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技術 防水通音膜の製造方法、防水通音膜及び電子機器

出願人 日東電工株式会社
発明者 森将明橘俊光
出願日 2014年2月26日 (6年8ヶ月経過) 出願番号 2014-035032
公開日 2015年9月7日 (5年2ヶ月経過) 公開番号 2015-160856
状態 特許登録済
技術分野 電気ブザー 多孔性物品の製造および廃物の回収・処理 可聴帯域変換器の細部 I (筐付等)
主要キーワード ヒートプレス装置 音響評価 スピーカーケーブル 通音性 通音孔 ポリエチレン系発泡体 評価方式 計量バー
関連する未来課題
重要な関連分野

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図面 (15)

課題

防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜を提供する。

解決手段

防水通音膜10は、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)膜20を備えている。PTFE膜20は、PTFEシート延伸して得られた複数のフィブリルと複数のフィブリルの間の空隙とを含む多孔構造を有するPTFE多孔質膜の主面の一部のみをPTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、又はPTFE多孔質膜の主面の一部をこの一部を除く主面の残部よりも強くPTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより得られる。PTFE膜20は、多孔構造を有する低密度部21と、低密度部21よりも空隙率が小さい高密度部22と、を有する。

概要

背景

携帯電話ノートパソコンスマートフォン携帯用オーディオ携帯用ゲーム機器等の電子機器は、音声機能を備えている。音声機能を備えた電子機器の筐体の内部には、スピーカーブザー等の発音部及び/又はマイクロフォン等の受音部等が配置されている。典型的な筐体には、音を発音部から及び/又は受音部へと導く開口が設けられている。

電子機器の筐体の内部に水滴等の異物進入することを防止する目的で、防水通音膜を用いて筐体の開口を塞ぐことが行われている。防水通音膜としては、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)多孔質膜が知られている(特許文献1〜3参照)。PTFE多孔質膜は、PTFEファインパウダー液状潤滑剤とを含む成形体延伸して多孔化することにより製造されている。

概要

防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜を提供する。防水通音膜10は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜20を備えている。PTFE膜20は、PTFEシートを延伸して得られた複数のフィブリルと複数のフィブリルの間の空隙とを含む多孔構造を有するPTFE多孔質膜の主面の一部のみをPTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、又はPTFE多孔質膜の主面の一部をこの一部を除く主面の残部よりも強くPTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより得られる。PTFE膜20は、多孔構造を有する低密度部21と、低密度部21よりも空隙率が小さい高密度部22と、を有する。

目的

本発明は、防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜の製造方法を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

ポリテトラフルオロエチレン膜を備えた防水通音膜の製造方法であって、ポリテトラフルオロエチレンシート延伸し、複数のフィブリルと前記複数のフィブリルの間の空隙とを含む多孔構造を有するポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を得る工程と、前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の主面の一部のみを前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、又は前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の主面の一部を前記一部を除く前記主面の残部よりも強く前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、前記多孔構造を有する低密度部と、前記低密度部よりも空隙率が小さい高密度部と、を有するポリテトラフルオロエチレン膜を形成する工程と、を具備する防水通音膜の製造方法。

請求項2

前記高密度部内に複数の前記低密度部が互いに離間して形成されるように前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を加圧する、請求項1に記載の防水通音膜の製造方法。

請求項3

平坦な基準面と前記基準面に形成された複数の後退部とを有する押圧面を備えた押圧部材の前記押圧面を前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜の前記主面に押し付けることにより、前記ポリテトラフルオロエチレン多孔質膜を加圧する、請求項1に記載の防水通音膜の製造方法。

請求項4

前記ポリテトラフルオロエチレン膜の主面において、前記高密度部の面積と前記低密度部の面積との比率が、40:60〜99:1である、請求項1から3のいずれか1項に記載の防水通音膜の製造方法。

請求項5

ポリテトラフルオロエチレン膜を備えた防水通音膜であって、前記ポリテトラフルオロエチレン膜が、複数のフィブリルと前記複数のフィブリルの間の空隙とを有し、前記ポリテトラフルオロエチレン膜の主面に露出する低密度部と、前記低密度部よりも空隙率が小さく、前記主面に露出する高密度部と、を有する、防水通音膜。

請求項6

前記ポリテトラフルオロエチレン膜は、前記主面と前記主面と反対側の主面との間において通気性を有する、請求項5に記載の防水通音膜。

請求項7

前記ポリテトラフルオロエチレン膜は、前記低密度部において、前記高密度部よりも厚い、請求項5または6に記載の防水通音膜。

請求項8

前記高密度部内に複数の前記低密度部が互いに離間して形成されている、請求項5から7のいずれか1項に記載の防水通音膜。

請求項9

前記主面において、前記高密度部の面積と前記低密度部の面積との比率が、40:60〜99:1である、請求項5から8のいずれか1項に記載の防水通音膜。

請求項10

発音部及び/又は受音部と、前記発音部及び/又は前記受音部を収容し、音を前記発音部から及び/又は前記受音部へと導く開口が設けられた筐体と、前記開口を塞ぐように前記筐体に接合された、請求項5から9のいずれか1項に記載の防水通音膜と、を備える電子機器

技術分野

0001

本発明は、防水通音膜の製造方法、防水通音膜及び電子機器に関する。

背景技術

0002

携帯電話ノートパソコンスマートフォン携帯用オーディオ携帯用ゲーム機器等の電子機器は、音声機能を備えている。音声機能を備えた電子機器の筐体の内部には、スピーカーブザー等の発音部及び/又はマイクロフォン等の受音部等が配置されている。典型的な筐体には、音を発音部から及び/又は受音部へと導く開口が設けられている。

0003

電子機器の筐体の内部に水滴等の異物進入することを防止する目的で、防水通音膜を用いて筐体の開口を塞ぐことが行われている。防水通音膜としては、ポリテトラフルオロエチレンPTFE)多孔質膜が知られている(特許文献1〜3参照)。PTFE多孔質膜は、PTFEファインパウダー液状潤滑剤とを含む成形体延伸して多孔化することにより製造されている。

先行技術

0004

特開2003−53872号公報
特開2004−83811号公報
特表2003−503991号公報

発明が解決しようとする課題

0005

防水通音膜の防水性を向上させることに対する要求が高まってきている。防水通音膜として無孔の膜を用いれば、防水通音膜の防水性は確保される。しかし、無孔の膜は、通音性において多孔質膜に劣る。通音性を大きく損なうことなく防水性が向上するように防水通音膜を改良することは容易ではない。

0006

このような事情に鑑み、本発明は、防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜の製造方法を提供することにある。また、本発明の目的は、防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜及びこの防水通音膜を用いた電子機器を提供することにある。

課題を解決するための手段

0007

本発明は、
PTFE膜を備えた防水通音膜の製造方法であって、
PTFEシートを延伸し、複数のフィブリルと前記複数のフィブリルの間の空隙とを含む多孔構造を有するPTFE多孔質膜を得る工程と、
前記PTFE多孔質膜の主面の一部のみを前記PTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、又は前記PTFE多孔質膜の主面の一部を前記一部を除く前記主面の残部よりも強く前記PTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、前記多孔構造を有する低密度部と、前記低密度部よりも空隙率が小さい高密度部と、を有するPTFE膜を形成する工程と、
具備する防水通音膜の製造方法を提供する。

0008

本発明は、その別の側面から、
PTFE膜を備えた防水通音膜であって、
前記PTFE膜が、
複数のフィブリルと前記複数のフィブリルの間の空隙とを有し、前記PTFE膜の主面に露出する低密度部と、
前記低密度部よりも空隙率が小さく、前記主面に露出する高密度部と、を有する、防水通音膜を提供する。

0009

本発明は、さらにその別の側面から、
発音部及び/又は受音部と、
前記発音部及び/又は前記受音部を収容し、音を前記発音部から及び/又は前記受音部へと導く開口が設けられた筐体と、
前記開口を塞ぐように前記筐体に接合された、本発明の防水通音膜と、
を備える電子機器を提供する。

発明の効果

0010

本発明によれば、防水性の向上及び通音性の確保に適した防水通音膜を提供することができる。

図面の簡単な説明

0011

本発明の防水通音膜の一例を示す断面図である。
図1に示す防水通音膜の斜視図である。
図1に示す防水通音膜の変形例を示す断面図である。
図1に示す防水通音膜の製造方法の工程図である。
本発明の防水通音膜の変形例を示す断面図である。
本発明の電子機器の例である携帯電話を示す正面図である。
図6に示す携帯電話の背面図である。
音響特性の評価システムの製造方法の工程図である。
評価用サンプルの拡大断面図である。
実施例及び比較例における評価用サンプルの音響特性を示すグラフである。
実施例におけるPTFE膜の表面のSEM走査型電子顕微鏡)像である。
実施例におけるPTFE膜の裏面のSEM像である。
実施例におけるPTFE膜の表面の低密度部の周辺を拡大したSEM像である。
実施例におけるPTFE膜の表面の高密度部の周辺を拡大したSEM像である。

0012

以下、添付の図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明するが、以下は本発明の実施形態の例示に過ぎず、本発明を制限する趣旨ではない。

0013

図1及び図2を用いて、本実施形態の防水通音膜を説明する。防水通音膜10は、通音領域11と、通音領域11を囲む周縁領域12とを有している。通音領域11は、音を透過させるための領域である。周縁領域12は、筐体への取り付けしろとして使用され、例えば筐体の表面に溶着され、また例えば粘着層が接合される。

0014

本実施形態では、防水通音膜10は、通音領域11及び周縁領域12の両方において、PTFE膜20のみにより構成されている。

0015

PTFE膜20の表面20aと、表面20aの反対側の裏面20bとは、通音領域11において外気に接している。表面20a及び裏面20b、すなわち両主面が外気に接している態様は、良好な通音性の実現に適している。

0016

PTFE膜20は、PTFEシートを延伸して得られるPTFE多孔質膜の表面の一部をこの一部を除く表面の残部よりも強くPTFE多孔質膜の厚さ方向に加圧することにより、得ることができる。PTFEシートを延伸して得られるPTFE多孔質膜は、複数のフィブリルと複数のフィブリルの間の空隙とを含む特徴的な多孔構造を有する。PTFE膜20は、この多孔構造の特徴が維持された低密度部21と、低密度部21よりも空隙率が小さくなるように圧縮された高密度部22とを有する。なお、多孔構造は、複数のフィブリル及び複数のフィブリルの間の空隙とともに、複数のフィブリルを連結する結節ノード)を含むことがある。低密度部21及び高密度部22は、それぞれPTFE膜20の表面20a及び裏面20bに露出している。高密度部22は、低密度部21よりも高密度であり、低密度部21よりも小さい空隙率を有する。密度及び空隙率の大小関係は、例えば、SEMを用いてPTFE膜20の表面20a又は裏面20bを観察することにより、判定することができる。

0017

PTFE膜20では、高密度部22内に複数の低密度部21が互いに離間して形成されている。複数の低密度部21は、表面20a又は裏面20bを垂直方向から観察したときに、実質的に同一形状であって、実質的に円形である。低密度部21は、通音領域11のみに配置されている。ただし、複数の低密度部21は、その形状が互いに相違していてもよいし、その形状が矩形楕円形等であってもよい。また、低密度部21は、通音領域11及び周縁領域12に配置されていてもよい。

0018

低密度部21は、PTFE膜20の表面20aにおいて、高密度部22よりも突出した突出部21aを有している。PTFE膜20の裏面20bにおいては、低密度部21と高密度部22とが面一の裏面を形成している。したがって、PTFE膜20は、低密度部21において、高密度部22よりも厚くなっている。

0019

高密度部22は、低密度部21よりも強い押圧力でPTFE多孔質膜の表面を加圧することにより形成される。高密度部22は、PTFE多孔質膜中のフィブリルや空隙が押し潰されているため、表面20aから裏面20bに至る貫通孔を有しない。すなわち、高密度部22では、PTFE膜20はその厚さ方向に通気性を有しない。ただし、高密度部22は、両主面の間において通気性を有していてもよい。

0020

低密度部21は、PTFE多孔質膜の表面が押圧されないか、又は、高密度部22よりも弱い押圧力でPTFE多孔質膜の表面を加圧することにより形成される。低密度部21では、PTFE膜20はその厚さ方向に通気性を有する。この通気性は、表面20aから裏面20bへと貫通するフィブリル間の空隙により確保されている。こうして、少なくとも低密度部21によって、PTFE膜20は、主面(表面20a)と主面と反対側の主面(裏面20b)との間において通気性を有している。

0021

図3に示すように、PTFE膜20の裏面20bにおいては、低密度部21と高密度部22との境界判別しにくい状態になっていることがある。ただし、この形態においても、表面20aには、低密度部21と高密度部22とが明確に判別できる状態で露出している。このような構造は、表面20aから裏面20bに進むにつれて高密度部22に加えられた押圧力が低密度部21に分散することが原因となって形成される。

0022

再び図1を参照して説明すると、低密度部21の厚さAは、例えば1.1μm以上20.0μm以下であり、高密度部22の厚さBは、例えば1.0μm以上19.9μm以下である。低密度部21の突出部21aの高さCは、例えば0.1μm以上5.0μm以下である。高さCは、厚さAから厚さBを差し引いた差分に相当する。低密度部21の突出部21aの外径Dは、例えば0.1μm以上20.0μm以下である。PTFE膜20の主面(表面20a)において、高密度部22の面積と低密度部21の面積との比率は、例えば40:60〜99:1であり、好ましくは60:40〜95:5である。

0023

PTFE膜20を製造する方法の一例を以下に説明する。

0024

最初に、PTFE微粉末加工助剤(液状潤滑剤)とを含む混合物を十分に混練し、押出成形用ペーストを準備する。次に、予備成形されたペーストを公知の押出法により成形し、シート状又はロッド状の成形体を得る。次に、シート状又はロッド状の成形体を圧延し、帯状のPTFEシートを得る。次に、圧延されたPTFEシートを乾燥機内で乾燥させる。乾燥工程により加工助剤が揮発し、加工助剤の含有量が十分に減じられたPTFEシートが得られる。次に、乾燥させたPTFEシートを長手方向(MD)と、長手方向に直交する幅方向(TD)とについてそれぞれ延伸する。なお、2軸方向に延伸されたPTFEシートをPTFEの融点以上の温度で焼成してもよい。このようにして、PTFE多孔質膜が得られる。

0025

次いで、得られたPTFE多孔質膜の表面の一部をヒートプレス装置により加圧する。図4に示すように、ヒートプレス装置は、上型押圧部材)31及び下型32を有する。上型31は、平坦な基準面31aと、基準面31aに形成された複数の凹部31bとを含む押圧面を有している。下型32は、上型31の押圧面に対向するように配置された平坦面を有している。PTFE多孔質膜30を下型32の平坦面上に配置した状態で、上型31の押圧面をPTFE多孔質膜30の表面に押し付ける。PTFE多孔質膜30の表面の一部は、基準面31aによって強い押圧力で押圧され、押圧されたPTFE多孔質膜30の一部が高密度部22となる。PTFE多孔質膜30の表面の残部は、複数の凹部31bによって高密度部22よりも弱い押圧力で押圧され、低密度部21となる。低密度部21には、高密度部22よりも突出した突出部21aが形成される。

0026

なお、凹部31bが十分に深い場合には、低密度部21が加圧されず、高密度部22のみが加圧される。押圧部材31は、凹部31bに代えて貫通孔を有していてもよい。押圧部材31は、凹部又は貫通孔である後退部を有していればよい。

0027

PTFE膜20の表面に低密度部21及び高密度部22を形成するための装置は、ヒートプレス装置に限られるものではなく、サーマルヘッド押圧装置及びヒートロール装置であってもよい。

0028

PTFE膜のASTM(米国試験材料協会)F316−86に準拠して測定した平均孔径は、例えば0.4μm以上0.8μm以下である。PTFE膜の気孔率は、例えば5%以上40%以下である。防水性を確保する観点からは、平均孔径及び気孔率は小さいほうが(ゼロであるほうが)よい。しかし、通音性との両立のために、平均孔径及び気孔率の範囲は上記のように設定することが好ましい。

0029

通音性と防水性とをより高いレベルで両立させる観点から、PTFE膜の厚さは、好ましくは1μm以上8μm以下であり、より好ましくは1μm以上7.5μm以下である。

0030

防水性の指標としては、耐水圧が挙げられる。例えば、日本工業規格(JIS) L1092:2009に記載されている耐水度試験機(高水圧法)を用いて、ステンレスメッシュ開口径:2mm)をPTFE膜の加圧面の反対側に設けることによってPTFE膜の変形を抑制した状態で測定したときのPTFE膜の耐水圧は、500kPa以上であることが好ましい。

0031

通音性の指標としては、1000Hzの音に対する挿入損失が挙げられる。防水通音膜の1000Hzの音に対する挿入損失は、3dB以下が好ましく、2dB以下がより好ましい。通音性の指標としては、所定の周波数範囲の音に対する挿入損失も挙げられる。防水通音膜の100〜5000Hzの音に対する挿入損失は、3dB以下が好ましく、2dB以下がより好ましい。ただし、挿入損失が過度に小さい場合には、防水性が確保されにくい傾向がある。これを考慮して、防水通音膜の1000Hzの音に対する挿入損失は、1dB以上としてもよい。同様に、防水通音膜の100〜5000Hzの音に対する挿入損失は、1dB以上であってもよい。挿入損失の測定方法の詳細は、実施例の欄において述べる。

0032

通気性の指標としては、JIS L1096に規定されている通気性測定法のB法(ガーレー法)により与えられる値が挙げられる。PTFE膜の厚さ方向の通気度は、この値にして、例えば3〜1000秒/100mLである。

0033

PTFE膜は、染料顔料などの着色剤を用いて着色されていてもよい。好ましい着色剤はカーボンブラックである。

0034

PTFE膜は、撥液処理されていてもよい。撥液処理には、パーフルオロアルキル基を有する高分子を含む撥液剤を用いることができる。

0035

防水通音膜は、補強部材及び/又は粘着層を含んでいてもよい。図5に示す防水通音膜40は、通音領域41を囲む周縁領域42において、PTFE膜20に固定された補強部材50と、PTFE膜20から見て補強部材50とは反対側でPTFE膜20に固定された粘着層60とを備えている。補強部材50を有するため、防水通音膜40は補強され、防水通音膜40を容易に取り扱うことができる。また、補強部材50が掴みしろとして機能するため、防水通音膜40を筐体に容易に取り付けることができる。補強部材50は、マイク等の取り付けしろとしても機能する。補強部材50にマイクが直接的又は間接的に取り付けられている場合、通音領域41とマイクとの干渉が抑制される。また、粘着層60を有するため、防水通音膜40を筐体へと簡便に取り付けることができる。補強部材50及び粘着層60はリング状の形状を有している。補強部材50に代えて、粘着層を配置してもよい。この場合は、周縁領域42においてPTFE膜20を一対の粘着層が挟み込む。

0036

補強部材50は、樹脂、金属、これらの複合材料等により形成できる。PTFE膜20と補強部材50とは、熱溶着超音波溶着接着剤による接着及び両面粘着テープによる接着等により接合できる。粘着層60は、粘着剤のみにより構成されていてもよく、両面粘着テープであってもよい。

0037

図6及び図7に、防水通音膜10(防水通音膜40であってもよい)を備える本発明の電子機器の一例を示す。図6及び図7に示す電子機器は、携帯電話80である。携帯電話80の筐体89には、スピーカー86、マイク87、ブザー88等の発音部及び受音部のための開口が設けられている。これらの開口を塞ぐように、防水通音膜10が内側から筐体89に取り付けられている。この例では、防水通音膜10は、筐体89の内部へ水や埃が侵入することを防止し、発音部及び受音部を保護する役割を担う。

0038

防水通音膜10は、ノートパソコン、スマートフォン、携帯用オーディオ、携帯用ゲーム機器のような音声機能を備えた各種電子機器にも適用可能である。要するに、本実施形態の電子機器は、発音部及び/又は受音部と、発音部及び/又は受音部を収容し、音を発音部から及び/又は受音部へと導く開口が設けられた筐体と、開口を塞ぐように筐体に接合された防水通音膜とを備えている。

0039

実施例により、本発明を詳細に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明の一例を示すものであり、本発明は以下の実施例に限定されない。まず、実施例又は比較例に係るPTFE膜の評価方法を説明する。

0040

[平均孔径]
ASTMF316−86の規定に準拠して、平均孔径を測定した。具体的には、この規定に準拠した自動測定が可能な市販の測定装置(Porous Material社製のPerm−Porometer)を用いて、平均孔径を測定した。

0041

[厚さ]
実施例又は比較例のPTFE膜を穴径48mmのポンチ打ち抜き、打ち抜いた部分を10枚重ね合わせ、マイクロメータを用いて、10枚分の厚さを測定し、これを10で除することにより、厚さを求めた。

0042

[気孔率]
体積及び重量からかさ密度を求め、PTFE膜の真密度を2.18g/cm3として、{1−(重量[g]/(厚さ[cm]×面積[cm2]×真密度[2.18g/cm3]))}×100(%)の式から、気孔率を求めた。

0043

[耐水圧]
JIS L 1092:2009に記載されている耐水度試験機(高水圧法)を用いて、PTFE膜の耐水圧を測定した。ただし、この規定に示された試験片の面積では防水通音膜が著しく変形するので、ステンレスメッシュ(開口径:2mm)をPTFE膜の加圧面の反対側に設けることによってPTFE膜の変形を抑制した状態で、PTFE膜の耐水圧を測定した。

0044

[通気度]
JIS L1096に規定されている通気性測定法のB法(ガーレー法)に準拠して、PTFE膜の通気度を評価した。

0045

[音響特性(挿入損失)]
実施例又は比較例のPTFE膜の音響特性を以下のように評価した。最初に、図8に示すように、評価用システムを作製した。まず、スピーカーケーブル142に接続されたスピーカー140(スター精密社製、SCG−16A)と、ウレタンスポンジ製の充填材130とを準備した(図8(A))。充填材130は、径が5mmの通音孔132が形成された部品130aと、充填材130の底部となるべき部品130cと、スピーカー140及びスピーカーケーブル142を収容するための溝が形成され、部品130aと部品130cとの間に挟まれるべき部品130bとから構成される。次に、スピーカー140及びスピーカーケーブル142が部品130bの溝に収容された状態で、充填材130を組み立てた(図8(B))。次に、ポリスチレン製模擬筐体120を準備した(図8(C))。模擬筐体120は、径が2mmの通音孔122及び切欠124が形成された部品120aと、模擬筐体120の底部となるべき部品120bとから構成される。次に、スピーカー140、スピーカーケーブル142及び充填材130が内部に収容され、かつスピーカーケーブル142が切欠124から模擬筐体120の外部へと導き出されるように、模擬筐体120を組み立てた(図8(D))。組み立て後の模擬筐体120の外寸は、60mm×50mm×28mmであった。次に、切欠124に基づく開口をパテで塞いだ。

0046

次に、模擬筐体120の通音孔122の外側に、評価用サンプル110を貼り付けた(図9図8(D))。評価用サンプル110は、厚さ0.20mmの両面粘着テープ107(日東電工社製、No.57120B)と、実施例又は比較例のPTFE膜101(PTFE膜E1,C1,C2またはC3)と、厚さ0.03mmの両面粘着テープ106(日東電工社製、No.5603)と、厚さ0.1mmのPETフィルム105とをこの順に積層した積層体である。両面粘着テープ107は、ポリエチレン系発泡体基材アクリル系粘着剤で挟んだものである。両面粘着テープ106は、PETの基材をアクリル系粘着剤で挟んだものである。両面粘着テープ107、両面粘着テープ106及びPETフィルム105は、内径が2.5mm、外径が5.8mmとなるように打ち抜かれたものであり、PTFE膜101は、外径が5.8mmとなるように打ち抜かれたものである。

0047

次に、PTFE膜101を覆うように、PTFE膜101の上方にマイクロフォン150(Knowles Acoustics社製、SPM0405HD4H−WB)を設置した(図8(E))。また、スピーカーケーブル142とマイクロフォン150とを音響評価装置(B&K社製、Multi−analyzer System 3560−B−030)に接続した。スピーカー140とマイクロフォン150との距離は21mmであった。

0048

このような状態で、音響評価装置からスピーカー140に入力された試験信号と、マイクロフォン150で受信された信号とから、信号の減衰量Aを求めた。また、PTFE膜101を破ることによって径が2.5mmである貫通孔を形成した状態で、同様に信号の減衰量B(ブランク音圧レベル)を求めた。減衰量Bは、−21dBであった。減衰量Bから減衰量Aを引くことによって、PTFE膜101の音の挿入損失を求めた。挿入損失が小さいほど、スピーカー140から出力された音量が維持されていると判断できる。この試験では、評価方式として、SS分析定常状態応答分析、試験信号20Hz〜10kHz、sweep)を選択した。また、この試験では、音響評価装置により、挿入損失を自動的に求めた。

0049

(実施例1)
PTFEファインパウダー(三井デュポン社製、650−J)100重量部と、成形助剤であるn−ドデカンジャパンエナジー社製)20重量部とを均一に混合した。得られた混合物をシリンダーによって圧縮し、その後ラム押出してシート状の混合物とした。得られたシート状の混合物を一対の金属ロールを通して厚さ0.16mmに圧延し、さらに150℃の加熱によって成形助剤を乾燥除去した。これにより、PTFEのシート状成形体を得た。このシート状成形体を、2層重ねた。得られた積層体を、長手方向(圧延方向)に延伸温度260℃、延伸倍率5倍で延伸した。これにより、PTFE多孔質膜を得た。次に、このPTFE多孔質膜を、撥液処理液に数秒間浸漬し、その後100℃で加熱することにより溶媒を乾燥させて除去した。撥油処理液は、以下のようにして調製した。まず、下記の(式1)で示す直鎖状フルオロアルキル基を有する化合物100gと、重合開始剤であるアゾビスイソブチロニトリル0.1gと、溶媒(信越化学社製、FSシンナー)300gとを、窒素導入管温度計及び攪拌機を装着したフラスコの中に投入した。次に、このフラスコ内に窒素ガスを導入した。フラスコの内容物を撹拌しながら70℃で16時間付加重合を行い、フッ素含有重合体80gを得た。このフッ素含有重合体の数平均分子量は、100000であった。このフッ素含有重合体の濃度が3.0質量%となるように、希釈剤(信越化学社製、FSシンナー)で希釈して撥液処理液を調製した。

0050

CH2=CHCOOCH2CH2C6F13 (式1)

0051

次に、撥液処理されたPTFE多孔質膜を延伸温度150℃、延伸倍率30倍で幅方向に延伸し、さらに全体をPTFEの融点(327℃)を超える温度である360℃で焼成した。

0052

次に、焼成して得られたPTFE多孔質膜を、上型の押圧面の表面積に対する上型の凹部の開口面積の比率が30%、上型の凹部の内径が6.0μm、上型の凹部の深さが1.1μmであるヒートプレス装置を使用して、処理温度が100℃、処理圧力が5MPa、処理時間が10秒となる処理条件で、厚み方向に加圧した。これにより、低密度部及び高密度部が形成されたPTFE膜E1を得た。PTFE膜E1の表面において、高密度部の面積と、低密度部の面積との比率は、70:30であった。PTFE膜E1の厚さは7.1μmであった。

0053

なお、低密度部の突出部の外形形状は、上型の凹部の形状と実質的に同一である。すなわち、低密度部の突出部の外径Dは上型の凹部の内径と実質的に同一であり、低密度部の突出高さCは上型の凹部の深さと実質的に同一である。したがって、低密度部の突出部の外径Dが約6.0μmであり、低密度部の突出高さCが1.1μmである。また、マイクロメータを用いてPTFE膜E1の厚さを測定することは、低密度部の厚さAを測定することと実質的に同一である。すなわち、低密度部の厚さAはPTFE膜E1の厚さと実質的に同一である。したがって、低密度部の厚さAは7.1μmである。一方、高密度部の厚さBは、低密度部の厚さAから低密度部の突出高さCを差し引いた差分に相当する。したがって、高密度部の厚さBは6.0μmである。

0054

(比較例1)
未焼成PTFE粉末の濃度が40重量%である水性ディスパージョン(PTFE粉末の平均粒径0.2μm、ノニオン界面活性剤をPTFE100重量部に対し、6重量部配合)を用意した。この水性ディスパージョンに、フッ素系界面活性剤(大日本インキ社製、メガファックスF−142D)を、PTFE100重量部に対しフッ素系界面活性剤が1重量部の割合になるように添加した。得られたディスパージョン中に、厚さ125μmの長尺ポリイミド膜基体)を浸漬して引上げた。次に、計量バーにより、基体上に塗布されたディスパージョンの厚さを13mmに調整した。次に、ディスパージョン(及び基体)を100℃で1分間加熱することにより水を蒸発させて除去し、引き続いて390℃で1分間加熱することによりPTFE粉末を相互に結着させた。同様の浸漬、塗布及び加熱を合計で3回繰り返した。これにより、基体の両面のそれぞれにPTFE無孔膜を形成した。次に、基体からPTFE無孔膜を剥離させた。これにより、PTFE膜C1を得た。PTFE膜C1の厚さは14.0μmであった。

0055

(比較例2)
計量バーにより、浸漬、塗布及び加熱を合計で2回繰り返したこと以外は、比較例1と同様の手順によりPTFE無孔膜を得た。このPTFE無孔膜を、PTFE膜C2とした。PTFE膜C2の厚さは9.0μmであった。

0056

(比較例3)
実施例1における焼成して得られたPTFE多孔質膜を、PTFE膜C3とした。PTFE膜C3の厚さは20.0μmであった。

0057

PTFE膜E1及びPTFE膜C1〜C3につき、平均孔径、厚さ、気孔率、耐水圧、通気度及び挿入損失を測定した結果を表1に示す。表1の挿入損失は、1000Hzの音を用いた場合の測定結果である。各PTFE膜についての、音の周波数と挿入損失との関係を図10に示す。

0058

0059

なお、上型の押圧面が平滑面であるヒートプレス装置を使用したこと以外は、実施例1と同様の手順によりPTFE膜を得た。このPTFE膜の通気度は、「通気なし」であった。これにより、実施例1のPTFE膜E1の高密度部の通気度は、「通気なし」であることが説明できた。

0060

図10に示すように、PTFE膜E1は、100Hzの音に対する挿入損失が2.3dBであり、1000Hzの音に対する挿入損失が1.9dBであり、5000Hzの音に対する挿入損失が1.6dBであり、100Hzから5000Hzの間では周波数が高くなるにつれて挿入損失が低下している。PTFE膜E1は、100〜5000Hzの音に対する挿入損失が3dB以下(より詳細には2dB以下)であった。表1及び図10に示す結果から、PTFE膜E1は、良好な防水性と良好な通音性を兼ね備えていることが分かる。

実施例

0061

SEMを用いてPTFE膜E1の表面及び裏面を観察した。得られたSEM像を図11図14に示す。図11は、PTFE膜の表面のSEM像であり、図12は、PTFE膜の裏面のSEM像である。図11及び図12のSEM像は、倍率を1000倍にして撮影したものである。図13は、PTFE膜の表面の低密度部の周辺を拡大したSEM像であり、図14は、PTFE膜の表面の高密度部の周辺を拡大したSEM像である。図13及び図14のSEM像は、倍率を5000倍にして撮影したものである。図12に示したように、PTFE膜E1の裏面においては、低密度部と高密度部との境界が判別しにくい状態になっている。しかし、PTFE膜E1の表面においては、低密度部及び高密度部が確認できた。

0062

本発明の防水通音膜は、音響装置が収容されている電子機器、例えば、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン、携帯用オーディオ、携帯用ゲーム機器等の電子機器の防水通音構造の実施に多大な利用価値を有する。

0063

10,40防水通音膜
11,41 通音領域
12,42周縁領域
20PTFE膜
20a 表面
20b 裏面
21低密度部
21a 突出部
22 高密度部
30PTFE多孔質膜
31上型
31a 基準面
31b 凹部
32 下型

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