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技術 光触媒、その製造方法及び光触媒を用いた水素発生方法

出願人 国立研究開発法人物質・材料研究機構
発明者 阿部英樹梅澤直人
出願日 2015年1月20日 (2年9ヶ月経過) 出願番号 2015-008782
公開日 2015年9月3日 (2年1ヶ月経過) 公開番号 2015-157282
状態 未査定
技術分野 触媒 水素、水、水素化物
主要キーワード d軌道 サステナ 加圧滅菌器 アルカリ性分 水分子中 略多角形状 結合エネルギー値 光電子特性

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図面 (13)

課題

本発明は、毒性がなく、年生産量も高い材料を主成分とし、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を提供することを課題とする。

解決手段

化学式Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在する光触媒11を用いることにより、前記課題を解決できる。

背景

近年、サステナブルなエネルギーシステムに関心が高まっている。このシステムは、安価で、大量にかつ容易に供給可能なエネルギーで駆動されることを要する。水素エネルギーは、水から安価に、大量にかつ容易に供給できる可能性があり、前記システムを駆動可能なエネルギーの一つである(非特許文献1〜5)。水素エネルギーの供給方法の一つに、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を用いる方法がある。

このような光触媒としては、Ta,Rh,Niのいずれかの金属添加したSrTiO3、HPb2Nb3O10又はSn2Nb2O7などのニオブ酸化物、TaONなどの遷移金属酸窒化物、LaTiO2Nなどのランタノイド金属酸窒化物などがある。
しかし、Pbは毒性があり、Rh、Nb、Ta、Laなどは年生産量が少ないので、これら材料はいずれも光触媒としては適当なものではなかった。

概要

本発明は、毒性がなく、年生産量も高い材料を主成分とし、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を提供することを課題とする。化学式Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在する光触媒11を用いることにより、前記課題を解決できる。

目的

本発明は、毒性がなく、年生産量も高い材料を主成分とし、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を提供する

効果

実績

技術文献被引用数
0件
牽制数
0件

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請求項1

化学式Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在することを特徴とする光触媒

請求項2

2つのSn2+とSn4+O6八面体とからなる構造規則的に配列されていることを特徴とする請求項1に記載の光触媒。

請求項3

原料界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する工程と、前記分散液中NaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する工程と、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する工程と、を有することを特徴とする光触媒の製造方法

請求項4

前記原料がSnCl2・2H2Oであることを特徴とする請求項3に記載の光触媒の製造方法。

請求項5

前記界面活性剤がクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7・H2O)であることを特徴とする請求項3に記載の光触媒の製造方法。

請求項6

前記水が超純水であることを特徴とする請求項3に記載の光触媒の製造方法。

請求項7

前記アルカリ性分散液の加熱温度が150℃以上200℃以下であることを特徴とする請求項3に記載の光触媒の製造方法。

請求項8

請求項1又は2に記載の光触媒を、アルコール水溶液に分散・攪拌する工程と、H2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒を前記光触媒に光析出させる工程と、Pt助触媒を光析出させた前記光触媒を分散させたアルコール水溶液に光照射して水素を発生させる工程と、を有することを特徴とする光触媒を用いた水素発生方法

技術分野

0001

本発明は、光触媒及び、その製造方法及び光触媒を用いた水素発生方法に関する。特に、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSnを主成分とし、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒、その製造方法及び光触媒を用いた水素発生方法に関する。

背景技術

0002

近年、サステナブルなエネルギーシステムに関心が高まっている。このシステムは、安価で、大量にかつ容易に供給可能なエネルギーで駆動されることを要する。水素エネルギーは、水から安価に、大量にかつ容易に供給できる可能性があり、前記システムを駆動可能なエネルギーの一つである(非特許文献1〜5)。水素エネルギーの供給方法の一つに、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を用いる方法がある。

0003

このような光触媒としては、Ta,Rh,Niのいずれかの金属添加したSrTiO3、HPb2Nb3O10又はSn2Nb2O7などのニオブ酸化物、TaONなどの遷移金属酸窒化物、LaTiO2Nなどのランタノイド金属酸窒化物などがある。
しかし、Pbは毒性があり、Rh、Nb、Ta、Laなどは年生産量が少ないので、これら材料はいずれも光触媒としては適当なものではなかった。

先行技術

0004

Tong,H.;Ouyang,S.;Bi,Y.;Umezawa,N.;Oshikiri,M.;Ye,J.,Adv.Mater.2012,24,229−251.
Hoffmann,M.R.;Martin,S.T.;Choi,W.Y.;Bahnemann,D.W.,Chem.Rev.1995,95,69−96.
Osterloh,F.E.,Chem.Mater.2008,20,35−54.
Chen,X.B.;Shen,S.H.;Guo,L.J.;Mao,S.S.,Chem Rev.2010,110,6503−6570.
Kudo,A.;Miseki,Y.,Chem.Soc.Rev.2009,38,253−278.
Nature 1967,215,955−956.
White,T.A.;Moreno,M.S.and Midgley,P.A.Z.Kristallogr.,2010,225,56−66.
Seko,A.;Togo,A.;Oba,F.and Tanaka,I.Phys.Rev.Lett.2008,100,045702.
Berengue,O.M.;Simon,R.A.;Chiquito,A.J.;Dalmaschio,C.J.;Leite,E.R.;Guerreiro,H.A.and Guimarnaes,F.E.G.J.Appl.Phys.,2010,107,033717.
He,Y.;Li,D.;Chen,J.;Yu,S.;Xian,J.;Zheng,X.and Wang P.RSC Adv.,2014,4,1266−1269.

発明が解決しようとする課題

0005

本発明は、毒性がなく、年生産量も高い材料を主成分とし、可視光照射で水を分解して水素を発生可能な光触媒を提供することを課題とする。

課題を解決するための手段

0006

以上の事情を鑑みて、材料探索を行い、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSn及びその酸化物に着目した。1967年に「Nature」で物質として初めて報告されたSn3O4は、結晶構造(非特許文献6〜8)、光電子特性(非特許文献9)、退色特性(非特許文献10)などの材料特性についての報告はあるが、光触媒特性に係る報告はなかった。水熱合成法により、高純度のSn3O4のナノクリスタル合成して、光触媒特性を調べた結果、それが可視光照射によりアルコール水溶液から十分な量の水素を発生させることが可能な光触媒であり、サステナブルなエネルギー・システムへの水素エネルギー源に使用できる可能性があることを見出して、本発明を完成した。
本発明は、以下の構成を有する。

0007

(1)化学式Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在することを特徴とする光触媒。
(2)2つのSn2+とSn4+O6八面体とからなる構造規則的に配列されていることを特徴とする(1)に記載の光触媒。

0008

(3)原料界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する工程と、前記分散液中NaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する工程と、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する工程と、を有することを特徴とする光触媒の製造方法。
(4)前記原料がSnCl2・2H2Oであることを特徴とする(3)に記載の光触媒の製造方法。
(5)前記界面活性剤がクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7・H2O)であることを特徴とする(3)に記載の光触媒の製造方法。

0009

(6)前記水が超純水であることを特徴とする(3)に記載の光触媒の製造方法。
(7)前記アルカリ性分散液の加熱温度が150℃以上200℃以下であることを特徴とする(3)に記載の光触媒の製造方法。
(8)(1)又は(2)に記載の光触媒を、アルコール水溶液に分散・攪拌する工程と、H2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒共触媒ともいう。)を前記光触媒に光析出させる工程と、Pt助触媒を光析出させた前記光触媒を分散させたアルコール水溶液に光照射して水素を発生させる工程と、を有することを特徴とする光触媒を用いた水素発生方法。

発明の効果

0010

本発明の光触媒は、化学式Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在する構成なので、価数の異なるSnを隣接配置させることができ、可視光吸収可能なバンドギャップと、バレンスバンドコンダクションバンドエネルギー値の間にアルコール水溶液中のH+を効率的にH2に変える基準電位を存在させることができ、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生可能な光触媒とすることができる。また、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とするので、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を提供できる。

0011

本発明の光触媒の製造方法は、原料と界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する工程と、前記分散液中にNaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する工程と、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する工程と、を有する構成なので、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSnを主成分とし、可視光を吸収可能なバンドギャップと、バレンスバンドとコンダクションバンドのエネルギー値の間にアルコール水溶液中のH+を効率的にH2に変える基準電位を存在させることができ、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生可能な光触媒を容易にかつ大量に製造できる。

0012

本発明の光触媒を用いた水素発生方法は、先に記載の光触媒を、アルコール水溶液に分散・攪拌する工程と、H2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒を前記光触媒に光析出させる工程と、Pt助触媒を光析出させた前記光触媒を分散させたアルコール水溶液に光照射して水素を発生させる工程と、を有する構成なので、可視光照射下においてアルコール水溶液から水素を大量に発生させることができる。

図面の簡単な説明

0013

本発明の実施形態である光触媒の一例を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
本発明の実施形態である光触媒の一例を示す構造モデル平面図(a)及び構造モデル側面図(b)である。
本発明の実施形態である光触媒であるSn3O4のバンド図である。比較のために、TiO2、SnO2、SnOのバンド図も示している。
光触媒Sn3O4の顕微鏡観察結果を示す写真である。
光触媒Sn3O4のEDS測定結果を示すグラフである。
光触媒Sn3O4のpXRD及びHX−PESの測定結果を示すグラフである。
光触媒Sn3O4の吸収スペクトルである。
光触媒特性測定装置の概略図である。
光触媒Sn3O4の水素発生量の測定結果を示すグラフである。
光照射前水素発生実験96時間後の光触媒Sn3O4のpXRDプロファイルである。
理論計算による状態密度の結果を示すグラフであり、Sn2+O(a)、Sn4+O2(b)、光触媒Sn3O4(c)、光触媒Sn3O4のSn2+とSn4+の状態密度を分解したグラフ(d)である。
光触媒Sn3O4の水素発生量の測定結果を示すグラフである。

0014

(光触媒)
まず、本発明の実施形態である光触媒について説明する。
図1は、本発明の実施形態である光触媒の一例を示す平面図(a)及び側面図(b)である。
図1(a)、(b)に示すように、本発明の実施形態である光触媒11は、平面視略多角形状板状体である。板状体は、層状構造で形成されている。各面は高結晶性の{100}面とされている。
光触媒11の径d11は100nm以上1μm未満とされている。また、厚さt11は100nm未満とされている。ナノオーダーの大きさの結晶なので、ナノクリスタルである。

0015

図2は、本発明の実施形態である光触媒の一例を示す構造モデル平面図(a)及び構造モデル側面図(b)である。
光触媒11は、化学式Sn3O4で表される結晶である。図2に示すように、光触媒11は、2つのSn2+とSn4+O6八面体(Octahedra)とからなる構造が規則的に配列されてなり、(Sn2+)2(Sn4+)O4で表される混合原子価Sn酸化物の結晶である。

0016

図3は、本発明の実施形態である光触媒であるSn3O4のバンド図である。比較のために、TiO2、SnO2、SnOのバンド図も示している。
図3に示すように、本発明の実施形態である光触媒であるSn3O4は、バレンスバンド(valence band)とコンダクションバンド(conduction band)との間のエネルギーギャップ(バンドギャップ)が2.5eVであり、両バンドのエネルギー値の間に、H+をH2に変える基準電位が存在する。バンドギャップが2.5eVであることにより、500nm付近より短波長青色光を吸収して、バレンスバンドの電子をコンダクションバンドに励起することができる。また、両バンドのエネルギー値の間に前記基準電位が存在することにより、励起された電子がアルコール水溶液中のH+を還元する事によって効率的にH2に変えることができる。

0017

一方、TiO2では、バンドギャップが3.4eVであるので、可視光ではバレンスバンドの電子をコンダクションバンドにほとんど励起することができない。また、電子励起できても、基準電位がバレンスバンドのエネルギー値とほぼ同じ位置なので、エネルギーを放出しても、効率的に、アルコール水溶液中のH+をH2にほとんど変えることができない。
また、SnO2は、Sn4+O2と表されるが、バンドギャップが3.1eVであるので、可視光では効率的にバレンスバンドの電子をコンダクションバンドにほとんど励起することができない。また、電子励起できても、基準電位がバレンスバンドのエネルギー値より高い位置なので、エネルギーを放出しても、水分子中のH+をH2に変えることができない。
また、SnOは、Sn2+Oと表することもできるが、バレンスバンドの位置が高く、アルコール酸化不適切であることから、水分子中のH+をH2に変えることができない。

0018

(光触媒の製造方法)
次に、本発明の実施形態である光触媒の製造方法について説明する。
本発明の実施形態である光触媒の製造方法は、分散液調製工程S1と、アルカリ性分散液調製工程S2と、水熱合成工程S3と、を有する。

0019

(分散液調製工程S1)
この工程では、原料と界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する。
前記原料として、SnCl2・2H2Oを挙げることができる。また、前記界面活性剤として、クエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7・H2O)を挙げることができる。界面活性剤を添加することにより、原料をより均一に分散できる。
前記水が超純水であることが好ましい。不純物を少なくすることにより、ナノクリスタルの純度を向上させることができる。

0020

(アルカリ性分散液調製工程S2)
この工程では、前記分散液中にNaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する。この時、NaOH濃度を0.2M以下とすることが好ましい。

0021

(水熱合成工程S3)
この工程では、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する。
前記アルカリ性分散液の加熱温度は、150℃以上200℃以下であることが好ましく、170℃以上190℃以下とすることがより好ましい。また、前記加熱温度に5時間以上19時間以下保持することが好ましく、10時間以上14時間以下保持することがより好ましい。これにより、水熱合成によるナノクリスタルの生成効率を向上させることができる。
以上の工程により、本発明の実施形態である光触媒11を容易に、短時間でかつ大量に製造できる。

0022

(光触媒を用いた水素発生方法)
次に、本発明の実施形態である光触媒を用いた水素発生方法について説明する。
本発明の実施形態である光触媒の製造方法は、光触媒の分散・攪拌工程S11と、Pt助触媒光析出工程S12と、水素発生工程S13と、を有する。
光触媒の分散・攪拌工程S11では、光触媒11をアルコール水溶液に分散・攪拌する。アルコールとしては、メタノールエタノール等を挙げることができる。
Pt助触媒光析出工程S12では、H2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒を前記光触媒に光析出させる。Ptは粒子状の光触媒の表面にアイランド状に形成される。
水素発生工程S13では、Pt助触媒を光析出させた前記光触媒を分散させたアルコール水溶液に光照射して水素を発生させる。Pt助触媒を光析出させた前記光触媒を分散させたアルコール水溶液は懸濁液状又はコロイド状とされている。
以上の構成を有することにより、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生させることができる。

0023

本発明の実施形態である光触媒11は、Sn3O4で表される結晶であって、前記結晶中に価数の異なるSnが2以上存在する構成なので、価数の異なるSnを隣接配置させることができ、可視光を吸収可能なバンドギャップと、バレンスバンドとコンダクションバンドのエネルギー値の間にアルコール水溶液中のH+を効率的にH2に変える基準電位を存在させることができ、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生可能な光触媒とすることができる。また、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とするので、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を提供できる。

0024

本発明の実施形態である光触媒11は、2つのSn2+とSn4+O6八面体とからなる構造が規則的に配列されている構成なので、価数の異なるSnを隣接配置させることができ、可視光を吸収可能なバンドギャップと、バレンスバンドとコンダクションバンドのエネルギー値の間にアルコール水溶液中のH+を効率的にH2に変える基準電位を存在させることができ、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生可能な光触媒とすることができる。

0025

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、原料と界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する工程と、前記分散液中にNaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する工程と、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する工程と、を有する構成なので、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSnを主成分とし、可視光を吸収可能なバンドギャップと、バレンスバンドとコンダクションバンドのエネルギー値の間にアルコール水溶液中のH+を効率的にH2に変える基準電位を存在させることができ、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生可能な光触媒を容易にかつ大量に製造できる。

0026

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、原料と界面活性剤を水中に分散して、分散液を調製する工程と、前記分散液中にNaOH水溶液を加えて、アルカリ性分散液を調製する工程と、前記アルカリ性分散液を加熱して、光触媒を水熱合成する工程と、を有する構成なので、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSnを主成分とし、可視光照射でアルコール水溶液から水素を発生可能な光触媒を容易にかつ大量に製造できる。

0027

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、前記原料がSnCl2・2H2Oである構成なので、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とし、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を効率よく製造できる。

0028

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、前記界面活性剤がクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7・H2O)である構成なので、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とし、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を効率よく製造できる。

0029

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、前記水が超純水である構成なので、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とし、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を高純度で製造できる。

0030

本発明の実施形態である光触媒11の製造方法は、前記アルカリ性分散液の加熱温度が150℃以上200℃以下である構成なので、毒性がなく、年生産量も高く、低価格な材料であるSnを主成分とし、安全で、安価で大量供給可能な光触媒を効率よく製造できる。

0031

本発明の実施形態である光触媒を用いた水素発生方法は、光触媒11を、アルコール水溶液に分散・攪拌する工程S11と、H2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒を光触媒に光析出させる工程S12と、Pt助触媒を光析出させた光触媒を分散させたアルコール水溶液に光照射して水素を発生させる工程S13と、を有する構成なので、可視光照射でアルコール水溶液から水素を大量に発生させることができる。

0032

本発明の実施形態である光触媒、その製造方法及び光触媒を用いた水素発生方法は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で、種々変更して実施することができる。本実施形態の具体例を以下の実施例で示す。しかし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。

0033

(実施例1)
(光触媒Sn3O4の水熱合成)
まず、原料としてSnCl2・2H2O(0.90g、4.0mmol)、界面活性剤としてクエン酸ナトリウム(Na3C6H5O7・H2O)(0.294g、10mmol)を用意し、これらを超純水(Milli−Q water)10ml中に分散してから、撹拌して、均一分散させて、分散液を調製した。

0034

次に、前記分散液中に0.2MのNaOH水溶液10mlを加えて攪拌して、アルカリ性分散液を調製した。

0035

次に、アルカリ性分散液を40mlテフロン裏地付きステンレス鋼製の加圧滅菌器オートクレーブ)に移した。
次に、オートクレーブを電気炉内で、180℃で12時間、加熱してから、室温に戻した。
次に、遠心分離により沈殿物を得た後、この沈殿物を超純水(Milli−Q water)とアセトンで数回洗浄した。
以上の工程により、光触媒Sn3O4(実施例1試料)を得た。

0036

(比較例1、2)
比較例1試料として、SnOを用意した。
また、比較例2試料として、SnO2を用意した。

0037

(光触媒Sn3O4のキャラクタリゼーション
まず、SEM(Scaning electron microscope、Hitachi製)及びTEM(Transmission electron microscope、JEOL2100−F)により、光触媒Sn3O4(実施例1試料)を顕微鏡観察した。
SEMにはFIB(Focused ion beam、SII Nano technology Inc.製)を備えたものを用い、TEMにはEDS(Enegy−dispersion spectroscopy)を備えたものを用いた。
TEM試料銅メッシュに光触媒Sn3O4(実施例1試料)を含むメタノール懸濁液を垂らしてから、乾燥させて、調製した。

0038

図4は、光触媒Sn3O4の顕微鏡観察結果を示す写真であり、SEM像(a)、拡大SEM像(b)、TEM像(c)、SAEパターン(c挿入写真)、拡大TEM像(d)、構造モデル(d挿入図)である。
図4(a)、(b)に示すように、平面視略多角形状の板状の材料が複数得られた。おおよそ100nm以上1μm未満の大きさであった。

0039

図4(c挿入写真)は、図4(c)の中心の材料片ビーム照射して得られた制限視野電子回折(Selected−area electron diffraction:SAED)パターンであり、111、002、[110]のパターンが得られた。
図4(d)に示すように、規則正しく配列された結晶構造を観察できた。この結晶構造から、d(111)が0.33nm又は0.35nmであることが分かった。これから、構造モデル(図4d挿入図)が得られた。

0040

次に、TEMに備えたEDSにより、EDS測定を行った。
図5は、光触媒Sn3O4のEDS測定結果を示すグラフである。これから、Sn:O=3:4であることが判明した。

0041

次に、pXRD及びHX−PESを測定した。
図6は、光触媒Sn3O4のpXRD及びHX−PESの測定結果を示すグラフであって、pXRD測定結果を示すグラフ(a)及びHX−PES測定結果を示すグラフ(b)である。図6の(a)では公知のpXRDパターン計算値)、(b)ではSnO、SnO2の測定結果を合わせて示している。
図6(a)に示すように、pXRDパターンのピーク位置はpXRDパターン(計算値)にほぼ一致した。
また、図6(b)に示すように、Sn酸化物ではSnのd軌道結合エネルギー値はほぼ同一であったが、SnOのd軌道のエネルギー値は低エネルギー側にシフトした。

0042

次に、吸収スペクトルを測定した。
図7は、光触媒Sn3O4の吸収スペクトルである。比較のために、SnO2、SnOの吸収スペクトルも示している。また、挿入図では、光触媒Sn3O4及びSnO2について横軸をエネルギーとしたスペクトルを示した。
光触媒Sn3O4は390nm付近に吸収ピークを有し、510nm付近まですそ野が広がる吸収が見られた。実際、光触媒Sn3O4はオレンジ色であり、青色光が吸収されている。
一方、SnO2は360nm以下に吸収ピークを有し、400nm以上の可視光はほとんど吸収しなかった。また、SnOは紫外から可視光全域にわたり、均一な吸収が見られたが、吸収強度は光触媒Sn3O4の吸収強度に比較して低かった。

0043

(光触媒Sn3O4の光触媒特性評価1)
次に、光触媒Sn3O4を用いて、メタノール水溶液中の水素イオンを還元して、H2を発生させ、そのH2発生量を測定することにより、光触媒特性評価を行った。
図8は、光触媒特性測定装置の概略図である。
図8に示すように、この装置は、光触媒を分散させた水を貯蔵したパイレックスセルと、前記容器の一側面側に配置したキセノンランプと、このキセノンランプと前記容器との間に配置した光フィルターと、前記パイレックスセルに配管を通じて接続されたロータリーポンプと、前記パイレックスセルに別の配管を通じて接続されたガスクロマトグラフと、を有して構成されている。

0044

装置の内部は、ガスクローズド循環システムとされており、パイレックスセルの内部をロータリーポンプで減圧することができるとともに、パイレックスセル内で発生させた水素量をガスクロマトグラフで測定可能とされている。
また、キセノンランプから放出し、光フィルターで400nm超とした可視光をパイレックスセル内のメタノール水中の光触媒に照射して、光触媒の表面でメタノール水中の水素イオンを還元して、水素を発生させることが可能とされている。

0045

具体的には、まず、光触媒Sn3O4(0.3g)を、所定量のH2PtCl6溶液とともに、所定量のパイレックスセル中のCH3OH水溶液蒸留水220mL+CH3OH50mL)に加えたのち、磁気撹拌子で攪拌した。
次に、Xeアークランプ光源(300W:フィルター無し)を用い、上記の水溶液を光照射することによって、光触媒Sn3O4表面にPt助触媒0.5wt%を光析出(photo−deposited)させた。Pt助触媒光析出後、L42カットオフフィルター(λ>400nm)を装着したXeアークランプ光源による可視光照射を行い、水溶液から発生するH2の量を時間の関数として測定した。
H2発生量の測定は、熱伝導検出器(Thermal conductivity detector:TCD)を装着したガスクロマトグラフ(GC−8A、Shimadzu製)を用いて行った。

0046

図9は、光触媒Sn3O4の水素発生量の測定結果を示すグラフである。
24時間光照射を続けてから、光照射を止めて、ロータリーポンプで容器内を減圧するステップを4回繰り返し、その間の水素発生量を測定した結果である。
光触媒Sn3O4では、光照射を続けると初期はかなり高い割合で水素を発生し、10時間以後は、96時間になるまでほぼ一定の割合となった。
一方、SnO2及びSnO2では、ほとんど水素を発生させることはできなかった。

0047

次に、光照射96時間後の光触媒Sn3O4のpXRDプロファイルを測定した。
図10は、光照射前と水素発生実験96時間後の光触媒Sn3O4のpXRDプロファイルである。棒グラフデータベースから取得したXRDのピーク位置と強度を表す。光照射前の光触媒Sn3O4のpXRDプロファイル及び公知のpXRDパターン(計算値)も合わせて示している。
光照射の前後で光触媒Sn3O4のpXRDプロファイルはほとんど変化しなかった。

0048

(理論計算)
次に、仕事関数とバンドギャップに基づく理論計算を行った。
図11は、理論計算による状態密度の結果を示すグラフであり、Sn2+O(a)、Sn4+O2(b)、光触媒Sn3O4(c)、光触媒Sn3O4のSn2+とSn4+の状態密度を分解したグラフ(d)である。
図11(c)、(d)に示すように、Sn3O4では、−2eV以下の酸素p軌道起因するバレンスバンドと、2eV以上のスズのsp軌道に起因するコンダクションバンドとの間、−2〜0eVに別の占有バンドが存在する。このバンドは、Sn2+とSn4+の共存に起因しており、バレンスバンドの最上位を形成する。この最高被占バンドからコンダクションバンドまでがバンドギャップとなり、可視光のフォトンを吸収して、バレンスバンドの電子をコンダクションバンドに励起させることができる。また、水を還元して水素を発生させる基準電位をバレンスバンドとコンダクションバンドの間に有するバンド構造を形成する。

0049

一方、図11(a)に示すように、Sn2+Oでは、複数のエネルギー帯が広く存在し、バンドギャップが大変小さい。
また、図11(b)に示すように、Sn4+O2では、コンダクションバンドの密度が大変小さい。

0050

(光触媒Sn3O4の光触媒特性評価2)
次に、光触媒Sn3O4を用いて、メタノール水溶液の代わりにエタノール水溶液を用いた他は「光触媒Sn3O4の光触媒特性評価1」と同様にして、アルコール水溶液中の水素イオンを還元して、H2を発生させ、そのH2発生量を測定することにより、光触媒特性評価を行った。

0051

具体的には、まず、光触媒Sn3O4(0.3g)を、パイレックスセル内のC2H5OH水溶液(蒸留水220mL+C2H5OH50mL)内に分散し、磁気撹拌子で攪拌した。
次に、反応液中に所定量のH2PtCl6溶液を加えて、Pt助触媒0.5wt%を、光触媒Sn3O4に光析出(photo−deposited)させた。
次に、光照射して水素を発生させ、水素発生量を測定した。

0052

図12は、光触媒Sn3O4の水素発生量の測定結果を示すグラフである。
6時間光照射を続けて、その間の水素発生量を1時間ごとに測定した。
6時間後、光照射を止めて、ロータリーポンプで容器内を減圧した。
図12には、「光触媒Sn3O4の光触媒特性評価1」のメタノール水溶液の結果も合わせて示した。メタノール水溶液を用いた場合に比べて、エタノール水溶液を用いた場合の方が、一定時間当たりの水素発生量(水素発生効率)はわずかに低下したが、ほぼ同様の効率が得られた。
本光触媒では、バレンスバンドとコンダクションバンドとの間にSn2+とSn4+の共存に起因する被占有Snバンドが形成され、このバンドからコンダクションバンドとのバンドギャップで可視光のフォトンを吸収して、メタノール水溶液を用いた場合でもエタノール水溶液を用いた場合でも、被占有Snバンドの電子をほぼ同様の割合でコンダクションバンドに励起でき、この励起電子によりH+を還元してほぼ同じ割合で水素を発生させることができたと推察した。

実施例

0053

なお、溶液中のアルコールが消費された時点光触媒反応が止まったこと、及び、水を分解しているのであれば水素:酸素が2:1で出るはずだが、本反応では水素しかでなかったことから、本実験結果は水分解に関するものではなく、「アルコール水溶液からの水素発生」と位置づけるべきと考察した。

0054

本発明の光触媒は、毒性がなく、年生産量も高い材料であるSnを主成分とし、可視光照射でアルコール水溶液から水素を発生可能な光触媒に関するものであり、この光触媒に可視光照射するだけで、アルコール水溶液から容易にかつ大量に水素を発生させることができ、水素エネルギーを安定供給できるので、サステナブルなエネルギー・システムに実用化できる可能性があり、水素エネルギー製造産業及び水素エネルギーを利用した装置・機器産業等において利用可能性がある。

0055

11…光触媒、d11…径、t11…厚さ。

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