縮センシングと同様である。
図12と図13に、図11に示した従来のアナログ圧縮センシングの例の測定行列のデジタル表現を表す。まず、図12に分岐i(iは自然数)における測定行列のデジタル表現を表す。ここで、分岐iの正負の符号のパターンを、それぞれ、bi,0,bi,1,…,bi,99と表す。各bi,jは、正負パターン生成部が生成したパターンが正であれば、+1であり、正負パターン生成部が生成したパターンが負であれば−1である。各分岐において、入力する信号をアナログ領域で、変調部により正負変換パターンを用いて、正と負にアナログ的に変換するが、これをデジタル的に表現すると、bi,0,bi,1,…,bi,99を対角成分とする100×100の行列に表すことができる。
次に、各分岐における低域通過フィルタ部2003とAD変換部2004の応答特性を図12のように10×100の行列として表すことができる。この行列と前述の100×100の正負パターンの行列と掛け算をすることで、分岐iの入力信号と出力信号の関係を表す分岐iの測定行列のデジタル表現が得られる。各分岐の出力信号は、結合部2005で結合されることを考慮し、図13のように各分岐の測定行列を合わせて行列表現をすると、最終的な測定行列のデジタル表現が得られる。図13では、各分岐の測定行列のサイズが10×100であり、4個分岐の出力を結合するため、最終的な測定行列のサイズは、40×100となる。
図14は、従来のアナログ圧縮センシングの変調器の速度と正負パターンの周期と、入力信号のナイキストレートと、低域通過フィルタ部の通過帯域と、AD変換器の速度の関係を示す図である。図14において、入力信号のナイキストレートと変調部の正負符号変換速度は、それぞれ、fNyquistとTmodulationと表され、fNyquist=1/Tmodulationの関係を持つ。なお、低域通過フィルタ部の通過帯域と、AD変換器の速度と、変調部の正負符号パターンの周期は、それぞれ、fLPFと、fADCと、Tperiodと表され、fLPF=fADC=1/Tperiodの関係を持つ。
各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(ここで、分岐の数はn(nは自然数)とする)と、全帯域の中で実際信号のある領域(foccupied)の関係は、fADC×n≧λ×foccupiedを満足する必要がある。ここで、λは約3から4までの値である事が知られている(例えば、非特許文献1、2)。ここでは、簡単のためλを4とする。例えば、100MHzの全体帯域の中で、10MHzのみ信号がある場合、各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(n)の掛け算(fADC×n)は、40Mspsである必要がある。
次に、各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(n)の関係を説明する。fADCとnの掛け算は、foccupiedの4倍であるため、foccupiedとfADCが与えられた場合、分岐の数(n)は、(4×foccupied/fADC)となる。例えば、上記の例の場合、100MHzの全体帯域の中で、10MHzのみ信号があるので、圧縮後のデータレートは、40Mspsが必要である。ここで、例えば、各分岐のAD変換器の速度が5Mspsであれば、8個の分岐が必要とある(8×5Msps=40Msps)。もしくは、各分岐のAD変換器の速度が10Mspsであれば、4個の分岐が必要となる(4×10Msps=40Msps)。つまり、分岐毎のAD変換器のサンプリング速度を上げることで、分岐の数を減らすことができる。
概要
アナログ領域で信号を圧縮し、圧縮した信号をAD変換し、デジタル信号処理で元の信号を復元するアナログ圧縮センシングにおいて、ランダム符号のパターンの長さの短縮による復元性能の劣化を避けながらも、回路の規模を小さくすることができる信号処理システムを提供する。アナログ圧縮センシングにおいて復元性能を劣化させないで分岐の数を減らすため、AD変換速度を上げるとともに変調部の変調速度を入力信号のナイキストより定数倍(例えば、2倍、3倍など)速い速度で変調をすることで、分岐の数を減らして回路の規模を小さくした場合でも正負パターンの周期内の正負符号の数が短縮せず、復元性能を劣化させない効果が得られる。
目的
効果
実績
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請求項1
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、入力信号を複数の同一信号に分波する分波部と、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成部と、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調部と、前記変調部の出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタ部と、前記低域通過フィルタ部の出力をAD変換するAD変換部とからなる分波された信号と同数の分岐部と、前記AD変換部それぞれの出力を結合する結合部と、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、前記結合部の出力信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元部と、前記信号復元部から出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出部と、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成部と、前記正負変換パターンの周期と、前記変調部の変調速度と、前記AD変換部のAD変換速度を制御する制御部とを備えることを特徴とする信号処理システム。
請求項2
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う中央局とリモート局で構成される信号処理システムであって、前記リモート局は、入力信号を複数の同一信号に分波する分波部と、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成部と、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調部と、前記変調部の出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタ部と、前記低域通過フィルタの出力をAD変換するAD変換部とからなる分波された信号と同数の分岐部と、前記AD変換部それぞれの出力を結合し、前記中央局に送信する結合部とを備え、前記中央局は、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、前記リモート局から受信した信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元部と、前記信号復元部から出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出部と、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成部と、前記正負変換パターンの周期と、前記変調部の変調速度と、前記AD変換部のAD変換速度を制御する制御部とを備えることを特徴とする信号処理システム。
請求項3
前記正負パターン生成部は、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負変換パターンの数を変更でき、前記変調部は、前記変調速度を前記入力信号のナイキストレートの定数倍の速度に変更でき、前記低域通過フィルタ部は、通過帯域を変更でき、前記AD変換部は、前記AD変換速度を変更でき、前記制御部は、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負のパターンの数と、前記変調速度と、前記通過帯域と、前記AD変換速度を決定することを特徴とする請求項1または2に記載の信号処理システム。
請求項4
前記制御部は、前記正負変換パターンの周期(Tperiod)と一周期内に含まれている正負のパターンの数(Tperiod/Tmodulation)、前記変調速度(1/Tmodulation)と、前記通過帯域(fLPF)と、前記AD変換速度(fADC)とを決定する際に、分波の数をN(Nは自然数)とし、前記変調速度が前記入力信号のナイキストレートのK(Kは自然数)倍に設定し、検出された信号帯域幅(foccupied)より復元性能の要求条件を満たす情報量を決定する係数をλとし、ランダム性が維持できるランダム符号長Lとする場合、(N/L)×(fNyquist/foccupied)=N×(fADC/foccupied)≧λと、1/Tmodulation = K×fNyquist と、fADC=fLPF=1/Tperiodと、Tperiod/Tmodulation≧Lとが、それぞれ成り立つようにすることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の信号処理システム。
請求項5
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムが行う信号処理方法であって、入力信号を複数の同一信号に分波する分波ステップと、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成ステップと、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調ステップと、前記変調ステップの出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタリングステップと、前記低域通過フィルタリングステップの出力をAD変換するAD変換ステップとからなる分岐処理ステップを前記分波の数だけ並行して行うステップと、前記AD変換ステップそれぞれの出力を結合する結合ステップと、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタリングステップの応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、前記結合ステップの出力信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元ステップと、前記信号復元ステップにより出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出ステップと、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成ステップと、前記正負変換パターンの周期と、前記変調ステップの変調速度と、前記AD変換ステップのAD変換速度を制御する制御ステップとを有することを特徴とする信号処理方法。
請求項6
周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う中央局とリモート局で構成される信号処理システムが行う信号処理方法であって、前記リモート局が、入力信号を複数の同一信号に分波する分波ステップと、前記リモート局が、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成ステップと、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調ステップと、前記変調ステップの出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタリングステップと、前記低域通過フィルタリングステップの出力をAD変換するAD変換ステップとからなる分岐処理ステップを前記分波の数だけ並行して行うステップと、前記リモート局が、前記AD変換ステップそれぞれの出力を結合し、前記中央局に送信する結合ステップと、前記中央局が、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタリングステップの応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、前記中央局が、前記リモート局から受信した信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元ステップと、前記中央局が、前記信号復元ステップにより出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出ステップと、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成ステップと、前記正負変換パターンの周期と、前記変調ステップの変調速度と、前記AD変換ステップのAD変換速度を制御する制御ステップとを有することを特徴とする信号処理方法。
請求項7
前記正負パターン生成ステップは、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負変換パターンの数を変更でき、前記変調ステップは、前記変調速度を前記入力信号のナイキストレートの定数倍の速度に変更でき、前記低域通過フィルタリングステップは、通過帯域を変更でき、前記AD変換ステップは、前記AD変換速度を変更でき、前記制御ステップは、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負のパターンの数と、前記変調速度と、前記通過帯域と、前記AD変換速度を決定することを特徴とする請求項5または6に記載の信号処理方法。
請求項8
前記制御ステップは、前記正負変換パターンの周期(Tperiod)と一周期内に含まれている正負のパターンの数(Tperiod/Tmodulation)、前記変調速度(1/Tmodulation)と、前記通過帯域(fLPF)と、前記AD変換速度(fADC)とを決定する際に、分波の数をN(Nは自然数)とし、前記変調速度が前記入力信号のナイキストレートのK(Kは自然数)倍に設定し、検出された信号帯域幅(foccupied)より復元性能の要求条件を満たす情報量を決定する係数をλとし、ランダム性が維持できるランダム符号長Lとする場合、(N/L)×(fNyquist/foccupied)=N×(fADC/foccupied)≧λと、1/Tmodulation = K×fNyquist と、fADC=fLPF=1/Tperiodと、Tperiod/Tmodulation≧Lとが、それぞれ成り立つようにすることを特徴とする請求項5から7のいずれか1項に記載の信号処理方法。
技術分野
0001
本発明は、信号をAD(Analog−to−Digital)変換する前に、アナログ領域で信号を圧縮し、圧縮した信号をAD変換し、デジタル信号処理で元の信号を復元する信号処理システム及び信号処理方法に関する。
背景技術
0002
従来から信号(データ系列)をAD変換し、圧縮し、伝送することにより、ネットワークの帯域を有効活用することができることが知られている。この明細書においては、信号をAD変換し、圧縮し、復元する技術を、従来のデジタル圧縮センシング技術と称する。なお、信号をAD変換する前に、アナログ領域で信号を圧縮し、圧縮した信号をAD変換し、復元する技術を、従来のアナログ圧縮センシング技術と称する。従来のデジタル圧縮センシング技術では、信号をAD変換してから処理を行うため、高速AD変換器が必要であったが、従来のアナログ圧縮センシングは、アナログ領域で信号の圧縮を行うため、高速AD変換器が不要となる。
0003
従来のデジタル圧縮センシングの概念(例えば、非特許文献1、2参照)を図8に示す。図8は周波数領域、もしくは時間領域で疎な信号を想定している。まず、入力信号を入力信号のナイキストレート(入力信号の帯域の2倍)の速度を持つAD変換器でサンプリングする。次に、サンプリングした信号を、ランダム測定行列の列数毎に分けて、ランダム測定行列との掛け算を行う。例えば、図8では、40×100で構成されるランダム測定行列を用いるため、サンプリングした信号を100個毎に分けて、ランダム測定行列とのかけ算を行う。この結果、100個の入力信号から40個の圧縮データを得る。次に、圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行う。
0004
従来のデジタル圧縮センシングを行うシステム構成を図9に示す。図9において、入力信号はAD変換部1002でアナログ信号からデジタル信号に変換され、変換結果を圧縮センシング部1004に出力する。ランダム測定行列生成部1008は、ランダム変数からなるランダム測定行列を生成する。ランダム復元行列生成部1010は、ランダム測定行列にIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。圧縮センシング部1004は入力されたデジタル信号を、ランダム測定行列生成部1008で生成されたランダム測定行列を用いデータの圧縮を行う。圧縮結果は、信号復元部1006に出力される。信号復元部1006は、入力された圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行ない、復元した信号を出力する。
0005
従来のアナログ圧縮センシングの概念(例えば、非特許文献3参照)を図10に示す。図10は周波数領域、もしくは時間領域で疎な信号を想定している。まず、入力信号を複数の同一信号に分波し、各分波した信号を、入力信号のナイキストレート(入力信号の帯域の2倍)の速度を持つ変調器を用いて変調を行う。この変調器は、ナイキストレートの速度で符号の正負がランダムに変わる特徴を持つ。また、各変調器において、正負の符号の変換パターンは、分岐毎に異なるが、各パターンの周期は分岐毎に同一である。例えば、図10に示す例では、分岐の数が4個、分岐毎に正負の符号変換の周期が100である例を示す。
0006
次に、各分岐の変調器により変換された信号は、それぞれ低域通過フィルタ部(low pass filter)に入力される。分岐毎の低域通過フィルタ部の出力信号は、それぞれ、入力信号のナイキストレートより低い速度を持つAD変換器を用いてサンプリングされる。図10に示す例では、従来のデジタル圧縮センシングにおける100個のデジタル信号に相当するアナログ信号が入力され、4個の分岐が、それぞれ10個の圧縮データを出力するので、100個の信号から40個の圧縮データを得ることになる。ここで、100個の入力信号に相当するアナログ信号とは、ナイキストレートの速度を持つAD変換器でAD変換を行うと、100個のデジタルサンプルになるアナログ信号を意味する。次に、圧縮データを分岐毎の正負変換パターンと低域通過フィルタ部の応答特性から計算したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行う。
0007
従来のアナログ圧縮センシングを行うシステム構成を図11に示す。図11において、入力信号は分波部2001でN(Nは自然数)個の信号に分波される。各分波された信号は、第1分岐部201、第2分岐部202、第N分岐部203それぞれの変調部2002に入力される。正負パターン生成部2008は、ランダム変数からなる正負のパターンを生成する。変調部2002は、正負パターン生成部2008が生成した正負変換パターンを用いて、分波部2001から入力した信号の変調を行う。各分岐において、変調部2002の出力信号は、低域通過フィルタ部2003に入力される。
0008
次に、第1〜第N各分岐部201〜203のAD変換部2004において、分岐毎の低域通過フィルタ部2003の出力信号をアナログ信号からデジタル信号に変換し、変換結果を結合部2005に出力する。結合部2005は、第1〜第N各分岐部201〜203毎のAD変換部2004の出力信号を結合し、信号復元部2006に出力する。ランダム復元行列生成部2010は、分岐毎に正負パターン生成部2008が生成した正負変換パターンと低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列にIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。信号復元部2006は、結合部2005から入力された圧縮データをランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて信号の復元を行ない、復元した信号を出力する。
0009
図8と図10と比較すると、図8の従来のデジタル圧縮センシングでは、入力信号をAD変換してから100個の信号を40個のデータに圧縮をしている反面、図10の従来のアナログ圧縮センシングでは、入力信号をアナログ領域で、圧縮してからAD変換を行うが、結果的に、100個に相当する信号を40個の圧縮データに圧縮することは、従来のデジタル圧縮センシングと同様である。
0010
図12と図13に、図11に示した従来のアナログ圧縮センシングの例の測定行列のデジタル表現を表す。まず、図12に分岐i(iは自然数)における測定行列のデジタル表現を表す。ここで、分岐iの正負の符号のパターンを、それぞれ、bi,0,bi,1,…,bi,99と表す。各bi,jは、正負パターン生成部が生成したパターンが正であれば、+1であり、正負パターン生成部が生成したパターンが負であれば−1である。各分岐において、入力する信号をアナログ領域で、変調部により正負変換パターンを用いて、正と負にアナログ的に変換するが、これをデジタル的に表現すると、bi,0,bi,1,…,bi,99を対角成分とする100×100の行列に表すことができる。
0011
次に、各分岐における低域通過フィルタ部2003とAD変換部2004の応答特性を図12のように10×100の行列として表すことができる。この行列と前述の100×100の正負パターンの行列と掛け算をすることで、分岐iの入力信号と出力信号の関係を表す分岐iの測定行列のデジタル表現が得られる。各分岐の出力信号は、結合部2005で結合されることを考慮し、図13のように各分岐の測定行列を合わせて行列表現をすると、最終的な測定行列のデジタル表現が得られる。図13では、各分岐の測定行列のサイズが10×100であり、4個分岐の出力を結合するため、最終的な測定行列のサイズは、40×100となる。
0012
図14は、従来のアナログ圧縮センシングの変調器の速度と正負パターンの周期と、入力信号のナイキストレートと、低域通過フィルタ部の通過帯域と、AD変換器の速度の関係を示す図である。図14において、入力信号のナイキストレートと変調部の正負符号変換速度は、それぞれ、fNyquistとTmodulationと表され、fNyquist=1/Tmodulationの関係を持つ。なお、低域通過フィルタ部の通過帯域と、AD変換器の速度と、変調部の正負符号パターンの周期は、それぞれ、fLPFと、fADCと、Tperiodと表され、fLPF=fADC=1/Tperiodの関係を持つ。
0013
各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(ここで、分岐の数はn(nは自然数)とする)と、全帯域の中で実際信号のある領域(foccupied)の関係は、fADC×n≧λ×foccupiedを満足する必要がある。ここで、λは約3から4までの値である事が知られている(例えば、非特許文献1、2)。ここでは、簡単のためλを4とする。例えば、100MHzの全体帯域の中で、10MHzのみ信号がある場合、各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(n)の掛け算(fADC×n)は、40Mspsである必要がある。
0014
次に、各分岐のAD変換器の速度(fADC)と分岐の数(n)の関係を説明する。fADCとnの掛け算は、foccupiedの4倍であるため、foccupiedとfADCが与えられた場合、分岐の数(n)は、(4×foccupied/fADC)となる。例えば、上記の例の場合、100MHzの全体帯域の中で、10MHzのみ信号があるので、圧縮後のデータレートは、40Mspsが必要である。ここで、例えば、各分岐のAD変換器の速度が5Mspsであれば、8個の分岐が必要とある(8×5Msps=40Msps)。もしくは、各分岐のAD変換器の速度が10Mspsであれば、4個の分岐が必要となる(4×10Msps=40Msps)。つまり、分岐毎のAD変換器のサンプリング速度を上げることで、分岐の数を減らすことができる。
先行技術
0015
E. Candes et al., “An Introduction to Compressive Sampling,"IEEE Signal Processing Magazine, pp. 21-30, March, 2008.
E. Candes et al., “Near-Optimal Signal Recovery from Random Projections: Universal Encoding Strategies?" IEEE Transaction on Information Theory, pp. 5406-5425, December, 2006.
M. Mishali et al., “From Theory to Practice: Sub-Nyquist Sampling of Sparse Wideband Analog Signals," IEEE Journal of Selected Topics on Signal Processing, pp. 375-391, April 2010.
発明が解決しようとする課題
0016
従来のアナログ圧縮センシング技術では、分岐毎のAD変換器の速度を上げることで、分岐の数を減らすことができる。ところで、図14の例に示すように、分岐毎のAD変換の速度(fADC)は、変調部の正負符号パターンの周期(Tperiod)と逆数の関係(fADC=1/Tperiod)があるため、分岐毎のAD変換部の速度を上げると、変調部の正負符号パターンの周期が短くなるという問題がある。例えば、図15にfADCを2倍にした例を示す。分岐毎のAD変換の速度(f’ADC=2×fADC)を2倍にすることで、分岐の数は半分にすることができるが、変調部の正負符号パターンの周期が半分になってしまう。正負符号パターンの周期が短くなると、ランダム測定行列のランダム性が失われるので、復元性能が劣化するという問題が生じる。
0017
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、アナログ圧縮センシングにおいて復元性能を劣化させないで分岐の数を減らすことができる信号処理システム及び信号処理方法を提供することを目的とする。
課題を解決するための手段
0018
本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムであって、入力信号を複数の同一信号に分波する分波部と、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成部と、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調部と、前記変調部の出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタ部と、前記低域通過フィルタ部の出力をAD変換するAD変換部とからなる分波された信号と同数の分岐部と、前記AD変換部それぞれの出力を結合する結合部と、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、前記結合部の出力信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元部と、前記信号復元部から出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出部と、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成部と、前記正負変換パターンの周期と、前記変調部の変調速度と、前記AD変換部のAD変換速度を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
0019
本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う中央局とリモート局で構成される信号処理システムであって、前記リモート局は、入力信号を複数の同一信号に分波する分波部と、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成部と、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調部と、前記変調部の出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタ部と、前記低域通過フィルタの出力をAD変換するAD変換部とからなる分波された信号と同数の分岐部と、前記AD変換部それぞれの出力を結合し、前記中央局に送信する結合部とを備え、前記中央局は、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタ部の応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成部と、前記リモート局から受信した信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元部と、前記信号復元部から出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出部と、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成部と、前記正負変換パターンの周期と、前記変調部の変調速度と、前記AD変換部のAD変換速度を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
0020
本発明は、前記正負パターン生成部は、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負変換パターンの数を変更でき、前記変調部は、前記変調速度を前記入力信号のナイキストレートの定数倍の速度に変更でき、前記低域通過フィルタ部は、通過帯域を変更でき、前記AD変換部は、前記AD変換速度を変更でき、前記制御部は、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負のパターンの数と、前記変調速度と、前記通過帯域と、前記AD変換速度を決定することを特徴とする。
0021
本発明は、前記制御部は、前記正負変換パターンの周期(Tperiod)と一周期内に含まれている正負のパターンの数(Tperiod/Tmodulation)、前記変調速度(1/Tmodulation)と、前記通過帯域(fLPF)と、前記AD変換速度(fADC)とを決定する際に、分波の数をN(Nは自然数)とし、前記変調速度が前記入力信号のナイキストレートのK(Kは自然数)倍に設定し、検出された信号帯域幅(foccupied)より復元性能の要求条件を満たす情報量を決定する係数をλとし、ランダム性が維持できるランダム符号長Lとする場合、(N/L)×(fNyquist/foccupied)=N×(fADC/foccupied)≧λと、1/Tmodulation = K×fNyquist と、fADC=fLPF=1/Tperiodと、Tperiod/Tmodulation≧Lとが、それぞれ成り立つようにすることを特徴とする。
0022
本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う信号処理システムが行う信号処理方法であって、入力信号を複数の同一信号に分波する分波ステップと、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成ステップと、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調ステップと、前記変調ステップの出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタリングステップと、前記低域通過フィルタリングステップの出力をAD変換するAD変換ステップとからなる分岐処理ステップを前記分波の数だけ並行して行うステップと、前記AD変換ステップそれぞれの出力を結合する結合ステップと、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタリングステップの応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、前記結合ステップの出力信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元ステップと、前記信号復元ステップにより出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出ステップと、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成ステップと、前記正負変換パターンの周期と、前記変調ステップの変調速度と、前記AD変換ステップのAD変換速度を制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
0023
本発明は、周波数領域に、もしくは時間領域に疎である性質を持つ信号の圧縮と復元を行う中央局とリモート局で構成される信号処理システムが行う信号処理方法であって、前記リモート局が、入力信号を複数の同一信号に分波する分波ステップと、前記リモート局が、ランダムな正負変換パターンを生成する正負パターン生成ステップと、分波された信号を前記正負変換パターンで変調する変調ステップと、前記変調ステップの出力の低い周波数成分を通過させる低域通過フィルタリングステップと、前記低域通過フィルタリングステップの出力をAD変換するAD変換ステップとからなる分岐処理ステップを前記分波の数だけ並行して行うステップと、前記リモート局が、前記AD変換ステップそれぞれの出力を結合し、前記中央局に送信する結合ステップと、前記中央局が、前記正負変換パターンと前記低域通過フィルタリングステップの応答特性からなるランダム測定行列とIFFT行列からランダム復元行列を生成するランダム復元行列生成ステップと、前記中央局が、前記リモート局から受信した信号と前記ランダム復元行列を用いて信号の復元を行う信号復元ステップと、前記中央局が、前記信号復元ステップにより出力された復元信号の全帯域内に含まれる信号成分を検出し、全帯域幅と信号帯域幅との割合を計算する信号検出ステップと、前記全帯域幅と信号帯域幅との割合に基づいて、前記正負パターン生成ステップと、前記正負変換パターンの周期と、前記変調ステップの変調速度と、前記AD変換ステップのAD変換速度を制御する制御ステップとを有することを特徴とする。
0024
本発明は、前記正負パターン生成ステップは、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負変換パターンの数を変更でき、前記変調ステップは、前記変調速度を前記入力信号のナイキストレートの定数倍の速度に変更でき、前記低域通過フィルタリングステップは、通過帯域を変更でき、前記AD変換ステップは、前記AD変換速度を変更でき、前記制御ステップは、前記正負変換パターンの周期と一周期内に含まれている正負のパターンの数と、前記変調速度と、前記通過帯域と、前記AD変換速度を決定することを特徴とする。
0025
本発明は、前記制御ステップは、前記正負変換パターンの周期(Tperiod)と一周期内に含まれている正負のパターンの数(Tperiod/Tmodulation)、前記変調速度(1/Tmodulation)と、前記通過帯域(fLPF)と、前記AD変換速度(fADC)とを決定する際に、分波の数をN(Nは自然数)とし、前記変調速度が前記入力信号のナイキストレートのK(Kは自然数)倍に設定し、検出された信号帯域幅(foccupied)より復元性能の要求条件を満たす情報量を決定する係数をλとし、ランダム性が維持できるランダム符号長Lとする場合、(N/L)×(fNyquist/foccupied)=N×(fADC/foccupied)≧λと、1/Tmodulation = K×fNyquist と、fADC=fLPF=1/Tperiodと、Tperiod/Tmodulation≧Lとが、それぞれ成り立つようにすることを特徴とする。
発明の効果
0026
本発明によれば、AD変換速度を上げるとともに変調部の変調速度を入力信号のナイキストより定数倍(例えば、2倍、3倍など)速い速度で変調をすることで、アナログ圧縮センシングにおいて復元性能を劣化させないで分岐の数を減らすことができるという効果が得られる。
図面の簡単な説明
0027
本発明の第1の実施形態の構成を示すブロック図である。
図1に示す信号処理システムの動作を示すフローチャートである。
本発明の第2の実施形態の構成を示すブロック図である。
図3に示すリモート局1と中央局10の構成を示すブロック図である。
図4に示すリモート局の動作を示すフローチャートである。
図4に示す中央局の動作を示すフローチャートである。
本発明の各パラメータの関係を示す図である。
従来のデジタル圧縮センシングの概念を示す図である。
従来のデジタル圧縮センシングを行うシステム構成を示す図である。
従来のアナログ圧縮センシングの概念を示す図である。
従来のアナログ圧縮センシングを行うシステム構成を示す図である。
従来のアナログ圧縮センシングの例の分岐iにおける測定行列のデジタル表現を示す図である。
従来のアナログ圧縮センシングの例の全体の測定行列のデジタル表現を示す図である。
従来のアナログ圧縮センシングの各パラメータの関係を示す図である。
図14からAD変換速度を2倍にした場合の従来のアナログ圧縮センシングの各パラメータの関係を示す図である。
実施例
0028
<第1の実施形態>
以下、図面を参照して、本発明の第1の実施形態による信号処理システムを説明する。図1は同実施形態の構成を示すブロック図である。この図において、図11に示す従来の信号処理システムと同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。この図に示す信号処理システムが従来の信号処理システムと異なる点は、信号検出部2011及び制御部2012が設けられている点である。
0029
図1において、分波部2001は受信した信号を入力とし、入力信号と同一信号の性質を持つN(Nは自然数)個の信号に分波し、このN個の信号を、それぞれ、第1〜第N分岐部201〜203の変調部2002に出力する。
0030
第1〜第N分岐部201〜203の正負パターン生成部2008は、制御部2012から入力する正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードを用いて、この正負パターンの周期分の数を持つランダム符号を生成する。ここで、ランダム符号は、+1かまたは−1の値を持つ符号である。生成した正負パターンは、第1〜第N分岐部201〜203の変調部2002に出力する。
0031
変調部2002は、制御部2012から入力される変調速度設定パラメータを用いて、変調器の変調速度を設定する。変調速度は、分波部2001の入力信号のナイキストレートの定数倍である特徴を持つ(例えば、ナイキストレートの1倍、2倍、3倍等)。変調部2002は、正負パターン生成部2008が生成した正負パターンを用いて、分波部2001が出力した信号を変調し、変調後の信号を第1〜第N分岐部201〜203の低域通過フィルタ部2003に出力する。
0032
第1〜第N分岐部201〜203の変調部2002において、変調とは、各変調部2002への入力信号を、正負パターンの符号が+1であれば、そのまま出力し、正負パターンの符号が−1であれば、位相を180度変換して出力する動作を示す。
0033
各低域通過フィルタ部2003は、通過帯域の設定が可変であり、制御部2012から入力される通過帯域設定パラメータを用いて、通過帯域を設定する。各低域通過フィルタ部2003は、各変調部2002の出力信号を入力とし、低域通過フィルタリングを行い、その出力を各AD変換部2004に出力する。
0034
各AD変換部2004は、制御部2012から入力されるAD変換速度設定パラメータを用いて、AD変換速度を設定する。AD変換部2004は、各低域通過フィルタ部2003が出力信号を入力とし、この入力信号のアナログデジタル変換を行い、その結果を結合部2005に出力する。
0035
結合部2005は、制御部2012から入力される分岐毎の圧縮データ数を用いて、各AD変換部2004の出力信号を、分岐毎の圧縮データ数毎に結合し、この結合したデータを信号復元部2006に出力する。例えば、分岐の数が4個(N=4)、分岐毎の圧縮データ数が10個である場合、結合部2005は、各AD変換部2004の出力を10個ずつに分けて、結合し、1回の結合あたりに、40個の圧縮データを信号復元部2006に出力する。
0036
ランダム復元行列生成部2010は、制御部2012から入力される正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードと、各低域通過フィルタ部2003の応答特性と、各AD変換部2004の応答特性を用いて、図12と図13の例に示すように、ランダム測定行列を生成する。ここで、正負パターンの周期とランダムナンバー生成シードは、各正負パターン生成部2008が用いた値と同じ値を用いる。ランダム復元行列生成部2010は、生成したランダム測定行列とIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。生成したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて、結合部2005の出力信号の復元を行う。
0037
信号検出部2011は、信号復元部2006から入力される復元波形から信号を検出し、全帯域幅と検出した信号帯域幅の合計の割合を求め、制御部2012に出力する。信号の検出方法としては、例えば、復元波形をフーリエ変換し、パワースペクトル密度を求め、各周波数成分を閾値Thと比較することで、閾値Thを超える周波数成分から全帯域に含まれる信号の帯域を検出する。また、ある帯域毎に積分してから閾値Thと比較してもよい。さらには、マッチドフィルタや周期定常性解析などにより信号を検出・識別し、データベースを参照して信号の帯域幅を取得してもよい。
0038
制御部2012は、信号検出部2011から入力される全帯域幅と検出した信号帯域幅の割合に基づいて各パラメータを決定する。制御部2012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードを決定し、それを各分岐の正負パターン生成部2008に出力する。ここで、正負パターンの周期は、分岐毎に同じであるが、ランダムナンバー生成シードは分岐毎に異なるため、各正負パターン生成部2008は、同じ周期の異なる正負のパターンを生成することになる。また、制御部2012は、変調速度設定パラメータを決定し、それを各変調部2002に出力する。また、制御部2012は、通過帯域設定パラメータを決定し、それを各低域通過フィルタ部2003に出力する。また、制御部2012は、AD変換速度設定パラメータを決定し、それを各AD変換部2004に出力する。また、制御部2012は、分岐毎の圧縮データ数を決定し、それを結合部2005に出力する。また、制御部2012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードをランダム復元行列生成部2010に出力する。
0039
ここで、変調速度設定パラメータ(1/Tmodulation)と通過帯域設定パラメータ(fLPF)とAD変換速度設定パラメータ(fADC)と正負パターンの周期(Tperiod)は、前述のように入力信号のナイキストレート(fNyquist)、入力信号の対象帯域の中で実際信号のある領域の帯域(foccupied)、分岐の数(N)を考慮して決める。例えば、変調速度が入力信号のナイキストレートのK倍の場合、1/Tmodulation=K×fNyquist と、N×fADC=λ×foccupiedと、fADC=fLPF=1/Tperiodが、それぞれ成り立つように、各パラメータを決定する。ここで、正負パターンの周期内の正負符号の数は、Tperiod/Tmodulation個になり、ランダム性を維持できるランダム符号長をLとすると、Tperiod/Tmodulation≧Lの関係式を満たす必要がある。λは、入力信号のナイキストレートに対して入力信号の対象帯域の中で実際に信号のある領域の帯域分を復元するために必要な情報量を決める係数である。
0040
次に、図2を参照して、図1に示す信号処理システムの動作を説明する。図2は、図1に示す信号処理システムの動作を示すフローチャートである。まず、分波部2001は受信した信号を入力し、入力信号と同一信号の性質を持つN個の信号に分波し、このN個の信号を、それぞれ、第1〜第N分岐部201〜203の変調部2002に出力する(ステップS11)。
0041
次に、制御部2012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードを決定し、それを各正負パターン生成部2008に出力する。ここで、正負パターンの周期は、分岐毎に同じであるが、ランダムナンバー生成シードは分岐毎に異なるため、第1〜第N分岐部201〜203の正負パターン生成部2008は、同じ周期の異なる正負のパターンを生成することになる。また、制御部2012は、変調速度設定パラメータを決定し、それを各変調部2002に出力する。また、通過帯域設定パラメータを決定し、それを各分岐の低域通過フィルタ部2003に出力する。また、AD変換速度設定パラメータを決定し、それを各分岐のAD変換部2004に出力する。また、分岐毎の圧縮データ数を決定し、それを結合部2005に出力する。また、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードをランダム復元行列生成部2010に出力する(ステップS12)。
0042
次に、各正負パターン生成部2008は、制御部2012から入力する正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードを用いて、この正負パターンの周期分の数を持つランダム符号を生成する。ここで、ランダム符号は、+1かまたは−1の値を持つ符号である。生成した正負パターンは、各変調部2002に出力する(ステップS13)。
0043
次に、各変調部2002は、制御部2012から入力した変調速度設定パラメータを用いて、変調器の変調速度を設定する。変調速度は、分波部2001の入力信号のナイキストレートの定数倍である特徴を持つ(例えば、ナイキストレートの1倍、2倍、3倍等)。変調部2002は、各正負パターン生成部2008が生成した正負パターンを用いて、分波部2001が出力した信号を変調し、変調後の信号を各低域通過フィルタ部2003に出力する(ステップS14)。
0044
次に、各低域通過フィルタ部2003は、通過帯域の設定が可変であり、制御部2012から入力した通過帯域設定パラメータを用いて、通過帯域を設定する。低域通過フィルタ部2003は、各変調部2002の出力信号を入力とし、低域フィルタリングを行い、その出力を各AD変換部2004に出力する(ステップS15)。
0045
次に、各AD変換部2004は、制御部2012から入力したAD変換速度設定パラメータを用いて、AD変換速度を設定する。AD変換部2004は、各低域通過フィルタ部2003の出力信号を入力し、入力信号のアナログデジタル変換を行い、その結果を結合部2005に出力する(ステップS16)。
0046
次に、結合部2005は、制御部2012から入力した分岐毎の圧縮データ数を用いて、各AD変換部2004の出力信号を、分岐毎の圧縮データ数毎に結合し、結合したデータを信号復元部2006に出力する。例えば、分岐の数が4個、分岐毎の圧縮データ数が10個である場合、結合部2005は、各AD変換部の出力を10個ずつに分けて、結合を行い、1回の結合あたりに、40個の圧縮データを信号復元部2006に出力する(ステップS17)。
0047
次に、ランダム復元行列生成部2010は、制御部2012から入力した正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードと、各低域通過フィルタ部2003の応答特性と、各AD変換部2004の応答特性を用いて、図12と図13の例に示すように、ランダム測定行列を生成する。ここで、正負パターンの周期とランダムナンバー生成シードは、各正負パターン生成部2008が用いた値と同じ値を用いる。ランダム復元行列生成部2010は、生成したランダム測定行列とIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する(ステップS18)。
0048
次に、信号復元部2006は、生成したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて、結合部2005の出力信号の復元を行う(ステップS19)。
0049
次に、信号検出部2011は、信号復元部2006から入力した復元波形から信号を検出し、全帯域幅と検出した信号帯域幅の合計の割合を求め、制御部2012に出力する(ステップS20)。信号の検出方法としては、例えば、復元波形をフーリエ変換し、パワースペクトル密度を求め、各周波数成分を閾値Thと比較することで、閾値Thを超える周波数成分から全帯域に含まれる信号の帯域を検出する。また、ある帯域毎に積分してから閾値Thと比較してもよい。さらには、マッチドフィルタや周期定常性解析などにより信号を検出・識別し、データベースを参照して信号の帯域幅を取得してもよい。
0050
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態による信号処理システムを説明する。図3は同実施形態の構成を示すブロック図である。図3に示す通信システムは、1つ以上のリモート局1〜3と中央局10から構成され、リモート局1〜3と中央局10は伝送路で接続されている。第2の実施形態による信号処理システムは、図3に示す通信システムに本発明の信号処理システムを適用したものである。
0051
図4は、図3に示すリモート局1と中央局10の構成を示すブロック図である。制御部3012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードを決定し、それを伝送路を介して各分岐の正負パターン生成部3008に送る。ここで、正負パターンの周期は、分岐毎に同じであるが、ランダムナンバー生成シードは分岐毎に異なるため、各正負パターン生成部3008は、同じ周期の異なる正負のパターンを生成することになる。
0052
また、制御部3012は、変調速度設定パラメータを決定し、それを各変調部3002に出力する。また、制御部3012は、通過帯域設定パラメータを決定し、それを各低域通過フィルタ部3003に出力する。また、制御部3012は、AD変換速度設定パラメータを決定し、それを各AD変換部3004に出力する。また、制御部3012は、分岐毎の圧縮データ数を決定し、それを結合部3005に出力する。また、制御部3012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードをランダム復元行列生成部3010に出力する。
0053
分波部3001は受信した信号を入力し、この入力信号と同一信号の性質を持つN個の信号に分波し、このN個の信号を、それぞれ、第1〜第N分岐部301〜303の変調部3002に出力する。
0054
各正負パターン生成部3008は、制御部3012から伝送路を介して入力する正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードを用いて、正負パターンの周期分の数を持つランダム符号を生成する。ここで、ランダム符号は、+1かまたは−1の値を持つ符号である。正負パターン生成部3008は、生成した正負パターンを各変調部3002に出力する。
0055
各変調部3002は、制御部3012から伝送路を介して入力される変調速度設定パラメータを用いて、変調器の変調速度を設定する。変調速度は、分波部3001の入力信号のナイキストレートの定数倍である特徴を持つ(例えば、ナイキストレートの1倍、2倍、3倍等)。変調部3002は、各正負パターン生成部3008が生成した正負パターンを用いて、分波部3001が出力した信号を変調し、変調後の信号を各低域通過フィルタ部3003に出力する。
0056
各変調部3002において、変調とは、各変調部3002への入力信号を、正負パターンの符号が+1であれば、そのまま出力し、正負パターンの符号が−1であれば、位相を180度変換して出力する動作である。
0057
各低域通過フィルタ部3003は、通過帯域の設定が可変であり、帯域制御部3012から伝送路を介して入力される通過帯域設定パラメータを用いて、通過帯域を設定する。低域通過フィルタ部3003は、各変調部3002の出力信号を入力とし、低域通過フィルタリングを行い、その出力を各AD変換部3004に出力する。
0058
各AD変換部3004は、制御部3012から伝送路を介して入力されるAD変換速度設定パラメータを用いて、AD変換速度を設定する。AD変換部3004は、各低域通過フィルタ部3003の出力信号を入力とし、入力信号のアナログデジタル変換を行い、その結果を結合部3005に出力する。
0059
結合部3005は、制御部3012から伝送路を介して入力される分岐毎の圧縮データ数を用いて、各AD変換部3004の出力信号を、分岐毎の圧縮データ数毎に結合し、結合したデータを伝送路を介して信号復元部3006に出力する。
0060
ランダム復元行列生成部3010は、制御部3012から入力した正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードと、各低域通過フィルタ部3003の応答特性と、各AD変換部3004の応答特性を用いて、図12と図13の例にように、ランダム測定行列を生成する。ここで、正負パターンの周期とランダムナンバー生成シードは、各正負パターン生成部3008が用いた値と同じ値を用いる。ランダム復元行列生成部3010は、生成したランダム測定行列とIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する。生成したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて、結合部3005から伝送路を介して入力される信号の復元を行う。
0061
信号検出部3011は、信号復元部3006から入力した復元波形から信号を検出し、全帯域幅と検出した信号帯域幅の合計の割合を求め、制御部3012に出力する。信号の検出方法としては、例えば、復元波形をフーリエ変換し、パワースペクトル密度を求め、各周波数成分を閾値Thと比較することで、閾値Thを超える周波数成分から全帯域に含まれる信号の帯域を検出する。また、ある帯域毎に積分してから閾値Thと比較してもよい。さらには、マッチドフィルタや周期定常性解析などにより信号を検出・識別し、データベースを参照して信号の帯域幅を取得してもよい。
0062
次に、図5、図6を参照して、図4に示す信号処理システムの動作を説明する。図5、図6は、図4に示す信号処理システムの動作を示すフローチャートであり、図5は、リモート局1の動作を、図6は、中央局10の動作を示す。始めに、図5を参照して、リモート局1の動作を説明する。
0063
まず、変調部3002は、変調速度設定パラメータを、正負パターン生成部3008は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードを、低域通過フィルタ部3003は、通過帯域設定パラメータを、AD変換部3004は、AD変換速度設定パラメータを、結合部3005は、分岐毎の圧縮データ数を、それぞれ伝送路を介して中央局の制御部3012から受信する(ステップS211)。
0064
次に、分波部3001は受信した信号を入力し、入力信号と同一信号の性質を持つN個の信号に分波し、このN個の信号を、それぞれ、第1〜第N分岐部301〜303変調部3002に出力する(ステップS212)。
0065
次に、各正負パターン生成部3008は、制御部3012から伝送路を介して入力する正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードを用いて、正負パターンの周期分の数を持つランダム符号を生成する。ここで、ランダム符号は、+1かまたは−1の値を持つ符号である。各正負パターン生成部3008は、生成した正負パターンを、各変調部3002に出力する(ステップS213)。
0066
次に、各変調部3002は、制御部3012から伝送路を介して入力される変調速度設定パラメータを用いて、変調器の変調速度を設定する。変調速度は、分波部3001の入力信号のナイキストレートの定数倍である特徴を持つ(例えば、ナイキストレートの1倍、2倍、3倍等)。変調部3002は、各正負パターン生成部3008が生成した正負パターンを用いて、分波部3001が出力した信号を変調し、変調後の信号を各低域通過フィルタ部3003に出力する(ステップS214)。
0067
次に、各低域通過フィルタ部3003は、通過帯域の設定が可変であり、帯域制御部3012から伝送路を介して入力される通過帯域設定パラメータを用いて、通過帯域を設定する。低域通過フィルタ部3003は、各変調部3002の出力信号を入力し、低域通過フィルタリングを行い、その出力を各AD変換部3004に出力する(ステップS215)。
0068
次に、各AD変換部3004は、制御部3012から伝送路を介して入力されるAD変換速度設定パラメータを用いて、AD変換速度を設定する。AD変換部3004は、各低域通過フィルタ部3003が出力信号を入力し、入力信号のアナログデジタル変換を行い、その結果を結合部3005に出力する(ステップS216)。
0069
次に、結合部3005は、制御部3012から伝送路を介して入力される分岐毎の圧縮データ数を用いて、各AD変換部3004の出力信号を、分岐毎の圧縮データ数毎に結合し(ステップS217)、伝送路を介して、結合したデータを復元部3006に送信する(ステップS218)。
0070
次に、図6を参照し、中央局10の動作を説明する。まず、制御部3012は、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードを決定し、それを伝送路を介して、正負パターン生成部3008に送る。また、制御部3012は、変調速度設定パラメータを決定し、それを伝送路を介して、各変調部3002に、通過帯域設定パラメータを決定し、それを伝送路を介して、各低域通過フィルタ部3003に、AD変換速度設定パラメータを決定し、それを伝送路を介して、各AD変換部3004に、分岐毎の圧縮データ数を決定し、それを伝送路を介して、結合部3005に、正負パターンの周期と分岐毎のランダムナンバー生成シードをランダム復元行列生成部3010に、それぞれ送る(ステップS221、ステップS222)。
0071
次に、信号復元部3006は、リモート局1の結合部3005が伝送路を介して送信するデータを受信する(ステップ223)。
0072
次に、ランダム復元行列生成部3010は、制御部3012から入力した正負パターンの周期と、ランダムナンバー生成シードと、各低域通過フィルタ部3003の応答特性と、各AD変換部3004の応答特性を用いて、図12と図13の例にように、ランダム測定行列を生成する。ここで、正負パターンの周期とランダムナンバー生成シードは、各正負パターン生成部3008が用いた値と同じ値を用いる。ランダム復元行列生成部3010は、生成したランダム測定行列とIFFT行列を掛け算してランダム復元行列を生成する(ステップS224)。
0073
次に、信号復元部3006は、生成したランダム復元行列とL1−minimization復元アルゴリズム等の復元アルゴリズムを用いて、結合部3005の出力信号の復元を行う(ステップS225)。
0074
次に、信号検出部3011は、信号復元部3006から入力した復元波形から信号を検出し、全帯域幅と検出した信号帯域幅の合計の割合を求め、制御部3012に出力する(ステップS226)。信号の検出方法としては、例えば、復元波形をフーリエ変換し、パワースペクトル密度を求め、各周波数成分を閾値Thと比較することで、閾値Thを超える周波数成分から全帯域に含まれる信号の帯域を検出する。また、ある帯域毎に積分してから閾値Thと比較してもよい。さらには、マッチドフィルタや周期定常性解析などにより信号を検出・識別し、データベースを参照して信号の帯域幅を取得してもよい。
0076
以上説明したように、アナログ圧縮センシング技術において、復元性能を劣化させずに分岐の数を減らすため、AD変換速度を上げるとともに変調部の変調速度を入力信号のナイキストレートの定数倍速くすることで、変調部の一正負符号パターンの周期毎の、正負の符号の数を短縮しない信号処理システムを提供することができる。図7は、図14と図15より変調部の変調速度を2倍にした場合の例を示す図である。変調部の変調速度とともに、正負パターン生成部における正負パターン生成の速度も2倍になる。この例では、図14に比べてAD変換器の速度を2倍にして分岐の数を減らすことで、正負パターンの周期が半分になるが、正負パターン生成部における正負パターン生成の速度が2倍であるため、一周期内の正負符号の数は、図14の例と同一になる。すなわち、ランダム測定行列のランダム性が失われないため、復元性能の劣化は生じなくなる。このように、分岐の数を減らし回路の規模を小さくした場合でも正負パターンの周期内の正負符号の数が短縮せず、復元性能を劣化させずに信号処理を行うことが可能となる。
0077
前述した図1、図4に示す各処理部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、PLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されるものであってもよい。
0078
以上、図面を参照して本発明の実施の形態を説明してきたが、上記実施の形態は本発明の例示に過ぎず、本発明が上記実施の形態に限定されるものではないことは明らかである。したがって、本発明の技術思想及び範囲を逸脱しない範囲で構成要素の追加、省略、置換、その他の変更を行ってもよい。
0079
信号をアナログ領域で圧縮してからAD変換を行うアナログ圧縮センシングにおいて、ランダムパターンの長さを短縮せずに、回路規模を削減することができるので、復元性能の劣化問題を解決するとともに、回路規模を小さくすることが不可欠な信号処理の用途に適用できる。
0080
2001、3001・・・分波部、2002、3002・・・変調部、2003、3003・・・低域通過フィルタ部、2004、3004・・・AD変換部、2005、3005・・・結合部、2006、3006・・・信号復元部、2008、3008・・・正負パターン生成部、2010、3010・・・ランダム復元行列生成部、2011、3011・・・信号検出部、2012、3012・・・制御部、201、301・・・第1分岐部、202、302・・・第2分岐部、203、303・・・第N分岐部、1、2、3・・・リモート局、10・・・中央局